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特許6998819分布した各点の有する値の分布情報を生成する装置、プログラム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】分布した各点の有する値の分布情報を生成する装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/20 20190101AFI20220111BHJP
   G06F 16/28 20190101ALI20220111BHJP
【FI】
G06F16/20
G06F16/28
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018070769
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2019185097
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】村松 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】高木 悟
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-250358(JP,A)
【文献】特開2013-148684(JP,A)
【文献】特開2009-276707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間内に分布した複数の点であって各々が分布情報生成対象である値を有する複数の点の集合について、当該値の分布情報を生成する分布情報生成装置であって、
当該空間を、複数の区域であって、各区域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域に分割する分割手段と、
当該区域毎に、当該区域に属する当該点の個数が当該所定個数範囲内で揃っている下での当該点の値に基づいて、当該区域を特徴づける区域値を決定する区域値決定手段と、
少なくとも当該点の属している当該区域毎に、予め区域値毎に対応付けられた度合い情報のうち、当該区域の当該区域値に対応付けられた度合い情報を付与する度合い付与手段と、
当該区域に付与された当該度合い情報に基づいて、当該値の分布情報を生成する値分布生成手段と
を有することを特徴とする分布情報生成装置。
【請求項2】
前記分割手段は、当該空間を複数の領域に分割した上で、領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、いずれの領域においても当該領域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされるまで、及び/又はいずれかの領域において当該領域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされなくなる手前まで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域を当該複数の区域とすることを特徴とする請求項1に記載の分布情報生成装置。
【請求項3】
前記分割手段は、当該空間を複数の領域に分割した上で、自らに属する当該点の個数が所定閾値以下又は未満との所定個数範囲に入らない領域である条件外領域が存在する場合に当該条件外領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、当該条件外領域がなくなるまで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域を当該複数の区域とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の分布情報生成装置。
【請求項4】
前記分割手段は、当該空間を複数の領域に分割した上で、自らに属する当該点の個数が所定閾値以上又は所定閾値を超えるとの所定個数範囲に入らない領域である条件外領域が存在しない場合に各当該領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、当該条件外領域が出現する手前まで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域を当該複数の区域とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の分布情報生成装置。
【請求項5】
前記分割手段は、当該空間を複数の領域に分割した上で、自らに属する当該点の個数が異なる2つの閾値の間として規定される所定個数範囲を下回る領域である下限条件外領域が存在しない場合に各当該領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、当該下限条件外領域が出現する手前まで実行し、さらに、自らに属する当該点の個数が前記所定個数範囲を上回る領域である上限条件外領域が存在する場合に当該上限条件外領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、当該上限条件外領域がなくなるまで、又は当該下限条件外領域が出現する手前まで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域を当該複数の区域とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の分布情報生成装置。
【請求項6】
前記区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域値が存在しないことを決定し、
前記度合い付与手段は、当該区域値の存在しない区域に対し、当該度合い情報を付与しない、又は予め区域値無しに対応付けられた度合い情報を付与する
ことを特徴とする請求項2、3又は5に記載の分布情報生成装置。
【請求項7】
前記区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域を生成した分割処理における分割対象であった元の領域に属する当該点の値の代表値を、区域値として決定することを特徴とする請求項2、3又は5に記載の分布情報生成装置。
【請求項8】
前記区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域を生成した分割処理における分割対象であった元の領域の大きさに対する当該区域の大きさの程度に応じて、当該分割処理によって生成された他の区域について決定されるべき区域値の一部を割り振った形となる区域値を決定することを特徴とする請求項2、3又は5に記載の分布情報生成装置。
【請求項9】
前記区域値決定手段は、当該点の属していない区域について当該区域値を決定するか否かの判断情報を取得し、
当該判断情報が当該区域値を決定しないとの情報である場合、前記区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域値が存在しないことを決定し、前記度合い付与手段は、当該区域値の存在しない区域に対し、当該度合い情報を付与しない、又は予め区域値無しに対応付けられた度合い情報を付与し、
当該判断情報が当該区域値を決定するとの情報である場合、前記区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域を生成した分割処理における分割対象であった元の領域に属する当該点の値の代表値を、区域値として決定する、又は当該元の領域の大きさに対する当該区域の大きさの程度に応じて、当該分割処理によって生成された他の区域について決定されるべき区域値の一部を割り振った形となる区域値を決定する
ことを特徴とする請求項2、3又は5に記載の分布情報生成装置。
【請求項10】
