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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】運搬装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/10 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B62B3/10 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017207411
(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公開番号】P2019077396
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】馬場 菜摘
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00524868(EP,A1)
【文献】実開平03-047871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に接地する接地部と、前記接地部よりも上方に設けられた被支持物品を支持する支持部と、を備える運搬装置であって、
前記支持部は、
上方を向いて、前記被支持物品による上方からの荷重を受ける弾性部材からなる第1当接面と、
前記第1当接面の下方において前記第1当接面と交差するように延びるとともに、前記支持部の幅方向と直交する奥行方向に対向し、前記被支持物品における前記奥行方向の両側を向く面に当接可能に構成された弾性部材からなる第2当接面と、
を有することを特徴とする運搬装置。
【請求項2】
前記第2当接面は、少なくともその一部が前記幅方向における外側方を向いて設けられ、かつ平面視して、略U字状、略V字状、または略コ字状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の運搬装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記第2当接面よりも前記幅方向における外側方に位置して、前記幅方向における外側方からの荷重を受ける外端面を有し、
前記外端面は、前記奥行方向に沿って複数並べられた前記第2当接面のうち隣り合う前記第2当接面同士を繋げていることを特徴とする請求項1または2に記載の運搬装置。
【請求項4】
前記外端面は、弾性部材からなることを特徴とする請求項3に記載の運搬装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記第1当接面と前記第2当接面とが一体に形成された弾性部材からなる支持面部と、前記支持面部が取り付けられた支持杆とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の運搬装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記幅方向において離間して一対で設けられ、一方の前記支持部と他方の前記支持部との間には、運搬時における作業者の足が進入可能な空間が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被支持物品を支持した状態で設置面上を移動可能な運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の什器等(被支持物品)を一度に運ぶために、複数の被支持物品を支持した状態で設置面上を移動可能な運搬装置が用いられている。例えば、被支持物品として折り畳み椅子を折り畳んだ状態で支持し、複数の折り畳み椅子を運搬することができる運搬装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、折り畳み椅子等の積載物を運搬する整理移動台が記載されている。この整理移動台では、本体側面平鋼板の内面に床平鋼板が固定され、固定された床平鋼板の上部に床ゴムマットが固定されている。この床ゴムマットが折り畳み椅子等の積載物の滑り止めを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭53-137472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の整理移動台では、折り畳み椅子等の積載物と床ゴムマットとは上下方向においてのみ当接し、その他の方向においては互いに当接することができない。床ゴムマットによって積載物の一定の滑り止め効果は期待できるものの、その効果は床ゴムマットと積載物との摩擦の大きさに依存するため、必ずしも十分なものとはいえない。したがって、積載物を運搬する際には、積載物がぐらついたり、がたついたりする可能性がある。また、積載物がぐらついたり、がたついたりすることで、積載物同士の接触が起こり、その運搬の際に大きな音が生じたり、積載物が傷付いたりしてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、什器等の被支持物品を支持した状態で設置面上を移動可能な運搬装置であって、被支持物品を安定して支持しながら運搬することのできる運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る運搬装置は、設置面に接地する接地部と、前記接地部よりも上方に設けられた被支持物品を支持する支持部と、を備える運搬装置であって、前記支持部は、上方を向いて、前記被支持物品による上方からの荷重を受ける弾性部材からなる第1当接面と、前記第1当接面の下方において前記第1当接面と交差するように延びるとともに、前記支持部の幅方向と直交する奥行方向に対向し、前記被支持物品における前記奥行方向の両側を向く面に当接可能に構成された弾性部材からなる第2当接面と、を有している。
【0008】
この発明によれば、運搬装置は、第1当接面および第2当接面を有する支持部を備えている。第1当接面は弾性部材からなり、上方を向いて設けられ、被支持物品による上方からの荷重を受け弾性変形することができる。第2当接面は弾性部材からなり、支持部(運搬装置)の幅方向(左右方向)および幅方向と直交する奥行方向(前後方向)の少なくとも一方向において被支持物品と当接し弾性変形することができる。支持部が弾性変形可能な第1当接面に加えて、弾性変形可能な第2当接面を有しているため、被支持物品が支持部の幅方向または奥行方向に位置ずれを起こそうとしても、第2当接面が弾性変形して被支持物品の動きを吸収することができる。したがって、作業者は、被支持物品を安全かつ安定して運搬することができる。また、弾性部材からなる第1当接面および弾性部材からなる第2当接面によって、被支持物品同士の接触を緩和することができるため、その運搬の際に大きな音が生じたり、被支持物品が傷付いたりしてしまうといった事態を低減することができる。
