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特許6998896キラルピロロピリミジン化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】キラルピロロピリミジン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220128BHJP
   A61K 31/519 20060101ALN20220128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20220128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20220128BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P43/00 111
A61P35/00
C07B61/00 300
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018565715
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2017088421
(87)【国際公開番号】W WO2017215627
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】201610432126.5
(32)【優先日】2016-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(73)【特許権者】
【識別番号】518034126
【氏名又は名称】リエンユンガン・ランツォン・ファーマシューティカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LIANYUNGANG RUNZHONG PHARMACEUTICAL CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】513171552
【氏名又は名称】センタウルス・バイオファーマ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CENTAURUS BIOPHARMA CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シーチュエン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,エイミン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,シュウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ファトン
(72)【発明者】
【氏名】シェ,ジエ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6684803(JP,B2)
【文献】特表2009-519340(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105218548(CN,A)
【文献】特表2016-500119(JP,A)
【文献】特表2019-521980(JP,A)
【文献】特表2017-537950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/519
A61P 43/00
A61P 35/00
C07B 61/00
CASREACT(STN)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物の製造方法であって、
式Aの化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物又は式14の化合物を得るステップと、
前記式7の化合物又は前記式14の化合物から式Iの化合物を製造するステップと
を含む、式Iの化合物の製造方法。
【化1】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれ、RはH及びCHからなる群より選ばれる。)
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、
式5の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得るステップと、
前記式7の化合物から式Iの化合物を製造するステップと
を含む、製造方法。
【化2】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法であって、前記式7の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスは、(a)カルボキシル基をアミド基に転化する反応、(b)アミド基をシアノ基に転化する反応、(c)ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応、(d)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応、及び/又は(e)Rを除去する反応を含む、製造方法。
【請求項4】
前記式7の化合物中のRがアミノ保護基であり、前記式7の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスが、
(1)前記式7の化合物のピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させるステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた化合物におけるカルボキシル基をアミド基に転化するステップと、
(3)前記ステップ(2)で得られた化合物におけるアミド基をシアノ基に転化するステップと、
(4)前記ステップ(3)で得られた化合物のピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去するステップと、
(5)前記ステップ(1)の前、前記ステップ(1)の後且つ前記ステップ(2)の前、前記ステップ(2)の後且つ前記ステップ(3)の前、前記ステップ(3)の後且つ前記ステップ(4)の前、前記ステップ(4)の後、又は前記ステップ(4)と同時に、Rを除去するステップと
を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記式7の化合物中のRがHであり、前記式7の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスが、
(1)前記式7の化合物のピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させるステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた化合物におけるカルボキシル基をアミド基に転化するステップと、
(3)前記ステップ(2)で得られた化合物におけるアミド基をシアノ基に転化するステップと、
(4)前記ステップ(3)で得られた化合物のピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去するステップと
を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
式13の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得るステップと、
前記式14の化合物から式Iの化合物を製造するステップと
を含む、請求項1に記載の製造方法。
【化3】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【請求項7】
前記式14の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスは、(f)アミド基をシアノ基に転化する反応、(g)ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応、(h)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応、及び/又は(i)Rを除去する反応を含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記式14の化合物中のRがアミノ保護基であり、前記式14の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスは、
(1)前記式14の化合物のピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させるステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた化合物におけるアミド基をシアノ基に転化するステップと、
(3)前記ステップ(2)で得られた化合物のピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去するステップと、
(4)前記ステップ(1)の前、前記ステップ(1)の後且つ前記ステップ(2)の前、前記ステップ(2)の後且つ前記ステップ(3)の前、前記ステップ(3)の後、又は前記ステップ(3)と同時に、Rを除去するステップと
を含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記式14の化合物中のRがHであり、前記式14の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスは、
(1)前記式14の化合物のピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させるステップと、
(2)前記ステップ(1)で得られた化合物におけるアミド基をシアノ基に転化するステップと、
(3)前記ステップ(2)で得られた化合物のピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去するステップと
を含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
式5の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得るステップを含む、式7の化合物の製造方法。
【化4】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【請求項11】
式13の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得るステップを含む式14の化合物の製造方法。
【化5】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【請求項12】
前記アミノ保護基が、
ヒドロキシメチル基、ベンジルオキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基、2-(4-トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、1-アダマンチルオキシカルボニル基、2-アダマンチルカルボニル基、2,4-ジメチルペンタ-3-イルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、ビニル基、2-クロロエチル基、2-ベンゼンスルホニルエチル基、p-ニトロベンゼンスルホニル基、p-メチルベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基、アリル基、ベンジル基、2-ニトロベンジル基、4-ニトロベンジル基、ジフェニル-4-ピリジルメチル基、N’,N’-ジメチルヒドラジノ基、メトキシメチル基、t-ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、2-テトラヒドロピラニル、トリス(C1-4アルキル)シリル基、1,1-ジエトキシメチル基、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基、及びN-ピバロイルオキシメチル基からなる群から選択される、
請求項1~8、10及び11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アミノ保護基が、
ヒドロキシメチル基、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基、N-ピバロイルオキシメチル基、p-ニトロベンゼンスルホニル基、p-メチルベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基、及びベンジル基からなる群から選択される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アミノ保護基が、
ヒドロキシメチル基、及び2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基からなる群から選択される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
以下:
【化6】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれ、Rは環状イミド保護基であり、Rは-COOH、-CONH及び-CNからなる群より選ばれ、
前記アミノ保護基が、
ヒドロキシメチル基、ベンジルオキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基、2-(4-トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、1-アダマンチルオキシカルボニル基、2-アダマンチルカルボニル基、2,4-ジメチルペンタ-3-イルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、ビニル基、2-クロロエチル基、2-ベンゼンスルホニルエチル基、p-ニトロベンゼンスルホニル基、p-メチルベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基、アリル基、ベンジル基、2-ニトロベンジル基、4-ニトロベンジル基、ジフェニル-4-ピリジルメチル基、N’,N’-ジメチルヒドラジノ基、メトキシメチル基、t-ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、2-テトラヒドロピラニル、トリス(C1-4アルキル)シリル基、1,1-ジエトキシメチル基、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基、及びN-ピバロイルオキシメチル基からなる群から選択され、そして
前記環状イミド保護基が、下記:
【化7】

からなる群から選択される
に示される式IIの化合物、式12の化合物又は式13の化合物。
【請求項16】
前記アミノ保護基は、ヒドロキシメチル基、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基、N-ピバロイルオキシメチル基、p-ニトロベンゼンスルホニル基、p-メチルベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基、及びベンジル基からなる群から選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記アミノ保護基は、ヒドロキシメチル基、及び2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基からなる群より選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記環状イミド保護基は、下記:
【化8】

からなる群から選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか1項に記載の化合物の、以下の式Iの化合物:
【化9】

