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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】マッサージ機能付きシート
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20220203BHJP
   A61F 7/03 20060101ALI20220203BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61H7/00 322J
A61H7/00 323U
A61F7/08 332R
A61H15/00 350E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2016248106
(22)【出願日】2016-12-21
(65)【公開番号】P2018099432
(43)【公開日】2018-06-28
【審査請求日】2019-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】泉川 英之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 可定
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊介
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0032478(US,A1)
【文献】特開2011-193912(JP,A)
【文献】特開2015-085117(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017078(WO,A1)
【文献】特表2001-524705(JP,A)
【文献】特開2010-070085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61F 7/00
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ機能付きシートにおいて、
シートバック及びクッションシートを有するシート本体と、
前記シート本体に設けられ、着席者を局所的に押圧するための加圧器と、
前記シート本体に設けられ、着席者を局所的に加熱するための加熱器と、
前記加圧器が作動可能な状態にある場合において、前記加熱器を発熱させるオン状態と当該発熱を停止させるオフ状態とを1サイクルとして前記加熱器を制御する「ゆらぎ制御モード」が実行可能な制御部とを備え、
前記制御部は、前記オン状態時においては、前記シート本体の表面温度が予め設定された温度以上であるか否か、及び前記オン状態になってから予め設定された時間が経過したか否かを判定し、前記表面温度が前記温度以上である場合、或いは前記オン状態になってから前記時間が経過した場合に、前記加熱器を前記オフ状態とし、
さらに、前記制御部は、前記オフ状態時においては、予め設定された時間以上、前記加熱器の発熱を停止させ
さらに、前記制御部は、前記「ゆらぎ制御モード」の開始後においてオフ状態の回数を判定し、該回数が予め設定された回数である場合、前記「ゆらぎ制御モード」を停止させるマッサージ機能付きシート。
【請求項2】
前記制御部は、初回の前記オン状態の継続時間を2回目の前記オン状態の継続時間に比べて長くした前記「ゆらぎ制御モード」が実行可能である請求項1に記載のマッサージ機能付きシート。
【請求項3】
前記加熱器は、通電時に発生するジュール損を利用した電気式ヒータである請求項1又は2に記載のマッサージ機能付きシート。
【請求項4】
前記加圧器は、流体圧により伸縮する袋のブラダーにより構成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマッサージ機能付きシート。
【請求項5】
複数の前記加圧器及び複数の前記加熱器が設けられているとともに、前記加熱器の個数は、前記加圧器の個数より少なく、
さらに、前記加熱器は、前記加圧器の直上に配設されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマッサージ機能付きシート。
【請求項6】
前記制御部は、前記加圧器が作動不可状態にある場合には、前記「ゆらぎ制御モード」を停止状態とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のマッサージ機能付きシート。
【請求項7】
前記加熱器を第1加熱器としたとき、前記シート本体には第2加熱器が設けられており、
前記第2加熱器は、前記第1加熱器より広い範囲で着席者を加熱可能である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のマッサージ機能付きシート。
【請求項8】
着席者を局所的に押圧するための加圧器、着席者を局所的に加熱するための加熱器、及び当該加熱器の作動を制御する制御部を備えるマッサージ機能付きシートに適用され、当該制御部に組み込まれるマッサージ機能付きシート用プログラムにおいて、
前記加圧器が作動可能な状態にある場合において、前記加熱器を発熱させるオン状態と当該発熱を停止させるオフ状態とを1サイクルとして前記加熱器を制御する「ゆらぎ制御モード処理」を実行可能とし、
