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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】成形品および成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220203BHJP
   B29C 65/16 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
B29C65/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018558818
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2017034700
(87)【国際公開番号】W WO2018123171
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2016252601
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017119509
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】岡元 章人
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-281962(JP,A)
【文献】特開2008-308526(JP,A)
【文献】特開2005-139369(JP,A)
【文献】特開2016-218139(JP,A)
【文献】特開2011-057237(JP,A)
【文献】特開昭48-054176(JP,A)
【文献】特公昭44-002584(JP,B1)
【文献】特開2014-058604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
B29C 65/02
B29C 65/16
C08L 77/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、前記第1の筐体と接合している第2の筐体と、前記第2の筐体に保持されている透明部材少なくとも、前記第1の筐体、前記第2の筐体および前記透明部材によって形成された、外部から隔てられた中空構造を有し、
前記第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立に、ポリアミド樹脂の半結晶化時間が10~60秒であり、かつ、融点が200~280℃であるポリアミド樹脂を含む樹脂組成物から形成され、前記透明部材が鉛筆硬度8H以上、かつ、線膨張係数が1×10-6~9×10-6/℃である成形品;但し、半結晶化時間とは、ポリアミド樹脂の融点+20℃、ポリアミド樹脂の溶融時間5分、結晶化浴温度150℃の条件下において脱偏光光度法により測定した時間をいう。
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記第1の筐体に含まれるポリアミド樹脂と、前記第2の筐体に含まれるポリアミド樹脂の融点の差が50℃以下である、請求項1または2に記載の成形品。
【請求項4】
前記第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立に、フィラーを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項5】
前記第1の筐体および第2の筐体の一方は、光吸収性色素を含み、残りの一方には、光透過性色素を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項6】
前記透明部材がガラスから構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項7】
カメラ部品である、請求項1~6のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項8】
さらに、コネクタを有し、前記中空構造内に前記コネクタが保持されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項9】
前記第1の筐体が前記コネクタを保持している、請求項8に記載の成形品。
【請求項10】
第1の筐体と、第2の筐体を熱溶着することを含み、
前記第2の筐体は、透明部材を保持しており、
少なくとも、前記第1の筐体、前記第2の筐体および前記透明部材によって形成された、外部から隔てられた中空構造を有し、
前記第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立にポリアミド樹脂の半結晶化時間が10~50秒であり、かつ、融点が200~280℃であるポリアミド樹脂を含む樹脂組成物から形成され、前記透明部材が鉛筆硬度8H以上、かつ、線膨張係数が1×10-6~9×10-6/℃である成形品の製造方法;但し、半結晶化時間とは、ポリアミド樹脂の融点+20℃、ポリアミド樹脂の溶融時間5分、結晶化浴温度150℃の条件下において脱偏光光度法により測定した時間をいう。
【請求項11】
前記熱溶着がレーザー溶着である、請求項10に記載の成形品の製造方法。
【請求項12】
前記第1の筐体および第2の筐体の一方は、光吸収性色素を含み、残りの一方には光透過性色素を含む請求項10または11に記載の成形品の製造方法。
【請求項13】
前記第1の筐体に含まれるポリアミド樹脂と、前記第2の筐体に含まれるポリアミド樹脂の融点の差が50℃以下である、請求項1012のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品および成形品の製造方法に関する。特に、カメラ部品に適した成形品、ならびに、成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的なエンジニアリングプラスチックであるポリアミド樹脂は、加工が容易であり、さらに、機械的物性、電気特性、耐熱性、その他の物理的および化学的特性に優れている。このため、電気電子機器部品、その他の精密機器部品等に幅広く使用されている。
例えば、特許文献1には、テレフタル酸単位を60~100モル%含有するジカルボン酸単位と1,9-ジアミノノナン単位および/または2-メチル-1,8-ジアミノオクタン単位を60~100モル%含有するジアミン単位とを有するポリアミド(A)および繊維状強化材(B)を溶融混練してなりポリアミド(A)の含有率が50~80質量%であり繊維状強化材(B)の含有率が20~50質量%であるポリアミド組成物を成形してなるカメラモジュールのバレルまたはホルダであって、上記繊維状強化材(B)の溶融混練前における平均長さが300μm以下であるカメラモジュールのバレルまたはホルダが開示されている。
【0003】
さらに、最近では、形状の複雑な成形品もポリアミド樹脂で製造されるようになってきている。ポリアミド樹脂で成形される成形品の形状が複雑になるに伴い、成形品の成形に際し、レーザー溶着技術などが使用されるようになっている。
【0004】
