(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】飛行管理装置及び飛行管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20220111BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20220111BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2021079200
(22)【出願日】2021-05-07
(62)【分割の表示】P 2021000738の分割
【原出願日】2021-01-06
【審査請求日】2021-05-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】松木 友明
(72)【発明者】
【氏名】立岩 正之
(72)【発明者】
【氏名】川名 弘志
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-105591(JP,A)
【文献】特開2019-071612(JP,A)
【文献】特開2020-076787(JP,A)
【文献】国際公開第2020/020460(WO,A1)
【文献】特開2017-147718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行装置を飛行させるユーザを識別するためのユーザ識別情報と、
前記飛行装置が飛行する予定の飛行経路又は飛行範囲と、前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行する予定の飛行予定期間と、を含む飛行予定情報を受信する受信部と、
前記ユーザ識別情報に基づいて、前記飛行装置が使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定するキャリア特定部と、
前記キャリア特定部が特定した前記通信キャリア
が提供する前記通信サービスの通信エリアに前記飛行経路又は前記飛行範囲
が含まれているか否かと、前記飛行予定期間と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定する判定部と、
を有する、飛行管理装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記飛行予定情報に従って前記飛行装置が飛行するための予約要求を受信し、
前記受信部が前記予約要求を受信した場合に、前記飛行予定情報と、前記飛行装置を示す情報と、前記通信キャリアを示す通信キャリア情報と、を関連付けて記憶部に記憶させる予約管理部をさらに有する、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前
記通信エリアに前記飛行経路又は前記飛行範囲が含まれている場合に前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行できると判定し、前記通信エリアに前記飛行経路又は前記飛行範囲が含まれていない場合に前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行できないと判定する、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項4】
前記キャリア特定部が複数の前記通信キャリアを特定した場合に、前記判定部は、複数の前記通信キャリアそれぞれに対して、当該通信キャリアと、前記飛行経路又は前記飛行範囲と、前記飛行予定期間と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の飛行管理装置。
【請求項5】
前記キャリア特定部が複数の前記通信キャリアを特定した場合に、前記判定部は、複数の前記通信キャリアのうち2つ以上の前記通信キャリアの組み合わせと、前記飛行経路又は前記飛行範囲と、前記飛行予定期間と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の飛行管理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記通信エリアに前記飛行経路又は前記飛行範囲が含まれているか否かと、前記飛行予定期間において前記飛行装置が通信する基地局と通信する他の飛行装置の台数と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の飛行管理装置。
【請求項7】
前記受信部は、前記ユーザが使用するユーザ端末から、
前記ユーザが前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行
させる予定の複数の前記飛行装置の機体数を含む前記飛行予定情報を受信し、
前記機体数に対応する複数の前記飛行装置であって、前記判定部が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行できると判定した複数の前記飛行装置を示す情報を、前記ユーザ端末に送信する送信部をさらに有する、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の飛行管理装置。
【請求項8】
前記受信部は、前記ユーザが使用するユーザ端末から、
前記ユーザが前記飛行装置を飛行させるための複数の前記飛行経路又は前記飛行範囲を含む前記飛行予定情報を受信し、
複数の前記飛行経路又は前記飛行範囲それぞれに対して、前記判定部が当該飛行経路又は当該飛行範囲を飛行できると判定した前記飛行装置を示す情報を、前記ユーザ端末に送信する送信部をさらに有する、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の飛行管理装置。
【請求項9】
前記受信部は、前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲において行う作業内容を含む前記飛行予定情報を受信し、
前記判定部は、前記通信キャリアと、前記飛行経路又は前記飛行範囲と、前記飛行予定期間と、に加えて、前記作業内容に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定する、
