(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】解凍動作の完了を検出するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H05B 6/68 20060101AFI20220128BHJP
A23L 3/365 20060101ALI20220128BHJP
F24C 7/02 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
H05B6/68 320P
A23L3/365 B
H05B6/68 320D
F24C7/02 340J
(21)【出願番号】P 2017075623
(22)【出願日】2017-04-06
【審査請求日】2020-03-19
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504199127
【氏名又は名称】エヌエックスピー ユーエスエイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NXP USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エリック スコット
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー サイモン
(72)【発明者】
【氏名】シャオフェイ キュー
(72)【発明者】
【氏名】ライオネル モンジャン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール マリー ジーン ピール
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-529871(JP,A)
【文献】特開2004-247128(JP,A)
【文献】特開2004-063308(JP,A)
【文献】特開昭63-051077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0198530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/68
A23L 3/365
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱増加システムのキャビティの中に位置決めされているロードに対して熱増加動作を実施する方法であって、
無線周波数(RF)信号供給源が、伝達経路を通して、前記キャビティに近接している電極にRF信号を提供する工程と、
前記伝達経路に沿って、順方向RF電力測定値および反射RF電力測定値
を取得
し、前記順方向RF電力測定値に対する前記反射RF電力測定値の比を計算し、前記比を閾値比と比較する
ことを繰り返す工程と、
順方向RF電力測定値に対する反射RF電力測定値の比が前記閾値比より大きい場合、前記RF信号供給源と前記ロードを加えた前記キャビティとの間の整合を改善するように前記RF信号供給源と前記電極との間の可変インピーダンス整合ネットワークを再構成し、前記比を前記閾値比未満に減少させる工程と、
前記可変インピーダンス整合ネットワークが再構成される頻度を繰り返し決定する、決定工程と、
前記
頻度を閾値
頻度と繰り返し比較する工程と、
前記
頻度が前記閾値
頻度以下であるという決定が行われた場合、
前記RF信号供給源が前記RF信号を提供し続ける時間の量を監視することに関連付けられたタイマを初期化する工程と、
前記
タイマが期限切れになったという決定が行われるまで、前記RF信号を前記電極に提供し続ける工程と、
前記
タイマが期限切れになったという前記決定が行われた場合、前記電極への前記RF信号の提供を停止する工程と、を備える、方法。
【請求項2】
前記閾値
頻度は、プラトー温度範囲の中にある温度を有する前記ロードと整合性のある
頻度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラトー温度範囲は、摂氏-16度から摂氏-3度の間の温度の範囲を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
熱増加システムのキャビティの中に位置決めされているロードに対して熱増加動作を実施するように構成された熱増加システムであって、
RF信号を生成するように構成された無線周波数(RF)信号供給源と、
前記RF信号供給源と前記キャビティに近接して位置決めされている電極との間の伝達経路であって、前記RF信号を前記RF信号供給源から前記電極に伝えるように構成された伝達経路と、
前記伝達経路に沿った可変インピーダンス整合ネットワークと、
前記伝達経路に結合され、前記伝達経路に沿って順方向RF電力測定値および反射RF電力測定値を繰り返し取得するように構成された電力検出回路と、
前記電力検出回路に結合されているシステム・コントローラであって、
前記順方向RF電力測定値に対する前記反射RF電力測定値の比を計算し、前記比を閾値比と比較することを繰り返し、
順方向RF電力測定値に対する反射RF電力測定値の比が前記閾値比より大きい場合、前記RF信号供給源と前記ロードを加えた前記キャビティとの間の整合を改善するように前記可変インピーダンス整合ネットワークを再構成し、前記比を前記閾値比未満に減少させ、
前記可変インピーダンス整合ネットワークが再構成された頻度を繰り返し決定し、
前記
頻度を閾値
頻度と繰り返し比較し
、
前記頻度が前記閾値頻度以下であることを前記システム・コントローラが決定する場合、前記RF信号供給源が前記RF信号を提供し続ける時間の量を監視することに関連付けられたタイマを初期化するように構成されたシステム・コントローラと、を備え、
前記
タイマが期限切れになったという決定を前記システム・コントローラが行うまで、前記RF信号供給源は、前記RF信号を前記電極に提供し続けるように構成されており、
前記システム・コントローラは、前記
タイマが期限切れになったという前記決定を前記システム・コントローラが行う場合、前記RF信号供給源に前記電極への前記RF信号の提供を停止させるように構成されている、システム。
【請求項5】
前記RF信号供給源は、3.0メガヘルツから300メガヘルツの間の周波数を有する共振信号として前記RF信号を生成するように構成されている、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記閾値
頻度は、プラトー温度範囲の中にある温度を有する前記ロードと整合性のある
頻度である、請求項
4に記載のシステム。
【請求項7】
前記プラトー温度範囲は、摂氏-16度から摂氏-3度の間の温度の範囲を含む、請求項
6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題の実施形態は、概して、無線周波数(RF)エネルギーを使用して被解凍物であるロード(load)を解凍する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静電容量式の食物解凍(または融解)システムは、加熱コンパートメントの中に収容された大きな平面電極を備える。食物ロードが電極同士の間に置かれ、電極が食物ロードと接触した後に、低電力の電磁エネルギーが電極に供給され、食物ロードの穏やかな加温を提供する。食物ロードが解凍動作の間に融解するとき、食物ロードのインピーダンスが変化する。したがって、食物ロードへの電力伝送も解凍動作の間に変化する。解凍動作の持続期間は、たとえば、食物ロードの重量に基づいて決定され得、動作の中断を制御するためにタイマが使用され得る。
【0003】
なお、先行技術文献である特許文献1には、冷蔵用機器内において食物を解凍するための容量性機器について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのようなシステムを使用して良好な解凍結果が可能であるが、食物ロード・インピーダンスの動的な変化は、結果として食物ロードの非効率的な解凍を生じさせる可能性がある。それに加えて、重量に基づいて解凍動作の持続期間を決定する際に本質的に伴う不正確さが、結果として、解凍動作の早過ぎる中断、または食物ロードに火が通り始めた後の遅い中断を生じさせる可能性がある。ロード全体を通して効率的で均一な解凍、およびロードが所望の温度にあるときに解凍動作の中断を結果として生じさせ得る、食物ロード(または、他のタイプのロード)を解凍するための装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために提供される、熱増加システムのキャビティの中に位置決めされているロードに対して熱増加動作(または、解凍動作)を実施する方法の実施形態は、RF信号供給源が、伝達経路を通して、キャビティに近接した電極にRF信号を提供する工程を備える。方法は、伝達経路に沿って、順方向RF電力測定値および反射RF電力測定値を繰り返し取得する工程と、順方向RF電力測定値および反射RF電力測定値に基づいて、計算された変化率を繰り返し決定する工程と、計算された変化率を閾値変化率と繰り返し比較する工程と、をさらに備える。計算された変化率が閾値変化率と比較して勝っているという決定が行われた場合、方法は、熱増加動作が完了したという決定が行われるまで、RF信号を電極に提供し続ける工程をさらに備える。熱増加動作が完了したという決定が行われた場合、電極へのRF信号の提供が停止される。
【0007】
RF信号は、3.0メガヘルツから300メガヘルツの間の周波数を有する共振信号であることが可能である。RF信号は、13.56メガヘルツ(+/-5パーセント)、27.125メガヘルツ(+/-5パーセント)、および40.68メガヘルツ(+/-5パーセント)から選択される周波数を有する共振信号であることが可能である。計算された変化率を決定する工程は、順方向RF電力測定に対する反射RF電力測定の複数の比を計算する工程と、複数の比が経時的に変化するレートとして、計算されたレートを決定する工程と、を備えることが可能である。計算された変化率を決定する工程は、順方向RF電力測定値に対する反射RF電力測定値の複数の比を計算する工程と、複数の比から複数のS11パラメータを計算する工程と、複数のS11パラメータが経時的に変化するレートとして、計算されたレートを決定する工程と、を備えることが可能である。閾値変化率は、プラトー温度範囲の中にある温度を有するロードと整合性のある変化率であることが可能である。プラトー温度範囲は、摂氏-16度から摂氏-3度の間の温度の範囲を備えることが可能である。プラトー温度範囲は、摂氏-8度から摂氏-4度の間の温度の範囲を備えることが可能である。熱増加動作が完了したという決定を行う工程は、タイマが期限切れになったかどうかを決定する工程を備えることが可能である。熱増加システムは、RF信号供給源と電極との間に可変インピーダンス整合ネットワークを備え、熱増加動作が完了したという決定を行うことは、可変インピーダンス整合ネットワークがRF信号供給源とロードを加えたキャビティとの間の整合を改善するように再構成されるレートであるかどうかを決定する工程を備えることが可能である。熱増加システムは、RF信号供給源と第1の電極との間に可変インピーダンス整合ネットワークを備えることが可能であり、方法は、順方向RF電力測定値に対する反射RF電力測定値の比を繰り返し計算する工程と、比を閾値と繰り返し比較する工程と、順方向RF電力測定値に対する反射RF電力測定値の比が閾値と比較して劣っている場合、RF信号供給源とロードを加えたキャビティとの間の整合を改善するように可変インピーダンス整合ネットワークを再構成する工程と、をさらに備える。
【0008】
熱増加システム(または、解凍システム)の実施形態は、熱増加システムのキャビティの中に位置決めされているロードに対して熱増加動作(または、解凍動作)を実施するように構成されている。システムは、RF信号を生成するように構成されたRF信号供給源と、RF信号供給源とキャビティに近接して位置決めされている電極との間の伝達経路であって、RF信号をRF信号供給源から電極へ伝えるように構成された伝達経路と、を備える。システムは、伝達経路に結合されている電力検出回路であって、伝達経路に沿って、順方向RF電力測定値および反射RF電力測定値を繰り返し取得するように構成された電力検出回路と、電力検出回路に結合されているシステム・コントローラと、をさらに備える。システム・コントローラは、順方向RF電力測定値および反射RF電力測定値に基づいて、計算された変化率を繰り返し決定するように構成され、ならびに、計算された変化率を閾値変化率と繰り返し比較するように構成されている。計算された変化率が閾値変化率と比較して勝っているという決定が行われた場合、システム・コントローラは、熱増加動作が完了したという決定が行われるまで、RF信号供給源がRF信号を電極に提供し続けることを可能にするように構成されている。熱増加動作が完了したという決定が行われた場合、システム・コントローラは、RF信号供給源に電極へのRF信号の提供を停止させるように構成されている。
【0009】
システム・コントローラは、順方向RF電力測定値に対する反射RF電力測定値の複数の比を計算することによって、複数の比から複数のS11パラメータを計算することによって、および、複数のS11パラメータが経時的に変化するレートとして、計算されたレートを決定することによって、計算された変化率を決定するように構成され得る。閾値変化率は、プラトー温度範囲の中にある温度を有するロードと整合性のある変化率であることが可能である。プラトー温度範囲は、摂氏-16度から摂氏-3度の間の温度の範囲を備えることが可能である。プラトー温度範囲は、摂氏-8度から摂氏-4度の間の温度の範囲を備えることが可能である。システムは、タイマをさらに備えることが可能であり、熱増加動作が完了したという決定を行う工程は、タイマが期限切れになったかどうかということを決定する工程を備える。システムは、RF信号供給源と電極との間に結合されている可変インピーダンス整合ネットワークをさらに備えることが可能であり、可変インピーダンス整合ネットワークがRF信号供給源とロードを加えたキャビティとの間の整合を改善するように再構成されるレートを決定することによって、システム・コントローラは、熱増加動作が完了したという決定を行うように構成されている。システムは、RF信号供給源と第1の電極との間に可変インピーダンス整合ネットワークをさらに備えることが可能であり、システム・コントローラは、順方向RF電力測定値に対する反射RF電力測定値の比を繰り返し計算するように構成され、比を閾値と繰り返し比較するように構成され、および、順方向RF電力測定値に対する反射RF電力測定値の比が閾値と比較して劣っている場合、RF信号供給源とロードを加えたキャビティとの間の整合を改善するように可変インピーダンス整合ネットワークを再構成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】例示的な実施形態による、解凍電気器具の斜視図。
【
図2】解凍システムの他の例示的な実施形態を含む冷蔵庫/冷凍庫の電気器具の斜視図。
【
図3】例示的な実施形態による解凍装置の簡略ブロック図。
【
図4】例示的な実施形態による可変インダクタンス整合ネットワークの概略図。
【
図5】例示的な実施形態による可変インダクタンス・ネットワークの概略図。
【
図6】ある実施形態において、可変インピーダンス整合ネットワークの複数のインダクタンスが、どのように入力キャビティ・インピーダンスをRF信号供給源に整合させることができるかを示す、スミス・チャートの例の図。
