(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】横引きロールスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/60 20060101AFI20220111BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
E06B9/60
E06B9/42 A
(21)【出願番号】P 2017194326
(22)【出願日】2017-10-04
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(72)【発明者】
【氏名】澤口 直人
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-174938(JP,A)
【文献】実開昭60-6089(JP,U)
【文献】特開2008-163672(JP,A)
【文献】特開2017-172252(JP,A)
【文献】特開2005-157158(JP,A)
【文献】特開2017-31574(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159364(JP,U)
【文献】実開平7-32193(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取りボックス内の上下部のブラケット間に巻取軸の上下端を着脱可能に支持させ、該巻取軸に内蔵したコイルスプリングの回転付勢力により、該巻取軸に一端を保持させたスクリーンを巻取り可能とした横引きロールスクリーン装置において、
上記巻取りボックス内の巻取軸から導出されるスクリーンの上下端に
は、該上下端に沿って多数の係合子
が取り付け
られ、
上記スクリーンの導出端に
は、該スクリーンの開閉操作に供する可動框
が取り付けられ、
上記可動框の上端をガイドするスクリーン枠の上枠内に
は、上記スクリーンの上端の係合子を係合させてガイドするスリットを備えたインナーレール
が収容
され、
上記可動框の下端をガイドするスクリーン枠の下レール
には、上面にスリットを備えた中空ガイド部
と、該中空ガイド部の両側に、上記可動框の下端部が該中空ガイド部を跨いで走行する走行面
とが形成されていて、上記中空ガイド部のスリットにスクリーンの下端の係合子が係合されてガイドされ、
上記巻取軸の下端が、該巻取軸の下キャップを、上記下部のブラケット上に設けた軸支部材に対して回転自在で上方に抜脱可能に嵌合させることにより支持され、
上記巻取軸の上端は、該巻取軸の上キャップの中心孔に対して、回転及び上下摺動を可能にして挿通することにより上方に突出させたところの、上記コイルスプリングの支持軸を、上記上部のブラケットに着脱可能ではあるが回転不能に保持させ得るものとして支持され、
上記支持軸の上端に固定的に取り付けた軸支持キャップと上記上キャップとの間に、該支持軸に対する側方からの嵌着により弾性的に係着可能にした着脱自在のスペーサを介在させ、該スペーサを上記支持軸から離脱させて該支持軸を巻取軸内へ挿入することにより、該巻取軸の上下端間を短縮させたときに、該巻取軸が巻取りボックスから取り出し可能な長さをもつように形成している、
ことを特徴とする横引きロールスクリーン装置。
【請求項2】
上記巻取軸内の下部と上記コイルスプリングの支持軸との間に、該支持軸に上動の付勢力を作用させるスプリングを配設し、上記軸支持キャップと上記上キャップとの間に上記スペーサを介在させた状態において、該支持軸の上端の角形部を上部の軸支部材に設けた角孔に押入する上記付勢力を作用させるものとしている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の横引きロールスクリーン装置。
【請求項3】
上記スペーサが、弾性を有する素材により成形され、上記支持軸を挟持する一対の対向する挟持部片を備えていて、それらの一端部を上記支持片に挟持力を付与する弾性連結部において連結し、且つ、上記一対の挟持部片に、上記支持軸の挟持のために開閉する指掛け用の操作部を付設することにより構成している、
