(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ベンディングロール機
(51)【国際特許分類】
B21D 5/14 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B21D5/14 J
(21)【出願番号】P 2018011588
(22)【出願日】2018-01-26
【審査請求日】2020-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年8月31日に興進産業株式会社向島工場に納品した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000237466
【氏名又は名称】富士車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【氏名又は名称】福屋 好泰
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】百武 忠
(72)【発明者】
【氏名】山本 有記
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-070622(JP,A)
【文献】実開昭50-023340(JP,U)
【文献】特開昭50-141564(JP,A)
【文献】特公昭45-012977(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下動可能に支持された第1加工ロールと、前記第1加工ロールとの間で板材を挟み込んで曲げる第2加工ロール対と、前記第2加工ロール対に近接配置された第1支持ロールと、前記第1支持ロールの位置を調節する第1のロール位置調節機構が設けられたロール支持部とを備えるベンディングロール機であって、
前記第1のロール位置調節機構は、
前記ロール支持部
と、前記第1加工ロールと直交する水平方向と略平行な前後方向に移動可能に前記ロール支持部が載置されるガイド部との間に前記ロール支持部および前記ガイド部の双方に対して前記前後方向に移動可能な状態で挟み込まれるとともに前記ロール支持部に対する前記前後方向の位置を変更することにより前記ロール支持部を昇降させる機能を有する移動体と、
前記ロール支持部に対
する前記移動体の前記前後方向の位置を変更する機能を有する位置変更手段と、
を含み、
前記位置変更手段によって前記移動体の位置を
変更することで前記ロール支持部を上昇させて前記第2加工ロール対の一方のロールに前記第1支持ロールを
接触させるとともに前記一方のロールから
前記第1支持ロールに作用する反力によって
前記ロール支持部
が前記移動体とともに前記第2加工ロール対を構成する他方のロールの方へ
押し出されることにより前記他方のロールにも前記第1支持ロールを接触させることを特徴とする、
ベンディングロール機。
【請求項2】
前記移動体には、前記ガイド部から脱落するのを防止する脱落防止構造が設けられている、
請求項1に記載のベンディングロール機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の加工ロール間に板材を挟み込んで曲げるベンディングロール機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、船舶の側壁並びに船首や船尾などの船殻には湾曲した金属製板材が用いられる。このような湾曲した板材は第1加工ロールと第2加工ロールの間に板材を挟み込んで曲げるベンディングロール機を用いて製作される。
【0003】
また、ベンディングロール機では、第1加工ロールの荷重が板材に作用したときに第2加工ロールが撓まないよう第2加工ロールを接触支持する支持ロールが設けられている。
【0004】
特許文献1には、支持ロールに取り付けられた偏心ボスと、偏心ボスの軸端に取り付けられた歯付き調整板と、歯付き調整板と噛合するギア機構と、ギア機構を介して偏心ボスを回動させるモータとを備え、モータの駆動力によって偏心ボスを回動させることでボトムロール(第2加工ロール)に接触するように支持ロールの位置を調整するベンディングロール機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のベンディングロール機では、支持ロールによって第2加工ロールを接触支持させるためにギア機構やモータを別途設ける必要があり製造コストの増大を招くという問題がある。
【0007】
