(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
B41M 5/333 20060101AFI20220203BHJP
C07C 275/32 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B41M5/333 220
C07C275/32 CSP
(21)【出願番号】P 2017214867
(22)【出願日】2017-11-07
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀 駿介
(72)【発明者】
【氏名】廣川 翔麻
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-073586(JP,A)
【文献】特開昭61-180776(JP,A)
【文献】特開昭61-017573(JP,A)
【文献】特開昭60-086166(JP,A)
【文献】特開昭59-093754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/323-5/337
C07C 275/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(2)乃至(4)で表される化合物から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする感熱記録材料。
【化1】
【請求項2】
請求項1に記載の感熱記録材料を含む感熱記録層。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の感熱記録材料又は感熱記録層を含む感熱記録紙。
【請求項4】
下記式(4)で表される化合物。
【化2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発色感度が良好で、かつ地肌が耐熱性に優れた感熱記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は、一般にロイコ染料とフェノール性化合物等の顕色剤とをそれぞれ別個に微粒子状に分散化した後、両者を混合し、これに結合剤、増感剤、充填剤、滑剤等の添加剤を添加して得られた塗工液を、紙、フィルム、合成紙等に塗布したもので、加熱によりロイコ染料と顕色剤の一方又は両者が溶融、接触して起こる化学反応により発色記録を得るものである。このような感熱記録材料を発色するためには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられる。この感熱記録法は他の記録法に比較して、(1)記録時に騒音が出ない、(2)現像、定着の必要がない、(3)メンテナンスフリーである、(4)機械が比較的安価である等の特徴により、ファクシミリ分野、コンピューターのアウトプット、電卓などのプリンター分野、医療計測用のレコーダー分野、自動券売機分野、感熱記録型ラベル分野等に広く用いられている。
【0003】
近年、感熱記録材料の使用用途が拡大すると共に、より生産性を向上させるため高速記録に対する要求が一段と高くなり、高速記録に十分対応できる感熱記録材料の開発が強く望まれている。この場合、融点が低く、融解熱の小さい顕色剤が必要だが、この性質は製造時、使用時あるいは保管時における感熱記録材料の未記録(未発色)部(地肌)の劣化(地肌かぶり)が起こりやすくなることから、高い白色度だけでなく安定性の向上も強く望まれている。
【0004】
一般にフェノール性水酸基を有する顕色剤は顕色能が高く、中でもビスフェノール系顕色剤は、発色濃度の高さから、例えば特許文献1に示される2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノールA)及び特許文献2に示される4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)をはじめ、数多く報告されている。しかし、これらは地肌の劣化(地肌かぶり)等の欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第3539375号明細書
【文献】特開昭57-11088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の従来技術の欠点を解決することにあり、発色感度が良好で地肌が熱に対して高い安定性を示す感熱記録材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、顕色剤として下記一般式(1)で表される特定の化合物を感熱記録材料に用いたところ、発色感度が良好で、かつ地肌が耐熱性に優れることを新たに見出し、本発明を完成させたものである。
【0008】
即ち本発明は、
(1)下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする感熱記録材料、
【化1】
[式(1)中、Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数10以下の2価の飽和炭化水素基である。]
(2)下記一般式(2)乃至(4)で表される化合物から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする感熱記録材料、
【化2】
(3)(1)又は(2)に記載の感熱記録材料を含む感熱記録層、
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の感熱記録材料又は感熱記録層を含む感熱記録紙、
(5)下記式(4)で表される化合物、
【化3】
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、顕色剤として上記一般式(1)で表される特定の化合物を用いることで、発色感度が良好で地肌が熱に対して高い安定性を示す感熱記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を詳細に説明する。
本発明は、通常無色ないし淡色の発色性化合物と、上記一般式(1)で表される特定の化合物を用い、必要に応じて、以下に示すその他の顕色剤や増感剤、保存性向上剤、さらには結合剤や充填剤、その他の添加剤等を含有する感熱記録材料に関する。
【0011】
