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特許6998433脊椎手術のための破壊性が最低限である開創器及び関連方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】脊椎手術のための破壊性が最低限である開創器及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A61B17/02
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020139036
(22)【出願日】2020-08-20
(62)【分割の表示】P 2019118236の分割
【原出願日】2015-08-14
(65)【公開番号】P2020203099
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】62/201,739
(32)【優先日】2015-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】オコンネル,ケイシー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェームズ,コールマン
(72)【発明者】
【氏名】ショルーギ,アリ,エー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-509982(JP,A)
【文献】特表2013-524929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0313585(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0096387(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0081885(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的処置が行われる脊柱後方に沿う部位へのアクセス回廊を維持する脊椎後部開創器であって、前記外科的処置は、第1の椎骨の第1の椎弓根及び第2の椎骨の第2の椎弓根内にそれぞれ固定可能な第1及び第2の骨アンカーの使用を含み、当該脊椎後部開創器は、
第1のアーム軸に沿って延びる第1のアームと、第2のアーム軸に沿って延びる第2のアームとを有し、前記第1のアーム軸及び前記第2のアーム軸は、互いに平行であり、第1の並進軸に対して垂直である、開創器本体であって、該開創器本体は、前記第1のアーム及び前記第2のアームを、前記第1の並進軸と平行な第1の方向平面において、互いに対して移動させるように動作可能であり、前記第1のアームは、前記第1のアームの部分を前記第1のアーム軸について回転させるように動作可能なスプレイを含み、前記第2のアームは、前記第2のアームの部分を前記第2のアーム軸について回転させるように動作可能なスプレイを含む、前記開創器本体と、
前記第1のアームに連結可能であり、遠位端と、近位端とを有する、第1の開創器ブレードであって、前記遠位端は、静止アームと、該静止アームに枢動的に連結される枢動アームと、第1の骨アンカーシャンクに直接的に連結する一方で、前記第1の骨アンカーシャンクに対する前記第1の開創器ブレードの角度調節性を許容するように動作可能な、一体型のブレードフットとを含み、該ブレードフットは、前記静止アームから延びる静止フットと、前記枢動アームから延びる枢動フットとを含む、前記第1の開創器ブレードと、
前記第2のアームに連結可能である第2の開創器ブレードであって、第2の骨アンカーシャンクに直接的に連結する一方で、前記第2の骨アンカーシャンクに対する前記第2の開創器ブレードの角度調節性を許容するように動作可能である、前記第2の開創器ブレードとを含む、
脊椎後部開創器。
【請求項2】
前記ブレードフットは、前記第1の骨アンカーのネックを受け入れるような大きさとされた中央アパーチャーを含む、請求項1に記載の脊椎後部開創器。
【請求項3】
前記ブレードフットは、前記中央アパーチャー内への前記第1の骨アンカーのネックの通過を許容するよう前記枢動フットが前記静止フットから離れる方向に枢動させられる開放位置と、前記中央アパーチャーからの前記第1の骨アンカーのネックの除去を防止するよう前記枢動フットが前記静止フットに隣接する閉鎖位置とを含む、請求項2に記載の脊椎後部開創器。
【請求項4】
前記第1の開創器ブレードは、前記閉鎖位置において前記枢動フットをロックするためのロックを更に含む、請求項3に記載の脊椎後部開創器。
【請求項5】
前記ロックは、前記枢動アームと係合するよう前記第1の開創器ブレードの1つの側に沿って延びる通路を通じて並進するシャフトを含む、請求項に記載の脊椎後部開創器。
【請求項6】
前記枢動アームは、前記開放位置に付勢されており、前記シャフトは、前記シャフトが前記遠位端に向かって下向きに並進するときに、前記枢動アームを前記静止アームに向かって枢動させるよう、前記枢動アームの傾斜面と係合する、請求項5に記載の脊椎後部開創器。
【請求項7】
前記シャフトの並進は、前記開創器ブレードの前記近位端に位置するセットスクリューによって制御される、請求項6に記載の脊椎後部開創器。
【請求項8】
前記閉鎖位置にあるときに、前記枢動フット及び前記静止フットの自由端の間に間隙が存在する、請求項3に記載の脊椎後部開創器。
【請求項9】
前記ブレードフットの内面が湾曲し且つ角度付けられている、請求項8に記載の脊椎後部開創器。
【請求項10】
前記第1の開創器ブレードの近位端は、前記開創器本体の第1のアームと係合する近位コネクタを含む、請求項1に記載の脊椎後部開創器。
【請求項11】
前記第1のアームの回転可能な部分は、限定的な第1の自由回転範囲の周りで、前記第1の開創器ブレードが前記第1のアームの回転可能な部分と共に回転して前記第1の開創器ブレードの前記遠位端をスプレイする前記限定的な第1の自由回転範囲を超えて、前記第1の開創器ブレードに対して回転する、請求項10に記載の脊椎後部開創器。
【請求項12】
開創器ブレードクラッチを含み、該開創器ブレードクラッチは、前記第1のアームの前記回転可能な部分にあるクラッチ空洞内に受け入れられる前記近位コネクタにあるクラッチ伸長部を含み、該クラッチ伸長部は、前記クラッチ空洞の幅よりも少ない幅を有し、前記クラッチ伸長部の幅と前記クラッチ空洞の幅との間の差は、前記限定的な自由回転範囲を定め、前記開創器ブレードクラッチは、前記クラッチ伸長部の側壁が前記クラッチ空洞の側壁と接触するときに係合する、請求項11に記載の脊椎後部開創器。
【請求項13】
前記近位コネクタは、前記第1の開創器ブレードを前記第1のアームにロックするように構成される第1の連結機構と、前記第1の開創器ブレードを第2の開創器本体にロックするように構成される第2の連結機構とを含む、請求項10に記載の脊椎後部開創器。
【請求項14】
前記第2の開創器ブレードは、前記第1の開創器ブレードと構造的に同一である、請求項13に記載の脊椎後部開創器。
【請求項15】
前記第2の開創器本体は、前記第1の開創器ブレードの前記第2の連結機構及び前記第2の開創器ブレードの前記第2の連結機構の両方に連結する、請求項14に記載の脊椎後部開創器。
【請求項16】
前記第2の開創器本体に連結可能であり、前記第1の方向平面に対して垂直な第2の方向平面に沿って移動可能である、第3の開創器ブレードを含む、請求項15に記載の脊椎後部開創器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2014年8月13日出願の米国仮特許出願第62/036,776号、及び2015年8月6日出願の米国仮特許出願第62/201,739号からの優先権の利益を主張する国際特許出願であり、これらの仮特許出願の内容全体は、本明細書において完全に示されるが如く、ここに各々、参照により本開示に明確に組み込まれる。
【0002】
本出願は、脊柱の1つ以上の分節にかけて侵襲性が最低限である脊椎固定術を行う目的で、手術標的部位へのアクセスを提供するための手術用機器及び関連方法を記載する。
【背景技術】
【0003】
脊椎固定構築物は、脊椎に安定性を提供するために利用される。固定構築物は、多くの場合、固定手術に付属するものとして使用され、この最中、隣接する椎骨は、それらの間の骨成長を容易にすることにより椎骨間の動きを排除するように準備される。椎骨間の動きは骨成長を阻害する傾向にあるため、固定構築物を用いて動きを防止して、骨が成長し、頑丈な癒合を達成するようにする。脊柱のより自然な整列を回復するために1つ以上の椎骨の位置を調整する必要がある場合、固定構築物は、癒合が達成されるまで新たな整列を維持する役目も果たす。様々な形態の固定構築物が当該技術分野で周知である。最も一般的には、固定構築物は、複数の骨アンカーを持つ前柱に固定されたプレート、または複数のアンカーと脊椎の後部要素に固定された接続ロッドとを含む後部固定構築物である。後部固定構築物については、アンカー(典型的には、椎弓根スクリューをスクリュー)は、標的運動セグメント(motion segment)の各椎骨の椎弓根に固定される。その後、アンカーは、各アンカーにロックされる固定ロッドによって接続され、それにより運動セグメントの隣接する椎骨間の運動を排除する。後部固定構築物は、一方または双方に適用され得る。加えて、後部固定構築物は、複数のレベルまたは運動セグメントにわたって適用されてもよい。
【0004】
後部固定構築物において利用される固定アンカーは、概して、アンカー部分及びロッドハウジングを含む。ロッドハウジングは、ロッドチャネルによって分離している一対の直立アームを含み、このロッドチャネルの中に固定ロッドが捕捉されロックされる。後部固定構築物を構築するとき、外科医は、ロッドをロッドチャネル中に整列させ着座させる必要がある。これは、特に、接続される椎骨のうちの1つ以上が整列していないために関連するアンカーが構築物の残りのアンカー(複数可)から垂直及び/または水平にずれた状態となるときに、困難であり得る。侵襲性が最低限である(例えば、伝統的な開放術と比較して全体的な切開の長さ及び筋のストリッピングを最低限にする)アクセス条件下での後部固定構築物の構築も、ロッドをアンカーのロッドチャネルと整列させることをより困難にする。
【0005】
本明細書に記載の機器、器具、及び技法は、脊椎後部固定に関連するこれら及び他の困難を減少させることを対象とする。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、侵襲性が最低限である脊椎手術、例えば、経椎間孔腰椎椎体間癒合(TLIF)術を行うための、組織開創器組立体及び関係する機器、ならびに方法を記載する。組織開創器は、手術標的部位への手術経路を確立及び維持するために骨アンカーと共に使用される。より具体的には、開創器は、手術標的部位(例えば、椎間板)に隣接する生体構造(例えば、椎弓根)に固定して、露出部の固定、及び解剖学的ランドマークとの境界の画定の両方を行って、外科医に方向を示し、ナビゲーションを容易にする。このアクセス経路が確立されると、椎間板腔及び脊椎終板が準備され得、1つ以上の椎体間インプラントが椎間板腔に挿入され得、その後、脊椎ロッドを使用して、構築物を整列させ圧縮または整復し得る。
【0007】
開創器組立体は、アクセス用開創器本体、第1及び第2のアンカーブレード、第2の開創器、ならびに第2のブレードを含む。第1及び第2のアンカーブレードは、骨アンカーの一部を捕捉して、開創器を生体組織に固定する。アクセス用開創器本体、アンカーブレード、及び第2のブレードは、完全に組み立てられ動作しているときに作業経路を確立及び画定し、これを通して手術標的部位へのアクセスが達成される。この作業経路は、尾から頭方向、及び内側に拡張可能である。
【0008】
アクセス用開創器本体は、第1及び第2のラック、ならびに左及び右のアームを含む。第1及び第2のアンカーブレードは、それぞれ、左及び右のアームに着脱可能に取り付けられる。本明細書に記載のTLIF手順中の使用において、開創器組立体は、アクセス用開創器本体が創傷の横方向に(患者の身体から離れて)位置するように、患者に対して位置付けられ得る。これにより、有利なことに、開創器の主要部分は蛍光透視法ウィンドウの外に位置付けられる。第1のアンカーブレードは左のアームに着脱可能に取り付けられるものとして本明細書では記載され、第2のアンカーブレードは右のアームに着脱可能に取り付けられるものとして記載されるが、第1及び第2のアンカーブレードが形態及び機能において事実上同一であり、したがって置き換え可能であることを理解されたい。
【0009】
アクセス用開創器本体は、それから横方向に延在している一対のチャネルを有する基部を含む。チャネルは、第1及び第2のラックを中に受容するようにサイズ決定及び寸法決定され、ラックの並進を制御するためのピニオンの定置を可能にするのに十分な距離で互いに分離している。サムタブは、ラックの指向性の並進を制御するように回転可能である。単に例として、サムタブを時計方向に回転させることで、同時に、第1のラックを左(開創器に対して)に向かって並進させ、第2のラックを右に向かって並進させて、開創器を「開放」する。こうして、この並進により、開創器ブレードがラックと同じ方向に移動して、手術創のサイズを制御する。その結果、アクセス用本体が患者の身体から離れて手術創の横方向に位置付けられる場合、第1の開創器ブレードは尾の方向に並進することになり、第2の開創器ブレードは頭の方向に並進することになる。ユーザが使用中に開創器を開放位置にロックできるようにするために、第1の(例えば、「ロック解除」)位置から第2の(例えば、「ロック」)位置に移動可能な歯止めが提供される。歯止めは、楔を含み、この楔は、歯止めが第2の「ロック」位置にあるときに、第2のラックの歯に係合し、第2のラックの並進を直接防止するように構成されている。これはまた、第1のラックの並進を間接的に防止して、開創器を「開放」構成に効果的にロックする。歯止めが第1の「ロック解除」位置にあるとき、楔は、歯から脱係合して、ラックの自由な並進を可能にする。ピニオンがラック間に位置付けられ、サムタブと機械的に連結することにより、サムタブを回すことでピニオンが回転し、これがラックを並進させる。歯止めをロック位置に付勢することで開創器が自由に開放するのを受動的に可能にするために、コイルばねが提供される。クリップが基部の下面に提供され、サムタブのポストに係合して共に構築物をしっかりと留める。アクセス用開創器本体は、連接型アームへの取り付けを可能にして、開創器組立体を使用中に患者のベッドの横板(または他の静止した硬質な設置位置)に据え付けるために、連接型アーム取り付け部を更に含む。
【0010】
単に例として、ラックは、ラックの各々の片面に複数の歯を分布させた略矩形の細長い部材である。歯は、ピニオンと相互作用して、アームの制御された並進を可能にするように構成されている。
【0011】
左のアームは、近位セグメント及び遠位セグメントを含む。近位セグメントは、第1のアパーチャー及び第2のアパーチャーを含む。第1のアパーチャーは、第1のラックと近位セグメントとが互いに対して略垂直であるように、第1のラックを固定して受容するように構成されている。このようにして、第1のラックの両方向性の並進により、左のアームの同じ方向の対応する移動が起こる。第2のアパーチャーは、並進中に第2のラックが近位セグメントを両方向性に係累なく通過することができるように、それを通して第2のラックを摺動自在に受容するように構成されている。
【0012】
遠位セグメントは、近位セグメントに接続し、第1のアンカーブレードに解放可能に係合するように構成されている。遠位セグメントは、遠位面を有する略円筒形のハウジングを含む。遠位面は、遠位面の中央から遠位に突出している中央ポストと、中央ポストの両側で遠位面の周辺に位置付けられる一対の対向する陥凹とを含む。中央ポストは、アンカーブレードの取り付けアパーチャーと嵌合して、アンカーブレードを左のアームにしっかりと取り付けるように構成されている。中央ポストは、略円筒形であり、テーパ状の先導端部、及び先導端部と遠位面との間に位置付けられる円周陥凹を含む。ハウジングは回転することができるため、アンカーブレードを回転させて、組織の伸延をもたらす。この回転は、第2のアンカーブレードとは無関係であり、スプレイユニットによって制御される。スプレイユニットは、ハウジングから離れて横方向に延在しているフランジ、ねじ切りジャッキスクリュー、及びキャップを含む。ジャッキスクリューは、ポストを介してフランジに枢動可能に据え付けられる。キャップは、Tハンドル(例えば)などの起動機器(図示せず)の遠位端部を受容するためのねじ切り中央アパーチャー及び係合用陥凹を含む。起動機器がキャップを回転させるとき、キャップは、ジャッキスクリューに沿って並進する(機器の回転方向に応じていずれかの方向に)。これにより、ジャッキスクリューがピンを中心として枢動させられ、これを受けて、キャップが、トルクを、ハウジング、より具体的には対向する陥凹に伝達する。以下に記載するように、陥凹は、アンカーブレードのフランジに係合し、それにより、アンカーブレードを起動機器の回転に応じて外向きまたは内向きに枢動させる。スプレイユニットは、連続的に変化するブレードのスプレイを可能にし、例えば、-20°~25°(合計で最大45°)の角度スプレイを可能にするように作動することになる。
【0013】
右のアームは、近位セグメント及び遠位セグメントを含む。近位セグメントは、第2のラックと近位セグメントとが互いに対して略垂直であるように、第2のラックを固定して受容するように構成されているアパーチャーを含む。このように、第2のラックの両方向性の並進により、右のアームの同じ方向の対応する移動が起こる。
【0014】
遠位セグメントは、近位セグメントに接続し、第2のアンカーブレードに解放可能に係合するように構成されている。遠位セグメントは、遠位面を有する略円筒形のハウジングを含む。遠位面は、遠位面の中央から遠位に突出している中央ポストと、中央ポストの両側で遠位面の周辺に位置付けられる一対の対向する陥凹とを含む。中央ポストは、アンカーブレードの取り付けアパーチャーと嵌合して、アンカーブレードを右のアームにしっかりと取り付けるように構成されている。中央ポストは、略円筒形であり、テーパ状の先導端部、及び先導端部と遠位面との間に位置付けられる円周陥凹を含む。ハウジングは回転することができるため、アンカーブレードを回転させて、組織の伸延をもたらす。この回転は、第1のアンカーブレードとは無関係であり、スプレイユニットによって制御される。スプレイユニットは、ハウジングから離れて横方向に延在しているフランジ、ねじ切りジャッキスクリュー、及びキャップを含む。ジャッキスクリューは、ポストを介してフランジに枢動可能に据え付けられる。キャップは、Tハンドル(例えば)などの起動機器の遠位端部を受容するためのねじ切り中央アパーチャー及び係合用陥凹を含む。起動機器がキャップを回転させるとき、キャップは、ジャッキスクリューに沿って並進する(機器の回転方向に応じていずれかの方向に)。これにより、ジャッキスクリューがピンを中心として枢動させられ、これを受けて、キャップが、トルクを、ハウジング、より具体的には対向する陥凹に伝達する。以下に記載するように、陥凹は、アンカーブレードのフランジに係合され、それにより、アンカーブレードを起動機器の回転に応じて外向きまたは内向きに枢動させる。スプレイユニットは、連続的に変化するブレードのスプレイを可能にし、例えば、-20°~25°(合計で最大45°)の角度スプレイを可能にするように作動することになる。
【0015】
任意選択で、アクセス用開創器本体に可動式アームを提供してもよい。開創器に可動式アームを提供することで、アクセス用開創器本体を患者の皮膚レベルから離して持ち上げ、さもなければアクセス用開創器本体を患者の皮膚に食い込ませ得る解剖学的困難を回避することができ、またアクセス用開創器本体を蛍光透視法ゾーンの外で操作できる可能性が生まれる。各可動式アームは、上記のものなどの近位アームセグメントと遠位アームセグメントとの間に位置付けられた中間セグメントを含む。例えば、左の可動式アームは、近位セグメント、中間セグメント、及び遠位セグメントを含む。右の可動式アームは、近位セグメント、中間セグメント、及び遠位セグメントを含む。便宜性のために、可動式アーム特徴部は、1つのアームについてのみ詳述することにする。しかしながら、可動式アームは、互いに事実上同一であるため、開示するいずれの特徴部も、両可動式アームに帰属し得る。
【0016】
可動式アームの近位セグメントは、上記の左のアームの近位セグメントに関して前述した特徴部の全てを含み、近位セグメントから遠位に延在している枢動部材を更に含み、この枢動部材は、中間セグメントの近位端部に形成される近位陥凹内に受容されるように構成されている。可動式アームの遠位セグメントは、上記の左のアームの遠位セグメントに関して前述した全ての特徴部を含み、遠位セグメントから近位に延在している枢動部材を更に含み、この枢動部材は、中間セグメントの遠位端部に形成される遠位陥凹内に受容されるように構成されている。