請求項1から
8のいずれか一項に記載の飛行管理装置。
【請求項10】
プロセッサが実行する、
飛行装置を飛行させるユーザを識別するためのユーザ識別情報と、
前記飛行装置が飛行する予定の飛行経路又は飛行範囲と、前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行する予定の飛行予定期間と、を含む飛行予定情報を受信するステップと、
前記ユーザ識別情報に基づいて、前記飛行装置が通信に使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定するステップと、
前記特定するステップで特定された前記通信キャリア
が提供する前記通信サービスの通信エリアに前記飛行経路又は前記飛行範囲
が含まれているか否かと、前記飛行予定期間と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定するステップと、
を有する、飛行管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行装置の飛行に関する情報を管理するための飛行管理装置及び飛行管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドローン等の飛行装置を飛行させるエリア及び飛行の目的の入力を受け付け、受け付けたエリア及び目的に応じて飛行経路を作成し、作成した飛行経路に従って飛行装置の飛行を制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広域においてドローンの飛行を制御するために、移動体通信網等の所定の電波を用いて通信をするドローンの利用が検討されている。一方、通信サービスを提供する通信キャリア(通信事業者)ごとに電波を用いて通信可能なエリアが異なるため、ドローンが飛行する場所によっては飛行中に通信が切断されたり、通信が不安定になったりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが指定した飛行経路又は飛行範囲において、飛行装置が通信キャリアの提供する通信サービスを用いて安定的に通信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の飛行管理装置は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、飛行装置が飛行する予定の飛行経路又は飛行範囲と、前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行する予定の飛行予定期間と、を含む飛行予定情報を受信する受信部と、前記ユーザ識別情報に基づいて、前記飛行装置が使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定するキャリア特定部と、前記通信キャリアと、前記飛行経路又は前記飛行範囲と、前記飛行予定期間と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定する判定部と、を有する。
【0007】
前記受信部は、前記飛行予定情報に従って前記飛行装置が飛行するための予約要求を受信し、前記飛行管理装置は、前記受信部が前記予約要求を受信した場合に、前記飛行予定情報と、前記飛行装置を示す情報と、前記通信キャリアを示す通信キャリア情報と、を関連付けて記憶部に記憶させる予約管理部をさらに有してもよい。
【0008】
前記判定部は、前記通信サービスの通信エリアに前記飛行経路又は前記飛行範囲が含まれている場合に前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行できると判定し、前記通信エリアに前記飛行経路又は前記飛行範囲が含まれていない場合に前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行できないと判定してもよい。
【0009】
前記キャリア特定部が複数の前記通信キャリアを特定した場合に、前記判定部は、複数の前記通信キャリアそれぞれに対して、当該通信キャリアと、前記飛行経路又は前記飛行範囲と、前記飛行予定期間と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定してもよい。
【0010】
前記キャリア特定部が複数の前記通信キャリアを特定した場合に、前記判定部は、複数の前記通信キャリアのうち2つ以上の前記通信キャリアの組み合わせと、前記飛行経路又は前記飛行範囲と、前記飛行予定期間と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定してもよい。
【0011】
前記受信部は、前記ユーザが使用するユーザ端末から、前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行する予定の複数の前記飛行装置の機体数を含む前記飛行予定情報を受信し、前記飛行管理装置は、前記機体数に対応する複数の前記飛行装置であって、前記判定部が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行できると判定した複数の前記飛行装置を示す情報を、前記ユーザ端末に送信する送信部をさらに有してもよい。
【0012】
前記受信部は、前記ユーザが使用するユーザ端末から、複数の前記飛行経路又は前記飛行範囲を含む前記飛行予定情報を受信し、前記飛行管理装置は、複数の前記飛行経路又は前記飛行範囲それぞれに対して、前記判定部が当該飛行経路又は当該飛行範囲を飛行できると判定した前記飛行装置を示す情報を、前記ユーザ端末に送信する送信部をさらに有してもよい。
【0013】
