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特許6998753吊支ベルトの玉掛け玉外し装置及びそれを備えたフォークリフト用アタッチメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】吊支ベルトの玉掛け玉外し装置及びそれを備えたフォークリフト用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/12 20060101AFI20220128BHJP
   B66F 9/18 20060101ALI20220128BHJP
   B66C 1/12 20060101ALI20220128BHJP
   B66C 1/62 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
B66F9/12 U
B66F9/18 D
B66C1/12 D
B66C1/62 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017240554
(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2019108178
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000178011
【氏名又は名称】山九株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】村井 信夫
(72)【発明者】
【氏名】前川 航平
(72)【発明者】
【氏名】中山 洋一
(72)【発明者】
【氏名】江口 正修
(72)【発明者】
【氏名】森 靖夫
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-171491(JP,A)
【文献】登録実用新案第3070370(JP,U)
【文献】実開昭57-131595(JP,U)
【文献】特開平06-345395(JP,A)
【文献】特開平09-002626(JP,A)
【文献】特開2004-210516(JP,A)
【文献】実開昭60-170398(JP,U)
【文献】実開平06-073089(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/12
B66F 9/18
B66C 1/12
B66C 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊支ベルトの少なくとも一方の端部に形成された環状部を着脱自在に保持する玉掛け機構を備え、該玉掛け機構は、フレーム部と、該フレーム部に摺動自在に保持され待機位置と玉掛け位置との間を移動可能な手動ロッドと、該手動ロッドと同軸上に配置された玉掛け用ロッドと、該玉掛け用ロッドを初期位置と前記玉掛け位置との間で往復動させるロッド駆動部とを有し、
玉掛け時は、前記ロッド駆動部を駆動して前記玉掛け用ロッドを前記初期位置から前記玉掛け位置に移動させることにより、前記玉掛け位置で前記環状部に挿通されて前記吊支ベルトを仮保持している前記手動ロッドを押圧して前記待機位置に移動させ、前記環状部に前記玉掛け用ロッドを挿通して前記吊支ベルトを保持し、
玉外し時は、前記ロッド駆動部を駆動して前記玉掛け用ロッドを前記玉掛け位置から前記初期位置に退避させ、前記環状部から引き抜くことを特徴とする吊支ベルトの玉掛け玉外し装置。
【請求項2】
基端にフォークリフトのフォークが着脱自在に装着される長尺のリフト取付ビームを有し、該リフト取付ビームに請求項1記載の複数の吊支ベルトの玉掛け玉外し装置が、長手方向に間隔をあけて取付けられたことを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【請求項3】
請求項2記載のフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記各吊支ベルトの玉掛け玉外し装置には、2つの前記玉掛け機構が並列に配置され、前記吊支ベルトの両方の端部に形成された前記環状部が着脱自在に保持されることを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【請求項4】