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の横引きロールスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取軸に巻き取られているロールスクリーンを横引きで開閉するロールスクリーン装置に関するものであり、更に具体的には、該スクリーン装置の施工後においても巻取軸が巻取りボックスに容易に着脱可能であるというメンテナンスの容易性を保ちながら、ロールスクリーン及びそれに連結した可動框の下端をガイドする下レールを薄くしてバリアフリー化をも容易に実現できるようにした横引きのロールスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にも開示されているように、横引きのロールスクリーン装置における巻取りボックスの内部に巻取軸を収容し、該巻取軸に内蔵したコイルスプリングの回転付勢力によって該巻取軸に一端を保持させたスクリーンを巻取り可能としたロールスクリーン装置は、極めて一般的に知られている。このようなロールスクリーン装置では、その施工後の各種メンテナンスにおいてスクリーンを巻付けた巻取軸を巻取りボックスに対して容易に着脱可能にしておくことが求められ、上記特許文献1のスクリーン装置においても、そのような構成を備えている。
【0003】
しかしながら、横引きのロールスクリーン装置では、スクリーンの上下端に沿って取り付けている係合子をスクリーン枠の上下枠内に設けたインナーレールに係合させてガイドする必要があるため、巻取軸の下端、ないしはそれを越える下方にスクリーンの下端の係合子を位置させる必要があり、そのため、上述のように横引きのロールスクリーン装置の施工後に、スクリーンを巻付けた巻取軸を巻取りボックスに対して容易に着脱可能にしておくには、巻取軸の下端を容易に巻取りボックスの下端部から離脱可能にしておくための巻取軸下端の支持構造に設計上の困難性がある。
【0004】
即ち、上述のような横引きのロールスクリーン装置においては、その施工後のメンテナンスにおいて、スクリーンを巻付けた巻取軸を巻取りボックスに対して容易に着脱可能にしておくためには、特許文献1からも分かるように、ロールスクリーン及びその可動框の下端をガイドするガイド部材が床面から高くなり勝ちであり、そのため、下レールを薄くしてスクリーン装置の設置部分をバリアフリー化し、通行等の障害になるのを抑制することが要望されているが、上述した巻取軸を容易に着脱可能にしておく構成との関連において、下レールを薄くしたり、可動框の下端をガイドする下枠をなくすことには困難性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、巻取りボックス内の巻取軸を施工後のメンテナンスのために、該巻取軸を巻取りボックスに対して容易に着脱可能にし、しかも、その機能を損なうことなく、下レールをバリアフリー化のために薄くすることをも可能にした横引きロールスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、巻取りボックス内の上下部のブラケット間に巻取軸の上下端を着脱可能に支持させ、該巻取軸に内蔵したコイルスプリングの回転付勢力により、該巻取軸に一端を保持させたスクリーンを巻取り可能とした横引きロールスクリーン装置において、上記巻取りボックス内の巻取軸から導出されるスクリーンの上下端には、該上下端に沿って多数の係合子が取り付けられ、上記スクリーンの導出端には、該スクリーンの開閉操作に供する可動框が取り付けられ、上記可動框の上端をガイドするスクリーン枠の上枠内には、上記スクリーンの上端の係合子を係合させてガイドするスリットを備えたインナーレールが収容され、上記可動框の下端をガイドするスクリーン枠の下レールには、上面にスリットを備えた中空ガイド部と、該中空ガイド部の両側に、上記可動框の下端部が該中空ガイド部を跨いで走行する走行面とが形成されていて、上記中空ガイド部のスリットにスクリーンの下端の係合子が係合されてガイドされ、上記巻取軸の下端が、該巻取軸の下キャップを、上記下部のブラケット上に設けた軸支部材に対して回転自在で上方に抜脱可能に嵌合させることにより支持され、上記巻取軸の上端は、該巻取軸の上キャップの中心孔に対して、回転及び上下摺動を可能にして挿通することにより上方に突出させたところの、上記コイルスプリングの支持軸を、上記上部のブラケットに着脱可能ではあるが回転不能に保持させ得るものとして支持され、上記支持軸の上端に固定的に取り付けた軸支持キャップと上記上キャップとの間に、該支持軸に対する側方からの嵌着により弾性的に係着可能にした着脱自在のスペーサを介在させ、該スペーサを上記支持軸から離脱させて該支持軸を巻取軸内へ挿入することにより、該巻取軸の上下端間を短縮させたときに、該巻取軸が巻取りボックスから取り出し可能な長さをもつように形成していることを特徴とする横引きロールスクリーン装置が提供される。