【
図7】例示的な実施形態による解凍システムの側断面図。
【
図8】例示的な実施形態による解凍システムの一部分の斜視図。
【
図9】例示的な実施形態による、動的ロード整合によって解凍システムを作動する方法のフローチャート。
【
図10】2つの異なるロードに関する解凍動作による、キャビティ整合設定を、RF信号供給源整合設定に対してプロットしたチャート。
【
図11】特定のロードに関する温度を順方向電力に対する反射電力の比の変化に対してプロットしたチャート。
【
図12A】例示的な実施形態による、解凍動作の終了の自動検出を伴う解凍システムを作動させる方法のフローチャート。
【
図12B】例示的な実施形態による、解凍動作の終了の自動検出を伴う解凍システムを作動させる方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の図と関連して検討されるときに、詳細な説明および特許請求の範囲を参照することによって、主題のより完全な理解を得ることが可能である。すべての図を通して、同様の参照数字は、同様の要素を表している。
【0012】
以下の詳細な説明は、本質的に、単なる例示目的のものであり、本主題または本出願の実施形態、および、そのような実施形態の使用を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、「例示的な」および「例」という語句は、「例、事例、または実例としての役割を果たす」ということを意味している。例示的なまたは例として本明細書に記載される任意の実装形態は、必ずしも、他の実装形態よりも好適または有利であると解釈されるべきではない。そのうえ、先行する技術分野、背景技術、または、以下の詳細な説明に提示されているような任意の明示または暗示された理論によって拘束されるような意図は存在していない。
【0013】
本明細書に記載される主題の実施形態は、ソリッド・ステートの解凍装置に関し、それは、スタンド・アロンの電気器具の中へまたは他のシステムの中へ組み込まれ得る。より詳細に下記に説明されているように、例示的な解凍システムは、キャビティの中に配設されている第1の電極と、増幅器構成体(1つまたは複数のトランジスタを含む)と、増幅器構成体の出力と第1の電極との間に結合されているインピーダンス整合ネットワークと、解凍動作が完了したときを検出することができる測定および制御システムと、を使用して実現されている。ある実施形態では、インピーダンス整合ネットワークは、増幅器構成体とキャビティとの間の整合を改善するように、解凍動作の間に調節され得る可変インピーダンス整合ネットワークである。
【0014】
一般的に、「解凍する」という用語は、冷凍されたロード(たとえば、食物ロード、または、他のタイプのロード)の温度を、ロードが冷凍されていない温度(たとえば、摂氏0度または摂氏0度に近い温度)まで上昇させることを意味する。本明細書で使用される場合、「解凍する」という用語は、さらに広く見れば、RF電力をロードに提供することを通してロード(たとえば、食物ロード、または、他のタイプのロード)の熱エネルギーまたは温度が増加させられるプロセスを意味する。したがって、さまざまな実施形態では、「解凍動作」は、任意の初期温度(たとえば、摂氏0度より上または下の任意の初期温度)を有するロードに対して実施され得、また、解凍動作は、初期温度よりも高い任意の最終温度(たとえば、摂氏0度より上または下にある最終温度を含む)において停止され得る。そうは言うものの、本明細書で説明される「解凍動作」および「解凍システム」は、代替的に、「熱増加動作」および「熱増加システム」とも称され得る。「解凍する」という用語は、本発明の用途を、冷凍されたロードの温度を摂氏0度の温度または摂氏0度に近い温度まで上昇させることのみが可能な方法またはシステムに限定するように解釈されるべきではない。
【0015】
図1は、例示的な実施形態による解凍システム100の斜視図である。解凍システム100は、解凍キャビティ110、制御パネル120、1つまたは複数の無線周波数(RF)信号供給源(たとえば、RF信号供給源340、
図3)、電源(たとえば、電源350、
図3)、第1の電極170、電力検出回路(たとえば、電力検出回路380、
図3)、およびシステム・コントローラ(たとえば、システム・コントローラ330、
図3)を含む。解凍キャビティ110は、上部キャビティ壁、底部キャビティ壁、側部キャビティ壁、および後面キャビティ壁111、112、113、114、115の内部表面、ならびに、ドア116の内部表面によって画定されている。ドア116が閉められている状態で、解凍キャビティ110は、密閉された空気キャビティを画定する。本明細書で使用される場合、「空気キャビティ」という用語は、空気または他のガスを収容する密閉された領域を意味することが可能である(たとえば、解凍キャビティ110)。
【0016】
ある実施形態によれば、第1の電極170が、キャビティ壁(たとえば、上部壁111)に近接して配置されており、第1の電極170は、残りのキャビティ壁(たとえば、壁112~115およびドア116)から電気的に絶縁されており、残りのキャビティ壁は接地されている。そのような構成では、システムは、コンデンサとして簡略化してモデル化され得、それによれば、第1の電極170が1つの導体板として機能し、接地されているキャビティ壁(たとえば、壁112~115)が第2の導体板(または、電極)として機能し、空気キャビティ(その中に収容されている任意のロードを含む)は、第1の導体板と第2の導体板との間の誘電体媒体として機能する。
図1に示されてはいないが、非導電の障壁(たとえば、障壁314、
図3)も、システム100の中に含まれ得、非導電障壁は、底部キャビティ壁112からロードを電気的におよび物理的に絶縁するように機能することが可能である。
図1は、第1の電極170が上部壁111に近接していることを示しているが、第1の電極170は、代替的に、代替的な電極172~175によって示されているように、他の壁112~115のいずれかに近接していることも可能である。
【0017】
ある実施形態によれば、解凍システム100の動作の間に、ユーザ(図示せず)は、1つまたは複数のロード(たとえば、食物および/または液体)を解凍キャビティ110の中へ置くことが可能であり、随意的に、ロードの特性を特定する入力を、制御パネル120を介して提供することが可能である。たとえば、特定される特性は、ロードのおおよその重量を含むことが可能である。それに加えて、特定されるロード特性は、ロードが形成されている材料(たとえば、肉、パン、液体)を示すことが可能である。代替的な実施形態では、ロード特性は、たとえば、ロード・パッケージングの上のバーコードをスキャンすることにより、または、ロードの上のもしくはロードの中に埋め込まれているRFIDタグから無線周波数識別(RFID)信号を受け取ることによるなど、任意の他の方式で得られ得る。どちらにしても、より詳細に後に説明されるように、そのようなロード特性に関する情報は、システム・コントローラ(たとえば、システム・コントローラ330、
図3)が、解凍動作の開始時にシステムのインピーダンス整合ネットワークのための初期状態を確立することを可能にし、初期状態は、最適な状態に比較的近くなることが可能であり、最適な状態は、ロードに対する最大のRF電力伝送を可能にする。代替的に、ロード特性は、解凍動作の開始の前に入力または受け取られなくてもよく、システム・コントローラは、インピーダンス整合ネットワークに関してデフォルトの初期状態を確立することが可能である。
【0018】
解凍動作を始めるために、ユーザは、制御パネル120を介して入力を提供することが可能である。それに応じて、システム・コントローラは、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340、
図3)からRF信号を第1の電極170に供給させ、第1の電極170は、それに応答して電磁エネルギーを解凍キャビティ110の中へ放射する。電磁エネルギーは、ロードの熱エネルギーを増加させる(すなわち、電磁エネルギーによってロードが温かくなる)。
【0019】
解凍動作の間に、ロードの熱エネルギーが増加するにしたがって、ロードのインピーダンス(したがって、ロードを加えたキャビティ110の合計の入力インピーダンス)が変化する。インピーダンス変化は、ロードに対するRFエネルギーの吸収を変更し、したがって反射電力の大きさを変更する。ある実施形態によれば、電力検出回路(たとえば、電力検出回路380、
図3)が、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340、
図3)と第1の電極170との間の伝達経路(たとえば、伝達経路348、
図3)に沿って、順方向電力および反射電力(forward and reflected power)を連続的または周期的に測定する。これらの測定に基づいて、システム・コントローラ(たとえば、システム・コントローラ330、
図3)は、詳細に下記に説明されるように、解凍動作の完了を検出することが可能である。さらなる実施形態によれば、インピーダンス整合ネットワークは可変であり、また、順方向電力測定値および反射電力測定値に基づいて、システム・コントローラは、解凍動作の間にインピーダンス整合ネットワークの状態を変更し、ロードによるRF電力の吸収を増加させることが可能である。
【0020】
図1の解凍システム100は、卓上型の電気器具として具現化されている。さらなる実施形態では、解凍システム100は、電子レンジ調理動作を実施するためのコンポーネントおよび機能を含むことも可能である。代替的に、解凍システムのコンポーネントが、他のタイプのシステムまたは電気器具の中へ組み込まれ得る。たとえば、
図2は、他の例示的な実施形態の解凍システム210、220を含む冷蔵庫/冷凍庫の電気器具200の斜視図である。より具体的には、解凍システム210は、システム200の冷凍庫コンパートメント212の中に組み込まれているように示されており、また、解凍システム220は、システムの冷蔵庫コンパートメント222の中に組み込まれているように示されている。実際の冷蔵庫/冷凍庫の電気器具は、恐らく、解凍システム210、220のうちの1つだけを含むこととなるが、両方の実施形態を簡潔に伝えるために、両方とも
図2に示されている。
【0021】
解凍システム100と同様に、解凍システム210、220のそれぞれは、解凍キャビティ、制御パネル214、224、1つまたは複数のRF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340、
図3)、電源(たとえば、電源350、
図3)、第1の電極(たとえば、電極370、
図3)、電力検出回路(たとえば、電力検出回路380、
図3)、およびシステム・コントローラ(たとえば、システム・コントローラ330、
図3)を含む。たとえば、解凍キャビティは、引き出しの底部壁、側部壁、前面壁、および後面壁の内部表面、ならびに、固定棚216、226の内部上部表面によって画定され得、固定棚216、226の下では、引き出しがスライドする。引き出しが完全に棚の下にスライドされた状態で、引き出しおよび棚は、密閉された空気キャビティとしてキャビティを画定する。さまざまな実施形態において、解凍システム210、220のコンポーネントおよび機能は、解凍システム100のコンポーネントおよび機能と実質的に同じであることが可能である。
【0022】
それに加えて、ある実施形態によれば、解凍システム210、220のそれぞれは、冷凍庫コンパートメント212または冷蔵庫コンパートメント222との十分な熱的連通をそれぞれ有することが可能であり、冷凍庫コンパートメント212または冷蔵庫コンパートメント222の中にシステム210、220が配設される。そのような実施形態では、解凍動作の完了の後に、ロードがシステム210、220から除去されるまで、ロードは、安全な温度(すなわち、食物の腐敗が遅らせられる温度)に維持され得る。より具体的には、冷凍庫ベースの解凍システム210によって解凍動作が完了すると、解凍されたロードがその中に収容されているキャビティは、冷凍庫コンパートメント212と熱的に連通することが可能であり、また、ロードがキャビティから迅速に除去されない場合には、ロードは再冷凍することが可能である。同様に、冷蔵庫ベースの解凍システム220によって解凍動作が完了すると、解凍されたロードがその中に収容されているキャビティは、冷蔵庫コンパートメント222と熱的に連通することが可能であり、また、ロードがキャビティから迅速に除去されない場合には、ロードは、冷蔵庫コンパートメント222の中の温度で、解凍された状態に維持され得る。
【0023】
当業者は、本明細書の説明に基づいて、解凍システムの実施形態が、同様に、他の構成を有するシステムまたは電気器具の中へも組み込まれ得るということを理解されるであろう。したがって、スタンド・アロンの電気器具、電子レンジ電気器具、冷凍庫、および冷蔵庫の中の解凍システムの上述の実装形態は、実施形態の使用をそれらのタイプのシステムだけに限定することを意味するわけではない。
【0024】
解凍システム100、200は、互いに対して特定の相対的配向にあるそれらのコンポーネントとともに示されているが、さまざまなコンポーネントが、同様に、異なって配向され得るということが理解されるべきである。それに加えて、さまざまなコンポーネントの物理的な構成は、異なっていることが可能である。たとえば、制御パネル120、214、224は、より多くの、より少ない、または異なるユーザ・インタフェース・要素を有することが可能であり、および/または、ユーザ・インタフェース要素は異なって配置され得る。それに加えて、実質的に立方体の解凍キャビティ110が
図1に図示されているが、他の実施形態では、解凍キャビティは、異なる形状を有することが可能である(たとえば、円筒形状など)ことが理解されるべきである。さらに、解凍システム100、210、220は、具体的には
図1および
図2には示されていない、追加的なコンポーネント(たとえば、ファン、静止板または回転板、トレイ、および電気コードなど)を含むことが可能である。
【0025】
図3は、例示的な実施形態による、解凍システム300(たとえば、解凍システム100、210、220、
図1、
図2)の簡略ブロック図である。ある実施形態では、解凍システム300は、解凍キャビティ310、ユーザ・インタフェース320、システム・コントローラ330、RF信号供給源340、電源およびバイアス回路350、可変インピーダンス整合ネットワーク360、電極370、および電力検出回路380を含む。それに加えて、他の実施形態では、解凍システム300は、温度センサ、赤外線(IR)センサ、および/または重量センサ390を含むことが可能であるが、これらのセンサコンポーネントのいくつかまたはすべては除外され得る。
図3は、説明を目的とし、説明をしやすくするための解凍システム300の簡略化された説明図であること、ならびに、実際的な実施形態は、他のデバイスおよびコンポーネントを含み、追加的な機能および特徴を提供することが可能であること、および/または、解凍システム300はより大きな電気システムの一部であることが可能であることが理解されるべきである。
【0026】
ユーザ・インタフェース320は、制御パネル(たとえば、制御パネル120、214、224、
図1、
図2)、開始ボタンおよび取消ボタン、ならびに、機械的な制御(たとえば、ドア/引き出しオープン・ラッチ)などに対応することが可能であり、たとえば、制御パネルは、ユーザが解凍動作のためのパラメータに関する入力(たとえば、解凍しようとするロードの特性など)をシステムに提供することを可能にする。それに加えて、ユーザ・インタフェースは、解凍動作の状況(たとえば、カウントダウン・タイマ、解凍動作の進み具合もしくは完了を示す視覚的な標識、および/または、解凍動作の完了を示す可聴音)ならびに他の情報を示す、ユーザが知覚できる出力を提供するように構成され得る。