【0009】
上記の運搬装置では、前記第2当接面は、少なくともその一部が前記幅方向における外側方を向いて設けられ、かつ平面視して、略U字状、略V字状、または略コ字状に形成されていてもよい。
この発明によれば、第2当接面は、少なくともその一部が支持部の幅方向における外側方を向いて設けられ、かつ平面視して、略U字状、略V字状、または略コ字状に形成されている。このような第2当接面を支持部が有することで、支持部は幅方向における外側方に向かって開口する凹部を有することになる。このため、作業者は、この開口を通じて、被支持物品の一部を第2当接面に当接させることができる。
【0010】
上記の運搬装置では、前記支持部は、前記第2当接面よりも前記幅方向における外側方に位置して、前記幅方向における外側方からの荷重を受ける外端面を有し、前記外端面は、前記奥行方向に沿って複数並べられた前記第2当接面のうち隣り合う前記第2当接面同士を繋げていてもよい。
この発明によれば、奥行方向に沿って複数並べられた第2当接面のうち隣り合う第2当接面同士を外端面で繋げる構成としているため、隣り合う第2当接面のうち、一方の第2当接面に当接する被支持物品と、他方の第2当接面に当接する被支持物品との距離を外端面によって確保することができる。このため、隣り合う被支持物品の互いの接触を低減することができる。
【0011】
上記の運搬装置では、前記外端面は、弾性部材からなっていてもよい。
この発明によれば、支持部は、被支持物品が当接する第2当接面よりも支持部の幅方向における外側方に位置する外端面を有している。外端面は弾性部材からなり、外端面は幅方向における外側方からの荷重を受け弾性変形することができる。このため、被支持物品を支持した支持部に、支持部の幅方向における外側方から接触体が接触した場合に、接触体からの荷重を外端面が吸収することができる。すなわち、接触体の接触によって被支持物品が傷付けられるといった事態を防ぐことができる。
【0012】
上記の運搬装置では、前記支持部は、前記第1当接面と前記第2当接面とが一体に形成された弾性部材からなる支持面部と、前記支持面部が取り付けられた支持杆とを有していてもよい。
この発明によれば、支持部は、支持杆と、支持杆とは別体である支持面部とから構成されている。このため、各部に求められる機能に応じて、各部に最適な部材を適用することができる。また、支持面部の部材を成形し易い弾性部材とすることで、複雑な形状の第1当接面および第2当接面を容易に形成することができる。
【0013】
上記の運搬装置では、前記支持部は、前記幅方向において離間して一対で設けられ、一方の前記支持部と他方の前記支持部との間には、運搬時における作業者の足が進入可能な空間が設けられていてもよい。
この発明によれば、一対の支持部の間には、所定の空間が確保されている。このため、運搬装置は、運搬時における作業者の足の運びと干渉しにくい構成となっている。したがって、作業者は、円滑に運搬装置を移動させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、什器等の被支持物品を支持した状態で設置面上を移動可能な運搬装置であって、被支持物品を安定して支持しながら運搬することのできる運搬装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る運搬装置および什器ユニットの斜視図であり、被支持物品を運搬装置が支持している様子を示している。
図2】同運搬装置の斜視図である。
図3】同運搬装置に係る支持杆と支持面部との関係を示す模式図である。
図4】同運搬装置に係る支持杆の構成を示す平面図である。
図5】同運搬装置に係る支持杆の構成を示す斜視図である。
図6】同運搬装置の側面図である。
図7】同運搬装置の平面図であり、(a)は略コ字状の第2当接面、(b)は略V字状の第2当接面、(c)は略U字状の第2当接面をそれぞれ示している。
図8】同運搬装置および同什器ユニットの使用時の作用を説明する模式図である。
図9】本発明の一実施形態の変形例1に係る運搬装置の平面図である。
図10】本発明の一実施形態の変形例2に係る運搬装置の支持面部の構成を示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態の変形例3に係る運搬装置の支持面部の構成を示す斜視図であり、(a)は第一の構成、(b)は第二の構成をそれぞれ示している。
図12】本発明の一実施形態の変形例4に係る運搬装置の支持面部の構成を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。
図13】本発明の一実施形態の変形例5に係る運搬装置の斜視図である。
図14】同運搬装置に係る支持杆および支持部連結杆の構成を示す平面図である。
図15】同運搬装置に係る支持杆の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る運搬装置および什器ユニットについて、図1から図8を参照しながら説明する。
以下の説明に用いる図面は、説明を分かり易くするために、説明の対象となる部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明に用いる図面は、説明を分かり易くするために、省略した部分がある場合がある。
また、以降の説明において、矢印Dfで示す方向を運搬装置およびその構成要素の奥行方向と称し、奥行方向Dfと直交する矢印Dhで示す方向を運搬装置およびその構成要素の幅方向と称し、奥行方向Dfおよび幅方向Dhと直交する矢印Dvで示す方向を運搬装置およびその構成要素の上下方向と称する。奥行方向Dfは、作業者が運搬装置を押して移動させる際の進行方向であり、運搬装置の前後方向でもある。幅方向Dhは、運搬装置の左右方向でもある。また、奥行方向Dfにおいて作業者が運搬装置を移動させる際に位置する側を運搬装置およびその構成要素の「後」と称し、その反対側を「前」と称することがある。
【0017】
