(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B25J15/06 D
(21)【出願番号】P 2017127592
(22)【出願日】2017-06-29
【審査請求日】2020-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 洋
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0287534(US,A1)
【文献】特開2000-007296(JP,A)
【文献】特開平05-179831(JP,A)
【文献】特開2017-019061(JP,A)
【文献】特開2004-152882(JP,A)
【文献】特開2007-049112(JP,A)
【文献】特開平03-211199(JP,A)
【文献】特開平08-284458(JP,A)
【文献】特開2000-211748(JP,A)
【文献】特開2011-251837(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104386622(CN,A)
【文献】米国特許第5096363(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/00-15/08
B65G 1/00-67/02
B66F 9/14
E04H 6/18
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、
直線状に形成されるとともに互いに平行に配置される4本のフォークを備えるとともに、
前記フォークの長手方向と上下方向とに直交する方向を直交方向とし、4本の前記フォークのうちの前記直交方向の内側に配置される2本の前記フォークのそれぞれを内側フォークとし、前記直交方向の外側に配置される残りの2本の前記フォークのそれぞれを外側フォークとすると、
前記直交方向における2本の前記内側フォークのピッチを変更する第1フォークピッチ変更機構と、前記直交方向における2本の前記外側フォークのピッチを変更する第2フォークピッチ変更機構と、前記第1フォークピッチ変更機構による2本の前記内側フォークの移動範囲の前記直交方向の内側端側で前記内側フォークを検知するための第1検知機構と、前記第2フォークピッチ変更機構による2本の前記外側フォークの移動範囲の前記直交方向の外側端側で前記外側フォークを検知するための第2検知機構とを備えることを特徴とするハンド。
【請求項2】
前記直交方向における2本の前記内側フォークの原点位置は、前記第1フォークピッチ変更機構による2本の前記内側フォークの移動範囲の前記直交方向の内側端側となっており、
前記直交方向における2本の前記外側フォークの原点位置は、前記第2フォークピッチ変更機構による2本の前記外側フォークの移動範囲の前記直交方向の外側端側となっており、
4本の前記フォークのピッチを変更するときに、前記第1フォークピッチ変更機構は、最初に、前記第1検知機構の検知結果に基づいて2本の前記内側フォークを原点位置に移動させ、前記第2フォークピッチ変更機構は、最初に、前記第2検知機構の検知結果に基づいて2本の前記外側フォークを原点位置に移動させることを特徴とする請求項1記載のハンド。
【請求項3】
4本の前記フォークのピッチを変更するときに、前記第1フォークピッチ変更機構が2本の前記内側フォークを原点位置に移動させ始めるのと同時に、前記第2フォークピッチ変更機構が2本の前記外側フォークを原点位置に移動させ始めることを特徴とする請求項2記載のハンド。
【請求項4】
前記第1フォークピッチ変更機構は、外周面にオネジが形成されるとともに前記直交方向を回転の軸方向として回転して前記直交方向へ前記内側フォークを移動させる第1ネジ部材と、前記第1ネジ部材の端部に固定される検知板を有し前記第1ネジ部材の回転量を検知する第1エンコーダとを備え、
前記第2フォークピッチ変更機構は、外周面にオネジが形成されるとともに前記直交方向を回転の軸方向として回転して前記直交方向へ前記外側フォークを移動させる第2ネジ部材と、前記第2ネジ部材の端部に固定される検知板を有し前記第2ネジ部材の回転量を検知する第2エンコーダとを備え、
4本の前記フォークのピッチを変更するときに、前記第1フォークピッチ変更機構は、前記第1検知機構で前記内側フォークが検知された後、前記第1エンコーダの検知結果に基づいて前記内側フォークを原点位置に移動させて停止させ、前記第2フォークピッチ変更機構は、前記第2検知機構で前記外側フォークが検知された後、前記第2エンコーダの検知結果に基づいて前記外側フォークを原点位置に移動させて停止させることを特徴とする請求項2または3記載のハンド。
【請求項5】
前記第1フォークピッチ変更機構は、原点位置に配置された前記内側フォークを前記第1エンコーダの検知結果に基づいて前記直交方向の外側に移動させて2本の前記内側フォークのピッチを変更し、
前記第2フォークピッチ変更機構は、原点位置に配置された前記外側フォークを前記第2エンコーダの検知結果に基づいて前記直交方向の内側に移動させて2本の前記外側フォークのピッチを変更することを特徴とする請求項4記載のハンド。
【請求項6】
前記直交方向で隣接する前記内側フォークと前記外側フォークとが前記直交方向で接近したことを検知するための接近検知機構を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のハンド。
【請求項7】
