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特許6998344外観検査装置及び包装シート製造装置並びに外観検査方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】外観検査装置及び包装シート製造装置並びに外観検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20220111BHJP
   B65B 47/02 20060101ALI20220111BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20220111BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01N21/85 A
B65B47/02
B65B57/00 C
B65B57/10 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019136002
(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公開番号】P2021021564
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】大谷 剛将
(72)【発明者】
【氏名】畠山 肇
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-2692(JP,A)
【文献】特開平9-110142(JP,A)
【文献】特開2017-96821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0293623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
B65B 47/02
B65B 57/00
B65B 57/10
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01N 21/00 - G01N 21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面と該表面及び該裏面間に位置する側面とを有してなる錠剤の外観に関する検査を行うための外観検査装置であって、
錠剤の表面又は裏面を吸着しつつ該錠剤を搬送する第一搬送手段と、
錠剤の表面又は裏面を吸着しつつ該錠剤を搬送する第二搬送手段と、
前記第一搬送手段から前記第二搬送手段へと錠剤を受け渡す受渡手段と、
錠剤を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により得られた撮像データに基づき錠剤の外観に関する検査を行う画像処理手段とを備え、
前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段により搬送されるそれぞれの錠剤は、前記撮像手段における撮像視野の中央を挟む位置に並列に配置され、
前記撮像手段は、前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段により搬送されるそれぞれの錠剤における表面及び裏面のうち吸着されていない面と側面とを撮像可能に構成され、
前記受渡手段は、前記第一搬送手段による搬送時と前記第二搬送手段による搬送時とで、錠剤の被吸着面が表裏反転するとともに前記撮像手段により撮像される錠剤の側面が反転するようにして、前記第一搬送手段から前記第二搬送手段に対する錠剤の受け渡しを行うように構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段は、前記撮像手段によって撮像される位置にある錠剤を、表面及び裏面のうちの吸着されていない面が同じ方向を向くようにして搬送するように構成されており、
前記受渡手段は、
前記第一搬送手段側から前記第二搬送手段側に対し、錠剤を、側面の向きを変化させずに移動させる錠剤移動手段と、
前記第一搬送手段による搬送時及び前記第二搬送手段による搬送時で、錠剤の被吸着面を表裏反転させるための反転手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記錠剤移動手段は、錠剤の表面又は裏面を吸着保持可能であって所定の回転軸方向に沿ってスライド移動可能であるとともに、スライド移動によって吸着保持した錠剤を前記第一搬送手段側から前記第二搬送手段側へと移動可能な移動吸着部を外周に有し、かつ、前記回転軸を中心に回転可能な吸着スライドドラムによって構成され、
前記反転手段は、錠剤の表面又は裏面を吸着保持可能な反転吸着部を外周に有し、かつ、回転可能な吸着反転ドラムによって構成され、
前記第一搬送手段、前記錠剤移動手段、前記反転手段及び前記第二搬送手段の順に、又は、前記第一搬送手段、前記反転手段、前記錠剤移動手段及び前記第二搬送手段の順に、錠剤を、上流の手段から下流の手段へと表裏を反転させつつ受け渡すように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、搬送される錠剤が自身に最も接近する前のタイミング及び後のタイミングを含む複数のタイミングで該錠剤を撮像するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、少なくとも搬送される錠剤が自身に最も接近するタイミングで該錠剤を撮像するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段は、錠剤を複数列に並べた状態で搬送するように構成されており、
前記撮像手段は、各列の錠剤を一度に撮像するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項7】
それぞれ帯状をなす第1フィルム及び第2フィルムが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に錠剤が収容された包装シートを得るときに用いられる包装シート製造装置であって、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の外観検査装置と、
搬送される帯状の前記第1フィルムと、搬送される帯状の前記第2フィルムとを取着する取着手段と、
前記第1フィルム及び前記第2フィルム間に形成される前記収容空間内に、前記外観検査装置によって外観の検査された錠剤を充填する充填手段と、
前記第1フィルム及び前記第2フィルムが取着され、かつ、錠剤が前記収容空間内に収容されてなる帯状の包装フィルムから前記包装シートを切離す切離手段とを備えることを特徴とする包装シート製造装置。
【請求項8】
表面と裏面と該表面及び該裏面間に位置する側面とを有してなる錠剤の外観に関する検査を行うための外観検査方法であって、
所定の第一搬送経路に沿って、錠剤の表面又は裏面を吸着しつつ該錠剤を搬送する第一搬送工程、及び、所定の第二搬送経路に沿って、錠剤の表面又は裏面を吸着しつつ該錠剤を搬送する第二搬送工程を有する搬送工程と、
前記第一搬送経路から前記第二搬送経路へと錠剤を受け渡す受渡工程と、
所定の撮像手段によって、前記搬送工程にて搬送される錠剤を撮像する撮像工程と、
該撮像工程で得られた撮像データに基づき、錠剤の外観に関する検査を行う良否判定工程とを含み、
前記第一搬送経路及び前記第二搬送経路は、前記撮像手段における撮像視野の中央を挟む位置に並列に設けられ、
前記撮像工程では、前記撮像手段によって、前記第一搬送工程にて搬送される錠剤及び前記第二搬送工程にて搬送される錠剤のそれぞれにおける表面及び裏面のうち吸着されていない面と側面とを撮像し、
前記受渡工程では、前記第一搬送工程と前記第二搬送工程とで、錠剤の被吸着面が表裏反転するとともに前記撮像手段により撮像される錠剤の側面が反転するようにして、前記第一搬送経路から前記第二搬送経路に対する錠剤の受け渡しを行うことを特徴とする外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤の外観についての検査を行うための外観検査装置及び該装置を備えた包装シート製造装置、並びに、錠剤の外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品等の分野において用いられる包装シートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。PTPシートは、錠剤が収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