【0009】
本発明に係る横引きロールスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記巻取軸内の下部と上記コイルスプリングの支持軸との間に、該支持軸に上動の付勢力を作用させるスプリングを配設し、上記軸支持キャップと上記上キャップとの間に上記スペーサを介在させた状態において、該支持軸の上端の角形部を上部の軸支部材に設けた角孔に押入する上記付勢力を作用させるものとして構成される。
【0010】
また、本発明に係る横引きロールスクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記スペーサが、弾性を有する素材により成形され、上記支持軸を挟持する一対の対向する挟持部片を備えていて、それらの一端部を上記支持片に挟持力を付与する弾性連結部において連結し、且つ、上記一対の挟持部片に、上記支持軸の挟持のために開閉する指掛け用の操作部を付設したものとして構成される。
【発明の効果】
【0011】
以上に詳述した本発明の横引きロールスクリーン装置によれば、巻取りボックス内の巻取軸を施工後のメンテナンスのために、該巻取軸を巻取りボックスに対して容易に着脱可能にし、しかも、その機能を損なうことなく、下レールをバリアフリー化のために薄くすることをも可能にした横引きロールスクリーン装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る横引きロールスクリーン装置の実施例を、巻取りボックスから開閉扉を取り外した状態で示す模式的な外観斜視図である。
【
図2】上記実施例における巻取りボックスの上部の内部構造を示す要部拡大断面図である。
【
図3】上記実施例における巻取軸及び可動框の下部の構成を示す要部拡大断面図である。
【
図4】上記可動框及びスクリーンの上部のガイド構成を示す側断面図である。
【
図5】上記可動框及びスクリーンの下部のガイド構成を示す側断面図である。
【
図6】上記巻取軸の上部キャップにおけるスペーサの着脱態様を示し、(a)は該スペーサの取付状態を示す斜視図、(b)は該スペーサを取り外した分離状態を示す斜視図である。
【
図7】上記上部キャップにおけるスペーサを取り外した状態で巻取り用コイルスプリングの支持軸を押し下げた状態を示す巻取りボックス上部の要部拡大断面図である。
【
図8】巻取りボックスの内部構成の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係る横引きロールスクリーン装置の実施例の全体的な構成を模式的に示している。このロールスクリーン装置は、建物開口部における遮光、断熱、目隠し、防虫、或いは花粉除け等のための網戸に適用可能なもので、概略的には、スクリーン枠1の一方の側枠を構成する巻取りボックス2内に、
図2、
図3及び
図8に示すような巻取軸7を収容し、該巻取軸7に内蔵したコイルスプリング8の回転付勢力によって、該巻取軸7に一端を保持させたスクリーン6を巻取り可能とし、それによって該スクリーン6を横引きで開閉できるようにしたスクリーン装置を、以下に詳述する構成によってバリアフリー化し、しかも巻取りボックス内の巻取軸を施工後のメンテナンスのために巻取りボックスから容易に取り外したものである。
【0014】
上記横引きロールスクリーン装置についてより具体的に説明すると、建物開口部に設置する該スクリーン装置のスクリーン枠1は、上記一方の側枠を構成する巻取りボックス2と、それに対向する受け枠3と、それらの上端間を連結するように配設された上枠4と、該巻取りボックス2と受け枠3との下端間に配置された下レール5とによって構成されている。上記巻取りボックス2は、その内部に上記スクリーン6を巻回した巻取軸7の上下端を回転可能に支持させ、上記スクリーン6の先端には、該スクリーン6の開閉操作に供する可動框9を取り付け、該可動框9の上下端及びスクリーン6の上下端部をそれぞれ上記上枠4及び下レール5にガイドさせることにより、それらを開閉方向に摺動自在に保持させ、該スクリーン6をスクリーン枠1内において開閉自在としている。なお、上記スクリーン装置のバリアフリー化のため、上枠4に対向配置されて可動框9の下端をガイドする溝状の下枠は備えることなく、上記下レール5によって可動框9の下端をガイドさせている。
