(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】基板積層体、および、撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20220111BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220111BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20220111BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H04N5/225 100
H01L23/12 F
H01L25/00 B
H05K1/14 C
(21)【出願番号】P 2017201998
(22)【出願日】2017-10-18
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 周作
(72)【発明者】
【氏名】春田 裕宗
(72)【発明者】
【氏名】若木 秀一
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/104960(WO,A1)
【文献】特開2008-312104(JP,A)
【文献】特開2015-038908(JP,A)
【文献】国際公開第2014/174943(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
H01L 23/12
H01L 25/00
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を実装するための撮像素子実装基板と、
アクチュエータモジュールと電気的に接続可能であり、前記撮像素子実装基板と電気的に接続されるフレキシブル配線回路基板と
を備え、
前記撮像素子実装基板は、金属配線を有し、
前記金属配線の厚みが、12μm以下であり、
前記撮像素子実装基板の総厚みが、60μm以下であり、
前記フレキシブル配線回路基板の一部が、前記撮像素子実装基板において、前記撮像素子が実装される実装領域以外の領域に、配置されていることを特徴とする、基板積層体。
【請求項2】
前記フレキシブル配線回路基板の前記一部は、前記撮像素子が実装される側の領域に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の基板積層体。
【請求項3】
前記フレキシブル配線回路基板の前記一部は、前記撮像素子実装基板の少なくとも一つの端部に沿って配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の基板積層体。
【請求項4】
前記フレキシブル配線回路基板の前記一部は、前記実装領域の四方を囲うように配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板積層体。
【請求項5】
前記撮像素子が実装される側の領域に配置されるリジッド基板をさらに備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板積層体。
【請求項6】
前記リジッド基板が、前記アクチュエータモジュールと電気的に接続可能であることを特徴とする、請求項5に記載の基板積層体。
【請求項7】
前記撮像素子実装基板において、前記金属配線が配置される配線領域の等価弾性率が、5GPa以上、55GPa以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板積層体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の基板積層体と、
前記基板積層体に実装される撮像素子と、
前記基板積層体に実装され、アクチュエータモジュールと
を備えることを特徴とする、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板積層体、および、基板積層体を備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話などに搭載されているカメラモジュールなどの撮像装置は、一般的に、光学レンズと、光学レンズを収容および保持するハウジングと、CMOSセンサやCCDセンサなどの撮像素子と、撮像素子を実装し、外部配線に電気的に接続するための撮像素子実装基板とを備えている。撮像素子実装基板の略中央部の上に、撮像素子が実装されており、撮像素子を取り囲むように撮像素子実装基板の周端部の上に、ハウジングが配置されている。特許文献1には、そのような基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話などに用いられる撮像装置は、携帯電話の小型化の要求に伴い、より一層の薄型化(低背化)が求められている。撮像装置の低背化の手段の一つとしては、撮像素子実装基板の薄型化が挙げられる。
【0005】
ところで、撮像素子実装基板には、一般的に、金属板で裏面全面を補強した厚いリジット型配線回路基板と、金属板で裏面全体を補強されていない薄いフレキシブル型配線回路基板(FPC)との2種類が用いられている。
【0006】
FPCは、金属板で補強しないため、リジッド型配線回路基板よりも薄型化が可能である。しかしながら、その反面、撮像素子および撮像素子実装基板の材料は、互いに異なるため、撮像素子および撮像素子実装基板を備える撮像ユニットを、高温および低温を繰り返す外部環境下に置くと、熱歪みが生じて、撮像ユニットに反りが生じる場合がある。その結果、撮像素子と光学レンズとの位置にずれが生じ、像が歪む不具合が生じる。
【0007】
そこで、FPCの総厚みや金属配線の厚みを非常に薄くしたFPCを用いることが検討される。このようなFPCは、熱応力が大幅に低下されているために、反りの発生を抑制することができる。
【0008】
ところで、撮像装置には、オートフォーカス素子や手振れ補正機構などのアクチュエータモジュールも配置される。このため、撮像装置全体として、より多くの電流を流す必要がある。
【0009】
しかしながら、この撮像素子実装基板では、金属配線を薄くしているため、より多くの電流を流すことが困難となる。
【0010】
本発明の目的は、反りの発生を抑制し、アクチュエータモジュールを配置することができる基板積層体および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明[1]は、撮像素子を実装するための撮像素子実装基板と、前記撮像素子よりも多くの電流が必要とされるアクチュエータモジュールと電気的に接続可能であり、前記撮像素子実装基板と電気的に接続されるフレキシブル配線回路基板とを備え、前記撮像素子実装基板は、金属配線を有し、前記金属配線の厚みが、12μm以下であり、前記撮像素子実装基板の総厚みが、60μm以下であり、前記フレキシブル配線回路基板の一部が、前記撮像素子実装基板において、前記撮像素子が実装される実装領域以外の領域に、配置されている、基板積層体を含んでいる。
【0012】
この基板積層体によれば、撮像素子実装基板の金属配線の厚みが、12μm以下であり、撮像素子実装基板の総厚みが、60μm以下であるため、撮像素子実装基板およびその金属配線が非常に薄い。そのため、撮像素子の熱膨張に合わせて、撮像素子実装基板は、柔軟に変形して、熱応力の発生を抑制することができる。結果、反りの発生を抑制することができる。
【0013】