PTPシートは、包装シート製造装置としてのPTP包装機によって製造することができる。PTP包装機は、搬送される帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成する手段、該ポケット部に錠剤を充填する手段、ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する手段、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜く手段等を備えている。
【0004】
また、ポケット部への充填前に、錠剤を搬送しつつ、錠剤の外観(例えば、破損の有無や印刷の良否など)に関する検査を行うことがある。錠剤の外観に関する検査は、外観検査装置によって行うことができる。外観検査装置は、錠剤を搬送する搬送手段、搬送される錠剤を撮像する撮像手段、及び、該撮像手段により得られた撮像データに基づき錠剤の外観に関する良否判定を行う画像処理手段などを備えている。尚、外観検査装置は、包装シート製造装置に組み込まれる場合もあるし、包装シート製造装置とは別に設けられる場合もある。
【0005】
近年では、錠剤の搬送経路の上下それぞれに6台ずつの撮像手段を設けるとともに、これら計12台の撮像手段によって錠剤の全体(表面、裏面及び側面全周)に係る撮像データを得て、錠剤の表面、裏面及び側面全周に係る外観検査を一度に実行可能な外観検査装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0006】
また、錠剤を所定方向に搬送する第1の搬送手段と、該第1の搬送手段による搬送時とは表裏反転させられた錠剤を前記所定方向とは反対方向に搬送するとともに、前記第1の搬送手段に隣接して設けられた第2の搬送手段と、これら搬送手段の直上や斜め上方に配置された計5台の撮像手段とを備え、これら撮像手段によって錠剤の全体を撮像する外観検査装置も知られている(例えば、特許文献2等参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-39760号公報
【文献】特開2009-2690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来技術に係る各外観検査装置は、いずれも多数の撮像手段を備えるものである。そのため、装置の複雑化や大型化、装置の製造やメンテナンス等に係るコストの増大などを招くおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1台の撮像手段によって錠剤の全体の撮像データを得ることができ、装置の簡素化や製造コストの低減などを効果的に図ることができる外観検査装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.表面と裏面と該表面及び該裏面間に位置する側面とを有してなる錠剤の外観に関する検査を行うための外観検査装置であって、
錠剤の表面又は裏面を吸着しつつ該錠剤を搬送する第一搬送手段と、
錠剤の表面又は裏面を吸着しつつ該錠剤を搬送する第二搬送手段と、
前記第一搬送手段から前記第二搬送手段へと錠剤を受け渡す受渡手段と、
錠剤を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により得られた撮像データに基づき錠剤の外観に関する検査を行う画像処理手段とを備え、
前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段により搬送されるそれぞれの錠剤は、前記撮像手段における撮像視野の中央を挟む位置に並列に配置され、
前記撮像手段は、前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段により搬送されるそれぞれの錠剤における表面及び裏面のうち吸着されていない面と側面とを撮像可能に構成され、
前記受渡手段は、前記第一搬送手段による搬送時と前記第二搬送手段による搬送時とで、錠剤の被吸着面が表裏反転するとともに前記撮像手段により撮像される錠剤の側面が反転するようにして、前記第一搬送手段から前記第二搬送手段に対する錠剤の受け渡しを行うように構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【0012】
上記手段1によれば、第一搬送手段及び第二搬送手段により搬送されるそれぞれの錠剤は、撮像手段における撮像視野の中央を挟む位置に並列に配置されており、撮像手段によって、第一搬送手段及び第二搬送手段により搬送される錠剤のそれぞれが撮像される。ここで、撮像手段は、搬送される錠剤のうち、第一搬送手段や第二搬送手段によって吸着されていない側の表面又は裏面と側面(撮像手段側に位置する側面)とを撮像可能とされている。また、受渡手段は、第一搬送手段による搬送時と第二搬送手段による搬送時とで、錠剤の被吸着面が表裏反転するとともに撮像手段により撮像される錠剤の側面が反転するようにして、第一搬送手段から第二搬送手段に対する錠剤の受け渡しを行う。尚、「撮像手段により撮像される錠剤の側面が反転する」とは、錠剤の側面を該錠剤の周方向に沿って半分の領域に分割したとき、第一搬送手段による搬送時と第二搬送手段による搬送時とで、撮像手段により撮像される(撮像手段側を向く)錠剤の側面が、2分割された側面のうちの一方(以下、「一方側側面」という)から2分割された側面のうちの他方(以下、「他方側側面」という)に切換わることを意味する。
【0013】
上記のように構成されることで、1台の撮像手段によって、第一搬送手段による搬送される錠剤の表面及び裏面のうちの一方及び一方側側面と、第二搬送手段によって搬送される錠剤における表面及び裏面のうちの他方及び他方側側面とを撮像することができる。すなわち、1台の撮像手段を用いて、錠剤の全体に係る撮像データを得ることができる。これにより、装置の簡素化や小型化、装置の製造やメンテナンス等に係るコストの低減などを効果的に図ることができる。
【0014】
また、第一搬送手段及び第二搬送手段は、錠剤を吸着しつつ搬送するため、搬送時の衝撃などによる錠剤の移動や回転を防ぐことができ、撮像手段に対する錠剤の相対位置関係をより確実に適切な状態で維持することができる。そのため、錠剤の全体に係る撮像データをより確実に得ることができる。
【0015】
手段2.前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段は、前記撮像手段によって撮像される位置にある錠剤を、表面及び裏面のうちの吸着されていない面が同じ方向を向くようにして搬送するように構成されており、
前記受渡手段は、
前記第一搬送手段側から前記第二搬送手段側に対し、錠剤を、側面の向きを変化させずに移動させる錠剤移動手段と、
前記第一搬送手段による搬送時及び前記第二搬送手段による搬送時で、錠剤の被吸着面を表裏反転させるための反転手段とを備えることを特徴とする手段1に記載の外観検査装置。
【0016】
上記手段2によれば、受渡手段を比較的簡素な構成により実現することができ、結果として、装置の簡素化や製造コストの低減などをより効果的に図ることができる。
【0017】
尚、錠剤移動手段によって、錠剤を、側面の向きを変化させずに(回転させずに)第一搬送手段側から第二搬送手段側へと移動させることで、第一搬送手段による搬送時及び第二搬送手段による搬送時で、撮像手段により撮像される錠剤の側面を反転させることができる。
【0018】
手段3.前記錠剤移動手段は、錠剤の表面又は裏面を吸着保持可能であって所定の回転軸方向に沿ってスライド移動可能であるとともに、スライド移動によって吸着保持した錠剤を前記第一搬送手段側から前記第二搬送手段側へと移動可能な移動吸着部を外周に有し、かつ、前記回転軸を中心に回転可能な吸着スライドドラムによって構成され、
前記反転手段は、錠剤の表面又は裏面を吸着保持可能な反転吸着部を外周に有し、かつ、回転可能な吸着反転ドラムによって構成され、
