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特許6998887炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体
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  • 特許-炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体 図1
  • 特許-炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体 図2
  • 特許-炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体 図3
  • 特許-炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体 図4
  • 特許-炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体 図5
  • 特許-炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体 図6a
  • 特許-炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体 図6b
  • 特許-炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体 図6c
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】炉心外の制御棒及び停止棒を備えた原子炉及びその支持構造体
(51)【国際特許分類】
   G21C 7/00 20060101AFI20220111BHJP
   G21C 7/10 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G21C7/00 200
G21C7/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018557824
(86)(22)【出願日】2017-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 IB2017052612
(87)【国際公開番号】W WO2017191598
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-15
(31)【優先権主張番号】102016000045629
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516312660
【氏名又は名称】ハイドロミン ニュクレアル エネルジー ソシエテ ア レスポンサビリテ リミティー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ルチャーノ チノッティ
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04608224(US,A)
【文献】特開2001-264476(JP,A)
【文献】特表2009-509154(JP,A)
【文献】特開昭58-196488(JP,A)
【文献】特開平05-256979(JP,A)
【文献】特開2004-264169(JP,A)
【文献】特開平06-230164(JP,A)
【文献】特開2003-084088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 7/00
G21C 7/10
G21C 7/12
G21C 7/14
G21C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向外側の固定閉鎖構造体(3)及び半径方向内側の移動閉鎖構造体(4)によって頂部にて閉鎖される容器(2)を具備する原子炉(1)であって、
前記容器(2)は、炉心(5)であって、前記炉心(5)の一次冷却流体(F)に浸漬され、複数の燃料要素(11)ならびに制御棒及び停止棒(18)を具備する炉心(5)と、ホットマニホールド(7)と前記炉心(5)の前記一次冷却流体(F)が循環するコールドマニホールド(8)とを区切る液圧分離構造体(6)であって、前記ホットマニホールド(7)の第1の自由表面(H1)が、前記原子炉(1)の通常運転中に、前記コールドマニホールド(8)の第2の自由表面(H2)と異なる状態である液圧分離構造体(6)と、を包含し、
前記原子炉(1)は、前記一次冷却流体(F)を循環する循環ポンプ(9)と熱交換器(10)とを具備し、
前記原子炉(1)は、前記制御棒(18a)及び前記停止棒(18b、18c)が、前記固定閉鎖構造体(3)のそれぞれの貫通部(19a、19b、19c)に挿入され、このため、前記移動閉鎖構造体(4)の半径方向外側及び前記燃料要素(11)のそれぞれの頭部(15)を包含する前記液圧分離構造体(6)の上部(17)の外側に配置され、前記コールドマニホールド(8)の前記一次冷却流体(F)の前記第2の自由表面(H2)の上方の前記液圧分離構造体(6)の壁から延びるそれぞれのダクト(20a、20b、20c)を介して前記液圧分離構造体(6)の半径方向に幅広な下部(21)に挿入されることを特徴とする、原子炉(1)。
【請求項2】
前記制御棒(18a)及び停止棒(18b、18c)は、前記炉心(5)との機械的接続を有していない、請求項1に記載の原子炉(1)。
【請求項3】
