(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】アスファルトバインダにおける添加物としての粗製ステロール
(51)【国際特許分類】
E01C 23/00 20060101AFI20220203BHJP
C08L 95/00 20060101ALI20220203BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220203BHJP
C08K 5/05 20060101ALI20220203BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20220203BHJP
E01C 7/26 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
E01C23/00 A
C08L95/00
C08K3/013
C08K5/05
C08L91/00
E01C7/26
(21)【出願番号】P 2019517758
(86)(22)【出願日】2016-12-05
(86)【国際出願番号】 US2016064961
(87)【国際公開番号】W WO2017213693
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2019-12-04
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/037077
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518438209
【氏名又は名称】エー.エル.エム.ホールディング カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】518438210
【氏名又は名称】エルゴン アスファルト アンド エマルションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】レインケ,ジェラルド エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】バウムガードナー,ゲイロン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハンズ,アンドリュー
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509611(JP,A)
【文献】国際公開第2015/070180(WO,A1)
【文献】特開平11-060960(JP,A)
【文献】特開平10-087999(JP,A)
【文献】特表2015-515536(JP,A)
【文献】特表2015-514859(JP,A)
【文献】特表2015-505893(JP,A)
【文献】国際公開第2010/110651(WO,A1)
【文献】遠藤泰志,食用油脂の微量成分,油化学,1990年09月20日,Vol.39, No.9,p.611-617
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/00
E01C 7/26
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エージングしたアスファルトバインダの前記エージング速度を遅らせる方法であって、
粗ステロールをアスファルトバインダ組成物に添加することを包含しており、前記アスファルトバインダ組成物は、バージン(virgin)アスファルトバインダと、アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいる再生(reclaimed)アスファルトバインダと、前記バージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%の前記粗ステロールと、を含んでおり、前記粗ステロールは、スティグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、コレステロール、ラノステロールまたはそれらの混合物を含んでおり、前記アスファルトバインダ組成物の前記エージング速度を遅らせる、方法。
【請求項2】
バージンアスファルトバインダと、再生アスファルトバインダであって再生アスファルト舗装(reclaimed asphalt pavement (RAP))、再生アスファルトシングル(reclaimed asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいる前記再生アスファルトバインダと、前記バージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%の粗ステロールとを含んでいる、アスファルトバインダ組成物であって、前記粗ステロールは、スティグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、コレステロール、ラノステロールまたはそれらの混合物を含んでおり、前記アスファルトバインダ組成物のエージング速度を遅らせる、アスファルトバインダ組成物。
【請求項3】
前記粗ステロールは、生物由来資源または前記生物由来資源の蒸留残渣である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粗ステロールは、前記バージンアスファルトバインダ当たり1~10重量%を含んでいる、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
前記粗ステロールは、生物由来資源または前記生物由来資源の蒸留残渣である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記粗ステロールは、前記バージンアスファルトバインダ当たり1~10重量%を含んでいる、請求項2または5に記載の組成物。
【請求項7】
前記粗ステロールは、ダイズ油由来の粗ステロールを含んでいる、請求項1、3
および4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記粗ステロール源は、コレステロールを含んでいる、請求項1、3、4および
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記再生アスファルトバインダは、軟化剤を含んでいる、請求項1、3、4
、7および8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記軟化剤は、精製されたエンジンオイルボトム(re-refined engine oil bottoms)を含んでいる、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記アスファルトバインダに骨材(aggregate)を添加することをさらに包含している、請求項1、3、4および7~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アスファルトバインダは、-5.0℃以上のΔTcを示す、請求項1、3、4および7~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記粗ステロールは、粗ステロール源なしで同様にエージングしたバインダと比較して、前記アスファルトバインダのエージング後に、より小さい負のΔTc値を示すのに有効量を含んでいる、請求項1、3、4および7~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記再生アスファルトバインダは、再生(reclaimed)アスファルト舗装を含んでいる、請求項1、3、4および7~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記再生アスファルトバインダは、再生(reclaimed)アスファルトシングルを含んでいる、請求項1、3、4および7~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
骨材を前記アスファルトバインダ組成物と共に混合する工程、および得られた混合物を、ベース表面の上に圧縮して舗装表面を形成する工程をさらに加える、請求項1、3、4および7~
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記粗ステロール源は、トール油ピッチを含んでいる、またはダイズ油もしくはコーン油由来である、請求項2、5および6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
エージングしたアスファルトバインダの前記エージング速度を遅らせる方法であって、
粗ステロールをアスファルトバインダ組成物に添加することを包含しており、前記アスファルトバインダ組成物は、バージン(virgin)アスファルトバインダと、アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいる再生(reclaimed)アスファルトバインダと、前記バージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%の前記粗ステロールと、を含んでおり、前記粗ステロールは、スティグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、コレステロール、ラノステロールまたはそれらの混合物を含んでおり、
前記粗ステロール源は、トール油ピッチを含んでいる、前記アスファルトバインダ組成物の前記エージング速度を遅らせる、方法。
【請求項19】
エージングしたアスファルトバインダの前記エージング速度を遅らせる方法であって、
粗ステロールをアスファルトバインダ組成物に添加することを包含しており、前記アスファルトバインダ組成物は、バージン(virgin)アスファルトバインダと、アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいる再生(reclaimed)アスファルトバインダと、前記バージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%の前記粗ステロールと、を含んでおり、前記粗ステロールは、スティグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、コレステロール、ラノステロールまたはそれらの混合物を含んでおり、
前記粗ステロール源は、コーン油を含んでいる、前記アスファルトバインダ組成物の前記エージング速度を遅らせる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願に対する相互参照〕
本願は、2016年6月10日に出願されたPCT国際出願PCT/US2016/37077号に対する優先権を主張し、2016年9月9日に出願された米国仮出願62/385,905号および米国仮出願62/385,899号の利益を主張し、各文献の全体は、引用によって本願明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装材料は、舗装表面および橋台の肩部において、未舗装道路における砂利代用物として、ならびにバージンアスファルト舗装における未使用の骨材およびバインダにとっての代替物として、再利用されるときの用途が見つかっている、世界中で最も再利用されている材料の一つである。一般的に、再利用されるアスファルト舗装材料の用途は、表面より下の舗装材料層、または抑えた量のアスファルト基部および表面層に限られている。アスファルトが、時間とともに劣化し、その応力緩和を失い、酸化および脆化し、かつ割れ目を生じ易くなることもあり、このような用途は限られている。これらの結果は、アスファルトにおける有機成分(例えばビチューメン含有バインダ)の、特に環境要因への暴露による、エージングに、主に起因する。エージングしたバインダはまた、極めて粘性である。結果として、再生されたアスファルト舗装材料は、バージンアスファルトと異なる性質を有しており、加工に困難をともなう。
【0003】
混合物の長期的な能力に対する、アスファルトのエージングの影響を低下または遅延させるために、種々の材料が研究されている。例えば、再生用添加剤は、再利用原材料(例えば、再生アスファルト舗装(RAP)および再生アスファルトシングル(RAS))に起こるエージングを元に戻す明かな目的をもって、販売されている。アスファルトの回復が実際に起こり得るのではなく、これらの添加剤がRAPおよび/またはRASを含んでいる混合物に使用されているバージンバインダにとって軟化剤として働くというのが、もっともらしい。ある場合に、10重量%以上のこれらの軟化剤は、そのような混合物が製造されるときに、バージンバインダに添加される。結果として、バージンバインダ、再生化添加剤および再利用バインダ添加剤の全ブレンドは、再生化添加剤なしの同じブレンドと比べて、低い剛性を有している。
【0004】
エージングは、ΔTc(エージング後の剛性臨界温度とクリープ臨界温度との差)を測定することによって評価され得る。
【発明の概要】
【0005】
開示されているのは、エージングしたアスファルトを敷設するときにもともと用いられているバージンバインダまたはバージンアスファルトの元の特性のいくつかまたは全てを保持または維持するための、リサイクルした、または、エージングをした再生アスファルトにおけるエージングの影響を遅らせる、低減するあるいは解決する組成物および方法である。いくつかの実施例において、開示された組成物および方法は、バージンアスファルトおよび高レベルのRAPまたはRASを含んでいる混合物中に存在する全バインダのエージング率を変化させ得る。開示されている組成物及び方法は、植物由来の化学物質の一種、
図1に示すようなステロール類の化合物を用いる。植物ステロールはアスファルテンのような同数の縮合環または部分的不飽和環を含まないが、それたは直鎖状または分枝状の分子ではない挙動を有する。
【0006】
一実施形態において、本発明の開示物はエージングしたアスファルトバインダのエージングを遅らせるまたは修復する方法であって、粗製ステロールをアスファルトバインダに添加することを包含しており、当該アスファルトバインダはバージン(virgin)アスファルトバインダと、アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいる再生アスファルトバインダ材料とを、前記バージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%の粗製ステロールを前記バインダへ添加すること、を包含する、方法を提供する。
【0007】
一実施形態において、本発明の開示物は、アスファルトバインダ舗装製造物のために前記アスファルトバインダを再利用する方法であって、
粗製ステロールをアスファルトバインダに添加することを包含しており、当該アスファルトバインダはバージン(virgin)アスファルトバインダと、アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいる再生アスファルトバインダ材料とを、前記バージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%の粗製ステロールを前記バインダへ添加すること、を包含する、方法を提供する。
【0008】
別の実施形態において、本発明の開示物は、前記アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせ、を含んでいるアスファルトバインダ材料、粗製ステロールを含んでおり、アスファルトバインダ材料、前記粗製ステロール源は、前記バージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%である、アスファルトバインダを提供する。
【0009】
さらに別の実施形態において、本発明の開示物は、エージングしたアスファルトバインダを修復する方法であって、前記アスファルトバインダに粗製ステロールおよびバージンアスファルトバインダを添加することを包含している、前記粗製ステロールはバージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%である、方法を提供する。
【0010】
一実施形態において、本発明の開示物は、前記アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいるアスファルトバインダ材料、およびアンチエージング添加剤を含んでおり、アスファルトバインダ材料、前記ステロール源は、前記バージンアスファルトバインダ当たり0.5重量%~15重量%である、アスファルトバインダを提供する。
【0011】
一実施形態において、本発明の開示物は、バージンアスファルトバインダを含んでいるアスファルトバインダであって、前記アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいるアスファルトバインダ材料、および当該バージンアスファルトバインダの0.5重量%~15重量%の割合のアンチエージング添加剤を含んでおり、当該アンチエージング添加剤はエステルまたはエステルブレンドを含む環状の有機組成物フリーである、アスファルトバインダを提供する。
【0012】
一実施形態において、本発明の開示物は、バージンアスファルトバインダを含んでいるアスファルトまたはバインダであって、前記アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいるアスファルトバインダ材料、および当該バージンアスファルトバインダの0.5重量%~15重量%の割合の修復剤を含んでおり、当該修復剤は、エステルまたはエステルブレンドを含む環状の有機組成物フリーである、アスファルトまたはバインダを提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明の開示物は、一実施形態において、本発明の開示物はアスファルトまたはバインダにおけるエージングの程度を決定し、前記エージングを遅らせるまたは前記エージングしたアスファルトまたはバインダを修復する方法であって、アスファルトバインダにアンチエージング添加剤を添加すること、を包含しており、当該アスファルトバインダは、前記アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいるアスファルトバインダ材料、および当該バージンアスファルトバインダの0.5重量%~15重量%の割合のアンチエージング添加剤を含んでいる、方法を提供する。
