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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】情報保持媒体および演出出力玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 5/00 20060101AFI20220111BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A63H5/00 C
A63H33/00 P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020200285
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2021-03-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】瀬尻 瞭
(72)【発明者】
【氏名】田中 博隆
(72)【発明者】
【氏名】寺野 彰
(72)【発明者】
【氏名】仲野 美沙子
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-119504(JP,A)
【文献】特開2018-033979(JP,A)
【文献】特開2017-035617(JP,A)
【文献】特開2012-096026(JP,A)
【文献】特開2019-146784(JP,A)
【文献】特開2017-217282(JP,A)
【文献】特開2013-141563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
報保持媒体の外周端面に形成された凹部と凸部の凹凸パターンによって構成される識別情報を保持した前記情報保持媒体の表裏を変えて装着可能な装着部と、
前記装着部に装着された前記情報保持媒体から前記識別情報を検出する検出部と、
前記検出部により検出された識別情報に基づく演出を出力する出力部と、を備え、
前記装着部に装着された前記情報保持媒体の表裏が変わることで、前記検出部により検出される識別情報が変更され、
前記情報保持媒体は前記装着部において回転可能であり、
前記検出部は、複数の前記凹凸パターンの各々における凸部と接触可能に構成されたスイッチを有し、前記スイッチの出力結果の組み合わせに応じて前記識別情報を取得する、
演出出力玩具。
【請求項2】
情報保持媒体の外周端面に形成された凹部と凸部の凹凸パターンによって構成される識別情報を保持し、前記凹凸パターンは、前記情報保持媒体の厚み方向に複数層設けられ、厚み方向にみた状態にて、異なる層における前記凹凸パターンの凸部同士が重なる部分を1箇所のみ有するように構成された情報保持媒体の表裏を変えて装着可能な装着部と、
前記装着部に装着された前記情報保持媒体から前記識別情報を検出する検出部と、
前記検出部により検出された識別情報に基づく演出を出力する出力部と、を備え、
前記情報保持媒体は前記装着部において回転可能であり、
前記検出部は、複数の前記凹凸パターンの各々における凸部と独立して接触可能に構成された複数のスイッチを有し、全ての前記スイッチの出力結果の組み合わせに応じて前記識別情報を取得し、全ての前記スイッチがいずれも凸部と接触している状態を起点として、前記組み合わせを判定する、
演出出力玩具。
【請求項3】
請求項に記載の演出出力玩具において、
前記検出部は、前記起点を2回目以降に検出したときには、前記組み合わせ判定の終了点として、前記組み合わせを判定する、
演出出力玩具。
【請求項4】
請求項のいずれか一項に記載の演出出力玩具において、
前記情報保持媒体が前記装着部に装着された状態において、前記情報保持媒体の外周端面と前記外周端面に対面する周囲壁面との間隔は、少なくとも一部が所定以上の大きさに構成されている、
演出出力玩具。
【請求項5】
情報保持媒体の外周端面に形成された凹部と凸部の凹凸パターンによって構成される識別情報を保持した前記情報保持媒体の表裏を変えて装着可能な装着部と、
前記装着部に装着された前記情報保持媒体から前記識別情報を検出する検出部と、
前記検出部により検出された識別情報に基づく演出を出力する出力部と、を備え、
前記装着部に装着された前記情報保持媒体の表裏が変わることで、前記検出部により検出される識別情報が変更され、
前記情報保持媒体が前記装着部に装着された状態において、前記情報保持媒体の外周端面と前記外周端面に対面する周囲壁面との間隔は、少なくとも一部が所定以上の大きさに構成されている、
演出出力玩具。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の演出出力玩具において、
前記装着部は、前記情報保持媒体の外周端面よりも径方向内側に設けられた被駆動係合部に着脱可能に係合する駆動係合部を備えている、
演出出力玩具。
【請求項7】
請求項のいずれか一項に記載の演出出力玩具において、
回転操作する操作ハンドルと、
前記操作ハンドルと前記装着部を連結する連結ギア部と、を備え、
前記操作ハンドルの回転により、前記連結ギア部を介して、前記情報保持媒体が回転駆動される、
演出出力玩具。
【請求項8】
情報保持媒体の外周端面に形成された凹部と凸部の凹凸パターンによって構成される識別情報を保持した前記情報保持媒体の表裏を変えて装着可能な装着部と、
前記装着部に装着された前記情報保持媒体から前記識別情報を検出する検出部と、
前記検出部により検出された識別情報に基づく演出を出力する出力部と、を備え、
前記装着部に装着された前記情報保持媒体の表裏が変わることで、前記検出部により検出される識別情報が変更され、
回転操作する操作ハンドルと、
前記操作ハンドルと前記装着部を連結する連結ギア部と、を備え、
前記操作ハンドルの回転により、前記連結ギア部を介して、前記情報保持媒体が回転駆動される、
演出出力玩具。
【請求項9】
請求項に記載の演出出力玩具において、
前記装着部は、前記情報保持媒体の外周端面よりも径方向内側に設けられた被駆動係合部に着脱可能に係合する駆動係合部を備えている、
演出出力玩具。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の演出出力玩具において、
前記連結ギア部は、前記装着部とは異なる回動部位を連動回転させる、
演出出力玩具。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか一項に記載の演出出力玩具において、
前記操作ハンドルは、前記情報保持媒体を一方向のみ回転可能に構成されている、
演出出力玩具。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の演出出力玩具において、
前記情報保持媒体の外周は略円形に構成されている、
演出出力玩具。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の演出出力玩具において、
前記情報保持媒体の前記凹凸パターンは、前記情報保持媒体の厚み方向に複数層設けられている、
