(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】表面コーティングを塗布する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/12 20060101AFI20220111BHJP
C23C 14/56 20060101ALI20220111BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20220111BHJP
C23C 16/54 20060101ALI20220111BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20220111BHJP
D06M 10/02 20060101ALI20220111BHJP
D06B 19/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C23C14/12
C23C14/56 D
C23C14/56 B
C23C16/505
C23C16/54
H05H1/46 M
D06M10/02 C
D06B19/00 E
(21)【出願番号】P 2018188756
(22)【出願日】2018-10-04
(62)【分割の表示】P 2015536112の分割
【原出願日】2013-10-09
【審査請求日】2018-10-18
(32)【優先日】2012-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2013-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515039591
【氏名又は名称】ユーロブラズマ エンヴェー
(74)【復代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】ロゲ,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】レヘイン,フィリップ
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-080373(JP,A)
【文献】実開平02-033234(JP,U)
【文献】特表2005-524930(JP,A)
【文献】特開2012-077330(JP,A)
【文献】特開平09-176855(JP,A)
【文献】特開平03-069657(JP,A)
【文献】特開2010-053382(JP,A)
【文献】国際公開第2011/089009(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/12
C23C 14/56
C23C 16/505
C23C 16/54
H05H 1/46
D06M 10/02
D06B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスタイル材料等のファブリックのシートの両面をポリマー層でコーティングするための真空プラズマチャンバーであって、
該プラズマチャンバー内に連続的に配列された全体的に平坦な又はプレートの形態をそれぞれ有する複数の電極層を有し、該複数の電極層は、一対の無線周波数電極層及び一対のグラウンド電極層を含み、少なくとも2つの隣接する
前記電極層は
前記無線周波数電極層又は
前記グラウンド電極層のいずれかであり、該2つの隣接する
前記電極層は、
前記ファブリックを受け取るための通路の両側に配列され、
少なくとも1対の電極セットを有し、該電極セットは、少なくとも3つの
前記電極層を含み、
前記電極層の外側の対は
前記グラウンド電極層又は
前記無線周波数電極層のいずれかである
と共に前記電極セットにおける前記グラウンド電極層と前記無線周波数電極層とは交互に配置され、前記電極セット同士の間を前記ファブリックが通過するように前記電極セットは配置される、テキスタイル材料等のファブリックのシートの両面をポリマー層でコーティングするための真空プラズマチャンバー。
【請求項2】
第1の電極セット及び第2の電極セット
の両方は、内側電極層と、一対の外側電極層を有し、前記内側電極層が
前記無線周波数電極であり、前記外側電極層が
前記グラウンド電極であるか、又は、前記内側電極層が
前記グラウンド電極であり、前記外側電極層が
前記無線周波数電極である、請求項1に記載のプラズマチャンバー。
【請求項3】
前記プラズマチャンバーは、前記プラズマチャンバー内の所望の場所に各電極又は各電極セットを配置するための、1つ又は複数の接続プレート及び/又はチャンバー壁等の配置手段及び/又は固定手段を更に備え、前記配置手段及び/又は前記固定手段は、前記プラズマチャンバーから摺動可能に取外し可能である、請求項1または請求項2に記載のプラズマチャンバー。
【請求項4】
使用中に、電極層間で
前記ファブリックのシートを誘導するための複数のローラーを備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマチャンバー。
【請求項5】
前記ローラーは、0.1m/分と20m/分との間の速度で、繰り出されるか又は巻き取られる前記ファブリックを移動させるよう動作するように配列される、請求項
4に記載のプラズマチャンバー。
【請求項6】
前記ローラーは、互いに独立に駆動されるように作動可能であり、互いに独立に微調整可能である、請求項
4または請求項5に記載のプラズマチャンバー。
【請求項7】
前記ローラーは、
前記プラズマチャンバー内のより実質的に均一な温度に寄与するよう冷却又は加熱されることが可能であり、それにより、前記プラズマチャンバーの内部でのモノマーの凝縮を回避する、請求項4から
6のいずれか1項に記載のプラズマチャンバー。
【請求項8】
前記冷却又は加熱は、液体、水又はオイルによって提供される、請求項
7に記載のプラズマチャンバー。
【請求項9】
前記ローラーは、20℃から85℃に加熱され得る、請求項
7に記載のプラズマチャンバー。
【請求項10】
1つ又は複数の区画を更に含み、該1つの又はそれぞれの区画は
前記ファブリックの1つ又は複数のロールを受け取るように適合される、請求項1から
9のいずれか1項に記載のプラズマチャンバー。
【請求項11】
前記ロールは、1m/分と5m/分との間の速度で繰り出すか又は巻き取ることができる、請求項
10に記載のプラズマチャンバー。
【請求項12】
1つ又は複数のロードセルを有し、該ロードセルは、所定の低いベース圧力に達するとすぐに、かつ、第1の処理ステップの前に、較正することができる、請求項1から11のいずれか1項に記載のプラズマチャンバー。
【請求項13】
それぞれの個々のコーティングの実行について、前記ロードセルは、前記ベース圧力に達するとすぐに、かつ、前記第1の処理ステップの前に、例えば、ガス抜きの前か、ガス入口の前でかつ前処理のために電磁界をオンにする前か、又は、前記ガス入口の前でかつコーティングステップのために電磁界をオンにする前か、いずれか早い方で較正される、請求項12に記載のプラズマチャンバー。
【請求項14】
使用中、前記ファブリックが巻き取られる張力は、0.2kg~250kg(2N~2500N)である、請求項12又は13に記載のプラズマチャンバー。
【請求項15】
テキスタイル材料等のファブリックのシートの両面をポリマー層でコーティングする方法であって、
全体的に平坦な又はプレートの形態をそれぞれ有する連続的に配列された複数の電極層を内部に有する、真空プラズマチャンバーを設けるステップであって、該プラズマチャンバーは、一対の無線周波数電極層及び一対のグラウンド電極層を備え、少なくとも2つの隣接する
前記電極層は
前記無線周波数電極層であるか、又は、少なくとも2つの隣接する
前記電極層は
前記グラウンド電極層であり、
該2つの隣接する前記電極層は、前記ファブリックを受け取るための通路の両側に配列され、該プラズマチャンバーは、少なくとも1対の電極セットを有し、該電極セットは、少なくとも3つの前記電極層を含み、前記電極層の外側の対は前記グラウンド電極層又は前記無線周波数電極層のいずれかである
と共に前記電極セットにおける前記グラウンド電極層と前記無線周波数電極層とは交互に配置され、前記電極セット同士の間を前記ファブリックが通過するように前記電極セットは配置される、ステップと、
前記
電極セット間で
前記ファブリックのシートを誘導するステップと、を含む、テキスタイル材料等のファブリックのシートの両面をポリマー層でコーティングする方法。
【請求項16】
前記
電極セット間で
前記ファブリックのシートを誘導する前記ステップは、複数のローラーの使用を含む、請求項15に記載のテキスタイル材料等のファブリックのシートの両面をポリマー層でコーティングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面コーティングを塗布する装置及びその装置の使用方法に関し、特に、排他的ではないが、ファブリック上に保護ポリマーコーティングを堆積させる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願で使用されるファブリック(fabric or fabrics)という用語は、不織テキスタイル及び織りテキスタイル又は編みテキスタイルである材料を含み、それらの材料を加工して、日常使用で、産業環境で、個人用保護具(PPE:personal protective equipment)で、スポーツ及びレジャー環境等で適用するためのアパレル品等の物品を製造し得る。同様にファブリックを加工して製造され得る他の物品は、バックパック、傘、テント、ブラインド、スクリーン、キャノピー、タペストリ、家庭用テキスタイル、寝袋等のような商品である。ファブリックはまた、例えば、加熱、換気、又は空調(HVAC:heating, ventilation or airconditioning)システムで使用するための、又は、排気フィルター、ディーゼルフィルター、液体フィルター、医療用途用の濾過媒体等で使用するための濾過媒体物品として利用される。しばしば、HVAC用途において、ファブリックは、規則的なファイバ構造又はファイバの規則的な配置構成を有する材料になるように不織であるか、編まれるか、又はその他の方法で形成される。本発明の方法及びプロセスは、全てのこうしたファブリックに適用可能である。