【0014】
一実施形態において、骨材、バージンアスファルトバインダ、前記アスファルト舗装(asphalt pavement (RAP))、アスファルトシングル(asphalt shingles (RAS))または両方の組み合わせを含んでいるアスファルトバインダ材料、トリテルペノイド、および軟化剤を含むアスファルトであって、トリテルペノイドは、好ましくは環状の有機エステルフリーであり、当該バージンアスファルトバインダの重量当たり少なくとも約0.5、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約8重量%まで、約10重量%まで、または約15重量%までのトリテルペノイド含量(例えば、ステロール含量)を有している、アスファルトを提供する。
【0015】
一実施形態において、骨材、バージンアスファルトバインダ、RAP、RASまたは両方の組み合わせを含んでいるアスファルトバインダ材料、トリテルペノイド、および軟化剤を含むアスファルトであって、トリテルペノイドは、好ましくは環状の有機エステルフリーであり、当該バージンアスファルトバインダの重量当たり少なくとも約0.5、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約8重量%まで、約10重量%まで、または約15重量%までのステロール含量(例えば、含量)を有している、アスファルトを提供する。
【0016】
開示された実施形態におけるトリテルペノイドは例えば、ステロール、スタノール、植物ステロールまたは植物スタノールであり得る。
【0017】
他の実施形態において、本開示がアスファルトバインダの酸化的エージングを遅らせる方法であって、1つ以上のトリテルペノイド(例えば、トリテルペノイドブレンド)をバインダまたはアスファルトに添加することを包含しており、組成物中のトリテルペノイドは好ましくは(複数の)トリテルペノイドは好ましくはエステルまたはエステルブレンドを含んでおらず、当該組成物中のトリテルペノイド含量は、当該バージンアスファルトバインダの重量当たり少なくとも約0.5、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約8重量%まで、約10重量%まで、または約15重量%までである、方法を提供する。
【0018】
本開示の例示的な実施形態としては、例えば、i)バインダ置換レベル1%以上でRASを含んでいるアスファルトバインダ、ii)バインダ置換レベル20%以上でRAPを含んでいるアスファルトバインダ、iii)バインダ置換レベル1%以上で組合せにおいて用いられるRASおよびRAPを含んでいるアスファルトバインダ、iv)バインダ置換レベル3重量%以上で使用後廃棄物のシングルから抽出または再生したアスファルトバインダを含んでいるアスファルトバインダ、v)バインダ置換レベル5重量%以上で製造業者使用後廃棄物のシングルから抽出または再生したアスファルトバインダを含んでいるアスファルトバインダ、vi)タイプII、タイプIIIまたはタイプIVについてのASTM説明書D312を満たす酸化アスファルトを含んでおり、バインダ置換レベル3重量%以上でアスファルトをコーティングしている、アスファルトバインダ、vii)バインダ置換レベル10重量%以上で抽出または再生されたRAPを含んでいるアスファルトバインダ、viii)バインダ置換レベル1重量%以上で精製されたエンジンオイルボトム(REOB)を含んでいるアスファルトバインダ、ix)バインダ置換レベル1重量%以上で精製されたパラフィンオイルを含んでいるアスファルトバインダ、x)骨材、骨材およびRAP、骨材およびRAS、または、骨材およびバインダ置換レベル1重量%以上でREOBを含んでいるバインダと混合されたRAPおよびRASの組合せを含んでいるアスファルト舗装、xi)上記バインダ置換レベル1重量%以上でパラフィンオイルと混合された、x)において列挙された上記アスファルト。さらに他の実施形態において、開示物は、アスファルトバインダ舗装製造物のために前記アスファルトバインダを再利用する方法であって、1つ以上のトリテルペノイド(例えば、トリテルペノイドブレンド)をバインダまたはアスファルトに添加することを包含しており、組成物中のトリテルペノイドは好ましくはエステルまたはエステルブレンドを含んでおらず、当該組成物中のトリテルペノイド含量は、当該バージンアスファルトバインダの重量当たり少なくとも約0.5、少なくとも約1重量%、約3重量%まで、約10重量%まで、または約15重量%までである、方法を提供する。
【0019】
さらに他の実施形態において、開示物はアスファルト舗装の製造のために再生アスファルトを再利用する方法であって、1つ以上のトリテルペノイド(例えば、トリテルペノイドブレンド)をバインダまたはアスファルトに添加することを包含しており、組成物中のトリテルペノイドは好ましくはエステルまたはエステルブレンドを含んでおらず、当該組成物中のトリテルペノイド含量は、当該バージンアスファルトバインダの重量当たり少なくとも約0.5、少なくとも約1重量%、約3重量%まで、約10重量%まで、または約15重量%までである、方法を提供する。
【0020】
(a)エージング後のアスファルトバインダについてΔTcを決定する工程;
(b)(a)と同じであるが、アンチエージング添加物ありのアスファルトバインダについて、ΔTcを決定する工程;
(c)アンチエージング添加物ありおよびなしのアスファルトバインダの複数のΔTcを比較する工程;ならびに
(d)上記添加物なしの上記アスファルトバインダより少なくとも25%高いΔTcを40時間のPAVエージング後、または上記添加物なしの上記アスファルトバインダより高いΔTcを60時間のPAVエージング後に、示すアンチエージング添加物を同定する工程
を含んでいる、アンチエージング添加剤を同定する方法。
【0021】
他の実施形態は、道路舗装表面を適用する方法であって、骨材、バージンアスファルトバインダ、RAP,RASまたは両方の組み合わせを含んでいる再生アスファルト材料、トリテルペノイドおよび軟化剤を含んでいるアスファルトを採用する方法であり、1つ以上のトリテルペノイド(例えば、トリテルペノイドブレンド)をバインダまたはアスファルトに添加することを包含しており、組成物中のトリテルペノイドは、好ましくは環状の有機エステルまたはエステルブレンドフリーであり、ステロール含量は、当該バージンアスファルトバインダの重量当たり少なくとも約0.5、少なくとも約1重量%、または約15重量%まで、または約10重量%までである、方法を提供する。さらなる実施形態において、アスファルト舗装は、調製され、混合され、ベース表面に適用され、圧縮される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、代表的な植物ステロール構造(例えばベータシトステロール)を示す。
【
図2】
図2は、ステロールを有しているREOBサンプルにとっての剛性およびクリープ温度の結果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、ステロールの濃度およびバインダエージングにともなうΔTcの変化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、PAVにおいて60時間までエージングさせた、マヤ原油を材料とするAsphalto64-22ならびにステロールを含有しないサンプル、5%ステロールを含んでいるサンプルおよび7.5%ステロールを含んでいるサンプルについての、R値-コロイド指数(Colloidal Index)のグラフである。
【
図6】
図6は、PAVにおいて60時間までエージングさせたマヤ原油を材料とするAsphalto64-22およびカナダ原油を原材料とするPG64-22(両方のバインダに対して0%混合されているステロール、5%混合されているステロール、および7.5%混合されているステロール)についての、ΔTcの変化を示すグラフである。
【
図7】
図7は、PAVにおいて60時間までエージングさせたマヤ原油を材料とするAsphalto64-22およびカナダ原油を原材料とするPG64-22(0%混合されているステロール、5%混合されているステロール、および7.5%混合されているステロール)についての、R値-コロイド指数のグラフである。
【
図8】
図8は、0%ステロールの、カナダ原油を原材料とするPG64-22、および7.5%ステロールの、マヤ原油を原材料とするAsphalto64-22(いずれのバインダもPAVにおいて60時間までエージングされている)についての、コロイド指数に対するR値の比較を示すグラフである。
【
図9】
図9は、種々のエージング条件においてエージングされた種々のブレンド(PG64-22におけるトール油ピッチ、ステロールおよびREOB)についての、高温バインダ評価およびΔTcのグラフである。
【
図10】
図10は、トール油ピッチ%に対する高温バインダ剛性評価の関係、およびステロール%に対する高温バインダ剛性評価の関係を比較するグラフである。
【
図11】
図11は、バインダがRTFOにおいて20時間までのPAVエージングでエージングされているとき、およびバインダが20時間のPAVエージングから40時間のPAVエージングでエージングされているときのバインダ低温PG評価の低下を示すグラフである。
【
図12】
図12は、20時間のPAVエージングおよび40時間のPAVエージングの間における、ステロールおよびトール油ピッチについての低温PG評価の相対増加率を示すグラフである。
【
図13】
図13は、添加物なし(基準ケースコントロール)、5%植物ステロールのみ(ポジティブコントロール)、8%REOBのみ(ネガティブコントロール)のPG64-22、および複数のサンプル(8%REOB+2.5、5%または7.5%植物ステロール;5%コレステロール;または5%カシューナッツ殻液(CNSL)を含有)についてのグラフであり、複数のサンプルエージングなしおよびRFTOエージングについてのΔTcを示す。
【
図14】
図14は、添加物なしの(基準ケースコントロール)、5%植物ステロールのみ(ポジティブコントロール)、8%REOBのみのサンプル(ネガティブコントロール)のPG64-22の複数のサンプル、および複数のサンプル(8%REOB+2.5、5%または7.5%植物ステロール;5%コレステロール;または5%カシューナッツ殻液(CNSL)を含有)についてのグラフであり、複数のサンプルの20、40および60時間のPAVエージングについてのΔTcを示す。
【
図15】
図15は、RTFOサンプルの基準温度(25℃)におけるブラックスペースプロット(Black Space plot)である。複数のサンプルは、PG64-22を用いて生成され、(1)5%植物ステロールのみ、(2)8%REOB+5%コレステロール、(3)REOBおよび他の添加物なし[ポジティブコントロールとして機能する]、(4)8%REOB、5%混合植物ステロール、(5)8%REOB、5%トール油ピッチ、(6)8%REOB、5%カシューナッツ殻液(CNSL)、(7)8%REOBおよび他の添加物なし[ネガティブコントロールとして機能する]を含んでいる。
【
図16】
図16は、
図15の説明に記載されている複数のサンプルについての、20時間のPAVエージングの基準温度(25℃)におけるブラックスペースプロットである。
【
図17】
図17は、60時間のPAVエージングの基準温度(25℃)におけるブラックスペースプロットである。このプロットは、(1)5%植物ステロール[ポジティブコントロール]、(2)8%REOBおよび7.5%および混合植物ステロール、(3)8%REOB、5%コレステロール、(4)8%REOBおよび5%混合植物ステロール、(5)添加物なし、(6)8%REOB、2.5%混合植物ステロール、(7)8%REOBおよび5%カシューナッツ殻液(CNSL)を含んでいる、PG64-22を用いて生成された複数のサンプルを比較する。
【
図18】
図18は、
図15~17に示されているバインダについての45°の位相角における複合剛性率G*を比較する棒グラフである。
【
図19】
図19は、
図15~17に示されているバインダについての、1メガパスカル(MPa)の複合剛性率G*を比較する棒グラフである。
【
図20】
図20は、実施例10に説明されている複数のバインダの高温PG評価における変動を示す棒グラフである。
【
図21】
図21は、実施例10に説明されている複数のバインダの高温PG評価における変動を示す棒グラフである。
【
図22】
図22は、実施例10に説明されている複数のバインダについてのΔTcにおける変動を示す棒グラフである。
【
図24】
図24は、実施例10に説明されている複数のバインダについてのコロイド指数(Colloidai Index)における変動を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
開示されたアスファルトはアスファルトまたはアスファルトバインダの保存、リサイクルおよび再利用を助けるアンチエージング(すなわち、エージングを低減するまたはエージングを遅らせる)添加剤を含んでいる。アンチエージングは、好ましくはエステルまたはエステルブレンドを含む環状有機組成物フリーである。開示された組成物は再生アスファルト、特にRAPの再生に特に価値を有する。
【0024】
開示されたアスファルトバインダは、開示された添加剤を含んでいないバインダと比較して、向上した物理学的および流体力学的性質(剛性、有効温度範囲、および低温特性など)を有し得るリサイクルされたアスファルト(例えばRAPまたはRAS)を提供する。いくつかの実施形態において、アスファルト混合物中のRASから抽出されたバインダの使用を提供する。特定の実施形態は、リサイクルしたアスファルトの潜在的に有害な低温の効果を最少化する一方で、高温での高剛性を可能にする添加剤の添加を提供する。
【0025】
本明細書に示されている見出しは単に読みやすくするためのものであり限定として解釈されるべきではない。
【0026】
略語、頭字語および定義
「エージングした(Aged)」とは、再生アスファルト中に存在している、または再生アスファルトから再生されたアスファルトまたはバインダを指す。エージングされたバインダは、エージングおよび外気温に曝された結果としてバージンアスファルトまたはバージンバインダのものと比較して高い粘度を有する。「エージングされた(aged)」とは、本明細書に記載の実験室のエージング試験方法を用いてエージングされたバージンアスファルトまたはバージンバインダを指す(例えばRTFOおよびPAV)。「エージングされた(aged)」とは、硬い、低品質の、または明細書記載以外の、バージンアスファルトまたはバージンバインダ、特に、EN 1427による65℃以上の環球式軟化点および12 dmm以下のEN 1426による25℃での透過値を有するバージンバインダも指し得る。
【0027】
「骨材」および「建設用骨材(construction aggregate)」は、舗装および舗装用途に有効な、石灰関、花崗岩、トラップ、砂利、破砕された砂利、砂、破砕された石、破砕された岩および鉱滓などの粒子状の鉱物材料を指す。
【0028】
「アンチエージング添加剤」は、アスファルトまたはバインダのエージング速度を遅らせるためにエージングされたバインダと組み合わせられるステロールまたはステロール混合物を指す。
【0029】
「アスファルト」は、バインダおよび骨材、ならびに、骨材およびバインダとの混合に最適な任意のほかの成分を指す。局地的な使用によると、「アスファルト混合物」または「混合物」は用語「アスファルト」と相互交換可能に用いられ得る。
【0030】
「アスファルト舗装」とは圧縮されたアスファルトを指す。
【0031】
「バインダ」とは、高い年生の液体または半固体形態の石油を指す。「バインダ」としては、例えば瀝青が挙げられる。用語「アスファルトバインダ」は、用語「バインダ」と相互交換可能に用いられる。
【0032】
「瀝青(ビチュメン)」は、天然または製造された、主に高分子量の炭化水素、アスファルト、タール、ピッチおよびアスファルテンからなる黒色または暗色(固体、半固体または粘性の)セメント質の物質は典型である。
【0033】
ブラックスペースプロットまたはブラックスペースダイアグラムは、複素弾性率がY軸上に、位相角がX軸上にプロットされている、流体力学的データの図についての用語である。これらの図は、バインダに対するエージングの影響を評価し、かつバインダに対する添加物(再生用添加剤が挙げられる)の影響を評価するために研究者によって使用されている。バインダのエージングが進むにつれて、バインダの硬さ係数は上昇し、バインダがより脆化するにつれて、バインダの位相角は減少する。より小さい位相角は、所定の温度においてバインダがより弾性になりかつより小さい粘性を示すことと関連する。
【0034】
「粗製(Crude)」はステロールを含む物質について用いられる場合、十分に精製されておらず、ステロールに追加の成分を含み得るステロールを意味する。
【0035】
「M-臨界」または「クリープ臨界」グレードは、バインダの低温緩和グレードを指す。クリープ臨界温度は絶対値0.300を有するASTM D6648に従って曲げクリープ剛性対クリープ時間の傾きにおける温度である。また、剛性およびクリープ臨界温度は
4 mm動的剪断レオメータ(Dynamic Shear Rheometer) (DSR) 試験または曲げビームレオメータ(Bending Beam Rheometer (BBR))から測定され得る。
【0036】
「ニート(Neat)」または「バージン(Virgin)」は、アスファルト舗装またはアスファルトシングルにおいてまだ用いられていない、またはアスファルト舗装またはアスファルトシングルからリサイクルされたものであり、パフォーマンス(Performance)グレードバインダを含み得る。
【0037】
「PAV」は加圧されたエージングベッセルを指す。PAVはASTM D6521-13、加圧されたエージングベッセル(PAV)を用いたアスファルトバインダの加速されたエージングのための標準的技法に記載されているアスファルトまたはバインダの加速されたエージングを促進するために用いられる。
【0038】