本発明は、製造コストの増大を抑制しつつ曲げ加工時における第2加工ロールの撓みを軽減できるベンディングロール機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様であるベンディングロール機は、上下動可能に支持された第1加工ロールと、第1加工ロールとの間で板材を挟み込んで曲げる第2加工ロール対と、第2加工ロール対に近接配置された第1支持ロールと、第1支持ロールの位置を調節する第1のロール位置調節機構が設けられたロール支持部とを備えるベンディングロール機であって、第1のロール位置調節機構は、ロール支持部と、第1加工ロールと直交する水平方向と略平行な前後方向に移動可能にロール支持部が載置されるガイド部との間にロール支持部およびガイド部の双方に対して前後方向に移動可能な状態で挟み込まれるとともにロール支持部に対する前後方向の位置を変更することによりロール支持部を昇降させる機能を有する移動体と、ロール支持部に対する移動体の前後方向の位置を変更する機能を有する位置変更手段と、を含み、位置変更手段によって移動体の位置を変更することでロール支持部を上昇させて第2加工ロール対の一方のロールに第1支持ロールを接触させるとともに一方のロールから第1支持ロールに作用する反力によってロール支持部が移動体とともに第2加工ロール対を構成する他方のロールの方へ押し出されることにより他方のロールにも第1支持ロールを接触させることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様であるベンディングロール機において、移動体には、ガイド部から脱落するのを防止する脱落防止構造を設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様であるベンディングロール機によれば、移動体の前後方向位置を変更することにより第2加工ロール対を構成する一方のロールに第1支持ロールを押し当て、その反力によって第1支持ロールを軸支するロール支持部が他方のロールの方へ押し出されることにより第2加工ロール対を構成する双方のロールを支持ロールに接触支持させることができる。このため、駆動モータやギア機構を設けることなく単一の支持ロールによって第2加工ロール対を構成する双方のロールを接触支持させることができる。この結果、製造コストの増大を抑制しつつ曲げ加工時における第2加工ロールの撓みを軽減することができる。
【0011】
本発明の別態様であるベンディングロール機によれば、ロール支持部に対して筒状体を回転させることにより第2加工ロールに接触する位置まで第2支持ロールを変位させるとともに、第2支持ロールがロール支持部に対して回転しないよう固定プレートを用いてロール支持部に第2支持ロールを固定することができる。この結果、製造コストの増大を抑制しつつ曲げ加工時における第2加工ロールの撓みを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態であるベンディングロール機の全体構成図である。
【
図2】
図1に含まれるボトムロール対および支持ロール群の上面視における構成を示す概略図である。
【
図3】
図3(a)は
図1に含まれる支持ロールおよび移動機構の前面側から見た状態を示す部分拡大である。
図3(b)は、
図2に示すA-A線で切断した断面図と、同断面図に含まれるロール支持部に設けられた軸支部の内部構成を示す部分拡大図を一部に示す図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3(b)に示すロール支持部に設けられた軸支部の断面構成図である。
図4(b-1)は、
図3(b)に示すハウジングの正面図である。
図4(b-2)は、
図4(b-1)に示すB-B線で切断した断面図である。
図4(c-1)は、
図3(b)に示す第2のロール位置調節機構によって支持ロールを下方に回動させた状態を示す図である。
図4(c-2)は、
図3(b)に示す第2のロール位置調節機構によって支持ロールを上方に回動させた状態を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、ボトムロール対の設置前におけるロール支持部の構成を
図3(b)と同様に示す図である。
図5(b)は、同図(a)の状態から位置変更ユニットを操作して一方のボトムロールに支持ロールが接触する位置までロール支持部を上昇させた状態を示す図である。
図5(c)は、同図(b)の状態からロール支持部をさらに上昇させて他方のボトムロールにも支持ロールを接触させた状態を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、支持ロールがボトムロールと離間した位置にあるときの固定プレートの取り付け位置を示す図である。
図6(b)は、支持ロールがボトムロールと接触する位置にあるときの固定プレートの取り付け位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態であるベンディングロール機について図面を参照しながら説明する。以下の説明において、ベンディングロール機におけるトップロールと直交する水平方向と平行をなす方向を「前後方向X」とし、トップロールに平行な水平方向を「左右方向Y」とする。また、床面の上下方向位置を「床レベルL」と表現する。
【0014】
図1は、ベンディングロール機の全体構成図である。
図1に示すように、ベンディングロール機10は、上部に手すり12などが設置された門型フレーム14と、この門型フレーム14に昇降可能に支持された上ガーダー(桁)16と、上ガーダー16の直下方に設置された下ガーダー18とを備える。上ガーダー16は、門型フレーム14に左右両端を昇降可能に支持されており、トップロール(第1加工ロール)20と、トップロール20を接触支持する支持ロール対22,24,26が下端部に設けられている。
【0015】