レーザー透過溶着法は、レーザー光に対して透過性(非吸収性、弱吸収性とも言う)を有する樹脂部材(以下、「透過樹脂部材」ということがある)と、レーザー光に対して吸収性を有する樹脂部材(以下、「吸収樹脂部材」とういうことがある)とを接触させ溶着して、両樹脂部材を接合させる方法である。具体的には、透過樹脂部材側からレーザー光を接合面に照射して、接合面を形成する吸収樹脂部材をレーザー光のエネルギーで溶融させ接合する方法である。レーザー溶着は、摩耗粉やバリの発生が無く、製品へのダメージも少なく、さらに、ポリアミド樹脂自体、レーザー透過率が比較的高い材料であることから、ポリアミド樹脂製品のレーザー溶着技術による加工が、最近注目されている。このようなレーザー溶着用のポリアミド樹脂組成物は、例えば、特許文献2や特許文献3に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-286544号公報
【文献】特開2008-308526号公報
【文献】特開2014-74150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば、図1に示すように、カメラ部品5は、レンズ部1を保持する樹脂製のレンズホルダ2と、コネクタ3と、コネクタを保持する樹脂製のケース4のように、複数の部品から構成される。図1に示すカメラ部品5では、通常、レンズ部1を樹脂製のレンズホルダで保持し、コネクタ3を、コネクタを保持する樹脂製のケース4で保持した後、樹脂製のレンズホルダ2とコネクタを保持する樹脂製のケース4を接合することによって製造される。ここで、レンズホルダ2とコネクタを保持するケース4は、いずれも樹脂から形成されるため、レーザー溶着等の溶着技術によって接合できるが、接合の際に、接合界面(図1の点線部)にギャップができてしまう場合がある。レンズホルダ2とコネクタを保持するケース4の間にギャップができると、このギャップから水分が侵入してしまい、レンズ部1に結露が生じたり、曇ってしまったりする。また、接合不良によって、カメラ部品5の外観が劣る場合もある。
本発明は、かかる課題を解決することを目的としたものであって、樹脂製の第1の筐体と、樹脂製の第1の筐体と接合している第2の筐体と、第2の筐体に保持されている透明部材を有する成形品において、透明部材に結露や曇りが生じず、かつ、第1の筐体と第2の筐体の接合部分の外観が良好な成形品、ならびに、前記成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、ポリアミド樹脂の融点+20℃における半結晶化時間が10~60秒のポリアミド樹脂を用いることにより、上記筐体同士の接合をゆっくり行い、筐体間のギャップを少なくすることに成功し、本発明を完成するに至った。具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>~<11>により、上記課題は解決された。
<1>第1の筐体と、前記第1の筐体と接合している第2の筐体と、前記第2の筐体に保持されている透明部材を有し、前記第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立に、ポリアミド樹脂の半結晶化時間が10~60秒であり、かつ、融点が200~280℃であるポリアミド樹脂を含む樹脂組成物から形成され、前記透明部材が鉛筆硬度8H以上、かつ、線膨張係数が1×10-6~9×10-6/℃である成形品;但し、半結晶化時間とは、ポリアミド樹脂の融点+20℃、ポリアミド樹脂の溶融時間5分、結晶化浴温度150℃の条件下において脱偏光光度法により測定した時間をいう。
<2>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、<1>に記載の成形品。
<3>前記第1の筐体に含まれるポリアミド樹脂と、前記第2の筐体に含まれるポリアミド樹脂の融点の差が50℃以下である、<1>または<2>に記載の成形品。
<4>前記第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立に、フィラーを含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の成形品。
<5>前記第1の筐体および第2の筐体の一方は、光吸収性色素を含み、残りの一方には、光透過性色素を含む<1>~<4>のいずれか1つに記載の成形品。
<6>前記透明部材がガラスから構成される、<1>~<5>のいずれか1つに記載の成形品。
<7>カメラ部品である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の成形品。
<8>第1の筐体と、第2の筐体を熱溶着することを含み、前記第2の筐体は、透明部材を保持しており、前記第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立にポリアミド樹脂の半結晶化時間が10~60秒であり、かつ、融点が200~280℃であるポリアミド樹脂を含む樹脂組成物から形成され、前記透明部材が鉛筆硬度8H以上、かつ、線膨張係数が1×10-6~9×10-6/℃である成形品の製造方法;但し、半結晶化時間とは、ポリアミド樹脂の融点+20℃、ポリアミド樹脂の溶融時間5分、結晶化浴温度150℃の条件下において脱偏光光度法により測定した時間をいう。
<9>前記熱溶着がレーザー溶着である、<8>に記載の成形品の製造方法。
<10>前記第1の筐体および第2の筐体の一方は、光吸収性色素を含み、残りの一方には光透過性色素を含む<8>または<9>に記載の成形品の製造方法。
<11>前記第1の筐体に含まれるポリアミド樹脂と、前記第2の筐体に含まれるポリアミド樹脂の融点の差が50℃以下である、<8>~<10>のいずれか1つに記載の成形品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
樹脂製の第1の筐体と、樹脂製の第1の筐体と接合している第2の筐体と、第2の筐体に保持されている透明部材を有する成形品において、透明部材に結露や曇りが生じず、かつ、第1の筐体と第2の筐体の接合部分の外観が良好な成形品、ならびに、前記成形品の製造方法を提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】カメラ部品の構成の一例を示す断面図である。
図2】水分透過係数の測定装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0011】
本発明の成形品は、第1の筐体と、前記第1の筐体と接合している第2の筐体と、前記第2の筐体に保持されている透明部材を有し、前記第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立に、ポリアミド樹脂の半結晶化時間が10~60秒であり、かつ、融点が200~280℃であるポリアミド樹脂を含む樹脂組成物から形成され、前記透明部材が鉛筆硬度8H以上、かつ、線膨張係数が1×10-6~9×10-6/℃であることを特徴とする。但し、半結晶化時間とは、ポリアミド樹脂の融点+20℃、ポリアミド樹脂の溶融時間5分、結晶化浴温度150℃の条件下において脱偏光光度法により測定した時間をいう。
本発明では、結晶化速度が比較的遅いポリアミド樹脂を用いることにより、第1の筐体と第2の筐体の接合の際に、熱溶着をゆっくり進行させることができ、第1の筐体と第2の筐体の界面のギャップが少なくすることができる。このため、第1の筐体と第2の筐体を接合して得られる成形品の内部には、水分などが侵入しにくくなり、透明部材に結露が生じにくくなり、また、曇りにくくなる。加えて、第1の筐体と第2の筐体の界面のギャップが少なくても、接合界面がきれいでないと、外観不良の問題がある。本発明では、第1の筐体と第2の筐体をゆっくり接合させるため、界面がきれいであり、外観に優れた成形品が得られる。