当該空間に、当該値の分布情報を生成すべき値分布範囲が設定されており、
前記分割手段は、当該空間を複数の同じ大きさを有する領域に分割した上で、領域を更に複数の同じ大きさを有する領域に分割する分割処理を、いずれの領域においても当該領域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされるまで、及び/又はいずれかの領域において当該領域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされなくなる手前まで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域のうち、自らに含まれる当該値分布範囲の割合が所定割合閾値以下又は未満となる領域を、当該割合が当該所定割合閾値を超えるまで又は当該所定割合閾値以上となるまで縮小して当該区域とする
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の分布情報生成装置。
【請求項11】
前記分割手段は、当該所定の空間としての2次元面を当該複数の面区域に分割し、
前記区域値決定手段は、当該面区域に属する当該点の値の合計値又は代表値を当該区域値とし、
前記度合い付与手段は、少なくとも当該点の属している当該面区域毎に、色、テクスチャ、図形及び記号のうちの少なくとも1つによって視覚的に識別可能な度合い情報を付与し、
前記値分布生成手段は、色、テクスチャ、図形及び記号のうちの少なくとも1つによって当該値の分布を表現した当該値の分布情報を生成する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の分布情報生成装置。
【請求項12】
所定の空間内に分布した複数の点であって各々が分布情報生成対象である値を有する複数の点の集合について、当該値の分布情報を生成する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
当該空間を、複数の区域であって、各区域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域に分割する分割手段と、
当該区域毎に、当該区域に属する当該点の個数が当該所定個数範囲内で揃っている下での当該点の値に基づいて、当該区域を特徴づける区域値を決定する区域値決定手段と、
少なくとも当該点の属している当該区域毎に、予め区域値毎に対応付けられた度合い情報のうち、当該区域の当該区域値に対応付けられた度合い情報を付与する度合い付与手段と、
当該区域に付与された当該度合い情報に基づいて、当該値の分布情報を生成する値分布生成手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする分布情報生成プログラム。
【請求項13】
所定の空間内に分布した複数の点であって各々が分布情報生成対象である値を有する複数の点の集合について、当該値の分布情報を生成する装置に搭載されたコンピュータにおいて実施される分布情報生成方法であって、
当該空間を、複数の区域であって、各区域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域に分割するステップと、
当該区域毎に、当該区域に属する当該点の個数が当該所定個数範囲内で揃っている下での当該点の値に基づいて、当該区域を特徴づける区域値を決定するステップと、
少なくとも当該点の属している当該区域毎に、予め区域値毎に対応付けられた度合い情報のうち、当該区域の当該区域値に対応付けられた度合い情報を付与するステップと、
当該区域に付与された当該度合い情報に基づいて、当該値の分布情報を生成するステップと
を有することを特徴とする分布情報生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ分布解析技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術やIoT(Internet of Things)技術の進展により、取得される様々なタイプのビッグデータを解析し、マーケティング情報等のビジネスに有用な情報を獲得する動きが加速している。
【0003】
また、取得されたデータにおける分布解析結果を適切に提示・表示する技術も、非常に重要となっている。例えば、現実世界に配された多数の各種装置・センサから収集された測定値(例えば気温等の気象データ)や、調査対象から所定の基準に従い集計された集計値(例えば人口等の統計データ)の分布状況を、例えば地図上に色の分布として表示する技術が実際に広く利用されている。
【0004】
ここで、ある分布空間において、分布状況を表示すべきデータに係る点(測定点やデータ集計点)は通常有限個であるが、このデータの分布を表示する1つのやり方として、当該空間を適切な複数の領域に分割し、各領域を有限個のデータに基づいて特徴づける処理(例えば色分けする処理)を実施することが挙げられる。
【0005】
例えば、特許文献1には、基本単位区データを使ってボロノイ分割法によりボロノイ領域を求め、データをメッシュに按分する技術が開示されている。ちなみに、ボロノイ分割法は、例えば地図上に多数のセンサが配置されている場合に、当該地図上の任意の位置がいずれのセンサにより近いかに基づいて、当該地図領域を分割していく方法となっている。
【0006】
また、他のデータ分布を表示するやり方として、分布したデータを位置に関して補間することも多く行われている。このようなデータ補間について、例えば特許文献2は、有限個のセンサから取得される観測値に対して空間的な補間を行うことによって、センサが存在した任意の位置における観測値を推測する観測値処理技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-228701号公報
【文献】特開2015-10927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されたような従来技術においては、データ分布の表示情報を生成するのに相当の処理コストを必要とすることが問題となってきた。
【0009】
実際、例えば特許文献1に記載された技術のように、分布空間をボロノイ領域に分割する場合、このボロノイ分割法自体において、相当の処理コストがかかってしまう。また、ボロノイ分割法の特性から、領域分割処理後、連続したボロノイ領域の境目に、本来存在しない境界が浮き出てしまうことも少なくない。
【0010】
また、例えば特許文献2に記載された技術のように、分布空間においてデータに対し空間的な補間を行う場合でも、この補間処理のコストが相当に高くなる。さらに、補間処理の結果、補間したデータ間において、本来存在しない連続的な値の変化が視覚化されてしまう場合があり、データ分布にそのような傾向があるものと誤解されるおそれが生じてしまう。
【0011】
そこで、本発明は、より適切なデータ値の分布情報を、より簡易に生成することができる分布情報生成装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、所定の空間内に分布した複数の点であって各々が分布情報生成対象である値を有する複数の点の集合について、当該値の分布情報を生成する分布情報生成装置であって、
当該空間を、複数の区域であって、各区域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域に分割する分割手段と、
当該区域毎に、当該区域に属する当該点の個数が当該所定個数範囲内で揃っている下での当該点の値に基づいて、当該区域を特徴づける区域値を決定する区域値決定手段と、
少なくとも当該点の属している当該区域毎に、予め区域値毎に対応付けられた度合い情報のうち、当該区域の当該区域値に対応付けられた度合い情報を付与する度合い付与手段と、
当該区域に付与された当該度合い情報に基づいて、当該値の分布情報を生成する値分布生成手段と