下ガーダー18は、上ガーダー16と同様に左右両端を門型フレーム14に支持されており、その上面が床レベルLよりもやや低い位置となるように埋設状態で設置される。下ガーダー18は、上述したトップロール20との間で板材を挟み込んで曲げるボトムロール対(第2加工ロール対)30と、ボトムロール対30を下方から接触支持する複数の支持ロール群32,34,36と、各支持ロール群32,34,36を各々軸支するロール支持部42,44,46とを上面に備える。
【0016】
また、ボトムロール対30も各支持ロール群32,34,36と同様に下ガーダー18の両端に設置されたロール支持部48A,48Bによって軸支されている。そして、各ロール支持部42,44,46,48A,48Bは各々の前面に配置された移動機構52,54,56,58A,58Bに連結されている。各移動機構52,54,56,58A,58Bは、駆動モータ62,64に接続された伝達軸66によって直列的に接続されており、駆動モータ62,64によって回転駆動され各ロール支持部42,44,46,48A,48Bを前後方向Xに移動させる機能を有する。各ロール支持部42,44,46,48A,48B及びその周辺構成は同一であるためロール支持部42及びその周辺構成についてのみ以下において説明する。
【0017】
ここで、
図2は、
図1に含まれる下ガーダー18の上面に配置されたボトムロール対30および支持ロール群32,34,36の上面視における概略構成図である。
図3(a)は、ロール支持部42の前面側構成を示す図である。同図(b)は、
図2に示すA-A線で切断した断面図である。
【0018】
図2および
図3(a),(b)に示すように、ロール支持部42は、ボトムロール対30に近接配置された支持ロール群32の両端を軸支する。この支持ロール群32は、支持ロール(第2支持ロール)32Aと、支持ロール(第2支持ロール)32Bと、支持ロール(第1支持ロール)32Cから構成される。また、このロール支持部42の脚部42A,42Bには第1のロール位置調節機構71,72が各々設けられている。第1のロール位置調節機構71,72は同一構成を備えるため第1のロール位置調節機構72についてのみ説明する。
【0019】
第1のロール位置調節機構72は、ロール支持部42に対する前後方向位置を変化させることによりロール支持部42を昇降させる移動体73と、ロール支持部42に対して前後方向Xに移動体73を移動させる位置変更ユニット74とを含む。この移動体73は、側面視において略直角三角形状の外観を有するとともに、ロール支持部42とガイドレールGL1の双方に対して前後方向Xに移動可能な状態で脚部42BとガイドレールGL1との間に挟み込まれる。
【0020】
より詳しくは、移動体73の上面には前後方向Xに沿って延びるガイド溝73A(
図3(a)参照)が形成されており、このガイド溝73Aの底面は前方から後方に向けて上方に向かって緩やかに傾斜している。これに対して、ロール支持部42における脚部42Bの下端部42B-1は、上述したガイド溝73Aに前後方向Xに沿って移動可能に嵌まり込むように形成されている。これらの構成により、ロール支持部42に対する移動体73の前後方向位置を変化させることによってロール支持部42を昇降させることが可能となる。
【0021】
また、移動体73は、ガイドレールGL1から脱落しないように底面内側に脱落防止用突起73Bが前後方向Xに沿って設けられている。これにより、移動体73がガイドレールGL1から脱落するのを防止できる。
【0022】
位置変更ユニット74は、移動体73の突出部73Cに設けられた貫通孔に挿通された状態でロール支持部42における脚部42Bの後端側に固定された植込みボルト75を含む。この植込みボルト75は移動体73の突出部73Cに設けられた貫通孔に挿し込まれており、ナット76A,76Bが突出部73Cを間に挟み込むように螺合している。
【0023】
両ナット76A,76Bは突出部73Cを挟み込む方向に互いに締め込むことにより緩みなく植込みボルト75を突出部73Cに固定する役割を有する。そして、ロール支持部42を上昇させる場合には、前方のナット76Aを予め前方に移動させて突出部73Cと離間させてから後方のナット76Bをスパナなどでねじ込んで前方へ移動させることで移動体73における突出部73Cを押圧させる。そして、この押圧力により移動体73をロール支持部42に対して相対的に前方へと押し出してロール支持部42を上昇させることができる。
【0024】
また、反対に、移動体73を下降させる場合には、後方のナット76Bを予め後方へ移動させ突出部73Cと離間した状態で前方のナット76Aをねじこんで後方に移動させて移動体73の突出部73Cを押圧させる。そして、この押圧力により移動体73がロール支持部42に対して相対的に後方へ引き出されロール支持部42を下降させることができる。
【0025】
ロール支持部42は、
図3(b)に示すように、支持ロール32A,32B,32Cを軸支する軸支部42-1,42-2,42-3を脚部42Bの上部に各々備える。軸支部42-1,42-2には第2のロール位置調節機構81,82が各々設けられている。ここで、ロール支持部42における反対側の脚部42Aの構成は、上述した脚部42Bの構成と同一であるため説明を省略する。また、第2のロール位置調節機構81,82の構成は実質的に同一であるため第2のロール位置調節機構82についてのみ以下において説明する。
【0026】
