(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】コポリマー及び無機金属酸化物粒子を含有するスキンケア製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/27 20060101AFI20220111BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220111BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20220111BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220111BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61K8/27
A61Q19/00
A61K8/29
A61K8/81
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2018514993
(86)(22)【出願日】2016-09-26
(86)【国際出願番号】 US2016053714
(87)【国際公開番号】W WO2017058714
(87)【国際公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-09-19
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベス・クーパー
(72)【発明者】
【氏名】キンジャルバーヘン・ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】ファンウェン・ツェン
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/094758(WO,A1)
【文献】特開2004-099901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンケア組成物であって、
(a)前記組成物の重量に基づいて、0.1~20重量%の無機金属酸化物粒子であって、前記無機金属酸化物粒子が、ZnO及びTiO
2を含み、ZnOのTiO
2に対する比率が、
1:1~9:5である、無機金属酸化物粒子と、
(b)前記組成物の重量に基づいて、水性媒体中に分散した0.1~15重量%のコポリマー粒子であって、前記コポリマー粒子が、(i)0.1~20重量%のリン酸モノマーであって、2-ホスホエチルメタクリレートを含むリン酸モノマー
並びに(ii)80~99.9重量%のコモノマー
であってブチルアクリレート、メチルメタクリレート及びメタクリル酸を含むコモノマー由来の重合単位を含む、コポリマー粒子と、
(c)皮膚科学的に許容される担体と、を含む、スキンケア組成物。
【請求項2】
前記コポリマー粒子が、前記無機金属酸化物粒子の表面に吸着する、請求項1に記載のスキンケア組成物。
【請求項3】
前記コポリマー粒子が、
コポリマー粒子の外部と接触した状態で1つ以上の相内にリン酸基を有する二相コポリマー粒子である、請求項1に記載のスキンケア組成物。
【請求項4】
UVA及びUVB損傷から皮膚を保護する方法であって、前記方法が、前記皮膚に日焼け止め組成物を局所塗布することを含み、前記日焼け止め組成物が、
(a)前記組成物の重量に基づいて、0.1~20重量%の無機金属酸化物粒子であって、前記無機金属酸化物粒子が、ZnO及びTiO
2を含み、ZnOのTiO
2に対する比率が、
1:1~9:5である、無機金属酸化物粒子と、
(b)前記組成物の重量に基づいて、水性媒体中に分散した0.1~15重量%のコポリマー粒子であって、前記コポリマー粒子が、(i)0.1~20重量%のリン酸モノマーであって、2-ホスホエチルメタクリレートを含むリン酸モノマー
並びに(ii)80~99.9重量%のコモノマー
であってブチルアクリレート、メチルメタクリレート及びメタクリル酸を含むコモノマー由来の重合単位を含む、コポリマー粒子と、
(c)皮膚科学的に許容される担体と、を含む、方法。
【請求項5】
ZnO及びTiO
2を含む無機金属酸化物粒子を含有する日焼け止め組成物のSPFまたはUV吸収を促進する方法であって、ZnOのTiO
2に対する比率が、
1:1~9:5であり、前記方法が、水性媒体中に分散したコポリマー粒子を含めるステップを含み、前記コポリマー粒子が、(i)0.1~20重量%のリン酸モノマーであって、2-ホスホエチルメタクリレートを含むリン酸モノマー
並びに(ii)80~99.9重量%のコモノマー
であってブチルアクリレート、メチルメタクリレート及びメタクリル酸を含むコモノマー由来の重合単位を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、スキンケア製剤に有用なコポリマーに関する。スキンケア製剤は、リン酸基を持つコポリマー粒子を酸化亜鉛及び二酸化チタン粒子とともに含有する。
【背景技術】
【0002】