前記第一搬送手段、前記錠剤移動手段、前記反転手段及び前記第二搬送手段の順に、又は、前記第一搬送手段、前記反転手段、前記錠剤移動手段及び前記第二搬送手段の順に、錠剤を、上流の手段から下流の手段へと表裏を反転させつつ受け渡すように構成されていることを特徴とする手段2に記載の外観検査装置。
【0019】
上記手段3によれば、錠剤移動手段及び反転手段のそれぞれにおいて、所期の機能をより確実に発揮させることができ、装置の動作安定性を高めることができる。また、移動吸着部や反転吸着部によって錠剤を吸着保持しつつ移動させるため、錠剤を、側面の向きを変化させずに第一搬送手段側から第二搬送手段へと移動させることがより確実に可能となる。結果的に、第一搬送手段による搬送時と第二搬送手段による搬送時とで、撮像手段により撮像される錠剤の側面をより確実に反転させることができる。
【0020】
尚、上記手段3によれば、反転手段(吸着反転ドラム)が介在することで、上流の手段から下流の手段へと表裏を反転させつつ錠剤を受け渡すという動作が3回行われることになり、その結果、第一搬送手段によって吸着される錠剤の被吸着面と、第二搬送手段によって吸着される錠剤の被吸着面とを表裏反転させることができる。
【0021】
手段4.前記撮像手段は、搬送される錠剤が自身に最も接近する前のタイミング及び後のタイミングを含む複数のタイミングで該錠剤を撮像するように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の外観検査装置。
【0022】
上記手段4によれば、撮像手段によって、該撮像手段を通過する前及び通過した後の錠剤を撮像するため、より広範囲に亘る錠剤側面についての撮像データを得ることができる。その結果、撮像データに基づいて錠剤側面の状態をより正確に把握することができ、錠剤の良否判定をより精度よく行うことができる。
【0023】
手段5.前記撮像手段は、少なくとも搬送される錠剤が自身に最も接近するタイミングで該錠剤を撮像するように構成されていることを特徴とする手段4に記載の外観検査装置。
【0024】
上記手段5によれば、撮像手段に最接近した錠剤の撮像データを得ることができる。そのため、この精度の高い撮像データに基づき、錠剤の状態把握を一層正確に行うことができる。その結果、錠剤の良否判定を一層精度よく行うことが可能となる。
【0025】
手段6.前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段は、錠剤を複数列に並べた状態で搬送するように構成されており、
前記撮像手段は、各列の錠剤を一度に撮像するように構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の外観検査装置。
【0026】
上記手段6によれば、撮像手段は、両搬送手段によって搬送される各列の錠剤を一度に撮像するため、複数の錠剤に係る情報が含まれた撮像データを得ることができる。これにより、検査効率の向上を図ることができる。
【0027】
手段7.それぞれ帯状をなす第1フィルム及び第2フィルムが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に錠剤が収容された包装シートを得るときに用いられる包装シート製造装置であって、
手段1乃至6のいずれかに記載の外観検査装置と、
搬送される帯状の前記第1フィルムと、搬送される帯状の前記第2フィルムとを取着する取着手段と、
前記第1フィルム及び前記第2フィルム間に形成される前記収容空間内に、前記外観検査装置によって外観の検査された錠剤を充填する充填手段と、
前記第1フィルム及び前記第2フィルムが取着され、かつ、錠剤が前記収容空間内に収容されてなる帯状の包装フィルムから前記包装シートを切離す切離手段とを備えることを特徴とする包装シート製造装置。
【0028】
上記手段7によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0029】
手段8.表面と裏面と該表面及び該裏面間に位置する側面とを有してなる錠剤の外観に関する検査を行うための外観検査方法であって、
所定の第一搬送経路に沿って、錠剤の表面又は裏面を吸着しつつ該錠剤を搬送する第一搬送工程、及び、所定の第二搬送経路に沿って、錠剤の表面又は裏面を吸着しつつ該錠剤を搬送する第二搬送工程を有する搬送工程と、
前記第一搬送経路から前記第二搬送経路へと錠剤を受け渡す受渡工程と、
所定の撮像手段によって、前記搬送工程にて搬送される錠剤を撮像する撮像工程と、
該撮像工程で得られた撮像データに基づき、錠剤の外観に関する検査を行う良否判定工程とを含み、
前記第一搬送経路及び前記第二搬送経路は、前記撮像手段における撮像視野の中央を挟む位置に並列に設けられ、
前記撮像工程では、前記撮像手段によって、前記第一搬送工程にて搬送される錠剤及び前記第二搬送工程にて搬送される錠剤のそれぞれにおける表面及び裏面のうち吸着されていない面と側面とを撮像し、
前記受渡工程では、前記第一搬送工程と前記第二搬送工程とで、錠剤の被吸着面が表裏反転するとともに前記撮像手段により撮像される錠剤の側面が反転するようにして、前記第一搬送経路から前記第二搬送経路に対する錠剤の受け渡しを行うことを特徴とする外観検査方法。
【0030】
上記手段8によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図5】外観検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
図6】撮像装置側から見たときにおける反転搬送装置の斜視図である。
図7】受渡装置側から見たときにおける反転搬送装置の斜視図である。
図8】反転搬送装置の平面図である。
図9図6のJ-J線断面図である。
図10】撮像データを示す模式図である。
図11】通過前タイミングにて、第一吸着コンベアによって搬送される錠剤を撮像したときに得られる、該錠剤に係る撮像データを示す模式図である。
図12】最接近タイミングにて、第一吸着コンベアによって搬送される錠剤を撮像したときに得られる、該錠剤に係る撮像データを示す模式図である。
図13】通過後タイミングにて、第一吸着コンベアによって搬送される錠剤を撮像したときに得られる、該錠剤に係る撮像データを示す模式図である。
図14】通過前タイミングにて、第二吸着コンベアによって搬送される錠剤を撮像したときに得られる、該錠剤に係る撮像データを示す模式図である。
図15】最接近タイミングにて、第二吸着コンベアによって搬送される錠剤を撮像したときに得られる、該錠剤に係る撮像データを示す模式図である。
図16】通過後タイミングにて、第二吸着コンベアによって搬送される錠剤を撮像したときに得られる、該錠剤に係る撮像データを示す模式図である。
図17】外観検査工程のフローチャートである。
図18】別の実施形態における吸着コンベアや受渡装置を示す斜視図である。
図19】別の実施形態における吸着コンベアや受渡装置を示す正面図である。
図20】別の実施形態における吸着コンベア等の側面図である。
図21】SPシートを示す平面図である。
図22】別の実施形態における受渡装置などを示す斜視図である。
図23】別の実施形態における受渡装置などを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、包装シートとしてのPTPシート1について説明する。
【0033】
図1,2に示すように、PTPシート1は、平面視略矩形状をなしており、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態において「容器フィルム3」が「第1フィルム」を構成し、「カバーフィルム4」が「第2フィルム」を構成する。
【0034】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明又は半透明な熱可塑性樹脂材料などによって形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に塗布された不透明材料(例えば、アルミニウム箔等)により構成されている。
【0035】
また、PTPシート1には、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2内の収容空間2aには、錠剤5が1つずつ収容されている。錠剤5は、表面5aと裏面5bと該表面5a及び該裏面5b間に位置する側面5cとを有する。
【0036】
