(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】画像復号装置、画像符号化装置、画像処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 19/117 20140101AFI20220111BHJP
H04N 19/159 20140101ALI20220111BHJP
H04N 19/176 20140101ALI20220111BHJP
【FI】
H04N19/117
H04N19/159
H04N19/176
(21)【出願番号】P 2018161923
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】海野 恭平
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭
(72)【発明者】
【氏名】内藤 整
(72)【発明者】
【氏名】木谷 佳隆
【審査官】山▲崎▼ 雄介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/066241(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056665(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/145601(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/001911(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0294525(US,A1)
【文献】国際公開第2014/045919(WO,A1)
【文献】Kyohei Unno, et al.,CE2:Extended Deblocking Filter (CE2.2.1.2),Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11 11th Meeting: Ljubljana, SI, 10-18 July 2018,JVET-K0393-v1,2018年07月04日,http://phenix.it-sudparis.eu/jvet/doc_end_user/current_document.php?id=3913
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、
前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定
し、
前記第1条件は、前記ブロック境界の境界強度が所定値以上であるという条件であり、
前記第2条件は、前記ブロック境界の境界強度が所定値未満であるという条件である、画像復号装置。
【請求項2】
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、
前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定し、
前記第1条件は、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックであるという条件である、画像復号装置。
【請求項3】
前記第2条件は、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでないという条件である、請求項2に記載の画像復号装置。
【請求項4】
前記第1閾値を指定するための情報要素を含む制御データを受信する受信部を備える、請求項1乃至請求項
3のいずれか1項に記載の画像復号装置。
【請求項5】
前記第2閾値を指定するための情報要素を含む制御データを受信する受信部を備える、請求項
4に記載の画像復号装置。
【請求項6】
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、
前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定
し、
前記第1条件は、前記ブロック境界の境界強度が所定値以上であるという条件であり、
前記第2条件は、前記ブロック境界の境界強度が所定値未満であるという条件である、画像符号化装置。
【請求項7】
画像符号化装置及び画像復号装置を備える画像処理システムであって、
前記画像符号化装置及び前記画像復号装置は、
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、
前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定
し、
前記第1条件は、前記ブロック境界の境界強度が所定値以上であるという条件であり、
前記第2条件は、前記ブロック境界の境界強度が所定値未満であるという条件である、画像処理システム。
【請求項8】
プログラムであって、コンピュータに、
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するステップAと、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定するステップBと、を実行させ、
前記ステップBは、
第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定するステップと、
前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定するステップと、を含
み、
前記第1条件は、前記ブロック境界の境界強度が所定値以上であるという条件であり、
前記第2条件は、前記ブロック境界の境界強度が所定値未満であるという条件である、プログラム。
【請求項9】
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、
前記フィルタ処理として、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を適用するか否かを決定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上である場合に、前記超強フィルタ処理を適用すると決定し、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、或いは、前記
ブロック境界の境界強度が所定値以上である場合に、前記超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定し、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、或いは、前記
ブロック境界の境界強度が所定値未満である場合に、前記超強フィルタ処理として前記第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さい第2超強フィルタ処理を適用すると決定する、画像復号装置。
【請求項10】
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、
前記フィルタ処理として、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を適用するか否かを決定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上である場合に、前記超強フィルタ処理を適用すると決定し、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、或いは、前記
ブロック境界の境界強度が所定値以上である場合に、前記超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定し、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、或いは、前記
ブロック境界の境界強度が所定値未満である場合に、前記超強フィルタ処理として前記第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さい第2超強フィルタ処理を適用すると決定する、画像符号化装置。
【請求項11】
画像符号化装置及び画像復号装置を備える画像処理システムであって、
前記画像符号化装置及び前記画像復号装置は、
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、