スキンケア組成物は、本組成物に多様な利益をもたらす様々な添加物を含有する。具体的には、日焼け止め組成物は、皮膚を損傷し得る紫外線(「UV」)放射から保護する添加物を含有する。UV放射は、UVA(長波、すなわち、波長320~400nm)及びUVB(短波、すなわち、波長290~320nm)に分類され得る。日焼け止め製剤の有効性は、その日焼け防止指数(「SPF」)によって測定される。UVA型の放射もUVB型の放射もいずれも有害であるため、日焼け止め製剤は、これらの両方の種類の光線から保護する。二酸化チタン及び酸化亜鉛等の無機金属酸化物粒子は、UVA及びUVB放射を吸収し、これを達成するために、日焼け止め製剤に一般に組み込まれている。しかしながら、無機金属酸化物は、不良な感触及び望ましくない白い外観等の負の審美的品質をもたらす場合があり、これらはいずれも皮膚上での粒子の凝集及び不良な分布に起因し得る。
【0003】
日焼け止め製剤の耐久性は、当該技術分野で対処されている別の考慮すべき事項である。例えば、米国特許第6,384,104号は、パーソナルケア組成物に添加されたときに日焼け止め製剤の貯蔵安定性を維持する目的のためにラテックスを含有するUV放射吸収組成物を開示している。しかしながら、先行技術は、UV吸収促進剤として優れた結果をもたらす本発明による無機金属酸化物粒子及びコポリマー粒子を含有する製剤を開示していない。
【0004】
したがって、高SPFの提供を助けると同時に、感触及び外観等のかかる製剤の審美的品質を改善する日焼け止め促進剤を含む新たな日焼け止め組成物の開発が必要とされている。
【0005】
発明の記述
本発明の一態様は、スキンケア組成物であって、(a)本組成物の重量に基づいて、0.1~20重量%の無機金属酸化物粒子であって、無機金属酸化物粒子が、ZnO及びTiO2を含み、ZnOのTiO2に対する比率が、1:10~10:1である、無機金属酸化物粒子と、(b)本組成物の重量に基づいて、水性媒体中に分散した0.1~15重量%のコポリマー粒子であって、コポリマー粒子が、(i)0.1~20重量%のリン酸モノマー及び(ii)80~99.9重量%のコモノマー由来の重合単位を含む、コポリマー粒子と、(c)皮膚科学的に許容される担体と、を含むスキンケア組成物を提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、UVA及びUVB損傷から皮膚を保護するための方法であって、皮膚に日焼け止め組成物を局所塗布することを含み、本日焼け止め組成物が、(a)本組成物の重量に基づいて、0.1~20重量%の無機金属酸化物粒子であって、無機金属酸化物粒子が、ZnO及びTiO2を含み、ZnOのTiO2に対する比率が、1:10~10:1である、無機金属酸化物粒子と、(b)本組成物の重量に基づいて、水性媒体中に分散した0.1~15重量%のコポリマー粒子であって、コポリマー粒子が、(i)0.1~20重量%のリン酸モノマー及び(ii)80~99.9重量%のコモノマー由来の重合単位を含む、コポリマー粒子と、(c)皮膚科学的に許容される担体と、を含む、方法を提供する。
【0007】
本発明の別の態様は、ZnO及びTiO2を含む無機金属酸化物粒子を含有する日焼け止め組成物のSPFまたはUV吸収を促進する方法であって、ZnOのTiO2に対する比率が、1:10~10:1であり、本方法が、水性媒体中に分散したコポリマー粒子を含めるステップを含み、コポリマー粒子が、(i)0.1~20重量%のリン酸モノマー及び(ii)80~99.9重量%のコモノマー由来の重合単位を含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、リン酸モノマー由来の重合単位を含むコポリマー粒子が、酸化亜鉛及び二酸化チタン粒子を含有する日焼け止め製剤におけるSPFまたはUV吸収を促進すると同時に、皮膚に塗布されたときにかかる製剤の審美的品質、例えば、感触及び外観も改善することを見出した。次いで、かかる発明スキンケア組成物は、酸化亜鉛及び二酸化チタン粒子の量を著しく低減させながら、同様のSPFまたはより良好なSPFを達成することができる。したがって、本発明は、一態様では、酸化亜鉛及び二酸化チタン粒子と、リン酸モノマー及びコモノマーの重合単位を含む水性媒体中に分散したコポリマー粒子と、皮膚科学的に許容される担体と、を含むスキンケア組成物を提供する。
【0009】
本発明では、「スキンケア組成物」は、ローション、クリーム、ゲル、ゲルクリーム、セラム、トナー、ワイプ、液体ファンデーション、化粧品、薄く色のついた保湿剤、油、顔/体用スプレー、局所薬剤、及び日焼け止め組成物等の皮膚へのリーブオン塗布用の組成物を指すよう意図されている。「日焼け止め組成物」とは、UV損傷から皮膚を保護する組成物を指す。好ましくは、本スキンケア組成物は、美容的に許容される。「美容的に許容される」とは、パーソナルケア組成物に典型的に使用される成分を指し、パーソナルケア組成物中に典型的に見られる量で存在するときに毒性である材料が本発明の一部として企図されていないことを強調するよう意図されている。本発明の組成物は、当該技術分野で周知のプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、乳化、カプセル封入、捕捉、または凍結乾燥プロセスによって製造され得る。
【0010】
本明細書で使用されるとき、「ポリマー」という用語は、同じ種類か異なる種類かにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。「ポリマー」という一般用語は、「ホモポリマー」、「コポリマー」、及び「ターポリマー」という用語を含む。本明細書で使用されるとき、「由来の重合単位」という用語は、生成物ポリマーが重合反応の出発材料である構成モノマー「由来の重合単位」を含有する、重合技法に従って合成されるポリマー分子を指す。