請求項2又は3記載のフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記ロッド駆動部の駆動を指示する信号を無線で送信する送信機と、前記リフト取付ビームに取付けられ前記送信機から送信される前記信号を受信する受信機と、前記リフト取付ビームに取付けられ前記受信機が受信した前記信号に基づいて前記ロッド駆動部の駆動を制御する制御部とを有することを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1記載のフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記手動ロッドが前記待機位置にあるか、前記玉掛け位置にあるかを検知する手動ロッド位置検知部を有することを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1記載のフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記玉掛け用ロッドが前記初期位置にあるか、前記玉掛け位置にあるかを検知する玉掛け用ロッド位置検知部を有することを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか1記載のフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記玉掛け用ロッドが前記初期位置にあるか、前記玉掛け位置にあるかを区別して報知する報知部を有することを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【請求項8】
請求項2~7のいずれか1記載のフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記リフト取付ビームの先端側に取付けられた照明部を有することを特徴とするフォークリフト用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に吊支ベルトを使い、フォークリフトやクレーンで重量物を移送する際に使用する吊支ベルトの玉掛け玉外し装置及びそれを備えたフォークリフト用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒鋼、鋼管、形鋼等の長尺部材は、運搬や貯蔵に際して、種類毎に束ねられ、ベルトや針金等で結束されてハンドリングされる。そして、これらの長尺部材を束ねた被積み付け物をトラッククレーンやガントリークレーン等の大型荷役機械を用いて、上面が開口されたオープントップコンテナに積み付けする場合には、コンテナ上部シートの取外し、取付けや、多数のシート垂れ防止パイプの取外し、取付け等の作業が必要となる。このため、多大な労力と時間を要し、積み付け作業を能率的に行うことができないという問題があった。これに対し、例えば特許文献1には、フォークリフトを利用して、ドライコンテナ等の後面開口のコンテナに対し、被積み付け物の積み付け作業を行うための積み付け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-171491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、被積み付け物を抱持する吊支ベルトの一端はリフト取付ビームにベルト着脱連結機構によって着脱自在に連結されると共に、他端はリフト取付ビームにベルト固定連結機構によって固定連結されている。この吊支ベルトの着脱(玉掛け、玉外し)作業は全て手作業で行わなければならず、省力性に欠けるという問題があった。特に、コンテナ内の狭い空間での作業は、フォークリフトを操作する作業者(フォークマン)に声掛けしたり、合図を出したりして、安全に注意しながら行う必要があり、作業性に欠け、作業者の負担も増大するという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、吊支ベルトを使い、フォークリフトやクレーンで重量物を移送する際に、玉外し作業を自動化することにより、作業工数を削減し、作業者の負担を軽減して、容易、迅速、安全、かつ、確実に作業を行うことができる吊支ベルトの玉掛け玉外し装置及びそれを備えたフォークリフト用アタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る吊支ベルトの玉掛け玉外し装置は、吊支ベルトの少なくとも一方の端部に形成された環状部を着脱自在に保持する玉掛け機構を備え、該玉掛け機構は、フレーム部と、該フレーム部に摺動自在に保持され待機位置と玉掛け位置との間を移動可能な手動ロッドと、該手動ロッドと同軸上に配置された玉掛け用ロッドと、該玉掛け用ロッドを初期位置と前記玉掛け位置との間で往復動させるロッド駆動部とを有し、
