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  • 特許-光送信モジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】光送信モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/015 20060101AFI20220111BHJP
   H04B 10/54 20130101ALI20220111BHJP
【FI】
G02F1/015 502
G02F1/015 505
H04B10/54
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017139805
(22)【出願日】2017-07-19
(65)【公開番号】P2019020614
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 厚
(72)【発明者】
【氏名】山内 俊也
(72)【発明者】
【氏名】山口 頼義
(72)【発明者】
【氏名】安原 望
(72)【発明者】
【氏名】中井 義博
(72)【発明者】
【氏名】浅倉 秀明
(72)【発明者】
【氏名】笹田 紀子
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝昌
(72)【発明者】
【氏名】入江 裕紀
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-003729(JP,A)
【文献】特開2012-049801(JP,A)
【文献】特開2014-206557(JP,A)
【文献】特開2014-122964(JP,A)
【文献】特開2011-172013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0249501(US,A1)
【文献】特表2008-526170(JP,A)
【文献】特表2020-501177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0053165(US,A1)
【文献】特開2015-138110(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2662984(EP,A1)
【文献】N. Quadir 他,A 56Gb/s PAM-4 VCSEL driver circuit,IET Irish Signals and Systems Conference (ISSC 2012),2012年06月28日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続光を出射する光源と、
前記連続光の経路に対して直列に配置されて、印加される変調信号に応じて、光吸収の相対的に大きな状態と光吸収の相対的に小さな状態とを切り換えることで前記連続光を変調する複数の光変調器と、
複数の二値電気入力信号を並列に受け取り、前記複数の二値電気入力信号を論理演算することで新たな複数の二値電気信号を生成する論理演算回路、を有し、
前記新たな二値電気信号の各々は、対応する前記複数の光変調器の各々へ前記変調信号として印加される、
光送信モジュール。
【請求項2】
前記新たな二値電気信号の各々は、前記論理演算回路によって対応する前記複数の光変調器の各々へ前記変調信号として印加される、請求項1に記載の光送信モジュール。
【請求項3】
さらに前記複数の光変調器を駆動する駆動装置を有する請求項1に記載の光送信モジュールであって、
前記新たな二値電気信号の各々は、前記駆動装置によって対応する前記複数の光変調器の各々へ前記変調信号として印加される、光送信モジュール。
【請求項4】
前記論理演算回路が、グレイコードに基づいて前記複数の二値電気入力信号を論理演算する、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項5】
前記光源と前記複数の光変調器が一の素子上に集積される、請求項1乃至のうちいずれか一項に記載の光送信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年光通信システムにおける情報伝送の大容量化及び伝送速度の高速化が求められるため、送信信号の光強度を4段階に分けることで2bit/baudを実現する4値パルス振幅変調(4 Level Pulse Amplitude Modulation:PAM4)などの多値変調技術が盛んに研究されている。
【0003】
PAM4の光変調信号の生成を実現するため、電界吸収型光変調器(Electro-absorption Optical Modulator:EA変調器)又はレーザーダイオードとEA変調器がモノリシックに集積されたEA変調器集積型レーザダイオード(EA変調器集積型LD)が用いられている。EA変調器は、半導体からなる量子井戸構造をp型及びn型の導体で挟んだ構造で構成される。EA変調器は、量子井戸に印加される電圧に応じて光の吸収端波長が長波長側へシフトする現象を用いて入射光強度の吸収量を変化させることによって、出力光強度を制御できる。EA変調器を有する光信号生成装置はたとえば下記特許文献1などで提案されている。
