(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20220128BHJP
F21S 6/00 20060101ALI20220128BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220128BHJP
【FI】
F21V8/00 310
F21S6/00 300
F21V8/00 330
F21V8/00 360
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019528351
(86)(22)【出願日】2018-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2018009016
(87)【国際公開番号】W WO2019008829
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2017131873
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101867
【氏名又は名称】山本 寿武
(72)【発明者】
【氏名】牛山 孝夫
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-103323(JP,A)
【文献】特開2014-186928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 6/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項7】
前記導光体の拡開導光部は、前記光拡散面を、前記光出射面に対して外周方向に収束する傾斜面を形成していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、机上や床面などに配置される照明スタンドとして好適な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、LED光源のような点光源と導光体の特性を生かした画期的な照明装置を先に提案している(特許文献1:国際公開第2014/080771号参照)。かかる照明装置は、主に室内の天井に埋め込んで施設される天井埋込型の照明器具として好適な構成となっている。すなわち、特許文献1に開示された照明装置は、導光体の上端面から点光源の光を取り込み、導光体の下面から直接照明用の光を下方向へ照射する構成となっている。このため、天井埋込型の照明器具として利用する場合は、導光体の上端面に対向して設けた点光源に、天井裏から電力供給用の配線を引き込んで接続できるので、その配線取り回しは容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された照明装置は、机上や床面などに配置される照明スタンドとして利用するには、点光源への電力供給用の配線取り回しの構造が複雑化するなどの課題を有していた。すなわち、その照明装置を照明スタンドとして利用するには、例えば、支持ポールの中空部を通して点光源への電力供給用の配線を取り回すことになるため、支持ポールの上端部を導光体の上端面側へ回り込ませる必要があり構造が複雑化する。しかも、点光源や導光体を含む重量のある装置本体を上側から支持ポールで保持するためには、その支持構造に十分な強度を確保する必要がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、机上や床面などに配置される照明スタンドとして好適な照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、点光源からの光を導光体の光入射面からその内部に取り込み、当該導光体の一部に形成した光出射面から出射する構成を備えた照明装置であって、
導光体は、中央下部位置に下向きに光入射面が形成され、当該光入射面の下方から取り込んだ点光源の光を外径方向へ進路を変えて導く湾曲導光部と、当該湾曲導光部の終端から連続してさらに外径方向へ拡がる平盤状の拡開導光部とを含み、
光入射面の周縁部から湾曲導光部にかけての周囲には、導光体の内部に取り込んだ光のうち導光体の内部で全反射せずに透過した光を拡散反射させる反射部材が設けられ、
拡開導光部における上面に光拡散面を形成するとともに、当該上面と対向する下面を光出射面とし、この光出射面から光を出射することを特徴とする。
【0007】
かかる構成のように、光入射面を導光体の中央下部位置に配置することで、この光入射面と対向して配置された点光源への電力供給用の配線を、下方から取り回すことができるようになり、机上や床面などに配置される照明スタンドへの適用を容易に実現することができる。
【0008】
本発明は、さらに点光源を保持する基部ユニットを備え、当該基部ユニットを、導光体の中央下部位置に形成した光入射面と対向して配置する構成とすることができる。