前記受信部は、前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲において行う作業内容を含む前記飛行予定情報を受信し、前記判定部は、前記通信キャリアと、前記飛行経路又は前記飛行範囲と、前記飛行予定期間と、に加えて、前記作業内容に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の飛行管理方法は、プロセッサが実行する、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、飛行装置が飛行する予定の飛行経路又は飛行範囲と、前記飛行装置が前記飛行経路又は前記飛行範囲を飛行する予定の飛行予定期間と、を含む飛行予定情報を受信するステップと、前記ユーザ識別情報に基づいて、前記飛行装置が通信に使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定するステップと、前記通信キャリアと、前記飛行経路又は前記飛行範囲と、前記飛行予定期間と、に基づいて、前記飛行装置が飛行できるか否かを判定するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザが指定した飛行経路又は飛行範囲において、飛行装置が通信キャリアの提供する通信サービスを用いて安定的に通信できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る飛行管理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る飛行管理装置のブロック図である。
【
図3】ユーザ端末において飛行予定情報の入力を受け付けるための飛行予定画面の模式図である。
【
図4】例示的な機体情報及び通信キャリア情報の模式図である。
【
図5】判定部が通信キャリアに基づいて飛行装置の通信可否を判定する方法を説明するための模式図である。
【
図6】判定部が複数の通信キャリアの組み合わせに基づいて飛行装置の通信可否を判定する方法を説明するための模式図である。
【
図7】飛行管理システムが実行する飛行管理方法のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[飛行管理システムの概要]
図1は、本実施形態に係る飛行管理システムの模式図である。飛行管理システムは、飛行管理装置1と、ユーザ端末2と、飛行装置3と、を含む。飛行管理システムは、その他の端末、装置等を含んでもよい。
【0018】
飛行管理装置1は、ユーザ端末2から飛行装置3の飛行に関する飛行予定情報を受信し、飛行装置が飛行中に通信キャリアの提供する通信サービスを使用して通信できるか否かを判定するコンピュータである。飛行管理装置1は、単一の装置、又は複数の装置である。また、飛行管理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウド上で動作する一又は複数の仮想的なサーバであってもよい。
【0019】
ユーザ端末2は、ユーザが使用するコンピュータである。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末である。ユーザは、例えば、飛行装置3を操縦し、管理し、又は所有する人である。ユーザ端末2は、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作部と、を有する。ユーザ端末2は、通信によって飛行管理装置1との間で情報を送受信する。
【0020】
飛行装置3は、ユーザによって指定された飛行経路又は飛行範囲を飛行し、所定の作業を行うドローン等の無人飛行装置である。飛行装置3が行う作業は、例えば、飛行経路又は飛行範囲における物の輸送、飛行経路又は飛行範囲周辺の撮像、飛行経路又は飛行範囲における物(農薬等)の放出、飛行経路又は飛行範囲における情報(音声、光等)の出力等である。飛行装置3は、飛行中に、通信キャリア(通信事業者ともいう)が提供する通信サービスを用いて通信をする。
【0021】
本実施形態に係る飛行管理装置1が実行する処理の概要を以下に説明する。飛行管理装置1は、ユーザ端末2から、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、飛行装置3が飛行する予定の飛行経路又は飛行範囲と、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行する予定の飛行予定期間と、を含む飛行予定情報を受信する(
図1の(1))。
【0022】
飛行管理装置1は、受信したユーザ識別情報に関連付けられた、ユーザが飛行させることのできる飛行装置3に関する機体情報を特定する(
図1の(2))。機体情報は、例えば、ユーザ識別情報と、飛行装置3の機体を識別するための機体識別情報と、飛行装置3が備える通信設備であるSIM(Subscriber Identity Module)を示すSIM情報と、を含む。
【0023】
飛行管理装置1は、特定した機体情報に基づいて、飛行装置3が使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定する(
図1の(3))。飛行管理装置1は、特定した通信キャリアと、受信した飛行経路又は飛行範囲と、に基づいて、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に当該通信キャリアの通信サービスを用いて通信できるか否かを判定する(
図1の(4))。飛行管理装置1は、例えば、飛行経路又は飛行範囲の少なくとも一部が当該通信キャリアの通信サービスの通信エリアに含まれていない場合に、通信できないと判定してもよい。また、飛行管理装置1は、例えば、飛行経路又は飛行範囲の少なくとも一部において当該通信キャリアの通信サービスを用いた通信の通信品質を示す値が所定の基準値以下である場合(電波が弱い場合や電波の干渉がある場合等)に、通信できないと判定してもよい。
【0024】
飛行管理装置1は、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信できるか否かの判定結果をユーザ端末2に送信する(
図1の(5))。また、飛行管理装置1は、飛行装置3が当該通信キャリアの通信サービスを用いて飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定したことを条件として、特定した機体情報に対応する飛行装置3に、飛行装置3を飛行経路又は飛行範囲において飛行させるための飛行情報を送信する(
図1の(6))。飛行装置3は、飛行経路又は飛行範囲において飛行中に、飛行管理装置1が特定した通信キャリアの通信サービスを用いて通信をする。