【0027】
システム・コントローラ330は、1つまたは複数の汎用プロセッサまたは専用プロセッサ(たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および特定用途向け集積回路(ASIC)など)、揮発性および/または不揮発性メモリ(たとえば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、フラッシュ、および、さまざまなレジスタなど)、1つまたは複数の通信バス、および他のコンポーネントを含むことが可能である。ある実施形態によれば、システム・コントローラ330は、ユーザ・インタフェース320、RF信号供給源340、可変インピーダンス整合ネットワーク360、電力検出回路380、およびセンサ390(含まれている場合)に結合されている。システム・コントローラ330は、ユーザ・インタフェース320を介して受け取られるユーザ入力を示す信号を受け取るように、ならびに、順方向電力測定値および反射電力測定値を電力検出回路380から受け取るように構成されている。受け取られた信号および測定値に応答して、および、より詳細に後に説明されるように、システム・コントローラ330は、電源およびバイアス回路350に、ならびにRF信号供給源340のRF信号発生器342に、制御信号を提供する。それに加えて、システム・コントローラ330は、可変インピーダンス整合ネットワーク360に制御信号を提供し、それにより可変インピーダンス整合ネットワーク360がその状態または構成を変化させる。
【0028】
解凍キャビティ310は、第1および第2の平行板電極を備える静電容量式の解凍構成体を含み、第1の平行板電極と第2の平行板電極は空気キャビティによって分離されており、空気キャビティの中には、解凍しようとするロード316が置かれ得る。たとえば、第1の電極370は、空気キャビティの上方に位置決めされ得、第2の電極は、収容構造体312の一部分によって提供され得る。より具体的には、収容構造体312は、底部壁、上部壁、および側部壁を含むことが可能であり、その内部表面は、キャビティ310(たとえば、キャビティ110、
図1)を画定している。ある実施形態によれば、キャビティ310は、電磁エネルギーを収容するように(たとえば、ドア116によって(
図1)、または、棚216、226の下で閉じられる引き出しをスライドさせることによって(
図2))封止され得、電磁エネルギーは、解凍動作の間にキャビティ310の中へ導入される。システム300は、1つまたは複数のインターロック・メカニズムを含むことが可能であり、1つまたは複数のインターロック・メカニズムは、解凍動作の間に封止が完全であることを確実にする。インターロック・メカニズムの1つまたは複数が封止が破壊されたことを示す場合には、システム・コントローラ330は、解凍動作を停止することが可能である。ある実施形態によれば、収容構造体312は、少なくとも部分的に導電材料から形成されており、収容構造体の導電部分は接地され得る。代替的に、少なくとも、キャビティ310の底部表面に対応する収容構造体312の部分は、導電材料から形成されて接地され得る。どちらにしても、収容構造体312(または、少なくとも、第1の電極370に平行になっている収容構造体312の部分)は、静電容量式の解凍構成体の第2の電極として機能する。ロード316とキャビティ310の接地された底部表面との間の直接的な接触を回避するために、非導電障壁314が、キャビティ310の底部表面の上に位置決めされ得る。
【0029】
解凍キャビティ310、および、解凍キャビティ310の中に位置決めされている任意のロード316(たとえば、食物および液体など)は、第1の電極370によってキャビティ310の中へ放射される電磁エネルギー(または、RF電力)に関する累積的な負荷を示す。より具体的には、キャビティ310およびロード316は、システムに対するインピーダンスを示し、それを、本明細書では「キャビティ入力インピーダンス」と称する。ロード316の温度が増加するにつれて、キャビティ入力インピーダンスは、解凍動作の間に変化する。
図10および
図11に関連して後に説明されるように、多くのタイプの食物ロードのインピーダンスは、食物ロードが冷凍された状態から解凍された状態へ移行するときに、ある程度予測可能な様式で、温度に関して変化する。ある実施形態によれば、電力検出回路380からの反射電力測定値および順方向電力測定値に基づいて、システム・コントローラ330は、ロード316が摂氏0℃に接近していることをキャビティ入力インピーダンスの変化率が示す解凍動作の間の時点を識別するように構成されており、その時に、システム・コントローラ330は、解凍動作を終了させることが可能である。
【0030】
ある実施形態では、第1の電極370は、可変インピーダンス整合ネットワーク360および伝達経路348を通して、RF信号供給源340に電気的に結合されている。後により詳細に説明されるように、可変インピーダンス整合回路360は、RF信号供給源340のインピーダンスから、ロード316によって修正された解凍キャビティ340の入力インピーダンスへのインピーダンス変換を実施するように構成されている。ある実施形態では、可変インピーダンス整合ネットワーク360は、受動部品(たとえば、インダクタ、コンデンサ、抵抗器)のネットワークを含む。より具体的な実施形態によれば、可変インピーダンス整合ネットワーク360は、複数の固定値集中インダクタ(fixed-value lumped inductors)(たとえば、インダクタ412~414、712~714、812~814、
図4、
図7、
図8)を含み、それらは、キャビティ310の中に位置決めされ、第1の電極370に電気的に結合されている。それに加えて、可変インピーダンス整合ネットワーク360は、複数の可変インダクタンス・ネットワーク(たとえば、ネットワーク410、411、500、
図4、
図5)を含み、それらは、キャビティ310の内側または外側に位置付けされ得る。可変インダクタンス・ネットワークのそれぞれによって提供されるインダクタンス値は、より詳細に後に説明されるように、システム・コントローラ330からの制御信号を使用して確立される。いずれにしても、解凍動作を通じて可変インピーダンス整合ネットワーク360の状態を変化させ、変化し続けるキャビティ入力インピーダンスを動的に整合させることによって、ロード316によって吸収されるRF電力の量が、解凍動作の間のロード・インピーダンスの変動にかかわらず、高いレベルに維持され得る。
【0031】
ある実施形態によれば、RF信号供給源350は、RF信号発生器342および電力増幅器(たとえば、1つまたは複数の電力増幅段344、346を含む)を含む。システム・コントローラ330によって提供される制御信号に応答して、RF信号発生器342は、ISM(産業用、科学用、および医療用)バンドの中の周波数を有する発振電気信号を生成するように構成されているが、システムは、同様に、他の周波数帯の中の動作も支援するように修正され得る。さまざまな実施形態では、RF信号発生器342は、異なる電力レベルおよび/または異なる周波数の発振信号を生成するように制御され得る。たとえば、RF信号発生器342は、約3.0メガヘルツ(MHz)から約300MHzの範囲の中で発振する信号を生成することが可能である。いくつかの望ましい周波数は、たとえば、13.56MHz(+/-5パーセント)、27.125MHz(+/-5パーセント)、および40.68MHz(+/-5パーセント)であることが可能である。1つの特定の実施形態では、たとえば、RF信号発生器342は、約40.66MHzから約40.70MHzの範囲の中で、約10デシベル(dB)から約15dBの範囲の中の電力レベルで発振する信号を生成することが可能である。代替的に、発振の周波数および/または電力レベルは、上述された所定の範囲または値よりも低くても、または高くてもよい。
【0032】
図3の実施形態では、電力増幅器は、駆動増幅段344および最終増幅段346を含む。電力増幅器は、RF信号発生器342から発振信号を受け取るように構成され、また、信号を増幅し、電力増幅器の出力において著しく高電力の信号を生成するように構成されている。たとえば、出力信号は、約100ワットから約400ワット以上の範囲にある電力レベルを有することが可能である。電力増幅器によって適用される利得は、電源およびバイアス回路350によってそれぞれの増幅段344、346に提供されるゲート・バイアス電圧および/またはドレイン供給電圧を使用して制御され得る。より具体的には、電源およびバイアス回路350は、システム・コントローラ330から受け取られる制御信号にしたがって、バイアス電圧および供給電圧をそれぞれのRF増幅段344、346に提供する。
【0033】
ある実施形態では、それぞれの増幅段344、346は、入力端子(たとえば、ゲート端子または制御端子)ならびに2つの通電端子(たとえば、ソース端子およびドレイン端子)を有する、電界効果トランジスタ(FET)などのパワー・トランジスタとして実装される。さまざまな実施形態では、インピーダンス整合回路(図示せず)は、駆動増幅段と最終増幅段346との間で、駆動増幅段344の入力(たとえば、ゲート)に結合され得、および/または、最終増幅段346の出力(たとえば、ドレイン端子)に結合され得る。ある実施形態では、増幅段344、346のそれぞれのトランジスタは、横方向拡散型金属酸化物半導体FET(LDMOSFET)トランジスタを含む。しかし、トランジスタが任意の特定の半導体技術に限定されることは意図されておらず、他の実施形態では、それぞれのトランジスタは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタ、別のタイプのMOSFETトランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、または、別の半導体技術を利用するトランジスタとして実現され得ることに留意されるべきである。
【0034】
図3では、電力増幅器構成体は、特定の様式で他の回路コンポーネントに結合されている2つの増幅段344、346を含むように示されている。他の実施形態では、電力増幅器構成体は、他の増幅器トポロジーを含むことが可能であり、および/または、増幅器構成体は、1つだけの増幅段、または3つ以上の増幅段を含むことが可能である。たとえば、電力増幅器構成体は、シングル・エンド型増幅器、ダブル・エンド型増幅器、プッシュ・プル増幅器、ドハティ増幅器、スイッチ・モード電力増幅器(SMPA)、または別のタイプの増幅器のさまざまな実施形態を含むことが可能である。
【0035】
ある実施形態では、電力検出回路380が、RF信号供給源340の出力と可変インピーダンス整合ネットワーク360の入力との間に、伝達経路348に沿って結合されている。代替的な実施形態では、電力検出回路380は、可変インピーダンス整合ネットワーク360の出力と第1の電極370との間で、伝達経路349に結合され得る。どちらにしても、電力検出回路380は、伝達経路348に沿って進行する順方向信号(すなわち、RF信号供給源340から第1の電極370に向けて)および反射信号(すなわち、第1の電極370からRF信号供給源340に向けて)の電力を監視、測定するか、または他の方法で検出するように構成されている。
【0036】
電力検出回路380は、順方向信号電力および反射信号電力の大きさをシステム・コントローラ330に伝える信号を供給する。そして、システム・コントローラ330は、順方向信号電力に対する反射信号電力の比、またはS11パラメータを計算することが可能である。より詳細に下記に説明されるように、順方向電力に対する反射電力の比が閾値を超えるとき、これは、システム300が十分に整合していないこと、およびロード316によるエネルギー吸収が準最適であり得るということを示している。そのような状況では、システム・コントローラ330は、順方向電力に対する反射電力の比が所望のレベルに減少するまで、可変インピーダンス整合ネットワークの状態を変更するプロセスを調整し、したがって、許容可能な整合を再確立し、また、ロード316による、より最適なエネルギー吸収を促進させる。
【0037】
上述のように、解凍システム300のいくつかの実施形態は、温度センサ、IRセンサ、および/または重量センサ390を含むことが可能である。温度センサおよび/またはIRセンサは、ロード316の温度が解凍動作の間に感知されることを可能にする場所に位置決めされ得る。システム・コントローラ330に提供されると、温度情報により、システム・コントローラ330は、(たとえば、電源およびバイアス回路350によって提供されるバイアス電圧および/または供給電圧を制御することによって)RF信号供給源340によって供給されるRF信号の電力を変更すること、可変インピーダンス整合ネットワーク360の状態を調節すること、および/または、解凍動作をいつ終了させるべきかを決定することができる。重量センサは、ロード316の下に位置決めされており、ロード316の重量の概算をシステム・コントローラ330に提供するように構成されている。システム・コントローラ330は、この情報を使用して、たとえば、RF信号供給源340によって供給されるRF信号に関する所望の電力レベルを決定すること、可変インピーダンス整合ネットワーク360に関する初期設定を決定すること、および/または、解凍動作のおおよその持続期間を決定することが可能である。
【0038】
上記に議論されているように、可変インピーダンス整合ネットワーク360が使用されて、ロード316を加えた解凍キャビティ310の入力インピーダンスを整合させ、ロード316の中へのRF電力伝送を可能な程度まで最大化する。解凍キャビティ310およびロード316の初期インピーダンスは、解凍動作の開始時には、正確に知られていない可能性がある。さらに、ロード316のインピーダンスは、ロード316が温まるにつれて、解凍動作の間に変化する。ある実施形態によれば、システム・コントローラ330は、可変インピーダンス整合ネットワーク360に制御信号を提供することが可能であり、それによって、可変インピーダンス整合ネットワーク360の状態が修正される。これは、システム・コントローラ330が、解凍動作の開始時に可変インピーダンス整合ネットワーク360の初期状態を確立することを可能にし、この初期状態では、順方向電力に対する反射電力の比が比較的低く、したがって、ロード316によるRF電力の吸収が比較的高い。それに加えて、これは、システム・コントローラ330が可変インピーダンス整合ネットワーク360の状態を修正することを可能にし、十分な整合が、ロード316のインピーダンスの変化にかかわらず、解凍動作の全体を通して維持され得るようになっている。
【0039】
ある実施形態によれば、可変インピーダンス整合ネットワーク360は、受動部品のネットワークを含むことが可能であり、より具体的には、固定値インダクタ(たとえば、集中誘導性部品)および可変インダクタ(または、可変インダクタンス・ネットワーク)のネットワークを含むことが可能である。本明細書で使用される場合、「インダクタ」という用語は、他のタイプの部品(たとえば、抵抗器またはコンデンサ)を介在させることなく一緒に電気的に結合されている、別個のインダクタ、または、誘導性部品のセットを意味する。
【0040】