さらに、前記オン状態時においては、前記シート本体の表面温度が予め設定された温度以上であるか否か、及び前記オン状態になってから予め設定された時間が経過したか否かを判定し、前記表面温度が前記温度以上である場合、或いは前記オン状態になってから前記時間が経過した場合に、前記加熱器を前記オフ状態とし、かつ、前記オフ状態時においては、予め設定された時間以上、前記加熱器の発熱を停止させ、さらに、前記「ゆらぎ制御モード」の開始後においてオフ状態の回数を判定し、該回数が予め設定された回数である場合、前記「ゆらぎ制御モード」を停止させる処理を実行可能とするためのマッサージ機能付きシート用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、マッサージ機能付きシートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、加圧器による押圧力上昇作動に連動してヒータへの通電を制御している。なお、当該加圧器は、空気圧を利用して着席者の背部を局所的に押圧する押圧器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-85117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、押圧力上昇作動に連動してヒータへの通電を制御しているので、着席者に対して十分なマッサージ効果又はリフレッシュ効果を与えることが困難な場合がある。本願は、上記点に鑑みたマッサージ機能付きシートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願では、マッサージ機能付きシートにおいて、シートバック(3)及びクッションシート(5)を有するシート本体と、シート本体に設けられ、着席者を局所的に押圧するための加圧器(13)と、シート本体に設けられ、着席者を局所的に加熱するための加熱器(11)と、加圧器(13)が作動可能な状態にある場合において、加熱器(11)を発熱させるオン状態と当該発熱を停止させるオフ状態とを1サイクルとして加熱器(11)を制御する「ゆらぎ制御モード」が実行可能な制御部(20)とを備える。
【0006】
そして、制御部(20)は、オン状態時においては、シート本体の表面温度を予め設定された温度以下に維持し、さらに、制御部(20)は、オフ状態時においては、予め設定された時間以上、加熱器(11)の発熱を停止させる。
【0007】
これにより、加圧器(13)による物理的なマッサージ効果に加えて、加熱温度の変化に伴う血管の拡張・収縮によるマッサージ効果も加味することができる。したがって、特許文献1に記載のマッサージ機能付きシートに比べて、着席者に対して十分なマッサージ効果又はリフレッシュ効果を与えることが可能となる。
【0008】
なお、「シート本体の表面温度」とは、対象となる部位における現実の表面温度、又は当該表面温度と関連がある温度であってもよい。「当該表面温度と関連がある温度」とは、例えば、加熱器(11)の温度等である。
【0009】
本願は、以下のように構成してもよい。
すなわち、制御部(20)は、表面温度が予め設定された温度を越えると当該制御部(20)が判断したときは、加熱器(11)をオフ状態とすることが望ましい。この際、制御部(20)は、初回のオン状態の継続時間を2回目のオン状態の継続時間に比べて長くした「ゆらぎ制御モード」を実行することも可能である。
【0010】
加熱器(11)は、通電時に発生するジュール損を利用した電気式ヒータであることが望ましい。これにより、加熱器(11)を容易に制御することが可能となる。
そして、特に、乗物用シートに本願を適用する場合には、流体圧により伸縮する袋のブラダーにより加圧器(13)を構成することが望ましい。
【0011】
複数の加圧器(13)及び加熱器(11)が設けられているとともに、加熱器(11)の個数は、加圧器(13)の個数より少なく、さらに、加熱器(11)は、加圧器(13)の直上に配設されている。
【0012】
これにより、オフ状態時にシート本体の表面温度を速やかに低下させることが可能となる。したがって、加熱温度の変化に伴うマッサージ効果を確実に発揮させることが可能となる。
【0013】
制御部(20)は、加圧器(13)が作動不可状態にある場合には、「ゆらぎ制御モード」を停止状態とすることが望ましい。そして、第1加熱器(11)より広い範囲で着席者を加熱可能な第2加熱器(12)を設けることが望ましい。
【0014】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るマッサージ機能付きシートの外観図である。
図2】本発明の実施形態に係るマッサージ機能付きシートにおける第1加熱器11、第2加熱器12及び加圧器13等の配置構造を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るマッサージ機能付きシートにおける第1加熱器11、第2加熱器12及び加圧器13等の配置構造を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るマッサージ機能付きシートの制御系ブロック図である。
図5】第1加熱器11の温度、表面温度及び第1加熱器11への通電状態を示すグラフである。
図6】本発明の第1実施形態に係るマッサージ機能付きシートの「ゆらぎ制御モード」時の作動を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係るマッサージ機能付きシートの「ゆらぎ制御モード」時の作動を示すフローチャートである。
図8】本発明の第3実施形態に係るマッサージ機能付きシートの制御系ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0018】
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
【0019】