演出出力玩具。
【請求項14】
請求項13に記載の演出出力玩具において、
前記情報保持媒体の複数層の前記凹凸パターンは、異なる層における前記凹凸パターンの凹部と凸部の位置が円周方向において相違する部分を有する、
演出出力玩具
【請求項15】
請求項13または14に記載の演出出力玩具において、
前記情報保持媒体は、厚み方向にみた状態にて、異なる層における前記凹凸パターンの凸部同士が重なる部分を1箇所のみ有するように構成される、
演出出力玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報保持媒体および演出出力玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、演出出力玩具には所定の操作に基づいて音等を発生するものが知られている。この演出出力玩具においては、演出を出力する本体側に着脱する副玩具体を介して本体に新たな情報が提供され、この情報に基づいて所定の演出出力が実行されるものがある。例えば、特許文献1においては、携帯型のゲーム装置であるが、携帯型ゲーム装置(本体側)に対し、所定の情報を有したカートリッジを装着し、このカートリッジからキャラクタを識別するための情報と、キャラクタのバリエーションを決定するための情報とを取得し、取得した情報に基づいて特定のキャラクタの利用を可能とし、ゲームを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-194320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、円盤状のカートリッジの表面に突起部が設けられ、突起部の凹凸に基づいてカートリッジ情報を本体側に供給する。この場合、多種の情報を供給するためには、本体側に供給したい情報分だけの数のカートリッジが必要となり、その分だけ多くのカートリッジが必要となる。また、カートリッジは、円盤形状の表面に突起部が設けられているだけで、それ自体はさほど玩具性が高くないものであった。
【0005】
本発明は、動作の多様化が可能な情報保持媒体および演出出力玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報保持媒体は、識別情報を保持した情報保持媒体であって、 前記識別情報は、前記情報保持媒体の外周端面に形成された凹部と凸部の凹凸パターンによって構成される。
【0007】
また、本発明に係る情報保持媒体において、前記情報保持媒体の外周は略円形に構成されていてもよい。
【0008】
また、本発明に係る情報保持媒体において、前記凹凸パターンは、前記情報保持媒体の厚み方向に複数層設けられていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る情報保持媒体において、複数層の前記凹凸パターンは、異なる層における前記凹凸パターンの凹部と凸部の位置が円周方向において相違する部分を有するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る情報保持媒体において、前記情報保持媒体は、厚み方向にみた状態にて、異なる層における前記凹凸パターンの凸部同士が重なる部分を1箇所のみ有するように構成されてもよい。
【0011】
また、本発明に係る演出出力玩具は、情報保持媒体の表裏を変えて装着可能な装着部と、前記装着部に装着された前記情報保持媒体から前記識別情報を検出する検出部と、前記検出部により検出された識別情報に基づく演出を出力する出力部と、を備え、前記装着部に装着された前記情報保持媒体の表裏が変わることで、前記検出部により検出される識別情報が変更される。
【0012】
また、本発明に係る演出出力玩具において、前記情報保持媒体は前記装着部において回転可能であり、前記検出部は、複数の前記凹凸パターンの各々における凸部と接触可能に構成されたスイッチを有し、前記スイッチの出力結果の組み合わせに応じて前記識別情報を取得するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る演出出力玩具は、情報保持媒体の表裏を変えて装着可能な装着部と、前記装着部に装着された前記情報保持媒体から前記識別情報を検出する検出部と、前記検出部により検出された識別情報に基づく演出を出力する出力部と、を備え、前記情報保持媒体は前記装着部において回転可能であり、前記検出部は、複数の前記凹凸パターンの各々における凸部と独立して接触可能に構成された複数のスイッチを有し、全ての前記スイッチの出力結果の組み合わせに応じて前記識別情報を取得し、全ての前記スイッチがいずれも凸部と接触している状態を起点として、前記組み合わせを判定する。
【0014】
また、本発明に係る演出出力玩具において、前記検出部は、前記起点を2回目以降に検出したときには、前記組み合わせ判定の終了点として、前記組み合わせを判定するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る演出出力玩具において、回転操作する操作ハンドルと、前記操作ハンドルと前記装着部を連結する連結ギア部と、を備え、前記操作ハンドルの回転により、前記連結ギア部を介して、前記情報保持媒体が回転駆動されるようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る演出出力玩具において、前記装着部は、前記情報保持媒体の外周端面よりも径方向内側に設けられた被駆動係合部に着脱可能に係合する駆動係合部を備えていてもよい。
【0017】
また、本発明に係る演出出力玩具において、前記連結ギア部は、前記装着部とは異なる回動部位を連動回転させるようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係る演出出力玩具において、前記情報保持媒体が前記装着部に装着された状態において、前記情報保持媒体の外周端面と前記外周端面に対面する周囲壁面との間隔は、少なくとも一部が所定以上の大きさに構成されているようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係る演出出力玩具において、前記操作ハンドルは、前記情報保持媒体を一方向のみ回転可能に構成されている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、動作の多様化が可能な情報保持媒体および演出出力玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の演出出力玩具の全体を示す斜視図である。
図2図1に示す演出出力玩具において、副玩具体が装着される前の状態を示す斜視図である。
図3図1に示す演出出力玩具において、副玩具体が装着された状態を示す斜視図である。
図4】副玩具体の一端面側(表面側)から見たときの一例を示す斜視図である。
図5図4に示す副玩具体の分解斜視図である。
図6図4に示す副玩具体の他端面側(裏面側)から見たときの斜視図である。
図7】副玩具体の位置規制部材を示す分解斜視図である。