図4は、例示的な実施形態による、可変インピーダンス整合ネットワーク400(たとえば、可変インピーダンス整合ネットワーク360、
図3)の概略図である。下記により詳細に説明されるように、可変インピーダンス整合ネットワーク360は、本質的に、2つの部分、すなわち、RF信号供給源(または、最終段の電力増幅器)を整合させるための1つの部分、およびロードを加えたキャビティを整合させるための別の部分を有している。
【0041】
ある実施形態によれば、可変インピーダンス整合ネットワーク400は、入力ノード402、出力ノード404、第1および第2の可変インダクタンス・ネットワーク410、411、ならびに複数の固定値インダクタ412~415を含む。解凍システム(たとえば、システム300、
図3)の中へ組み込まれたとき、入力ノード402は、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340、
図3)の出力に電気的に結合され、出力ノード404は、解凍キャビティ(たとえば、解凍キャビティ310、
図3)の中の電極(たとえば、第1の電極370、
図3)に電気的に結合される。
【0042】
ある実施形態では、入力ノード402と出力ノード404との間に、可変インピーダンス整合ネットワーク400は、直列に結合されている第1および第2の集中インダクタ412、414を含む。ある実施形態では、第1および第2の集中インダクタ412、414は、比較的低い周波数(たとえば、約4.66MHzから約4.68MHz)および高電力(たとえば、約50ワット(W)から約500W)の動作のために設計され得るので、第1および第2の集中インダクタ412、414は、サイズおよびインダクタンス値の両方が比較的大きい。たとえば、インダクタ412、414は、約200ナノヘンリー(nH)から約600nHの範囲にある値を有することが可能であるが、それらの値は、他の実施形態では、より低くおよび/またはより高くすることが可能である。
【0043】
第1の可変インダクタンス・ネットワーク410は、入力ノード402と接地基準端子(たとえば、接地されている収容構造体312、
図3)との間に結合されている第1のシャント誘導性ネットワークである。ある実施形態によれば、第1の可変インダクタンス・ネットワーク410は、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340、
図3)のインピーダンスを整合させるように構成可能であり、または、より具体的には、最終段の電力増幅器(たとえば、増幅器346、
図3)を整合させるように構成可能である。したがって、第1の可変インダクタンス・ネットワーク410を、可変インピーダンス整合ネットワーク400の「電力増幅器整合部分」と称することができる。ある実施形態によれば、また
図5に関連してより詳細に説明されるように、第1の可変インダクタンス・ネットワーク410は、約20nHから約400nHの範囲にあるインダクタンスを提供するように選択的に一緒に結合され得る誘導性部品のネットワークを含むが、その範囲は、同様に、より低いまたはより高いインダクタンス値まで拡大することも可能である。
【0044】
それとは対照的に、可変インピーダンス整合ネットワーク400の「キャビティ整合部分」は、第1および第2の集中インダクタ412、414の間のノード422と接地基準端子との間に結合されている第2のシャント誘導性ネットワーク416によって提供される。ある実施形態によれば、第2のシャント誘導性ネットワーク416は、直列に結合された第3の集中インダクタ413および第2の可変インダクタンス・ネットワーク411を含み、第3の集中インダクタ413と第2の可変インダクタンス・ネットワーク411との間に中間ノード422を備えている。第2の可変インダクタンス・ネットワーク411の状態は、複数のインダクタンス値を提供するように変化させられ得るので、第2のシャント誘導性ネットワーク416は、ロードを加えたキャビティ(たとえば、ロード316を加えたキャビティ310、
図3)のインピーダンスを最適に整合させるように構成可能である。たとえば、インダクタ413は、約400nHから約800nHの範囲にある値を有することが可能であるが、その値は、他の実施形態では、より低くおよび/またはより高くすることが可能である。ある実施形態によれば、また
図5に関連してより詳細に説明されるように、第2の可変インダクタンス・ネットワーク411は、誘導性部品のネットワークを含み、誘導性部品は、選択的に一緒に結合され、約50nHから約800nHの範囲にあるインダクタンスを提供することが可能であるが、その範囲は、同様に、より低いまたはより高いインダクタンス値まで拡大することも可能である。
【0045】
最後に、可変インピーダンス整合ネットワーク400は、出力ノード404と接地基準端子との間に結合されている第4の集中インダクタ415を含む。たとえば、インダクタ415は、約400nHから約800nHの範囲にある値を有することが可能であるが、その値は、他の実施形態では、より低くおよび/またはより高くすることが可能である。
【0046】
図7および
図8に関連してより詳細に説明されるように、集中インダクタ412~415のセット430は、キャビティ(たとえば、キャビティ310、
図3)の中に、または、少なくとも収容構造体(たとえば、収容構造体312、
図3)の境界内に、物理的に位置付けされ得る。これは、集中インダクタ412~415によって作り出された放射が周囲環境の中へ放射されるのではなく、システムの中に安全に収容されることを可能にする。それとは対照的に、さまざまな実施形態では、可変インダクタンス・ネットワーク410、411は、キャビティまたは収容構造体の中に収容されてもよいし、または収容されなくてもよい。
【0047】
ある実施形態によれば、
図4の可変インピーダンス整合ネットワーク400の実施形態は「インダクタだけ」を含むことにより、ロード316を加えた解凍キャビティ310の入力インピーダンスに関する整合を提供する。したがって、ネットワーク400は、「インダクタ・オンリー」整合ネットワークと考えられ得る。本明細書で使用される場合、可変インピーダンス整合ネットワークのコンポーネントを説明するときの「インダクタだけ」または「インダクタ・オンリー」という語句は、ネットワークが、ある程度の抵抗値を有する別個の抵抗器、または、ある程度の静電容量値を有する別個のコンデンサを含まないことを意味する。いくつかのケースでは、整合ネットワークのコンポーネント同士の間の導電伝達線が最小抵抗を有することが可能であり、および/または、最小寄生容量がネットワークの中に存在することが可能である。そのような最小抵抗および/または最小寄生容量は、「インダクタ・オンリー」ネットワークを、抵抗器および/またはコンデンサも含む整合ネットワークに変換する実施形態として解釈されるべきではない。しかし、当業者は、可変インピーダンス整合ネットワークの他の実施形態が、異なった構成のインダクタ・オンリー整合ネットワーク、ならびに、別個のインダクタ、別個のコンデンサ、および/または別個の抵抗器の組み合わせを含む整合ネットワークを含むことが可能であることを理解されるであろう。
図6に関連してより詳細に説明されるように、「インダクタ・オンリー」整合ネットワークは、代替的に、誘導性部品だけを、または主に誘導性部品を使用する容量性ロードのインピーダンス整合を可能にする整合ネットワークとして定義され得る。
【0048】
図5は、例示的な実施形態による、可変インピーダンス整合ネットワーク(たとえば、可変インダクタンス・ネットワーク410および/または411など、
図4)の中へ組み込まれ得る可変インダクタンス・ネットワーク500の概略図である。ネットワーク500は、入力ノード530、出力ノード532、および、入力ノード530と出力ノード523との間に互いに直列に結合されている複数(N)の別個のインダクタ501~504を含み、ここで、Nは、2から10の間の整数、またはそれよりも大きな整数であることが可能である。それに加えて、ネットワーク500は、複数(N)のスイッチ511~514を含み、ここで、それぞれのスイッチ511~514は、インダクタ501~504のうちの1つの端子に亘って並列に結合されている。スイッチ511~514は、たとえば、トランジスタ、機械的なリレー、または機械的なスイッチとして実装され得る。それぞれのスイッチ511~514の導電状態(すなわち、開または閉)は、システム・コントローラ(たとえば、システム・コントローラ330、
図3)からの制御信号521~524を使用して制御される。
【0049】
それぞれの並列のインダクタ/スイッチ組み合わせに関して、対応するスイッチが開状態または非導電状態の場合、実質的にすべての電流がインダクタを通って流れ、また、スイッチが閉状態または導電状態の場合、実質的にすべての電流がスイッチを通って流れる。たとえば、
図5に図示されているように、すべてのスイッチ511~514が開いているときに、入力ノード530および出力ノード532との間に流れる実質的にすべての電流が、一連のインダクタ501~504を通って流れる。この構成は、ネットワーク500の最大インダクタンス状態(すなわち、入力ノード530および出力ノード532との間に最大インダクタンス値が存在しているネットワーク500の状態)を表している。逆に、すべてのスイッチ511~514が閉じられている場合、入力ノード530と出力ノード532との間に流れる実質的にすべての電流がインダクタ501~504をバイパスし、代わりに、スイッチ511~514、ならびにノード530、532およびスイッチ511~514の間の導電相互接続部を通って流れる。この構成は、ネットワーク500の最小インダクタンス状態(すなわち、最小インダクタンス値が入力ノード530と出力ノード532との間に存在しているネットワーク500の状態)を表している。理想的には、最小インダクタンス値は、ほぼゼロのインダクタンスとなる。しかし、実際には、スイッチ511~514の累積的なインダクタンス、ならびに、ノード530、532およびスイッチ511~514の間の導電相互接続部に起因して、「トレース」インダクタンスが、最小インダクタンス状態において存在する。たとえば、最小インダクタンス状態では、可変インダクタンス・ネットワーク500に関するトレース・インダクタンスは、約20nHから約50nHの範囲にあることが可能であるが、トレース・インダクタンスは、同様に、より小さくまたはより大きくなることが可能である。また、より大きい、より小さい、または実質的に同様のトレース・インダクタンスは、同様に、他のネットワーク状態のそれぞれに本質的に存在する可能性があり、任意の所与のネットワーク状態に関するトレース・インダクタンスは、電流が主にネットワーク500を通じて運ばれる際に通る一連のコンダクタおよびスイッチのインダクタンスの合計である。
【0050】
すべてのスイッチ511~514が開いている最大インダクタンス状態から開始して、システム・コントローラは、制御信号521~524を提供することが可能であり、制御信号521~524は、インダクタ501~504の対応する組み合わせをバイパスすることによって、ネットワーク500のインダクタンスを低減させるために、スイッチ511~514の任意の組み合わせの閉鎖を結果として生じさせる。1つの実施形態では、それぞれのインダクタ501~504は、実質的に同じインダクタンス値を有し、これを、本明細書では、正規化されたIの値と称する。たとえば、それぞれのインダクタ501~504は、約100nHから約200nHの範囲にある値、または、任意の他の値を有することが可能である。そのような実施形態では、ネットワーク500に関する最大インダクタンス値(すなわち、すべてのスイッチ511~514が開状態であるとき)は、約NxIに、それが最大インダクタンス状態になっているときにネットワーク500の中に存在し得る任意のトレース・インダクタンスを加えた値となる。任意のn個のスイッチが閉状態になっている場合、ネットワーク500に関するインダクタンス値は、約(N-n)xI(にトレース・インダクタンスを加える)であることとなる。そのような実施形態では、ネットワーク500の状態は、N+1個のインダクタンスの値のいずれかを有するように構成され得る。
【0051】
代替的な実施形態では、インダクタ501~504は、互いに異なる値を有することが可能である。たとえば、入力ノード530から出力ノード532へと移動すると、第1のインダクタ501は、正規化されたIのインダクタンス値を有することが可能であり、直列になっているそれぞれの後続のインダクタ502~504は、より大きなまたはより小さなインダクタンス値を有することが可能である。たとえば、それぞれの後続のインダクタ502~504は、最も近い下流のインダクタ501~503のインダクタンス値の倍数(たとえば、約2倍)のインダクタンス値を有することが可能であるが、その差は、必ずしも整数倍でなくてもよい。そのような実施形態では、ネットワーク500の状態は、2N個のインダクタンスの値のいずれかを有するように構成され得る。たとえば、N=4であり、かつそれぞれのインダクタ501~504が異なる値を有するときに、ネットワーク500は、16個のインダクタンスの値のいずれかを有するように構成され得る。たとえば、限定としてではないが、インダクタ501がIの値を有すると仮定すると、インダクタ502は2xIの値を有し、インダクタ503は4xIの値を有し、インダクタ504は8xIの値を有し、下記の表1は、可能性のある16個のネットワーク500の状態すべてに関する合計のインダクタンス値を示している(トレース・インダクタンスは考慮に入れていない)。
【0052】
【0053】
再び
図4を参照すると、可変インダクタンス・ネットワーク410の実施形態は、上述の例示的な特性(すなわち、N=4であり、それぞれの後続のインダクタは、先行するインダクタのインダクタンスの約2倍になっている)を有する可変インダクタンス・ネットワーク500の形態で実装され得る。最小インダクタンス状態におけるトレース・インダクタンスが約20nHであり、ネットワーク410によって実現可能なインダクタンス値の範囲が約20nH(トレース・インダクタンス)から約400nHであると仮定すると、インダクタ501~504の値は、それぞれ、たとえば、約30nH、約50nH、約100nH、および約200nHであることが可能である。同様に、可変インダクタンス・ネットワーク411の実施形態が同じ様式で実装される場合に、トレース・インダクタンスが約50nHであり、ネットワーク411によって実現可能なインダクタンス値の範囲が約50nH(トレース・インダクタンス)から約800nHであると仮定すると、インダクタ501~504の値は、それぞれ、たとえば、約50nH、約100nH、約200nH、および約400nHであることが可能である。当然のことながら、4つよりも多くのまたは少ないインダクタ501~504が可変インダクタンス・ネットワーク410、411のいずれかの中に含まれ得、それぞれのネットワーク410、411の中のインダクタは、異なる値を有することが可能である。
【0054】
上記の例示的な実施形態は、ネットワーク500の中のスイッチ付きのインダクタンスの数が4つに等しいこと、および、それぞれのインダクタ501~504は、Iの値の何倍かの値を有していることを特定しているが、可変インダクタンス・ネットワークの代替的な実施形態は、4つよりも多いまたは少ないインダクタ、インダクタに関する異なる相対値、可能性のあるネットワーク状態の異なる数、および/または、インダクタの異なる構成(たとえば、並列および/または直列に結合されているインダクタの異なる形で接続されたセット)を有することが可能である。どちらにしても、解凍システムのインピーダンス整合ネットワークの中に可変インダクタンス・ネットワークを提供することによって、システムは、解凍動作の間に存在する、変化し続けるキャビティ入力インピーダンスをより良好に整合させることが可能である。