玉掛け時は、前記ロッド駆動部を駆動して前記玉掛け用ロッドを前記初期位置から前記玉掛け位置に移動させることにより、前記玉掛け位置で前記環状部に挿通されて前記吊支ベルトを仮保持している前記手動ロッドを押圧して前記待機位置に移動させ、前記環状部に前記玉掛け用ロッドを挿通して前記吊支ベルトを保持し、
玉外し時は、前記ロッド駆動部を駆動して前記玉掛け用ロッドを前記玉掛け位置から前記初期位置に退避させ、前記環状部から引き抜く。
【0006】
前記目的に沿う第2の発明に係るフォークリフト用アタッチメントは、基端にフォークリフトのフォークが着脱自在に装着される長尺のリフト取付ビームを有し、該リフト取付ビームに第1の発明に係る複数の吊支ベルトの玉掛け玉外し装置が、長手方向に間隔をあけて取付けられている。
【0007】
第2の発明に係るフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記各吊支ベルトの玉掛け玉外し装置には、2つの前記玉掛け機構が並列に配置され、前記吊支ベルトの両方の端部に形成された前記環状部が着脱自在に保持されることが好ましい。
【0008】
第2の発明に係るフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記ロッド駆動部の駆動を指示する信号を無線で送信する送信機と、前記リフト取付ビームに取付けられ前記送信機から送信される前記信号を受信する受信機と、前記リフト取付ビームに取付けられ前記受信機が受信した前記信号に基づいて前記ロッド駆動部の駆動を制御する制御部とを有することが好ましい。
【0009】
第2の発明に係るフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記手動ロッドが前記待機位置にあるか、前記玉掛け位置にあるかを検知する手動ロッド位置検知部を有することが好ましい。
【0010】
第2の発明に係るフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記玉掛け用ロッドが前記初期位置にあるか、前記玉掛け位置にあるかを検知する玉掛け用ロッド位置検知部を有することが好ましい。
【0011】
第2の発明に係るフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記玉掛け用ロッドが前記初期位置にあるか、前記玉掛け位置にあるかを区別して報知する報知部を有することが好ましい。
【0012】
第2の発明に係るフォークリフト用アタッチメントにおいて、前記リフト取付ビームの先端側に取付けられた照明部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る吊支ベルトの玉掛け玉外し装置は、玉掛け時に、手動ロッドを予め手動で玉掛け位置に移動させて吊支ベルトの環状部に挿通して仮保持した状態から、ロッド駆動部を駆動して玉掛け用ロッドを初期位置から玉掛け位置に移動させることにより、玉掛け用ロッドで手動ロッドを押圧して待機位置に移動させると共に、玉掛け用ロッドを環状部に挿通して吊支ベルトを保持するので、玉掛け作業を簡素化、省力化して、安全かつ確実に作業を行うことができる。また、玉外し時は、ロッド駆動部を駆動して玉掛け用ロッドを玉掛け位置から初期位置に退避させるだけで、玉掛け用ロッドを環状部から引き抜いて自動で玉外し作業を行うことができるので、フォークリフトやクレーンで重量物を移送した後に、従来のように作業者が手作業で玉外し作業を行う必要がなく、迅速、安全かつ効率的に作業を行うことができ、作業工数を削減して、作業者の負担を軽減することができる。
【0014】