【0011】
本明細書で使用されるとき、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートまたはメタクリレートのいずれかを指し、「(メタ)アクリル」という用語は、アクリルまたはメタクリルのいずれかを指す。
【0012】
本明細書で使用されるとき、「リン酸基」という用語は、水素原子がイオン化可能であるPOH部分を有するリンオキソ酸を指す。リンオキソ酸の塩も「リン酸基」という用語に包含される。その塩または塩基性形態では、リン酸基は、少なくとも1つの酸性プロトンの代わりに金属イオンまたはアンモニウムイオン等のカチオンを有する。リン酸基の例としては、ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、ピロホスフィン酸、ピロリン酸、それらの部分エステル、及びそれらの塩から形成される基が挙げられる。
【0013】
本明細書で使用されるとき、「ガラス転移温度」または「Tg」という用語は、ガラス状ポリマーがポリマー鎖のセグメント運動を経る温度またはその温度を超える温度を指す。ポリマーのガラス転移温度は、以下のFox等式(Bulletin of the American Physical Society,1(3)Page 123(1956))によって推定され得る。
【0014】
[数1]
1/Tg=w1/Tg(1)+w2/Tg(2)
【0015】
コポリマーの場合、w1及びw2は、これらの2つのコモノマー重量分率を指し、Tg(1)及びTg(2)は、それらのモノマーから作製された2つの対応するホモポリマーのガラス転移温度を指す。3つ以上のモノマーを含有するポリマーの場合、さらなる項目(wn/Tg(n))が追加される。ポリマーのTgは、例えば、「Polymer Handbook,」 edited by J.Brandrup and E.H.Immergut,Interscience Publishersで見つけられ得るホモポリマーのガラス転移温度に適切な値を使用することによって計算することもできる。ポリマーのTgは、様々な技法、例えば、示差走査熱量測定(「DSC」)等によって測定することもできる。本明細書に報告されるTgの値は、DSCによって測定されたものである。
【0016】
本発明スキンケア組成物は、無機金属酸化物粒子を含有する。好適な無機金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化チタン(TiO2)、及びそれらに混合物が挙げられる。ある特定の実施形態では、無機金属酸化物粒子は、色素グレードのZnOまたは色素グレードのTiO2である。ある特定の実施形態では、無機金属酸化物粒子は、透明ZnOまたは透明TiO2である。日焼け止め製剤に使用される大半の無機金属酸化物は、光散乱によって引き起こされる美容的に望ましくない白い外観をもたらす。したがって、本明細書で使用されるとき、「透明」無機金属酸化物日焼け止め粒子という用語は、塗布時にかかる粒子を含有する組成物を透明感のある状態にするか、または色素グレードよりも透明にする様々な加工条件によって生成される無機金属酸化物粒子を指す。好適なZnO粒子としては、例えば、商品名Z-COTE(BASF Corporationから市販されている)、ZINCLEAR IM(Antaria Limitedから市販されている)、及びZ-CLEAR(Actifirmから市販されている)が挙げられる。好適なTiO2粒子としては、例えば、TIPAQUE及びTTO-51(A)(Ishiharra Sangyo Kaisha,Ltd.から市販されている)、T-COTE(BASF Corporationから市販されている)、UFTR(Miyoshi Kaseiから市販されている)、ならびにSOLAVEIL CLARUS(Uniquemaから市販されている)が挙げられる。ある特定の実施形態では、本スキンケア組成物は、無機金属酸化物粒子を、本組成物の重量により、0.1~20重量%、好ましくは0.5~18重量%、より好ましくは1~15重量%の量で含む。ある特定の実施形態では、無機金属酸化物粒子は、ZnO及びTiO2を含み、ZnOのTiO2に対する比率は、1:10~10:1、好ましくは1:5~5:1、より好ましくは1:1~9:5である。
【0017】
本発明のスキンケア組成物は、ポリマー骨格にペンダントしているリン酸基を持つコポリマー粒子も含有する。これらのリン酸基は、本明細書で「第1のリン酸基」と称される。コポリマー粒子は、水性媒体中に分散しており、水性媒体中で不溶性である。コポリマー粒子は、(i)本明細書で「リン酸モノマー」と称されるリン酸基を有するエチレン性不飽和モノマー及び(ii)本明細書で「コモノマー」と称されるエチレン性不飽和モノマー由来の重合単位を含む付加ポリマーである。
【0018】
リン酸モノマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和及びリン酸基を含有する。リン酸モノマーは、酸性形態であり得るか、またはリン酸基の塩であり得る。好適なリン酸モノマーとしては、例えば、以下が挙げられ、
【0019】
【0020】