【0017】
中間セグメントは、近位セグメントと遠位セグメントとの両方に枢動可能に接続する。中間セグメントは、近位セグメントの枢動部材を受容するように構成されている近位陥凹を含む近位端部を有する。ピンが、近位端部及び枢動部材を通って延在して軸を提供し、この軸を中心として中間セグメントが近位セグメントに対して枢動する。中間セグメントは、遠位セグメントの枢動部材を受容するように構成されている遠位陥凹を含む遠位端部を更に有する。ピンが、遠位端部及び枢動部材を通って延在して軸を提供し、この軸を中心として遠位セグメントが中間セグメントに対して枢動する。中間セグメントは、中間セグメントの中間に位置付けられる摩擦陥凹を更に含む。摩擦陥凹は、ばねによって分離している一対の摩擦ピンを備える摩擦要素を収容する。ばねは摩擦ピンに等しく力を及ぼし、この摩擦ピンは、これを受けて枢動部材に摩擦力を及ぼす。このように、摩擦要素により、摩擦を克服するのに十分な力が存在する場合、近位セグメント及び遠位セグメントに対する中間セグメントの運動が許容される。かかる力がない場合、摩擦要素は、近位セグメント及び遠位セグメントに対して中間セグメントの位置を維持するように動作する。この二重ヒンジにより、アームが枢動して、尾から頭方向でのブレードの歪みの問題(困難な患者の生体構造に直面するときに遭遇する問題)を排除するように調整可能な、可動性アーム構築物が創出される。
【0018】
第1及び第2のアンカーブレードは、形態及び機能において事実上互いに同一であるため、一方のアンカーブレードに関して本明細書に開示する全ての特徴部は、もう一方のアンカーブレードにも帰属可能であり得る。概して、アンカーブレードは、連結器から延在しているブレード部分を有する。ブレード部分は、内側面及び外側面を有する。外側面は、概して平滑であり、使用中に軟組織に寄り掛かる。アンカーブレードは、これまでに考察したように、枢動して伸延をもたらすように構成されている。ブレード部分は、遠位端部及び近位端部を有する。
【0019】
遠位端部は、遠位端部が静止アームと枢動アームとに分割されるように一体型枢動アームを含む。静止アームの遠位端部は、それから延在している静止フットを含み、枢動アームの遠位端部は、それから延在している枢動フットを含む。共に閉鎖位置にあるとき、枢動フット及び静止フットは一致した行動をとって、骨アンカー(ヘッド及びねじ切りシャンクも含む)のネックを受容するように寸法決定される中央アパーチャーを有する捕捉要素(例えば、分割されたリング)を形成する。静止フット上の接触面及び枢動フット上の接触面は、骨アンカーのヘッドの略球形の外面と接合して、骨アンカーとアンカーブレードとの間の多軸接合部を形成する。接触面は、各々、かかる多軸関係を可能にすることができる任意の形状を有してもよく、これらの形状としては、傾斜面、曲面、及び/または球状の凹面が挙げられるが、これらに限定されない。枢動アームは、枢動アームの近位端部にある枢動アパーチャー及びアンカーブレードの遠位セグメント分にある対応する枢動アパーチャーを通って延在しているピンによって、アンカーブレードの遠位セグメントに枢動可能に取り付けられる。枢動アームは、枢動フットが静止フットから分離してスクリューシャンクの通過を可能にし得るように、アンカーブレードの幅に平行な平面で回転して、アンカーブレードがチューリップ連結後に骨アンカーから脱係合するのを可能にする。横方向の陥凹が枢動フットに形成され、これは、中に安定化フランジを受容するように構成されている。安定化フランジは、静止フットから離れて横方向の陥凹の中へと延在して、枢動フットが所望の運動面に留まることを確実にする。静止アームは、枢動アーム中の切り欠きと噛み合う内向きの横方向伸長部を含み、これは、リングに適用される力に抵抗するために更なる力を提供する。
【0020】
アンカーブレードは、アンカーブレードの片面に位置付けられブレードの長さを延在させている被包化されたチャネルを更に含む。ロックシャフトがこの被包化されたチャネルを通って延在し、枢動アームに係合して、枢動フット(及び捕捉要素)を閉鎖位置に維持する。この係合は、アクチュエータ、例えば、セットスクリューによって制御され、ユーザがこれを係合させてロックシャフトを作動させる。セットスクリューは、ねじ切り胴体、遠位シェルフ、器具陥凹を含む。ねじ切り胴体は、略円筒形であり、アンカーブレードの近位端部にあるねじ切り陥凹に係合するように構成されている。遠位シェルフは、セットスクリューが回転するときに遠位シェルフがそれに従って近位タブに下向きの力を及ぼすことにより、ロックシャフトが被包化されたチャネルを通って遠位に前進し枢動アームに係合するように、ロックシャフト上の近位タブと相互作用する。セットスクリューがねじ切り陥凹から出て後退するのを防止するために、捕捉リングが提供される。器具陥凹は、セットスクリューを作動させるために使用されるドライバーの遠位端部を受容するように構成されている。アクチュエータは、セットスクリューとして本明細書では記載されるが、ユーザがロックシャフトの移動を引き起こすために使用するいかなる要素であってもよく、この要素としては、カム機構が挙げられるが、これに限定されない。アンカーブレードは、様々な機器(例えば、シャンク/ブレード挿入器、チューリップ挿入器)及び照明ケーブルを摺動自在に受容するトラックを更に含む。
【0021】
連結器は、アンカーブレードの近位部分と一体に形成され、上記の左のアームの中央ポスト(及び/または右のアームの中央ポスト)との係合のためのばね荷重式簡易接続及び解放機構を提供する。アンカーブレードは、どちらのアンカーブレードも左のアームでも右のアームでも使用され得るという点で置き換え可能であることを理解されたい。したがって、本明細書では一方のアンカーブレードと左のアームとの間の相互作用のみを詳述するが、本明細書に記載の全ての特徴部は、もう一方のアンカーブレードと右のアームとの間の相互作用にも当てはまる。連結器は、近位半身及び遠位半身を有する。本開示の目的では、近位半身は、左の開創器アームに係合する連結器の部分として画定され、遠位半身は、第2の開創器(またはそれに取り付けられる場合は右の開創器アーム)に係合する連結器の部分として画定される。連結器の近位半身及び遠位半身は同一であるため、両半身に共通の様々な特徴部は、明確化のために同じ参照番号が割り当てられる。
【0022】
連結器は、ハウジング及び一対のボタンを含む。ハウジングは、近位端部にある近位面(遠位端部にある同一の遠位面)、近位面を通って延在している取り付けアパーチャー、一対のボタンアパーチャー、及び内部管腔を含む。近位面は、近位面から近位に延在している一対のフランジを含む。アンカーブレードが左のアームと嵌合するとき、近位面は、左のアームの遠位面と同一平面で接合し、フランジは、左のアームの遠位面に形成される陥凹に係合して、ユーザによるスプレイユニットの起動に応答してアンカーブレードの枢動を可能にする。取り付けアパーチャーは、中央ポストがハウジングの内部管腔中に延在し得るように、それを通して左のアームの中央ポストを受容する。ボタンアパーチャーは、ボタンが内部管腔の中へと通過することを可能にするように構成されている。ボタンは、各々、上面、貫通孔、下部隆起、及びボタンポストを有する。上面は、薄さを維持し、使用中に周囲の生体組織に起きる破壊を最低限にするように、略曲面であり、ユーザ係合表面として提供される。貫通孔は、それを通して中央ポストを受容する。下部隆起は、使用中の中央ポストの逸出を防止するために、中央ポストの円周陥凹内に収納されるように構成されている。ボタンポストは、下部隆起を円周陥凹の中に付勢するばねを中心に置く。アンカーブレードと左のアームとの連結中、中央ポストのテーパ状の先導端部により、中央ポストは、付勢を克服し、下部隆起が円周陥凹と整列するまで前進することができるようになり、この時点で、ばねにより下部隆起が円周陥凹の中に嵌まり込む。ブレードを解放するために、ユーザは上面を押下し、これにより下部隆起が円周陥凹から押し出されることで、中央ポストの除去が可能となる。ボタンは、ボタン上の陥凹の中に収納されているピンを介して連結器に固定される。連結器はまた、整列マーキングを含み、この整列マーキングは、アーム上の整列マーキングと一致した行動をとって、十分な伸延が達成されたという視覚的なフィードバックをユーザに提供する。
【0023】
アンカーブレードは、いかなる多軸(チューリップ)運動も喪失することなく、トルクを骨アンカーへと効率的に伝達する(例えば、圧縮/伸延のため)。アンカーブレードは再利用可能である。アンカーブレードの枢動フットにより、シャンクのねじ径がシャンクヘッドの直径より大きい大型のスクリューを、頭を下にして装填することが可能となる。枢動フットにより、アンカーブレードの固定点を取り込むことなく頭を下にした手法で多軸チューリップを装填することができるようになる。
【0024】
第2の(例えば、内側)開創器は、組み立てた開創器に取り付けることができ、自動ロック機構を有する。第2の開創器は、アンカーブレードの連結器に取り付け可能であり、開創組立体及びブレード組立体を備える。第2の開創器は、第2の(例えば、内側)ブレードへの更なる接続を可能にし、多自由度での内向きの脊椎への更なるアクセスを推進する。例えば、第2の開創器は、内側への開創、内側へのスプレイ、尾から頭方向での枢動、及び尾から頭方向での並進を提供し得る。開創組立体は、内側への開創を提供し、ハウジング、ねじ切りシャフト、ならびに作動ギア及び並進ギアを備える垂直ギアを備え、細かい分解能が付与される。ハウジングは内部管腔を有し、これを通ってねじ切りシャフトが延在し、この中に垂直ギアが収められる。作動ギアは、歯部分及び係合用陥凹を含む。係合用陥凹は、ハウジング中に形成されるアパーチャーを通って延在し、アクチュエータ器具のための係合要素を提供する。ハウジングは、スナップリングを受けるように構成されている円周陥凹を有する。作動ギアは、このスナップリング及び溝付きの保持座金を通してハウジングに据え付けられる。並進ギアは、作動ギアに対して垂直に配向される。並進ギアは、歯部分、ポスト、及びねじ切り内部管腔を含む。この歯部分は、作動ギアの歯部分に係合し、作動ギアが回転するときに並進ギアを回転させる。ポストは、保持リング内に適合し、この保持リングは、中にスナップリングを受容するように構成されている円周陥凹を有する。スナップリングはまた、内部管腔内に形成される溝内に適合して、並進ギアをハウジングに据え付ける。使用中のギア間の摩耗を防止するために玉軸受案内溝が提供される。
【0025】
ねじ切りシャフトは、並進ギアのねじ切り管腔と嵌合する。並進ギアが回転するにつれて、ねじ切りシャフトは、回転の方向に応じて内側または横方向のいずれかに並進させられる。ねじ切りシャフトは、上記の第1のアームの遠位面と構造及び機能において事実上同一である近位端部を更に含む。即ち、近位端部は、近位面、近位面の中央から遠位に突出している中央ポスト、及び中央ポストの両側で近位面の周辺に位置付けられる一対の対向する陥凹を含む。中央ポストは、アンカーブレードの取り付けアパーチャー(またはアンカーブレード)と嵌合して、アンカーブレードを左のアームにしっかりと取り付けるように構成されている。中央ポストは、略円筒形であり、テーパ状の先導端部、及び先導端部と近位面との間に位置付けられる円周陥凹を含む。これら特徴部は、上記のアンカーブレードの簡易脱着機構と相互作用し、この相互作用の様式は、左の開創器アームの対応する構造がアンカーブレードの簡易脱着機構と相互作用する様式と同一であるため、繰り返して考察する必要はない。しかしながら、アンカーブレードが連結器の近位端部を通して左の開創器アームに取り付けられるという上に開示した例においては、第2の開創器は、連結器の遠位端部に同時に取り付けられ得ることに留意されたい。
【0026】
ブレード組立体は、開創組立体から略垂直に延在し、簡易脱着ハウジング及びスプレイユニットを含む。簡易脱着ハウジングは、第2のブレードの取り付けポストを受容するための取り付けアパーチャー、及びばねで付勢されるボタンを含む。簡易脱着ハウジングは、連結器に関して上に記載した同じ特徴部と形態及び機能について同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。同様に、スプレイユニットは、左のアームのスプレイユニットと形態及び機能において同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。しかしながら、スプレイユニットは、連続的に変化するブレードのスプレイを可能にし、例えば、最大40°の角度スプレイを可能にするように作動することになる。
【0027】
代替的な第2の開創器が提供されてもよく、これは、代替的な第2の開創器が左の開創器アーム(一方のアンカーブレードを介して)及び右の開創器アーム(もう一方のアンカーブレードを介して)の両方に取り付けられるという点で、上記の第2の開創器とは異なる。代替的な第2の開創器は、第1のアンカーブレードの連結器及び第2のアンカーブレードの対応する連結器に取り付け可能である。代替的な第2の開創器は、開創組立体、ブレード組立体、及び第2の取り付けユニットを備える。代替的な第2の開創器は、第2の(例えば、内側)ブレードへの更なる接続を可能にし、多自由度での内向きの脊椎への更なるアクセスを推進する。例えば、代替的な第2の開創器は、内側への開創、内側へのスプレイ、尾から頭方向での枢動、及び尾から頭方向での並進を提供し得る。開創組立体は、上記の開創組立体と同一である。クロスバーは、開創組立体から略垂直に延在し、第2の取り付けユニットにて終結する。ブレード組立体は、開創組立体と第2の取り付けユニットとの間のクロスバー上に位置付けられる。ブレード組立体は、簡易脱着ハウジング及びスプレイユニットを含む。簡易脱着ハウジングは、第2のブレードの取り付けポストを受容するための取り付けアパーチャー、及びばねで付勢されるボタンを含む。簡易脱着ハウジングは、連結器に関して上に記載した同じ特徴部と形態及び機能において同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。同様に、スプレイユニットは、捕捉されたジャッキスクリュー及びキャップを含めて、左のアームのスプレイユニットと形態及び機能において同一である。しかしながら、スプレイユニットは、簡易脱着ハウジング(及び故に第2のブレード)を枢動させるが、クロスバーまたは第2の取り付けユニットは回転させないことに留意されたい。スプレイユニットは、連続的に変化するブレードのスプレイを可能にし、例えば、最大40°の角度スプレイを可能にするように作動することになる。
【0028】
第2の取り付けユニットは、基部、伸長部、及び取り付けポストを含む。取り付けポストは、略円筒形であり、テーパ状の先導端部、及び先導端部と伸長部との間に位置付けられる円周陥凹を含む。これら特徴部は、上記のアンカーブレードの簡易脱着機構と相互作用し、この相互作用の様式は、左の開創器アームの対応する構造がアンカーブレードの簡易脱着機構と相互作用する様式と同一であるため、繰り返して考察する必要はない。
【0029】
第2の開創器ブレードは、近位トラック部分及び遠位ブレード部分を含む。近位トラック部分は、内側面及び外側面を有する。内側面は、遠位ブレード部分の少なくとも一部を収納するための陥凹を含む。トラック部分は、照明ケーブル(例えば)を受容するためのトラック、及び陥凹の近位のトラック部分に沿って位置付けられる複数のラチェットアパーチャーを更に含む。外側面は、外側面から離れて略垂直に延在している取り付けポストを含む。取り付けポストは、左の開創器アームの中央ポストと形態及び機能において同一であり、左の開創器アームの中央ポストが連結器の簡易脱着機構と相互作用するのと同じ様式で、第2の開創器の簡易脱着機構と相互作用する。遠位ブレード部分は、ブレード及び誘導フランジを含む。ブレードは、遠位先端にて、内側面、外側面、及び鋸歯状フットを含む。内側面は、わずかに凹状の表面を含み得る。鋸歯状フットは、外面に向けて湾曲し、組織のクリープ効果を最低限に抑えるのを助ける。誘導フランジは、トラックに係合して、遠位ブレード部分を近位トラック部分に連結させる。誘導フランジは、アパーチャーと相互作用してブレード構築物の所望の長さを維持する、近位端部を有するカンチレバー式ラチェット機構を更に含む。誘導ピンは、遠位ブレード部分におけるピンアパーチャーを通って誘導トラックの中へと延在して、遠位ブレード部分が使用中に適切な整列を維持することを確実にする。
【0030】
使用のため、第2のブレードはブレード挿入器に連結され得る。ブレード挿入器は、細長いシャフトによって分離している近位ハンドル及び遠位先端を含む。近位ハンドルは、それから近位に延在している解放ボタンを含む。遠位先端は、側縁部を含み、この側縁部は、近位トラック部分上のトラックと嵌合して、第2のブレードをブレード挿入器に連結させる。遠位先端は、遠位端部を有するカンチレバー式ラチェット機構を更に含み、これは、アパーチャーと相互作用して、第2のブレード上での確固とした保持を維持する。
【0031】
第2のブレードを使用するために、まず、ブレードを上記のように挿入器に連結する。遠位ブレード部分は、最初に完全に伸長した位置にあるべきである(即ち、カンチレバー式ラチェット機構の遠位端部が近位トラック部分にある最遠位のラチェットアパーチャーに係合するように位置付けられる)べきであることに留意されたい。その後、第2のブレードは、ユーザによって手術標的部位へと手動で前進させられる。ブレードの遠位先端は、まず触覚フィードバックを用いて所望の場所に配置され、その後続いて圧縮されて第2の開創器に接続される。任意選択で、ユーザは、遠位先端にて組織を持ち上げるためにコブ(Cobb)機器のような第2のブレードを使用してもよい。これは同時に、ブレードが、圧縮によってロックされた状態のままで適当に延長することを可能にする。ブレードの圧縮は次のように達成される:ブレードが解剖学的構造(例えば、軟組織、骨)に係合すると、遠位端部は移動を停止することになる。ユーザが挿入機器に下向きの力を適用し続ける場合、カンチレバー式ラチェット機構により、遠位端部は、ブレードの所望の圧縮が達成されるまで、1つのラチェットアパーチャーを次に近位であるラチェットアパーチャーのために空ける(同様のことが続く)ことになる。次に、ユーザは、第2のブレードを、それが上記の特徴部を介して第2の開創器に接続するように操作する。所望の場合、ユーザは、挿入器が取り付けられたままである間に、または挿入器が脱係合した後に、ブレードスプレイを好んで用いてもよい。更なるブレードの圧縮がブレードのスプレイ中に生じ得る。第2のブレードが挿入されると、解放ボタンを使用することができ、これが、カンチレバー式ラチェット機構をラチェットアパーチャーに再係合させ、その間に遠位ブレードに下向きの力を提供することで、挿入器の手術創からの除去が可能となり、同時に第2のブレードが伸長した状態を維持することができるようになる。例として、第2のブレードの遠位ブレード部分は、手術中の蛍光透視法の放射線透過性を提供するチタンという材料選択で作製されてもよい。
【0032】
例として、本開示の組織開創器組立体を使用する1つの方法は、TLIF手順においてである。本明細書に記載の開創器組立体の有益な特徴は、骨アンカーが、手術標的部位への導入の前にアンカーブレードに連結され得ることである。これは、上記のように、まず枢動フットをロック解除し、骨アンカーのネックを中央アパーチャーの中に挿入し、その後、枢動フットを再度ロックすることによって行われる。骨アンカーは、こうしてアンカーブレードに連結し、またここで、手術経路を通した前進の前にドライバー機器に連結してもよい。患者を適切に位置付け、標的エリアを特定し、露出部を確立したら、骨アンカーを第1の標的部位に配置し得る。標的の椎弓根を穿刺した後、連結した骨アンカー、アンカーブレード、及び挿入器は、Kワイヤの上を標的部位へと通過させ得る。アンカーを、ドライバーの遠位端部またはアンカーブレードのいずれかが骨の上で底を打つまで、骨の中へと打ち込む。Kワイヤは、ねじ切りシャンクが椎体の後部に進入した後で除去し得る。これらのステップを繰り返して、骨アンカーと連結した第2のアンカーブレードを隣接する椎体の椎弓根中に配置し得る。
【0033】
この時点で、アクセス用開創器本体は、いずれの側(例えば、内側または横方向)においてもアンカーブレードに取り付けることができるが、蛍光透視法下での標的エリアの可視性を増加させるように、アクセス用開創器本体をアンカーブレードの横方向の側面に(即ち、患者の脊椎から離れて)取り付けることが有利であり得る。上記のように、アクセス用開創器本体は、中央ポストをアンカーブレードの簡易接続連結器の中に挿入することによって、アンカーブレードに接続される。アクセス用開創器本体がブレードに適切に係合するとき、可聴性クリックが鳴る。この時点で、開創器組立体は、連接型アーム取り付け部を使用して連接型アーム(例えば)に取り付けられ得る。アンカーブレードが椎間板腔に平行であるように開創器組立体を位置付けることで、内側の露出部へのトラジェクトリが適切に達成されることが確実となる。
【0034】