さらに、PTPシート1には、シートを分割するためのスリットや各種情報を示すための刻印が設けられている(但し、図1等においてスリットや刻印は不図示)。
【0037】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図3参照)がシート状に打抜かれることにより製造される。本実施形態では、「PTPフィルム6」が「包装フィルム」を構成する。
【0038】
次に、上記PTPシート1を製造するための包装シート製造装置としてのPTP包装機10の概略構成について図4を参照して説明する。
【0039】
PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0040】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0041】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0042】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21が配設されている。
【0043】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2の収容空間2aに錠剤5が充填される。
【0044】
また、PTP包装機10は、外観検査装置50を備えており、該外観検査装置50によって良品と判定された錠剤5が錠剤充填装置21へと供給される。外観検査装置50については後に説明する。
【0045】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0046】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール26によって加熱ロール27の方へと案内されている。加熱ロール27は、フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,27間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、両フィルム3,4が両ロール20,27間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム6が製造される。本実施形態では、「フィルム受けロール20」及び「加熱ロール27」が「取着手段」を構成する。
【0047】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール28及び間欠送りロール29の順に掛装されている。間欠送りロール29は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール28は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、フィルム受けロール20と間欠送りロール29との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0048】
間欠送りロール29から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール29,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0049】
間欠送りロール29とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置にスリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0050】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。本実施形態では、「シート打抜装置37」が「切離手段」を構成する。
【0051】
シート打抜装置37による打抜きで得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。
【0052】
連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0053】
次いで、外観検査装置50について説明する。外観検査装置50は、錠剤5の外観に関する検査を行うための装置であり、図5に示すように、反転搬送装置60、照明装置71(図6等では不図示)、撮像装置72及び画像処理装置80を備えている。本実施形態では、「撮像装置72」が「撮像手段」を構成する。
【0054】
反転搬送装置60は、検査対象となる錠剤5を、撮像装置72に対する位置関係を変化させつつ搬送するものである。反転搬送装置60は、図6~9に示すように、第一吸着コンベア61、第二吸着コンベア62及び受渡装置63を備えている。本実施形態では、「第一吸着コンベア61」が「第一搬送手段」を構成し、「第二吸着コンベア62」が「第二搬送手段」を構成し、「受渡装置63」が「受渡手段」を構成する。
【0055】
第一吸着コンベア61は、一対のプーリ61a,61b、吸着ベルト61c及び吸引機構(不図示)を有し、第二吸着コンベア62は、一対のプーリ62a,62b、吸着ベルト62c及び吸引機構(不図示)を有している。第一吸着コンベア61及び第二吸着コンベア62は、間隔をあけて並列に配置されている。
【0056】
一対のプーリ61a,61b及び一対のプーリ62a,62bは、それぞれ間隔をあけた状態で平行に配置されており、それぞれ所定の駆動手段(不図示)によって水平方向に延びる回転軸を中心に回転可能とされている。但し、一対のプーリ61a,61bの回転方向と、一対のプーリ62a,62bの回転方向とは逆である。また、プーリ61aには図示しないエンコーダが設けられており、プーリ61aが所定量回転する毎、すなわち吸着ベルト61cが所定量搬送される毎に、画像処理装置80に対し所定のタイミング信号が出力されるよう構成されている。尚、エンコーダによる回転量の検出対象となるプーリを適宜変更してもよい。
【0057】
吸着ベルト61cは、一対のプーリ61a,61bに架け渡されており、吸着ベルト62cは、一対のプーリ62a,62bに架け渡されている。本実施形態では、反転搬送装置60を正面視したとき、吸着ベルト61cは、一対のプーリ61a,61bの回転に伴い反時計回りに回転し、吸着ベルト62cは、一対のプーリ62a,62bの回転に伴い時計回りに回転する。両吸着ベルト61c,62cは、同一速度で連続回転する。
【0058】
さらに、各吸着ベルト61c,62cには、図示しない吸着孔が多数貫通形成されており、前記吸引機構を作動させることによって各吸着孔を真空引きした状態(負圧を供給した状態)とすることが可能となっている。これにより、両吸着コンベア61,62は、吸着ベルト61c,62cによって錠剤5の表面5a又は裏面5bを吸着保持しつつ、該錠剤5を搬送可能である。より詳しくは、第一吸着コンベア61は、吸着ベルト61cの上面に錠剤5を吸着しつつ、所定の供給ポジションP0(図6参照)から所定の第一ポジションP1(図9参照)へと該錠剤5を搬送していく。すなわち、第一吸着コンベア61は、吸着ベルト61cの上面に吸着された錠剤5を、供給ポジションP0から第一ポジションP1までの直線状の経路である第一搬送経路C1に沿って搬送していく。尚、供給ポジションP0は、第一吸着コンベア61に対し錠剤5を供給するポジションであり、供給ポジションP0では、所定の錠剤供給装置(不図示)から第一吸着コンベア61へと検査前の錠剤5が供給される。また、第一ポジションP1は、後述する吸着スライドドラム631の回転軸R1の鉛直下方に位置し、第一吸着コンベア61から受渡装置63に対し錠剤5を受け渡すポジションである。
【0059】
一方、第二吸着コンベア62は、吸着ベルト62cの上面に錠剤5を吸着しつつ、該吸着ベルト62cの回転により所定の第三ポジションP3(図9参照)から所定の回収ポジションP4(図6参照)へと該錠剤5を搬送していく。すなわち、第二吸着コンベア62は、吸着ベルト62cの上面に吸着された錠剤5を、第三ポジションP3から回収ポジションP4までの直線状の経路である第二搬送経路C2に沿って搬送していく。尚、第三ポジションP3は、後述する吸着反転ドラム632の回転軸の鉛直下方に位置し、吸着反転ドラム632から第二吸着コンベア62に対し錠剤5を受け渡すポジションである。回収ポジションP4は、検査後の錠剤5を回収するポジションである。
【0060】