図1は、本実施形態に係る運搬装置1および什器ユニット200の斜視図である。図1に示すように、運搬装置1は、被支持物品10を支持した状態で、設置面F上を移動可能である。図1に示す例では、被支持物品10は、幅方向Dhにおいて離間して設けられた一対の脚部10aと、一対の脚部10a同士を連結する連結部10bとを有する折り畳み椅子である。各脚部10aは、背凭れ10cと連結された第一脚杆10dと、第一脚杆10dに対して上端がヒンジ等により回転可能に連結された第二脚杆10eとを備える。また、脚部10aにおいて、第一脚杆10dには、座10fが回転可能に連結されている。連結部10bは、第二脚杆10eに連結されている。すなわち、一対の脚部10a同士は、連結部10b、背凭れ10cおよび座10fを介して互いに連結されている。
【0018】
当該折り畳み椅子は、折り畳んだ状態において、各脚部10aの第一脚杆10dおよび第二脚杆10eとが重ね合わせるように略平行に配されるとともに、座10fもその座面が背凭れ10cの背を支持する面および脚部10aと略平行に配される。また、各脚部10aは、連結部10bよりも下方に突出する突出部10gを有する。すなわち、被支持物品10である本実施形態の折り畳み椅子は、連結部10bと、一対の脚部10aにおける突出部10gとにより下方に開口する下向き略U字状に形成される下部構造10hを有しており、後述するように一対の突出部10g(突出部10gの側面)が奥行方向Dfおよび幅方向Dhに支持される部分を構成し、連結部10b(連結部10bの下面)が上下方向Dvに支持される部分を構成する。
図1に示すように、被支持物品10の下部構造10hが運搬装置1に支持され、被支持物品10と運搬装置1とによって什器ユニット200が構成されている。
【0019】
図2は、運搬装置1の斜視図である。図1および図2に示すように、運搬装置1は、前側門形フレーム2と、後側門形フレーム3と、接地部4と、支持部5とを備えている。
【0020】
前側門形フレーム2は、管状部材を略コ字状に曲げ加工することで形成されている。前側門形フレーム2は、運搬装置1の前方に設けられ、略コ字状に曲げ加工された管状部材の両端部を設置面F側に向けるようにして設けられている。
【0021】
後側門形フレーム3は、管状部材を略コ字状に曲げ加工することで形成されている。後側門形フレーム3は、運搬装置1の後方に設けられ、略コ字状に曲げ加工された管状部材の両端部を設置面F側に向けるようにして設けられている。図1および図2に示すように、後側門形フレーム3は、奥行方向Dfからみて略門形状の形状を有しており、かつ前側門形フレーム2と比べて上下方向Dvにおいてより高く立設するように設けられている。したがって、後側門形フレーム3は作業者にとって把持し易く、作業者は後側門形フレーム3をハンドル部として認識し易い。
【0022】
接地部4は、設置面Fに接地しており、運搬装置1の四隅に設けられている。接地部4は、作業者が運搬装置1を押して移動させる際に、設置面F上を転がるキャスター部である。接地部4は、連結棒4aに回転自在に取り付けられている。また、連結棒4aは、前側門形フレーム2または後側門形フレーム3の管状部材の管内に挿通され、両者は螺合または嵌合によって固定されている。
【0023】
支持部5は、接地部4よりも上方に設けられ、幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられている。また、支持部5は、奥行方向Dfにおいて前側門形フレーム2と後側門形フレーム3とによって挟まれるように設けられている。支持部5は、被支持物品10を主に支持する部分であり、支持杆6および支持面部7を有している。
また、図2に示すように、後側門形フレーム3の上下方向Dvにおける下方であって、幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられた支持部5の間には、所定の空間Sが形成されている。
【0024】
図3は、支持部5を構成する支持杆6と支持面部7との関係を示す模式図である。図3に示すように、支持杆6は、複数の支持杆孔6hを有している。また、支持面部7は、複数の支持面部孔7hを有している。支持杆孔6hおよび支持面部孔7hの相対位置を一致させて、公知のネジ部材等からなる固定部材8を両者の孔に挿通することで、支持杆6と支持面部7とは互いに固定されている。支持面部7は、支持杆6の上面、下面および幅方向Dhにおける外側方の面を覆うように支持杆6に取り付けられている。
支持杆6と支持面部7との固定方法は、上述の方法に限られず、例えば公知の接着手段によって両者を固定してもよい。この場合、支持杆6および支持面部7に孔を設ける必要がなくなるため、その製造工程を簡略化することができる。また、支持面部7の孔が無くなるため、運搬装置1の外観をよりすっきりしたものとすることができる。
なお、他の図面において、支持杆孔6h、支持面部孔7h、および固定部材8は、図面の見易さの観点から省略されている場合がある。
【0025】
図4は、支持杆6の構成を示す平面図であり、運搬装置1から支持面部7を取り外した状態を示している。図4に示すように、支持杆6は、幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられている。また、支持杆6は、奥行方向Dfにおいて前側門形フレーム2と後側門形フレーム3とによって挟まれるように設けられている。
図5は、支持杆6の構成を示す斜視図である。図5に示すように、支持杆6は、板金加工により断面視して略コ字状に形成された外板6aと、板金加工により断面視して略コ字状に形成された内板6bとを重ね合わせて形成されている。内板6bの上端部および下端部が外板6aの上端部および下端部を覆うようにして、両者は溶接等の手段により固定されている。外板6aは、支持杆6が運搬装置1に取り付けられた際に、幅方向Dhにおいて外側方を向く面であり、複数の支持杆孔6hが設けられている。内板6bは、支持杆6が運搬装置1に取り付けられた際に、幅方向Dhにおいて内側方を向く面であり、支持杆孔6hは設けられていない。つまり、上述の固定部材8は、その先端が外板6aと内板6bとによって形成された空間内に留まるように、支持杆孔6hに挿通されている。外板6aおよび内板6bを重ね合わせて支持杆6を構成することで、支持部5は、被支持物品10を支持する際の被支持物品10からの荷重に余裕を持って耐えることが可能となる。
【0026】
図4および図5に示すように、支持杆6は、直進部61と、前側門形フレーム2と繋がる斜進部62と、後側門形フレーム3と繋がる斜進部63とを有する。直進部61と、斜進部62と、斜進部63とは一体に形成されている。
直進部61は、奥行方向Dfにおいて斜進部62と斜進部63とによって挟まれており、奥行方向Dfに沿って延びている。
斜進部62は、直進部61の一端と前側門形フレーム2とを繋いでいる。斜進部62と前側門形フレーム2とは、溶接等の手段により互いに固定されている。斜進部62は、前側門形フレーム2から、奥行方向Dfよりもやや幅方向Dhにおける内側方に傾くようにして延びて直進部61の一端と繋がっている。
