(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ハイヒールの体重負荷構造物
(51)【国際特許分類】
A43B 21/00 20060101AFI20220203BHJP
A43B 13/14 20060101ALI20220203BHJP
A43B 21/24 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A43B21/00
A43B13/14 A
A43B21/24
(21)【出願番号】P 2019558319
(86)(22)【出願日】2018-01-03
(86)【国際出願番号】 KR2018000074
(87)【国際公開番号】W WO2018128364
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2019-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2017-0003111
(32)【優先日】2017-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518154789
【氏名又は名称】金 日秀
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】金 日秀
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09015963(US,B1)
【文献】米国特許第02284328(US,A)
【文献】韓国実用新案第20-2000-0027296(KR,Y1)
【文献】国際公開第93/004604(WO,A1)
【文献】特開2007-014589(JP,A)
【文献】特表2005-511180(JP,A)
【文献】米国特許第02399543(US,A)
【文献】特開2005-131065(JP,A)
【文献】特表2013-539712(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0078408(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/14,21/00,21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒール部と、
前記ヒール部から伸びる支柱部と、
前記支柱部から伸びる足裏カバー部と、を含み、
前記ヒール部は、底面を基準にしてみるとき、かかとの外郭線の形状に対応するラウンド形状の曲線からなり、地面に接触する地面接触部を含み、
前記地面接触部は、
前記ヒール部から延長されるか、または前記ヒール部に結合し、
前記かかとの外郭線の形状に対応する形状で所定の厚さを有し、中央部分が空間をなし
、
前記足裏カバー部がハイヒールのかかと部分に一体に固定された状態で前記地面接触部と前記空間を形成する、ハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項2】
前記支柱部は、2つ以上の支柱で構成される、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項3】
前記支柱は、互いに並んで配置されるかまたは対称に配置される、請求項2に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項4】
前記支柱は、互いに異なる形状からなるかまたは少なくとも一つの支柱が他の支柱と異なる形状からなる、請求項2に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項5】
前記支柱は、
かかとまたは土踏まずのうちの一つを支持する支柱と、
前記かかとまたは前記土踏まずのうちの他の一つを支持する他の支柱からなる、請求項2に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項6】
前記ヒール部は、後方部位にヒールストライク部を備える、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項7】
前記ヒールストライク部は、後方部を中心に一側に配置される、請求項6に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項8】
前記支柱部は、前方に湾曲した形状で構成される、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項9】
前記支柱部は、前方部位よりも後方部位の湾曲度が大きい、請求項8に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項10】
前記足裏カバー部は、かかとから土踏まず乃至足幅部分まで伸びるか、または足裏全体をカバーできるように伸びる、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項11】
前記支柱部は、中心側から外部側方向に向かって突出した形状で構成される、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項12】
前記ヒール部は、上方から見るとき、足裏カバー部の幅より少なくともいずれか一方が大きく突出する、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項13】
前記足裏カバー部は、
かかとから土踏まず乃至足幅まで伸びるか、または足裏全体をカバーできるように伸び、
前記支柱部と前記足裏カバー部は連結部によって連結され、
前記足裏カバー部と支柱部の間には空間部を備える、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項14】
前記連結部は湾曲した形状からなる、請求項13に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項15】
前記足裏カバー部は、下部に溝部が提供され、
前記支柱部の上部を伸びて前記溝部に挿入されるストッパーを備える、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項16】
前記ヒール部には、立脚中期に地面と線形に接する地面接触部が結合される、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項17】
前記地面接触部は、
立脚中期(midstance)に地面と線形に接触する、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項18】
前記ヒール部と前記地面接触部の間に形成される隙間を含む、請求項1に記載のハイヒールの体重負荷構造物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のハイヒールの体重負荷構造物が結合された、ハイヒール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素足やかかとの低い履物を履いた状態と類似した安定性(stability)と歩行のメカニズムを有することができるハイヒールの体重負荷構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハイヒール(high-heeled footwear)は、かかと部分が高く持ち上げられる履物を称することで、広い意味ではかかとの高い履物を示すが、その中でも特に女性用の靴を意味する。
【0003】
ハイヒールを履くと自然にお尻が上がるようになり、より短いミニスカートとスタイルよく融和することができ、上体が自然に後ろに反れて胸が大きく見えるなどの美的効果を有するため、美しさを追求する女性たちに愛用されている。
【0004】
しかし、ハイヒールは、着用者の歩行周期により変化する荷重を吸収または分散できないため、様々な副作用を誘発する。つまり、歩行周期中に倒れる単純な事故だけでなく、足の親指が外側に曲がる外反母趾、足首を捻る足首の捻挫、体重がひざの内側にかかることによって生じる関節炎、脊椎が後に曲がる脊椎後弯症などが発生することになる。
【0005】