尚、回収ポジションP4には、検査により良品と判定された錠剤5を回収するポジション(良品回収ポジション)と、検査により不良品と判定された錠剤5を回収するポジション(不良品回収ポジション)とが含まれる。そして、良品回収ポジションに対応して、良品の錠剤5を一時的に保存するための良品用容器が設置されており、良品の錠剤5は該良品用容器に一時的に貯留された後、錠剤充填装置21へと供給される。一方、不良品回収ポジションに対応して、不良品の錠剤5を貯留するための不良品用容器が設けられており、不良品の錠剤5は不良品用容器に収容された後に廃棄される。尚、本実施形態における供給ポジションP0や回収ポジションP4の位置は例示であり、これらの位置を適宜変更してもよい。例えば、回収ポジションP4が吸着ベルト62cの下にあってもよい。
【0061】
また、本実施形態において、第一吸着コンベア61及び第二吸着コンベア62は、吸着ベルト61c,62cの上面にて吸着保持した錠剤5、すなわち、少なくとも撮像装置72によって撮像される位置にある錠剤5を、表面5a及び裏面5bのうちの吸着されていない面が同じ方向(本実施形態では、上方)を向くようにして搬送する。さらに、両吸着コンベア61,62は、錠剤5を複数列(本実施形態では、2列)に並べた状態で搬送する。
【0062】
加えて、各吸着コンベア61,62の内部には、図示しないブロー機構が設けられている。当該ブロー機構は、前記吸着孔に向けて加圧されたエアーを吹き付けることが可能である。ブロー機構がエアーを吹き付けることによって、前記吸着孔に大気圧よりも高い圧力を生じさせることができ、その結果、吸着ベルト61c,62cによる錠剤5の吸着を解除することができる。本実施形態において、第一吸着コンベア61は、第一ポジションP1に対応するブロー機構を備えており、該ブロー機構の作動によって、第一ポジションP1に搬送された錠剤5の吸着を解除するようになっている。一方、第二吸着コンベア62は、回収ポジションP4に対応するブロー機構を備えており、該ブロー機構の作動によって、回収ポジションP4に搬送された錠剤5の吸着を解除するようになっている。尚、回収ポジションP4に対応するブロー機構としては、良品回収ポジションに対応するものと、不良品回収ポジションに対応するものとが別々に設けられている。
【0063】
受渡装置63は、第一吸着コンベア61から第二吸着コンベア62へと錠剤5を受け渡すための装置であり、吸着スライドドラム631及び吸着反転ドラム632を備えている。本実施形態では、「吸着スライドドラム631」が「錠剤移動手段」を構成し、「吸着反転ドラム632」が「反転手段」を構成する。
【0064】
吸着スライドドラム631は、第一吸着コンベア61側から第二吸着コンベア62側に対し、錠剤5を、側面5cの向きを変化させずに〔錠剤5をその中心軸CL(図2参照)を中心に回転させることなく〕移動させるためのものである。吸着スライドドラム631は、回転ドラム631a及び移動吸着部631bを備えている。
【0065】
回転ドラム631aは、第一吸着コンベア61から第二吸着コンベア62にかけての両吸着コンベア61,62の上方に設けられており、前記プーリ61a,61b,62a,62bの回転軸と平行な回転軸R1を回転中心として一定速度で連続回転する。回転ドラム631aの外周には、回転軸R1方向に延び、移動吸着部631bの移動をガイドするための溝が複数形成されている。
【0066】
移動吸着部631bは、回転ドラム631aの外周すなわち吸着スライドドラム631の外周に設けられている。移動吸着部631bは、回転ドラム631aの回転方向に沿って等間隔に複数設けられており、回転ドラム631aの前記溝に1つずつ配置されている。また、各移動吸着部631bは、それぞれ一対の吸着孔631c(図9参照)を備えており、回転ドラム631a内に設けられた図示しない吸引機構を作動させることによって各吸着孔631cを真空引きした状態(負圧を供給した状態)とすることが可能となっている。これにより、移動吸着部631bは、錠剤5の表面5a又は裏面5bを吸着保持可能である。尚、吸着スライドドラム631の内部には、移動吸着部631bによる錠剤5の吸着を解除するための図示しないブロー機構が設けられており、該ブロー機構は、第二ポジションP2(図8参照)に対応して設置されている。第二ポジションP2は、吸着スライドドラム631から吸着反転ドラム632に対する錠剤5の受渡しが行われるポジションであり、本実施形態では、回転軸R1の側方に位置している。
【0067】
さらに、各移動吸着部631bは、回転軸R1方向に沿ってスライド移動可能とされている。より詳しくは、各移動吸着部631bは、第一吸着コンベア61寄りの位置であって、回転軸R1方向に沿って自身の吸着孔631cと第一吸着コンベア61により搬送される錠剤5との位置が一致することとなる一端側位置から、吸着反転ドラム632寄りの位置であって、回転軸R1方向に沿って自身の吸着孔631cと吸着反転ドラム632の後述する吸着孔632bとの位置が一致することとなる他端側位置までの間を往復移動可能とされている。その結果、各移動吸着部631bは、錠剤5の表面5a又は裏面5bを吸着保持しつつスライド移動することによって、吸着保持した錠剤5を第一吸着コンベア61側(前記一端側位置)から第二吸着コンベア62側(前記他端側位置)へと搬送可能となっている。
【0068】
ここで、移動吸着部631bの動作についてより詳しく説明すると、まず、移動吸着部631bは、回転ドラム631aの回転に伴い、前記一端側位置に配置された状態で第一ポジションP1へと至る。第一ポジションP1にて、移動吸着部631bは、第一吸着コンベア61により搬送された錠剤5を受取って吸着保持する。その後、移動吸着部631bは、前記他端側位置の方へと徐々にスライド移動していき(図7参照)、前記他端側位置に配置された状態で第二ポジションP2へと至る。そして、第二ポジションP2にて、移動吸着部631bは、前記ブロー機構の作動により錠剤5の吸着を解除するとともに、該錠剤5を吸着反転ドラム632へと受け渡す。その後、移動吸着部631bは、前記一端側位置へと戻る。
【0069】
吸着反転ドラム632は、第一吸着コンベア61による搬送時及び第二吸着コンベア62による搬送時で、錠剤5の被吸着面を表裏反転させるための装置である。吸着反転ドラム632は、回転軸R1と平行な回転軸を回転中心として一定速度で連続回転する。
【0070】
また、吸着反転ドラム632の外周には、錠剤5の形状に対応する窪み形状をなす反転吸着部632aが設けられており、該反転吸着部632aの中心には、吸着孔632bが形成されている。そして、吸着反転ドラム632の内部には、図示しない吸引機構が設けられており、該吸引機構を作動させることによって各吸着孔632bを真空引きした状態(負圧を供給した状態)とすることが可能となっている。これにより、反転吸着部632aは、錠剤5の表面5a又は裏面5bを吸着保持することが可能である。錠剤5を吸着保持した反転吸着部632aは、吸着反転ドラム632の回転に伴い、第二ポジションP2から第三ポジションP3へと移動する。
【0071】
加えて、吸着反転ドラム632の内部には、反転吸着部632aによる錠剤5の吸着を解除するための図示しないブロー機構が第三ポジションP3に対応して設けられており、該ブロー機構の作動によって、第三ポジションP3に搬送された錠剤5の吸着を解除するようになっている。
【0072】
上記のように構成された反転搬送装置60では、第一吸着コンベア61、吸着スライドドラム631、吸着反転ドラム632及び第二吸着コンベア62の順に、錠剤5は、上流の装置から下流の装置へと表裏を反転させつつ受け渡されていく。より詳しくは、錠剤5は、第一吸着コンベア61によって第一ポジションP1へと搬送されると、該第一吸着コンベア61による吸着保持が解除されるとともに、表裏を反転させつつ移動吸着部631bによって吸着保持される。そして、錠剤5は、移動吸着部631bのスライド移動及び回転ドラム631aの回転により第二ポジションP2に至ると、移動吸着部631bによる吸着保持が解除されるとともに、表裏を反転させつつ反転吸着部632aによって吸着保持される。さらに、錠剤5は、吸着反転ドラム632の回転によって第三ポジションP3へと至ると、反転吸着部632aによる吸着保持が解除されるとともに、表裏を反転させつつ第二吸着コンベア62によって吸着保持される。その結果、吸着コンベア61,62により搬送される錠剤5は、側面5cの向きが変化しない一方、被吸着面が表裏反転した状態とされる。尚、第二吸着コンベア62により吸着保持された錠剤5は、回収ポジションP4へと搬送されていく。そして、回収ポジションP4にて、良品の錠剤5は前記良品用容器に収容され、不良品の錠剤5は前記不良品用容器に収容される。