斜進部63は、直進部61の他端と後側門形フレーム3とを繋いでいる。斜進部63と後側門形フレーム3とは、溶接等の手段により互いに固定されている。斜進部63は、後側門形フレーム3から、奥行方向Dfよりもやや幅方向Dhにおける内側方に傾くようにして延びて直進部61の他端と繋がっている。
【0027】
図4において、線分Lは、接地部4を運搬装置1の進行方向である奥行方向Dfに向けた状態で、前方に設けられた接地部4の中心と後方に設けられた接地部4の中心とを結んだ線分である。支持杆6を構成する直進部61と、斜進部62と、斜進部63とを上述のような位置関係とすることで、図4に示すように、直進部61は、線分Lよりも幅方向Dhにおいて内側方に位置している。このため、支持杆6に支持面部7を取り付けた際に、支持面部7が運搬装置1の幅方向Dhにおける外側方に突出しないように構成することができる(後述する図7(a)参照)。したがって、作業者は運搬装置1の幅を把握し易く、狭い場所等においても円滑に運搬装置1を移動させることができる。また、支持面部7が運搬装置1の幅方向Dhにおける外側方に突出しないので、運搬装置1の外観をよりすっきりしたものとすることができる。
【0028】
図6は、運搬装置1の側面図である。また、図7(a)は、運搬装置1の平面図である。図6および図7(a)に示すように、支持面部7は、第1当接面71と、第2当接面72と、外端面73とを有している。第1当接面71と、第2当接面72と、外端面73とは一体に形成され、支持面部7は弾性部材から構成されている。弾性部材としては、公知の弾性部材を用いることができる。例えば、弾性部材として不織布を用いると、成形性に優れているため好ましい。
【0029】
第1当接面71は、上方を向いて設けられ、被支持物品10による上方からの荷重を受ける。図6および図7(a)に示すように、第1当接面71は、前側門形フレーム2と後側門形フレーム3との間に連続して設けられている。
【0030】
第2当接面72は、上下方向Dvにおいて第1当接面71と交差するように第1当接面71の下方に設けられている。図6および図7(a)に示すように、第2当接面72は、少なくともその一部が幅方向Dhにおける外側方を向いて設けられている。また、第2当接面72は、上下方向Dvに沿って所定の長さで延在している。
【0031】
図7(a)に示す構成例においては、第2当接面72は、第1面72aと、第2面72bと、第3面72cとから構成されている。第1面72aは、奥行方向Dfにおける前方(前側門形フレーム2側)を向いて設けられている。第2面72bは、幅方向Dhにおける外側方を向いて設けられている。第3面72cは、奥行方向Dfにおける後方(後側門形フレーム3側)を向いて設けられている。第1面72aと第3面72cとは互いに対面するように設けられている。第2面72bは、第1面72aと第3面72cとの間に位置し、第1面72aと第3面72cとを繋いでいる。このような第1面72a、第2面72b、および第3面72cから構成される第2当接面72は、図7(a)に示すように平面視して略コ字状に形成されている。すなわち、第2当接面72を有する支持面部7(支持部5)は、幅方向Dhにおける外側方に向かって開口する凹部11を有している。
【0032】
図7(a)に示すように、運搬装置1に被支持物品10を収納する際には、被支持物品10の脚部10a(突出部10g)が凹部11内に収納される。このため、第2当接面72は、幅方向Dhおよび奥行方向Dfにおいて、被支持物品10の脚部10a(突出部10gの側面)と当接可能となっている。また、図1に示すように、上下方向Dvにおいて、被支持物品10の連結部10b(連結部10bの下面)が第1当接面71と当接し、第1当接面71は、連結部10bからの荷重を受ける。
【0033】
複数の被支持物品10を支持するために、支持部5の凹部11は奥行方向Dfに沿って複数並べて設けられている。複数の凹部11は、複数の第2当接面72を並べて設け、隣り合う第2当接面72同士を外端面73によって繋げることで形成されている。外端面73は、奥行方向Dfに沿って複数並べられた第2当接面72のうち隣り合う第2当接面72同士を繋げている。外端面73は、第2当接面72よりも幅方向Dhにおける外側方に位置するように設けられている。外端面73は、幅方向Dhにおける外側方から接触体が接触した際に、接触体からの荷重を受ける面である。
【0034】
なお、第2当接面72は、平面視して略コ字状の形状には限られない。例えば、図7(b)に示すように、第2当接面72を第1面72aと第3面72cのみから構成し、第2当接面72を平面視して略V字状の形状としてもよい。この場合、隣り合う第2当接面72同士を直接繋げる構成とし、第2当接面72同士が繋がって形成される稜部73rを外端面73の代わりとすることもできる。もちろん、第2当接面72が平面視して略V字状の場合であっても、第2当接面72同士を外端面73で繋げる構成としてもよい。また、例えば、図7(c)に示すように、第2当接面72を構成する第1面72aと、第2面72bと、第3面72cとを連続した曲面を形成するように繋げることで、第2当接面72を平面視して略U字状の形状としてもよい。
【0035】
また、支持面部7は、第1当接面71と、第2当接面72と、外端面73とが一体に形成された弾性部材から構成されている場合には限られない。例えば、支持面部7は、各面が別体として形成された構成としてもよい。高剛性の金属材料等で支持面部7のベース部材を形成し、当該ベース部材に弾性部材からなるシート状の部材を適宜貼り付けることで各面を形成してもよい。
また、第2当接面72は、幅方向Dhおよび奥行方向Dfの両方向において、被支持物品10の脚部10a(突出部10g)と当接可能に構成されている場合には限られない。第2当接面72を弾性部材で形成し、幅方向Dhおよび奥行方向Dfの少なくとも一方向において、被支持物品10の脚部10a(突出部10g)と当接可能に構成されてもよい。
【0036】
以上のように構成された運搬装置1の運搬時の作用について説明する。図8は、運搬装置1および什器ユニット200の使用時の作用を説明する模式図である。図8に示すように、作業者100は、後側門形フレーム3に手を掛けて、運搬装置1を押しながら設置面F上を移動させている。
被支持物品10(脚部10a)は、幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられた支持部5によって支持されている。一対の支持部5の間には、公知の台座等の構成要素は設けられておらず、作業者100の足が進入することができる空間Sが設けられている。このため、作業者100は、運搬装置1によって被支持物品10を運搬する際には、後側門形フレーム3に手を掛けて運搬装置1を押しつつ、上述の空間Sに足を片足ずつ交互に進入させながら進むことができる。