前記第2フォークピッチ変更機構による2本の前記外側フォークの移動範囲における前記直交方向の外側の限界位置に前記外側フォークが近づいたことを検知するための第2接近検知機構を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のハンド。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドに関する。また、本発明は、このハンドを備える産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ用のガラス基板を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットのハンドは、直線状に形成される2本のフォークと、フォークの長手方向と上下方向とに直交する方向で2本のフォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、産業用ロボットで搬送されるガラス基板等の搬送対象物として、比較的幅の広い搬送対象物が使用され始めている。すなわち、フォークの長手方向に直交する方向の幅が広い搬送対象物が使用され始めている。特許文献1に記載の産業用ロボットのハンドのように2本のフォークを有するハンドによって比較的幅の広い搬送対象物を搬送すると、2本のフォークの間で、あるいは、2本のフォークの外側で、搬送対象物が大きく撓んで、搬送中の搬送対象物が不安定になる。そこで、本願発明者は、4本のフォークを備えるハンドの構造を検討している。
【0005】
また、4本のフォークのうちの、フォークの長手方向に直交する方向において内側に配置される2本のフォークを内側フォークとし、外側に配置される残りの2本のフォークを外側フォークとすると、本願発明者は、4本のフォークを備えるハンドにおいて、大きさの異なる複数種類の搬送対象物が搬送可能となるように、2本の内側フォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構および2本の外側フォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構の採用を検討している。この場合、4本のフォークのピッチは、円滑に変更されることが好ましい。
【0006】
そこで、本発明の課題は、互いに平行に配置される4本のフォークを備える産業用ロボットのハンドにおいて、4本のフォークのピッチを円滑に変更することが可能な産業用ロボットのハンドを提供することにある。また、本発明の課題は、このハンドを備える産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットのハンドは、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、直線状に形成されるとともに互いに平行に配置される4本のフォークを備えるとともに、フォークの長手方向と上下方向とに直交する方向を直交方向とし、4本のフォークのうちの直交方向の内側に配置される2本のフォークのそれぞれを内側フォークとし、直交方向の外側に配置される残りの2本のフォークのそれぞれを外側フォークとすると、直交方向における2本の内側フォークのピッチを変更する第1フォークピッチ変更機構と、直交方向における2本の外側フォークのピッチを変更する第2フォークピッチ変更機構と、第1フォークピッチ変更機構による2本の内側フォークの移動範囲の直交方向の内側端側で内側フォークを検知するための第1検知機構と、第2フォークピッチ変更機構による2本の外側フォークの移動範囲の直交方向の外側端側で外側フォークを検知するための第2検知機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の産業用ロボットのハンドは、第1フォークピッチ変更機構による2本の内側フォークの移動範囲の直交方向の内側端側で内側フォークを検知するための第1検知機構と、第2フォークピッチ変更機構による2本の外側フォークの移動範囲の直交方向の外側端側で外側フォークを検知するための第2検知機構とを備えている。
【0009】
そのため、本発明では、4本のフォークのピッチを変更するときに、第1検知機構の検知結果に基づいて、2本の内側フォークの移動範囲の直交方向の内側端側まで2本の内側フォークを一旦移動させるとともに、第2検知機構の検知結果に基づいて、2本の外側フォークの移動範囲の直交方向の外側端側まで2本の外側フォークを一旦移動させた後、2本の内側フォークを直交方向の外側に移動させるとともに、2本の外側フォークを直交方向の内側へ移動させることで、4本のフォークのピッチを変更することが可能になる。したがって、本発明では、4本のフォークのピッチを変更するときに、内側フォークと外側フォークとの接触を防止することが可能になり、その結果、4本のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、直交方向における2本の内側フォークの原点位置は、第1フォークピッチ変更機構による2本の内側フォークの移動範囲の直交方向の内側端側となっており、直交方向における2本の外側フォークの原点位置は、第2フォークピッチ変更機構による2本の外側フォークの移動範囲の直交方向の外側端側となっており、4本のフォークのピッチを変更するときに、第1フォークピッチ変更機構は、最初に、第1検知機構の検知結果に基づいて2本の内側フォークを原点位置に移動させ、第2フォークピッチ変更機構は、最初に、第2検知機構の検知結果に基づいて2本の外側フォークを原点位置に移動させる。
【0011】
本発明において、4本のフォークのピッチを変更するときに、第1フォークピッチ変更機構が2本の内側フォークを原点位置に移動させ始めるのと同時に、第2フォークピッチ変更機構が2本の外側フォークを原点位置に移動させ始めることが好ましい。このように構成すると、4本のフォークのピッチの変更時間を短縮することが可能になる。
【0012】