【0073】
図5に戻り、照明装置71は、撮像装置72による撮像対象となる錠剤5へと赤外光などの光を照射するものである。本実施形態において、照明装置71は、両吸着コンベア61,62の上方に設置されており、両吸着コンベア61,62によって搬送される各列の錠剤5に対し光を照射する。
【0074】
撮像装置72は、両吸着コンベア61,62により搬送される錠剤5を撮像するものであり、例えば、照明装置71から照射される光に感度のあるCCDカメラやCMOSカメラによって構成されている。
【0075】
撮像装置72は、照明装置71から照射された光が錠剤5を照らしているときに、錠剤5を反射した光を二次元撮像する。撮像装置72が撮像して得られた撮像データ(輝度画像データ)は、撮像装置72内部においてデジタル信号(画像信号)に変換された上で、デジタル信号の形で画像処理装置80に入力される。
【0076】
また、撮像装置72は、両吸着コンベア61,62の上方に位置し、自身のレンズの光軸L1(図6等参照)が両吸着コンベア61,62間の中心を通過するようにして配置されている(図8,9参照)。その結果、第一吸着コンベア61及び第二吸着コンベア62により搬送されるそれぞれの錠剤5は、撮像装置72における撮像視野の中央を挟む位置に並列に配置された状態となる。すなわち、第一搬送経路C1及び第二搬送経路C2は、撮像装置72における撮像視野の中央を挟む位置に並列に存在する状態となる。これにより、撮像装置72は、両吸着コンベア61,62により搬送される錠剤5における表面5a及び裏面5bのうち吸着されていない面と側面5cとを撮像可能である。また、撮像装置72は、吸着コンベア61,62により搬送される各列の錠剤5を一度に撮像することが可能となっている。
【0077】
さらに、上記の通り、吸着コンベア61,62により搬送される錠剤5は、側面5cの向きが変化しないものとされるため、第一吸着コンベア61による搬送時と第二吸着コンベア62による搬送時とで、側面5cのうち撮像装置72側に配置される面が反転する。従って、錠剤5の側面5cを該錠剤5の周方向に沿って半分に分割したとき、撮像装置72は、第一吸着コンベア61により搬送される錠剤5については、2分割された側面5cのうちの一方を主として撮像可能となり、第二吸着コンベア62により搬送される錠剤5については、2分割された側面5cのうちの他方を主として撮像可能となる。すなわち、本実施形態では、受渡装置63によって、第一吸着コンベア61による搬送時と第二吸着コンベア62による搬送時とで、撮像装置72により撮像される錠剤5の側面5cが反転するようにして、第一吸着コンベア61から第二吸着コンベア62に対する錠剤5の受け渡しが行われるようになっている。
【0078】
また、撮像装置72は、後述するカメラタイミング制御装置85による制御によって、各吸着コンベア61,62により搬送される錠剤5が最も接近するタイミング(「最接近タイミング」という)で該錠剤5を撮像する。ここで、撮像装置72は、1回の撮像動作によって、最も接近した錠剤5のみならず、搬送方向に沿って該錠剤5の前後に位置する錠剤5も一度に撮像することが可能となっている。そのため、最接近タイミングでの撮像を繰り返し行うことにより、結果的に、1の錠剤5を、最接近タイミング、最接近タイミングよりも前のタイミング(「通過前タイミング」という)、及び、最接近タイミングよりも後のタイミング(「通過後タイミング」)を含む複数のタイミングで撮像することが可能である。本実施形態において、撮像装置72は、1の錠剤5に対し、第一吸着コンベア61による搬送時には、通過前タイミング、最接近タイミング及び通過後タイミングの計3回のタイミングで撮像を行い、第二吸着コンベア62による搬送時には、同様に、通過前タイミング、最接近タイミング及び通過後タイミングの計3回のタイミングで撮像を行う。すなわち、撮像装置72は、1の錠剤5に対し計6回の撮像を行う。
【0079】
尚、本実施形態では、第一吸着コンベア61により搬送される錠剤5及び第二吸着コンベア62により搬送される錠剤5は、同一タイミングで撮像装置72に最接近するように構成されている。
【0080】
上記のように構成された撮像装置72によって、例えば、図10に示すような撮像データIDを得ることができる。本実施形態では、撮像データとして、1の錠剤5に係るものが6つ得られる。ここで、1の錠剤5に関する複数の撮像データについて説明する。尚、以下では、錠剤5の側面5cを該錠剤5の周方向に沿って4等分し、4等分された側面5cの各領域を、便宜上、前面5c1、後面5c2、左面5c3及び右面5c4という。また、第一吸着コンベア61による搬送時に、錠剤5の前面5c1及び左面5c3が撮像装置72側に位置し、少なくとも表面5a、前面5c1及び左面5c3が撮像可能になると仮定する。
【0081】
そして、任意の1の錠剤5(以下、「錠剤5x」という)に着目したとき、第一吸着コンベア61による搬送時に通過前タイミングで錠剤5xを撮像して得た撮像データID1には、図11に示すように、該錠剤5xの表面5a及び前面5c1に加えて、左面5c3から後面5c2にかけての部分に係る情報が含まれる。また、第一吸着コンベア61による搬送時に最接近タイミングで錠剤5xを撮像して得た撮像データID2には、図12に示すように、該錠剤5xの表面5a、前面5c1及び左面5c3に係る情報が含まれる。さらに、第一吸着コンベア61による搬送時に通過後タイミングで錠剤5xを撮像して得た撮像データID3には、図13に示すように、該錠剤5xの表面5a及び左面5c3に加えて、前面5c1から右面5c4にかけての部分に係る情報が含まれる。
【0082】
また、第二吸着コンベア62による搬送時に通過前タイミングで錠剤5xを撮像して得た撮像データID4には、図14に示すように、該錠剤5xの裏面5b及び後面5c2に加えて、右面5c4から前面5c1にかけての部分に係る情報が含まれる。さらに、第二吸着コンベア62による搬送時に最接近タイミングで錠剤5xを撮像して得た撮像データID5には、図15に示すように、該錠剤5xの裏面5b、後面5c2及び右面5c4に係る情報が含まれる。加えて、第二吸着コンベア62による搬送時に通過後タイミングで錠剤5xを撮像して得た撮像データID6には、図16に示すように、該錠剤5xの裏面5b及び右面5c4に加えて、後面5c2から左面5c3にかけての部分に係る情報が含まれる。
【0083】
このように1の錠剤5xに係る撮像データID1~ID6には、右面5c4から前面5c1にかけての部分や左面5c3から後面5c2にかけての部分など、最接近タイミングでのみ撮像した場合には把握しにくい部分に係る情報が含まれることとなる。尚、吸着コンベア61,62による錠剤5の搬送間隔や錠剤5及び撮像装置72の位置関係を調節することで、撮像される側面5cの範囲を適宜変更してもよい。
【0084】
図5に戻り、画像処理装置80について説明する。画像処理装置80は、撮像装置72により得られた撮像データに基づき、錠剤5の外観に関する良否を判定するものである。画像処理装置80は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。画像処理装置80は、画像メモリ81、検査結果記憶装置82、判定用メモリ83、画像・検査条件記憶装置84、カメラタイミング制御装置85及びCPU及び入出力インターフェース86を備えている。
【0085】
画像メモリ81は、撮像装置72により得られた撮像データを記憶する。この画像メモリ81に記憶されたデータに基づいて検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、撮像データに対し加工処理を施してもよい。例えば二値化処理やマスキング処理、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。シェーディング補正は、位置の相違により生じる輝度のばらつきを補正するためのものである。尚、各種画像処理を行うことで得られた画像データも画像メモリ81に記憶される。
【0086】