伸延が所望される場合、アンカーブレードは、上記のように、Tハンドル(例えば)を使用して左の開創器アームにあるスプレイユニットのキャップを作動させることによって、スプレイされ得る。同様に、アンカーブレードは、右の開創器アームのスプレイユニットのキャップを作動させるためにTハンドル(例えば)を使用して、別個にスプレイされ得る。Tハンドルの時計方向の回転により、ブレードは、外向きにスプレイする。ブレードは骨アンカーを介して椎弓根骨に連結するため、これは椎間板腔の伸延も引き起こすことになる。連結器は、整列マーキングを含み、この整列マーキングは、アーム上の整列マーキングと一致した行動をとって、十分な伸延が達成されたという視覚的なフィードバックをユーザに提供する。適切な整列が達成されると、ユーザは、サムタブ(または例えば、所望の場合はTハンドル)を時計方向に回転させて、開創器を開放し、軟組織の開創及び作業経路の最初の視覚化を提供し得る。
【0035】
十分な軟組織の開創が達成されると、単式係合の第2の開創器または複式係合の第2の開創器を加えて、内側への開創を可能にし得る。単式係合の第2の開創器は、中央ポストをアンカーブレードの連結器の遠位半身中に挿入することによって取り付けられる。第2の開創器がアンカーブレードに適切に係合したときに、可聴性クリックが鳴る。複式係合の第2の開創器は、中央ポストをアンカーブレードの連結器の遠位半身中に挿入し、第2の取り付けユニットの取り付けポストをアンカーブレードの連結器の遠位半身中に挿入することによって取り付けられる。第2の開創器がアンカーブレードの各々に適切に係合したときに、可聴性クリックが鳴る。次に、第2のブレードが選択され、これは、挿入器に取り付けられた後、第2の開創器に取り付けられる。十分な内側へのブレードの引き戻し及びスプレイが達成されると、挿入器上の解放ボタンが押されて、第2のブレードを挿入器から解放する。
【0036】
この時点から、椎間関節切除、減圧、更なる伸延(任意選択)、椎間板及び終板の準備、ならびに椎体間インプラントの挿入を含む、TLIF手順の更なるステップが、このレベルで実行される。ロッド挿入のための準備中、アンカーブレードが各脊椎レベルにて骨アンカーに係合している間に、チューリップヘッド(図示せず)が骨アンカーヘッドに取り付けられる。ロッドも、アンカーブレードが取り付けられている間に配置されロックして据えられ得る。ロッド構築物がきちんと定置されると、枢動フットのロックが、セットスクリューを反時計回りに回転させることで解除され、このことが、ロックシャフトを、被包化されたチャネルを通して近位に後退させ、その結果、枢動アームと脱係合する。枢動アームが自由に移動できるようになることで、アンカーブレードを骨アンカーから分離し、作業チャネルから除去できるようになる。第2のアンカーブレードは、アンカーブレードと同じ様式で作業チャネルから除去され得、手術創が閉じられ、手順を完了する。
【0037】
複数レベルのTLIF手順については、開創器組立体は、椎弓根の標的化が必要となる回数を減少させるための「進行技法(marching technique)」において使用され得る。例えば、2レベルのTLIF(2つの隣接する椎骨を伴う)のためには、連結したアンカーブレード挿入器を、各標的椎弓根に配置する(即ち、2つの隣接するレベルで合計3つのブレード)。本手順は、第3のアンカーブレードが何にも(移植した骨アンカーを除く)取り付けられていない状態で、これらのレベルのうちの1つに関して上に記載したように行われる。TLIFが第1のレベルにて完了した後、開創器組立体は、アンカーブレードを除いて除去される。第1のアンカーブレードは、骨アンカーに取り付けられたままである。中間のブレードは、180°回転した後、第3のアンカーブレードと共にアクセス用開創器本体(もう一方の開創器アーム)に再度接続される。TLIFが第2のレベルにて行われる。チューリップが降ろされると、ロッドが配置されて3つ全てのレベルを接続し得、こうして手順が終了し得る。
【0038】
本明細書に記載の組織開創器組立体と共に使用するように構成されている代替的なアンカーブレードが提供される。代替的なアンカーブレードは、簡易接続機構を除いて前述したアンカーブレードと同様である。概して、本アンカーブレードは、連結器から延在しているブレード部分を有する。ブレード部分は、上記のアンカーブレードのブレード部分と形態及び機能において同一であるため、前述したアンカーブレードのブレード部分に関して開示される全ての特徴部は、前述したアンカーブレードのブレード部分にも帰属可能であり、繰り返しの開示を不要とする。
【0039】
連結器は、アンカーブレードの近位部分と一体に形成され、上記の左のアームの中央ポスト(及び/または右のアームの中央ポスト)との係合のための代替的なばね荷重式簡易接続及び解放機構を提供する。本アンカーブレードは、アンカーブレードが左のアームでも右のアームでも使用され得るという点で置き換え可能であることを理解されたい。したがって、本明細書ではアンカーブレードと左のアームとの間の相互作用のみを詳述するが、本明細書に記載の全ての特徴部は、アンカーブレードと右のアームとの間の相互作用にも当てはまる。連結器は、近位半身及び遠位半身を有する。本開示の目的では、近位半身は、左の開創器アームに係合する連結器の部分として画定され、遠位半身は、第2の開創器(またはそれに取り付けられる場合は右の開創器アーム)に係合する連結器の部分として画定される。連結器の近位半身及び遠位半身は同一である。
【0040】
連結器は、ハウジング及び一対の解放ボタンを含む。ハウジングは、近位端部にある近位面(及び遠位端部にある同一の遠位面)、近位面を通って延在している取り付けアパーチャー、取り付けアパーチャーの下にある近位面を通って延在しているトリガアパーチャー、一対のボタン陥凹、及び内部管腔を含む。近位面は、近位面から近位に延在している一対のフランジを含む。アンカーブレードが左のアームと嵌合するとき、近位面は、左のアームの遠位面と同一平面で接合し、フランジは、左のアームの遠位面に形成される陥凹に係合して、ユーザによるスプレイユニットの起動に応答してアンカーブレードの枢動を可能にする。取り付けアパーチャーは、中央ポストがハウジングの内部管腔中に延在し得るように、それを通して左のアームの中央ポストを受容する。ボタン陥凹は、アンカーブレードが「準備完了」状態にあるときに(例えば、左のアームとの連結の前に)、解放ボタンのための目立たない収納位置を提供するように構成されている。ボタン陥凹の中には、各々、ボタンばねの一端を収容するためのばね陥凹が位置付けられている。解放ボタンは、各々、上面、底面、及び底面から延在しているロックフランジを有する。上面は、薄さを維持し、使用中に周囲の生体組織に起きる破壊を最低限にするように、略曲面であり、ユーザ係合表面として提供される。底面は、ボタンばねのもう一方の端部を収容するためのばね陥凹を含む。ロックフランジは、底面から延在し、貫通孔、及び貫通孔の下に延在しているトリガスロットを含む。貫通孔は、それを通して中央ポストを受容する。貫通孔の周縁は、中央ポストが管腔の中に完全に挿入された(それによりアンカーブレードを左のアームにロックした)後で、中央ポストの円周陥凹内に収納され、中央ポストの逸出を防止するようにサイズ決定され構成されている。トリガスロットは、第1の部分と第2の部分とに分けられる。第1の部分は、トリガボタンの中間部分の直径を相補する幅寸法を有する。第2の部分は、トリガボタンの末端部分の直径を相補する幅寸法を有する。連結器は、ばね荷重式トリガボタンを更に含み、これは、内部管腔の下に位置付けられるトリガ管腔内に、トリガばねと共に、少なくとも部分的に収容される。トリガボタンは、基部、基部の直径より小さい直径を有する中間部分、中間部分の直径より小さい直径を有する末端部分、及び末端部分の直径より大きい直径を有する末端キャップを有する。
【0041】
分離状態または「準備完了」状態(例えば、左のアームとの連結前)において、トリガばねは、トリガボタンの基部に外向きの力を及ぼし、これが、トリガボタンの中間部分を、トリガアパーチャーを通して少なくとも部分的にトリガスロットの第1の部分(即ち、より幅広の部分)の中に付勢する。これが解放ボタンを下向きに引き、その結果、解放ボタンがボタン陥凹内に収納され、ボタンばねが圧縮される。この状態で、ハウジングの取り付けアパーチャーが解放ボタンの貫通孔と整列することにより、中央ポストの内部管腔への挿入が可能となり、アンカーブレードと左のアームとが連結するようになる。アンカーブレードと左のアームとが連結する間、中央ポストは、貫通孔及び取り付けアパーチャーを通って内部管腔の中へと前進する。この前進が起きているとき、左のアームの遠位面は、トリガボタンに遭遇し、端部キャップに内向きの力を及ぼす。この内向きの力はトリガばねによって及ぼされる外向きの力より大きく、トリガボタンはトリガ管腔の中に促される。トリガボタンがトリガ管腔の中に更に押されるとき、中間部分がトリガスロットの第1の部分から完全に押し出されることで、末端部分のみがトリガスロットに残る。こうして、ボタンばねは、解放ボタンの底面に上向きの力を及ぼすことによってエネルギーを解放することができるようになる。この力が解放ボタンを留め上げて、トリガボタンの末端部分をトリガスロットの第2の部分に嵌め込み、この間同時に貫通孔の周縁を中央ポストの円周陥凹に嵌め込んで、中央ポストが管腔の中に完全に挿入された(それにより、アンカーブレードを左のアームにロックした)後の中央ポストの逸出を防止する。解放ボタンの強制的な移動により、周縁と円周陥凹との間の金属同士の接触が音で聞こえるようになり、フィードバックを可聴性「クリック」の形態でユーザに提供して、アンカーブレードが開創器アームに据え付けられたことを示す。この「ロック」状態において、取り付けアパーチャー及び貫通孔は、それ以上整列しない。アンカーブレードを解放するために、ユーザは解放ボタンを押す。これが取り付けアパーチャー及び貫通孔を再び整列させ、この間同時に、周縁を円周陥凹から除することで、中央ポストの連結器から除去を可能にする。
【0042】
別の実施形態に従い、組織開創器組立体に取り付けることができる第2の開創器の第3の例を本明細書に開示する。第3の例の第2の開創器は、アンカーブレードの連結器(例えば、本明細書に開示のアンカーブレードの実施形態のいずれか)に取り付け可能であり、開創組立体及びブレード組立体を備える。この第2の開創器は、第2の(例えば、内側)ブレードへの更なる接続を可能にし、多自由度での内向きの脊椎への更なるアクセスを推進する。例えば、この第2の開創器は、内側への開創、内側へのスプレイ、尾から頭方向での枢動、及び尾から頭方向での並進を提供し得る。開創組立体は、内側への開創を提供し、ハウジング、ラック、ギア、及び歯止めを備える。ハウジングは、ラックが中を通って延在する内部管腔、ギアを受容するギア陥凹、及び歯止めのための目立たない収納部を提供する歯止め陥凹を有する。ラックは、近位取り付け端部、1セットの上部の歯、及び1セットの側部の歯を含む。取り付け端部は、上記の第1のアームの遠位面と構造及び機能において事実上同一であるため、繰り返しの考察は不要である。上部の歯は、互いに比較的近く離間され、歯止めに係合するように構成されている。側部の歯は、上部の歯よりも離れて離間され、ギアに係合するように構成されている。より大きい側部の歯は、ギアに係合する際、開創中のより優れた機械的利点をもたらし、一方で、より小さい歯は、より慎重なロック位置をもたらす。ギアは、歯部分及び係合用陥凹を含む。係合用陥凹は、アクチュエータ要素のポストを受容し、これはまた、アクチュエータ器具(図示せず)に係合するための係合用陥凹も含む。アクチュエータ要素を回転させることでギアが回転し、これを受けてラックが管腔内を並進する。歯止めは、遠位係合先端及びばね荷重式近位解放レバーを含む。遠位係合先端は、ラックにある上部の歯に係合して、ロック位置を精密に制御する。ばねは、歯止めを付勢して、ラチェット様の様式でラックに接触する。解放レバーを押すことで遠位係合先端がラックから持ち上がり、ラックが自由に運動できるようになる。ブレード組立体は、第1の例の第2の開創器を参照して上に記載したブレード組立体と同一であるため、このブレード組立体に関して開示したいずれの特徴部も本ブレード組立体に適用可能であり、繰り返しの考察を不要とする。
【0043】
別の実施形態に従い、組織開創器組立体に取り付けることができる第2の開創器の第4の代替例を本明細書に記載する。第4の例の第2の開創器は、尾の方のアンカーブレードに取り付け可能であり、開創組立体及びブレード組立体を備える。第2の開創器は、第2の(例えば、内側)ブレードへの更なる接続を可能にし、多自由度での内向きの脊椎への更なるアクセスを推進する。例えば、第2の開創器は、内側への開創、内側へのスプレイ、尾から頭方向での枢動、及び尾から頭方向での並進を提供し得る。開創組立体は、内側への開創を提供し、ハウジング、ラック、及びギアを備える。ハウジングは、内部チャネルを有し、これを通してラックが延在し、この中でギアがラックに係合する。ギアは、ラックに係合する歯部分(図示せず)と、アクチュエータ器具用の係合要素を提供する係合用陥凹とを含む。ハウジングは、ハウジングから略下向きに延在している取り付けフランジと、ラックの歯に係合するように構成されている歯止めとを更に有し、細かい分解能が可能となる。取り付けフランジは、アンカーブレードのトラックに摺動自在に係合するように構成されている。ラックは、両面性であり、第2のセットの歯とは反対のラック面に位置付けられる第1のセットの歯を有する。第1のセットの歯は、互いに比較的近く離間され、歯止めに係合するように構成されている。第2のセットの歯は、第1のセットの歯よりも離れて離間され、ギアに係合するように構成されている。より大きい第2のセットの歯は、ギアに係合する際、開創中のより優れた機械的利点をもたらし、一方で、より小さい第1のセットの歯は、より慎重なロック位置をもたらす。
【0044】
ブレード組立体は、基部、枢動するクロスバー、ブレード連結器、及びスプレイユニットを含む。基部は、ラックの遠位端部に位置付けられ、枢動するクロスバーを受容するためのチャネルを含む。枢動するクロスバーは、距離にして最大1インチ並進することができ、連続的に変化する様式で軸を中心に最大40°回転することができる。枢動するクロスバーは、チャネル内を自由に並進してもよく、並進の誘導中に摩擦を適用する内部Oリングを有する。スプレイユニットは、回転を制御し、左のアームのスプレイユニットと形態及び機能において同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。枢動するクロスバーは、クランクシャフトに取り付けられ、クランクシャフトは、オフセットナックル及び枢動するスタッドを有することで、第2のブレードの取り付けを可能にする。クランクシャフトは、第2のブレードが枢動するクロスバーの回転軸から外れてスプレイできるようにする。偏心運動は、スプレイ中に第2のブレードが上昇して外科医の視線から出るように促す。第2のブレードは、内部の自動ロック式簡易接続機構、例えば、上記のものなどを用いて、第2の開創器に取り付けられる。
【0045】
第4の例の第2の開創器は、標準的なラック開創器と共に使用され得る。この第2の開創器は、本開示の範囲から逸脱することなく上記の開創器組立体と共に使用され得る。単に例として、標準的なラック開創器は、クロスバーラックを介して接続される第1のアーム及び第2のアームを含んでもよい。第1のアーム及び第2のアームは、上記の左及び右のアームと事実上同一である。クロスバーラックは、ハウジング内に受容され、ハウジング自体は、ギア及び歯止めを有する。アンカーブレードは、それらがフープシムを介して骨アンカーに取り付けられるという点で、上記のいくつかの実施形態とは異なる。
【0046】
一例に従って、外科処置が行われる脊椎後部(posterior spinal column)に沿う部位へのアクセス経路を維持するための脊椎後部開創器(posterior spinal retractor)を説明する。外科処置は、それぞれ、第1の椎骨の第1の椎弓根及び第2の椎骨の第2の椎弓根に固定可能な第1及び第2の骨アンカーの使用を含む。脊椎開創器は、開創器本体、第1のブレード、及び第2のブレードを含む。開創器本体は、第1のアーム軸に沿って延在している第1のアームと、第2のアーム軸に沿って延在している第2のアームとを有する。第1のアーム軸及び第2のアーム軸は、互いに平行であり、第1の並進軸に対して垂直である。開創器本体は、第1の開創器アーム及び第2の開創器アームを、第1の並進軸に平行な平面方向で互いに対して移動させるように操作可能である。第1のアームは、第1のアームの一部を、第1のアーム軸を中心として回転させるように操作可能であるスプレイ機構を含み、第2のアームは、第2のアームの一部を、第2のアーム軸を中心として回転させるように操作可能であるスプレイ機構を含む。第1の開創器ブレードは、第1のアームに連結可能であり、遠位端部及び近位端部を有する。第1の開創器ブレードの遠位端部は、第1の骨アンカーシャンクに直接連結するように操作可能である一体型ブレードフットを含む。このブレードフットにより、第1の開創器ブレードの第1の骨アンカーシャンクに対する角度調整が可能となる。第2の開創器ブレードは、第2のアームに連結可能であり、遠位端部及び近位端部を有する。第2の開創器ブレードの遠位端部は、第2の骨アンカーシャンクに直接連結するように操作可能である一体型ブレードフットを含む。第2の開創器ブレードの第2の骨アンカーシャンクに対する角度調整を可能にするブレードフット。
【0047】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1の開創器ブレードは、第1のアームの回転可能な部分が制限された第1の自由回転範囲で第1の開創器ブレードに対して回転するように第1のアームに係合する近位コネクタを含む。制限された第1の自由回転範囲を超えて、第1の開創器ブレードが第1のアームの回転可能な部分と共に回転して、第1の開創器ブレードの遠位端部をスプレイする。第2の開創器ブレードも、第2のアームの回転可能な部分が制限された第2の自由回転範囲で第2の開創器ブレードに対して回転するように第2のアームに係合する近位コネクタを含む。制限された第2の自由回転範囲を超えて、第2の開創器ブレードが第2のアームの回転可能な部分と共に回転して、第2の開創器ブレードの遠位端部をスプレイする。
【0048】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1の開創器ブレードの近位コネクタは、第1のアームの回転可能な部分のクラッチ空洞内に受容されるクラッチ伸長部を含む。このクラッチ伸長部は、クラッチ空洞の幅より小さい幅を有し、クラッチ伸長部の幅とクラッチ空洞の幅との間の差異が、制限された第1の自由回転範囲を画定する。クラッチ伸長部の側壁がクラッチ空洞の側壁に接触するときに係合状態となるクラッチ。
【0049】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第2の開創器ブレードの近位コネクタは、第2のアームの回転可能な部分のクラッチ空洞内に受容されるクラッチ伸長部を含む。このクラッチ伸長部は、クラッチ空洞の幅より小さい幅を有し、クラッチ伸長部の幅とクラッチ空洞の幅との間の差異が、制限された第2の自由回転範囲を画定する。クラッチ伸長部の側壁がクラッチ空洞の側壁に接触するときに係合状態となるクラッチ。
【0050】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1及び第2の開創器ブレードを固定された第1及び第2の骨アンカーシャンクに連結させ、第1の開創器ブレードクラッチ及び第2の開創器ブレードクラッチを脱係合させるときに、開創器本体を移動させ、これを受けて第1の開創器ブレードの近位端部及び第2の開創器ブレードの近位端部が同じ方向に移動することによって、第1のブレードと第2のブレードとの間の手術経路の角度を調整することができる。
【0051】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1及び第2の開創器ブレードを固定された第1及び第2の骨アンカーシャンクに連結させ、第1の開創器ブレードクラッチ及び第2の開創器ブレードクラッチを脱係合させるときに、第1のアーム及び第2のアームを互いに対して並進させて、第1及び第2のブレードの近位端部を互いに対して、また固定された遠位端部に対して移動させることによって、第1のブレードと第2のブレードとの間の手術経路の容積を調整することができる。
【0052】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1及び第2の開創器ブレードを固定された第1及び第2の骨アンカーシャンクに連結させ、第1の開創器ブレードクラッチ及び第2の開創器ブレードクラッチを脱係合させるときに、第1及び第2のアームを互いに対して並進させて、第1の骨アンカーと第2の骨アンカーとの間の距離を調整することができる。