図8図6に示す副玩具体の装着状態を示す内部斜視図である。
図9】開閉蓋の開閉を検出する開閉検出スイッチの一例を示す分解斜視図である。
図10】演出出力玩具の制御系を示すブロック図である。
図11】演出出力玩具の内部構造を示す側面図である。
図12】操作ハンドルの操作により回転駆動される部分の分解斜視図である。
図13図12に示す操作ハンドルの取付け部分の分解斜視図である。
図14】副玩具体の一端面側(表面側)から見たときの一例を示す斜視図である。
図15図14に示す副玩具体の分解斜視図である。
図16図14に示す副玩具体の他端面側(裏面側)から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態の演出出力玩具について、図1図13を参照して説明する。
図1は、演出出力玩具の全体を示す斜視図である。
【0023】
図1に示す演出出力玩具10は、例えばテレビ番組等の主人公の戦うヒーローが使用する機関銃の形状を模った玩具である。このヒーローは、番組上、機関銃に様々な装着体を装着することで、機関銃から音や光を出したり、変身したりする設定となっている。ここで、「変身」とは、ヒーローの衣服、形態等が変化することを言う。使用者は、この玩具により、当該ヒーローになりきる、いわゆる「なりきり遊び」をすることが可能な玩具である。
【0024】
図1に示す演出出力玩具10は、玩具本体胴部10aの先端側には、複数の銃口19mを備える銃身部19を備え、玩具本体胴部10aの下部側には、後部側に後銃把部10rが、前部側に前銃把部10fが設けられ、玩具本体胴部10aの右側面には、操作ハンドル18が設けられ、更に玩具本体胴部10aの上部側には、後述する副玩具体20を装着する副玩具体装着部11(以下、単に「装着部」と言う)が設けられている。ここで副玩具体20は、識別情報を保持する情報保持媒体として機能するものである。また副玩具体20は、色や模様等の異なる複数の形状のものが用意されており、それぞれが異なる識別情報を有する。したがって、副玩具体20を演出出力玩具10に装着することで、副玩具体20に応じた所望の演出を行うことができる。
【0025】
なお、以下の説明において、方向を示す上下、前後、左右等の向きの表現は、演出出力玩具10をユーザーが持って構えたときの状態、すなわち、銃身部19を前方に向けて前後銃把部10r,10fを持って構えた状態を前提にして、ユーザーから見た向きをいうものとする。
【0026】
図2は、副玩具体20が装着される前の状態を示す斜視図である。
演出出力玩具10の装着部11は、図2に示すように、開閉蓋12がヒンジ部12bを支点にして前方に開く。装着部11は、略円形の周囲壁面11w及び底部を構成する回転テーブル11tによって構成された略円筒形の窪み構造である。一方、この装着部11に装着する部材としては、例えば、ギアを模った形状で外周端面20eに凹凸(凸部20v、凹部20c)が形成され、更に内側にもギア状の被駆動係合部20gが形成された円盤状の副玩具体20(以下、「ギア部材」という)である。そして、ギア部材20は、回転テーブル11tに設けられた駆動係合部11gに被駆動係合部20gを嵌め合わせるようにして装着される。
【0027】
図3は、ギア部材20が装着された状態を示す斜視図である。
ギア部材20は、図3に示すように、回転テーブル11tに装着される。この状態で、開閉蓋12を後方に回転して閉じる。ここで、開閉蓋12は、ヒンジ部12bに設けられたトーションバネ等の付勢部材により開動方向(図示の矢印とは反対方向)に付勢されている。そして、開閉蓋12を閉じたときには、開閉蓋12の先端係合部12eが先端係止部41に係止され、更に、開閉蓋12の左右の側面に形成された側面突起12dが、玩具本体胴部10aの上面に突設された左右一対の突出片42にも係止される。
【0028】
演出出力については後述するが、開閉蓋12を閉じてから操作ハンドル18を所定方向に回転することで、回転テーブル11tと共にギア部材20を回転することで所定の演出をすることができる。要するに、ギア部材20の回転に基づいて演出が発現されるのであるが、これは、ギア部材20に接触可能に設けられた、後述する検出手段であるスイッチ(第1スイッチ14a,第2スイッチ14c)にてギア部材20の外周端面20eの凹凸を検出し、この検出信号に基づいて所定の演出が行われる。
【0029】
図4は、ギア部材20を表面側から見たときの斜視図である。
図4に示すように、ギア部材20の形状は、図2にも示したように平板状の円盤形状である。ギア部材20の外周端面20eには、ギア部材20を上面から見た場合、円周方向において、台形凸状の凸部20vと台形凹状の凹部20cとによる凹凸パターンが形成されている。本実施形態において、この凹凸パターンは、ギア部材20を上面から平面的に見た場合には、8個の凹凸パターンとして見ることができる。しかし、ギア部材20を厚み方向から見ると、外周端面20eは、ギア部材20の外周の側面(側壁面)における上側の領域である第1外周端面21eと下側の領域である第2外周端面22eとで構成され、第1外周端面21eの円周方向に沿って形成された凸部と凹部により第1凹凸パターン31が構成され、第2外周端面22eの円周方向に沿って形成された凸部と凹部により第2凹凸パターン32が構成される。ここでギア部材20は、厚み方向において積層方向(上下方向)に分割された上側領域と下側領域とで異なる凹凸パターンが形成されている。
【0030】
例えば、上側の第1外周端面21eにおいては、8個の凸部20vと凹部20cによって、第1凹凸パターン31が形成されている。一方、下側の第2外周端面22eにおいては、1個(図6参照)の凸部20vと凹部20c(1個の凸部以外は外周端面を略一周する凹部)とによって第2凹凸パターン32が形成されている。この第1凹凸パターン31と第2凹凸パターン32とは、それぞれ別々に検出され、制御部60(図10参照)によって、双方の凹凸パターンを総合した識別パターン30として認識する。なお、本実施形態の凹凸パターンにおいては、第1凹凸パターン31における凸部20vと第2凹凸パターン32における凸部20vとが重なることで形成される大凸部20vsが設けられている。
【0031】
図5は、ギア部材20の分解斜視図である。
図5に示すように、ギア部材20は、第1円盤部材21、第2円盤部材22及び第3円盤部材23の複数の円盤部材にて構成されている。おな、第1円盤部材21及び第2円盤部材22は、円盤部材とはいうものの、比較的大きい開口20hを有する環状の部材として形成されている。第1円盤部材21と第2円盤部材22とは、例えば、第3円盤部材23を挟むようにし、固定ビス20jにて締結される。
【0032】
第1円盤部材21において、第1外周端面21e(20e)には、前述の如く凸部20vが円周方向に等間隔に8個形成されている。したがって、凹部20cは、凸部20v間に形成され、同じく等間隔に8個形成されている。また、第1円盤部材21の開口20hを形成する内周面には、内歯車の形状をした被駆動係合部20gが設けられている。この被駆動係合部20gは、装着部11の駆動係合部11g(図2参照)と着脱可能に噛み合い係合する部分である。