このように構成することで、導光体の中央下部位置に対向配置した基部ユニットを介して、点光源への電力供給用の配線を容易に取り回すことが可能となり、机上や床面などに配置される照明スタンドへの適用をいっそう容易に実現することができる。
【0009】
ここで本発明は支持ユニットを備え、この支持ユニットにより基部ユニットを下方から支持するとともに、この支持ユニットに点光源への電力供給用の配線を内蔵する構成とすることが好ましい。これにより、照明スタンドを容易に構成することができる。
【0010】
また、反射部材は、導光体の外周面と接する面が、導光体の内部に取り込んだ光のうち導光体の内部で全反射せずに透過した光を当該導光体の内部へと拡散反射させる光漏れ防止手段を構成するとともに、少なくとも外周面の一部が、光出射面から出射された光の一部を周囲へ反射させる周囲照射手段を構成することが好ましい。
【0011】
反射部材によって導光体に取り込まれた光の外部への漏れが防止されるので、光の減衰を抑えて効率的に光出射面から光を出射することができる。導光体の光出射面から出射された光は、当該光出射面と対向する位置とその周辺を明るく照らす。さらに、光出射面から出射された光の一部は、反射部材の上記周囲照射手段を構成する外周面に入射し、当該外周面で拡散反射してその周囲を照らす。反射部材の当該外周面に入射する光の量は、光出射面と対向する位置とその周辺に照射される光の量に比べて少ないため、周囲はほのかに照らされて、独特な照明効果を得ることができる。
【0012】
さらに、導光体の光出射面および反射部材の外周面と対向する部位に保護カバーを装着した構成とすることもできる。
保護カバーは、光出射面から出射された光の多くを透過するとともに、当該光の一部を保護カバーの内面によって周囲照射手段を構成する反射部材の外周面に向けて反射させる構成とする。
【0013】
この構成により、導光体の光出射面や反射部材の外周面の傷付きや汚損を防止できる。しかも、保護カバーの内面により、光出射面から出射された光の一部を、反射部材の外周面(周囲照射手段)に向けて反射させることで、当該反射部材の外周面に光出射面から直接入射する光とは異なる角度で光が入射する。これにより、反射部材の外周面からいろいろな角度に光が反射して、広い角度範囲の周囲を照らすことが可能となる。
【0014】
また、本発明は、導光体の拡開導光部に形成した光拡散面の上側に、当該光拡散面で拡散された光を拡開導光部の内部へと反射させる光漏れ防止部を設けた構成とすることが好ましい。この構成により、拡開導光部で拡散された光を効率的に光出射面から出射させることができる。
【0015】
さらに、本発明は、導光体の拡開導光部は、光拡散面を、光出射面に対して外周方向に収束する傾斜面とすることもできる(以下「断面楔状導光部」という)。このように光拡散面を傾斜面とすることで、湾曲導光部から導かれてきた光の多くを効率的に光拡散面に入射させることができる。
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、光入射面を導光体の中央下部位置に配置することで、この光入射面と対向して配置された点光源への電力供給用の配線を、下方から取り回すことができるようになり、机上や床面などに配置される照明スタンドへの適用を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る照明装置の構成を示す正面断面図である。
【
図2】
図2Aは、本発明の実施形態に係る照明装置を構成する各部品の分解斜視図である。
図2Bは、点光源が配置された回路基板を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る照明装置による照明作用を説明するための正面断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る照明装置による照明スタンドの構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の他の実施形態に係る照明装置の構成を示す正面断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施形態に係る照明装置を構成する各部品の分解斜視図である。
【
図7】
図7Aは、本発明の第3実施形態に係る照明装置の構成を示す正面断面図である。
図7Bは、導光体の一部を拡大して示す正面断面図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、本発明の第3実施形態に係る照明装置を構成する各部品の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態に係る照明装置による照明作用を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0018】
10:点光源(LED素子)、