ステロールまたはステロールの混合物に用いられる場合、「純粋な」とは、
少なくとも技術的グレードの純度または少なくとも試薬グレードの純度を有することを意味する。
【0039】
「再生アスファルト」および「リサイクルされたアスファルト」とはRAP,RASおよび古い舗装、シングル製造の廃物、屋根用フェルトおよび他の製造物または適用。
【0040】
「再生アスファルト舗装」および「RAP」とは、以前に使用された道路または舗装または他の類似の構造物から除去または掘削され、任意の種類の公知の方法(粉砕すること、裂くこと、破壊すること、破砕することまたは微粉化することが挙げられる)によって再利用のために処理されたアスファルトを指す。
【0041】
「再生アスファルトシングル」および「RAS」とは、資源(屋根剥ぎ取り物(roof tear-off)、製造業者の廃棄アスファルトシングルおよび使用後廃棄物が挙げられる)由来のシングルを指す。
【0042】
「RTFO」とは回転薄膜加熱炉を指す。RTFOは、ASTM D2872-12e1、アスファルトの移動膜(Moving Film)における熱および空気の影響についての標準試験方法(回転薄膜加熱試験)。
【0043】
「S-臨界」または「剛性臨界」グレードとは、バインダの低温剛性グレードを指す。剛性臨界温度は、ASTM D6648に従って試験されたバインダが300MPaの曲げクリープ剛性値を有する、またはΔTcにおいて記載されている曲げビームレオメータ試験(Bending Beam Rheometer test)または4 mm DSR試験の何れかによって測定される温度である
SHRPは、1993年に新規バインダの明細書を展開する戦略的ハイウェイ研究プログラムを指す。
【0044】
「軟化剤」はアスファルトの製造処理の間のバージンバインダへのリサイクルしたバインダの混合および組み込みを容易にする(または促進する)低粘度の添加剤を指す。
【0045】
「Temp」は温度という文言についての短縮として表および図面に用いられる。
【0046】
「ΔTc」は、低温クリープ温度またはm‐値臨界温度を低温剛性臨界温度から引いたときに得られる値である。4 mm 動的剪断レオメータ(DSR)試験および解析手順はSui, C., Farrar, M., Tuminello, W., Turner, T., A New Technique for Measuring low-temperature Properties of Asphalt Binders with Small Amounts of Material, Transportation Research Record: No 1681, TRB 2010. See also Sui, C., Farrar, M. J., Harnsberger, P. M., Tuminello, W.H., Turner, T. F., New Low Temperature Performance Grading Method Using 4 mm Parallel Plates on a Dynamic Shear Rheometer. TRB Preprint CD, 2011, and by Farrar, M., et al, (2012), Thin Film Oxidative Aging and Low Temperature Performance Grading Using Small Plate Dynamic Shear Rheometry: An Alternative to Standard RTFO, PAV and BBr. Eurasphalt & Eurobitume 5th E&E Congress-2012 Istanbul (pp. Paper O5ee-467). Istanbul: Foundation Euraspaltによって説明されている。
【0047】
全ての重量、部および割合は他に記載されていなければ重量当たりである。
【0048】
バインダ
現在のアスファルト舗装技法は、舗装されるアスファルト中の成分として再生アスファルト舗装(RAP)および再生アスファルトシングル(RAS)の高いパーセンテージの使用を含む。舗装混合物の重量当たり、典型的にRAP濃度は、50%に達し、RAS濃度は6%に達し得る。典型的なRAPのバインダ含量は5~6重量%であり、典型的なRASのバインダ含量は20~25重量%である。結論として、重量当たり50%のRAPを含んでいるバインダは、最終バインダ混合物に寄与する2.5%~3%RAPバインダを含み、重量当たり6%のRASを含んでいるバインダ混合物は、最終バインダ混合物に寄与する1.2%~1.5%RASバインダを含むであろう。
【0049】
RAPおよびRASの両方の多くの例において、リサイクルした添加剤はバインダ混合物に組み合わせられる;例えば20%~30%RAPおよび5%~6%RASはバインダ混合物に組み込まれる。RAPおよびRASの典型的なバインダ含量に基づいて20%~30%RAPおよび5%~6%RASを含んでいるバインダ混合物は、RAPおよびRASの組合せに由来する(総混合物重量当たり)2%~3.3%程度のバインダとなり得る。典型的なバインダ舗装混合物は約5.5%の総瀝青を含んでおり、したがって、これらのリサイクル源からの瀝青混合物中、約36%~60%程度の総瀝青が存在し得る。
【0050】
瀝青混合物ウに用いられるバージンバインダに関連するこれらの本発明の資源中の瀝青の性質は、表1に示されている。
【0051】
【0052】
表2はエージングの異なる期間後の、バージンバインダおよび使用後廃棄物シングルから再生した瀝青によって製造したサンプルの高温および提案の特性を示す。表2に示されているのは、また、RAPおよびRASを含んでいる混合物の高温及び低温特性である。これらの混合物のいくつかは延長した実験室のエージングを受け、いくつかは界磁鉄心から得たものである。
【0053】
【0054】
表1および2は高いバインダ置換レベルのリサイクルした材料、特に使用後廃棄物シングルを組み入れることの影響を示している。データは、これらのリサイクルした成分から瀝青の影響を緩和し、最終混合物中の総瀝青のさらなる酸化的エージングを遅らせるための瀝青および瀝青混合物に添加剤を組み入れることの望ましさを示している。表2の最後の3列は、空気-混合物の境界面から離れるほど、ΔTcパラメータへの影響は小さくなることを示している。このパラメータはバインダ特性におけるエージングの影響、より詳細にはバインダの曲げ特性におけるエージングの影響を評価するために用いられ得る;曲げ特性は「低温クリープグレード」として参照される特性によって特徴づけられる。
【0055】
2011年に公開された研究は、界磁鉄心からの再生したバインダのデータに基づいて、ΔTcは舗装が非ロード関連性の混合物のクラッキングの危険があるポイントに到達したとき、また、潜在的故障限界に到達したときを同定するように用いられる。その研究において、著者らは、クリープ温度およびm-臨界温度から剛性臨界温度を引き、劣った性能特性を有するバインダは正であるΔTc値を算出した。2011年の産業調査は減算の順序を逆にすることに同意し、したがって、剛性臨界温度バインダから減算される場合、m-臨界温度が劣った制帽特性を示す負のΔTc値を算出する。産業は通常劣った性能のバインダが、より直観的思われる低下した性能としてより負になることに同意した。したがって、今日産業で、および本願に用いられているように、ΔTcの警告限界値は-3℃であり、潜在的失敗(falure)値は-5℃である。
【0056】
2つの連邦道路局専門家任務群会議における報告は、フィールド試験プロジェクトから再生されたバインダのΔTc値と疲労クラッキングに関連する舗装の損傷の重篤度との間の相関を示した。さらに、これらのフィールド試験プロジェクトを構築するために用いられるバインダが40時間のPAVエージングに供されるとき、ΔTc値は、疲労クラッキング、特に瀝青混合物表面におけるバインダの緩和の消失の結果と一般に考えられる下向の疲労クラッキングに関連する舗装の損傷に相関を示した。
【0057】
過剰に負のΔTc値の発現について低減した感度を有する瀝青材料を含む瀝青混合物を得ることが望ましい。
【0058】
表1におけるデータは、表1におけるデータは、製油所において製造された典型的なバージンバインダが40時間のPAVエージング後、-3℃を超えるΔTcを維持できることを示している。さらに表1のデータは、RAPから再生したバインダはー4℃を下回るΔTcを有し、新たな瀝青混合物の高いRAPレベルの影響が評価されるべきであるということを示している。さらに、RASを再生したバインダについて極端に負のΔTc値は
瀝青混合物中のRASの組み込みの全体的な影響に対しさらなる精査を必要とする。
【0059】
表2は実験室エージング化での瀝青混合物のエージの後、混合物からのバインダの再生を行うことが可能であること、および再生されたバインダのΔTcの測定を示している。AASHTO R30における、瀝青混合物の長期間のエージングの手順は、85℃で5日間の圧縮した混合物のエージングを詳述している。いくつかの調査研究ではより厳しいエージングの影響を調査するためにエージング時間を延長した。最近、エージングは12および24時間135℃で瀝青混合物を消失させ、いくつかの例では長期間についても圧縮混合物のエージングに選択肢として示された。これらのエージングプロトコールの目標は、サービスの5年以上、より好ましくはサービスの8~10年間のフィールドエージングの典型と同様の迅速なバインダエージングを製造することである。例えば、舗装の上部1/2インチから抽出した再生アスファルトまたはリサイクルしたアスファルトのΔTcは、135℃で12時間のエージングより厳しかったが、135℃で24時間よりは厳しくなかった。
【0060】
表2の最初の2列のデータは、なぜ、リサイクル産物を含む混合物の長期間のエージングが重要であるのかを示している。エージングしていない混合物から再生されたバインダ(列1)は、-1.7℃のΔTcを示したが、5日エージングした混合物から再生されたバインダは、-4.6℃のΔTcを示した。
【0061】
アンチエージング添加剤
開示されたアンチエージング添加剤は、好ましくアスファルトバインダエージング速度を変化させ得る(例えば、減少または遅らせる)または、エージングされたまたはリサイクルされたバインダを修復または再生してバージンアスファルトバインダのいくつかまたはすべての特性を示す。例えば、粗製ステロールは、アスファルトバインダの剛性、有効温度範囲および低温特性などの物理学的または流体学的性質を変化または向上させ得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記抗エージング添加物は、トリテルペノイド(特にステロールまたはスタノール)の分類に属する。開示されているステロール(例えばトリテルペノイド)は、アスファルテンとともに有効に機能し得る。アスファルテンは、いくつかのレベルの不飽和を伴う広範な範囲の縮合環系を包含する。典型的なバインダのアスファルテン含量は10%未満から20%を超える範囲であり得る。アスファルテンは概して、n-ヘプタン中で不溶である物質として説明されている。正確な構造は未知であり、異なるバインダの性能挙動に基づいて任意の2つのバインダ、特に異なる粗製の資源由来のものにおけるアスファルテンの構造が同一であることはありそうにない。アスファルテンはその色および剛性およびバインダ中のそれらの量がバインダをエージングするにつれて増大するバインダをもたらす。結論として、RAPおよび/またはRASまたは両方の組合せの添加はアスファルテン含量を増加させる要因となる。カルボニルおよびスルホキシドなどの他の酸化産物に伴うアスファルテン含量の増加は、瀝青混合物の剛性およびその最終的な失敗の原因となる。それらの化学的性質そのものにより、アスファルテンは脂肪族化合物中に容易に溶解可能ではない。芳香族溶媒は、アスファルテンを容易に溶解し、芳香族プロセスオイルはリサイクルした混合物に用いられた。しかし、これらの油は、列挙された潜在的発がん物質を包含する多核性の芳香族化合物を含んでおり、それゆえ好ましい添加剤ではない。ほとんどの植物ベースの油は、あるレベルの不飽和を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素であり、それゆえ混合物中のバインダ全体の軟化においてエージングを遅らせるのに有効でない。
【0063】
トリテルペノイドは、ステロール、トリテルペン サポニン、および関連する構造物を含む植物の天然の産物の主要な群である。トリテルペノイドは天然または合成の原料からなり得る。典型的にそれらは植物材料から抽出によって得られる。トリテルペノイドの単離のための抽出処理は例えば、国際出願WO2001/72315Al号およびWO2004/016336Al号に記載されており、それらの全文が参照によって本明細書にそれぞれ組み込まれる。
【0064】
トリテルペノイドは、植物ステロールおよび植物スタノールを包含している。開示されたトリテルペノイは、本明細書に記載された任意の植物ステロールまたはスタノールのエステル化されていない形態を指す。
【0065】
例示的な植物ステロールとしては、カンペステロール、スティガステロール、スティグマステロール、β-シトステロール、Δ5-アベノステロール、Δ7-スティガステロール、Δ7-アベノステロール、ブラシカステロールまたはそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、ステロールの混合物は重水なステロールとしてβ-シトステロールを含んでいる。市販されている純粋なステロールおよび純粋なステロールの混合物としてはβ-シトステロール(β-シトステロール~40-60%;カンペステロール~20-40%;カンペステロール~5%)として参照される、MP Biomedicals (カタログ番号02102886)から入手可能であるものが挙げられる。いくつかの実施形態において、純粋なステロールは、少なくとも70重量%のステロールを有しており、いくつかの実施形態において、少なくとも80重量%、少なくとも85%または少なくとも95重量%を有している。
【0066】
例示的な粗植物ステロールとしては、顕著な量のステロールを含んでいる、改変されたまたは改変されてない天然の産物を包含し、コーン油、小麦麦芽オイル、サルサパリラの根、ダイズピッチおよびコーン油ピッチのような多様な植物資源が挙げられる。例えば、トールオイルピッチは木材、特にマツ材から紙を調整する処理の間に得られる。トールオイルピッチは、ロジン、脂肪酸、酸化物、エステル化した物質を含んでおり、かなりの程度の部分はステロールエステルである。粗ステロールの植物資源は種々の製造プロセスから残ったフーツ(foots)またはテーリング(tailing)であるものにおいては効果ではない。
【0067】
いくつかの実施形態において、粗製ステロール源は、スティグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール、エルゴステロール、ブラシカステロールおよびラノステロールまたはこれらの混合物を包含している。いくつかの実施形態において、粗ステロール源としては、スティグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、コレステロールおよびラノステロールまたはそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、粗ステロール源としては、ダイズ油、コーン油、米糠油、ピーナッツオイル、ヒマワリ種子油、ベニバナ油、綿実油、ナタネ油、コーヒー種子油、小麦麦芽オイル、トールピッチおよび羊毛脂が挙げられる。いくつかの実施形態において、粗ステロールとしては、生物由来資源または生物由来資源の部分的に蒸留した残渣が挙げられる。いくつかの実施形態において、粗ステロールとしては、トールオイルピッチ、ダイズ油またはコーン油が挙げられる。
【0068】
開示された植物資源由来の、オイルテ-リングまたはピッチは好適な粗ステロール源である。米国特許第2,715,638号、1955年8月16日to Albrechtは、トールオイルピッチからステロールを再生するための処理であって、それにより中性化処理によって脂肪酸不純物が除去される処理を開示している。これに従えば、ステロールエステルは鹸化され、遊離のステロールは続いて再生され、イソプロパノールで洗浄され、そして乾燥される。もし十分に精製された場合、再生された遊離のステロールは粗ステロールというよりも純粋なステロールとして用いられてもよい。
【0069】
粗ステロールは好ましくは植物資源から得られる。粗ステロールは、所望のステロールまたは複数のステロールに加えて成分を含んでいてもよい。粗ステロールのための例示的な植物資源としてはトールオイルピッチ、粗トール油、サトウキビ油、温泉スキミング(hot well skimmings)、綿実ピッチ、ダイズピッチ、コーン油ピッチ、小麦麦芽油またはライ麦麦芽オイルが挙げられる。いくつかの実施形態においてトールオイルピッチは粗ステロールの原料である。トールオイルピッチは約30~40%の不鹸化分子を含み得る。不鹸化物はアルカリ水酸化物と反応しない分子である。トールオイルピッチ中の維持されている脂肪酸およびロジン酸は容易に水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムと反応して、それにより不鹸化物は容易に分離し得る。不鹸化分画の45%はシトステロールを含み得ることが示された。したがって、トールオイルピッチサンプルはおよそ13.5重量%~18重量%のステロール分子を含み得る。いくつかの実施形態において、上記粗製ステロールは、食品等級に満たない純度(例えば85重量%ステロール)を有し得るか、または85重量%を超えてステロールを含んでおり、材料を食品用途に不適当にする不純物もしくは混入物も含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、粗ステロールは、コレステロールなどの動物に由来し得る。コレステロールは植物ステロールと類似の作用を有していると示されている。
【0071】
アスファルトに加えられる粗ステロールは、例えば、アスファルトにおける約0.5~約15重量%、約1~約10重量%または約1~約3重量%のバージンバインダの範囲であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、粗ステロールは、再生瀝青材料を含んでいるバインダにおける流体力学的特性の悪化を変更、低下、または遅延させ得る。当該再生瀝青材料は、