式中、Rは、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、またはビニル基を含有する有機基であり、R’及びR’’は独立して、H及び第2の有機基から選択される。第2の有機基は、飽和または不飽和のものであり得る。好適なリン酸モノマーとしては、例えば、リン酸二水素官能性モノマー、例えば、アルコールのリン酸二水素エステル(アルコールが重合性ビニルまたはオレフィン基も含有する)(例えば、リン酸アリル、フマル酸またはイタコン酸ビス(ヒドロキシルメチル)一リン酸塩または二リン酸塩)、及び(メタ)アクリル酸エステル誘導体、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートリン酸塩(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート)が挙げられる。他の好適なリン酸モノマーとしては、例えば、ホスホネート官能性モノマー、例えば、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、α-ホスホノスチレン、及び2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンホスホン酸が挙げられる。さらに好適なリン官能性モノマーとしては、例えば、1,2-エチレン性不飽和(ヒドロキシ)ホスフィニルアルキル(メタ)アクリレートモノマー、例えば、(ヒドロキシ)ホスフィニルメチルメタクリレートが挙げられる。ある特定の好ましい実施形態では、リン酸モノマーは、リン酸二水素モノマー、例えば、2-ホスホエチル(メタ)アクリレート、2-ホスホプロピル(メタ)アクリレート、3-ホスホプロピル(メタ)アクリレート、及び3-ホスホ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを含む。ある特定の実施形態では、本発明コポリマーは、リン酸モノマーの重合単位を、本コポリマーの重量により、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%の量で含む。ある特定の実施形態では、本発明コポリマーは、リン酸モノマーの重合単位を、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは6重量%以下の量で含む。
【0021】
コモノマーは、リン酸モノマーではなく、かつエチレン性不飽和リン酸モノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーである。好適なコモノマーとしては、例えば、スチレン、ブタジエン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸の様々なC1-C40アルキルエステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート))、及び他の(メタ)アクリレート(例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2-ブロモエチル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、及び1-ナフチル(メタ)アクリレート))、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和ジ及びトリカルボン酸及び無水物のモノ、ジ、トリアルキルエステル(例えば、マレイン酸エチル、フマル酸ジメチル、アコニット酸トリメチル、及びイタコン酸エチルメチル)、ならびにカルボン酸含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、及びマレイン酸が挙げられる。ある特定の実施形態では、本発明コポリマーは、コモノマーの重合単位を、コポリマーの重量により、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも94重量%の量で含む。ある特定の実施形態では、本発明コポリマーは、コモノマーの重合単位を、99.9重量%以下、好ましくは99.5重量%以下、より好ましくは99重量%以下の量で含む。
【0022】
ある特定の実施形態では、ポリマーは、架橋ポリマーであり得、2つ以上の非共役エチレン性不飽和基を有するモノマー等の架橋剤が重合中にコポリマー成分とともに含まれる。好適な架橋剤モノマーとしては、例えば、ジオールまたはポリオールのジまたはトリアリルエーテル及びジまたはトリ(メタ)アクリリルエステル(例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート)、ジまたはトリ酸のジまたはトリアリルエステル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルスルホン、リン酸トリアリル、ジビニル芳香族(例えば、ジビニルベンゼン)が挙げられる。ある特定の実施形態では、本発明コポリマーは、架橋剤モノマーの重合単位を、本コポリマーの重量により、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下の量で含む。
【0023】