また、図8に示すように、被支持物品10は、連結部10bと、一対の突出部10gからなる下部構造10hを有しており、連結部10b(連結部10bの下面)と第1当接面71とが当接し、突出部10g(突出部10gの側面)と第2当接面72とが当接することで、被支持物品10は運搬装置1に支持されている。このようにして、運搬装置1と、運搬装置1に支持された被支持物品10とによって什器ユニット200が構成されている。
なお、被支持物品10からの荷重に対する強度を高める観点から、後側門形フレーム3の上下方向Dvに延びる一対のフレームの間には連結杆を架設する場合がある。この場合であっても、当該連結杆の上下方向Dvにおける位置を作業者100の足の進入の妨げにならない位置とすることで、運搬装置1は作業者100の足が進入可能な空間Sを確保することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の運搬装置1によれば、支持部5(支持面部7)は、弾性部材からなる第1当接面71と、弾性部材からなる第2当接面72とを有している。第1当接面71は、上方を向いて設けられ、被支持物品10による上方からの荷重を受け弾性変形することができる。第2当接面72は、幅方向Dhおよび奥行方向Dfの少なくとも一方向において被支持物品10の脚部10a(突出部10g)と当接し弾性変形することができる。支持部5が弾性変形可能な第1当接面71に加えて、弾性変形可能な第2当接面72を有しているため、被支持物品10が幅方向Dhまたは奥行方向Dfに位置ずれを起こそうとしても、第2当接面72が弾性変形して被支持物品10の動きを吸収することができる。したがって、作業者は、被支持物品10を安全かつ安定して運搬することができる。
また、弾性部材からなる第1当接面71および弾性部材からなる第2当接面72によって、被支持物品10同士の接触を緩和することができるため、その運搬の際に大きな音が生じたり、被支持物品10が傷付いたりしてしまうといった事態を低減することができる。
【0038】
また、本実施形態の運搬装置1によれば、第2当接面72は、幅方向Dhにおける外側方を向いて設けられ、かつ平面視して、略U字状、略V字状、または略コ字状に形成されている。このような第2当接面72を支持部5が有することで、支持部5は外側方に向かって開口する凹部11を有している。このため、作業者100は、この開口を通じて、被支持物品10の脚部10a(突出部10g)を第2当接面72に当接させることができる。
【0039】
また、本実施形態の運搬装置1によれば、支持部5(支持面部7)は、第2当接面72よりも幅方向Dhにおける外側方に位置して、幅方向Dhにおける外側方からの荷重を受ける外端面73を有している。外端面73は、奥行方向Dfに沿って複数並べられた第2当接面72のうち隣り合う第2当接面72同士を繋げている。このため、隣り合う第2当接面72のうち、一方の第2当接面72に当接する被支持物品10と、他方の第2当接面72に当接する被支持物品10との距離を外端面73によって確保することができ、隣り合う被支持物品10の互いの接触を低減することができる。
【0040】
また、本実施形態の運搬装置1によれば、外端面73は弾性部材からなり、外端面73は幅方向Dhにおける外側方からの荷重を受け弾性変形することができる。このため、幅方向Dhにおける外側方から接触体が接触した場合に、接触体からの荷重を外端面73が吸収することができる。すなわち、接触体の接触によって被支持物品10が傷付けられるといった事態を防ぐことができる。
【0041】
また、本実施形態の運搬装置1によれば、支持部5は、支持杆6および支持面部7から構成され、支持杆6と支持面部7とは別体となっている。このため、各部に求められる機能に応じて、各部に最適な部材を適用することができる。また、支持面部7の部材を成形し易い部材とすることで、複雑な形状の第1当接面71および第2当接面72を容易に形成することができる。
【0042】
また、本実施形態の運搬装置1によれば、一対の支持部5の間には、所定の空間Sが確保されている。このため、運搬装置1は、作業者100の足の運びと干渉しにくい構成となっている。したがって、作業者100は、円滑に運搬装置1を移動させることができる。
【0043】
(変形例1)
次に、本発明の一実施形態の変形例1に係る運搬装置について、図9を参照しながら説明する。図9は、変形例1に係る運搬装置1Aの平面図である。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
図9に示すように、本変形例に係る運搬装置1Aは、支持杆6Aを有している。支持杆6Aは、前側門形フレーム2と後側門形フレーム3とを繋ぐように奥行方向Dfに沿って延びる直進部61Aから構成されている。上記の実施形態とは異なり、本変形例に係る支持杆6Aは、斜進部を有しておらず、直進部61Aのみから構成されている。
また、図9に示すように、直進部61Aは、線分L上に形成されている。このため、支持杆6Aに取り付けられた支持面部7は、運搬装置1Aの幅方向Dhにおける外側方に突出している。
【0045】
本変形例の運搬装置1Aによれば、支持杆6Aが直進部61Aのみで構成されているため、斜進部等を形成するための加工が不要となり、その製造工程を簡略化することができる。
また、本変形例の運搬装置1Aによれば、外端面73は、幅方向Dhにおいて線分Lよりも大きく外側方に位置している。このため、幅方向Dhにおける外側方から接触体が接近した際に、外端面73が接触体と接触することで、接地部4と接触体との接触等を防ぐことができる。
その他の構成は、上記の実施形態の運搬装置1と同様である。このため、本変形例の運搬装置1Aにおいても、上記の実施形態の運搬装置1と同様の効果を奏する。
【0046】
(変形例2)
次に、本発明の一実施形態の変形例2に係る運搬装置の支持面部について、図10を参照しながら説明する。図10は、変形例2に係る運搬装置の支持面部7Aの構成を示す斜視図である。
【0047】
図10に示すように、支持面部7Aは、第1当接面71Aと、第2当接面72Aと、外端面73Aとを有している。第1当接面71Aと、第2当接面72Aと、外端面73Aとは一体に形成され、支持面部7Aは弾性部材から構成されている。弾性部材としては、不織布等を用いることができる。
【0048】