【0003】
毎日の使用中又は繰り返される洗浄サイクル中等に経験される摩耗からファブリックを保護するため、コーティング、例えば、ポリマーコーティングでファブリックをコーティングすることが知られている。
【0004】
ロールツーロールシステムを使用してファブリック材料のシートをコーティングすることも知られている。従来技術のロールツーロールシステムは、通常、
図2及び
図3に示すような電極配置構成を備える。こうした配置構成では、モノマーが、電極層間に誘導されるファブリック材料のシートの単一の側に重合される。したがって、ファブリック材料のシートの両側をコーティングするため、コーティングがシートの第1の側に堆積されると、ロールを取外し、ロールを180度ひっくり返し、電極層間にシート材料をもう一度誘導して、シートの反対側(すなわち、第2の側)をコーティングすることが必要である。認識されるように、この方法は、ファブリックの両側をコーティングするためにかなりの量の処理時間を伴う。さらに、この方法は、ロールの装置への装填及び装置からの取外しによるプロセス時間の喪失を伴う。
【0005】
従来技術の文書はまた、プラズマガスを生成するための、キャリアガス、例えば、ヘリウム、窒素、又はアルゴン等の不活性ガスの使用を記載している。キャリアガスは、しばしば、モノマーガスよりずっと多いキャリアガスの使用を示す比、例えば10:1で使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コーティング品質を増加させ、コーティングのために必要とされる時間を減少させる装置及び方法を提供することが本発明の非排他的な態様である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、ファブリック、例えばテキスタイル材料のシートをポリマー層でコーティングするためのプラズマチャンバーを提供する。このプラズマチャンバーは、このプラズマチャンバー内に連続的に配列された複数の電極層を備え、少なくとも2つの隣接する電極層は無線周波数電極層(RF)であるか、又は少なくとも2つの隣接する電極層はグラウンド電極層(M)である。
【0008】
本発明の別の態様では、テキスタイル材料等のファブリックのシートをポリマー層でコーティングするためのプラズマチャンバーが提供される。このプラズマチャンバーは、このプラズマチャンバー内に連続的に配列された全体的に平坦な又はプレート様の形態をそれぞれ有する複数の電極層を有する。少なくとも2つの隣接する電極層は無線周波数電極層又はグラウンド電極層である。
【0009】
好ましくは、少なくとも2つの隣接する電極層は無線周波数電極層である。
【0010】
好ましくは、電極層の外側の対はグラウンド電極層である。
【0011】
本発明の別の態様では、電極層の少なくとも2つの対を有するプラズマチャンバーが提供される。電極層の外側の対はグラウンド電極層又は無線周波数電極層である。
【0012】
好ましくは、プラズマチャンバーは、一対の無線周波数電極層及び一対のグラウンド電極層を備え、例えば、配置構成M/RF/RF/M又はRF/M/M/RFを有する。ここで、「M」はグラウンド電極を示し、「RF」は無線周波数電極を示し、「/」は、ファブリックが電極層間を通過する位置を示す。
【0013】
好ましくは、プラズマチャンバーは、更なる対の無線周波数電極層又はグラウンド電極層を備え、例えば、配置構成RF/M/RF/RF/M/RF又はM/RF/M/M/RF/M又はM/RF/M/RF/RF/M/RF/M又はRF/M/RF/M/M/RF/M/RF又はRF/M/RF/M/RF/RF/M/RF/M/RF又はM/RF/M/RF/M/M/RF/M/RF/M又はM/RF/M/RF/M/RF/RF/M/RF/M/RF/M又はRF/M/RF/M/RF/M/M/RF/M/RF/M/RF等を有する。
【0014】
代替的な実施の形態では、プラズマチャンバーは第1の電極セット及び第2の電極セットを備えることができ、第1の電極セット及び第2の電極セットはファブリックを受け取るための通路の両側に(in eitherside)配列される。
【0015】
好ましくは、第1の電極セット及び第2の電極セットの一方又は両方は、内側電極層と、外側電極層の対とを備える。
【0016】
好ましくは、内側電極層は無線周波数電極層であり、外側電極層はグラウンド電極であり、例えば、配置構成M*RF*M/M*RF*M又はM*RF*M/M*RF*M/M*RF*M等を有する。
【0017】
代替的に、内側電極層はグラウンド電極とすることができ、外側電極層は無線周波数電極とすることができ、例えば、配置構成RF*M*RF/RF*M*RF又はRF*M*RF/RF*M*RF/RF*M*RF等を有する。
【0018】
好ましくは、プラズマチャンバーは、更なる電極セット、例えば、第3の、第4の、第5の、及び第6の電極セット等を含み得る。例えば、第3の電極セット、例えば、M*RF*M/M*RF*M/M*RF*Mを追加すると、ファブリックは、2つのパスで両側をコーティングされる。
【0019】
電極層が無線周波数タイプである本発明の全ての実施形態では、電極層はまた、熱調節手段、例えば、熱調節器流体を受け取るためのチューブ等の中空部分を含み得る。
【0020】
電極層は、グラウンドタイプである場合、熱調節手段を備える必要はない。そのため、このタイプの電極層は、無線周波数電極層に隣接して配列されると、プラズマを生成するのに適した、平坦プレート、メッシュ、又は他の構成を単に備え得る。
【0021】
電極層は、好ましくは、平坦な又はプレートの形態である。こうした構成の1つの利点は、生成されるプラズマが電極セットの表面にわたって実質的に均等であることである。その結果、基材上へのモノマーの重合レートは、基材上の任意の所与の地点において同じであり、均一性の増加等をもたらす。
【0022】
好ましくは、熱調節手段は、実質的に平坦な寸法の(substantially planar in dimension)電極を設けるため、一定間隔で約180度折り返すように湾曲する経路に追従するチュービングを備える。
【0023】
好ましくは、熱調節手段は、約2.5 mm~100 mm、より好ましくは約5 mm~50 mm、更により好ましくは約5 mm~30 mm、例えば最大25mm、20 mm、又は15 mm、例えば10 mmの径を含む。
【0024】
好ましくは、熱調節手段は、約0.1 mm~10 mm、より好ましくは約0.25 mm~5 mm、更により好ましくは約0.25 mm~2.5 mm、例えば1.5mmの壁厚を有する。
【0025】
好ましくは、曲線の前の熱調節手段と後の熱調節手段との間の距離は、熱調節手段の径の1倍~10倍、例えば熱調節手段の径の約3倍~8倍、例えば5倍である。
【0026】
好ましくは、熱調節手段は、金属、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、又は銅等の伝導性材料を含む。他の適した伝導性材料が想定され得る。
【0027】
好ましくは、1つの又はそれぞれの無線周波数電極は、20 kHz~2.45 GHz、より好ましくは40 kHz~13.56 MHz(13.56 MHzが好ましい)の周波数の高周波数電界を生成する。
【0028】
好ましくは、プラズマチャンバーは、プラズマチャンバー内の所望の場所に各電極又は各電極セットを配置するための、1つ又は複数の接続プレート及び/又はチャンバー壁等の配置手段及び/又は固定手段を更に備える。
【0029】
好ましくは、配置手段及び/又は固定手段は、プラズマチャンバーから取外し可能である。例えば、配置手段及び/又は固定手段は、プラズマチャンバーから摺動可能に取外し可能である。
【0030】
好ましくは、プラズマチャンバーは、プラズマチャンバーにモノマーを導入するための1つ又は複数の入口を備える。
【0031】
好ましくは、各入口は、チャンバーにわたってモノマーを均等に分配するモノマー分配システム内にモノマーを給送する。例えば、モノマー入口は、チャンバーに注ぐマニホールド内に給送し得る。
【0032】
好ましくは、蒸発したモノマーは、プラズマに衝突することができ、それにより、キャリアガスとして、ヘリウム、窒素、又はアルゴン等の不活性ガスを使用する必要性を実質的に不要にする。
【0033】
しかし、場合によっては、少量のキャリアガスの追加が、プラズマチャンバーの内部でプラズマのより良好な安定性をもたらし、それにより、コーティング層のより均一な厚さを提供することを出願人は見出した。キャリアガスとモノマーの比は、好ましくは1:4以下である。
【0034】
好ましくは、キャリアガスは、ヘリウム又はアルゴン等の不活性ガスである。
【0035】
好ましくは、キャリアガス及びモノマーは、プロセスチャンバーに入る前に共に混合されて、処理の前に、キャリアガスとモノマーとの改善された混合物を提供する。
【0036】
この装置はまた、モノマー蒸気供給システムを含む。モノマーは、制御された方式で気化される。制御された量のこの蒸気は、好ましくは温度制御式供給ラインを通してプラズマチャンバー内に給送される。
【0037】
好ましくは、モノマーは、50℃~180℃の範囲、より好ましくは100℃~150℃の範囲の温度で気化し、最適温度は、モノマーの物理的特性に依存する。供給ラインの少なくとも一部は、(上方又は下方)傾斜温度プロファイルに従って温度制御され得る。温度プロファイルは、通常、モノマーが供給ラインの端に向かって気化する地点より高い温度である低端を有することになる。真空チャンバー内で、モノマーは、膨張することになり、真空チャンバー内でかつポンプの下流での凝集を防止するための必要とされる温度は、通常、供給ラインの温度よりずっと低いことになる。
【0038】
少量のキャリアガスが使用される状況では、キャリアガスは、ガスボトル、タンク、又はリザーバーから送出することができる。その流量は、質量流量コントローラーによって調節される。質量流量コントローラーを通過した後、キャリアガスは、モノマーが流量コントローラーを既に通過した状態で供給ライン内に給送されて、安定したモノマーの流れ及び安定したキャリアガスの流れを確立する。
【0039】