を有する分布情報生成装置が提供される。
【0013】
ここで、この本発明による分布情報生成装置における分割手段は、当該空間を複数の領域に分割した上で、領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、
(a)いずれの領域においても当該領域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされるまで、及び/又は
(b)いずれかの領域において当該領域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされなくなる手前まで
実行し、当該分割処理後の複数の当該領域を当該複数の区域とすることも好ましい。
【0014】
また、本発明による分布情報生成装置の一実施形態として、分割手段は、当該空間を複数の領域に分割した上で、自らに属する当該点の個数が所定閾値以下又は未満との所定個数範囲に入らない領域である条件外領域が存在する場合に当該条件外領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、当該条件外領域がなくなるまで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域を当該複数の区域とすることも好ましい。
【0015】
さらに、本発明による分布情報生成装置の他の実施形態として、分割手段は、当該空間を複数の領域に分割した上で、自らに属する当該点の個数が所定閾値以上又は所定閾値を超えるとの所定個数範囲に入らない領域である条件外領域が存在しない場合に各当該領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、当該条件外領域が出現する手前まで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域を当該複数の区域とすることも好ましい。
【0016】
さらにまた、本発明による分布情報生成装置の更なる他の実施形態として、分割手段は、当該空間を複数の領域に分割した上で、自らに属する当該点の個数が異なる2つの閾値の間として規定される所定個数範囲を下回る領域である下限条件外領域が存在しない場合に各当該領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、当該下限条件外領域が出現する手前まで実行し、さらに、自らに属する当該点の個数が上記の所定個数範囲を上回る領域である上限条件外領域が存在する場合に当該上限条件外領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、当該上限条件外領域がなくなるまで、又は当該下限条件外領域が出現する手前まで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域を当該複数の区域とすることも好ましい。
【0017】
また、本発明による分布情報生成装置の更なる他の実施形態として、区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域値が存在しないことを決定し、
度合い付与手段は、当該区域値の存在しない区域に対し、当該度合い情報を付与しない、又は予め区域値無しに対応付けられた度合い情報を付与することも好ましい。
【0018】
さらに、本発明による分布情報生成装置の更なる他の実施形態として、区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域を生成した分割処理における分割対象であった元の領域に属する当該点の値の代表値を、区域値として決定することも好ましい。
さらに、本発明による分布情報生成装置の更なる他の実施形態として、区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域を生成した分割処理における分割対象であった元の領域の大きさに対する当該区域の大きさの程度に応じて、当該分割処理によって生成された他の区域について決定されるべき区域値の一部を割り振った形となる区域値を決定することも好ましい。
【0019】
さらにまた、本発明による分布情報生成装置の更なる他の実施形態として、区域値決定手段は、当該点の属していない区域について当該区域値を決定するか否かの判断情報を取得し、
当該判断情報が当該区域値を決定しないとの情報である場合、区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域値が存在しないことを決定し、度合い付与手段は、当該区域値の存在しない区域に対し、当該度合い情報を付与しない、又は予め区域値無しに対応付けられた度合い情報を付与し、
当該判断情報が当該区域値を決定するとの情報である場合、区域値決定手段は、当該分割処理後における当該点の属していない区域に対し、当該区域を生成した分割処理における分割対象であった元の領域に属する当該点の値の代表値を、区域値として決定する、又は当該元の領域の大きさに対する当該区域の大きさの程度に応じて、当該分割処理によって生成された他の区域について決定されるべき区域値の一部を割り振った形となる区域値を決定することも好ましい。
【0020】
また、本発明による分布情報生成装置の更なる他の実施形態として、当該空間に、当該値の分布情報を生成すべき値分布範囲が設定されており、
分割手段は、当該空間を複数の同じ大きさを有する領域に分割した上で、領域を更に複数の同じ大きさを有する領域に分割する分割処理を、いずれの領域においても当該領域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされるまで、及び/又はいずれかの領域において当該領域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされなくなる手前まで実行し、当該分割処理後の複数の当該領域のうち、自らに含まれる当該値分布範囲の割合が所定割合閾値以下又は未満となる領域を、当該割合が当該所定割合閾値を超えるまで又は当該所定割合閾値以上となるまで縮小して当該区域とすることも好ましい。
【0021】
また、本発明による分布情報生成装置における具体例として、分割手段は、当該所定の空間としての2次元面を当該複数の面区域に分割し、
区域値決定手段は、当該面区域に属する当該点の値の合計値又は代表値を当該区域値とし、
度合い付与手段は、少なくとも当該点の属している当該面区域毎に、色、テクスチャ、図形及び記号のうちの少なくとも1つによって視覚的に識別可能な度合い情報を付与し、
値分布生成手段は、色、テクスチャ、図形及び記号のうちの少なくとも1つによって当該値の分布を表現した当該値の分布情報を生成することも好ましい。
【0022】
本発明によれば、また、所定の空間内に分布した複数の点であって各々が分布情報生成対象である値を有する複数の点の集合について、当該値の分布情報を生成する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
当該空間を、複数の区域であって、各区域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域に分割する分割手段と、
当該区域毎に、当該区域に属する当該点の個数が当該所定個数範囲内で揃っている下での当該点の値に基づいて、当該区域を特徴づける区域値を決定する区域値決定手段と、
少なくとも当該点の属している当該区域毎に、予め区域値毎に対応付けられた度合い情報のうち、当該区域の当該区域値に対応付けられた度合い情報を付与する度合い付与手段と、
当該区域に付与された当該度合い情報に基づいて、当該値の分布情報を生成する値分布生成手段と
してコンピュータを機能させる分布情報生成プログラムが提供される。
【0023】