第1当接面71Aは、上方を向いて設けられ、被支持物品による上方からの荷重を受ける。第2当接面72Aは、上下方向Dvにおいて第1当接面71Aと交差するように第1当接面71Aの下方に設けられている。図10に示すように、第2当接面72Aは、少なくともその一部が幅方向Dhにおける外側方を向いて設けられている。第2当接面72Aを有する支持面部7Aは、幅方向Dhにおいて外側方に向かって開口する凹部11Aを有している。
【0049】
複数の脚部10aを支持するために、支持面部7Aには凹部11Aが奥行方向Dfに沿って複数並べて設けられている。複数の凹部11Aは、複数の第2当接面72Aを並べて設け、隣り合う第2当接面72A同士を外端面73Aによって繋げることで形成されている。
さらに、本変形例に係る支持面部7Aは、外端面73Aから奥行方向Dfに沿って延出した延出面74を有している。延出面74は、弾性部材で形成され、支持面部7Aと一体または別体で形成されている。奥行方向Dfにおいて隣り合う外端面73Aのそれぞれから延出面74が延出していることで、図10に示すように、延出面74の間にはスリット部75が形成されている。
【0050】
本変形例の支持面部7Aによれば、脚部10aが収納される凹部11Aを延出面74が覆い隠している。このため、運搬装置の外観をよりすっきりしたものとすることができる。
また、本変形例の支持面部7Aによれば、作業者は、スリット部75を通じて、脚部10aを第2当接面72Aに当接させることができる。
その他の構成は、上記の実施形態の運搬装置1と同様である。このため、本変形例の支持面部7Aを備える運搬装置においても、上記の実施形態の運搬装置1と同様の効果を奏する。
【0051】
なお、図10に示す構成例においては、第2当接面72Aは、支持面部7Aの上端部および下端部に設けられ、その間には設けられていない構成となっているが、本変形例は当該構成には限られない。例えば、上記の実施形態に係る第2当接面72(凹部11)を覆い隠し、かつスリット部75を形成するように延出面74を設ける構成としてもよい。
【0052】
(変形例3)
次に、本発明の一実施形態の変形例3に係る運搬装置の支持面部について、図11を参照しながら説明する。図11(a)は、変形例3に係る運搬装置の支持面部9の第一の構成を示す斜視図である。
【0053】
図11(a)に示すように、支持面部9の第一の構成は、第1当接面91と、第2当接面92と、外端面93とを有している。第1当接面91と、第2当接面92と、外端面93とは一体に形成され、支持面部9は弾性部材から構成されている。弾性部材としては、不織布等を用いることができる。
【0054】
第1当接面91は、上方を向いて設けられ、被支持物品による上方からの荷重を受ける。第2当接面92は、上下方向Dvにおいて第1当接面91と交差するように第1当接面91の上方に設けられている。
図11(a)に示す第一の構成においては、第2当接面92は、第1面92aと、第2面92bと、第3面92cとから構成されている。第1面92aは、奥行方向Dfにおける前方を向いて設けられている。第2面92bは、幅方向Dhにおける外側方を向いて設けられている。第3面92cは、奥行方向Dfにおける後方を向いて設けられている。第1面92aと第3面92cとは互いに対面するように設けられている。第2面92bは、第1面92aと第3面92cとの間に位置し、第1面92aと第3面92cとを繋いでいる。
【0055】
外端面93は、奥行方向Dfに沿って複数並べられた第2当接面92のうち隣り合う第2当接面92同士を繋げている。外端面93は、第2当接面92よりも幅方向Dhにおける外側方に位置するように設けられている。
【0056】
図11(a)に示す第一の構成においては、支持面部9の第2当接面92は、上下方向Dvにおいて第1当接面91と交差するように第1当接面91の上方に設けられている。このような構成においても、第1当接面91は、上方を向いて設けられ、被支持物品による上方からの荷重を受け弾性変形することができる。第2当接面92は、幅方向Dhおよび奥行方向Dfの少なくとも一方向において被支持物品と当接し弾性変形することができる。支持面部9が弾性変形可能な第1当接面91に加えて、弾性変形可能な第2当接面92を有しているため、被支持物品が幅方向Dhまたは奥行方向Dfに位置ずれを起こそうとしても、第2当接面92が弾性変形して被支持物品の動きを吸収することができる。
【0057】
図11(b)は、変形例3に係る運搬装置の支持面部9の第二の構成を示す斜視図である。
図11(b)に示す第二の構成においても、図11(a)に示す第一の構成と同様に、第2当接面92は、上下方向Dvにおいて第1当接面91と交差するように第1当接面91の上方に設けられている。
図11(b)に示す第二の構成においては、第2当接面92は、第1面92aと第3面92cのみから構成されている。より具体的には、第2当接面92は、第1当接面91を間に挟んで互いに離間して設けられた第1面92aおよび第3面92cによって構成されている。このような構成においても、第1当接面91は、上方を向いて設けられ、被支持物品による上方からの荷重を受け弾性変形することができる。第2当接面92は、奥行方向Dfにおいて被支持物品と当接し弾性変形することができる。支持面部9が弾性変形可能な第1当接面91に加えて、弾性変形可能な第2当接面92を有しているため、被支持物品が奥行方向Dfに位置ずれを起こそうとしても、第2当接面92が弾性変形して被支持物品の動きを吸収することができる。
また、図11(b)に示す第二の構成においては、第2面92bを設けていないため、作業者は、運搬装置の幅方向Dhにおける外側方から滑り込ませるようにして被支持物品を支持面部9に挿入することができる。
なお、本変形例に係る支持面部9は、第1当接面91と、第2当接面92と、外端面93とが一体に形成された弾性部材から構成されている場合には限られない。例えば、支持面部9は、各面が別体として形成された構成としてもよい。高剛性の金属材料等で支持面部9のベース部材を形成し、当該ベース部材に弾性部材からなるシート状の部材を適宜貼り付けることで各面を形成してもよい。
【0058】
(変形例4)
次に、本発明の一実施形態の変形例4に係る運搬装置の支持面部について、図12を参照しながら説明する。図12(a)は、変形例4に係る運搬装置の支持面部19の構成を示す斜視図である。図12(b)は、変形例4に係る運搬装置の支持面部19の構成を示す奥行方向Dfにおける断面図である。
図12(a)および図12(b)に示すように、支持面部19は、第1当接面191と、第2当接面192と、外端面193とを有している。第1当接面191と、第2当接面192と、外端面193とは一体に形成され、支持面部19は弾性部材から構成されている。弾性部材としては、不織布等を用いることができる。