ポリマーの分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたは固有粘度等の標準の方法によって測定され得る。ある特定の実施形態では、本発明のコポリマー粒子は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定される、5,000,000以下、好ましくは3,000,000以下、より好ましくは2,000,000以下、さらにより好ましくは1,000,000以下の重量平均分子量(Mw)を有する。ある特定の実施形態では、コポリマー粒子は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定される、5,000以上、好ましくは50,000以上、より好ましくは100,000以上のMwを有する。本発明スキンケア組成物での使用に好適なコポリマー粒子は、25℃~150℃、好ましくは50℃~150℃、より好ましくは60℃~100℃の範囲のTg値を有する。ある特定の実施形態では、本発明コポリマー粒子は、10nm~20マイクロメートル、好ましくは20nm~1マイクロメートル、より好ましくは50nm~500nmの範囲の平均粒径を有する。コポリマー粒子の粒径は、単峰性または多峰性(二峰性を含む)等の分布を特徴とし得る。コポリマー粒子の平均粒径は、光散乱技法によって決定され得る。
【0024】
ある特定の実施形態では、本発明スキンケア組成物は、コポリマー粒子を、本組成物の重量により、0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量の量で含む。ある特定の実施形態では、本スキンケア組成物は、無機金属酸化物とコポリマー粒子を、2:8~8:2、好ましくは3:7~7:3、より好ましくは4:6~6:4の重量比で含む。
【0025】
本発明スキンケア組成物に含有されるコポリマー粒子の調製に好適な重合技法としては、例えば、米国特許第6,710,161号に開示のエマルジョン重合及び溶液重合、好ましくはエマルジョン重合が挙げられる。水性エマルジョン重合プロセスは、典型的には、水性反応混合物中で行われ、この水性反応混合物は、少なくとも1つのモノマー及び様々な合成アジュバント、例えば、フリーラジカル源、緩衝液、及び還元剤を水性反応媒体中に含有する。ある特定の実施形態では、分子量を制限するために連鎖移動剤が使用され得る。水性反応媒体は、水性反応混合物の連続流体相であり、水性反応媒体の重量に基づいて、50重量%超の水及び任意に1つ以上の水混和性溶媒を含有する。好適な水混和性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、及びジアセトンアルコールが挙げられる。ある特定の実施形態では、水性反応媒体は、水性反応媒体の重量に基づいて、90重量%超の水、好ましくは95重量%超の水、より好ましくは98重量%超の水を含有する。ある特定の実施形態では、水性反応媒体は、8以下のpHを有し、好ましくは4以下のpHを有する。
【0026】
重合プロセスは、バッチプロセス、半連続プロセス、または連続プロセスとして行われ得る。ある特定の実施形態では、本ポリマーは、二段階反応で形成される。ある特定の実施形態では、第一段階は、第一段階で重合するモノマーの総重量に基づいて、1~10重量%のリン酸モノマーと、99~80重量%のコモノマーと、0~5重量%の架橋剤とを重合させることを含む。ある特定の実施形態では、第二段階は、第二段階で重合するモノマーの総重量に基づいて、95~100重量%のコモノマーと、0~5重量%の架橋剤とを重合させることを含む。ある特定の実施形態では、リン酸モノマーは、ホスホエチルメタクリレートを含む。ある特定の実施形態では、コモノマーは、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びメタクリル酸のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、架橋剤は、アリルメタクリレートを含む。ある特定の実施形態では、第一段階で重合するモノマーと第二段階で重合するモノマーの総比率は、20:80~80:20、好ましくは25:75~75:25、より好ましくは30:70~70:30の範囲である。
【0027】
本発明スキンケア組成物は、水性媒体中に分散したコポリマー粒子を含有する。水性媒体は、共溶媒、例えば、水混和性共溶媒を含有し得る。好適な水混和性共溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、及びジアセトンアルコールが挙げられ、水不混合性溶媒は、例えば、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルイソアミルケトン、酢酸アミル、ジイソブチルケトン、キシレン、トルエン、ブタノール、及びミネラルスピリットである。本スキンケア組成物のpHは、3~11の範囲であり得る。
【0028】
ある特定の実施形態では、本スキンケア組成物は、水溶性リン酸化合物を実質的に含まないものと見なされる。水溶性リン酸化合物は、本明細書で「第2のリン酸基」と称されるリン酸基を含有する。5以上のpHで、水溶性リン酸化合物は、水性媒体の可溶化成分として含有される。水溶性リン酸化合物としては、無機リン酸化合物及び有機リン酸化合物が挙げられる。無機リン酸化合物としては、リンオキソ酸、例えば、リン酸(phosphoric acid)、リン酸(phosphorus acid)、ヒドロ亜リン酸、オルトリン酸、ピロリン酸、及びそれらの塩が挙げられる。有機リン酸化合物は、有機部分に結合した少なくとも1つのリン酸基を含有し、有機リン酸化合物としては、不飽和有機リン酸化合物(リン酸モノマー等)及び飽和有機リン酸化合物(リンオキソ酸の部分エステル、例えば、HOCH2CH2OP(O)(OH)2、メチルホスホン酸、及びリン酸基を持つ水溶性ポリマー等)の両方が挙げられる。