(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】消毒液包装容器および消毒液キューブ
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20220111BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20220111BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B65D83/00 G
A61L2/26
A61L2/18
(21)【出願番号】P 2021029661
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2021-02-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521084208
【氏名又は名称】渡邉 舞桜
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】521084231
【氏名又は名称】丸山 龍二
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】521084242
【氏名又は名称】富田 朱音
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】521084275
【氏名又は名称】池野 裕樹
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】521084301
【氏名又は名称】荻原 篤志
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 舞桜
(72)【発明者】
【氏名】丸山 龍二
(72)【発明者】
【氏名】富田 朱音
(72)【発明者】
【氏名】池野 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】荻原 篤志
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-187570(JP,A)
【文献】特開2015-048084(JP,A)
【文献】特開2011-011809(JP,A)
【文献】特表2005-523772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
A61L 2/26
A61L 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒液を収容する内装部材と、内装部材を覆う外装部材から構成される消毒液包装容器であって、
外装部材と内装部材は外力により変形可能な樹脂材料から形成され、
外装部材には、内装部材の表面から外装部材の表面に連通し、内装部材に収容された消毒液を外部に吐出するための流路が少なくとも1つ形成されており、
すべての流路には、消毒液を液密に保持し、かつ容易に破裂できる膜が
少なくとも1つ形成されていることを特徴とする消毒液包装容器。
【請求項2】
内装部材は、塩化ビニル樹脂またはポリエチレン、外装部材はウレタンゲル、ウレタンフォームまたはゴム材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の消毒液包装容器。
【請求項3】
流路の内側端部に接している内装部材の表面は薄肉に形成されており、この薄肉部以外の内装部材の全部または一部の表面は厚肉に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の消毒液包装容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の消毒液包装容器の内装部材に1回分の手指消毒に必要な消毒液を充填したことを特徴とする消毒液キューブ。
【請求項5】
外形が、立方形状、直方体状、円柱状や球状の特定の形状を有することを特徴とする請求項4に記載の消毒液キューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
消毒液の包装容器とこれを用いた消毒液キューブに関する。特に、手指用のアルコール等の消毒液を1回分ずつ個別包装する消毒液包装容器と、この包装容器を用いた消毒液キューブに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルスの感染拡大により、店頭などで感染防止のためにアルコール等による消毒が求められている。センサ等により自動で消毒液が吐出される容器や足で操作する容器など容器に接触せずに消毒が可能な装置もあるが、消毒液容器を自分の手指で押して消毒液を出すタイプのものを設置する店舗も多く、容器を介して他人と間接的接触することに不安を感じるようになってきた。