また、フレキシブル配線回路基板の一部が、撮像素子実装基板において、撮像素子が実装される実装領域以外の領域に配置されている。そのため、アクチュエータモジュールは、撮像素子実装基板を介さずにフレキシブル配線回路基板に直接電気的に接続することができる。そのため、アクチュエータモジュールを基板積層体に配置および稼働させることができる。
【0014】
本発明[2]は、前記フレキシブル配線回路基板の前記一部は、前記撮像素子が実装される側の領域に配置されている、[1]に記載の基板積層体を含んでいる。
【0015】
この基板積層体によれば、撮像素子実装基板に撮像素子を実装した撮像装置の低背化を図ることができる。
【0016】
本発明[3]は、前記フレキシブル配線回路基板の前記一部は、前記撮像素子実装基板の少なくとも一つの端部に沿って配置されている、[1]または[2]に記載の基板積層体を含んでいる。
【0017】
この基板積層体によれば、撮像素子実装基板とフレキシブル配線回路基板との接触面積が大きいため、接合強度が高くなっている。その結果、基板積層体を曲げても、撮像素子実装基板とフレキシブル配線回路基板との分離破壊を抑制できる。
【0018】
本発明[4]は、前記フレキシブル配線回路基板の前記一部は、前記実装領域の四方を囲うように配置されている、[1]~[3]のいずれか一項に記載の基板積層体を含んでいる。
【0019】
この基板積層体によれば、撮像素子実装基板とフレキシブル配線回路基板との接触面積がさらに大きいため、接合強度がより一層高くなっている。その結果、基板積層体を曲げても、撮像素子実装基板とフレキシブル配線回路基板との分離破壊をより確実に抑制できる。
【0020】
本発明[5]は、前記撮像素子が実装される側の領域に配置されるリジッド基板をさらに備える、[1]~[4]のいずれか一項に記載の基板積層体を含んでいる。
【0021】
この基板積層体によれば、硬いリジッド基板が撮像素子実装基板に配置されているため、撮像素子実装基板の反りをより確実に抑制することができる。
【0022】
本発明[6]は、前記リジッド基板が、前記アクチュエータモジュールと電気的に接続可能である、[5]に記載の基板積層体を含んでいる。
【0023】
この基板積層体によれば、硬いリジッド基板に撮像素子を直接実装することができるため、撮像素子をリジッド基板付の基板積層体に安定して配置することができ、その結果、容易に実装することができる。
【0024】
本発明[7]は、前記撮像素子実装基板において、前記金属配線が配置される配線領域の等価弾性率が、5GPa以上、55GPa以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の基板積層体を含んでいる。
【0025】
この基板積層体によれば、配線領域の弾性率が小さく、柔軟であるため、撮像素子実装基板の反りを良く確実に抑制することができる。
【0026】
本発明[8]は、[1]~[7]のいずれか一項に記載の基板積層体と、前記基板積層体に実装される撮像素子と、前記基板積層体に実装され、前記撮像素子よりも多くの電流が必要とされるアクチュエータモジュールとを備える、撮像装置を含んでいる。
【0027】
この撮像装置によれば、撮像装置の反りを抑制することができるとともに、アクチュエータモジュールを稼働させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の基板積層体および撮像装置は、撮像素子実装基板の反りの発生を抑制することができる。また、より多くの電流を流すことができるため、アクチュエータモジュールを実装および稼働することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図7】
図7A-Bは、本発明の基板積層体の第2実施形態(周辺領域の下側に接続基板を備える形態)を備える撮像装置を示し、
図7Aは、平面図、
図7Bは、
図7AのA-Aにおける断面図を示す。
【
図8】
図8A-Bは、本発明の基板積層体の第3実施形態(リジット基板を備える形態)を備える撮像装置を示し、
図8Aは、平面図、
図8Bは、
図8AのA-Aにおける断面図を示す。
【
図9】
図9A-Bは、本発明の基板積層体の第3実施形態の変形例(リジッド基板が、接続基板の上側に配置される形態)を備える撮像装置を示し、
図9Aは、平面図、
図9Bは、
図9AのA-Aにおける断面図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の基板積層体の第4実施形態(実装基板の一つの端部に沿って接続基板が配置されている形態)の平面図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の基板積層体の第5実施形態(実装基板の2つの端部に沿って接続基板が配置されている形態)の平面図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の基板積層体の第6実施形態(実装基板の3つの端部に沿って接続基板が配置されている形態)の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1Aにおいて、紙面左右方向は、前後方向(第1方向、長手方向)であって、紙面左側が前側(第1方向一方側)、紙面右側が後側(第1方向他方側)である。紙面上下方向は、左右方向(第1方向と直交する第2方向、幅方向)であって、紙面上側が左側(第2方向一方側)、紙面下側が右側(第2方向他方側)である。紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向、第1方向および第2方向と直交する第3方向)であって、紙面手前側が上側(厚み方向一方側、第3方向一方側)、紙面奥側が下側(厚み方向他方側、第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0031】
<第1実施形態>
1.基板積層体
図1A-
図4Bを参照して、本発明の基板積層体の第1実施形態を説明する。
【0032】
図1Aに示す第1実施形態の基板積層体1は、撮像素子41(後述)を実装するための配線回路基板であって、撮像素子41を未だ備えていない。基板積層体1は、撮像素子実装基板2と、フレキシブル配線回路基板の一例としての外部機器接続フレキシブル配線回路基板3と、コネクタ4とを備える。
【0033】
(撮像素子実装基板)
撮像素子実装基板2(以下、実装基板と略する。)は、撮像素子41を実装するためのフレキシブル配線回路基板である。
図1A-Bおよび
図2に示すように、前後方向および左右方向(面方向)に延びる平面視略矩形の平板形状(シート形状)を有する。
【0034】
実装基板2は、
図2に示すように、実装領域5、および、周辺領域6に区画される。
【0035】
実装領域5は、撮像素子41が配置される領域である。すなわち、実装領域5は、撮像素子41が実装基板2に配置された場合において、厚み方向に投影したときに、撮像素子41と重複する領域である。具体的には、実装領域5は、
図1の仮想線に示すように、実装基板2の平面視略中央において、略矩形状に区画される。実装領域5の外周部には、撮像素子41と電気的に接続するための撮像素子接続端子12(後述)が複数配置されている。実装領域5は、ステンレスなどの金属支持板を有しない。
【0036】