20:導光体、21:直進導光部、22:湾曲導光部、23:拡開導光部、23a:拡開導光部の外周側面、23’:断面楔状導光部、23a’:断面楔状導光部の外周側面、24:光入射面、25:光拡散面、26:光出射面、27:内側導光部、
30:反射部材、31:第1反射部材、32:第2反射部材、31a円筒壁、33:導光体対向面、34:外周反射面
40:回路基板、41:配線コード、42:配線パターン、
50:基体、51:配線孔、
60:保護カバー、
70:反射シート(光漏れ防止部)、
80:上部カバー、
90:第1光拡散透過カバー、91:第2光拡散透過カバー
100:載置台、101:支持ポール
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係る照明装置の構成を示す正面断面図、
図2Aは同装置を構成する各部品の分解斜視図である。
なお、
図1において、後述する導光体20と保護カバー60には、切断面を示すハッチングを省略している(
図3、
図5、
図7Aおよび
図9も同様)。
図7Bには光反射面の中心方向に面した断面を明確にするため、ハッチングを施した。
【0020】
本実施形態に係る照明装置は、点光源10からの光を導光体20の光入射面24からその内部に取り込み、その導光体20の一部に形成した光出射面26から出射して照明する基本構造となっている。導光体20の光入射面24から一定範囲にかけての周囲には反射部材30が設けられ、導光体20の内部に取り込まれた光のうち導光体20の内部で全反射せずに透過した光を拡散反射させることで、光の外部への漏れを防止している。
【0021】
点光源10には、例えばLED(発光ダイオード)素子を用いることができる。本実施形態では、点光源10にLED素子を用いることとし、同じ符号を付して以下の説明を進めていく。
LED素子10は、
図2Bに示すように、回路基板40の上面に複数個、円周方向に並べて半田付けしてある。LED素子10の配置は、後述する導光体20の光入射面24の形状に対応した配置としてあり、各LED素子10は、導光体20の光入射面24と対向するように位置決めされる。
【0022】
回路基板40には、配線コード41の導体が半田付け等の手段をもって取り付けられる。各LED素子10は、あらかじめ回路基板40に形成された配線パターン42を経由して、配線コード41の導体と電気的に接続される。
配線コード41は、図示しない電源回路から送られてきた電力を各LED素子10に供給する。この供給された電力をもって各LED素子10が発光して、光を放射する。
【0023】
導光体20は、光入射面24から取り込まれた光を、減衰を最低限に抑えて内部で全反射を繰り返して、光拡散面25に入射した光が拡散反射して光出射面26へと導き、当該光出射面26から外部へ出射させる機能を有した光学部材である。この導光体20は、例えばアクリル樹脂等の透明な樹脂材料で形成することができる。
【0024】
本実施形態では、
図2Aに示すような形状に導光体20を成形してあり、
図1に示すように、直進導光部21、湾曲導光部22、拡開導光部23の各部を含み、これら各部が一体成形されている。
直進導光部21は、
図2Aに示すように、中心軸Oに沿って延びる円筒形状に形成されており、その始端面(図の下端面)が光を取り込む光入射面24となっている。この光入射面24は、導光体20の中央下部に位置することになる。本実施形態では、光入射面24が円環状に形成されており、既述したように複数のLED素子10がこの光入射面24に対向して配置される。
【0025】
湾曲導光部22は、中心軸Oに沿って延びる直進導光部21の終端から湾曲して外径方向へと光の進路を変える部位である。そして、拡開導光部23は、湾曲導光部22の終端からさらに外径方向へ拡がる部位である。拡開導光部23は、同じ厚さの平盤状に形成され、外周縁は円形状に成形されている。
【0026】
さらに、拡開導光部23における上側の平面は光拡散面25を形成している。この光拡散面25は、拡開導光部23へと導かれてきた光を拡散して反射させるための面である。光拡散面25は、例えば拡開導光部23における上面をシボ加工やサンドブラスト加工、シルク印刷等の加工法をもって粗面や細かな凹凸面に加工したり、光を乱反射させるような塗料を当該上面に塗布することで形成することができる。
なお、本実施形態では、拡開導光部23の外周側面23aも、同様な方法で光拡散面25を形成している。すなわち、
図1および
図3において、太線で示す領域が光拡散面25を形成している。
【0027】
そして、拡開導光部23における下側の平面が光出射面26を形成している。この光出射面26は、上述したように光拡散面25が形成された上面と対向しており、光拡散面25で拡散され反射してきた光が、この光出射面26から外部に向けて出射される(
図3の符号a参照)。このように光が出射される外部空間は、
図1に示すように、直進導光部21の外周に存在する空間であり、この外周空間を通過して主に下方に向けて光が照射される。
【0028】
次に、反射部材30は、