【0012】
本発明の成形品は、透明部材を有する各種保存容器、電気電子機器部品、オフィスオートメート(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、車両機構部品などに適用できる。本発明の成形品は、カメラ部品であることが好ましく、車載用カメラ部品であることがより好ましい。
【0013】
尚、脱偏光強度法とは、結晶化により樹脂を透過する光が複屈折を起こす現象を利用して樹脂の結晶化の進行度を測定する方法である。直交した1対の偏光板の間で非晶または溶融状態の樹脂を結晶化させると、結晶化の進行度に比例して偏光板を透過する光量が増加する。透過光量(透過光強度)は受光素子により測定される。半結晶化時間は、樹脂を非晶状態または溶融状態にした後、透過光強度が(I∞-I0)/2(I0は非晶状態または溶融状態のときの透過光強度、I∞は一定値に達したときの透過光強度を表す)に達するまでの時間、すなわち結晶化が半分進行する迄にかかる時間を示し、結晶化速度の指標となる値である。脱偏光強度法は、具体的には後述する実施例の記載に従って測定される。
【0014】
本発明の成形品は、第1の筐体、第2の筐体、および透明部材に加え、通常は、さらに、1つ以上の部材を有する。前記部材の一例は、カメラ部品のコネクタである。
本発明の成形品は、少なくとも、第1の筐体、第2の筐体および透明部材によって形成される、外部から隔てられた中空構造を有することが好ましい。例えば、図1におけるカメラ部品5は、コネクタを保持する樹脂製のケース4(第1の筐体に相当)、樹脂製のレンズホルダ2(第2の筐体に相当)およびレンズ部1(透明部材に相当)によって、コネクタ3を保持する中空構造が形成されている。また、前記中空構造は、必ずしも、第1の筐体、第2の筐体および透明部材のみによって形成される必要はない。本発明の成形品は、第1の筐体、第2の筐体および透明部材に加え、第3の筐体や部材を含めて、外部から隔てられた中空構造が形成されていてもよい。この場合、第3の筐体も、上記所定の結晶化速度および融点を満たすポリアミド樹脂を含む樹脂組成物から形成されることが好ましい。中空構造の密閉度が高いほど、透明部材の曇りや結露を効果的に抑制できる。
【0015】
<樹脂組成物>
本発明において、第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立に、樹脂組成物から形成される。
第1の筐体の形成に用いられる樹脂組成物と、第2の筐体の形成に用いられる樹脂組成物は、同一であってもよいが、異なっていてもよい。
本発明では、第1の筐体の形成に用いられる樹脂組成物と、第2の筐体の形成に用いられる樹脂組成物は、組成の80質量%以上100質量%未満が共通することが好ましい。特に、前記第1の筐体と第2の筐体の一方を形成する樹脂組成物と他方を形成する樹脂組成物は、ポリアミド樹脂成分の80~100質量%が共通することが好ましい。
尚、レーザー溶着を行う場合、第1の筐体と第2の筐体の一方を形成する樹脂組成物は、光吸収性色素を含むことが好ましい。また、他方の筐体を形成する樹脂組成物は、光透過性色素を含むことがさらに好ましい。
【0016】
樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸または2軸の押出機を混練機として使用する方法が好ましい。上記ポリアミド樹脂および必要に応じて配合される他の成分は、混練機に一括して供給してもよいし、ポリアミド樹脂成分に他の配合成分を順次供給してもよい。フィラーは、混練時に破砕するのを抑制するため、押出機の途中から供給することが好ましい。また、各成分から選ばれた2種類以上の成分を予め混合、混練しておいてもよい。例えば、光透過性色素は、マスターバッチ化したものをあらかじめ調製し、これを残りの配合成分と溶融混練し、押出して所定の配合比率とすることも好ましい。
【0017】
第1の筐体および第2の筐体は、樹脂組成物から形成されるが、その成形方法は、特に制限されず、熱可塑性樹脂について一般に使用されている成形方法で成形できる。具体的には、射出成形、中空成形、押出成形、プレス成形などの成形方法を適用することができる。この場合、特に好ましい成形方法は、流動性の良さから、射出成形である。射出成形に当たっては、樹脂温度を240~300℃にコントロールするのが好ましい。
【0018】
<<ポリアミド樹脂>>
本発明で用いるポリアミド樹脂は、半結晶化時間が10~60秒であり、かつ、融点が200~280℃であるポリアミド樹脂である。前記の範囲とすることにより、溶着の際、軟化している時間が長いため、接合強度が向上する。
半結晶化時間が10秒未満の場合は、樹脂が早く固化してしまい適切な密着強度が得られなくなる。また、半結晶化時間が60秒を超える場合は樹脂が軟らかく、接合の際に適切な圧力を加えることが難しくなる。
ポリアミド樹脂の半結晶化時間の測定は、後述する実施例に記載の方法に従う。実施例に記載の機器等が廃版等により入手不可能な場合、他の同等の性能を有する機器を用いることができる。以下、他の測定方法についても、同様である。
本発明で用いる樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を1種類のみ含んでいても、2種類以上含んでいてもよい。本発明で用いる樹脂組成物が、ポリアミド樹脂を2種類以上含む場合、最も配合量の多いポリアミド樹脂の半結晶化時間を本発明におけるポリアミド樹脂の半結晶化時間とする。
本発明では、第1の筐体に含まれるポリアミド樹脂と、第2の筐体に含まれるポリアミド樹脂の、半結晶化時間は、それぞれ独立に、下限値が10秒以上であり、20秒以上であることが好ましく、25秒以上であることがより好ましく、30秒以上であることがさらに好ましい。前記半結晶化時間の上限値は、それぞれ独立に、60秒以下であり、55秒以下が好ましく、50秒以下がより好ましく、45秒以下がさらに好ましい。
このような範囲とすることにより、より第1の筐体と第2の筐体の界面の溶着強度を向上することができる。
【0019】
本発明で用いるポリアミド樹脂は、融点が200~280℃である。前記上限値以下とすることにより、比較的射出成形しやすく、レーザー溶着の際の出力が低出力で済むという利点がある。一方、前記下限値以上とすることにより、筐体に必要とされる耐熱性に適合しやすくなる。前記融点の下限は、205℃以上が好ましく、210℃以上がより好ましい。前記融点の上限は、260℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、240℃以下がさらに好ましい。
ポリアミド樹脂の融点の測定は、後述する実施例に記載の方法に従う。実施例に記載の機器等が廃版等により入手不可能な場合、他の同等の性能を有する機器を用いることができる。
本発明で用いる樹脂組成物が、ポリアミド樹脂を2種類以上含む場合、最も配合量の多いポリアミド樹脂の融点を本発明におけるポリアミド樹脂の融点とする。ポリアミド樹脂が融点を2点以上有する場合、最も低い融点を本発明におけるポリアミド樹脂の融点とする。