軟化剤(例えば、RAS、RAP、REOB、バージンパラフィンもしくはナフタレン基油、未処理もしくは未再精製の排ドレン油もしくは廃エンジンオイル材料、真空塔のアスファルト増量剤、パラフィン系またはナフタレン系のプロセスオイル、または潤滑基油)を含んでいる。いくつかの実施形態において、アスファルトまたはアスファルト舗装に使用されるときの粗ステロールは、アスファルトまたはアスファルト舗装がエージングされるときの-5℃以上のΔTcを維持している。
【0073】
いくつかの実施形態において、粗ステロールは、-5.0℃以上のΔTcを有しているアスファルトバインダをもたらし得る。いくつかの実施形態において、粗ステロールは、PAVエージング後に、-5.0℃以上のΔTcを有しているアスファルトバインダをもたらし得る。さらなる他の実施形態において、開示されている粗ステロールは、エージングの後に、粗ステロールなしで同じようにエージングされたバインダと比べたときに、より小さい負のΔTcおよび減少したR値を有しているバインダをもたらし得る。
【0074】
本明細書に使用されるとき、上述の粗ステロール(例えば、トール油ピッチ)の他に、語「粗」によって条件づけられていない用語または表現は、純粋なステロールとみなされ得るべきである。用語「混合ステロール」または「ステロールブレンド」または「ブレンドのステロールまたは文法的に等価な表現は、純粋なステロールと交換可能に使用される。
【0075】
軟化剤および他の添加剤
バインダにおいて用いられ得る軟化剤としては廃棄エンジンオイルおよびREOBを得るためにさらに処理され得る廃棄エンジンオイルが挙げられる。REOBは安価な軟化添加剤であり、減圧下または大気圧条件のいずれかでの廃棄エンジンオイルの蒸留後に維持されている残留物から得られるアスファルト増量剤である。再生精製処理から得た蒸留分画は新たな乗り物用の潤滑油に変換されるが、底部は、内部燃焼エンジンからの金属および他の粒子の存在により利用可能な市場がなかった。また、これらの底部はパラフィン炭化水素および元の潤滑油に組みいれられた添加剤を含んでいる。長年の間、REOBは、アスファルト増量剤としていくつかの会社により用いられていたが、使用は局所的であった。
【0076】
より多量の廃棄エンジンオイルが、再精製され、それにより多量のREOBがアスファルトバインダ市場に販売されている。REOBの使用は、エージングされたときに、-4℃以下のΔTc値を示し、結果として舗装において劣った性能を有する瀝青混合物をもたらす。REOBが5重量%という低いレベルでいくつかのアスファルトに添加される場合、結果として40時間後のΔTcを生じる。PAVエージングは-5℃以下になり得る(すなわちより負である)。金属試験の手段によってREOBを含むことを示されたフィールド混合物から再生されたバインダは、そういつのエージおよび同一の骨材および同一時間舗装されているが、REOBを含んでいないフィールド混合物よりも大きい損傷を示した。
【0077】
開示された粗ステロールは、ΔTc(例えば、40時間のPAVエージングを評価される)における廃棄エンジンオイル(例えばREOB)の影響を緩和し得る。
【0078】
開示された粗ステロールは、REOBと同様の挙動をする他の軟化剤の影響を緩和するために用いられ得る。言い換えると、他の軟化剤はエージングされたときに、-4℃以下のΔTc値を示し、結果として舗装において劣った性能を有する剤である。これらの他の軟化剤としては、合成またはバージン潤滑油(ExxonMobil CorpのMOBIL(商標)1 合成油、およびChevron USA Inc.のHAVOLINE(商標)10W40油)、バージンパラフィンまたはナフテンベース油、未処理または再精製していない廃棄排油または廃棄エンジンオイル材料、減圧塔アスファルト増量剤(エンジンオイルを用いた再精製から得た蒸留分画)およびパラフィンまたはナフテンプロセスオイルが挙げられる。
【0079】
生物由来の軟化剤(例えばCargillの1103およびArizona ChemicalのRS1100)は、REOBと同様の方法においてアスファルトバインダに悪い影響を与えることなくアスファルトバインダを軟化することができることに留意すべきである。粗ステロールはこれらの生物由来の軟化剤の有益な軟化の多くを維持し得る。
【0080】
アスファルトは開示された粗ステロールに加えて他の成分を含み得る。そのような他の成分としては、エラストマー、非瀝青質のバインダ、接着促進剤、難kな財、復活剤および他の好適な成分が挙げられる。
【0081】
有効なエラストマーとしては、例えば、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、ポリブタジエン、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、反応性エチレンターポリマー(例えば、ELVALOY(商標))、ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ブロックターポリマー、イソプレン-スチレンブロックコポリマーおよびスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックターポリマー、クロロプレンポリマー(例えばネオプレン)および類似物が挙げられる。乾燥したエラストマー添加剤が地面ゴム材料として挙げられ得る。
【0082】
一実施形態において、バインダはバインダの混合物を含む。特定の実施形態において、バインダ混合物はバージンバインダおよび再生アスファルトから抽出したバインダを含む。例えば、RAS材料から抽出されたバインダはアスファルトシングル廃棄物から、使用アスファルトシングル廃棄物から、または製造業者から抽出されたバインダおよび使用アスファルトシングル廃棄物の混合物から抽出され得る。特定の実施形態において、バインダ混合物は、約60重量%から約95重量%のバージンバインダおよび約5重量%から約40重量%の、再生アスファルトから抽出されたRASなどのバインダを含み得る。特定の実施形態において、バインダ混合物は、バージンアスファルトの約0.5重量%から約15.0重量%のアンチエージング添加剤を含む。特定の実施形態において、バインダ混合物は、約0.2重量%から約1.0重量%のアンチエージング添加剤の添加を含む。アンチエージング添加剤は高温および低温特性、アスファルトバインダ混合物の高温側および低温側の両方に対するPGグレードを向上することが示された。
【0083】
アスファルトバインダは粗ステロールをバージンバインダと混合またはブレンドすることによって調製され、混合物またはブレンドを形成する。混合物またはブレンドはリサイクルしたアスファルト材料(例えば、RASおよび/またはRAP)および骨材に添加され得る。当業者はいかなる順序の成分の添加および混合も可能であることを認識するであろう。アスファルトは機械的または熱的な対流を適用することによって調製され得る。一つの局面において、アスファルトの調整方法は、約100℃~約250℃の温度で粗ステロールをバージンアスファルトと混合またはブレンドすることを包含する。いくつかの実施形態において、粗ステロールは約125℃~約175℃または約180℃~約205℃温度でバージンアスファルトと混合される。いくつかの実施形態において、アスファルトはアスファルト、ステロールおよび軟化剤と混合され、当該アスファルトは、アスファルト、RAS、RAP、またはRASおよびRAPの組合せ、粗ステロールおよび骨材と混合される。
【0084】
開示されたアスファルトは、多くの標準的試験に加えて、ASTM仕様書および試験方法に従って性状決定され得る。例えば、開示されたアスファルトおよびバインダは、流体学的試験(すなわち動的剪断レオメータ。回転年度、および曲げビーム)を用いて性状決定され得る。
【0085】
低温(例えば-10度)において、道路表面はクラッキング耐性が必要である、周囲条件下で、剛性および疲労特性は重要である。上昇した温度において、道路はアスファルトが軟らかくなり過ぎる場合、わだち掘れに耐える必要がある。3つの一般的な温度条件で舗装された道路表面の性能と関連するバインダの流体学的特性を同定するためにアスファルト産業によって基準が確立された。
【0086】
ΔTcパラメータを決定するために、上述されているようなあ動せん断レオメータ(DSR)試験手順およびデータ分析が使用され得る。
【0087】
また、ΔTcパラメータは、AASHTO T313またはASTM D664にもとづく、BBR試験方法を用いて決定され得る。BBR試験方法が用いられる場合、試験は、300MPaの剛性失敗基準についての結果、および0.300のクリープまたはm-値失敗基準が失敗基準以下であるある結果で得られ、ある結果は上記の失敗基準より上の結果が得られるように、十分な温度の数で行われることが用いられるということが重要である。
【0088】
ΔTc値が-5℃未満であるバインダについてのある例においては、これは3つ以上の試験温度でBBR試験を行わなければならない。上記に参照されるBBR基準要件を満たしていない場合のデータから算出されるΔTc値は完全に正確であるとは考えられない。
【0089】
他のアンチエージング添加剤、は、
好ましくはバインダがエージングする速度を変え得る(例えば、低下または遅延)またはエージングしたバインダもしくは再生バインダを修復もしくは回復させて、バージンバインダのいくつかもしくはすべての特性を与える添加剤が、同定され得る。例えば、添加剤を含んでいるエージング後のアスファルトについてのΔTcが決定され得る;添加剤なしのアスファルトについてのΔTcも分析され、2つのΔTcに対する結果が、添加剤ありおよびなしのアスファルトのエージング後における比較された。40時間のPAVエージングの後に、添加剤なしのアスファルトより少なくとも25%高いΔTcを有している、または60時間のPAVエージングの後に、添加剤なしのアスファルトより高いΔTcを有している、添加剤ありのアスファルトは、アンチエージング添加剤と同定され得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、添加剤は、40時間のPAVエージングの後に、添加剤なしのアスファルトより少なくとも35%または少なくとも45%高いΔTcをもたらし得る。いくつかの実施形態において、添加剤は、60時間のPAVエージングの後に、添加剤なしのアスファルトより少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも45%高いΔTcをもたらし得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、アンチエージング添加剤を同定する方法は、例えば、-5℃以上(例えば、-4、-3など)のΔTcを40時間のPAVエージングの後に有しているPG64-22を用いることを包含し得る。約8%の再精製エンジンオイルボトムまたは約5%パラフィン基油は、PG64-22に加えられ、RTFOエージングされ、20、40および60時間のPAVエージングされ、BBRまたは4mm DSRを用いた各エージング工程の後にΔTcを決定する。この後に、約5%または製造者が推奨する量の添加剤の、PG64-22、8%再精製エンジンオイルボトムおよび5%パラフィン基油への添加が続く。RTFOエージングは、20、40および60時間のPAVエージングの後に行われ、各エージング工程の後にΔTcが、BBRまたは4mm DSRを用いて決定される。添加物は、40時間のPAVエージングの後におけるΔTcが、REOBまたはパラフィン基油を含んでいるサンプルより少なくとも205%高いときに使用されている使用レベルにおいて、アンチエージング(再生用添加物ではない)とみなされなければならない。60時間のPAVエージング後に、添加剤は、60時間のPAVエージングの後におけるΔTcが、REOBまたはパラフィン基油を含んでいるサンプルより高いときに使用されている使用レベルにおいて、アンチエージング(再生用添加物ではない)とみなされ得る。
【0092】
舗装表面の性質及び変化はアスファルトにおいて明らかにされ得る。これらの表面の性質は原子間力顕微鏡(AFM)を用いて決定される。AFMは、以下の参照、R. M. Overney, E. Meyer, J. Frommer, D. Brodbeck, R. Luthi, L. Howald, H.-J. Guntherodt, M. Fujihira, H. Takano, and Y. Gotoh, “Friction Measurements on Phase-Separated Thin Films with a Modified Atomic Force Microscope”, Nature, 1992, 359, 133-135; E. zer Muhlen and H. Niehus, “Introduction to Atomic Force Microscopy and its Application to the Study of Lipid Nanoparticles”, Chapter 7 in Particle and Surface Characterization Methods, R. H. Muller and W. Mehnert Eds, Medpharm Scientific Pub, Stuttgart, 1997; H. Takano, J.R. Kenseth, S.-S. Wong, J.C. O’Brien, M.D. Porter, “Chemical and Biochemical Analysis Using Scanning Force Microscopy”, Chemical Reviews 1999, 99, 2845-2890に記載されている。
【0093】
ATFは、高分解能、原子および分子レベルの3次元イメージングを示す走査型顕微鏡の一種である。ATFは、形態的なイメージングおよび力測定の両方に用いられ得る。形態的なイメージングは、サンプル表面を横断するカンチレバー/チップをスキャンすることに関与する。レーザビームはカンチレバーの背後に反射し、カンチレバー偏向が一感受性の光ダイオード検出器で検出される。この偏向は、サンプル表面における位相的高さの変化を測定するために電子システムによって処理される。ATFの基本原理および局在的な摩擦信号の原因は、Overney et al. “Friction Measurements on Phase-Separated Thin Films with a Modified Atomic Force Microscope”, Nature, 1992, 359, 133-135 (1992);Muhlen et al. “Introduction to Atomic Force Microscopy and its Application to the Study of Lipid Nanoparticles”; Chapter 7 “Particle and Surface Characterization Methods, R. H. Muller and W. Mehnert Eds, Medpharm Scientific Pub, Stuttgart, 1997;およびTakano et al. “Chemical and Biochemical Analysis Using Scanning Force Microscopy”, Chemical Reviews 1999, 99, 2845-2890 (1999))に記載されている。
【0094】
表面の損失は、表面粗さとして測定され得る。表面粗さは、イメージ表面上の平均の粗さ、サンプルの表面の外側に伸びている当該粗さの平均高さ、μm2として表される欠損データ(すなわち、サンプルの非平滑正面)および各イメージの領域は400μm2であることを念頭に置いたパーセントとして表される欠損領域として表される。AFMはアスファルトにおける開示されたアンチエージング添加剤の効果を測定するために用いられ得る。AFMは、上述の国際出願PCT/US16/37077号および本書と同日出願されたAttorney docket no. ALM0019/WO/2に開示された粗ステロールのアスファルトに対する効果を測定するために用いられる。
【0095】
いくつかの実施形態において、アスファルトまたはバインダにおけるエージングを同定し、エージングを遅らせるか、エージングされたアスファルトまたはエージングされたバインダを修復する方法は、表面の損傷の有無についてアスファルトまたはバインダを分析することを包含し、アスファルトまたはバインダは最小の表面損傷が検出された場合にエージングされているまたはエージングされたものとして決定し、エージングされたアスファルトまたはバインダにステロール添加剤およびバージンバインダを添加して、さらなるエージングを低減または遅延させる、方法である。いくつかの実施形態において、エージングされたアスファルトとしてはリサイクルされたアスファルト、軟化剤おおよび回復剤を含んでいる。例えば、いくつかのアスファルトは、RAS,RAP、REOB、バージンパラフィンベース油、無処理または再精製していない廃棄排油または廃棄エンジンオイル材料、減圧塔アスファルト増量剤、パラフィンまたはナフテンプロセスオイルおよび潤滑ベース油を含んでいる。特定の実施形態において、有効量のアンチエージング添加剤は、アンチエージング添加剤なしで同様にエージングしたバインダと比較して、エージング後により負の小さいΔTc値を示し得る。いくつかの実施形態において、アンチエージング添加剤は、アンチエージング添加剤なしで同様にエージングしたバインダと比較して、アスファルトバインダエージング後に、より負の小さいΔTcを示す。アスファルトバインダは例えば少なくとも3%以上のRAS、少なくとも25%以上のRAP、少なくとも5%以上のREOB、少なくとも5%以上のパラフィン油を含み得る。ある実施形態において、ステロール添加剤を含むアスファルトまたはバインダの平均の粗さは1.5~350μm2、3.6~232μm2または10~230μm2である。
【0096】
本発明は、以下の限定されない実施例においてさらに例示されている。当該実施例において、すべての部およびパーセンテージは他に示されていなければ重量当たりである。
【実施例】
【0097】
〔実施例1〕