ウェッジヒール(wedge heel)の場合、スチレットヒール(stiletto heel)が持った不安定性の問題を十分に緩和できず、歩行周期による衝撃および体重の吸収と分散がうまくできず、デザイン的にも野暮ったく、ハイヒール本来の目的であるデザインの美しさが落ちる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、前記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ウェッジタイプのヒールよりも良い安定性を提供し、かつデザインの美しさを増大させることができ、歩行周期により変化する荷重を適切に吸収または分散させることができるハイヒールの体重負荷構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、地面と線形に接触するヒール部、前記ヒール部から伸びる支柱部、そして前記支柱部から伸びる足裏カバー部を含むハイヒールの体重負荷構造物を提供する。
【0008】
前記ヒール部は、地面と接する部分が曲線(curved linear)からなることが望ましい。
【0009】
前記ヒール部は、幅が2.12cm以上からなることが望ましい。
【0010】
前記支柱部は、2つ以上の支柱で提供されることが望ましい。
【0011】
2つ以上の前記支柱は、互いに並んで配置するか、または対称的に配置することが望ましい。
【0012】
2つ以上の前記支柱は、互いに異なる形状からなるか、または少なくとも一つの支柱が他の支柱と異なる形状からなることが望ましい。
【0013】
2つ以上の前記支柱は、かかとまたは土踏まずのうちの一つを支持する支柱と、前記かかとまたは前記土踏まずのうちの他の一つを支持する他の支柱と、からなることが望ましい。
【0014】
前記ヒール部は、後方部位にヒールストライク部が提供されることが望ましい。
【0015】
前記ヒールストライク部は、後方部を中心に一側に提供されることが望ましい。
【0016】
前記支柱部は、前方に湾曲した形状に提供されることが望ましい。
【0017】
前記支柱部は、前方部位よりも後方部位の湾曲度をより大きく形成することが望ましい。
【0018】
前記足裏カバー部は、かかとから土踏まず乃至足幅部分まで伸びるか、または足裏全体をカバーできるように伸びることが望ましい。
【0019】
前記支柱部は、外部側に向かって湾曲した形状に提供されることが望ましい。
【0020】
前記ヒール部は、平面から見ると、足裏カバー部の幅より少なくともいずれか一方がより大きく突出することが望ましい。
【0021】
前記足裏カバー部は、かかとから土踏まず乃至足幅まで伸びたり、または足裏全体をカバーできるように伸びており、前記支柱部と前記足裏カバー部は連結部によって連結され、前記足裏カバー部と支柱部の間には空間部が提供されることが望ましい。
【0022】
前記連結部は、湾曲した形状からなることが望ましい。
【0023】
前記足裏カバー部は下部に溝部が提供され、前記支柱部の上部を延長して前記溝部に挿入するストッパーが提供されることが望ましい。
【0024】
前記ヒール部には、立脚中期に地面と線形に接触する地面接触部が結合されることが望ましい。
【0025】
前記ヒール部と前記地面接触部の間に形成される隙間を含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、素足のかかとの外側境界線と同一または類似の形態を有して支持基底面(BOS;Base of support)を広く確保して安定性(stability)を増大させる効果を有する。
【0027】
また、本発明は、歩行時にも体重負荷線(load line)の移動が中間安定領域(medio-lateral boundary of stable area)の中央と近いところで行われるので、素足と類似のまたはより高い安定性を確保できる効果を有する。
【0028】
また、本発明は、体重負荷線(load line)の外側方向で体重負荷線(load line)と十分な距離がある地点で地面反力(GRF;ground reaction force)が作用して外的モーメント(external moment)が内側に生成されるので、正常歩行のメカニズムを行うことができる。
【0029】
また、本発明は、線形に形成されるヒール部と2つ以上の支柱で提供される支柱部によってハイヒール自体の重量を軽量化することができる。
【0030】
また、本発明は様々な形態の多様な支柱部の構成から審美感を追求することができる。
【0031】
また、本発明は、踵接地(heel strike)および荷重応答期(loading response)で自然に外反(eversion)と類似した動きを誘導することになり、そのため、距骨下関節(subtalar joint)の動きが柔軟で遅い動きとなることによって衝撃および体重負荷を吸収または分散する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】一般的な人間の歩行周期を説明するため、5段階に分類した立脚期を示す図である。
【
図2】一般的な人間の歩行時、足の動き中の回内(pronation)と回外(supination)を示す図である。
【
図3】一般的な人間の歩行時、足の動き中の回内(pronation)と回外(supination)を模型で示す図である。
【
図4】一般的な人間の歩行時、足の動きに対する用語を説明するための図である。
【
図5】一般的な人間の足の骨格構造を示す図である。
【
図6】一般的な人間の足の歩行過程中に現れるウィンドラス効果(windlass effect)を説明するための図である。
【
図7】足の地面との接触状態に応じたウィンドラス効果(windlass effect)を示す図である。
【
図8】一般的なハイヒールを履いた足の状態を説明するための図である。
【
図9】一般的な支持基底面(BOS、Base of support)と安定性(stability)との関係を説明するための図である。
【
図10】本発明の第1実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物が適用されたハイヒールを示す図である。
【
図13】ヒール部の幅決定の目的で行われた実験結果を得る過程を説明するための図である。
【
図14】素足、スチレットヒール、ウェッジヒール、および本発明の体重負荷構造物が適用されたハイヒールの着用状態で支持基底面(BOS)と体重負荷線(load line)の移動を比較して説明するための図である。
【
図15】体重負荷線(load line)、地面反力(GRF、groundre actionforce)、および外的モーメント(external moment)の間の関係を説明するための図である。
【
図16】本発明の第2実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す図である。
【
図17】本発明の第3実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す図である。
【
図18】本発明の第4実施例の他の例示を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す図である。
【
図19】本発明の第5実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す図である。
【
図20】本発明の第6実施例によるハイヒールの体重負荷構造物を示す背面図である。
【
図21】本発明の第7実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物で足全体をカバーする足裏カバー部を示す平面図である。
【
図22】本発明の第8実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す側面図である。
【
図23】本発明の第9実施例によるハイヒールの体重負荷構造物の空間部および連結部を示す斜視図である。
【
図24】本発明の第10実施例によるハイヒールの体重負荷構造物で連結部の湾曲部を説明するための斜視図である。
【
図25】本発明の第11実施例によるハイヒールの体重負荷構造物で溝部およびストッパーを説明するための底面斜視図である。
【
図26】本発明の第11実施例によるハイヒールの体重負荷構造物で溝部およびストッパーの一例を示す平面図である。
【
図27】本発明の第12実施例によるハイヒールの体重負荷構造物のヒールストライク部を示す底面図である。
【
図28】本発明の第12実施例によるハイヒールの体重負荷構造物のヒールストライク部がヒール部の底面となす角度を説明するための図である。
【