【0053】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1及び第2の開創器ブレードを固定された第1及び第2の骨アンカーシャンクに連結させ、第1の開創器ブレードクラッチ及び第2の開創器ブレードクラッチを係合させるときに、第1及び第2の回転可能なアーム部分のうちの少なくとも一方を回転させて、第1の骨アンカーと第2の骨アンカーとの間の距離を調整し、椎間板腔を圧縮または伸延することができる。
【0054】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1の開創器ブレードの近位コネクタは、係合時に第1の開創器ブレードを第1の開創器アームに自動的にロックするように構成されている連結機構を含む。
【0055】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、連結機構は、脱連結を容易にするために、第1の開創器ブレードを関連する開創器本体または第2の開創器本体からロック解除するように構成されている解放ボタンを含む。
【0056】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1の開創器ブレードの近位コネクタは、第1の連結機構と構造的に同一である第2の連結機構を含む。
【0057】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、脊椎開創器は、第2の連結機構に連結する第2の開創器を含む。
【0058】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第2の開創器ブレードは、第1の開創器ブレードと構造的に同一である。
【0059】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第2の開創器本体は、第1の開創器ブレードの第2の連結機構と第2の開創器ブレードの第2の連結機構との両方に連結する。
【0060】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第2の開創器本体に連結可能な第3の開創器ブレードが存在する。
【0061】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1の開創器ブレードの遠位端部は、静止アームと、静止アームに枢動可能に連結する枢動アームとを含む。ブレードフットは、静止アームから延在している静止フットと、枢動フットから延在している枢動フットとを含む。
【0062】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、このフットは、骨アンカーのネックを中に受容するようにサイズ決定される中央アパーチャーを含む。
【0063】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、フットは、枢動フットが静止フットから離れて枢動して、骨アンカーネックの中央アパーチャーへの通過を可能にする開放位置を含む。フットはまた、枢動フットが静止フットに隣接して、骨アンカーネックの中央アパーチャーからの除去を防止する閉鎖位置を含む。
【0064】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、第1の開創器ブレードは、枢動フットを閉鎖位置にロックするためのロックを更に含む。
【0065】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、このロックは、開創器ブレードの片面に沿って延在している通路を通って並進して枢動アームに係合するシャフトを備える。
【0066】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、枢動アームは、開放位置に付勢され、シャフトは、枢動アームの傾斜面に係合して、シャフトが下方に並進するときに枢動アームを前記静止アームに向けて枢動させる。
【0067】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、シャフトの並進は、開創器ブレードの上部に位置するセットスクリューによって制御される。
【0068】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、閉鎖位置にあるときには、静止フットの端部と枢動フットの端部との間に間隙が存在する。
【0069】
脊椎後部開創器の別の態様に従うと、フットの内面は、湾曲し、角度を付けられている。
【0070】
別の例に従って、外科用開創器ブレードを説明する。外科用開創器ブレードは、連結器及びブレード部分を含む。連結器は、開創器ブレードを開創器と連結させるように構成されている。ブレード部分は、静止アームを有する遠位端部を含み、静止フットがこの静止アームから横方向に延在している。遠位端部も、及び枢動アームを有し、枢動フットがこの枢動アームから横方向に延在している。枢動アームは、静止アームに枢動可能に連結し、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である。閉鎖位置では、枢動フット及び静止フットが協働して捕捉リングを形成する。捕捉リングは、移植型骨アンカーを中に捕捉するように構成されている。開放位置では、移植型骨アンカーの捕捉リングを出入りする通過が可能となる。
【0071】
開創器ブレードの別の態様に従うと、開創器ブレードは、枢動アームを閉鎖位置にロックするためのロックを含む。
【0072】
開創器ブレードの別の態様に従うと、このロックは、開創器ブレードの片面に沿って延在している通路を通って並進して枢動アームに係合するシャフトを備える。
【0073】
開創器ブレードの別の態様に従うと、枢動アームは、開放位置に付勢され、シャフトは、枢動アームの傾斜面に係合して、シャフトが下方に並進するときに枢動アームを静止アームに向けて枢動させる。
【0074】
開創器ブレードの別の態様に従うと、シャフトの並進は、開創器ブレードの上部に位置するセットスクリューによって制御される。
【0075】
開創器ブレードの別の態様に従うと、閉鎖位置にあるときには、静止フットの端部と枢動フットの端部との間に間隙が存在する。
【0076】
開創器ブレードの別の態様に従うと、捕捉リングの内面は、湾曲し、角度を付けられている。
【0077】
開創器ブレードの別の態様に従うと、連結器は、開創器ブレードを係合時に開創器に自動的にロックするように構成されている連結機構を含む、
【0078】
開創器ブレードの別の態様に従うと、連結機構は、脱連結を容易にするために、開創器ブレードを開創器からロック解除するように構成されている解除ボタンを含む。
【0079】
開創器ブレードの別の態様に従うと、コネクタは、連結機構と構造的に同一である第2の連結機構を含む。
【0080】
別の例に従って、本出願は組織開創器を説明する。本組織開創器は、反対方向に線形に並進するように寸法決定される第1及び第2の細長いラック部材を含む。各ラック部材は、歯状面を有する。組織開創器は、アクセス用開創器本体を更に含む。本アクセス用開創器本体は、第1及び第2のラック部材を受容するように構成されているラックハウジング、第1のラック部材と第2のラック部材との間に位置付けられ、第1及び第2のラック部材の各々の歯状面に同時に係合するピニオン、第1及び第2のラック部材の並進を阻止するように動作可能な歯止め、ならびにピニオンと通信するトルク入力要素であって、第1及び第2のラック部材を並進させるように動作可能なトルク入力要素を含む。第1の調整可能な開創器アームは、第1のラック部材に垂直配向で固定して取り付けられ、第1のラック部材に固定して取り付けられる近位セグメントと、近位セグメントに連結する遠位セグメントとを含み、この遠位セグメントは、ブレード係合ポスト及びスプレイ組立体を含む。第2の調整可能な開創器アームは、第2のラック部材に垂直配向で固定して取り付けられ、第2のラック部材に固定して取り付けられる近位セグメントと、近位セグメントに連結する遠位セグメントとを含み、この遠位セグメントは、ブレード係合ポスト及びスプレイ組立体を含む。組織開創器は、連結器及びブレード部分を含む開創器ブレードを更に含み、この連結器は、第1の開創器アームのブレードポストを解放可能に受容するように構成され、ブレード部分は、連結器から遠位に延在し、固定部分及び枢動部分を備える遠位端部を有し、枢動部分は、ピンによって固定部分に連結し、その結果、枢動部分がブレード部分の幅に平行な平面で固定部分から離れて枢動するようになり、この枢動部分は、閉鎖した非枢動位置と開放した枢動位置との間で移動可能である。
【0081】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、開創器ブレードの固定部分の遠位端部は、静止フットを備え、この静止フットは、ブレードの幅の平面から離れて延在している第1の半円形フランジを有し、この第1の半円形フランジは、第1の接触面を有する。
【0082】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、枢動部分の遠位端部は、ブレードの幅の平面から離れて延在している第2の半円形フランジを有する枢動フットを備え、この第2の半円形フランジは、第2の接触面を有する。
【0083】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、第1及び第2の半円形フランジは、一致した行動をとって、枢動部分が閉鎖位置にあるときに、骨アンカーのネック部分を中に受容するようにサイズ決定される中央アパーチャーを有する捕捉要素を形成する。
【0084】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、第1及び第2の接触面は、骨アンカーの球形ヘッドの一部を中に受容するようにサイズ決定及び寸法決定され、その結果、骨アンカーが捕捉要素との多軸関係を有するようになる。
【0085】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、開創器ブレードは、枢動部分を閉鎖位置にロックするためのロック機構を含む。
【0086】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、ロック部分は、近位端部及び遠位端部を有する細長いシャフトを備え、近位端部は、開創器ブレードの近位端部に位置付けられ、遠位端部は、開創器ブレードの遠位端部に位置付けられ、細長いシャフトは、遠位端部が枢動部分に接触するロック位置と、遠位端部が枢動部分に接触しないロック解除位置との間で移動可能である。
【0087】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、このロック機構は、アクチュエータを含み、このアクチュエータは、アクチュエータの回転がロック位置とロック解除位置との間の細長いシャフトの移動を引き起こすように、細長いシャフトと通信している開創器ブレードの近位端部に位置付けられる。
【0088】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、組織開創器は、連結器及びブレード部分を有する第2の開創器ブレードを更に含み、この連結器は、第2の開創器アームのブレードポストを着脱可能に受容するように構成され、ブレード部分は、連結器から遠位に延在し、固定部分及び枢動部分を備える遠位端部を有し、枢動部分は、ピンによって固定部分に連結し、その結果、この枢動部分は、ブレード部分の幅に平行な平面で固定部分から離れて枢動するようになる。
【0089】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、第1及び第2の開創器ブレードは同一である。
【0090】
組織開創器の別の例示的な態様に従うと、組織開創器は、連結器に着脱可能に取り付けられる第2の開創器組立体を更に備え、この第2の開創器組立体は、第3の開創器ブレードを含む。
【0091】
また別の例に従って、経椎間孔腰椎椎体間癒合(TLIF)術において組織開創器組立体を使用するための第1の方法を説明する。この例示的な方法は、(a)患者の腰椎において手術標的部位の位置決定を行うステップ;(b)手術創を創出するための切開を形成するステップ;(c)第1の開創器ブレードを、球形ヘッド、ねじ切りシャンク、及び球形ヘッドとねじ切りシャンクとの間に位置付けられるネック部分を有する第1の骨アンカー、及び第1の挿入器具に取り付けるステップ;(d)第2の開創器ブレードを第2の骨アンカー及び第2の挿入器具に取り付けるステップ;(e)第1の開創器ブレードを手術創の中に前進させ、この間同時に、第1の骨アンカーを第1の椎弓根に移植するステップ;(f)第2の開創器ブレードを手術創の中に前進させ、この間同時に、第2の骨アンカーを第2の椎弓根に移植するステップ;(g)組織開創器を第1及び第2の開創器ブレードに取り付けるステップであって、組織開創器が、アクセス用開創器本体を備え、このアクセス用開創器本体が、各々歯状面を有する反対方向に線形に並進するように寸法決定されている第1及び第2の第細長いラック部材を受容するように構成されているラックハウジングと、第1及び第2のラック部材間に位置付けられ、第1及び第2のラック部材の各々の歯状面に同時に係合するピニオンと、第1及び第2のラック部材の並進を阻止するように動作可能な歯止めと、ピニオンと通信し、第1及び第2のラック部材を並進させるように動作可能なトルク入力要素と、を有し、第1の調整可能な開創器アームが、第1のラック部材に垂直配向で固定して取り付けられ、この第1の開創器アームが、第1のラック部材に固定して取り付けられる近位セグメントと、近位セグメントに枢動可能に連結する遠位セグメントとを含み、この遠位セグメントが、ブレード係合ポスト及びスプレイ組立体を含み、第2の調整可能な開創器アームが、第2のラック部材に垂直配向で固定して取り付けられ、この第2の開創器アームが、第2のラック部材に固定して取り付けられる近位セグメントと、近位セグメントに連結する遠位セグメントとを含み、この遠位セグメントが、ブレード係合ポスト及びスプレイ組立体を含む、ステップ;ならびに(h)組織開創器を操作して手術創を開創するステップを含む。
【0092】
第1の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、連結器及びブレード部分を備え、連結器は、第1の開創器アームのブレードポストを解放可能に受容するように構成され、ブレード部分は、連結器から遠位に延在し、固定部分及び枢動部分を備える遠位端部を有し、枢動部分は、ピンによって固定部分に連結し、その結果、枢動部分がブレード部分の幅に平行な平面で固定部分から離れて枢動するようになり、枢動部分は、閉鎖した非枢動位置と開放した枢動位置との間で移動可能である。
【0093】
第1の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器ブレードは、連結器及びブレード部分を備え、連結器は、第2の開創器アームのブレードポストを解放可能に受容するように構成され、ブレード部分は、連結器から遠位に延在し、固定部分及び枢動部分を備える遠位端部を有し、枢動部分は、ピンによって固定部分に連結し、その結果、枢動部分がブレード部分の幅に平行な平面で固定部分から離れて枢動するようになり、枢動部分は、閉鎖した非枢動位置と開放した枢動位置との間で移動可能である。
【0094】
第1の方法の別の例示的な態様に従うと、骨アンカーが開創器ブレードに取り付けられている間に、ロッドチューリップを骨アンカーの球形ヘッドに取り付ける更なるステップが含まれる。
【0095】
第1の方法の別の例示的な態様に従うと、脊椎ロッドをロッドチューリップ内に据え付ける更なるステップが含まれる。
【0096】
第1の方法の別の例示的な態様に従うと、脊椎ロッドをロッドチューリップ内に据え付けるステップを完了した後で開創器ブレードを骨アンカーから分離する更なるステップ。
【0097】
別の例に従って、固定システムを患者の脊椎に取り付けるための第2の方法を説明する。固定システムは、少なくとも2つの骨アンカーと、少なくとも2つの骨アンカーを繋げる脊椎ロッドとを含む。本方法は、第1の骨アンカーを第1の開創器ブレードに接続し、第1の骨アンカー及び第1の開創器ブレードを共に第1の脊椎骨に前進させ、第1の骨アンカーを第1の脊椎骨の椎弓根を通して固定するステップ;第2の骨アンカーを第2の開創器ブレードに接続し、第2の骨アンカー及び第2の開創器ブレードを共に第2の脊椎骨に前進させ、第2の骨アンカーを第2の椎骨の椎弓根を通して固定するステップであって、第2の椎骨が、椎間板腔によって第1の椎骨から分離し、第1の椎骨、第2の椎骨、及び椎間板腔が、第1の脊椎レベルを含むステップ;第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードを、第1及び第2の開創器ブレードに対して脊椎から横方向に離れて位置付けられる開創器本体と接続し、開創器本体を操作して、第1の開創器ブレードと第2の開創器ブレードとの間に形成された手術経路を、患者の皮膚レベルから脊椎へと拡張するステップ;ならびに第1の骨アンカーと第2の骨アンカーとを脊椎ロッドで繋ぐステップを含む。
【0098】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度を手術経路が椎間板に平行になるまで調整する更なるステップが含まれる。
【0099】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度の調整は、第1の開創器ブレードの遠位端部を第1の椎弓根に隣接して位置付け、第2の開創器ブレードの遠位端部を第2の椎弓根に隣接して位置付けた状態で、第1の開創器ブレードの近位端部及び第2の開創器ブレードの近位端部を同じ方向に移動させることによって遂行される。
【0100】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度は、頭方向または尾方向の一方に調整される。
【0101】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度は、前方向及び後方向の一方に調整される。
【0102】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度は、頭方向及び尾方向の一方と、前方向及び後方向の一方との両方に調整される。
【0103】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、第1の骨アンカーに多軸係合で接続され、第2の開創器ブレードは、第2の骨アンカーに多軸係合で接続される。
【0104】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、開創器本体を操作して椎間板腔を伸延する追加のステップが含まれる。
【0105】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体を第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードの一方に直接連結させる追加のステップが含まれる。第2の開創器本体は、第1及び第2の開創器ブレードに対して内側に位置付けられる。第3の開創器ブレードは、第2の開創器本体に接続される。
【0106】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体は、開創機構及びスプレイ機構を含む。
【0107】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体の開創機構及びスプレイ機構の少なくとも一方を操作して、手術経路のサイズを内側に拡張する追加のステップが含まれる。
【0108】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体は、第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードに直接連結する。
【0109】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第1のアンカー部分は、第1の開創器ブレードの遠位端部と一体であり、かつそれから延在している捕捉リングを介して第1の開創器ブレードに接続される。捕捉リングは、骨アンカーのネックを中に受容するようにサイズ決定される中央アパーチャーを有する。
【0110】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、捕捉リングは、静止フット及び枢動フットを備え、枢動フットは、静止フットから離れて開放位置へと枢動して骨アンカーネックの捕捉リングへの通過を可能にし、静止フットに向かって閉鎖位置へと枢動して骨アンカーネックを捕捉リング中央アパーチャー内に捕捉する。
