(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】焼却炉設備の制御装置
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
F23G5/50 G
F23G5/50 Q
(21)【出願番号】P 2021107370
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2021-07-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501370370
【氏名又は名称】三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩下 信治
(72)【発明者】
【氏名】草加 浩都
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 稔彦
(72)【発明者】
【氏名】今田 潤司
(72)【発明者】
【氏名】大丸 卓一郎
(72)【発明者】
【氏名】滑澤 幸司
(72)【発明者】
【氏名】林 慶一
(72)【発明者】
【氏名】江草 知通
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-126321(JP,A)
【文献】特開2017-187228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物を燃焼させながら搬送する炉本体と、前記炉本体に前記被焼却物を供給するフィーダとを有する焼却炉設備の制御装置であって、
前記フィーダの端部と接続される、前記炉本体の受入口を含む画像情報を周期的に取得する画像情報取得部と、
前記画像情報に基づいて前記受入口における前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であるか否かを認識する画像情報認識部と、
前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識された場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する供給状態判定部と
を備える焼却炉設備の制御装置。
【請求項2】
前記画像情報取得部は、前記受入口及び乾燥領域の内壁の少なくとも一部を含む画像情報を取得する、
請求項1に記載の焼却炉設備の制御装置。
【請求項3】
前記供給状態判定部は、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識され、かつ、前記フィーダの総押し出し長さに基づく過剰供給発生確率が所定の閾値以上である場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する
請求項1
または2に記載の焼却炉設備の制御装置。
【請求項4】
前記閾値は、一酸化炭素の発生量を示す情報と窒素酸化物の発生量を示す情報とを少なくとも含む実際の前記被焼却物の燃焼状況に係る情報に基づいて変化させられる値である
請求項3に記載の焼却炉設備の制御装置。
【請求項5】
前記画像情報認識部は、
前記受入口を複数の領域に分割した分割領域毎に、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であるか否かを認識し、
前記供給状態判定部は、少なくとも、複数の前記分割領域で、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識された場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する
請求項1から4のいずれか1項に記載の焼却炉設備の制御装置。
【請求項6】
前記画像情報認識部は、少なくとも前記画像情報を説明変数とし、前記被焼却物のせり出しの有り、無し、および、視界不良を目的変数として求める学習済みモデルを用いて、前記被焼却物がせり出した状態であるか否かを認識し、
前記供給状態判定部は、少なくとも、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識され、かつ、前記フィーダが前記被焼却物を押し込み中である場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する
請求項1から5のいずれか1項に記載の焼却炉設備の制御装置。
【請求項7】
前記過剰供給の予兆の判定結果に基づいて燃焼用空気の供給量を変化させる燃焼用空気量制御部、または、前記過剰供給の予兆の判定結果に基づいて前記フィーダの動作速度またはストロークの少なくとも一方を変化させるフィーダ制御部の少なくとも一方を
さらに備える