図29】本発明の第13実施例によるハイヒールの体重負荷構造物の地面接触部を説明するための図である。
【
図30】本発明の第14実施例によるハイヒールの体重負荷構造物の隙間を説明するための図である。
【
図31】本発明の第15実施例によるハイヒールの体重負荷構造物のヒール部および地面接触部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な他の形態で具現でき、ここで説明する実施例に限定されない。図面において本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の図面符号を付与する。
【0034】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を‘含む’とすると、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0035】
本発明の実施形態による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物について図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
以下、特別な言及がない限り、右足を基準にして説明し、以下、説明の便宜のために体の中心方向を‘内側’、‘内側’と反対方向を‘外側’、足指方向を‘前方’、かかと方向を‘後方’と定義する。
【0037】
素足または一般的な履き物を着用した人間の歩行周期による足の動きは、次の通りである。
【0038】
図1の(a)~(e)は、人間の歩行周期を説明するための図である。
【0039】
人間の歩行周期は、片足(図において斜線で示した部分)を基準にして大きく立脚期(stance phase)と遊脚期(swing phase)とに区分する。
【0040】
立脚期(stance phase)は、歩行中の足の一部分が地面に接地している状態である。このような立脚期(stance phase)は、踵接地(a、heel strike)、荷重応答期(b、loading response)、立脚中期(c、midstance)、踵離地(d、heel off)、および爪先離地(e、toe off)の5段階に区分することができる。
【0041】
踵接地(heel strike)は、立脚期中にかかと部分の外側が地面に接する瞬間を意味する。このときには、地面反力(GRF、ground reaction force)によって距骨下関節(subtalar joint)で回内(pronation)と外反(eversion)が発生して地面衝突による衝撃を吸収することができる(
図1の(a)に示す)。
【0042】
荷重応答期(loading response)は、踵接地(heel strike)後に、足裏全体が地面に接しながら持続的な回内(pronation)が発生して足に加えられる衝撃を吸収し体重を分散して不規則な地面に足を適応させる過程である(
図1の(b)に示す)。
【0043】
立脚中期(midstance)は、足に体重が乗せられる段階である(
図1の(c)に示す)。
【0044】
踵離地(heel off)は、足のかかとが離れる段階である(
図1の(d)に示す)。
【0045】
爪先離地(toe off)は、爪先が離れる段階である(
図1の(e)に示す)。
【0046】
また、遊脚期(swing phase)は、足全体が地面と離れている状態を意味する。
【0047】
歩行は、立脚期および遊脚期(swing phase)を繰り返し循環することで行われる。
【0048】
図2~
図4は、歩行過程で発生可能な足の動きに応じた用語を説明するための図である。
図2は、右足首(ankle)を後方から見た状態を示す図であり、
図3は左足を基準にして回内(pronation)と回外(supination)を模型化して示す図である。
【0049】
まず、回内(pronation)は、
図2の(a)に示したように、右足首を基準にして足首部分が体の内側の矢印方向に動くことを意味し、
図3のAおよびCのような運動が発生する。
【0050】
そして、回外(supination)は、
図2の(b)に示したように、右足首を基準にして足首部分が体の外側方向に動くことを意味し、
図3のBおよびDのような運動が発生する。
【0051】
内反(inversion)は、
図4の(a)に示したように、足が内側に回転移動(twisting movement of the foot inward)することを意味する。
【0052】
外反(eversion)は、
図4の(b)に示したように、足が外側に回転移動(twisting movement of the foot outward)することを意味する。
【0053】
底屈(plantarflexion)は、
図4の(c)に示したように、足の裏の方向に折り曲がることを意味する。
【0054】
背屈(dorsiflexion)は、
図4の(d)に示したように、足の甲の方向に反らせることを意味する。
【0055】
内転(adduction)は、
図4の(e)に示したように、体の正中線から内側に移動することを意味する。
【0056】
外転(abduction)は、
図4の(f)に示したように、体の正中線から外側に移動することを意味する。
【0057】
上述した遊脚期(swing phase)では、身体の遠位部(四肢の末端部位)が自由な状態で行う運動である開放連動連鎖(OKC:open kinetic chain)が行われ、足は回外(supination)状態となる。回外(supination)は、距骨下内反(subtalar inversion)、足関節底屈(ankle plantarflexion)、および前足部内転(forefoot adduction)が同時に発生した状態で、遊脚期(swing phase)での足は、回外によって足の骨が互いにかみ合うことになって足の長さが短くなり、剛体状態(rigid lever)に置かれることになる。
【0058】
踵接地(heel strike)時には、かかとが地面と接して地面反力(GRF、ground reaction force)が発生する。遊脚期(swing phase)の固くなった足は、地面反力(GRF)を受けて回内(pronation)が発生する。回内(pronation)状態では、距骨下外反(subtalar eversion)、足関節背屈(ankle dorsiflexion)、および前足部外転(forefoot abduction)が発生するが、このような回内(pronation)によって圧縮された足が伸びて柔軟になり、地面衝突による衝撃を吸収することになる。特に、距骨下外反(subtalar eversion)では、足の骨間が広くなるが、踵接地(heel strike)以後に荷重応答期(loading response)が続き、持続的に距骨下外反(subtalar eversion)が発生して足に加えられる衝撃が吸収され、負荷がかかった体重は分散して不規則な地面に足を適応させることになる。
【0059】
踵接地(heel strike)および荷重応答期(loading response)を経って柔軟になった足は、立脚中期(midstance)以後に地面を押しながら前進しなければならないので、再び剛体状態に変化することになる。つまり、立脚中期以降、回外(supination)が再び誘発され、これと共に中足指節関節が伸展されながらウィンドラス効果(windlass effect)が発生して足は再び剛体状態に置かれることになる。
【0060】
図5は、足の骨格構造で、中足指節関節で伸展および屈曲が発生する部分を線で示しており、
図6および
図7は、足のウィンドラス効果(windlass effect)を説明するための図である。立脚期のうちの立脚中期(midstance)以降には、足のウィンドラス効果(windlass effect)が発生する。足のウィンドラス効果は、立脚中期以降、かかとが地面から離れながら中足指節関節(
図4に示す)が伸展(MTP extension、extension of metatarsophalangeal joints)され、これによって足底筋膜(plantar fascia)が引っ張られ、結果的に縦足弓(longitudinal arch)が引っ張られて足の骨が互いに硬くかみ合って足が圧縮されて硬くなる状態に変化することになる。
【0061】
ハイヒールを履いた場合には、このような足の自然な動きが極めて制限される。
図8の(a)は、ハイヒールを履いた状態の外形図であり、