本発明によれば、さらに、所定の空間内に分布した複数の点であって各々が分布情報生成対象である値を有する複数の点の集合について、当該値の分布情報を生成する装置に搭載されたコンピュータにおいて実施される分布情報生成方法であって、
当該空間を、複数の区域であって、各区域に属する当該点の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域に分割するステップと、
当該区域毎に、当該区域に属する当該点の個数が当該所定個数範囲内で揃っている下での当該点の値に基づいて、当該区域を特徴づける区域値を決定するステップと、
少なくとも当該点の属している当該区域毎に、予め区域値毎に対応付けられた度合い情報のうち、当該区域の当該区域値に対応付けられた度合い情報を付与するステップと、
当該区域に付与された当該度合い情報に基づいて、当該値の分布情報を生成するステップと
を有する分布情報生成方法が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の分布情報生成装置、プログラム及び方法によれば、より適切なデータ値の分布情報を、より簡易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による分布情報生成技術を適用可能な対象の一例を概略的に示す模式図である。
図2】本発明による分布情報生成装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
図3】分布データ生成部で生成される分布データの例を概略的に示す模式図である。
図4】区域分割部、区域値決定部、度合い付与部及び値分布生成部における処理の流れを概略的に示す模式図である。
図5】通信設備装置(分布情報生成装置)における分布情報生成処理の一実施形態を説明するための模式図である。
図6】通信設備装置(分布情報生成装置)における分布情報生成処理の他の実施形態を説明するための模式図である。
図7】通信設備装置(分布情報生成装置)における分布情報生成処理の更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
図8】通信設備装置(分布情報生成装置)における分布情報生成処理の更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
図9】通信設備装置(分布情報生成装置)における分布情報生成処理の更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明による分布情報生成技術を適用可能な対象の一例を概略的に示す模式図である。
【0028】
図1によれば、現実世界の陸地において、多数の基地局3と、当該基地局3を統合する通信設備装置1とが設置されて携帯電話通信網が形成されており、携帯端末2が他の携帯端末2や種々のサーバとの間で通信接続可能となっている。ちなみに本実施形態では、基地局3は海域には設置されていないものとする。
【0029】
ここで、各基地局3は、自身の配下となっている携帯端末2毎に、当該携帯端末2が実施している通信に係る情報を刻々に取得することができる。また、通信設備装置1は本来、携帯電話通信網における通信を中継・制御する重要な装置であるが、本実施形態においては、本発明による分布情報生成装置としても機能する。
【0030】
具体的に通信設備装置1は、例えば、基地局3毎に、当該基地局3の配下にある全ての携帯端末2についての通信レコード(通信ログ)を常時収集し、この通信レコードを時系列でまとめて通信履歴を生成することができる。また、このような取得情報から例えば単純な例ではあるが、
(a)各時刻における基地局3毎の、当該基地局3の配下にある(接続された)携帯端末2の台数や、
(b)基地局3毎の、所定時間(例えば5分間)における通信量
といった、各基地局3に「値」が紐づいた形の情報を生成することができる。
【0031】
ちなみに、このような通信設備装置1で生成可能な情報は実際に、有用なビッグデータとなっており、マーケティング等の経済活動や公共の福祉活動等に活用することが可能となっている。ただし、このようなビッグデータの提供には、プライバシー・企業秘密の保護やセキュリティの確保、さらには法令の順守に十分な配慮を行う必要があり、例えば上記の(a)や(b)のような情報を如何に取りまとめて需要者に提供するかが重要な課題となる。ここで勿論、ビッグデータの有用性を損なうことなく、より適切なデータ値の分布情報を、より簡易に生成することが望まれるのである。
【0032】
このような前提の下、本通信設備装置1は、所定の空間内に分布した「点」であって、各々「値」を有する「点」の集合について、当該「値」の分布情報を生成する分布情報生成装置となっている。具体的には、
(A)当該空間を、複数の区域であって、各区域に属する「点」の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域に分割し、
(B)区域毎に、当該区域に属する「点」の「値」に基づいて、当該区域を特徴づける区域値を決定し、
(C)少なくとも「点」の属している区域毎に、予め区域値毎に対応付けられた度合い情報のうち、当該区域の区域値に対応付けられた度合い情報を付与し、
(D)区域に付与された度合い情報に基づいて、「値の分布情報」を生成する
ことを特徴としている。
【0033】
このように通信設備装置1は、例えばボロノイ分割やデータ補間等の従来技術と比較してより簡易な方法によって「値の分布情報」を生成することができる。すなわち、分布情報生成のための計算量が膨大になる事態を回避することが可能となる。また、「各区域に属する「点」の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域」を分割生成するので、このような簡易な方法によりながらも、必ずしも均等に分布していない「点」の粗密に応じて、度合い情報が適切な範囲で分布・表現されている「値の分布情報」を生成することができるのである。
【0034】
またさらに、「各区域に属する「点」の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域」に基づき、当該区域に度合い情報を付与して分布情報を生成するので、所定の空間における「点」の具体的位置が特定されない。これにより、「点」に係るプライバシーや企業秘密の保護、さらにはセキュリティの確保にも資することが可能となる。
【0035】
なお、上記(A)の「所定個数範囲」は、区域への分割処理の条件(例えば分割メッシュのサイズや分割数)や、「値」の分布状況(例えば取り得る値の範囲や分布位置による値の変動具合)等を考慮して適切に設定されることも好ましい。
【0036】
ここで本実施形態においては、上記の所定の空間は、例えば分布情報を表現するマップ面(2次元面)であって、区域はマップ面区域であり、「点」はマップ上の基地局3(の位置)であって、「値」は当該基地局3における(a)携帯端末2の台数や(b)通信量とすることができる。
【0037】
さらに、上記(B)の区域値として、例えば(当該区域に属する全ての基地局3についての)携帯端末2の台数合計値や総通信量を採用することができ、また、上記(C)の度合い情報としては、(予め台数値や通信量に対応付けられた)色、テクスチャ(柄)、図形及び記号のうちの少なくとも1つを採用することができる。
【0038】
ここで度合い情報として色を採用した場合、生成される「値の分布情報」は、端末台数や通信量の分布を色分布で表現するヒートマップ(Heat map)となる。なお、このように生成されたヒートマップ(「値の分布情報」)は、例えば対応する地図画像に重畳する形で表示されてもよい。
【0039】
また、上記(B)の区域値は当然に、区域に属する「点」の値の合計値に限定されるものではなく、例えば後に説明するが、区域に属する「点」の値の平均値等の代表値とすることが好ましい場合もある。さらに、度合い情報として、色とテクスチャとの組合せ等、色、テクスチャ、図形及び記号のうちの少なくとも2つを組み合わせたものを採用してもよい。この場合、「値の分布情報」は、色、テクスチャ、図形及び記号のうちの少なくとも2つの組合せによって「値」の分布を表現したものとなる。
