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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】イオン交換樹脂の洗浄試験装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20060101AFI20220111BHJP
   B01J 49/50 20170101ALI20220111BHJP
【FI】
C02F1/42 A
B01J49/50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018100403
(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公開番号】P2019202291
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】津田 晃彦
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-162749(JP,A)
【文献】特開2016-093779(JP,A)
【文献】米国特許第05391301(US,A)
【文献】特開2002-048776(JP,A)
【文献】特開2009-066472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/42
B01J 39/00-49/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実機から採取したイオン交換樹脂の一部を用いて、該イオン交換樹脂の再生後の洗浄性を試験する装置であって、
試験するイオン交換樹脂を充填した樹脂筒と、
該イオン交換樹脂の再生を行う再生液を該樹脂筒に通液する再生液経路と、
該再生液経路とは異なる経路にて該樹脂筒に充填したイオン交換樹脂の洗浄を行う洗浄水通水経路と、
該洗浄水通水経路中にあり、該樹脂筒の入口側の洗浄水の電気伝導率を測定する入口電気伝導率セルと、
該樹脂筒の出口側の該洗浄水の電気伝導率を測定する出口電気伝導率セルと
を有し、
該樹脂筒の上部に、該再生液経路と該洗浄水通水経路と該樹脂筒の3方向に通液できるチーズを配し、該チーズを介して該洗浄水通水経路からの洗浄水で該再生液経路の該チーズとの接続部を含む少なくとも一部を逆洗可能としたことを特徴とする洗浄試験装置。
【請求項2】
前記再生液経路は、前記チーズの前段に2つの三方弁を有し、前記チーズ側の第一の三方弁が前記チーズ側に接続される常に開放状態の接続口と、互いに切り替え可能な第二の三方弁側に接続される接続口及び該第一の三方弁を通過する液体を排液するための経路側に接続される接続口とを有し、前記洗浄水にて、前記チーズから該第一の三方弁までの再生液経路の逆洗を前記排液するための経路側の接続口を開口に切り替えて行うように制御する請求項1に記載の洗浄試験装置。
【請求項3】
前記第二の三方弁が、常に開放状態の前記再生液が供給される側の接続口と、互いに切り替え可能な前記第一の三方弁側に接続される接続口及び該第二の三方弁を通過する液体を排液するための経路側に接続される接続口とを有し、前記洗浄水通水経路とは別の経路から洗浄水を通水して前記第二の三方弁までの再生液経路を洗浄して、前記排液するための経路に洗浄水を排液可能とした請求項2に記載の洗浄試験装置。
【請求項4】
前記洗浄水通水経路は、前記入口電気伝導率セルと前記チーズとの間に第三の三方弁を有し、該第三の三方弁は、常に開放状態の前記入口電気伝導率セル側に接続される接続口と、互いに切り替え可能な前記チーズ側に接続される接続口及び該第三の三方弁を通過する液体を排液するための経路側に接続される接続口とを有する請求項1~3のいずれか1項に記載の洗浄試験装置。
【請求項5】
前記樹脂筒は、前記イオン交換樹脂が充填された領域上に空気層を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システムなどに使用されるイオン交換樹脂の洗浄性を試験するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理システムとして、イオン交換樹脂を用いた純水製造装置などがある。工業用水などの原水から純水を製造するにあたっては、原水中の硬度成分を除去する陽イオン交換樹脂とアニオン成分を除去する陰イオン交換樹脂とを組み合わせて使用する(例えば、特許文献1参照)。