第2の発明に係るフォークリフト用アタッチメントは、基端にフォークリフトのフォークが着脱自在に装着される長尺のリフト取付ビームを有し、リフト取付ビームに第1の発明に係る複数の吊支ベルトの玉掛け玉外し装置が、長手方向に間隔をあけて取付けられているので、既存のフォークリフトに装着するだけで、棒鋼、鋼管、形鋼等の長尺部材を束ねた被積み付け物を容易、迅速、安全、かつ、確実にコンテナやトラック等に積み付けすることができる。
【0015】
吊支ベルトの玉掛け玉外し装置に2つの玉掛け機構が並列に配置され、吊支ベルトの両方の端部に形成された環状部が着脱自在に保持される場合、被積み付け物を積み付けた位置等に応じて、いずれか一方の玉掛け機構を操作して確実に玉外し作業を行うことができる。
【0016】
ロッド駆動部の駆動を指示する信号を無線で送信する送信機と、リフト取付ビームに取付けられ送信機から送信される信号を受信する受信機と、リフト取付ビームに取付けられ受信機が受信した信号に基づいてロッド駆動部の駆動を制御する制御部とを有する場合、フォークリフトを操作する作業者が、遠隔(運転席)から玉外し作業を行うことができ、作業の効率性、安全性に優れる。
【0017】
手動ロッドが待機位置にあるか、玉掛け位置にあるかを検知する手動ロッド位置検知部を有する場合、手動ロッドが待機状態にあるか、吊支ベルトを仮保持している状態にあるかを判別して、正しいタイミングでロッド駆動部を駆動することができ、動作の確実性に優れる。
【0018】
玉掛け用ロッドが初期位置にあるか、玉掛け位置にあるかを検知する玉掛け用ロッド位置検知部を有する場合、玉掛け作業が完了したことを確認してからフォークリフトを操作することができ、作業の確実性、安全性に優れる。特に、手動ロッド位置検知部と併用した場合、手動ロッドによる仮保持状態も含めた玉掛け用ロッド及び手動ロッドの各動作の状態を確実に把握することができ、動作の信頼性を向上させることができる。
【0019】
玉掛け用ロッドが初期位置にあるか、玉掛け位置にあるかを区別して報知する報知部を有する場合、玉外し作業及び玉掛け作業のそれぞれの完了を作業者(主に、フォークマン)に確実に知らせて、安全かつ迅速に次の動作に進むことができる。
【0020】
リフト取付ビームの先端側に取付けられた照明部を有する場合、被積み付け物を積み付けるコンテナ等の内部を照明して安全に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る吊支ベルトの玉掛け玉外し装置を備えたフォークリフト用アタッチメントの使用状態を示す側面図である。
図2】同フォークリフト用アタッチメントの使用状態を示す要部平面図である。
図3】同フォークリフト用アタッチメントの使用状態を示す要部正面図である。
図4】同フォークリフト用アタッチメントにおける吊支ベルトの玉掛け玉外し装置を示す斜視図である。
図5】(A)、(B)、(C)は同フォークリフト用アタッチメントにおける吊支ベルトの玉掛け玉外し装置の動作を示す説明図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る吊支ベルトの玉掛け玉外し装置の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る吊支ベルトの玉掛け玉外し装置(以下、単に玉掛け玉外し装置ともいう)17を備えたフォークリフト用アタッチメント10は、フォークリフト11のフォーク12に装着して、長尺の複数の鋼材13(例えば、丸鋼や鋼管)が束ねられた被積み付け物14(例えば直径300mm、重さ2t程度)をコンテナやトラック等に積み付けするために用いられるものである。
フォークリフト用アタッチメント10は、図1図2に示すように、基端にフォークリフト11のフォーク12が着脱自在に装着される長尺のリフト取付ビーム15と、リフト取付ビーム15に長手方向に間隔をあけて取付けられ、それぞれが被積み付け物14を包持する吊支ベルト16の両端部を保持する2つの玉掛け玉外し装置17を有している。以下、フォークリフト11の進行方向前方側をフォークリフト用アタッチメント10の前方として説明する。
【0023】
各玉掛け玉外し装置17には、図4に示すように、吊支ベルト16の両端部に形成された環状部18をそれぞれ着脱自在に保持する2つの玉掛け機構20が並列に配置されている。