【0040】
また、「点」の分布した所定の空間は、地図のような2次元空間に限定されるものではなく、例えば多数の観測点が空間的に配された大気圏領域のような3次元空間であってもよく、直線モデルで表される1次元空間であってもよい。
【0041】
さらに当然ではあるが、本発明による分布情報生成装置は、上述した通信設備装置1に限定されるものではない。例えば、各「地点」又は各「箇所」に配置されたセンサから取得されるセンサの「測定値」を収集し、この測定値分布情報を生成する装置であってもよい。さらに例えば、行政区域の「拠点」毎に、当該区域における住民数等の「調査値」を集計し、人口分布情報を生成する装置とすることもできる。いずれにしても、「値」を有する「点」が空間分布しているような対象ならば様々なものが、本発明による分布情報生成装置の適用対象となるのである。
【0042】
図2は、本発明による分布情報生成装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。ちなみに、当該機能ブロック図では、通信設備装置1における分布情報生成機能に係る機能ブロックのみが示されている。
【0043】
図2に示した通信設備装置1は、本発明による分布情報生成装置の一実施形態となっており、上述したように、基地局3毎、すなわち「点」毎に、接続端末台数や通信量等の「値」を収集し、接続端末台数や通信量等の分布情報、例えばヒートマップを生成する。なお本実施形態において、通信設備装置1は、携帯電話通信網に直接接続されていなくともよく、外部から上記情報を入力可能なスタンドアローンの装置であってもよい。
【0044】
ちなみに以下、基地局3を「点」とし、基地局3の設置された陸地(地表)を「点」の分布する地図空間(2次元空間)とし、基地局3毎の接続端末台数や通信量等の測定・集計値を、当該「点」の有する「値」として説明を行う。
【0045】
図2によれば、通信設備装置(分布情報生成装置)1は、通信インタフェース部101と、分布データ保存部102と、値分布情報保存部103と、プロセッサ・メモリとを有しており、さらに、ユーザインタフェース部104を有していてもよい。
【0046】
ここで、このプロセッサ・メモリは、本発明による分布情報生成プログラムの一実施形態を保存しており、また、コンピュータ機能を有していて、この分布情報生成プログラムを実行することによって、分布情報生成処理を実施する。ちなみに、この分布情報生成プログラムを搭載したコンピュータ装置、例えばパーソナル・コンピュータ(PC)、タブレット型若しくはノート型コンピュータ、さらにはスマートフォンや、ウェアラブル端末等は、本発明による分布情報生成装置として使用することも可能となる。
【0047】
さらに、このプロセッサ・メモリは、機能構成部として、分布データ生成部111と、点個数判定部112a及び値分布範囲判定部112bを有する区域分割部112と、空区域処理部113aを有する区域値決定部113と、度合い付与部114と、値分布生成部115と、通信制御部121とを有する。
【0048】
なお、これらの機能構成部は、プロセッサ・メモリに保存された分布情報生成プログラムの機能と捉えることができ、また、図2における通信設備装置1の機能構成部間を矢印で接続して示した処理の流れは、本発明による分布情報生成方法の一実施形態としても理解される。
【0049】
同じく図2において、通信インタフェース部101は、各「点」(各基地局3)から携帯電話通信網を介して、
(a)当該「点」(当該基地局3)の分布位置情報(例えば当該「点」(当該基地局3)の(設置)位置座標値)、及び
(b)当該「点」(当該基地局3)の配下にある携帯端末2に係る情報(例えば通信履歴)
を取得し、通信制御部121を介して、分布データ生成部111へ出力する。
【0050】
分布データ生成部111は、入力された上記の情報を用いて、点毎に、地図空間における当該点の位置と、当該点の有する値とを対応付けた分布データを生成する。ここで、生成された分布データは一先ず分布データ保存部102に保存され、値の分布情報(例えばヒートマップ)生成の際に適宜取り出されて、区域分割部112へ出力されることも好ましい。
【0051】
図3は、分布データ生成部111で生成される分布データの例を概略的に示す模式図である。
【0052】
図3に示された分布データのイメージによれば、四角形状の枠内が地図空間となっており、この地図空間内に、黒丸で表された「点」が、それぞれの位置座標値相当の位置に配されており、また、各点の近傍に当該「点」の有する「値」としての数値が付されている。ここで、本実施形態では、黒丸が設置された基地局3であって、付された数値が配下の端末台数や通信量等(任意単位)を示すことになるが、勿論例えば、黒丸が設置されたセンサであって、付された数値が当該センサによる測定値(任意単位)とすることもできる。さらに例えば、黒丸がある県内に存在する市町村の市役所・役場の位置を表し、付された数値が該当市町村の人口の集計値(統計調査値)であってもよい。
【0053】
図2に戻って、区域分割部112は、地図空間を、複数の区域であって、各区域に属する点の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域に分割する。ここで、具体的な分割処理の実際は、後に図5図9を用いて詳細に説明するが、ここでその概略を説明する。本実施形態において、区域分割部112は、地図空間を複数の領域に分割した上で、領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、
(a)いずれの領域においても当該領域に属する点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされるまで、及び/又は、
(b)いずれかの領域において当該領域に属する点の個数が所定個数範囲に入るとの条件が満たされなくなる手前まで
実行し、このような分割処理後の複数の領域を、複数の区域とする。
【0054】
ちなみに、上記の「当該領域に属する点の個数が所定個数範囲に入るとの条件」が満たされるか否かの判定は、点個数判定部112aが実施可能となっている。
【0055】
同じく図2において、区域値決定部113は、区域分割部112で生成された区域毎に、当該区域に属する点の「値」に基づいて、当該区域を特徴づける区域値を決定する。ここで、
(a)「値」が接続端末台数や人口といった示量性の値(例えば区域内で積算可能な値)である場合、当該区域に属する点の「値」の合計値を区域値とし、一方、
(b)「値」が気温や人口密度といった示強性の値(例えば区域内の各地点で計測される値)である場合、当該区域に属する点の「値」の代表値、例えば平均値を区域値とする
ことも好ましい。
【0056】
また、度合い付与部114は、少なくとも「点」の属している区域毎に、予め区域値毎に対応付けられた度合い情報のうち、当該区域の区域値に対応付けられた度合い情報を付与する。ここで、「点」の属していない区域の取り扱いについては、後に図5及び7~9を用いて種々の処理方法を説明する。
【0057】
度合い付与部114は具体的に、例えばカラースケールの各色に対し取り得る「区域値」を予め対応付けておき、各区域を、当該区域の区域値に対応する色で着色処理してもよい。この場合、度合い情報は(例えばグレースケールの白色、灰色、黒色も含み得る)色となっている。なお、度合い情報としては、色以外にもテクスチャ(柄)、図形や、(文字も含む)記号等を採用することもでき、また、これらのうちの2つ以上の組合せであってもよく、その他、視覚的に度合いを識別可能な情報であれば種々のものが度合い情報として採用可能である。
【0058】