一般式(1)におけるAは、酸素原子や窒素原子、硫黄原子、リン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい直鎖又は分岐鎖のC1~C10飽和炭化水素基である。
【0012】
直鎖の飽和炭化水素基のAとしては、非置換のC1~C10アルキレン基であり、中でもC1~C8アルキレン基が好ましく、C1~C4アルキレン基が特に好ましい。その具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、等は挙げられる。
【0013】
分岐鎖の飽和炭化水素基としてのAは、置換基を有するC1~C10アルキレン基であり、当該置換基としては例えば、C1~C8アルキル基等が挙げられ、その具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
【0014】
ヘテロ原子を含む飽和炭化水素基としてのAとしては、例えば下記一般式(5)で表される連結基が挙げられる。一般式(5)のA
1及びA
2はそれぞれC1~C9アルキレン基を表し、Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子等のヘテロ原子を表す。ただし、A
1とA
2の合計は10以下である。
【化4】
【0015】
本発明における化合物の具体例を、下表1-1及び表1-2に挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
【0017】
【0018】
次に、本発明に用いられる化合物の製造方法について説明する。
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、例えば表1に記載の化合物番号1(2)はイソシアン酸フェニル(1-1)1モルに対してアミノアルコール(1-2)2モルを反応させることにより容易に製造できる。
【化5】
【0019】
上記の製造工程においては、必要により反応を促進させるために塩基を用いることができ、用いられる塩基の具体例としては、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。
【0020】
上記の製造工程における反応温度は通常0℃~100℃であり、好ましくは50℃~100℃であり、副生成物の生成が少なく、円滑に反応が行われる。
【0021】
上記の製造工程で用いられる溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドン等のアミド化合物;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメチレングリコールジメチルエーテル、及びジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;スルホラン等のスルホン化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド化合物等が挙げられ、これらは混合して使用してもよい。
【0022】
本発明における感熱記録材料を形成するにあたり、発色性化合物は通常1~50質量%、好ましくは5~30質量%、上記一般式(1)で表される化合物は通常、1~70質量%、好ましくは10~50質量%、増感剤は通常1~80質量%、保存性向上剤は通常0~30質量%、結合剤は通常1~90質量%、充填剤は通常0~80質量%、その他の滑剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤は各々任意の割合で、例えば各々通常0~30質量%使用される(質量%は感熱記録材料中に占める各成分の質量比)。本発明の感熱記録材料においては、前記成分以外のそれ自身公知の顕色剤、増感剤又はその他の添加剤を併用しても良い。
【0023】
本発明に用いられる発色性化合物は、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられるものであればよく、特に制限されない。用いられる発色性化合物としては、例えばフルオラン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スピロ系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、ラクタム系化合物、フルオレン系化合物が挙げられ、フルオラン系化合物が好ましい。
【0024】
フルオラン系化合物の具体例としては、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-[N-エチル-N-(3-エトキシプロピル)アミノ]-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-ヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-フルオロアニリノ)フルオラン、3-[N-エチル-N-(p-トリル)アミノ]-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-トルイジノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(3,4-ジクロロアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-エトキシエチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-オクチルフルオラン、3-[N-エチル-N-(p-トリル)アミノ]-6-メチル-7-フェネチルフルオラン等が挙げられ、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランが好ましい。
【0025】
トリアリールメタン系化合物の具体例としては、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン又はCVL)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(1,2-ジメチルアミノインドール-3-イル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-フェニルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1,2-ジメチルインドール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(1,2-ジメチルインドール-3-イル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(9-エチルカルバゾール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド、3,3-(2-フェニルインドール-3-イル)-5-ジメチルアミノフタリド、3-p-ジメチルアミノフェニル-3-(1-メチルピロール-2-イル)-6-ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
