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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220111BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220111BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H01L29/78 657C
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652K
H01L29/78 652N
H01L27/06 102A
H01L27/04 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018021979
(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公開番号】P2019140235
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉村 充弘
【審査官】西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-218307(JP,A)
【文献】特開平11-220127(JP,A)
【文献】特開2001-326354(JP,A)
【文献】特開2010-177454(JP,A)
【文献】特開2012-174726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0224931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/8234
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板内に設けられた第1導電型のドレイン領域及びソース領域と、
前記ドレイン領域と前記ソース領域との間に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域内に設けられた前記ベース領域よりも高濃度の第2導電型のベースコンタクト領域と、
前記ベース領域にチャネルが形成されるように、ゲート絶縁膜を介して前記ベース領域と接して設けられたゲート電極と、
前記半導体基板に垂直な方向に、前記ゲート電極と重なるように設けられ、一端が前記ゲート電極と電気的に接続され、他端が前記ソース領域と電気的に接続された双方向ダイオードと、
前記ソース領域、前記ベースコンタクト領域、及び前記双方向ダイオードの他端と電気的に接続されたソースメタル層と、
前記ゲート電極と電気的に接続され、前記半導体基板上の少なくとも一部の領域において、前記半導体基板に垂直な方向に、少なくとも一部が前記ソースメタル層と重なるように設けられたゲートメタル層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート電極は、第1導電型のポリシリコン層からなり、
前記双方向ダイオードは、前記ゲート電極と、前記ゲート電極上に設けられた第2導電型の第2のポリシリコン層と、前記第2のポリシリコン層上に設けられた第1導電型の第3のポリシリコン層とを含んで構成され、
前記ゲート電極、前記第2のポリシリコン層、及び前記第3のポリシリコン層は、前記半導体基板に垂直な方向に、この順に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ドレイン領域は、前記半導体基板の裏面から所定の厚さを有して前記半導体基板内に設けられており、
前記半導体基板の表面から前記ドレイン領域の上面に達するトレンチをさらに備え、
前記ゲート絶縁膜は、前記トレンチの内側の底面及び側面を覆っており、
前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜を介して前記トレンチ内に埋め込まれていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のポリシリコン層は、前記ゲート絶縁膜を介して前記トレンチ内に埋め込まれていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3のポリシリコン層は、前記ゲート絶縁膜を介して前記トレンチ内に埋め込まれていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記双方向ダイオードは、前記ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板上に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記双方向ダイオードは、一端が前記ゲートメタル層に接続され、他端が前記ソースメタル層に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記双方向ダイオードは、前記半導体基板上の前記少なくとも一部の領域における前記ソースメタル層上において、第1導電型の第1のポリシリコン層と、前記第1のポリシリコン層上に設けられた第2導電型の第2のポリシリコン層と、前記第2のポリシリコン層上に設けられた第1導電型の第3のポリシリコン層とを含んで構成され、