値分布生成部115は、区域に付与された度合い情報に基づいて、「値分布情報(値の分布情報)」を生成する。例えば、度合い付与部114が区域毎に、色、テクスチャ、図形及び記号のうちの少なくとも1つによって視覚的に識別可能な度合い情報を付与した場合、値分布生成部115は、色、テクスチャ、図形及び記号のうちの少なくとも1つによって「値」の分布を表現した「値分布情報」を生成するのである。
【0059】
図4は、以上に説明した区域分割部112、区域値決定部113、度合い付与部114及び値分布生成部115における処理の流れを概略的に示す模式図である。
【0060】
最初に、図4の左側の地図空間においては、区域分割部112の分割処理によって3×3の計9個の矩形区域が生成され、さらに、区域値決定部113によって各区域について区域値が決定されている(各区域に区域値が付与されている)。例えば、一番上の行の3つの矩形区域の区域値は、それぞれ5、8及び12となっている。
【0061】
次いで、図4の右側においては、0以上10未満、10以上20未満、20以上30未満、及び30以上40未満の区域値がそれぞれ、所定の色・テクスチャに予め対応付けられている場合において、度合い付与部114によって各区域に対応する色・テクスチャが付与され、最終的に値分布生成部115によって、「値分布情報」としてのヒートマップ(色・テクスチャマップ)が生成されている。このヒートマップにおいては、例えば一番上の行の3つの矩形区域はそれぞれ、区域値5、8及び12に対応する色・テクスチャが付与されている。
【0062】
図2に戻って、値分布生成部115で生成された「値分布情報」(例えばヒートマップ)は、例えば値分布情報保存部103に一先ず保存され、例えば適宜、通信制御部121及び通信インタフェース101を介して外部の(例えば「値分布情報」の需要者の)情報処理端末へ送信されてもよい。また、「値分布情報」は、表示デバイスや印刷デバイス等であるユーザインタフェース部104によって表示されたり、印刷物として提示されたりしてもよい。
【0063】
図5は、通信設備装置(分布情報生成装置)1における分布情報生成処理の一実施形態を説明するための模式図である。
【0064】
図5(A)によれば、図3に示された分布データの地図空間が最初に、区域分割部112によって4つの矩形領域に分割された上で、同図右下の矩形領域が更に4つの矩形領域に分割されている。ここで、本実施形態では、分割処理は、地図空間又は分割対象の領域において縦横をそれぞれ2等分する境界を設定し、結果的に、等分された4つの矩形領域を生成するものとなっている。
【0065】
なお勿論、分割処理のやり方は上記のものに限定されるものではなく、点の分布状況に合わせ、縦横n(≧3)等分によってn2個の矩形領域を生成してもよい。また、分割された領域の形状も矩形に限定されるものではないが、例えば正三角形や平行四辺形等、並べて置くことによって空間を隙間なく埋めることができる形状であって、分割後の当該形状の領域を、同じ当該形状によって隙間なく埋めつつ更に分割可能である形状の領域であることが好ましい。
【0066】
同じく図5(A)において、最初の分割処理による4つの矩形領域(左上領域、右上領域、左下領域及び右下領域)はそれぞれ、2つ、2つ、2つ及び4つの「点」を有している。ここで本実施形態では、分割条件となる「所定個数範囲」が、n個以下((n+1)個未満)の範囲に設定されるが、図5(A)ではこのnが2に設定されている(n=2)。区域分割部112は、自らに属する「点」の個数がこの「(2つ以下との)所定個数範囲」に入らない領域を条件外領域とし、右下領域がこの条件外領域に該当することをもって、この右下領域を、更に4つの矩形領域に分割している。
【0067】
ここで本実施形態では、区域分割部112は、このような条件外領域に対する分割処理を、条件外領域が無くなるまで実行するのであるが、図5(A)においては、更なる分割処理による4つの矩形領域はいずれも条件外領域ではなくなっている。そこで区域分割部112は、ここで分割処理を終了し、最終的に生成された7つの矩形領域(左上領域、右上領域、左下領域、及び右下領域を分割した結果の4つの領域)を、分割した区域に設定するのである。
【0068】
次いで、区域値決定部113は、図5(B)に示すように、設定された区域毎に、当該区域に属する「点」の値の平均値を区域値に決定し、当該区域値を当該区域に付与する。例えば左上区域には、属する2つの「点」の2つの値(5及び13)における平均値である9が、区域値として付与されている。
【0069】
ここで、更に分割した結果としての(右下の)4つの領域のうちの左下領域(「更なる分割左下領域」)は、「点」が属しておらず、点(値)のない空区域となっている。本実施形態では、区域値決定部113の空区域処理部113aは、この空区域に対して区域値が存在しないことを決定する。すなわち、この空区域に区域値は何ら付与されないのである。
【0070】
次いで、図5(C)に示すように、度合い付与部114は、生成された区域毎に、当該区域に付与された区域値に対応する色・テクスチャを当該区域に貼付する。ここで本実施形態では、空区域である「更なる分割左下領域」には、区域値が付与されていないことに応じ、色・テクスチャは何ら貼付されない。その結果、値分布生成部115が生成する値分布情報であるヒートマップ(図5(C))における「更なる分割左下領域」は、無色(例えば透明であって背景色のまま)であり無地の領域となる。
【0071】
このような無色・無地の領域を設けることによって、例えば「値」がセンサ測定値である場合には、ヒートマップにおけるセンサによる測定のなされていない領域を明示することができ、(例えば本来センサ測定値が存在するはずの領域であるならば)センサの故障・不具合の可能性、若しくは意図的な測定停止を提示することも可能となる。また、「値」が統計調査値である場合には、意図的に若しくは過失によって調査が行われていない領域を提示することも可能となるのである。
【0072】
なお、変更態様として、度合い付与部114は、区域値の存在しない空区域に対し、予め区域値無しに対応付けられた度合い情報、例えば無地の白色や黒色、を付与してもよい。この場合、空区域が何らかの区域値を有しているかのように誤認される度合い情報は、付与されないように配慮されることが好ましい。
【0073】
図6は、通信設備装置(分布情報生成装置)1における分布情報生成処理の他の実施形態を説明するための模式図である。
【0074】
図6(A)によれば、図3に示された分布データの地図空間が、区域分割部112によって4つの矩形領域に分割されている。本実施形態でも、この分割処理は、地図空間又は分割対象の領域において縦横をそれぞれ2等分する境界を設定し、結果的に、等分された4つの矩形領域を生成するものとなっているが、当然、分割処理はそれに限定されるものではない。
【0075】
ここで本実施形態では、分割条件となる「所定個数範囲」が、n個以上((n-1)を超える個数)の範囲に設定されるが、図6(A)ではnが2に設定されている(n=2)。区域分割部112は、自らに属する「点」の個数がこの「(2つ以上との)所定個数範囲」に入らない領域を条件外領域として、この条件外領域が分割によって出現する手前まで、各領域に対し分割処理を行うのである。
【0076】
具体的に図6(A)では、最初の分割処理による4つの矩形領域(左上領域、右上領域、左下領域及び右下領域)はそれぞれ、2つ、2つ、2つ及び4つの「点」を有している。しかしながら、これらの矩形領域に対し更に分割処理を行うと明らかに、条件外領域が出現してしまう。したがって、本実施形態では、区域分割部112は、この段階で分割処理を終了し、最終的に生成された4つの矩形領域(左上領域、右上領域、左下領域、及び右下領域)を、分割した区域に設定するのである。
【0077】