図8の(b)はハイヒールを履いた状態でのウィンドラス効果(windlass effect)を示している。
【0062】
ハイヒールを履いた足は、常に中足指節関節が伸展された状態であるので、歩行周期と関係なしにウィンドラス効果(windlass effect)が持続的に発生することになる。また、足関節底屈(plantarflexion)と共に過度な回外(supination)が持続的に維持されるので、結果的に足首と足関節の動きが制限(limited motion of ankle and foot joints)される状態が維持され続ける。
【0063】
このような状態で踵接地(heel strike)段階に進入しても回内(pronation)が発生せず、中足指節関節(metatarsophalangeal joints)は伸展状態を維持するので、地面衝突による衝撃を吸収できず、地面接触時に負荷がかかる体重も分散しない。
【0064】
また、既存のハイヒールを履く場合、安定性側面からも問題が発生することがある。
【0065】
地面と接するすべての地点中で最も外側に位置する点を連結した領域を支持基底面(BOS、Base of support)というが、支持基底面(BOS)は、起立時または歩行時の安全性(stability)と密接な関連がある。
【0066】
図9は、支持基底面(BOS)と安定性との関係を説明するための図である。
【0067】
図9の(a)は、起立時に足を若干広げた状態の支持基底面(BOS)を示す。図において線は、足の最外郭の点を連結したもので、支持基底面(BOS)を示す。そして
図9の(b)は、両側に杖をついて立っている状態の支持基底面(BOS)を示す。この場合における支持基底面は、足裏の面積を含む線内部の面積である。
図9の(b)において両側のP1は、杖が地面と接する杖の地面接触部である。
【0068】
このような支持基底面(BOS)が広い
図9(b)の安定性が高く、支持基底面(BOS)が狭い(a)の安定性が低い。つまり、支持基底面(BOS)の広さと安定性は相互比例関係にある。また、脚の向きに沿って地面に下りる体重負荷線(load line)が支持基底面の内側に落ちなければ安定性(stability)を維持できない。
【0069】
図10は、本発明の第1実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物が適用されたハイヒールを示す図であり、
図11は、
図10の正面図であり、
図12は、
図11の底面斜視図である。ハイヒールは、人の足を囲むボディー部Bとボディー部Bに結合される体重負荷構造物とを含む。
【0070】
本発明の実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、ヒール部1、支柱部3、および足裏カバー部5を含む。
【0071】
ヒール部1は、歩行時に地面と接する構造物であって、地面と線形に接触する。
【0072】
つまり、ヒール部1は、地面と接する部分またはこれを含む全体が一定の厚さを有するラウンド形状からなることができる。
【0073】
ヒール部1は、人のかかとの外側面形状のような形態からなることが望ましい。
【0074】
図13は、本発明のヒール部1の幅W決定の目的で行われた実験結果を得る過程を説明するための図である。
【0075】
適正なヒール部1の幅Wを決定するためにスチレットヒールを履いた多数の女性たちを対象に超高速動画撮影を用いて踵接地(heel strike)の瞬間の内反(inversion)角度を測定するための実験を行った。Aは、かかとの中心線Oと体重負荷線LLの交差点であって、内反(inversion)の起点であり、Bは、ハイヒールの体重負荷構造物の最上段の中心点である。多数の女性たちを対象に測定した結果、AとBの間の距離の平均値は7.5cmであった。前記平均値と実際測定値との偏差は±0.35cm以内であって、誤差範囲が比較的に小さく、平均値7.5cmをヒール部1の幅Wを決定するための標準値として使用した。
【0076】
体重負荷線(load line)とかかとの中心線Oがなす角度を‘α’、ハイヒールの体重負荷構造物の高さを‘H’、そして、かかとの中心線Oの最下段地点Cから体重負荷線LLまでの距離を‘L’とすると、次のような関係式が成立する。
【0077】
tanα=L/(7.5+H)
【0078】
多数の女性たちを対象に実験を行った結果、全体女性たちの前記αは平均4.489°であったが、普段ハイヒールをほとんど履かない女性たちの前記αは平均5.384°で、有意に異なる。下表は、前記実験結果によりかかとの中心線Oの最下段地点Cから体重負荷線LL(load line)までの距離を示す表である。
【0079】
【0080】
【0081】
前記実験により導出された表の数値は、ヒール部1の幅Wを決める数値として使用することができる。つまり、ハイヒールの体重負荷構造物の高さHにより、前記表の数値の2倍以上になるようにヒール部1の幅Wを決めることができる。例えば、構造物の高さが9cmの場合、1.30cmの2倍である2.6cm以上になるようにヒール部1の幅Wを決めることができる。
【0082】
または、ハイヒールの体重負荷構造物の高さHにより変動しないヒール部1の幅を選択でき、前記実験結果を反映して歩行時の安定性が維持されるようにヒール部1の幅Wを決めることができる。この場合、構造物の高さHが6cmのハイヒールを履きなれている群を基準にして、ヒール部1の幅Wは2.12cm以上に提供されることが望ましい。より望ましくは、ハイヒールの体重負荷構造物の高さHが20cmとなる場合もあるが、一般に、ハイヒールの体重負荷構造物の高さHは6~13cmの場合が大部分であることを反映して、普段ハイヒールを履かない群、そして体重負荷構造物の高さ13cmを基準にしてヒール部1の幅Wは3.86cm以上に提供され得る。
【0083】
ヒール部1の幅Wが2.12cm以上であれば体重負荷線LLが地面に落ちる地点が支持基底面(BOS、Base of support)内部に形成されて安定性を確保できる。ヒール部1の幅Wが3.86cm以上であれば体重負荷線LLが地面に落ちる地点がほとんど支持基底面(BOS)内部に形成されるので、歩行時に十分な安定性を確保できる。
【0084】
また、ヒール部1の幅Wの最大値も制限され得る。例えば、ハイヒールの体重負荷構造物の高さHが13cmの場合を基準にして、体重負荷線LLが地面に落ちる地点がかかとの中心線Oの最下段地点Cとヒール部1のサイド側の間の中間地点に形成され得るようにヒール部1の幅Wが決定される。この場合、ヒール部1の幅Wは7.72cmとなる。前記のようにヒール部1の幅Wの最大値を制限することによって、ヒール部1の幅Wが過度に広くなって発生し得る審美感の低下を防止することができる。
【0085】
ヒール部1は、最大幅より自由端(爪先に向かう部分)の間の幅を狭くすることができる。
【0086】
また、本発明の実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、地面との線形接触性のためにヒール部1の厚さを制限することができる。
【0087】
ヒール部1の厚さT1は、
図12に示したように、ヒール部1の地面と接する中間部分の厚さであり、T2は、爪先側方向に向かう自由端側部分の厚さを意味する。
【0088】
ヒール部1の厚さが一定である必要はなく、部分別に厚さが異なることがある。
【0089】
ヒール部1の厚さの最大幅は制限されることができ、ヒール部1の最大幅が1.8cm以下となるように形成することが望ましい。ヒール部1の厚さの最大値が1.8cmを超えると、地面接触時の線形性が弱化することがあり、非常に野暮ったくて審美感が低下し得る。
【0090】
また、ヒール部1の厚さは、デザインや安定性の側面から、中間部分(T1で表示)で厚く自由端T2に行くほど薄くなるように提供され得る。
【0091】
ヒール部1は、プラスチックのような非金属材料または金属材料など多様な素材の弾性材からなることができる。
【0092】
このように地面と接するヒール部1は、立脚期の荷重応答期(loading response)で地面と線接触することができ、ハイヒール全体の重量も減らすことができる。
【0093】
このような本発明の実施形態は、歩行の安定性を向上させることができ、重量が減って歩行が手軽になる利点がある。
【0094】