本発明では、第1の筐体に含まれるポリアミド樹脂と、第2の筐体に含まれるポリアミド樹脂の、融点の差が50℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましく、20℃以下であることがさらに好ましく、10℃以下であることが一層好ましく、5℃以下であることがより一層好ましい。このような範囲とすることにより、より第1の筐体と第2の筐体の界面のギャップをより少なくすることができる。前記融点の差は0℃が好ましい。
【0020】
本発明で用いるポリアミド樹脂は、上記半結晶化時間および融点を満たす限り、その種類等は特に定めるものではなく、広く公知のポリアミド樹脂を用いることができる。その中でも、本発明で用いるポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂(以下、「XD系ポリアミド」ということがある)であることが好ましい。
【0021】
XD系ポリアミドは、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、一層好ましくは95モル%以上がキシリレンジアミン(好ましくは、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも1種類)に由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは90モル%、一層好ましくは95モル%以上が、炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。本発明で用いるXD系ポリアミドは、ジアミン由来の構成単位の、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上がメタキシリレンジアミンである。
【0022】
XD系ポリアミドの原料ジアミン成分として用いることが出来るメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4-アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種類または2種類以上を混合して使用できる。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン由来の構成単位の50モル%未満であり、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1~25モル%、さらに好ましくは5~20モル%の割合で用いる。
【0023】
ポリアミド樹脂の原料ジカルボン酸成分として用いるのに好ましい炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種類または2種類以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、アジピン酸またはセバシン酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
【0024】
上記炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸といったナフタレンジカルボン酸化合物等を例示することができ、1種類または2種類以上を混合して使用できる。
【0025】
ジカルボン酸成分として、炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いる場合は、成形加工性およびバリア性の観点から、テレフタル酸およびイソフタル酸の少なくとも1種類を用いることが好ましく、イソフタル酸を用いることがより好ましい。テレフタル酸およびイソフタル酸の割合は、好ましくはジカルボン酸構成単位の30モル%以下であり、より好ましくは1~30モル%、さらに好ましくは5~20モル%の範囲である。これらの詳細は、特開2005-002327号公報の記載を参酌できる。
【0026】
さらに、ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、ポリアミド樹脂を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲でε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として使用できる。
本発明で用いる好ましいポリアミド樹脂としては、メタキシリレンジアミン、アジピン酸およびイソフタル酸から構成されるポリアミド樹脂(MXD6I)、メタキシリレンジアミンおよびアジピン酸から構成されるポリアミド樹脂(MXD6)、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンおよびアジピン酸から構成されるポリアミド樹脂(MP6)、メタキシリレンジアミンおよびセバシン酸から構成されるポリアミド樹脂(MXD10)、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンおよびセバシン酸から構成されるポリアミド樹脂(MP10)が例示される。
【0027】
本発明で用いるポリアミド樹脂は、数平均分子量(Mn)が6,000~30,000であることが好ましく、より好ましくは8,000~28,000であり、さらに好ましくは9,000~26,000であり、一層好ましくは10,000~24,000であり、より一層好ましくは11,000~22,000である。このような範囲であると、耐熱性、弾性率、寸法安定性、成形加工性がより良好となる。
【0028】
なお、ここでいう数平均分子量(Mn)とは、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[NH2](μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度[COOH](μ当量/g)から、次式で算出される。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH2])
【0029】
本発明で用いるポリアミド樹脂は、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))が、好ましくは1.8~3.1である。分子量分布は、より好ましくは1.9~3.0、さらに好ましくは2.0~2.9である。分子量分布をこのような範囲とすることにより、機械的物性に優れた立体構造物が得られやすい傾向にある。
ポリアミド樹脂の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量および反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを適宜選択することにより調整できる。また、異なる重合条件によって得られた平均分子量の異なる複数種のポリアミド樹脂を混合したり、重合後のポリアミド樹脂を分別沈殿させることにより調整することもできる。
【0030】
分子量分布は、GPC測定により求めることができ、具体的には、装置として東ソー社製「HLC-8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM-H」2本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/Lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度40℃、流速0.3mL/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値として求めることができる。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成する。