次いで、区域値決定部113は、図6(B)に示すように、設定された区域毎に、当該区域に属する「点」の値の平均値を区域値に決定し、当該区域値を当該区域に付与する。例えば左上区域には、属する2つの「点」の2つの値(5及び13)における平均値である9が、区域値として付与されている。なお、本実施形態では、分割条件の「所定個数範囲」をn個以上の範囲とするとnは自然数(1以上の整数)に設定されるので、図5(A)及び(B)で見られた空区域が出現することはない。
【0078】
さらに、図6(C)に示すように、度合い付与部114は、生成された区域毎に、当該区域に付与された区域値に対応する色・テクスチャを当該区域に貼付し、値分布生成部115は、図6(C)に示したようなヒートマップ(値分布情報)を生成するのである。
【0079】
以上説明したような実施形態の分布情報生成処理によれば、空区域は出現せず、また、図5で説明した実施形態と比較すると、全体的に区域の大きさ(広さ)が揃う傾向にあるので、全体的な値分布の傾向が分かり易い値分布情報が取得されるのである。
【0080】
ここで、図5(A)に戻って、図6の分割処理と図5の分割処理とを合わせた形の分割処理を行う、更なる他の実施形態を説明する。
【0081】
この実施形態においては、区域分割部112は、異なる2つの閾値の間として規定される「所定個数範囲」、例えば1個以上であって2個以下である個数範囲、を設定した上で、
(a)自らに属する点の個数がこの「所定個数範囲」を下回る領域である下限条件外領域が存在しない場合に各領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、下限条件外領域が出現する手前まで実行し、さらに、
(b)自らに属する点の個数がこの「所定個数範囲」を上回る領域である上限条件外領域が存在する場合にこの上限条件外領域を更に複数の領域に分割する分割処理を、「上限条件外領域がなくなるまで」、又は「下限条件外領域が出現する手前まで」実行し、
分割処理後の複数の領域を、分割された区域に設定することも好ましい。
【0082】
具体的に図5(A)において、区域分割部112は、「所定個数範囲」を1個以上であって2個以下である範囲に設定した上で、上記(a)に基づき、図3に示された分布データの地図空間を4つの矩形領域(左上領域、右上領域、左下領域及び右下領域)に分割する。ここで、この分割処理は、分割後の当該4つの矩形領域がいずれも下限条件外領域にはならないので実施される。だだし、更にこれらの矩形領域に対し分割処理を実施すると明らかに、点の個数が1個を下回る領域が発生してしまうので、この更なる分割処理は実施されない。
【0083】
次いで、区域分割部112は、上記(b)において「上限条件外領域がなくなるまで」条件を採用し、分割後の右下領域が上限条件外領域である(4つの点を有していて「所定個数範囲」を上回っている)として、この右下領域に対し更に分割処理を行う。ここで、区域分割部112は、この更なる分割処理によって上限条件外領域がなくなったと判断して分割処理を終了し、最終的に生成された7つの矩形領域(左上領域、右上領域、左下領域、及び右下領域を分割した結果の4つの領域)を、分割した区域に設定する。
【0084】
一方、上記(b)において「下限条件外領域が出現する手前まで」条件を採用した場合、区域分割部112は、分割後の4つの領域のいずれを分割しても下限条件外領域が出現してしまう(点が存在せず「所定個数範囲」を下回ってしまう領域が出現する)と判断してこの段階で分割処理を終了し、最終的に生成された4つの矩形領域(左上領域、右上領域、左下領域及び右下領域)を、分割した区域に設定するのである。
【0085】
ちなみに、以上に説明した実施形態において上記(b)の条件のいずれを採用するかは、分布値の種別・性質や生成する値分布情報(ヒートマップ)の種類等によって、例えば空区域を明確に表示するか否かを判断した上で決定されてもよい。
【0086】
図7は、通信設備装置(分布情報生成装置)1における分布情報生成処理の更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
【0087】
図7(A)によれば、図3に示された分布データの地図空間が最初に、区域分割部112によって4つの矩形領域に分割された上で、同図右下の矩形領域が更に4つの矩形領域に分割されている。この本実施形態における区域分割部112による分割処理は、図5(A)を用いて説明した分割処理と同じ処理となっている。その結果、右下領域を更に分割した結果の領域である「更なる分割左下領域」は、図5(A)と同様に空区域(点が属していない区域)となっている。
【0088】
ただし図7(B)に示すように、本実施形態においては、区域値決定部113の空区域処理部113aは、この空区域に対し、この空区域を生成した分割処理における分割対象であった元の領域、すなわち右下領域に属する点の値の代表値を、区域値として決定する。具体的には、右下領域に属する点の有する値(23,27,31,35)の平均値(29)が、この空区域である「更なる分割左下領域」に付与されるのである。
【0089】
次いで、図7(C)に示すように、度合い付与部114は、生成された区域毎に、当該区域に付与された区域値に対応する色・テクスチャを当該区域に貼付する。ここで本実施形態では、空区域である「更なる分割左下領域」は、上述した平均値(29)を区域値として有しているので、この平均値(29)に対応する色・テクスチャが貼付される。また、その結果、値分布生成部115が生成する値分布情報であるヒートマップ(図7(C))における「更なる分割左下領域」は、色・テクスチャを有し、周囲の空ではない区域から見ても特に区別されない区域となる。
【0090】
以上説明したように、空区域に対し元領域の代表値を区域値として付与することによって、例えば「値」がセンサ測定値である場合には、ヒートマップにおけるセンサによる測定のなされていない領域についても、周囲のセンサ測定値からして有り得る値が示され、センサ測定値の全体的な傾向を提示することに資するものとなる。特に、センサ測定値が、センサの位置に応じて単調に増減する傾向の値であれば、本実施形態は特に有効となる。また、「値」が統計調査値である場合にも、統計調査値の全体的な傾向を提示することに資するものとなるのである。
【0091】
なお、区域値決定部113の空区域処理部113aは、分布データ生成部111(図2)で生成された分布データに紐づけられた着色判断情報を取得し、この着色判断情報に基づいて、空区域の取り扱いを、図5(B)のようにするのか又は図7(B)のようにするのかを決定することも好ましい。ここで、着色判断情報は、外部から受信された又はユーザインタフェース部104を介して入力された空区域処理情報であって、紐づけ先の分布データから値分布情報を生成する際、空区域に区域値を付与するのか否か、さらには付与する場合に如何なる値を付与するのかを示した空区域処理情報となっている。
【0092】
図8は、通信設備装置(分布情報生成装置)1における分布情報生成処理の更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
【0093】
図8(A)~(C)に示された本実施形態においては、空区域に対する区域値の付与に関して以外は、図7(A)~(C)に示された実施形態と同様の分布情報生成処理が実施される。したがって以下、本実施形態における空区域に対する区域値の付与処理についてのみ詳しく説明を行う。
【0094】
図8(B)に示すように、本実施形態においては、区域値決定部113の空区域処理部113aは、空区域(「更なる分割左下領域」)に対し、この空区域を生成した分割処理における分割対象であった元の領域、すなわち右下領域の大きさに対する当該空区域の大きさの程度に応じて、同じ分割処理によって生成された他の区域について決定されるべき区域値の一部を割り振った形となる区域値を決定する。
【0095】