(第1実施形態)
1.乗物用シート(マッサージ機能付きシート)の構成
本実施形態は、自動車用シート、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられる乗物用シートに本発明を適用したものである。図1に示すように、乗物用シート1は、シートバック3及びクッションシート5等を有して構成されている。
【0020】
シートバック3は着席者の背部を支持するための部位である。クッションシート5は着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック3内には、複数の第1加熱器11A~11D、第2加熱器12及び複数の加圧器13A~13J等が埋設されている。
【0021】
複数の第1加熱器11A~11Dは、着席者の背部を局所的に加熱するための加熱器である。複数の第1加熱器11A~11Dそれぞれは、ニクロム線等の発熱体が局所範囲に埋設されて構成されたヒータであって、通電時に発生するジュール損を利用した電気式のヒータである。
【0022】
第2加熱器12は、各第1加熱器11A~11Dより広い範囲で着席者の背部を加熱可能な加熱器である。当該第2加熱器12は、各第1加熱器11A~11Dより広い範囲にニクロム線等の発熱体が埋設されたヒータであって、通電時に発生するジュール損を利用した電気式のヒータである。
【0023】
複数の加圧器13A~13Jは、着席者の背部を局所的に押圧するための加圧器である。各加圧器13A~13Jは、空気圧等の流体圧により伸縮する袋のブラダーにより構成されたものであって、例えば特許文献1に記載された加圧器と同様なものである。
【0024】
以下、複数の第1加熱器11A~11Dを総称する際には第1加熱器11と記し、複数の加圧器13A~13Jを総称する際には加圧器13と記す。
そして、第1加熱器11の個数は加圧器13の個数より少ない。すなわち、例えば、本実施形態では10個の加圧器13を有し、そのうち5個は上下方向に沿って配設され、他の5個は、当該5個の加圧器13に対してシート幅方向にずれた位置にて上下方向に沿って配設されている。
【0025】
複数(本実施形態では、4個)の第1加熱器11は、複数の加圧器13のうち着席者の肩又は肩胛骨に対応する部位、及び複数の加圧器13のうち着席者の腰に対応する部位に配設されている。そして、各第1加熱器11は、図2に示すように、加圧器13の直上に配設されている。
【0026】
なお、「第1加熱器11が加圧器13の直上に配設されている」とは、図3に示すように、加圧器13、つまりブラダーが膨張して着席者の背部を局所的に押圧する際に、「当該膨張に連動して着席者の背部に第1加熱器11を押し付けることが可能な位置に当該第1加熱器11が配設されている」ことをいう。
【0027】
2.第1加熱器等の制御
2.1 制御の概要
図4に示すように、各第1加熱器11、第2加熱器12及び各加圧器13の作動は制御部20により制御される。制御部20は、CPU、ROM及びRAM等を有して構成されたマイクロコンピュータにて構成されている。
【0028】
各第1加熱器11等を制御するためのプログラムは、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。CPU、つまり制御部20は、当該不揮発性記憶部から上記プログラムを読み込んで各第1加熱器11等の制御を実行する。
【0029】
制御部20には、リフレッシュスイッチSW1、温熱リフレッシュスイッチSW2及びシートヒータスイッチSW3の状態を示す信号、並びに温度センサS1の検出信号が入力されている。
【0030】
リフレッシュスイッチSW1は、着席者等によって操作されたときに、マッサージ機能(リフレッシュ機能)、つまり各加圧器13を作動させるためのスイッチである。つまり、リフレッシュスイッチSW1が投入されると、各加圧器13に空気圧を供給するエアポンプ(図示せず。)稼働するとともに、当該空気圧を制御する制御弁(図示せず。)が稼働する。
【0031】
温熱リフレッシュスイッチSW2は、着席者等によって操作されたときに、各第1加熱器11を、後述する「ゆらぎ制御モード」にて作動させるためのスイッチである。シートヒータスイッチSW3は、着席者等によって操作されたときに、第2加熱器12への通電を開始し、当該第2加熱器12を発熱させるためのスイッチである。
【0032】
温度センサS1は、各第1加熱器11に埋設された部位におけるシートバック3の表面温度を直接的又は間接的に検出する。本実施形態に係る温度センサS1は、抵抗法等により各第1加熱器11の温度を検出することにより間接的に表面温度を検出している。
【0033】
なお、本実施形態では、複数の第1加熱器11毎に表面温度を検出している。このため、温度センサS1は第1加熱器11と同数以下設けられている。そして、制御部20は、複数の第1加熱器11毎に当該第1加熱器11の作動を制御している。なお、本実施形態では、温度センサS1は、第1加熱器11と直列に設けられているので、温度センサS1は第1加熱器11の1/2個である。
【0034】
2.2 「ゆらぎ制御モード」
制御部20は、リフレッシュスイッチSW1が投入されている状態において、温熱リフレッシュスイッチSW2が投入されているときには、「ゆらぎ制御モード」を実行するためのプログラムを実行する。
【0035】
そして、制御部20は、各加圧器13が作動不可状態にある場合、つまりリフレッシュスイッチSW1が投入されていない場合、又は温熱リフレッシュスイッチSW2が投入されていない場合には、「ゆらぎ制御モード」を停止状態とする。
【0036】