本発明において、第1フォークピッチ変更機構は、外周面にオネジが形成されるとともに直交方向を回転の軸方向として回転して直交方向へ内側フォークを移動させる第1ネジ部材と、第1ネジ部材の端部に固定される検知板を有し第1ネジ部材の回転量を検知する第1エンコーダとを備え、第2フォークピッチ変更機構は、外周面にオネジが形成されるとともに直交方向を回転の軸方向として回転して直交方向へ外側フォークを移動させる第2ネジ部材と、第2ネジ部材の端部に固定される検知板を有し第2ネジ部材の回転量を検知する第2エンコーダとを備え、4本のフォークのピッチを変更するときに、第1フォークピッチ変更機構は、第1検知機構で内側フォークが検知された後、第1エンコーダの検知結果に基づいて内側フォークを原点位置に移動させて停止させ、第2フォークピッチ変更機構は、第2検知機構で外側フォークが検知された後、第2エンコーダの検知結果に基づいて外側フォークを原点位置に移動させて停止させることが好ましい。
【0013】
このように構成すると、第1検知機構のみを用いて内側フォークを原点位置で停止させる場合と比較して、内側フォークの原点位置での停止精度を高めることが可能になる。また、このように構成すると、第2検知機構のみを用いて外側フォークを原点位置で停止させる場合と比較して、外側フォークの原点位置での停止精度を高めることが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、第1フォークピッチ変更機構は、原点位置に配置された内側フォークを第1エンコーダの検知結果に基づいて直交方向の外側に移動させて2本の内側フォークのピッチを変更し、第2フォークピッチ変更機構は、原点位置に配置された外側フォークを第2エンコーダの検知結果に基づいて直交方向の内側に移動させて2本の外側フォークのピッチを変更する。
【0015】
本発明において、ハンドは、直交方向で隣接する内側フォークと外側フォークとが直交方向で接近したことを検知するための接近検知機構を備えることが好ましい。このように構成すると、4本のフォークのピッチを変更する際、直交方向で隣接する内側フォークと外側フォークとが接近した場合に、接近検知機構の検知結果に基づいて内側フォークや外側フォークを停止させることで、内側フォークと外側フォークとの接触を確実に防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、ハンドは、第2フォークピッチ変更機構による2本の外側フォークの移動範囲における直交方向の外側の限界位置に外側フォークが近づいたことを検知するための第2接近検知機構を備えることが好ましい。このように構成すると、第2接近検知機構の検知結果に基づいて、外側フォークの移動範囲における直交方向の外側の限界位置に外側フォークが到達する前に外側フォークを停止させることが可能になる。
【0017】
本発明のハンドは、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備える産業用ロボットに用いることができる。この産業用ロボットでは、4本のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、4本のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
【
図3】
図1に示すハンドの基部の内部の構造を説明するための平面図である。
【
図4】
図1に示すフォークの動作を説明するための平面図である。
【
図5】
図3のE部におけるフォークピッチ変更機構の構成を説明するための平面図である。
【
図6】
図3のF部におけるフォークピッチ変更機構の構成を説明するための平面図である。
【
図7】
図3のG-G方向からフォークピッチ変更機構の構成を説明するための側面図である。
【
図8】
図3のH-H方向からエンコーダ等を示す側面図である。
【
図9】(A)は、
図3のJ-J方向から基部の内部を示す側面図であり、(B)は、(A)のK部の拡大図であり、(C)は、(A)のL部の拡大図であり、(D)は、(A)のM部の拡大図である。
【
図10】
図1に示すフォークのピッチの変更動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(産業用ロボットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1の側面図である。
【0022】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、所定の搬送対象物2を搬送するための水平多関節型のロボットである。搬送対象物2は、たとえば、液晶ディスプレイ用のガラス基板である。この搬送対象物2は、長方形の平板状に形成されている。本形態のロボット1は、大きさの異なる複数種類の搬送対象物2を搬送することが可能になっている。
【0023】
ロボット1は、搬送対象物2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4を支持する本体部5と、本体部5を水平方向に移動可能に支持するベース6とを備えている。本体部5は、アーム4の基端側を支持するとともに上下動可能なアームサポート7と、アームサポート7を上下動可能に支持する支持フレーム8と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース6に対して水平移動可能な基台9と、支持フレーム8の下端が固定されるとともに基台9に対して回動可能な旋回フレーム10とを備えている。
【0024】
アーム4は、第1アーム部12と第2アーム部13との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部12の基端側は、アームサポート7に回動可能に連結されている。すなわち、アーム4の基端側は、本体部5に回動可能に連結されている。第1アーム部12の先端側には、第2アーム部13の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部13の先端側には、ハンド3が回動可能に連結されている。すなわち、アーム4の先端側には、ハンド3が回動可能に連結されている。ロボット1は、2本のアーム4のそれぞれを伸縮させる2個のアーム駆動機構を備えている。
【0025】