実装基板2において、実装領域5以外の領域である。また、周辺領域6は、ハウジング42(後述)、および、外部機器接続フレキシブル配線回路基板3が配置される領域である。すなわち、周辺領域6は、ハウジング42(後述)が実装基板2に配置された場合において、厚み方向に投影したときに、ハウジング42および外部機器接続フレキシブル配線回路基板3と重複する領域である(実装領域3を除く)。具体的には、周辺領域6は、外形および内形がともに平面視略矩形状である略矩形枠状に形成されており、その内端縁は、実装領域5の外端縁と連続する。周辺領域6の後端縁には、外部機器接続フレキシブル配線回路基板3と電気的に接続するための接続基板接続端子13(後述)が複数配置されている。
【0037】
実装基板2は、
図3に示すように、第1ベース絶縁層7と、第1導体パターン8と、第1カバー絶縁層9とを備える。
【0038】
第1ベース絶縁層7は、実装基板2の最上層に配置されている。第1ベース絶縁層7は、実装基板2の外形をなし、平面視略矩形状に形成されている。第1ベース絶縁層7の上面は、平坦となるように形成されている。第1ベース絶縁層7には、複数の撮像素子接続端子開口部10、および、複数の接続基板接続端子開口部11が形成されている。
【0039】
複数の撮像素子接続端子開口部10(以下、第1開口部と略する。)は、撮像素子接続端子12を上面から露出するための開口部である。複数の第1開口部10は、実装領域5の周端部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。第1開口部10は、第1ベース絶縁層7を厚み方向に貫通し、平面視略円形状を有する。第1開口部10は、上側に向かうに従って断面積が小さくなるテーパ形状を有する。
【0040】
複数の接続基板接続端子開口部11(以下、第2開口部と略する。)は、接続基板接続端子13を上面から露出するための開口部である。複数の第2開口部11は、周辺領域6の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。第2開口部11は、第1ベース絶縁層7を厚み方向に貫通し、平面視略矩形状(長方形状)を有する。第2開口部11は、平面視において、周辺領域6の後端縁から前側に向かって延びるように、形成されている。
【0041】
第1ベース絶縁層7は、絶縁性材料から形成されている。絶縁性材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。好ましくは、第1ベース絶縁層7は、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0042】
第1ベース絶縁層7の弾性率は、例えば、1GPa以上、好ましくは、5GPa以上であり、また、例えば、20GPa以下、好ましくは、15GPa以下である。絶縁層などの樹脂層の弾性率は、例えば、動的粘弾性測定により、JIS K7244やISO 6721に準拠して測定することができる。
【0043】
第1ベース絶縁層7の熱膨張係数は、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、5ppm/K以上であり、また、例えば、50ppm/K以下、好ましくは、30ppm/K以下である。絶縁層などの樹脂層の熱膨張係数は、面方向の線熱膨張係数であって、例えば、熱機械分析により、JIS K7197の条件にて測定することができる。
【0044】
第1ベース絶縁層7の厚みT1は、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下である。
【0045】
第1導体パターン8は、第1ベース絶縁層7の下面と接触するように、第1ベース絶縁層7の下側に設けられている。第1導体パターン8は、複数の撮像素子接続端子12、複数の接続基板接続端子13、および、複数の第1金属配線14を備える。
【0046】
複数の撮像素子接続端子12は、
図2に示すように、実装領域5の周端部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、複数の撮像素子接続端子12は、実装される撮像素子41の複数の端子46(後述)に対応するように設けられている。
【0047】
撮像素子接続端子12は、平面視略円形状を有する。撮像素子接続端子12は、第1開口部10内に配置され、側断面視において、上側に凸となるように形成されている。撮像素子接続端子12の内側部の上面は、第1開口部10から露出しており、第1ベース絶縁層7の上面と面一となるように形成されている。
【0048】
複数の接続基板接続端子13は、周辺領域6の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、複数の接続基板接続端子13は、複数の実装基板接続端子24(後述)と対応するように設けられている。接続基板接続端子13は、平面視略矩形状(長方形状)を有する。接続基板接続端子13は、第2開口部11内に配置され、その上面は、第2開口部11から露出している。なお、
図2では、複数の接続基板接続端子13のうち一部(左右方向中央部)を省略している。
【0049】
複数の第1金属配線14は、
図3に示すように、複数の第1接続配線15および複数のグランド配線16を備える。
【0050】
複数の第1接続配線15は、複数の撮像素子接続端子12(または複数の接続基板接続端子13)に対応するように設けられている。具体的には、第1接続配線15は、撮像素子接続端子12と接続基板接続端子13とを接続するように、これらと一体的に形成されている。すなわち、第1接続配線15の一端は、撮像素子接続端子12と連続し、第1接続配線15の他端は、接続基板接続端子13と連続して、これらを電気的に接続している。
【0051】
複数のグランド配線16は、複数の第1接続配線15に対応するように設けられている。具体的には、複数のグランド配線16は、複数の第1接続配線15の外側に、これらに沿うように設けられている。グランド配線16の一端には、図示しないグランド端子が一体的に接続されている。
【0052】
なお、実装基板2を厚み方向に投影したときに、第1金属配線14(金属配線)が存在する平面視または底面視の領域を、配線領域17とする。
【0053】
第1導体パターン8の材料としては、例えば、銅、銀、金、ニッケルまたはそれらを含む合金、半田などの金属材料が挙げられる。好ましくは、銅が挙げられる。
【0054】
第1導体パターン8の弾性率は、例えば、50GPa以上、好ましくは、100GPa以上であり、また、例えば、200GPa以下、好ましくは、150GPa以下である。導体パターンなどの金属の弾性率は、例えば、引っ張り試験測定により、JIS Z 2241に準拠して測定することができる。
【0055】
第1導体パターン8の熱膨張係数は、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、5ppm/K以上であり、また、例えば、30ppm/K以下、好ましくは、20ppm/K以下である。導体パターンなどの金属の熱膨張係数は、面方向の線熱膨張係数であって、例えば、熱機械分析装置や光走査式測定装置により、JIS Z 2285に準拠して測定することができる。
【0056】
第1導体パターン8(第1金属配線14、各端子12、13)の厚みT2(ひいては、金属配線の総厚み)は、実装時の実装基板2の反りを抑制する観点から、12μm以下、好ましくは、8μm以下、より好ましくは、5μm以下である。また、取扱い性の観点から、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上である。
【0057】