前記フィルタ処理として、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を適用するか否かを決定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上である場合に、前記超強フィルタ処理を適用すると決定し、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、或いは、前記
ブロック境界の境界強度が所定値以上である場合に、前記超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定し、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、或いは、前記
ブロック境界の境界強度が所定値未満である場合に、前記超強フィルタ処理として前記第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さい第2超強フィルタ処理を適用すると決定する、画像処理システム。
【請求項12】
プログラムであって、コンピュータに、
対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するステップAと、
前記フィルタ処理として、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を適用するか否かを決定するステップBと、を実行させ、
前記ステップBは、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上である場合に、前記超強フィルタ処理を適用すると決定するステップと、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、或いは、前記
ブロック境界の境界強度が所定値以上である場合に、前記超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定するステップと、
前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、或いは、前記
ブロック境界の境界強度が所定値未満である場合に、前記超強フィルタ処理として前記第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さい第2超強フィルタ処理を適用すると決定するステップと、を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像復号装置、画像符号化装置、画像処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イントラ予測(フレーム内予測)又はインター予測(フレーム間予測)によって生成される予測信号と入力画像信号との差分である予測残差信号を生成し、予測残差信号の変換処理及び量子化処理を行う技術(例えば、HEVC;High Efficiency Video Coding)が提案されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
このような画像処理技術において、ブロック(予測ブロック、変換ブロックなど)のサイズに応じて、ブロック境界に適用するフィルタ処理の強度を変更する技術も提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ITU-T H.265 High Efficiency Video Coding
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-223302号公報
【文献】特開2017-069810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した画像処理技術では、フィルタ処理の強度を変更するか否かを判定するためのブロックのブロックサイズの閾値が一定である。
【0007】
しかしながら、発明者等は、鋭意検討の結果、上述した閾値が一定であるケースよりも、上述した閾値を適切に使い分けたケースの方が効果的にブロックノイズを低減することが可能であることを見出した。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、フィルタ処理の適用によってブロックノイズを効果的に低減することを可能とする画像復号装置、画像符号化装置、画像処理システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る画像復号装置は、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備える。前記制御部は、第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定する。
【0010】
第2の特徴に係る画像符号化装置は、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備える。前記制御部は、第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定する。
【0011】
第3の特徴に係る画像処理システムは、画像符号化装置及び画像復号装置を備える。前記画像符号化装置及び前記画像復号装置は、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備える。前記制御部は、第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定する。
【0012】
第4の特徴に係るプログラムは、コンピュータに、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するステップAと、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定するステップBと、を実行させる。前記ステップBは、第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定するステップと、前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定するステップと、を含む。
【0013】
第5の特徴に係る画像復号装置は、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、前記フィルタ処理として、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を適用するか否かを決定する制御部と、を備える。前記制御部は、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上である場合に、前記超強フィルタ処理を適用すると決定し、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、或いは、前記境界部分の境界強度が所定値以上である場合に、前記超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定し、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、或いは、前記境界部分の境界強度が所定値未満である場合に、前記超強フィルタ処理として前記第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さい第2超強フィルタ処理を適用すると決定する。
【0014】
第6の特徴に係る画像符号化装置は、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、前記フィルタ処理として、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を適用するか否かを決定する制御部と、を備える。前記制御部は、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上である場合に、前記超強フィルタ処理を適用すると決定し、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、或いは、前記境界部分の境界強度が所定値以上である場合に、前記超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定し、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、或いは、前記境界部分の境界強度が所定値未満である場合に、前記超強フィルタ処理として前記第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さい第2超強フィルタ処理を適用すると決定する。
【0015】