イオン交換樹脂はある程度通水使用した場合、目的の除去性能が低下していく。そこで、性能を回復させるために再生処理が行われる。但し、再生では完全に新品の樹脂の状態まで回復させることはできず、徐々に回復力が低下していき、やがては寿命に達してイオン交換樹脂の交換が必要となる。有機物の除去を行う陰イオン交換樹脂は、原水毎に有機物の成分が異なり、陰イオン交換樹脂の交換時期が原水毎に異なる。特にフミン質を含む原水は、陰イオン交換樹脂を汚染しやすく、薬剤再生後の洗浄性が低下する。
【0003】
つまりイオン交換樹脂の汚染度を原水毎にそれぞれ評価することが重要である。イオン交換樹脂の汚染度を実機のままで評価するには多量の再生液や洗浄水の通水が必要となることから、例えば、樹脂量を500ml程度に落とした試験装置を用いて行う。
【0004】
一般に試験装置は、実機と同様の構成が採用されている。例えばイオン交換樹脂を充填した樹脂筒、樹脂筒に再生液を供給する再生用経路、再生用流路に洗浄液(純水)を供給して洗浄する洗浄用経路を有する。試験では、先ず樹脂に再生液を供給し、次に樹脂および再生用経路の再生液を押し出した後、洗浄性試験用の液体(純水)を樹脂筒に流す。そして、樹脂筒の入口側・出口側の液体の電気伝導率を測定し、出口電気伝導率の低下度に基づき、イオン交換樹脂の洗浄性を評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-84552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
樹脂量を落とした試験装置では、実機をスケールダウンした樹脂量であるため、イオン交換樹脂への通水量もスケールダウンした割合で低下することになる。樹脂筒方向に再生液を押し出す場合、この通水量の低下に伴い、洗浄液での再生液の置換が十分にできず、特に配管中に残留する再生液の影響を受けて、洗浄性試験用の液体を用いた洗浄性の評価の信頼性が低下することになる。
【0007】
本発明の目的は、実機から採取したイオン交換樹脂の一部を用いて、該イオン交換樹脂の洗浄性を試験する場合に、通水量の低下による配管中の残留再生液の影響が少なく、信頼性の高い洗浄試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る洗浄試験装置は、実機から採取したイオン交換樹脂の一部を用いて、該イオン交換樹脂の再生後の洗浄性を試験する装置であって、試験するイオン交換樹脂を充填した樹脂筒と、該イオン交換樹脂の再生を行う再生液を該樹脂筒に通液する再生液経路と、該再生液経路とは異なる経路にて該樹脂筒に充填したイオン交換樹脂の洗浄を行う洗浄水通水経路と、該洗浄水通水経路中にあり、該樹脂筒の入口側の洗浄水の電気伝導率を測定する入口電気伝導率セルと、該樹脂筒の出口側の該洗浄水の電気伝導率を測定する出口電気伝導率セルとを有し、
該樹脂筒の上部に、該再生液経路と該洗浄水通水経路と該樹脂筒の3方向に通液できるチーズを配し、該チーズを介して該洗浄水通水経路からの洗浄水で該再生液経路の該チーズとの接続部を含む少なくとも一部を逆洗可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に依れば、再生液の通液経路に残る再生液を逆洗することで、通水量が低下するスケールダウンした樹脂筒を用いても、洗浄性評価への配管中の残留再生液の影響を少なくすることができ、イオン交換樹脂の洗浄性評価の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る洗浄試験装置の概略図。
図2】本発明の一実施形態に係る洗浄試験装置における液体の流れを示す概略図。
図3】本発明の一実施形態に係る洗浄試験装置における液体の流れを示す概略図。
図4】本発明の一実施形態に係る洗浄試験装置における液体の流れを示す概略図。
図5】本発明の一実施形態に係る洗浄試験装置における液体の流れを示す概略図。