第1金属配線14の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0058】
第1カバー絶縁層9は、第1導体パターン8を被覆するように、第1ベース絶縁層7および第1導体パターン8の下側に設けられている。すなわち、第1カバー絶縁層9は、第1導体パターン8の下面および側面、および、第1導体パターン8から露出する第1ベース絶縁層7の下面と接触するように、配置されている。第1カバー絶縁層9の外形は、第2開口部11の形成部分を除いて、第1ベース絶縁層7の外形と略同一となるように形成されている。
【0059】
第1カバー絶縁層9は、第1ベース絶縁層7で上記した絶縁性材料と同様の絶縁性材料から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0060】
第1カバー絶縁層9の弾性率は、例えば、1GPa以上、好ましくは、5GPa以上であり、また、例えば、20GPa以下、好ましくは、15GPa以下である。
【0061】
第1カバー絶縁層9の熱膨張係数は、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、5ppm/K以上であり、また、例えば、50ppm/K以下、好ましくは、30ppm/K以下である。
【0062】
第1カバー絶縁層9の厚みT3は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、5μm以下である。
【0063】
実装基板2の配線領域17における等価弾性率は、例えば、5GPa以上、好ましくは、10GPa以上であり、また、例えば、55GPa以下、好ましくは、50GPa以下、より好ましくは、40GPa以下、さらに好ましくは、30GPa以下、とりわけ好ましくは、20GPa以下である。配線領域17の等価弾性率を上記上限以下とすることにより、実装基板2の反りの発生を抑制することができる。また、配線領域17の等価弾性率を上記下限以上とすることにより、基板積層体1の取り扱い性に優れる。
【0064】
等価弾性率Dは、配線領域17を構成する各層(例えば、第1ベース絶縁層7、第1金属配線14、第1カバー絶縁層9)の弾性率のそれぞれに、その各層の厚み分率を掛けて、これらを合算したものである。具体的には、例えば、
図2~
図3に示す実施形態では、下記の計算式にて得られる。
【0065】
D={D1×T1+D2×T2+D3×T3}/{T1+T2+T3}
D1は、第1ベース絶縁層7の弾性率を示し、T1は、第1ベース絶縁層7の厚みを示す。
D2は、第1金属配線14の弾性率を示し、T2は、第1金属配線14の厚みを示す。
D3は、第1カバー絶縁層9の弾性率を示し、T3は、第1カバー絶縁層9の厚みを示す。
【0066】
なお、上記等価弾性率Dは、第1層および第2層が積層された平行平板モデルにおけるVoigt則:Ey=V1E1+V2E2(Eyは、全体のヤング率、V1は、第1層の体積、E1は、第1層の材料のヤング率、V2は、第2層の体積、E2は、第2層の材料のヤング率を示す。)から近似的に導出される。
【0067】
配線領域17において、絶縁層の合計厚みに対する金属の合計厚みの割合、すなわち、第1ベース絶縁層7および第1カバー絶縁層9の合計厚みに対する第1金属配線14の厚みの割合(T2/(T1+T3))が、例えば、0.05以上、好ましくは、0.10以上、より好ましくは、0.20以上であり、また、例えば、0.90以下、好ましくは、0.70以下、より好ましくは、0.50以下、さらに好ましくは、0.20以下である。上記割合を上記範囲とすることにより、等価弾性率を適正な範囲(例えば、5GPa以上、55GPa以下)に容易に調整することができ、その結果、反りの発生をより確実に抑制することができる。
【0068】
実装基板2の総厚み(最大厚み)は、反りの抑制および取扱い性の観点から、60μm以下、好ましくは、40μm以下、より好ましくは、30μm以下、さらに好ましくは、20μm以下、とりわけ好ましくは、10μm以下であり、また、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上である。
【0069】
実装基板2は、例えば、上面が平坦な金属支持基板(例えば、ステンレス基板)を用意する工程、その上面に、各開口部(10、11)が形成された第1ベース絶縁層7を形成する工程、その第1ベース絶縁層7の上面および各開口部から露出する金属支持基板の上面に第1導体パターン8を形成する工程、第1ベース絶縁層7および第1導体パターン8を被覆するように第1カバー絶縁層9を形成する工程、金属支持基板を除去する工程により、製造することができる。そして、製造した実装基板2を上下反転することにより、
図3に示す実装基板2を得る。
【0070】
(外部機器接続フレキシブル配線回路基板)
外部機器接続フレキシブル配線回路基板3(以下、接続基板と略する)は、実装基板2とマザーボードなどの外部機器(図示せず)とを電気的に接続するためのフレキブル配線回路基板、かつ、アクチュエータモジュール45(後述)と外部機器とを電気的とを電気的に接続するためのフレキブル配線回路基板である。
【0071】
接続基板3は、
図1A-Bに示すように、実装基板配置領域20、接続領域21、および、コネクタ領域22に区画される。
【0072】
実装基板配置領域20(以下、配置領域と略する。)は、接続基板3の前端部に配置されており、厚み方向に投影したときに、実装基板2と重複する領域である。配置領域20は、外形および内形がともに平面視略矩形状である略矩形枠状を有する。すなわち、配置領域20は、平面視略矩形状に形成され、その中央部において、厚み方向に貫通する平面視略矩形状の実装領域開口部23が形成されている。配置領域20の外形は、実装基板2の外形よりも僅かに小さく、その内形は、実装基板2の実装領域5よりも僅かに大きい。配置領域20の後端部には、実装基板2と電気的に接続するための実装基板接続端子24(後述)、および、アクチュエータモジュール45と電気的に接続するためのモジュール接続端子25(後述)がそれぞれ複数配置されている。
【0073】
接続領域21は、接続基板3の前後方向中央に配置されており、前後方向に延びる平面視略矩形状を有する。接続領域21の前端は、配置領域20の後端に連続し、接続領域21の後端は、コネクタ領域22に連続する。接続領域21には、前後方向に延びる複数の第2金属接続配線30(後述)が左右方向に間隔を隔てて配置されている。
【0074】
コネクタ領域22は、接続基板3の後端部に配置されており、平面略矩形状を有する。コネクタ領域22の前端は、接続領域21の後端に連続する。
【0075】
コネクタ領域22には、コネクタ4と電気的に接続するためのコネクタ接続端子32が複数配置されている。
【0076】
接続基板3は、
図4A-Bに示すように、第2ベース絶縁層26、第2導体パターン27、および、第2カバー絶縁層28を備える。
【0077】
第2ベース絶縁層26は、接続基板3の最下層に配置されている。第2ベース絶縁層26は、接続基板3の外形をなし、平面視略矩形状に形成されている。第2ベース絶縁層26には、配置領域20において、複数の実装基板接続端子開口部29が形成されている。
【0078】
複数の実装基板接続端子開口部29(以下、第3開口部と略する。)は、実装基板接続端子24を下面から露出するための開口部である。複数の第3開口部29は、配置領域20の後端部の幅方向中央において、複数の第2開口部11に対応するように、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。第3開口部29は、第2ベース絶縁層26を厚み方向に貫通し、平面視略矩形状(長方形状)を有する。