一般的な歩行周期では、踵接地(heel strike)時には地面と点または線形接触が発生するが、荷重応答期(loading response)以降には足裏が地面と接する面接触が発生する。実際には、完全な‘点’と完全な‘線’は存在しないので、前記‘点’と‘線’は、‘面’に対応する相対的な概念であり、以下でも‘点’と‘線’は‘面’に対応する相対的な概念として記載する。
【0095】
荷重応答期(loading response)以後、かかと領域でスチレットヒール(stiletto)の場合は点接触が、ウェッジヒール(wedge heel)の場合は面接触が発生する。
【0096】
本発明の実施形態による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、荷重応答期(loading response)以後にもかかと領域で地面と線形に接触する。
【0097】
本発明の実施形態による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物のヒール部1は、地面と曲線(curved linear)で接触するように提供され得る。例えば、ヒール部1は、爪先部分が開放され、かかと側がラウンド形状で湾曲した形態で提供され得る。
【0098】
本発明による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、ウェッジヒール(wedge heel)よりも起立時の支持基底面(BOS)が広く、より安定的である。また、踵接地(heel strike)時にヒール部1の広さにより支持基底面(BOS)が左右されるため、歩行時にも安定性が高い。
【0099】
また、ヒール部1が地面と線接触を維持するため、面接触をするウェッジヒールに比べてハイヒールの重量を軽量化することができる。
【0100】
ヒール部1が弾性材からなると踵接地(heel strike)時に発生する衝撃が足関節、距骨下関節、膝関節などにそのまま伝えられることを緩和することができる。
【0101】
支柱部3は、ヒール部1から伸びている。このような支柱部3は、足裏カバー部5とヒール部1を連結しながらハイヒールの高さを維持する機能を担うことができる。支柱部3は、ヒール部1の断面形態と同一または類似の形態の一つの支柱として提供され得る。
【0102】
支柱部3は、本発明の第1実施例でヒール部1の後方部分から伸びて足裏カバー部5と連結される例を示して説明する。
【0103】
本発明の第1実施例の支柱部3は、かかと側に向かう部分が凸ラウンド形状をなし、一定の厚さを有し爪先部分側がラウンド形態の開放された形状をなすことができる。
【0104】
本発明の第1実施例の支柱部3は、ヒール部1と同じ厚さを有することができる。また、本発明の第1実施例の支柱部3は、側面が開放された空間をなすことができる。つまり、支柱部3は、ヒール部1でかかと部分だけが足裏カバー部5に連結され、サイド側部分は空間からなることができる。本発明の第1実施例の支柱部3は、ヒール部1と足裏カバー部5が連結されるサイド側部分が湾曲した形状、つまり、爪先側に向かって凹み形状の曲線からなることができる。
【0105】
このような本発明の支柱部3の構造はハイヒールの安定性を確保し、既存のものに比べてより軽量化でき、かつ外観の美麗さを増大させることができる。
【0106】
特に、本発明の支柱部3のヒール部1と足裏カバー部5を連結する形状は、構造的安定性を有すると共に衝撃を吸収する構造からなることができる。
【0107】
支柱部3は、プラスチックのような非金属材料または金属材料など多様な素材の弾性材からなることができる。支柱部3が弾性材からなる場合、踵接地(heel strike)時に発生する衝撃を吸収して人体に加えられる衝撃を十分に吸収できる。本発明のヒール部1、支柱部3、および足裏カバー部5は、同じ材質で一体に成形または形成して製作され得る。
【0108】
足裏カバー部5は、支柱部3に伸びて提供される。足裏カバー部5は、ハイヒールの表底(outsole)またはボディー部bに連結され得る。
【0109】
本発明の第1実施例の足裏カバー部5は、支柱部3がかかと部分に連結され得る。
【0110】
ヒール部1、支柱部3、および足裏カバー部5は、所定の厚さを有する構造からなり、その内部に空間を備えてより軽量化でき、外観の美麗さを有するようにデザインできる。
【0111】
図14は、素足とハイヒール着用状態の支持基底面(BOS)と体重負荷線(load line)の移動を既存のものと本発明の実施例を比較して説明するための図である。
【0112】
図14においてIは、素足、スチレットヒール、ウェッジヒール、および本発明の実施例の底形状を比較した図である。
図14においてIIは、素足、スチレットヒール、ウェッジヒール、および本発明の実施例の地面接触面の形状を比較した図である。
図14においてIIIは、素足、スチレットヒール、ウェッジヒール、および本発明の実施例を比較して起立時の支持基底面(BOS)を示す図である(斜線で示す)。
【0113】
図14においてIVは、素足、スチレットヒール、ウェッジヒール、および本発明の実施例を比較して移動時の支持基底面(BOS斜線部分)と体重負荷線(load line)の移動(矢印で示す)を表示して比較した図である。
図14のIVの(d)において、移動時は踵接地(heel strike)後、荷重応答期(loading reponse)前まで(爪先が地面に接する前まで)の移動を意味する。また、
図14においてのIVの点線は、移動時の支持基底面(BOS)によって形成された中間安定領域(medio-lateral boundary of stable area)の境界を表示したものである。添付の
図14のIIIを参照すると、起立時のスチレットヒール(stiletto)の支持基底面(BOS)が最も狭くて安定性が最も低いことが分かる。ウェッジヒール(wedge heel)の場合、スチレットヒール(stiletto)よりは支持基底面(BOS)が広くて安定性が多少高いが、素足の場合よりは安定性が低下する。
【0114】
図14のIVを参照すると、矢印は踵接地(heel strike)以後、荷重応答期(loading response)に進められながら体重負荷線(load line)の移動を示し、点線はヒール構造の支持基底面(BOS)によって形成される中間安定領域(medio-lateral boundary of stable area)を示す。スチレットヒール(stiletto heel)の場合、体重負荷線(load line)移動が中間安定領域(medio-lateral boundary of stable area)外部で行われるので、歩行が非常に不安定になることもある。このような歩行時の不安定性のため、歩行周期で踵接地(heel strike)を省略し直ちに荷重応答期(loading response)に移行したりもするが、このような歩行パターンは、地面接触時に発生する衝撃を吸収せず、そのまま関節に伝達される。
【0115】
ウェッジヒール(wedge heel)の場合にも体重負荷線(load line)移動が中間安定領域(medio-lateral boundary of stable area)の境界線付近で行われるので、安定性が低下する。
【0116】
図14のIVの(d)は、本発明の実施例で体重負荷線(load line)の移動が中間安定領域(medio-lateral boundary of stable area)の中心線に近い部分に形成されて歩行時の安定性を確保できる。
【0117】
図15において、(a)は素足の場合、(b)はスチレットヒールの場合、(c)はウェッジヒールの場合、および(d)は本発明の実施例の場合で、歩行時の体重負荷線(load line)、地面反力(GRF、ground reaction force)、および外的モーメント(external moment)の間の関係を示す。足首の損傷は、殆どが足の過度な内反(inversion)によって発生する。スチレットヒール(stiletto heel)を履いた場合、体重負荷線(load line)を基準にして内側に地面反力の作用点が位置するので、足の内反を誘発することになる。このような内反によって、足首損傷の危険性が大きくなる。
【0118】
ウェッジヒール(wedge heel)の場合、体重負荷線(load line)を基準にして外側に地面反力の作用点が位置する。しかし、体重負荷線(load line)が地面と接触する地点が地面反力の作用点に近いため、足首損傷の危険は依然として存在する。
【0119】