請求項1から6のいずれか1項に記載の焼却炉設備の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、焼却炉設備の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、次のような廃棄物焼却装置が開示されている。すなわち、特許文献1に記載されている廃棄物焼却装置では、炉に落下する前の廃棄物の画像と炉に落下した後の廃棄物の画像の差分画像に基づいて、実際に炉に供給された廃棄物の供給量が検知される。また、特許文献1に記載されている廃棄物焼却装置では、廃棄物供給量の現在値が所定供給量範囲よりも高い場合は、給塵機に対して廃棄物供給速度を減少させ火格子への廃棄物の供給量を減少させる指令、燃焼用一次空気量を増加させ廃棄物の燃焼を促進する指令等を発して操業条件を変化させることで、火格子への廃棄物供給量を減少させるとともに、火格子の廃棄物の燃焼を促進し、火格子上の廃棄物量を減少させる制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の廃棄物焼却装置では、廃棄物供給量の現在値に基づいて操業条件等が変化されるため、例えば供給量の変化に応じた燃焼用空気量の増加等の制御に遅れが生じてしまうという課題があった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、廃棄物等の被燃焼物の供給量の変化に応じた制御の遅れを改善することができる焼却炉設備の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る焼却炉設備の制御装置は、被焼却物を燃焼させながら搬送する炉本体と、前記炉本体に前記被焼却物を供給するフィーダとを有する焼却炉設備の制御装置であって、前記フィーダ近傍領域を含む画像情報を周期的に取得する画像情報取得部と、前記画像情報に基づいて前記フィーダ近傍領域における前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であるか否かを認識する画像情報認識部と、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識された場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する供給状態判定部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の焼却炉設備の制御装置によれば、廃棄物等の被燃焼物の供給量の変化に応じた制御の遅れを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係る焼却炉設備の構成例を示す概略図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る赤外画像の一例を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態に係る制御装置の動作例を説明するための模式図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る制御装置の動作例を説明するための模式図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る制御装置の動作例を説明するための模式図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る制御装置の動作例を説明するための模式図である。
【
図9】本開示の実施形態に係る制御装置の動作例を説明するための模式図である。
【
図10】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(焼却炉設備の制御装置の構成)
以下、本開示の実施形態に係る焼却炉設備の制御装置について、
図1~
図10を参照して説明する。
図1は、本開示の実施形態に係る焼却炉設備の構成例を示す概略図である。
図2は、本開示の実施形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
図3は、本開示の実施形態に係る赤外画像の一例を示す図である。
図4は、本開示の実施形態に係る制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図5~
図9は、本開示の実施形態に係る制御装置の動作例を説明するための模式図である。
図10は、本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0010】
(焼却炉設備の構成)
図1は、本開示の実施形態に係る焼却炉設備100の構成例を示す。
図1に示す例示的な形態では、焼却炉設備100は、都市ごみ、産業廃棄物、またはバイオマスなどを固体燃料Fgとするストーカ式のごみ焼却炉である。なお、焼却炉設備100は、ストーカ式のごみ焼却炉に限定されない。
【0011】