の製造における使用。
【請求項20】
以下の化合物:
【化10】

からなる群から選択されるすくなくとも1つの化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年06月16日に中国国家知的財産局に出願された出願番号がCN201610432126.5号の中国特許出願に基づく優先権及び権益を主張し、当該中国特許出願の内容のすべては引用により本願に組み入られる。
【0002】
本発明は、医薬合成分野に属し、具体的には、本発明はキラルピロロピリミジン化合物の製造方法、及び関連中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼ(Protein kinases、PK)は、タンパク質リン酸化酵素(Protein phosphakinase)とも呼ばれ、タンパク質リン酸化を触媒する酵素の一種類である。プロテインキナーゼは、タンパク質のリン酸化を触媒することにより、細胞増殖、生存及び分化、器官形成及び形態学的変化、新生血管生成、組織修復及び再生を含む生理学的機能を発揮させる。正常な生理学的機能に加えて、多くのプロテインキナーゼはヒト疾患(例えば癌)において重要な役割を果たす。プロテインキナーゼの1つのサブグループ発癌性プロテインキナーゼは、調節不全になった場合、腫瘍形成及び増殖を引き起こすことができ、さらに腫瘍転移と進行の一因となる。現在まで、発癌性プロテインキナーゼは、癌疾患の治療のための最も重要な標的の1つである。
【0004】
タンパク質キナーゼは、受容体型及び非受容体型に分類することができる。非受容体型チロシンキナーゼ(PTK)のサブファミリーにはヤヌスキナーゼ(JAK)が含まれ、非受容体型チロシンキナーゼの詳細については、Bolen JB. Nonreceptor tyrosine protein kinases. Oncogene. 1993、8(8): 2025-31を参照すればよい。
【0005】
ヤヌスキナーゼ(Janus kinase、JAK)は、細胞内に存在する非受容体型チロシンキナーゼ(PTK)であり、JAK-STAT経路を介してサイトカイン刺激シグナルを伝達する。JAK-STAT経路は細胞外の化学シグナルを細胞膜を介して細胞核内のDNA上に位置する遺伝子プロモーターに伝達し、最終的に細胞内のDNA転写及び活性レベルの変化に影響する。JAK-STAT経路は、(1)受容体、(2)ヤヌスキナーゼ(JAK)、及び(3)シグナル伝達及び転写活性化因子(STAT)の3つの主要部分からなる。前記受容体は、インターフェロン、インターロイキン、増殖因子、又は他の化学的メッセンジャーにより活性化されることができ、活性化によりJAKの自己リン酸化が引き起こされ、次に、STATタンパク質がリン酸化受容体に結合されて、STATはJAKによりリン酸化され、その後、リン酸化STATタンパク質は、受容体から単離されて二量体化され、細胞核に転位されることで、特異的DNA部位に結合されて転写を変える(Scott, M. J. , C. J. Godshall et al. (2002).「Jaks, STATs, Cytokines, and Sepsis」 Clin Diagn Lab Immunol 9(6): 1153-9)。
【0006】
JAKファミリーは、免疫応答に関する細胞増殖及び機能的サイトカイン依存性制御において役割を果たしている。現在、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2(Tyrosine kinase 2)という4種類の哺乳類JAKファミリーメンバーが知られている。JAKタンパク質は、大きさの範囲が120~140kDaであり、保存されたJAK相同性(JH)ドメインを7個含み、そのうちの1つは機能的な触媒キナーゼドメイン、もう1つは偽キナーゼ(pseudokinase)ドメインであり、調節機能を効果的に発揮し及び/又はSTATのドッキング部位として機能する(Scott、 Godshall et al. 2002、supra)。
【0007】
現在、複数種のヤヌスキナーゼの阻害剤について報道したことがあり、出願日2014年12月16日、出願番号201410784461.2の中国特許出願(ここで全文は参照として組み入られる)において、下記式Iで表される(3R)-3-[3-アミノ-4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル化合物を含む複数のJAK阻害剤が開示されている。
【化1】

式Iの化合物(式Iで表される化合物)はキラル化合物であり、まだ高収率、高キラル純度、原子経済性(アトムエコノミー)に優れる製造方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様では、式Aの化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物又は式14の化合物を得るステップと、式7の化合物又は式14の化合物から式Iの化合物を製造するステップとを含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【化2】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれ、RはH及びCHからなる群より選ばれる。)
【0009】
本発明の別の態様では、式5の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得るステップを含む、式7の化合物の製造方法を提供する。
【化3】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0010】
本発明の別の態様では、式13の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得るステップを含む、式14の化合物の製造方法を提供する。
【化4】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0011】
本発明の別の態様では、以下のように式5の化合物と式6の化合物又はその塩から式7の化合物を製造する反応の、式Iの化合物の製造における使用を提供する。
【化5】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0012】
本発明の別の態様では、以下のように式13の化合物と式6の化合物又はその塩から式14の化合物を製造する反応の、式Iの化合物の製造における使用を提供する。
【化6】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0013】
本発明の別の態様では、式Iの化合物を製造するための下記中間体及びその式Iの化合物の製造における使用を提供する。
【化7】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれ、RはH及び環状イミド保護基からなる群より選ばれ、Rは-COOH、-CONH及び-CNからなる群より選ばれ、ただし、Rが-CNである場合、RとRとが同時にHであることはない。)
【0014】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の一態様では、式Aの化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物又は式14の化合物を得るステップと、式7の化合物又は式14の化合物から式Iの化合物を製造するステップとを含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【化8】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれ、RはH及びCHからなる群より選ばれる。)
【0015】
(式中、RがHである場合、式Aの化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得、RがCHである場合、式Aの化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得る。)
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る式Iの化合物の製造方法は、式5の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得るステップと、式7の化合物から式Iの化合物を製造するステップとを含む。
【化9】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0017】
本発明に係る式Iの化合物のいくつかの製造方法において、式7の化合物から式Iの化合物を製造する過程には、必要に応じて、(a)カルボキシル基をアミド基に転化する反応、(b)アミド基をシアノ基に転化する反応、(c)ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応、(d)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応、及び/又は、(e)Rを除去する反応を含んでもよい。前記5つの反応の説明方式は反応の発生順番を限定するものではない。当業者であれば、必要に応じて前記5つの反応の順番を変更したり、又はそのうちの2つ以上の反応を併合して同時に発生させることができ、いずれも本発明の保護範囲に含まれている。
【0018】
本発明に係る式Iの化合物のいくつかの製造方法において、式7の化合物から式Iの化合物を製造する過程において、(d)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応及び(e)Rを除去する反応の順番は、必要に応じて、(e)Rを除去する反応に先立って、(d)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応が発生し、又は、(d)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応に先立って、(e)Rを除去する反応が発生し、又は(d)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応と(e)Rを除去する反応は同時に起こるようにしてもよい。
【0019】
本発明に係る式Iの化合物のいくつかの製造方法において、式7の化合物から式Iの化合物を製造する過程において、必要に応じて、(a)カルボキシル基をアミド基に転化する反応に先立って、前記(c)ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応が発生し、又は、(e)Rを除去する反応に先立って、(c)ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応が発生するようにしてもよい。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、式7の化合物中のRがアミノ保護基である場合、式7の化合物から式Iの化合物を製造するステップは、(1)式7の化合物のピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させるステップと、(2)ステップ(1)で得られた化合物におけるカルボキシル基をアミド基に転化するステップと、(3)ステップ(2)で得られた化合物におけるアミド基をシアノ基に転化するステップと、(4)ステップ(3)で得られた化合物のピラゾール環上のアミノ保護基を除去するステップと、(5)ステップ(1)の前、ステップ(1)の後且つステップ(2)の前、ステップ(2)の後且つステップ(3)の前、ステップ(3)の後且つステップ(4)の前、ステップ(4)の後、又はステップ(4)と同時に、Rを除去するステップとを含むようにしてもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、式7の化合物中のRがHであり、式7の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスは、(1)式7の化合物のピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させるステップと、(2)ステップ(1)で得られた化合物におけるカルボキシル基をアミド基に転化するステップと、(3)ステップ(2)で得られた化合物におけるアミド基をシアノ基に転化するステップと、(4)ステップ(3)で得られた化合物のピラゾール環上のアミノ保護基を除去するステップとを含むようにしてもよい。
【0022】
本発明に係る式Iの化合物のいくつかの製造方法において、式7の化合物から式Iの化合物を製造する過程には、必要に応じて、スキーム1、スキーム2、スキーム3、スキーム4又はスキーム5によって実現されるようにしてもよい。
スキーム1: Rがアミノ保護基である場合、
【化10】