【0111】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、枢動フットを閉鎖位置にロックするためのロックを更に備える。
【0112】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードの遠位端部は、静止アームと、静止アームに枢動可能に連結している枢動アームとを含み、静止フットは静止アームから延在し、枢動フットは枢動フットから延在している。
【0113】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第3の開創器ブレードを第2の開創器本体に接続することは、第3のブレードの遠位端部を使用して、まず組織を脊椎から離して持ち上げた後、第3のブレードを第2の開創器本体に接続し、挿入器具を解放することで、挿入器具に連結している間に第3の開創器ブレードを脊椎に前進させることを含む。
【0114】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第3のブレードの遠位端部は、第3のブレードをある数の個別の伸長位置にロックするように構成されている遠位端部伸長部を含み、ここで、第3のブレードの遠位端部を使用して、まず組織を脊椎から離して持ち上げた後、第3のブレードを第2の開創器本体に接続するステップは、挿入器具を操作して遠位伸長部のロックを外し、ブレードの高さを調整して、遠位端部にて脊椎との接触を維持しながら第3のブレードを第2の開創器本体に接続するステップを更に含む。
【0115】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の骨アンカー及び第2の骨アンカーを脊椎ロッドと繋げる前に手術経路を通して第1の脊椎レベルに対して手術を行う追加のステップが含まれる。
【0116】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の脊椎レベルに対する手術は、椎間関節切除、減圧、線維輪切除、及び椎間板切除のうちの1つ以上を含む。
【0117】
第2の方法の別の例示的な態様に従うと、少なくとも椎間板切除が行われ、これは、椎間板切除の後にインプラントを椎間腔の中に挿入する追加のステップを含む。
【0118】
別の例に従って、固定システムを患者の脊椎に取り付けるための第3の方法を説明する。固定システムは、少なくとも2つの骨アンカーと、少なくとも2つの骨アンカーを繋げる脊椎ロッドとを含む。本方法は、第1の開創器ブレードを、第1の開創器ブレードの遠位端部と一体的に関連している捕捉機構を介して第1の骨アンカーのシャンクに直接接続し、第1の骨アンカーシャンク及び第1の開創器ブレードを共に第1の脊椎骨に前進させ、第1の骨アンカーシャンクを第1の脊椎骨の椎弓根を通して固定するステップ;第2の開創器ブレードを、第2の開創器ブレードの遠位端部と一体的に関連している捕捉機構を介して第2の骨アンカーのシャンクに直接接続し、第2の骨アンカーシャンク及び第2の開創器ブレードを共に第2の脊椎骨に前進させ、第2の骨アンカーシャンクを第2の椎骨の椎弓根を通して固定するステップであって、第2の椎骨が、椎間板腔によって第1の椎骨から分離し、第1の椎骨、第2の椎骨、及び椎間板腔が、第1の脊椎レベルを含むステップ;開創器本体を第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードに接続し、開創器本体を操作して、第1の開創器ブレードと第2の開創器ブレードとの間に形成された手術経路を患者の皮膚レベルから脊椎へと拡張するステップ;ならびに第1の骨アンカーと第2の骨アンカーとを脊椎ロッドで繋ぐステップを含む。
【0119】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度を手術経路が椎間板に平行になるまで調整する更なるステップが含まれる。
【0120】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度の調整は、第1の開創器ブレードの遠位端部を第1の椎弓根に隣接して位置付け、第2の開創器ブレードの遠位端部を第2の椎弓根に隣接して位置付けた状態で、第1の開創器ブレードの近位端部及び第2の開創器ブレードの近位端部を同じ方向に移動させることによって遂行される。
【0121】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度は、頭方向または尾方向の一方に調整される。
【0122】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度は、前方向及び後方向の一方に調整される。
【0123】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、手術経路の角度は、頭方向及び尾方向の一方と、前方向及び後方向の一方との両方に調整される。
【0124】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、第1の骨アンカーシャンクに多軸係合で接続され、第2の開創器ブレードは、第2の骨アンカーシャンクに多軸係合で接続される。
【0125】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、開創器本体を操作して椎間板腔を伸延する追加のステップが含まれる。
【0126】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第1及び第2の開創器ブレードに対して内側に位置付けられる第2の開創器本体を、第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードの一方に直接連結させ、第3の開創器ブレードを第2の開創器本体に接続する追加のステップが含まれる。
【0127】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体は、開創機構及びスプレイ機構を含む。
【0128】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体の開創機構及びスプレイ機構の少なくとも一方を操作して、手術経路のサイズを内側に拡張する追加のステップが含まれる。
【0129】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体は、第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードに直接連結する。
【0130】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第1のアンカー部分は、第1の開創器ブレードの遠位端部と一体であり、かつそれから延在している捕捉リングを介して第1の開創器ブレードに接続され、この捕捉リングは、骨アンカーのネックを中に受容するようにサイズ決定される中央アパーチャーを有する。
【0131】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、捕捉リングは、静止フット及び枢動フットを備え、枢動フットは、静止フットから離れて開放位置へと枢動して骨アンカーネックの捕捉リングへの通過を可能にし、静止フットに向かって閉鎖位置へと枢動して骨アンカーネックを捕捉リング中央アパーチャー内に捕捉する。
【0132】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、枢動フットを閉鎖位置にロックするためのロックを更に備える。
【0133】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードの遠位端部は、静止アームと、静止アームに枢動可能に連結している枢動アームとを含み、静止フットは静止アームから延在し、枢動フットは枢動フットから延在している。
【0134】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第3の開創器ブレードを第2の開創器本体に接続することは、第3のブレードの遠位端部を使用して、まず組織を脊椎から離して持ち上げた後、第3のブレードを第2の開創器本体に接続し、挿入器具を解放することで、挿入器具に連結している間に第3の開創器ブレードを脊椎に前進させることを含む。
【0135】
第3の方法の別の例示的な態様に従うと、第3のブレードの遠位端部は、第3のブレードをある数の個別の伸長位置にロックするように構成されている遠位端部伸長部を含む。第3のブレードの遠位端部を使用して、まず組織を脊椎から離して持ち上げた後、第3のブレードを第2の開創器本体に接続するステップは、挿入器具を操作して遠位伸長部のロックを外し、ブレードの高さを調整して、遠位端部にて脊椎との接触を維持しながら第3のブレードを第2の開創器本体に接続するステップを更に含む。
【0136】
また別の例に従って、固定システムを患者の脊椎に固定するための第4の方法を説明する。固定システムは、少なくとも2つの骨アンカーと、少なくとも2つの骨アンカーを繋ぐ脊椎ロッドとを含み、第1の骨アンカーを第1の開創器ブレードに接続し、第1の骨アンカー及び第1の開創器ブレードを共に第1の脊椎骨に前進させ、第1の骨アンカーを第1の脊椎骨の椎弓根を通して固定するステップ;第2の骨アンカーを第2の開創器ブレードに接続し、第2の骨アンカー及び第2の開創器ブレードを共に第2の脊椎骨に前進させ、第2の骨アンカーを第2の椎骨の椎弓根を通して固定するステップであって、第2の椎骨が、椎間板腔によって第1の椎骨から分離し、第1の椎骨、第2の椎骨、及び椎間板腔が、第1の脊椎レベルを含むステップ;開創器本体を第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードに接続し、開創器本体を操作して、第1の開創器ブレードと第2の開創器ブレードとの間に形成された手術経路を患者の皮膚レベルから脊椎へと頭方向及び尾方向で拡張するステップ;第2の開創器本体を第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードの少なくとも一方に直接接続するステップ;第3の開創器ブレードを第2の開創器本体に接続し、第2の開創器本体を操作して、第3の開創器ブレードを内側に移動させ、手術経路のサイズを更に拡張するステップ;ならびに第1の骨アンカーと第2の骨アンカーとを脊椎ロッドで繋ぐステップを含む。
【0137】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体は、第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードに直接連結する。
【0138】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体は、開創機構及びスプレイ機構を含む。
【0139】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器本体を操作して、第3のブレードを内側に移送させるステップは、開創機構を操作して第3のブレード全体を内側に移動させること、及びスプレイ機構を操作して第3のブレードの遠位端部を内側に移動させることのうちの少なくとも一方を含む。
【0140】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、第1の骨アンカーシャンクに多軸係合で接続され、第2の開創器ブレードは、第2の骨アンカーシャンクに多軸係合で接続される。
【0141】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、第1のアンカー部分は、第1の開創器ブレードの遠位端部と一体であり、かつそれから延在している捕捉リングを介して第1の開創器ブレードに接続され、この捕捉リングは、骨アンカーのネックを中に受容するようにサイズ決定される中央アパーチャーを有する。
【0142】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、捕捉リングは、静止フット及び枢動フットを含み、枢動フットは、静止フットから離れて開放位置へと枢動して骨アンカーネックの捕捉リングへの通過を可能にし、静止フットに向かって閉鎖位置へと枢動して骨アンカーネックを捕捉リング中央アパーチャー内に捕捉する。
【0143】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、枢動フットを閉鎖位置にロックするためのロックを更に含む。
【0144】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードの遠位端部は、静止アームと、静止アームに枢動可能に連結している枢動アームとを含み、静止フットは静止アームから延在し、枢動フットは枢動フットから延在している。
【0145】
第4の方法の別の例示的な態様に従うと、第3の開創器ブレードを第2の開創器本体に接続することは、第3のブレードの遠位端部を使用して、まず組織を脊椎から離して持ち上げた後、第3のブレードを第2の開創器本体に接続し、挿入器具を解放することで、挿入器具に連結している間に第3の開創器ブレードを脊椎に前進させることを含む。
【0146】
別の例に従って、第1の椎骨、及び椎間板腔によって第1の椎骨から分離している第2の椎骨を少なくとも含む、脊椎固定術手順をヒトの脊椎セグメントに行うための第5の方法を説明する。本方法は、(a)第1の開創器ブレードの遠位端部と一体的に関連している機構を介して開創器組立体の第1の開創器ブレードに直接接続する第1のアンカー部分を第1の椎弓根に固定するステップ;(b)第2の開創器ブレードの遠位端部と一体的に関連している機構を介して開創器組立体の第2の開創器ブレードに直接接続する第2のアンカー部分を第2の椎弓根に固定するステップ;(c)第1の開創器ブレードを開創器組立体の開創器本体の第1のアームに接続し、第2の開創器ブレードを開創器本体の第2のアームに接続するステップ;(d)開創器本体を操作して、第1のアームと第2のアームとの間の距離を増加させ、第1の開創器ブレードと第2の開創器ブレードとの間の手術経路を拡張するステップ;(e)第2の開創器本体を第1の開創器ブレード及び第2の開創器ブレードの少なくとも一方に直接接続するステップ;(f)第3の開創器ブレードを手術経路を通して前進させ、第3の開創器ブレードを第2の開創器本体に接続し、第2の開創器本体を操作して、第3の開創器ブレードを移動させ、手術経路のサイズを更に拡張するステップ;(f)インプラントを受容するように椎間板腔を準備するステップ;(g)癒合インプラントを椎間板腔の中に移植するステップ;(h)第1の開創器ブレードを第1のアンカー部分から分断し、第1の受容部分を第1のアンカー部分に取り付けるステップ;(i)第2の開創器ブレードを第2の開創器部分から分断し、第2の受容部分を第2のアンカー部分に取り付けるステップ;(j)ロッドを第1の受容部分及び第2の受容部分の中に挿入しロックするステップ;ならびに(k)第1及び第2の開創器ブレードを手術経路から除去し、手術経路を閉鎖するステップを含む。
【0147】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、第1のアンカー部分は、第1の開創器ブレードの遠位端部と一体であり、かつそれから延在している捕捉リングを介して第1の開創器ブレードに接続される。
【0148】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、捕捉リングは、骨アンカーのネックを中に受容するようにサイズ決定される中央アパーチャーを有する。
【0149】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、捕捉リングは、静止フット及び枢動フットを備え、枢動フットは、静止フットから離れて開放位置へと枢動して骨アンカーネックの捕捉リングへの通過を可能にし、静止フットに向かって閉鎖位置へと枢動して骨アンカーネックを捕捉リング中央アパーチャー内に捕捉する。
【0150】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、枢動フットを閉鎖位置にロックするためのロックを更に備える。
【0151】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードの遠位端部は、静止アームと、静止アームに枢動可能に連結している枢動アームとを含み、静止フットは静止アームから延在し、枢動フットは枢動フットから延在している。
【0152】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、第1の開創器ブレードは、第1の開創器ブレードを開創器本体及び第2の開創器本体の各々に連結することを可能にするように二重連結機構を持つ近位コネクタを含む。
【0153】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、連結機構は、開創器本体及び第2の開創器本体の各々がいずれの連結機構にも連結できるようにするために構造的に同一である。
【0154】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、二重連結機構は、係合時に第1の開創器ブレードを関連する開創器本体または第2の開創器本体に自動的にロックするように構成されている。
【0155】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、二重連結機構は、各々、脱係合を容易にするために、第1の開創器ブレードを関連する開創器本体または第2の開創器本体からロック解除するように構成されている解放ボタンを含む。
【0156】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、第2の開創器ブレードは、第1の開創器ブレードと構造的に同一である。
【0157】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、第3の開創器ブレードは、複数の個別の伸長位置をしっかりと維持するように構成されている遠位端部伸長部を有する。
【0158】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、遠位端部伸長部は、第3の開創器ブレードの内側面にあるラチェット溝に係合するカンチレバー式ラチェット機構を含む。
【0159】
第5の方法の別の例示的な態様に従うと、遠位端部伸長部は、薄板に沿った接触が最大となるように湾曲している鋸歯状端部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0160】
本明細書に記載の物品及び関連方法の多くの利点は、本明細書を添付の図面と併せて通読することで当業者には明らかとなる。この添付の図面においては、同様の参照番号が同様の要素に適用される。
【0161】
図1】第1の実施形態に従う開創器組立体の例の斜視図である。
図2図1の開創器組立体の上面平面図である。
図3図1の開創器組立体の側面平面図である。
図4図1の開創器組立体の分解斜視図である。
図5図1の開創器組立体の一部を形成するアクセス用開創器本体の分解斜視図である。
図6】スプレイユニットが第1の位置にある、図5のアクセス用開創器本体の正面平面図である。
図7図5のアクセス開創器本体の断面図である。
図8】スプレイユニットが第2の位置にある、図5のアクセス用開創器本体の正面平面図である。
図9】一実施形態に従う、図1の開創器組立体の一部を形成するアクセス用開創器本体の代替例の斜視図である。
図10図9のアクセス用開創器本体の断面図である。
図11図1の開創器組立体の一部を形成するアンカーブレードの例の分解斜視図である。
図12】枢動アームが「ロック解除」位置にある図11のアンカーブレード」の斜視図である。
図13】アンカーブレードと共に使用するように構成されているセットスクリュードライバー機器と並置した図11のアンカーブレードの斜視図である。
図14】枢動アームが「閉鎖」位置にある図11のアンカーブレードの平面図である。
図15】枢動アームが「閉鎖」位置にある図11のアンカーブレードの遠位部分の断面図である。
図16図11のアンカーブレードの上面平面図である。
図17図1の開創器組立体の一部の断面図である。
図18図1の開創器組立体の一部を形成する第2の開創器の例の斜視図である。
図19図18の第2の開創器の分解斜視図である。
図20図1の開創器組立体の一部を形成する第2の開創器の代替例の斜視図である。
図21図20の第2の開創器の分解斜視図である。
図22図1の開創器組立体の一部を形成する第2の開創器ブレードの分解図である。
図23】第2のブレードと共に使用するように構成されている挿入機器の遠位端部と並置した、図22の第2の開創器ブレードの背面の平面図である。
図24】第2のブレードと共に使用するように構成されている挿入機器の遠位端部と並置した、図22の第2の開創器ブレードの前面の平面図である。