【0025】
このように本実施形態に係る飛行管理装置1は、飛行装置3が使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定し、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に当該通信キャリアの通信サービスを用いて通信できるか否かを判定し、判定結果をユーザ端末2に送信する。ユーザは、ユーザ端末2において判定結果を参照した上で、実際に飛行装置3を飛行させるかどうかを決めることができる。したがって、飛行管理装置1は、ユーザが指定した飛行経路又は飛行範囲において、飛行装置3を、通信キャリアの提供する通信サービスを用いて安定的に通信させることができる。
【0026】
[飛行管理装置1の構成]
図2は、本実施形態に係る飛行管理装置1のブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0027】
飛行管理装置1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部11は、ユーザが飛行させる飛行装置3に関する機体情報と、飛行装置3が使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアに関する通信キャリア情報と、通信キャリアが提供する通信サービスを用いて通信可能な通信エリアを示す通信エリア情報と、飛行装置3の予約状況に関する予約情報と、を記憶する。
【0028】
通信エリア情報は、シミュレータによって推定された通信エリアを含んでもよく、飛行装置が実際に飛行することによって測定された通信品質情報をもとに作成された通信エリアを含んでもよく、これらを組み合わせた通信エリアを含んでもよい。また、通信エリア情報は、一又は複数の通信キャリアそれぞれの各地点における通信品質の値(例えば、SNR(信号対雑音比)又は電波強度)を含んでもよい。
【0029】
制御部12は、受信部121と、機体特定部122と、キャリア特定部123と、判定部124と、送信部125と、予約管理部126と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部121、機体特定部122、キャリア特定部123、判定部124、送信部125及び予約管理部126として機能する。制御部12の各部は、飛行管理装置1を構成する複数の装置に分かれて実装されてもよい。
【0030】
飛行管理装置1が本実施形態に係る処理を実行するための構成を以下に説明する。受信部121は、ユーザ端末2から、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(以下、ユーザID)と、飛行装置3が飛行する予定の飛行経路又は飛行範囲と、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行する予定の飛行予定期間と、を含む飛行予定情報を受信する。
【0031】
図3は、ユーザ端末2において飛行予定情報の入力を受け付けるための飛行予定画面の模式図である。ユーザ端末2は、ユーザがユーザIDを用いて飛行管理装置1に対してログインしたことを契機として、表示部上に飛行予定画面を表示する。
【0032】
ユーザ端末2は、例えば、飛行予定画面に表示された地図上で指定された面状の範囲を、飛行範囲Rとして受け付ける。また、ユーザ端末2は、飛行予定画面に表示された地図上の飛行範囲Rの中で指定された線状の経路を、飛行経路Fとして受け付ける。また、ユーザ端末2は、飛行経路F又は飛行範囲Rのうちどちらか一方のみの指定を受け付けてもよい。また、ユーザ端末2は、位置及び高度を含む三次元の飛行経路F又は飛行範囲Rの指定を受け付けてもよい。
【0033】
具体的には、ユーザ端末2は、まず飛行可能な領域であるフライトエリアの作成を地図上で受け付ける。飛行管理装置1は、作成されたフライトエリアを、飛行範囲Rとしてユーザ端末2のユーザを識別するためのユーザ識別情報と関連付けて記憶部11に記憶させる。そしてユーザ端末2は、飛行範囲R内で飛行経路Fの指定を受け付ける。
【0034】
また、ユーザ端末2は、飛行予定画面において、飛行経路F又は飛行範囲Rを飛行させる一又は複数の飛行装置3の機体数と、飛行経路F又は飛行範囲Rにおいて飛行装置3が行う作業内容と、飛行装置3を飛行させる飛行予定期間と、の指定を受け付ける。飛行予定期間は、例えば、開始日時及び終了日時によって指定される期間である。ユーザ端末2は、その他の情報の入力を受け付けてもよい。
【0035】
飛行管理装置1において、受信部121は、ユーザ端末2を使用するユーザのユーザIDと、ユーザ端末2において入力された情報と、を含む飛行予定情報を、ユーザ端末2から受信する。受信部121は、ユーザ端末2から受信した飛行予定情報を、記憶部11に記憶させる。
【0036】
機体特定部122は、受信部121が受信した飛行予定情報が含むユーザIDに関連付けられた機体情報を特定する。
図4(a)は、例示的な機体情報の模式図である。飛行管理装置1は、ユーザによる入力に基づいて、ユーザが所有し又は貸与されていることにより飛行させる権限を有する一又は複数の飛行装置3に関する機体情報を、予め記憶部11に記憶している。
【0037】
機体情報は、例えば、ユーザのユーザIDと、当該ユーザが飛行させることのできる飛行装置3の機体を識別するための飛行装置識別情報(以下、機体ID)と、当該飛行装置3が備える通信設備であるSIMを示すSIM情報と、を関連付けた情報である。
【0038】
SIM情報は、飛行装置3が備える通信設備を識別するための情報である。飛行装置3が備える通信設備は、例えば、1つの通信キャリアの通信サービスを使用可能なSIM(
図4(a)におけるA社SIM、B社SIM)、又は複数の通信キャリアの通信サービスを使用可能なSIM(
図4(a)におけるeSIM(embedded-SIM))である。eSIMは、既知の設定処理により所定の情報が設定されることによって、使用可能な通信キャリアの通信サービスが変更される。
【0039】