【0026】
スピロ系化合物の具体例としては、3-メチルスピロジナフトピラン、3-エチルスピロジナフトピラン、3,3’-ジクロロスピロジナフトピラン、3-ベンジルスピロジナフトピラン、3-プロピルスピロベンゾピラン、3-メチルナフト-(3-メトキシベンゾ)スピロピラン、1,3,3-トリメチル-6-ニトロ-8’-メトキシスピロ(インドリン-2,2’-ベンゾピラン)等;ジフェニルメタン系化合物の具体例としては、例えばN-ハロフェニル-ロイコオーラミン、4,4-ビス-ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N-2,4,5-トリクロロフェニルロイコオーラミン等;チアジン系化合物の具体例としては、例えばベンゾイルロイコメチレンブルー、p-ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等;ラクタム系化合物の具体例としては、例えばローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB-p-クロロアニリノラクタム等;フルオレン系化合物の具体例としては、例えば3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)-6’-ジメチルアミノフタリド、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)-6’-ピロリジノフタリド、3-ジメチルアミノ-6-ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3’)-6’-ピロリジノフタリド等、が挙げられる。これらの発色性化合物は単独もしくは混合して用いられる。
【0027】
本発明に用いられる顕色剤としては、特に制限されないが、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであればよく、例えばα-ナフトール、β-ナフトール、p-オクチルフェノール、4-t-オクチルフェノール、p-t-ブチルフェノール、p-フェニルフェノール、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA又はBPA)、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’-チオビスフェノール、4,4’-シクロ-ヘキシリデンジフェノール、2,2’-ビス(2,5-ジブロム-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-クロロフェノール)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-メトキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-エトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ブトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ベンジルオキシジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、2,4-ジヒドロキシ-2’-メトキシベンズアニリド等のフェノール性化合物、p-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、5-ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸、3,5-ジ-α-メチルベンジルサリチル酸等の芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸又はその多価金属塩、ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、フェニル-6-ベンゾトリアゾール、フェニル-5-ベンゾトリアゾール、クロロ-5-ベンゾトリアゾール、クロロ-5-メチルベンゾトリアゾール、クロロ-5-イソプロピル-7-メチル-4-ベンゾトリアゾール、ブロモ-5-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体、サッカリン、1-ブロモサッカリン、1-ニトロサッカリン、1-アミノサッカリン等のサッカリン誘導体、メタニルアニリド、N-フェニル-4-アミノベンゼンスルホンアミド、ネオウリロン、N-フェニル-3-ニトロベンゼンスルホンアミド、N-(4-メチル-2-ニトロフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N-(2-メトキシフェニル)-p-トルエンスルホンアミド、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド誘導体、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-(3-n-ブチルアミノスルホニルフェニル)尿素、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-(4-トリメチルアセトフェニル)尿素、N-(ベンゼンスルホニル)-N’-(3-p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-(3-p-トルエンスルホニルフェニル)尿素、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-(3-フェニルスルホニルオキシフェニル)尿素、トルブタミド、クロルプロパミド等のスルホニルウレア誘導体等が挙げられる。
【0028】