【0015】
図1~
図3に示すように、上記巻取りボックス2は、その上下端にそれぞれ上下部のブラケット10,20を固定すると共に、前面に巻取軸7を内部に出し入れすることが可能な開閉扉2aを開閉自在に取り付けたもので、上記巻取軸7を上下部のブラケット10,20の間に回転自在に支持させるため、該巻取軸7はその円筒状をなす筒軸本体7aの上下端に、それぞれ、上キャップ11及び下キャップ21を固定的に取り付けている。そして、巻取軸7の下端は、上記下部のブラケット20の上面に設けた短円柱状の軸支部材22に対して、上記下キャップ21の下面に設けた嵌合孔21aを回転自在で抜脱可能に外嵌させることにより、下部のブラケット20に回転可能に支持させている。
【0016】
一方、
図2及び
図6から分かるように、上記巻取軸7の上端においては、該巻取軸7に固定した上キャップ11の中心孔11a内に回転及び上下の摺動を可能にしたところの、該巻取軸を回転させる前記コイルスプリング8の支持軸13を挿通し、更に該上キャップ11上に突出させた該支持軸13の上端を、上部に円板状部15aを有する軸支持キャップ15の中心の取付孔15bに挿通し、該取付孔15bの上端にワッシャー16を介在させて、該ワッシャーの上で、該支持軸13の軸端を押し潰してそこに角形部13aを形成することにより、該角形部13aを軸支持キャップ15上に突出させたものとし、支持軸13の上端に該軸支持キャップ15を固定している。
【0017】
上記巻取りボックス2内における巻取軸7の上端の支持は、
図2及び
図7から分かるように、該巻取りボックス2の上部のブラケット10の下面側に設けた軸支部材12に、上記支持軸13の上端に形成した角形部13aが押入される角孔12aを設けておき、上記巻取軸7の支持軸13を、上記ブラケット10の角孔12aに着脱可能ではあるが回転不能に保持させ得るように構成している。
【0018】
また、上記軸支持キャップ15と前記上キャップ11の間には、
図6の(a)(b)に詳細に示しているように、上記支持軸13に対する側方からの嵌着により弾性的に係着可能にしたスペーサ17を着脱自在に介在させるように構成している。該スペーサ17は、弾性を有する合成樹脂により成形するのが望ましく、該支持軸13を挟持するための一対の対向する挟持部片17aを備えていて、それらの一端部を上記支持軸13に対して挟持力を付与する弾性連結部17bにおいて連結し、且つ、上記一対の挟持部片17aに、それらを支持軸13の挟持のために開閉する指掛け用の操作部17cを付設している。
【0019】
更に、
図2及び
図8等に示しているように、巻取軸7の上部からその上キャップ11を貫通して巻取軸7の内方まで導入された支持軸13の、該上キャップ11から巻取軸内に若干嵌入した部位に、スクリーン6を巻き取るための駆動源であるコイルスプリング8の上端を、ネジ18等の固定金具で固定している。この固定金具は、支持軸13が上キャップ11の中心孔11aを通して上方に突出する限度を設定する機能をも有している。上記コイルスプリング8は、その下端を、上記支持軸13に対して回転及び摺動自在であるスプリング受け19の螺旋溝19aに対して螺挿することにより固定的に連結しているものである。また、該スプリング受け19は、巻取軸7の筒軸本体7aの内面に対しては回転しないが上下摺動可能に保持させている。
【0020】
そのため、スクリーン6の張設操作時には該コイルスプリング8に回転付勢力が蓄積され、それに伴って、コイルスプリング8は縮径して、その巻き長さが延ばされる。一方、スクリーン6の巻取り時には、その回転付勢力が張設したスクリーン6の自動的な巻取りに供され、それに伴って、コイルスプリング8はその巻き径が大きくなると共に、巻き長さを短くすることが可能になる。なお、このようなコイルスプリング8の挙動がトラブルの原因(コイルスプリングの蛇行等の異状)になるのを避けるなどの目的で、以下に述べるように、巻取軸7内のコイルスプリング8のスプリング受け19に上動の付勢力を作用させるスプリング24を設けている。
