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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】車載器
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20220216BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220216BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
B60R16/02 645A
B60R16/03 S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019153140
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021033640
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2019-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売により公開(販売日:平成30年8月23日、販売した場所:株式会社デンソー(愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地))
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸行
(72)【発明者】
【氏名】木村 一樹
【合議体】
【審判長】島田 信一
【審判官】出口 昌哉
【審判官】藤井 昇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117322(JP,A)
【文献】特開2017-216792(JP,A)
【文献】特開2019-67016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00 - 15/00
B60R 11/00 - 11/06
B60R 16/00 - 17/02
B60R 25/00 - 99/00
B60H 1/00 - 3/06
H02J 9/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、所定の処理を実行し、前記車両の周囲の少なくとも一部を撮像した画像を記録するドライブレコーダである車載器であって、
前記車両の車載バッテリから電力の供給を受けて、前記画像の撮像制御を行うための処理及び前記画像の記録制御を行うための処理を前記所定の処理として実行する処理装置と、
前記車両の車載バッテリから電力の供給を受けて蓄電し、該蓄電した電力を、前記車両の車載バッテリから電力の供給が絶たれたときに前記処理装置に供給可能な電力供給部と、
前記車両の車載バッテリから供給される電力の電圧を変換して、少なくとも前記電力供給部に変換後の電力を供給する電力変換部と、
を備え、
前記電力変換部は、前記車両が使用状態である場合は、前記電力供給部に印加される電圧を第1の電圧に変換し、前記車両が使用状態でない場合は、前記電力供給部に印加される電圧を前記第1の電圧よりも低い第2の電圧に変換し、
前記第2の電圧は、前記処理装置が前記所定の処理を実行するために必要な最低電圧である、車載器。
【請求項2】
請求項1に記載の車載器であって、
前記処理装置は、
前記車両が使用状態から不使用状態になった時から所定時間、前記電力供給部に蓄電された電力により前記所定の処理を実行する、車載器。
【請求項3】
車両に搭載され、所定の処理を実行し、前記車両の周囲の少なくとも一部を撮像した画像を記録するドライブレコーダである車載器であって、
前記車両の車載バッテリから電力の供給を受けて、前記画像の撮像制御を行うための処理及び前記画像の記録制御を行うための処理を前記所定の処理として実行する処理装置と、
前記車両の車載バッテリから電力の供給を受けて蓄電し、該蓄電した電力を、前記車両の車載バッテリから電力の供給が絶たれたときに前記処理装置に供給可能な電力供給部と、
前記車両の車載バッテリから供給される電力の電圧を変換して、少なくとも前記電力供給部に変換後の電力を供給する電力変換部と、
を備え、
前記電力変換部は、前記車両が使用状態である場合は、前記電力供給部に印加される電圧を第1の電圧に変換し、前記車両が使用状態でない場合は、前記電力供給部に印加される電圧を前記第1の電圧よりも低い第2の電圧に変換し、
前記処理装置は、前記車両が使用状態から不使用状態になった時から所定時間、前記電力供給部に蓄電された電力により前記所定の処理を実行する、車載器。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の車載器であって、