本発明に用いられる増感剤(熱可融性化合物)の具体例としては、例えば木ろう、カルナウバろう、シェラック、パラフィン、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、アミドワックス、酸化ポリエチレン、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N-メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド、1-ベンジルオキシナフタレン、2-ベンジルオキシナフタレン、1-ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル、1,4-ジエトキシナフタレン、2,6-ジイソプロピルナフタレン、1,2-ジフェノキシエタン、1,4-ジフェノキシブタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メトキシフェノキシ)エタン、1,2-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、1-フェノキシ-2-(4-クロロフェノキシ)エタン、1-フェノキシ-2-(4-メトキシフェノキシ)エタン、1,2-ジフェノキシメチルベンゼン、o-キシリレンビス(フェニルエーテル)、ジフェニルグリコール、p-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジベンジル、p-トルエンスルホン酸フェニルエステル、フェニルメシチレンスルホナート、4-メチルフェニルメシチレンスルホナート、4-トリルメシチレンスルホナート、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4-クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4-メチルベンジル)エステル、p-ベンジルビフェニル、4-メトキシビフェニル、4-メチルフェニルビフェニルエーテル、p-アリルオキシビフェニル、4-(m-メチルフェノキシメチル)ビフェニル、m-ターフェニル、p-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアニリド、p-トルエンスルホンアニリド、4,4’-ジアリルオキシジフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、4,4’-ジメチルベンゾフェノン、ジベンゾイルメタン、p-アセトトルイジン、セシルビフェニル化合物、1,4-ジアセトキシベンゼン、1,4-ジプロピオンオキシベンゼン、2-フェノキシエチル-N-フェニルカルバメート、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェートの金属塩、アンモニウム塩及び多価金属塩、p-ニトロ安息香酸の金属塩、フタル酸モノベンジルエステルの金属塩、けい皮酸の金属塩、p-ヒドロキシアセトアニリド、p-ヒドロキシブチラニド、p-ヒドロキシノナリニド、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-6-メチルフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’-スルホニルビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、4-[α-(ヒドロキシメチル)ベンジルオキシ]-4-ヒドロキシジフェニルスルホン、パルミチン酸アミド、エチレンビスアミド、o-トルエンスルホンアミド、モンタン酸ワックス、ジ-p-トリルカーボネート、フェニル-α-ナフチルカーボネート、4,4’-エチレンジオキシ-ビス安息香酸ジベンジルエステル、p-ニトロ安息香酸メチル、ジベンゾイルオキシメタン、ビス[2-(4-メトキシフェノキシ)エチル]エーテル、メトキシカルボニル-N-ステアリン酸ベンズアミド、N-ベンゾイルステアリン酸アミド、N-エイコ酸アミド、ベヘン酸アミド、p-アセトトルイジド、p-アセトフェネチジド、N-アセトアセチル-p-トルイジン、テレフタル酸ジメチル、p-メチルチオフェニルベンジルエーテル、ジ(β-ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p-ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1-イソプロピルフェニル-2-フェニルエタン、1,4-ジ(フェニルチオ)ブタン、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリル尿素、アセト酢酸アニリド化合物、脂肪酸アニリド化合物、2,2’-ビス(4-メトキシフェニル)ジエチルエーテル、ビス(4-メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、4-アセチルアセトフェノン、ベンズアミド、チオアセトアニリドアクリル酸アミド、イソフタル酸ジエチル、シュウ酸ジベンジルとシュウ酸ジ(4-クロロベンジル)の等量混合物、シュウ酸ジ(4-メチルベンジル)とシュウ酸ジ(4-クロロベンジル)の等量混合物、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-ジメトキシジフェニルスルホン、2,4’-ジメトキシジフェニルスルホン、1,2-ビス(4-メトキシフェニルチオ)エタン、1,2-ビス(4-メトキシフェノキシ)プロパン、1,3-フェノキシ-2-プロパノール、1,4-ジフェニルチオ-2-ブテン、1,4-ジフェニルチオブタン、1,4-ジフェノキシ-2-ブテン、1,5-ビス(4-メトキシフェノキシ)-3-オキサペンタン、1,3-ジベンゾイルオキシプロパン、4,4’-エチレンジオキシ-2-ビス安息香酸ジベンジルエステル、1,3-ビス(2-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ジベンジルオキシナフタレン、1,4-ジメトキシナフタレン、1,4-ビス(2-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p-(2-ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p-プロパルギルオキシビフェニル、p-ベンジルオキシベンジルアルコール、ジ-β-ナフチルフェニレンジアミン、ジフェニルアミン、カルバゾール、2,3-ジ-m-トリルブタン、4,4’-ジメチルビフェニル、2,3,5,6-テトラメチル-4’-メチルジフェニルメタン、4-アセチルビフェニル、トリフェニルメタン、1-ヒドロキシ-2-ナフト工酸フェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフト工酸メチル、N-オクタデシル-カルバモイル-p-メトキシカルボニルベンゼン、β-ナフト工酸フェニル、グアイアコールカーボネート、ジ-p-トリルカーボネート、フェニル-α-ナフチルカーボネート、1,1-ジフェニルプロパノール、1,1-ジフェニルエタノール、N-オクタデシルカルバモイルベンゼン、ジベンジルスルフィド、アマイドAP-1、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、等が挙げられる。