スチレットヒール(stiletto heel)やウェッジヒール(wedge heel)を履いた場合には、前記のような足首損傷の危険を避けるため、十分な踵接地(heel strike)段階および荷重応答期(loading response)段階を経ず、立脚中期(midstance)段階に進入することになる。したがって、衝撃および体重負荷を吸収するのに障害が発生することになる。
【0120】
本発明の実施例では、素足と同様に体重負荷線(load line)を基準にして外側に地面反力(GRF)の作用点が存在し、体重負荷線(load line)が地面に落ちる地点と地面反力の作用点が十分に離れて外的モーメント(external moment)が作用する。また、本発明の実施例では、地面反発力(GRF)によって発生する外的モーメント(external moment)の方向が素足の歩行時と同様であるため、より安定した歩行が可能となる。
【0121】
本発明の実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物の効果を説明する。
【0122】
本発明の実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、ヒール部1が素足のかかとの外側境界線の形態に沿うように提供されるため、素足と支持基底面(BOS)の広さが類似するかより広い。したがって、本発明による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、非常に高い安定性(stability)を提供することができる。
【0123】
歩行時にも本発明の実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物の場合、体重負荷線(load line)の移動が中間安定領域(medio-lateral boundary of stable area)の中央と近いところで行われるので、素足と類似するかより高い安定性を確保できる。
【0124】
本発明の実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、素足の場合と同様に、体重負荷線(load line)の外側に体重負荷線(load line)と十分な距離がある地点で地面反力が作用することになる。したがって、地面反力によって発生する外的モーメント(external moment)は、足の安定的な外反の動き(stable eversion movement of the foot)を誘発する。
【0125】
したがって、歩行時に発生する衝撃および体重負荷を効率的に吸収することができる。
【0126】
また、本発明の実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、ヒール部1が線形に提供されるため、ウェッジヒール(wedge heel)に比べてハイヒールの重量を軽量化することができる。
【0127】
また、本発明の実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、支柱部3が一定の厚さを有するラウンド形状や2つ以上の支柱に提供されるのでハイヒールの重量を軽量化することができる。特に、支柱部3が2つ以上の支柱に提供される場合、野暮ったい形態のウェッジヒール(wedge heel)とは異なり、様々な形態の支柱で構成されていて多様なデザイン的変形を追求できるので、デザイン面で優れた効果がある。
【0128】
本発明の実施例によるハイヒールの体重負荷構造物の衝撃および体重負荷を吸収するメカニズムを説明する。
【0129】
本発明の実施例によるハイヒールの体重負荷構造物は、踵接地(heel strike)および荷重応答期(loading response)で自然に外反(eversion)と類似した動きを誘導することになり、そのため、距骨下関節は柔軟で遅延して運動をすることによって衝撃および体重負荷を吸収または分散することができる。
【0130】
本発明の実施例によるハイヒールの体重負荷構造物は、ヒール部1、支柱部3などが弾性材からなる場合、踵接地(heel strike)時に発生する衝撃が弾性によって一定程度吸収されるので、足関節、距骨下関節、膝関節などに衝撃がそのまま伝えられることを緩和することができる。
【0131】
踵接地(heel strike)の際、地面反力(GRF)によって発生するモーメント(moment)は、地面と接触する地点を基準に側面からみると、地面に向かって下方に、後方からみると内側方向(medial direction)に体重負荷構造物を回転させる。
【0132】
本発明による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、踵接地(heel strike)時、支柱部3の後方領域が広がりながら衝撃を吸収し、前記回転モーメントを減少させて地面反力が誘発できる関節の急激な動きが柔軟で遅い動きに転換されるようにする機能を担うことができる。
【0133】
図16は、本発明の第2実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す図である。
【0134】
本発明の実施例においては上述した例の説明と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0135】
本発明の第2実施例のヒール部1は、その形状が地面と線接触からなる構造は同一である。
【0136】
本発明の第2実施例は、支柱部3が2つの支柱3a、3bで構成され得る。支柱部3が2つの支柱3a、3bからなる場合、2つの支柱3a、3bは直線状に互いに並んだ形態に提供され得る。2つの支柱3a、3bは、ヒール部1の内側と外側からそれぞれ伸びて足裏カバー部5の内側と外側を支持する形態に提供され得る。
【0137】
本発明の第2実施例の支柱部3は、かかとの後側方向が足の長さ方向に貫通された形状からなる。支柱部3は、ヒール部1の先端部(爪先に向かう部分)側から伸びて足裏カバー部5に結合され得る。
【0138】
また、本発明の第2実施例は、支柱部3が足裏カバー部5に連結されるとき、側面から見て上側方向に傾く形状からなることができる。つまり、支柱部3は、ハイヒールの体重負荷構造物を側面から見てヒール部1から足裏カバー部5の後方(かかと側)に連結されて傾いた形状をなすことができる。
【0139】
また、本発明の第2実施例において第1支柱3aは、ヒール部1の外側から伸びて足裏カバー部5の内側を支持し、第2支柱3bは、ヒール部1の内側から伸びて足裏カバー部5の外側を支持する形態に提供され得るが、この場合、第1支柱3aと第2支柱3bは互いに交差する形状に形成され得る。
【0140】
このような本発明の第2実施例では、多様な形状から構成して審美感を向上させることができる。
【0141】
図17は、本発明の第3実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す図である。
【0142】
本発明の第3実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0143】
本発明の第3実施例においては支柱部3が2つの支柱3a、3bから構成され得る。2つの支柱3a、3bのうちの一つの支柱3bは、足裏カバー部5のかかとの後方を支持できる。また、2つの支柱3a、3bのうちの他の一つの支柱3aは、足裏カバー部5のかかとの前方部分を支持する形態に提供され得る。
【0144】
2つの支柱3a、3bは、それぞれ曲線状に提供され得る。2つの支柱3a、3bは非対称であるか、または互いに異なる形状に提供され得る。2つの支柱3a、3bは、背面から見て互いに交差して交わる形状からなることができる。
【0145】
本発明の第3実施例の他の例示として、一つの支柱が足裏カバー部5の一側面に連結され得、他の一つの支柱は、足裏カバー部5の反対側の側面に連結されるかまたは足裏カバー部5のかかとの前方側に連結され得る。
【0146】
このような本発明の第3実施例では、弾性体からなる場合に体重を分散させるのにさらに有利な構造であり、外観の美麗さをさらに増大させることができる。
【0147】
図18は、本発明の第4実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す図である。
【0148】
本発明の第4実施例は前記実施例と比較して同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0149】