第7の特徴に係る画像処理システムは、画像符号化装置及び画像復号装置を備える。前記画像符号化装置及び前記画像復号装置は、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、前記フィルタ処理として、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を適用するか否かを決定する制御部と、を備える。前記制御部は、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上である場合に、前記超強フィルタ処理を適用すると決定し、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、或いは、前記境界部分の境界強度が所定値以上である場合に、前記超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定し、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、或いは、前記境界部分の境界強度が所定値未満である場合に、前記超強フィルタ処理として前記第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さい第2超強フィルタ処理を適用すると決定する。
【0016】
第8の特徴に係るプログラムは、コンピュータに、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するステップAと、前記フィルタ処理として、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を適用するか否かを決定するステップBと、を実行させる。前記ステップBは、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上である場合に、前記超強フィルタ処理を適用すると決定するステップと、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、或いは、前記境界部分の境界強度が所定値以上である場合に、前記超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定するステップと、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、或いは、前記境界部分の境界強度が所定値未満である場合に、前記超強フィルタ処理として前記第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さい第2超強フィルタ処理を適用すると決定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
一態様によれば、フィルタ処理の適用によってブロックノイズを効果的に低減することを可能とする画像復号装置、画像符号化装置、画像処理システム及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像処理システム10を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像符号化装置100を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るインループフィルタ処理部150を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るブロックサイズを説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るフィルタ処理を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像復号装置200を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るインループフィルタ処理部250を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るフィルタ適用方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、変更例1に係るフィルタ適用方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、変更例2に係るフィルタ適用方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、変更例3に係るフィルタ適用方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、変更例4に係るフィルタ適用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0020】
但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれている場合があることは勿論である。
【0021】
[開示の概要]
開示の概要に係る画像復号装置は、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備える。前記制御部は、第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定する。
【0022】
開示の概要に係る画像復号装置では、ブロック境界に適用するフィルタ処理の強度を設定する際に参照される閾値を使い分けることによって、フィルタ処理の適用によってブロックノイズを効果的に低減することができる。
【0023】
開示の概要に係る画像符号化装置は、対象ブロックと前記対象ブロックに隣接する隣接ブロックとのブロック境界にフィルタ処理を適用するフィルタ処理部と、前記対象ブロック及び前記隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、前記フィルタ処理の強度を設定する制御部と、を備える。前記制御部は、第1条件が満たされている場合に、前記閾値として第1閾値を設定し、前記第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、前記閾値として前記第1閾値とは異なる第2閾値を設定する。
【0024】
開示の概要に係る画像符号化装置では、ブロック境界に適用するフィルタ処理の強度を設定する際に参照される閾値を使い分けることによって、フィルタ処理の適用によってブロックノイズを効果的に低減することができる。
【0025】
開示の概要としては、上述した画像復号装置の動作に係る画像復号方法が提供されてもよく、上述した画像符号化装置の動作に係る画像符号化方法が提供されてもよい。開示の概要としては、上述した画像復号装置及び画像符号化装置を有する画像処理システムが提供されてもよい。開示の概要としては、上述した画像復号装置の動作に係るプログラムが提供されてもよく、上述した画像符号化装置の動作に係るプログラムが提供されてもよい。
【0026】
開示の概要では、上述した非特許文献1で知られている弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理を新たに導入するにあたって、超強フィルタ処理を適用する際に参照される閾値の使い分けについて主として説明する。すなわち、開示の概要では、超強フィルタ処理を適切に適用することによってブロックノイズを効果的に低減することができる。
【0027】
[実施形態]
(画像処理システム)
以下において、実施形態に係る画像処理システムについて説明する。
図1は、実施形態に係る実施形態に係る画像処理システム10を示す図である。
【0028】
図1に示すように、画像処理システム10は、画像符号化装置100及び画像復号装置200を有する。画像符号化装置100は、入力画像信号を符号化することによって符号化データを生成する。画像復号装置200は、符号化データを復号することによって出力画像信号を生成する。符号化データは、画像符号化装置100から画像復号装置200に対して伝送路を介して送信されてもよい。符号化データは、記憶媒体に格納された上で、画像符号化装置100から画像復号装置200に提供されてもよい。
【0029】
(画像符号化装置)
以下において、実施形態に係る画像符号化装置について説明する。
図2は、実施形態に係る画像符号化装置100を示す図である。
【0030】
図2に示すように、画像符号化装置100は、インター予測部111と、イントラ予測部112と、減算器121と、加算器122と、変換・量子化部131と、逆変換・逆量子化部132と、符号化部140と、インループフィルタ処理部150と、フレームバッファ160とを有する。
【0031】