【0031】
本発明で用いるポリアミド樹脂は、1mmの厚さに成形し、40℃、相対湿度90%の条件下に40時間静置した後の水分透過係数が3.0g・mm/day・m2以下であることが好ましい。上記水分透過係数の下限値は0g・mm/day・m2であることが好ましいが、0.1g・mm/day・m2以上、さらには、1.0g・mm/day・m2以上でも十分に実用レベルである。上記水分透過係数は、実施例に記載の方法で測定した値とする。
尚、ポリアミド樹脂の吸水率が低くても、水分透過係数が小さいとは言えない。これは、ポリアミド樹脂では、吸水速度と拡散速度が異なるためである。
【0032】
本発明で用いる樹脂組成物は、上記ポリアミド樹脂を25質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましい。上限としては、100質量%未満であり、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
本発明で用いる樹脂組成物は、上記ポリアミド樹脂と後述するフィラーの合計が全体の90質量%以上を占めることが好ましい。
【0033】
<<他のポリアミド樹脂>>
本発明で用いる樹脂組成物は、上記以外のポリアミド樹脂を1種類または2種類以上含んでいてもよい。このようなポリアミド樹脂としては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリアミド66/6T、ポリアミド9MT、ポリアミド6I/6T等があげられる。しかしながら、本発明では、これらのポリアミド樹脂は実質的に含まない方が好ましい。実質的に含まないとは、本発明で用いる樹脂組成物において、上記所定の結晶化速度および融点を満たすポリアミド樹脂の含有量の2質量%以下であることをいい、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
【0034】
<<フィラー>>
本発明で用いる樹脂組成物は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーは有機フィラーであっても、無機フィラーであってもよいが、無機フィラーが好ましい。
無機フィラーは、ガラスフィラー、炭素繊維、シリカ、アルミナおよびレーザーを吸収する材料をコートした無機粉末等のレーザー光を吸収しうるフィラーが例示され、ガラスフィラーが好ましく、ガラス繊維がより好ましい。
【0035】
ガラスフィラーは、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Sガラスなどのガラス組成からなり、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が好ましい。
【0036】
本発明で用いるガラス繊維は、単繊維または単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。
ガラス繊維の形態は、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取った「ガラスロービング」、長さ1~10mmに切りそろえた「チョップドストランド」、長さ10~500μm程度に粉砕した「ミルドファイバー」などのいずれであってもよい。かかるガラス繊維としては、旭ファイバーグラス社より、「グラスロンチョップドストランド」や「グラスロンミルドファイバー」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。
【0037】
また、本発明ではガラス繊維として、異形断面形状を有するものも好ましい。この異形断面形状とは、繊維の長さ方向に直角な断面の長径をD2、短径をD1とするときの長径/短径比(D2/D1)で示される扁平率が、例えば、1.5~10であり、中でも2.5~10、さらには2.5~8、特に2.5~5であることが好ましい。かかる扁平ガラスについては、特開2011-195820号公報の段落番号0065~0072の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0038】
本発明で用いるガラス繊維は、特に、重量平均繊維径が1~20μm、カット長が1~10mmのガラス繊維が好ましい。ここで、ガラス繊維の断面が扁平の場合、重量平均繊維径は、同じ面積の円における重量平均繊維径として算出する。
本発明で用いるガラス繊維は、集束剤で集束されていてもよい。この場合の集束剤としては、酸系集束剤が好ましい。
【0039】
本発明におけるガラスフィラーは、ガラスビーズであってもよい。ガラスビーズとは、外径10~100μmの球状のものであり、例えば、ポッターズ・バロティーニ社より、商品名「EGB731」として市販されており、容易に入手可能である。また、ガラスフレークとは、厚さ1~20μm、一辺の長さが0.05~1mmの燐片状のものであり、例えば、日本板硝子社より、「フレカ」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。
【0040】
本発明で用いる樹脂組成物におけるフィラーの含有量は、樹脂組成物の25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。上限値については、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、55質量%以下が一層好ましく、50質量%以下がより一層好ましく、45質量%以下がさらに一層好ましい。
本発明で用いる樹脂組成物は、フィラーを1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0041】
<<光透過性色素および光吸収性色素>>
本発明で用いる樹脂組成物は、一方が光吸収性色素を含むことが好ましい。このような構成とすることにより、レーザー溶着が可能になる。本発明で用いる樹脂組成物の他方は、光透過性色素を含んでいてもよい。光透過性色素を含むことにより、第1の筐体と第2の筐体をより強固にレーザー溶着することができる。
【0042】
光吸収性色素としては、照射するレーザー光波長の範囲、例えば、波長800nm~1100nmの範囲に吸収波長を持つものが例示される。具体的には、無機顔料(カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)などの黒色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、酸化チタンなどの白色顔料、有機顔料(黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料など)などが挙げられる。なかでも、無機顔料は一般に隠ぺい力が強く好ましく、黒色顔料がさらに好ましい。これらの光吸収性色素は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
光吸収性色素の配合量は、配合する場合、樹脂組成物に含まれる樹脂成分100質量部に対し0.01~1質量部であることが好ましい。