本発明の第4実施例の支柱部3は、3つ以上の支柱3a、3b、3cで構成され得る。3つ以上の支柱3a、3b、3cは、それぞれ足裏カバー部5の内側を支持する第1支柱3a、外側を支持する第2支柱3b、および後方を支持する第3支柱3cを含むことができる。
【0150】
第1支柱3aおよび第2支柱3bは、足裏カバー部5に連結される部分で互いに集められる形状からなることができる。また、第3支柱3cは、ヒール部1のかかと側から足裏カバー部5に連結され得る。
【0151】
支柱部3が3つ以上の支柱3a、3b、3cに提供される場合、直線状および多様な曲線状に提供され得、足裏カバー部5の多様な地点を連結して支持できるので、地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、ハイヒールにデザインの多様性を付与できる。
【0152】
本発明の第4実施例では、第1支柱部3aと第2支柱3bは互いに対称をなして足裏カバー部5のかかとの前方側に連結され得る。また、第1支柱3aと第2支柱3bは、側面から見て中間部が爪先に向かう方向に突出して湾曲した形状をなすことができる。このような本発明の第4実施例では、弾性力によって衝撃吸収を極大化させ、かつ外観の美麗さを維持できる。
【0153】
図19は、本発明の第5実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す斜視図である。
【0154】
本発明の第5実施例は前記実施例と比較して同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0155】
本発明の第5実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物の支柱部3は、前方に湾曲した形状に提供され得る。好ましくは、支柱部3は、その湾曲程度が前方の湾曲度c1よりも後方の湾曲度c2がより大きい形状からなることができる。また、本発明の第5実施例では、前方の湾曲度c1は提供されず後方の湾曲度c2のみからなることができる。
【0156】
このような場合、踵接地(heel strike)の際、ハイヒールのかかとが地面に下りながら地面からの衝撃が吸収され、そのため、地面反力(GRF)が減少して地面側に回転させる回転モーメント(rotational moment)も減少することになる。
【0157】
図20は、本発明の第6実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物の支柱部3の前方部位と後方部位の支柱間幅の差を説明するための図である。
【0158】
本発明の第6実施例は前記実施例と比較して同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0159】
支柱部3は、後方部位の支柱間の幅w1が前方部位の支柱間の幅w2よりも広い形態に提供され得る。
【0160】
また、第1実施例のように支柱部3が一つの支柱で構成される場合、後方部位(かかと側)の支柱部3の最大幅が前方部位(爪先に向かう側)の幅よりも広い形態に提供されることが望ましい。
【0161】
このような構成は、荷重をより安定的に支持しながらも外観の美麗さを増大させることができる。
【0162】
ヒール部1と支柱部3は、足裏カバー部5の幅より一層大きく幅方向に突出する突出部を備えて間隔d1とd2をなすことができる(
図20に示す)。突出部の間隔d1、d2は、足裏カバー部5と比較して内側に突出している内側の突出部がなす間隔d2と足裏カバー部5と比較して外側に突出している外側の突出部がなす間隔d1のうちのいずれか一つを含むか、または外側の突出部がなす間隔d1と内側の突出部がなす間隔d2を全て含むことができる。外側の突出部がなす間隔d1と内側の突出部がなす間隔d2を全て含む場合、外側の突出部がなす間隔d1が、内側の突出部がなす間隔d2に比べて広いことが望ましい。
【0163】
もし、弾性材からなる支柱部3の前方部位の支柱間の幅が後方部位の支柱間の幅よりも狭く提供されるか、支柱部3が一つの支柱のみで構成されて支柱部3の最大幅が前方部位の自由端の間の幅より広い形態で提供される場合、踵接地(heel strike)時に発生する衝撃エネルギー(impact energy)は、支柱部3の後方部位が広がりながら吸収され得る。支柱部3の曲げと元の状態への回復は、衝撃エネルギーの吸収、分散によって関節の柔軟な動きを誘発する。
【0164】
外側の突出部の間隔d1と内側の突出部の間隔d2は、素足直立時や素足歩行時の場合より広い支持基底面(BOS)を提供して、素足の場合よりも高い安定性(stability)を提供することができる。
【0165】
図21は、本発明の第7実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物で足全体をカバーする足裏カバー部5を示す平面図である。
【0166】
本発明の第7実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0167】
本発明の第7実施例の足裏カバー部5は、かかとカバー部41、土踏まずカバー部43、足幅カバー部45、および爪先領域を下方でカバーする爪先カバー部47を含むことができる。足裏カバー部5が、かかとカバー部41、土踏まずカバー部43、足幅カバー部45、および爪先カバー部47を全て含む場合、足裏カバー部5は表底(outsole)の役割を果たすこともできる。
【0168】
図22は、本発明の第8実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す側面図である。
【0169】
本発明の第8実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0170】
本発明の第8実施例の支柱部3は2つ以上の支柱3a、3bで構成され得、この場合、かかとカバー部41を下方から支持する第1支柱3aと土踏まずカバー部43を下方から支持する第2支柱3bを含むことができる。
【0171】
第1支柱3aは、ヒール部1から伸びてかかとカバー部41に連結され得る。また、第2支柱3bは、ヒール部1から伸びて土踏まずカバー部43に連結され得る。このような本発明の第8実施例の構成は、足裏カバー部5が土踏まずカバー部43まで伸びてなる場合である。
【0172】
土踏まずカバー部43は、底面が地面の側に突出して伸びる延長部49を含むことができる。
【0173】
このような本発明の第8実施例のハイヒールの体重負荷構造物は、土踏まず支柱部3が足裏カバー部5から伸びた土踏まずカバー部43に連結されてハイヒールにデザインの多様性を付与できる。
【0174】
図23は、本発明の第9実施例によるハイヒールの体重負荷構造物の空間部と連結部を示す底面斜視図である。
【0175】
本発明の第9実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0176】
本発明の第9実施例の体重負荷構造物は、足裏カバー部5のかかと領域と支柱部3の間に一定の間隔Gを有する空間部21を含むことができる。この空間部21は、足裏カバー部5が荷重を支持する時に弾性力によって衝撃を緩衝させる役割をすることができる。このような本発明の第9実施例では、支柱部3の高さを減らし、かつハイヒールの体重負荷構造物の全体高さを増大させて消費者の欲求を満足させることができる。
【0177】
また、本発明の第9実施例の体重負荷構造物は、足裏カバー部5と支柱部3の間に連結部23が提供され得る。
【0178】
本発明の第9実施例では、支柱部3が土踏まず部分または爪先まで伸びた例である。
【0179】
図24は、本発明の第10実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を示す斜視図である。
【0180】
本発明の第10実施例は前記実施例と比較して同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0181】
本発明の第10実施例では、連結部23が地面方向に突出して湾曲した形状を有する。つまり、連結部23は、足軸方向の湾曲度rと足幅方向の湾曲度r’を同時に有することができる。
【0182】
本発明の第10実施例によるハイヒールの体重負荷構造物は、踵接地(heel strike)時に発生する衝撃を足裏カバー部5のかかと部分と連結部23が曲がりながら吸収することができる。特に、本発明の第10実施例では、連結部23が両方向の湾曲度r、r’を有する場合には、長さ方向および幅方向に同時に曲がりながら衝撃吸収効果が増大できる。
【0183】