図6】本発明の一実施形態に係る洗浄試験装置における液体の流れを示す概略図。
図7】比較例の洗浄試験装置の概略図。
図8】本発明の一実施形態に係る洗浄試験装置と比較例の洗浄試験装置における洗浄性を電気伝導率の変化で示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。ここでは、陰イオン交換樹脂に対する洗浄性を試験する装置について説明するが、陽イオン交換樹脂にも適用できる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄試験装置1000の概略図である。洗浄試験装置1000は、樹脂筒61、再生液経路、洗浄水通水経路、入口電気伝導率セル31、及び出口電気伝導率セル32を有する。樹脂筒61には、実機から一部抜き出したイオン交換樹脂63が樹脂筒61に空気層62を残して充填される。再生液経路は、イオン交換樹脂の再生を行う再生液を、再生液タンク51から樹脂筒61に通液する。洗浄水通水経路は、再生液経路と異なる経路にて、純水タンク11から洗浄水を樹脂筒61に通液し、イオン交換樹脂の洗浄を行う。樹脂筒61の出口からの排液は、再生液での再生及び再生液の押出の場合は第二のドレイン(D2)72から、洗浄水モニター中は第三のドレイン(D3)73から排出する。入口電気伝導率セル31は、洗浄水通水経路中にあり、樹脂筒61の入口側の洗浄水の電気伝導率を測定する。出口電気伝導率セル32は、樹脂筒61の出口側の洗浄水の電気伝導率を測定する。符号41~46は弁を示し、本実施形態では電磁弁を用いるが、手動のコックやその他の機械弁なども使用できる。これらの弁は、目的に応じて二方弁又は三方弁が用いられる。また、符号101~119は各要素をつなぐ配管である。また、弁42、43、47からの排液は配管111~113を経由して第一のドレイン(D1)71に排出する。
【0013】
再生液経路は、再生液タンク51、ポンプ22、三方弁(三方電磁弁)41~43を有する。
三方電磁弁41~43は、それぞれ3つの接続口を有する。電流を印加していない状態(オフ状態)で、開口している接続口をNO(ノーマリーオープン)、閉口している接続口をNC(ノーマーリークローズ)、電流印加に関係なく常に開口している接続口をCOM(コモン)と呼ぶ。電流を印加した状態(オン状態)ではNOとNCの開口状態が逆転する。つまり、オフ状態では、接続口COMと接続口NOが繋がり、オン状態では接続口COMと接続口NCが繋がる。このように、図示しない制御回路による電流のオン・オフに基づき接続口NO、NCの開閉が制御される。
【0014】
再生液タンク51は再生液を貯留し、再生液タンク51の出口は配管106を介して三方電磁弁41の接続口NCに接続されている。三方電磁弁41の接続口COMは、配管107、ポンプ22、配管108を介して三方電磁弁42の接続口COMに接続されている。三方電磁弁42の接続口NOは配管113を介してドレイン71に接続され、三方電磁弁42の接続口NCは配管109を介して三方電磁弁43の接続口NOに接続されている。三方電磁弁43の接続口NCは配管112を介してドレイン71に接続され、三方電磁弁43の接続口COMは配管110、チーズ81を介して樹脂筒61の入口に接続されている。2つの三方電磁弁42と43のうち、チーズ81側の三方電磁弁43を「第一の三方弁」、三方電磁弁42を「第二の三方弁」ということがある。
【0015】
洗浄水通水経路は、純水を貯留する純水タンク11、配管101、ポンプ21、配管102、103、三方電磁弁47を有する。三方電磁弁47は、上述した三方電磁弁41~43と同様の構成を有する。三方電磁弁47を「第三の三方弁」ということがある。
【0016】
また、純水タンク11の出口は配管101,105を介して再生液経路の三方電磁弁41の接続口NOに接続されている。また、純水タンク11から三方電磁弁47までの洗浄水通水経路には、配管102と103の間に入口電気伝導率セル31が設けられており、配管103は三方電磁弁47の接続口COMに接続されている。三方電磁弁47の接続口NCは配管111を介して第一のドレイン71に接続され、三方電磁弁47の接続口NOは配管104、チーズ81を介して樹脂筒61の入口に接続されている。