前記制御棒(18a)は、反転された旗の形状を有し、制御機構(30a)の軸A回りの回転によって、前記炉心(5)の活性部分(12)からのそれぞれの中性子吸収体(23a)の距離を変更することができる、請求項1に記載の原子炉(1)。
【請求項4】
前記停止棒(18c)は、前記一次冷却流体(F)の前記循環ポンプ(9)が減速するときに、前記炉心の活性部分(12)の近傍にそれぞれの中性子吸収体(23c)を、上下運動を介して位置決めするフロート(28)によって作動する、請求項1に記載の原子炉(1)。
【請求項5】
逆流防止装置(31)が、前記停止棒(18c)の上方への移動を可能にし、下方への移動を阻止して、前記循環ポンプ(9)の時期外れの加速の場合に落下することを防止する、請求項4に記載の原子炉(1)。
【請求項6】
先ず前記停止棒(18c)の部(41)に係合し、次に前記逆流防止装置(31)に係合する制御機構(30c)が、プログラムされた介入によって、前記停止棒(18c)を安全に再起動させ、特に、前記それぞれの中性子吸収体(23c)を前記炉心(5)から最も離れた位置に再配置することを可能にする、請求項5に記載の原子炉(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の実践では、原子炉は、原子炉の主容器の下部に位置決めされ、一次流体に浸漬され、支持格子によって支持されるか、上部から懸垂された燃料要素から形成される炉心を備える。燃料要素の間には、原子炉制御棒がさらに介在する。例外的に、小中規模の高速炉では、制御棒は、反射/遮蔽要素の最も内側の冠状部内の炉心の周囲に位置決めされる。一般に、制御棒は、燃料棒の交換のために使用されるのと同一の交換手段を用いて交換され、燃料補給の前にモータ駆動要素から切り離す必要がある手段との干渉を回避する。
【0003】
アンフォラ形状の液圧分離構造体を有する特許文献1(イタリア国特許出願公開第GE2015A000036号公報)では、遮蔽要素の冠状部は排除されるが、燃料補給作業中の制御棒の位置決め及びその管理については何も言及されておらず、このため現行技術の方法が適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】イタリア国特許出願公開第GE2015A000036号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、既知の解決策の浮き彫りになった欠点を克服し、さらに構造上及び安全上の利点を有する原子炉を提供することである。
【0006】
このため、本発明は、添付の請求項1に定義されるような原子炉であって、付随的特性及びプラント構成が従属請求項に定義される原子炉に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の非限定的な実施形態の例にて説明される。
図1】本発明による原子炉の縦断面での全体概略図。
図2図1の原子炉の軸線に対する主要構成要素の位置決めを示す概略平面図。
図3】第1の停止棒を備える図1の原子炉の一部の縦断面での概略図。
図4】それぞれの操作位置にて示される第2の停止棒を備える図1の原子炉の別の部分の縦断面での概略図。
図5】それぞれの操作位置にて示される第2の停止棒を備える図1の原子炉の別の部分の縦断面での概略図。
図6a図4及び図5の拡大詳細図。
図6b図4及び図5の拡大詳細図。
図6c図4及び図5の拡大詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特に液体金属または溶融塩によって冷却される原子炉1を示す図1を参照すると、原子炉1は、実質的にカップ形状またはプール形状の容器2と、容器2の上方に配置される半径方向外側の固定閉鎖構造体3及び半径方向内側の移動閉鎖構造体4と、を備え、固定閉鎖構造体3は移動閉鎖構造体4周りの半径方向外側に配置される。移動閉鎖構造体4は、複数の回転栓のようなさまざまな要素から構成されると同時に、当技術分野で知られているため詳細には記載されない燃料移動手段及び一次格納構造体の一部を形成する構成要素である。
【0009】
容器2は、炉心5と、ホットマニホールド7と炉心5を冷却するために一次冷却流体Fが循環するコールドマニホールド8とを区切る液圧分離構造体6と、を備える。一次流体Fは、原子炉1の通常運転ではマニホールド7、8内の異なる高さH1、H2にある自由表面を有する。容器2の内部には、一次流体Fを流通させて炉心5で発生した動力を二次流体に伝達する熱交換器10のほか、既知であるため図示されない他の構成要素に加えて、一次流体Fを循環させるために循環ポンプ9が収容される。一次流体Fの循環ポンプ9及び熱交換器10は、容器2の外側に位置決めすることもできることが理解される。
【0010】
液圧分離構造体6は、好ましくは、イタリア国特許出願公開第GE2015A0000330号公報から知られる解決策に従ってアンフォラ形状であり、容器2の外側固定閉鎖構造体3から吊り下げられる。
【0011】
移動閉鎖構造体4は、原子炉1の中心軸に沿って炉心5の上方に位置決めされ、固定閉鎖構造体3は、原子炉1の中心軸を基準として、移動閉鎖構造体4の半径方向外側にて、移動閉鎖構造体4周りに位置決めされ、このため移動閉鎖構造体は、半径方向外側の固定閉鎖構造体3の半径方向内側にある。言い換えれば、移動閉鎖構造体4及び固定閉鎖構造体3はそれぞれ、原子炉1の中心軸及び炉心5に対して半径方向内側及び半径方向外側にある。
【0012】