【0043】
光透過性色素としては、照射するレーザー光波長の範囲、例えば、波長800nm~1100nmの範囲において透過率の高い色素である。具体的には、ニグロシン、ペリノン、ナフタロシアニン、アニリンブラック、フタロシアニン、ポルフィリン、ペリレン、クオテリレン、アゾ染料、アントラキノン、スクエア酸誘導体、およびインモニウム染料等が挙げられる。
市販品としては、オリエント化学工業社製の着色剤であるe-BIND LTW-8731H、e-BIND LTW-8701H等が例示される。また、有彩色色素を2種類以上混ぜて黒系色素としたものを用いてもよい。
光透過性色素の含有量は、配合する場合、樹脂組成物の0.001質量%以上であることが好ましく、0.006質量%以上であることがより好ましく、さらには、0.018質量%以上、0.024質量%以上、0.030質量%以上、0.050質量%以上であってもよい。上限値としては、5.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.2質量%以下、0.1質量%以下、0.06質量%以下であってもよい。光透過性色素は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0044】
<<他の樹脂成分>>
本発明で用いる樹脂組成物は、ポリアミド樹脂以外の他の樹脂成分を1種類または2種類以上含んでいてもよい。他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
本発明で用いる樹脂組成物は、ポリアミド樹脂以外の樹脂成分を実質的に配合しない構成としてもよく、例えば、樹脂組成物に含まれる樹脂成分全量の5質量%以下、さらには、1質量%以下、特には、0.4質量%以下とすることもできる。
【0045】
<<タルク>>
本発明で用いる樹脂組成物はタルクを含んでいてもよい。本発明では、タルクを配合することにより、結晶化を促進することができる。
本発明で用いる樹脂組成物における、タルクの配合量は、樹脂組成物に対し、0.05~20質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましく、0.15~5質量%であることがさらに好ましく、0.2~1.0質量%であることが一層好ましい。タルクは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0046】
<<離型剤>>
本発明で用いる樹脂組成物は、離型剤を含んでいてもよい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸の塩、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0047】
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6~36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6~36の脂肪族飽和一価カルボン酸がより好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。また、脂肪族カルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が例示される。
【0048】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族または脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがより好ましい。
【0049】
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2-ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0050】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
【0051】
数平均分子量200~15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ-トロプシュワックス、炭素数3~12のα-オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、脂肪族炭化水素の数平均分子量は好ましくは5,000以下である。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがより好ましい。
【0052】
本発明で用いる樹脂組成物が離型剤を含む場合、離型剤の含有量は、樹脂組成物に対し、0.001~2質量%であることが好ましく、0.01~1質量%であることがより好ましい。離型剤は、1種類のみでもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
【0053】
本発明で用いる樹脂組成物は、上記の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような添加剤としては、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。これらの成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0054】
<透明部材>
本発明の成形品は、鉛筆硬度8H以上、かつ、線膨張係数が1×10-6~9×10-6/℃である透明部材を含む。このような透明部材は、例えば、カメラ部品のレンズ部を構成する。
透明部材の鉛筆硬度は、8H~9Hが好ましい。鉛筆硬度は、JIS K 5600に従って測定された値である。
透明部材の線膨張係数は、5×10-6~9×10-6/℃が好ましい。線膨張係数はJIS K 7197に従って測定された値である。
透明部材の材質としては、ガラスや樹脂が例示され、ガラスが好ましい。
本発明における透明部材は、第2の筐体に保持されている。保持されている例としては、透明部材が第2の筐体に直接または間接的に嵌合している状態が挙げられる。間接的に嵌合しているとは、パッキン等の部材を介して嵌合している状態をいう。
【0055】
次に、本発明の成形品の製造方法について説明する。
本発明の成形品の製造方法は、第1の筐体と、第2の筐体を溶着することを含み、前記第2の筐体は、透明部材を保持する第1の筐体と、第2の筐体を熱溶着することを含み、前記第2の筐体は、透明部材を保持しており、前記第1の筐体および第2の筐体は、それぞれ独立にポリアミド樹脂の半結晶化時間が10~60秒であり、かつ、融点が200~280℃であるポリアミド樹脂を含む樹脂組成物から形成され、融点の差が50℃以下であり、前記透明部材が鉛筆硬度8H以上、かつ、線膨張係数が1×10-6~9×10-6/℃であることを含む。半結晶化時間とは、ポリアミド樹脂の融点+20℃、ポリアミド樹脂の溶融時間5分、結晶化浴温度150℃の条件下において脱偏光光度法により測定した時間をいう。
【0056】
第1の筐体、第2の筐体、透明部材および樹脂組成物は、それぞれ、上記成形品における記載を参酌でき、好ましい範囲も同様である。
【0057】
本発明の製造方法では、第1の筐体と、第2の筐体を熱溶着することを含む。熱溶着の方法は、第1の筐体および第2の筐体の、接合部位を熱により溶融して接合する方法であれば、特に、定めるものではないが、レーザー溶着が好ましい。