図25】挿入機器の遠位端部に連結している図22の第2の開創器ブレードの前面の平面図である。
図26】挿入機器に連結している図22の第2の開創器ブレードの斜視図である。
図27図1の開創器組立体の例示的な使用方法における1つのステップを構成する、挿入器に連結している骨アンカーに連結している図11のアンカーブレードの斜視図である。
図28図1の開創器組立体の例示的な使用方法における別のステップから成る、骨アンカーを椎骨中に移植するために使用されている図27のアンカーブレード、骨アンカー、及び挿入器の組み合わせの平面図である。
図29図1の開創器組立体の例示的な使用方法における別のステップから成る、隣接する椎骨に対して位置付けられる図11の一対のアンカーブレードの斜視図である。
図30図1の開創器組立体の例示的な使用方法における別のステップから成る図5のアクセス用開創器本体を取り付けた図29のアンカーブレードの斜視図及び上面平面図である。
図31図1の開創器組立体の例示的な使用方法における別のステップから成る図5のアクセス用開創器本体を取り付けた図29のアンカーブレードの斜視図及び上面平面図である。
図32図1の開創器組立体の例示的な使用方法における別のステップから成る、図18の第2の開創器と並置したアクセス用開創器本体及びアンカーブレード組立体の斜視図である。
図33図1の開創器組立体の例示的な使用方法における別のステップから成る、図20の第2の開創器と並置したアクセス用開創器本体及びアンカーブレード組立体の斜視図である。
図34図1の開創器組立体の例示的な使用方法における別のステップから成る、図26の第2のブレードと挿入器との組み合わせと並置したアクセス用開創器本体、アンカーブレード、第2の開創器組立体の斜視図である。
図35】1つの例示的な方法に従う、最終の組み立て位置にある図1の開創器組立体の側面図及び斜視図である。
図36】1つの例示的な方法に従う、最終の組み立て位置にある図1の開創器組立体の側面図及び斜視図である。
図37】1つの例示的な方法に従う、最終の組み立て位置にある図1の開創器組立体の側面図及び斜視図である。
図38】1つの例示的な方法に従う、第2のブレードを引き戻した状態の最終の組み立て位置にある図1の開創器組立体の側面平面図である。
図39】一実施形態に従う、図1の開創器組立体の一部を形成するアンカーブレードの別の例の斜視図である。
図40図39のアンカーブレードの分解斜視図である。
図41図39のアンカーブレードを取り付けた図1の開創器組立体の一部の断面図である。
図42図39のアンカーブレードを取り付けた図1の開創器組立体の斜視図である。
図43図1の開創器組立体の一部を形成する第2の開創器の代替例の斜視図である。
図44図43の第2の開創器の分解斜視図である。
図45図43の第2の開創器を取り付けた図1の開創器組立体の斜視図である。
図46図1の開創器組立体の一部を形成する第2の開創器の代替例の斜視図である。
図47図46の第2の開創器の分解斜視図である。
図48】ラック開創器の基本例に取り付けた図46の第2の開創器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0162】
本発明の例示的な実施形態を以下に記載する。明確化のために、本明細書には実際の実装形態の全ての特徴部を記載はしない。言うまでもなく、いずれのかかる実際の実施形態の開発においても、実装形態によって異なることになる開発者の特定の目標、例えば、システム関連及びビジネス関連の制約の順守を達成するために、実装形態に特化した多数の決定を下す必要があることが、理解されるであろう。更に、かかる開発努力は複雑であり、また時間を必要とし得るが、そうであっても、本開示の利益を有する技術分野の当業者が取り組む慣行である。本明細書に開示の破壊性が最低限である開創器及び関連方法は、個々にまたは組み合わせで、特許権保護を保証する多様な発明の特徴部及び構成要素を持つ。
【0163】
本出願は、侵襲性が最低限である脊椎手術、例えば、経椎間孔腰椎椎体間癒合(TLIF)術を行うための、組織開創器組立体及び関係する機器、ならびに方法を記載する。組織開創器は、手術標的部位への手術経路を確立及び維持するために骨アンカーと共に使用される。より具体的には、開創器は、手術標的部位(例えば、椎間板)に隣接する生体構造(例えば、椎弓根)に固定して、露出部の固定、及び解剖学的ランドマークとの境界の画定の両方を行って、外科医に方向を示し、ナビゲーションを容易にする。このアクセス経路が確立されると、椎間板腔及び脊椎終板が準備され得、1つ以上の椎体間インプラントが椎間板腔に挿入され得、その後、脊椎ロッドを使用して、構築物を整列させ圧縮または整復し得る。
【0164】
図1~4を参照すると、開創器組立体10は、アクセス用開創器本体12、第1のアンカーブレード14及び第2のアンカーブレード16、第2の開創器18、ならびに第2のブレード20を含む。第1のアンカーブレード14及び第2のアンカーブレード16は、骨アンカー15の一部を捕捉して、開創器10を生体組織に据え付ける。アクセス用開創器本体12、アンカーブレード14、16、及び第2のブレード20は、完全に組み立てられ動作しているときに作業経路22を確立及び画定し、これを通して手術標的部位へのアクセスが達成される。この作業経路22は、尾から頭方向、及び内向きに拡張可能である。
【0165】
更に図5を参照すると、アクセス用開創器本体12は、第1及び第2のラック24、26、ならびに左のアーム28及び右のアーム30を含む。第1のアンカーブレード14及び第2のアンカーブレード16は、それぞれ、左のアーム28及び右のアーム30に着脱可能に取り付けられる。本明細書に記載のTLIF手順中の使用において、開創器組立体10は、アクセス用開創器本体12が創傷の横方向に(患者の身体から離れて)位置するように、患者に対して位置付けられ得る。これにより、有利なことに、開創器の主要部分は蛍光透視法ウィンドウの外に位置付けられる。第1のアンカーブレード14は左のアーム28に着脱可能に取り付けられるものとして本明細書では記載され、第2のアンカーブレード16は右のアーム30に着脱可能に取り付けられるものとして記載されるが、第1のアンカーブレード14及び第2のアンカーブレード16が形態及び機能において事実上同一であり、したがって置き換え可能であることを理解されたい。
【0166】
アクセス用開創器本体12は、基部32を含み、基部32は、それから横方向に延在している第1及び第2のチャネル34、36を有する。第1及び第2のチャネル34、36は、それぞれ、第1及び第2のラック24、26を中に受容するようにサイズ決定及び寸法決定され、以下に記載のように、ラック24、26の並進を制御するためのピニオン44の定置を可能にするのに十分な距離で互いに分離している。サムタブ38は、ラック24、26の指向性の並進を制御するように回転可能である。単に例として、サムタブ38を時計方向に回転させることで、同時に、第1のラック24を左(開創器に対して)に向かって並進させ、第2のラック26を右に向かって並進させて、開創器を「開放」する。こうして、この並進により、開創器ブレード14、16がラックと同じ方向に移動して、手術創のサイズを制御する。その結果、アクセス用本体12が患者の身体から離れて手術創の横方向に位置付けられる場合、第1の開創器ブレード14は尾の方向に並進することになり、第2の開創器ブレード16は頭の方向に並進することになる。ユーザが使用中に開創器10を開放位置にロックできるようにするために、第1の(例えば、「ロック解除」)位置から第2の(例えば、「ロック」)位置に移動可能な歯止め40が提供される。歯止め40は、楔42を含み、楔42は、歯止め40が第2の「ロック」位置にあるときに、第2のラック26の歯48に係合し、第2のラック26の並進を直接防止するように構成されている。これはまた、第1のラック24の並進を間接的に防止して、開創器10を「開放」構成に効果的にロックする。歯止め40が第1の「ロック解除」位置にあるとき、楔42は、歯48から脱係合して、ラック24、26の自由な並進を可能にする。ピニオン44がラック24と26との間に位置付けられ、サムタブ38と機械的に連結することにより、サムタブ38を回すことでピニオン44が回転し、これがラック24、26を並進させる。歯止め40をロック位置に付勢することで開創器が自由に開放するのを受動的に可能にするために、コイルばね46が提供される。クリップ49が基部32の下面に提供され、サムタブのポスト50に係合して共に構築物をしっかりと留める。アクセス用開創器本体12は、連接型アーム54への取り付けを可能にして、開創器組立体10を使用中に患者のベッドの横板(または他の静止した硬質な設置位置)に据え付けるために、連接型アーム取り付け部52を更に含む。
【0167】
単に例として、ラック24、26は、ラック24、26の各々の片面に複数の歯48を分布させた略矩形の細長い部材である。歯48は、上記のピニオン44と相互作用して、アーム28、30の制御された並進を可能にするように構成されている。
【0168】
左のアーム28は、近位セグメント54及び遠位セグメント56を含む。近位セグメント54は、第1のアパーチャー58及び第2のアパーチャー60を含む。第1のアパーチャー58は、第1のラック24と近位セグメント54とが互いに対して略垂直であるように、第1のラック24を固定して受容するように構成されている。このようにして、第1のラック24の両方向性の並進により、左のアーム28の同じ方向の対応する移動が起こる。第2のアパーチャー60は、並進中に第2のラック26が近位セグメント54を両方向性に係累なく通過することができるように、それを通して第2のラック26を摺動自在に受容するように構成されている。
【0169】
遠位セグメント56は、近位セグメント54に接続し、第1のアンカーブレード14に解放可能に係合するように構成されている。遠位セグメント56は、遠位面64を有する略円筒形のハウジング62を含む。遠位面64は、遠位面64の中央から遠位に突出している中央ポスト66と、中央ポスト66の両側で遠位面64の周辺に位置付けられる一対の対向する陥凹68とを含む。中央ポスト66は、アンカーブレード14の取り付けアパーチャー232と嵌合して、アンカーブレード14を左のアーム28にしっかりと取り付けるように構成されている。中央ポスト66は、略円筒形であり、テーパ状の先導端部70、及び先導端部70と遠位面64との間に位置付けられる円周陥凹72を含む。ハウジング62は回転することができるため、アンカーブレード14を回転させて、組織の伸延をもたらす。この回転は、第2のアンカーブレード16とは無関係であり、スプレイユニット74によって制御される(図6~8)。スプレイユニット74は、ハウジング62から離れて横方向に延在しているフランジ76、ねじ切りジャッキスクリュー78、及びキャップ80を含む。ジャッキスクリュー78は、ポスト82を介してフランジ76に枢動可能に据え付けられる。キャップ80は、Tハンドル(例えば)などの起動機器(図示せず)の遠位端部を受容するためのねじ切り中央アパーチャー84及び係合用陥凹86を含む。起動機器がキャップ80を回転させるとき、キャップ80は、ジャッキスクリュー78に沿って並進する(機器の回転方向に応じていずれかの方向に)。これにより、ジャッキスクリュー78がピン82を中心として枢動させられ、こうして、キャップ80が、トルクを、ハウジング62、より具体的には対向する陥凹68に伝達する。以下に記載のように、陥凹68は、アンカーブレード14のフランジ236と協働し、クラッチとして働く。つまり、陥凹68(例えば、クラッチ空洞)は、ブレードとアームとが連結するときに、フランジ236(例えば、クラッチ伸長部)を受容する。陥凹68は、フランジ236よりも幅広であることで、フランジが、フランジの側壁が陥凹の側壁に係合する(例えば、クラッチが係合される)まで、陥凹内で一定限度の量回転することができるようにする。クラッチが係合されると、アンカーブレードは、アームに対してそれ以上枢動せず、代わりにアームと共に回転(スプレイ)することになり、これにより、アンカーブレード14は、起動機器の回転に応じて外向きか内向きかのいずれかにスプレイするようになる。スプレイユニット74は、連続的に変化するブレードのスプレイを可能にし、例えば、-20°~25°(合計で最大45°)の角度スプレイを可能にするように作動することになる。アンカーブレードがアームに対して自由に枢動できることにより、まず、ブレードが骨アンカーに固定されている間にブレードの互いに対する角度及び脊椎に対する角度を調整し、この調整(例えば、圧縮または伸延)を、脊椎自体に作用することなく行うことが可能となる。クラッチはまた、更なる整列許容差を提供することによって、ブレードのアームへの連結を容易にする。陥凹68の側壁及びフランジ236の側壁と整列しているマーキングが、クラッチの状態(即ち、係合または非係合)の視覚的表示を提供してもよい。
【0170】
右のアーム30は、近位セグメント88及び遠位セグメント90を含む。近位セグメント88は、第2のラック26と近位セグメント88とが互いに対して略垂直であるように、第2のラック26を固定して受容するように構成されているアパーチャー92を含む。このように、第2のラック26の両方向性の並進により、右のアーム30の同じ方向の対応する移動が起こる。
【0171】
遠位セグメント90は、近位セグメント88に接続し、第2のアンカーブレード16に解放可能に係合するように構成されている。遠位セグメント90は、遠位面96を有する略円筒形のハウジング94を含む。遠位面96は、遠位面96の中央から遠位に突出している中央ポスト98と、中央ポスト98の両側で遠位面96の周辺に位置付けられる一対の対向する陥凹100とを含む。中央ポスト98は、アンカーブレード16の取り付けアパーチャー232と嵌合して、アンカーブレード16を右のアーム30にしっかりと取り付けるように構成されている。中央ポスト98は、略円筒形であり、テーパ状の先導端部102、及び先導端部102と遠位面96との間に位置付けられる円周陥凹104を含む。ハウジング94は回転することができるため、アンカーブレード16を回転させて、組織の伸延をもたらす。この回転は、第1のアンカーブレード14とは無関係であり、スプレイユニット106によって制御される(図6~8)。スプレイユニット106は、ハウジング94から離れて横方向に延在しているフランジ108、ねじ切りジャッキスクリュー110、及びキャップ112を含む。ジャッキスクリュー110は、ポスト114を介してフランジ108に枢動可能に据え付けられる。キャップ112は、Tハンドル(例えば)などの起動機器(図示せず)の遠位端部を受容するためのねじ切り中央アパーチャー116及び係合用陥凹118を含む。起動機器がキャップ112を回転させるとき、キャップ112は、ジャッキスクリュー110に沿って並進する(機器の回転方向に応じていずれかの方向に)。これにより、ジャッキスクリュー110がピン114を中心として枢動させられ、こうして、キャップ112が、トルクを、ハウジング94、より具体的には対向する陥凹100に伝達する。陥凹100は、アンカーブレード14のフランジ236と協働し、クラッチとして働く。つまり、陥凹100(例えば、クラッチ空洞)は、ブレードとアームとが連結するときに、フランジ236(例えば、クラッチ伸長部)を受容する。陥凹100は、フランジ236よりも幅広であることで、フランジが、フランジの側壁が陥凹の側壁に係合する(例えば、クラッチが係合される)まで、陥凹内で一定限度の量回転することができるようにする。クラッチが係合されると、アンカーブレードは、アームに対してそれ以上枢動せず、代わりにアームと共に回転(スプレイ)することになり、これにより、アンカーブレード14は、起動機器の回転に応じて外向きか内向きかのいずれかにスプレイするようになる。スプレイユニット74は、連続的に変化するブレードのスプレイを可能にし、例えば、-20°~25°(合計で最大45°)の角度スプレイを可能にするように作動することになる。これまでに記載したように、アンカーブレードがアームに対して自由に枢動できることにより、まず、ブレードが骨アンカーに固定されている間にブレードの互いに対する角度及び脊椎に対する角度を調整し、この調整(例えば、圧縮または伸延)を、脊椎自体に作用することなく行うことが可能となる。クラッチはまた、更なる整列許容差を提供することによって、ブレードのアームへの連結を容易にする。陥凹100の側壁及びフランジ236の側壁と整列しているマーキングが、クラッチの状態(即ち、係合または非係合)の視覚的表示を提供してもよい。
【0172】
任意選択で、図9及び10に描出するように、アクセス用開創器本体に可動式アーム120、122を提供してもよい。開創器10に可動式アーム120、122を提供することで、アクセス用開創器本体12を患者の皮膚レベルから離して持ち上げ、さもなければアクセス用開創器本体12を患者の皮膚に食い込ませ得る解剖学的困難を回避することができ、またアクセス用開創器本体12を蛍光透視法ゾーンの外で操作できる可能性が生まれる。各可動式アームは、上記のものなどの近位アームセグメントと遠位アームセグメントとの間に位置付けられた中間セグメントを含む。例えば、左の可動式アーム120は、近位セグメント124、中間セグメント126、及び遠位セグメント128を含む。右の可動式アーム122は、近位セグメント130、中間セグメント132、及び遠位セグメント134を含む。便宜性のために、可動式アーム特徴部は、1つのアームについてのみ詳述することにする。しかしながら、可動式アーム120、122は、互いに事実上同一であるため、開示するいずれの特徴部も、両可動式アームに帰属し得る。
【0173】
可動式アーム120の近位セグメント124は、上記の左のアーム28の近位セグメント54に関して前述した特徴部の全てを含み、近位セグメント124から遠位に延在している枢動部材136を更に含み、下記のように、この枢動部材136は、中間セグメント126の近位端部138に形成される近位陥凹140内に受容されるように構成されている。可動式アーム120の遠位セグメント128は、上記の左のアーム28の遠位セグメント56に関して前述した全ての特徴部を含み、遠位セグメント128から近位に延在している枢動部材137を更に含み、下記のように、この枢動部材137は、中間セグメント126の遠位端部144に形成される遠位陥凹146内に受容されるように構成されている。
【0174】
中間セグメント126は、近位セグメント124と遠位セグメント128との両方に枢動可能に接続する。中間セグメント126は、近位セグメント124の枢動部材136を受容するように構成されている近位陥凹140を含む近位端部138を有する。ピン142が、近位端部138及び枢動部材136を通って延在して軸を提供し、この軸を中心として中間セグメント126が近位セグメント124に対して枢動する。中間セグメントは、遠位セグメント128の枢動部材137を受容するように構成されている遠位陥凹146を含む遠位端部144を更に有する。ピン148が、遠位端部144及び枢動部材137を通って延在して軸を提供し、この軸を中心として遠位セグメント128が中間セグメント126に対して枢動する。中間セグメント126は、中間セグメント126の中間に位置付けられる摩擦陥凹150を更に含む。摩擦陥凹150は、ばね154によって分離している一対の摩擦ピン152を備える摩擦要素を収容する。ばね154は摩擦ピン152に等しく力を及ぼし、この摩擦ピン152は同様に枢動部材136、137に摩擦力を及ぼす。このように、摩擦要素により、摩擦を克服するのに十分な力が存在する場合、近位セグメント124及び遠位セグメント128に対する中間セグメント126の運動が許容される。かかる力がない場合、摩擦要素は、近位セグメント124及び遠位セグメント128に対して中間セグメント126の位置を維持するように動作する。この二重ヒンジにより、アームが枢動して、尾から頭方向でのブレードの歪みの問題(困難な患者の生体構造に直面するときに遭遇する問題)を排除するように調整可能な、可動性アーム構築物が創出される。
【0175】
図11~17は、アンカーブレード14をより詳細に図解する。アンカーブレード16は、アンカーブレード14と形態及び機能において事実上同一であるため、アンカーブレード14に関して本明細書に開示する全ての特徴部は、アンカーブレード16にも帰属可能であり得る。概して、アンカーブレード14は、連結器158から延在しているブレード部分156を有する。ブレード部分156は、内側面160及び外側面162(図3)を有する。外側面162は、概して平滑であり、使用中に軟組織に寄り掛かる。アンカーブレード14は、これまでに考察したように、枢動して伸延をもたらすように構成されている。ブレード部分156は、遠位端部164及び近位端部166を有する。
【0176】