支持フレーム8は、アームサポート7を介してハンド3およびアーム4を昇降可能に保持している。この支持フレーム8は、アームサポート7を昇降可能に保持する柱状の第1支持フレーム14と、第1支持フレーム14を昇降可能に保持する柱状の第2支持フレーム15とを備えている。ロボット1は、第1支持フレーム14に対してアームサポート7を昇降させる昇降機構と、第2支持フレーム15に対して第1支持フレーム14を昇降させる昇降機構と、第1支持フレーム14を上下方向に案内するガイド機構と、アームサポート7を上下方向へ案内するガイド機構とを備えている。
【0026】
第2支持フレーム15の下端は、旋回フレーム10に固定されている。旋回フレーム10は、上述のように、基台9に対して回動可能となっている。ロボット1は、基台9に対して旋回フレーム10を回動させる回動機構を備えている。基台9は、上述のように、ベース6に対して水平移動可能となっている。ロボット1は、ベース6に対して基台9を水平移動させる水平移動機構を備えている。
【0027】
(ハンドの構成)
図3は、
図1に示すハンド3の基部17の内部の構造を説明するための平面図である。
図4は、
図1に示すフォーク18、19の動作を説明するための平面図である。
【0028】
ハンド3は、第2アーム部13の先端側に回動可能に連結される基部17と、上面側に搬送対象物2が載置される複数のフォーク18、19とを備えている。本形態のハンド3は、2本のフォーク18と2本のフォーク19との合計4本のフォーク18、19を備えている。また、ハンド3は、フォーク18、19の上面側に固定されるとともに搬送対象物2が載置される複数の載置部材(図示省略)と、この載置部材に載置される搬送対象物2の下面を真空吸着する複数の吸着機構(図示省略)とを備えている。
【0029】
基部17は、中空状に形成されるとともに上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。フォーク18、19は、直線状に形成されている。4本のフォーク18、19は、基部17から水平方向の同方向へ突出している。また、4本のフォーク18、19は、互いに平行に配置されている。フォーク18、19の長手方向(
図3等のX方向)を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する
図3等のY方向を「左右方向」とすると、2本のフォーク18は、左右方向の内側に配置され、2本のフォーク19は、左右方向の外側に配置されている。本形態の左右方向(Y方向)は、フォーク18、19の長手方向と上下方向とに直交する直交方向である。また、2本のフォーク18のそれぞれは、直交方向の内側に配置される内側フォークであり、2本のフォーク19のそれぞれは、直交方向の外側に配置される外側フォークである。
【0030】
フォーク18、19は、炭素繊維を含有する樹脂で形成されている。また、フォーク18、19は、中空状に形成されるとともに細長い略直方体状に形成されている。フォーク18、19の上下の両面は、平面となっている。また、フォーク18、19の左右の両側面は、左右方向に直交する平面となっている。フォーク18、19の上下方向の厚さは、フォーク18、19の基端から先端に向かうにしたがって次第に薄くなっている(
図2参照)。
【0031】
フォーク18、19の基端部は、中空状に形成される基部17の内部に配置されている。
図3に示すように、基部17の内部には、左右方向における2本のフォーク18のピッチを変更する第1フォークピッチ変更機構としてのフォークピッチ変更機構26と、左右方向における2本のフォーク19のピッチを変更する第2フォークピッチ変更機構としてのフォークピッチ変更機構27とが配置されている。すなわち、ハンド3は、フォークピッチ変更機構26、27を備えている。
【0032】
フォークピッチ変更機構26では、2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18と他方のフォーク18とが左右の逆方向へ同じ量だけ移動して2本のフォーク18の左右方向のピッチが変更される。同様に、フォークピッチ変更機構27では、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19と他方のフォーク19とが左右の逆方向へ同じ量だけ移動して2本のフォーク19の左右方向のピッチが変更される。フォークピッチ変更機構26、27は、たとえば、
図4に示すように、ロボット1で搬送される搬送対象物2の大きさに応じて、フォーク18、19の左右方向のピッチを変更する。フォークピッチ変更機構26、27の具体的な構成については後述する。
【0033】
また、基部17の内部には、フォークピッチ変更機構26による2本のフォーク18の移動範囲の左右方向の内側端側でフォーク18を検知するための検知機構21と、フォークピッチ変更機構27による2本のフォーク19の移動範囲の左右方向の外側端側でフォーク19を検知するための検知機構22と、左右方向で隣接するフォーク18とフォーク19とが左右方向で接近したことを検知するための検知機構23とが配置されている。すなわち、ハンド3は、検知機構21~23を備えている。本形態の検知機構21は、第1検知機構であり、検知機構22は、第2検知機構であり、検知機構23は、接近検知機構である。検知機構21~23の具体的な構成については後述する。
【0034】
(フォークピッチ変更機構の構成)
図5は、
図3のE部におけるフォークピッチ変更機構26、27の構成を説明するための平面図である。
図6は、
図3のF部におけるフォークピッチ変更機構26、27の構成を説明するための平面図である。
図7は、
図3のG-G方向からフォークピッチ変更機構26、27の構成を説明するための側面図である。
図8は、
図3のH-H方向からエンコーダ33、38等を示す側面図である。
【0035】