スキーム2: Rがアミノ保護基である場合、
【化11】

スキーム3: Rがアミノ保護基である場合、
【化12】

スキーム4: Rがアミノ保護基である場合、
【化13】

スキーム5: RがHである場合、
【化14】

(式中、Rは環状イミド保護基である。)
である。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る式Iの化合物の製造方法は、式13の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得るステップと、式14の化合物から式Iの化合物を製造するステップとを含む。
【化15】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0024】
本発明に係る式Iの化合物のいくつかの製造方法において、式14の化合物から式Iの化合物を製造する過程には、(f)アミド基をシアノ基に転化する反応、(g)ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応、(h)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応、及び/又は、(i)Rを除去する反応を含むようにしてもよい。前記4つの反応の説明方式は、反応の発生順番を制限するものではない。当業者であれば、必要に応じて、前記4つの反応の順番を変更したり、或いは、そのうちの2つ以上の反応を併合して同時に発生させることができ、いずれも本発明の保護範囲に含まれている。
【0025】
本発明に係る式Iの化合物のいくつかの製造方法において、式14の化合物から式Iの化合物を製造する過程において、(h)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応と(i)Rを除去する反応の順番は、必要に応じて、(i)Rを除去する反応に先立って、(h)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応が発生し、又は、(h)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応に先立って、(i)Rを除去する反応が発生し、又は(h)ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応と(i)Rを除去する反応が同時に発生するようにしてもよい。
【0026】
本発明に係る式Iの化合物のいくつかの製造方法において、式14の化合物から式Iの化合物を製造する過程において、必要に応じて、(f)アミド基をシアノ基に転化する反応に先立って、前記(g)ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応が発生し、又は、(i)Rを除去する反応に先立って、(g)ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応が発生するようにしてもよい。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、式14の化合物中のRがアミノ保護基であり、式14の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスは、必要に応じて、(1)式14の化合物のピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させるステップと、(2)ステップ(1)で得られた化合物におけるアミド基をシアノ基に転化するステップと、(3)ステップ(2)で得られた化合物のピラゾール環上のアミノ保護基を除去するステップと、(4)ステップ(1)の前、ステップ(1)の後且つステップ(2)の前、ステップ(2)の後且つステップ(3)の前、ステップ(3)の後、又はステップ(3)と同時に、Rを除去するステップとを含む。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、式14の化合物中のRがHであり、式14の化合物から式Iの化合物を製造するプロセスは、必要に応じて、(1)式14の化合物のピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させるステップと、(2)ステップ(1)で得られた化合物におけるアミド基をシアノ基に転化するステップと、(3)ステップ(2)で得られた化合物のピラゾール環上のアミノ保護基を除去するステップとを含む。
【0029】
本発明に係る式Iの化合物のいくつかの製造方法において、式14の化合物から式Iの化合物を製造する過程には、必要に応じて、スキーム6、スキーム7、スキーム8又はスキーム9によって実現されるようにしてもよい。
スキーム6: Rがアミノ保護基である場合、
【化16】

スキーム7: Rがアミノ保護基である場合、
【化17】

スキーム8: Rがアミノ保護基である場合、
【化18】

スキーム9: RがHである場合、
【化19】

(式中、Rは環状イミド保護基である。)
である。
【0030】
本発明の別の態様では、式5の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得るステップを含む、式7の化合物の製造方法を提供する。
【化20】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0031】
本発明の別の態様では、式13の化合物と、式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得るステップを含む、式14の化合物の製造方法を提供する。
【化21】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0032】
本発明の別の態様では、以下のように式5の化合物と式6の化合物又はその塩から式7の化合物を製造する反応の、式Iの化合物の製造における使用を提供する。
【化22】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0033】
本発明の別の態様では、以下のように式13の化合物と式6の化合物又はその塩から式14の化合物を製造する反応の、式Iの化合物の製造における使用を提供する。
【化23】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれる。)
【0034】
本発明の別の態様では、下記式IIの化合物、式12の化合物及び式13の化合物を提供する。
【化24】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれ、RはH及び環状イミド保護基からなる群より選ばれ、Rは-COOH、-CONH及び-CNからなる群より選ばれ、ただし、Rが-CNである場合、RとRとが同時にHであることはない。)
【0035】
本発明の別の態様では、下記式IIの化合物、式12の化合物及び式13の化合物の、式Iの化合物の製造における使用を提供する。
【化25】

(式中、RはH及びアミノ保護基からなる群より選ばれ、RはH及び環状イミド保護基からなる群より選ばれ、Rは-COOH、-CONH及び-CNからなる群より選ばれ、ただし、Rが-CNである場合、RとRとが同時にHであることはない。)
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式IIの化合物は下記化合物からなる群より選ばれる。
【化26】
【0037】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式12の化合物は下記化合物である。
【化27】
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式13の化合物は下記化合物である。
【化28】
【0039】
本発明のいくつかの実施形態において、前記アミノ保護基は、ヒドロキシメチル基、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基(Troc)、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基(Teoc)、2-(4-トリフルオロメチルベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基(Tsc)、t-ブトキシカルボニル基(Boc)、1-アダマンチルオキシカルボニル基(Adoc)、2-アダマンチルカルボニル基(2-Adoc)、2,4-ジメチルペンタ-3-イルオキシカルボニル基(Doc)、シクロヘキシルオキシカルボニル基(Hoc)、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基(TcBoc)、ビニル基、2-クロロエチル基、2-ベンゼンスルホニルエチル基、p-ニトロベンゼンスルホニル基、p-メチルベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基、アリル基、ベンジル基、2-ニトロベンジル基、4-ニトロベンジル基、ジフェニル-4-ピリジルメチル基、N’,N’-ジメチルヒドラジノ基、メトキシメチル基、t-ブトキシメチル基(Bum)、ベンジルオキシメチル基(Bom)、2-テトラヒドロピラニル(THP)、トリス(C1-4アルキル)シリル基、1,1-ジエトキシメチル基、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、及びN-ピバロイルオキシメチル基(POM)、好ましくは、ヒドロキシメチル基、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)、N-ピバロイルオキシメチル基(POM)、p-ニトロベンゼンスルホニル基、p-メチルベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基、及びベンジル基、より好ましくは、ヒドロキシメチル基、及び2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基(SEM)からなる群より選ばれる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、前記環状イミド保護基は、下記:
【化29】