図1に示すように、焼却炉設備100は、ホッパー102と、フィーダ部104と、燃焼室108と、押出装置110(給じん装置)と、空気供給装置112と、熱回収ボイラ114と、減温塔116と、集じん装置118と、煙突120と、を含む。燃焼室108は、本開示に係る被焼却物を燃焼させながら搬送する炉本体の一例である。押出装置110は、本開示に係る炉本体に被焼却物を供給するフィーダの一例である。
【0012】
フィーダ部104は、燃焼室108に向かって延びる通路である。フィーダ部104は、ホッパー102に投入された廃棄物(ゴミ)等の被燃焼物である固体燃料Fgが堆積するように構成されている。焼却炉設備100内を固体燃料Fgが移動する方向を移動方向W1とすると、フィーダ部104の移動方向W1の下流側の下流側端部121(フィーダ部104の燃焼室108側の端部)は燃焼室108の受入口122と接続している。
【0013】
押出装置110は、フィーダ部104に堆積した固体燃料Fgを、受入口122を介して燃焼室108に押し出すための押出アーム124を有する。押出アーム124は、フィーダ部104内を移動方向W1の上流側から下流側、および下流側から上流側に向かって移動可能であるように構成されている。つまり、押出アーム124は、フィーダ部104内をフィーダ部104の延在方向(水平方向)に沿って往復運動する。
【0014】
燃焼室108は、受入口122を介して燃焼室108に押し出された固体燃料Fgが落下する火格子126(ストーカ)を含む。この火格子126は、燃焼室108の床部に相当する。火格子126は、火格子126上の固体燃料Fgを受入口122から離れていく方向(移動方向W1の上流側から下流側)に移動させるように構成されている。また、燃焼室108は、移動方向W1の上流側から下流側に向かって順番に並ぶ乾燥領域128、燃焼領域130、および後燃焼領域132、を含む。乾燥領域128は、燃焼室108内の熱によって固体燃料Fgを乾燥させる。燃焼領域130は、火炎131を上げて固体燃料Fgを燃焼させる。後燃焼領域132は、燃焼領域130で燃え切らなかった燃え切りを完全燃焼させる。燃焼室108で乾燥、燃焼、後燃焼された固体燃料Fgは灰135となり、焼却炉設備100外に排出される。
【0015】
空気供給装置112は、固体燃料Fgの燃焼に用いられる1次空気、および、固体燃料Fgの燃焼によって発生した一酸化炭素のような未燃ガスの濃度低減に用いられる2次空気を燃焼室108に供給するように構成される。
図1に示す例示的な形態では、空気供給装置112は、空気供給管136と、空気供給管136に設けられたブロワ138と、を含む。空気供給管136を流通する空気は、一部が1次空気として第1流量調節弁140を介して火格子126から燃焼室108の下部に供給されるとともに、残りの一部が2次空気として第2流量調節弁142を介して燃焼室108の側壁から燃焼室108の上部に供給されるようになっている。空気供給装置112は、燃焼室108の上部に2次空気を供給する2次空気供給装置として機能する。なお、
図1に示す例示的な形態では、燃焼室108の乾燥領域128、燃焼領域130、および後燃焼領域132のそれぞれに1次空気が供給されるように構成されている。
【0016】
熱回収ボイラ114、減温塔116、集じん装置118、および煙突120のそれぞれは、固体燃料Fgが燃焼して生成される排ガス143が流通する焼却炉設備100の煙道144に設けられる。排ガス143は、熱回収ボイラ114、減温塔116、集じん装置118、煙突120の順に流通する。熱回収ボイラ114は、排ガス143の熱エネルギから蒸気を生成する。減温塔116は、熱回収ボイラ114を通過した排ガス143の温度を下げる。集じん装置118は、減温塔116を通過した排ガス143に含まれる飛灰を捕集する。煙突120は、集じん装置118を通過した排ガス143を焼却炉設備100の外部に排気する。なお、熱回収ボイラ114で生成した蒸気は、不図示の蒸気タービンに供給されるように構成されてもよい。
【0017】
(制御装置の構成)
上述した焼却炉設備100に適用される制御装置4は、被焼却物を燃焼させながら搬送する燃焼室108と、燃焼室108に被焼却物を供給する押出装置110とを有する焼却炉設備100の制御装置である。制御装置4は、コンピュータと、コンピュータの周辺装置等のハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせから構成される機能的構成として、次の各部を備える。すなわち、制御装置4は、画像情報取得部41と、画像情報認識部42と、供給状態判定部43と、燃焼用空気量制御部44と、フィーダ制御部45と、過剰供給検知部46と、せり出し量検知部47と、モデル学習部48と、記憶部49とを備える。また、記憶部49は、複数の学習済みモデル491と、複数の画像情報492とを記憶する。
【0018】
画像情報取得部41は、撮像装置2が撮影したフィーダ部104等を含む領域であるフィーダ近傍領域を表す画像信号を含む画像情報を周期的に取得する。なお、本実施形態において、画像情報は、撮影画像を表す画像信号と、画像信号の撮影日時を表す情報、撮影時における押出アーム124のストローク総長(フィーダの総押し出し長さ)を表す情報等を含んでいてもよい。押出アーム124のストローク総長は、被焼却物の過剰供給(「どか落ち」等とも呼ばれる)が発生した時点を起点として、押出アーム124をW1方向の上流から下流へ移動させた長さの合計値である。フィーダ近傍領域は、例えば、固体燃料Fgの前面Frを注目領域として含む領域である。