1つのユーザIDは、複数の機体IDと関連付けられていてもよい。また、1つの機体IDは、複数のSIM情報と関連付けられていてもよい。すなわち、機体情報は、ユーザが飛行させることができる一又は複数の飛行装置3と、当該飛行装置3が通信を行うために搭載している一又は複数の通信設備とを示している。機体情報は、飛行装置3の飛行速度、待機位置、大きさ、重量、充電方式、機能等、飛行装置3に関するその他の情報を含んでもよい。
【0040】
機体特定部122は、記憶部11に記憶された機体情報の中から、受信部121が受信した飛行予定情報が含むユーザIDに関連付けられた一又は複数の機体情報を特定する。これにより、ユーザが飛行させることができる一又は複数の飛行装置3が抽出される。
【0041】
また、機体特定部122は、受信部121が受信した飛行予定情報が含むユーザIDに関連付けられた機体情報の中から、飛行装置3の待機位置及び飛行速度に基づいて、飛行予定期間内に、待機位置から飛行経路又は飛行範囲に移動して飛行した後、待機位置に帰還することができる飛行装置3の機体情報を選択してもよい。待機位置は、例えば、飛行装置3の直近の離着陸場所、又は飛行管理装置1が飛行装置3に対して遠隔で要求することによって取得された飛行装置3の現在位置である。また、機体特定部122は、飛行装置3の予約状況を記憶部11から取得し、飛行予定期間において予約されていない飛行装置3の機体情報を選択してもよい。
【0042】
キャリア特定部123は、機体特定部122が特定した機体情報に基づいて、飛行装置3が使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定する。
図4(b)は、例示的な通信キャリア情報の模式図である。飛行管理装置1は、飛行管理装置1の管理者による入力に基づいて、飛行装置3に搭載される可能性のあるSIMに対応する一又は複数の通信キャリアに関する通信キャリア情報を、予め記憶部11に記憶している。
【0043】
通信キャリア情報は、例えば、SIM情報と、当該SIM情報が示す通信設備を用いて使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアと、を関連付けた情報である。SIM情報に対応するSIMが複数の通信キャリアの通信サービスを使用可能である場合には、当該SIM情報に複数の通信キャリアが関連付けられる。通信キャリア情報は、通信キャリアごとの利用料金等、SIM及び通信キャリアに関するその他の情報を含んでもよい。
【0044】
キャリア特定部123は、記憶部11に記憶された通信キャリア情報の中から、機体特定部122が特定した一又は複数の機体情報それぞれが含むSIM情報に関連付けられた通信キャリア情報を取得し、取得した通信キャリア情報に対応する通信キャリアを特定する。これにより、ユーザが飛行させることができる一又は複数の飛行装置3それぞれが使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアが特定される。また、機体特定部122が複数の飛行装置3を特定した場合には、キャリア特定部123は、複数の飛行装置3それぞれに対して、通信キャリアを特定する。
【0045】
判定部124は、キャリア特定部123が特定した通信キャリアと、飛行予定情報が含む飛行経路又は飛行範囲と、に基づいて、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信キャリアの提供する通信サービスを用いて通信できるか否かを判定する。
【0046】
判定部124は、例えば、記憶部11に予め記憶された、キャリア特定部123が特定した通信キャリアの通信エリアを示す通信エリア情報を取得する。判定部124は、取得した通信エリア情報に基づいて、飛行経路又は飛行範囲が通信エリアに含まれている場合に飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定し、飛行経路又は飛行範囲が通信エリアに含まれていない場合に飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できないと判定する。
【0047】
また、機体特定部122が複数の飛行装置3を特定した場合には、判定部124は、複数の飛行装置3それぞれに対して、キャリア特定部123が特定した通信キャリアと、飛行経路又は飛行範囲と、に基づいて、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信できるか否かを判定する。また、キャリア特定部123が複数の通信キャリアを特定した場合には、判定部124は、複数の通信キャリアそれぞれに対して、当該通信キャリアと、飛行経路又は飛行範囲と、に基づいて、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信できるか否かを判定する。
【0048】
図5(a)、
図5(b)は、判定部124が通信キャリアに基づいて飛行装置3の通信可否を判定する方法を説明するための模式図である。
図5(a)、
図5(b)は、キャリア特定部123が特定した通信キャリアの通信サービスを提供するための基地局Bと、当該基地局Bと通信可能な通信エリアAとを表している。
【0049】
図5(a)の例では、飛行経路Fの全域が通信エリアAに含まれているため、判定部124は、飛行装置3が飛行経路Fを飛行できると判定する。一方、
図5(b)の例では、飛行経路Fの少なくとも一部が通信エリアAに含まれていないため、判定部124は、飛行装置3が飛行経路Fを飛行できないと判定する。
図5(a)、
図5(b)の例では飛行経路Fの判定を表しているが、判定部124は、飛行範囲Rに対しても同様に判定する。これにより、飛行管理装置1は、飛行装置3が飛行中に通信キャリアの通信サービスを用いて通信できるか否かを判定できる。
【0050】
また、判定部124は、通信品質を示す値(例えば、SNR又は電波強度)に基づいて、飛行装置3の通信可否を判定してもよい。この場合に、判定部124は、飛行経路又は飛行範囲の各地点と基地局の位置との関係に基づいて、各地点における通信品質を示す値を推定する。そして判定部124は、飛行経路又は飛行範囲の少なくとも一部において推定した通信品質が所定の基準値以下である場合(電波が弱い場合や電波の干渉がある場合等)に、通信できないと判定し、そうでない場合に、通信できると判定する。
【0051】