電極とコーティングされるファブリックの表面との間に、数mm、より好ましくは10 mm~100 mm、例えば10 mm~90 mm、例えば80 mm、70 mm、60 mm、又は50 mm、最も好ましくは15 mm~50 mmの最小距離が維持されることが好ましい。
【0040】
好ましくは、プラズマチャンバーはまた、使用中に、それぞれの電極層の間で、ファブリックのシートを誘導するための複数のローラーを含む。
【0041】
好ましくは、ローラーは、モノマーが凝集する可能性がある冷点の存在を回避するため加熱される。好ましくは、ローラーは、約20℃の室温から85℃に、より好ましくは25℃から70℃に、例えば30℃から60℃に加熱される。好ましくは、ローラーは、水、オイル、若しくは他の液体、又はその組合せ、最も好ましくは水によって加熱される。好ましくは、ローラーは、有意の温度差を回避するよう温度を調節する温度制御手段を備える。
【0042】
好ましくは、ローラーは、2つのカテゴリ、すなわち、ロードセルと通常のローラーとに分割され得る。厚いフィルム又は箔等の硬質のテキスタイル材料の場合、ローラーは、個々に駆動される必要はない。巻取りローラーが一定速度で駆動されることで十分であり、全ての他のローラーは、巻取り運動に起因して回転し始めることになる。
【0043】
アパレルテキスタイル及び濾過材料等の脆性のより高い材料の場合、ほとんど又は全てのローラーが個々に駆動されて、過剰な張力によるファブリック若しくは材料の損傷、又はテキスタイル材料のシートの破断を回避する。好ましくは、脆性の最も高い材料、例えば、膜又は薄い開口構造の不織布の場合、ローラーは、例えば脆性テキスタイル材料の処理を最適化するため、全てが個々に又はグループとして駆動され、個々に又はグループとして微調整される可能性がある。
【0044】
好ましくは、プラズマチャンバーは、1つ又は複数のロードセルを有し、ロードセルは、所定の低いベース圧力に達するとすぐに、かつ、第1の処理ステップの前にかつロール上での任意の繰出し又は巻取りの前に、例えば、ガス抜きの前か、ガス入口の前でかつ前処理のために電磁界をオンにする前か、又は、ガス入口の前でかつコーティングステップのために電磁界をオンにする前か、いずれか早い方で較正することができる。
【0045】
ロードセルは、コーティングされるファブリックのシート上で駆動されるのではなく、ファブリックのシートに一定張力を提供する。張力は、材料タイプに応じて選択される必要がある。脆性のより高い材料の場合、そして間違いなく脆性の最も高い材料の場合、それぞれの個々のコーティングの実行について、機械を閉鎖し、ベース圧力までポンプダウンした後、全てのロードセルの較正が巻取り及びコーティング品質を改善することを出願人は見出した。
【0046】
好ましくは、それぞれの個々のコーティングの実行の前に、ロードセルは、ベース圧力に達するとすぐにかつ第1の処理ステップの前に較正される。
【0047】
好ましくは、コーティングプロセス中、システムは、0.1 m/分~最大20 m/分、例えば0.5m/分~15 m/分、例えば1 m/分~10 m/分、例えば9 m/分未満、8m/分未満、7 m/分未満、6 m/分未満、最も好ましくは1 m/分~5 m/分の速度で動作する。
【0048】
好ましくは、ファブリックが巻き取られるときの張力は、0.2 kg~250 kg(2 N~2500 N)、より好ましくは0.5 kg~100 kg(5 N~1000 N)、例えば1 kg~50 kg(10 N~500 N)、例えば1.5 kg~25 kg(15 N~250 N)、例えば1.5kg~10 kg(15 N~100 N)である。
【0049】
好ましくは、制限された外径、重量、及び幅を有するロールの場合、繰出しゾーン及び巻取りゾーンは、プラズマチャンバーの同じ側に位置決めされ、繰出しは巻取りゾーンの下側部分で始まり、巻取りは上側部分で起こる。
【0050】
好ましくは、重い、及び/又は、大きな外径を有する、及び/又は、広い、例えば2 m幅であるロールの場合、繰出し及び巻取りは、プラズマチャンバーの異なる側で起こる。例えば、繰出しは左側で起こり、巻取りは右側で起こる。
【0051】
更なる態様では、本発明は、ファブリック、例えばテキスタイル材料のシートをポリマー層でコーティングする方法を提供する。本方法は、プラズマチャンバー内に連続的に配列された複数の電極層を有する、このプラズマチャンバーを設けるステップを含み、少なくとも2つの隣接する電極層は無線周波数電極層であるか、又は、少なくとも2つの隣接する電極層はグラウンド電極層である。また本方法は、電極層間でファブリックのシートを誘導するステップを含む。
【0052】
好ましくは、本方法は、それぞれの無線周波数電極層の温度を、例えば約5℃~200℃まで調節するステップを含む。
【0053】
好ましくは、本方法は、それぞれの無線周波数電極層の温度を、約20℃~90℃まで、より好ましくは約25℃~60℃まで、更により好ましくは約30℃~40℃まで調節するステップを含む。
【0054】
好ましくは、それぞれの無線周波数電極層の温度を調節するステップは、熱調節手段に、液体等の流体、例えば、水、オイル、若しくは他の液体、又はその組合せを給送することを含む。
【0055】
好ましくは、本方法は、例えば、チャンバー内の温度差を回避するため、また、プロセスガスが凝集する可能性がある冷点を回避するため、プラズマチャンバーの温度を制御するステップを含む。例えば、プラズマチャンバーの扉及び幾つかの又はそれぞれの壁(複数の場合もある)は、温度制御手段を備え得る。
【0056】
好ましくは、温度制御手段は、温度を、約20℃の室温から70℃に、より好ましくは30℃と50℃との間に維持する。
【0057】
好ましくは、同様に、ポンプ、液体モノマー供給部、及びこれらのアイテムとプラズマチャンバーとの間の全ての接続部は、同様に温度制御されて、1種又は複数種のプロセスガスが凝集する可能性がある冷点を回避する。
【0058】
好ましくは、本方法は、1つ又は複数の接続プレートを介して無線周波数電極の両端に電力を印加するステップを含む。
【0059】
プラズマ用の電力は、低電力連続波モード又はパルス波モードで印加され得る。
【0060】
好ましくは、9000 lチャンバー内で連続波モードで印加されると、印加電力は、約5 Wから5000 W、より好ましくは約10 Wから4000 W、更により好ましくは例えば約25 Wから3500 W、更に一層好ましくは例えば30 Wから3000 W、なお好ましくは例えば40 Wから2500 W、更に一層好ましくは50 Wから2000 W、1900 W、1800 W、1750 W、1700 W、1600 W、1500 W、1400 W、1300 W、1250 W、1200 W、1100 W、1000 W、950 W、900 W、850 W、800 W、750 W、700 W、650 W、600 W、550 W、500 W、450 W、400 W、350 W、300 W、250 W、200 W、175 W、150 W、125 W、100 W、90 W、80 W、75 W、70 W、又は60 Wである。
【0061】
好ましくは、9000 lチャンバー内でパルス波モードで印加されると、印加電力は、約5 Wから5000 W、より好ましくは約25 Wから4000 W、更により好ましくは約50 Wから3500 W、好ましくは例えば75 Wから3000 W、なお好ましくは例えば100 Wから2500 W、更に一層好ましくは150 Wから2000 W、1900 W、1800 W、1750 W、1700 W、1600 W、1500 W、1400 W、1300 W、1250 W、1200 W、1100 W、1000 W、950 W、900 W、850 W、800 W、750 W、700 W、650 W、600 W、550 W、500 W、450 W、400 W、350 W、300 W、250 W、200 W、又は175 Wである。
【0062】
パルス電力モードで印加されると、パルス繰返し周波数は、約0.05 %~50 %のデューティサイクルを有する100 Hz~10 kHzとすることができ、最適パラメーターは使用されるモノマーに依存する。
【0063】
好ましい印加電力は、従来のシステムと比較して高いように見える場合があるが、ロールの代わりにテキスタイルの小さなシートがコーティングされる機械と比較すると、9000リットル容量のプラズマチャンバー等の大きなプラズマチャンバーが、より多くかつより大きな無線周波数電極を含むことになることを当業者は理解するであろう。結果として、電力が増加して、均一でかつ安定したプラズマを形成する。しかし、従来技術のガス状前駆体モノマーと比較すると、本発明のコーティングは、低電力で堆積される。ガス状前駆体を使用して堆積される従来技術のコーティングは、電極の寸法及び数に応じて、5000 W以上、最大10000 W、更に最大15000 Wの印加電力を必要とする。
【0064】
好ましくは、1つ又は複数の無線周波数電極は、20 kHz~2.45 GHz、より好ましくは40 kHz~13.56 MHz(13.56 MHzが好ましい)の周波数の高周波電界を生成する。
【0065】
好ましくは、上記電極層間でファブリックのシートを誘導するステップは複数のローラーの使用を伴う。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「隣接する電極層」という用語は、一対の電極層を指すことを意図され、それにより、対のうちの一方は、使用中に、ファブリックのシートの一方の側に配設され、対のうちの他方は、ファブリックのシートの反対側に配設される。
【0067】
本発明の更なる態様は、ファブリック、例えばテキスタイル材料をポリマーコーティングでコーティングする方法を提供し、本方法は、モノマーを低電力プラズマ重合技法にさらすことを含み、モノマーは、一般式(I)
CnF2n+1CmX2mCR1Y-OCO-C(R2)=CH2 (I)
からなる。ここで、nは2~6であり、mは0~9であり、X及びYはH、F、Cl、Br、又はIであり、R1はH又はアルキル又は置換アルキル、例えば少なくとも部分的にハロゲン置換されたアルキルであり、R2はH又はアルキル又は置換アルキル、例えば少なくとも部分的にハロゲン置換されたアルキルである。
【0068】
好ましくは、本方法は、ファブリックがその上に設置される第1のローラーからファブリックをコーティングするための装置内に繰り出し、第2のローラー上に巻き取られることによって、ファブリックが通過するにつれてファブリックをコーティングするステップを含む。