【0033】
第2円盤部材22において、第2外周端面22e(20e)には、凸部20vが1つ形成されている。したがって、凹部20cは、凸部20v以外の第2外周端面22eの部分ということになる。また、第2円盤部材22においても、第1円盤部材21と同じ内歯車の形状をした被駆動係合部20gが設けられている。
【0034】
第3円盤部材23は、他の2部材に比べると薄い板部材として形成されている。そして、その表裏面には、異なる図柄が設けられており、表裏面の図柄が、第1円盤部材21及び第2円盤部材22の開口20hから見えるようになっている。
【0035】
図6は、ギア部材20裏面側から見たときの斜視図である。
図6に示すように、第2円盤部材22の凸部20vは、第1円盤部材21側の凸部20vの1つとギア部材20の厚み方向で重なる位置となっており、前述した大凸部20vsを形成している。この大凸部20vsは、ギア部材20において1個(1か所)のみ形成されていることが好ましいが、複数個(複数個所)設けられていても良い。また、第2円盤部材22側から見える図柄として、第1円盤部材21側からは、例えばアルファベットのAを描いた第1図柄Aが見え、第1円盤部材21側からは、例えばBを描いた第2図柄Bが見えるようにすることができる。これは、後述するように、ギア部材20を装着部11に装着するときに、第1図柄Aが見えるように装着した場合と、第2図柄Bが見えるように装着した場合とは、異なる識別パターン30(異なる識別情報)が検出されるのがわかりやすくなるようにしている。すなわち、後述するように、ギア部材20のA面側或いはB面側が見えるように装着することで演出出力玩具から異なる演出出力が可能であり、A面側とB面側に異なる図柄を表示することにより、A面側とB面側とで異なる識別情報を有することがわかりやすくなる。。なお、この図柄は、図示のような単純なA、Bではなく、演出出力に対応した図柄(例えばヒーローのエンブレム等)を現わすことで、ギア部材20と演出出力とを関連付けた効果的演出を可能とする。
【0036】
本実施形態では、ギア部材20の上下2層の凹凸パターンは、別部材である第1円盤部材21に形成された凹凸パターンと、第2円盤部材22に形成された凹凸パターンとによって構成される。別部材であることにより、凹凸パターンの形成が容易であるだけでなく、組み合わせる向き(角度)組み合わせる部材を変更することも自在である。例えば、同じ第1円盤部材21と第2円盤部材22を使用して、凹凸の位置関係の相違する複数のギア部材20を作成することができる。なお、図示の場合においては、第1円盤部材21の凸部20vが最大個数形成されたパターンであるので、第2円盤部材22側の凸部20vの位置を変えても変化はないが、例えば、第1円盤部材21の凸部20vが3個、第2円盤部材22側の凸部20vが4個である場合、組み合わせの角度によって、凹凸パターンが異なるものを形成することができる。
【0037】
図7は、ギア部材20の位置規制部材45を示す分解斜視図である。
ギア部材20を装着部11に装着する場合は、開閉蓋12を開いてギア部材20を落とし込むようにする。ギア部材20が図7に示すように装着された状態では、装着部11の周囲壁面11wから突出した位置規制突起45tがギア部材20の外周縁の上側に位置することでギア部材20が脱落しないように位置規制している。この位置規制突起45tは、ギア部材20を装着するときには、ギア部材20の外周縁が接触して周囲壁面11w側に入り込むように移動し、ギア部材20が完全に装着された時にはギア部材20の外周縁の上側に位置するように戻る。
【0038】
位置規制突起45tは、左右一対の位置規制部材45(右側の位置規制部材45R、左側の位置規制部材45L)の一端側に設けられている。位置規制部材45は、周囲壁面11wの外側を囲むように延出されたアーム状の部材である。そして、位置規制部材45は、回動支点部45pを支点にして揺動可能に設けられている。位置規制突起45tが設けられた側とは反対側の他端部45eには、左右両他端部45eを左右方向に押し広げるように作用する揺動バネ45sが設けられている。
【0039】
ギア部材20を装着部11から取り出すときには、例えば、ギア部材20を摘まんで引き出すのであるが、このとき、位置規制突起45tは、ギア部材20の引き出し動作に伴って外周縁が接触することで弾性移動し容易に取り出せる。また、周囲壁面11wには、装着部11の前方寄りの箇所に、例えば、二箇所に指先が進入できる程度の大きさの隙間11spが形成されており、ギア部材20の取り出しを容易にしている。
【0040】
図8は、ギア部材20が装着部11に装着された状態を示す斜視図である。
図8に示すように、ギア部材20が装着部11に装着された状態において、ギア部材20は、その下端側の被駆動係合部20gが回転テーブル11t上の凸状の駆動係合部11gに噛み合うように係合され。これにより、ギア部材20は、回転テーブル11tと共に所定の方向に回転される。装着部11には、外周端面20eに対面して検出部14の一対の第1スイッチ14a及び第2スイッチ14cが接触可能に設けられている。
【0041】
第1及び第2スイッチ14a,14cは、上下に配置されており、第1円盤部材21側の第1外周端面21eと第2円盤部材22側の第2外周端面22eの凸部20vに対して別々に接触可能である。ギア部材20が、回転テーブル11t上に保持されて回転駆動されたときに、第1スイッチ14aは上側の凸部20vに、第2スイッチ14cは下側の凸部20vにそれぞれ独立して接触して動作する。なお、ここでいう検出部14とは、検出素子としての両第1及び第2スイッチ14a,14cだけでなく、制御部60内の制御系の一部も含む。
【0042】
第1スイッチ14a及び第2スイッチ14cは、上下2つの収容室を備える収容壁部14wと、収容壁部14w内において前後方向(図中左右方向)にスライド移動するスライド部14ab,14cbと、スライド部14ab,14cb内の開口内に設けられスライド部14ab,14cbをギア部材20側に付勢するコイルバネ14as,14csと、スライド部14ab,14cbにそれぞれ対応する、例えばマイクロスイッチ等のスイッチ部14am,14cmと、を有している。そして、ギア部材20が回転し凸部20vがスライド部14ab,14cbの接触端部14ae,14ceに接触すると、スライド部14ab,14cbは、前方(図中右方向)に向かってスライド移動する。この移動によって、スライド部14ab,14cbの一端側の押圧端部14at,14ctがスイッチ部14am,14cmの一端を押し、スイッチ部14am,14cmが検出信号を発信する。
【0043】
図9は、開閉蓋12の開閉を検出する開閉検出スイッチ17の一例を示す分解斜視図である。
図9に示すように、開閉検出スイッチ17は、マイクロスイッチ等のスイッチ本体17aと、開閉蓋12に押圧されて上下方向に移動する被押圧部17cと、を備える。被押圧部17cは、スライド収容部17w内において押圧ばね17sにて上方へ付勢された状態で上下移動可能に設けられている。そして、被押圧部17cは、その下端部分17tがスイッチ本体17aの検出端17eに係合可能に設けられており、被押圧部17cの先端部分(図中上側の部分)が下方に押されたときに検出端17eを押して開閉蓋12が閉じられたことを検出する。