判定部124は、飛行装置3が1つの通信キャリアの提供する通信サービスを用いて飛行経路又は飛行範囲を飛行できないと判定した場合に、キャリア特定部123が特定した複数の通信キャリアのうち2つ以上の通信キャリアの組み合わせと、飛行経路又は飛行範囲と、に基づいて、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信できるか否かを判定してもよい。
【0052】
この場合に、判定部124は、飛行経路又は飛行範囲が複数の通信キャリアの通信エリアの組み合わせに含まれている場合に飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定し、飛行経路又は飛行範囲が当該組み合わせに含まれていない場合に飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できないと判定する。
【0053】
図6は、判定部124が複数の通信キャリアの組み合わせに基づいて飛行装置3の通信可否を判定する方法を説明するための模式図である。
図6は、第1通信キャリアの通信サービスを提供するための基地局Baと、当該基地局Baと通信可能な通信エリアAaとを表している。また、
図6は、第2通信キャリアの通信サービスを提供するための基地局Bbと、当該基地局Bbと通信可能な通信エリアAbとを表している。
【0054】
図6の例では、飛行経路Fの全域が複数の通信キャリアの通信エリアAa及び通信エリアAbの組み合わせに含まれているため、判定部124は、飛行装置3が飛行経路Fを飛行できると判定する。
図6の例では飛行経路Fの判定を表しているが、判定部124は、飛行範囲Rに対しても同様に判定する。これにより、飛行管理装置1は、飛行装置3が飛行中に複数の通信キャリアの通信サービスの組み合わせを用いて通信できるか否かを判定できる。
【0055】
また、判定部124は、キャリア特定部123が特定した通信キャリアと、飛行予定情報が含む飛行経路又は飛行範囲と、に加えて、飛行装置3が行う作業内容に基づいて、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信できるか否かを判定してもよい。この場合に、判定部124は、飛行予定情報が含む作業内容に対応する判定条件を取得する。判定条件は、例えば、作業に必要な通信品質(電波強度)の値の範囲である。また、判定条件は、飛行経路又は飛行範囲における場所ごとに異なる通信品質の値の範囲を示してもよい。判定条件は、例えば、所定の作業が行われる場所において、それ以外の場所よりも高い通信品質の範囲を要求する。これにより、飛行装置3は、例えば、特定の場所の点検等の作業において、途切れることなく通信しながら撮像画像等のデータを送信し、作業をより確実に遂行することができる。
【0056】
判定部124は、例えば基地局からの距離に基づいて飛行経路又は飛行範囲における通信品質を推定し、推定した通信品質が判定条件を満たすことを条件として、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定する。これにより、飛行管理装置1は、飛行装置3の作業内容を考慮して飛行装置3の飛行可否を判定できる。
【0057】
また、判定部124は、作業に必要な通信品質に基づいて、複数の通信キャリアの中からいずれかの通信キャリアを選択するとともに、選択した通信キャリアに対応する飛行装置3の機体を選択してもよい。この場合に、判定部124は、飛行予定情報が含む一又は複数の作業内容それぞれに対応する判定条件である通信品質の値の範囲を取得する。判定部124は、一又は複数の作業内容それぞれに対応する通信品質の値の範囲と、通信エリア情報が含む通信キャリアごとの通信品質の値とを比較し、飛行経路又は飛行範囲において作業に必要な通信品質を満たすいずれかの通信キャリアを選択する。作業に必要な通信品質を満たす通信キャリアが無い場合に、判定部124は、飛行予定情報が含む飛行経路又は飛行範囲において、飛行予定情報が含む作業内容を実行できないと判定してもよい。
【0058】
そして判定部124は、機体特定部122が特定した複数の飛行装置3の中から、選択した通信キャリアが提供する通信サービスを用いて通信できる飛行装置3の機体を選択する。これにより、飛行管理装置1は、作業内容に適した通信キャリア及び機体を選択し、ユーザ端末2に提示できる。
【0059】
また、判定部124は、キャリア特定部123が特定した通信キャリアと、飛行予定情報が含む飛行経路又は飛行範囲と、に加えて、同じ飛行予定期間に飛行する飛行装置3の台数に基づいて、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信できるか否かを判定してもよい。この場合に、判定部124は、複数の飛行装置3の予約状況を記憶部11から取得する。判定部124は飛行経路又は飛行範囲に対応する飛行位置情報(すなわち、飛行経路又は飛行範囲上を所定間隔で抽出した位置)に基づき、飛行位置それぞれをカバーする一又は複数の基地局を抽出する。
【0060】
判定部124は、複数の飛行装置3の予約状況に基づいて、飛行予定期間と同一時間帯に、抽出した一又は複数の基地局と通信をしながら飛行する飛行装置3の台数を算出する。そして判定部124は、算出した台数が所定値以下であることを条件として、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定する。これにより、飛行管理装置1は、基地局と同時期に通信する飛行装置3の台数を制限できる。
【0061】
送信部125は、飛行予定情報に対する判定部124による判定結果をユーザ端末2に送信する。判定結果は、例えば、飛行装置3の機体情報と、飛行装置3が使用する通信キャリアと、飛行装置3が飛行中に通信できるか否かを示す情報と、含む。また、ユーザが2以上の機体数を指定した場合には、送信部125は、飛行予定情報が含む機体数に対応する複数の飛行装置3であって、判定部124が飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定した複数の飛行装置3の機体情報を含む判定結果を、ユーザ端末2に送信する。
【0062】