【0069】
好ましくは、本方法は、第1のローラーと第2のローラーとの間でファブリックが通過するにつれてファブリックをコーティングするステップを含む。
【0070】
好ましくは、本方法は、ファブリックのシートの一方又は両方の表面をコーティングするステップを含む。
【0071】
コーティングの堆積前に、テキスタイルをガス放出(又は、ガス抜き)させ、活性化及び/又は清浄化ステップを適用することが有利である場合がある。通常、コーティング前にロール上に格納されるテキスタイルをガス放出させることによって、コーティング装置又はプラズマチャンバー内で達成可能であるベース圧力は、ガス放出(又はガス抜き)なしの場合より低くなり、より良好なコーティング品質をもたらす。ガス放出は、テキスタイル材料の表面内又は表面上に存在するすべての水分を取り除き吸引排出することによるポンプダウン中に起こる。ガス放出に必要とされる時間は、テキスタイルを作るために使用されるポリマーのタイプに依存する。例えば、天然繊維、例えばコットンは、合成繊維と比較してより高い保水率を有する傾向がある。
【0072】
好ましくは、テキスタイルのロールのガス放出は、テキスタイルが、繰り出され、プラズマゾーンを通過し、第1の処理ステップにおいて第2のローラー上に巻き取られるにつれて行われる。ガス抜きするステップを始める前に、ロールを含むプラズマチャンバーは、或る特定の予め決められたベース圧力までポンプダウンされる。このベース圧力に達するとすぐに、チャンバー内でのプラズマの存在を回避するため電力源をオンにすることなくロールからテキスタイルを繰り出すことによって、ガス抜きが始まる。ポンプが連続して吸引するにつれて、水分、及び、酸素、窒素、二酸化炭素、希ガス、及び同様なもの等の捕獲ガスは、ファブリックが、1つのローラーから繰り出され、プラズマが存在しない状態のプラズマゾーンを通過して、第2のローラー上に巻き取られるにつれて、テキスタイルから取り除かれ、プラズマチャンバーから排除される。
【0073】
ファブリックの性質に応じて、ファブリックをアンロールし、ファブリックを第2のローラー上にロールバックするプロセスを繰り返すことによってより完全なガス抜きを達成することができる。これは、特に、コットン又はウール等の、合成繊維に比べて高い吸水率及び保水率を有する傾向がある天然繊維の場合に、数回繰り返され得る。
【0074】
ガス抜きステップの後、チャンバー内の圧力が、前処理のために設定されたベース圧力未満であるか、又はコーティングのために設定されたベース圧力未満であるとき、それぞれ、前処理ステップ又はコーティングステップを開始することができる。前処理又はコーティングのための設定されたベース圧力に達しなかった場合、ポンプ吸引が継続され、プラズマゾーンの内部でプラズマが全く生成されない間に、第2のローラーからプラズマゾーンを通して第1のローラーにテキスタイルを再巻取りすることによって2回目のガス抜きステップを実行することができる。
【0075】
必要とされる場合、テキスタイルを前後に巻き取ることによって、上述したのと同じ方法で3回目、4回目、5回目、6回目等のガス抜きステップを行うことができる。
【0076】
ガス放出するこのアンローリング及び再ローリング法の主要な利点は、水分及び捕獲ガスがより迅速に取り除かれることである。その理由は、ガス放出が、繰出しが無い状態で完全なロール上で、しかし、繰出しが無い状態でポンプダウンすることだけによって行われるとき、ロールのコアに近いテキスタイルの層内に保持されるか又は見出される水分及び捕獲ガスは、テキスタイルがアンロールされる場合に必要とされる時間に比較して、取り除かれるために長いポンプ吸引時間を必要とする傾向があるからである。なぜなら、例えば、ほとんどの場合、完全なロール上のファブリックのこれらの内側層内の水分は、たとえ非常に長いポンプ吸引時間の間でも十分に取り除かれないからである。
【0077】
好ましくは、ガス放出ステップは、1 m/分~30 m/分、例えば2 m/分~20 m/分、例えば3 m/分~15 m/分、最も好ましくは約5 m/分~10 m/分の速度で実行される。
【0078】
好ましくは、2回目、3回目、4回目等のガス抜きステップが起こる速度は、1回目等のガス抜きステップの速度以上である。速度が増加されるか否かは、ファブリックの組成等の種々のファクター(ファブリックが、コットン若しくは(or)ウール等の天然繊維を含むか、又は1つ若しくは複数のポリマー等の合成繊維を含むか、厚さ、構造等)に依存する。
【0079】
好ましくは、ファブリックが巻き取られるときの張力は、コーティングが行われるときの張力に等しい。
【0080】
ガス放出のこの改善された方法によって、大量の水分及び捕獲ガスが取り除かれ、それがまた、減少した時間で行われ、そのことは、コーティング品質及び総処理時間の両方にとって有益である。
【0081】
活性化及び/又は清浄化及び/又はエッチングステップの形態の前処理ステップは、ポリマーコーティングの付着及び架橋を改善するために有利である場合がある。
【0082】
ファブリックに対するポリマーコーティングの付着は、プラズマコーティングされたテキスタイルの繰り返される洗浄に耐えることが可能な、良好かつ耐久性のあるコーティングを確保するのに必須である。ほとんどの場合、テキスタイルは、テキスタイルを作るために使用される製造プロセス、例えば、染色、織込、ワーピング、更に紡績の結果として残留物を含む。こうしたテキスタイルがポリマーでコーティングされるとき、ポリマーコーティングのかなりの部分が、これらの残留物と結合し、洗浄中に、残留物(複数の場合もある)の一部分が、コーティングと共に取り除かれる。活性化及び/又は清浄化及び/又はエッチングステップの形態の前処理ステップは、これらの残留物を取り除き、ポリマーコーティングのより良好な結合のためにテキスタイルを調製し、それにより、例えば洗浄中のコーティング済みテキスタイルの耐久性を増加させる。
【0083】
好ましくは、この前処理は、アルゴン、窒素、又はヘリウム等の不活性ガスを使用して行われるが、同様に、より多くの反応性ガス、例えば、水素及び酸素及び/又はCF4等のエッチング試薬が使用される場合がある。前処理は、プラズマゾーン内で短い滞留時間の間、連続波プラズマで、又は、パルス波プラズマで実施される
【0084】
好ましくは、活性化及び/又は清浄化及び/又はエッチングは、1 m/分~30 m/分、例えば2 m/分~20 m/分、例えば3 m/分~15 m/分、最も好ましくは約5 m/分~10 m/分の速度で実行される。
【0085】
好ましくは、ファブリックがそれで巻き取られるときの張力は、コーティングが行われるときの張力に等しい。
【0086】
好ましくは、9000 lチャンバー内で連続波モードで印加されると、前処理は、25 Wから10000 W、より好ましくは50 Wから9000 W、更により好ましくは100 Wから8000 W、更に好ましくは200 Wから7500 W、なお好ましくは250 Wから7000 W、6750 W、6500 W、6250 W、6000 W、5750 W、5500 W、5250 W、5000 W、4750 W、4500 W、4250 W、4000 W、3750 W、3500 W、3250 W、3000 W、2900 W、2800 W、2750 W、2700 W、2600 W、2500 W、2400 W、2300 W、2250 W、2200 W、2100 W、2000 W、1900 W、1800 W、1750 W、1700 W、1600 W、1500 W、1400 W、1300 W、1250 W、1200 W、1100 W、1000 W、950 W、900 W、850 W、800 W、750 W、700 W、650 W、600 W、550 W、500 W、450 W、400 W、350 W、又は300 Wで行われる。
【0087】
好ましくは、9000 lチャンバー内でパルス波モードで印加されると、前処理は、25 Wから10000 W、より好ましくは50 Wから9000 W、更により好ましくは100 Wから8000 W、更に好ましくは200 Wから7500 W、なお好ましくは250 Wから7000 W、6750 W、6500 W、6250 W、6000 W、5750 W、5500 W、5250 W、5000 W、4750 W、4500 W、4250 W、4000 W、3750 W、3500 W、3250 W、3000 W、2900 W、2800 W、2750 W、2700 W、2600 W、2500 W、2400 W、2300 W、2250 W、2200 W、2100 W、2000 W、1900 W、1800 W、1750 W、1700 W、1600 W、1500 W、1400 W、1300 W、1250 W、1200 W、1100 W、1000 W、950 W、900 W、850 W、800 W、750 W、700 W、650 W、600 W、550 W、500 W、450 W、400 W、350 W、又は300 Wのピーク電力値で行われる。
【0088】
前処理が実施される電力及び電力モードが、使用されるガス又はガス混合物、及び/又は、チャンバーの寸法、及び/又は、チャンバー内に存在する電極の設計、サイズ、及び/又は数に依存することが認識されるであろう。
【0089】
一実施形態では、全体的なコーティングプロセスは、単一ステップ、すなわちコーティングステップを含み、それにより、テキスタイルをコーティングする前に、ガス放出も前処理も行われない。
【0090】
別の実施形態では、全体的なコーティングプロセスは、3つのステップを含み、それぞれのステップは、テキスタイルを繰り出すことと、テキスタイルにプラズマゾーンを通過させることと、テキスタイルを巻き取ることとを含み、これらのステップは、テキスタイルをガス放出させるステップと、プラズマ清浄化及び/又は活性化及び/又はエッチング等の前処理ステップと、コーティングステップとを含む。
【0091】
前処理ステップの場合、ガス抜きの巻取りゾーンは前処理の繰出しゾーンになり、ガス抜きの繰出しゾーンは前処理の巻取りゾーンになる。コーティングの場合、前処理の巻取りゾーンはコーティングの繰出しゾーンになり、前処理の繰出しゾーンはコーティングの巻取りゾーンになる。