リン酸基を持つ水溶性ポリマーは、独立して水溶性ポリマー骨格にペンダント状態でまたは末端位に位置する少なくとも2つのリン酸基を含有する付加ポリマーである。リン酸基を持つ水溶性ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得、少なくとも2の重合度を有する。本明細書で使用されるとき、「飽和リン酸化合物」とは、無機リン酸化合物及び飽和有機リン酸化合物から選択される化合物である。本明細書で使用されるとき、「水溶性リン酸化合物を実質的に含まない」とは、第1のリン酸基の当量に対する第2のリン酸基の当量の比率によって規定されるポリマー組成物中の水溶性リン酸化合物のレベルを指し、この比率は、0.8、好ましくは0.7、より好ましくは0.5の上限値を有する範囲であり、0.1、好ましくは0.05、より好ましくはゼロの範囲の下限値を有し得る。一実施形態では、第1のリン酸基の当量に対する第2のリン酸基の当量の比率は、0.8以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下の範囲である。本スキンケア組成物中の第1のリン酸基の当量に対する第2のリン酸基の当量の比率は、米国特許第6,710,161号に開示のリン原子の誘導結合プラズマ分光検出によって決定される。第1のリン酸基及び第2のリン酸基は、同じ種類のリン酸であり得るか、または異なる種類のリン酸であり得、例えば、第1のリン酸基は、リン酸から形成され得、第2のリン酸基は、ホスホン酸から形成され得る。
【0029】
本発明のある特定の実施形態では、本発明スキンケア組成物は、複合粒子組成物を含み、コポリマー粒子が無機金属酸化物粒子の表面に吸着して、複合粒子を形成する。理論に拘束されることを望まないが、コポリマー粒子が各無機金属酸化物粒子の表面に吸着することにより隣接する無機金属酸化物粒子間の接触が最小限に抑えられると考えられる。コポリマー粒子は、無機金属酸化物粒子の表面を完全に覆って、カプセル封入層を提供することができるか、または無機金属酸化物粒子の表面を部分的に覆い得る。複合粒子は、等価レベルの改変されていない無機金属酸化物粒子を含有する組成物(すなわち、複合粒子を含有しない組成物)と比較して、UV放射吸収度が改善され、かつSPF性能が増大した日焼け止め剤の提供に有用である。
【0030】
複合粒子は、単一ポリマー相を有するコポリマー粒子、またはコポリマー粒子の外部と接触した状態で1つ以上の相内にリン酸基を有する二相コポリマー粒子を含み得る。一実施形態では、複合粒子は、第2のポリマー相を完全にカプセル封入しない1つのポリマー相を有する二相コポリマー粒子を含有する。
【0031】
ある特定の実施形態では、複合粒子は、40nm~50μm、好ましくは50nm~5μmの範囲、より好ましくは60nm~1μmの範囲の平均粒径を有するコポリマー粒子を含有する。ある特定の実施形態では、複合粒子は、25℃~150℃、好ましくは50℃~150℃、より好ましくは60℃~100℃の範囲のTg値を有するコポリマー粒子を含有する。ある特定の実施形態では、複合粒子を含有する本発明スキンケア組成物のpHは、3~10、好ましくはpH7~9の範囲であり得る。
【0032】
コポリマー粒子を含有する複合粒子を含む本発明スキンケア組成物は、最初に、無機金属酸化物粒子分散物を含有する第1の水性媒体とコポリマー粒子を含有するコポリマー組成物とを混ぜることによって調製され得る。コポリマー粒子が無機金属酸化物粒子に吸着して複合粒子を形成するのに十分な時間が与えられる。コポリマー粒子の無機金属酸化物粒子への吸着は、自然に起こるものと考えられており、無機金属酸化物粒子の表面に完全に吸着するまで、無機金属酸化物粒子の表面がコポリマー粒子で完全に覆われるまで、または吸着したコポリマー粒子と複合粒子組成物の水性媒体中に分散したままのコポリマー粒子との間で平衡が達成されるまで続く。
【0033】
本発明のスキンケア組成物は、皮膚科学的に許容される担体も含む。かかる材料は、典型的には、皮膚に重大な刺激を引き起こさず、かつ本組成物中の活性薬剤(複数可)の活性及び特性を無効にしない担体または希釈剤と見なされる。本発明に有用な皮膚科学的に許容される担体の例としては、水、例えば、脱イオン水または蒸留水、エマルジョン、例えば、水中油水または油中水エマルジョン、アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール等、グリコール、例えば、プロピレングリコール、グリセリン等、クリーム、水溶液、油、軟膏、ペースト、ゲル、ローション、乳液、気泡、懸濁液、粉末、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、約99.99~約50重量%の皮膚科学的に許容される担体を含有する。
【0034】
本発明のスキンケア組成物は、無機金属酸化物粒子に加えて、日焼け止め活性物も含み得る。好適なさらなる日焼け止め活性物としては、例えば、パラアミノ安息香酸、アヴォベンゾン、シノキサート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、オクトクリレン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、サリチル酸トロラミン、二酸化チタン、酸化亜鉛、ベンゾフェノン、ベンジリデン、サリチル酸塩、または他の既知のUVフィルター、例えば、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、トリオレイン酸ジガロイ、エチルジヒドロキシプロピルPABA、アミノ安息香酸グリセリル、及びジヒドロキシアセトンを有するローソン、ならびに赤色ペトロラタムが挙げられる。
