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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】容器用プルオフ栓
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/34 20060101AFI20220111BHJP
   B65D 41/42 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B65D17/34
B65D41/42
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019520749
(86)(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 IB2017056534
(87)【国際公開番号】W WO2018078498
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】102016000109454
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519134175
【氏名又は名称】ペッリコーニ エ チ. ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】PELLICONI & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia 314,40064 Ozzano Dell’Emilia(Bologna),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ナルディ,ドリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ロ ピッコロ,アントニーノ
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-112480(JP,A)
【文献】実開昭52-084457(JP,U)
【文献】特開2015-040060(JP,A)
【文献】特開2003-191982(JP,A)
【文献】米国特許第04256233(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/34
B65D 41/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その端部が外側に突出する環状カラーを画定する開口部を有する容器用プルオフ栓であって、
上面(2)を有する金属シェル(1)であって、前記上面(2)から、向きを変えられて前記容器の前記環状カラーに当接することができるカラー(3)が延び、前記容器のキャッピング中に、前記上面(2)及び前記カラー(3)がそれらの接続部において環状縁部(4)を形成する、金属シェル(1)と、
前記金属シェル(1)に形成された、内部の切り込みとしての第1および第2の脆弱線(5)であって、前記カラー(3)を越えて延びるタブ(7)内に延びる開口片(6)を形成する第1および第2の脆弱線(5)と、
前記タブ(7)と関連した把持要素(8)と、を備え、
前記第1および第2の脆弱線(5)が前記環状縁部(4)の外側の前記カラー(3)上にのみ延在しており、前記第1および第2の脆弱線(5)が深さが浅い初期領域(PR)を有し、
前記第1および第2の脆弱線(5)の各々は、前記タブ(7)の外側に位置する中央終点(4a)から始まり、前記上面の中心を通る第1の軸(X)を越えて、横方向の終点(4b)で終わり、
前記第1および第2の脆弱線(5)が、前記タブ(7)の中心を通り且つ前記第1の軸(X)に対して直交する第2の軸(Y)に関して対称であり、
前記上面(2)に対して平行であり、かつ前記第1の軸(X)に平行に測定される、前記タブ(7)に近位の前記2つの中央終点(4a)であって、前記2つの中央終点(4a)の各々が前記第1または第2の脆弱線(5)に属する前記2つの中央終点(4a)の間の距離と、前記上面(2)の直径(D)との比は、0.5から0.7の間であり、
前記上面(2)に対して平行であり、かつ前記第2の軸(Y)に平行に測定される、前記タブ(7)から遠位の前記2つの横方向の終点(4b)の各終点(4b)と前記第1の軸(X)との間の距離と、前記上面(2)の前記直径(D)との比は、0.1から0.2の間であり、
前記第1および第2の脆弱線(5)の各々が、前記カラー(3)の縁部で始まり、前記カラー(3)の前記縁部から所定の距離で終わり、軸X上の投影として測定された場合に0.5mmから4mmの間であり、