【0092】
更なる実施形態では、全体的なコーティングプロセスは、2つのステップを含み、それぞれのステップは、テキスタイルを繰出すことと、テキスタイルにプラズマゾーンを通過させることと、テキスタイルを巻取ることとを含み、これらのステップは、テキスタイルのガス放出及び前処理(活性化及び/又は清浄化及び/又はエッチング)を組み合わせたステップと、コーティングステップとを含む。ガス放出及び前処理が組み合わされた場合、両方のプロセスは同時に行われる。
【0093】
コーティングステップの場合、第1のステップの巻取りゾーンはコーティングステップの繰出しゾーンになり、第1のステップの繰出しゾーンはコーティングの巻取りゾーンになる。
【0094】
代替的に、本方法は、ファブリック、例えば、アパレル品がプラズマチャンバーの内部にしっかり位置決めされている間に、ファブリックをポリマーコーティングでコーティングするステップを含み得る。
【0095】
好ましくは、R1はHであり、R2はHであり、YはHである。
【0096】
好ましくは、mは1~9である。
【0097】
モノマーの好ましい例は、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチルメタクリレート、又は1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチルアクリレート等の2つから6つの炭素原子を含むペルフルオロカーボンバックボーンを有するアクリル酸及びメタクリル酸を含む。
【0098】
好ましくは、本方法は、堆積されたポリマーコーティングを形成するため、プラズマに衝突するモノマーを利用するステップを含む。有利には、プラズマに衝突する更なるガスを利用する必要性は存在しない。
【0099】
好ましくは、本方法は、10 nm~500 nm、より好ましくは10nm~250 nm、更により好ましくは20 nm~150 nm、例えば、最も好ましくは30 nm~100 nm、40 nm~100 nm、40 nm~90 nmの厚さを有するポリマーコーティングを塗布するステップを含む。層は、500 nm未満、例えば、450 nm未満、400 nm未満、350 nm未満、300nm未満、250 nm未満、200 nm未満、150 nm未満、100 nm未満であり得る。
【0100】
好ましくは、本方法は、10 %未満の均一性変動を有するポリマーコーティングを塗布することを含む。
【0101】
好ましくは、本方法は、10度未満の水接触角の均一性変動及びISO14419に従って0.5未満の撥油性の均一性変動を有するポリマーコーティングを塗布することを含む。
【0102】
本発明では、超疎水性表面は、100度より大きい、例えば101度、102度、103度、104度、105度、106度、107度、108度、109度、110度、111度、112度、113度、114度、115度、116度、117度、118度、119度、又は120度の水接触角をもって作られる可能性がある。同じコーティングは、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又は8を超えるか又はそれ以上の、例えばISO14419に従って6までの、例えば、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又は8までの又はそれ以下の撥油性レベルを持って超疎油性である。
【0103】
好ましくは、本方法は、約2分以下のプラズマゾーン内での滞留時間内に、100度以上の水接触角及び/又はISO14419に従って3、4、又はそれより大きな値の撥油性レベルを有するポリマーコーティングを堆積させるステップを含む。
【0104】
好ましくは、本方法は、約1分以下のプラズマゾーン内での滞留時間内に、約30 nmの厚さを有するポリマー層を堆積させるステップを含む。
【0105】
好ましくは、本方法は、約2分以下のプラズマゾーン内での滞留時間内に、約50 nmの厚さを有するポリマー層を堆積させるステップを含む。
【0106】
本方法は、モノマー蒸気供給システムを使用してプラズマチャンバーにモノマーの一定の流れを引き込むことを含み得る。ポンプとプラズマチャンバーとの間のスロットル弁は、プラズマチャンバーの内部で必要とされるプロセス圧力を達成するため、ポンピング容積を適合させ得る。
【0107】
好ましくは、スロットル弁は、90 %を超えて閉鎖して(すなわち、供給導管の有効断面を、その最大値の10 %まで減少させる)、チャンバーを通る流れを減少させ、モノマーがチャンバー全体を通して均等に分配されることを可能にする。
【0108】
モノマー蒸気圧がチャンバー内で安定化されると、プラズマは、1つ又は複数の無線周波数電極をオンに切り換えることによって活性化される。
【0109】
代替的に、本方法は、第1の流れ方向にプラズマチャンバー内にモノマーを導入すること、及び、所定の時間、例えば10秒~300秒、例えば30秒~240秒、40秒~180秒、例えば180秒未満、170秒未満、160秒未満、150秒未満、140秒未満、130秒未満、120秒未満、110秒未満、100秒未満、90秒未満、80秒未満、70秒未満、60秒未満、50秒未満、40秒未満、30秒未満、又は20秒未満の時間後に、第2の流れ方向に流れを切り換えることを含み得る。
【0110】
好ましくは、モノマーの流れ方向の更なる切換えが実行され得る。例えば、流れは、第1の流れ方向に戻るように又は1つ若しくは複数の更なる流れ方向に切り換えられ得る。
【0111】
好ましくは、モノマーは、単一プロセス時間の20 %~80 %か、その時間の30 %~70 %か、その時間の40 %~60 %か、又はその時間の50 %の間、第1の流れ方向にプラズマチャンバーに入り得る。
【0112】
好ましくは、モノマーは、単一プロセス時間の20 %~80 %か、その時間の30 %~70 %か、その時間の40 %~60 %か、又はその時間の50 %の間、第2の流れ方向にプラズマチャンバーに入り得る。
【0113】
好ましくは、第1及び第2の流れ方向は、実質的に反対の方向に流れる。例えば、プロセス中、モノマーは、互いに実質的に対向する壁又は入口を介してプラズマチャンバー内に導入され得る。
【0114】
本発明の方法の利点は、反応性が高いクラスのモノマーが低電力連続波条件下で重合することを可能にすることと、良性プラズマを生成することと、生産環境における改善された実装のためにプロセス速度を最適化するための適応可能なプラズマゾーンの設計及び電極の数と、望ましくない温度勾配を回避するため温度を正確に制御する手段を設けることと、材料の最適な巻取りのための、ロードセルに対する適応可能な張力及びローラーの可変駆動と、コーティングされるテキスタイル材料のロールの寸法及び重量に応じた繰出しゾーン及び巻取りゾーンの適応可能な設計とのうちの1つ又は複数を含むが、それに限定されない。
【0115】
本発明のポリマーコーティングの利点は、コーティングされたテキスタイルの改善された疎水性特性及び疎油性特性と、改善された機能と、コーティングされたテキスタイルの改善された付着性と、静電的に帯電した濾過テキスタイル、例えば、エレクトレットのための、イソプロパノール等の排出液と接触する場合の、コーティングされたテキスタイルの改善された耐久性、及び静電電荷の所定時間の維持とを含むが、それに限定されない。
【0116】
本発明の更なる態様は、ファブリックをモノマーに接触させ、モノマーを低電力プラズマ重合にさらすことによって得ることができるポリマーコーティングを有するファブリック、例えばテキスタイル材料を提供し、モノマーは、一般式(I)からなり、ここで、nは2~6であり、mは0~9であり、X及びYはH、F、Cl、Br、又はIであり、R1はH又はアルキル、例えば-CH3又は置換アルキル、例えば少なくとも部分的にハロゲン置換されたアルキルであり、R2はH又はアルキル、例えば-CH3又は置換アルキル、例えば少なくとも部分的にハロゲン置換されたアルキルである。
【0117】
好ましくは、ファブリックは、例えばロールに巻き取られたファブリックのシートである。
【0118】
好ましくは、ファブリックは、織りファブリック、不織ファブリック、編みファブリック、フィルムファブリック、箔ファブリック、膜ファブリックのうちの1つである。
【0119】
織りファブリック、不織ファブリック、及び編みファブリックは、例えばパイル織又はパイルニットの場合、平滑表面又はテクスチャー化表面を有し得る。
【0120】
好ましくは、ファブリックは、合成材料、天然材料、又は混合物を含む。
【0121】
材料の例としては、以下のものを含むが、それに限定されない。
合成:ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリウレタン(PUR)、ポリウレア、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)及び拡張性ポリテトラフロロエチレン(ePTFE)、ポリエステル(PES)、例えば、ポリエチチレンテレフタレート(PET)、再生性PET及びポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、例えばPA6、PA66、及びPA12、ポリアミド、及びエラステーン(ポリウレタン-ポリウレア重合)。
天然及び人工的:コットン、セルロース、セルロースアセテート、シルク、ウール等。
ブレンド:コットン/PES 50:50、PES/カーボン99:1、再生PES/エラステーン92:8等。
【0122】
織りファブリック及び編みファブリックは50 μm~5 mmの厚さを有し得る。不織ファブリックは5 μm~5 mmの厚さを有し得る。フィルム又は箔ファブリックは20 μm~1 mmの厚さを有し得る。
【0123】
好ましくは、ポリマーコーティングは、10 nm~500 nm、例えば10nm~250 nm、例えば30 nm~100 nm、例えば40 nm~90 nmの厚さを有する。
【0124】