図25は、本発明の第11実施例のハイヒールの体重負荷構造物を有する底面斜視図であり、
図26は、
図25の平面図である。
【0184】
本発明の第11実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0185】
本発明の第11実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、溝部25が足裏カバー部5の内部に提供され得る。溝部25は、足裏カバー部5に貫通して形成されるか、または足裏カバー部5の上面の一部が塞がっている構造からなることができる。支柱部3上部には溝部25の内部に挿入されるストッパー27が提供され得る。支柱部3の上部のストッパー27が溝部25に挿入される場合には、ストッパー27が外部の衝撃によって移動する時に足裏カバー部5の側面に支持されてストッパーとして機能することができる。
【0186】
本発明の第11実施例では、溝部25にストッパー27を挿入する例を示して説明したが、これに限定されるものではなく、単に足裏カバー部5と支柱部3を一定の距離をおいて配置することも可能である。
【0187】
本発明の第11実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物は、支柱部3と足裏カバー部5が実際には離れているが、連結されているようにみえるデザイン効果が与えられる。
【0188】
本発明の第11実施例では、第10実施例と同様に支柱部3の弾性作用によって歩行時の衝撃を吸収することができる。
【0189】
本発明の第11実施例によるハイヒールの体重負荷構造物は、空間部21と連結部23または溝部25と連結部23が提供される場合、踵接地(heel strike)時に発生する衝撃を足裏カバー部5が空間部21または溝部25を向かって曲がり、連結部23が一方向に曲がりながら衝撃を吸収することができる。
【0190】
図27は、本発明の第12実施例によるハイヒールの体重負荷構造物を地面側から見てヒール部のみを示す図である。そして、
図28は、本発明の第12実施例を説明するためにハイヒールの体重負荷構造物を側面から見た図である。
【0191】
本発明の第12実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0192】
本発明の第12実施例では、ヒールストライク部31がヒール部1に提供される。ヒールストライク部31は、ヒール部1の踵接地(heel strike)時、地面と接触が発生する底面後方に提供される。ヒールストライク部31は様々な形態、例えばヒール部1の底面と一定の角度をなして平面からなるかまたは地面と一定の角度をなしてラウンド(round bottom)からなることができる。ヒールストライク部31は、後方の中間で最も広く、内側と外側に行くほど漸次狭くなるように提供され得る。ヒールストライク部31は、後方部を中心に一側に提供され得、より好ましくは、ヒールストライク部31は、踵接地(heel strike)時、地面と最初に接するようになる側後方Sを中心に、つまり、側後方Sで最も広く、側後方Sから遠くなるほど漸次狭くなるように提供され得る。
【0193】
ヒールストライク部31は、歩行時に発生する衝撃と体重負荷を分散する機能を提供することができる。遊脚期(swing phase)においてハイヒールを着用した足は、非常に硬く関節の動きがひどく制限された状態であるが、このような状態で踵接地(heel strike)段階に進入すれば距骨下関節で十分な外反(eversion)を誘発できないので、衝撃と体重負荷を吸収および分散するのに限界がある。ヒールストライク部31は、踵接地(heel strike)時、距骨下関節および下肢の動きを柔軟で遅い動きで転換させる機能をすることができる。
【0194】
本発明の第12実施例では、ヒールストライク部31は、ヒール部1の底面と一定の角度θ、例えば8°~25°の範囲であることが望ましい。
【0195】
図29は、本発明の第13実施例によるハイヒールの体重負荷構造物の主要部を示す図である。
【0196】
本発明の第13実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0197】
本発明の第13実施例では、地面接触部7がヒール部1の底面に別途の部材が結合して提供され得る。
【0198】
地面接触部7は、ヒール部1と脱着可能に提供され得る。地面接触部7がヒール部1と着脱可能な構造からなることができる。例えば、ヒール部1に嵌合溝部1aおよび地面接触部7に嵌合突起7aが提供され得る。しかし、本発明の第13実施例はこれに限定されず、嵌合溝部1aおよび地面接触部7に嵌合突起7aが互いに変わって構成されることも可能である。
【0199】
地面接触部7は、ヒール部1と同様の形態に提供され得る。地面接触部7が含まれる場合、前記ヒール部1に含むことができる構成、例えば、かかとの外側面形態に沿う構成、地面との線形接触を有する構成、最大幅に関する構成、またはヒールストライク部31の構成などが地面接触部7に含まれ得る。
【0200】
地面接触部7は、ハイヒールの体重負荷構造物の修繕を容易にする効果を提供することができる。
【0201】
図30は、本発明の第14実施例による地面との線形接触を有するハイヒールの体重負荷構造物の隙間33を示す。
【0202】
本発明の第14実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0203】
本発明の第14実施例のハイヒールの体重負荷構造物は、ヒール部1と地面接触部7の間の一側に一定の空間を備えた隙間33が提供され得る。隙間33は、ヒール部1と地面接触部7の後方領域の間に提供されることが望ましい。
【0204】
隙間33は、踵接地(heel strike)時、地面と最初に接する側後方Sを中心に提供され得る。
【0205】
本発明の第14実施例の地面接触部7は、復元力に優れた弾性体からなることが望ましい。このような地面接触部7は、ヒール部1に接着剤によって付着するか、または前記第13実施例と同様にヒール部1に対向する部分に溝または突起が提供されて嵌合でなることができる。隙間33が含まれる場合、踵接地(heel strike)時、地面接触部7が弾性力によって曲がりながら衝撃を吸収できる。吸収された衝撃は、地面接触部7が元の状態に戻りながら関節がより柔軟で遅れて動くことができるように転換され得る。
【0206】
本発明によるハイヒールの体重負荷構造物は、隙間33が提供される場合、踵接地(heel strike)時に発生する衝撃が地面接触部7が曲がりながら衝撃を吸収し、衝撃で吸収されるエネルギーは地面接触部7が元の状態に戻りながら転換されて柔軟で遅れて関節が動くことができるようになる。
【0207】
図31は、本発明の第15実施例によるハイヒールの体重負荷構造物のヒール部1と地面接触部7を示す。
【0208】
本発明の第15実施例においては前記実施例と同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0209】
本発明の第15実施例のハイヒールの体重負荷構造物は、地面接触部7に地面接触先端部7b、7cが含まれ得る。地面接触先端部7b、7cは、地面接触部7の中心軸O方向に向かうように伸びることが望ましい。
【0210】
地面接触先端部7b、7cが地面接触部7に含まれる場合、ヒール部1にヒール先端部1b、1cが含まれ得る。ヒール先端部1b、1cは、地面接触先端部7b、7cと同じ形状に形成することが望ましい。
【0211】
地面接触部7に地面接触先端部7b、7cが含まれ、ヒール部1にヒール先端部1b、1cが含まれる場合、隙間33の構成の際、ヒール部1と結着される地面接触部7の結着部位を広く確保できて、隙間33が提供される場合にもヒール部1と地面接触部7が安定的に結合され得る。また、隙間33をより広く確保できて、隙間33により衝撃をより効果的に吸収することができる。
【0212】
隙間33が側後方Sを中心に提供される場合、地面接触部7は、外側の地面接触先端部7bのみを含むことができ、これに対応してヒール部1も外側のヒール先端部1bのみを含むことができる。隙間33が側後方Sを中心に提供される場合、外側の地面接触先端部7bと外側のヒール先端部1bのみを含んでもヒール部1と地面接触部7の結合の安定性と隙間33によるより効果的な衝撃吸収効果を達成することができる。
【0213】
以上、本発明の望ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。