前記第1のポリシリコン層、前記第2のポリシリコン層、及び前記第3のポリシリコン層は、前記半導体基板に垂直な方向に、この順に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記双方向ダイオードは、前記半導体基板上の前記少なくとも一部の領域における前記ソースメタル層上において、第1導電型の第1のポリシリコン層と、前記第1のポリシリコン層に隣接して設けられた第2導電型の第2のポリシリコン層と、前記第2のポリシリコン層に隣接して設けられた第1導電型の第3のポリシリコン層とを含んで構成され、
前記第1のポリシリコン層、前記第2のポリシリコン層、及び前記第3のポリシリコン層は、前記半導体基板に平行な方向に、この順に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、縦型MOSFET及び該縦型MOSFETのゲート絶縁膜をESDから保護する双方向ダイオードを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の縦型MOSFETを有する半導体装置の一つとして、例えば、特許文献1には、ソースに接続されるメタル層とゲート電極に接続されるメタル層とをそれぞれ二層構造とし、ゲート電極に接続される二層構造のメタル層のうちの上層のメタル層の上面の一部をゲートパッド部とすることにより、双方向ダイオードをゲートパッド部と非重畳で配置することが提案されている。これにより、ゲートパッド部の下方に双方向ダイオードが配置されないため、当該ゲートパッド部下方にも縦型MOSFETを配置すること、すなわち、素子領域を大きく確保することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-177454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、双方向ダイオードが形成されている領域には縦型MOSFETを配置できない。そのため素子領域をさらに拡大することは困難である。
【0005】
したがって、本発明は、双方向ダイオードを形成する領域にも縦型MOSFETを形成することが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の半導体装置は半導体基板と、前記半導体基板内に設けられた第1導電型のドレイン領域及びソース領域と、前記ドレイン領域と前記ソース領域との間に設けられた第2導電型のベース領域と、前記ベース領域よりも高濃度の第2導電型のベースコンタクト領域と、前記ベース領域にチャネルが形成されるように、ゲート絶縁膜を介して前記ベース領域と接して設けられたゲート電極と、前記半導体基板に垂直な方向に、前記ゲート電極と重なるように設けられ、一端が前記ゲート電極と電気的に接続され、他端が前記ソース領域と電気的に接続された双方向ダイオードと、前記ソース領域、前記ベース領域、及び前記双方向ダイオードの他端と電気的に接続されたソースメタル層と、前記ゲート電極と電気的に接続され、前記半導体基板上の少なくとも一部の領域、前記半導体基板に垂直な方向に、少なくとも一部が前記ソースメタル層と重なるように設けられたゲートメタル層とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、双方向ダイオードは、半導体基板と垂直な方向において、ゲート電極と重なるように設けられる。すなわち、双方向ダイオードと、ゲート電極、ドレイン領域、ソース領域、及びベース領域からなる縦型MOSFETとを平面視で同じ領域に形成することが可能となる。したがって、双方向ダイオードを形成しても、素子領域を拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の半導体装置の平面構造を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の半導体装置の構造を示す断面図であり、図1に示す半導体装置のC-C’線に沿った断面に対応する図である。
図3】本発明の第1の実施形態の半導体装置を示す別の断面図であり、図1に示す半導体装置のD-D’線に沿った断面に対応する図である。
図4】本発明の第2の実施形態の半導体装置の構造を示す断面図であり、図1に示す半導体装置のC-C’線に沿った断面に対応する図である。
図5】本発明の第3の実施形態の半導体装置の構造を示す断面図であり、図1に示す半導体装置のC-C’線に沿った断面に対応する図である。
図6】本発明の第4の実施形態の半導体装置の構造を示す断面図であり、図1に示す半導体装置のC-C’線に沿った断面に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の半導体装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態の縦型MOSFETを有する半導体装置100を説明するための平面図である。なお、本平面図は、後述する第2~第4の実施形態の半導体装置200~400においても共通である。
【0011】
図1に示すように、本発明の実施形態の半導体装置100は、アクティブ領域Aとフィールド領域Bとを備えており、アクティブ領域Aに、N型(第1導電型)の縦型MOSFET(図示せず)、ゲートパッドGG、及びソースパッドSSが設けられている。
【0012】