【0055】
図6は、スミス・チャート600の例であり、可変インピーダンス整合ネットワーク(たとえば、ネットワーク360、400、
図3、
図4)の実施形態の中の複数のインダクタンスが、どのように入力キャビティ・インピーダンスをRF信号供給源に整合させ得るかということを示している。例示的なスミス・チャート600は、システムが50オームのシステムであること、および、RF信号供給源の出力が50オームであることを仮定している。当業者は、本明細書の説明に基づいて、異なる特性インピーダンスを有するシステムおよび/またはRF信号供給源に関して、スミス・チャートがどのように修正され得るかということを理解されるであろう。
【0056】
スミス・チャート600において、点601は、(たとえば、解凍動作の開始時に)可変インピーダンス整合ネットワーク(たとえば、ネットワーク360、400、
図3、
図4)によって提供される整合が存在しないときに、ロード(たとえば、ロード316を加えたキャビティ310、
図3)が位置付けられることとなる点に対応している。スミス・チャート600の右下象限の中のロード点601の位置によって示されるように、ロードは容量性ロードである。ある実施形態によれば、可変インピーダンス整合ネットワークのシャント・インダクタンスおよび直列インダクタンスは、実質的に容量性のロード・インピーダンスを、最適な整合点606(たとえば、50オーム)に向けて遂次移動させ、最適な整合点606において、ロードへのRFエネルギー伝達は、最小損失で起こることが可能である。より具体的には、また
図4も参照すると、シャント・インダクタンス415は、インピーダンスを点602へ移動させ、直列インダクタンス414は、インピーダンスを点603へ移動させ、シャント・インダクタンス416は、インピーダンスを点604へ移動させ、直列インダクタンス412は、インピーダンスを点605へ移動させ、シャント・インダクタンス410は、インピーダンスを最適な整合点606へ移動させる。
【0057】
可変インピーダンス整合ネットワークの実施形態によって提供されるインピーダンス変換の組み合わせは、スミス・チャート600の右下象限の中の任意の点、または、スミス・チャート600の右下象限に非常に近い任意の点に、インピーダンスを維持するということが留意されるべきである。スミス・チャート600のこの象限は、比較的高いインピーダンスおよび比較的低い電流によって特徴付けられるので、回路のコンポーネントを、比較的高い、損害を与える可能性がある電流に露出させることなく、インピーダンス変換が実現される。したがって、本明細書で使用される場合、「インダクタ・オンリー」整合ネットワークの代替的な定義は、誘導性部品だけを、または主に誘導性部品を使用する容量性ロードのインピーダンス整合を可能にする整合ネットワークであることが可能であり、ここで、インピーダンス整合ネットワークは、実質的にスミス・チャートの右下象限の中で変換を実施する。
【0058】
以前に議論されているように、ロードのインピーダンスは、解凍動作の間に変化する。したがって、点601は、それに対応して、解凍動作の間に移動する。以前に説明されている実施形態にしたがって、第1および第2のシャント・インダクタンス410、411のインピーダンスを変化させることによってロード点601の移動が補正され、そのため、可変インピーダンス整合ネットワークによって提供される最終的な整合が、最適な整合点606に、または、最適な整合点606の近くに、依然として到着することができる。特定の可変インピーダンス整合ネットワークが本明細書で図示および説明されてきたが、当業者は、本明細書の説明に基づいて、異なる構成の可変インピーダンス整合ネットワークは、スミス・チャート600によって伝えられるものと同じまたは同様の結果を実現することが可能であることを理解されるであろう。たとえば、可変インピーダンス整合ネットワークの代替的な実施形態は、より多いまたはより少ないシャント・インダクタンスおよび/または直列インダクタンスを有することが可能であり、および/または、インダクタンスのうちの異なるものは、可変インダクタンス・ネットワーク(たとえば、直列インダクタンスの1つまたは複数を含む)として構成され得る。したがって、特定の可変インダクタンス整合ネットワークが、本明細書で図示および説明されてきたが、本発明の主題は、図示および説明されている実施形態に限定されない。
【0059】
次いで、解凍システムの特定の物理的な構成を、
図7および
図8に関連して説明する。より具体的には、
図7は、例示的な実施形態による解凍システム700の側断面図であり、
図8は、解凍システム700の一部分の斜視図である。ある実施形態では、解凍システム700は、一般的に、解凍キャビティ774、ユーザ・インタフェース(図示せず)、システム・コントローラ730、RF信号供給源740、電源およびバイアス回路(図示せず)、電力検出回路780、可変インピーダンス整合ネットワーク760、第1の電極770、および、第2の電極772を含む。それに加えて、いくつかの実施形態では、解凍システム700は、重量センサ790、温度センサ、および/または、IRセンサ792を含むことが可能である。
【0060】
ある実施形態では、解凍システム700は、収容構造体750の中に収容されている。ある実施形態によれば、収容構造体750は、3つの内部領域、すなわち、解凍キャビティ774、固定インダクタ領域776、および回路ハウジング領域778を画定することが可能である。収容構造体750は、底部壁、上部壁、および側部壁を含む。収容構造体750の壁のいくつかの内部表面の部分は、解凍キャビティ774を画定することが可能である。解凍キャビティ774は、空気キャビティによって分離されている第1および第2の平行板電極770、772を備える静電容量式の解凍構成体を含み、空気キャビティの中には、解凍しようとするロード716が置かれ得る。たとえば、第1の電極770は、空気キャビティの上方に位置決めされ得、第2の電極772は、収容構造体750の導電部分(たとえば、収容構造体750の底部壁の一部分)によって提供され得る。代替的に、第2の電極772は、収容構造体750とは別個の導体板から形成され得る。ある実施形態によれば、非導電の支持構造体754が用いられ、空気キャビティの上方に第1の電極770を吊り下げ、収容構造体750から第1の電極770を電気的に絶縁し、空気キャビティに対して固定された物理的な配向で第1の電極770を保持することが可能である。
【0061】
ある実施形態によれば、収容構造体750は、少なくとも部分的に導電材料から形成されており、また、収容構造体の導電部分が接地され、システムのさまざまな電気的なコンポーネントに関する接地基準を提供することが可能である。代替的に、第2の電極772に対応する収容構造体750の少なくとも一部分が、導電材料から形成されて接地され得る。ロード716と第2の電極772との間の直接的な接触を回避するために、非導電障壁756が、第2の電極772の上方に位置決めされ得る。
【0062】
システム700の中に含まれているとき、重量センサ790は、ロード716の下に位置決めされている。重量センサ790は、ロード716の重量の概算をシステム・コントローラ730に提供するように構成されている。温度センサおよび/またはIRセンサ792は、解凍動作の前、解凍動作の間、および、解凍動作の後に、ロード716の温度が感知されることを可能にする場所に位置決めされ得る。ある実施形態によれば、温度センサおよび/またはIRセンサ792は、ロード温度の概算をシステム・コントローラ730に提供するように構成されている。
【0063】
ある実施形態では、システム・コントローラ730、RF信号供給源740、電源およびバイアス回路(図示せず)、電力検出回路780、および、可変インピーダンス整合ネットワーク760の部分710、711のさまざまなコンポーネントのうちのいくつかまたはすべてが、収容構造体750の回路ハウジング領域778の中の共通の基板752に結合され得る。ある実施形態によれば、システム・コントローラ730は、共通の基板752の上または中のさまざまな導電相互接続部を通して、ユーザ・インタフェース、RF信号供給源740、可変インピーダンス整合ネットワーク760、および電力検出回路780に結合されている。それに加えて、ある実施形態では、電力検出回路780は、RF信号供給源740の出力と入力702との間の伝達経路748に沿って、可変インピーダンス整合ネットワーク760に結合されている。たとえば、基板752は、マイクロ波またはRFラミネート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基板、プリント回路基板(PCB)材料基板(たとえば、FR-4)、アルミナ基板、セラミック・タイル、または、別のタイプの基板を含むことが可能である。さまざまな代替的な実施形態では、コンポーネントのうちのさまざまなものは、異なる基板に結合され、その基板とコンポーネントとの間に電気的な相互接続を有することが可能である。さらなる他の代替的な実施形態では、コンポーネントのうちのいくつかまたはすべては、別個の基板に結合されるのではなく、キャビティ壁に結合され得る。
【0064】
ある実施形態では、第1の電極770は、可変インピーダンス整合ネットワーク760および伝達経路748を通して、RF信号供給源740に電気的に結合される。以前に議論されているように、可変インピーダンス整合ネットワーク760は、可変インダクタンス・ネットワーク710、711(たとえば、ネットワーク410、411、
図4)および複数の固定値集中インダクタ712~715(たとえば、インダクタ412~415、
図4)を含む。ある実施形態では、可変インダクタンス・ネットワーク710、711は、共通の基板752に結合されており、回路ハウジング領域778の中に位置付けされている。それとは対照的に、固定値集中インダクタ712~715は、収容構造体750の固定インダクタ領域776の中に位置決めされている(たとえば、共通の基板752と第1の電極770との間)。導電構造体(たとえば、導電ビアまたは他の構造体)が、回路ハウジング領域778の中の回路と固定インダクタ領域776の中の集中インダクタ712~715との間の電気的な連通を提供することが可能である。
【0065】
システム700の理解を深めるために、ここで、
図7および
図8に示されている可変インピーダンス整合ネットワーク760のノードおよびコンポーネントを、
図4に示されている可変インピーダンス整合ネットワーク400のノードおよびコンポーネントと相関させる。より具体的には、ある実施形態によれば、可変インピーダンス整合ネットワーク760は、入力ノード702(たとえば、入力ノード402、
図4)、出力ノード704(たとえば、出力ノード404、
図4)、第1および第2の可変インダクタンス・ネットワーク710、711(たとえば、可変インダクタンス・ネットワーク410、411、
図4)、および、複数の固定値インダクタ712~715(たとえば、インダクタ412~415、
図4)を含む。入力ノード702は、さまざまな導電構造体(たとえば、導電ビアおよびトレース)を通して、RF信号供給源740の出力に電気的に結合されており、出力ノード704は、第1の電極770に電気的に結合されている。
【0066】
ある実施形態では、入力ノード702と出力ノード704(たとえば、入力および出力ノード402、404、
図4)との間に、可変インピーダンス整合ネットワーク700は、4つの集中インダクタ712~715(たとえば、インダクタ412~415、
図4)を含み、それらは、固定インダクタ領域776の中に位置決めされている。固定インダクタ領域776の中の集中インダクタ712~715の物理的な構成の実施形態の理解を深めることが、
図7および
図8の両方を同時に参照することによって実現され得、ここで、
図8は、固定インダクタ領域776の上部斜視図を示している。
図8では、インダクタ712~715の下にある不規則な形状の網掛けの領域は、第1の電極770の上方の空間の中のインダクタ712~715のサスペンションを表している。換言すれば、網掛けの領域は、インダクタ712~715が空気によって第1の電極770から電気的に絶縁される場所を示している。空気誘電体に依存するのではなく、非導電のスペーサが、これらの領域の中に含まれ得る。
【0067】
ある実施形態では、第1の集中インダクタ712は、入力ノード702に(ひいては、RF信号供給源740の出力に)電気的に結合されている第1の端子と、第1の中間ノード720(たとえば、ノード420、
図4)に電気的に結合されている第2の端子とを有している。第2の集中インダクタ713は、第1の中間ノード720に電気的に結合されている第1の端子と、第2の中間ノード722(たとえば、ノード422、
図4)に電気的に結合されている第2の端子とを有している。第3の集中インダクタ714は、第1の中間ノード720に電気的に結合されている第1の端子と、出力ノード704に(ひいては、第1の電極770に)電気的に結合されている第2の端子とを有している。第4の集中インダクタ715は、出力ノード704(ひいては、第1の電極770)に電気的に結合されている第1の端子と、接地基準ノードに(たとえば、1つまたは複数の導電相互接続部を通して、接地された収容構造体750に)電気的に結合されている第2の端子とを有している。
【0068】
第1の可変インダクタンス・ネットワーク710(たとえば、ネットワーク410、
図4)は、入力ノード702と接地基準端子(たとえば、接地された収容構造体750)との間に電気的に結合されている。最後に、第2のシャント誘導性ネットワーク716は、第2の中間ノード722と接地基準端子との間に電気的に結合されている。
【0069】
解凍システムの電気的態様および物理的態様の実施形態を説明してきたので、次いで、そのような解凍システムを作動するための方法のさまざまな実施形態を
図9および
図10に関連して説明する。より具体的には、
図9は、例示的な実施形態による、動的ロード整合によって解凍システム(たとえば、システム100、210、220、300、700、
図1~
図3、
図7)を作動する方法のフローチャートである。
【0070】
方法は、ブロック902において、システム・コントローラ(たとえば、システム・コントローラ330、
図3)が、解凍動作が開始するべきであるという指示を受け取ったときに始まることが可能である。たとえば、ユーザがロード(たとえば、ロード316、
図3)をシステムの解凍キャビティ(たとえば、キャビティ310、
図3)の中へ置き、キャビティ(たとえば、ドアまたは引き出しを閉めることによって)を封止し、(たとえば、ユーザ・インタフェース320の、
図3)開始ボタンを押した後に、そのような指示が受け取られ得る。ある実施形態では、キャビティの封止は、1つまたは複数の安全インターロック・メカニズムに係合することが可能であり、それは、係合されているときに、キャビティに供給されるRF電力がキャビティの外側の環境へ実質的に漏出することがないことを示している。後に説明されるように、安全インターロック・メカニズムの解除は、システム・コントローラに、直ぐに解凍動作を一時停止または終了させることが可能である。
【0071】