【0044】
また、被押圧部17cの先端部分の外周を囲む突起状の先端係止部41が設けられている。この先端係止部41の後方側(図中左側)の外面には、前方に向かって凹んだ溝状の係止フック部41fが形成されている。この係止フック部41fは、開閉蓋12の先端係合部12eと引っ掛かるように係合し、開閉蓋12の閉じ状態を維持することができる。
【0045】
開閉蓋12は、その閉じ状態では、前述の先端係止部41に係止されるが、左右の側面突起12d(図3参照)が、本体上面に設けられた左右一対の突出片42(図3参照)にも係止されている。この開閉蓋12のロック状態の解除は、玩具本体胴部10aの後方側に設けられたロック解除パーツ13の解除トリガ-13aを、下方(矢印Z方向)に押す動作(揺動)で行う。
【0046】
例えば、解除トリガ-13aの後端部を下方に押すことで、下方に押した後端部とは、回転支軸を挟んで反対側の前端部13e(図7参照)が上方に揺動する。この上方への揺動によって、前端部13eを囲むように設けられたブロック部材13b(図8参照)が本体外壁面部材(上面部分)を内側から押圧する。この内側からの押圧によって、玩具本体胴部10aの外壁上面部分が変形する。この変形に伴って、開閉蓋12を係止していた、先端係止部41および突出片42が係止解除方向に微動(左右の突出片42は突出先端側が左右に開くように動き、先端係止部41は銃前方に倒れるように動く)することで、係止状態が解除される。この解除と同時に開閉蓋12は、そのヒンジ部12bに設けられているトーションバネの付勢力によって開動される。
【0047】
図10は、図4に示すギア部材20の第1外周端面21eが上側に配置されるようにギア部材20を装着した際の演出出力玩具10の制御系を示すブロック図である。演出出力玩具10は、ギア部材20が保持する識別情報を読み取る情報読取部(本実施形態では、第1検出部として機能する第1スイッチ14a、第2検出部として機能する第2スイッチ14c)、情報読取部によって読み取られた識別情報に基づいて駆動部62を動作させる制御部60等を有する。制御部60は、記憶部61から動作データを読み出し、読み出した動作データに基づいて駆動部62を動作させることができる。
【0048】
図10において、第1スイッチ14aのオン、オフの組み合わせによってギア部材20の第1凹凸パターン31が検出され、第2スイッチ14cのオン、オフの組み合わせによって第2凹凸パターン32が検出される。本実施形態では、第1スイッチ14aによって検出された第1凹凸パターン31と、第2スイッチ14cによって検出された第2凹凸パターン32との組み合わせに基づいた識別パターン30に応じたギア部材20の識別情報により、例えば、記憶部61に記録されている動作データに関する情報を引き出すことができる。
【0049】
ここで、入力信号としては、第1スイッチ14a,第2スイッチ14cが凸部20vを検出した時(第1スイッチ14a,第2スイッチ14cがオンになった時)を、例えば、それぞれ「1」として認識し、凸部20vを検出しない(凹部20c)時(第1スイッチ14a,第2スイッチ14cがオフの時)をそれぞれ「0」と認識する。そして、第1スイッチ14aと第2スイッチ14cの両方がいずれも凸部20vと接触している状態(大凸部20vsに第1及び第2両スイッチ14a,14cが接触してオンになっている状態)を起点として識別を開始する。すなわち、検出信号において、「1,1」となった時を、識別情報のID読取りのスタートビット(認識のスタート)とする。
【0050】
また、ID読取りの終了のタイミングは、例えば、2回目の「1,1」を読み取った時とすることができる。なお、ID読取りの終了タイミングとしては、3回目以降の「1,1」を読み取った時や、図示のギア部材20にあっては、8回目の「0,0」を読み取った時(ギア部材20が一回転したことを示す情報)を終了タイミングとしても良い。本実施形態では、開閉蓋12の開閉検出スイッチ17がIDのリセットスイッチとして機能し、ギア部材20が何回回転しても、開閉蓋12が開かれるまでは、同じIDとして認識される。
【0051】
ここで、装着部11に装着されたギア部材20の表裏面を入れ替えて装着した場合(ギア部材20の第2外周端面22eが上側に配置されるようにギア部材20を装着した場合)には、第1スイッチ14aのオン、オフの組み合わせによってギア部材20の第2凹凸パターン32が検出され、第2スイッチ14cのオン、オフの組み合わせによって第1凹凸パターン31が検出される。よって、ギア部材20の表裏面(A面側が上になる場合と、B面側が上になる場合)では、第1及び第2スイッチ14a,14cで検出される凹凸パターンが逆転し、識別パターン30としては異なる組み合わせ(異なる識別情報)として判定され、同じギア部材20であっても異なる演出が出力される。
【0052】
演出出力の種類は、記憶部61に記録されており、判定された識別パターン30に応じた識別情報を検出部14(第1及び第2両スイッチ14a,14c、及び制御部60の一部を含む)に基づき駆動部63を介して出力部65から演出が出力される。なお、出力部65は、スピーカ等の音出力部70やLED等による光出力部80を備えており、これらを適宜組み合わせて作動させる。また、制御部60には、電源スイッチ15、銃の引き金であるトリガーボタン16、更には、開閉蓋12の開閉検出スイッチ17が接続されており、これらのスイッチング操作によって所定の演出がなされる。
【0053】
図11は、演出出力玩具10の内部構造を示す側面図である。図12は、操作ハンドル18の操作により回転駆動される部分の斜視図である。
装着部11の回転は、本体外部に設けられ回転軸心CL1を中心に回転操作する操作ハンドル18にて行われる。これは、図11及び図12に示すように、操作ハンドル18と装着部11を連結する複数の連結ギア部28によって達成される。回転テーブル11tの駆動は、例えば、操作ハンドル18と同軸の第1ギア部28a、第1ギア部28aに噛み合う第2ギア部28b、第2ギア部28bと同軸で一体の第3ギア部28c、第3ギア部28cに噛み合う第4ギア部28d、第4ギア部28dと同軸で一体の第5ギア部28e、第5ギア部28eと噛合い回転テーブル11tと同軸で一体の第6ギア部28f、を介して行われる。
【0054】
ここで、第5ギア部28eと第6ギア部28fとは、図12に示すように、笠歯歯車にて構成されている。これにより、回転テーブル11tの回転は、操作ハンドル18の回転軸心CL1に対して上下方向に直交する回転軸心CL2とすることができる。また、このように複数個の歯車を組み合わせることで、操作ハンドル18の回転時の重さを所定に設定して、操作ハンドル18の回転操作感を出すことができる。また、操作ハンドル18の回転数と回転テーブル11tの回転数との設定もし易い。
【0055】