のもの、好ましくは、下記:
【化30】

のものからなる群より選ばれる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式6の化合物の塩はキラル塩又は非キラル塩から選ばれてもよい。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態において、式6の化合物のキラル塩を形成するために使用されるキラル酸は、マンデル酸、2-クロロマンデル酸、樟脳酸、乳酸、リンゴ酸、3-ブロモカンファー-8-スルホン酸、3-ブロモカンファー-10-スルホン酸、10-カンファースルホン酸、2-アミノ-7,7-ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタ-1-メチレンスルホン酸(2-amino-7,7-dimethyl-bicyclo[2,2,1]hept-1-ylidenesulfonic acid)、2-アクリルアミド-7,7-ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタ-1-メチレンスルホン酸(2-acrylamido-7,7-dimethyl-bicyclo[2,2,1]hept-1-ylidenesulfonic acid)、酒石酸及びそのアシル誘導体などの酸、並びにそれらのエナンチオマー過剰の形態からなる群より選ばれ、好ましくは、乳酸、リンゴ酸、樟脳酸、10-カンファースルホン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジ-p-メチルベンゾイル酒石酸、ジ-p-メトキシベンゾイル酒石酸、ジ-p-クロロベンゾイル酒石酸、ジ-p-ブロモベンゾイル酒石酸、ジ-p-フルオロベンゾイル酒石酸、ジ-p-ニトロベンゾイル酒石酸、ジ-p-アミノベンゾイル酒石酸、及びジ-p-シアノベンゾイル酒石酸、より好ましくは、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、及びジ-p-メチルベンゾイル酒石酸からなる群より選ばれる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態において、式6の化合物のキラル塩を形成するために使用されるキラル酸は、D-酒石酸、D-ジアセチル酒石酸、D-ジベンゾイル酒石酸、D-ジ-p-メチルベンゾイル酒石酸、D-ジ-p-メトキシベンゾイル酒石酸、D-ジ-p-クロロベンゾイル酒石酸、D-ジ-p-ブロモベンゾイル酒石酸、D-ジ-p-フルオロベンゾイル酒石酸、D-ジ-p-ニトロベンゾイル酒石酸、D-ジ-p-アミノベンゾイル酒石酸、及びD-ジ-p-シアノベンゾイル酒石酸からなる群より選ばれる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、式6の化合物の非キラル塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、及びp-メチルベンゼンスルホン酸塩からなる群より選ばれ、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、及びp-メチルベンゼンスルホン酸塩、より好ましくは、塩酸塩、及び酢酸塩からなる群より選ばれる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式5の化合物と式6の化合物のモル比は、1.0:1.0~5.0、好ましくは、1.0:1.0~3.0、より好ましくは、1.0:1.0~2.0、さらに好ましくは、1.0:1.0、1.0:1.1、1.0:1.2、1.0:1.3、1.0:1.4、1.0:1.5、1.0:1.6、1.0:1.7、1.0:1.8、1.0:1.9又は1.0:2.0、一層好ましくは、1.0:1.2である。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式5の化合物と式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得る反応は、中性又はアルカリ性条件において行われる。前記アルカリ性条件は、アルカリ試薬として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、ナトリウム-t-ブトキシド、カリウム-t-ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又はDBU、好ましくは、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、ナトリウム-t-ブトキシド、又はカリウム-t-ブトキシド、より好ましくは、酢酸ナトリウム、又は酢酸カリウム、を加えることにより実現される。前記式5の化合物とアルカリ試薬のモル比は、1.0:1.0~5.0、好ましくは、1.0:1.0~3.0、より好ましくは、1.0:1.0~2.0、さらに好ましくは、1.0:1.0、1.0:1.1、1.0:1.2、1.0:1.3、1.0:1.4、1.0:1.5、1.0:1.6、1.0:1.7、1.0:1.8、1.0:1.9又は1.0:2.0、一層好ましくは、1.0:1.5である。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式5の化合物と式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得る反応の溶媒は、トルエン、キシレン、DMSO、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びそれらの2種以上の混合溶媒からなる群より選ばれ、好ましくは、N-メチルピロリドンである。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式5の化合物と式6の化合物又はその塩とを反応させて、式7の化合物を得る反応の温度は、80~180℃、好ましくは、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃又は180℃である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式13の化合物と式6の化合物のモル比は、1.0:1.0~5.0、好ましくは、1.0:1.0~3.0、より好ましくは、1.0:1.0~2.0、さらに好ましくは、1.0:1.0、1.0:1.1、1.0:1.2、1.0:1.3、1.0:1.4、1.0:1.5、1.0:1.6、1.0:1.7、1.0:1.8、1.0:1.9又は1.0:2.0、一層好ましくは、1.0:1.2である。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式13の化合物と式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得る反応は、中性又はアルカリ性条件において行われる。前記アルカリ性条件は、アルカリ試薬として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、ナトリウム-t-ブトキシド、カリウム-t-ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又はDBU、好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又はDBU、より好ましくは、ジイソプロピルエチルアミン、を加えることにより実現される。前記式13の化合物とアルカリ試薬のモル比は、1.0:1.0~5.0、好ましくは、1.0:1.0~3.0、より好ましくは、1.0:1.0~2.0、さらに好ましくは、1.0:1.0、1.0:1.1、1.0:1.2、1.0:1.3、1.0:1.4、1.0:1.5、1.0:1.6、1.0:1.7、1.0:1.8、1.0:1.9又は1.0:2.0、一層好ましくは、1.0:1.5である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式13の化合物と式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得る反応の溶媒は、トルエン、キシレン、DMSO、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びそれらの2種以上の混合溶媒からなる群より選ばれ、好ましくは、N-メチルピロリドンである。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式13の化合物と式6の化合物又はその塩とを反応させて、式14の化合物を得る反応の温度は、80~180℃、好ましくは、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃又は180℃である。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態において、前記カルボキシル基をアミド基に転化する反応(例えば、式8の化合物から式9の化合物を製造する)は、まず、カルボキシル基をアシルクロライドに転化して、次に、アシルクロライドをアミド基に転化する反応を含む。前記カルボキシル基をアシルクロライドに転化する反応、及びアシルクロライドからアミド基に転化する反応は複数のステップに分けて実施されてもよく、「ワンポット法」で実施されてもよい。前記カルボキシル基をアシルクロライドに転化する反応に使用される試薬は、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル及び塩化オキサリルのうちの1種又は複数種の組み合わせ、好ましくは、塩化オキサリルである。前記カルボキシル基をアシルクロライドに転化する反応に使用される溶媒は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、アセトニトリル、DMA、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、キシレン、及びそれらの2種以上の混合溶媒からなる群より選ばれ、好ましくは、NMP、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、及びそれらの混合溶媒からなる群より選ばれる。前記アシルクロライドからアミド基に転化する反応は、アミノ化試薬が存在する条件において行われ、前記アミノ化試薬は、アンモニア水、液体アンモニア、及びアンモニアガスから選ばれる1種又は複数種の組み合わせ、好ましくは、アンモニア水又はアンモニアガスから選ばれる。前記アシルクロライドからアミド基に転化する反応に使用される溶媒は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、アセトニトリル、DMA、NMP、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、キシレン、及びそれらの2種以上の混合溶媒、好ましくは、NMP、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、及びそれらの混合溶媒からなる群より選ばれる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態において、前記アミド基をシアノ基に転化する反応(例えば式9の化合物から式10の化合物を製造する)は、脱水剤が存在する条件において行われ、前記脱水剤は、オキシ塩化リン、塩化シアヌル、五酸化二リン、塩化チオニル、無水トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、及び塩化オキサリルから選ばれる1種又は複数種の組み合わせ、好ましくは、オキシ塩化リン又は塩化シアヌルである。前記アミド基をシアノ基に転化する反応に使用される溶媒は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、アセトニトリル、DMA、NMP、DMSO、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、キシレン、及び2種以上の上記溶媒の混合溶媒、好ましくは、ジクロロメタン、NMP、及び両方の混合溶媒からなる群より選ばれる。
【0055】
説明及び定義
本発明では、用語「SEM-」とは2-(トリメチルシリル)エトキシメチル基を意味する。
【0056】
本発明では、化学結合が下記:
【化31】