図1に示すように、直進導光部21(具体的には、光入射面24の周縁部)から湾曲導光部22にかけての周囲に設けられ、この領域に両導光部内で全反射せずに透過してきた光を導光体20の内部へ拡散反射させ、外部へ光が漏れ出ることを阻止している。本実施形態では、
図1および
図2Aに示すように、反射部材30を第1反射部材31と第2反射部材32とで構成してある。第1反射部材31は、導光体20の下側に嵌め込まれ、第2反射部材32は、導光体20の上側に嵌め込まれる。
【0029】
反射部材30は、例えば光が透過しない樹脂材料で成形され、導光体20の外面と対向する面(導光体対向面33)が、導光体20の内部に取り込んだ光のうち導光体20の内部で全反射せずに透過した光を導光体20の内部へと拡散反射させる光漏れ防止手段を構成している。なお、導光体対向面33は、導光体20の表面に空気層を介して設置されており、導光体20の内部から全反射せずに出射してきた光を導光体20の内部へと反射させることができる配置であればよい。かかる導光体対向面33は、光の吸収がきわめて少なく入射した光のほぼすべてを拡散反射させる拡散反射面に形成することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0030】
また、反射部材30(本実施形態では、第1反射部材31)において、直進導光部21の外周空間1に露出する外周面(外周反射面34)は、光出射面26から出射された光の一部を周囲へ反射させる周囲照射手段を構成している。光出射面26から出射された光の一部は、この外周反射面34に入射し、この外周反射面34で反射してその周囲を照らす(
図3の符号b参照)。
【0031】
ここで、周囲を照らす明るさは、外周反射面34における光の反射・吸収の度合いに応じて任意に調整することができる。例えば、外周反射面34を拡散反射面に形成した場合は、入射した光の吸収を抑えて拡散反射させることができるので、周囲を明るく照らすことができる。ただし、その場合であっても、外周反射面34に入射する光の量は、光出射面26と対向する位置とその周辺に照射される光の量に比べて少ないため、周囲はほのかに照らされる程度である。
また、外周反射面34をつや消し黒色など、入射した光の一部を吸収する色に形成した場合は、ユーザーの目線方向の反射光量が減って、よりグレアが軽減された照明効果を得ることができる。
【0032】
また、本実施形態では、
図1に示すように、反射部材30の始端縁が、回路基板40に配置されたLED素子10の周囲を囲むように配置してある。これにより、LED素子10から放射された光が外部へ漏れ出ることなく、その光のほぼすべてを導光体20の光入射面24からその内部へ取り込むことが可能となる。
【0033】
図1および
図2Aに示すように、LED素子10が半田付けされた回路基板40は、基体50の上面に保持される。基体50を金属部品とすることで、LED素子の発する熱を放熱するヒートシンクの役割を兼ねることができる。これら回路基板40と基体50は、LED素子10を保持するための基部ユニットを構成する。この基体50は、導光体20の中央下部位置に形成した光入射面24と対向して配置され、回路基板40、導光体20および反射部材30の各部品を、中央下部位置で支持する。さらに、基体50には、中心軸Oに沿って配線孔51が形成してある。LED素子10に電力を供給する配線コード41は、この配線孔51を通して下方へ引き回すことができる。
【0034】
さらに、導光体20の光出射面26および反射部材30の外周面と対向する部位には、直進導光部21の外周空間1を隔てて、保護カバー60が装着してある。保護カバー60は、入射した光の多くを透過するとともに一部を反射させる機能をもつ透明または半透明の材料で製作することができる。この保護カバー60により、導光体20の光出射面26や反射部材30の外周面の傷付きや汚損を防止することができる。
【0035】
保護カバー60は、光出射面26から直進導光部21の外周空間1に向けて出射された光の多くを透過する。さらに、保護カバー60は、光出射面26から直進導光部21の外周空間1に向けて出射された光の一部を、反射部材30の外周反射面34に向けて反射させる機能を有している。保護カバー60により、反射部材30の外周反射面34に向けて光を反射させることで、当該反射部材30の外周反射面34に光出射面26から直接入射する光とは異なる角度で光が入射する(
図3の符号c参照)。これにより、反射部材30の外周面からいろいろな角度に光が反射して、広い角度範囲の周囲を照らすことが可能となる。
【0036】
また、導光体20の拡開導光部23に形成した光拡散面25の上側には、反射シート70が配置してある。この反射シート70は、光拡散面25で拡散透過された光を拡開導光部23の内部へと反射させる光漏れ防止部を構成する。すなわち、反射シート70の光拡散面25と対向する面は、光を透過・吸収しない拡散反射面に仕上げてあり、導光体20の内部から入射してきた光のほぼすべてを導光体20の内部へと反射させる機能を有している。なお、反射シート70に代えて、光を透過・吸収せず、入射した光のほぼすべてを反射させる色の塗料を、光拡散面25の上側に塗布することで、光漏れ防止部を構成してもよい。反射シート70の上側には、上部カバー80が装着される。