好ましくは、ポリマーコーティングは、超疎水性特性及び/又は超疎油性特性を含む。好ましくは、超疎水性ポリマーコーティングは、100度以上、例えば101度、102度、103度、104度、105度、106度、107度、108度、109度、110度、111度、112度、113度、114度、115度、116度、117度、118度、119度又は120度の水接触角を有する。好ましくは、超疎油性ポリマーコーティングは、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又は8を超えるか又はそれ以上の、例えばISO14419に従って6までの、例えば、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又は8までの又はそれ以下の撥油性レベルを含む。
【0125】
更なる態様では、本発明は、モノマーがファブリックに接触させられ、モノマーが低電力プラズマ重合にさらされるときに、ファブリック、例えばテキスタイル材料上にポリマーコーティングを形成するためのモノマーの使用を提供し、モノマーは、一般式(I)からなり、ここで、nは2~6であり、mは0~9であり、X及びYはH、F、Cl、Br、又はIであり、R1はH又はアルキル、例えば-CH3又は置換アルキル、例えば少なくとも部分的にハロゲン置換されたアルキルであり、R2はH又はアルキル、例えば-CH3又は置換アルキル、例えば少なくとも部分的にハロゲン置換されたアルキルである。
【0126】
本発明をより容易に理解することができるように、これより本発明を例示のみを目的とし、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【
図1】ロールツーロールプラズマ堆積装置の略図である。
【
図2】従来技術による第1の電極配置構成を示す図である。
【
図3】従来技術による第2の電極配置構成を示す図である。
【
図4】本発明による第1の電極配置構成を示す図である。
【
図5】本発明による第2の電極配置構成を示す図である。
【
図6】本発明による第3の電極配置構成を示す図である。
【
図7】本発明による第4の電極配置構成を示す図である。
【
図8】無線周波数電極の平面図(a)、側面図(b)、及び端面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0128】
最初に
図1を参照すると、全体的に1で示すロールツーロールプラズマ堆積装置がここで述べられる。装置1は、プラズマチャンバー10、第1の区画12、及び第2の区画14を備える。第1の区画12及び第2の区画14は、プラズマチャンバーの両側に配置された繰出し区画及び巻取り区画である。これらの区画は、当業者に知られており、更に詳細には述べられない。
【0129】
プラズマチャンバー10は、電極層RF、Mのアレイを備え、その配置構成は、
図4を参照して以下で更に詳細に述べられる。プラズマチャンバー10は、電極層RF、Mの間でテキスタイル材料16のシートを、第1の区画12内に搭載された第1のロール120から第2の区画14内に搭載された第2のロール140まで誘導するための、一連の上側及び下側ローラー101、102及びロードセルを更に備える。
【0130】
従来技術による電極層配置構成の略図は
図2及び
図3に示される。最も基本的な配置構成は
図2に示され、無線周波数電極層及びグラウンド電極層は、並んだ関係で配列される。この配置構成は、M/RFとしてシンボル化することができ、「M」はグラウンド電極を示し、「RF」は無線周波数電極を示し、「/」はテキスタイル材料16がその中を通過する空間を示す。上側ローラー101及び下側ローラー102は、テキスタイル材料16のシートを、1つのロール120から別のロール140まで誘導するように配列される。使用中でかつ電磁界が無線周波数電極層RFに印加されるとき、無線周波数電極層RFとグラウンド電極層Mとの間でプラズマが衝突される。こうしたプラズマは、1次プラズマとして知られる。モノマーがプラズマチャンバー10内に存在すると、この結果、無線周波数電極層RFに向いているテキスタイル材料16のシートの表面にポリマーコーティングが塗布される、テキスタイル材料16のシートの単一表面に均一なポリマーコーティングが塗布される。
【0131】
図3は、更なる無線周波数電極層RF及びグラウンド電極層Mが並んだ関係で交互に配列される更なる配置構成を示す。この配置構成は、M/RF/M/RF/Mとしてシンボル化され得る。再び、1次プラズマが、無線周波数電極層RFとグラウンド電極層Mとの間で衝突され、それにより、無線周波数電極層RFに向いているテキスタイル材料16のシートの表面にポリマーコーティングが塗布される。テキスタイル材料16のシートは、4つのパスを作り、それぞれのパス上で、無線周波数電極層RFに向くテキスタイル材料16の同じ側がコーティングされ、この結果、テキスタイル材料16のシートの単一表面に均一なポリマーコーティングが塗布される。
【0132】
本発明の第1の実施形態では、電極配置構成は、
図4に示すようにシーケンスで配列された10の電極層を備える。この配置構成は、M/RF/M/RF/M/M/RF/M/RF/Mとしてシンボル化され得る(これは、
図1に示す配置構成を示す)。使用中でかつ電磁界が無線周波数電極層に印加されるとき、電極層間でプラズマが衝突される。1次プラズマは、無線周波数電極層RFとグラウンド電極層Mとの間で衝突される。したがって、テキスタイル材料16のシートが電極層間に9つのパスを作ることが明らかであるが、最初の4つと最後の4つのパスだけが1次プラズマゾーンを通る。したがって、最初の4つのパス中に、モノマーはテキスタイル材料16のシートの第1の側に重合され、一方、最後の4つのパス中に、モノマーはテキスタイル材料16のシートの反対側(第2の側)に重合され、この結果、テキスタイル材料16のシートの両面に均一なポリマーコーティングが塗布される。第5のパス中に、テキスタイル材料16のシート上に堆積されるモノマーの量はわずかから皆無である。
【0133】
図5は、電極配置構成がシーケンスで配列される4つの電極層を備える本発明の第2の簡略化された実施形態を示す。この配置構成は、M/RF/RF/Mとしてシンボル化され得る。使用中でかつ電磁界が無線周波数電極層に印加されるとき、電極層間でプラズマが衝突される。1次プラズマは、無線周波数電極層RFとグラウンド電極層Mとの間で衝突される。したがって、テキスタイル材料16のシートが電極層間に3つのパスを作ることが明らかであるが、第1のパス及び第3のパスだけが1次プラズマゾーンを通る。したがって、第1のパス中に、モノマーはテキスタイル材料16のシートの第1の側に重合され、一方、第3のパス中に、モノマーはテキスタイル材料16のシートの反対側に重合され、この結果、テキスタイル材料16のシートの両面に均一なポリマーコーティングが塗布される。第2のパス中に、テキスタイル材料16のシート上に堆積されるモノマーの量はわずかから皆無である。
【0134】
第3の実施形態では、電極層は、RF/M/M/RFとして配列され得る。同様に、電磁界が無線周波数電極層に印加されるとき、電極層間でプラズマが衝突される。1次プラズマは、無線周波数電極層RFとグラウンド電極層との間で衝突される。したがって、テキスタイル材料16のシートが電極層間に3つのパスを作ることが明らかであるが、第1のパス及び第3のパスだけが1次プラズマゾーンを通る。したがって、第1のパス中に、モノマーはテキスタイル材料16のシートの第1の側に重合され、一方、第3のパス中に、モノマーはテキスタイル材料16のシートの反対側に重合され、この結果、テキスタイル材料16のシートの両面に均一なポリマーコーティングが塗布される。第2のパス中に、テキスタイル材料16のシート上に堆積されるモノマーの量はわずかから皆無である。
【0135】
グラウンド電極層が第1及び第2の実施形態で述べたように外側位置に設置されると、ポリマーコーティングは、例えば水接触角において、測定が試験において行われたときに見出されるような、より大きな均一性を有し、及び/又は、撥油性のより大きな均一性を有することを本出願人は意外にも発見した。
【0136】
ファブリックの両側をコーティングするため、一対の同一の電極層を並んで直列に有することが重要であることを本出願人は発見した。例えば、第1若しくは第3の実施形態で述べた一対のグラウンド電極、又は、第2の実施形態で述べた一対の無線周波数電極。本発明の配置構成は、テキスタイル材料16のシートの一方の側から別の側へのポリマー堆積の切換えをもたらす。
【0137】
更なる実施形態では、更なる配置構成が想定され得る。例えば、RF/M/RF/RF/M/RF又はM/RF/M/M/RF/M。これらの実施形態では、テキスタイル材料16のシートが電極層間に5つのパスを作ることが明らかであるが、第1、第2、第4、及び第5のパスだけが1次プラズマゾーンを通る。したがって、第1及び第2のパス中に、モノマーはテキスタイル材料16のシートの第1の側に重合され、一方、第4及び第5のパス中に、モノマーはテキスタイル材料16のシートの反対側に重合され、この結果、テキスタイル材料16のシートの両面に均一なポリマーコーティングが塗布される。第3のパス中に、テキスタイル材料16のシート上に堆積されるモノマーはわずかから皆無である。
【0138】
同様に、シーケンスに組み込まれる更なる電極層、例えば、M/RF/M/RF/RF/M/RF/M又はRF/M/RF/M/M/RF/M/RF又はRF/M/RF/M/RF/RF/M/RF/M/RF又はM/RF/M/RF/M/M/RF/M/RF/M又はM/RF/M/RF/M/RF/RF/M/RF/M/RF/M又はRF/M/RF/M/RF/M/M/RF/M/RF/M/RF等を有する更なる実施形態が想定される。電極層の数が直列に増加するにつれて、1次プラズマゾーンを通るパスの数も増加する。したがって、シーケンス内の電極層の数を増減することによって、結果として得られるポリマー層の厚さを制御することが可能である。同様に、シーケンス内の電極層の数を増加させることによって、ポリマー層の品質を低下させることなく、テキスタイル材料16のシートがプラズマチャンバー10を通過する速度を増加させることが可能である。
【0139】
図6に示す更なる実施形態では、電極層は、M
*RF
*M/M
*RF
*Mとして配列される。ここで、「RF」は無線周波数電極を示し、「M」はグラウンド電極を示し、「
*」は1次プラズマゾーンを示し、「/」は、ファブリックが通過する空間を示す。この実施形態では、プラズマチャンバー10は、第1の電極セット(M
*RF
*M)及び第2の電極セット(M