【0019】
なお、撮像装置2は、焼却炉設備100のフィーダ部104に堆積している固体燃料Fgが燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの赤外画像(熱画像)を撮像するように構成されている。撮像装置2によって撮像された固体燃料Fgの赤外画像は、リアルタイムで制御装置4に送られるようになっている。
図1に示す例示的な形態では、撮像装置2は、燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの表面のうち燃焼室108に対向する前面Frの赤外画像を撮像するように、燃焼室108の後燃焼領域132より移動方向W1の下流側に位置する燃焼室108の炉尻145に設けられている。この撮像装置2は、燃焼室108の受入口122からせり出した固体燃料Fgの前面Frの赤外画像を撮像可能となっている。なお、固体燃料Fgの前面Frの赤外画像を撮像可能であるならば、撮像装置2は燃焼室108の炉尻145以外に設けられてもよい。
【0020】
また、撮像装置2は、例えば、赤外カメラであって、火炎131からの放射が少ない所定の波長域の赤外線を検出する。この場合、所定の波長域の範囲は、例えば、2μm以上5μm以下である。より火炎131の影響を抑制して固体燃料Fgの前面Frの赤外画像を撮像するためには、所定の波長域の範囲は3.8μm以上4.2μm以下である。なお、赤外画像として撮像する対象波長域は、0.8μm~1000μmである。この波長域にバンドパスフィルタ等をとおす事で、必要に応じて、一部の波長のみを使う運用も可能である。
【0021】
また、撮像装置2は、火炎131超しに固体燃料Fgの前面Frの赤外画像を撮像可能であるならば赤外カメラに限定されない。幾つかの実施形態では、撮像装置2は、可視光カメラ、可視光カメラに入射する透過波長を所定の波長域に制限するフィルタ装置と、を含む。
【0022】
画像情報認識部42は、画像情報取得部41が取得した画像情報に基づいてフィーダ近傍領域における固体燃料Fgが燃焼室108に対してせり出した状態であるか否かを認識する。本実施形態において画像情報認識部42は、学習済みモデル491を用いて、フィーダ近傍領域における固体燃料Fgが燃焼室108に対してせり出した状態であるか否かを認識する。なお、本実施形態において画像情報認識部42は、フィーダ近傍領域を複数の領域に分割した分割領域毎に、固体燃料Fgが燃焼室108に対してせり出した状態であるか否かを認識する。この場合、学習済みモデル491は、分割領域毎に学習される。
【0023】
学習済みモデル491は、例えば、深層学習モデルであり、少なくとも画像情報を説明変数とし、固体燃料Fgのせり出しの有り、無し、および、視界不良を目的変数として予め教師あり学習によって学習されたモデルである。学習済みモデル491は、例えば、少なくとも画像情報を説明変数として入力し、固体燃料Fgのせり出しの有り、無し、および、視界不良を目的変数として出力する。学習済みモデル491は、例えばニューラルネットワークを要素とし、入力される多数のデータに対して求める解が出力されるよう、機械学習によりニューラルネットワークの各層のニューロン間の重み付け係数が最適化されている。学習済みモデル491は、例えば、入力から出力までの演算を行うプログラムと当該演算に用いられる重み付け係数(パラメータ)の組合せで構成される。また、学習済みモデル491は、例えば、撮像装置2が撮影した赤外画像を任意領域で分割した分割領域毎に学習される。
【0024】
図3は、撮像装置2が撮影した赤外画像201の例を示す。画像情報認識部42は、赤外画像201を、移動方向W1に直交する方向(X1方向とする)で、左領域RLと、中央領域RCと、右領域RRに3分割し、各分割領域を、せり出しの有り、無し、または、視界不良をのいずれかに分類する。
図3に示す例では、中央領域RCがせり出し有り、左領域RLと右領域RRがせり出し無しに分類される。なお、視界不良は、例えば、灰等が撮像装置2とフィーダ近傍領域との間に介在する場合に撮影された画像等に対応する。なお、本実施形態では3分割としているが、3分割に限定されない。固体燃料Fgは、押出装置110により均一に押されるが、ごみが絡まるために均一に炉内に落ちない。また、落ちる際、奥のごみも絡まって一緒に落ちることがあり、ごみの面が均一にならないため、注目領域を複数設けている。
【0025】
学習済みモデル491は、分割した領域ごとに、画像情報に基づいてごみのせり出し有、無、視界不良に分類した深層学習による判定モデルとすることができるが、判定モデル作成にあたり、ストローク総長等の運転データも併せて説明変数として用いて学習させてもよい。なお、画像情報は、実際運転中の画像情報492でもよいし、過去の画像情報492を用いてもよい。