のものにより示される場合、該化学結合とそれに連結されるアルケニル基との方向に制限がないことを意味し、例えば、式5の化合物は次の構造:
【化32】

を含む。
【0057】
本発明では、RがHである場合、式IIの化合物は次の構造:
【化33】

を示す。
【0058】
本発明では、前記カルボキシル基をアミド基に転化する反応とは、下記:
【化34】

を意味する。
【0059】
本発明では、前記アミド基をシアノ基に転化する反応とは、下記:
【化35】

を意味する。
【0060】
本発明では、ピラゾール環上のアミノ基を保護基と連結させる反応とは、下記:
【化36】

を意味する。
【0061】
本発明では、ピラゾール環上のアミノ基の保護基を除去する反応とは、下記:
【化37】

を意味する。
【0062】
本発明では、Rを除去する反応とは、下記:
【化38】

を意味する。
【0063】
本発明では、前記アミノ保護基又は環状イミド保護基及びその連結又は除去方法は、本分野での常法により実現でき、該方法は、ワンステップ反応であってもよく、多段反応であってもよく、例えば、Wiley出版社による『Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis - 4th Edition』又は化学工業出版社による『保護基化学』を参照できるが、それに制限されない。
【0064】
本発明では、いくつかの実施例において、前記キラル化合物は、エナンチオマー過剰であり、前記エナンチオマー過剰とは、それにおけるキラル異性体の含有量(物質量)が約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%又は約99.99%以上であることを意味する。
【0065】
本発明では、ラセミ体、アンビスケールミックとスケールミック(ambiscalemic and scalemic)、又はエナンチオマー的に純粋な化合物の図示法は、Maehr、 J. Chem. Ed. 1985、 62: 114-120に記載されるものである。特に断りのない限り、楔形結合と破線結合により立体中心の絶対立体配置が示される。本明細書において、前記化合物はオレフィン二重結合又はほかの幾何不斉中心を含む場合、特に断らない限り、それらはE、Z幾何異性体を含む。同様に、あらゆる互変異性形態は本発明の範囲に含まれる。
【0066】
本発明に係る化合物は特定の幾何又は立体異性体形態を含んでもよい。本発明に想定された全ての化合物は、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ体混合物及び他の混合物、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマー過剰の混合物を含む。これらの混合物は、いずれも本発明の範囲に含まれる。アルキル基などの置換基には、別の不斉炭素原子が存在してもよい。これら異性体及びそれらの混合物はすべて本発明の範囲に含まれる。
【0067】
本発明では、前記反応は溶媒において行われてもよく、本発明に使用されるすべての溶媒は市販品であり、さらなる精製をせずに使用することができ、反応は、一般的に不活性窒素ガス、無水溶媒において行われる。
【0068】
本発明では、プロトン核磁気共鳴のデータはBRUKER AVANCE III HD 500 M分光器に記録されており、化学シフトはテトラメチルシランの低磁場側の(ppm)により示され、質量スペクトルはWaters ACQUITY UPLC+XEVO G2 QTofにおいて測定される。質量分析計には1つの正又は負モードで動作されるエレクトロスプレーイオン源(ESI)が配備されている。
【0069】
本発明に係る製造方法は、プロセスが簡略し、立体選択性が高く、原子利用率が高く、反応条件が温和で、後処理が容易であるという特徴を有し、高価な不斉反応触媒を使用せずに済み、工業的生産に適する。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下の実施例は、本発明の技術案を非限定的に詳細に説明する。本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の例示的な説明及び典型的な代表例に過ぎない。本発明に使用される溶媒、試薬や原料などはいずれも市販の化学純度又は分析純度の製品である。
【0071】
実施例1
(3R)-3-{3-アミノ-4-{7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオニトリル(I)
【化39】
【0072】
ステップA: 3-シクロペンチルアクリル酸
【化40】

室温で、5Mのマロン酸(312g、3.0mol、1.0eq.)を含むピリジン溶液にシクロペンチルカルバルデヒド(344.4g、3.51mol、1.17eq.)を滴下して、滴下終了後、10分間撹拌し、ピペリジン(6.2g、0.075mol、0.025eq.)を徐々に滴下して、滴下終了後、室温で撹拌して1時間反応させた。得られた混合物を70~80℃まで加熱して撹拌して8時間反応させ、減圧下で濃縮させて溶媒を蒸発除去して、残渣を濃塩酸でpH3.0に調整して、酢酸エチルで3回抽出し、有機層(有機相)を合わせ、2.5M水酸化ナトリウム溶液で5回洗浄し、水層(水相)を濃塩酸でpH3.0に調整して、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を合わせ、水で3回洗浄し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、ろ過して減圧下で濃縮させて、3-シクロペンチルアクリル酸(391.2g、収率93%)を得た。H NMR (500 MHz, CDCl) :δ7.08 (dd, J = 15.6, 8.1 Hz, 1H),5.81 (dd, J = 15.6, 1.1 Hz, 1H),11.25 (s, 1H),2.64 (m, 1H),1.63 (m, 2H),1.42 (m, 2H),1.86 (m, 2H),1.72 (m,2H);HRMS (ESI) calcd. for C12[M-H] 139.0765;Found:139.0760。
【0073】
ステップB: 5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン
【化41】

室温で撹拌しながら、80%ヒドラジン水和物(253.5g、4.05mol、1.5eq.)をシクロペンチルアクリル酸(378g、2.7mol、1.0eq.)に滴下して、70~80℃まで加熱して撹拌して6時間反応させ、温度を0~10℃まで冷却して撹拌して結晶化させ、ろ過して、ろ過ケーキを水で2回洗浄し、45℃で12時間送風乾燥させて、5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン(292.5g、収率68%)を得た。
【0074】
ステップC: R-5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン-D-酒石酸塩
【化42】

室温で撹拌しながら、D-酒石酸(135g、0.9mol、0.5eq.)を5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン(278g、1.8mol、1.0eq.)のアセトン溶液に加え、撹拌して2時間反応後、結晶化させ、ろ過して、ろ過ケーキをアセトンで5回叩解して洗練し(refined)、50℃で送風乾燥させて、R-5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン-D-酒石酸塩(241g、収率88%、ee値99.5%)を得た。
【0075】
ステップD: R-5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン(6)
【化43】

室温で撹拌しながら、R-5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン-D-酒石酸塩(228g、0.75mol、1.0eq.)を4Mの水酸化ナトリウム(52.2g、2.61mol、1.74eq.)溶液に加え、ジクロロメタンで抽出して、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過して、ろ液を減圧下で濃縮させて、R-5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン(6)(100.6g、収率85.2%、ee値99.5%)を得た。H-NMR (500 MHz, CDCl)δ8.93 (s, 1H),5.15 (s, 1H),1.89(m,1H),1.67 (m,2H),1.55 (m, 2H),1.47 (m, 2H),1.26 (m,1H),1.14(m,1H);HRMS (ESI) calcd. for C14O [M+H] 155.1179;Found:155.1183。
【0076】
ステップE: 4-クロロ-7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2)
【化44】

氷浴中で、4-クロロピロロ[2,3-d]ピリミジン(200g、1.3mol、1.0eq.)N,N-ジメチルホルムアミド溶液に60%NaH(62.4g、1.56mol、1.2eq.)を加えた後、室温で撹拌して1時間反応させ、氷浴で冷却させながら、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロライド(SEMCl、260g、1.56mol、1.2eq)を徐々に滴下した。滴下終了後、氷浴中で、撹拌して1時間反応させ、水を加えてクエンチさせて、酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、ろ液を減圧下で濃縮させて、残渣を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製をして、4-クロロ-7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2)(312.2g、収率91.8%)を得た。H-NMR (500 MHz, CDCl):δ8.64 (s, 1H),7.38 (d, J = 3.6 Hz, 1H),6.65 (d, J = 3.6 Hz, 1H),5.64 (s, 2H),3.52 (t, J = 8.2 Hz, 2H),0.90(t, J = 8.2 Hz, 2H),-0.07 (s, 9H);HRMS (ESI) calcd. for C1218OSi [M+H] 284.0980;Found:284.0995。
【0077】
ステップF: 2-シアノ-2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}酢酸エチル(3)
【化45】