インター予測部111は、インター予測(フレーム間予測)によって予測信号を生成する。具体的には、インター予測部111は、符号化対象のフレーム(以下、対象フレーム)とフレームバッファ160に格納される参照フレームとの比較によって、参照フレームに含まれる参照ブロックを特定し、特定された参照ブロックに対する動きベクトルを決定する。インター予測部111は、予測ブロック及び動きベクトルに基づいて予測信号を予測ブロック毎に生成する。インター予測部111は、予測信号を減算器121及び加算器122に出力する。参照フレームは、対象フレームとは異なるフレームである。
【0032】
イントラ予測部112は、イントラ予測(フレーム内予測)によって予測信号を生成する。具体的には、イントラ予測部112は、対象フレームに含まれる参照ブロックを特定し、特定された参照ブロックに基づいて予測信号を予測ブロック毎に生成する。イントラ予測部112は、予測信号を減算器121及び加算器122に出力する。参照ブロックは、予測対象のブロック(以下、対象ブロック)について参照されるブロックである。例えば、参照ブロックは、対象ブロックに隣接するブロックである。
【0033】
減算器121は、入力画像信号から予測信号を減算し、予測残差信号を変換・量子化部131に出力する。ここで、減算器121は、イントラ予測又はインター予測によって生成される予測信号と入力画像信号との差分である予測残差信号を生成する。
【0034】
加算器122は、逆変換・逆量子化部132から出力される予測残差信号に予測信号を加算し、フィルタ処理前復号信号をイントラ予測部112及びインループフィルタ処理部150に出力する。フィルタ処理前復号信号は、イントラ予測部112で用いる参照ブロックを構成する。
【0035】
変換・量子化部131は、予測残差信号の変換処理を行うとともに、係数レベル値を取得する。さらに、変換・量子化部131は、係数レベル値の量子化を行ってもよい。変換処理は、予測残差信号を周波数成分信号に変換する処理である。変換処理では、離散コサイン変換(DCT;Discrete Cosine Transform)に対応する基底パターン(変換行列)が用いられてもよく、離散サイン変換(DST;Discrete Sine Transform)に対応する基底パターン(変換行列)が用いられてもよい。
【0036】
逆変換・逆量子化部132は、変換・量子化部131から出力される係数レベル値の逆変換処理を行う。ここで、逆変換・逆量子化部132は、逆変換処理に先立って、係数レベル値の逆量子化を行ってもよい。逆変換処理及び逆量子化は、変換・量子化部131で行われる変換処理及び量子化とは逆の手順で行われる。
【0037】
符号化部140は、変換・量子化部131から出力された係数レベル値を符号化し、符号化データを出力する。例えば、符号化は、係数レベル値の発生確率に基づいて異なる長さの符号を割り当てるエントロピー符号化である。
【0038】
符号化部140は、係数レベル値に加えて、復号処理で用いる制御データを符号化する。制御データは、符号化ブロックサイズ、予測ブロックサイズ、変換ブロックサイズなどのサイズデータを含んでもよい。
【0039】
インループフィルタ処理部150は、加算器122から出力されるフィルタ処理前復号信号に対してフィルタ処理を行うとともに、フィルタ処理後復号信号をフレームバッファ160に出力する。例えば、フィルタ処理は、ブロック(符号化ブロック、予測ブロック又は変換ブロック)の境界部分で生じる歪みを減少するデブロッキングフィルタ処理である。
【0040】
フレームバッファ160は、インター予測部111で用いる参照フレームを蓄積する。フィルタ処理後復号信号は、インター予測部111で用いる参照フレームを構成する。
【0041】
(インループフィルタ処理部)
以下において、実施形態に係るインループフィルタ処理部について説明する。
図3は、実施形態に係るインループフィルタ処理部150を示す図である。
【0042】
図3に示すように、インループフィルタ処理部150は、対象ブロック境界検出部151と、隣接ブロック境界検出部152と、境界強度判定部153と、フィルタ処理決定部154と、フィルタ処理部155とを有する。ここで、末尾に“A”が付されている構成は、垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理に関する構成であり、末尾に“B”が付されている構成は、水平方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理に関する構成である。ここでは、垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理が行われた後に、水平方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理が行われるケースについて例示する。
【0043】
デブロッキングフィルタ処理は、上述したように、符号化ブロックに対して適用されてもよく、予測ブロックに対して適用されてもよく、変換ブロックに対して適用されてもよい。すなわち、対象ブロック及び隣接ブロックは、符号化ブロックであってもよく、予測ブロックであってもよく、変換ブロックであってもよい。
【0044】
垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理及び水平方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理は同様の処理であるため、以下においては、垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理について説明する。
【0045】
対象ブロック境界検出部151Aは、対象ブロックのブロックサイズを示す制御データに基づいて、対象ブロックの境界を検出する。後述するフィルタ決定処理に用いるブロックサイズは、例えばブロック境界の方向と直交する方向のサイズとすることができる。ここでは、垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理について説明しているため、ブロックサイズは、水平方向のサイズである。例えば、
図4に示すケースでは、対象ブロックのブロックサイズは“X”である。
【0046】
隣接ブロック境界検出部152Aは、隣接ブロックのブロックサイズを示す制御データに基づいて、隣接ブロックの境界を検出する。ここでは、垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理について説明しているため、ブロックサイズは、水平方向のサイズである。例えば、
図4に示すケースでは、隣接ブロックのブロックサイズは“Y”である。
【0047】
なお、ブロックサイズについては、本実施形態ではブロック境界の方向と直交する方向のサイズを用いる場合の例を説明するが、予め決めておけばブロック境界の方向とブロックサイズ判定の方法の組み合わせは自由である。例えば、ブロックサイズは、ブロック境界の方向と同じ方向のサイズとすることもできる。また、ブロックサイズは、水平方向及び垂直方向のサイズのうちいずれか小さいほうのサイズ、あるいはいずれか大きい方のサイズ、とすることもできる。
【0048】
境界強度判定部153Aは、対象ブロックと隣接ブロックとのブロック境界の境界強度を判定する。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックがイントラ予測ブロックであるか否かを示す制御データに基づいてブロック境界の境界強度を判定してもよい。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックに非零の直交変換係数が含まれるか否か及びブロック境界が変換ブロックの境界であるか否かを示す制御データに基づいてブロック境界の境界強度を判定してもよい。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの予測動きベクトルの差の絶対値が閾値(例えば、1画素)以上であるか否かを示す制御データに基づいてブロック境界の境界強度を判定してもよい。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの予測動きベクトルの予測で参照される参照ブロックが異なるか否かを示す制御データに基づいてブロック境界の境界強度を判定してもよい。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの予測動きベクトルの数が異なるか否かを示す制御データに基づいてブロック境界の境界強度を判定してもよい。
【0049】