前記第1および第2の脆弱線(5)の両方ともが、湾曲しており、かつ曲率半径(R5)が3mmと5mmの間である部分と、曲率半径(R6)が4mmと8mmの間である部分とを有する、栓。
【請求項2】
前記上面(2)の内側に配置された閉鎖シール(G)を含む、請求項に記載の栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器用プルオフ栓(pull-off closure)に関する。
より具体的には、本発明は、その首部の端部において外側に突出する環状カラーを有するボトル(通常はガラス製)からなる容器の栓に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの栓に関して最も一般的に知られている解決策は、古典的なクラウンキャップ、すなわち、円形部分を有する栓を含み、キャッピングの間、そこから上述の突出カラーの下で閉じるように設計された一連の歯が延びる。この場合、突出カラーは連続的に作られ、キャップを取り外すためには、底部から複数の歯を押し出して円形部分を変形させ、ボトルからキャップを外すことができる、広く知られている適切な装置または工具が必要である。
【0003】
クラウンキャップは、その標準的な構成において、通常19本の歯を有する。
【0004】
開栓の上述の問題を克服するために、常にクラウンキャップを使用することを目的としたデザインが開発されてきたが、上記のように、首部の上端部において、連続的な縁部の代わりに一連のねじ山を有するボトルと組み合わされる。
【0005】
この場合、クラウンキャップは、開くときに、ねじ切り栓(twist-off closure)のように作動されたはずである。したがって、ボトルの開栓中およびキャップの回転中のユーザのけがを回避するために、歯の数を増やす(例えば、29まで増やす)必要があった。同出願人の名前の特許公報US6164472を参照のこと。
【0006】
特許公報US4768667号に見られるように、容易な手動での開栓の方向における更なる道は、ティアオフ栓(tear-off closure)であった。
【0007】
この解決法では、栓は、上面によって閉じられ、かつ、そこから、キャッピングの間に、向きを変えてボトルの首部の環状カラーの下で閉じられるカラーが延在された上部シェル形状部分を含む。
【0008】
このカラーは、シェルの上面に対して垂直に延びるタブまたは把持リングに(単体の状態で、またはそれに結合した状態で)接続されている。
【0009】
ボトルを閉じた状態の舌またはリングは、ボトルの首部に隣接する。
【0010】
脆弱線がシェルの上面とカラーの両方に形成されており、これにより、リングがユーザによって握られて上方に動かされた場合に、上述の脆弱線に沿って、カラーの最初の破断及びそれに続いて上面の部分的な破断が可能になる。
【0011】
それにより、この部分的な開栓は、ボトルの首部から、栓全体の取り外しを可能にする。
【0012】
この種の栓は、少なくともシェルに関しては、アルミニウムの使用を含む。
【0013】
脆弱線の部分性およびそれらの幾何学的形状はまた、引き離した後の構成においても単体の形で構成されたままであるキャップの分割を防ぐように設計されている。
【0014】
シェルの内側の内面には、ボトルの首部の自由端と接触するシールが配置されている。このシールは、適切に成形され、かつ、変形温度にされた少量のプラスチック材料に作用するパンチによるプレス操作によって作られる。
【0015】
キャップの開栓中に、シェルの上面の一部がシールに付着したままになる(このようにして、許容できない変形を受けることになる)ことを防止するために、シールを作るステップの前に、引き裂き中に上面からシールの剥離を促進することができる材料が、シェルの内面に塗布される。
【0016】
これは、必然的に、剥離材料の使用およびその導入をもたらし、その結果、必要なコストおよび時間がかかる。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、従来技術の上述の欠点を克服する容器用プルオフ栓を提供することである。
【0018】
より具体的には、本発明の目的は、シールとシェルの内面との間の剥離材料の使用を排除することができる容器用プルオフ栓を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、キャッピング工程の有効性それ自体、すなわち容器内部の製品の密封における安全性を変更することなく、さらにより容易な開口部を有する容器用プルオフ栓を提供することである。
【0020】