【0017】
チーズ81は、3方向に通液できる配管継ぎ手である。各配管及びチーズは、通液する液体に対して耐性を有し、有機物を溶出しない材料で構成されており、例えば、フッ素樹脂などの樹脂製チューブや、金属材料の管の内側を樹脂ライニングしたものなど、公知のものが使用できる。各配管及びチーズの内径は、通液する液体の通液量に合わせて適宜選択される。チーズ81は、配管104及び110及び樹脂筒61の入口の3方向に接続される。なお、チーズ81と樹脂筒61との間に、本発明の効果に影響のない範囲で短い配管を配置してもよい。
【0018】
樹脂筒61の出口は、排液のための経路に接続されている。該経路は、三方電磁弁44、二方電磁弁45、46を有する。三方電磁弁44は、上述した三方電磁弁41~43と同様の構成を有する。二方電磁弁45、46は、図示しない制御回路による電流のオン・オフに基づき開閉が制御され、オン状態の場合に繋がる。
【0019】
三方電磁弁44の接続口COMは樹脂筒61の出口に配管114を介して接続され、三方電磁弁44の接続口NCは配管115、二方電磁弁45、配管116を介して第二のドレイン72に接続されている。三方電磁弁44の接続口NOは配管117、出口電気伝導率セル32、配管118、二方電磁弁46、配管119を介して第三のドレイン73に接続されている。
ポンプ21,22の排出量、電磁弁のオリフィス径、電気伝導率セルのチャンバーの容積などは、樹脂筒61に充填する樹脂量に合わせて適宜最適化される。
【0020】
以下、図2図6を参照して、図1に示す洗浄試験装置1000の動作を説明する。これらの図において、液の流れを太線で示している。
まず、図2は、再生液通液工程(第1工程)の液の流れを示しており、三方電磁弁41,42、44、45、47をオン状態とし、再生液ポンプ22を駆動させることで、再生液タンク51から再生液を樹脂筒61に通液し、第二のドレイン(D2)72に排出する。再生液を陰イオン交換樹脂63に通液することで、陰イオン交換樹脂63に付着した有機物などを除去する。その他の弁はオフ状態である。また、第三の三方弁47はオン状態とすることでチーズ側の接続口NOは閉じられており、チーズ81から弁47への逆流は起こらない。再生液としては、希釈したアルカリ、例えば数%濃度のNaOH水溶液を用いることができる。
【0021】
図3は、再生液押出工程(第2工程)の液の流れを示している。ここでは、弁41をオフ状態にした以外は図2と同じであり、再生液の代わりに純水タンク11から純水(超純水)が再生液経路(再生液ラインともいう)を通って樹脂筒61の残留再生液を押し出し、樹脂筒61からの排液は、第二のドレイン(D2)72に排出する。
【0022】
図4は、再生液ライン洗浄工程(第3工程)の液の流れを示している。ここでは、図3から、弁42をオフ状態として、純水タンク11から純水で弁41と弁42間の再生液供給経路の一部を洗浄して、弁42の接続口NOから配管113を介して排液をドレイン71に排出している。この第3工程は必要により行えばよく、必須ではない。
【0023】
図5は、洗浄水ライン洗浄工程(第4工程)の液の流れを示している。弁47をオフ状態とし、ポンプ21を駆動することで洗浄水としての純水を入口電気伝導率セル31、弁47を経由する洗浄水通水経路(洗浄水ラインともいう)からチーズ81を介して弁43方向に逆洗し、弁43をオン状態として配管112を介してドレイン71に排出している。弁43を開放することで、樹脂筒61で充填樹脂63上の空気層62を押し込むよりも弁43への流入が優先されて、チーズ81から弁43に至る配管110が洗浄される。樹脂筒61に設けた空気層62は、このようにエアー弁として作用し、切り替え機構のないチーズ81での液流方向の変更を可能としている。この第4工程では、樹脂筒61における負荷がないため、弁43方向への洗浄水の通水が十分な流速で可能となり、配管110内の残留再生液の除去を行うことができる。なお、第3工程と本第4工程は同時に行ってもよい。また、第3工程もしくは第4工程後に、弁47をオン状態とし、ポンプ21を駆動することで洗浄液としての純水を配管111に流して、配管113、配管112の下流側の配管111の洗浄を行うことができる。また、弁47をオフ状態からオン状態にした際の余剰洗浄水の排液を行う。