前記電力変換部は、前記処理装置にも変換後の電力を供給する車載器。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の車載器であって、
前記電力変換部は、
前記電力供給部の側から、車両側への電力の逆流を抑制する抑制機能を有する、車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載器及びドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載され、当該車両の走行時及び駐車時に車両周辺の画像(映像)を撮像し録画することが可能なドライブレコーダが開示されている。このドライブレコーダは、キャパシタを備える。キャパシタは、事故等により、万一、車載バッテリの電圧をドライブレコーダに供給する電源線が断線したときなどでも、当該事故時に画像(映像)を一定時間撮像し、撮像した画像(映像)を記録するためドライブレコーダのバックアップ電源として利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-67016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キャパシタは、アクセサリスイッチがオフの時は放電される。そのため、アクセサリスイッチをオンした直後は、キャパシタには、撮像および録画に必要な電力が充電されていない可能性がある。そうすると、アクセサリスイッチをオンした直後に、アクセルの踏み間違い等の事故によって車両が破壊され、車載バッテリからドライブレコーダへの電力供給が絶たれた場合、ドライブレコーダはその事故の様子を録画できない可能性がある。
【0005】
そのため、アクセサリスイッチがオフのときも、アクセサリスイッチがオンのときと同様に、キャパシタを充電し続けることが考えられる。
しかし、アクセサリスイッチがオフのときも、アクセサリスイッチがオンのときと同じ高電圧を印加することとすると、キャパシタには高電圧が長期間印加され続けることとなるので、キャパシタの劣化が早く進む可能性がある。
【0006】
本開示の一局面は、アクセサリスイッチがオンである状態など車両が使用状態になった直後に車載バッテリからドライブレコーダなどの車載器への電力供給が遮断されても、電力供給が遮断される原因となった事故の様子の録画などの所定の処理を高確率で実行でき、しかも、キャパシタなどのバックアップ電源用の電力供給部の劣化を抑制可能な車載器及びドライブレコーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両に搭載され、所定の処理を実行する車載器であって、車両から電力の供給を受けて前記所定の処理を実行する処理装置と、前記車両から電力の供給を受けて蓄電し、該蓄電した電力を、車両から電力の供給が絶たれたときに前記処理装置に供給する電力供給部と、前記車両から供給される電力の電圧を変換して、少なくとも前記電力供給部に変換後の電力を供給する電力変換部と、を備える。
【0008】
このうち、電力変換部は、車両が使用状態である場合は、電力供給部に印加される電圧を第1の電圧に変換し、車両が使用状態でない場合、電力供給部に印加される電圧を第1の電圧よりも低い第2の電圧に変換する。
【0009】
なお、車両が使用状態である場合とは、車両の所有者あるいは乗員等が車両に乗車している状態や、乗車しようとしている状態を含むものとし、構成的には、アクセサリスイッチがオンである場合、又はイグニッションスイッチがオンである場合、エンジンスタータなどによりエンジンがオンである場合でもよい。また、車両が使用状態である場合は、キーレスエントリシステムにより、車両のドアが解錠される場合、車両が乗員の乗車を検出した場合でもよい。
【0010】
この態様によると、車両が使用状態でないとき、車両が使用状態である場合に印加される第1の電圧よりも低い第2の電圧が電力供給部に印加される。
よって、この態様の車載器では、電力供給部の劣化を抑制することができる。
【0011】
また、この態様によると、車両が使用状態でないとき、第2の電圧で電力供給部が充電されている。そのためこの態様では、電力供給部は、全く充電されていない場合に比べ、車両が使用状態になると、録画等の所定の処理が可能な電力を処理装置に供給可能な状態に素早く移行する。
【0012】
よって、この態様の車載器は、電力供給部が全く充電されていない場合に比べ、車両が使用状態になった直後に車載バッテリから車載器への電力供給が遮断されても、所定の処理を高い確率で実行できる。
【0013】
本開示の一態様では、第2の電圧は、処理装置が所定の処理を実行するために必要な最低電圧であってもよい。
このような構成によれば、車両が使用状態でない場合は前記最低電圧で電力供給部が充電される。そして、車両が使用状態になり、電力供給部に印加される電圧が増大すると、電力供給部は短時間で所定の蓄電量(例えばフルの蓄電量)まで充電される。よって、車両が使用状態になってから短時間で処理装置が所定の処理を開始できる。