【0026】
供給状態判定部43は、固体燃料Fgが燃焼室108に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識された場合、固体燃料Fgが燃焼室108に対して過剰供給される(どか落ちとなる)予兆があると判定する。また、供給状態判定部43は、少なくとも、複数の分割領域で、固体燃料Fgが燃焼室108に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識された場合、固体燃料Fgが燃焼室108に対して過剰供給される予兆があると判定する。さらに、画像情報認識部42が、少なくとも画像情報を説明変数とし、固体燃料Fgのせり出しの有り、無し、および、視界不良を目的変数として求める学習済みモデル491を用いて、固体燃料Fgが燃焼室108に対してせり出した状態であるか否かを認識する場合、供給状態判定部43は、次のように判定する。すなわち、供給状態判定部43は、少なくとも、固体燃料Fgが燃焼室108に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識され、かつ、押出装置110が固体燃料Fgを押し込み中である場合、固体燃料Fgが燃焼室108に対して過剰供給される予兆があると判定する。
【0027】
供給状態判定部43は、例えば、どか落ち予兆判定において、次の条件を全て満たすか否かで予兆判定を行う。(条件1)3分割された画像情報から、せり出し有が3分割中2分割以上あり。(条件2)5秒継続して発生。(条件3)フィーダ動作が押し込み中である。なお、検知時間は、例えば所定時間(例えば60秒間)継続するようにした。この検知時間は、予兆判定の条件が成立した後、実際にどか落ち(過剰供給)が発生しない場合に、次の予兆判定を行うまでの待機時間である。予兆判定の条件が成立した後、実際にどか落ち(過剰供給)が発生した場合は、すぐに次の予兆判定を行うことができる。上記所定時間は、例えば、1回の平均的な押し込み時間に合わせて調整することができる。
【0028】
なお、本実施形態において供給状態判定部43は、固体燃料Fgが燃焼室108に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識され、かつ、押出装置110のストローク総長(総押し出し長さ)に基づく過剰供給発生確率が所定の閾値以上である場合、固体燃料Fgが燃焼室108に対して過剰供給される予兆があると判定する。
図5は、押出装置110のストローク総長に基づく過剰供給発生確率の例を示す。
図5は、横軸をストローク総長、縦軸をどか落ち発生確率として、ストローク総長に対するどか落ち発生確率の例を示す。
図5に示す例では、おおむね、ストローク総長がL1の場合、発生確率が10%、ストローク総長がL2の場合、発生確率が40%、ストローク総長がL3の場合、発生確率が70%、ストローク総長がL4の場合、発生確率が90%である。なお、実線は、フィーダ押し込み中にどか落ちが発生した場合、鎖線は、フィーダ後進中または停止中にどか落ちが発生した場合である。
図5に示す例(プラント)は、一般的な1回当たりのストローク長がL2とL3の間程度で制御された例である。
【0029】
本実施形態において供給状態判定部43は、上述した予兆判定のすべての条件が満たされた場合でも、押出装置110のストローク総長に基づく過剰供給発生確率が所定の閾値(例えば70%)未満であるときには、過剰供給の予兆が無いと判定する。なお、過剰供給発生確率は、例えば、ストローク総長をパラメータとする2次関数で近似したり、ストローク総長と過剰供給発生確率との対応関係を定めたマップを使って求めたりすることができる。本実施形態の実機での確認においては、予兆検知後に必ずどか落ちが発生する訳ではなかった。そこで、
図5に示されるように、フィーダのストローク総長に対するどか落ち発生確率を算出し、この発生確率も予兆判定に用いることで、さらに予兆判定の精度を高めている。
【0030】
なお、過剰供給発生確率に対する閾値は、運転時に例えば所定時間毎に運転状況に合わせて例えば供給状態判定部43が変更するようにしてもよい。どか落ちの発生確率は、ゴミ質(乾燥度、形状、硬度等)によって変化するため、例えば検知率や正答率(誤答率)の実績値に基づいて閾値を自動的にあるいは手動で変更することができる。後述する予兆検知時に一酸化炭素の発生を抑制させるための制御は、例えば、予兆検知時にどか落ちの発生前に2次空気の供給を増加させることで行う。この場合、どか落ちが実際に発生すれば酸素の増加供給によって不完全燃焼を防止し、一酸化炭素の発生を抑制させることができる。ただし、どか落ちが実際に発生しなかった場合、酸素が過剰となり、窒素酸化物の発生が増加してしまうおそれがある。そのため、一酸化炭素低減への要求と、窒素酸化物発生のおそれの増加とのバランスによって、閾値を実際の運転状況に応じて変化させるようにしてもよい。ここで、運転状況を示す情報は、一酸化炭素の発生量を示す情報と窒素酸化物の発生量を示す情報に限定されず、例えば、ゴミ質、温度、湿度等を示す情報を含んでいてもよい。この場合、過剰供給発生確率に対する閾値は、一酸化炭素の発生量を示す情報と窒素酸化物の発生量を示す情報とを少なくとも含む実際の前記被焼却物の燃焼状況に係る情報に基づいて変化させられる値である。このように閾値を変化させることで、例えば一酸化炭素の発生量についての上限値と窒素酸化物の発生量についての上限値を精度良く管理することができる。