【0059】
図12(a)および図12(b)に示すように、本変形例に係る支持面部19には、挿入孔19Aが複数設けられている。そして、挿入孔19Aの底面が第1当接面191を構成し、挿入孔19Aの内周面が第2当接面192を構成している。
第1当接面191は、上方を向いて設けられ、被支持物品による上方からの荷重を受ける。第2当接面192は、上下方向Dvにおいて第1当接面191と交差するように第1当接面191の上方に設けられている。外端面193は、支持面部19の幅方向Dhにおける外側方の面を構成し、奥行方向Dfに沿って連続して設けられている。
【0060】
本変形例の支持面部19によれば、支持面部19の第2当接面192(挿入孔19Aの内周面)は、上下方向Dvにおいて第1当接面191(挿入孔19Aの底面)と交差するように第1当接面191の上方に設けられている。このような構成においても、第1当接面191は、上方を向いて設けられ、被支持物品による上方からの荷重を受け弾性変形することができる。第2当接面192は、幅方向Dhおよび奥行方向Dfの少なくとも一方向において被支持物品と当接し弾性変形することができる。支持面部19が弾性変形可能な第1当接面191に加えて、弾性変形可能な第2当接面192を有しているため、被支持物品が幅方向Dhまたは奥行方向Dfに位置ずれを起こそうとしても、第2当接面192が弾性変形して被支持物品の動きを吸収することができる。
なお、本変形例に係る支持面部19は、第1当接面191と、第2当接面192と、外端面193とが一体に形成された弾性部材から構成されている場合には限られない。例えば、支持面部19は、各面が別体として形成された構成としてもよい。高剛性の金属材料等で支持面部19のベース部材を形成し、当該ベース部材に弾性部材からなるシート状の部材を適宜貼り付けることで各面を形成してもよい。
【0061】
(変形例5)
次に、本発明の一実施形態の変形例5に係る運搬装置について、図13から図15を参照しながら説明する。図13は、変形例5に係る運搬装置1Bの斜視図である。
図13に示すように、運搬装置1Bは、支持杆16および支持面部7を有する支持部15と、一対の支持部15の間に設けられた支持部連結杆17とを備えている。その他の構成は、上記の実施形態の運搬装置1と同様である。
【0062】
図14は、運搬装置1Bに係る支持杆16および支持部連結杆17の構成を示す平面図であり、運搬装置1Bから支持面部7を取り外した状態を示している。図13および図14に示すように、支持杆16は、幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられている。また、支持杆16は、奥行方向Dfにおいて前側門形フレーム2と後側門形フレーム3とによって挟まれるように設けられている。
【0063】
図15は、運搬装置1Bに係る支持杆16の構成を示す斜視図である。図15に示すように、支持杆16は、板金加工により断面視して略コ字状に形成された支持板16bから形成されている。本変形例に係る支持杆16は、一枚の板金(支持板16b)から形成されている(一重構造で形成されている)という点で、二枚の板金(外板6aおよび内板6b)を重ね合わせて形成されている(二重構造で形成されている)上記の実施形態に係る支持杆6とは異なっている。支持板16bには、幅方向Dhにおける外側方へと折曲された折曲部160が形成され、折曲部160が支持板16bの上端部および下端部を構成している。支持板16bに折曲部160が形成されているため、支持板16bからなる支持杆16の捩れに対する剛性が増強されている。
支持板16bの上端部において、折曲部160の幅方向Dhにおける外側方の端部から上下方向Dvにおける下方に向かって突出する突出部164が複数設けられ、各突出部164には、支持杆孔16hが設けられている。また同様にして、支持板16bの下端部において、折曲部160の幅方向Dhにおける外側方の端部から上下方向Dvにおける上方に向かって突出する突出部164が複数設けられ、各突出部164には、支持杆孔16hが設けられている。
図15に示すように、支持板16bには、支持板16bの幅方向Dhにおける外側方を向く外側面165と、上下方向Dvにおいて対面するように一対で設けられた折曲部160とによって部分的に閉塞された空間16Sが形成されている。空間16Sは、少なくとも幅方向Dhにおける外側方に向けて開口している。
【0064】
支持杆孔16hは、上記の実施形態に係る支持杆孔6hに対応する孔である。図3に示す支持杆孔6hと、支持面部孔7hと、固定部材8との位置関係と同様に、支持杆孔16hおよび支持面部孔7hの相対位置を一致させて、固定部材8を両者の孔に挿通することで、支持杆16と支持面部7とは互いに固定されている。支持面部7は、支持杆16の上面、下面および幅方向Dhにおける外側方の面を覆うように支持杆16に取り付けられている。
支持杆16と支持面部7との固定方法は、上述の方法に限られず、例えば公知の接着手段によって両者を固定してもよい。この場合、支持杆16および支持面部7に孔を設ける必要がなくなるため、その製造工程を簡略化することができる。また、支持面部7の孔が無くなるため、運搬装置1Bの外観をよりすっきりしたものとすることができる。
【0065】
図14および図15に示すように、支持杆16は、直進部161と、前側門形フレーム2と繋がる斜進部162と、後側門形フレーム3と繋がる斜進部163とを有する。直進部161と、斜進部162と、斜進部163とは一体に形成されている。
直進部161は、奥行方向Dfにおいて斜進部162と斜進部163とによって挟まれており、奥行方向Dfに沿って延びている。
斜進部162は、直進部161の一端と前側門形フレーム2とを繋いでいる。斜進部162と前側門形フレーム2とは、溶接等の手段により互いに固定されている。斜進部162は、前側門形フレーム2から、奥行方向Dfよりもやや幅方向Dhにおける内側方に傾くようにして延びて直進部161の一端と繋がっている。
斜進部163は、直進部161の他端と後側門形フレーム3とを繋いでいる。斜進部163と後側門形フレーム3とは、溶接等の手段により互いに固定されている。斜進部163は、後側門形フレーム3から、奥行方向Dfよりもやや幅方向Dhにおける内側方に傾くようにして延びて直進部161の他端と繋がっている。
本変形例においても、上記の実施形態と同様に、直進部161は、線分Lよりも幅方向Dhにおいて内側方に位置しているため、支持杆16に支持面部7を取り付けた際に、支持面部7が運搬装置1Bの幅方向Dhにおける外側方に突出しないように構成することができる。