上記アンチエージング添加物の効果を精査するために、4つのバインダを、作製し、ASTM規格D65217に従ってPAV(加圧エージング容器)中で20時間および40時間エージングさせた。
【0098】
上記バインダは、187.8℃から204℃(370から400°F)の温度で、1ガロン(3.785リットル)の容器中で、低せん断ライティングミキサを用いて、約30分間、成分を混合することによって作製された。全てのバインダに対する試験結果は、表3に示す。
【0099】
サンプル#1は、PG52-34を80%と、ミネソタ州シャコピーのリカバリテクノロジソリューション社(以下、RTS)から取得した、製造者の廃棄物シングルから再生したバインダ20%から構成され、ステロールを含まなかった。
【0100】
サンプル#2は、PG52-28を90%と、RTSから取得した消費者が使用済みのシングルから再生したバインダ10%から構成され、ステロールを含まなかった。
【0101】
サンプル#3は、従来のPG52-34バインダ75%、RTSから取得した製造者が使用済みのシングルから再生したバインダ20%、およびMPバイオメディカル社から取得した、ベータシトステロールと呼ばれる混合ステロール(カタログ番号02102886、ベータシトステロールが~40から60%、カンペステロール~20から40%、スティグマステロール~5%含有)5%から構成された。
【0102】
サンプル#4は、従来のPG58-28バインダ72.5%と、RTSから取得した消費者が使用済みのシングルから再生したバインダ20%と、MPバイオメディカル社から取得した、ベータシトステロールと呼ばれる混合ステロール(カタログ番号02102886、ベータシトステロールが~40から60%、カンペステロール~20から40%、スティグマステロール~5%含有)7.5%から構成された。
【0103】
エージングしていない状態のバインダにとっての高温度バインダグレードは、ASTM規格D7175に準拠してテストした時に、バインダの剛性が1キロパスカル(kPa)になる時の温度である。他の全てのエージングした状態のバインダについての高温度剛性グレードは、ASTM規格D7175に準拠してテストした時に、バインダの剛性が2.2キロパスカル(kPa)になる時の温度である。この従来の測定法は、伝統的なSHRP PGグレーディング法に準拠する。表3に示された結果は、サンプル中にステロールがない時の高温度バインダグレードが、ステロールが存在する時よりも、早い速度で上昇することを示している。サンプル#1では、PAVで20時間エージングした後の高温度剛性グレードが、サンプル#3よりも5.1℃高かった。PAVで40時間エージングした後では、差は6.5℃であるか、高温度バインダグレードにおいて、1以上のフルPGグレードであった。ステロールを含まないサンプル#2では(再生シングルバインダは、たったの10%しか含まない)、PAVで20時間エージングした後の高温度バインダグレードが、再生バインダを20%含み、ステロールを7.5%含むサンプル#4よりも3.2℃高く、PAVで40時間エージングした後の高温度剛性グレードが、5.8℃高かった。低温特性に対する影響も、同じ程度である。PAVで20時間エージングした後でも、サンプル4#は、プラス1.3℃のΔTcを有し、2.9℃だけ有利な差である。PAVで40時間エージングした後では、サンプル#4のΔTcは-1.9℃であり、これはサンプル2より2.8℃よい値である。サンプル#2は、サンプル4と比べると、シングルバインダを、半分しか含んでいないことを考慮すると、これらは大きな改善である。表3に纏められたデータから、ステロールの使用により、低温特性、特に、m値と関係する臨界緩和特性に対するエージングの影響を遅らせるだけでなく、ステロールを添加することによって、バインダの高温剛性が、エージングとともに上昇する速度を遅らせることができることが分かる。
【0104】
【0105】
〔実施例2〕
混合ステロールの使用が、REOBで観測された極端なΔTcの結果を緩和することができるか否かを評価するために、3つのバインダサンプルを評価した。これらのサンプルは、300℃から325°Fの温度で、1クオート(0.946リットル)の容器中、低せん断ライティングミキサを用いて、約30分間、混合することによって作製された。REOBサンプルは、実施例1で使用した再生シングルバインダを含むサンプルと比べて、要求される熱量が小さい。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
バインダがエージングされるにしたがって、ステロールを含まないサンプルについてのΔTc値は、最も低い値のΔTcを示した。PAVで40時間エージングした後の5%および7.5%ステロール混合物のΔTcの値は-3.0℃より大きかったが、ステロールを含まない混合物ではΔTcの値が-6.5℃となった。
【0110】
〔実施例3〕
混合ステロールの使用が、REOBで観測された極端なΔTcの結果を緩和することができるか否かを評価するために、3つのバインダサンプルを評価した。これらのサンプルは、300℃から325°Fの温度で、1クオート(0.946リットル)の容器中、低せん断ライティングミキサを用いて、約30分間、混合することによって作製された。REOBサンプルは、実施例1のサンプルのような再生シングルバインダを含むサンプルと比べて、要求される熱量が小さい。使用された混合ステロールは、実施例1で記載したものと同様である。
【0111】
この実施例で使用されるバインダは、2006年、ミネソタ州オルステッド郡、カントリトランク通り112番地で構築された研究プロジェクトで使用された4つのバインダのうちの一つである。他の原油材料から取られた他の3つのバインダも、同じ骨材バインダを用いて評価された。MN1-4バインダを含む試験片は、ほかの試験片よりも、大幅に性状が悪く、MN1-4はREOBを含んでいた。REOB含有量は、特に示されていなかったが、バインダの亜鉛含有量のテストから、REOB含有量は8%から9%の範囲であっただろうことが分かる。
【0112】
MN1-4バインダサンプルは、5%および7.5%ステロールを用いて作製され、PAV中の20、40、60時間の条件でエージングされた。低温特性とΔTcの値は、4mmDSRテスト法を用いて、エージング0、RTFO、20、40、および60 時間PAVエージングの条件で、測定された。
【0113】
表5は、独自調査による全体の損傷データとCTH112試験片での40時間PAVデータとの比較を示す。ステロール5%、7.5%混合物をMN1-4バインダと混合したものの、40および60時間PAVについてのテスト結果も、示す。
【0114】
【0115】
【0116】
MN1-2バインダは、西部カナダ原油のブレンドを用いて作製した改質PG58-34ポリマーであり、MN1-3は、西部カナダ原油のブレンドを用いた、ミネソタ精製所から取得したPG58-28バインダである。MN1-4は、キルクークからの中東原油のブレンドを用いた、テキサス精製所から取得したものである。MN-1-1は、PG58-34である。MN1-4 は、REOBを含んでいた。
【0117】
5%および7.5%ステロールで処理し、PAV中で40および60時間エージングしたMN1-4のサンプルのみは、すべて、PAV中で40時間エージングした未処理のMN1-4より大きいΔTcの値を示した(負の値が小さかった)。40時間PAV残留物のΔTcの値を直接比較すると、ステロールで処理したMN1-4のΔTcの値は、未処理のMN1-4バインダのΔTcの値のおよそ半分の値となった。
図4に示されている結果は、REOBとともにMN1-4バインダに5%ステロールが使用されていれば、8年にわたって使用された舗装材料の性能は、MN1-3バインダの性能に匹敵するだろうことを示唆している。
【0118】
〔実施例4〕
再生アスファルトバインダシングルを用いたバインダのエージング特性に影響するステロールの役割を更に評価するために、4サンプル:対照バインダおよび2つのバインダ(高レベルのRAPおよび/またはRASを用いるための再生用添加剤として宣伝されている市販の生物由来と混合されている)を評価した。4つのバインダは、以下の通りである。
1.対照バインダPG52-34、添加剤を含まない
2.PG52-34+5%混合ステロール
3.PG58-28+5%EVOFLEX PC2106 インゲビティ社
4.PG58-28+5%RS1100 アリゾナケミカル社
再生アスファルトシングルがバインダのエージング特性に与える影響を精査するために、上述したバインダを使用して、5%RASを含むビチューマス混合物を作製し、135℃で24時間、ルーズミックスエージングを施した。このエージング工程後、バインダが、抽出、回収され、低温特性が測定され、ΔTcが算出された。
【0119】
これらのサンプルは、148.9℃-162.8℃(300から325°F)の温度で、1クオートの容器中、低せん断ライティングミキサを用いて、約30分間、混合することによって作製された。
【0120】
これらのサンプルは、4つすべてのバインダの高温PGグレードがほぼ等しくなるように作製された。一般的には、5%の生物由来オイルの使用は、高温PGグレードを6℃またはそれ以上、低下させるので、PG58-28バインダは、PC2106およびRS1100とともに使用された。
【0121】
ASTM D7175またはAASHTO T315にしたがう、各バインダの高温PGグレードと、20時間PAVエージング後に4mmDSRテストによって決定された低温特性は、表6に示した。
【0122】
【0123】
表6におけるデータから、出発材料として2つの異なるバインダを用いても、生物由来のオイルを用いてサンプルが作製されると、高温PGグレードは、ほぼ等しい値となり、実際には、生物由来のオイルの混合物は、剛性がやや低かったことが分かる。従来の低温PGグレーディングは、20時間PAVエージング処理後のバインダに対して、決定される。
【0124】
表6の低温PGグレードのデータは、4つ全てのバインダは、PGグレードが-34で一致することを示している。したがって、5%RASを含むビチューマス混合物を製造する前、および24時間エージングの前には、混合物のバインダは、非常に類似した高温および低温PGグレードの値を持っていた。
【0125】
更に、エージングしていない各バインダに、一般的な濃度の、累積輪数(Equivalent Single Axel Loads (ESALs))300万の交通寿命に耐えるように設計された道路を舗装するのに適したグレードの骨材と5%RASとを混合した。5%RASは充分なバインダを含んでおり、混合物中に約20%のバインダ代用物を提供する。舗装混合物中のそのようなレベルのRASは、ビチューマス舗装の業界では、今のところ、充分に受け入れられるレベルである。5%のRASを、12.5mmの公称最大サイズの 95%の骨材と混合することによって、各3000グラムの混合物が作製された。この混合物に必要な合計のバインダ含有量は5.7%であるが、バインダの20%はRASから得られので、それぞれのバインダサンプルのたった4.6%が、この合計の混合物によって添加された。
【0126】
前記混合物は、目標温度である162.8℃(325°F)で、バケットミキサ内で2分間の混合によって作製し、その後、それぞれ約18インチ×12インチ、2.5インチの厚さのパンに、層状に載置した。混合物は圧縮せず、前記パン上に弛緩した状態で載置した。前記パンは、Blue M model 166 強制通風オーブンに135℃(275°F)に載置し、その温度を24時間保った。この期間の後に、混合物を取り出し、室温まで冷却した。その後、遠心抽出器を用い、バインダを除去する溶媒としてトルエンを使用して、混合物からバインダを抽出した。抽出されたアスファルトの再生は、ASTM D7906-14(トルエンおよびロータリーエバポレータを用いた溶液からのアスファルトバインダの再生のための標準的な操作)に従って、Buchiロータリーエバポレータを用いて完了された。再生した後、4mmDSRテストが行われた。135℃で24時間エージングした混合物から回収したバインダのΔTc特性は、4mmDSRを使って決定された。これらのテストの結果は、表7に示す。
【0127】
【0128】
表7のデータは、40時間PAVエージングを経ても、4つのバインダの、低温のS臨界グレード、低温のm臨界グレードおよびΔTc特性の間に、ほとんど差がないことを示している。しかし、表8では、RASを含む混合物を、作製し、エージングし、それからバインダを、回収し、テストすると、ステロールを混合したバインダは、エージングおよび、バインダ応力緩和の喪失(エージングしたRAS混合物の特性)に抵抗することが明らかである。更に、エージングに対する抵抗は、混合物の作製に使われたベースバインダの機能ではない点に注意する必要がある。Evoflex PC2106とAZ Chemical RS1100に使われるベースバインダは、PG58-28であり、対照バインダとステロールブレンド中に使用されるバインダはPG52-34であった。ベースバインダに関わらず、ステロールを含まないサンプルは、表8に詳述したステロールブレンドに比べて充分に高いPG値と、2倍近くのΔTcを有する。
【0129】
更に、表7に示されている剛性データおよびm値臨界データと比べたときに最も大きい影響を、m値臨界温度の値に対して、24時間、135℃(275°F)の条件が有していることを、表8は示している。更に、表8は、植物ステロール添加物による主な影響は、エージングによるバインダ応力緩和の喪失を遅らせる機能であることを示している。更に、PG52-34対照バインダと、生物由来のオイルを用いて作製したバインダの、高温PGグレードは同じであり、これらの添加物は、高温でも低温でも、再生用添加剤としては機能しないことを示している。
【0130】
【0131】
ステロールブレンドの高温グレードは、他の再生バインダの高温グレードより10℃から17℃低く、これは、ステロールブレンドバインダとその他のバインダサンプルとの間に、1.5から3に近いフルPGグレードの差をもたらす。20時間PAVエージング低温データ(表7)を比較の基準として用いると、剛性臨界値は、3.6℃(PG52-34対照)上昇し、8.9℃(RS1100 ブレンド)にもなる。しかし、m臨界値は、2つの生物由来オイルブレンドで18.8℃(PG52-34対照の値。ステロールブレンドでは13.6℃)上昇して、23℃となる。この実施例から、応力緩和特性は、混合物のエージングとともに、RASの存在によって、より実質的な影響を受け、ステロールを含む混合物は、他のバインダに比べて、高温特性においても低温特性においても、もっとも影響を受けないという結論が導かれる。
【0132】
〔実施例5〕
マヤ原油を使い、メキシコのペメックス精製所から取得したPG64-22アスファルトバインダサンプルは、60時間PAVエージングの後では、カナダ原油を使い、米国内の精製所から取得したPG64-22と比べて、エージング特性が非常に悪いことが分かった。前記サンプルは、5%および7.5%混合ステロールを、Asphalto64-22と呼ばれるメキシコ産アスファルトバインダに添加することによって生産され、同様のブレンドサンプルが米国内で生産されたPG64-22を使用して、生産された。合計で6つのバインダサンプルが評価された。前記サンプルは、実施例1に記載したように生産され、使用されたステロールは実施例1に記載したものと同じである。
1.対照サンプルAsphalto64-22、添加剤なし
2.Asphalto64-22+5%混合ステロール
3.Asphalto64-22+7.5%混合ステロール
4.対照サンプル 米国産PG64-22、添加剤なし
5.米国産PG64-22+5%混合ステロール
6.米国産PG64-22+7.5%混合ステロール
バインダは、エージングされない、RTFO、20時間PAV、40時間PAV、60時間PAVの状態でテストされ、高温、低温PGグレードを決定した。低温結果は、前述の4mmDSR法を使って得た。高温グレードは、ASTM D7175に従って決定した。全てのエージング条件におけるΔTcの結果も、4mmDSRデータに基づいて決定した。R値としても知られる流動性インデックスも、4mmDSRデータから算出した。全てのエージング条件下のバインダの組成データは、イアトロスキャン法を使って測定し、そのデータからコロイド指数を算出した。すべてのテストのデータは、表9、表10、表11および表12に纏めた。
【0133】
全体的な傾向として、アスファルトバインダのエージングにしたがって、R値は、応力を緩和する能力の低下のために、上昇し、コロイド指数は、アスファルテンの量が増加し、かつ飽和物がほぼ不変であり、かつ環状物が減少する(樹脂においてわずかに増加する)のために低下する。表9のデータを検討すると、ステロールを0%、5%、7.5%含有するAsphalto64-22バインダサンプルが継続的にエージングするにつれ、R値は増加し、コロイド指数が減少することが分かる。
【0134】
【0135】
【0136】
表10は、エージングが進むにつれ、テストされた各ステロール用量レベルのΔTcの値が継続的に減少するものの、5%と7.5%ステロール混合物では、ΔTcの減少がはるかに小さいことが分かる。
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
これらの傾向は、
図5、6、および7のグラフに示されている。
図5にプロットされたデータは、0%ステロールブレンドについてのコロイド指数の値毎に実質的にR値がより高いR値とコロイド指数との関係を示す。
0%ステロールブレンドについてのR値-コロイド指数曲線は、5%および7.5%ステロールブレンドについてのR値-コロイド指数曲線より、かなり高い位置にある。5%および7.5%ステロールブレンドについてのR値-コロイド指数曲線のR値は、対応する0%ステロールサンプルのR値より0.5ユニット以上低い。データは、20時間PAVエージング後、7.5%ステロール混合物で、5%ステロール 混合物に比べて、R値に減少が見られ、Asphalto64-22バインダのステロール添加剤には、用量反応効果があることも示している。コロイド指数は、化学的な組成を決定し、R値は、流動性を決定するので、これら2つのパラメータ間に高いレベルの因果関係があることは、ステロールは、流動性の基礎とともに、化学的な組成にも影響することを示している。
【0142】