【0004】
特許文献1では、EA変調器を有する光信号生成装置が開示されている。当該光信号生成装置は、光信号の経路に直列に接続された複数の変調部を備え、当該変調部は光源からの入力光信号の強度を変調信号に基づき変調して多値符号化された被変調光信号を生成し、前記各変調部は、前記変調信号に応じて光吸収のオン状態とオフ状態とを切り替えられる電界吸収型光変調器を有し、前記各変調部における前記オフ状態に対する前記オン状態の消光比に関し、前記複数の変調部のうちの少なくとも2つは互いに異なる値を有し、前記互いに異なる消光比を有する変調部は、前記消光比が小さいものほど前記光源寄りにある。
【0005】
特許文献1に開示されている複数の変調部は、複数の二値電気信号を多値電気信号に変換することで変調信号を生成する。しかし前記の複数の二値電気信号から多値電気信号への変換は、変換用の専用の集積回路を必要とし、光送信モジュールを大型化させ、かつ、前記光送信モジュール消費電力を増大させてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-003729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明は、複数の二値電気入力信号を多値電気信号に変換することなくPAM4の光変調信号の生成を実現する光送信モジュールを供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本願の光送信モジュールは、連続光を出射する光源と、前記連続光の経路に対して直列に配置されて、印加される変調信号に応じて、光吸収の相対的に大きな状態と光吸収の相対的に小さな状態とを切り換えることで前記連続光を変調する複数の光変調器と、複数の二値電気入力信号を受け取り、前記複数の二値電気入力信号を論理演算することで新たな複数の二値電気信号を生成する論理演算回路、を有する。前記新たな二値電気信号の各々は、対応する前記複数の光変調器の各々へ前記変調信号として印加される。
【0009】
(2)上記(1)に記載の光送信モジュールにおいて、前記新たな二値電気信号の各々は、前記論理演算回路によって対応する前記複数の光変調器の各々へ前記変調信号として印加される。
【0010】
(3)さらに前記複数の光変調器を駆動する駆動装置を有する上記(1)に記載の光送信モジュールにおいて、前記新たな二値電気信号の各々は、前記駆動装置によって対応する前記複数の光変調器の各々へ前記変調信号として印加される。
【0011】
(4)上記(1)乃至(3)のうちいずれかに記載の光送信モジュールにおいて、前記論理演算回路は、グレイコードに基づいて前記複数の二値電気入力信号を論理演算する。
【0012】
(5)上記(1)乃至(3)のうちいずれかに記載の光送信モジュールにおいて、前記論理演算回路は、NRZに基づいて前記複数の二値電気入力信号を論理演算する。
【0013】
(6)上記(1)乃至(5)のうちいずれかに記載の光送信モジュールにおいて、前記光源と前記複数の光変調器は一の素子上に集積される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願の実施形態による光送信モジュールの例を表す。
図2】PAM4のレベル(0,1,2,3)、光強度(相対値)、及びNRZに対応した2ビット信号の対応例を表す。
図3】PAM4のレベル(0,1,2,3)、光強度(相対値)、及びGray Codeに対応した2ビット信号対応の例を表す。
図4】光変調器への入力に対する二値電気信号を生成する論理回路の例を表す。
図5】本願の実施形態による他の光送信モジュールの例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1は、PAM4の光信号を出力する本願の実施形態による光送信モジュールの例を表す。当該光送信モジュール200は、変調されていない連続光を出射する光源60と、前記連続光の経路に対して直列に配置されて、印加される電気の変調信号に応じて、光吸収量の相対的に大きな状態と光吸収量の相対的に小さな状態とを切り換えることで前記連続光を変調する第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53と、複数の二値電気入力信号を受け取り、前記複数の二値電気入力信号を論理演算することで新たな複数の二値電気信号を生成する論理演算回路100を有する。前記新たな二値電気信号の各々は、対応する第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53の各々へ前記変調信号として印加される。図1では、3つの光変調器が表されているが、4つ以上の光変調器が用いられてもよい。
【0016】