具体的に図8(B)の例では、空区域(「更なる分割左下領域」)の大きさは、右下領域の大きさの1/4であり、また、右下領域に属する点の有する値の合計は116(=23+27+31+35)となっている。ここで、この合計値は本来、他の3つの領域(「更なる分割左上領域」、「更なる分割右上領域」及び「更なる分割右下領域」)にそれぞれ、50、31及び35として割り当てられる形となるところ、本実施形態では、
(a)「更なる分割左下領域」に対し、合計値(116)のうちで大きさ比(1/4)分を、区域値として割り振り、
(b)「更なる分割左上領域」、「更なる分割右上領域」及び「更なる分割右下領域」に対しそれぞれ、本来割り当てられる値(50、31及び35)から上記(a)で割り振られる分だけ差し引いた値を、区域値として割り振る
処理が行われている。
【0096】
その結果、空区域(「更なる分割左下領域」)、「更なる分割左上領域」、「更なる分割右上領域」及び「更なる分割右下領域」に対しそれぞれ、29(=116*1/4)、37.5(=50*(1-1/4))、23.25(=31*(1-1/4))及び26.25(=35*(1-1/4))が、区域値として付与されるのである。
【0097】
以上説明したように、空区域に対し、本来他の領域に割り当てられる値を(元領域との大きさ比に応じて)割り振る形で区域値を付与することによって、例えば「値」が人口等の統計調査値である場合には、分割前の元領域の有する、領域内合計人口という示量的な積算情報が維持された適切なヒートマップを生成することが可能となる。また、「値」が示量的な測定値(例えば接続端末台数)である場合にも、分割前の元領域における測定値の積算情報(領域内の全接続端末台数)が維持された適切なヒートマップを生成することができるのである。
【0098】
なお、区域値決定部113の空区域処理部113aは、分布データ生成部111で生成された分布データに紐づけられた着色判断情報を取得し、この着色判断情報に基づいて、空区域の取り扱いを、図8(B)若しくは図7(B)のようにするのか、又は図5(B)のようにするのかを決定することも好ましい。ここで、着色判断情報は、外部から受信された又はユーザインタフェース部104を介して入力された空区域処理情報であって、紐づけ先の分布データから値分布情報を生成する際、空区域に区域値を付与するのか否か、さらには付与する場合に如何なる値を付与するのかを示した空区域処理情報となっている。
【0099】
また、区域値決定部113の空区域処理部113aは、着色判断情報によって空区域に対し区域値を付与するのか否かのみを決定し、区域値を付与する際には、図8(B)及び図7(B)のいずれの付与方法を採用するのかを予め決定しておいてもよい。
【0100】
図9は、通信設備装置(分布情報生成装置)1における分布情報生成処理の更なる他の実施形態を説明するための模式図である。
【0101】
図9(A)~(C)に示された本実施形態では、空区域での区域値の決定処理を含めて基本的に、図8(A)~(C)に示された実施形態と同様の分布情報生成処理が実施される。しかしながら、本実施形態においては、図1に示した例のように、「点」が明らかに存在していない海域相当の「点不存在域」が存在し、地図空間においてこの「点不存在域」は、削除する(ヒートマップに含めない)ことが好ましいものとなっている。
【0102】
具体的に、図9(A)の例では、区域値分割部112の値分布範囲決定部112bは、分布データ生成部111(図2)で生成された分布データに紐づけられた陸地範囲情報を取得する。この陸地範囲情報は、外部から受信された又はユーザインタフェース部104を介して入力された、(点不存在域ではない空間範囲である)値分布範囲を特定する値分布範囲情報となっている。
【0103】
次いで、値分布範囲決定部112bは、この陸地範囲情報に基づいて、分割処理終了後の「更なる分割右下領域」における右下半分の三角形エリアは点不存在域に相当すると判断し、この「更なる分割右下領域」における残りの左上半分の三角形エリアを値分布範囲に該当するとして、最終的な区域に決定するのである。
【0104】
ここで、値分布範囲決定部112bは、更なる分割処理後の4つの領域のうち、自らに含まれる値分布範囲の割合が所定割合閾値(例えば50%)以下又は未満となる領域(本例では「更なる分割右下領域」)を、この割合がこの所定割合閾値を超えるまで又はこの所定割合閾値以上となるまで縮小して、最終的に区域とすることも好ましい。この場合、図9(A)では、「更なる分割右下領域」を左上半分の三角形エリアにまで縮小することによって、この割合が所定割合閾値を超えたので、値分布範囲決定部112bは、この左上半分の三角形エリアを最終的な区域に決定したのである。
【0105】
ちなみに、図9(B)に示した区域値決定処理については、以上説明したように「更なる分割右下領域」の左上半分の三角形エリアが1つの区域に設定されるので、空区域である「更なる分割左下領域」の(元領域に対する)大きさ比は2/7となり、この大きさ比に応じて当該空領域に区域値が割り振られることとなる。
【0106】
具体的には、空区域(「更なる分割左下領域」)、「更なる分割左上領域」、「更なる分割右上領域」及び「更なる分割右下領域(左上半分の三角形エリア)」に対しそれぞれ、33.1(=116*2/7)、68.9(=50*(1-2/7))、22.1(=31*(1-2/7))及び25(=35*(1-2/7))が、区域値として付与されるのである。
【0107】
以上説明したように、地図空間における値分布範囲を考慮して区域を決定することによって、「点」が存在(分布)しているエリアに特定した値分布情報(ヒートマップ)を生成することができ、「値」の分布状況をより適切に提示することが可能となる。例えば、人口のヒートマップにおいて、陸地相当の領域のみに色・テクスチャを示すことにより、人口の実際の分布状況がより正確に提示可能となるのである。
【0108】
ちなみに、本実施形態のような点不存在域を考慮した区域の決定処理は当然に、図8だけでなく図5~7に示された実施形態の分布情報生成処理にも取り入れることが可能である。
【0109】
以上、詳細に説明したように、本発明による分布情報生成装置、プログラム及び方法によれば、例えばボロノイ分割やデータ補間等の従来技術と比較してより簡易な方法によって値分布情報を生成することができる。すなわち、分布情報生成のための計算量が膨大になる事態を回避することが可能となる。また、必ずしも均等に分布していない点の粗密に応じて、度合い情報が適切な範囲で分布・表現されている値分布情報を生成することができるのである。
【0110】
さらに、「各区域に属する点の個数が所定個数範囲に入るとの条件を満たす複数の区域」に基づき、当該区域に度合い情報を付与して分布情報を生成するので、所定の空間における点の具体的位置が特定されない。これにより、点に係るプライバシーや企業秘密の保護、さらにはセキュリティの確保を実現しつつ、例えばマーケティング等のビジネスに有用となるビッグデータの解析結果を、適切な形で提供することも可能となるのである。
【0111】
以上に述べた本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲内での種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。以上に述べた説明はあくまで例示であって、何ら制約を意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ制約される。
【符号の説明】
【0112】
1 通信設備装置(分布情報生成装置)
101 通信インタフェース部
102 分布データ保存部
103 値分布情報保存部
104 ユーザインタフェース部
111 分布データ生成部
112 区域分割部
112a 点個数判定部
112b 値分布範囲判定部
113 区域値決定部
113a 空区域処理部
114 度合い付与部
115 値分布生成部
121 通信制御部
2 携帯端末
3 基地局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9