熱溶着の温度は、ポリアミド樹脂の融点を基準に定められ、ポリアミド樹脂の融点+50~300℃に加熱されることが好ましい。ここでのポリアミド樹脂の融点は、第1の筐体および第2の筐体に含まれる、所定の結晶化速度および融点を満たすポリアミド樹脂のうち、最も融点の低いポリアミド樹脂を基準に設定される。
【0058】
<レーザー溶着方法>
次に、レーザー溶着方法について説明する。本発明では、第1の筐体と第2の筐体をレーザー溶着させて成形品とすることができる。この場合、第1の筐体と第2の筐体の一方は、透過樹脂部材であり、他方は吸収樹脂部材となる。レーザー溶着することによって透過樹脂部材と吸収樹脂部材を、接着剤を用いずに、強固に溶着することができる。
第1の筐体と第2の筐体の接合部位の形状は特に制限されないが、部材同士をレーザー溶着により接合して用いるため、通常、少なくとも面接触箇所(平面、曲面)を有する形状である。レーザー溶着では、透過樹脂部材を透過したレーザー光が、吸収樹脂部材に吸収されて、溶融し、両部材が溶着される。本発明では、第1の筐体および第2の筐体がゆっくり接合するため、良好な接合を達成することができる。ここで、レーザー光が透過する部材の厚み(レーザー光が透過する部分におけるレーザー透過方向の厚み)は、用途、樹脂組成物の組成その他を勘案して、適宜定めることができるが、例えば5mm以下であり、好ましくは4mm以下である。
【0059】
レーザー溶着に用いるレーザー光源としては、ファイバーレーザー(波長1070nm)やYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)レーザー(波長1064nm)や、LD(レーザーダイオード)(波長808、840、940nm)などがある。一般的にはビーム品質(熱源)、パワー安定性、コストなどを総合的に判断し、最適なレーザーを選定する。
【0060】
より具体的には、例えば、透過樹脂部材と吸収樹脂部材を溶着する場合、まず、両者の溶着する箇所同士を相互に接触させる。この時、両者の溶着箇所は面接触が望ましく、平面同士、曲面同士、または平面と曲面の組み合わせであってもよい。次いで、透過樹脂部材側からレーザー光を照射(好ましくは溶着面に85~95°の角度から照射)する。この時、必要によりレンズ系を利用して両者の界面にレーザー光を集光させてもよい。その集光ビームは、透過樹脂部材中を透過し、吸収樹脂部材の表面近傍で吸収されて発熱し溶融する。次にその熱は熱伝導によって透過樹脂部材にも伝わって溶融し、両者の界面に溶融プールを形成し、冷却後、両者が接合する。
このようにして透過樹脂部材と吸収樹脂部材を溶着された成形品は、高い接合強度を有する。
【実施例
【0061】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0062】
<ポリアミド樹脂>
(ポリアミド(MXD6)の合成)
特開2011-140620号公報の段落0038の記載に従って、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂を、「MXD6」という。
【0063】
(ポリアミド(MP10)の合成)
攪拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロートおよび窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、精秤したセバシン酸12,135g(60mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH2PO2・H2O)3.105g(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度として50質量ppm)、酢酸ナトリウム1.61gを入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を攪拌しながら170℃まで加熱した。酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム一水和物のモル比は、0.67とした。
これにメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの7:3の混合ジアミン8,172g(60mol)を攪拌下に滴下し、生成する縮合水を系内へ除きながら系内を連続的に昇温した。混合メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分間溶融重合反応を連続した。
その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出して、これをペレット化し、約18kgのポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミドの融点は215℃、ガラス転移点は、64.4℃、数平均分子量は14,286、相対粘度(96%硫酸中、樹脂濃度1g/100cc、温度25℃で測定)は2.09、末端アミノ基濃度は60.0μ当量/g、末端カルボキシル基濃度は80.0μ当量/gであった。
【0064】
(ポリアミド(9T)の合成)
特開2010-286544号公報の段落0052の記載に従い、テレフタル酸と1,9-ノナンジアミンを主成分とする、ポリアミド樹脂を合成した。得られたポリアミド樹脂を、「9T」という。
【0065】
PA66:ポリアミド66、東レ製、商品名「CM3001-N」
【0066】
<水分透過係数の測定>
100mm×100mm×1mm厚のキャビティを持った金型を用いて日精樹脂工業社製、NEX80III-9Eを用いてシリンダ温度280℃、金型表面温度135℃で成形した。次に、図2に示すように、内径67mm、内部の高さ80mmのアルミ製の円筒状のカップ11の内部に25gの塩化カルシウム粒子12を入れた。カップの内部底面から50mmの位置において、上記1mmの厚みのフィルム13を用いて封止し、40℃、相対湿度90%の雰囲気下に40時間静置した。塩化カルシウム粒子の質量を計測し、静置前との差分(増加分)を透過した水分量とし、水分透過係数を算出した。
水分透過係数の単位は、g・mm/day・m2である。
【0067】
<半結晶化時間の測定方法>
半結晶化時間とは、ポリアミド樹脂の融点+20℃、ポリアミド樹脂の溶融時間5分、結晶化浴温度150℃の条件下において脱偏光光度法により測定した。半結晶化時間測定装置は、(株)コタキ製作所製、型式:MK701を用いた。
具体的には、ポリアミド樹脂を、単軸押出機等を用いて融点+20℃にて溶融しガラス転移温度-5℃のチルロール温度にて100μmの厚さに成形したフィルムを5枚重ねたものをポリアミド樹脂の融点+20℃の熱風環境で3分間溶融した後、150℃のオイルバスにて結晶化させたときの結晶化が1/2進行するまでの時間を、上記脱偏光光度法により測定した。
半結晶化時間の単位は、秒である。
【0068】
<融点の測定>
融点は、DSC(示差走査熱量測定)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度として測定した。
測定には、DSC測定器を用い、試料量は約1mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30mL/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求めた。