検査結果記憶装置82は、良否判定結果のデータや該データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶する。
【0087】
判定用メモリ83は、検査に用いられる各種情報を記憶する。各種情報には、良否判定に用いられる閾値や基準値、検査対象範囲を画定するためのデータ(例えば、撮像データ中における錠剤5の占める領域を特定するための情報等)が含まれる。
【0088】
画像・検査条件記憶装置84は、不良判定の日時や検査に用いられた検査条件などを記憶する。
【0089】
カメラタイミング制御装置85は、撮像装置72の撮像タイミングを制御する。撮像タイミングは、前記エンコーダから出力されるタイミング信号に基づいて制御される。カメラタイミング制御装置85によって、吸着コンベア61,62により搬送される錠剤5が撮像装置72に最接近する度に、撮像装置72による撮像が行われる。
【0090】
CPU及び入出力インターフェース86は、外観検査装置50における各種制御を司る。CPU及び入出力インターフェース86は、反転搬送装置60の構成装置との間で信号を送受信可能とされており、例えば、錠剤5に係る良否判定結果に関する信号が、前記回収ポジションP4に対応して設けられた前記ブロー機構の制御装置(不図示)へと出力されるようになっている。
【0091】
さらに、画像処理装置80は、撮像装置72により得られた撮像データに基づき、錠剤5の外観に関する良否判定を判定用メモリ83の記憶内容などを使用しつつ実行する。より詳しくは、画像処理装置80は、まず、得られた撮像データにおける検査対象範囲を設定する。例えば、撮像データに対し所定のマスキング処理を施すことで、撮像データ中における錠剤5の占める領域を検査対象範囲として設定する。
【0092】
次いで、画像処理装置80は、判定用メモリ83に記憶された閾値を用いて、画像データに二値化処理を施すことで、各画素の輝度を「0(暗)」又は「1(明)」で表した二値化画像データを得る。
【0093】
次いで、画像処理装置80は、設定された検査対象範囲を対象として塊処理を行う。塊処理では、二値化画像データにおける「0(暗)」の画素及び「1(明)」の画素のそれぞれについての連結成分を特定する処理を行うとともに、特定された連結成分(塊部分)の面積(本実施形態では画素数)を算出する。その後、塊部分の面積と判定用メモリ83に記憶された基準値とに基づき、錠剤5における異物付着や破損の有無、印刷の良否などを判定する。
【0094】
本実施形態では、1の錠剤5に関し6つの撮像データが得られるところ、撮像データごとに上述の良否判定処理が行われる。そして、1の錠剤5に関する各撮像データに基づく該錠剤5に対する判定結果がそれぞれ良となった場合、該錠剤5は良品と判定される。一方、そうではない場合、すなわち少なくとも1つの撮像データに基づく判定結果が不良となった場合、錠剤5が不良品と判定される。
【0095】
尚、良否の判定手法については各種条件に応じて適宜変更可能である。例えば、面積に基づく判定処理に加えて又は代えて、連結成分の形状や数に基づく判定処理を行うこととしてもよい。
【0096】
次に、外観検査装置50により行われる外観検査工程(外観検査方法)について、フローチャートを参照して説明する。
【0097】
図17に示すように、まず、ステップS1の錠剤供給工程が行われる。錠剤供給工程では、前記錠剤供給装置によって、供給ポジションP0に位置する第一吸着コンベア61に対し錠剤5が供給される。
【0098】
錠剤供給工程に続いて、ステップS21の第一搬送工程が行われる。第一搬送工程では、第一吸着コンベア61によって、錠剤5の表面5a又は裏面5bを吸着しつつ、該錠剤5を第一搬送経路C1に沿って搬送する。
【0099】
次いで、ステップS31の第一撮像工程が行われる。第一撮像工程では、撮像装置72によって、第一搬送経路C1にて搬送される錠剤5の表面5a及び裏面5bのうちの吸着されていない面(例えば表面5a)と側面5cとが撮像される。第一撮像工程において、1の錠剤5に対する撮像は、通過前タイミング、最接近タイミング及び通過後タイミングに行われる。尚、第一撮像工程では、撮像装置72によって、第二搬送経路C2にて搬送される錠剤5も撮像されることになる。
【0100】
次いで、ステップS4の受渡工程が行われる。受渡工程では、受渡装置63によって、第一吸着コンベア61から第二吸着コンベア62へと(第一搬送経路C1から第二搬送経路C2へと)錠剤5が受け渡される。受渡工程では、第一搬送工程と第二搬送工程とで、錠剤5の被吸着面が表裏反転するとともに撮像装置72により撮像される錠剤5の側面が反転するようにして錠剤5の受け渡しが行われる。
【0101】
次いで、ステップS22の第二搬送工程が行われる。第二搬送工程では、第二吸着コンベア62によって、錠剤5の表面5a又は裏面5bを吸着しつつ、該錠剤5を第二搬送経路C2に沿って搬送する。尚、ステップS21の第一搬送工程及びステップS22の第二搬送工程は、ステップS2の搬送工程に含まれる。
【0102】
次に、ステップS32の第二撮像工程が行われる。第二撮像工程では、撮像装置72によって、第二搬送経路C2にて搬送される錠剤5の表面5a及び裏面5bのうち第一撮像工程にて撮像されていない側の面と、側面5cのうち主として第一撮像工程にて撮像されていない側の面とが撮像される。また、第二撮像工程において、1の錠剤5に対する撮像は、第一撮像工程と同様に、通過前タイミング、最接近タイミング及び通過後タイミングに行われる。尚、第二撮像工程では、撮像装置72によって、第一搬送経路C1にて搬送される錠剤5も撮像されることになる。ステップS31の第一撮像工程及びステップS32の第二撮像工程は、ステップS3の撮像工程に含まれる。
【0103】
次いで、ステップS5の良否判定工程が行われる。良否判定工程では、画像処理装置80によって、第一撮像工程及び第二撮像工程で得られた複数の撮像データに基づき、錠剤5の外観に関する検査が行われる。
【0104】
その後、ステップS6の回収工程が行われることで、外観検査工程が終了される。回収工程では、良否判定工程にて良品と判定された錠剤5が前記良品用容器に収容され、良否判定工程にて不良品と判定された錠剤5が前記不良品用容器に収容される。
【0105】
以上詳述したように、本実施形態によれば、1台の撮像装置72を用いて、錠剤5の全体に係る撮像データを得ることができる。これにより、装置の簡素化や小型化、装置の製造やメンテナンス等に係るコストの低減などを効果的に図ることができる。
【0106】
また、両吸着コンベア61,62は、錠剤5を吸着しつつ搬送するため、搬送時の衝撃などによる錠剤5の移動や回転を防ぐことができ、撮像装置72に対する錠剤5の相対位置関係をより確実に適切な状態で維持することができる。そのため、錠剤5の全体に係る撮像データをより確実に得ることができる。
【0107】
さらに、受渡装置63は、吸着スライドドラム631及び吸着反転ドラム632によって構成されるため、受渡装置63を比較的簡素な構成により実現することができ、結果として、装置の簡素化や製造コストの低減などをより効果的に図ることができる。
【0108】
加えて、吸着スライドドラム631や吸着反転ドラム632が上記のように構成されることで、吸着スライドドラム631及び吸着反転ドラム632のそれぞれにおいて、所期の機能をより確実に発揮させることができ、装置の動作安定性を高めることができる。また、移動吸着部631bや反転吸着部632aによって錠剤5を吸着保持しつつ移動させるため、錠剤5を、側面5cの向きを変化させずに第一吸着コンベア61側から第二吸着コンベア62側へと移動させることがより確実に可能となる。結果的に、第一吸着コンベア61による搬送時と第二吸着コンベア62による搬送時とで、撮像装置72により撮像される錠剤5の側面5cをより確実に反転させることができる。
【0109】
また、撮像装置72によって、該撮像装置72を通過する前及び通過した後の錠剤5を撮像するため、より広範囲に亘る錠剤5の側面5cについての撮像データを得ることができる。その結果、撮像データに基づいて錠剤5の側面5cについての状態をより正確に把握することができ、錠剤5の良否判定をより精度よく行うことができる。
【0110】
さらに、撮像装置72に最接近した錠剤5の撮像データを得ることができるため、この精度の高い撮像データに基づき、錠剤5の状態把握を一層正確に行うことができる。その結果、錠剤5の良否判定を一層精度よく行うことが可能となる。