各玉掛け機構20は、フレーム部21に、リフト取付ビーム15の長手方向と平行に設けられた摺動案内部22によって摺動自在に保持された手動ロッド23を有している。この手動ロッド23は、各玉掛け玉外し装置17の前方側の待機位置24と中央部の玉掛け位置25との間を移動可能となっている。なお、手動ロッド23の前端側上部には、操作ハンドル26が設けられ、フレーム部21の上面には摺動案内部22と平行で操作ハンドル26が貫通する長孔状のガイド孔27が形成されている。これにより、作業者は操作ハンドル26を手で握り、手動ロッド23を手動で摺動させて、待機位置24から玉掛け位置25に移動させることができる。
【0024】
また、各玉掛け機構20は、手動ロッド23と同軸上に配置された玉掛け用ロッド30と、玉掛け用ロッド30を各玉掛け玉外し装置17の後方側の初期位置31と玉掛け位置25との間で往復動させるロッド駆動部32とを有している。ロッド駆動部32は正逆回転可能なモータ33と減速機34を有しており、減速機34の出力軸35にはピニオン36が取付けられている。そして、玉掛け用ロッド30の底部には、その長手方向に沿ってピニオン36と噛合するラック37が設けられている。よって、ロッド駆動部32(モータ33)を駆動して、ピニオン36を正逆回転させることにより、ラック37と共に玉掛け用ロッド30が初期位置31と玉掛け位置25との間を往復動する。このとき、ピニオン36の位置より前方側にはラック37を摺動自在に案内するラックガイド38が設けられており、玉掛け用ロッド30をスムーズに往復動させることができる。
【0025】
次に、各初期位置31の後端には玉掛け用ロッド位置検知部(例えば近接センサ)40が設けられ、各玉掛け用ロッド30の後端部には玉掛け用ロッド位置検知部40で検知可能な被検知部41が取付けられている。これにより、玉掛け用ロッド30が後退して初期位置31にある時は、玉掛け用ロッド位置検知部40が被検知部41を検知して、玉掛け用ロッド30が初期位置31にあること(玉掛け用ロッド30が玉掛け位置25にないこと)を判別することができる。また、フレーム部21の上部に、玉掛け用ロッド位置検知部40と連動して、玉掛け用ロッド30が玉掛け位置25にある時は点灯し、初期位置31にある時に消灯する報知部42を設けることにより、玉掛け用ロッド30が玉掛け位置25にあって玉掛け作業が完了した状態にあるか、玉掛け用ロッド30が初期位置31にあって玉外し作業が完了した状態にあるかを作業者(主にフォークマン)に確実に知らせることができる。
【0026】
次に、フォークリフト用アタッチメント10は、図1に示すように、各ロッド駆動部32の駆動を指示する信号を無線で送信する送信機(リモコン)45と、リフト取付ビーム15に取付けられ、送信機45から送信される信号を受信する受信機46と、リフト取付ビーム15に取付けられ、受信機46が受信した信号に基づいてロッド駆動部32の駆動を制御する制御部47を有している。よって、フォークマンがフォークリフト11の運転席から送信機45を操作して、各ロッド駆動部32を遠隔から駆動することができる。
なお、リフト取付ビーム15の先端側にはLED等を光源とする照明部48が取付けられており、積み付け先のコンテナ等の内部を照明しながら作業を行うことができる。また、リフト取付ビーム15には、ロッド駆動部32、受信機46、照明部48に電力を供給するための発電機50が取付けられている。
【0027】
以下、フォークリフト用アタッチメント10の動作(使用方法)を説明する。
まず、フォークリフト11を操作し、フォークリフト用アタッチメント10を被積み付け物14の上方に移動させる。作業者は、被積み付け物14を包持するように吊支ベルト16を被積み付け物14の下方に通した後、図5(A)に示すように、手動ロッド23を待機位置24から玉掛け位置25に移動させ、吊支ベルト16の両端部の環状部18に手動ロッド23を挿通して吊支ベルト16を仮保持する。
【0028】