これらの目的は、添付の特許請求の範囲において特徴付けられるような本発明に記載の容器用プルオフ栓によって完全に達成される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
このおよび他の特徴は、添付の図面に非限定的な例として示される、本発明の好ましい実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
図1】平坦な構成における、本発明による栓の一部を形成するシェルの平面図である。
図2】カラーが容器の首部で向きを変えられて閉じられている構成における、本発明によるシェルの上面図である。
図3】開栓開始構成において容器(ボトル)の首部に適用された本発明による栓の上方からの斜視図である。
図4】開栓終了構成において容器(ボトル)の首部に適用された本発明による栓の上方からの斜視図である。
図5】本発明による栓に付けられるシールを示す。
図6】本発明による栓に付けられるシールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照すると、本発明によるプルオフ栓は、その端部が外側に突出する環状カラーを画定する口部を有する容器に適用される。好ましくは、栓は伝統的なボトルの首部の上端部に付けられる。
【0023】
栓は、上面を有し、当該上面から、容器のキャッピング中に、向きを変えられて環状カラーの下で閉じることができるカラー3が延在する、シェル形状に成形された上部1を含む。
【0024】
実際には、栓は、図1に示すように、上面2により頂部が閉じられ、かつ底部が開口されている平坦円筒体(シェルとも呼ばれる)を画定するように変形される平坦な金属シート(好ましくはアルミニウム)から生じる。
【0025】
カラー3の下端は、上述のように、キャッピング工程中に、栓をボトルのカラーに安定的に関連付けるように内側に折り畳む動作を受ける。これらの作業は従来技術の一部を形成する。
【0026】
本発明に関して、上面2およびカラー3は、それらの接続部において環状縁部4を画定する。後者は、直径Dを有する上面2の外周と一致する。点線で示されている図1も参照のこと。
【0027】
数字5は、上面2およびカラー3に形成された脆弱線を示し、これらは、カラー3を越えて延びるタブ7内に延びる開口片(opening strip)6を画定する。
【0028】
中央区間(central stretch)4cに関しては、脆弱線は上面2の表面の外側の周囲に沿って延びる。
【0029】
より正確には、脆弱線5は、キャッピング作業後に栓自体の機械的なシールに全く影響を及ぼさない値だけ厚さを減らすように、栓が作られる材料に対してパンチング操作で作られる。同時に、これらの脆弱線は、開栓中に-以下でより詳細に説明されるように-栓が作られる材料の適切な引き離しを脆弱線に沿って可能にする。
【0030】
なお、脆弱線5は、外部ではなく内部の切り込みとして、すなわち、最終使用時にはボトルの首部に向かって面することになる側から、金属シェル上に作られることに留意されたい。
【0031】
数字8は、タブ7と関連し得る把持要素を示す。好ましくは、栓全体の形成の間、把持要素8はプラスチック材料で作られ、対応するそれぞれの穴7fを介してタブ7に接続される。
【0032】
把持要素8は、先端リング10を用いて構成されている。
【0033】
図1および図2に明確に示されるように、脆弱線5はカラー3に沿ってかつ環状縁部4の外側に延びる。
【0034】
より詳細には、タブ7の中心において軸Xに関して対称である脆弱線4は、上述のタブ7の外側に位置する中央終点4aから始まり、軸Xに対して垂直な第2の軸Yを越えて、横方向の終点4bで終わる。
【0035】
軸Xに平行に測定された2つの中央終点4a間の距離は値LAに等しい。
【0036】
軸Yと平行に測定された横方向の端部4bの各点と軸Xとの距離は、値LBに等しい。
【0037】
好ましくは、LA/D = 0.63である。
【0038】
したがって、好ましくはLA/Dは0.5から0.7の間である。
【0039】
好ましくは、LB/D = 0.135である。
【0040】
したがって、好ましくはLA/Dは0.1から0.2の間である。
【0041】
図3に示すように、問題の栓がボトルの首部に配置されて、それにしっかりと固定されると、関連するリング10を有する把持要素8はボトルの首部に並んで位置する。
【0042】
図3に示すように、開栓中、ユーザは、把持要素8を首部から取り外し始めるように、図3の矢印Fの方向に力を加える。
【0043】
より正確には、把持リング10はそれを把持するのに十分なほどボトルの外側にあり、ボトルから水平方向に引き離されて、脆弱線でカラー4aを破る(第1の開栓ステップ)。
【0044】