【0014】
なお、第2の電圧は、目的とする効果を奏するのであれば厳密に前記最低電圧と一致していなくてもよく、前記最低電圧と多少異なっていてもよい。
本開示の一態様では、車載器は、車両の周囲の少なくとも一部を撮像した画像を記録するドライブレコーダであってもよい。そして、処理装置は、電力の供給を受けて、画像の撮像制御を行うための処理及び画像の記録制御を行うための処理を所定の処理として行うように構成されていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、車両が使用状態になった直後に事故等により車載バッテリから処理装置への電力供給が遮断されても、電力供給が遮断される原因となった事故の様子の録画を高確率で実行でき、電力供給部の劣化を抑制することができる。
【0016】
また、本開示の一態様では、電力変換部は、処理装置にも変換後の電力を供給してもよい。さらに、本開示の一態様では、処理装置は、車両が使用状態から不使用状態になった時から所定時間、電力供給部に蓄電された電力により所定の処理を実行してもよい。また、本開示の一態様では、電力変換部は、電力供給部の側から、車両側への電力の逆流を抑制する抑制機能を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、電圧制御システムの構成を示すブロック図である。
図2図2(a)は通常時における時間と電力供給部の蓄電量との関係を示すグラフ、図2(b)は事故発生時における時間と電力供給部の蓄電量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.構成]
図1に示す電圧制御システム1は、車両に搭載される。電圧制御システム1は、ドライブレコーダ2と、車載バッテリ3と、アクセサリスイッチ(以下「ACCスイッチ」という。)4と、その他装置5と、を備える。
【0019】
ドライブレコーダ2は、車両の走行時及び駐車時に車両周辺の画像(映像)を撮像し録画することが可能な装置である。ドライブレコーダ2は、車載バッテリ3により駆動され、ACCスイッチ4に基づきその駆動が制御される。ドライブレコーダ2は、いわゆるイグニッションスイッチとして機能する車両のパワースイッチ(図示省略)がアクセサリ位置(ACC位置)、すなわちACCスイッチ4がONになると駆動(動作)する。ドライブレコーダ2は、制御ユニット21と電力供給部22と電力変換部23とを備え、これらの構成部品21~23が一つの小型の筐体20に全て収容されている。
【0020】
制御ユニット21(処理装置に相当する)は、撮像装置211と、加速度センサ212と、メモリ213と、制御装置214と、を備える。
撮像装置211は、CCDカメラなどで構成され、車両の周囲の少なくとも一部(例えば車両前方)の画像を撮像する。撮像装置211は、撮像された画像データを制御装置214に出力する。
【0021】
加速度センサ212は、車両への他車両等の衝突、車両の急加速、急減速、あるいは車両への外部からの衝撃等によって発生する加速度を検出し、検出結果を制御装置214に出力する。
【0022】
メモリ213は、撮像装置211により撮像された画像データを制御装置214の指令の下で記録する。メモリ213は、例えば、SDカード(登録商標)などの汎用携帯型記録媒体などでもよい。メモリ213は、画像(映像)を録画し、事後的に解析する場合に利用される。
【0023】
制御装置214は、CPUと、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリと、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御装置214は、電力の供給を受けて、撮像装置211による画像の撮像制御を行うための処理(以下「撮像制御処理」という。)と、前記画像の記録制御を行うための処理(以下「記録制御処理」という。)と、を行うように構成されている。制御装置214が撮像制御処理を行うことで撮像装置211による画像の撮像の開始及び終了等が制御される。また、制御装置214が記録制御処理を行うことで撮像装置211により撮像された画像データのメモリ213への記録の開始及び終了等が制御される。本実施形態では、制御装置214は、ACCスイッチ4がONになると、撮像制御処理及び記録制御処理を実行する。
【0024】
一方、電力供給部22は、車載バッテリ3から電圧が印加されることで蓄電し、蓄電された電力を制御ユニット21に供給する。制御ユニット21に電力が供給されると、制御ユニット21内の制御装置214等の必要部位(各部)に電力が供給される。本実施形態では、電力供給部22は、電気二重層コンデンサ等であるキャパシタである。ただし、電力供給部22はこれに限られず、電力供給部22は例えば電池等であってもよい。