【0021】
上記スプリング24について簡単に説明すると、巻取軸の筒軸本体7a内の下部には、例えば、該巻取軸7の減速用オイルダンパー等の部材が配設されたりするが、支持軸13の下端をそれらの部材に摺動自在に保持させて、それにスプリング24の受け板23を固定し、該受け板23と上記コイルスプリング8の下端部に取り付けた筒軸本体7a内において摺動自在のスプリング受け19との間に、該スプリング受け19を上動させる方向に付勢する上記スプリング24を配設している。
【0022】
該スプリング24は、スクリーン6の展張操作によりコイルスプリング8が捩じられて縮径すると同時に、その巻き長さを延ばしたときに、その伸長の力によりスプリング受け19を介して圧縮されて、該スプリング24に圧縮力が蓄えられ、一方、上記スクリーン6の展張操作でコイルスプリング8に蓄えられた回転付勢力により、スクリーン6を巻取り動作させると、コイルスプリング8が拡径して長さ方向に短縮可能な状態になるが、このときには、上記スクリーン6の展張操作時にスプリング24に蓄えた圧縮力によって、スプリング受け19に上動の付勢力が作用するので、コイルスプリング8を円滑に短縮させることができる。
【0023】
従って、上述のスペーサ17を軸支持キャップ15と巻取軸7の上キャップ11との間において支持軸13に対して係着させた状態で、スクリーン6を展張させると、コイルスプリング8が捩じられて縮径すると同時にその巻き長さが延び、それによって、スプリング24も圧縮状態になるため、巻取軸7の支持軸13の上端の角形部13aが上部の軸支部材12に設けている角孔12aに安定的に押入され、また巻取軸7の下キャップ21の下面に設けた嵌合孔21aも、下部のブラケット20の上面の短円柱状の軸支部材22に対して安定的に外嵌させた状態にすることができ、巻取軸7の支持が安定化することになる。
【0024】
一方、上記スクリーン6の展張時にコイルスプリング8に蓄積された回転付勢力によって巻取軸7にスクリーン6を巻取ろうとすると、コイルスプリング8が拡径しようとするが、スクリーン6の巻取りを開始する段階においては、巻取軸7が急速に回転を開始するため、スプリング受け19が筒軸本体7aに沿って円滑に移動するとは限らず、それが前記トラブルの原因になる可能性があるが、上記スクリーンの展張時に圧縮されたスプリング24の付勢力がスプリング受け19を上動させて、コイルスプリング8を長さ方向に短縮させるため、スクリーン6は円滑に巻き取られる。
【0025】
前述したように、上記ロールスクリーン装置は、建物開口部等への施工後の各種メンテナンスにおいて、巻取軸7を巻取りボックス2から容易に取り出し可能にしておくことが求められ、そのため、このスクリーン装置においては、上記巻取軸7の巻取りボックス2からの取り出しを容易にしているので、ここで、その取り出し手順について具体的に説明する。
【0026】
上記ロールスクリーン装置における巻取軸7の取り外しに際しては、まず、巻取りボックス2の開閉扉2aを開いて、上述のスペーサ17を取り外すことになるが、その際に、該巻取りボックス2内においてスクリーン6が巻取軸7に巻き取られていない状態、つまり、スペーサがスクリーン6で覆われていない状態にあることが必要であり、そのため、スクリーンの展張状態で、まずスペーサ17を取り外し、そのうえでゆっくりとスクリーン6を巻取軸7に巻取る作業を行えばよい。この状態では、コイルスプリング8に回転付勢力が蓄えられていないので、支持軸13のスペーサ17を取り外した部位にスクリーン6が巻き取られてはいるが、該支持軸13の上端の角形部13aを容易に軸支部材12の角孔12aから離脱することができると共に、該支持軸13を巻取軸7内に押入することができ、そのため、巻取軸7の上下端を軸支部材12,22から取り外して、巻取りボックス2の開かれた開閉扉2aから容易に巻取軸7を取り出すことができる。
【0027】
上記スペーサ17は、
図6の(a)(b)に詳細に示しているような態様で、巻取軸7の上キャップ11と軸支持キャップ15との間において支持軸13に弾性的に保持させているため、一対の挟持部片17aに付設された指掛け用の操作部17cを操作し、一対の挟持部片17a間を開いて支持軸13から取り外すことができる。この状態では、