フォークピッチ変更機構26は、駆動源であるモータ29と、モータ29の出力軸に連結される第1ネジ部材としてのネジ部材30と、2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18の基端部に固定されるスライド部材31と、2本のフォーク18のうちの他方のフォーク18の基端部に固定されるスライド部材31と、2個のスライド部材31のそれぞれに取り付けられるとともにネジ部材30に係合する2個のナット部材32とを備えている。また、フォークピッチ変更機構26は、ネジ部材30の回転量を検知する第1エンコーダとしてのエンコーダ33を備えている。
【0036】
フォークピッチ変更機構27は、フォークピッチ変更機構26と同様に構成されている。すなわち、フォークピッチ変更機構27は、モータ29と同様に構成されるモータ34と、ネジ部材30と同様に構成される第2ネジ部材としてのネジ部材35と、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19の基端部に固定されるスライド部材36と、2本のフォーク19のうちの他方のフォーク19の基端部に固定されるスライド部材36と、2個のスライド部材36のそれぞれに取り付けられるとともにネジ部材35に係合する2個のナット部材37と、ネジ部材35の回転量を検知する第2エンコーダとしてのエンコーダ38とを備えている。
【0037】
モータ29、34は、DCモータである。ネジ部材30、35は、細長い棒状に形成されている。ネジ部材30、35の外周面には、オネジが形成されている。ネジ部材30、35は、ネジ部材30、35の軸方向と左右方向とが一致するように配置されており、左右方向を回転の軸方向として回転する。また、ネジ部材30とネジ部材35とは、前後方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。ネジ部材30の一端には、カップリング41を介してモータ29の出力軸が連結され、ネジ部材35の一端には、カップリング41を介してモータ34の出力軸が連結されている。
【0038】
ネジ部材30、35は、ネジ部材30、35の一端側を構成する順ネジ部30a、35aと、ネジ部材30、35の他端側を構成する逆ネジ部30b、35bとを備えている。順ネジ部30a、35aには、順ネジが形成され、逆ネジ部30b、35bには、逆ネジが形成されている。順ネジ部30aと逆ネジ部30bとは、別体で形成されており、カップリング42によって繋がれている。同様に、順ネジ部35aと逆ネジ部35bとは、別体で形成されており、カップリング42によって繋がれている。順ネジ部30a、35aの両端部、および、逆ネジ部30b、35bの両端部は、基部17のベースフレーム55に取り付けられた軸受43に回転可能に支持されている。
【0039】
スライド部材31、36は、直方体状に形成されている。スライド部材36は、
図7に示すように、平板状の固定部材44に固定されている。固定部材44は、フォーク19の基端部に固定されている。同様に、スライド部材31は、フォーク18の基端部に固定された固定部材44に固定されている。ナット部材32、37は、直方体状に形成されている。ナット部材32は、2個のボルト45によってスライド部材31に取り付けられ、ナット部材37は、2個のボルト45によってスライド部材36に取り付けられている。また、フォークピッチ変更機構26、27は、鍔付きの円筒状に形成される円筒部材46を備えている。円筒部材46の内周側には、ボルト45の軸部が挿通されている。
【0040】
スライド部材31には、ネジ部材30との干渉を防止するための切欠き部31aと、ネジ部材35との干渉を防止するための切欠き部31bとが形成されている。同様に、スライド部材36には、ネジ部材30との干渉を防止するための切欠き部36aと、ネジ部材35との干渉を防止するための切欠き部36bとが形成されている。また、スライド部材31の左右方向の一方の側面には、ボルト45の先端部がねじ込まれるネジ穴が形成されている。スライド部材36の左右方向の一方の側面には、ボルト45の先端部がねじ込まれるネジ穴が形成されている。
【0041】
ナット部材32には、ネジ部材30が挿通される挿通穴が左右方向でナット部材32を貫通するように形成され、ナット部材37には、ネジ部材35が挿通される挿通穴が左右方向でナット部材37を貫通するように形成されている。この挿通穴には、メネジが形成されている。また、ナット部材32には、円筒部材46が配置される配置穴が左右方向でナット部材32を貫通するように形成され、ナット部材37には、円筒部材46が配置される配置穴が左右方向でナット部材37を貫通するように形成されている。
【0042】
ナット部材32は、左右方向の一方側から円筒部材46の内周側に挿通されるとともにスライド部材31のネジ穴にねじ込まれるボルト45によってスライド部材31に取り付けられている。同様に、ナット部材37は、左右方向の一方側から円筒部材46の内周側に挿通されるとともにスライド部材36のネジ穴にねじ込まれるボルト45によってスライド部材36に取り付けられている。
【0043】
2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18に固定されたスライド部材31に保持されるナット部材32は、順ネジ部30aに係合し、他方のフォーク18に固定されたスライド部材31に保持されるナット部材32は、逆ネジ部30bに係合している。同様に、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19に固定されたスライド部材36に保持されるナット部材37は、順ネジ部35aに係合し、他方のフォーク19に固定されたスライド部材36に保持されるナット部材37は、逆ネジ部35bに係合している。
【0044】
2本のフォーク18および2本のフォーク19は、2本の共通のガイドレール48によって左右方向に案内される。ガイドレール48は、ガイドレール48の長手方向と左右方向とが一致するように、ベースフレーム55に固定されている。