【0111】
加えて、撮像装置72は、両吸着コンベア61,62によって搬送される各列の錠剤5を一度に撮像するため、複数の錠剤5に係る情報が含まれた撮像データを得ることができる。これにより、検査効率の向上を図ることができる。
【0112】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0113】
(a)上記実施形態において、両吸着コンベア61,62は、錠剤5を2列に並べた状態で搬送するように構成されているが、錠剤5を3列以上に並べた状態で搬送するものであってもよい。勿論、両吸着コンベア61,62は、錠剤5を1列に並べた状態で搬送するものであってもよい。
【0114】
(b)上記実施形態では、第一吸着コンベア61、吸着スライドドラム631、吸着反転ドラム632及び第二吸着コンベア62の順に、錠剤5を、上流の装置から下流の装置へと表裏を反転させつつ受け渡すように構成されている。これに対し、吸着スライドドラム631及び吸着反転ドラム632の配置位置を入れ換えること等によって、第一吸着コンベア61、吸着反転ドラム632、吸着スライドドラム631及び第二吸着コンベア62の順に、錠剤5が、上流の装置から下流の装置へと表裏を反転させつつ受け渡されるように構成してもよい。
【0115】
(c)上記実施形態において、両吸着コンベア61,62は、撮像装置72によって撮像される位置にある錠剤5を、表面5a及び裏面5bのうち吸着されていない面が同じ方向を向くようにして搬送するように構成されている。
【0116】
これに対し、図18~20に示すように、両吸着コンベア61,62によって、撮像装置72によって撮像される位置にある錠剤5を、表面5a及び裏面5bのうち吸着されていない面が向かい合うようにして搬送するように構成してもよい。そして、搬送される錠剤5の側面5cが撮像装置72側を向くように構成してもよい。この場合には、撮像装置72によって、側面5cを正面側から撮像することができるため、撮像データに基づく側面5cの状態把握をより正確に行うことができる。その結果、側面5cに係る検査精度をより高めることができる。
【0117】
尚、図18等に示す例では、第一吸着コンベア61から錠剤5を受取る中間コンベア92と、該中間コンベア92から錠剤5を受取るとともに該錠剤5を第二吸着コンベア62に受け渡す回転可能な吸着ドラム93とによって、受渡手段としての受渡装置91が構成される(図20では受渡装置91を不図示)。中間コンベア92は、第一吸着コンベア61等と同様に、錠剤5の表面5a又は裏面5bを吸着しつつ、該錠剤5を搬送するものである。中間コンベア92は、第一吸着コンベア61による搬送時と第二吸着コンベア62による搬送時とで、撮像装置72によって撮像される錠剤5の側面5cを反転させる機能を有する。一方、吸着ドラム93は、その外周にて錠剤5の表面5a又は裏面5bを吸着しつつ、該錠剤5を搬送する。吸着ドラム93は、第一吸着コンベア61による搬送時と第二吸着コンベア62による搬送時とで、錠剤5の被吸着面を表裏反転させる機能を有する。尚、中間コンベア92及び吸着ドラム93の位置を入れ換えて、第一吸着コンベア61、吸着ドラム93、中間コンベア92及び第二吸着コンベア62の順に錠剤5が受け渡されるように構成してもよい。
【0118】
(d)包装シートは、上記実施形態に係るPTPシート1に限定されるものではなく、例えばSPシートであってもよい。図21に示すように、一般的なSPシート100は、アルミニウムを基材とした不透明材料よりなる帯状の2枚のフィルム101,102を重ね合わせていくとともに、両フィルム101,102間に錠剤5を充填しつつ、該錠剤5の周囲に袋状の収容空間103を残すように、該収容空間103の周囲(図21中の網掛模様部分)の両フィルム101,102を接合することにより、帯状の包装フィルムとした上で、該包装フィルムを矩形シート状に切離すことにより形成される。
【0119】
(e)上記実施形態において、撮像装置72によって撮像される位置にある錠剤5の搬送方向は、第一吸着コンベア61による搬送時と第二吸着コンベア62による搬送時とで逆となるように構成されている。これに対し、図22,23に示すように、撮像装置72によって撮像される位置にある錠剤5の搬送方向が、第一吸着コンベア61による搬送時と第二吸着コンベア62による搬送時とで同一となるように構成してもよい。
【0120】
尚、図22等に示す例では、上記実施形態と同様に、吸着スライドドラム631及び吸着反転ドラム632によって受渡装置63が構成される。但し、上記実施形態における受渡装置63は撮像装置72側に配設されるのに対し、図21等に示す例における受渡装置63は、撮像装置72との間で両吸着コンベア61,62を挟むようにして、撮像装置72とは反対側に配設される。これにより、受渡装置63が撮像装置72による撮像の邪魔になることをより確実に防止可能となる。また、吸着コンベア61,62を比較的短いものとすることが可能となり、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0121】
(f)上記実施形態において、1の錠剤5は、両吸着コンベア61,62による搬送時に計6回撮像されるように構成されているが、錠剤5の撮像回数を適宜変更してもよい。例えば、第一吸着コンベア61による搬送時に、最接近タイミングで1の錠剤5を1回のみ撮像し、第二吸着コンベア62による搬送時に、最接近タイミングで該錠剤5を1回のみ撮像するように構成してもよい。また、最接近タイミングで錠剤5の撮像を行うことなく、通過前タイミング及び通過後タイミングで錠剤5の撮像を行うように構成してもよい。さらに、最接近タイミングよりも前のタイミングに錠剤5を複数回撮像してもよいし、最接近タイミングよりも後のタイミングに錠剤5を複数回撮像してもよい。
【0122】
(g)上記実施形態において、撮像装置72は1台のみ設けられているが、撮像可能な錠剤5の数を増やす等の目的から、撮像装置72を吸着コンベア61,62による錠剤5の搬送方向に沿って複数台設けることとしてもよい。但し、この場合であっても、1台の撮像装置72によって錠剤5の全体を撮像可能である点に変わりはない。
【0123】
(h)上記実施形態では、ブロー機構によって錠剤5の吸着が解除されるように構成されているが、ブロー機構を省略し、例えば所定ポジションにて吸着孔に対する負圧の供給が一時的に解除されるようにすることで、錠剤5の吸着が解除されるように構成してもよい。
【0124】
(i)上記実施形態では、外観検査装置50がPTP包装機10内に設けられた構成(インライン構成)とされているが、外観検査装置50がPTP包装機10とは別に設けられた構成(オフライン構成)とされていてもよい。オフライン構成の場合には、良品と判定された錠剤5がボトルなどの容器に収容されることとなる。
【0125】
(j)上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0126】
(k)PTPシート1単位のポケット部2の配列や個数は、上記実施形態の態様(2列、10個)に何ら限定されるものではない。従って、例えば3列12個のポケット部2(収容空間2a)を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用してもよい(上記SPシートについても同様)。
【符号の説明】
【0127】
1…PTPシート(包装シート)、2a…収容空間、3…容器フィルム(第1フィルム)、4…カバーフィルム(第2フィルム)、5…錠剤、5a…表面、5b…裏面、5c…側面、6…PTPフィルム(包装フィルム)、10…PTP包装機(包装シート製造装置)、20…フィルム受けロール(取着手段)、21…錠剤充填装置(充填手段)、27…加熱ロール(取着手段)、37…シート打抜装置(切離手段)、50…外観検査装置、61…第一吸着コンベア(第一搬送手段)、62…第二吸着コンベア(第二搬送手段)、63…受渡装置(受渡手段)、72…撮像装置(撮像手段)、80…画像処理装置(画像処理手段)、631…吸着スライドドラム(錠剤移動手段)、631b…移動吸着部、632…吸着反転ドラム(反転手段)、632a…反転吸着部、C1…第一搬送経路、C2…第二搬送経路。
図1
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