図2の位置にある軸支持キャップ15を容易に下方に押圧でき、
図7に示すように、該軸支持キャップ15の下面を巻取軸7の上キャップ11の上面に押し付けることができる。
【0028】
図7の状態では、巻取軸7及び支持軸13を、同図における軸支持キャップ15の上方に生じた空隙分だけ上方に持ち上げることが可能であり、そのため、
図1に示す巻取りボックス2の開閉扉2aを開いた状態で、巻取軸7の下キャップ21の下面に設けた嵌合孔21aを、下部のブラケット20の上面に設けた軸支部材22から抜き出すことにより、巻取軸7及び支持軸13を該巻取りボックス2から取り出すことができ、巻取りボックス2自体をスクリーン装置から取り外したりすることなく、必要なメンテナンスを行うことができる。
【0029】
なお、巻取軸7の取り出しに当たり、可動框9も同時に取り出すようにする場合には、巻取りボックス2内にそれを通して可動框9を取り出し可能にする移動路を形成しておけばよく、また、巻取軸7と共にスクリーン6のみの取り出しを行えばよい場合には、スクリーン枠1内に可動框9がある状態で、
図3に示すように、スクリーン6における可動框9への取付端に沿って付設している係合子6cを、可動框9内の係合溝から離脱させるようにした既知の構成をもたせておけばよい。
【0030】
上記横引きロールスクリーン装置においては、上記巻取軸7を取り外し可能にするに当たって、上記巻取りボックス2の上下端のブラケット10,20に、巻取軸7を回転自在且つ着脱可能に保持させているが、その構成は、以下に詳述するように、横引きロールスクリーン装置をバリアフリー化するためにも極めて適したものとしている。
【0031】
即ち、上記横引きロールスクリーン装置においては、
図3~
図5から分かるように、スクリーン6の上下端に沿って取り付けている係合子6a,6bをスクリーン枠1の上下においてガイドさせる必要があり、図示の実施例では、スクリーン6の上縁に取り付けた係合子6aをスクリーン枠1の上枠4内に収容したインナーレール28の凹溝の下部のスリット28aに係合させてガイドするものとし、一方、スクリーン6の下縁に取り付けた係合子6bは、スクリーン枠1の下レール5に形成した中空ガイド部30上のスリット30aに係合させてガイドするように構成している。
【0032】
上記横引きロールスクリーン装置のバリアフリー化のためには、上記下レール5におけるスクリーン6の下端の係合子6bをガイドする上記中空ガイド部30が、可及的に床面に近い低位置に設けられるべきであり、それに伴って、巻取りボックス2内において巻取軸7の下端部に巻かれているスクリーン6の下端の係合子6bも、スクリーン6の張設に伴って中空ガイド部30に導入する必要がある。そのため、上記巻取軸7の下端の支持構造を、該巻取軸7に巻き取っているスクリーン6の下端の係合子6bを下レール5の中空ガイド部30に対向させるように、巻取軸7の下端を可及的に床面に近づけるべく、該巻取軸7の下端の下キャップ21を下部のブラケット20上において直接的に回転自在に、しかも、巻取軸7の離脱が容易になるように、該下キャップ21を、上記下部のブラケット20上に設けた短円柱状の軸支部材22に対して上方に抜脱可能に嵌合させている。
【0033】
また、上述した下レール5を用いていることから、該下レール5による可動框9のガイドは、上面にスリット30aを備えた中空ガイド部30の両側に、上記可動框9の下端部が該中空ガイド部30を跨いで走行する走行面30bを形成して、該可動框9の下端の跨乗脚部の少なくとも一方に転輪31を設け、それを一方の走行面30b上において転動させるように構成し、上記スクリーン6の下端の係合子6bを該中空ガイド部30のスリット30aに係合させて、該スクリーン6の下端をガイドするように構成している。しかしながら、上記可動框9の下端の一対の跨乗脚部にそれぞれ転輪31を設け、それらを中空ガイド部30の両側の走行面30b上において転動させるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 スクリーン枠
2 巻取りボックス
4 上枠
5 下レール
6 スクリーン
6a,6b 係合子
7 巻取軸
8 コイルスプリング
9 可動框
10 ブラケット
17 スペーサ
20 ブラケット
28 インナーレール
30 中空ガイド部
30b 走行面