また図2図5を参照すると、炉心5は、それぞれの活性部分(active parts)12及びそれぞれのサービス部分(service parts)13を有する複数の燃料要素11を備え、特に、各燃料要素11のサービス部分13は、燃料要素11の底部及び頂部にそれぞれ位置決めされた脚部14及び頭部15と、活性部分12と頭部15とを接続する接続シャフト16とを備える。
【0013】
燃料要素11の頭部15は、分離構造体6の上部17内に円周方向に包含される。この分離構造体は、外側固定閉鎖構造体3との機械的接続を構成する。分離構造体6の上部17は、頂部にてこのほか、内側の移動閉鎖構造体4を包含する。
【0014】
原子炉は、外側固定閉鎖構造体3のそれぞれの貫通部19a、19b、19cに挿入されるため、内側の移動閉鎖構造体4の外側及び分離構造体6の上部17の外側に位置づけられ、分離構造体6の半径方向に幅広の下部21に係合するそれぞれのダクト20a、20b、20cを通って分離構造体6の下部に再び下降し、コールドマニホールド8の自由高さH2より上に延在する3つの異なるタイプの制御棒18a及び停止棒18b、18cによって特徴付けられる。制御棒18a及び停止棒18b、18cは、それぞれの端部22a、22b、22cがそれぞれの吸収体23a、23b、23cを備えた状態で、炉心5の近傍にて下方に延びる。
【0015】
ロッド18aは、制御機構30aの軸線Aを中心とする電動回転によって原子炉を制御する機能を果たし、それぞれの吸収体23aを、炉心5の活性部分12から遠い位置24から、中間位置26を介して、最も近接した位置25に移動させる。
【0016】
ロッド18bは、それぞれの軸線Bに沿って並進移動することによって原子炉を停止させる機能を果たして、吸収体23bを、炉心5の活性部分12から最も距離の離れた上方位置から、最も近接して活性部分に面する位置に移動させる。このそれぞれの軸線Bに沿う並進移動は、公知の技術による電動移動又は解放及び重力落下を伴う制御機構30bによって実施することができる。
【0017】
ロッド18cは、それぞれの軸線Cに沿う並進移動によって原子炉を停止させる機能を果たして、それぞれの吸収体23cを、炉心5の活性部分12から最も距離の離れた、脚部14に面する下方位置26から、炉心5の活性部分12に面して最も近接した上方位置27に移動させる。
【0018】
高密度の一次冷却材を有する原子炉に適用するように設計された停止棒18cは、その内部にガスを収容する円筒形ケーシング29からなるフロート28を備える。このフロートは、ホットマニホールド7の高さH1が変化するのに伴い、制御機構30cとの接続が解除された状態で、炉心5の活性部分12に対する吸収体23cの位置を決定する。
【0019】
また、図6a、図6b及び図6cを参照すると、停止棒18cは、複数のレバー32からなる逆流防止装置31を備える。この複数のレバーは、弾性要素33によって付勢されて、停止棒18cが設けられる円筒形ダクト35の鋸歯形状の内側輪郭34に係合する。
【0020】
当技術分野で既知の把持部36であって、こちらも当技術分野で既知の制御装置30cに属する把持部が、停止棒18cの軸Cに沿って並進移動することができ、外側バー37の内側バー38に対するストロークを長くすることと、制御装置30cのカム39とラッチ40との相互作用とによって、停止棒18cの頭部41に係合し、停止棒18cの頂部に向かって移動する可能性がある。
【0021】
また、図6cを参照すると、外側バー37のその内側のバー38に対するストロークを継続することにより、把持部36の成形端部42をレバー32の上部内側輪郭43に係合させることができる。成形端部を円筒形ダクト35の鋸歯形状の内側輪郭34から外すことにより、停止棒18cの垂直方向の摺動を制御することも可能になる。
【0022】
上記から、本発明の利点は明白である。
‐移動内側閉鎖構造体4の外側及び炉心5の外側にて制御棒18a及び遮断棒18b及び18cを支持することにより、原子炉の炉心5と制御棒18a及び停止棒18b及び18cとの間の完全な機械的分離が保証され、特に、中性子照射を受けた燃料要素の熱膨張または膨張が棒の動きを妨げない。
‐制御棒18a及び停止棒18b及び18cの制御機構30a、30b、30cを切断する必要なく、燃料補給を実施することが可能であり、その結果、従来の解決策では制御棒の支持を構成する移動閉鎖構造体4を移動させることができる。
‐制御棒18a及び停止棒18b及び18cは、炉心5の内部の位置を占めないため、結果的に直径を小さくすることができる。
‐炉心5の内部に制御棒及び停止棒の構造体材料が存在しないことにより、炉心内の核分裂性物質の量を減少させることができる。
‐炉心5の内部に制御棒及び停止棒のための位置が存在しないことにより、炉心の不均一性及び関連する電力及び温度勾配が減少する。
‐制御棒18a及び停止棒18b及び18cの3つのシステムは、互いに区別される。
‐フロートによって制御される停止システム18cは、原因が何であれ、循環ポンプ9の減速に続く一次冷却剤の高さH1の増大による炉心の停止を可能にし、このため、一次冷却剤流量の減少が認められる場合に、特に原子炉の信頼性が高く多様化した能動停止ステムを構成する。
‐フロートによって制御される停止システム18cは、停止棒18cとその制御機構30cとの間の機械的接続を回復することによってのみ作動不能にされ得る逆流防止装置31に起因する一次ポンプ9のその後の制御されない加速によって停止させることができない。
【0023】
最後に、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載され図示された原子炉に多くの修正及び変形がなされ得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c