図6は、画像認識に基づく予兆判定とストローク総長に基づく過剰供給発生確率と閾値との比較を組み合わせた場合において、閾値を変化させたときの予兆判定の誤答率と検知率との関係を示す。誤答率は、予兆判定の全回数に対してどか落ちが発生しなかった回数の割合である。検知率は、どか落ちが発生した回数に対する発生を予兆できた回数の割合である。閾値を小さくすると検知率は上昇したが誤答率も上昇した。閾値を大きくすると誤答率は小さくできたが、検知率も低下した。
【0031】
燃焼用空気量制御部44は、供給状態判定部43による過剰供給の予兆の判定結果に基づいて燃焼用空気の供給量を変化させるように空気供給装置112を制御する。この制御によって、例えば、どか落ちが発生した場合に発生する急激な一酸化炭素の増加を抑制することができる。燃焼用空気量制御部44は、例えば、供給状態判定部43によって過剰供給の予兆があると判定された場合に二次燃焼用空気の供給量を増加させる制御を行うことで、炉内の酸素濃度を上げることができる。これにより、CO濃度の急増を抑制することが可能となる。
【0032】
フィーダ制御部45は、供給状態判定部43による過剰供給の予兆の判定結果に基づいて押出装置110の動作速度またはストロークの少なくとも一方を変化させる。フィーダ制御部45は、例えば、供給状態判定部43によって過剰供給の予兆があると判定された場合に押出装置110の動作速度を遅くし、かつ、ストローク(押出アーム124の移動行程)が短くなるように押出装置110を制御する。この制御によって、次のどか落ち発生までの時間を稼ぎ(先送りし)、どか落ちが発生した場合であっても給じん装置を停止させる必要がないため燃料供給を継続させることができ、蒸発量の低下を抑制することが可能となる。
【0033】
なお、燃焼用空気量制御部44による制御と、フィーダ制御部45による制御は、両方行ってもよいし、いずれか一方のみ行ってもよい。なお、過剰供給の予兆があると判定された場合の燃焼用空気量制御部44による制御とフィーダ制御部45による制御を、予兆時制御という。
【0034】
過剰供給検知部46は、画像情報取得部41が取得した複数の赤外画像に基づいて、固体燃料Fgの前面Frの赤外画像の輝度を監視することで、過剰供給の発生を検知する。
図7は、燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの前面Frの赤外画像の輝度を示したグラフであって、縦軸が輝度を、横軸が時間を示す。t1およびt2は、過剰供給が実際に発生した時刻である。
図7に示すように、過剰供給が実際に発生したt1およびt2のときには、固体燃料Fgの前面Frの赤外画像の輝度の減少が著しい。このため、固体燃料Fgの前面Frの赤外画像の輝度を監視することで、過剰供給の発生を速やかに検知することができる。過剰供給検知部46は、過剰供給の発生を検知した場合、フィーダ制御部45を介して、押出装置110に押出アーム124の動作を停止するように指示する。押出装置110は、フィーダ制御部45の指示を受けると、押出アーム124の動作を停止する。これによって、燃焼室108への固体燃料Fgの供給が停止される。
【0035】
また、過剰供給検知部46は、過剰供給の発生を検知した場合、燃焼用空気量制御部44を介して、空気供給装置112(2次空気供給装置)から燃焼室108に供給される2次空気の量を増加させる。
【0036】
せり出し量検知部47は、
図8に示すように、燃焼室108の受入口122から燃焼室108に向かってせり出す固体燃料Fgのせり出し長Lrを検知する。
図8に示す例示的な形態では、せり出し量検知部47は、移動方向W1において、燃焼室108の受入口122と固体燃料Fgの前面Frのうち最も下流側に位置する部分Fr1との間の大きさをせり出し長Lrとして検知している。せり出し量検知部47は、例えば、固体燃料Fgを上方から撮影することができるせり出し量検知用撮像装置28の撮像情報に基づいてせり出し長Lrを分割領域毎に検知する。
【0037】
モデル学習部48は、画像情報取得部41が取得した赤外画像に対して、分割領域毎に、パターン認識等の画像処理を行って、視界不良か否かを認識し、視界不良である場合に当該分割領域を視界不良に分類する。また、モデル学習部48は、画像情報取得部41が取得した赤外画像に対して、視界不良と認識されなかった場合、分割領域毎に、せり出し量検知部47が検知したせり出し長Lrに基づいて、当該部分領域をせり出し有りまたはせり出し無しに分類する。そして、モデル学習部48は、認識した結果を画像情報492として保存し、例えば、所定量の画像情報492を蓄積した場合に、画像情報492を用いて学習済みモデル491を再学習する。