また、銃身部19は、玩具本体胴部10aに、回転軸心CL3を中心にして回転可能な回転部位として構成されている。銃身部19の駆動は、例えば、第1ギア部28aに噛み合う第7ギア部28g、第7ギア部28gと同軸で一体の第8ギア部28h、第8ギア部28hと噛合い銃身部19と同軸で一体の第9ギア部28i、を介して行われる。ここで、第8ギア部28hと第9ギア部28iとが笠歯歯車にて構成されていることで、回転軸心CL3の回転は、操作ハンドル18の回転軸心CL1に対して前後方向で直交している。
【0056】
図13は、操作ハンドル18の取付け部分の分解斜視図である。
図13に示すように、操作ハンドル18は、玩具本体胴部10a側のハンドル取付部28tに対して着脱可能に構成されている。操作ハンドル18は、回転軸心CL1に一致するように取付ける取付部18tと、回転軸心CL1に対して直交する方向に延出されるアーム部18mと、アーム部18mの先端に回転自在に設けられる把持部18gと、を備えている。ハンドル取付部28tは、第1ギア部28a側の第1回転部28kと、取付部18tに係合する第2回転部28jと、を有している。なお、第2回転部28jには、係合突起28jjが設けられており、取付部18tの端面18eと係合して回転力が伝達できるようになっている。
【0057】
第1回転部28kと第2回転部28jとは、ラチェット係合部28pによって一方向の回転のみ係合して回転力が伝達できるように構成されている。この構成では、第1回転部28kと第2回転部28jは同じ回転軸上に設けられている。そして、例えば、第1回転部28kは、第1ギア部28aに対して一体的に回転可能に設けられ且つ回転軸心CL1に沿ってスライド可能(矢印X方向)に設けられている。更に、第1回転部28kは、第1ギア部28aから遠ざかる方向(第2回転部28jに押し付けられる方向)にコイルばね(不図示)にて付勢されている。
【0058】
また、ラチェット係合部28pは、例えば、玩具本体胴部10aを右方向から見た場合、時計回りの方向(矢印C方向)においては、第1回転部28kと第2回転部28jとが一体的に回転するよう機能する。一方、反対に反時計回りの方向(矢印D方向)においては、両回転部28k,28j間の傾斜面係合によってラチェット係合部28pはその噛合いが外れて第2回転部28jが空転するように機能する。これにより、回転テーブル11t及び銃身部19は、一方向のみに回転可能となる。
【0059】
以下、演出出力玩具10の遊び方の一例について説明する。
演出出力玩具10の遊ぶときは、先ず、電源スイッチ15をオンにする。これにより起動音が演出される。なお、起動音による演出が行われているときは、例えば、トリガーボタン16の操作は無効にし、トリガーボタン16の操作をしても演出出力を発現しない。
その後、ギア部材20を装填(装着)しない状態でトリガーボタン16を操作すると、例えば、攻撃音等を発現する。
【0060】
ギア部材20を装填する場合について説明する。この場合、先ず、開閉蓋12を開く。これにより、開き音(開閉検出スイッチ17により検出)が発現される。そして、ギア部材20を、例えば、A面を表側にして装填して開閉蓋12を閉じると、例えば、この開閉蓋12を閉じたことを検出(開閉検出スイッチ17により検出)し、ギア部材20を装填したことを現わすギア装填音を発現する。その後、装填したギア部材20を回転させるべく操作ハンドル18を回転操作する。これにより、ギア回転待機音を発現する。操作ハンドル18を回転操作によって、銃身部19も回転する。ギア回転待機音は、回転操作が開始されたことを、例えば、第1スイッチ14a、第2スイッチ14cを用いて検出して発現が開始される。ギア回転待機音が所定時間発現された後、ギア部材20を検出したことを現わすギア検出音が発現される。
【0061】
ギア部材20の回転動作に伴い、凹凸パターン(識別パターン30)によって第1スイッチ14a、第2スイッチ14cがオン、オフされ、第1スイッチ14a、第2スイッチ14cのオン、オフの組み合わせに基づき、識別パターン30が認識されギア部材20のID(識別情報)が検出される。
【0062】
ギア部材20のIDが検出された後は、そのIDに対応する演出を発現する。例えば、トリガーボタン16を短押し(押して直ぐ離す)操作をしたときは、例えば、ヒーローによる攻撃音を発現する。一方、トリガーボタン16を長押した状態においては、例えば、特別に強力な攻撃であるチャージ攻撃に入り、更に、チャージ攻撃中から最大チャージ攻撃、を所定時間発現される。ここで、操作ハンドル18を回すと、銃身部19の回転と共にガトリング音(ガトリング銃の銃撃音)を発現する。
【0063】
また、このギア部材20は、ヒーロー毎に異なる多種多様の凹凸パターンが設けられており、違うヒーローのギア部材20を装填して、それぞれのヒーロー毎に異なる演出で遊ぶことができる。また、ギア部材20の色彩や図柄は、ヒーロー毎に異なるエンブレムなどで区別されており、これによってその変化を楽しめる。
【0064】
また、ギア部材20を、A面とは反対にB面を上にして装填した場合は、第1スイッチ14a、第2スイッチ14cによって、A面を上にしたときとは異なるIDが検出される。同じギア部材20でも異なる演出を発現することができる。要するに、用意されたギア部材20の数の2倍の数の演出を楽しむことができる。
【0065】
以上述べたように、本実施形態の演出出力玩具10によれば、識別パターン30を有するギア部材20は、表裏面を変えて装着されることで、検出部14にて読み取られる識別パターン30に基づく識別情報を変更することができるので、1つのギア部材20に基づいて複数の演出出力が可能になる。
【0066】
また、本実施形態の演出出力玩具10によれば、ギア部材20が平板であることで、ギア部材20の省スペース化ができ、更に表裏面の区別を、例えば表裏面A,Bの図柄を変えるなどの変化で表裏の認識をし易くできる。また、識別パターン30が平板の外周端面20eに形成された凹凸パターンにて形成されていることで、ギア部材20における最大長さの領域を凹凸パターンの形成領域として利用することができる。この結果、凹凸パターンの大きさを大きくでき且つ形成数も多くできる。また、平板のギア部材20において、凹凸パターンが外周端面20eに設けられているので、ギア部材20の表裏面A,Bに目視しやすい情報を表示(図柄、エンブレム)することができる。また、ギア部材20は、凹凸によるギア形状を外観とするメカニカルな形状を演出することができる。
【0067】
また、本実施形態の演出出力玩具10では、ギア部材20は、円盤状に構成されているので、回転使用することが容易になる。この結果、凹凸パターンの識別情報の読取りを、ギア部材20の回転を利用することができ、情報の読取りが容易である。
【0068】
本実施形態の演出出力玩具10では、ギア部材20は、凹凸パターンがギア部材20の厚み方向に複数層設けられているので、より多くのパターンを形成することができる。
【0069】
また、本実施形態の演出出力玩具10では、ギア部材20は、複数の円盤部材(第1円盤部材21及び第2円盤部材22)の重ね合わせになっているので、凹凸パターンを円盤部材毎に形成でき、凹凸パターンを形成し易い。また、積層する第1円盤部材21と第2円盤部材22との組み合わせが同じであっても、両円盤部材の円周方向の相対角度を変え組み合わせることで、全体として異なった識別パターン30を備えるギア部材20とすることが可能である。