*RF
*M)を備える。ここで、第1及び第2の電極セットは電極層を備え、各電極セットは2つのグラウンド電極層M及び単一の無線周波数電極層RFを備える。この実施形態では、テキスタイル材料16のシートが電極セット(M
*RF
*M)間に単一パスを作ることが明らかである。
【0140】
任意の特定の理論によって拘束されることを欲しないし意図しないが、本発明のこの実施形態の電極セット(M*RF*M)の中間で生成されるプラズマを、純粋な1次プラズマ又は純粋な2次プラズマとして述べることができないことが理解されるであろう。むしろ、電極セット(M*RF*M)がプラズマの新しいハイブリッド形態を生成し、そのプラズマの新しいハイブリッド形態が、非常に低い電力で重合反応を始動し維持するのに十分に強いが、同時に、反応性モノマーを分解させないよう十分に良性であることが理解される。したがって、第1のパス中に、モノマーは、テキスタイル材料16のシートの第1及び第2の側に重合され、この結果、テキスタイル材料16のシートの両面に均一なポリマーコーティングが塗布される。
【0141】
処理速度は、プラズマチャンバー10に、更なる電極セット(M
*RF
*M)、例えば、第3、第4、第5、及び第6の電極セット(M
*RF
*M)等を追加することによって増加され得る。例えば、第3の電極セット(M
*RF
*M)を追加すると、テキスタイル材料16のシートは、2つのパス、例えば、M
*RF
*M/M
*RF
*M/M
*RF
*M又はRF
*M
*RF/RF
*M
*RF/RF
*M
*RFにおいて両側にコーティングされる。
図7は、シーケンスで配列される6つの電極セット(M
*RF
*M)を有する電極配置構成の例を示す。この設計では、
図1と対照的に、繰出し及び巻取りは、プラズマチャンバーの同じ側の同じエリアで起こるが、巻取りが、例えば、装置1及び/又はプラズマチャンバー10の寸法等に応じてプラズマチャンバーの反対側で起こる可能性があることが認識されるであろう。
【0142】
図8は、無線周波数電極層(RF)を、平面図(a)、側面図(b)、及び端面図(c)で示す。無線周波数電極層RFは、折畳み式チュービング21から形成される全体的に平坦な本体を備える。チュービング21は、コネクタ27によって共に接合される複数のセクションを備え得る。チュービング21は、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、又は銅等の伝導性金属材料で形成される。チュービング21は、プラズマを所定の温度に調節するため、温度調節流体が電極層RFを通って流れることを可能にするように中空である。チュービング21は、チュービングの長さに沿って一定間隔で形成された一連の屈曲部22を備える。チュービング21は、各屈曲部22において約180度折り返すように湾曲する。チュービング21は、約10 mmの径及び約2 mmの壁厚を有する。各屈曲部22の前のチュービング21と後のチュービング21との距離は、チュービング21の径の約5倍である。
【0143】
チュービング21は、各端部で湾曲して、平坦な本体に実質的に直交する遠位部分25、26を提供する。遠位部分25、26は、流体供給又は出口ライン(図示せず)に接続され得る。代替的に、遠位部分25、26は、隣接するか又は近傍の電極層の遠位部分に接続され得る。
【0144】
無線周波数電極層RFは、屈曲部22に隣接する電極層20の前部及び後部に取り付けられた一対の接続プレート23、24を更に備える。接続プレート23、24は、真空チャンバー11の内部に無線周波数電極層RFを取り付けるための手段と、無線周波数電極層RFに負荷を印加するための電気接点との双方を提供する。
【0145】
グラウンド電極層M(詳細には図示せず)は、通常、アルミニウムの平坦シートを備える。
【0146】
ポリマーコーティングをファブリックのロールに堆積させる例示的なシーケンスは次の通りである。
1. 処理されるファブリックのロール120が、装置1の第1の区画12内に搭載される;
2. ファブリック16の自由端がプラズマチャンバー10内のローラー101、102を通して(手動で又は自動で)給送され、その後、第2の区画14内の空のロール140に固定される;
3. プラズマチャンバー10が閉鎖され、機械の可動部上に搭載される電極が、誘導ロール間(したがって、テキスタイル間)で摺動する;
4. プラズマチャンバー10が、密閉され、必要とされる所定のベース圧力までポンプダウンされる;
5. ロードセルが、最適処理のために較正される;
6. ガス入口弁が開口され、蒸発した液体モノマーが、制御されたレートで制御された方式でプラズマチャンバー10内に給送される;
7. 電磁界が無線周波数電極層RFに印加され、低電力連続波プラズマが生成される;
8. 電力が、装置1のローラー101、102に印加されて、ファブリック16を第1のロール120から繰り出し、第2のロール140上に巻取り、その期間中、ファブリック16は、電極層RF、Mの間又は電極層のセットM*RF*M、RF*M*RFの間を通過し、ここで、第2のロール140上に巻取られる前に、ポリマーコーティングがファブリック16の両側に堆積される;
9. ファブリック16の全てがポリマーコーティングを塗布された時点で、電磁界がオフにされ、プラズマチャンバー10は換気されて大気圧になる。
【0147】
例えば、9000リットル(l)チャンバーを有する大型生産機械においてポリマーコーティングをファブリックのロールに堆積させる第2の例示的なシーケンスは次の通りである。
1. 処理されるファブリックのロール120が、装置1の第1の区画12内に搭載される;
2. ファブリック16の自由端がプラズマチャンバー10内のローラー101、102を通して(手動で又は自動で)給送され、その後、第2の区画14内の空のロール140に固定される;
3. プラズマチャンバー10が閉鎖され、機械の可動部上に搭載される誘導ロール及び全てのテキスタイル(繰出しエリア内のロール上の、巻取りエリア内のコア上に搭載されるファブリックの自由端、及び誘導ロールを通して誘導されるテキスタイル)が電極間に給送される;
4. プラズマチャンバー10が、密閉され、ガス抜き及び前処理のために必要とされる所定のベース圧力までポンプダウンされる;
5. ロードセルが、最適処理のために較正される;
6. ガス入口弁が開口され、コーティングする前にテキスタイルからガス放出することと組み合わされる前処理、例えば、清浄化及び/又は活性化及び/又はエッチング用のガスがプラズマチャンバー10内に給送される;
7. 電磁界が無線周波数電極層RFに印加され、低電力連続波プラズマが生成される;このプラズマは、連続波プラズマ又はパルス波プラズマとすることができ、プラズマモードの選択は、必要とされる電力レベルに依存し、また、使用される1種又は複数種の前処理ガスについて及び/又はプラズマ機器のサイズ及び設計について及び/又は使用される特定のテキスタイルについて最適になるように決定される;
8. 電力が、装置1のローラー101、102に印加されて、ファブリック16を第1のロール120から繰り出し、第2のロール140上に巻き取り、その期間中、ファブリック16は、電極層RF、Mの間又は電極層のセットM*RF*M、RF*M*RFの間を通過し、ここで水分がファブリック16から取り除かれ、ファブリック16の両側が第2のロール140上に巻き取られる前にに前処理される;
9. ファブリック16の全てがガス放出され、前処理された時点で、電磁界がオフにされ、プラズマチャンバー10がポリマー層堆積のための必要とされる低いベース圧力までポンプダウンされる;
10. ガス入口弁が開口され、蒸発した液体モノマーが、制御されたレートで制御された方式でプラズマチャンバー10内に給送される;
11. 電磁界が無線周波数電極層RFに印加され、低電力プラズマが生成される;このプラズマは、連続波プラズマ又はパルス波プラズマとすることができ、プラズマモードの選択は、必要とされる電力レベルに依存し、また、処理される材料を処理するために使用される特定のモノマーについて及び/又はプラズマ機器のサイズ及び/又は設計について及び/又は使用される特定のテキスタイルについて最適になるように決定される;
12. 電力が、装置1のローラー101、102に印加され、ファブリック16がロール140から繰出され、電極層RF、Mの間又は電極層のセットM*RF*M、RF*M*RFの間を通過し、それにより、ロール120上に巻取られる前に、ポリマーコーティングがファブリック16の両側に堆積される;
13. ファブリック16の全てがポリマーコーティングをファブリック16に塗布された時点で、電磁界がオフにされ、プラズマチャンバー10は換気されて大気圧になる。
【0148】
実施例1
生産レベルにスケールアップする前に、濾過媒体として使用するためのテキスタイルの小さなロールに関する実験が実施された。テキスタイルは、ポリマー繊維を含む不織合成材料からなっていた。ロールは、1000 mの長さで、1.1 m幅であった。
【0149】
2つの異なるプロセスが実施され、それらのプロセスパラメーターが表1及び表2に提示される。
【0150】
【0151】
【0152】
表1による、結果として得られるコーティングされたテキスタイルは、良好な疎水性特性及び疎油性特性並びに効率的な濾過を立証したため、プロセスをスケールアップすることが決定された。
【0153】
表2によるプロセスによってコーティングされたテキスタイルについての結果として得られる疎水性特性及び疎油性特性は、表1による、コーティングされたテキスタイルのものより低い。しかし、このプロセスもスケールアップすることが決定される。
【0154】
実施例2
実施例1のプロセスはスケールが増加された。テキスタイル材料は、実施例1のテキスタイル材料と同じであった。ロールは、10000 mの長さで、1.1 m幅であった。
【0155】
プロセスパラメーターは、表3及び表4に提示される。
【0156】
【0157】
【0158】
表3による、結果として得られるコーティングされたテキスタイルは、良好な疎水性特性及び疎油性特性並びに効率的な濾過を立証した。表4によるプロセスによってコーティングされたテキスタイルについての結果として得られる疎水性特性及び疎油性特性は、表3による、コーティングされたテキスタイルのものより低い。
【0159】
結果