例えば、境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、ブロック境界の境界強度が“2”であると判定してもよい。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックが非零の直交変換係数を含み、かつ、ブロック境界が変換ブロックの境界である場合に、ブロック境界の境界強度が“1”であると判定してもよい。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの予測動きベクトルの差の絶対値が閾値(例えば、1画素)以上である場合に、ブロック境界の境界強度が“1”であると判定してもよい。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの予測動きベクトルの予測で参照される参照ブロックが異なる場合に、ブロック境界の境界強度が“1”であると判定してもよい。境界強度判定部153Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの予測動きベクトルの数が異なる場合に、ブロック境界の境界強度が“1”であると判定してもよい。境界強度判定部153Aは、上述した条件がいずれも満たされない場合に、ブロック境界の境界強度が“0”であると判定してもよい。境界強度の値が大きいほど、ブロック境界で生じるブロック歪みが大きい可能性が高い。
【0050】
フィルタ処理決定部154Aは、ブロック境界に適用するデブロッキングフィルタ処理の種類を決定する。デブロッキングフィルタ処理としては、非特許文献1で知られている弱フィルタ処理及び強フィルタ処理に加えて、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理よりも平滑度合いが大きい超強フィルタ処理が新たに導入される。
【0051】
例えば、フィルタ処理決定部154Aは、ブロック境界の境界強度、対象ブロック及び隣接ブロックに含まれる量子化パラメータなどに基づいて、フィルタ処理を適用するか否か、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理のいずれのフィルタ処理を境界ブロックに適用するかを決定してもよい。例えば、フィルタ処理決定部154Aは、
図5の上段に示す判定画素(P00~P030、P03~P033、Q00~Q30、Q03~Q33)の量子化パラメータを用いて、フィルタ処理を適用するか否か、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理のいずれのフィルタ処理を境界ブロックに適用するかを決定してもよい。フィルタ処理決定部154Aは、ブロック境界の境界強度が“0”である場合に、デブロッキングフィルタ処理を適用しないと決定してもよい。
【0052】
実施形態では、フィルタ処理決定部154Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、フィルタ処理の強度を設定する制御部を構成する。詳細には、フィルタ処理決定部154Aは、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズと閾値との比較結果に基づいて、超強フィルタ処理を適用するか否かを決定する。
【0053】
このようなケースにおいて、フィルタ処理決定部154Aは、第1条件が満たされている場合に、閾値として第1閾値(Th1)を設定する。フィルタ処理決定部154Aは、第1条件とは異なる第2条件が満たされている場合に、閾値として第1閾値(Th1)とは異なる第2閾値(Th2)を設定する。実施形態では、第1条件は、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックであるという条件である。第2条件は、対象ブロック及び隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでないという条件である。このようなケースにおいて、第1閾値(Th1)は、第2閾値(Th2)よりも小さくてもよい。すなわち、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、超強フィルタ処理が選択されやすくてもよい。
【0054】
フィルタ処理部155Aは、フィルタ処理決定部154Aの決定に基づいてデブロッキング前画像に対する処理を行う。デブロッキング前画像に対する処理は、フィルタ処理なし、弱フィルタ処理、強フィルタ処理、超強フィルタ処理などである。
【0055】
例えば、フィルタ処理部155Aは、ブロック境界にフィルタ処理を適用する場合には、
図5の下段に示すように、適用画素(P00~P20、P01~P21、P02~P22、P03~P23、Q00~Q20、Q01~Q21、Q02~Q22、Q03~Q23)に対してフィルタ処理を適用してもよい。
【0056】
(画像復号装置)
以下において、実施形態に係る画像復号装置について説明する。
図6は、実施形態に係る画像復号装置200を示す図である。
【0057】
図6に示すように、画像復号装置200は、復号部210と、逆変換・逆量子化部220と、加算器230と、インター予測部241と、イントラ予測部242と、インループフィルタ処理部250と、フレームバッファ260とを有する。
【0058】
復号部210は、画像符号化装置100によって生成される符号化データを復号し、係数レベル値を復号する。例えば、復号は、符号化部140で行われるエントロピー符号化とは逆の手順のエントロピー復号である。
【0059】
復号部210は、符号化データの復号処理によって制御データを取得してもよい。上述したように、制御データは、符号化ブロックサイズ、予測ブロックサイズ、変換ブロックサイズなどのサイズデータを含んでもよい。制御データは、第2成分の予測サンプルの生成に用いる入力ソースを示す情報要素を含んでもよい。
【0060】
逆変換・逆量子化部220は、復号部210から出力される係数レベル値の逆変換処理を行う。ここで、逆変換・逆量子化部220は、逆変換処理に先立って、係数レベル値の逆量子化を行ってもよい。逆変換処理及び逆量子化は、変換・量子化部131で行われる変換処理及び量子化とは逆の手順で行われる。
【0061】
加算器230は、逆変換・逆量子化部220から出力される予測残差信号に予測信号を加算し、フィルタ処理前復号信号をイントラ予測部262及びインループフィルタ処理部250に出力する。フィルタ処理前復号信号は、イントラ予測部262で用いる参照ブロックを構成する。
【0062】
インター予測部241は、インター予測部111と同様に、インター予測(フレーム間予測)によって予測信号を生成する。具体的には、インター予測部241は、符号化データから復号した動きベクトルと参照フレームの情報に基づいて予測信号を予測ブロック毎に生成する。インター予測部241は、予測信号を加算器230に出力する。
【0063】
イントラ予測部262は、イントラ予測部112と同様に、イントラ予測(フレーム内予測)によって予測信号を生成する。具体的には、イントラ予測部262は、対象フレームに含まれる参照ブロックを特定し、特定された参照ブロックに基づいて予測信号を予測ブロック毎に生成する。イントラ予測部262は、予測信号を加算器230に出力する。
【0064】
インループフィルタ処理部250は、インループフィルタ処理部150と同様に、加算器230から出力されるフィルタ処理前復号信号に対してフィルタ処理を行うとともに、フィルタ処理後復号信号をフレームバッファ260に出力する。例えば、フィルタ処理は、ブロック(符号化ブロック、予測ブロック又は変換ブロック)の境界部分で生じる歪みを減少するデブロッキングフィルタ処理である。
【0065】
フレームバッファ260は、フレームバッファ160と同様に、インター予測部241で用いる参照フレームを蓄積する。フィルタ処理後復号信号は、インター予測部241で用いる参照フレームを構成する。
【0066】
(インループフィルタ処理部)
以下において、実施形態に係るインループフィルタ処理部について説明する。
図7は、実施形態に係るインループフィルタ処理部250を示す図である。
【0067】
図7に示すように、インループフィルタ処理部250は、対象ブロック境界検出部251と、隣接ブロック境界検出部252と、境界強度判定部253と、フィルタ処理決定部254と、フィルタ処理部255とを有する。ここで、末尾に“A”が付されている構成は、垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理に関する構成であり、末尾に“B”が付されている構成は、水平方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理に関する構成である。ここでは、垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理が行われた後に、水平方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理が行われるケースについて例示する。