【0025】
電力供給部22は、事故等により、万一、車載バッテリ3の電圧を供給する電源線が断線したときなどでも、当該事故時に画像(映像)を一定時間撮像し、かつ撮像した画像(映像)を記録するためドライブレコーダ2のバックアップ電源として利用される。
【0026】
なお、電力供給部22は、第1電力供給路6において車載バッテリ3と制御ユニット21との間に設けられる。ここで、第1電力供給路6は、車載バッテリ3から制御ユニット21に電力を供給するための供給路である。
【0027】
一方、電力変換部23は、車載バッテリ3から電力供給部22及び制御ユニット21に印加される電圧を、ACCスイッチ4のオンオフに応じて変換するための部品である。
本実施形態の電力変換部23は、CPUを有する周知のマイクロコンピュータを備え、電力変換部23とACCスイッチ4とを接続する電力線23aを介してACCスイッチ4がオンであるかオフであるかを検出する。そして、電力変換部23は、ACCスイッチ4がオン又はオフであるかに応じて、車載バッテリ3による電圧の変換後の電圧値を変更する。
【0028】
具体的には、電力変換部23は、ACCスイッチ4がオンである間は、電力供給部22及び制御ユニット21に印加される電圧を、第1の電圧V1に変換する。一方、電力変換部23は、ACCスイッチ4がオフである間は、電力供給部22及び制御ユニット21に印加される電圧を、第1の電圧V1よりも低い第2の電圧V2に変換する。
【0029】
本実施形態では、第2の電圧V2は、制御装置214が撮像制御処理及び記録制御処理を実行するために必要な最低電圧(約4V)に設定される。換言すれば、第2の電圧V2は、ドライブレコーダ2が録画可能な最低電圧に設定される。一方、第1の電圧V1は、制御装置214、ひいてはドライブレコーダ2が安定して駆動可能な電圧(約5V)に設定される。
【0030】
なお、電力変換部23は、第1電力供給路6において車載バッテリ3と電力供給部22との間に設けられる。また、第1電力供給路6において車載バッテリ3と電力変換部23との間にはダイオード71が設けられている。
【0031】
また、電力変換部23は、電力供給部22から放電される電力の逆流を抑制する機能を有する。
一方、車載バッテリ3は、ドライブレコーダ2を含む車内の各種機器に電力を供給する。
【0032】
ACCスイッチ4は、車両のドライバによるパワースイッチの操作に応じて、車載バッテリ3から導かれるアクセサリ電源をオン又はオフする。
その他装置5は、ACCスイッチ4がオンになると駆動する、ドライブレコーダ2以外の各種装置である。その他装置5としては、例えば、空気清浄機等が挙げられる。
【0033】
[2.機能]
次に、電圧制御システム1の機能について図2(a)及び図2(b)を用いて説明する。
図2(a)には、通常時(すなわち事故非発生時)における時間と電力供給部22の蓄電量との関係が示されている。図2(a)において、実線L1は、時間と電力供給部22に印加される電圧との関係を示す。一方、一点鎖線L2は、時間と電力供給部22の蓄電量との関係を示す。
【0034】
図2(a)に示す例では、時刻T1で車両のドライバの操作によりパワースイッチがアクセサリ位置に切り替えられ、ACCスイッチ4がオンされる。その後、時刻T3でドライバの操作によりパワースイッチがオフ位置に切り替えられ、ACCスイッチ4がオフされる。
【0035】
時刻T1までは、ACCスイッチ4がオフである。よって、電力供給部22に印加される車載バッテリ3の電圧は、電力変換部23により変換され、第2の電圧V2(約4V)となる。電力供給部22は、第2の電圧V2に応じた蓄電量Q2に充電される。
【0036】
その後、時刻T1でドライバの操作によりACCスイッチ4がオンに切り替えられると、電力供給部22に印加される車載バッテリ3の電圧は、電力変換部23により変換され、第1の電圧V1(約5V)となる。
【0037】
電力供給部22に印加される電圧が第1の電圧V1に変化すると、電力供給部22の蓄電量が増加する。その結果、時刻T2=T1+S1で電力供給部22は第1の電圧V1に応じた蓄電量Q1(本実施形態ではフルの蓄電量)まで充電される。その後、時刻T3で、ACCスイッチ4がドライバの操作によりオフにされ、電力供給部22に印加される電圧は、電力変換部23により変換された結果再び第2の電圧V2となる。その結果、電力供給部22の電荷が放電され、電力供給部22の蓄電量は緩やかに減少し、電力供給部22の蓄電量は第2の電圧V2に応じた蓄電量Q2になる。
【0038】
図2(a)に示す例では、ACCスイッチ4がオンされ、電力供給部22がフル蓄電量Q1まで充電されるまでに時間T2-T1=S1を要する。この時間S1は、電力供給部22の蓄電量がゼロの状態から第1の電圧V1を印加し、電力供給部22の蓄電量がフル蓄電量Q1になるまでの時間S2に比べれば短い。なお、図2(a)において、破線L3により、電力供給部22の蓄電量がゼロの状態から時刻T4で第1の電圧V1を印加し、電力供給部22の蓄電量がフル蓄電量Q1になるまで時間と蓄電量との関係が示されている。