さまざまな実施形態によれば、システム・コントローラは、随意的に、ロード・タイプ(たとえば、肉、液体、または他の材料)、初期ロード温度、および/またはロード重量を示す、追加的な入力を受け取ることが可能である。たとえば、ロード・タイプに関する情報は、ユーザ・インタフェースとの対話を通して(たとえば、一般に認められているロード・タイプのリストからユーザが選択することによって)、ユーザから受け取られ得る。代替的に、システムは、ロードの外部に見ることができるバーコードをスキャンするように構成されており、または、ロードの上の、もしくは、ロードの中に埋め込まれているRFIDデバイスから電子信号を受け取るように構成され得る。初期ロード温度に関する情報は、たとえば、システムの1つまたは複数の温度センサおよび/またはIRセンサ(たとえば、センサ390、792、
図3、
図7)から受け取られ得る。ロード重量に関する情報は、ユーザ・インタフェースとの対話を通してユーザから受け取られるか、または、システムの重量センサ(たとえば、センサ390、790、
図3、
図7)から受け取られ得る。上記に示されているように、ロード・タイプ、初期ロード温度、および/またはロード重量を示す入力を受け取ることは随意的なものであり、システムは、代替的に、これらの入力のうちのいくつかまたはすべてを受け取らなくてもよい。
【0072】
ブロック904において、システム・コントローラは、制御信号を可変整合ネットワーク(たとえば、ネットワーク360、400、
図3、
図4)に提供し、可変整合ネットワークに関する初期の構成または状態を確立する。
図4および
図5に関連して詳細に説明されているように、制御信号は、可変整合ネットワークの中の可変インダクタンス・ネットワーク(たとえば、ネットワーク410、411、
図4)のインダクタンスに影響を与える。たとえば、制御信号は、バイパス・スイッチ(たとえば、スイッチ511~514、
図5)の状態に影響を与えることが可能であり、バイパス・スイッチは、システム・コントローラからの制御信号(たとえば、制御信号521~524、
図5)に応答する。
【0073】
また、以前に議論されているように、可変整合ネットワークの第1の部分は、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340、
図3)または最終段の電力増幅器(たとえば、電力増幅器346、
図3)に関する整合を提供するように構成され得、可変整合ネットワークの第2の部分は、キャビティ(たとえば、キャビティ310、
図3)にロード(たとえば、ロード316、
図3)を加えたものに関する整合を提供するように構成され得る。たとえば、
図4を参照すると、第1のシャント可変インダクタンス・ネットワーク410は、RF信号供給源整合を提供するように構成され得、第2のシャント可変インダクタンス・ネットワーク416は、ロードを加えたキャビティの整合を提供するように構成され得る。
【0074】
冷凍されたロードに関する最良の初期の全体的な整合(すなわち、最大量のRF電力がロードによって吸収される整合)は、典型的には、整合ネットワークのキャビティ整合部分に関する比較的高いインダクタンスと、整合ネットワークのRF信号供給源整合部分に関する比較的低いインダクタンスとを有することが観察された。たとえば、
図10は、2つの異なるロードに関する解凍動作を通して、最適なキャビティ整合設定をRF信号供給源整合設定に対してプロットしたチャートであり、ここで、トレース1010は、第1のロード(たとえば、第1のタイプおよび重量などを有する)に対応しており、トレース1020は、第2のロード(たとえば、第2のタイプおよび重量などを有する)に対応している。
図10では、解凍動作の開始時の(たとえば、ロードが冷凍されるときの)2つのロードに関する最適な初期の整合設定が、それぞれ、点1012および1022によって示されている。見て取れるように、点1012および1022の両方は、比較的低いRF供給源整合設定と比較して、比較的高いキャビティ整合設定を示している。
図4の実施形態を参照すると、これは、可変インダクタンス・ネットワーク416に関する比較的高いインダクタンス、および、可変インダクタンス・ネットワーク410に関する比較的低いインダクタンスに言い換えられる。
【0075】
ある実施形態によれば、ブロック904において可変整合ネットワークに関する初期の構成または状態を確立するために、システム・コントローラは、第1および第2の可変インダクタンス・ネットワーク(たとえば、ネットワーク410、411、
図4)に制御信号を送って、RF信号供給源整合(たとえば、ネットワーク410)に関する可変インダクタンス・ネットワークが比較的低いインダクタンスを有するようにし、また、キャビティ整合に関する可変インダクタンス・ネットワーク(たとえば、ネットワーク411)が比較的高いインダクタンスを有するようにする。システム・コントローラは、システム・コントローラに事前分析により知られているロード・タイプ/重量/温度情報に基づいて、どの程度高くまたはどの程度低くインダクタンスが設定されるかを決定することが可能である。事前分析によるロード・タイプ/重量/温度情報がシステム・コントローラに利用可能ではない場合には、システム・コントローラは、RF信号供給源整合に関する比較的低いデフォルトのインダクタンス、および、キャビティ整合に関する比較的高いデフォルトのインダクタンスを選択することが可能である。
【0076】
しかし、システム・コントローラがロード特性に関する事前分析による情報を有していることを仮定すると、システム・コントローラは、最適な初期整合点の近くに初期の構成を確立しようと試みることが可能である。たとえば、再び
図10を参照すると、第1のタイプのロードに関する最適な初期整合点1012は、ネットワークの最大値の約80パーセントのキャビティ整合(たとえば、ネットワーク411によって実装される)を有しており、また、ネットワークの最大値の約10パーセントのRF信号供給源整合(たとえば、ネットワーク410によって実装される)を有している。可変インダクタンス・ネットワークのそれぞれが、たとえば、
図5のネットワーク500と同様の構造体を有していると仮定し、そして上記の表1にある状態が第1のタイプのロードに適用されると仮定すると、システム・コントローラは、キャビティ整合ネットワーク(たとえば、ネットワーク411)が状態12(すなわち、ネットワーク411の最大限可能なインダクタンスの約80パーセント)を有し、RF信号供給源整合ネットワーク(たとえば、ネットワーク410)が状態2(すなわち、ネットワーク410の最大限可能なインダクタンスの約10パーセント)を有するように、可変インダクタンス・ネットワークを初期化することが可能である。逆に、第2のタイプのロードに関する最適な初期整合点1022は、ネットワークの最大値の約40パーセントのキャビティ整合(たとえば、ネットワーク411によって実装される)を有しており、また、ネットワークの最大値の約10パーセントのRF信号供給源整合(たとえば、ネットワーク410によって実装される)を有している。したがって、第2のタイプのロードに関して、システム・コントローラは、キャビティ整合ネットワーク(たとえば、ネットワーク411)が状態6(すなわち、ネットワーク411の最大限可能なインダクタンスの約40パーセント)を有し、RF信号供給源整合ネットワーク(たとえば、ネットワーク410)が状態2(すなわち、ネットワーク410の最大限可能なインダクタンスの約10パーセント)を有するように、可変インダクタンス・ネットワークを初期化することが可能である。
【0077】
再び
図9を参照すると、初期の可変整合ネットワーク構成が確立されると、システム・コントローラは、必要な場合には、可変インピーダンス整合ネットワークの構成を調節するプロセス910を実施し、整合の品質を示す実際の測定値に基づいて、許容可能な整合または最良の整合を見出すことが可能である。ある実施形態によれば、このプロセスは、ブロック912において、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340)から比較的低電力のRF信号を可変インピーダンス整合ネットワークを通して第1の電極(たとえば、第1の電極370)に供給させる工程を含む。システム・コントローラは、電源およびバイアス回路(たとえば、回路350、
図3)への制御信号を通して、RF信号電力レベルを制御することが可能であり、ここで、その制御信号によって、電源およびバイアス回路は、所望の信号電力レベルに一致する供給およびバイアス電圧を増幅器(たとえば、増幅段344、346、
図3)に提供する。たとえば、比較的低電力のRF信号は、約10Wから約20Wの範囲にある電力レベルを有する信号であることが可能であるが、異なる電力レベルも代替的に使用され得る。キャビティまたはロードを損傷させるリスク(たとえば、高い反射電力を引き起こす場合)を低減させるため、および、可変インダクタンス・ネットワークのコンポーネントのスイッチングを損傷させるリスク(たとえば、スイッチ接点に亘るアーク放電に起因する)を低減させるために、整合調節プロセス910の間は比較的低電力レベルの信号が望ましい。
【0078】
次いで、ブロック914において、電力検出回路(たとえば、電力検出回路380、
図3)は、RF信号供給源と第1の電極との間の伝達経路(たとえば、経路348、
図3)に沿って、順方向電力および反射電力を測定し、それらの測定値をシステム・コントローラに提供する。次いで、システム・コントローラは、反射信号電力と順方向信号電力との間の比を決定することが可能であり、また、その比に基づいて、システムに関するS11パラメータを決定することが可能である。ある実施形態では、システム・コントローラは、将来の評価または比較のために、計算された比および/またはS11パラメータを記憶することが可能である。
【0079】
ブロック916において、システム・コントローラは、順方向信号電力に対する反射信号電力の比および/またはS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合ネットワークによって提供される整合が許容可能であるかどうか(たとえば、比が10パーセント以下であるか、または、任意の他の基準と比較して遜色ないなど)を決定することが可能である。代替的に、システム・コントローラは、整合が「最良の」整合であるかどうかを決定するように構成され得る。たとえば、可能性のあるすべてのインピーダンス整合ネットワーク構成(または、少なくとも、インピーダンス整合ネットワーク構成の所定のサブセットに関して)に関して順方向RF電力および反射RF電力を反復的に測定することによって、ならびに、どの構成が最も低い順方向電力に対する反射電力の比を結果として生じさせるかを決定することによって、「最良の」整合は決定され得る。
【0080】
システム・コントローラが、整合が許容可能ではない、または最良整合ではないと決定した場合、システム・コントローラは、ブロック918において、可変インダクタンス整合ネットワークを再構成することによって、整合を調節することが可能である。たとえば、これは、制御信号を可変インピーダンス整合ネットワークに送ることによって実現され得、それにより、(たとえば、可変インダクタンス・ネットワーク410、411が異なるインダクタンス状態を有するようにすることによって)ネットワークがネットワークの中の可変インダクタンスを増加および/または減少させる。可変インダクタンス・ネットワークを再構成した後に、ブロック916において、許容可能な整合または最良の整合が決定されるまで、ブロック914、916、および918が反復的に実施され得る。
【0081】
許容可能な整合または最良の整合が決定されると、解凍動作が開始することが可能である。解凍動作の開始は、ブロック920において、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340)によって供給されるRF信号の電力を比較的高電力のRF信号まで増加させる工程を含む。ここでも、システム・コントローラは、電源およびバイアス回路(たとえば、回路350、
図3)への制御信号を通して、RF信号電力レベルを制御することが可能であり、ここで、制御信号によって、電源およびバイアス回路が、所望の信号電力レベルに一致する供給およびバイアス電圧を増幅器(たとえば、増幅段344、346、
図3)に提供する。たとえば、比較的高電力のRF信号は、約50Wから約500Wの範囲にある電力レベルを有する信号であることが可能であるが、異なる電力レベルも代替的に使用され得る。
【0082】
次いで、ブロック922において、電力検出回路(たとえば、電力検出回路380、
図3)が、RF信号供給源と第1の電極との間の伝達経路(たとえば、経路348、
図3)に沿って、順方向電力および反射電力を周期的に測定し、それらの測定値をシステム・コントローラに提供する。システム・コントローラは、再び、反射信号電力と順方向信号電力との間の比を決定することが可能であり、また、その比に基づいて、システムに関するS11パラメータを決定することが可能である。ある実施形態では、システム・コントローラは、将来の評価または比較のために、計算された比および/またはS11パラメータを記憶することが可能である。ある実施形態によれば、順方向電力および反射電力の周期的な測定値が(たとえば、ミリ秒のオーダーの)極めて高い周波数で取られるか、または(たとえば、秒のオーダーの)極めて低い周波数で取られ得る。たとえば、周期的な測定値を取るための極めて低い周波数は、10秒から20秒ごとに1回の測定のレートであることが可能である。
【0083】
ブロック924において、システム・コントローラは、1つまたは複数の計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比、および/または、1つまたは複数の計算されたS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合ネットワークによって提供される整合が許容可能であるかどうかを決定することが可能である。たとえば、システム・コントローラは、この決定を行う際に、単一の計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比もしくはS11パラメータを使用することが可能であり、または、この決定を行う際に、いくつかの以前に計算された順方向電力に対する反射電力の比もしくはS11パラメータの平均(または、他の計算)をとることが可能である。整合が許容可能であるかどうかを決定するために、システム・コントローラは、たとえば、計算された比および/またはS11パラメータを閾値と比較することが可能である。たとえば、1つの実施形態では、システム・コントローラは、計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比を10パーセント(または、任意の他の値)の閾値と比較することが可能である。10パーセントを下回る比は、整合が依然として許容可能であることを示すことができ、10パーセントを上回る比は、整合が許容可能ではないことを示すことができる。計算された比またはS11パラメータが閾値よりも大きく(すなわち、比較が好ましくなく)、許容不可能な整合を示す場合、システム・コントローラは、次いで、プロセス910を再び実施することによって、可変インピーダンス整合ネットワークの再構成を開始することが可能である。
【0084】
以前に議論されているように、可変インピーダンス整合ネットワークによって提供される整合は、ロードが温まるにつれて、ロード(たとえば、ロード316、
図3)のインピーダンス変化に起因して、解凍動作を通じて低下する可能性がある。キャビティ整合インダクタンスを減少させることによって(たとえば、可変インダクタンス・ネットワーク411のインダクタンスを減少させることによる、