図7に示すように、フォーク19の基端部に固定される固定部材44には、2本のガイドレール48のそれぞれに係合する2個のガイドブロック49が固定されている。同様に、フォーク18の基端部に固定される固定部材44には、2本のガイドレール48のそれぞれに係合する2個のガイドブロック49が固定されている。
【0045】
フォークピッチ変更機構26では、モータ29が回転してネジ部材30が回転すると、2本のフォーク18が左右方向へ移動する。すなわち、ネジ部材30は、左右方向を回転の軸方向として回転して左右方向へフォーク18を移動させる。同様に、フォークピッチ変更機構27では、モータ34が回転してネジ部材35が回転すると、2本のフォーク19が左右方向へ移動する。すなわち、ネジ部材35は、左右方向を回転の軸方向として回転して左右方向へフォーク19を移動させる。
【0046】
また、ネジ部材30が回転すると、上述のように、一方のフォーク18と他方のフォーク18とが左右の逆方向へ同じ量だけ移動して2本のフォーク18の左右方向のピッチが変更され、ネジ部材35が回転すると、上述のように、一方のフォーク19と他方のフォーク19とが左右の逆方向へ同じ量だけ移動して2本のフォーク19の左右方向のピッチが変更される。
【0047】
エンコーダ33は、ネジ部材30の他端部に固定される検知板51と、ベースフレーム55に取り付けられるセンサ52とを備えている。同様に、エンコーダ38は、ネジ部材35の他端部に固定される検知板53と、ベースフレーム55に取り付けられるセンサ54とを備えている。センサ52、54は、発光素子と受光素子とを備える透過型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが左右方向で対向するように配置されている。検知板51、53は、平板状に形成されている。
【0048】
図8に示すように、検知板51には、センサ52の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部51aが形成されている。遮光部51aは、ネジ部材30の径方向の外側へ突出するように形成されている。また、遮光部51aは、左右方向から見たときに、ネジ部材30の軸心に対して180°の範囲で円弧状に形成されている。同様に、検知板53には、センサ54の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部53aが形成されている。遮光部53aは、ネジ部材35の径方向の外側へ突出するように形成されている。また、遮光部53aは、左右方向から見たときに、ネジ部材35の軸心に対して180°の範囲で円弧状に形成されている。
【0049】
(検知機構の構成)
図9(A)は、
図3のJ-J方向から基部17の内部を示す側面図であり、
図9(B)は、
図9(A)のK部の拡大図であり、
図9(C)は、
図9(A)のL部の拡大図であり、
図9(D)は、
図9(A)のM部の拡大図である。
【0050】
検知機構21は、ベースフレーム55に固定されるセンサ56と、2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18の基端部に固定される検知板57とを備えている。検知機構22は、ベースフレーム55に固定されるセンサ58と、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19の基端部に固定される検知板59とを備えている。センサ56、58は、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが上下方向で対向するように配置されている。検知板57、59は、金属製の平板が所定形状に折り曲げられることで形成されている。検知板57が固定されるフォーク18と、検知板59が固定されるフォーク19とは、左右方向で隣接している。
【0051】
センサ56は、左右方向におけるベースフレーム55の中心位置に固定されている。センサ58は、左右方向におけるベースフレーム55の一端側に固定されている。検知板57、59は、固定部材44に固定されている。すなわち、検知板57は、固定部材44を介してフォーク18の基端部に固定され、検知板59は、固定部材44を介してフォーク19の基端部に固定されている。検知板57には、センサ56の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部57aが形成されている(
図6参照)。検知板59には、センサ58の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部59aが形成されている(
図6参照)。遮光部57a、59aは、前後方向の一方側へ突出するように形成されている。
【0052】
本形態では、センサ56の発光素子と受光素子との間が遮光部57aに遮られると、フォークピッチ変更機構26による2本のフォーク18の移動範囲の左右方向の内側端側において、フォーク18が検知される。また、センサ58の発光素子と受光素子との間が遮光部59aに遮られると、フォークピッチ変更機構27による2本のフォーク19の移動範囲の左右方向の外側端側において、フォーク19が検知される。
【0053】
検知機構23は、2本のフォーク19のうちの他方のフォーク19の基端部に固定されるセンサ60と、2本のフォーク18のうちの他方のフォーク18の基端部に固定される検知板61とを備えている。センサ60は、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが上下方向で対向するように配置されている。検知板61は、金属製の平板が所定形状に折り曲げられることで形成されている。センサ60が固定されるフォーク19と、検知板61が固定されるフォーク18とは、左右方向で隣接している。
【0054】