第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53と、光源60と、ビアホール70と、チップコンデンサ80がGNDパターン90上に設けられている。ビアホール70は、接地されている裏面からGNDをとるために設けられている。よってGNDパターン90ではGNDがとられている。
【0017】
光源60は、分布帰還型レーザ装置(Distributed Feedback Laser Diode:DFB-LD)であることが好ましいがこれに限定されない。また光源60はCW光源である。光源60は光源駆動装置300に操作されてよい。チップコンデンサ80は、光源60と光源駆動装置300とを接続する電流路とGNDパターン90との間に設けられてよい。チップコンデンサ80は、各光変調器に印加される高周波信号成分の光源60への流入、及び、静電放電による光源60の破壊を防止する。
【0018】
第1光変調器51、第2光変調器52、及び、第3光変調器53はEA変調器である。EA変調器は、電界吸収効果と呼ばれる変調信号(電界)の印加による量子井戸構造の光の吸収量の変化を利用してON状態とOFF状態を切り換えることができる。より詳細には、量子井戸構造に電圧が印加されることで、量子井戸構造のポテンシャルが変化し、その結果伝導帯の量子準位は相対的に低下し、価電子帯の量子準位は相対的に上昇する。つまり印加電圧によって、実効的なエネルギーギャップが減少することで、光の吸収量が変化する。印加される電圧が大きくなれば、吸収される光の量も増大する。このような量子井戸構造に電界を印加したときの吸収特性の変化は量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Effect:QCSE)として知られている。
【0019】
第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53は、光源60が放出する連続光の経路に対して直列に配置される。第1光変調器51は光源60に最も近くに設けられ、第2光変調器52は光源60とは反対側の第1光変調器51の隣に設けられ、かつ、第3光変調器53は出力端の最も近くに設けられる。光源60と第1及び第2光変調器からの出力光の発散を抑制するため、第1レンズ41が光源60と第1光変調器51との間には設けられ、第2レンズ42が第1光変調器51と第2光変調器52との間に設けられ、かつ、第3レンズ43が第2光変調器52と第3光変調器53との間に設けられてよい。なお、図示はしていないが第3光変調器53の出力光は、レンズなどを介して光送信モジュール200の外部と繋がる光導波路(例えば光ファイバやレセクタプル)と光学的に接続される。
【0020】
論理演算回路100は、入力として上位ビット1と下位ビット2を有する。上位ビット1と下位ビット2はいずれも二値の電気信号である。論理演算回路100は、高周波線路11,12,13とAuワイヤ21,22,23を介して第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53にそれぞれ接続される。第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53はAuワイヤ21,22,23を介して、終端抵抗としての薄膜抵抗31,32,33にそれぞれ接続される。
【0021】
論理演算回路100は、上位ビット1と下位ビット2からの二値電気信号を論理演算することで新たな二値の電気信号を生成する。前記新たな二値の電気信号は、変調信号として第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53に印加される。変調信号が印加されることで第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53は、それぞれの光の吸収量を変化させる。
【0022】
光送信モジュール200は、第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53を駆動する駆動装置(図示されていない)をさらに有してよい。前記駆動装置は、論理演算回路100によって生成される二値電気信号の変調振幅を増幅又は所定の電圧値に変更して、第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53へ印加してよい。ただし個々の光変調に要求される消光比は小さいので、各光変調器へ印加される電圧振幅も小さくなるため、本願の光送信モジュール200は、駆動装置なしでも動作し得る。
【0023】
第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53は、印加される新たな二値の電気信号に応じて光の吸収量を変化させることで、光源60から放出される連続光を変調させる。多値光強度変調では、各光強度の隣接するレベル間での強度差は一定であることが好ましいため、第1光変調器51、第2光変調器52、及び第3光変調器53の消光比は、各光出力の隣接するレベル間での強度差が一定となるように設定される。
【0024】