第2のロール位置調節機構82は、
図3(b)及び
図4(a)に示すように、支持ロール32Bの軸端32B-1に取り付けられた軸受83と、支持ロール32Bの軸端32B-1から軸受83が脱落するのを防止する外れ止めキャップ84と、軸受83が挿入される円筒状のハウジング(筒状体)86とを備える。このハウジング86において、
図4(b-1)及び同図(b-2)に示す回転中心P1はロール支持部42に対して回転するときの回転中心であり、中心位置P2は円柱状空間を含む内周部86aの中心位置である。このように、ハウジング86は、自転するときの回転中心P1に対して中心位置P2の位置が所定距離tだけ偏心するように構成されている。
【0027】
また、支持ロール32Bにおける軸端32B-1の回転中心となる軸中心位置は上記中心位置P2に一致するようにハウジング86に保持される。このため、ハウジング86を自転させると、換言すると、ロール支持部42に対してハウジング86を回転させると軸端32B-1の軸中心位置が所定距離tを半径とする円周状の軌道を描くように変位する。この作用を利用することにより、ボトムロール30Bに対して支持ロール32Bを接近または離間させることが可能となる。
【0028】
また、ハウジング86の端面には、正八角形状の外形を有する位置調整キャップ87が固定されている。この位置調整キャップ87の外周に沿って半円弧状をした固定プレート88がロール支持部42の軸支部42-2に着脱可能に固定される。この固定プレート88は、半円弧状の外観形状を有し、内周側に位置調整キャップ87の上記外形に嵌合可能な、例えば、鋸刃状をした嵌合部88Sが設けられている。また、固定プレート88は、周方向に沿って長孔88A,88B,88C,88Dが4つ設けられており、各長孔88A~88Dに挿し込まれたボルトBT1~BT4をロール支持部42の軸支部42-2に形成されたねじ穴に各々ねじ込んで固定されている。
【0029】
本実施形態では、
図4(c-1)に示すように固定プレート88における各長孔88A~88Dの前端側で固定した場合に支持ロール32Bがボトムロール30Bから最も離間する。そして、
図4(c-2)に示すように、固定プレート88を前方へ回動させるほど支持ロール32Bがボトムロール30Bに接近するよう構成されており、固定プレート88を各長孔88A~88Dの中央付近で固定したときに支持ロール32Bがボトムロール30Bに接触するように設定されている。
【0030】
続いて、
図5及び
図6を参照しつつ第1および第2のロール位置調節機構72,82を用いた各支持ロール32A~32Cの位置調節方法について説明する。ロール支持部42の脚部42Aにおける位置調節手順と脚部42Bにおける位置調節手順は実質的に同一であるため、以下の説明では脚部42Bにおける位置調節手順について主として説明を行うとともに、脚部42Aについては適宜説明を省略する。
【0031】
図5(a)~
図5(c)は、第1のロール位置調節機構72による支持ロール32Bの位置調節方法を説明する図である。
図5(a)に示すように、ボトムロール対30をロール支持部42の脚部42Bに軸支させる前に植込みボルト75に取り付けられているナット76A,76Bを各々回転操作することによりロール支持部42の脚部42Bに対して移動体73を相対的に後方へ移動させる。
【0032】
これにより、ボトムロール対30を設置する際、支持ロール群32がボトムロール対30に接触して設置作業の妨げにならないように、ロール支持部42を降下させて支持ロール群32と、設置されるボトムロール対30との間に適当な大きさの隙間を確保できる。
【0033】
そして、
図5(b)に示すように、ボトムロール対30の設置後、植込みボルト75に取り付けられているナット76A,76Bを回転操作することにより移動体73をロール支持部42に対して相対的に前方に移動させる。これにより、ボトムロール対30のいずれか一方のロール(
図5(b)ではボトムロール30Aに接触する場合を図示)に支持ロール32Cが接触する。
【0034】
そして、さらに移動体73をロール支持部42に対して相対的に前方に移動させると、
図5(c)に示すように接触しているボトムロール30Aから支持ロール32Cに作用する反力により移動体73がロール支持部42とともにガイドレールGL1に沿って後方にわずかに押し出され他方のロール(
図5(c)ではボトムロール30Bに接触する場合を図示)にも支持ロール32Cを接触させることができる。
【0035】
これにより、ボトムロール対30の双方に支持ロール32Cを接触させることができる。それから、ナット76A,76Bによって移動体73の突出部73Cを挟み込むように締め込こんで固定する。また、第1のロール位置調節機構71についても上述した第1のロール位置調節機構72と同様の手順で位置調節作業を行う。これにより、支持ロール32Cに対する位置調節作業が完了する。
【0036】
図6(a)および
図6(b)は、第2のロール位置調節機構82による支持ロール32Bの位置調節方法を説明する図である。ボトムロール対30の設置前において第2のロール位置調節機構82は、