また、飛行装置3が複数の通信キャリアの組み合わせを用いて飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定部124が判定した場合には、送信部125は、複数の通信キャリアの組み合わせを含む判定結果を、ユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、飛行管理装置1から受信した判定結果を表示部上に表示する。
【0063】
これにより、ユーザは、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信キャリアの通信サービスを用いて通信できるか否かの判定結果を参照した上で、実際に飛行装置3を飛行させるかどうかを決めることができる。したがって、飛行管理装置1は、ユーザが指定した飛行経路又は飛行範囲において、飛行装置3を、通信キャリアの提供する通信サービスを用いて安定的に通信させることができる。
【0064】
ユーザ端末2は、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定された場合に、ユーザから所定の予約操作を受け付けたことを条件として、飛行予定情報に従って飛行装置3が飛行するための予約要求を飛行管理装置1に送信する。飛行管理装置1が複数の飛行装置3又は複数の通信キャリアを特定した場合に、ユーザ端末2は、いずれかの飛行装置3又はいずれかの通信キャリアの選択を受け付け、選択された飛行装置3又は通信キャリアを示す予約要求を送信してもよい。
【0065】
飛行管理装置1において、受信部121は、ユーザ端末2から、飛行予定情報に従って飛行装置3が飛行するための予約要求を受信する。受信部121が予約要求を受信した場合に、予約管理部126は、ユーザが指定した飛行予定情報と、飛行装置3の機体情報と、飛行装置3が使用する通信サービスを提供する通信キャリアを示す通信キャリア情報と、を関連付けた予約情報を、記憶部11に記憶させる。また、予約管理部126は、予約情報に対応する飛行予定情報及び機体情報を、通信キャリアのデータベースに登録してもよい。これにより、飛行管理装置1は、飛行装置3が通信キャリアを用いて通信できることを確認した上で、飛行装置3を飛行させるための予約を受け付けることができる。
【0066】
送信部125は、記憶部11に記憶された予約情報に基づいて、予約情報が含む飛行予定期間の所定時間前に、予約情報が含む機体情報に対応する飛行装置3に飛行経路又は飛行範囲において飛行するための飛行情報を送信する。飛行装置3は、受信した飛行情報に従って飛行経路又は飛行範囲において飛行するとともに、飛行管理装置1が特定した通信キャリアの通信サービスを用いて通信をする。
【0067】
飛行装置3がeSIMを備えている場合に、送信部125は、飛行管理装置1が特定した通信キャリアの通信サービスを用いるようにeSIMを設定するための飛行情報を、飛行装置3に送信してもよい。飛行装置3は、受信した飛行情報に従ってeSIMを設定することによって、通信キャリアの通信サービスを用いて通信可能になる。
【0068】
また、送信部125は、飛行装置3から使用可能な通信キャリアのエリア情報の要求を受けたことを条件として、飛行装置3が飛行中又は飛行予定の飛行経路又は飛行範囲の周辺の通信エリア情報を飛行装置3に送信してもよい。
【0069】
[飛行管理方法のシーケンス]
図7は、飛行管理システムが実行する飛行管理方法のシーケンスを示す図である。ユーザ端末2は、飛行予定画面において、飛行予定情報の入力を受け付ける(S11)。具体的には、ユーザ端末2は、まず飛行可能な領域であるフライトエリアの作成を地図上で受け付ける。飛行管理装置1は、作成されたフライトエリアを、飛行範囲としてユーザ端末2のユーザを識別するためのユーザ識別情報と関連付けて記憶部11に記憶させる。そしてユーザ端末2は、飛行範囲内で飛行経路の指定を受け付ける。
【0070】
飛行管理装置1において、受信部121は、ユーザ端末2から、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、飛行装置3が飛行する予定の飛行経路又は飛行範囲と、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行する予定の飛行予定期間と、を含む飛行予定情報を受信する。
【0071】
機体特定部122は、記憶部11に記憶された機体情報の中から、受信部121が受信した飛行予定情報が含むユーザIDに関連付けられた一又は複数の機体情報を特定する(S12)。キャリア特定部123は、記憶部11に記憶された通信キャリア情報の中から、機体特定部122が特定した一又は複数の機体情報それぞれが含むSIM情報に関連付けられた通信キャリア情報を取得し、取得した通信キャリア情報に対応する通信キャリアを特定する(S13)。
【0072】
判定部124は、キャリア特定部123が特定した通信キャリアと、飛行予定情報が含む飛行経路又は飛行範囲と、に基づいて、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信キャリアの提供する通信サービスを用いて通信できるか否かを判定する(S14)。判定部124は、例えば、記憶部11に予め記憶された通信エリア情報に基づいて、飛行経路又は飛行範囲が通信エリアに含まれている場合に飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定し、飛行経路又は飛行範囲が通信エリアに含まれていない場合に飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できないと判定する。
【0073】
送信部125は、飛行予定情報に対する判定部124による判定結果をユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、飛行管理装置1から受信した判定結果を表示部上に表示する。ユーザ端末2は、飛行装置3が飛行経路又は飛行範囲を飛行できると判定された場合に、ユーザから所定の予約操作を受け付ける(S15)。ユーザ端末2は、予約操作を受け付けたことを条件として、飛行予定情報に従って飛行装置3が飛行するための予約要求を飛行管理装置1に送信する。
【0074】