室温で撹拌しながら、炭酸カリウム(207g、1.5mol、3.0eq.)を4-クロロ-7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2)(142g、0.5mol、1.0eq.)とシアン酢酸エチル(85g、0.75mol、1.5eq)のDMF溶液に加え、120℃まで加熱して撹拌して、4時間反応させ、室温まで冷却して、水を加えてクエンチさせて、撹拌して結晶化させ、ろ過して、ろ過ケーキを水で洗浄して、50℃で送風乾燥させて、2-シアノ-2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}酢酸エチル(3)(167g、収率92.6%)を得た。H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 13.46 (s, 1H),8.45 (s, 1H),7.56 (d, J = 3.6 Hz, 1H),7.18 (d, J = 3.6 Hz, 1H),5.56 (s, 2H),4.32 (q, J = 7.1 Hz, 2H),3.52 (t, J = 8.2 Hz, 2H),1.27 (t, J = 7.1Hz, 3H),0.83 (t, J = 8.2 Hz, 2H),-0.08 (s, 9H);HRMS (ESI) calcd. for C1724Si [M+H] 361.1690;Found:361.1699。
【0078】
ステップG: 2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}アセトニトリル(4)
【化46】

室温下で撹拌しながら、塩化ナトリウム(263g、4.5mol、10eq.)を2-シアノ-2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}酢酸エチル(3)(162.2g、0.45mol、1.0eq.)のN-メチルピロリドンと水の混合溶液に加え、160~170℃まで加熱して撹拌し、30時間反応させた。水を加えてクエンチさせて、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して濃縮させて、残渣を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製をして、2-(7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アセトニトリル(4)(98.6g、収率76%)を得た。H-NMR (500 MHz, CDCl):δ8.18 (s, 1H),7.77 (d, J = 3.4 Hz, 1H),6.83 (d, J = 3.4 Hz, 1H),5.65 (s, 2H),4.56 (s, 2H),3.52 (t, J = 7.6 Hz, 2H),0.82 (t, J = 7.6 Hz, 2H),-0.10 (s, 9H);HRMS (ESI) calcd. forC1420OSi [M+H] 289.1479;Found:289.1498。
【0079】
ステップH: 3-(ジメチルアミノ)-2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}アクリロニトリル(5a)
【化47】

DMF-DMA(119g、1.0mol、3.0eq.)を2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}アセトニトリル(4)(95g、0.33mol、1.0eq.)のDMF溶液に加え、加熱還流して2時間反応させ、室温まで冷却して、水を加えて撹拌して結晶化させ、ろ過して、ろ過ケーキを水で洗浄し、50℃で送風乾燥させて、3-(ジメチルアミノ)-2-(7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アクリロニトリル(5a)(106.5g、収率94%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 8.50 (s, 1H),8.38 (s, 1H),7.26 (d, J = 3.7 Hz, 1H),7.18 (d, J = 3.7 Hz, 1H),5.56 (s, 2H),3.49 (t, J = 8.4 Hz, 2H),3.43 (s, 3H),3.23 (s, 3H),0.87 (t, J = 8.4 Hz, 2H),-0.10 (s, 9H);;HRMS (ESI) calcd. for C1725OSi [M+H] 344.1901;Found:344.1907。
【0080】
ステップI: (R)-3-{3-アミノ-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオン酸(7a)
【化48】

室温で撹拌しながら、酢酸カリウム(1.5eq)を3-(ジメチルアミノ)-2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}アクリロニトリル(5a)(68.7g、0.2mol、1.0eq.)とR-5-シクロペンチルピラゾリジン-3-オン(6)(37.0g、0.24mol、1.2eq.)のN-メチルピロリドン溶液に加え、120~130℃まで加熱して撹拌して12時間反応させた。水を加えてクエンチさせて、酢酸エチルで抽出し、有機層を水で3回洗浄し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過して、減圧下で濃縮させて、残渣を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製をして、(R)-3-{3-アミノ-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオン酸(7a)(37.6g、収率40.1%、ee値99.8%)を得た。H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 8.74 (s, 1H),7.96 (s, 1H),7.32 (d, J = 3.4 Hz, 1H),6.67 (d, J = 3.4 Hz, 1H),5.63 (m, 2H),4.19 (t, J = 8.2 Hz, 2H),3.52 (m, 1H),3.52 (t, J = 8.4 Hz, 2H),3.09 (dd, J = 16.7, 8.2 Hz, 1H),2.87 (d, J = 16.7 Hz, 1H),2.41 (m, 1H),1.87 (m, 1H),1.69 (m, 1H),1.60 (m, 2H),1.51 (m, 2H),1.15 (m, 1H),0.91 (t, J = 8.4 Hz, 2H),-0.06 (s, 9H);HRMS (ESI) calcd. for C1725OSi [M+H] 471.2534;Found:471.2538。
【0081】
ステップJ: (R)-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオン酸(8b)
【化49】

室温で撹拌しながら、0.2Mの(R)-3-{3-アミノ-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオン酸(7a)(35.0g、74.3mmol、1.0eq.)のトルエン溶液に無水コハク酸(10.4g、104mmol、1.4eq.)を加え、窒素保護下、加熱還流して、14時間反応(分水)させた。減圧下で濃縮させて溶媒を蒸発除去して、残渣に酢酸エチルを加えて溶解し、水で洗浄し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄して、酢酸エチル層に無水硫酸ナトリウム及び活性炭を加えて撹拌し、乾燥させて脱色して、ろ過して、減圧下で濃縮させて、(R)-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオン酸(8b)(39g、70.6mmol、収率95%)を得た。H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 8.65 (s, 1H),8.28 (s, 1H),7.28 (d, J = 3.7 Hz, 1H),6.62 (d, J = 3.7 Hz, 1H),5.59 (d, J = 11.1 Hz, 1H),5.53 (d, J = 11.1 Hz, 1H),4.44 (td, J = 9.9, 3.2 Hz, 1H),3.48 (m, 2H), 3.02 (dd, J = 16.8, 10.0 Hz, 1H),2.83 (m, 1H),2.43 (m, 1H),1.78 (m, 1H),1.69 (m, 1H),1.61 (m, 1H),1.52 (m, 1H),1.51 (m, 1H),1.50 (m, 2H),1.14 (m, 1H),0.88 (m, 2H),-0.07 (s, 9H);HRMS (ESI) calcd. for C2736Si [M+H] 553.2589;Found:553.2603。
【0082】
ステップK: (R)-3-シクロペンチル-3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-(7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンアミド(9b)
【化50】

氷浴中で、窒素保護下で撹拌しながら、0.18Mの(R)-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオン酸(8b)(35.0g、63.3mmol、1.0eq.)のジクロロメタン溶液に塩化オキサリル(20.0g、158mmol、2.5eq.)を滴下し、滴下終了後、DMF(0.1g、1.3mmol、0.02eq.)を滴下して、室温下で撹拌して1時間反応させ、減圧下で濃縮させて溶媒を蒸発除去して、ナトリウム線で乾燥し再蒸留させたTHFに溶解し、2Mのアンモニア水(20.0、0.32mol、5.0eq.)のTHF溶液に滴下して、氷浴中で、撹拌して30分間反応させ、減圧下で濃縮させてTHFを蒸発除去し、氷浴で冷却して2時間結晶化させ、ろ過して、ろ過ケーキを水で洗浄して、50℃で送風乾燥させて、(R)-3-シクロペンチル-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}プロパンアミド(9b)(29.8g、収率85.5%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 8.65 (s, 1H),8.24 (s, 1H),7.32 (d, J = 3.7 Hz, 1H),6.63 (d, J = 3.7, 1H),6.12 (s, 1H),5.60 (d, J = 11.1 Hz, 1H),5.56 (d, J = 11.1 Hz, 1H),5.44 (s, 1H),4.40 (td, J = 10.6, 3.2 Hz, 1H),3.47 (dd, J = 9.1, 7.5 Hz, 2H),2.99 (dd, J = 14.4, 11.0 Hz, 1H),2.91 (s, 4H),2.67 (dd, J = 14.4, 3.3 Hz, 1H),2.48 (m, 1H),1.84 (m, 1H),1.66 (m, 1H),1.58 (m, 2H),1.57 (m, 1H),1.50 (m, 1H),1.31 (m, 1H),1.21 (m, 1H),0.88 (dd, 9.1, 7.5, 2H),-0.08 (s, 9H);;HRMS (ES) calcd. for C2737Si [M+H] 552.2749;Found:552.2759。
【0083】
ステップL: (R)-3-シクロペンチル-3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-(7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピオニトリル(10b)
【化51】