【0039】
電力供給部22に蓄えられた電力は、事故発生時等においてドライブレコーダ2が破損した場合などにバックアップ電源として使用される。
一方、図2(b)には、事故発生時における時間と電力供給部22の蓄電量との関係が示されている。ここで、図2(b)において、実線L4は、時間と電力供給部22に印加される電圧との関係を示す。一方、一点鎖線L5は、時間と電力供給部22の蓄電量との関係を示す。
【0040】
図2(b)に示す例では、時刻T1でACCスイッチ4がオンされ、電力供給部22に印加される車載バッテリ3の電圧は電力変換部23により第1の電圧V1(約5V)に変換され、電力供給部22は第1の電圧V1に応じた蓄電量Q1まで充電される。
【0041】
その後、時刻T5で事故が発生し、車載バッテリ3から電力供給部22への電力供給が遮断される。なお、電力供給の遮断は、例えば、車載バッテリ3とドライブレコーダ2との間の電源線が図1の破線Pで示す箇所で断線すること等により発生する。
【0042】
この際、ドライブレコーダ2は、バックアップ電源としての電力供給部22の電力を使用し、録画を行う。ドライブレコーダ2が電力供給部22の電力を使用して録画を行う結果、電力供給部22の蓄電量は減少する。そして、ドライブレコーダ2が録画可能な最低電圧V2に応じた蓄電量Q2を下回るまでの時間(図中、時間S3)の間録画時間が確保される。
【0043】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態では、電力変換部23は、ACCスイッチ4がオンである場合(すなわち車両が使用状態である場合)は、電力供給部22に印加される電圧を第1の電圧V1に変換し、ACCスイッチ4がオフである場合(すなわち車両が使用状態でない場合)は、電力供給部22に印加される電圧を第1の電圧V1よりも低い第2の電圧V2に変換する。
【0044】
したがって、ACCスイッチ4がオフのとき、ACCスイッチ4がオンである場合に印加される第1の電圧V1よりも低い第2の電圧V2が電力供給部22に印加され、電力供給部22は蓄電する。
【0045】
よって、本実施形態のドライブレコーダ2では、電力供給部22の劣化を抑制することができる。
また、ACCスイッチ4がオフのとき、第2の電圧V2で電力供給部22が充電されている。そのため、電力供給部22は、完全に放電されている場合に比べ、ACCスイッチ4がオンされると、録画が可能な電力を制御装置214に供給可能な状態に素早く移行する。
【0046】
よって、このドライブレコーダ2は、電力供給部22が完全に放電されている場合に比べ、ACCスイッチ4がオンになった直後に車載バッテリ3からドライブレコーダ2への電力供給が遮断されても、電力供給が遮断される原因となった事故の様子を高い確率で録画できる。
【0047】
(2)本実施形態では、第2の電圧V2は、ドライブレコーダ2が撮像制御処理及び記録制御処理を実行するために必要な最低電圧である。
したがって、ACCスイッチ4がオフである場合は前記最低電圧で充電される。そして、ACCスイッチ4がオンになり、電力供給部22に印加される電圧が増大すると、電力供給部22は短時間でフル蓄電量まで充電される。よって、ACCスイッチ4がオンに切り替えられてから短時間でドライブレコーダ2が録画を開始できる。ひいては、ACCスイッチ4がオンになった直後に事故等により車載バッテリ3からドライブレコーダ2への電力供給が遮断されても、事故時の様子を高確率で記録できる。
【0048】
(3)本実施形態では、車載器は、ドライブレコーダ2である。したがって、ACCスイッチ4がオンになった直後に事故等により車載バッテリ3からドライブレコーダ2への電力供給が遮断されても、電力供給が遮断される原因となった事故の様子の録画を高確率で実行でき、電力供給部22の劣化を抑制することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、ドライブレコーダ2が車載器に相当し、撮像制御処理及び記録制御処理所定が所定の処理に相当し、ACCスイッチ4がオンである場合が車両が使用状態である場合に相当する。
【0050】
またなお、本実施形態では、ACCスイッチ4がオフになった時(例えば図2(a)の時刻T3)、電力供給部22に充電されている電力で、システムの終了処理とRAMに記憶されている録画データのメモリ213への記憶処理が実行される。さらに、本実施形態では、時刻T3の後、約5秒(5秒以外の時間であってもよい)までの画像についてもメモリ213に記憶する処理を実行して、システムを終了させている。そのため、ACCスイッチ4をオフにした直前や直後に電源断となる事故が車両に生じたとしても、その画像を記録することができる。