表1は、PAM4における光強度(相対値)と消光比との関係を表している。PAM4における光強度(相対値)をたとえばそれぞれ10,7,4,1に設定するためには、最大光強度に対する消光比(単位:dB)と1つ上のレベルに対する消光比(単位:dB)は表1で示されているように設定する必要がある。なお、本明細書では特記なき場合はPAM4と表現した場合は、光の4値の強度変調信号を示す。
【表1】
【0025】
表2は、PAM4のレベルと各EA変調器のON/OFF状態との関係を示している。表2に示されているように、PAM4レベルが0のとき(最も消光されている状態)にはすべての光変調器の状態はON状態(光を吸収している状態)となり、PAM4レベルが1のときには光源側に位置する第1光変調器の状態と第2光変調器52の状態はON状態となる一方で出力端側に位置する第3光変調器の状態はOFF状態(光を透過している状態)となり、PAM4レベルが2のときには第1光変調器の状態はON状態となる一方で第2光変調器52の状態と第3光変調器の状態はOFF状態となり、かつ、PAM4レベルが3のとき(最も消光されていない状態)にはすべての光変調器の状態はOFF状態となる。
【0026】
PAM4レベルが0のときにはすべての光変調器の状態はON状態となるため、光源60から放出される連続光(の強度)はすべての光変調器によって減衰される。PAM4レベルが1のときには第1光変調器の状態と第2光変調器52の状態のみがON状態となるため、光源60から放出される連続光は第1光変調器と第2光変調器によってのみ減衰される。PAM4レベルが2のときには第1光変調器の状態のみがON状態となるため、光源60から放出される連続光は第1光変調器によってのみ減衰される。PAM4レベルが3のときにはすべての光変調器の状態はOFF状態となる。そのため光源60から放出される連続光は減衰されない。ただし厳密には、光学系における結合損失や各EA変調器を透過する際の微量な光吸収により、光源60からの出力直後の光強度と第3光変調器53の出力光強度は異なる。各光変調器における消光量は、これらの電圧印加による消光量以外の消光成分も考慮して、最終的なPAM4信号の各レベル間の強度比が同一値になる様に設定されている。このように複数の光変調器を組み合わせることで、PAM4のような複数の光強度レベルを含む多値変調信号を生成することができる。つまりPAM4の光変調信号を生成するためには、光送信モジュール200に入力される二値電気信号(上位ビット、下位ビット)に応じて、どの変調器を駆動させるかが重要となる。
【表2】
【0027】
図2は、PAM4のレベル(0,1,2,3)、光強度(相対値)、及び2ビット信号の対応関係を表す。図2に示された2ビット信号はNRZ(NonReturn to Zero)方式に基づいて論理演算される。図2に示されているように、2ビット信号は、PAM4レベル(0,1,2,3)に相当し、PAM4レベルは光信号ではその光強度(相対値)の1,4,7,10に対応する。
【0028】
表3は、2ビット信号の上位ビットと下位ビット、PAM4のレベル(0,1,2,3)、第1光変調器51(EA1)の状態、第2光変調器52(EA2)の状態、及び第3光変調器53(EA3)の状態の対応関係を表す。表4は、表3に示された上位ビット及び下位ビットに応じて新たに生成されてEA1へ入力される二値の電気信号と、それに対応したEA1の動作状態(ON/OFF状態)を示している。同様に、表5は表3に示された上位ビット及び下位ビットに応じて新たに生成されてEA2へ入力される二値の電気信号と、それに対応したEA2の動作状態(ON/OFF状態)を示している。表6は、EA3に関する同様の対応表である。このように本実施形態の論理演算回路100は、複数の二値電気入力信号(上位ビット及び下位ビット)を受け取り、新たな複数の二値電気信号(各EAへ入力される二値電気信号)を生成することに特徴がある。
【0029】
表4に示されているように、論理演算回路100は、上位ビットと下位ビットの入力がいずれも1の場合にのみ0を出力し、それを受けたEA1は消光を行わず、光源60の連続光はEA1を透過してEA2へと繋がる。他の場合には、論理演算回路100は1を出力し、それを受けたEA1はON状態、つまり消光状態となる。表5に示されているように、論理演算回路100は、上位ビットが0の場合にEA2に向けて1を出力し、上位ビットが1の場合に0を出力する。表6に示されているように、論理演算回路100は、上位ビットと下位ビットの入力がいずれも0の場合にのみEA3に向けて1を出力し、他の場合には0を出力する。このように、論理演算回路100は上位ビット及び下位ビットの値に応じて、新たな二値信号を生成し、3つの光変調器のON状態とOFF状態を切り換えることで、光のPAM4信号を生成することができる。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0030】
図3は、PAM4のレベル(0,1,2,3)、光強度(相対値)、及び2ビット信号の対応関係を表す。図3に示された2ビット信号はグレイコード(Gray Code)方式に基づいて論理演算される。図3に示されているように、2ビット信号は、PAM4レベル(0,1,2,3)に相当し、PAM4レベルは光信号ではその光強度(相対値)の1,4,7,10に対応する。