次に、図5(B)に示すように、ロッド駆動部32を駆動して玉掛け用ロッド30を初期位置31から玉掛け位置25に移動させることにより、玉掛け位置25で環状部18に挿通されて吊支ベルト16を仮保持している手動ロッド23を押圧して待機位置24に移動させると共に、環状部18に玉掛け用ロッド30を挿通して吊支ベルト16を保持する。このとき、玉掛け用ロッド30が玉掛け位置25にあること(初期位置31にないこと)を玉掛け用ロッド位置検知部40で検知し、報知部42を点灯させることにより、玉掛け作業が完了したことを作業者(フォークマン)に知らせる。なお、玉掛け用ロッド位置検知部40は、玉掛け用ロッド30が初期位置31にあるか、玉掛け位置25にあるかを判別できるものであればよい。例えば、被検知部41が玉掛け用ロッド位置検知部40と接触することにより、玉掛け用ロッド30が初期位置31にあることを検知する以外に、被検知部41が玉掛け用ロッド位置検知部40に近付いたことを磁気等で検知してもよい。
【0029】
次に、フォークマンは、フォークリフト11を操作して被積み付け物14をコンテナ等の積み付け先の所定位置に搬送し、輪木(盤木、枕木)の上に載置した後、送信機45を操作し、図5(C)に示すように、各玉掛け玉外し装置17の左右いずれか一方のロッド駆動部32を駆動して玉掛け用ロッド30を玉掛け位置25から初期位置31に退避(後退)させ、吊支ベルト16の両端のいずれか一方の環状部18から引き抜く。このとき、玉掛け用ロッド30が初期位置31にあることを玉掛け用ロッド位置検知部40で検知し、報知部42を消灯させることにより、玉外し作業が完了したことをフォークマンに知らせる。
吊支ベルト16の他方の環状部18は玉掛け用ロッド30に保持されたままの状態なので、フォークマンがフォーク12を上昇させると、玉掛け用ロッド30が引き抜かれた一方の環状部18は、コンテナ等の床面と被積み付け物14との間や隣接する被積み付け物14の間を通り抜け、積み付け作業が完了する。
なお、以上の動作において、玉掛け作業時に、手動ロッド23を環状部18に挿通し、吊支ベルト16を仮保持してから、玉掛け用ロッド30を環状部18に挿通し、吊支ベルト16を支持して玉掛け作業が完了するまでの間、被積み付け物14は地上に仮置きされた状態であり、手動ロッド23及び玉掛け用ロッド30には負荷がかかっていない。また、玉外し作業時に、玉掛け用ロッド30を環状部18から引き抜く際には、被積み付け物14は積み付け先であるコンテナ等の床面に載置された状態であり、玉掛け用ロッド30には負荷がかかっていない。
【0030】
玉外し時に、各玉掛け玉外し装置17の左右いずれのロッド駆動部32を駆動して玉掛け用ロッド30を環状部18から引き抜くかは、被積み付け物14の載置位置や他の被積み付け物14との位置関係等に応じて、適宜、選択することができる。また、本実施の形態のように、各玉掛け玉外し装置17に2つの玉掛け機構20を並列に配置する代わりに、各玉掛け玉外し装置に玉掛け機構を1つのみ配置し、吊支ベルト16の一端側の環状部18のみを着脱自在に保持して、他端側は各玉掛け玉外し装置に固定する構造とすることもできる。
なお、図5(A)において、手動ロッド23を待機位置24から玉掛け位置25に移動させて吊支ベルト16を仮保持した後、図5(B)において、ロッド駆動部32を駆動して玉掛け用ロッド30を初期位置31から玉掛け位置25に移動させる動作は、手動ロッド23を移動させた作業者からの指示(合図)により、フォークマンが送信機45を操作して行ってもよいが、手動ロッド23が待機位置24にあるか、玉掛け位置25にあるかを手動ロッド位置検知部で検知して自動で行ってもよい。この手動ロッド位置検知部としては、玉掛け用ロッド位置検知部と同様のものが好適に用いられる。
【0031】
次に、図6を用いて、本発明の第2の実施の形態に係る玉掛け玉外し装置17aを吊天秤51に適用した場合について説明する。図6に示すように、この吊天秤51は、クレーンの吊下フック(図示せず)に吊下手段(例えば吊ワイヤ)52を介して水平に吊下げられたフレーム部53を有している。なお、フレーム部53は平面視して略矩形枠状に形成され、底面の要所(例えば四隅)には仮置きスタンド54が設けられており、運搬車両の荷台に載置して運搬することができる。また、フレーム部53における各短辺部55の長手方向の一端側に玉掛け玉外し装置17aが取付けられ、他端側に吊上部56が設けられている。この玉掛け玉外し装置17aが第1の実施の形態と異なる点は、玉掛け機構20が1つだけ配置されている点と、上下が反転した状態でフレーム部53(各短辺部55)に取付けられている点である。そして、長尺重量物(例えば、大型の風力発電用ブレード)57を包持する吊支ベルト(例えばナイロンスリング)16の一端部に形成された環状部18は、第1の実施の形態と同様に、玉掛け機構20に着脱自在に保持されている。また、吊支ベルト16の他端部には掛止部58が取付けられており、ピン59が、吊上部56と掛止部58を水平方向に貫通して、吊上部56と掛止部58が連結されることにより、吊支ベルト16の他端側が吊上部56に保持されている。