【0038】
(制御装置の動作例)
次に、
図4を参照して、制御装置4の動作例について説明する。
図4に示す処理は、例えば、1秒間隔で繰り返し実行される。
図4に示す処理が開始されると、制御装置4は、予兆時制御中であるか否かを判断する(S1)。予兆時制御中でない場合(S1:NO)、画像情報取得部41が、撮像装置2(赤外線カメラ)で炉内を撮影して画像情報を取得する(S2)。次に、画像情報認識部42が、フィーダ近傍領域の画像をメッシュ分割する(S3)。次に、画像情報認識部42が、分割領域毎に深層学習判定モデルで、せり出し有り、無し、または、視界不良を判断する(S4)。次に、供給状態判定部43が、どか落ち予兆判断を行う(S5)。
【0039】
供給状態判定部43は、上述した(条件1)~(条件3)がすべて成立する場合、予兆有りと判断し(S5:Yes)、いずれか1つでも成立しない場合、予兆無しと判断する(S5:No)。予兆有りと判断した場合(S5:Yes)、供給状態判定部43は、ストローク総長に基づくどか落ち発生確率が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S6)。閾値以上である場合(S6:Yes)、燃焼用空気量制御部44とフィーダ制御部45が予兆時制御を開始する(S7)。次に、制御装置4は、予兆時制御の終了条件が成立したか否かを判断する(S8)。
【0040】
予兆時制御の終了条件は、例えば、実際にどか落ちが発生したことを過剰供給検知部46が検知した場合、または、予兆時制御開始後にどか落ちが発生せず所定の継続時間(例えば60秒)が経過した場合である。予兆時制御の終了条件が成立した場合(S8:Yes)、制御装置4は、予兆時制御を終了させて実際のどか落ちに対する制御に移行するか、単に予兆時制御を終了する(S9)。
【0041】
なお、予兆時制御中である場合(S1:Yes)、制御装置4は、予兆時制御の終了条件が成立したか否かを判断する(S8)。また、予兆時制御を終了した場合(S9)、どか落ち予兆判断で予兆無しの場合(S5:No)、閾値以上でない場合(S6:No)、または、予兆時制御の終了条件が成立しなかった場合(S8:No)、制御装置4は、
図4に示す処理を終了する。
【0042】
図9は、予兆検知成立時の動作パターンの例を示す。T1時間は例えば5秒、T2時間は例えば60秒である。時刻t11でフィーダの押し込みが開始され、時刻t12で条件1および条件3と閾値判定とが成立し、さらに、T1時間経過すると、時刻t13で予兆検知となり、どか落ちが発生した時刻t14までの時間TC1で、予兆時制御が行われる。また、時刻t11でフィーダの押し込みが開始され、時刻t22で条件1および条件3と閾値判定とが成立し、さらに、T1時間経過すると、時刻t23で予兆検知となり、どか落ちが発生した時刻t25までの時間TC2で、予兆時制御が行われる。なお、この場合、時刻t24で、フィーダは押し込みから後進中となっている。また、時刻t11でフィーダの押し込みが開始され、時刻t22で条件1および条件3と閾値判定とが成立し、さらに、T1時間経過すると、時刻t23で予兆検知となり、どか落ちが発生した時刻t32までの時間TC3で、予兆時制御が行われる。なお、この場合、時刻t24で、フィーダは押し込みから後進中となっている。また、時刻t31で、フィーダは停止している。
【0043】
(作用・効果)
以上のように、本実施形態によれば、過剰供給等の廃棄物等の被燃焼物の供給量の変化に応じた制御の遅れを改善することができる。
【0044】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では学習済みモデル491を用いて画像認識処理を行うこととしたが、これに限るものではなく、例えばオプティカルフローを用いたり、立体高次局所自己相関特徴法(CHLAC)を用いたりしてもよい。
また、燃焼用空気量制御部44は、供給状態判定部43が予兆を検知したらOFA(Over Fire Air)を先行的に開き空気不足を解消しCO濃度増加を防止し、一方、NOx増加対策のため、後燃焼領域132のダンパ開度を最小にするようにしてもよい。また、フィーダ制御部45は、どか落ち対象中に予兆検知をした場合、ストーカ速度を低減させ次の発生までの時間を稼ぎぐことで、連続どか落ちによる蒸発量の変動を抑制するようにしてもよい。
【0045】
〈コンピュータ構成〉
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、および、インタフェース94を備える。
上述の制御装置4は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0046】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0047】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0048】