【0029】
本発明に用いられる保存性向上剤の具体例としては、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、1-〔α-メチル-α-(4’-ヒドロキシフェニル)エチル〕-4-〔α’,α’-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,6-ジメチル-4-t-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-チオビス(3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウム又は多価金属塩、ビス(4-エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。例えば2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、1-〔α-メチル-α-(4’-ヒドロキシフェニル)エチル〕-4-〔α’,α’-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,6-ジメチル-4-t-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-チオビス(3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウム又は多価金属塩、ビス(4-エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン、ウレアウレタン化合物(ケミプロ化成株式会社製顕色剤UU等)、及び下記式(6)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物もしくはそれらの混合物等が挙げられる。
【化6】
(式中、aは0~6の整数である。)
【0030】
本発明に用いられる結合剤の具体例としては、メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基変性ポリビニルアルコール、シリル基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、水溶性イソプレンゴム、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソ(又はジイソ)ブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性のもの或は(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン(NB)共重合体、カルボキシル化アクリロニトリル/ブタジエン(NB)共重合体、コロイダルシリカと(メタ)アクリル樹脂の複合体粒子等の疎水性高分子エマルジョン等が挙げられる。
【0031】
本発明に用いられる充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、クレー、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、尿素-ホルマリン樹脂等が挙げられる。
【0032】
更に本発明においては上記以外の種々の添加剤を使用することができ、例えばサーマルヘッド磨耗防止、スティッキング防止等の目的でのステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、酸化防止あるいは老化防止効果を付与する為のフェノール誘導体、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、各種の界面活性剤、消泡剤、等が挙げられる。
【0033】
次に、本発明の感熱記録材料の調製方法を説明する。本発明に用いられる、顕色剤、増感剤を、それぞれ別々に結合剤あるいは必要に応じてその他の添加剤等と共にボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機にて粉砕、分散化し分散液とした後(通常、粉砕や分散を湿式で行うときは水を媒体として用いる)、分散液を混合して感熱記録層塗布液を調製し、紙(普通紙、上質紙、コート紙等が使用出来る)、プラスチックシート、合成紙等の支持体上に通常乾燥質量で1~20g/m2になるようにバーコーター、ブレードコーター等により塗布、乾燥して本発明の感熱記録材料を作製する。
【0034】
また、必要に応じて感熱記録層と支持体の間に中間層を設けたり、感熱記録層上にオーバーコート層(保護層)を設けても良い。中間層、オーバーコート層(保護層)は、例えば前記の結合剤あるいは必要に応じてその他の添加物と共に、感熱記録層塗布液の調製におけるのと同様に必要に応じて粉砕、分散して中間層用塗布液又はオーバーコート層(保護層)用塗布液とした後、乾燥時の質量で通常0.1~10g/m2程度となるように塗布し、乾燥することにより設けられる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。実施例中「部」は質量部、「%」は質量%である。
【0036】
[実施例1]表1-1に記載の化合物番号1(式(2))の合成
トルエン60部にエタノールアミン3.66部を加え、70℃に加熱した。そこに、トルエン20部で希釈したイソシアン酸フェニル14.3部を30分かけて滴下したところ、固形分が析出、そのまま同温度で1時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液を濾過し、得られた白色固体をトルエン50部、水50部で洗浄し、加温乾燥することで表1-1に記載の化合物番号1で表される化合物を15.4部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:300.1,found:300.1