図4)、および、RF信号供給源インダクタンスを増加させることによって(たとえば、可変インダクタンス・ネットワーク410のインダクタンスを増加させることによる、
図4)、最適なキャビティ整合が、解凍動作を通じて維持され得ることが観察された。再び
図10を参照すると、たとえば、解凍動作の終了における第1のタイプのロードに関する最適な整合は、点1014によって示されており、解凍動作の終了における第2のタイプのロードに関する最適な整合は、点1024によって示されている。両方のケースにおいて、解凍動作の開始と完了との間の最適な整合の追従は、キャビティ整合のインダクタンスを徐々に減少させること、および、RF信号供給源整合のインダクタンスを徐々に増加させることを必要とする。
【0085】
ある実施形態によれば、可変インピーダンス整合ネットワークを再構成する反復的なプロセス910において、システム・コントローラは、この傾向を考慮に入れることが可能である。より具体的には、ブロック918において可変インピーダンス整合ネットワークを再構成することによって整合を調節するとき、システム・コントローラは、より低いインダクタンス(キャビティ整合、またはネットワーク411に関して、
図4)、および、より高いインダクタンス(RF信号供給源整合、またはネットワーク410に関して、
図4)に対応する、キャビティ整合およびRF信号供給源整合に関する可変インダクタンス・ネットワークの状態を初めに選択することが可能である。予期される最適な整合軌跡(たとえば、
図10に図示されるもの)を辿る傾向があるインピーダンスを選択することによって、これらの傾向を考慮に入れない再構成プロセスと比較したときに、可変インピーダンス整合ネットワークの再構成プロセス910を実施するまでの時間が短縮され得る。
【0086】
代替的な実施形態では、システム・コントローラは、その代わりに、隣接するそれぞれの構成を反復的に試験し、許容可能な構成を決定することを試みることが可能である。たとえば、再び上記の表1を参照すると、現在の構成が、キャビティ整合ネットワークに関する状態12、および、RF信号供給源整合ネットワークに関する状態3に対応している場合には、システム・コントローラは、キャビティ整合ネットワークに関して、状態11および/または状態13を試験することが可能であり、また、RF信号供給源整合ネットワークに関して、試験状態2および/または状態4を試験することが可能である。それらの試験が、好ましい結果(すなわち、許容可能な整合)を生み出さない場合には、システム・コントローラは、キャビティ整合ネットワークに関して、状態10および/または状態14を試験することが可能であり、また、RF信号供給源整合ネットワークに関して、状態1および/または状態5を試験することが可能であり、以下同様に続く。
【0087】
実際上は、システム・コントローラが、許容可能なインピーダンス整合を有するようにシステムを再構成するために用いることができる、さまざまな異なる探索方法が存在しており、それは、可能性のあるすべての可変インピーダンス整合ネットワーク構成を試験することを含む。許容可能な構成を探索する任意の合理的な方法が、本発明の主題の範囲内に入るものと考えられる。いずれにしても、許容可能な整合がブロック916において決定されると、解凍動作がブロック920において再開され、プロセスが反復し続ける。
【0088】
再度ブロック924を参照すると、1つもしくは複数の計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比、および/または、1つもしくは複数の計算されたS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合ネットワークによって提供される整合が依然として許容可能である(たとえば、計算された比またはS11パラメータが閾値よりも小さい、または、比較が好ましい)ことをシステム・コントローラが決定するとき、システムは、ブロック926において、出口条件が生じたかどうかを評価することが可能である。実際上は、出口条件が生じたかどうかの決定は、解凍プロセスの間の任意の点において生じ得る割り込み駆動のプロセスであることが可能である。しかし、
図9のフローチャートにそれを含める目的のために、プロセスはブロック924の後に生じるように示されている。
【0089】
いずれにしても、いくつかの条件が、解凍動作の中断を保証することが可能である。たとえば、システムは、安全インターロックが破壊されたときに、出口条件が生じたことを決定することが可能である。代替的に、ユーザによって(たとえば、ユーザ・インタフェース320を通して、
図3)設定されたタイマが満了したときに、または、どの程度長く解凍動作を実施すべきであるかというシステム・コントローラの概算に基づいて、システム・コントローラによって確立されたタイマが満了したときに、システムは、出口条件が生じたことを決定することが可能である。さらなる別の代替的な実施形態では、
図11および
図12に関連してより詳細に説明されるように、システムは、その他の方法で、解凍動作の完了を検出することが可能である。
【0090】
出口条件が生じていない場合には、ブロック922および924(および、必要に応じて、整合ネットワーク再構成プロセス910)を反復的に実施することによって、解凍動作が継続することが可能である。出口条件が生じた場合、ブロック928において、システム・コントローラは、RF信号供給源によるRF信号の供給を中止させる。たとえば、システム・コントローラは、RF信号発生器(たとえば、RF信号発生器342、
図3)を無効にすることが可能であり、および/または、電源およびバイアス回路(たとえば、回路350、
図3)に供給電流の提供を中止させることが可能である。それに加えて、システム・コントローラは、ユーザ・インタフェース(たとえば、ユーザ・インタフェース320、
図3)に信号を送ることが可能であり、それにより、ユーザ・インタフェースが、(たとえば、ディスプレイ・デバイスの上に「ドア開」もしくは「終了」を表示させることによって、または、可聴音を提供することによって)ユーザが知覚できる出口条件の標識を生成する。次いで、方法は終了することが可能である。
【0091】
上記に示されているように、解凍システムは、解凍動作が完了したときを決定するように構成され得る。より具体的には、解凍システムは、以前に冷凍されたロードが所望の解凍の状態に到達するまでの時間を推定するように構成され得る。たとえば、所望の解凍の状態は、ロードの平均温度が摂氏約-4度から摂氏約-2度の範囲にある状態であることが可能である。代替的に、所望の解凍の状態は、ロードの平均温度が摂氏約-2度から摂氏約0度の範囲にある状態であることが可能である。所望の解凍の状態は、同様に、ロードが別の温度または温度範囲にあるときの状態であることも可能である。
【0092】
ある実施形態によれば、解凍動作の完了を決定する方法は、解凍動作の間の既知のロードの観察された典型的なインピーダンスの変化率と比較した、解凍動作全体を通した、ロードに関するインピーダンスの変化率の観察に基づく。方法の実施形態の理解を促進するために、典型的なロードに関する典型的なインピーダンス変化の応答を図示するチャートが、
図11に提供されている。より具体的には、
図11は、典型的なロードに関するロード温度を、順方向電力に対する反射電力の比(R/F比)の変化率またはS11パラメータの変化に対してプロットしたチャートである。
【0093】
トレース1110が示しているように、平均ロード温度が比較的低い温度範囲1120(たとえば、摂氏約-20度と摂氏-15度との間の温度の範囲)に入るときに、順方向電力に対する反射電力の比またはS11パラメータの変化率(たとえば、電力検出回路380によって測定され、システム・コントローラ330によって計算される、
図3)は、解凍動作の開始時に急速に増加し得る。本明細書で使用される場合、この低い温度範囲1120は「サブ・プラトー温度範囲」と称される。平均ロード温度が第1の温度閾値1122(本明細書では「下限プラトー温度」と称される)を上回って増加するとき、順方向電力に対する反射電力の比またはS11パラメータの変化率は著しく減少し、比較的一定したレートに安定化する(すなわち、変化率が「プラトー(平坦域)」に到る)。このより低く、比較的安定した変化率(本明細書で「プラトーレート」と称される)は、比較的幅の広い第2の温度範囲1130(本明細書で「プラトー温度範囲」と称される)を通して観察され得る。たとえば、プラトー温度範囲1130は、摂氏約-15度と摂氏約-3度との間に及ぶことが可能であり、プラトー温度範囲1130の上側温度閾値は、本明細書では「上限プラトー温度」1132と称される。代替的に、プラトー温度範囲は、(たとえば、摂氏約-8度と摂氏約-4度との間の温度の範囲を含むように)より狭く定義され得る。さらに、プラトー温度範囲1130より上(すなわち、上限プラトー温度1132より上の)温度において、順方向電力に対する反射電力の比またはS11パラメータの変化率は、再び、急速に増加し始める。たとえば、順方向電力に対する反射電力の比またはS11パラメータの高い変化率は、摂氏約-3度において起こり始める可能性があり、また、「超プラトー温度範囲」1140を通して継続することが可能であり、「超プラトー温度範囲」1140は、摂氏0度までおよび摂氏0度を超えて及ぶ。
【0094】
図12に関連して詳細に下記に説明されるように、システム・コントローラは、反射電力に対する順方向電力またはS11パラメータの変化率を監視し、解凍動作が完了したと考えられ、休止されるべき時間を決定することが可能である。より具体的には、
図12Aおよび
図12Bを含む
図12は、例示的な実施形態による、解凍動作の終了の自動検出を伴う解凍システム(たとえば、システム100、210、220、300、700、
図1~
図3、
図7)を作動させる方法のフローチャートである。
図12の方法において実施されるいくつかの動作は、
図9の方法において実施される対応する動作と実質的に同様である。そのような類似性が存在する場合には、それらを指摘し、そのような動作の詳細は、簡略化の目的のために詳細には議論しない。
図9の動作に関連して議論されている詳細は、
図12の同様の動作に等しく当てはまることが理解されるべきである。
【0095】
最初に
図12Aを参照すると、またある実施形態によれば、ブロック1202(ブロック902と実質的に同様である、
図9)において、システム・コントローラ(たとえば、システム・コントローラ330、
図3)が、解凍動作が開始すべき旨の指示を受け取ったときに、方法が始まることが可能である。さまざまな実施形態によれば、システム・コントローラは、加えて、かつ随意的に、ロード・タイプ(たとえば、肉、液体、または他の材料)、初期ロード温度、および/またはロード重量を示す追加的な入力を受け取ることが可能である。上記に議論されているように、ロード・タイプ、初期ロード温度、および/またはロード重量を示す入力を受け取ることは随意的なものであり、システムは、代替的に、これらの入力のうちのいくつかまたはすべてを受け取らなくてもよい。
【0096】
ブロック1204(ブロック904と実質的に同様である、
図9)において、システム・コントローラは、制御信号を可変整合ネットワーク(たとえば、ネットワーク360、400、
図3、
図4)に提供し、可変整合ネットワークに関する初期の構成または状態を確立する。初期の可変整合ネットワーク構成が確立されると、次いで、システム・コントローラは、必要な場合には、可変インピーダンス整合ネットワークの構成を調節するプロセス1210(プロセス910と実質的に同様である、
図9)を実施し、整合の品質を示す実際の測定値に基づいて、許容可能な整合または最良の整合を見出すことが可能である。
【0097】
許容可能な整合または最良の整合が決定されると、解凍動作が開始することが可能である。解凍動作の開始は、ブロック1212(ブロック920と実質的に同様である、
図9)において、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340)によって供給されるRF信号の電力を比較的高電力のRF信号まで増加させる工程を含む。
【0098】
ある実施形態によれば、システム・コントローラが、(たとえば、温度センサまたはIRセンサ390、792から受け取られる、
図3、
図7)ロードに関する開始温度の測定値を持っている場合には、システムは、決定ブロック1214において、開始温度が下限プラトー温度(たとえば、温度1122、
図11)よりも高いかどうかの決定を行うことが可能である。高くない場合には、システムは、ロードの温度がサブ・プラトー温度範囲(たとえば、範囲1120、
図11)の中にある状態で、初期解凍動作を実施する。より具体的には、ブロック1216(ブロック922と実質的に同様である、
図9)において、電力検出回路(たとえば、電力検出回路380、
図3)が、RF信号供給源と第1の電極との間の伝達経路(たとえば、経路348、
図3)に沿って、順方向電力および反射電力を周期的に測定し、それらの測定値をシステム・コントローラに提供する。システム・コントローラは、反射信号電力と順方向信号電力との間の比を決定することが可能であり、その比に基づいて、システムに関するS11パラメータを決定することが可能である。ある実施形態によれば、計算された比および/またはS11パラメータの変化率を決定する際に使用するために、システム・コントローラは、複数の計算された比および/またはS11パラメータを記憶する。
【0099】
ブロック1218(ブロック924と実質的に同様である、
図9)において、システム・コントローラは、1つもしくは複数の計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比、および/または、1つもしくは複数の計算されたS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合ネットワークによって提供される現在の整合が許容可能であるかどうかを決定することが可能である。ある実施形態では、整合が許容可能であるかどうかを決定するために、システム・コントローラは、計算された比および/またはS11パラメータを閾値と比較することが可能である。たとえば、1つの実施形態では、システム・コントローラは、計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比を10パーセント(または、任意の他の値)の閾値と比較することが可能である。10パーセントを下回る比は、整合が依然として許容可能であることを示すことができ、10パーセントを上回る比は、整合が許容可能ではないことを示すことができる。計算された比またはS11パラメータが閾値よりも大きく(すなわち、比較が好ましくなく)、許容不可能な整合を示す場合、システム・コントローラは、次いで、プロセス1210を再び実施することによって、可変インピーダンス整合ネットワークの再構成を開始することが可能である。
【0100】