【0068】
デブロッキングフィルタ処理は、上述したように、符号化ブロックに対して適用されてもよく、予測ブロックに対して適用されてもよく、変換ブロックに対して適用されてもよい。すなわち、対象ブロック及び隣接ブロックは、符号化ブロックであってもよく、予測ブロックであってもよく、変換ブロックであってもよい。
【0069】
垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理及び水平方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理は同様の処理であるため、以下においては、垂直方向のブロック境界に対するデブロッキングフィルタ処理について説明する。
【0070】
対象ブロック境界検出部251Aは、対象ブロック境界検出部151Aと同様に、対象ブロックのブロックサイズを示す制御データに基づいて、対象ブロックの境界を検出する。
【0071】
隣接ブロック境界検出部252Aは、隣接ブロック境界検出部152Aと同様に、隣接ブロックのブロックサイズを示す制御データに基づいて、隣接ブロックの境界を検出する。
【0072】
境界強度判定部253Aは、境界強度判定部153Aと同様に、対象ブロックと隣接ブロックとのブロック境界の境界強度を判定する。ブロック境界の境界強度の判定方法は上述した通りである。
【0073】
フィルタ処理決定部254Aは、フィルタ処理決定部154Aと同様に、ブロック境界に適用するデブロッキングフィルタ処理の種類を決定する。デブロッキングフィルタ処理の種類の決定方法は上述した通りである。
【0074】
フィルタ処理部255Aは、フィルタ処理部155Aと同様に、フィルタ処理決定部254Aの決定に基づいてデブロッキング前画像に対する処理を行う。デブロッキング前画像に対する処理は、フィルタ処理なし、弱フィルタ処理、強フィルタ処理、超強フィルタ処理などである。
【0075】
(フィルタ適用方法)
以下において、実施形態に係るフィルタ適用方法について説明する。
図8は、実施形態に係るフィルタ適用方法を示す図である。
図8に示すフィルタ適用方法は、インループフィルタ処理部150及びインループフィルタ処理部250によって行われる方法であり、画像符号化方法及び画像復号方法の一例である。ここでは、画像復号装置200を例に挙げて説明する。
【0076】
図8に示すように、ステップS10において、画像復号装置200は、ブロック境界の境界強度が1以上であるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS11の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS14の処理を行う。
【0077】
ステップS11において、画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックであるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS12の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS13の処理を行う。ここで、判定結果がYESであるケースは、第1条件が満たされているケースである。判定結果がNOであるケースは、第2条件が満たされているケースである。
【0078】
ステップS12において、画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックの双方のブロックサイズが第1閾値(Th1)以上であるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS15の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS16の処理を行う。
【0079】
ステップS13において、画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックの双方のブロックサイズが第2閾値(Th2)以上であるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS15の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS16の処理を行う。ここで、第2閾値(Th2)は、第1閾値(Th1)よりも大きくてもよい。
【0080】
ステップS14において、画像復号装置200は、ブロック境界に対してフィルタ処理を適用しない。
【0081】
ステップS15において、画像復号装置200は、ブロック境界に対して超強フィルタ処理を適用する。
【0082】
ステップS16において、画像復号装置200は、従来処理を行う。従来処理は、ブロック境界の境界強度、対象ブロック及び隣接ブロックに含まれる量子化パラメータなどに基づいて、フィルタ処理を適用するか否か、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理のいずれのフィルタ処理を境界ブロックに適用するかを決定する処理である。
【0083】
(作用及び効果)
開示の概要に係る画像符号化装置100及び画像復号装置200では、ブロック境界に適用するフィルタ処理の強度を設定する際に参照される閾値を使い分けることによって、フィルタ処理の適用によってブロックノイズを効果的に低減することができる。
【0084】
開示の概要に係る画像符号化装置100及び画像復号装置200では、第1閾値(Th1)が第2閾値(Th2)よりも小さく、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、超強フィルタ処理が選択されやすくてもよい。このような構成によれば、超強フィルタ処理を適切に適用することによってブロックノイズを効果的に低減することができる。
【0085】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0086】
実施形態では、第1条件は、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックであるという条件である。第2条件は、対象ブロック及び隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでないという条件である。これに対して、変更例1では、第1条件は、ブロック境界の境界強度が所定値(例えば、2)以上であるという条件である。第2条件は、ブロック境界の境界強度が所定値(例えば、2)未満であるという条件である。
【0087】
(フィルタ適用方法)
以下において、変更例1に係るフィルタ適用方法について説明する。
図9は、変更例1に係るフィルタ適用方法を示す図である。
図9に示すフィルタ適用方法は、インループフィルタ処理部150及びインループフィルタ処理部250によって行われる方法であり、画像符号化方法及び画像復号方法の一例である。ここでは、画像復号装置200を例に挙げて説明する。
【0088】
図9に示すフローは、ステップS11に代えてステップS21が行われる点を除いて、
図8に示すフローと同様であるため、以下においては、ステップS21についてのみ説明する。
【0089】
図9に示すように、ステップS21において、画像復号装置200は、ブロック境界の境界強度が2以上であるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS22の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS23の処理を行う。ここで、判定結果がYESであるケースは、第1条件が満たされているケースである。判定結果がNOであるケースは、第2条件が満たされているケースである。
【0090】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0091】
変更例2では、画像符号化装置100は、第1閾値を指定するための情報要素を含む制御データを画像復号装置200に送信する。同様に、画像符号化装置100は、第2閾値を指定するための情報要素を含む制御データを画像復号装置200に送信する。言い換えると、画像復号装置200は、第1閾値を指定するための情報要素を含む制御データを画像符号化装置100から受信する。同様に、画像復号装置200は、第2閾値を指定するための情報要素を含む制御データを画像符号化装置100から受信する。
【0092】