【0079】
第2ベース絶縁層26は、絶縁性材料から形成されている。絶縁性材料としては、第1ベース絶縁層7で上記した絶縁性材料と同様の絶縁性材料から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0080】
第2ベース絶縁層26の厚みT4は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0081】
第2導体パターン27は、第2ベース絶縁層26の上面と接触するように、第2ベース絶縁層26の上側に設けられている。第2導体パターン27は、複数の実装基板接続端子24、複数(2つ)のモジュール接続端子25、複数のコネクタ接続端子32、および、複数の第2金属接続配線30を備える。
【0082】
複数の実装基板接続端子24は、配置領域20の後端部の左右方向中央に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、複数の実装基板接続端子24は、複数の接続基板接続端子13と対応するように設けられている。実装基板接続端子24は、平面視略矩形状(長方形状)を有する。実装基板接続端子24は、第3開口部29内に配置され、その下面は、第3開口部29から露出している。
【0083】
複数(2つ)のモジュール接続端子25は、配置領域20の後側の左右方向端部に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、複数のモジュール接続端子25は、ハウジング42(後述)を配置領域20に配置した際に、複数(2つ)のハウジング側端子47(後述)と対応するように設けられている。モジュール接続端子25は、平面視略矩形状を有する。モジュール接続端子25は、モジュール接続端子開口部31(後述)内に配置され、その上面は、モジュール接続端子開口部31から露出している。
【0084】
複数のコネクタ接続端子32は、複数の実装基板接続端子24および複数のモジュール接続端子25のそれぞれをコネクタ4に電気的に接続する端子であり、その数は、実装基板接続端子24およびモジュール接続端子25の合計数である。複数のコネクタ接続端子32は、コネクタ領域22に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、コネクタ4の複数のコネクタ側端子38(後述)と対応するように設けられている。コネクタ接続端子32は、第5開口部33(後述)内に配置され、その上面は、第5開口部33から露出している。
【0085】
複数の第2金属接続配線30は、複数の実装基板接続端子24および複数のモジュール接続端子25に対応するように設けられている。具体的には、複数の第2金属接続配線30の一部は、実装基板接続端子24とコネクタ接続端子32とを前後方向に接続するように、これらと一体的に形成されている。すなわち、第2金属接続配線30の一端は、実装基板接続端子24と連続し、第2金属接続配線34の他端は、コネクタ接続端子32と連続して、これらを電気的に接続している。また、複数の第2金属接続配線30の一部(2つ)は、モジュール接続端子25とコネクタ接続端子32とを前後方向に接続するように、これらと一体的に形成されている。すなわち、第2金属接続配線30の一端は、モジュール接続端子25と連続し、第2金属接続配線34の他端は、コネクタ接続端子32と連続して、これらを電気的に接続している。
【0086】
第2導体パターン27の材料は、第1導体パターン8で上記した金属材料と同様の金属材料から形成され、好ましくは、銅が挙げられる。
【0087】
第2導体パターン27(第2金属接続配線30、各端子24、25)の厚みT5(ひいては、金属配線の総厚み)は、流せる電流の大きさの観点から、第1導体パターン8の厚みT2よりも厚く、例えば、12μmを超過し、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、40μm以下、好ましくは、25μm以下である。また、第1導体パターン8の厚みT2に対する第2導体パターン27の厚みT5の比(T5/T2)(ひいては、実装基板2の金属配線の総厚みに対する接続基板3の金属配線の総厚みの比)は、例えば、1.2以上、好ましくは、1.5以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、5以下である。
【0088】
第2金属接続配線30の幅は、例えば、15μm以上、好ましくは、25μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0089】
第2カバー絶縁層28は、第2導体パターン27を被覆するように、第2ベース絶縁層26および第2導体パターン27の上側に設けられている。すなわち、第2カバー絶縁層28は、第2導体パターン27の上面および側面、および、第2導体パターン27から露出する第2ベース絶縁層26の上面と接触するように、配置されている。第2カバー絶縁層28の外形は、第2ベース絶縁層26と同一となるように形成されている。
【0090】
第2カバー絶縁層28には、複数のモジュール接続端子開口部31および複数のコネクタ接続端子開口部33が形成されている。
【0091】
複数のモジュール接続端子開口部31(以下、第4開口部と略する。)は、モジュール接続端子25を上面から露出するための開口部である。複数の第4開口部31は、配置領域20の後部の幅方向外側において、複数のモジュール接続端子25に対応して、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。複数の第4開口部31は、第2カバー絶縁層28を厚み方向に貫通し、平面視略矩形状を有する。
【0092】
複数のコネクタ接続端子開口部33(以下、第5開口部と略する。)は、コネクタ接続端子32を上面から露出するための開口部である。複数の第5開口部33は、コネクタ領域22において、複数のコネクタ接続端子32に対応して、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。
【0093】
第2カバー絶縁層28は、第2ベース絶縁層26で上記した絶縁性材料と同様の絶縁性材料から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0094】
第2カバー絶縁層28の厚みT6は、例えば、10μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0095】
接続基板3の総厚み(最大厚み)は、流せる電流の大きさの観点および取扱い性の観点から、実装基板2よりも厚く、例えば、60μmを超過し、好ましくは、80μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、120μm以下である。実装基板2の総厚みに対する接続基板3の総厚みの比は、例えば、1.5以上、好ましくは、2.0以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、5以下である。
【0096】
接続基板3は、例えば、第2ベース絶縁層26を形成する工程、第2ベース絶縁層26の上面に第2導体パターン27を形成する工程、第2導体パターン27および第2ベース絶縁層26を被覆するように第2カバー絶縁層28を形成する工程により、製造することができる。