図6(a)に示すように支持ロール32Bが最も下降した位置となるよう固定プレート88における各長孔88A~88Dの前端側の位置を各ボルトBT1~BT4で固定されている。この状態からボルトBT1~BT4を緩めて同プレート88を矢印Cの方向へ回転させ、ボトムロール30Bに接触する位置まで支持ロール32Bを上昇させる。そして、各ボルトBT1~BT4で固定プレート88をロール支持部42に固定する(
図6(b)参照)。支持ロール32Bの反対側の軸端に設けられている第2のロール位置調節機構についても同様の手順で固定プレートを回転させてから固定する。これにより、ボトムロール30Bに支持ロール32Bを接触支持させることができる。また、上述した支持ロール32Bと同様の手順によって支持ロール32Aについても位置調節を行ってボトムロール30Aを接触支持させる。これにより、支持ロール群32の位置調節作業が完了する。
【0037】
本実施形態のベンディングロール機10における第1のロール位置調節機構72によれば、移動体73の前後方向位置を変更することによりボトムロール対30を構成する一方のロールに支持ロール32Cを押し当て、その反力によってロール支持部42がボトムロール対30を構成する他方のロールの方へ支持ロール32Cとともに押し出される。このため、ボトムロール対30を構成する双方のロールに支持ロール32Cを接触させることができる。また、支持ロール32Cの反対側の軸端に設けられている第1のロール位置調節機構71についても同様の手順でボトムロール対30を構成する双方のロールに支持ロール32Cを接触させることができる。
【0038】
これにより、駆動モータやギア機構を設けることなく単一の支持ロール32Cによってボトムロール対30を構成する双方のロールを接触支持させることができる。この結果、製造コストの増大を抑制しつつボトムロール対30の撓みを軽減することができる。
【0039】
また、本実施形態のベンディングロール機10における第2のロール位置調節機構82によれば、ロール支持部42に対してハウジング86を回転させることによりボトムロール30Bに接触する位置まで支持ロール32Bを回動させるとともに、支持ロール32Bがロール支持部42に対して回転しないように固定プレート88を用いてロール支持部42に支持ロール32Bを固定することができる。また、支持ロール32Bの反対側の軸端に設けられている第2の位置調節機構についても同様の手順で操作を行うことによりボトムロール30Bに接触する位置まで支持ロール32Bを回動させることができる。
【0040】
これにより、駆動モータやギア機構を設けることなく支持ロール32Bによってボトムロール30Bを接触支持させることができる。この結果、製造コストの増大を抑制しつつボトムロール30Bの撓みも軽減できる。
【0041】
本実施形態では、第1のロール位置調節機構72および第2のロール位置調節機構82の双方を用いてボトムロール対30に支持ロール32B,32Cを各々接触支持させる例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、支持ロール32Cと同様に支持ロール32A,32Bも第2のロール位置調節機構を設けることなくロール支持部42に軸支させ、第1のロール位置調節機構72によるロール支持部42の位置調整だけで各支持ロール32A~32Cをボトムロール対30に接触させるようにしてもよい。この場合にも上記実施形態と同様の効果を得ることができる。但し、この場合には、第1のロール位置調節機構72による調整代しかないため各支持ロール32A~32Cが上記調整代内でボトムロール対30に接触できるように各々を予め設置する必要があり、設置作業に手間を要する。このため上記実施形態のように第1のロール位置調節機構と第2のロール位置調節機構を併用するのがより好適である。
【0042】
本実施形態では、ボトムロール30Bを接触支持する支持ロール32Bに第2のロール位置調節機構82を適用する例を挙げているが、例えば、トップロール20を接触支持する支持ロール対22に適用してもよい。この場合には、ボトムロール対30と異なりトップロール20は単一のロールによって構成されているため上記実施形態のように第1のロール位置調節機構と併用する必要はなく、支持ロール対22を構成する双方のロールに第2のロール位置調節機構を適用すればよい。また、支持ロール対22を構成する一方のロールにだけ第2のロール位置調節機構を適用し、他方のロールについてはトップロール20を接触支持するように予め位置決めした上で設置するようにしてもよい。
【0043】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0044】
10 ベンディングロール機
20 トップロール(第1加工ロール)
30 ボトムロール対(第2加工ロール対)
30A,30B ボトムロール(第2加工ロール)
32,34,36 支持ロール群
32A,32B 支持ロール(第2支持ロール)
32C 支持ロール(第1支持ロール)
42,44,46,48A,48B ロール支持部
71,72 第1のロール位置調節機構
73 移動体
73A ガイド溝
73B 脱落防止用突起
73C 突出部
74 位置変更ユニット(位置変更手段)
75 植込みボルト
76A,76B ナット
81,82 第2のロール位置調節機構
83 軸受
84 外れ止めキャップ
86 ハウジング(筒状体)
87 位置調整キャップ
88 固定プレート
t 所定距離