遠位端部164は、遠位端部164が静止アーム170と枢動アーム168とに分割されるように一体型枢動アーム168を含む。静止アーム170の遠位端部は、それから延在している静止フット172を含み、枢動アーム168の遠位端部は、それから延在している枢動フット174を含む。共に閉鎖位置にあるとき(図16)、枢動フット174及び静止フット172は一致した行動をとって、骨アンカー15(ヘッド180及びねじ切りシャンク182も含む)のネック178を受容するように寸法決定される中央アパーチャー176を有する捕捉要素(例えば、分割されたリング)を形成する。静止フット172上の接触面184及び枢動フット174上の接触面186は、骨アンカー15のヘッド180の略球形の外面と接合して、骨アンカー15とアンカーブレード14との間の多軸接合部を形成する。接触面184、186は、各々、かかる多軸関係を可能にすることができる任意の形状を有してもよく、これらの形状としては、傾斜面、曲面、及び/または球状の凹面が挙げられるが、これらに限定されない。枢動フットと静止フットとの間に間隙を提供して、アンカーシャンクを取り付けリングから逃すために枢動アームが求められる枢動の量を減少させ得る。捕捉リングの設置面積はまた、脱係合中にアンカーヘッドからの分離を更に容易にするように設計される。リングの内部は、ロックシャフトが解放されるときに、枢動フットに適用される力が、アンカーからの脱係合を可能にするための枢動フットの開放の動作を容易にするように、湾曲し傾斜している。枢動アーム168は、枢動アーム168の近位端部にある枢動アパーチャー192及びアンカーブレード14の遠位部分164にある対応する枢動アパーチャー194を通って延在しているピン190によって、アンカーブレード14の遠位部分164に枢動可能に取り付けられる。枢動アーム168は、枢動フット174が静止フット172から分離してスクリューシャンクの通過を可能にし得るように、アンカーブレード14の幅に平行な平面で回転して、アンカーブレードがチューリップ連結後に骨アンカー15から脱係合するのを可能にする。横方向の陥凹194が枢動フット174に形成され、これは、中に安定化フランジ196を受容するように構成されている。安定化フランジ196は、静止フット172から離れて横方向の陥凹194の中へと延在して、枢動フット174が所望の運動面に留まることを確実にする。
【0177】
アンカーブレード14は、アンカーブレード14の片面に位置付けられブレードの長さを延在させている被包化されたチャネル198を更に含む。ロックシャフト200がこの被包化されたチャネル198を通って延在し、枢動アーム168に係合して、枢動フット174(及び捕捉要素)を閉鎖位置に維持する。この係合は、アクチュエータ、例えば、セットスクリュー202によって制御され、ユーザがこれを係合させてロックシャフト200を作動させる。セットスクリュー202は、ねじ切り胴体204、遠位シェルフ206、器具陥凹208を含む。ねじ切り胴体204は、略円筒形であり、アンカーブレード14の近位端部166にあるねじ切り陥凹210に係合するように構成されている。遠位シェルフ206は、セットスクリュー202が回転するときに遠位シェルフ206がそれに従って近位タブ212に下向きの力を及ぼすことにより、ロックシャフト200が被包化されたチャネル198を通って遠位に前進し枢動アーム168に係合するように、ロックシャフト200上の近位タブ212と相互作用する。セットスクリュー202がねじ切り陥凹210から出て後退するのを防止するために、捕捉リング214が提供される。器具陥凹208は、セットスクリュー202を作動させるために使用される開創器218の遠位端部216を受容するように構成されている。アクチュエータは、セットスクリュー202として本明細書では記載されるが、ユーザがロックシャフト200の移動を引き起こすために使用するいかなる要素であってもよく、この要素としては、カム機構が挙げられるが、これに限定されない。アンカーブレード14は、様々な機器(例えば、シャンク/ブレード挿入器、チューリップ挿入器)及び照明ケーブルを摺動自在に受容するトラック220を更に含む。
【0178】
連結器158は、アンカーブレード14の近位部分166と一体に形成され、上記の左のアーム28の中央ポスト66(及び/または右のアーム30の中央ポスト98)との係合のためのばね荷重式簡易接続及び解放機構を提供する。アンカーブレード14及び16は、アンカーブレード14またはアンカーブレード16のいずれも、左のアーム28でも右のアーム30でも使用され得るという点で置き換え可能であることを理解されたい。したがって、本明細書ではアンカーブレード14と左のアーム28との間の相互作用のみを詳述するが、本明細書に記載の全ての特徴部は、アンカーブレード16と右のアーム30との間の相互作用にも当てはまる。連結器158は、近位半身222及び遠位半身224を有する。本開示の目的では、近位半身222は、左の開創器アーム28に係合する連結器158の部分として画定され、遠位半身224は、第2の開創器18(またはそれに取り付けられる場合は右の開創器アーム)に係合する連結器158の部分として画定される。連結器158の近位半身222及び遠位半身224は同一であるため、両半身に共通の様々な特徴部は、明確化のために同じ参照番号が割り当てられる。
【0179】
連結器158は、ハウジング226及び一対のボタン228を含む。ハウジング226は、近位端部222にある近位面230(及び遠位端部224にある同一の遠位面)、近位面230を通って延在している取り付けアパーチャー232、一対のボタンアパーチャー234、及び内部管腔235を含む。近位面230は、近位面230から近位に延在している一対のフランジ236を含む。アンカーブレード14が左のアーム28と嵌合するとき、近位面230は、上記のように、左のアームの遠位面64と同一平面で接合し、フランジ236は、左のアーム28の遠位面64に形成される陥凹68に係合して、クラッチとして動作する。取り付けアパーチャー232は、中央ポスト66がハウジング226の内部管腔235中に延在し得るように、それを通して左のアーム28の中央ポスト66を受容する。ボタンアパーチャーは234、ボタン228が内部管腔235の中へと通過することを可能にするように構成されている。ボタン228は、各々、上面238、貫通孔240、下部隆起242、及びボタンポスト244を有する。上面238は、薄さを維持し、使用中に周囲の生体組織に起きる破壊を最低限にするように、略曲面であり、ユーザ係合表面として提供される。貫通孔240は、それを通して中央ポスト66を受容する。下部隆起242は、使用中の中央ポスト66の逸出を防止するために、中央ポスト66の円周陥凹72内に収納されるように構成されている。ボタンポスト244は、下部隆起242を円周陥凹72の中に付勢するばね246を中心に置く。アンカーブレード14と左のアーム28との連結中、中央ポスト66のテーパ状70の先導端部により、中央ポスト66は、付勢を克服し、下部隆起242が円周陥凹72と整列するまで前進することができるようになり、この時点で、ばね246により下部隆起242が円周陥凹72の中に嵌め込む。ブレード14を解放するために、ユーザは上面238を押下し、これにより下部隆起242が円周陥凹72から押し出されることで、中央ポスト60の除去が可能となる。ボタン228は、ボタン228上の陥凹247の中に収納されるピン245を介して連結器158に据え付けられる。連結器158はまた、整列マーキング248を含み、この整列マーキング248は、アーム28、30上の整列マーキングと一致した行動をとって、十分な伸延が達成されたという視覚的なフィードバックをユーザに提供する。
【0180】
アンカーブレード14、16は、いかなる多軸(チューリップ)運動も喪失することなく、トルクを骨アンカー15へと効率的に伝達する(例えば、圧縮/伸延のため)。アンカーブレード14、16は再利用可能である。アンカーブレード14の枢動フット168により、シャンクのねじ径がシャンクヘッドの直径より大きい大型のスクリューを、頭を下にして装填することが可能となる。枢動フット168により、アンカーブレードの固定点を取り込むことなく頭を下にした手法で多軸チューリップを装填することができるようになる。
【0181】
図18~19は、一実施形態に従う第2の開創器18の例を図解する。図4及び17を更に参照すると、第2の開創器18は、組み立てた開創器10に取り付けることができ、自動ロック機構を有する。第2の開創器18は、アンカーブレード14の連結器158に取り付け可能であり、開創組立体250及びブレード組立体252を備える。第2の開創器18は、第2の(例えば、内側)ブレード20への更なる接続を可能にし、多自由度での内向きの脊椎への更なるアクセスを推進する。例えば、第2の開創器18は、内側への開創、内側へのスプレイ、尾から頭方向での枢動、及び尾から頭方向での並進を提供し得る。開創組立体250は、内側への開創を提供し、ハウジング254、ねじ切りシャフト256、ならびに作動ギア258及び並進ギア260を備える垂直ギアを備え、細かい分解能が付与される。ハウジング254は内部管腔262を有し、これを通ってねじ切りシャフト256が延在し、この中に垂直ギアが収められる。作動ギア258は、歯部分264及び係合用陥凹266を含む。係合用陥凹266は、ハウジング254中に形成されるアパーチャー268を通って延在し、アクチュエータ器具のための係合要素を提供する。ハウジング254は、スナップリング270を受けるように構成されている円周陥凹269を有する。作動ギア258は、このスナップリング270及び溝付きの保持座金272を通してハウジング254に据え付けられる。並進ギア260は、作動ギア258に対して垂直に配向される。並進ギア260は、歯部分274、ポスト276、及びねじ切り内部管腔278を含む。この歯部分274は、作動ギア258の歯部分264に係合し、作動ギア258が回転するときに並進ギア260を回転させる。ポスト276は、保持リング280内に適合し、この保持リング280は、中にスナップリング284を受容するように構成されている円周陥凹282を有する。スナップリング284はまた、内部管腔254内に形成される溝286内に適合して、並進ギア260をハウジング254に据え付ける。使用中のギア間の摩耗を防止するために玉軸受案内溝287が提供される。
【0182】
ねじ切りシャフト256は、並進ギア260のねじ切り管腔278と嵌合する。並進ギア260が回転するにつれて、ねじ切りシャフト256は、回転の方向に応じて内側または横方向のいずれかに並進させられる。ねじ切りシャフト256は、上記の第1のアーム28の遠位面96と構造及び機能において事実上同一である近位端部288を更に含む。即ち、近位端部288は、近位面290、近位面290の中央から遠位に突出している中央ポスト292、及び中央ポスト292の両側で近位面290の周辺に位置付けられる一対の対向する陥凹294を含む。中央ポスト292は、アンカーブレード14の取り付けアパーチャー232(またはアンカーブレード16)と嵌合して、アンカーブレード14を左のアーム28にしっかりと取り付けるように構成されている。中央ポスト292は、略円筒形であり、テーパ状の先導端部296、及び先導端部296と近位面290との間に位置付けられる円周陥凹298を含む。これら特徴部は、上記のアンカーブレード14の簡易脱着機構と相互作用し、この相互作用の様式は、左の開創器アーム28の対応する構造がアンカーブレード14の簡易脱着機構と相互作用する様式と同一であるため、繰り返して考察する必要はない。しかしながら、アンカーブレード14が連結器158の近位端部222を通して左の開創器アーム28に取り付けられるという上に開示した例においては、第2の開創器18は、連結器158の遠位端部224に同時に取り付けられ得ることに留意されたい。
【0183】
ブレード組立体252は、開創組立体250から略垂直に延在し、簡易脱着ハウジング300及びスプレイユニット302を含む。簡易脱着ハウジング300は、第2のブレード20の取り付けポスト358を受容するための取り付けアパーチャー304、及びばね308で付勢されるボタン306を含む。簡易脱着ハウジング300は、連結器158に関して上に記載した同じ特徴部と形態及び機能について同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。同様に、スプレイユニット302は、左のアーム28のスプレイユニット74と形態及び機能において同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。しかしながら、スプレイユニット302は、連続的に変化するブレードのスプレイを可能にし、例えば、最大40°の角度スプレイを可能にするように作動することになる。
【0184】
図20~21は、別の例示的な実施例に従う第2の開創器310の例を図解する。第2の開創器310は、左の開創器アーム28(アンカーブレード14を介して)及び右の開創器アーム30(アンカーブレード16を介して)の両方に取り付けられるという点で、上記の第2の開創器18とは異なる。第2の開創器310は、アンカーブレード14の連結器158及びアンカーブレード16の対応する連結器158’に取り付け可能である(図33)。第2の開創器310は、開創組立体312、ブレード組立体314、及び第2の取り付けユニット316を備える。第2の開創器310は、第2の(例えば、内側)ブレード20への更なる接続を可能にし、多自由度での内向きの脊椎への更なるアクセスを推進する。例えば、第2の開創器310は、内側への開創、内側へのスプレイ、尾から頭方向での枢動、及び尾から頭方向での並進を提供し得る。開創組立体312は上記の開創組立体250と同一であるため、開創組立体250に関して開示されるいずれの特徴部も開創組立体312に適用可能であり、繰り返しの考察を不要とする。クロスバー318は、開創組立体312から略垂直に延在し、第2の取り付けユニット316にて終結する。ブレード組立体314は、開創組立体312と第2の取り付けユニット316との間のクロスバー318上に位置付けられる。ブレード組立体314は、簡易脱着ハウジング320及びスプレイユニット322を含む。簡易脱着ハウジング320は、第2のブレード20の取り付けポスト358を受容するための取り付けアパーチャー324、及びばね328で付勢されるボタン326を含む。簡易脱着ハウジング320は、連結器158に関して上に記載した同じ特徴部と形態及び機能において同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。同様に、スプレイユニット322は、捕捉されたジャッキスクリュー330及びキャップ332を含めて、左のアーム28のスプレイユニット74と形態及び機能において同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。しかしながら、スプレイユニット322は、簡易脱着ハウジング320(及び故に第2のブレード20)を枢動させるが、クロスバー318または第2の取り付けユニット316は回転させないことに留意されたい。スプレイユニット322は、連続的に変化するブレードのスプレイを可能にし、例えば、最大40°の角度スプレイを可能にするように作動することになる。
【0185】
第2の取り付けユニット316は、基部334、伸長部336、及び取り付けポスト338を含む。取り付けポスト338は、略円筒形であり、テーパ状の先導端部340、及び先導端部340と伸長部336との間に位置付けられる円周陥凹342を含む。これら特徴部は、上記のアンカーブレード16の簡易脱着機構と相互作用し、この相互作用の様式は、左の開創器アーム28の対応する構造がアンカーブレード14の簡易脱着機構と相互作用する様式と同一であるため、繰り返して考察する必要はない。
【0186】
図22~26は、第2の開創器ブレード(例えば、内側ブレード)20をより詳細に図解する。第2の開創器ブレード20は、近位トラック部分344及び遠位ブレード部分346を含む。近位トラック部分344は、内側面348及び外側面350を有する。内側面348は、遠位ブレード部分346の少なくとも一部を収納するための陥凹352を含む。トラック部分344は、照明ケーブル(例えば)を受容するためのトラック354、及び陥凹352の近位のトラック部分344に沿って位置付けられる複数のラチェットアパーチャー356を更に含む。外側面350は、外側面350から離れて略垂直に延在している取り付けポスト358を含む。取り付けポスト358は、左の開創器アーム28の中央ポスト66と形態及び機能において同一であり、左の開創器アーム28の中央ポスト66が連結器158の簡易脱着機構と相互作用するのと同じ様式で、第2の開創器310の簡易脱着機構320と相互作用する。遠位ブレード部分346は、ブレード360及び誘導フランジ362を含む。ブレード360は、遠位先端にて、内側面364、外側面366、及び鋸歯状フット368を含む。内側面364は、わずかに凹状の表面を含み得る。鋸歯状フット368は、外面366に向けて湾曲し、組織のクリープ効果を最低限に抑えるのを助ける。誘導フランジ362は、トラック354に係合して、遠位ブレード部分346を近位トラック部分344に連結させる。誘導フランジは、アパーチャー356と相互作用してブレード構築物の所望の長さを維持する、近位端部372を有するカンチレバー式ラチェット機構370を更に含む。誘導ピン374は、遠位ブレード部分346におけるピンアパーチャー375を通って誘導トラック376の中へと延在して、遠位ブレード部分346が使用中に適切な整列を維持することを確実にする。
【0187】
図23~26は、第2のブレード20のブレード挿入器378への連結を図解する。ブレード挿入器378は、細長いシャフト384によって分離している近位ハンドル380及び遠位先端382を含む。近位ハンドル380は、それから近位に延在している解放ボタン386を含む。遠位先端382は、側縁部384を含み、この側縁部384は、近位トラック部分344上のトラック354と嵌合して、第2のブレード20をブレード挿入器378に連結させる。遠位先端382は、遠位端部388を有するカンチレバー式ラチェット機構386を更に含み、これは、アパーチャー356と相互作用して、第2のブレード20上での確固とした保持を維持する。
【0188】
第2のブレード20を使用するために、まず、ブレード20を上記のように挿入器378に連結する。遠位ブレード部分346は、最初に完全に伸長した位置にあるべきである(即ち、カンチレバー式ラチェット機構370の遠位端部372が近位トラック部分344にある最遠位のラチェットアパーチャー356に係合するように位置付けられる)べきであることに留意されたい。その後、第2のブレード20は、ユーザによって手術標的部位へと手動で前進させられる。ブレード20の遠位先端は、まず触覚フィードバックを用いて所望の場所に配置され、その後続いて圧縮されて第2の開創器18に接続される。任意選択で、ユーザは、遠位先端にて組織を持ち上げるためにコブ(Cobb)機器のような第2のブレード20を使用してもよい。ブレードの圧縮(または必要に応じて延長)は次のように達成される:ブレードが解剖学的構造(例えば、軟組織、骨)に係合すると、遠位端部は移動を停止することになる。ユーザが挿入機器に下向きの力を適用し続ける場合、カンチレバー式ラチェット機構386により、遠位端部388は、ブレードの所望の圧縮が達成されるまで、1つのラチェットアパーチャー356を次に近位であるラチェットアパーチャー356のために空ける(同様のことが続く)ことになる。次に、ユーザは、第2のブレード20を、それが上記の特徴部を介して第2の開創器18に接続するように操作する。所望の場合、ユーザは、挿入器が取り付けられたままである間に、または挿入器が脱係合した後に、ブレードスプレイを好んで用いてもよい。更なるブレードの圧縮がブレードのスプレイ中に生じ得る。第2のブレードが挿入されると、解放ボタン386を使用することができ、これが、カンチレバー式ラチェット機構386をラチェットアパーチャー356に再係合させ、その間に遠位ブレード346に下向きの力を提供することで、挿入器378の手術創からの除去が可能となり、同時に第2のブレード20が伸長した状態を維持することができるようになる。例として、第2のブレード20の遠位ブレード部分346は、手術中の蛍光透視法の放射線透過性を提供するチタンという材料選択で作製されてもよい。
【0189】
図27~38は、TLIF手順において本開示の開創器10を使用する例示的な方法を図解する。本明細書に記載の開創器組立体10の有益な特徴は、骨アンカー15が、手術標的部位への導入の前にアンカーブレード14、16に連結され得ることである。これは、上記のように、まず枢動フット168をロック解除し、骨アンカー15のネック178を中央アパーチャー176の中に挿入し、その後、枢動フット168を再度ロックすることによって行われる(図12~13)。骨アンカー15は、こうしてアンカーブレード14に連結し、またここで、手術経路を通した前進の前にドライバー機器400(図27)に連結してもよい。患者を適切に位置付け、標的エリアを特定し、露出部を確立したら、骨アンカー15を第1の標的部位に配置し得る。標的の椎弓根を穿刺した後、連結した骨アンカー15、アンカーブレード14、及び挿入器400は、Kワイヤの上を標的部位へと通過させ得る。アンカー15を、ドライバー400の遠位端部またはアンカーブレード14のいずれかが骨の上で底を打つまで、骨の中へと打ち込む(図28)。Kワイヤは、ねじ切りシャンク182が椎体5の後部に進入した後で除去し得る。これらのステップを繰り返して、骨アンカー15と連結した第2のアンカーブレード16を隣接する椎体7の椎弓根中に配置し得る(図29)。