再度ブロック1218を参照すると、1つもしくは複数の計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比、および/または、1つもしくは複数の計算されたS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合ネットワークによって提供される整合が依然として許容可能である(たとえば、計算された比またはS11パラメータが閾値よりも小さい、または、比較が好ましい)ことをシステム・コントローラが決定するとき、システム・コントローラは、ブロック1220において、順方向電力に対する反射電力の比の変化率(または、S11パラメータの変化率)を計算することが可能である。たとえば、直近に計算された比の数値(X)を使用して数学的な計算を実施する(たとえば、平均または標準偏差を計算する)ことによって、変化率が計算され得、ここで、Xは、たとえば、2から10の範囲の整数であることが可能である。換言すれば、Xの直近に計算された比のスライドする窓(ウィンドウ)に対して数学的な計算を実施することによって、システム・コントローラは、順方向電力に対する反射電力の比の変化率(または、S11パラメータの変化率)を計算する。
【0101】
別の実施形態によれば、整合ネットワークがどの程度頻繁に再構成されているかという観点から(すなわち、ブロック1210において)、システム・コントローラは、順方向電力に対する反射電力の比の変化率(または、S11パラメータの変化率)を定量化することが可能である。整合ネットワークを再構成する頻度が低いことは、順方向電力に対する反射電力の比がそれほど急なレートで変化していないことを暗示している。逆に、整合ネットワークを再構成する頻度が高いことは、順方向電力に対する反射電力の比がかなり急なレートで変化していることを暗示している。
【0102】
ブロック1222において、システム・コントローラは、順方向電力に対する反射電力の比の変化率(または、S11パラメータの変化率)がプラトーレートよりも大きいかどうかの決定を行う。代替的に、システム・コントローラは、整合ネットワークが再構成される頻度が閾値を超えている(したがって、変化率がプラトーレートよりも大きいことを暗示している)かどうかの決定を行うことが可能である。
図11に関連して以前に議論されているように、プラトーレートは、ロード温度がプラトー温度範囲(たとえば、プラトー温度範囲1130、
図11)の中にあるときに典型的なロードが経験し得る、順方向信号電力に対する反射信号電力の比(または、S11パラメータ)の比較的一定した変化率である。
【0103】
変化率がプラトーレートよりも大きいことをシステム・コントローラが決定した場合、ロード温度が依然としてサブ・プラトー温度範囲(たとえば、範囲1120、
図11)の中にあるという仮定が行われ、プロセスは、ブロック1216、1218、および1220を繰り返す。しかし、変化率がプラトーレートよりも大きくないことをシステム・コントローラが最初に決定した場合、ロード温度がプラトー温度範囲(たとえば、範囲1130、
図11)に移行したという仮定が行われる。この時点において、システム・コントローラは、解凍プロセスが実施される時間の量を監視し始め、プロセスの完了を予測する。
【0104】
この目的のために、また
図12Bのブロック1250に進み、システム・コントローラは、システムが解凍動作を実施している時間の量を監視することに関連付けられる「プラトー領域」のカウントダウンまたはカウントアップ・タイマを初期化して開始させる。ロード温度がプラトー温度範囲(たとえば、温度範囲1130、
図11)にちょうど進入したところであると仮定されるので、タイマは、基本的には、ロード温度がプラトー温度範囲の中にある状態で、どの程度の時間にわたってシステムが解凍動作を実施しているかの経過を追うために使用される。代替的に、タイマを使用するのではなく、システム・コントローラは、(たとえば、ブロック1252において)順方向電力に対する反射電力の比(または、S11パラメータ)が計算される回数を監視するカウンタを初期化することが可能である。いずれのケースでも、システムは、後に(ブロック1260において)決定されるように、プラトー領域タイマまたはカウンタが特定の限界値に到達したときに解凍動作が完了しているものと仮定する。
【0105】
ある実施形態によれば、システムは、システムが所望の解凍中断温度(たとえば、上限プラトー温度1132、
図11、または、いくらか低いもしくは高い温度)までロードの温度を増加させるのに十分なRF電力をロードに提供するのにかかる時間の量(または、カウントの数)に対応する限界値を決定する。ロードが解凍中断温度になるまでの時間の量は、ロードによって吸収されるRF電力の量(これは、整合の品質、および、RF電力が提供される時間の累積的な持続期間の反映である)、ロードの重量、ならびに、ロードの材料特性に依存する。これらの変数は、測定および分析を通してシステム・コントローラによって決定もしくは推定され、および/または、ユーザによって提供される情報もしくはセンサによって提供される情報に基づいて、システム・コントローラによって決定もしくは推定される。いずれにしても、またある実施形態によれば、プラトー領域タイマまたはカウンタは、約5分(たとえば、より小さいまたはより低いインピーダンスのロードに関する)から約20分(たとえば、より大きいまたはより高いインピーダンスのロードに関する)の範囲にある期間の後に満了するように制御され得るが、タイマまたはカウンタは、同様に、より短いまたはより長い持続期間の後に満了するように制御され得る。
【0106】
ブロック1252(ブロック922と実質的に同様である、
図9)において、電力検出回路(たとえば、電力検出回路380、
図3)は、RF信号供給源と第1の電極との間の伝達経路(たとえば、経路348、
図3)に沿って、順方向電力および反射電力を周期的に測定し始め、それらの測定値をシステム・コントローラに提供する。システム・コントローラは、再び、反射信号電力と順方向信号電力との間の比を決定することが可能であり、また、その比に基づいて、システムに関するS11パラメータを決定することが可能である。ある実施形態では、システム・コントローラは、将来の評価または比較のために、計算された比および/またはS11パラメータを記憶することが可能である。
【0107】
ブロック1254(ブロック924と実質的に同様である、
図9)において、システム・コントローラは、1つもしくは複数の計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比、および/または、1つもしくは複数の計算されたS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合ネットワークによって提供される整合が許容可能であるかどうかを再び決定することが可能である。たとえば、システム・コントローラは、この決定を行う際に、単一の計算された順方向信号電力に対する反射信号電力の比もしくはS11パラメータを使用することが可能であり、または、この決定を行う際に、いくつかの以前に計算された順方向電力に対する反射電力の比もしくはS11パラメータの平均(または、他の計算)をとることが可能である。整合が許容可能であるかどうかを決定するために、システム・コントローラは、たとえば、計算された比および/またはS11パラメータを閾値と比較することが可能である。
【0108】
それに加えて、システム・コントローラは、プラトー領域タイマを増加させることが可能であり(ただし、これは連続的に行われてもよい)、または、(たとえば、順方向電力に対する反射電力の比が計算された回数を示す)プラトー領域カウンタを増加させることが可能である。
【0109】
計算された比またはS11パラメータが閾値よりも大きく(すなわち、比較が好ましくない)、許容不可能な整合を示している場合、次いで、システム・コントローラは、プロセス1256(プロセス910と実質的に同様である、
図9)を実施することによって、可変インピーダンス整合ネットワークの再構成を開始することが可能である。ある実施形態によれば、プラトー領域タイマは、整合ネットワークが再構成されている間は一時停止され得る。可変インピーダンス整合ネットワークを再構成することによって、許容可能な整合が実現されると、システムは、ブロック1258(ブロック920と実質的に同様である、
図9)を実施することによって解凍プロセスを再開することが可能であり、ブロック1258において、システム・コントローラは、RF信号供給源(たとえば、RF信号供給源340)によって供給されるRF信号の電力を比較的高い電力のRF信号まで増加させる。次いで、システムはブロック1252に戻る。
【0110】
再びブロック1254を参照すると、計算された比またはS11パラメータが閾値よりも大きくなく(すなわち、比較が好ましい)、許容可能な整合を示している場合、次いで、システム・コントローラは、ブロック1260において、プラトー領域タイマ/カウンタが限界値よりも小さい(または、タイマが満了していない)かどうかの決定を行うことが可能である。
【0111】
プラトー領域タイマ/カウンタが限界値よりも小さい(または、満了している)場合には、システム・コントローラは、解凍プロセスが完了したことを決定することが可能である。解凍プロセスが完了したことをシステム・コントローラが決定した場合、次いで、ブロック1266において、システム・コントローラは、RF信号供給源によるRF信号の供給を中止させる。たとえば、システム・コントローラは、RF信号発生器(たとえば、RF信号発生器342、
図3)を無効にすることが可能であり、および/または、電源およびバイアス回路(たとえば、回路350、
図3)に供給電流の提供を中止させることが可能である。それに加えて、システム・コントローラは、ユーザ・インタフェース(たとえば、ユーザ・インタフェース320、
図3)に信号を送ることが可能であり、それにより、ユーザ・インタフェースが、(たとえば、ディスプレイ・デバイスの上に「終了」を表示することによって、または可聴音を提供することによって)ユーザが知覚できる解凍プロセスの完了の標識を生成する。次いで、方法は、終了することが可能である。
【0112】
プラトー領域タイマ/カウンタが限界値よりも小さい(または、満了していない)場合には、次いで、ブロック1262(上記に説明されているブロック1220と実質的に同様である)において、システム・コントローラは、順方向電力に対する反射電力の比の変化率(または、S11パラメータの変化率)を計算することが可能である。ここでも、たとえば、直近に計算された比の数値(X)を使用して数学的な計算を実施する(たとえば、平均または標準偏差を計算する)ことによって、変化率が計算され得る。別の実施形態によれば、整合ネットワークがどの程度頻繁に再構成されているかという観点から(すなわち、ブロック1256において)、システム・コントローラは、順方向電力に対する反射電力の比の変化率(または、S11パラメータの変化率)を定量化することが可能である。
【0113】
ブロック1264において、システム・コントローラは、順方向電力に対する反射電力の比の変化率(または、S11パラメータの変化率)がプラトーレートよりも大きいかどうかの決定を行う。代替的に、システム・コントローラは、整合ネットワークが再構成される頻度が閾値を超えている(したがって、変化率がプラトーレートよりも大きいことを暗示している)かどうかの決定を行うことも可能である。
【0114】
変化率がプラトーレートよりも大きくない(または、変化率がプラトーレートと比較して勝っている)とシステム・コントローラが決定した場合、ロード温度が依然としてプラトー温度範囲(たとえば、範囲1130、
図11)の中にあるという仮定が行われ、プロセスは、ブロック1252、1254、および1260を繰り返す。しかし、変化率がプラトーレートよりも大きい(または、変化率がプラトーレートと比較して劣っている)とシステム・コントローラが決定した場合には、ロード温度は超プラトー温度範囲(たとえば、範囲1140、
図11)に移行したという仮定が行われる。この時点において、システム・コントローラは、解凍プロセスが完了したことを決定することが可能である。
【0115】
ここでも、解凍プロセスが完了したということをシステム・コントローラが決定した場合、次いで、ブロック1266において、システム・コントローラは、RF信号供給源によるRF信号の供給を中止させ、システム・コントローラは、ユーザ・インタフェース(たとえば、ユーザ・インタフェース320、
図3)に信号を送ることが可能であり、それにより、ユーザ・インタフェースが、(たとえば、ディスプレイ・デバイスの上に「終了」を表示することによって、または可聴音を提供することによって)ユーザが知覚できる解凍プロセスの完了の標識を生成する。また、
図9のフローチャートに関連して以前に議論されているように、他の出口条件が、同様に、システム・コントローラに解凍動作を中止させることも可能である。どちらにしても、解凍動作が終了されると、方法は、終了することが可能である。
【0116】
図9および
図12に示されているブロックに関連する動作の順序は、例示的な実施形態に対応しており、動作の順番を図示されている順序のみに限定するように解釈されるべきではないことが理解されるべきである。その代わりに、いくつかの動作は異なる順序で実施され得、および/または、いくつかの動作は並列に実施され得る。
【0117】
本明細書に含まれるさまざまな図に示される接続線は、さまざまな要素同士の間の例示的な機能的関係および/または物理的な結合を表すことが意図されている。多くの代替的なまたは追加的な機能的関係または物理的な接続が、主題の実施形態の中に存在し得ることに留意すべきである。また、それに加えて、特定の専門用語は、参照の目的のためだけに本明細書で使用され得、したがって、限定することを意図しておらず、構造体を参照する「第1の」、「第2の」、および、他のそのような数字の用語は、文脈によって明確に指示されていなければ、順番または順序を暗示してはいない。
【0118】
本明細書で使用される場合、「ノード」は、任意の内部もしくは外部参照点、接続点、接合点、信号線、または導電要素を意味し、そこには、所与の信号、ロジック・レベル、電圧、データ・パターン、電流、または量が存在する。そのうえ、2つ以上のノードが、1つの物理的な要素によって実現され得る(そして、2つ以上の信号が共通のノードで受け取られまたは出力される場合でも、多重化され、変調され、または他の方法で区別され得る)。
【0119】
先述の説明は、一緒に「接続されている」または「結合されている」要素またはノードまたはフィーチャーを参照している。本明細書で使用される場合、明示的に別途述べられなければ、「接続されている」は、1つの要素が別の要素に直接接合されており(または、直接通信しており)、また、それは、必ずしも機械的にではないことを意味している。同様に、明示的に別途述べられていなければ、「結合されている」は、1つの要素が別の要素に直接的にまたは間接的に接合されており(または、直接的にまたは間接的に通信しており)、また、それは、必ずしも機械的にではないことを意味している。したがって、図に示されている概略は、要素の1つの例示的な配置を示しているが、追加的な介在要素、デバイス、フィーチャー、またはコンポーネントが、示されている主題の実施形態の中に存在し得る。
【0120】
少なくとも1つの例示的な実施形態が、先述の詳細な説明において提示されてきたが、膨大な数の変形例が存在するということが認識されるべきである。また、本明細書に記載される例示的な1つまたは複数の実施形態は、特許請求される主題の範囲、適用可能性、または構成を限定することを決して意図していないことが認識されるべきである。むしろ、先述の詳細な説明は、説明されている1つまたは複数の実施形態を実装するための便利なロード・マップを当業者に提供することとなる。本特許出願の出願時に既知である均等物および予測できる均等物を含む、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置にさまざまな変更が行われ得ることが理解されるべきである。