例えば、画像符号化装置100から画像復号装置200に送信されるビットストリームに含まれるヘッダは、超強フィルタフラグ、第1閾値及び第2閾値を示す情報要素、超強フィルタを適用すべきブロック(すなわち、対象ブロック及び隣接ブロック)の種類を示す情報要素を含む。ヘッダは、シーケンス毎に設けられるシーケンスヘッダであってもよく、ピクチャ毎に設けられるピクチャヘッダであってもよく、スライス毎に設けられるスライスヘッダであってもよい。
【0093】
超強フィルタフラグは、超強フィルタ処理を適用するブロックが存在するか否かを示すフラグである。超強フィルタフラグがオンである場合に、超強フィルタ処理を適用するブロックが存在しており、超強フィルタフラグがオフである場合に、超強フィルタ処理を適用するブロックが存在していない。
【0094】
例えば、ピクチャヘッダにおいて、デブロッキングフィルタをピクチャに適用するか否かを示す1ビットフラグ(例えば、“pps_deblocking_filter_disabled_flag”)の下位情報要素として、“pps_stronger_deblocking_filter_disabled_flag”と称される1ビットフラグが超強フィルタフラグとして導入されてもよい。例えば、スライスヘッダにおいて、デブロッキングフィルタをスライスに適用するか否かを示す1ビットフラグ(例えば、“slice_deblocking_filter_disabled_flag”)の下位情報要素として、“slice_stronger_deblocking_filter_disabled_flag”と称される1ビットフラグが超強フィルタフラグとして導入されてもよい。
【0095】
第1閾値及び第2閾値を示す情報要素は、特に限定されるものではないが、2を底とする対数で表される値であってもよく、予め定められた最小値に対する差分で表される値であってもよい。超強フィルタフラグがオンである場合に、第1閾値及び第2閾値としてデフォルト値が用いられる場合には、第1閾値及び第2閾値を示す情報要素が省略されてもよい。
【0096】
例えば、ピクチャヘッダにおいて、“pps_stronger_deblocking_filter_disabled_flag”が0である場合に、すなわち、超強フィルタ処理が適用されるブロックが存在する場合に、第1閾値は、“pps_log2_block_size_th1_minus3”という情報要素で表され、第2閾値は、“pps_log2_block_size_th2_minus3”という情報要素で表されてもよい。例えば、スライスヘッダにおいて、“slice_stronger_deblocking_filter_disabled_flag”が0である場合に、すなわち、超強フィルタ処理が適用されるブロックが存在する場合に、第1閾値は、“slice_log2_block_size_th1_minus3”という情報要素で表され、第2閾値は、“slice_log2_block_size_th2_minus3”という情報要素で表されてもよい。
【0097】
対象ブロック及び隣接ブロックの種類を示す情報要素は、符号化ブロック、予測ブロック及び変換ブロックなどの種類を示す情報要素である。このような情報要素で示されるブロックのブロック境界において超強フィルタ処理が適用される。
【0098】
(フィルタ適用方法)
以下において、変更例2に係るフィルタ適用方法について説明する。
図10は、変更例2に係るフィルタ適用方法を示す図である。
図10に示すフィルタ適用方法は、画像符号化装置100で行われる処理について説明する。
【0099】
ステップS30において、画像符号化装置100は、超強フィルタ処理を適用するか否かを判定する。画像符号化装置100は、判定結果がYESである場合には、ステップS32の処理を行う。画像符号化装置100は、判定結果がNOである場合には、ステップS31の処理を行う。
【0100】
ステップS31において、画像符号化装置100は、超強フィルタフラグにオフを示す値をセットする。
【0101】
ステップS32において、画像符号化装置100は、超強フィルタフラグにオンを示す値をセットする。
【0102】
ステップS33において、画像符号化装置100は、第1閾値及び第2閾値を示す情報要素をセットする。
【0103】
ステップS34において、画像符号化装置100は、超強フィルタ処理を適用すべきブロック(対象ブロック及び隣接ブロック)の種類を示す情報要素をセットする。
【0104】
なお、画像復号装置200においては、超強フィルタフラグがオンである場合に、ステップS33及びステップS34でセットされる情報要素の復号を行えばよい。すなわち、画像復号装置200においては、超強フィルタフラグがオフである場合に、ステップS33及びステップS34でセットされる情報要素の復号を省略してもよい。
【0105】
また、前記の超強フィルタ処理を適用すべきブロックの種類を示す情報要素を伝送しないという構成も可能である。この場合は、前記ステップS34の代わりに、
図8や
図9で説明した判定フローを用いることで、ブロック境界ごとにどのフィルタ処理を適用するか決定することができる。
【0106】
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0107】
変更例3では、超強フィルタ処理として、第1超強フィルタ処理及び第2超強フィルタ処理が導入されるケースについて説明する。第2超強フィルタ処理は、第1超強フィルタ処理よりも平滑度合いが小さいフィルタ処理である。
【0108】
画像符号化装置100及び画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックのブロックサイズが閾値以上場合に、超強フィルタ処理を適用すると決定する。変更例3では、対象ブロック及び隣接ブロックの双方のブロックサイズが閾値(Th)以上である場合に、強フィルタ処理を適用すると決定する。
【0109】
このような前提下において、画像符号化装置100及び画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックである場合に、超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定する。
【0110】
一方で、画像符号化装置100及び画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでない場合に、超強フィルタ処理として第2超強フィルタ処理を適用すると決定する。
【0111】
変更例3では、対象ブロック及び隣接ブロックのブロックサイズと比較すべき閾値は1種類であってもよい。このような閾値は、変更例2と同様に、画像符号化装置100から画像復号装置200に送信される制御データ(例えば、各種ヘッダ)に含まれる情報要素によって指定されてもよい。
【0112】
(フィルタ適用方法)
以下において、変更例3に係るフィルタ適用方法について説明する。
図11は、変更例3に係るフィルタ適用方法を示す図である。
図11に示すフィルタ適用方法は、インループフィルタ処理部150及びインループフィルタ処理部250によって行われる方法であり、画像符号化方法及び画像復号方法の一例である。ここでは、画像復号装置200を例に挙げて説明する。
【0113】
図11に示すように、ステップS40において、画像復号装置200は、ブロック境界の境界強度が1以上であるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS41の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS43の処理を行う。
【0114】
ステップS41において、画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックの双方のブロックサイズが閾値(Th)以上であるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS42の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS46の処理を行う。
【0115】
ステップS42において、画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックであるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS44の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS45の処理を行う。ここで、判定結果がYESであるケースは、第1条件が満たされているケースである。判定結果がNOであるケースは、第2条件が満たされているケースである。
【0116】
ステップS43において、画像復号装置200は、ブロック境界に対してフィルタ処理を適用しない。
【0117】
ステップS44において、画像復号装置200は、ブロック境界に対して第1超強フィルタ処理を適用する。