【0032】
この玉掛け玉外し装置17aは、玉掛け玉外し装置17と上下が反転しているが、玉掛け機構20そのものの構造や動作は第1の実施の形態と同様なので、説明は省略する。
なお、本実施の形態では、吊支ベルト16の一端部の環状部18のみを玉掛け機構20で保持し、他端部の掛止部58をピン59を介して吊上部56で保持する構成としたが、吊上部56、掛止部58、ピン59を用いる代わりに、短辺部55の他端側にも玉掛け玉外し装置17aを取付け、吊支ベルト16の他端部にも環状部を形成して、吊支ベルト16の両端部を玉掛け機構20で保持する構成としてもよい。
このように、搬送対象物に応じて吊支ベルトが太く重くなった場合でも、玉掛け時は、手動ロッド23を手動で操作して吊支ベルトの環状部に挿通した後は、自動で簡単に作業を行うことができ、玉外し時には、遠隔操作によって安全かつ確実に短時間で作業を行うことができる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、玉掛け用ロッド位置検知部と被検知部の配置は適宜、上記実施の形態に限定されるものではなく、その配置により、玉掛け用ロッド30が初期位置31にあることを直接検知するか、玉掛け位置25にあることを直接検知するかを選択することができる。また、玉掛け用ロッド位置検知部と被検知部の数を増やして、玉掛け用ロッド30が初期位置31にあることと、玉掛け位置25にあることを、別々の玉掛け用ロッド位置検知部と被検知部で検知することもできる。手動ロッド位置検知部を設ける場合も、手動ロッド位置検知部の配置により、手動ロッド23が待機位置24にあることを直接検知するか、玉掛け位置25にあることを直接検知するかを選択することができる。また、手動ロッド位置検知部の数を増やして、手動ロッド23が待機位置24にあることと、玉掛け位置25にあることを、別々の手動ロッド位置検知部で検知することもできる。
【0034】
上記実施の形態においては、ロッド駆動部32としてモータ33と減速機34を用い、ピニオン36とラック37の組合せにより、モータ33の回転運動を玉掛け用ロッド30の往復直線運動に変換したが、ロッド駆動部として油圧シリンダやエアシリンダ等を用い、玉掛け用ロッドを直接、往復直線運動させてもよい。
また、上記実施の形態においては、玉掛け用ロッド30が玉掛け位置25にある時に点灯し、初期位置31にある時に消灯する報知部42により、玉掛け作業及び玉外し作業の完了を報知したが、報知部はこれに限定されるものではなく、玉掛け作業及び玉外し作業の完了を報知できるものであればよい。例えば、玉掛け作業及び玉外し作業の完了時に、異なる色のランプを点灯させて報知してもよいし、ブザーやサイレン等により音を鳴らして報知してもよい。
本発明に係る玉掛け玉外し装置は、上記実施の形態に限らず、玉掛け玉外し作業を必要とする各種機器に適用して、玉掛け玉外し作業の省力性、安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0035】
10:フォークリフト用アタッチメント、11:フォークリフト、12:フォーク、13:鋼材、14:被積み付け物、15:リフト取付ビーム、16:吊支ベルト、17、17a:玉掛け玉外し装置、18:環状部、20:玉掛け機構、21:フレーム部、22:摺動案内部、23:手動ロッド、24:待機位置、25:玉掛け位置、26:操作ハンドル、27:ガイド孔、30:玉掛け用ロッド、31:初期位置、32:ロッド駆動部、33:モータ、34:減速機、35:出力軸、36:ピニオン、37:ラック、38:ラックガイド、40:玉掛け用ロッド位置検知部、41:被検知部、42:報知部、45:送信機(リモコン)、46:受信機、47:制御部、48:照明部、50:発電機、51:吊天秤、52:吊下手段、53:フレーム部、54:仮置きスタンド、55:短辺部、56:吊上部、57:長尺重量物、58:掛止部、59:ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6