センサ60は、固定部材44に固定されている。すなわち、センサ60は、固定部材44を介してフォーク19の基端部に固定されている。検知板61は、固定部材44に固定されている。すなわち、検知板61は、固定部材44を介してフォーク18の基端部に固定されている。検知板61には、センサ60の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部61aが形成されている(
図5参照)。遮光部61aは、前後方向の一方側へ突出するように形成されている。本形態では、センサ60の発光素子と受光素子との間が遮光部61aに遮られると、左右方向で隣接するフォーク18とフォーク19とが左右方向で接近したことが検知される。
【0055】
また、左右方向におけるベースフレーム55の一端側には、センサ62が固定されている。センサ62は、センサ58に隣接するように配置されている。また、センサ62は、センサ58よりも左右方向の外側に配置されている。センサ62は、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサであり、発光素子と受光素子とが上下方向で対向するように配置されている。検知板59には、センサ62の発光素子と受光素子との間を遮る遮光部59bが形成されている(
図6参照)。
【0056】
本形態では、センサ62と検知板59とによって、フォークピッチ変更機構27による2本のフォーク19の移動範囲における左右方向の外側の限界位置にフォーク19が近づいたことを検知するための検知機構24が構成されており、センサ62の発光素子と受光素子との間が遮光部59bに遮られると、フォークピッチ変更機構27による2本のフォーク19の移動範囲における左右方向の外側の限界位置にフォーク19が近づいたことが検知される。本形態の検知機構24は、第2接近検知機構である。
【0057】
(フォークのピッチの変更動作)
図10は、
図1に示すフォーク18、19のピッチの変更動作を説明するための図である。
【0058】
ロボット1では、ロボット1で搬送される搬送対象物2の大きさが決まると、ロボット1が搬送対象物2を搬送する搬送動作の前に、必要に応じて、フォークピッチ変更機構26は、2本のフォーク18の左右方向のピッチを変更し、フォークピッチ変更機構27は、2本のフォーク19の左右方向のピッチを変更する。すなわち、フォークピッチ変更機構26、27は、ロボット1による搬送対象物2の搬送動作中に、フォーク18、19の左右方向のピッチを変更することはない。
【0059】
本形態では、左右方向における2本のフォーク18の原点位置は、フォークピッチ変更機構26による2本のフォーク18の移動範囲の左右方向の内側端側となっている(
図10(B)参照)。また、左右方向における2本のフォーク19の原点位置は、フォークピッチ変更機構27による2本のフォーク19の移動範囲の左右方向の外側端側となっている(
図10(B)参照)。4本のフォーク18、19のピッチを変更するときには、フォークピッチ変更機構26は、最初に、検知機構21の検知結果に基づいて2本のフォーク18を原点位置に移動させ、フォークピッチ変更機構27は、最初に、検知機構22の検知結果に基づいて2本のフォーク19を原点位置に移動させる(
図10(A)、(B)参照)。
【0060】
すなわち、4本のフォーク18、19のピッチを変更するときに、フォークピッチ変更機構26は、最初に、2本のフォーク18を原点位置に向かって左右方向の内側に移動させ、フォークピッチ変更機構27は、最初に、2本のフォーク19を原点位置に向かって左右方向の外側に移動させる。具体的には、4本のフォーク18、19のピッチを変更するときに、フォークピッチ変更機構26は、検知機構21でフォーク18が検知された後、エンコーダ33の検知結果に基づいてフォーク18を原点位置に移動させて停止させ、フォークピッチ変更機構27は、検知機構22でフォーク19が検知された後、エンコーダ38の検知結果に基づいてフォーク19を原点位置に移動させて停止させる。
【0061】
より具体的には、フォークピッチ変更機構26は、センサ56の発光素子と受光素子との間を遮光部57aが遮った後、たとえば、センサ52の発光素子と受光素子との間を遮光部51aが遮るまでネジ部材30を回転させて、フォーク18を原点位置に停止させる。あるいは、フォークピッチ変更機構26は、センサ56の発光素子と受光素子との間を遮光部57aが遮ってから、たとえば、センサ52の発光素子と受光素子との間を遮っている遮光部51aが一旦、センサ52の発光素子と受光素子との間から外れた後、再び、センサ52の発光素子と受光素子との間を遮るまでネジ部材30を回転させて、フォーク18を原点位置に停止させる。
【0062】
同様に、フォークピッチ変更機構27は、センサ58の発光素子と受光素子との間を遮光部59aが遮った後、たとえば、センサ54の発光素子と受光素子との間を遮光部53aが遮るまでネジ部材35を回転させて、フォーク19を原点位置に停止させる。あるいは、フォークピッチ変更機構27は、センサ58の発光素子と受光素子との間を遮光部59aが遮ってから、たとえば、センサ54の発光素子と受光素子との間を遮っている遮光部53aが一旦、センサ54の発光素子と受光素子との間から外れた後、再び、センサ54の発光素子と受光素子との間を遮るまでネジ部材35を回転させて、フォーク19を原点位置に停止させる。
【0063】
その後、フォークピッチ変更機構26は、原点位置に配置されたフォーク18をエンコーダ33の検知結果に基づいて左右方向の外側に移動させて2本のフォーク18のピッチを変更し、フォークピッチ変更機構27は、原点位置に配置されたフォーク19をエンコーダ38の検知結果に基づいて左右方向の内側に移動させて2本のフォーク19のピッチを変更する(