【0097】
(コネクタ)
コネクタ4は、接続基板3と外部機器(図示せず)とを電気的に接続するための接続素子である。コネクタ4は、
図1A-Bに示すように、左右方向に延びる平面視略矩形状を有する。コネクタ4は、複数のコネクタ接続端子32と電気的に接続するためのコネクタ側端子38を複数備える。
【0098】
(基板積層体)
基板積層体1は、
図1A-Bに示すように、実装基板2と、実装基板2の上側に配置される接続基板3と、接続基板3の上側に配置されるコネクタ4とを備える。
【0099】
接続基板3は、配置領域20(接続基板3の一部)の下面が実装基板2の周辺領域6の上面に接触するように、実装基板2の周辺領域6の上側に配置されている。すなわち、厚み方向に投影したときに、接続基板3は、配置領域20は実装基板2と重複するが、接続領域21およびコネクタ領域22は実装基板2と重複しないように、実装基板2の上側に配置されている。厚み方向に投影したときに、実装基板2は、接続基板3の配置領域20を含んでいる。すなわち、平面視において、実装基板2は、接続基板3の配置領域20よりも僅かに大きい。
【0100】
配置領域20は、実装基板2の4つの端部(前端部、後端部、左端部および右端部)に沿って配置されている。具体的には、配置領域20は、実装領域5が実装領域開口部23内に配置され、実装領域5の四方を囲うように配置されている。すなわち、実装領域開口部23は、平面視において、実装領域5の全域を含んでおり、実装領域開口部23の周端縁は、実装領域5の周端縁と間隔を隔てている。
【0101】
接続基板3は、周辺領域6の上面に、図示しない絶縁性接着剤などを介して、固定されている。また、接続基板3は、実装基板2と電気的に接続されており、具体的には、
図4Bに参照されるように、半田、導電性接着剤などの導電性接合材35を介して、接続基板接続端子13と実装基板接続端子24とが接合されている。
【0102】
コネクタ4は、コネクタ4の下面が接続基板3のコネクタ領域22の上面に接触するように、接続基板3のコネクタ領域22の上側に配置されている。厚み方向に投影したときに、コネクタ4は、コネクタ領域22の平面視略中央に配置されている。
【0103】
コネクタ4は、コネクタ領域22の上面に、図示しない絶縁性接着剤などを介して、固定されている。また、コネクタ4は、接続基板3と電気的に接続されており、具体的には、導電性接合材35を介して、コネクタ接続端子32とコネクタ側端子38とが接合されている。
【0104】
このような基板積層体1は、例えば、撮像素子41(後述)を実装するための配線回路基板に用いられる。すなわち、基板積層体1は、カメラモジュールなどの撮像装置に用いられる。
【0105】
2.撮像装置
図5A-
図6Bを参照して、基板積層体1を備える撮像装置40を説明する。
【0106】
撮像装置40は、基板積層体1、撮像素子41、ハウジング42、光学レンズ43、フィルター44、および、アクチュエータモジュール45を備える。
【0107】
撮像素子41は、光を電気信号に変換する半導体素子であって、例えば、CMOSセンサ、CCDセンサなどの固体撮像素子が挙げられる。撮像素子41を稼働するために必要な電流は、例えば、500mA以下、好ましくは、300mA未満であり、また、例えば、50mA以上である。
【0108】
撮像素子41は、平面視略矩形の平板形状に形成されており、図示しないが、Si基板などのシリコンと、その上に配置されるフォトダイオード(光電変換素子)およびカラーフィルターとを備える。撮像素子41の下面には、実装基板2の撮像素子接続端子12と対応する端子46が複数設けられている。
【0109】
撮像素子41(特にSi基板)の弾性率は、例えば、100GPa以上、好ましくは、120GPa以上であり、また、例えば、200GPa以下、好ましくは、150GPa以下である。撮像素子41の弾性率は、例えば、引っ張り試験測定により、JIS Z 2241に準拠して測定することができる。
【0110】
撮像素子41(特にSi基板)の熱膨張係数は、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、2ppm/K以上であり、また、例えば、10ppm/K以下、好ましくは、5ppm/K以下である。撮像素子41の熱膨張係数は、面方向の線熱膨張係数であって、例えば、熱機械分析装置や光走査式測定装置により、JIS Z 2285に準拠して測定することができる。
【0111】
撮像素子41の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0112】
撮像素子41は、実装基板2の実装領域5に実装されている。すなわち、撮像素子41の端子46は、対応する実装基板2の撮像素子接続端子12と、半田などの導電性接合材35などを介して、フリップチップ実装されている。これにより、撮像素子41は、実装基板2の実装領域5の上面に配置され、実装基板2の撮像素子接続端子12と電気的に接続されている。
【0113】
撮像素子41は、実装基板2の実装領域5に実装されることにより、
図5A-Bに示すように、撮像ユニット49を構成する。すなわち、撮像ユニット49は、基板積層体1と、それに実装される撮像素子41とを備える。
【0114】
ハウジング42は、周辺領域6の上面に、撮像素子41と面方向に間隔を隔てて囲うように配置されている。ハウジング42は、平面視略矩形状の筒状を有する。ハウジング42の上端には、光学レンズ43を固定するための固定部が設けられている。
【0115】
また、ハウジング42には、ハウジング42の下端(端部)に設けられるハウジング側端子47と、アクチュエータモジュール45からハウジング側端子47まで延びるモジュール接続配線48とを備える。ハウジング側端子47は、導電性接合材35を介して、モジュール接続端子25と接合されている。これにより、アクチュエータモジュール45は、実装基板2を介さずに、接続基板3と直接電気的に接続されている。
【0116】
光学レンズ43は、実装基板2の上側に、実装基板2および撮像素子41と間隔を隔てて配置されている。光学レンズ43は、平面視略円形状に形成され、外部からの光が、撮像素子41に到達するように、固定部によって固定されている。
【0117】
フィルター44は、撮像素子41および光学レンズ43の上下方向中央に、これらと間隔を隔てて配置され、ハウジング42に固定されている。
【0118】
アクチュエータモジュール45は、外部機器からの電気信号を物理的運動に変換する素子であって、例えば、オートフォーカス素子(autofocus)、手振れ補正機構(optical image stabilizer)などが挙げられる。アクチュエータモジュール45を稼働するために必要な電流は、例えば、200mA以上、好ましくは、300mA以上であり、また、例えば、1000mA以下である。
【0119】
アクチュエータモジュール45は、光学レンズ43の周辺において、ハウジング42に固定されている。
【0120】
そして、基板積層体1は、実装基板2と、接続基板3とを備え、実装基板2は、第1金属配線14を有し、第1金属配線14の厚みが、12μm以下であり、実装基板2の総厚みが、60μm以下である。また、接続基板3の配置領域20が、実装基板2の周辺領域6に配置されている。
【0121】
この基板積層体1では、実装基板2および第1金属配線14が非常に薄い。そのため、撮像素子41の熱膨張に合わせて、実装基板2の実装領域5は、柔軟に変形して、熱応力の発生を抑制することができる。結果、高温および低温を繰り返す環境下において、実装基板2の実装領域5、ひいては、撮像装置40の反りの発生を抑制することができる。