図2は、本発明の第1の実施形態の半導体装置100における縦型MOSFETの構造を説明するための断面図であり、図1のC-C’線に沿った断面図である。
【0013】
図2に示すように、本実施形態の半導体装置100は、N型(第1導電型)の高濃度半導体層101と、高濃度半導体層101上に設けられた高濃度半導体層101よりも不純物濃度が低いN型のドリフト領域102と、ドリフト領域102上に形成されたP型(第2導電型)のベース領域103とからなる半導体基板120とを備えている。かかる半導体基板120は、例えば、高濃度半導体層101としてN型のシリコン単結晶基板を用い、シリコン単結晶基板上にN型のエピタキシャルシリコン層を成長させ、該エピタキシャル層上面からP型の不純物を注入し、エピタキシャルシリコン層の下部にドリフト領域102を残存させ、上部をベース領域103とすることにより形成される。高濃度半導体層101とドリフト領域102とは、ドレイン領域を構成している。半導体基板120の裏面には、ドレイン電極117が設けられている。
【0014】
ベース領域103には、半導体基板120の表面からドリフト領域102(ドレイン領域)の上面に達する複数のトレンチ104が設けられている。各トレンチ104内には、トレンチ104の内側の底面及び側面を覆うようにゲート絶縁膜105が設けられている。さらに、トレンチ104内には、ゲート絶縁膜105を介して、トレンチ104底部から、半導体基板120表面からの深さdの位置まで、N型ポリシリコン層からなるゲート電極106が埋め込まれている。ゲート電極106上には、P型ポリシリコン層107及びN型ポリシリコン層108が半導体基板120に垂直な方向にこの順に積層され、トレンチ104内に埋め込まれている。これらゲート電極(N型ポリシリコン層)106、P型ポリシリコン層107、及びN型ポリシリコン層108により、ゲート電極106が一端、N型ポリシリコン層108が他端となる双方向ダイオード109が構成されている。
【0015】
トレンチ104の上部外側面に隣接した領域には、半導体基板120の表面からdの位置までの深さを有するN型のソース領域110が設けられており、これにより、ソース領域110とドリフト領域102(ドレイン領域)との間のベース領域におけるトレンチ104の外側面に沿った領域がチャネル領域となる。また、ベース領域103内の隣接するソース領域間の半導体基板120表面には、ベース領域103よりも不純物濃度が高いP型のベースコンタクト領域111が設けられている。なお、ソース領域110は、例えば、ゲート電極106を形成した後、ポリシリコン層107を形成する前に、傾斜をもたせた状態で回転注入によるイオン注入、あるいは傾斜の方向を変えた複数回のイオン注入等により形成される。
【0016】
ゲート絶縁膜105の上面、ポリシリコン層108の上面、ソース領域110の上面、及びベースコンタクト領域111の上面は、面一となっており、これらの上面と接して、二層構造となるソースメタル層112の下層ソースメタル層112aが設けられている。これにより、双方向ダイオード109は、他端のポリシリコン層108がソース領域110と電気的に接続された構成となる。なお、ソース領域110の上面における不純物濃度、及びベースコンタクト領域111の上面における不純物濃度は、ソースメタル層112(下層ソースメタル層112a)との間でオーミック接触を得るため、それぞれ、1×1019/cm3以上、及び1×1020/cm3以上の濃度であることが好ましい。
【0017】
下層ソースメタル層112a上には、少なくともゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域を覆い、ソースパッドSSが形成される領域に対応する領域を露出するように層間絶縁膜113が設けられている。
【0018】
下層ソースメタル層112a上のソースパッドSSが形成される領域に対応する領域には、下層ソースメタル層112aと接続するように上層ソースメタル層112bが設けられている。すなわち、下層ソースメタル層112aと上層ソースメタル層112bとによりソースメタル層112が構成されている。
【0019】
一方、下層ソースメタル層112a上のゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域には、層間絶縁膜113を介して、二層構造となるゲートメタル層114の上層ゲートメタル層114bが設けられている。
【0020】
ここで、図3に示す図1のD-D’線に沿った断面図を参照して、ゲート電極106を外部と電気的に接続するためのゲート引き出し部の構造について説明する。
【0021】
図3に示すように、ゲート電極106は、アクティブ領域Aの端部において、トレンチ104内から半導体基板120表面上のゲート絶縁膜105上へ引き出され、さらに、フィールド領域Bのフィールド絶縁膜118上へ引き出されている。ゲート電極106上には、フィールド領域Bにおいてゲート電極106の上面の一部を露出するコンタクトホール116cを有し、ゲート電極106上を選択的に覆う層間絶縁膜116が設けられている。フィールド領域Bにおいて、層間絶縁膜116上には、下層ゲートメタル層114aが設けられている。下層ゲートメタル層114aは、コンタクトホール116cを埋め込むように形成され、ゲート電極106と電気的に接続されている。
【0022】