【0051】
[4.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0052】
(1)上記実施形態において、第2の電圧V2は、ドライブレコーダ2ひいては車載器が、撮像制御処理や記録制御処理などの所定の処理を実行するために必要な最低電圧に設定されるが、第2の電圧V2は前記最低電圧以外の電圧に設定されてもよい。
【0053】
(2)上記実施形態では、車載器としてドライブレコーダ2を例示したが、車載器はこれに限られない。車載器は、例えば、ドライブレコーダ以外の車両のアクセサリ電源を使用して駆動する機器であってもよい。換言すれば、車載器は、ドライブレコーダ以外の車両のエンジンの停止中に使用できる機器であってもよい。具体的には、例えば、空気清浄機や、盗難発生が検出された場合に警報などの出力処理を行う盗難防止装置などであってもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、ドライブレコーダ2、ひいては車載器は、車両が使用状態であるか否かをACCスイッチ4のオンオフに基づき判断するが、車両が使用状態であるか否かの判断基準はこれに限られない。例えば、車載器は、車両が使用状態であるか否かをイグニッションスイッチのオンオフに基づき判断し、イグニッションスイッチがオンである場合は電力供給部22に印加される電圧(以下[4.他の実施形態]の(3)において「前記電圧」と記載する。)を第1の電圧V1に変換し、イグニッションスイッチがオフである場合は前記電圧を第2の電圧V2に変換してもよい。
【0055】
また例えば、車載器は、車両が使用状態であるか否かをエンジンスタータなどによりエンジンがオンになったか否かに基づき判断し、エンジンがオンである場合は前記電圧を第1の電圧V1に変換し、エンジンがオフである場合は前記電圧を第2の電圧V2に変換してもよい。
【0056】
また例えば、車載器は、車両が使用状態であるか否かをキーレスエントリシステムなどにより車両のドアが解錠されたか否かに基づき判断し、車両のドアが解錠された場合は前記電圧を第1の電圧V1に変換し、車両のドアが解錠されていない場合は前記電圧を第2の電圧V2に変換してもよい。
【0057】
また例えば、車載器は、車両が使用状態であるか否かをキーレスエントリシステムなどにより乗員の乗車が検出されたか否かに基づき判断し、乗員の乗車が検出された場合は前記電圧を第1の電圧V1に変換し、乗員の乗車が検出されない場合は前記電圧を第2の電圧V2に変換してもよい。なお、乗員の乗車は種々の方法で検出可能であり、例えば、車両のドアの開閉を検出するセンサの検出結果により乗員の乗車が検出されてもよい。
【0058】
つまり、車載器は、車両の所有者あるいは乗員等により車両が使用されている又は使用されようとしている場合に前記所有者等が車両に対して行う操作が検出されたか否かに基づき、車両が使用状態か否かを判断してもよい。
【0059】
(4)上記実施形態では、電力変換部23がマイクロコンピュータを備え、ACCスイッチ4のオンオフに応じて自身の判断により電圧を変換するが、電力変換部による電圧の変換を制御する仕組みはこれに限られるものではない。例えば、制御装置214が、ACCスイッチ4のオンオフを検出し、ACCスイッチ4のオンオフに応じて電圧を変換させるための指令を電力変換部に出力する。そして、電力変換部に当該指令が入力された場合に電力変換部が電圧を変換する構成としてもよい。
【0060】
(5)上記実施形態で、制御装置214が実行する機能の一部又は全部を、1つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
(6)前述したドライブレコーダ2等の車載器の他、当該車載器を構成要素とするシステム、当該車載器としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、車両が使用状態か否かに応じて電力供給部に印加される電圧を切り替える方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0061】
(7)上記実施形態では、電力変換部23が電力供給部22からの逆流を抑止する機能を有していると説明した。しかし、電力変換部23が、この機能を有していない場合、例えば、電力供給部22と電力変換部23との間にダイオードその他の逆流を抑止する構成を加えてもよい。
【0062】
(8)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0063】
1…電圧制御システム、2…ドライブレコーダ、3…車載バッテリ、
4…ACCスイッチ、21…制御ユニット、211…撮像装置、
212…加速度センサ、213…メモリ、214…制御装置。
図1
図2