DSC測定器としては、島津製作所(SHIMADZU CORPORATION)社製、DSC-60を用いた。
融点の単位は、℃である。
【0069】
【表1】
【0070】
<フィラー>
T756H:ガラス繊維、日本電気ガラス社製、ECS03T-756H(商品名)、重量平均繊維径10.5μm、カット長3~4mm、
<光透過性色素>
8731H:オリエント化学工業社製、e-BIND LTW-8731H(商品名)、ポリアミド66と光透過性色素のマスターバッチ
<光吸収性色素>
カーボンブラック(三菱化学社製、MA600B)
<タルク>
ミクロンホワイト#5000S:林化成社製
<離型剤>
ライトアマイドWH255:共栄社化学社製
【0071】
実施例1
<光透過性筐体の作製>
<<樹脂組成物の製造>>
表2に示すポリアミド樹脂とタルクと離型剤と光透過性色素をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-W-1-MP)を用いて投入した。また、表2に示すガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-V-1B-MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、ペレットを得た。押出機の温度設定は280℃とした。
【0072】
【表2】
【0073】
<<光透過性筐体の成形>>
上記で得られたペレットを射出成形機(住友重機械工業社製、SE50D)でシリンダ温度280℃、金型表面温度110℃で成形した。
【0074】
<光吸収性筐体の作製>
<<樹脂組成物の製造>>
表3に示すポリアミド樹脂とタルクと離型剤と光吸収性色素をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-W-1-MP)を用いて投入した。表3に示す光吸収性色素については、表3に示す分量の範囲内のポリアミド樹脂の一部を用いてマスターバッチ化してから投入した。また、表3に示すガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-V-1B-MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、ペレットを得た。押出機の温度設定は、280℃とした。
【0075】
【表3】
【0076】
<<光吸収性筐体の成形>>
上記で得られたペレットを射出成形機(住友重機械工業社製、SE50D)でシリンダ温度280℃、金型表面温度110℃で成形した。
【0077】
<レーザー溶着>
上記で得られた光透過性筐体に透明部材としてガラスレンズを嵌め込み、光吸収性筐体とレーザー溶着した。光透過性筐体と光吸収性筐体を重ね、光透過性筐体側からレーザー照射した。ガラスレンズは、鉛筆硬度が8Hであり、線膨張係数が約8.5×10-6である。レーザー光波長は940nm(半導体レーザー)、溶着スポット径は2.0mm、溶着長さは20mmでレーザーを照射した。レーザー光のスキャン速度は5mm/秒、レーザー出力は13W、クランプ圧力は0.5MPaとした。
レーザー溶着装置は、スキャンタイプのパーカーコーポレーション社製、PARK LASER SYSTEMを用いた。
【0078】
<曇りまたは結露>
得られた成形品を、40℃、相対湿度90%の環境下に40時間静置した後、曇りおよび結露を目視にて評価した。
A:結露および曇りが認められなかった。
B:結露および曇りの少なくとも一方が認められた。
【0079】
<外観>
得られた成形品の光吸収性筐体と光透過性筐体の界面を目視で確認した。
A:界面がきれいであった。
B:上記A以外であった。
【0080】
実施例2、比較例1および比較例2
実施例1において、光吸収性筐体と光透過性筐体に用いるポリアミド樹脂をそれぞれ下記表4に示すポリアミド樹脂に変更し、他は同様に行った。
【0081】
実施例3
<光吸収性筐体の作製>
<<樹脂組成物の製造>>
表3に示すポリアミド樹脂とタルクと離型剤と光吸収性色素をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-W-1-MP)を用いて投入した。表3に示す光吸収性色素については、表3に示す分量の範囲内のポリアミド樹脂の一部を用いてマスターバッチ化してから投入した。また、表3に示すガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-V-1B-MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、ペレットを得た。押出機の温度設定は、280℃とした。
【0082】
<<光吸収性筐体の成形>>
上記で得られたペレットを射出成形機(住友重機械工業社製、SE50D)でシリンダ温度280℃、金型表面温度110℃で成形した。
【0083】
<光透過性筐体の作製>
<<樹脂組成物の製造>>
表2に示すポリアミド樹脂とタルクと離型剤と光透過性色素をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-W-1-MP)を用いて投入した。また、表2に示すガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-V-1B-MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、ペレットを得た。押出機の温度設定は、280℃とした。
【0084】
<<光透過性筐体の成形>>
上記で得られたペレットを射出成形機(住友重機械工業社製、SE50D)でシリンダ温度280℃、金型表面温度110℃で成形した。
【0085】
<レーザー溶着>
上記で得られた光吸収性筐体に透明部材としてガラスレンズを嵌め込み、光透過性筐体とレーザー溶着した。光吸収性筐体と光透過性筐体を重ね、光透過性筐体側からレーザー照射した。ガラスレンズは、鉛筆硬度が8Hであり、線膨張係数が約8.5×10-6である。レーザー光波長は940nm(半導体レーザー)、溶着スポット径は2.0mm、溶着長さは20mmでレーザーを照射した。レーザー光のスキャン速度は5mm/秒、レーザー出力は13W、クランプ圧力は0.5MPaとした。
レーザー溶着装置は、スキャンタイプのパーカーコーポレーション社製、PARK LASER SYSTEMを用いた。
【0086】
得られた成形品について、実施例1と同様に<曇りまたは結露>および<外観>を評価した。
【0087】
実施例4
実施例3において、光吸収性筐体と光透過性筐体に用いるポリアミド樹脂をそれぞれ表4に示すポリアミド樹脂に変更し、他は同様に行った。
【0088】
【表4】
【0089】
上記結果から明らかなとおり、所定の融点および結晶化速度を満たすポリアミド樹脂を用いた場合(実施例1、2、3、4)、成形品に曇りや結露が認められず、外観も良好であった。一方、融点および半結晶化時間が本発明の範囲外である場合(比較例1、2)、曇りや結露が認められたり、外観が劣る結果となった。
【符号の説明】
【0090】
1 レンズ部
2 樹脂製のレンズホルダ
3 コネクタ
4 コネクタを保持する樹脂製のケース
5 カメラ部品
11 カップ
12 塩化カルシウム粒子
13 1mmの厚みのフィルム
図1
図2