<付記>
各実施形態に記載の焼却炉設備の制御装置4は、例えば以下のように把握される。
【0049】
(1)第1の態様に係る焼却炉設備の制御装置4は、被焼却物を燃焼させながら搬送する炉本体と、前記炉本体に前記被焼却物を供給するフィーダとを有する焼却炉設備の制御装置であって、前記フィーダ近傍領域を含む画像情報を周期的に取得する画像情報取得部41と、前記画像情報に基づいて前記フィーダ近傍領域における前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であるか否かを認識する画像情報認識部42と、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識された場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する供給状態判定部43とを備える。本態様および以下の各態様によれば、過剰供給等の廃棄物等の被燃焼物の供給量の変化に応じた制御の遅れを改善することができる。
【0050】
(2)第2の態様に係る焼却炉設備の制御装置4は、上記(1)の態様に係る焼却炉設備の制御装置4であって、前記供給状態判定部43は、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識され、かつ、前記フィーダの総押し出し長さに基づく過剰供給発生確率が所定の閾値以上である場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する。
【0051】
(3)第3の態様に係る焼却炉設備の制御装置4は、上記(2)の態様に係る焼却炉設備の制御装置4であって、前記閾値は、一酸化炭素の発生量を示す情報と窒素酸化物の発生量を示す情報とを少なくとも含む実際の前記被焼却物の燃焼状況に係る情報に基づいて変化させられる値である。
【0052】
(4)第4の態様に係る焼却炉設備の制御装置4は、上記(1)から(3)の態様に係る焼却炉設備の制御装置4であって、前記画像情報認識部42は、前記フィーダ近傍領域を複数の領域に分割した分割領域毎に、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であるか否かを認識し、前記供給状態判定部43は、少なくとも、複数の前記分割領域で、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識された場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する。
【0053】
(5)第5の態様に係る焼却炉設備の制御装置4は、上記(1)から(4)の態様に係る焼却炉設備の制御装置4であって、前記画像情報認識部42は、少なくとも前記画像情報を説明変数とし、前記被焼却物のせり出しの有り、無し、および、視界不良を目的変数として求める学習済みモデル491を用いて、前記被焼却物がせり出した状態であるか否かを認識し、前記供給状態判定部43は、少なくとも、前記被焼却物が前記炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識され、かつ、前記フィーダが前記被焼却物を押し込み中である場合、前記被焼却物が前記炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する。
【0054】
(6)第6の態様に係る焼却炉設備の制御装置4は、上記(1)から(5)の態様に係る焼却炉設備の制御装置4であって、前記過剰供給の予兆があると判定された場合に燃焼用空気の供給量が増加するように制御する燃焼用空気量制御部、または、前記過剰供給の予兆があると判定された場合に前記フィーダの動作速度を遅くし、かつ、ストロークが短くなるように制御するフィーダ制御部の少なくとも一方をさらに備える。
【符号の説明】
【0055】
100…焼却炉設備
108…燃焼室
110…押出装置
4…制御装置
41…画像情報取得部
42…画像情報認識部
43…供給状態判定部
44…燃焼用空気量制御部
45…フィーダ制御部
49…記憶部
491…学習済みモデル
492…画像情報
【要約】
【課題】廃棄物等の被燃焼物の供給量の変化に応じた制御の遅れを改善する。
【解決手段】焼却炉設備の制御装置は、被焼却物を燃焼させながら搬送する炉本体と、炉本体に被焼却物を供給するフィーダとを有する焼却炉設備の制御装置であって、フィーダ近傍領域を含む画像情報を周期的に取得する画像情報取得部と、画像情報に基づいてフィーダ近傍領域における被焼却物が炉本体に対してせり出した状態であるか否かを認識する画像情報認識部と、被焼却物が炉本体に対してせり出した状態であることが、所定時間継続的に認識された場合、被焼却物が炉本体に対して過剰供給される予兆があると判定する供給状態判定部とを備える。
【選択図】
図4