【0122】
また、接続基板3の配置領域20が、実装基板2の周辺領域6の上側に配置されている。そのため、アクチュエータモジュール45は、実装基板2を介さずに、接続基板3に直接電気的に接続することができる。そのため、アクチュエータモジュール45を基板積層体1に配置して、電気的に接続可能となり、アクチュエータモジュール45を稼働させることができる。
【0123】
また、基板積層体1では、接続基板3の配置領域20が、周辺領域6の上側(撮像素子41が実装される側)に配置されている。
【0124】
このため、撮像装置40の低背化を図ることができる。すなわち、撮像装置40の上端と下端との上下方向距離(
図6Bでは、ハウジング42の上端と、実装基板2の下面との上下方向距離)を小さくできる。具体的には、接続基板3が、周辺領域6の下側に配置されている
図7Bに示す第2実施形態(後述)では、撮像装置40の上端と下端との上下方向距離は、ハウジング42と接続基板3の下面との上下方向距離となるため、
図6Bに示す第1実施形態は、
図7Bに示す第2実施形態と比して、接続基板3の厚み分、低背化することができる。なお、第1実施形態および第2実施形態ともに、光学レンズ43の中心と撮像素子41の上面との上下方向距離(すなわち、焦点距離、
図7Bに示すD
1)は同一であるため、ハウジング42の上端と実装基板2の上面との上下方向距離(
図7Bに示すD
2)も、互いに同一である。
【0125】
また、基板積層体1では、接続基板3の配置領域20は、実装基板2の4つの端部に沿って配置されている。すなわち、配置領域20は、実装領域5の四方を囲うように配置されている。
【0126】
このため、実装基板2と接続基板3との接触面積が大きくなっているため、これらの接合強度がより一層高くなっている。その結果、基板積層体1を上下方向に折り曲げても、実装基板2と接続基板3との接合点において、分離破壊を確実に抑制できる。
【0127】
また、基板積層体1では、実装基板2において、配線領域17の等価弾性率が、5GPa以上、55GPa以下である。
【0128】
このため、配線領域17の弾性率が小さく、柔軟である。したがって、実装基板2の反りを良く確実に抑制することができる。
【0129】
また、撮像装置40は、基板積層体1、撮像素子41およびアクチュエータモジュール45を備える。
【0130】
このため、撮像装置40の反りを抑制することができるとともに、アクチュエータモジュール45を稼働させることができる。
【0131】
3.変形例
(1)
図3に示す実装基板2は、第1ベース絶縁層7と、第1導体パターン8と、第1カバー絶縁層9とを厚み方向に順に備えるが、すなわち、実装基板2の導体層(導体パターン)は、単層であるが、例えば、図示しないが、実装基板2の導体層は、複層(例えば、2層以上、好ましくは、2~4層)であってもよい。すなわち、例えば、実装基板2は、第1ベース絶縁層7と、第1導体パターン8と、第1カバー絶縁層9と、第3導体パターンと、第3カバー絶縁層とを厚み方向に順に備えていてもよく(導体層2層構成)、また、実装基板2は、第1ベース絶縁層7と、第1導体パターン8と、第1カバー絶縁層9と、第3導体パターンと、第3カバー絶縁層と、第4導体パターンと、第4カバー絶縁層とを厚み方向に順に備えていてもよい(導体層3層構成)。
【0132】
第3導体パターンおよび第4導体パターンの構成は、それぞれ、第1導体パターン8の構成と同様であり、また、第3カバー絶縁層および第4カバー絶縁層の構成は、それぞれ、第1カバー絶縁層9の構成と同様である。
【0133】
実装基板2の総厚みも、
図3に示す実施形態と同様(例えば、60μm以下など)である。
【0134】
実装基板2における金属配線の総厚み(例えば、第1導体パターンが備える第1金属配線14、第3導体パターンが備える金属配線、および、第4導体パターンが備える金属配線の合計厚み)は、例えば、反りの抑制の観点から、例えば、12μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下であり、また、取扱い性の観点から、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上である。実装基板2の金属配線の総厚みに対する接続基板3の金属配線の総厚みの比も、
図1に示す実施形態と同様(例えば、1.2以上など)である。また、配線領域(各導体層の金属配線が存在する領域)の等価弾性率Dや、全絶縁層の合計厚みに対する全金属の合計厚みの割合なども、
図1に示す実施形態と同様である。
【0135】
(2)
図4A-Bに示す接続基板3は、第2ベース絶縁層26と、第2導体パターン27と、第2カバー絶縁層28とを厚み方向に順に備えるが、すなわち、接続基板3の導体層(導体パターン)は、単層であるが、例えば、図示しないが、接続基板3の導体層は、複層(例えば、2層以上、好ましくは、2~4層)であってもよい。すなわち、例えば、接続基板3は、第2ベース絶縁層26と、第2導体パターン27と、第2カバー絶縁層28と、第5導体パターンと、第5カバー絶縁層とを厚み方向に順に備えていてもよく(導体層2層構成)、また、接続基板3は、第2ベース絶縁層26と、第2導体パターン27と、第2カバー絶縁層28と、第5導体パターンと、第5カバー絶縁層と、第6導体パターンと、第6カバー絶縁層とを厚み方向に順に備えていてもよい(導体層3層構成)。
【0136】
第5導体パターンおよび第6導体パターンの構成は、それぞれ、第2導体パターン27と同様であり、第5カバー絶縁層および第6カバー絶縁層の構成は、それぞれ、第2カバー絶縁層28の構成と同様である。
【0137】
接続基板3の総厚みも、
図4A-Bに示す実施形態と同様(例えば、60μm超など)である。
【0138】
金属配線の総厚み(具体的には、第2導体パターンが備える第2金属接続配線30、第5導体パターンが備える金属接続配線、および、第6導体パターンが備える金属接続配線の合計厚み)は、例えば、より多くの電流を流す観点から、例えば、12μmを超過し、好ましくは、15μm以上、また、例えば、40μm以下、好ましくは、25μm以下である。また、実装基板2の金属配線の総厚みに対する接続基板3の金属配線の総厚みの比も、
図1に示す実施形態と同様(例えば、1.2以上など)である。
【0139】
(3)
図6Bに示す撮像装置40では、撮像素子41は、実装基板2にフリップチップ実装されているが、例えば、図示しないが、撮像素子41は、実装基板2にワイヤボンディングによって実装することもできる。
【0140】
(4)
図6に示す撮像装置40では、モジュール接続端子25は、ハウジング側端子47と、導電性接合材35を介して電気的に接続されているが、例えば、図示しないが、モジュール接続端子25は、ハウジング側端子47とワイヤボンディングによって電気的に接続することもできる。
【0141】
<第2実施形態>
図7A-Bを参照して、基板積層体1および撮像装置40の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の基板積層体1および撮像装置40において、上記した図に示す第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0142】
第1実施形態の実装基板2では、接続基板3の配置領域20は、周辺領域6の上側に配置されているが、第2実施形態の実装基板2では、