【0037】
上述した構成の照明装置は、次のような手順で組み立てることができる。
LED素子10と配線コード41の導体は、あらかじめ回路基板40に半田付けしておく。保護カバー60は、下端縁をあらかじめ基体50の上端縁に配置して組み合わせておく。そして、配線孔51に配線コード41を通した状態で、基体50の上面に回路基板40を配置する。
続いて、回路基板40の上部に、第1反射部材31、導光体20、第2反射部材32の順序でこれらの各部品を組み込み、さらにその上面に反射シート70を配置する。
その後に、上部カバー80で装置の上面開口部を覆うとともに、上部カバー80の下端周縁部を保護カバー60の上端縁に嵌め込んで、
図1に示した照明装置が完成する。
【0038】
基体50と回路基板40とは、接着剤で接着したり、ビス等の締結具で固定してもよい。保護カバー60と基体50とは、あらかじめ接着剤で接着してもよい。保護カバー60と上部カバー80との間には、係止爪とその係合部を形成しておき、それらの係合をもって嵌め合わせ状態を保持する構成とすることができる。また、保護カバー60と上部カバー80も、接着剤で接着したり、ビス等の締結具で固定してもよい。
【0039】
第1反射部材31、導光体20、第2反射部材32の各部品は、基体50と上部カバー80の間に挟まれてがたつきが防止され、基体50によって支持される。なお、好ましくは回路基板40と基体50の中間部や、反射シート70と上部カバー80の間に、弾力性のある緩衝部材を配置することで、いっそう適切にがたつきを防止することができる。
【0040】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る照明装置の照明作用を説明する。
LED素子10から放射された光は、導光体20の光入射面24からその内部へ取り込まれる。導光体20の内部に取り込まれた光は、各面への入射角が臨界角を上回った光が全反射を繰り返して直進導光部21から湾曲導光部22へと進み、拡開導光部23に至るが、一方で全反射せずに出射した光は反射部材30で拡散反射して導光体内部へ戻されることで直進導光部21から湾曲導光部22へと進み、拡開導光部23に至る。このように、導光体20に取り込まれた光は反射部材30によって外部への漏れが防止されるので、光の減衰を抑えて効率的に拡開導光部23へ導くことができる。
【0041】
拡開導光部23に導かれてきた光は、その多くが光拡散面25で拡散されて、対向する光出射面26から直進導光部21の外周空間1に出射される。光拡散面25で拡散された光のうち、拡散透過光は、反射シート70で拡散反射して導光体20の内部へ戻される。このようにして戻された光も、光出射面26から出射されるので、拡開導光部23で拡散された光を効率的に光出射面26から出射させることができる。なお、拡開導光部23に導かれてきた光には、光拡散面25に入射して拡散反射あるいは拡散透過する光や、光出射面26で再度全反射して拡開導光部23でさらに導光する光、そして光出射面26での入射角が臨界角を下回った光がそのまま光出射面26から出射するものがある。
導光体20の光出射面26から出射された光の多くは、直進導光部21の外周空間1を通り、保護カバー60を透過して、光出射面26と対向する位置とその周辺(本実施形態では、照明装置の下方領域)を明るく照らす。
【0042】
さらに、光出射面26から出射された光の一部は、反射部材30の外周反射面34に入射し、当該外周反射面34で反射してその周囲(本実施形態では、照明装置の側方領域)を照らす。反射部材30の外周反射面34に入射する光の量は、光出射面26と対向する位置とその周辺に照射される光の量に比べて少ないため、周囲はほのかに照らされて、独特な照明効果を得ることができる。
【0043】
しかも、保護カバー60が、光出射面26から出射された光の一部を、反射部材30の外周反射面34に向けて反射させる。そのため、光出射面26から直接入射する光とは異なる角度で、反射部材30の外周反射面34に光が入射する。これにより、反射部材30の外周反射面34からいろいろな角度に光が反射して、広い角度範囲の周囲を照らすことが可能となる。
【0044】
本実施形態に係る照明装置は、照明スタンドへの適用に好ましい構成となっている。
図4は実施形態に係る照明装置を照明スタンドに適用した構成例を示している。例えば同図に示すように、載置台100から支持ポール101を斜め上方へ延出させ、支持ポール101の上端を基体50に連結することで、照明スタンドを構成することができる。この支持ポール101は、載置台100との連結部を支点とし、該支点から垂直に延びる線を軸として所定角度だけ回転可能な構成であっても良い。
【0045】