上述した層間絶縁膜113は、フィールド領域Bにおいて下層ゲートメタル層114aの上面の一部を露出するコンタクトホール113cを有し、且つ、層間絶縁膜116と接続して下層ソースメタル層112aと下層ゲートメタル層114aとを絶縁するように形成されている。
【0023】
層間絶縁膜113は、例えば、次のようにして形成される。まず、コンタクトホール116cを埋め込み、且つ、ゲート絶縁膜105の上面、ポリシリコン層108の上面、ソース領域110の上面、ベースコンタクト領域111の上面、及び層間絶縁膜116を覆う金属膜を形成する。次に、この金属膜を下層ソースメタル層112a及び下層ゲートメタル層114aの形状にパターニングする。その後、図3に示すように、下層ソースメタル層112aと下層ゲートメタル層114aとの間に埋め込まれ、且つ、下層ソースメタル層112a及び下層ゲートメタル層114a上を選択的に覆うように層間絶縁膜113が形成される。
【0024】
上述の上層ゲートメタル層114bは、フィールド領域Bにおいて露出された下層ゲートメタル層114aの上面と接続するように形成されている。すなわち、下層ゲートメタル層114aと上層ゲートメタル層114bとによりゲートメタル層114が構成されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、ソースメタル層112とゲートメタル層114上には、ソースメタル層112上面の一部及びゲートメタル層114上面の一部を露出させてゲートパッドGG及びソースパッドSSが形成されるように絶縁膜115が設けられている。
【0026】
絶縁膜115は、例えば、次のようにして形成される。まず、コンタクトホール113cを埋め込み、且つ、下層ソースメタル層112a及び層間絶縁膜113を覆う金属膜を形成する。次に、この金属膜を上層ソースメタル層112b及び上層ゲートメタル層114bの形状にパターニングする。その後、図2に示すように、上層ソースメタル層112bと上層ゲートメタル層114bとの間に埋め込まれ、且つ、上層ソースメタル層112b及び上層ゲートメタル層114b上を選択的に覆うように絶縁膜115が形成される。
【0027】
このように、ソースメタル層112とゲートメタル層114とは、それぞれ二層構造を有し、層間絶縁膜116、層間絶縁膜113、及び絶縁膜115によって絶縁された構成となっている。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置100によれば、トレンチ104内において、双方向ダイオード109を構成するN型ポリシリコン層であるゲート電極106、P型ポリシリコン層107、及びN型ポリシリコン層108がこの順に基板120と垂直方向に設けられていることにより、双方向ダイオード109と縦型MOSFETとを平面視で同じ領域に形成することが可能となる。したがって、従来のように、フィールド領域Bに双方向ダイオードを設ける必要がなくなる。すなわち、双方向ダイオード109が形成される領域も素子領域とすることができるため、素子領域を広く確保することが可能となる。
【0029】
図4は、本発明の第2の実施形態の縦型MOSFETを有する半導体装置200の構造を説明するための断面図であり、図1のC-C’線に沿った断面図である。
【0030】
本実施形態の半導体装置200における縦型MOSFETは、プレーナ型の縦型MOSFETであり、半導体基板内にトレンチを設けず、半導体基板表面上に、双方向ダイオードを構成するN型ポリシリコン層(ゲート電極)、P型ポリシリコン層、及びN型ポリシリコン層を積層する点が、第1の実施形態の半導体装置100と大きく異なる点である。以下、具体的に説明するが、第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、同様な構成については、詳細な説明は適宜省略する。
【0031】
図4に示すように、本実施形態の半導体装置200は、N型の高濃度半導体層201(例えば、シリコン単結晶基板)と、高濃度半導体層201上に設けられた高濃度半導体層201よりも不純物濃度が低いN型のドリフト領域202(例えば、エピタキシャルシリコン層)とからなる半導体基板220とを備えている。高濃度半導体層201とドリフト領域202とは、ドレイン領域を構成している。半導体基板220の裏面には、ドレイン電極217が設けられている。
【0032】
半導体基板220の表面には、P型のベース領域203と、ベース領域203内部において半導体基板220表面に設けられたN型のソース領域210と、半導体基板220の表面からソース領域210を通ってベース領域203に達するベース領域203よりも不純物濃度が高いP型のベースコンタクト領域211とが設けられている。
【0033】
半導体基板220上には、ベース領域203の半導体基板220表面部にチャネルが形成されるように、ゲート絶縁膜205を介してN型ポリシリコン層からなるゲート電極206が設けられている。ゲート電極206上には、P型ポリシリコン層207と、N型ポリシリコン層208とが半導体基板220に垂直な方向にこの順に積層され、これらゲート電極206、P型ポリシリコン層207、及びN型ポリシリコン層208により、ゲート電極206が一端、N型ポリシリコン層208が他端となる双方向ダイオード209が構成されている。
【0034】