【0070】
本実施形態の演出出力玩具10では、複数層に形成された各凹凸パターンにおいて、凸部20vが重なる箇所を1箇所とすることで、凹凸パターンの読取りのスタート位置にすることができる。例えば、凸部20vに接触する接触型の第1及び第2スイッチ14a,14cを備える場合、ギア部材20の回転に時に全てのスイッチ(第1及び第2スイッチ14a,14c)が同位置の凸部20vによってオン操作され、このオン操作をパターン配列の読取りの起点にすることで、パターン配列の読取り、解析が容易になる。また、凸部20vが重なる1箇所を、凹凸パターンの読取りの終了位置にすることができる。この結果、ID読取りの起点と終了が明確になり、より確実な読取りができる。
【0071】
また、本実施形態の演出出力玩具10では、演出出力玩具10に設けられた操作ハンドル18と装着部11とは連結ギア部28を介して回転駆動力が伝達される。これにより、操作ハンドル18の回転面と装着部11の回転面との向きは任意に設定でき、操作ハンドル18と装着部11との向きや位置関係の自由度を増すことができる。また、連結ギア部28を利用して、操作ハンドル18の回転操作とギア部材20の回転比を自在に設定できるので、操作ハンドル18の回転抵抗等の設定ができ、操作ハンドル18の回転操作感を演出することができる。
【0072】
本実施形態の演出出力玩具10では、装着部11は、ギア部材20の表裏面(A面側、B面側)に係合する駆動係合部11gを備えているので、ギア部材20は、外周端面20eを駆動用部位に使用しなくて済み、外周端面20eの全面を凹凸パターンの形成領域として利用することができる。また、ギア部材20の被駆動係合部20gは、表裏面において内歯状の凹凸形状であることから、外周端面20eの凹凸パターンと合わせてギア部材20の機械的な形状の演出ができる。
【0073】
また、本実施形態の演出出力玩具10では、連結ギア部28は、装着部11の回転と共に銃身部19を連動回転させることができる。これにより、ギア部材20の回転と同時に銃身部19によって回転演出ができ、多様な演出ができる。
【0074】
本実施形態の演出出力玩具10では、ギア部材20が装着された状態において、ギア部材20の外周端面20eとこの外周端面20eに対面する周囲壁面11wとの間隔が、所定以上の大きさの隙間11spを備えているので、例えば、隙間11spに指先を進入でき、ギア部材20を装着部11から取り外す際の操作性を良くすることができる。
【0075】
また、本実施形態の演出出力玩具10では、操作ハンドル18は、装着部11を一方向のみ回転可能に構成されているので、ギア部材20の凹凸パターンの読み取る向きが確定される。この結果、識別パターン30の誤読取りを回避できる。
【0076】
また、図14は、図4とは異なるバリエーションのギア部材20を表面側から見たときの斜視図である。図14に示すように、ギア部材20は、外周は略円形であり、平板状の円盤形状を有している。なお、ギア部材20の形状は、これに限られることはなく、長方形等の多角形であっても良いし、上面や下面が膨らんだ形状であっても良い。
【0077】
ギア部材20の外周端面20eは、ギア部材20の識別情報を構成する凹部と凸部が形成される領域であり、ここでは円周方向に沿って台形凸状の凸部20vと台形凹状の凹部20cとによる凹凸パターンが形成されている。図14では、ギア部材20の外周端面20eは、横(厚み方向)から見て上側と下側の2段の領域に分かれており、上側領域の第1外周端面21eと下側領域の第2外周端面22eとで構成されている。そして、第1外周端面21eに形成される凹部、凸部と、第2外周端面22eに形成される凹部、凸部とは、それぞれ独立して形成されている。つまり、第1外周端面21eの円周方向に沿って形成された凸部と凹部により第1凹凸パターン31が構成され、第2外周端面22eの円周方向に沿って形成された凸部と凹部により第2凹凸パターン32が構成される。図14では、ギア部材20は、厚み方向において異なる凹凸パターンが形成されている。なお、図14では、外周端面20eは、上側と下側の2段の領域が形成される例を示しているが、これに限られることはなく、1段のみでも良いし、3段以上の領域が設けられていても良い。また、第1外周端面21eに形成される凹部、凸部と、第2外周端面22eに形成される凹部、凸部は、別々の部材で形成されているが、これに限られることはなく、第1円盤部材21と第2円盤部材22とが一体化したような一つの部材で一体的に凹凸部を形成するようにしてもよい。
【0078】
例えば、上側の第1外周端面21eにおいては、4個の凸部20vと凹部20cによって、第1凹凸パターン31が形成されている。一方、下側の第2外周端面22eにおいては、5個の凸部20vと凹部20cとによって第2凹凸パターン32が形成されている。この第1凹凸パターン31と第2凹凸パターン32とは、それぞれ別々に検出され、制御部60(図10参照)によって、双方の凹凸パターンを総合した識別パターン30として認識する。なお、本実施形態の凹凸パターンにおいては、第1凹凸パターン31における凸部20vと第2凹凸パターン32における凸部20vとが重なることで形成される大凸部20vsが設けられている。
【0079】
また、第1凹凸パターン31における凸部20vと第2凹凸パターン32とで構成される凹凸パターンにおいては(ギア部材20を上面から平面的に見た場合)、凹部と凸部が交互に現れるようになっている。例えば図14では、上側の第1外周端面21eにおいて、2つの凹部20cの間の一部に凸部が形成されない領域20vkが設けられ、下側の第2外周端面22eの該領域20vkに対応する位置には凸部20vが設けられている。また、下側の第2外周端面22eにおいても、2つの凹部20cの間の一部に凸部が形成されない領域20vkが設けられ、上側の第1外周端面21eの該領域20vkに対応する位置には凸部20vが設けられている。このように2つの凹部20cの間は、上側の第1外周端面21eまたは下側の第2外周端面22eのいずれかには、凸部20vが形成されており、本実施形態では、第1凹凸パターン31、第2凹凸パターン32をそれぞれ16ビットの信号として検出することができる。このように上側の第1外周端面21eまたは下側の第2外周端面22eのいずれかの凹部20cの間に必ず凸部20vが形成されていることにより、第1凹凸パターン31またはパターン32で構成される識別パターン30を間違いなく認識することができる。
【0080】
図15は、図14に示すギア部材20の分解斜視図である。図15に示すように、ギア部材20は、第1円盤部材21、第2円盤部材22及び第3円盤部材23の複数の円盤部材にて構成されている。おな、第1円盤部材21及び第2円盤部材22は、円盤部材とはいうものの、比較的大きい開口20hを有する環状の部材として形成されている。第1円盤部材21と第2円盤部材22とは、例えば、第3円盤部材23を挟むようにし、固定ビス20jにて締結される。