撥油性
例1及び例2は、低電力連続波プラズマ重合プロセスがパルス波プラズマ重合プロセスより良好な性能を提供することを示す。これは、ISO14419に従って試験される撥油性によって立証される。
【0160】
その結果は、表5に提示され、A4シートの連続波コーティングについての撥油性が、パルス波コーティングについての撥油性より高く、その効果が、短い処理時間、例えば2分の場合により顕著であることを示す。
【0161】
【表5】
表5:連続波及びパルス波についての撥油性
【0162】
濾過効率
標準的な濾過媒体及び本発明に従ってコーティングされた濾過媒体についての濾過効率は、3つの異なるグレードの高効率粒子捕獲(HEPA:High Efficiency Particulate Arresting)フィルターエレメント(グレードF7、F8、及びF9)について試験された。グレードF7、F8、及びF9は、それらがBS EN 779試験規格に従って達すべき効率に応じて2次フィルターエレメントに与えられる指示(indication)である。使用中に必要とされる効率(中央効率(middleefficiency))は、濾過される粒子サイズに依存する。0.4 μm粒子の場合、F7グレードは、80 %~90 %の中央効率を得るべきである。0.4 μm粒子の場合、F8グレードは、90 %~95 %の中央効率を得るべきである。0.4 μm粒子の場合、F9グレードは、95 %より大きな中央効率を得るべきである。
【0163】
この試験の濾過媒体は、帯電され、すなわち、エレクトレットを形成し、加熱、換気、又は空調(HVAC)システムで使用され得る。
【0164】
0.4 μm孔についての初期濾過効率及び中央濾過効率は、標準的な濾過媒体並びに帯電形態のプラズマコーティング済み濾過媒体及び放電形態のプラズマコーティング済み濾過媒体について標準ヨーロッパ空気フィルター試験BS EN 779に従って測定される。濾過媒体は、イソプロパノールとの接触をもたらすことによって放電される。
【0165】
初期濾過効率は、清浄で新品のフィルターエレメントの効率である。フィルターが使用されると、その孔は、濾過された粒子によって閉塞され、結果として、その効率が使用寿命中に増加することが明らかである。そのため、初期効率は最低効率である。
【0166】
第1のファブリックグレードF7についての結果が表6に提示される。試験に通るために、必要とされる平均効率は80 %~90 %であり、初期効率は35 %以上である。
【0167】
【0168】
表6から、本発明のコーティングによってコーティングされた帯電したフィルターエレメントについての初期濾過効率が高められることが明らかである。フィルターが放電されると、標準的なフィルターについての初期効率及び平均効率は著しく低下し、一方、プラズマ処理済みフィルターエレメントは、平均効率について効率低下を示さず、初期効率についてわずかな低下を示す。
【0169】
第2のファブリックグレードF8についての結果が表7に提示される。試験に通るために、必要とされる平均効率は90 %~95 %であり、初期効率は55 %である。
【0170】
【0171】
表7から、本発明のコーティングによってコーティングされた帯電したフィルターエレメントについての初期濾過効率及び平均濾過効率が高められることが明らかである。フィルターが放電されると、標準的なフィルターについての初期効率及び平均効率は低下し、一方、プラズマ処理済みフィルターエレメントは、平均効率及び初期効率について実際に効率増加を示す。
【0172】
標準的なフィルターエレメントは、90 %~95 %の必要とされる平均効率を持たず、一方、プラズマコーティング済みフィルターは、帯電及び放電の両方の場合に仕様に達する。
【0173】
標準的なフィルターエレメントは、55 %の必要とされる初期効率を持たず、一方、プラズマコーティング済みフィルターは、帯電及び放電の両方の場合に仕様に達する。
【0174】
濾過効率は、本発明のコーティングによってコーティングされた放電されたフィルターエレネントの場合に高められる。イソプロパノールによる放電後、コーティングは、依然としてフィルターエレメント上に存在し、フィルターエレメントが効率の減少を示すことを防止する。
【0175】
分散オイル粒子(DOP:dispersed oil particle)の貫入
5層の不織メルトブローポリプロピレン(15 g/m2~30 g/m2)を有する呼吸マスクは、例1によるコーティングによってコーティングされた後、静電的に帯電される。貫入の評価は、テキスタイルに200 mgのDOP粒子を詰めるCertitest8130装置を使用して行われる。結果は表8に提示される。
【0176】
【0177】
プラズマコーティング済み材料が、未コーティング参照材料よりもはるかに良好に働くことが表8から明らかである。初期貫入は約3倍少なく、10分~30分後の貫入は5~6倍少ない。オイル粒子の場合の濾過効率は、反復的コーティングを用いることによって高められる。
【0178】
フィルター効率
500 g/m2の約1 mm~2 mm厚の不織ポリエチレンテレフタレート(PET)で作られたディーゼルフィルターは、実施例2による本発明のコーティングによってコーティングされる。
【0179】
効率は、フィルターエレメントを22時間水に浸漬させ、その後、垂直位置で一定時間(分範囲)滴下除去(drip out)させることによって試験される。重量増加が計算され、同じ材料の未コーティング参照試料と比較される。
【0180】
結果は以下のグラフに提示される。
【0181】
【0182】
グラフから、未コーティング材料が、1分の滴下除去後に高い水容積を吸収し、ほぼ1800 %重量が増加することが明らかである。
【0183】
本発明のコーティングでコーティングされた試料は、1分の滴下除去後に、著しく低い水吸収値、10 %未満の重量増加を示す。
【0184】
洗浄性
実施例2からの表3による低電力プラズマコーティングによってコーティングされた3つの異なるポリエステル織りファブリックは、ISO15797(2002)に従って洗浄された。
【0185】
1つの完全な洗浄サイクルは、
1. 60℃で、かつ、乾燥テキスタイル材料1キログラムあたり、蛍光増白剤なしの20 gのIPSO HF234を使用して洗浄するステップと、
2. タンブル乾燥するステップと、
3. 180℃でホットプレスする(例えば、アイロンがけする)ステップ
とを含んだ。
【0186】
5回の洗浄サイクルが次々に実施され、その後、撥油性がISO14419に従って測定され、噴霧試験がISO9073パート17及びISO4920に従って実施された。
【0187】
次に、もう5回の洗浄サイクルが行われ、撥油性試験及び噴霧試験が繰り返された。
【0188】
洗浄サイクルの回数の関数としての撥油性は表10に提示される。表11は、洗浄サイクルの回数の関数としての噴霧試験の結果を示す。
【0189】
【0190】
【0191】
更なる例では、別のポリエステル織りファブリックが、コーティングステップの前に前処理ありでまた前処理なしでコーティングされた。前処理なしのプロセスは実施例1に従って実施される。
【0192】
前処理ありのプロセスについてのプロセスパラメーターは表12に提示される。
【0193】
【0194】
コーティング済みテキスタイルはISO15797(2002)に従って洗浄された。
【0195】
1つの完全な洗浄サイクルは、
1. 75℃で、かつ、乾燥テキスタイル材料1キログラムあたり、蛍光増白剤なしの20 gのIPSO HF234を使用して洗浄するステップと、
2. 乾燥キャビネット内で乾燥させるステップと、
とを含んだ。
【0196】
1回の洗浄サイクル後、撥油性がISO14419に従って測定され、噴霧試験がISO9073パート17及びISO4920に従って実施された。
【0197】
次に、もう4回の洗浄サイクルが遂行され、撥油性試験及び噴霧試験が繰り返された(値は5回の洗浄後に測定された)。
【0198】
次に、もう5回の洗浄サイクルが行われ、撥油性試験及び噴霧試験が繰り返された(値は10回の洗浄後に測定された)。
【0199】
洗浄サイクルの回数の関数としての撥油性は表13に提示される。表14は、洗浄サイクルの回数の関数としての噴霧試験の結果を示す。
【0200】
【0201】
【0202】
表13及び表14から、コーティングする前に前処理されたテキスタイル試料が、洗浄後により良好な性能を有することが明らかである。その改善は、撥水性が試験される噴霧試験においてより顕著である。撥油性のレベルの差は、表13に見られるように、10回の洗浄サイクル後に見えるようになる。20回の洗浄サイクル後に、前処理されたファブリックは、依然として撥油性レベル3を有する。
【0203】
摩耗耐久性
実施例2による低電力プラズマコーティングによってコーティングされた3つの異なるポリエステル織りファブリックは、マーティンデイル(Martindale)摩耗試験を受けた。後に、噴霧試験が実施されたため、通常よりも大きな試料が必要であり、セットアップが少し変更された。
【0204】
標準的なウールファブリックが、より大きなコーティング済みPES織りファブリック上に9 kPaの力でプレスされた。5000回の摩耗サイクルが行われ、撥油性試験がISO14419にしたがって実施され、噴霧試験がISO9073パート17及びISO4920に従って実施された。その後、もう5000回の摩耗サイクルが行われ、撥油性試験及び噴霧試験が繰り返された。
【0205】
表15はマーティンデイル摩耗サイクルの回数の関数としての撥油性を示し、表16はマーティンデイル摩耗サイクルの回数の関数としての噴霧試験結果を示す。
【0206】
【0207】
【符号の説明】
【0208】
1:ロールツーロールプラズマ堆積装置
10:プラズマチャンバー
11:真空チャンバー
12:第1の区画
14:第2の区画
16:テキスタイル材料
?
16:ファブリック
20:電極層
21:チュービング
22:各屈曲部
23、24:接続プレート
25、26:遠位部分
27:コネクタ
101:上側ローラー
102:下側ローラー
120:第1のロール
140:第2のロール
「M」:グラウンド電極
「RF」:無線周波数電極
「/」:テキスタイル材料16がその中を通過する空間
「*」:1次プラズマゾーン
「/」:ファブリックが通過する空間