氷浴下で撹拌しながら、0.2Mの(R)-3-シクロペンチル-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}プロパンアミド(9b)(25g、45.3mmol、1.0eq)のジクロロメタン溶液にオキシ塩化リン(27.8g、181mmol、4.0eq.)を滴下し、滴下終了後、室温下で撹拌して2時間反応させ、水を加えてクエンチさせて、有機層を水で洗浄して、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌して乾燥させて、脱色した。ろ過して、減圧下で濃縮させて溶媒を除去し、(R)-3-シクロペンチル-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}プロピオニトリル(10b)(22.2g、41.7mmol、収率92%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 8.70 (s, 1H),8.35 (s, 1H),7.35 (d, J = 3.7 Hz, 1H),6.66 (d, J = 3.7 Hz, 1H),5.62 (d, J = 10.8 Hz, 1H),5.58 (d, J = 10.8 Hz, 1H),4.30 (m, 1H),3.50 (m, 2H),3.09 (dd, J = 16.8, 4.3 Hz, 1H),3.01 (dd, J = 16.8, 4.3 Hz, 1H),2.94 (s, 4H),2.62 (m, 1H),1.96 (m, 1H),1.69 (m, 2H),1.60 (m, 1H),1.58 (m, 2H),1.27 (m, 2H),0.90 (t, J = 8.3 Hz, 2H),-0.06 (s, 9H);HRMS (ESI) calcd. for C2735Si [M+H] 534.2643;Found:534.2657。
【0084】
ステップM: (R)-3-シクロペンチル-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{(7-ヒドロキシメチル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}プロピオニトリル(11a)
【化52】

氷浴下で撹拌しながら、0.2Mの(R)-3-シクロペンチル-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}プロピオニトリル(10b)(20g、37.5mmol、1.0eq.)のジクロロメタン溶液に47%三フッ化ホウ素エチルエーテル溶液(34g、112.5mmol、3.0eq.)を滴下し、滴下終了後、室温で撹拌して4時間反応させた。水を加えてクエンチさせて、10%NaOH溶液でpHを6~7に調整して、酢酸エチルで抽出し、有機層を水で洗浄して、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで撹拌して乾燥させた。ろ過して、減圧下で濃縮させて、(R)-3-シクロペンチル-3-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-(7-ヒドロキシメチル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピオニトリル(11a)(14.4g、収率88.5%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 8.54 (s, 1H),8.31 (s, 1H),7.31(d, J = 3.7 Hz, 1H),6.52 (d, J = 3.7 Hz, 1H),5.68 (d, J = 10.9 Hz, 1H),5.61 (d, J = 10.9 Hz, 1H),4.32 (m, 1H),3.13 (dd, J = 17.2, 7.9 Hz, 1H),3.03 (dd, J = 17.2, 4.3 Hz, 1H),2.94 (s, 4H),2.62 (m, 1H),1.98 (m, 1H),1.74 (m, 1H),1.65 (m, 1H),1.64 (m, 2H),1.30 (m, 1H),1.29 (m, 2H);HRMS (ESI) calcd. for C2223 [M+H] 434.1935;Found:434.1944。
【0085】
ステップN: (R)-3-[3-アミノ-4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル(I)
【化53】

室温で撹拌しながら、0.2Mの(R)-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{(7-ヒドロキシメチル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオニトリル(11a)(12g、27.7mmol、1.0eq.)のメタノール溶液に80%ヒドラジン水和物(8.7g、138mmol、5.0eq.)を滴下し、滴下終了後、加熱還流して、8時間反応させ、減圧下で濃縮させて溶媒を蒸発除去して、残渣を酢酸エチルで溶解して水で洗浄し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥させた。ろ過して、減圧下で濃縮させて、(R)-3-[3-アミノ-4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル(I)(7.7g、収率87%、ee値99.8%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 11.73 (s, 1H),8.79 (s, 1H),8.06 (s, 1H),7.32(d, J = 3.5 Hz, 1H),6.62 (d, J = 3.5 Hz, 1H),5.03 (s, 2H),4.05 (td, J = 9.5, 3.5 Hz, 1H),3.12 (dd, J = 17.1, 8.9 Hz, 1H),2.91 (dd, J = 17.1, 3.6 Hz, 1H),2.54 (m, 1H),1.74 (m, 1H),1.63 (m, 4H),1.27 (m, 1H),1.26(m, 2H);HRMS (ESI) calcd. for C1719 [M+H] 322.1775;Found:322.1783。
【0086】
実施例2
(3R)-3-{3-アミノ-4-{7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオニトリル(I)
【化54】
【0087】
ステップA: 2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}マロノニトリル(12a)
【化55】

室温で撹拌しながら、0.5Mの実施例1のステップEで得られた化合物(2)(141.9g、0.5mol、1.0eq.)のDMF溶液に、順次マロノニトリル(39.7g、0.6mol、1.2eq.)及び炭酸カリウム(207.3g、1.5mol、3.0eq.)を加え、120℃まで加熱して撹拌して6時間反応させ、室温まで冷却して、ろ過して、ろ液に精製水を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出し、水層を3MのHClでpH3.0に調整して、5~15℃で撹拌して結晶化させた。ろ過して、ろ過ケーキを水で洗浄して、50℃で送風乾燥させて、2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}マロノニトリル(12a)(145g、収率92.5%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ12.87 (brs, 1H),8.17 (s, 1H),7.54 (d, J = 3.6 Hz, 1H),6.99 (d, J = 3.6 Hz, 1H),5.54 (s, 2H),3.51 (t, J = 7.9 Hz, 2H),0.82 (t, J = 7.9 Hz, 2H),-0.09 (s, 9H);HRMS (ESI) calcd. for C1519OSi [M+H] 314.1432;Found:314.1439。
【0088】
ステップB: 3-アミノ-2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}アクリロニトリル(13a)
【化56】

室温で撹拌しながら、0.3Mの2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}マロノニトリル(12a)(141g、0.45mol)のDMF溶液に5% Pd/C(39.2g)を加え、撹拌して均一に混合して、水素化反応釜に加えて、水素ガスの圧力を1.0Mpaに制御して撹拌しながら24時間反応させ、ろ過して、ろ液に水を加えて結晶化させ、ろ過して、ろ過ケーキを水で洗浄して、45℃で送風乾燥させて、3-アミノ-2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}アクリロニトリル(13a)(136.2g、収率96%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ8.62 (s, 1H),8.50 (s, 1H),8.25 (s, 1H),8.07 (s, 1H),7.59 (d, J=3.4 Hz, 1H),7.13 (d, J=3.4 Hz, 1H),5.60 (d, J=16.3Hz, 2H),3.50 (t, J=7.9 Hz, 2H),0.81 (t, J=7.9 Hz,2H),-0.11 (s, 9H);HRMS (ESI) Cacld. for C1521OSi [M+H]316.1588;Found:316.1590。
【0089】
ステップC: (R)-3-{3-アミノ-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロパンアミド(14a)
【化57】