【0081】
第1円盤部材21において、第1外周端面21e(20e)には、凸部20vが円周方向に4か所と凸部が形成されない領域20vkが4か所形成されている。また凹部20cは、凸部20vまたは領域20vkの間に形成され、等間隔に8か所形成されている。また、第1円盤部材21の開口20hを形成する内周面には、内歯車の形状をした被駆動係合部20gが設けられている。この被駆動係合部20gは、装着部11の駆動係合部11g(図2参照)と着脱可能に噛み合い係合する部分である。
【0082】
第2円盤部材22において、第2外周端面22e(20e)には、凸部20vが5か所と凸部が形成されない領域20vkが3か所形成されている。また凹部20cは、凸部20vまたは領域20vkの間に形成され、等間隔に8か所形成されている。また、第2円盤部材22においても、第1円盤部材21と同じ内歯車の形状をした被駆動係合部20gが設けられている。
【0083】
第3円盤部材23は、他の2部材に比べると薄い板部材として形成されている。そして、その表裏面には、異なる図柄が設けられており、表裏面の図柄が、第1円盤部材21及び第2円盤部材22の開口20hから見えるようになっている。
【0084】
図16は、図14に示すギア部材20裏面側から見たときの斜視図である。 図16に示すように、第2円盤部材22の凸部20vは、第1円盤部材21側の凸部20vの1つとギア部材20の厚み方向で重なる位置となっており、前述した大凸部20vsを形成している。この大凸部20vsは、ギア部材20において1個(1か所)のみ形成されていることが好ましいが、複数個(複数個所)設けられていても良い。
【0085】
また、第2円盤部材22側から見える図柄として、第1円盤部材21側からは、例えばアルファベットのCを描いた第1図柄Cが見え、第1円盤部材21側からは、アルファベットのDを描いた第2図柄Dが見えるようにすることができる。このように表示を変えることでギア部材20を装着部11に装着するときに、第1図柄Cが見えるように装着した場合と、第2図柄Dが見えるように装着した場合とは、異なる識別パターン30(異なる識別情報)であることがわかりやすくなる。すなわち、C面側或いはD面側が見えるように装着することで異なる演出出力が可能であることがわかりやすくなる。なお、この図柄は、図示のような単純なC、Dではなく、演出出力に対応した図柄(例えばヒーローのエンブレム等)を現わすことで、ギア部材20と演出出力とを関連付けた効果的演出を可能とする。
【0086】
図14~16に示すギア部材20は、ギア部材20の中心から大凸部20vsに引いた線分に対して左右の領域で凹部と凸部が同じ配置で形成され、左右対称に凸部20v(領域20vk)が形成されている。このように凸部20v(凹部20c)が左右対称に形成されている場合には、演出出力玩具から特別な演出が出力されるようにしても良く、より多彩な演出が可能となる。
【0087】
また、図14~16に示すギア部材20の第1外周端面21e(20e)において、大凸部20vsに向かい合う対向した位置に、凸部20vが設けられ、第2外周端面22e(20e)には、凸部が形成されない領域20vkが形成されている。凸部20v(凹部20c)が左右対称に形成されている場合に、大凸部20vsに対向する位置に凸部20vおよび領域20vkを設けることにより、演出出力玩具でギア部材20の識別情報を検出する際、C面側が上に配置されているかD面側が上に配置されているかで第1スイッチ14aまたは第2スイッチ14cのいずれがオンされるかが変わる。よって、C面側が上に配置されているかD面側が上に配置されているかを識別することができ、更なる特別演出が出力されるようにできる。なお、本実施形態では、大凸部20vsに対向する位置に凸部20vおよび領域20vkを設ける配置にしているが、これに限定されることはなく、適宜設定可能であり、好ましくは凸部20v、領域20vkまたは凹部20cで構成される凹凸パターンの中間位置(中間ビット)の位置に設けると良い。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、ギア部材20の凹凸の検出手段は、上記実施形態の接触型のスイッチ(第1スイッチ14a、第2スイッチ14c)でなく非接触の検出センサであっても良い。
【0089】
また、上記実施形態においては、ギア部材20における第1外周端面21eの凸部20vを8個または4個とし、第2外周端面22eの凸部20vを1個または5個としたが、これに限定されるものではなく、凹凸の数は適宜に変更することができる。
【0090】
また、上記実施形態においては、ギア部材20は、凹凸パターンの形成を厚み方向に上下2層としたが、更に多くした3層以上の複数であっても良いし、1層のみであっても良い。
【0091】
上記実施形態においては、ギア部材20の第1円盤部材21と第2円盤部材22は、環状部材にて構成されたが、必ずしも環状部材でなくても良い。
【0092】
また、上記実施形態においては、ギア部材20の回転方向は、一方向のみとしたが、逆回転もさせるようにしても良い。
【0093】
また、上記実施形態においては、開閉蓋12は、装着されたギア部材20が見えるように光透過性(透明或いは半透明)の部材にて構成しても良い。この場合、ギア部材20の回転動作を見ることができ、演出効果を高めることができる。
【0094】
上記実施形態においては、操作ハンドル18を着脱可能な構造としたが、この構成に限るものではない。例えば、アーム部18mにヒンジ構造を設けて折り畳み可能な構成としても良い。この場合、玩具本体胴部10aの外面には、アーム部18m及び把持部18gを収容できる窪み部を設ける構成とすることで、この窪み部にアーム部18m及び把持部18gを収容できるようにしても良い。
【符号の説明】
【0095】
10 演出出力玩具
11 装着部(副玩具体装着部)
11g 駆動係合部
11w 周囲壁面
14 検出部
14a 第1スイッチ(スイッチ)
14c 第2スイッチ(スイッチ)
18 操作ハンドル
19 銃身部(回転部位)
20g 被駆動係合部
20 ギア部材(副玩具体)
20c 凹部
20e 外周端面
20v 凸部
21 第1円盤部材(円盤部材)
21e 第1外周端面
22 第2円盤部材(円盤部材)
22e 第2外周端面
23 第3円盤部材(円盤部材)
28 連結ギア部
30 識別パターン
65 出力部
70 音出力部(出力部)
80 光出力部(出力部)
【要約】
【課題】興趣性の高い演出出力玩具を提供する。
【解決手段】識別パターン30の形成された副玩具体20が表裏を変えて装着可能に構成された副玩具体装着部11と、副玩具体装着部11に装着された副玩具体20から識別パターン30に応じた識別情報を検出する検出部と、検出部により検出された識別情報に基づく演出を出力する出力部65と、を備え、副玩具体装着部11に装着された副玩具体20の表裏が変わることで、検出部により検出される識別情報が変更される、演出出力玩具10。
【選択図】図10
図1
図2
図3
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図16