LED素子10に電力を供給するための配線コード41は、基体50の配線孔51から支持ポール101の中空部内を通して取り回すことができる。したがって、机上や床面などに配置される照明スタンドへの適用を容易に実現することができる。
載置台100と支持ポール101は、回路基板40と基体50(基部ユニット)を下方から支持するとともに、LED素子10への電力供給用の配線コード41を内蔵する支持ユニットを構成する。
【0046】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の本発明の第2実施形態に係る照明装置について図面を参照して説明する。
図5は本発明の第2実施形態に係る照明装置の構成を示す正面断面図、
図6は同装置を構成する各部品の分解斜視図である。なお、これらの図に示す第2実施形態に係る照明装置において、先の
図1乃至
図3に示した第1実施形態に係る照明装置と同一部分または相当する部分には、同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
【0047】
図5および
図6に示す照明装置は、導光体20の直進導光部21が円柱状に形成してあり、その始端面に光入射面24を形成してある。そして、光入射面24と対向する位置に、1個又は少数個のLED素子10を配置し、LED素子10から放射された光を光入射面24から導光体20の内部へ取り込む構成としてある。
【0048】
かかる構成の照明装置は、先の第1実施形態に係る照明装置(
図1~
図3参照)に比べ、導光体20の外径方向の寸法を小さく抑えることができるため、小形化を図る上で利点がある。
【0049】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の本発明の第3実施形態に係る照明装置について図面を参照して説明する。
図7Aは本発明の第3実施形態に係る照明装置の構成を示す正面断面図である。また、
図8Aおよび
図8Bは同装置を構成する各部品の分解斜視図であり、
図8Aは各部品を斜め下方から見た分解斜視図、
図8Bは各部品を斜め上方から見た分解斜視図である。
図9は、本発明の第3実施形態に係る照明装置による照明作用を示す正面断面図である。
【0050】
なお、これらの図に示す第3実施形態に係る照明装置において、先の
図1乃至
図3に示した第1実施形態に係る照明装置と同一部分または相当する部分には、同一符号を付してある。そして、第1実施形態と共通する構成や作用については、詳細な説明を一部省略する。
【0051】
本実施形態に係る照明装置も、上述した第1実施形態に係る照明装置と同様に、点光源10からの光を導光体20の光入射面24からその内部に取り込み、その導光体20の一部に形成した光出射面26から出射して照明する基本構造となっている。
導光体20の光入射面24から一定範囲にかけての周囲には反射部材30が設けられ、導光体20の内部に取り込まれた光のうち導光体20の内部で全反射せずに透過した光を拡散反射させることで、光の外部への漏れを防止している。
【0052】
本実施形態においても、
図8Bに示すように、点光源としてのLED素子10が、回路基板40の上面に複数個、円周方向に並べて半田付けしてある。これらのLED素子10は、配線コード41を介して電力が供給され発光し、光を放射する。
【0053】
LED素子10の配置は、後述する導光体20の光入射面24の形状に対応した配置としてあり、各LED素子10は、導光体20の光入射面24と対向するように位置決めされる。
【0054】
本実施形態では、導光体20は、
図7Aに示すように、湾曲導光部22および断面楔状導光部23’の各部を含み、これら各部が一体成形され、湾曲導光部22の始端面(図の下端面)が光を取り込む光入射面24となっている。この光入射面24は、導光体20の中央下部に位置することになる。本実施形態においても、光入射面24は円環状に形成されており、既述したように複数のLED素子10がこの光入射面24に対向して配置される。
【0055】
湾曲導光部22は、光入射面24の周縁部から湾曲して外径方向へと光の進路を変える部位である。そして、断面楔状導光部23’は、湾曲導光部22の終端からさらに外径方向へ拡がる部位である。断面楔状導光部23’は、その名の通り断面が楔形状であり、外周に向かうほど厚さが薄くなるように形成され、外周縁は円形状に成形されている。
【0056】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、断面楔状導光部23’における上側の平面は、光拡散面25を形成している。一方、断面楔状導光部23’における下側の平面は、光出射面26を形成している。そして、光拡散面25で拡散され反射してきた光が、この光出射面26から外部に向けて出射される(
図9の符号a参照)。
【0057】
ここで、導光体20の断面楔状導光部23’は、