【0035】
本発明のスキンケア組成物は、例えば、増粘剤、皮膚軟化剤、乳化剤、保湿剤、界面活性剤、懸濁化剤、膜形成剤、低級モノアルコールポリオール、高沸点溶媒、推進剤、鉱油、シリコン感触調整剤(silicon feel modifier)、またはそれらの混合物等の日焼け止め製剤の技術分野で既知の他の成分も含み得る。かかる成分によってもたらされる所望の特性を達成するのに有効な任意の成分の量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0036】
研磨剤、吸収剤、審美的成分、例えば、香料、色素、着色料/着色剤、精油、皮膚感覚惹起剤、収斂剤(例えば、丁子油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、ユージノール、乳酸メンチル、ウィッチヘーゼル蒸留液)、防腐剤、アンチケーキング剤、起泡剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ブチルカルバミン酸ヨードプロピル)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、増量剤、キレート剤、化学添加物、着色剤、化粧品用収斂剤、化粧品用殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外部鎮痛剤、膜形成剤または材料、例えば、本組成物の膜形成特性及び持続性を支援するためのポリマー(例えば、エイコセンとビニルピロリドンのコポリマー)、乳白剤、pH調整剤、推進剤、還元剤、捕捉剤、皮膚脱色及び美白剤(例えば、ハイドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、皮膚コンディショニング剤(例えば、湿潤剤、例えば、ミセル剤及び閉塞剤)、皮膚鎮静及び/または治癒剤(例えば、パンテノール及び誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、及びグリシルリジン酸二カリウム)、皮膚トリートメント剤、ならびにビタミン(例えば、ビタミンC)及びその誘導体等であるが、これらに限定されない他の添加物が本発明の組成物に含まれ得る。かかる成分によってもたらされる所望の特性を達成するのに有効な選択成分の量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0037】
上述のように、本発明のスキンケア組成物は、SPF及びUV吸収促進剤として非常に有効である。したがって、本発明のスキンケア組成物は、例えば、UV損傷からの保護、皮膚の保湿、乾燥皮膚の保護及びトリートメント、敏感皮膚の保護、皮膚の色合い及び質感の改善、マスキング欠陥、及び経上皮水損失の阻止等の皮膚のトリートメント及び保護に有用である。したがって、一態様では、本発明は、スキンケア組成物がUVA及びUVB損傷から皮膚を保護するための方法であって、皮膚に組成物を局所塗布することを含み、本組成物が、(a)本組成物の重量に基づいて、0.1~20重量%の無機金属酸化物粒子と、(b)本組成物の重量に基づいて、水性媒体中に分散した0.1~15重量%の本明細書に記載のコポリマー粒子であって、無機金属酸化物粒子が、ZnO及びTiO2を含み、ZnOのTiO2に対する比率が、1:10~10:1である、コポリマー粒子と、(c)皮膚科学的に許容される担体と、を含む、方法で使用され得ることを提供する。本組成物は、無機金属酸化物粒子を含有する日焼け止め組成物のSPFまたはUV吸収を促進するための方法であって、水性媒体中の本明細書に記載のコポリマー粒子を本組成物中に含めることを含む、方法で使用することもできる。ある特定の実施形態では、無機金属酸化物粒子及び本明細書に記載のコポリマーを含有する本発明日焼け止め組成物は、等価レベルの改変されていない無機金属酸化物粒子を含有する組成物(すなわち、複合粒子を含有しない組成物)よりも25%超高い、好ましくは50%超高いSPFを有する。
【0038】
本発明の方法を実施する際に、本スキンケア組成物は、一般に、本組成物を皮膚に塗布するか、または拡散させることによって局所塗布される。当業者であれば、本組成物を塗布すべき頻度を容易に決定することができる。この頻度は、例えば、個体が所与の日に遭遇する可能性があるUV光への曝露レベル及び/または個体のUV光に対する感受性に依存し得る。非限定的な例として、少なくとも1日1回の頻度の塗布が望ましくあり得る。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態がこれから以下の実施例で詳細に説明される。
【実施例】
【0040】
実施例1
例示的コポリマー粒子の調製
本発明による例示的コポリマー粒子は、表1に列挙される成分を含有する。
【0041】
【0042】