図10(B)、(C)参照)。なお、4本のフォーク18、19のピッチを変更するときには、フォークピッチ変更機構26が2本のフォーク18を原点位置に移動させ始めるのと同時に、フォークピッチ変更機構27が2本のフォーク19を原点位置に移動させ始める。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、左右方向における2本のフォーク18の原点位置は、フォークピッチ変更機構26による2本のフォーク18の移動範囲の左右方向の内側端側となっており、左右方向における2本のフォーク19の原点位置は、フォークピッチ変更機構27による2本のフォーク19の移動範囲の左右方向の外側端側となっている。また、本形態では、4本のフォーク18、19のピッチを変更するときに、フォークピッチ変更機構26は、最初に、2本のフォーク18を原点位置に移動させ、フォークピッチ変更機構27は、最初に、2本のフォーク19を原点位置に移動させている。
【0065】
さらに、本形態では、その後、フォークピッチ変更機構26が、原点位置に配置されたフォーク18を左右方向の外側に移動させて2本のフォーク18のピッチを変更し、フォークピッチ変更機構27が、原点位置に配置されたフォーク19を左右方向の内側に移動させて2本のフォーク19のピッチを変更している。そのため、本形態では、4本のフォーク18、19のピッチを変更するときに、フォーク18とフォーク19との接触を防止することが可能になる。したがって、本形態では、4本のフォーク18、19のピッチを円滑に変更することが可能になる。
【0066】
本形態では、4本のフォーク18、19のピッチを変更するときに、フォークピッチ変更機構26が2本のフォーク18を原点位置に移動させ始めるのと同時に、フォークピッチ変更機構27が2本のフォーク19を原点位置に移動させ始めている。そのため、本形態では、4本のフォーク18、19のピッチの変更時間を短縮することが可能になる。
【0067】
本形態では、4本のフォーク18、19のピッチを変更するときに、フォークピッチ変更機構26は、検知機構21でフォーク18が検知された後、エンコーダ33の検知結果に基づいてフォーク18を原点位置に移動させて停止させている。そのため、本形態では、検知機構21のみを用いてフォーク18を原点位置で停止させる場合と比較して、フォーク18の原点位置での停止精度を高めることが可能になる。
【0068】
同様に本形態では、4本のフォーク18、19のピッチを変更するときに、フォークピッチ変更機構27は、検知機構22でフォーク19が検知された後、エンコーダ38の検知結果に基づいてフォーク19を原点位置に移動させて停止させているため、検知機構22のみを用いてフォーク19を原点位置で停止させる場合と比較して、フォーク19の原点位置での停止精度を高めることが可能になる。
【0069】
本形態では、ハンド3は、左右方向で隣接するフォーク18とフォーク19とが左右方向で接近したことを検知するための検知機構23を備えている。そのため、本形態では、4本のフォーク18、19のピッチを変更する際、左右方向で隣接するフォーク18とフォーク19とが接近した場合に、検知機構23の検知結果に基づいてフォーク18、19を停止させることで、フォーク18とフォーク19との接触を確実に防止することが可能になる。
【0070】
本形態では、ハンド3は、フォークピッチ変更機構27による2本のフォーク19の移動範囲における左右方向の外側の限界位置にフォーク19が近づいたことを検知するための検知機構24を備えている。そのため、本形態では、検知機構24の検知結果に基づいて、フォーク19の移動範囲における左右方向の外側の限界位置にフォーク19が到達する前にフォーク19を停止させることが可能になる。
【0071】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0072】
上述した形態において、検知機構21でフォーク18が検知されたとき(すなわち、センサ56の発光素子と受光素子との間が遮光部57aに遮られたとき)にフォーク18を停止させることで、フォーク18を原点位置に移動させても良い。すなわち、検知機構21のみの検知結果に基づいて、フォーク18を原点位置に移動させても良い。同様に、検知機構22でフォーク19が検知されたときにフォーク19を停止させることで、フォーク19を原点位置に移動させても良い。すなわち、検知機構22のみの検知結果に基づいて、フォーク19を原点位置に移動させても良い。
【0073】
上述した形態において、フォークピッチ変更機構26が2本のフォーク18を原点位置に移動させ始めた後に、フォークピッチ変更機構27が2本のフォーク19を原点位置に移動させ始めても良い。また、上述した形態において、フォークピッチ変更機構27が2本のフォーク19を原点位置に移動させ始めた後に、フォークピッチ変更機構26が2本のフォーク18を原点位置に移動させ始めても良い。
【0074】
上述した形態において、センサ56、58、60、62は、反射型の光学式センサであっても良い。また、センサ56、58、60、62は、近接センサや静電容量センサ等の光学式センサ以外のセンサであっても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、水平多関節型のロボットであるが、本発明が適用されるロボットは、水平多関節型のロボット以外の産業用ロボットであっても良い。たとえば、本発明が適用されるロボットは、上述の特許文献1に開示された産業用ロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 搬送対象物
3 ハンド
4 アーム
5 本体部
18 フォーク(内側フォーク)
19 フォーク(外側フォーク)
21 検知機構(第1検知機構)
22 検知機構(第2検知機構)
23 検知機構(接近検知機構)
24 検知機構(第2接近検知機構)
26 フォークピッチ変更機構(第1フォークピッチ変更機構)
27 フォークピッチ変更機構(第2フォークピッチ変更機構)
30 ネジ部材(第1ネジ部材)
33 エンコーダ(第1エンコーダ)
35 ネジ部材(第2ネジ部材)
38 エンコーダ(第2エンコーダ)
X フォークの長手方向
Y 直交方向