図7A-Bに示すように、接続基板3の配置領域20は、周辺領域6の下側に配置されている。
【0143】
第2実施形態では、実装基板2の接続基板接続端子13は、下側に露出するように配置され、接続基板3の実装基板接続端子24は、上側に露出するように配置されており、これらが、導電性接合材35を介して、電気的に接続されている。
【0144】
また、実装基板2には、ハウジング側端子47およびモジュール接続端子25に対応する位置に貫通孔36が設けられている。ハウジング42のハウジング側端子47は、貫通孔36およびモジュール接続端子開口部31内部の導電性接合材35を介して、モジュール接続端子25と電気的に接続されている。
【0145】
第2実施形態の基板積層体1および撮像装置40についても、第1実施形態の基板積層体1および撮像装置40と同様の作用効果を奏する。撮像装置40の低背化の観点から、好ましくは、第1実施形態が挙げられる。また、第2実施形態についても第1実施形態と同様の変形例を適用できる。
【0146】
<第3実施形態>
図8A-Bを参照して、基板積層体1および撮像装置40の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の基板積層体1および撮像装置40において、上記した図に示す第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0147】
第1実施形態の基板積層体1は、実装基板2、接続基板3およびコネクタ4を備えているが、第3実施形態の基板積層体1は、
図8A-Bに示すように、実装基板2、接続基板3、コネクタ4、および、リジッド基板50を備えている。
【0148】
リジッド基板50は、可撓性を有しない硬質の配線基板であり、例えば、セラミック基板、ガラスエポキシ基板などから構成されている。
【0149】
リジッド基板50は、上下方向において、実装基板2と接続基板3との間に配置されている。具体的には、リジッド基板50は、その下面が実装基板2の周辺領域6の上面と接触し、その上面が接続基板3の配置領域20の下面と接触するように、周辺領域6の上側および配置領域20の下側に配置されている。リジッド基板50は、外形および内形がともに平面視略矩形状である略矩形枠状に形成されており、厚み方向に投影したときに、接続基板3の配置領域20と一致する。すなわち、リジッド基板50の形状は、平面視において、接続基板3の配置領域20の形状と略同一である。
【0150】
リジッド基板50の後端部には、接続基板接続端子13と実装基板接続端子24とを厚み方向に電気的に接続する導通部(図示せず)が複数設けられている。
【0151】
リジッド基板50の厚みは、例えば、20μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下である。
【0152】
接続基板3は、リジッド基板50の上側に配置されている。具体的には、接続基板3は、その下面がリジッド基板50の上面と接触するように、リジッド基板50の上側に配置されている。
【0153】
また、
図8A-Bに示す実施形態では、リジッド基板50は、実装基板2の上側および接続基板3の下側に配置されているが、例えば、
図9A-Bに示すように、リジッド基板50は、接続基板3の上側に配置することもできる。すなわち、リジッド基板50は、接続基板3の上側およびハウジング42の下側に配置することができる。この場合、リジッド基板50の後端部には、モジュール接続端子25とハウジング側端子47とを厚み方向に電気的に接続するビア導通部51が複数設けられている。これにより、リジッド基板50は、アクチュエータモジュール45と直接、電気的に接続可能となる。
【0154】
第3実施形態(
図8~
図9)の基板積層体1および撮像装置40についても、第1実施形態の基板積層体1および撮像装置40と同様の作用効果を奏する。リジッド基板50によって実装基板2の周辺領域6が補強されており、実装基板2の反りをより確実に抑制することができる観点から、好ましくは、第3実施形態の基板積層体1および撮像装置40が挙げられる。さらに、
図9A-Bに示す実施形態では、硬いリジッド基板50に撮像素子41を直接実装することができる。このため、撮像素子41を、
図9Aに示す基板積層体1に安定して配置することができ、容易に実装することができる。また、第3実施形態についても第1実施形態と同様の変形例を適用できる。
【0155】
<第4実施形態>
図10を参照して、基板積層体1の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態の基板積層体1において、上記した図に示す第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0156】
第1実施形態の基板積層体1では、接続基板3の配置領域20は、実装基板2の4つの端部に沿って配置されているが、第4実施形態の基板積層体1では、
図10に示すように、接続基板3の配置領域20は、実装基板2の1つの端部(後端部)に沿って配置されている。
【0157】
第4実施形態では、接続基板3の配置領域20は、左右方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0158】
第4実施形態の基板積層体1および撮像装置40についても、第1実施形態の基板積層体1および撮像装置40と同様の作用効果を奏する。実装基板2と接続基板3との接合強度が高く、実装基板2と接続基板3との分離破壊を確実に抑制できる観点から、好ましくは、第1実施形態が挙げられる。また、第4実施形態についても第1実施形態と同様の変形例を適用できる。
【0159】
<第5~6実施形態>
図11~
図12を参照して、基板積層体1の第5~6実施形態について説明する。なお、第5~6実施形態の基板積層体1において、上記した図に示す第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0160】
第1実施形態の基板積層体1では、接続基板3の配置領域20は、実装基板2の4つの端部に沿って配置されているが、第5実施形態の基板積層体1では、
図11に示すように、接続基板3の配置領域20は、実装基板2の2つの端部(後端部および右端部)に沿って配置されている。すなわち、第5実施形態では、接続基板3の配置領域20は、左右方向および前後方向に延びる平面視略逆L字状に形成されている。
【0161】
また、第6実施形態の基板積層体1では、
図12に示すように、接続基板3の配置領域20は、実装基板2の3つの端部(後端部、右端部および左端部)に沿って配置されている。すなわち、第6実施形態では、接続基板3の配置領域20は、前端部が開放される平面視略コ字状に形成されている。
【0162】
第5~6実施形態の基板積層体1および撮像装置40についても、第1実施形態の基板積層体1および撮像装置40と同様の作用効果を奏する。実装基板2と接続基板3との接合強度が高く、実装基板2と接続基板3との分離破壊を確実に抑制できる観点から、好ましくは、第1実施形態が挙げられる。また、第5~6実施形態についても第1実施形態と同様の変形例を適用できる。
【符号の説明】
【0163】
1 基板積層体
2 撮像素子実装基板
3 外部機器接続フレキシブル配線回路基板
5 実装領域
6 周辺領域
14 第1金属配線
17 配線領域
20 実装基板配置領域
40 撮像装置
41 撮像素子
45 アクチュエータモジュール
50 リジッド基板