【0024】
最後に、図6に示すように、入口電気伝導率セル31から出口電気伝導率セル32への洗浄水の通水を行うことで、イオン交換樹脂63の洗浄性を評価する。ここでは、弁44をオフ状態とし、弁46を開放して行う。弁42及び43もオフ状態とすることでチーズ81から洗浄水の逆流は止められている。弁44から配管117、出口電気伝導率セル32、配管118を通過する排水は弁46を開放して配管119を介してドレイン73に排出する。
【0025】
図7は、従来の実機構成の縮小版に相当する比較例の洗浄試験装置2000の構成を示す概略図である。図1と同じ符号を付したものは同じ構成を示している。各配管については、弁43と樹脂筒61とを接続する配管120以外は符号を省略している。樹脂筒61の下流の排液のための経路は図1と同様である。
実機から一部抜き出したイオン交換樹脂63は樹脂筒61に空気層62を残して充填される。イオン交換樹脂の再生は、再生液を貯留する再生液タンク51から弁41、ポンプ22、弁42,43を介して樹脂筒61に導入し、イオン交換樹脂63を通過した再生液は、弁44,45を介してドレイン72に排出する。次に、洗浄性を評価する前に、弁42から樹脂筒61に至る配管の再生液を、タンク11から弁41を経由して洗浄液を導入することで押し出して、ドレイン72に排出する。また、タンク11から、弁41、ポンプ22、弁42,43、ドレイン71の経路にて配管洗浄も行われる。その後、ポンプ21、入口電気伝導率セル31、弁42、43を介して樹脂筒61に洗浄水を導入し、排液を弁44から出口電気伝導率セル32、弁46、ドレイン73へと排出する。樹脂筒の入口側・出口側の液体の電気伝導率を測定し、出口電気伝導率の低下度に基づき、イオン交換樹脂の洗浄性を評価する。
図7の装置においては、配管120への通水は、通水量が制限される樹脂筒61を経由してドレイン72へ排出を行う一方向のみとなり、配管120の残留再生液の影響が出口電気伝導率の低下度に大きく影響する。
【0026】
図8は、同じ水処理システムから抽出した陰イオン交換樹脂について、図7に示す比較例の洗浄試験装置2000と図1に示す本発明に係る洗浄試験装置1000を用いた場合の洗浄性を比較したグラフであり、横軸を洗浄水の通水時間、縦軸を出口電気伝導率セル32と入口電気伝導率セル31での測定値差、すなわち排出水の電気伝導率を示している。なお、洗浄試験装置1000の配管110と洗浄試験装置2000の配管120は同じ内径、同じ長さの配管であり、樹脂筒61への通水量は同じである。
【0027】
図8に示すように、図7の比較例の洗浄試験装置2000は、通水量の低下する少量のイオン交換樹脂では、再生液の配管中の残留の影響を受けて電気伝導率の低下が遅く、また、終了時の電気伝導率も高くなっている。このため、洗浄試験装置2000を用いた場合、イオン交換樹脂に影響する有機物が多いと判定されてしまう。一方、本発明に係る洗浄試験装置1000では再生液の影響が少なく、適切に評価できることが分かる。
洗浄試験装置2000の配管120内の残留再生液の影響を少なくするために、配管120の長さを短くする、あるいは配管120の内径を小さくして流速を上げるなどの手段も考えられるが、装置配置の自由度が低下したり、圧損による流量変化が生じたりするなどの不具合を生じる。
一方、本発明では、配管110の洗浄が樹脂筒61を経由することなく可能であることから、十分な通水量を確保でき、配管110は配管120よりも長くすることも可能である。その結果、装置配置の自由度が向上する。
本発明に係る洗浄試験装置を用いることで、イオン交換樹脂を用いた水処理システムにおける原水の影響、特に原水中の有機物による陰イオン交換樹脂への影響を少ない通水量で的確に確認することができる。
【符号の説明】
【0028】
11 純水タンク
21、22 ポンプ
31 入口電気伝導率セル
32 出口電気伝導率セル
41~47 弁
51 再生液タンク
61 樹脂筒
62 空気層
63 イオン交換樹脂
71~73 ドレイン
81 チーズ
101~119 配管
1000 洗浄試験装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8