【0118】
ステップS45において、画像復号装置200は、ブロック境界に対して第2超強フィルタ処理を適用する。
【0119】
ステップS46において、画像復号装置200は、従来処理を行う。従来処理は、ブロック境界の境界強度、対象ブロック及び隣接ブロックに含まれる量子化パラメータなどに基づいて、フィルタ処理を適用するか否か、弱フィルタ処理及び強フィルタ処理のいずれのフィルタ処理を境界ブロックに適用するかを決定する処理である。
【0120】
(作用及び効果)
変更例3では、画像符号化装置100及び画像復号装置200は、対象ブロック及び隣接ブロックのブロックサイズに基づいて、超強フィルタ処理を適用するか否かを判定した上で、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックであるか否かに応じて、第1超強フィルタ処理及び第2超強フィルタ処理を使い分ける。このような構成によれば、フィルタ処理の適用によってブロックノイズを効果的に低減することができる。
【0121】
[変更例4]
以下において、実施形態の変更例4について説明する。以下においては、変更例3に対する相違点について主として説明する。
【0122】
変更例3では、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックであるか否かに基づいて、第1超強フィルタ処理及び第1超強フィルタ処理が使い分けられる。これに対して、変更例4では、ブロック境界の境界強度が所定値(例えば、2)以上であるか否かに基づいて、第1超強フィルタ処理及び第1超強フィルタ処理が使い分けられる。
【0123】
すなわち、変更例4において、画像符号化装置100及び画像復号装置200は、ブロック境界の境界強度が所定値(例えば、2)以上である場合に、超強フィルタ処理として第1超強フィルタ処理を適用すると決定する。
【0124】
一方で、画像符号化装置100及び画像復号装置200は、ブロック境界の境界強度が所定値(例えば、2)未満である場合に、超強フィルタ処理として第2超強フィルタ処理を適用すると決定する。
【0125】
(フィルタ適用方法)
以下において、変更例4に係るフィルタ適用方法について説明する。
図12は、変更例4に係るフィルタ適用方法を示す図である。
図12に示すフィルタ適用方法は、インループフィルタ処理部150及びインループフィルタ処理部250によって行われる方法であり、画像符号化方法及び画像復号方法の一例である。ここでは、画像復号装置200を例に挙げて説明する。
【0126】
図12に示すフローは、ステップS42に代えてステップS52が行われる点を除いて、
図11に示すフローと同様であるため、以下においては、ステップS52についてのみ説明する。
【0127】
図12に示すように、ステップS52において、画像復号装置200は、ブロック境界の境界強度が2以上であるか否かを判定する。画像復号装置200は、判定結果がYESである場合には、ステップS54の処理を行う。画像復号装置200は、判定結果がNOである場合には、ステップS55の処理を行う。
【0128】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0129】
実施形態では特に触れていないが、上述したフィルタ処理は、輝度信号に適用される処理であってもよい。輝度信号に対するフィルタ処理の適用方法は、色差信号に対するフィルタ処理の適用方法と異なっていてもよい。
【0130】
実施形態では、対象ブロック及び隣接ブロックの双方のブロックサイズが第1閾値(Th1)又は第2閾値(Th2)以上である場合に、超強フィルタ処理が適用されるケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つブロックのブロックサイズが第1閾値(Th1)又は第2閾値(Th2)以上である場合に、超強フィルタ処理が適用されてもよい。
【0131】
実施形態では、第1閾値(Th1)が第2閾値(Th2)よりも小さいケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1閾値(Th1)は、第2閾値(Th2)よりも大きくてもよい。
【0132】
実施形態では、第1条件は、対象ブロック及び隣接ブロックの少なくともいずれか1つのブロックがイントラ予測ブロックであるという条件である。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1条件は、他の条件を含んでもよい。他の条件は、対象ブロック及び隣接ブロックに含まれる量子化パラメータが所定条件を満たすことであってもよく、ブロック境界の境界強度が閾値(例えば、2)以上であることであってもよい。
【0133】
実施形態では、第2条件は、対象ブロック及び隣接ブロックの双方がイントラ予測ブロックでないという条件である。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1条件は、他の条件を含んでもよい。他の条件は、対象ブロック及び隣接ブロックに含まれる量子化パラメータが所定条件を満たすことであってもよく、ブロック境界の境界強度が閾値(例えば、2)以上であることであってもよい。
【0134】
実施形態では、第1閾値及び第2閾値は、超強フィルタ処理の適用可否の判定に用いられる。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1閾値及び第2閾値は、超強フィルタ処理以外のフィルタ処理の適用可否の判定に用いられてもよい。
【0135】
変更例2では、制御データ(例えば、ヘッダ)が第1閾値及び第2閾値を示す情報要素を含むケースについて例示した。しかしながら、変更例2はこれに限定されるものではない。第1閾値及び第2閾値のいずれか1つがデフォルト値である場合には、制御データは、デフォルト値以外の閾値を示す情報要素を含んでいてもよい。
【0136】
変更例2では、超強フィルタフラグは、超強フィルタ処理を適用するブロックが存在するか否かを示すフラグであるケースについて例示した。しかしながら、変更例2はこれに限定されるものではない。例えば、超強フィルタフラグは、第1閾値及び第2閾値のいずれの閾値を用いるかを示すフラグであってもよい。このようなケースにおいて、超強フィルタフラグがオンである場合には、第1閾値が用いられ、かつ、第1閾値を示す情報要素が制御データに含まれてもよい。一方で、超強フィルタフラグがオフである場合には、第2閾値が用いられ、かつ、第2閾値はデフォルト値であってもよい。
【0137】
変更例2では、超強フィルタ処理が適用されるブロックが存在するか否かを示すフラグ(例えば、“pps_deblocking_filter_disabled_flag”又は“slice_deblocking_filter_disabled_flag”)は、超強フィルタフラグ(“pps_stronger_deblocking_filter_disabled_flag”又は“slice_stronger_deblocking_filter_disabled_flag”)と別に定義されるケースについて例示した。しかしながら、変更例2はこれに限定されるものではない。これらのフラグは1つのフラグ(例えば、“deblocking_filter_mode_flag”と称してもよい)に統合されてもよい。このような1つのフラグは、フィルタ処理なし(例えば、0)、従来処理(例えば、1)、超強フィルタ処理(例えば、2)を指定するフラグであってもよい。
【0138】
実施形態では特に触れていないが、画像符号化装置100及び画像復号装置200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0139】
或いは、画像符号化装置100及び画像復号装置200が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【符号の説明】
【0140】
10…画像処理システム、100…画像符号化装置、111…インター予測部、112…イントラ予測部、121…減算器、122…加算器、131…変換・量子化部、132…逆変換・逆量子化部、140…符号化部、150…インループフィルタ処理部、151…対象ブロック境界検出部、152…隣接ブロック境界検出部、153…境界強度判定部、154…フィルタ決定部、155…フィルタ処理部、160…フレームバッファ、200…画像復号装置、210…復号部、220…逆変換・逆量子化部、230…加算器、241…インター予測部、242…イントラ予測部、250…インループフィルタ処理部、251…対象ブロック境界検出部、252…隣接ブロック境界検出部、253…境界強度判定部、254…フィルタ決定部、255…フィルタ処理部、260…フレームバッファ