なお、ベース領域203は、例えば、ゲート電極205をマスクとして、半導体基板220の上面からP型の不純物を注入した後、該不純物がゲート電極205の下部まで広がるように熱拡散させることにより形成される。ソース領域210は、例えば、ゲート電極205をマスクとして、半導体基板220の上面からN型の不純物を注入することにより形成される。ベースコンタクト領域211は、ソース領域210の一部上に開口を有するフォトレジストをマスクとして、半導体基板220の上面からP型の不純物を注入することにより形成される。
【0035】
半導体基板220上の双方向ダイオード209を除く領域には、双方向ダイオード209の他端であるN型ポリシリコン層208の表面と同等の高さまで、層間絶縁膜216が設けられている。層間絶縁膜216には、各ソース領域210及びベースコンタクト領域211の上面を露出するコンタクトホール216cが形成されている。ポリシリコン層208及び層間絶縁膜216上には、二層構造となるソースメタル層212の下層ソースメタル層212aが設けられている。下層ソースメタル層212aは、コンタクトホール216c内にも形成され、ソース領域210の上面及びベースコンタクト領域211の上面と接続されている。これにより、双方向ダイオード209は、他端のN型ポリシリコン層208がソース領域210と電気的に接続された構成となる。
【0036】
下層ソースメタル層212a上には、第1の実施形態と同様に、層間絶縁膜113が設けられている。下層ソースメタル層212a上のソースパッドSSが形成される領域に対応する領域には、第1の実施形態と同様に、下層ソースメタル層212aと接続する上層ソースメタル層112bが設けられている。すなわち、下層ソースメタル層212aと上層ソースメタル層112bとによりソースメタル層212が構成されている。
【0037】
一方、下層ソースメタル層212a上のゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域には、第1の実施形態と同様に、層間絶縁膜113を介して、二層構造となるゲートメタル層114の上層ゲートメタル層114bが設けられている。
【0038】
本実施形態におけるゲート電極206を外部と電気的に接続するためのゲート引き出し部の構造については、図示は省略するが、図3に示した第1の実施形態におけるゲート引き出し部と略同様の構造を有している。すなわち、ゲート電極206は、アクティブ領域の端部からフィールド領域にかけて、半導体基板220表面上のゲート絶縁膜205上から、フィールド絶縁膜上へ引き出され、その上に形成される下層ゲートメタル層と接続される。そして、上層ゲートメタル層114bは、フィールド領域Bにおいて露出された下層ゲートメタル層の上面と接続するように形成され、下層ゲートメタル層と上層ゲートメタル層114bとからなるゲートメタル層114が形成される。
【0039】
ソースメタル層212とゲートメタル層114上には、第1の実施形態と同様、ソースメタル層212上面の一部及びゲートメタル層114上面の一部を露出させてゲートパッドGG及びソースパッドSSが形成されるように絶縁膜115が設けられている。
【0040】
このように、ソースメタル層212とゲートメタル層114とは、第1の実施形態と同様、それぞれ二層構造を有し、互いに絶縁された構成となっている。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置200によっても、双方向ダイオード209を構成するN型ポリシリコン層であるゲート電極206、P型ポリシリコン層207、及びN型ポリシリコン層208がこの順に基板120と垂直方向に設けられていることにより、第1の実施形態と同様、双方向ダイオード209と縦型MOSFETとを平面視で同じ領域に形成することが可能となる。したがって、素子領域を広く確保することができる。
【0042】
図5は、本発明の第3の実施形態の半導体装置300における縦型MOSFETの構造を説明するための断面図であり、図1のC-C’線に沿った断面図である。
【0043】
本実施形態の半導体装置300における縦型MOSFETは、第1の実施形態の縦型MOSFETと同様、トレンチ型の縦型MOSFETではあるが、双方向ダイオードをトレンチ内には設けず、下層ソースメタル層上に設ける点が、第1の実施形態の半導体装置100と大きく異なる点である。以下、具体的に説明するが、第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、同様な構成については、詳細な説明は適宜省略する。
【0044】
図5に示すように、本実施形態の半導体装置300は、第1の実施形態と同様、ドレイン領域を構成するN型の高濃度半導体層101及びN型のドリフト領域102と、P型のベース領域103とからなる半導体基板120を備えている。半導体基板120の裏面には、ドレイン電極117が設けられている。
【0045】
ベース領域103には、複数のトレンチ104が設けられ、各トレンチ104内には、トレンチ104底部から半導体基板120表面からの深さdの位置まで、トレンチ104の内側の底面及び側面を覆うゲート絶縁膜305が設けられ、さらにゲート絶縁膜305を介して、ポリシリコン層からなるゲート電極306が埋め込まれている。ゲート絶縁膜305及びゲート電極306上のトレンチ104の残りの部分には、層間絶縁膜316が埋め込まれている。
【0046】