「ゆらぎ制御モード」とは、各加圧器13が作動可能な状態にある場合、つまりリフレッシュスイッチSW1が投入されている状態において、図5に示すように、各加熱器11を発熱させるオン状態と当該発熱を停止させるオフ状態とを1サイクルとして各加熱器11を制御する制御モードである。
【0037】
すなわち、「ゆらぎ制御モード」が開始されると、図6に示すように、制御部20は、各第1加熱器11への通電を開始するとともに(S1)、各温度センサS1の検出温度を読み込む(S3)。
【0038】
そして、制御部20は、いずれかの温度センサS1にて検出した表面温度が予め設定された温度(以下、設定温度という。)を越えているか否かを判断する(S5)。いずれかの温度センサS1にて検出した表面温度が設定温度を越えていると判断した場合には(S5:YES)、設定温度を超えると判断された第1加熱器11をオフ状態とする(S7)。
【0039】
制御部20は、設定温度を超えると判断されていない第1加熱器11に関しては、オン状態を維持する。制御部20は、オフ状態となった第1加熱器11が発生すると、当該第1加熱器11がオフ状態となった時を基準とする経過時間を計時する(S9)。
【0040】
このとき、制御部20は、オフ状態時となった第1加熱器11の発熱を短くとも設定オフ時間Toff停止させる。設定オフ時間Toffとは、試験等により試行錯誤的に決定された時間であって、予めROMに記憶された時間である。そして、制御部20は、経過時間が設定オフ時間Toffを越えたか否かを判定する(S11)。
【0041】
制御部20は、経過時間が設定オフ時間Toffを越えていないと判断した場合はS11:NO)、当該オフ状態を維持する。制御部20は、経過時間が設定オフ時間Toffを越えたと判断した場合は(S11:YES)、当該オフ状態が「ゆらぎ制御モード」の開始後においてn回目(本実施形態では、3回目)のオフ状態であるか否かを判断する(S13)。
【0042】
そして、制御部20は、当該オフ状態が「ゆらぎ制御モード」の開始後においてn回目のオフ状態であると判断した場合には(S13:YES)、「ゆらぎ制御モード」を停止させる(S15)。
【0043】
制御部20は、当該オフ状態が「ゆらぎ制御モード」の開始後においてn回目のオフ状態でないと判断した場合には(S13:NO)、オフ状態の第1加熱器11をオン状態とした後(S17)、S3を実行する。
【0044】
なお、制御部20は、表面温度が設定温度を越えていると判断した場合に、オン状態の第1加熱器11をオフ状態とするので、オン状態の継続時間は一定ではない。つまり、例えば、初回のオン状態の継続時間は、通常、2回目のオン状態の継続時間に比べて長くなる。
【0045】
これは、初回のオン状態によって表面温度が既に上昇しているため、2回目のオン状態時においては、初回のオン状態の継続時間より短い時間で表面温度が設定温度に到達してしまうからである。
【0046】
3.本実施形態に係る乗物用シートの特徴
「ゆらぎ制御モード」では、オン状態時においては、表面温度が予め設定された温度以下に維持され、かつ、予め設定された時間以上、オフ状態が維持される。
【0047】
これにより、本実施形態では、各加圧器13による物理的なマッサージ効果に加えて、加熱温度の変化に伴う血管の拡張・収縮によるマッサージ効果も加味することができる。したがって、着席者に対して十分なマッサージ効果又はリフレッシュ効果を与えることが可能となる。
【0048】
各第1加熱器11は、通電時に発生するジュール損を利用した電気式ヒータである。これにより、制御部20は、各第1加熱器11を容易に制御することが可能となる。
第1加熱器11の個数は加圧器13の個数より少なく、さらに、各第1加熱器11は、加圧器13の直上に配設されている。これにより、オフ状態時にシートバック3の表面温度を速やかに低下させることが可能となる。したがって、加熱温度の変化に伴うマッサージ効果を確実に発揮させることが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
第1実施形態では、オン状態はシートバック3の表面温度を利用して制御されていた。しかし、本実施形態は、図7に示すように、オン状態となった時から予め決められた時間が経過したときに(S4:YES)、第1加熱器11をオフ状態とする機能を追加したものである。
【0050】
つまり、本実施形態では、オフ状態と同様にオン状態となった時からの経過時間を利用してオン状態が制御され得る。このため、例えば、第1加熱器11による表面温度の上昇率が小さい場合には、表面温度が上記した設定温度未満であっても、第1加熱器11がオフ状態となる。
【0051】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号を付したので、重複する説明は省略する。
(第3実施形態)
上述の実施形態では、1つの制御部20により、第1加熱器11、第2加熱器12及び加圧器13を制御する構成であった。しかし、本実施形態では、図8に示すように、第1加熱器11及び加圧器13を制御する制御部20と、第2加熱器12を制御する制御部21とが独立した異なる制御部にて構成されている。
【0052】
このため、制御部21には、表面温度を検出する第2の温度センサS2の出力信号が入力されている。第2の温度センサS2は、温度センサS1と同様な温度センサである。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号を付したので、重複する説明は省略する。
【0053】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る制御部20は、複数の第1加熱器11毎に当該第1加熱器11の作動を制御していた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