また、本変形例においては、上述の折曲部160は、直進部161のみならず斜進部162および斜進部163においても形成されている。このため、支持板16bからなる支持杆16の捩れに対する剛性が全体的に増強されている。
【0066】
支持部連結杆17は、幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられた支持部15(支持杆16)同士を連結している。
図13および図14に示すように、支持部連結杆17は、運搬装置1Bの奥行方向Dfにおける中央付近であって、支持杆16の上下方向Dvにおける下端付近に位置して設けられている。図13に示すように、後側門形フレーム3の上下方向Dvにおける下方であって、幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられた支持部15の間には、所定の空間Sが形成されている。空間Sの奥行方向Dfにおける前方には支持部連結杆17が設けられている。作業者は運搬装置1Bを移動させる際に、空間Sに足を片足ずつ交互に進入させながら進むことができる。
支持部連結杆17は、鉄等の金属製のパイプ等から形成されている。支持部連結杆17の一端は、一対に設けられた支持杆16の一方の支持杆16に溶接等の手段で固定されている。同様にして、支持部連結杆17の他端は、他方の支持杆16に溶接等の手段で固定されている。
【0067】
支持部連結杆17の支持杆16への固定作業は、支持板16bの幅方向Dhにおける外側方から空間16Sにおいて行うことができる。つまり、固定作業を行う者は、支持板16bの外側面165と対面するようにして、少なくとも幅方向Dhにおける外側方に向けて開口した空間16S内にアクセスすることで、支持部連結杆17の支持杆16への固定を行うことができる。
例えば、空間16Sにおける外側面165に溶接用の治具を臨ませて、支持杆16と支持部連結杆17の一端とを溶接により溶着させてもよい。また、ボルト等の固定部材を支持板16bの外側面165に設けられた挿通孔から支持部連結杆17の一端に向けて螺入することで支持杆16と支持部連結杆17とを互いに固定させてもよい。また、ボルト等の固定部材を支持板16bの外側面165に設けられた挿通孔から支持部連結杆17の一端に向けて螺入して両者を固定した上で、さらに空間16Sにおける外側面165に溶接用の治具を臨ませて、支持杆16と支持部連結杆17の一端とを溶接により溶着させてもよい。
支持部連結杆17の支持杆16への固定作業は、作業者が支持板16bの外側面165と対面するようにして、少なくとも幅方向Dhにおける外側方に向けて開口した空間16S内にアクセスすることで行うことができる。このため、固定作業に必要となる作業スペースを十分に確保することができ、支持部連結杆17の支持杆16への固定作業が容易となる。
また、支持部連結杆17の支持杆16への固定は、支持板16bの外側面165側で行われるため、固定に伴う溶接痕等の固定痕は主に支持板16bの外側面165上に形成される。支持板16bの外側面165は、支持面部7が取り付けられることによって遮蔽される面である。従って、完成した運搬装置1Bにおいては、上述の固定痕は外観上にほとんど表れないため、運搬装置1Bの外観を良化することができる。
【0068】
本変形例の運搬装置1Bによれば、支持部15を構成する支持杆16は支持板16bのみから構成される一重構造となっている。また、幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられた支持部15(支持杆16)同士を支持部連結杆17が連結している。このため、支持杆16を支持板16bの一重構造としても、一対の支持杆16を支持部連結杆17が連結することで、支持部15は、被支持物品を支持する際の被支持物品からの荷重に余裕を持って耐えることが可能となる。
また、本変形例の運搬装置1Bによれば、支持部連結杆17は、運搬装置1Bの奥行方向Dfにおける中央付近に位置して設けられているため、運搬装置1Bは作業者の足が進入可能な空間Sを確保することができる。
その他の構成は、上記の実施形態の運搬装置1と同様である。このため、本変形例の運搬装置1Bにおいても、上記の実施形態の運搬装置1と同様の効果を奏する。
【0069】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、実施形態および変形例で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、いうまでもない。
【0070】
上記の実施形態では、作業者が後側門形フレーム3をハンドル部として認識し易い例を説明したが、前側門形フレーム2も作業者がハンドル部として用い易い構成としてもよい。この場合、前側門形フレーム2は、上下方向Dvにおいて後側門形フレーム3と同じ高さを有するように形成すればよい。作業者は、運搬装置1の進行方向を180度変えるような方向変換を自在に行うことができる。
【0071】
また、上記の実施形態では、被支持物品10として折り畳み椅子を例に挙げて説明したが、一対の支持部5の幅方向Dhにおける離間距離や、第1当接面71および第2当接面72の表面積等を適宜設定して、運搬装置1は、被支持物品10として折り畳み椅子以外の机等の什器を支持して運搬することもできる。
【0072】
また、上記の実施形態および変形例では、支持部は幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられている例を説明したが、幅方向Dhにおいて連続した一体物として構成してもよい。この場合に、支持部を構成する支持杆は幅方向Dhにおいて離間して一対で設けられ、支持部を構成する支持面部のみを幅方向Dhにおいて連続した一体物として構成することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1、1A、1B 運搬装置
2 前側門形フレーム
3 後側門形フレーム
4 接地部
5、15 支持部
6、6A、16 支持杆
6a 外板
6b 内板
7、7A、9、19 支持面部
8 固定部材
10 被支持物品
11、11A 凹部
16b 支持板
17 支持部連結杆
19A 挿入孔
61、61A、161 直進部
62、63、162、163 斜進部
71、71A、91、191 第1当接面
72、72A、92、192 第2当接面
73、73A、93、193 外端面
74 延出面
75 スリット部
100 作業者
200 什器ユニット
Df 奥行方向
Dh 幅方向
Dv 上下方向
F 設置面
L 線分
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15