図6は、エージングなし、RTFO、20時間PAV、40時間PAVおよび60時間PAV条件での、マヤ原油を原材料とするAsphalto64-22とカナダ原油を原材料とするPG64-22の両方で、0%、5%および7.5%ステロール含有についての、4mmDSRテストから得られたΔTcのデータをプロットしてものである。Asphalto64-22は、エージング後ΔTcの値が大きく低下するが、ステロールを添加することによって著しく改善した。最も効果が大きかったのは、60時間PAVエージング条件においてであったが、Asphalto64-22バインダについても用量反応効果が見られた。ΔTcのマイナスの値に大きな問題はないカナダ原油を原材料とするPG64-22でも、エージングに伴うΔTcにいくらかの改善が見られたが、その効果は、はるかに小さかった。
【0143】
このように、エージングに起因して大きな差が見られるアスファルトバインダに対するステロールの影響を比較分析すると、ステロールを添加することの最も大きな利点は、 エージングに伴ってアスファルトバインダ中のΔTcが大きく減少する点にあることが分かる。
【0144】
図7は、カナダ原油を原材料とするPG64-22のR値とコロイド指数の関係をプロットしたものである。0%ステロール混合物は、5%と7.5%混合物に比べて、高いR値を示す。しかし、ステロール混合物とステロールを含まない対照混合物との間の差は、Asphalto64-22についての値の約半分である。
図8は、7.5%ステロールを含むAsphalto64-22と添加剤を含まないPG64-22についてのR値とコロイド指数の比較を通して、深刻なエージング問題を抱えるアスファルトバインダを、エージング問題が最小であるアスファルトバインダの特性に近づけることが可能であることを示している。
【0145】
〔実施例6〕
実施例4では、生物由来の油は軟化剤として機能するが、それらの剛性お低減する影響は混合物中RASと組み合わされたときまたはそれらのシングルから再生されたアスファルトとブレンドされたときに維持されなかった。本実施例では、シングルから再生され、その後延長されたエージングがなされる、アスファルトと組み合わせられる植物ステロールとの関連における生物由来の油の軟化特性が、生物由来の油の軟化特性を示し続けるかどうか、またはそれらの特性がバインダを含む非植物ステロールにみられるように分解されるかどうかを調査する。
【0146】
20%シングルバインダのブレンドを、以前の実施例において用いられたPG52-34バインダに添加した。これに、ブレンド5%混合植物ステロールおよび2.5%の植物由来油を添加した。ブレンドをPAV中に40時間までエージングして、ΔTcを以前に説明したように測定した。用いられた混合したステロールは実施例1に記載されている。
【0147】
表13は、PG52-34+5%ステロール+RASからえた20%シングルバインダへの2.5%植物由来油の添加により、いかなるシングルバインダを添加していないPG52-34+5%ステロールサンプルとほぼ同様の条件のエージングされたバインダの低温特性となり得ることを示している。ブレンド中のシングルバインダの存在により、20および40時間のエージング後の、より負のΔTc値を生じるが、ΔTc値はまだ許容され、ΔTc=-5℃の潜在的な性能の損害の一般的に許容される点に近づいていない。20時間のPAVエージング後両方のバインダの低温グレードはまだー34グレードであり、PAVエージングの40時間後は両方のブレンドについておよそ-33.5°である。
【0148】
【0149】
〔実施例7〕
粗ステロール源が以下に示された純ステロールの種々のブレンドについて上に示したような同一の結果を生成し得るかどうかを調査するために、RFTOエージング条件およびPAV(加圧されたエージングベッセル)において20および40時間、ASTM D65217に従って、製造されエージングした。トール油ピッチはTallexという商標名にてUnion Campから入手した。
1. PG64-22+5%トール油ピッチ
2. PG64-22+10%トール油ピッチ
3. PG64-22、5%トール油ピッチ、8%REOB
4. PG64-22、10%トール油ピッチ、8%REOB
ブレンドを1ガロン缶中で187.8~204℃(370-400°F)の温度でおよそ30分低せん断Lightning mixerで成分を混合することによって製造した。
【0150】
高温における最初の試験を行い、ブレンドの高温PGグレードを決定し、4mmDSR試験を4つすべてのエージングにおいて行い、4つすべてのエージング条件におけるブレンドの剛性臨界およびm-値臨界低温PGグレードを決定した。m-値臨界低温値から剛性臨界低温値を引くことにより得られる、ΔTcを4つすべてのエージング条件において決定した。
【0151】
【0152】
【0153】
表14のデータをプロットし、表9に示した。コントロールのPG64-22と比較して、
全てのブレンドはいくつかの例で少量のみ高温剛性値が低下した。
【0154】
トール油ピッチ(5%(R-0/T-5/S-0)および10%(R-0/T-10/S-0)とのブレンドは、軟化剤の添加で予測されるような、減少した高温剛性値を示した。トール油ピッチ+REOBとのブレンドは、REOBの剛性低下特性によっても予測された、高温剛性におけるさらなる低下を示した。ステロールのREOBとのブレンドは、8%REOBの添加でステロール含量が増加したときに高温剛性グレードの減少を示す。
【0155】
バインダブレンドが添加剤なし(R-0/T-0/S-0)から最大量の添加剤を含むブレンド(R-8/T-10/S-0)まで変化するとき、高温バインダ剛性グレードにおいて直線上の減少が存在する。このことは、REOBおよびトール油ピッチの軟化効果のみが高温剛性グレードにおける減少に関連するということを意味している。表15に示されているデータは、ちょうど8%REOBおよび0、5および10%のトール油ピッチとのブレンドが
図10に示されているように、パーセントトール油ピッチの一次関数として高温剛性グレードについて0.99のR
2値を有する。
【0156】
バインダブレンドが添加剤なし(R-0/T-0/S-0)から8%REOBを含み、ステロールを含まないブレンド(R-8/T-0/S-0)まで、8%REOBを含み、上昇したレベルのステロール(2.5%、5%、7.5%)を含むブレンドまで変化するとき、高温バインダ剛性グレードにおける2次的減少が存在する。表15および16に示された情報についてのデータプロットを
図10に示した。
【0157】
図10に示したデータは8%REOBとトール油ピッチまたはステロールの何れかの同等の量について、バインダの高温グレードは、トール油ピッチが採用された場合に対してステロールが採用された場合に、より低速で減少する。純ステロールブレンドの2次関数的性質はまた、PG64-22中のステロールとREOBとの間の相互作用を示唆している。
【0158】
【0159】
【0160】
高温剛性グレードにおけるこれらの類似性は、エージングしていない条件に反映する。これらのブレンドの低い範囲の性能特性は、エージングが生じた後の低温特性の試験から得られる。
図9のさらなる例は、それらがエージングされたときのバインダの低温のΔTc特性の以下の結果を示している。RTFOエージング+20および40時間のPAVエージング後に8%REOBを含むトール油ピッチブレンドは8%REOBを含む2.5%ステロールブレンドと同様のΔTc特性を示した。(%REOBを付k無5%ステロールブレンドの40時間PAV残渣は、以前に記載したsアンプルの20時間の特性を同様のΔTc特性を有していた。
図11は、RTFOエージングした条件と比較した20時間PAV条件における、および20時間PAVエージングした条件と比較した40時間PAVエージングした条件における、バインダブレンドの低温PGグレードにおける低下をプロットしている。
図11の傾向は、トール油ピッチを含んでいるブレンドの傾向について、低温PGグレードにおける増加は、20時間PAVエージングした条件に対するRTFOと比較して、PAVにおいて20~40時間エージングしたバインダと同様に低い。このことは、REOBが存在するかどうかでも生じる。REOBのみを含むサンプルは、
REOBのみを含んでいるサンプルは、PAVにおいて20~40時間エージングしている低温PGグレードにおいて50%以上の減少を示すが、40時間のPAV低温グレードはREOBとの5%および10%トール油ブレンドでは上昇し、REOBのみ含んでいるブレンドの20時間PAV残渣の低温PGグレードの上昇を維持する。すべてのうちで最も興味深い蛍光は、REOBと2.5%、5%および7.5%ステロールとのブレンドに対する低温PGグレードにおける20時間を40時間の変化は、ステロールレベルが上昇するときの低温グレードの変化のレベルの減少を示す。このことは、ステロール添加剤のエージングを遅らせる力の他の指標である。ステロール含有材料の影響は、研究によって、長い範囲の性能は、20時間PAVエージングと比較して40時間PAVエージング後の低温バインダ特性により関連することを示されたことから重要である。
【0161】
〔実施例8〕
トール油ピッチに添加ステロールを富化することが純ステロール単独で用いるときと比較可能な結果を生み出し得るか調査するために、トール油ピッチ中の純ステロールのブレンドを以下に示すようにRFTOエージング条件ならびにPAV(加圧エージングベッセル)において20および40時間でASTM D65217に従って、製造し、エージングした。トール油ピッチをUnion Campから入手した。PG64-22ベースアスファルト+8%REOBを種々のブレンドを製造するために選択したトール油ピッチについての文献に基づいて、15%をトール油ピッチ中のステロール含量に対する合理的量とする。十分に純粋なステロールをトール油ピッチに添加し、10%の添加のトール油ピッチ+純ステロールが2.5%、5%または7.5%純ステロールとなるようにブレンドした。85%トール油ピッチ+15%純ステロールブレンドは、2.5%純ステロールとおよそ同等なアスファルト中のステロールローディングであった。同様に、60%トール油ピッチよび40%純ステロールの10%ブレンドは、およそ5%の純ステロールローディングであり、30%トール油ピッチおよび70%の純ステロールの10%ブレンドはおよそ7.5%の純ステロールローディングであった。表17は 、ブレンド、エージング条件、低温剛性臨界温度、低温m-臨界温度、ΔTc値、低温PGグレードおよび高温PGグレードについての情報を示している。60時間PAVは8%REOBを含むG64-22においてのみ示さなかった。1ガロン缶中で187.8~204℃(370-400°F)の温度でおよそ30分低せん断Lightning mixerで成分を混合することによって製造した。
【0162】
高温での最初の試験をブレンドの高温PGグレードを決定するために行い、4mmDSR試験を4つすべてのエージングにおいて行い、4つすべてのエージング条件におけるブレンドの剛性臨界およびm-値臨界低温PGグレードを決定した。m-値臨界低温値から剛性臨界低温値を引くことにより得られる、ΔTcを4つすべてのエージング条件において決定した。表14に示した2.5%、5%および7.5%純ステロールについての40時間PAVの結果と表17に示した85/15、60/40および30/70の10%ブレンドについての結果との比較は、以下のデータを示している。2.5%純ステロールブレンドは、-5.20℃のΔTc値を有しており、85/15トール油ピッチ/純ステロールの10%ブレンドは、-4.66°CのΔTc値を有しており、5%純ステロールは-2.93°CのΔTc値を有しており、60/40ブレンドは-3.57°CのΔTc値を有しており、7.5%純ステロールは-2.05°CのΔTc値を有しており、30/70ブレンドは-2.05°CのΔTc値を有している。これらの結果はトール油ピッチ+純ステロールブレンド中の採用されるステロールレベルは、示された用量において純ステロールを用いるときに匹敵する。したがって、10%以下のこのようなステロールを濃縮したトール油ピッチは想到の結果を生じ得る。
【0163】
【0164】
【0165】
〔実施例9〕
カシューナッツ殻液(CNSL)およびコレステロールがアスファルトバインダのエージングを遅らせられるかどうかを評価するために、以下に示したブレンドを実施例2に記載のように混合した:
PG64-22、8%REOBおよび5%カシューナッツ殻液(CNSL)は、Rheofalt HP-EMとして市販されており、オランダのVan Weezenbeek Specialtiesから入手した。CNSLはおよそ10%の植物ステロールを含んでいるといわれており、アスファルト回復剤として販売促進されている。
【0166】
PG64-22、8%REOBおよび5%の実験室グレードのコレステロールはVWR scientificから購入され、Amresco, LLC of Solon, OHから供給された。
【0167】
純粋な植物ステロールは実施例1に記載されているものと同一である。
【0168】
PG64-22を用いて、ブレンドは0%、2.5%、5%および7.5%ステロール、5%CNSLまたは5%コレステロールを8%REOBと共に用いて製造され、4 mm DSR 試験法を用いて、それらのエージングしていないRTFOエージングされた、20時間PAVエージングされた、40時間PAVおよび60時間PAV条件で低温剛性およびm-値臨界温度を試験した。低温特性およびΔTc値を4mmDSR試験法を用いて測定した。
【0169】
データを表18に示し、
図13および14にプロットする。
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
表18はベースラインとして今日される添加剤なしのPG64-22について製造されたデータを要約している。ねがてぃぐコントロールとしてPG64-22+8%REOBおよびポジティブコントロールとして5%純ステロールを示した。他のブレンドはPG64-22+8%REOB+種々のレベルの純ステロール、5%CNSLおよび5%コレステロールを用いた。REOBが異なる量のステロールと組み合わせられる場合、より多いステロール量はパラメータΔTcによって定量されるエージングの効果の増大した妨害を示す、用量応答性の効果がある。用量として任意の所定のエージング期間において減少したステロールレベルは、ΔTcパラメータがより負になるということがわかった。さらに、バインダエージング時間またはバインダエージング処理が所定のステロール用量に対し増加するにつれΔTcパラメータはより負になった。ΔTcの値がより負であるほど、舗装損傷が生じる可能性はより大きい。
【0175】
また、表18は、40時間のPAVエージングを通じて、8%REOB+5%CNSLブレンドΔTcは、添加剤なしの8%REOBブレンドのもとの同様であり、10%トール油ピッチ+8%REOBのブレンドより、2.38℃悪く、5%トール油ピッチ+8%REOBのブレンドより1.32℃悪いことを示している。20時間PAVエージングポイントにおいてCNSLブレンドはすでに、5%または10%トール油ピッチの8%REOBとのブレンド何れかよりも悪いΔTc値を有する。
【0176】
図13は、エージングしていないおよび回転薄膜オーブン(rolling thin film oven (RTFO))についてのみ報告されている異なるサンプルについてのΔTcの傾向を示している。データが示すように、より激しくないエージングである場合ΔTcの影響は無視でき、ゼロよりも大きくなる。
図13におけるΔTcのデータから、試験したREOBを含み、エージングなしか、最小のエージングしたバインダにより、REOBはアスファルト混合物中で良好な性能を発揮する材料であるということが結論付けられる。
【0177】
図14は、20、40および60時間の圧力エージングべセル(APV)エージングされたサンプルについてのΔTcを示している。これらのデータに示されているように、ΔTcに対する影響は、大きく、エージングが激しくなるにつれて負になる。データはまた、REOBなしまたはREOBnasi+5%純ステロールが40時間のPAVエージングを通して、非常にわずかなエージングを生じることを示している。データは、8%REOB、およびステロールなしもしくは変化するレベルの純ステロールを含んでいるブレンドが、より多い量の純ステロール添加物によって役立つことを示している。CNSLが約10%のステロールを含んでいると報告されているが、20PAVエージング条件においてさえ、わずかな有益な影響しかない。エージングを40および60時間まで継続させると、CNSLブレンドは、8%REOBのみを含んでいるブレンドと同等である。8%REOBおよび5%CNSLを含んでいるブレンドは、60時間にわたってエージングされると、ΔTc値が、-6.42℃から-12.22℃まで低下した(すなわち、エージングの負の影響が2倍になった)。8%REOBを有している5%CNSLブレンドおよび8%REOBのみのブレンドの間で、20および40時間のPAVエージングにおけるデータ蛍光によれば、60時間のPAVエージング後に、8%REOBのみのブレンドが-12℃付近のΔTcを示すと想定するのが、妥当である。
【0178】
図14はまた、を示す。40および60時間エージング条件において、PG64-22+8%REOBおよび5%コレステロールのブレンドがΔTc結果(5%純植物ステロールおよび7.5%純植物ステロールのデータの間にある)を示したことを、これらのデータに基づく結論は、ステロールの化学構造および必ずしもステロール材料の源が、これらの材料のエージング遅延影響における重要なドライバでないことをである。
【0179】
図15、16および17は、それぞれ、RTFO、20時間PAVおよび60時間PAVのバインダについてのブラックスペースプロットである。連続する複数のプロットは、バインダエージングの上昇している厳しさの、すべてのブレンドに対する影響を示し、かつコレステロールの有益さに特に焦点を当て、エージングがRTFOから60時間のPAVに進行するにつれて、いくつかの植物ステロールブレンドおよびコレステロールブレンド(すべてPG64-22に対して8%REOBを有している)と比べて相対的に低い性能のCNSLブレンドを示すことを目的にしている。ブラックスペースプロットは、バインダに対するエージングの影響について参考になり得る。3つすべての図において、縦線は、45°の位相角に示されている。45°位相角は、その位相角において瀝青の弾性係数および粘性係数が同じになるので、重要である。また、3つすべての図面には、1MPaのバインダ硬さのログまたは6のログ値に、横線が示されている。異なるバインダブレンドの位相角は、1MPaの固定値において比較された。1MPa(1E6Pa)の一定の複合係数において複数の位相角を比較することを選択したのは、硬さの値が、ガラス質の係数としても知られている100MPa(1E9Pa)の、瀝青の典型的な最大硬さ係数および試験されたバインダのほとんどにとって25℃の基準温度におけるより低い硬さ係数(1000Pa(1E3Pa))のほぼ中ほどにあたるためである。1MPaの一定の硬さ値において、より大きい位相角は、少なくエージングされたバインダを示し、より小さい位相角は、多くエージングされたバインダを示す。