第1の実施形態と同様、トレンチ104の上部外側面に隣接した領域には、N型のソース領域110が設けられ、また、ベース領域103内の隣接するソース領域間の半導体基板120表面には、P型のベースコンタクト領域111が設けられている。
【0047】
層間絶縁膜316の上面、ソース領域110の上面、及びベースコンタクト領域111の上面は、面一となっており、これらの上面と接して、二層構造となるソースメタル層312の下層ソースメタル層312aが設けられている。
【0048】
下層ソースメタル層312a上のゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域には、N型ポリシリコン層321、P型ポリシリコン層322、及びN型ポリシリコン層323を含む双方向ダイオード309が設けられている。N型ポリシリコン層321、P型ポリシリコン層322、及びN型ポリシリコン層323は、半導体基板120に垂直な方向に、この順に配置されている。
【0049】
下層ソースメタル層312a上には、少なくともゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域のうち双方向ダイオード309が形成されている部分を除く領域を覆い、ソースパッドSSが形成される領域に対応する領域を露出するように層間絶縁膜313が設けられている。なお、双方向ダイオード309は、例えば、下層ソースメタル層312a上に、スパッタリング法等によりポリシリコン層を形成し、イオン注入を行うことを繰り返して、N型ポリシリコン層、P型ポリシリコン層、N型ポリシリコン層の積層膜を形成し、これをパターニングすることにより形成される。また、層間絶縁膜313は、例えば、双方向ダイオード309上を含む下層ソースメタル層312a上全面に絶縁膜を形成した後、双方向ダイオード309のN型ポリシリコン層323の上面、及びソースパッドSSが形成される領域に対応する領域を露出させるようにパターニングされて形成される。
【0050】
下層ソースメタル層312a上のソースパッドSSが形成される領域に対応する領域には、下層ソースメタル層312aと接続するように上層ソースメタル層112bが設けられている。すなわち、下層ソースメタル層312aと上層ソースメタル層312bとによりソースメタル層312が構成されている。
【0051】
一方、下層ソースメタル層312a上のゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域には、層間絶縁膜313及び双方向ダイオード309を介して、二層構造となるゲートメタル層314の上層ゲートメタル層314bが設けられている。
【0052】
本実施形態におけるゲート電極306を外部と電気的に接続するためのゲート引き出し部の構造については、図示は省略するが、図3に示した第1の実施形態におけるゲート引き出し部と略同様の構造を有している。すなわち、上層ゲートメタル層314bは、フィールド領域Bにおいて、層間絶縁膜313に形成されたコンタクトホール内に露出された下層ゲートメタル層の上面と接続するように形成され、下層ゲートメタル層と上層ゲートメタル層314bとからなるゲートメタル層314が形成される。
【0053】
したがって、双方向ダイオード309は、一端であるN型ポリシリコン層323が上層ゲートメタル層314b(ゲートメタル層314)を介してゲート電極306に電気的に接続され、他端であるN型ポリシリコン層321が下層ソースメタル層312aに接続された構成となる。
【0054】
ソースメタル層312とゲートメタル層314上には、第1の実施形態と同様、ソースメタル層312上面の一部及びゲートメタル層314上面の一部を露出させてゲートパッドGG及びソースパッドSSが形成されるように絶縁膜115が設けられている。
【0055】
このように、ソースメタル層312とゲートメタル層314とは、第1の実施形態と同様、それぞれ二層構造を有し、互いに絶縁された構成となっている。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置300によっても、双方向ダイオード309を構成するN型ポリシリコン層321、P型ポリシリコン層322、及びN型ポリシリコン層323がこの順に基板120と垂直方向に設けられていることにより、双方向ダイオード309と縦型MOSFETとを平面視で同じ領域に形成することが可能となる。よって、素子領域を広く確保することができる。
【0057】
図6は、本発明の第4の実施形態の半導体装置400における縦型MOSFETの構造を説明するための断面図であり、図1のC-C’線に沿った断面図である。
【0058】
本実施形態の半導体装置400における縦型MOSFETは、双方向ダイオードの構造が第3の実施形態の半導体装置300と異なる点である。その他の点は、第3の実施形態の半導体装置300と略同一であるため、第3の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0059】
図6に示すように、本実施形態の半導体装置400では、第3の実施形態と同様、下層ソースメタル層312a上のゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域に、N型ポリシリコン層421、P型ポリシリコン層422、及びN型ポリシリコン層423を含む双方向ダイオード409が設けられている。ただし、N型ポリシリコン層421、P型ポリシリコン層422、及びN型ポリシリコン層423は、第3の実施形態と異なり、半導体基板120に平行な方向に、この順に配置されている。