すなわち、例えば、(1)いずれかの部位において設定温度を超えた場合には、全ての第1加熱器11をオフ状態とする制御、又は(2)表面温度の平均値が設定温度を超えた場合には、全ての第1加熱器11をオフ状態とする制御等であってもよい。
【0055】
上述の実施形態に係る制御部20は、オフ状態が「ゆらぎ制御モード」の開始後においてn回目のオフ状態であると判断した場合には、「ゆらぎ制御モード」を停止させた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
すなわち、例えば、温熱リフレッシュスイッチSW2が投入されている間は、連続的に「ゆらぎ制御モード」を実行する制御としてもよい。さらに、「ゆらぎ制御モード」を停止させるオフ状態の回数は3回に限定されるものではない。
【0057】
上述の実施形態では、設定オフ時間Toffは、初回、2回目及び3回目において略同一であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、初回、2回目及び3回目毎に設定オフ時間Toffを変更する制御であってもよい。
【0058】
上述の実施形態に係る設定オフ時間Toffとは、試験等により試行錯誤的に決定された時間であって、予めROMに記憶された時間であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
すなわち、例えば、着席者等が自ら設定オフ時間Toffを設定又は変更可能な構成としてもよい。これにより、着席者等が自ら快適と感じる設定オフ時間Toffを設定できるので、多種・多様な着席者に対しても十分なマッサージ効果又はリフレッシュ効果を与えることが可能となる。
【0060】
上述の実施形態では、制御部20に内蔵された不揮発性記憶部に「マッサージ機能付きシート用プログラム」が記憶されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
すなわち、例えば、可搬性を備えた記録媒体(例えば、USBメモリや記憶ディスク等)に「マッサージ機能付きシート用プログラム」が記憶されていてもよい。なお、制御部20は、乗物用シート1に一体化された構成、又は乗物用シート1以外に配置された構成のいずれでもよい。
【0062】
上述の実施形態に係る第1加熱器11及び第2加熱器12は電気ヒータであった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。なお、第2加熱器12が廃止された構成であってもよい。
【0063】
上述の実施形態に係る加圧器13は、空気圧により伸縮する空気袋(ブラダー)により構成されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、カム等の機械的な押圧器、又は温水等の液体の流体圧により伸縮する押圧器等であってもよい。
【0064】
上述の実施形態では、加圧器13の膨張・収縮タイミングと第1加熱器11のオン状態・オフ状態の開始タイミングとは連動しておらず、互いの制御は独立制御されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、第1加熱器11と加圧器13とを連動させて作動させてもよい。
【0065】
上述の実施形態では、第1加熱器11と第2加熱器12とは連動しておらず、互いの制御は独立制御されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、第1加熱器11と第2加熱器12とが連動して制御される構成であってもよい。
【0066】
上述の実施形態では、温度センサS1の検出温度を「シートバック3の表面温度」と関連がある温度として利用した。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
上述の実施形態に係る制御部20は、加圧器13が作動可能な状態にあるか否かをリフレッシュスイッチSW1が投入されているかに基づいて判断した。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
また、加圧器13が作動不可状態において「ゆらぎ制御モード」を実行可能としてもよい。なお、加圧器13が作動可能な状態にある状態とは、加圧器13が現実に膨張・収縮作動をしているか否かは不問である。
【0069】
上述の実施形態では、シートバック3に第1加熱器11及び加圧器13等が設けられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、クッションシート5及びシートバック3のうち少なくとも一方に第1加熱器11及び加圧器13等が設けられている構成であってもよい。
【0070】
上述の実施形態では、乗物用シートに本願に係るマッサージ機能付きシートを適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、据え置き型のシートにも本願に係るマッサージ機能付きシートを適用できる。
【0071】
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1… 乗物用シート 3… シートバック 5… クッションシート
11… 第1加熱器 12… 第2加熱器 13… 加圧器
20… 制御部 SW1… リフレッシュスイッチ
SW2… 温熱リフレッシュスイッチ SW3… シートヒータスイッチ
S1… 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8