【0190】
この時点で、アクセス用開創器本体12は、いずれの側(例えば、内側または横方向)においてもアンカーブレード14、16に取り付けることができるが、蛍光透視法下での標的エリアの可視性を増加させるように、アクセス用開創器本体12をアンカーブレードの横方向の側面に(即ち、患者の脊椎から離れて)取り付けることが有利であり得る(図30)。上記のように、アクセス用開創器本体12は、中央ポスト66、98(図4)をアンカーブレード14、16の簡易接続連結器158の中に挿入することによって、アンカーブレード14、16に接続される。アクセス用開創器本体12がブレードに適切に係合するとき、可聴性クリックが鳴る。この時点で、開創器組立体10は、連接型アーム取り付け部52を使用して連接型アーム(例えば)に取り付けられ得る。アンカーブレード14、16が椎間板腔に平行であるように開創器組立体10を位置付けることで、内側の露出部へのトラジェクトリが適切に達成されることが確実となる。
【0191】
伸延が所望される場合、アンカーブレード14は、上記のように、Tハンドル(例えば)を使用して左の開創器アーム28にあるスプレイユニット74のキャップ80を作動させることによって、スプレイされ得る。同様に、アンカーブレード16は、右の開創器アーム30のスプレイユニット106のキャップ112を作動させるためにTハンドル(例えば)を使用して、別個にスプレイされ得る。Tハンドルの時計方向の回転により、ブレード14、16は、外向きにスプレイする。ブレードは骨アンカー15を介して椎弓根骨に連結するため、これは椎間板腔の伸延も引き起こすことになる。連結器158は、整列マーキング248を含み、この整列マーキング248は、アーム28、30上の整列マーキング249と一致した行動をとって、十分な伸延が達成されたという視覚的なフィードバックをユーザに提供する(図31)。適切な整列が達成されると、ユーザは、サムタブ38(または例えば、所望の場合はTハンドル)を時計方向に回転させて、開創器を開放し、軟組織の開創及び作業経路22の最初の視覚化を提供し得る。
【0192】
十分な軟組織の開創が達成されると、単式係合の第2の開創器18(図32)または複式係合の第2の開創器310(図33)を加えて、内側への開創を可能にし得る。単式係合の第2の開創器18は、中央ポスト292をアンカーブレード14の連結器158の遠位半身224中に挿入することによって取り付けられる。第2の開創器18がアンカーブレード14に適切に係合したときに、可聴性クリックが鳴る。複式係合の第2の開創器18は、中央ポスト292をアンカーブレード14の連結器158の遠位半身224中に挿入し、第2の取り付けユニット316の取り付けポスト338をアンカーブレード16の連結器158’の遠位半身224’中に挿入することによって取り付けられる。第2の開創器310がアンカーブレード14、16の各々に適切に係合したときに、可聴性クリックが鳴る。次に、図23~26を参照して上に記載したように、第2のブレード20が選択され、これは、挿入器378に取り付けられた後、第2の開創器18に取り付けられる。十分な内側へのブレードの引き戻し及びスプレイが達成されると、挿入器378上の解放ボタン386が押されて、第2のブレード20を挿入器378から解放する。
【0193】
図35~38は、手術標的部位に対する開創器組立体10の最後の位置付けを図解する。特に、図38は、第2のブレード20が引き戻された位置にある開創器組立体を図解する。この時点から、椎間関節切除、減圧、更なる伸延(任意選択)、椎間板及び終板の準備、ならびに椎体間インプラントの挿入を含む、TLIF手順の更なるステップが、このレベルで実行される。ロッド挿入のための準備中、アンカーブレード15、16が各脊椎レベルにて骨アンカー15に係合している間に、チューリップヘッド(図示せず)が骨アンカーヘッドに取り付けられる。ロッドも、アンカーブレード15、16が取り付けられている間に配置されロックして据えられ得る。ロッド構築物がきちんと定置されると、枢動フット168のロックが、セットスクリュー202を反時計回りに回転させることで解除され、このことが、ロックシャフト200を、被包化されたチャネル198を通して近位に後退させ、その結果、枢動アーム168と脱係合する(図11~15)。枢動アーム168が自由に移動できるようになることで、アンカーブレード14を骨アンカー15から分離し、作業チャネル22から除去できるようになる。第2のアンカーブレード16は、アンカーブレード14と同じ様式で作業チャネル22から除去され得、手術創が閉じられ、手順を完了する。
【0194】
複数レベルのTLIF手順については、開創器組立体10は、椎弓根の標的化が必要となる回数を減少させるための「進行技法(marching technique)」において使用され得る。例えば、2レベルのTLIF(2つの隣接する椎骨を伴う)のためには、連結したアンカーブレード挿入器を、各標的椎弓根に配置する(即ち、2つの隣接するレベルで合計3つのブレード)。本手順は、第3のアンカーブレードが何にも(移植した骨アンカーを除く)取り付けられていない状態で、これらのレベルのうちの1つに関して上に記載したように行われる。TLIFが第1のレベルにて完了した後、開創器組立体10は、アンカーブレードを除いて除去される。第1のアンカーブレードは、骨アンカーに取り付けられたままである。中間のブレードは、180°回転した後、第3のアンカーブレードと共にアクセス用開創器本体(もう一方の開創器アーム)に再度接続される。TLIFが第2のレベルにて行われる。チューリップが降ろされると、ロッドが配置されて3つ全てのレベルを接続し得、こうして手順が終了し得る。
【0195】
図39~41は、本明細書に記載の組織開創器組立体10と共に使用するように構成されている代替的なアンカーブレード414の例を図解する。概して、アンカーブレード414は、連結器420から延在しているブレード部分418を有する。ブレード部分418は、上記のアンカーブレード14のブレード部分156と形態及び機能において同一であるため、ブレード部分156に関して開示される全ての特徴部は、ブレード部分418にも帰属可能であり、繰り返しの開示を不要とする。
【0196】
連結器420は、アンカーブレード414の近位部分と一体に形成され、上記の左のアーム28の中央ポスト66(及び/または右のアーム30の中央ポスト98)との係合のための代替的なばね荷重式簡易接続及び解放機構を提供する。アンカーブレード414及び416は、アンカーブレード414またはアンカーブレード416のいずれも、左のアーム28でも右のアーム30でも使用され得るという点で置き換え可能であることを理解されたい。したがって、本明細書ではアンカーブレード414と左のアーム428との間の相互作用のみを詳述するが、本明細書に記載の全ての特徴部は、アンカーブレード416と右のアーム430との間の相互作用にも当てはまる。連結器420は、近位半身422及び遠位半身424を有する。本開示の目的では、近位半身422は、左の開創器アーム28に係合する連結器420の部分として画定され、遠位半身424は、第2の開創器18(またはそれに取り付けられる場合は右の開創器アーム30)に係合する連結器420の部分として画定される。連結器420の近位半身422及び遠位半身424は同一であるため、両半身に共通の様々な特徴部は、明確化のために同じ参照番号が割り当てられる。
【0197】
連結器420は、ハウジング426及び一対の解放ボタン428を含む。ハウジング426は、近位端部422にある近位面430(及び遠位端部424にある同一の遠位面)、近位面430を通って延在している取り付けアパーチャー432、取り付けアパーチャー432の下にある近位面430を通って延在しているトリガアパーチャー433、一対のボタン陥凹434、及び内部管腔435を含む。近位面430は、近位面430から近位に延在している一対のフランジ436を含む。アンカーブレード414が左のアーム28と嵌合するとき、近位面430は、左のアームの遠位面64と同一平面で接合し、フランジ436は、アンカーブレード414が、フランジ436の側壁が陥凹68の側壁に係合するまで左のアームに対して枢動することを可能にするように(例えば、開創器本体を移動させることによって)、左のアーム28の遠位面64に形成される陥凹68に係合し、その後、ブレードが、ユーザによるスプレイユニット74の起動に応答してアームと共に回転することになる。取り付けアパーチャー432は、中央ポスト66がハウジング426の内部管腔435中に延在し得るように、それを通して左のアーム28の中央ポスト66を受容する。ボタン陥凹434は、アンカーブレード414が「準備完了」状態にあるときに(例えば、左のアーム28との連結の前に)、解放ボタン428のための目立たない収納場所を提供するように構成されている。ボタン陥凹434の中には、各々、ボタンばね440の一端を収容するためのばね陥凹438が位置付けられている。解放ボタン428は、各々、上面442、底面444、及び底面442から延在しているロックフランジ446を有する。上面442は、薄さを維持し、使用中に周囲の生体組織に起きる破壊を最低限にするように、略曲面であり、ユーザ係合表面として提供される。底面444は、ボタンばね440のもう一方の端部を収容するためのばね陥凹448を含む。ロックフランジ446は、底面444から延在し、貫通孔450、及び貫通孔450の下に延在しているトリガスロット452を含む。貫通孔450は、それを通して中央ポスト66を受容する。貫通孔450の周縁454は、中央ポスト66が管腔435の中に完全に挿入された(それによりアンカーブレード414を左のアーム28にロックした)後で、中央ポスト66の円周陥凹72内に収納され、中央ポスト66の逸出を防止するようにサイズ決定され構成されている。トリガスロット452は、第1の部分456と第2の部分458とに分けられる。第1の部分456は、トリガボタン460の中間部分468の直径を相補する幅寸法を有する。第2の部分458は、トリガボタン460の末端部分470の直径を相補する幅寸法を有する。連結器は、ばね荷重式トリガボタン460を更に含み、これは、内部管腔435の下に位置付けられるトリガ管腔464内に、トリガばね462と共に、少なくとも部分的に収容される。トリガボタンは、基部466、基部466の直径より小さい直径を有する中間部分468、中間部分468の直径より小さい直径を有する末端部分470、及び末端部分470の直径より大きい直径を有する末端キャップ472を有する。
【0198】
分離状態または「準備完了」状態(例えば、左のアーム28との連結前)において、トリガばね464は、トリガボタン460の基部466に外向きの力を及ぼし、これが、トリガボタン460の中間部分468を、トリガアパーチャー433を通して少なくとも部分的にトリガスロット452の第1の部分456(即ち、より幅広の部分)の中に付勢する。これが解放ボタン428を下向きに引き、その結果、解放ボタン428がボタン陥凹434内に収納され、ボタンばね440が圧縮される。この状態で、ハウジング422の取り付けアパーチャー432が解放ボタン428の貫通孔450と整列することにより、中央ポスト66の内部管腔435への挿入が可能となり、アンカーブレード414と左のアーム28とが連結するようになる。アンカーブレード414と左のアーム28とが連結する間、中央ポスト66は、貫通孔450及び取り付けアパーチャー432を通って内部管腔435の中へと前進する。この前進が起きているとき、左のアームの遠位面64は、トリガボタン460に遭遇し、端部キャップ472に内向きの力を及ぼす。この内向きの力はトリガばね462によって及ぼされる外向きの力より大きく、トリガボタン460はトリガ管腔464の中に促される。トリガボタン460がトリガ管腔464の中に更に押されるとき、中間部分468がトリガスロット452の第1の部分456から完全に押し出されることで、末端部分470のみがトリガスロットに残る。こうして、ボタンばね440は、解放ボタン428の底面444に上向きの力を及ぼすことによってエネルギーを解放することができるようになる。この力が解放ボタン428を留め上げて、トリガボタン460の末端部分470をトリガスロット452の第2の部分458に嵌め込み、この間同時に貫通孔450の周縁454を中央ポスト66の円周陥凹72に嵌め込んで、中央ポスト66が管腔435の中に完全に挿入された(それにより、アンカーブレード414を左のアーム28にロックした)後の中央ポスト66の逸出を防止する。解放ボタン428の強制的な移動により、周縁454と円周陥凹72との間の金属同士の接触が音で聞こえるようになり、フィードバックを可聴性「クリック」の形態でユーザに提供して、アンカーブレード414が開創器アームに据え付けられたことを示す。この「ロック」状態において、取り付けアパーチャー432及び貫通孔450は、それ以上整列しない(例えば、図39)。アンカーブレード414を解放するために、ユーザは解放ボタン428を押す。これが取り付けアパーチャー432及び貫通孔450を再び整列させ、この間同時に、周縁454を円周陥凹72から除することで、中央ポスト66の連結器420から除去を可能にする。
【0199】
図42は、アンカーブレード414、416が取り付けられた使用中の組織開創器組立体10を図解する。上記のアンカーブレード14、16のように、アンカーブレード414、416は、アンカーブレード414に関して本明細書に開示する全ての特徴部と形態及び機能において事実上同一であるため、アンカーブレード416にも帰属可能であり得る。
【0200】
図43~45は、組み立てた開創器10に取り付けることができ、かつ自動ロック機構を有する代替的な第2の開創器480の別の例を図解する。第2の開創器480は、アンカーブレード14の連結器158(またはアンカーブレード16の連結器158’、またはアンカーブレード414の連結器420など)に取り付け可能であり、開創組立体482及びブレード組立体484を備える。第2の開創器480は、第2の(例えば、内側)ブレード20への更なる接続を可能にし、多自由度での内向きの脊椎への更なるアクセスを推進する。例えば、第2の開創器480は、内側への開創、内側へのスプレイ、尾から頭方向での枢動、及び尾から頭方向での並進を提供し得る。開創組立体482は、内側への開創を提供し、ハウジング486、ラック488、ギア490、及び歯止め492を備える。ハウジング486は、ラック488が中を通って延在する内部管腔494、ギア490を受容するギア陥凹496、及び歯止め492のための目立たない収納部を提供する歯止め陥凹498を有する。ラック488は、近位取り付け端部500、1セットの上部の歯502、及び1セットの側部の歯504を含む。取り付け端部500は、上記の第1のアーム28の遠位面96と構造及び機能において事実上同一であるため、繰り返しの考察は不要である。上部の歯502は、互いに比較的近く離間され、歯止め492に係合するように構成されている。側部の歯504は、上部の歯502よりも離れて離間され、ギア490に係合するように構成されている。より大きい側部の歯504は、ギア490に係合する際、開創中のより優れた機械的利点をもたらし、一方で、より小さい歯502は、より慎重なロック位置をもたらす。ギア490は、歯部分506及び係合用陥凹508を含む。係合用陥凹508は、アクチュエータ要素512のポスト510を受容し、これはまた、アクチュエータ器具(図示せず)に係合するための係合用陥凹514も含む。アクチュエータ要素512を回転させることでギア490が回転し、これを受けてラック488が管腔494内を並進する。歯止め492は、遠位係合先端516及びばね荷重式近位解放レバー518を含む。遠位係合先端516は、ラック488にある上部の歯502に係合して、ロック位置を精密に制御する。ばね520は、歯止め490を付勢して、ラチェット様の様式でラック488に接触する。解放レバー518を押すことで遠位係合先端516がラック488から持ち上がり、ラック488が自由に運動できるようになる。ブレード組立体484は、第2の開創器18を参照して上に記載したブレード組立体252と同一であるため、ブレード組立体252に関して開示したいずれの特徴部もブレード組立体484に適用可能であり、繰り返しの考察を不要とする。
【0201】
図46~48は、一実施形態に従う、組み立てた開創器組立体10に取り付けることができる代替的な第2の開創器530の別の例を図解する。第2の開創器530は、尾の方のアンカーブレード14に取り付け可能であり、開創組立体532及びブレード組立体534を備える。第2の開創器530は、第2の(例えば、内側)ブレード536への更なる接続を可能にし、多自由度での内向きの脊椎への更なるアクセスを推進する。例えば、第2の開創器530は、内側への開創、内側へのスプレイ、尾から頭方向での枢動、及び尾から頭方向での並進を提供し得る。開創組立体532は、内側への開創を提供し、ハウジング538、ラック540、及びギア542を備える。ハウジング538は、内部チャネル544を有し、これを通してラック540が延在し、この中でギア542がラック538に係合する。ギア542は、ラック540に係合する歯部分(図示せず)と、アクチュエータ器具用の係合要素を提供する係合用陥凹546とを含む。ハウジング538は、ハウジング538から略下向きに延在している取り付けフランジ548と、ラック540の歯552に係合するように構成されている歯止め550とを更に有し、細かい分解能が可能となる。取り付けフランジは、アンカーブレード14のトラック220に摺動自在に係合するように構成されている(図11)。ラック540は、両面性であり、第2のセットの歯554とは反対のラック面に位置付けられる第1のセットの歯552を有する。第1のセットの歯552は、互いに比較的近く離間され、歯止め550に係合するように構成されている。第2のセットの歯554は、第1のセットの歯552よりも離れて離間され、ギア542に係合するように構成されている。より大きい第2のセットの歯554は、ギア542に係合する際、開創中のより優れた機械的利点をもたらし、一方で、より小さい第1のセットの歯552は、より慎重なロック位置をもたらす。
【0202】
ブレード組立体534は、基部556、枢動するクロスバー558、ブレード連結器560、及びスプレイユニット562を含む。基部は、ラック540の遠位端部に位置付けられ、枢動するクロスバー558を受容するためのチャネル564を含む。枢動するクロスバー558は、距離にして最大1インチ並進することができ、連続的に変化する様式で軸を中心に最大40°回転することができる。枢動するクロスバー558は、チャネル564内を自由に並進してもよく、並進の誘導中に摩擦を適用する内部Oリング(図示せず)を有する。スプレイユニット562は、回転を制御し、左のアーム28のスプレイユニット74と形態及び機能において同一であるため、同様の特徴部の詳細な記載を繰り返す必要はない。枢動するクロスバー558は、クランクシャフト565に取り付けられ、クランクシャフト565は、オフセットナックル566及び枢動するスタッド568を有することで、第2のブレード536の取り付けを可能にする。クランクシャフト565は、第2のブレード536が枢動するクロスバー558の回転軸から外れてスプレイできるようにする。偏心運動は、スプレイ中に第2のブレード536が上昇して外科医の視線から出るように促す。第2のブレード536は、内部の自動ロック式簡易接続機構、例えば、上記のものなどを用いて、第2の開創器530に取り付けられる。
【0203】
図48は、単に例として示す、標準的なラック開創器570と共に使用されている第2の開創器530を図解する。第2の開創器530は、本開示の範囲から逸脱することなく上記の開創器組立体10と共に使用され得る。単に例として、標準的なラック開創器570は、クロスバーラック576を介して接続される第1のアーム572及び第2のアーム574を含む。第1のアーム572及び第2のアーム574は、上記の左及び右のアーム28、30と事実上同一である。クロスバーラック576は、ハウジング578内に受容され、ハウジング578自体は、ギア580及び歯止め582を有する。アンカーブレード584、586は、それらがフープシム588を介して骨アンカー15に取り付けられるという点で、上記のいくつかの実施形態とは異なる。
【0204】
本明細書に記載の発明の特徴を目的の達成に好ましい実施形態に関して記載したが、当業者であれば、これらの教示を考慮して、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく変化形を獲得し得ることが理解される。
図1
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図43
図44
図45
図46
図47
図48