ポリマーP1について、第一段階のモノマーエマルジョンを、65.5gの脱イオン水、16.5g(30%活性)のアニオン性界面活性剤A(ラウリル-(エチレンオキシド)4硫酸ナトリウムの平均組成を有する界面活性剤、30重量%固形物)、27.14gのBA、202.36gのMMA、0.50gのMAA、及び16.2gのPEMを混合することによって調製した。その後、第二段階のモノマーエマルジョンを、136gの脱イオン水、15.4g(30%活性)のアニオン性界面活性剤A、64.5gのBA、392.2gのMMA、及び0.95gのMAAを混合することによって調製した。パドル撹拌棒、熱電対、窒素注入口、及び還流凝縮器を装備した3リットルの反応器である四つ口丸底フラスコを組み立てた。フラスコに1,170gの脱イオン水及び16.5g(30%活性)のアニオン性界面活性剤Aを添加し、撹拌を開始した。フラスコの内容物を窒素雰囲気下で84℃に加熱した。13gの脱イオン水中1.4gのNaPSの溶液を添加した。第一段階のモノマーエマルジョンを40分間にわたって反応器に供給した。43gの脱イオン水中0.71gのNaPSの溶液を40分間にわたってフラスコに別個に供給した。第一段階のモノマーエマルジョンを添加した後、容器を少量の脱イオン水ですすぎ、フラスコに添加した。NaPS共供給を停止し、反応を87℃で10分間保持した。第二段階のモノマーエマルジョンを65分間にわたってフラスコに供給した。NaPS共供給を再開し、65分間にわたって供給した。さらに、5.3gの水酸化アンモニウム(28%溶液)、20gの水を含有する別個の溶液を65分間にわたって供給した。第二段階のモノマーエマルジョンを添加した後、容器を少量の脱イオン水ですすぎ、フラスコに供給した。フラスコの内容物を84~86℃で5分間維持した。その後、バッチを65℃に冷却した。過酸化水素水溶液及びイソアスコルビン酸溶液の酸化還元対をケトルに別個に供給した。バッチを室温に冷却した。
【0043】
ポリマーP2~P7を、表1に列挙されるモノマー量に適切な変化を加えて実質的に上述のように調製した。
【0044】
実施例2
日焼け止め製剤の調製
TTO-80グレードの二酸化チタンから調製された本発明による比較日焼け止め組成物C1~C3及び例示的日焼け止め組成物E1~E3はすべて、表2に列挙される成分を含有する。
【0045】
【0046】
日焼け止め製剤を、脱イオン水、EDTA、プロピレングリコール、及びメチルグルセス-10を一緒に混合し、約65℃に加熱することによって調製した。キサンタンガムを緩徐に添加し、濃厚になるまで混合物を約500rpmで撹拌した。相Bを別個に混合し、75~80℃に加熱して、すべての脂肪成分が約80℃の温度で溶解したことを確認した。その後、酸化亜鉛を添加し、均一混合物が得られるまで撹拌した。約1,000rpmで約5分間混合しながら相A及び相Bを合わせた。その後、結果として生じた混合物を約50℃に冷却し、室温に冷却するまで1,000rpmで混合しながら相Cをバッチに添加した。
【0047】
TTO-80グレードの二酸化チタンから調製された本発明による比較日焼け止め組成物C4~C6及び例示的日焼け止め組成物E4~E6はすべて、表3に列挙される成分を含有する。
【0048】
【0049】
日焼け止め製剤を、表2の組成物に関して実質的に上述されるように調製した。
【0050】
TEL-100-NJE5グレードの二酸化チタンから調製された本発明による比較日焼け止め組成物C7~C9及び例示的日焼け止め組成物E7~E9はすべて、表4に列挙される成分を含有する。
【0051】
【0052】
日焼け止め製剤を、表2の組成物に関して実質的に上述されるように調製した。
【0053】
Eusolex(登録商標)T-EASYグレードの二酸化チタンから調製された本発明による比較日焼け止め組成物C10及びC11及び例示的日焼け止め組成物E10及びE11はすべて、表5に列挙される成分を含有する。
【0054】
【0055】
日焼け止め製剤を、表2の組成物に関して実質的に上述されるように調製した。
【0056】
実施例3
日焼け止め製剤のSPF促進試験
実施例2で調製された製剤のSPF値を、COLIPA 2007法に従って以下のプロトコルに実質的に従うインビトロ技法を使用して測定した。
【0057】
最初に、粗PMMA基質(SCHONBERG GmbH & Co.KG(Hamburg/Germany)から購入)の重量を測定する。その後、試験するバッチを基質上に堆積させ、次いで、7マイクロメートルのドローダウンバーで迅速に水平にして、薄い均一層を得る。層を約20分間乾燥させ、乾燥均一層を加えた基質の重量を決定する。乾燥均一層のUV吸収を、LABSPHERE UV-2000S分光計を使用して層上の複数の点で測定する。
【0058】
層の固形物パーセントを、OHAUS MB45固形物分析器を使用して測定する。乾燥膜の重量及び層の固形分を使用して、堆積直後の最初の湿潤層の重量を計算し、その結果として、その密度を計算することができる。この情報を使用して、SPFを以下の等式により計算することができる。
【0059】
【0060】
式中、E(λ)は、標準太陽スペクトルの分光放射照度であり、S(λ)は、波長λでの紅斑作用スペクトルであり、A(λ)は、波長λでの補正スペクトル吸光度である(補正率を計算してそのデータを外挿して、2.0mg/cm2の湿潤層密度での吸光度を確立する(堆積直後の最初の湿潤層を使用)。
【0061】
SPF測定の結果を表6に示す。
【0062】
【0063】
これらの結果は、本発明に従って調製された例示的日焼け止め製剤が比較製剤よりも著しく高いSPF促進値をもたらし、倍量のZnO及びTiO2を含有する比較製剤よりも良好なSPFとはいかないまでも、それと同じSPFを有し得ることを実証する。