【0003】
また、消毒液が1つしか設置されていない店舗も多く、消毒待ちの行列ができてしまうことで密状態となってしまうことや、待ちきれずに消毒せずに入店する人が出てしまう恐れもある。
【0004】
特許文献1には、使用時に包装容器を変形させて内容物を吐出するものが開示されているが、ペースト状または粘性のある内容物を分配することを目的としたもので水溶液状の消毒液の収容には必ずしも適していないとともに、所定の形状に変化させなければならず、小さな子供や高齢者には片手で容器を変形させて液状の消毒液を吐出させ、反対の手でこぼさずに受けて消毒することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、誰でも簡単に手指を消毒することができ、既存製品の問題点である消毒液の容器を介した間接的接触を減らすとともに、消毒待ちの行列を解消できる製品が必要と考えた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の消毒液包装容器は、消毒液を収容する内装部材と、内装部材を覆う外装部材から構成される消毒液包容器であって、外装部材と内装部材は外力により変形可能な樹脂材料から形成され、外装部材には、内装部材の表面から外装部材の表面に連通し、内装部材に収容された消毒液を外部に吐出するための流路が少なくとも1つ形成されており、少なくとも1つの流路の少なくとも一方の端部(吐出部)には、消毒液を液密に保持し、容易に破裂できる薄肉の膜が形成されていることを特徴としている。
【0008】
これによれば、消毒液包装容器を手指で押したり握ることにより、外装部材が変形して内装部材に衝撃や圧力が加わることにより流路に形成された膜が破断されて内装部材に収容された消毒液が流路の少なくとも一方の端部(吐出部)に形成した膜を破断して、吐出口より外部に吐出され、手指を簡単に消毒することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の消毒液包装容器および消毒液キューブによれば、店頭などで消毒液キューブを取って片手または両手で押したり握るだけで消毒液を手指に吐出させて誰でも簡単に消毒を行うことができる。また、他人の触った消毒液容器に触れる必要がないため間接的接触の不安もなく、スーパーなどの店頭やイベント会場の入口に消毒液待ちの行列も発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施例の消毒液包装容器を示す斜視図である。
【
図2】
図1の断面図である。(a)
図1のA-A′断面図である。(b)
図1のB-B′断面図である。(c)
図1を用いた消毒液キューブの使用状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の第2実施例の消毒液包装容器を示す図である。(a)第2実施例の側面図である。(b)第2実施例の断面図である。
【
図4】本発明の第3実施例の消毒液包装容器を示す図である。(a)第3実施例の側面図である。(b)第3実施例の断面図である。
【
図5】本発明の第4実施例の消毒液包装容器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の消毒液包装容器および消毒液キューブの実施例を示す。
本発明の消毒液包装容器(1)は、消毒液(D)を液密に収容する内装部材(2)と、内装部材(2)の周囲を覆う外装部材(3)と、内装部材(2)の消毒液(D)を外部に吐出するための流路(4)から構成されている。
【0012】
<実施例>
本発明の消毒液キューブ(10)は、
図1および
図2に示すように、圧力や衝撃で容易に変形して破れやすい内装部材(2)に消毒液であるアルコール消毒液を収容した消毒液ボール(20)と、消毒液ボール(20)を被覆する外装部材(3)と、外装部材(3)に設けられる消毒液を吐出する流路(4)と、外装部材(3)の表面に設けられる吐出口(40)から構成されている。
【0013】
内装部材(2)は、手で握ったときの圧力や衝撃で破断する素材および構造の材料であれば何でもよいが、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリウレタン等から構成されているのが好ましい。外装部材(3)は、柔らかい素材であれば何でもよいが、例えば、ウレタンゲル、ウレタンフォームまたはゴム材料等から構成されているのが好ましい。
【0014】
<消毒液ボールについて>
消毒液ボール(20)は、内装部材(2)に消毒液であるアルコール等の消毒液を収容したものであり、消毒液(D)は、
図1、
図2および
図4に示すように、球状の内装部材(2)や、
図3に示すように、円柱状の内装部材(2)に収容されていてもよい。そして、当該消毒液ボール(20)は、例えば、略立方形状のウレタンゲル製の外装部材(3)によって外側全体を被覆されており、