開栓を続けて(図4)、第2の工程は、(タブとボトルの首部との間で約120°の角度で)リング10を上方に押すことを含み、その結果、キャップの完全な開栓まで、脆弱線の残りの全ての部分が破断する。
【0045】
このステップの間、シールGは開栓を容易にし、その結果、加えられる力を減少させることに留意されたい。
【0046】
なお、開栓中、シールGはシェル1に付着したままであることに留意されたい。
【0047】
既に述べたように、-上面2の周辺Dの外側の円弧(circumferential arcs)に沿ってある区間に配置されている-脆弱線4の幾何学形状が片6の引き離し時における改善された容易さにどのように影響を与えるかに留意すべきである。これは部分的には片6の側方部分が一種のリブを有するという事実による(正確には、上面の外側に作られた脆弱線の特性による)。このリブは片自体のより大きな剛性に有利に働き、それは、脆弱線を破るための力を超えた後に、図4に示されるように栓の開放を可能にする。
【0048】
これはまた、片6とその下のシールG(図4も参照)との間に、例えば付着防止塗料のような剥離製品を使用する必要がもはやないことを意味する。
【0049】
したがって、本発明による解決策は、事前に設定された目的を達成する。すなわち、操作者による栓自体のより容易な開栓の一方で、シェルの内面とボトル/容器の首部への栓のシールとの間における剥離製品の排除を達成する。
【0050】
シェル1のいくつかの態様を以下に説明する。
【0051】
添付の図面に示すように、脆弱線5はシェルの外縁部の手前で終わっている(点4b)ことに留意されたい。
【0052】
より具体的には、脆弱線5は、0.5mmから4mmの間の、軸X上の投影として測定される高さDTで終わる。より好ましくは1.5mmから3mmの間である。
【0053】
これは、キャップの開栓中およびシールの維持中にシールGの分離に有利に働く。
【0054】
さらに、これは、キャップが付されているボトル内の内圧によるキャップの偶発的な開栓を防止する。
【0055】
添付の図面に示される半径R5は、好ましくは3mmと5mmの間であることに留意されたい。
【0056】
添付の図面に示される半径R6は、好ましくは4mmから8mmの間であることに留意されたい。より好ましくは5mmから7mmの間である。
【0057】
また、脆弱線の始点(点4a)には、脆弱線の残りの領域と比較して深さが浅い切り込みがあることにも留意されたい(絶対量として、百分の数mm、好ましくは0.05mm未満、さらにより好ましくは0.03mm未満のオーダー)。
【0058】
これはキャップの最適なシールに有利に働く。
【0059】
高さH2は、(点4aから始まる)深さが浅い領域の終わりを示す。
【0060】
高さH2は、好ましくは10mmから14.5mmの間であることに留意されたい。
【0061】
端部における脆弱線5の接線とXと記された軸とによって定義されるαと記された角度に関して、角度は0°と90°の間、より好ましくは10°と70°の間で、さらにより好ましくは、20°と40°の間であることに留意されたい。
【0062】
図5および図6に示すように、シールGは二重リップ、すなわち第1の外側リップL1および第2の内側リップL2を備えている。
【0063】
図4および5に示されるように、シールは、23mmから25.5mm、より好ましくは24から25mm、さらにより好ましくは24.2mmから24.8mmの外径R1を有する。
【0064】
開栓中(ステップ2)にシールGがシェルの壁を押すので、この直径はキャップの開栓に有利であることに留意すべきである。
【0065】
R2と記された第2のリップL2の内径に関して、直径は、好ましくは18mmから21mmの間、より好ましくは18.5mmから20.5mmの間、さらにより好ましくは18.5mmから19.5mmの間である。
【0066】
シールGの底面、すなわちシェルの金属部分と接触することになる表面に対するリップの最大高さH1は、好ましくは1.5mmから2mmの間、さらにより好ましくは1.6mmから1.9mmであることに留意されたい。
【0067】
シールGはまた、R3と記された直径とR4と記された直径との間に延びる内側補強リングを有することに留意されたい。
【0068】
好ましくは、直径R3は14mmから20mmの間、さらにより好ましくは16mmから19mmの間である。
【0069】
好ましくは、直径R4は15mmから17mmの間、さらにより好ましくは16mmから19mmの間である。
【0070】
R4 <R3であることに留意されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【文献】US6164472
【文献】US4768667
図1
図2
図3
図4
図5
図6