図15~17についての全体のデータプロットの確認は、RTFOから60時間のPAVまでバインダエージングが進むにつれて、データプロットのすべては、45°の縦の位相角および1MPaの横係数線の交点に近づく。
【0180】
45°の一定の位相角におけるG*係数、および1MPaの一定のせん断係数における位相角についてのRTFOバインダデータが、表19に示されている。プロット番号の値は、
図15の上部にあるプロット#1からデータ追跡の体にあるプロット#7までの順に低下している。
図15に示されているすべてのサンプルは、8%REOBを有しているPG64-22のPTFO残余物(ポジティブコントロールであるプロット#1およびすべてのブレンドについてもとのベースバインダであるプロット#3を除く)である。さらに、他のサンプルは、幾分かの再生する有益さをもたらすと示唆されている添加剤を含んでいた。プロット#1は、REOBを含んでおらず、5%植物ステロールを含んでいるので、最も高いブラックスペースプロットを有していることは、当然のことである。5%コレステロールを含んでいるプロット#2は、REOBなしのサンプル#3よりも、45°における高い係数および1MPaにおけるより大きい位相角を有している。5%の混合植物ステロールを含んでいるプロット#4は、REOBなしのサンプルとほぼ同じトレースである。これらの2つのサンプル(5%コレステロールおよび5%植物ステロール)は、ブラックスペースにおいて、バインダエージングを遅延させる有益さを示す。プロット#6は、5%トール油ピッチを含んでおり、プロット#5は、5%カシューナッツ殻液(CNSL)を含んでおり、プロット#7は、PG64-22+再生添加物なしの5%REOBである。5%トール油ピッチは、この文献における前のデータが示す通りエージングを遅延させる幾分の有益さを有しているが、純植物ステロールおよびコレステロールほど有効でない。CNSLは、処理なしの選択肢より改善を示すが、RTFOエージングされたバインダ用のすねての添加物の中で最低の性能である。トール油ピッチ添加物はCNSLブレンドよりわずかによい性能と見られる。
【0181】
【0182】
表20は、
図16におけるブラックスペースプロットから取られた20時間PAVデータを示す。表21は、
図17におけるブラックスペースプロットから取られた60時間PAVデータを示す。
【0183】
【0184】
【0185】
サンプル#8および#9についての60時間データは、これらのサンプルについてのRTFO、20および40時間PAVデータから見積もられ、データを直接に測定していない。
【0186】
表19~21におけるデータは、バインダ硬さが1MPaであるときの位相角が、バインダのエージングとともに、連続的に小さくなることを示している。これは、バインダが脆くなっていることを示している。
【0187】
図17は、以上に述べられているいくつかのサンプルおよびその他についての、60時間PAVのブラックスペースプロットを示す。
図17には7のサンプルプロットがあり、45°位相角における複合係数(G*)および1MPaのG*における各サンプルについて位相角を示している表21におけるデータが、ある。プロット#1のサンプルは、5%植物ステロールのみ(REOBなし)であり、最も良好なブラックスペースプロットであった。8%REOBの7.5%植物ステロールおよび5%コレステロールについてのプロット#2および#3は、ほぼ同じである。次のデータは、非常に近くにあるが、8%REOBの5%植物ステロールが、REOBなしまたは再生添加物なしのPG64-22のコントロールサンプルより良好な特性を有している。8%REOBの2.5%植物ステロールブレンドは、コントロールサンプルより悪い特性を有しており、8%REOBの5%CNSLサンプルは、他の文連弩ブレンドのどれより低いブラックスペースプロットを有していた。この評価からの主な結論は、である。
5%コレステロールが7.5%植物ステロールと同等に有効であり、カシューナッツ殻液(CNSL)の有益さは延長されたエージングによって喪失した。
図15~17におけるブラックスペースの結果は、これらの図から抽出されたデータ(表19~21に示されている)と組み合わせると、
図14に示されているCNSLおよびコレステロールについてΔTcデータおよび結論を支持している。
【0188】
〔実施例10〕
生体由来の油が、後消費者の廃棄物シングルから抽出された20%レベルのバインダと組み合わせられたときに、エージングを遅延させるか否かを決定するために、複数のステロールを調べた。
【0189】
この試験で評価されるバインダは、PG52-34およびPG54-34+ステロール(標準的な20時間PAVエージング手順に基づいて高温グレードまたは低温グレードを有意に変えなった)であり、2つの生体由来の油を含んでいるPG58-28(PG34バインダ(2.5%カーギルの1103および5%の混合ステロール添加物のブレンド)を生成するためにPG58-28に加えられているカーギルの1103およびアリゾナケミカルのRS1100を含んでいる)の影響を比較した。
【0190】
これらのサンプルのうちいくつかの高温グレードは、GR52と一致せず、低温PGグレードは、野外で長期のエージングを受け、試験された、有意により重要な混合物性能である。
【0191】
表22に記載の各バインダは、300万のESAL舗装にとって好適なウィスコンシン規格サンプルを生成するために必要な合計5.7%のバインダの19.4%だけRASに頼っているバインダ含量に基づくに適合するサンプルを生成するために使用された。これらの各サンプルは、5%RAS(サンプルを生成するために必要な合計5.7%のバインダの19.4%だけRASに頼っているバインダ含量に基づく)を含んでいる。生成されたサンプルは、当該サンプルからバインダを抽出し、回収し、エージングされた材料のPG評価を実施する前に、異なる厳しいエージング手順にかけた。バインダを、遠心抽出器を用いてトルエンによって抽出し、ASTM D 7906および回転式蒸発器を用いて回収した。
【0192】
各バインダによって生成されたサンプルにとってのエージング手順を以下にまとめる。
1.135℃における緩やかな混合エージングの2時間の後に、抽出および回収した。
2.バインダを、2時間の緩やかな混合から回収し、135℃エージングサンプルを20時間のPAVエージングに続いて、ASTM D6521に供した。
3.バインダを、2時間の緩やかな混合から回収し、135℃エージングサンプルを20時間のPAVエージングに続いて、ASTM D652.1に供した。
4.生成された混合物を、強制通風オーブンにおける12時間の緩やかな混合エージングに供し、D7906を用いて抽出し、回収した。
5.生成された混合物を、強制通風オーブンにおける24時間の緩やかな混合エージングに供し、D7906を用いて抽出し、回収した。
6.2時間にわたって135℃でエージングした混合物を、
回転式の圧縮機において目的の空隙率(7%)まで圧縮し、ASTM D6925にしたがう試料を形成し、生成された試料を、10日および20日にわたって、強制通風オーブンにおいて85℃でエージングさせた。
【0193】
回収されたすべてのバインダを、ASTM D7175を用いて高温PG特性について試験し、低温特性をSui, Farrar et. al.によって開発された4mm DSR手法を用いて、試験し、評価した。
【0194】
【0195】
表22におけるデータは、試験されたすべてのバインダ(PG58-28を除く)が、低温おいてPG34評価に適合していることを示すことを目的にしている。PAVエージングされたΔTcデータはまた、40時間のPAVエージング後に重大なエージングを示したバインダのないことを示している。
【0196】
表23は、2時間、135℃エージングされた混合物から回収されたバインダの特性を示している。
【0197】
【0198】
表24は、2時間、135℃エージングされた混合物(続いて20時間のPAVエージングを受ける)から回収されたバインダの特性を示している。
【0199】
【0200】
表25は、2時間、135℃エージングされた混合物(続いて40時間のPAVエージングを受ける)から回収されたバインダの特性を示している。
【0201】
【0202】
表26は、12時間、135℃エージングされた混合物から回収されたバインダの特性を示している。
【0203】
【0204】
表27は、24時間、135℃エージングされた混合物から回収されたバインダの特性を示している。
【0205】
【0206】
表28は、10日、85℃エージングされた圧縮混合サンプルから回収されたバインダの特性を示している。
【0207】
【0208】
表29は、10日、85℃エージングされた圧縮混合サンプルから回収されたバインダの特性を示している。
【0209】
【0210】
回収されたバインダの高温PG評価に対するバインダエージングの影響、ならびにステロールおよび生体由来の油と関連する高温PG評価における傾向:
1.表23~29について、混合物#2および#3(ステロールを含んでいるバインダを用いて生成されたサンプル)から回収されたバインダは、他のバインダと比べて、低い高温PG評価を有していた。これは、各表に記載されているエージングプロセスに対する、ステロールの存在に起因する、低い感受性を示している。
2.混合物#5および#6(5%の生体由来の油を含んでいる)は、最初の混合後に、最も低い高温PG評価を有していた(表22)が、データおよび
図20が2時間の135℃エージング工程の後に示す通り、それらの高温PG評価は来pン号物1、2および3より高かった。これらの混合物から回収されたバインダは、12および24時間、135℃エージングされ、回収されたバインダ(表26および27)、ならびに10および20日、85℃エージングされ、回収されたバインダ(表28および29)について、混合物#4に匹敵する高温特性を有していた。2時間、135℃エージングされた混合物から回収さされたバインダの20および40時間のPAV後において、生体由来の有しているを含んでいるバインダは、もとのPG58-28より低い高温毒性を有していた。この関係は、混合物のエージングが重大になるにしたがって、継続しなった。これらの高温傾向は
図17においてすでに認められている。
【0211】
ステロールおよび生体由来の油と関連する低温PG評価における傾向:
1.2時間、135℃エージングされた混合物から回収されたバインダの低温PGグレードは、PG58-28+5%生体由来の油(混合物#5および#6)のブレンドが、最良の低温毒性を有していたことを示しているが(表23);混合物#2および#3についてのバインダは、20および40時間のPAVにおいてバインダをエージングした後に、最良の低温特性を示した。
2.12時間の混合エージング手順の後に、混合物#1は、混合物#2よりわずかに弱い低温グレードを有しているが、24時間の混合エージング手順の後に、混合物#2および#3は、最良の低温グレード値を有していた。10および20日、85℃の圧縮された混合条件の後に、混合物#2および#3は、最も弱い低温グレードを有していたが、混合物#1および#2は、10日のエージング工程の後に実質的に同じであり、
図21は1つのプロットにこれらの結果のすべてを示している。
3.混合物#3から回収されたバインダ(ステロールおよび2.5%カーギル1103バイオオイルを含んでいる)は、20日の85℃の圧縮混合エージングの後に(表29)、すべての混合物のうち、最良の低温バインダ特性を有していた。混合物#2(5%ステロールを含んでいる)は、10日の85℃エージング後に(表28)、PG52-34と類似する、回収されたバインダの低温PGグレード、および5%バイオオイルを用いて生成されたブレンド(混合物#5および#6)より弱い特性を有していた。
【0212】
エージングされ、回収されたバインダのΔTc特性およびR値特性における傾向は、ステロールおよび生体由来の油と関連していた。より温かいΔTc値が、不利益なエージングの少ない(長期の舗装性能を補助する)バインダの指標であることを、混乱を避けるために示す。ΔTcの結果は、
図22にプロットされている。
1.2時間、135℃条件の工程について、すべてのΔTcは正であり、混合物#6は最高値を有していた。
2.続く混合エージング条件のいずれについても、ステロールを含んでいる混合物(混合物#2および#3)にとっての回収されたバインダのΔTc値は、常に最少の負であった。
3.類似する種類のエージングについて混合物#2および#3のΔTc特性を比較したとき、混合物#3は常に、より強いエージングを有している混合物から回収されたバインダについて、最少の負のΔTc特性を有していた。この比較は、
図22により分かり易く可視化されている。
4.2時間、135℃エージングされた混合物から回収されたバインダの40時間PAVエージング後に、混合物#5および#6から回収されたバインダは、PG58-28(混合物#5および#6についてバインダに使用されている生体由来の油を有していない)のΔTcと類似のΔTc特性を有していた。
図22参照。
5.12および24時間、135℃エージングされた混合物(混合物#5および#6)回収されたバインダは、PG58-28(混合物#5および#6についてバインダに使用されている生体由来の油を有していない)のΔTcと類似のΔTc特性を有していた。
図22参照。
6.混合物#5および#6について、10および20日、85℃エージングされた、圧縮された混合物から回収されたバインダは、PG58-28(混合物#5および#6についてバインダに使用されている生体由来の油を有していない)のΔTcと類似のΔTc特性を有していた。
図19参照。
7.類似のデータ傾向は、これらのブレンドについてのR値をプロットしている
図23に認められる。より低いR値は、より良好な緩和特性を有しているバインダを示している。値3は、破壊的な割れが問題になり得るまでエージングしているバインダを一般的に表している。
図23は、混合物#2および#3のみが、24時間135℃混合エージング手順を除いて、3未満の値を維持し、そのエージング条件においてそれらが最も低いR値を維持していることを示す。
【0213】
エージングされた回収されたバインダの特性のうち、コロイド指数における傾向は、ステロールおよび生体由来の油と関連した。コロイド指数は、エージングしているときのバインダにおける組成における変化の指標である。バインダがエージングすると、コロイド指数(CI)は、アスファルテンの増加および主に環状物の減少に起因して、低下する。
図24は、試験されたバインダブレンドの異なるエージング条件について、コロイド指数のプロットである。
図24は、2時間の135℃エージングの後に回収されたすべてのバインダが、2.5より優れたCI値(非常に良好な値)を有していた。論じられている他のパラメータと同様に、いったんエージングが始まると、エージングの不利益な影響が明らかになり始める。エージングが進行するほど、すべてのバインダについて一般的な傾向は、CIの低下であるが、すべてのエージング工程について、ステロール含有ブレンド(混合物#2および#3)は最高の値を示す。論じられている他のパラメータと同様に、生体由来の油添加物を含んでいるブレンドは、元のPG58-28と類似のCI値を有している。しかし、40時間PAVの残余サンプル混合物#5は、混合物#2および#3のCI値と類似のCI値を有している。
1.12&24時間、135℃混合エージングされたサンプル回収されたバインダ、および10&20日、85℃エージングされ圧縮された混合物サンプル回収されたバインダについてのCI値は、ステロール含有混合物(混合物#2および#3)にとってのバインダが、最高値を有していたことを示している。カーギル1103含有混合物(混合物#5)についてのCI値は、アリゾナケミカルRS1100含有混合物(混合物#6)よりわずかに高く、これらの混合物のうちCIは、バイオオイル添加物なしのPG58-28混合物(混合物#4)にとってのCIと類似である。
【0214】
エージングされ回収されたバインダのすべてについてのコロイド指数の組成要約グラフについて、
図24を参照する。
【0215】
以上の結果は、再生バインダを高レベルに含有している混合物を生成するために使用されるバインダに対する、ステロールの添加が、混合物またはバインダのエージングを遅らせ得ることを示す。短期にオーブンエージング(2時間、135℃)され、回収されたバインダは、20および40時間エージングされたときに、ステロールブレンドが、差異路湯のコロイド指数および最も暖かいΔTc値を維持したことを示したことが、重要である。また、135℃でエージングされ、85℃でエージングされ圧縮されたステロール含有混合物が、他の混合物と比べて最良のコロイド指数およびΔTc特性を維持していた再生されたバインダを有していたことが、重要である。これは、ステロールの影響が、エージングをどのように生じさせているか(すなわちPAVまたは凝集エージング手順、ルーズもしくは圧縮の混合物、またはアスファルトフィルムにおいて;Mまたは特定の温度、100℃PAV、PAV圧縮混合物もしくは135℃のルーズ混合)の人為的結果ではないことを証明している。エージング速度は、これらの要因に影響され得るが、エージング基準、材料に対する影響の所定の設定について、試験は常に同じである。
【0216】
以上の結果はまた、これらのバインダが、高レベルの再生バインダを用いて混合物を生成するために使用され得るように、生体由来の有している油の、バインダへの混合が、生体由来の油が加えられている元のバインダの条件に戻す、これらの混合されたバインダのエージングを遅らせる結果を生じないことを示す。これは、再生またはエージングの遅延ではなく、混合物全体の単純な軟化であり、環境を壊さずに利用可能とは思われない。
【0217】