図1~5のように、外装部材(3)の内部に1つ形成されていてもよいし、複数個の消毒液ボール(20)が内包されていても差し支えない。
【0015】
<外装部材について>
外装部材(3)は、
図2(c)に示すように、本発明の消毒液キューブ(20)を手指で握ったときに大きく変形し、内包された消毒液ボール(20)の薄肉の膜(41)を破って消毒液(D)を外部に押し出すことができる程度の強度と柔軟性を持っている。外装部材(3)の表面には、少なくとも1つの吐出口(40)が形成されており、吐出口(40)から消毒液ボール(20)まで流路(4)が形成されている。
【0016】
吐出口(40)には、消毒液ボール(20)から流路(4)を通じて外部に押し出される消毒液(D)により容易に破れる薄肉の膜(41)が形成されている。消毒液が薄肉の膜(41)を破り、流路に適切に流れるように薄肉の膜(41)の反対側を厚く形成(42)している。膜(41)は、
図2に示すように、流路(4)の内側の端部に形成されてもよいし、
図3に示すように、流路(4)の外側の端部に形成されも、流路(4)の中間部に形成されてもよい。
【0017】
<消毒液(D)について>
消毒液(D)としては、通常人体に適用される消毒液であれば構わないが、エタノール、イソプロピルアルコール、他のアルコール類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロキシレノール、クロフルカルバン、フルオロサラン、ヘキサクロロフェン、ヘキシルレゾルシノール類、ヨウ素を含有する化合物やビグアニド誘導体、その組み合わせが挙げられ、特に、約65~70%アルコールを用いるのが好ましい。消毒液(D)には、界面活性剤やpH調整剤等の添加剤が含まれていてもよい。また、消毒液(D)の形態に関しては液体の状態のものに限らずにジェル状のものも適応できる。
【0018】
図1の内装部材(2)に収容される消毒液(D)の量は、1回の手指に広げて消毒を効率的に行うことができるように2ml程度となっている。1回分の消毒液の量は、消毒液の種類や使用者、使用場所などに応じて調整することができ、1~5ml程度が好ましい。
【0019】
この発明の消毒液キューブによれば、消毒液キューブを手指で押したり握るだけで、薄肉の膜(41)を破ることができるため、誰でも簡単に消毒液を吐出させて手指を消毒することができる。また、内装部材(2)を外装部材(3)で覆っているため消毒キューブを手指で握りやすく、消毒液が流路(4)を通じて吐出されるため消毒液を保持する内装部材(2)に直接衝撃や圧力を加えて破る場合のように消毒液が周囲に飛び散ったりすることがない。
【0020】
本発明の消毒液包装容器および消毒液キューブは、上記した実施例に限定されるものではない。
消毒液包装容器および消毒液キューブの形状は、
図1に示す立方形状に限るものではなく、内装部材(2)の
図3、
図4または
図5のように円柱状や球状などであっても、星形や花形、動物などを模した形としてもよい。また、消毒液包装容器および消毒液キューブのサイズは、片手で握れるサイズであればよく、
図1および
図2の立体形状では一辺が1.5cm~4cmが好ましく、
図2の円柱状では長さが3~8cmが好ましい。
図4および
図5の球形状では直径2cm~6cmが好ましい。
【0021】
外装部材(3)に設けられる流路(40)は、
図4のように、内装部材(2)から放射状に多数の流路(4)が設けられた構成や、
図5のように、外装部材(3)をウレタンフォーム等のスポンジのような多孔体で形成した構成としてもよく、この場合は内装部材(2)の表面の一部または全部が膜(41)となり、多孔部が流路(4)として機能する。
【0022】
外装部材(3)を立方体状および直方体状としたものでは、箱に隙間なく詰めることができるため、搬送時の振動や衝撃等により外装部材(3)が変形して消毒液が外部に漏れ出ることがない。また、外装部材(3)の強度を高めることで、利用者がポケットや鞄などに入れて持ち運び、必要な際に手指を消毒する際にも利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 消毒液包装容器
10 消毒液キューブ
2 内装部材
3 外装部材
4 流路
40 吐出口
41 膜
D 消毒液(アルコール)
【要約】
【課題】誰でも簡単に手指を消毒することができ、既存製品の問題点である消毒液の容器を介した間接的接触を減らすとともに、消毒待ちの行列を解消できる製品を提供すること。
【解決手段】消毒液(D)を収容する内装部材(2)と、内装部材(2)を覆う外装部材(3)からなる消毒液包装容器(1)であって、外力により変形可能な樹脂製の外装部材(3)に、内装部材(2)の表面から外装部材(3)の表面に連通して、消毒液(D)を外部に吐出するための流路(4)が少なくとも1つ形成されている。流路(4)には、消毒液(D)を液密に保持し、かつ容易に破裂できる膜(41)が形成されている、消毒液包装容器。
【選択図】
図2