飛行管理装置1において、受信部121は、ユーザ端末2から、飛行予定情報に従って飛行装置3が飛行するための予約要求を受信する。受信部121が予約要求を受信した場合に、予約管理部126は、ユーザが指定した飛行予定情報と、飛行装置3の機体情報と、飛行装置3が使用する通信サービスを提供する通信キャリアを示す通信キャリア情報と、を関連付けた予約情報を、記憶部11に記憶させる(S16)。また、予約管理部126は、予約情報に対応する飛行予定情報及び機体情報を、通信キャリアのデータベースに登録してもよい。
【0075】
送信部125は、記憶部11に記憶された予約情報に基づいて、予約情報が含む飛行予定期間の所定時間前に、予約情報が含む機体情報に対応する飛行装置3に飛行経路又は飛行範囲において飛行するための飛行情報を送信する(S17)。飛行装置3は、受信した飛行情報に従って飛行経路又は飛行範囲において飛行するとともに、飛行管理装置1が特定した通信キャリアの通信サービスを用いて通信をする。
【0076】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る飛行管理装置1は、飛行装置3が使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定し、飛行装置3が当該通信キャリアの通信サービスを用いて飛行経路又は飛行範囲を飛行できるか否かを判定し、判定結果をユーザ端末2に送信する。ユーザは、ユーザ端末2において判定結果を参照した上で、実際に飛行装置3を飛行させるかどうかを決めることができる。したがって、飛行管理装置1は、ユーザが指定した飛行経路又は飛行範囲において、飛行装置3を、通信キャリアの提供する通信サービスを用いて安定的に通信させることができる。
【0077】
なお、これにより、例えば無線ネットワークがカバーする都市部や山間部等でもドローンが飛行できる環境が整うことから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」及び目標10「人や国の不平等をなくそう」に貢献することが可能となる。
【0078】
[第1変形例]
上述の実施形態では飛行管理装置1がユーザ端末2から受け付けた1つの飛行経路又は飛行範囲に対して判定を行うのに対して、本変形例ではユーザ端末2から受け付けた複数の飛行経路又は飛行範囲に対して判定を行う。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0079】
本変形例において、ユーザ端末2は、
図3に例示した飛行予定画面において、複数の飛行経路又は飛行範囲の入力を受け付ける。また、ユーザ端末2は、複数の飛行経路又は飛行範囲それぞれに対して機体数、作業内容及び飛行予定期間の入力を受け付ける。ユーザ端末は、複数の飛行経路又は飛行範囲に対して共通の機体数、作業内容及び飛行予定期間の入力を受け付けてもよい。
【0080】
飛行管理装置1において、受信部121は、ユーザ端末2から、複数の飛行経路又は飛行範囲を含む飛行予定情報を受信する。判定部124は、飛行予定情報が含む複数の飛行経路又は飛行範囲それぞれに対して、キャリア特定部123が特定した通信キャリアに基づいて、飛行装置3が当該飛行経路又は当該飛行範囲を飛行中に通信キャリアの提供する通信サービスを用いて通信できるか否かを判定する。これにより、複数の飛行経路又は飛行範囲それぞれに対して、当該飛行経路又は当該飛行範囲を飛行中に通信キャリアの提供する通信サービスを用いて通信できる飛行装置3が抽出される。
【0081】
送信部125は、複数の飛行経路又は飛行範囲それぞれに対して、判定部124が当該飛行経路又は当該飛行範囲を飛行できると判定した飛行装置3の機体情報を、ユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、複数の飛行経路又は飛行範囲それぞれと関連付けて、判定部124が当該飛行経路又は当該飛行範囲を飛行できると判定した飛行装置3の機体情報を表示部上に表示する。
【0082】
これにより、飛行管理装置1は、複数の飛行経路又は飛行範囲それぞれを飛行中に通信可能な飛行装置3を抽出してユーザに提示できるため、ユーザが複数の飛行経路又は飛行範囲において複数の飛行装置3を飛行させるための手間を削減できる。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0084】
飛行管理装置1、ユーザ端末2及び飛行装置3のプロセッサは、
図7に示す飛行管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、飛行管理装置1、ユーザ端末2及び飛行装置3のプロセッサは、
図7に示す飛行管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行することによって、
図7に示す飛行管理方法を実行する。
図7に示す飛行管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 飛行管理装置
11 記憶部
12 制御部
121 受信部
122 機体特定部
123 キャリア特定部
124 判定部
125 送信部
126 予約管理部
2 ユーザ端末
3 飛行装置
【要約】
【課題】ユーザが指定した飛行経路又は飛行範囲において、飛行装置が通信キャリアの提供する通信サービスを用いて安定的に通信できるようにする。
【解決手段】飛行管理装置1は、ユーザが使用するユーザ端末から、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、飛行装置が飛行する予定の飛行経路又は飛行範囲と、飛行装置が飛行経路又は飛行範囲を飛行する予定の飛行予定期間と、を含む飛行予定情報を受信する受信部と、ユーザ識別情報に関連付けられた、飛行装置に関する機体情報を特定する機体特定部と、機体情報に基づいて、飛行装置が使用可能な通信サービスを提供する通信キャリアを特定するキャリア特定部と、通信キャリアと、飛行経路又は飛行範囲と、に基づいて、飛行装置が飛行経路又は飛行範囲を飛行中に通信サービスを用いて通信できるか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果をユーザ端末に送信する送信部と、を有する。
【選択図】
図2