ステロールの添加は、高温または低温において1または2℃より大きく、バインダを軟化させないことを示す。しかし、混合物#2および#3についてのデータが証明する通り、ステロールの存在は、エージングの破壊的な作用を遅らせる機能を果たす。ステロールは、バインダのエージングを防いでいないが、エージングの速度を変えており、混合物#3に基づいて、延長されたエージングの結果としての逆作用なしに、低レベルの生体由来の油の低下した軟化の有益さを維持しない。
【0218】
追加の非限定の実施形態のいくつかを、本開示を更に例示するために、以下に記載する。
1.骨材と、バージンアスファルトバインダと、再生アスファルト舗装(RAP)、再生アスファルトシングル(RAS)、または両方の組み合わせを含む再生アスファルトバインダ材料と、トリテルペノイドと、軟化剤とを含む、アスファルトバインダ舗装であって、前記トリテルペノイドは、エステルまたはエステル混合物を含有している環状有機化合物を含まず、前記バージンアスファルトバインダの約0.5重量%~約15重量%のステロール含量を有しているアスファルトバインダ舗装。
2.バージンアスファルトバインダと、再生アスファルト舗装(RAP)、再生アスファルトシングル(RAS)、または両方の組み合わせを含む再生アスファルトバインダ材料と、トリテルペノイドと、および軟化剤とを含むアスファルトバインダであって、前記トリテルペノイドは、エステルまたはエステル混合物を含有している環状有機化合物を含まず、前記バージンアスファルトバインダの約0.5重量%~約15重量%のステロール含量を有しているアスファルトバインダ舗装。
3.前記アスファルトバインダの酸化エージングを遅延させる方法であって、当該方法は、一つ以上のトリテルペノイド又はトリテルペノイド混合物をビチューメンバインダまたはアスファルトバインダ組成物に添加する工程を含み、前記トリテルペノイド混合物は、エステルまたはエステル混合物を含まず、前記トリテルペノイドまたはトリテルペノイド混合物は、前記組成物の約0.5重量%~約15重量%に使用され、前記トリテルペノイド混合物は、前記バージンアスファルトバインダの約1重量%~約10重量%または約1重量%~約3重量%存在する、方法。
4.アスファルト舗装製造に再生アスファルトバインダを再利用する方法であって、当該方法は、エステルまたはエステル混合物を使用しないビチューメンバインダまたはアスファルトバインダ混合物の添加物としてトリテルペノイドまたはトリテルペノイド混合物の使用を含み、前記トリテルペノイド添加物は、前記バージンアスファルトバインダの約0.5重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、または約1重量%~約3重量%存在する、方法。
5.道路の舗装表面に塗布する方法であって、当該方法は、先行する実施形態のいずれかのアスファルトバインダが調製され、混合され、ベース表面に塗布され、および圧縮される前記使用工程を組み込む方法。
6.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記トリテルペノイドはステロールである、組成物および方法。
7.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記トリテルペノイドはスタノールである、組成部および方法。
8.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記トリテルペノイドは植物ステノールである、組成物および方法。
9.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記トリテルペノイドは植物スタノールである、組成物および方法。
10.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記再生アスファルトバインダ材料はRAPである、組成物および方法。
11.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記再生アスファルトバインダ材料はRASである、組成物および方法。
12.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、ステロール含有はバージンアスファルトバインダの約1重量%~約15重量%である、組成物および方法。
13.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダ組成物は、バインダ交換レベル1%以上において再生アスファルト材料(RAS)を含む、組成物および方法。
14.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダ組成物は、バインダ交換レベル10%以上または20%以上において再生アスファルト舗装(RAP)を含む、組成物および方法。
15.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、RAPバインダ交換レベル10%以上およびRASバインダ交換レベル1%以上において組み合わせて使用されている再生アスファルト舗装(RAP)および再生アスファルトシングル(RAS)を含む、組成物および方法。
16.先行する実施形態のいずれかの組成物または方法であって、前記アスファルトバインダ組成物は、ポスト消費者(post-consumer)の廃棄シングルから抽出し回収したアスファルトバインダを、1重量%以上または5重量%以上のレベルで含む、組成物および方法。
17.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、製造者が廃棄済のシングルから抽出し回収したアスファルトバインダを、1重量%以上、2重量%以上または5重量%以上のレベルで含む、組成物および方法。
18.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、ASTM規格D312のタイプII、タイプIII、タイプIVに準拠する酸化されたアスファルトバインダと、1重量%以上または5重量%以上のレベルのコーティングアスファルトバインダを含む、組成物および方法。
19.先行する実施形態のいずれかの組成物または方法であって、前記アスファルトバインダは、抽出し回収したRAPを10重量%以上のレベルで含む、組成物または方法。
20.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、再精製したエンジンオイルボトム(re-refined engine oil bottoms)を、3重量%または3体積%以上のレベルで含む、組成物または方法。
21.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、パラフィンオイルを、1重量%または1体積%以上のレベルで含む、組成物および方法。
22.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダ舗装は、再精製したエンジンオイルボトムを、1重量%または1体積%以上のレベルで含む、組成物および方法。
23.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダ舗装は、パラフィンオイルを、1重量%または1体積%以上のレベルで含む、組成物および方法。
24.骨材と、バージンアスファルトバインダと、再生アスファルト舗装(RAP)、再生アスファルトシングル(RAS)、または両方の組み合わせを含む再生アスファルトバインダ材料と、トリテルペノイドと、軟化剤とを含む、アスファルトバインダ舗装であって、前記トリテルペノイドは、エステルまたはエステル混合物を含有している環状有機化合物を含まず、前記バージンアスファルトバインダの約0.5重量%~約15重量%のステロール含量を有しているアスファルトバインダ舗装。
25.バージンアスファルトバインダと、再生アスファルト舗装(RAP)、再生アスファルトシングル(RAS)、または両方の組み合わせを含む再生アスファルトバインダ材料と、トリテルペノイドと、および軟化剤とを含むアスファルトバインダ組成物であって、前記トリテルペノイドは、エステルまたはエステル混合物を含有している環状有機化合物を含まず、前記バージンアスファルトバインダの約0.5重量%~約15重量%のステロール含量を有しているアスファルトバインダ組成物。
26.前記アスファルトバインダの酸化エージングを遅延させる方法であって、当該方法は、一つ以上のトリテルペノイド又はトリテルペノイド混合物をビチューメンバインダまたはアスファルトバインダに添加する工程を含み、前記トリテルペノイド混合物は、エステルまたはエステル混合物を含まず、前記トリテルペノイドまたはトリテルペノイド混合物は、前記組成物の約0.5重量%~約15重量%に使用され、前記トリテルペノイド添加物は、前記バージンアスファルトバインダの約1重量%~約10重量%または約1重量%~約3重量%存在する、方法。
27.アスファルト舗装製造に再生アスファルトバインダを再利用する方法であって、当該方法は、エステルまたはエステル混合物を使用しないビチューメンバインダまたはアスファルトバインダ混合物の添加物としてトリテルペノイドまたはトリテルペノイド混合物の使用を含み、前記トリテルペノイド添加物は、前記バージンアスファルトバインダの約0.5重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、または約1重量%~約3重量%存在する、方法。
28.道路の舗装表面に塗付する方法であって、当該方法は、先行する実施形態のいずれかのアスファルトバインダ組成物が調製され、混合され、ベース表面に塗布され、および圧縮される前記使用工程を組み込む方法。
29.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記トリテルペノイドはステロールである、組成物および方法。
30.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記トリテルペノイドはスタノールである、組成部および方法。
31.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記トリテルペノイドは植物ステノールである、組成物および方法。
32.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記トリテルペノイドは植物スタノールである、組成物および方法。
33.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記再生アスファルトバインダ材料はRAPである、組成物および方法。
34.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記再生アスファルトバインダ材料はRASである、組成物および方法。
35.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、ステロール含有はバージンアスファルトバインダの約1重量%~約15重量%である、組成物および方法。
36.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダ組成物は、バインダ交換レベル1%以上において再生アスファルト材料(RAS)を含む、組成物および方法。
37.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダ組成物は、バインダ交換レベル20%以上において再生アスファルト舗装(RAP)を含む、組成物および方法。
38.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、RAPバインダ交換レベル10%以上およびRASバインダ交換レベル1%以上において組み合わせて使用されている再生アスファルト舗装(RAP)および再生アスファルトシングル(RAS)を含む、組成物および方法。
39.先行する実施形態のいずれかの組成物または方法であって、前記アスファルトバインダは、ポスト消費者(post-consumer)の廃棄シングルから抽出し回収したアスファルトバインダを、1重量%以上または5重量%以上のレベルで含む、組成物または方法。
40.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、製造者が廃棄済のシングルから抽出し回収したアスファルトバインダを、1重量%以上、または5重量%以上のレベルで含む、組成物および方法。
41.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、ASTM規格D312のタイプII、タイプIII、タイプIVに準拠する酸化されたアスファルトバインダと、1重量%以上または5重量%以上のレベルのコーティングアスファルトバインダを含む、組成物および方法。
42.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、抽出し回収したRAPを10重量%以上のレベルで含む、組成物および方法。
43.先行する実施形態のいずれかの組成物および方法であって、前記アスファルトバインダは、再精製したエンジンオイルボトム(re-refined engine oil bottoms)を、3重量%または3体積%以上のレベルで含む、組成物および方法。
44.先行する実施形態のいずれかの組成物または方法であって、前記アスファルトバインダは、パラフィンオイルを、1重量%または1体積%以上のレベルで含む、組成物または方法。
45.先行する実施形態のいずれかの組成物または方法であって、前記アスファルトバインダ舗装は、再精製したエンジンオイルボトムを、1重量%または1体積%以上のレベルで含む、組成物または方法。
46.先行する実施形態のいずれかの組成物または方法であって、前記アスファルトバインダ舗装は、パラフィンオイルを、1重量%または1体積%以上のレベルで含む、組成物または方法。
【0219】
更なる追加の非限定の実施形態を、本開示を更に例示するために、以下に記載する。
1.バージンアスファルトバインダと、再生アスファルト舗装(RAP)、再生アスファルトシングル(RAS)または両方の組み合わせである再生アスファルトバインダ材料と、および前記バージンアスファルトバインダを基準として0.5重量%~15重量%のアンチエージング添加剤とを含む、アスファルトバインダ。
2.前記アンチエージング添加剤は、前記バージンアスファルトバインダの1重量%~10重量%、または1重量%~3重量%である、実施形態1のアスファルトバインダ。
3.前記アンチエージング添加剤は、トリテルペノイドまたはトリテルペノイド混合物を含む、実施形態1のアスファルトバインダ。
4.前記トリテルペノイドは、ステロールを含む、実施形態3のアスファルトバインダ。
5.前記トリテルペノイドは、スタノールを含む、実施形態3のアスファルトバインダ。
6.前記ステロールは、植物ステロールを含む、実施形態4のアスファルトバインダ。
7.前記スタノールは、植物スタノールを含む、実施形態5のアスファルトバインダ。
8.軟化剤を更に含む、実施形態1のアスファルトバインダ。
9.前記軟化剤は、再精製エンジンオイルボトムを含む、実施形態8のアスファルトバインダ。
10.骨材を更に含む、実施形態1のアスファルトバインダ。
11.前記アスファルトバインダ組成物は、-5.0以上のΔTcを示す、実施形態1のアスファルトバインダ。
12.前記アンチエージング添加剤は、前記アンチエージング添加剤なしで同様にエージングされたバインダと比べて、より小さい負のΔTc値を示すために有効な量で存在する、実施形態1のアスファルトバインダ。
13.アスファルトバインダを含む、実施形態1の舗装表面。
14.エージングを遅らせる、または、エージングしたアスファルトバインダを回復させる方法であって、前記方法はアスファルトバインダにアンチエージング添加剤を添加する工程を含み、前記アスファルトバインダは、バージンアスファルトバインダと、実施形態のアスファルト舗装(RAP)、実施形態のアスファルトシングル(RAS)、または両方の組み合わせを含む再生アスファルトバインダ材料と、および前記バージンアスファルトバインダを基準として0.5重量%~15重量%のアンチエージング添加剤とを含む、方法。
15.前記アンチエージング添加剤は、前記バージンアスファルトバインダの1重量%~10重量%、または1重量%~3重量%である、実施形態14の方法。
16.前記アンチエージング添加剤は、トリテルペノイドを含む、実施形態14の方法。
17.前記トリテルペノイドは、ステロールを含む、実施形態16の方法。
18.前記トリテルペノイドは、スタノールを含む、実施形態16の方法。
19.前記ステロールは、植物ステロールを含む、実施形態17の方法。
20.前記スタノールは、植物スタノールを含む、実施形態18の方法。
21.アスファルトバインダに存在する少なくとも一つの有害成分を同定する方法であって、原子間力顕微鏡画像における欠陥領域を測定する工程を含む、方法。
22.前記有害成分は、再精製されたエンジンオイルボトムである、実施形態21の方法。
23.前記有害成分は、Vacuum Tower Asphalt Extenderである、実施形態21の方法。
24.前記有害成分は、ポスト消費者の処理ありまたはなしの、任意の排油生成物または廃棄エンジンオイル材料である、実施形態21の方法。
25.前記有害成分は、パラフィン系のプロセスオイルである、実施形態21の方法。
26.前記有害成分は、潤滑ベース油である、実施形態21の方法。
27.前記有害成分は、再生アスファルト舗装(RAP)を含有している舗装混合物から抽出されたアスファルトバインダであり、前記RAPは、前記舗装混合物の0.1%から100%の量でアスファルトバインダに存在する、実施形態21の方法。
28.前記有害成分は、再生アスファルトシングル(RAS)を含有している舗装混合物から抽出されたアスファルトバインダであり、前記RASは、前記舗装混合物の0.1%から50%のバインダ交換量で存在する、実施形態21の方法。
29.前記有害成分は、再生アスファルト舗装(RAP)および再生アスファルトシングル(RAS)を含有している舗装混合物から抽出されたアスファルトバインダであり、RAPおよびRASの組み合わせは、0.1%から100%の量でアスファルトバインダに存在する、実施形態21の方法。
30.有害材料は、アスファルトバインダに本来的に存在しており、アスファルトバインダが製造された後に添加された任意の材料から生じていない、実施形態21の方法。