室温で撹拌しながら、0.5Mの3-アミノ-2-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}アクリロニトリル(13a)(101g、0.32mol、1.0eq.)のN-メチルピロリドン溶液に、実施例1のステップDで得られた化合物(6)(59.2g、0.48mol、1.2eq.)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(62g、0.48mol、1.5eq.)を順次加え、窒素保護下、120℃まで加熱して撹拌して12時間反応させ、室温まで冷却して、水を加えて反応をクエンチさせて、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を水で洗浄して、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、活性炭で脱色してろ過し、減圧下で濃縮させて、粘性残渣を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製をして、(R)-{3-アミノ-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロパンアミド(14a)(89.2g、収率59.4%、ee値100.0%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ 8.78 (s, 1H),7.95 (s, 1H),7.33 (d, J=3.7 Hz, 1H),6.67 (d, J=3.7 Hz, 1H),5.92 (s, 1H),5.66 (d, J=10.7Hz, 2H),5.45 (s, 1H),4.20 (td, J=10.5, 3.0 Hz, 1H),3.53 (t, J=8.5 Hz, 2H),2.99 (dd, J=14.5, 10.9Hz, 1H),2.67 (dd, J=14.4, 3.3Hz, 1H),1.84 (m, 1H),1.69 (m, 1H),1.60 (m, 2H),1.52 (m, 2H),1.28 (m, 2H),1.16 (m, 1H),0.92 (dd, J=8.9,7.7 Hz, 2H) ,-0.05 (s, 9H);HRMS (ESI) Cacld. for C2335Si [M+H] 470.2694;Found:470.2704。
【0090】
ステップD: (R)-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロパンアミド(9b)
【化58】

室温で撹拌しながら、0.2Mの(R)-{3-アミノ-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロパンアミド(14a)(40g、85.2mmol、1.0eq.)のトルエン溶液に無水コハク酸(11.9g、119mmol、1.4eq.)を加え、加熱還流して、撹拌して8時間反応させ、室温まで冷却して、減圧下で濃縮させて溶媒を蒸発除去して、酢酸エチルを加えて溶解し、水で洗浄し、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過して、ろ液を減圧下で濃縮させて、(R)-3-{3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロパンアミド(9b)(42.8g、収率91.2%)を得て、データは実施例1のステップKを参照すればよい。後続のステップは実施例1のステップL~Nと同様であった。
【0091】
実施例3
(3R)-3-{3-アミノ-4-{7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオニトリル(I)
【化59】
【0092】
ステップA: (R)-3-{3-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}}-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロパンアミド(9c)
【化60】
【0093】
室温で撹拌しながら、0.15Mの実施例2のステップCで得られた化合物(14a)(40g、85.2mmol、1.0eq.)のトルエン溶液に無水フタル酸(15.1g、0.1mol、1.2eq)を加え、加熱還流して、4時間反応させ、室温まで冷却して、減圧下で濃縮させて溶媒を除去し、酢酸エチルを加えて溶解し、飽和重炭酸ナトリウム、水、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過して、ろ液を減圧下で濃縮させて、(R)-3-{3-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}}-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロパンアミド(9c)(47.3g、収率92.5%)を得た。H-NMR (500 MHz, CDCl):δ8.45 (s, 1H),8.26 (s, 1H),7.94 (m, 2H),7.81 (m, 2H),7.33 (m, 1H),6.66 (d, J = 2.2 Hz, 1H),6.08 (s, 1Hs),5.60 (s, 2H),5.44 (s, 1H),4.46 (t, J = 10.5 Hz, 1H),3.50 (t, J = 8.4 Hz, 2H),3.12 (t, J = 12.5 Hz, 2H),2.77 (d, J = 13.5 Hz, 1H),2.59 (m, 1H),1.93 (m, 1H),1.73-1.60 (m, 5H),1.41-1.27 (m, 3H),0.89 (t, J = 8.1 Hz, 2H),-0.06 (s, 9H);HRMS (ES) Cacld. for C3137Si [M+H]600.2749;Found:600.2756。
【0094】
ステップB: (R)-3-{3-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}}-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル(10c)
【化61】

氷浴下で撹拌しながら、0.15Mの(R)-3-シクロペンチル-3-{3-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}}-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンアミド(9c)(45g、75mmol、1.0eq.)のジクロロメタン溶液にオキシ塩化リン(46g、0.3mol、4.0eq)を滴下し、室温下で撹拌して4時間反応させ、水を加えてクエンチさせて、分液して、水層をジクロロメタンで抽出して、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過して、減圧下で濃縮させて、(R)-3-{3-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}}-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル(10c)(40.1g、収率92%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ8.49 (1H, s),8.38 (s, 1H),7.94 (m, 2H),7.80 (m, 2H),7.34 (d, J = 3.7 Hz, 1H),6.68(d, J = 3.7 Hz, 1H),5.60 (d, J = 3.4 Hz, 2H),4.36 (m, 1H),3.50 (t, J = 8.1 Hz, 2H),3.16 (dd, J = 17.5, 7.4 Hz, 1H),3.07 (dd, J = 17.5, 4.1 Hz, 1H),2.85 (s, 1H),2.69 (m, 1H),2.01 (m,1H),1.76-1.62 (m, 5H),1.36-1.33 (m, 3H),0.89 (t, J = 8.1 Hz, 2H),-0.06 (s, 9H);HRMS (ESI) Cacld. for C3135Si [M+H]582.2643;Found:582.2653。
【0095】
ステップC: (R)-3-{3-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-[7-(ヒドロキシメチル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオニトリル(11b)
【化62】

室温で撹拌しながら、0.15Mの(R)-3-{3-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-{7-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル}}-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル(10c)(37.8g、65mmol、1.0eq.)のジクロロメタン溶液に47%三フッ化ホウ素エチルエーテル溶液(59g、0.2mol、3.0eq.)を滴下し、滴下終了後、室温で撹拌して4時間反応させて、減圧下で濃縮させて溶媒を蒸発除去して、酢酸エチルを加えて溶解し、10%NaOH溶液でpHを6~7に調整して、酢酸エチル層を水、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過して、減圧下で濃縮させて、(R)-3-{3-(1,3-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-[7-(ヒドロキシメチル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]-1H-ピラゾール-1-イル}-3-シクロペンチルプロピオニトリル(11b)(26.9g、収率86%)を得た。
H-NMR (500 MHz, CDCl):δ8.30 (s, 1H),8.23 (s, 1H),7.91 (m, 2H),7.77 (m, 2H),7.21 (d, J = 2.4 Hz, 1H),6.49 (d, J = 2.4 Hz, 1H),5.54 (q, J = 10.8 Hz, 2H),4.34 (m, 1H), 3.17 (dd, J = 17.2, 8.0 Hz, 2H),3.03 (dd, J = 17.2, 2.8 Hz, 1H),2.62 (m, 1H),1.95 (m, 1H),1.71-1.56 (m, 6H),1.33-1.24 (m, 4H);HRMS (ESI) Cacld. for C2623 [M+H] 482.1935;Found:482.1947。
【0096】
ステップD: (R)-3-[3-アミノ-4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル(I)
【化63】
【0097】
室温で撹拌しながら、0.2Mの(R)-3-[3-(2,5-ジオキソイソインドール-2-イル)-4-(7-ヒドロキシメチル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル(11b)(24.1g、50mmol、1.0eq.)のメタノール溶液に80%ヒドラジン水和物(15.6g、0.25mmol、5.0eq.)を滴下し、滴下終了後、加熱還流して、4時間反応させ、減圧下で濃縮させて溶媒を蒸発除去して、残渣を酢酸エチルで溶解して、水で洗浄し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過して、減圧下で濃縮させて、(R)-3-[3-アミノ-4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-シクロペンチルプロピオニトリル(14.7g、収率91.4%、ee値100.0%)を得て、データは実施例1のステップNを参照すればよい。