図7Bに示すように、光拡散面25(上面)を、光出射面26(下面)に対して外周方向に収束する傾斜角θの傾斜面としてある。すなわち、光拡散面25(上面)は、外周方向に向かって光出射面26(下面)に接近していく。このように光拡散面25を傾斜面とすることで、湾曲導光部22から導かれてきた光をより多く光拡散面25に入射させることができる。湾曲導光部22から導かれて光出射面26と平行に進む光であっても、光拡散面25が傾斜面なのでそこで拡散するからである(第1、第2実施例では光出射面26と平行に進む光は漏れ光となる)。
したがって、効率的に光を光拡散面25へ入射させ、光拡散面25で拡散して光出射面26から出射させることができ、光出射面26から出射する光量が増え、照度の向上を実現することができる。
【0058】
反射部材30は、
図7A、
図8Aおよび
図8Bに示すように、第1反射部材31と第2反射部材32とで構成してある。第1反射部材31は、導光体20の下側に嵌め込まれ、第2反射部材32は、導光体20の上側に嵌め込まれる。
【0059】
本実施形態では、第1反射部材31が、導光体20の湾曲導光部22に対して、その下側の面に沿って設置してある。また、第2反射部材32は、導光体20の湾曲導光部22から拡開導光部23にかけて、その上側の面に沿って設置してある。
【0060】
ここで、第1反射部材31は、導光体20における湾曲導光部22の内面と対向する面(導光体対向面33)が、導光体20の内部に取り込んだ光のうち導光体20の内部で全反射せずに透過した光を導光体20の内部へと拡散反射させる光漏れ防止手段を構成している。同様に、第2反射部材32は、導光体20における湾曲導光部22の外面と対向する面(導光体対向面33)が、導光体20の内部に取り込んだ光のうち導光体20の内部で全反射せずに透過した光を導光体20の内部へと拡散反射させる光漏れ防止手段を構成している。
導光体対向面33は、導光体20の表面に空気層を介して設置されており、導光体20の内部から全反射せずに出射してきた光を導光体20の内部へと反射させることができる。
【0061】
本実施形態では、導光体20における断面楔状導光部23’の外面と第2反射部材32との間には、円盤状の反射シート70を配置してある。したがって、この反射シート70を配置した領域は、効率よく光を下方に反射でき、出射面26から出射する光の照度を向上させることができる。
【0062】
反射シート70は、光拡散面25で拡散された光を断面楔状導光部23’の内部へと反射させる光漏れ防止部を構成する。すなわち、反射シート70の光拡散面25と対向する面は、光を透過・吸収しない拡散反射面に仕上げてあり、導光体20の内部から入射してきた光のほぼすべてを導光体20の内部へと反射させる機能を有している。なお、反射シート70に代えて、光を透過・吸収せず、入射した光のほぼすべてを反射させる色の塗料を、光拡散面25の上側に塗布することで、光漏れ防止部を構成してもよい。
【0063】
また、第1反射部材31は、最外周部が中心軸と平行に延びる円筒壁31aとなっており、その円筒壁31aの外周面(外周反射面34)は、光出射面26から出射された光の一部を周囲へ反射させる周囲照射手段を構成している。光出射面26から出射された光の一部は、この外周反射面34に入射し、この外周反射面34で反射してその周囲を照らす(
図9の符号b参照)。
【0064】
また、本実施形態では、上部カバー80の中央部分が開口してあり、その開口部に第1光拡散透過カバー90が嵌め込んである。さらに、導光体20の中央開口部分にも、第2光拡散透過カバー91が嵌め込んである。これら各光拡散透過カバーは、入射した光を拡散して透過する機能を有する合成樹脂等で形成してある。
本実施形態では、導光体20の中央下部内周側(光入射面24よりも内周側)に、内側導光部27を連続して形成してある。
【0065】
そして、回路基板40に搭載したLED素子10から放射された光が、導光体20の内側導光部27内で反射して、第2光拡散透過カバー91に入射する。第2光拡散透過カバー91は、入射した光を拡散して透過する。このように第2光拡散透過カバー91を透過した拡散光は、続いて第1光拡散透過カバー90に入射し、ここでも拡散されて同カバー90の上面から外部へ出射する(
図9の符号d参照)。
本実施形態に係る照明装置は、このような作用をもって、上部カバー80の上方に存在する外部空間についても、目に優しい拡散光をもってほのかに照明する機能を備えている。
【0066】
内側導光部27には以下のような効果もある。白色LEDは青色光のLEDと、青色光で励起されてその補色にあたる黄色を発光する蛍光体の組み合わせで白色を作り出しているため、周辺部は黄色光が目立つことがある。その場合、光入射面24に入りきらなかった周辺光が黄色の漏れ光となって出現していたが、内側導光部27を設けたことにより、周辺光だけでない白色光も混じるようになるので、黄色が目立たなくなる。第3実施例では特にこの光が第2光拡散透過カバー91および第1光拡散透過カバー90を経て上方を照明するので、重要な効果となる。
【0067】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形実施や応用実施が可能であることは勿論である。