【0031】
表7は、2ビット信号の上位ビットと下位ビット、PAM4のレベル(0,1,2,3)、第1光変調器51(EA1)の状態、第2光変調器52(EA2)の状態、及び第3光変調器53(EA3)の状態の対応関係を表す。表8は、表7に示された上位ビット及び下位ビットに応じて新たに生成されてEA1へ入力される二値の電気信号と、それに対応したEA1の動作状態(ON/OFF状態)を表す。同様に、表9は表7に示された上位ビット及び下位ビットに応じて新たに生成されてEA2へ入力される二値の電気信号と、それに対応したEA2の動作状態(ON/OFF状態)を表す。表10は、EA3に関する同様の対応表である。このように本実施形態の論理演算回路100は、複数の二値電気入力信号(上位ビット及び下位ビット)を受け取り、新たな複数の二値電気信号(各EAへ入力される二値電気信号)を生成することに特徴がある。
【0032】
表8に示されているように、論理演算回路100は、上位ビットの入力が1で下位ビットの入力が0の場合にのみ0を出力し、それを受けたEA1は消光を行わず、光源60の連続光はEA1を透過してEA2へと繋がる。他の場合には、論理演算回路100は1を出力し、それを受けたEA1はON状態、つまり消光状態となる。表9に示されているように、論理演算回路100は、上位ビットが0の場合にはEA2に向けて1を出力し、上位ビットが1の場合にはEA2に向けて0を出力する。表10に示されているように、論理演算回路100は、上位ビットと下位ビットの入力がいずれも0の場合にのみEA3に向けて1を出力し、他の場合には0を出力する。このように、論理演算回路100は上位ビット及び下位ビットの値に応じて、新たな二値信号を生成し、3つの光変調器のON状態とOFF状態を切り替えることで、光のPAM4信号を生成することができる。

【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0033】
図4は、光変調器への入力に対する二値電気信号を生成する論理回路の例を表す。図4の回路では、A,Bは入力である上位ビットと下位ビットに対応し、出力はEA1,2,3の各々への出力に対応する。
【0034】
図4(a)は、表4に示された上位ビット及び下位ビットとEA1への出力との関係を表す回路を示している。具体的には図4(a)はAND回路とNOT回路を直列接続した回路を表しているが、この回路以外の回路も考えられ得る。図4(b)は、表5に示された上位ビット及び下位ビットとEA2への出力との関係を表す回路を示している。具体的には図4(b)はNOT回路を表しているが、この回路以外の回路も考えられ得る。図4(c)は、表6に示された上位ビット及び下位ビットとEA3への出力との関係を表す回路を示している。具体的には図4(c)はOR回路とNOT回路を直列接続した回路を表しているが、この回路以外の回路も考えられ得る。図4で示したように、複数の二値電信号入力に対して従来のように多値電気信号を生成することなく、簡易的な論理回路で複数のEA変調器の駆動状態を決定し、大型な論理演算回路を必要とせずに光の多値変調信号を生成することが出来る。
【0035】
[第2実施形態]
図5は、本願の実施形態による他の光送信モジュールの例を表す。本実施形態に係る光送信モジュールは、光源と3つのEA変調器が一つの素子上に一体集積されたEA変調器集積DFB-LD400が用いられている。
【0036】
本願の光送信モジュールは、二値電気入力信号に基づいて複数の光変調器のON/OFF状態を制御することによってPAM4の光変調信号の生成を実現する。従来技術に係る光送信モジュールとは対照的に、本願の光送信モジュールは、二値電気信号から多値電気信号への変換を行うことなく、二値電気信号から直接多値光強度変調を実現することができる。つまり本願の光送信モジュールは、二値電気信号を多値電気信号に変換する回路を要しないので、回路構成が単純になると考えられる。その結果、光送信モジュールの大型化及び消費電力の増大が抑制される。さらには本願の光送信モジュールは、二値電気信号を多値電気信号に変換する段階を省くのでレイテンシーを小さくすることが可能となる。
【0037】
また本願の光送信モジュールは、二値電気信号を多値電気信号に変換しないため、伝達される光信号の劣化を抑制することができる。その結果本願の光送信モジュールは、より信頼性の高い信号伝達を実現することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 上位ビット、2 下位ビット、11 高周波線路、12 高周波線路、13 高周波線路、21 Auワイヤ、22 Auワイヤ、23 Auワイヤ、31 薄膜抵抗、32 薄膜抵抗、33 薄膜抵抗、41 レンズ、42 レンズ、43 レンズ、51 EA変調器、52 EA変調器、53 EA変調器、60 光源、70 ビアホール、80 チップコンデンサ、90 GNDパターン、100 論理演算回路、200 光送信モジュール、300 光源駆動装置、400 EA変調器集積DFB-LD。
図1
図2
図3
図4
図5