【0060】
双方向ダイオード409及びその周辺の具体的な構成を以下に説明する。
【0061】
下層ソースメタル層312aの上には、下層ソースメタル層312a上の少なくともゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域を覆い、ソースパッドSSが形成される領域に対応する領域を露出するように層間絶縁膜424が設けられている。そして、層間絶縁膜424上に双方向ダイオード409が設けられている。
【0062】
双方向ダイオード409のN型ポリシリコン層421は、層間絶縁膜424に形成されたコンタクトホールを介して下層ソースメタル層312aに接続されている。さらに、層間絶縁膜424上には、双方向ダイオード409を覆う層間絶縁膜413が設けられている。なお、双方向ダイオード409は、例えば、層間絶縁膜424に形成されたコンタクトホール内及び層間絶縁膜424上にポリシリコン層を形成した後、該ポリシリコン層にN型の不純物を注入し、さらに、P型ポリシリコン層422となる領域部上に開口を有するフォトレジストをマスクとして、P型の不純物を注入することにより形成される。
【0063】
下層ソースメタル層312a上のゲートパッドGGが形成される領域に対応する領域には、層間絶縁膜424、双方向ダイオード409、及び層間絶縁膜413を介して、二層構造となるゲートメタル層414の上層ゲートメタル層414bが設けられている。上層ゲートメタル層414bは、層間絶縁膜413に形成されたコンタクトホールを介して、双方向ダイオード409のN型ポリシリコン層423と接続されている。
【0064】
上層ゲートメタル層414bは、第3の実施形態と同様、図3に示した第1の実施形態におけるゲート引き出し部と略同様の構造を有している。すなわち、上層ゲートメタル層414bは、フィールド領域Bにおいて、層間絶縁膜424及び413に形成されたコンタクトホール内に露出された下層ゲートメタル層の上面と接続するように形成され、下層ゲートメタル層と上層ゲートメタル層414bとからなるゲートメタル層414が形成される。
【0065】
したがって、双方向ダイオード409は、一端であるN型ポリシリコン層423が上層ゲートメタル層414b(ゲートメタル層414)を介してゲート電極306に電気的に接続され、他端であるN型ポリシリコン層421が下層ソースメタル層312aに接続された構成となる。
【0066】
ソースメタル層312とゲートメタル層414上には、第1の実施形態と同様、ソースメタル層312上面の一部及びゲートメタル層414上面の一部を露出させてゲートパッドGG及びソースパッドSSが形成されるように絶縁膜115が設けられている。
【0067】
このように、ソースメタル層312とゲートメタル層414とは、第1の実施形態と同様、それぞれ二層構造を有し、互いに絶縁された構成となっている。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置400によっても、双方向ダイオード409と縦型MOSFETとを平面視で同じ領域に形成することができ、第1~第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0070】
例えば、上記実施形態においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とし、N型の縦型MOSFETを有する半導体装置を例として説明したが、本発明は、導電型を入れ替えて、P型の縦型MOSFETを有する半導体装置とすることも可能である。
【0071】
各実施形態における双方向ダイオードの層数は、上述した三層に限らず、五層、七層等、さらに増やすことも可能である。
【0072】
上記第3及び第4の実施形態において、双方向ダイオード309及び409は、それぞれポリシリコン層321、323及びポリシリコン層421、423をN型とし、ポリシリコン層322及び422をP型として説明したが、ポリシリコン層321、323及びポリシリコン層421、423をP型とし、ポリシリコン層322及び422をN型としてもかまわない。
【0073】
また、上記第3及び第4の実施形態は、トレンチ型の縦型MOSFETを有する半導体装置を例として説明したが、両実施形態は、トレンチ型に替えてプレーナ型の縦型MOSFETを有する半導体装置とすることも可能である。
【符号の説明】
【0074】
101、201 高濃度半導体層
102、202 ドリフト領域
103、203 ベース領域
104 トレンチ
105、205、305 ゲート絶縁膜
106、206、306 ゲート電極
107、207、322、422 P型ポリシリコン層
108、208、321、323、421、423 N型ポリシリコン層
109、209、309、409 双方向ダイオード
110、210 ソース領域
111、211 ベースコンタクト領域
112、212、312 ソースメタル層
113、116、216、313、316、413、424 層間絶縁膜
114、214、314、414 ゲートメタル層
115 絶縁膜
117 ドレイン電極
118 フィールド絶縁膜
120、220 半導体基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6