【0037】
[実施例2]表1-1に記載の化合物番号5(式(3))の合成
トルエン90部に1-アミノ-2-プロパノール3.27部を加え、70℃に加熱した。そこに、トルエン20部で希釈したイソシアン酸フェニル10.4部を30分かけて滴下したところ、固形分が析出、そのまま同温度で1時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液を濾過し、得られた固体をトルエン50部、水50部で洗浄し、加温乾燥することで表1-1に記載の化合物番号5で表される化合物を11.5部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:314.1,found:314.1
【0038】
[実施例3]表1-1に記載の化合物番号9(式(4))の合成
トルエン70部に2-(2-アミノエトキシ)エタノール8.8部を加え、70℃に加熱した。そこに、トルエン20部で希釈したイソシアン酸フェニル20部を30分かけて滴下した。反応液を濾過し、得られた固体をトルエン50部、水50部で洗浄し、表1-1に記載の乾燥することで化合物番号9で表される化合物を25部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:344.2,found:344.2
【0039】
[実施例4]感熱記録材料の作製
実施例1で得られた、表1-1に記載の化合物番号1で表される化合物(式(2))を、以下の組成で安井器械(株)製のマルチビーズショッカー(型式:PV1001(S))を用いて1時間粉砕、分散化して[A]液を調製した。
【0040】
[A]液:表1-1の化合物番号1 15部
25%PVA水溶液 20部
水 65部
【0041】
下記組成の混合物をサンドグラインダーによりレーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置LA-950(株式会社堀場製作所社製)によるメディアン粒子径が1μmになるように粉砕、分散化して発色性化合物の分散液[B]を調製した。
[B]液:3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン 35部
15%PVA水溶液 40部
水 25部
【0042】
次いで、上記で得られた各液及び下記の薬剤を以下の組成で混合して感熱記録層塗布液を調製し、坪量50g/m2の上質紙上に乾燥時の質量が5g/m2となるように塗布、乾燥して本発明の感熱記録材料を作製した。
[A]液 40.0部
[B]液 8.6部
67%炭酸カルシウム水分散液 9.0部
48%変性スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス 6.3部
水 36.1部
【0043】
(保護層の形成)
次に、下記の組成からなる保護層塗布液を前記の感熱記録層上に乾燥時の質量が2g/m2となるように塗布、乾燥して保護層付きの感熱記録材料を作製した。
40%スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 115部
5%ベントナイト水分散液 17部
45%スチレン・アクリル共重合体水性エマルジョン 44部
39%ステアリン酸亜鉛水分散液 103部
67%炭酸カルシウム水分散液 15部
【0044】
[実施例5]
表1-1の化合物番号1で表される化合物(式(2))の代わりに表1-1の化合物番号5で表される化合物(式(3))を用いた以外は、実施例4と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0045】
[実施例6]
表1-1の化合物番号1で表される化合物(式(2))の代わりに表1-1の化合物番号9で表される化合物(式(4))を用いた以外は、実施例4と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0046】
[比較例1]
下記組成の混合物をサンドグラインダーによりレーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置LA-950(株式会社堀場製作所社製)によるメディアン粒子径が1μmになるように粉砕、分散化して[C]液を調製し、上記実施例4に記載の感熱記録層塗布液の組成のうち、[A]液を[C]液に変更した以外は実施例4と同様にして比較用の感熱記録材料を得た。
[C]液:ビスフェノールS 25部
25%PVA水溶液 20部
水 55部
【0047】
[発色性試験]
上記の実施例4~6及び比較例1で得られた各感熱記録材料を、オオクラエンジニアリング株式会社製のサーマルプリンター(TH-M2/PP)を用いてパルス幅1.0msecで印字したものの発色部のマクベス反射濃度をX-Rite社製の測色器、商品名「eXact」を用いて測定した。測色する際は、いずれも光源にイルミナントC、濃度基準にANSI A、視野角2度の条件で行った。結果を下表2に示す。なお、マクベス反射濃度が高い程、発色性に優れていることがわかる。
【0048】
【0049】
表2より明らかなように、一般式(1)に表される化合物を顕色剤に用いた実施例4~6は、特許文献2に記載の顕色剤であるビスフェノールSを用いた比較例1に比べて発色部のマクベス反射濃度が高く、発色性に優れている。
【0050】
[地肌の耐熱性]
実施例4~6及び比較例1で得られた感熱記録材料を、ヤマト科学株式会社製の送風定温恒温器、商品名 DKN402を用いて90℃下で1時間保持した。試験前後の地肌のISO白色度を、X-Rite社製の測色器、商品名「eXact」を用いて測定した。測色する際は、いずれも光源にイルミナントC、濃度基準にANSI A、視野角2度の条件で行った。結果を表3に示す。なお、試験前後のISO白色度の変化量が小さいほど、地肌が耐熱性に優れていることが分かる。
【0051】
【0052】
上記表3より明らかなように、式(1)に表される化合物を顕色剤に用いた実施例4~6は、耐熱性試験前後のISO白色度の変化量が小さいことから、特許文献2に記載の顕色剤であるビスフェノールSを用いた比較例1に比べ、地肌が熱に対し極めて高い安定性を示している。