(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ルーバー構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 19/00 20060101AFI20220111BHJP
E04B 9/36 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
E04F19/00 D
E04B9/36
(21)【出願番号】P 2019062564
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2019-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大悟
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-144923(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1355362(KR,B1)
【文献】特許第6198260(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/00
E04F 13/00-13/30
E04B 9/30
E04B 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の天井部又は壁部の下地材上に
化粧リブ材が施工されて形成されるルーバー構
造であって、
上記化粧リブ材は、
上記下地材に固定可能な底部と、該底部の幅方向両端から互いに平行に延びる側壁部とにより断面コ字状に設けられ、上記底部が下地材に固定されたときに下地材と反対側に開口する木質材からなる中芯部材と、
上記中芯部材側に開口し、該中芯部材に中芯部材の開口側から該中芯部材を覆うように外嵌合される断面コ字状の化粧部材とを備え、
上記中芯部材の側壁部先端面は化粧部材の内底面に当接又は近接しており、
上記化粧部材は、化粧部材の側部から中芯部材の側壁部までを下地材側に向かうように斜めに貫通する固定具により中芯部材の少なくとも側壁部に固定され、かつ内側面が中芯部材の側壁部外面に接着されていることを特徴とする
ルーバー構造。
【請求項2】
請求項1において、
化粧リブ材の化粧部材が不燃材料からなることを特徴とする
ルーバー構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、
化粧リブ材の化粧部材の内底面に補強材が固定されていることを特徴とする
ルーバー構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの
ルーバー構造の施工方法であって、
下地材上に
化粧リブ材の中芯部材を底部にて中芯部材の開口側が下地材と反対側に向くように固定し、
上記中芯部材の側壁部外面又は化粧部材の内側面の少なくとも一方に接着剤を塗布した後、
化粧部材を中芯部材に該中芯部材の開口側から外嵌合し、
化粧部材の側部から中芯部材の側壁部までを下地材側に向かうように斜めに貫通する固定具により該化粧部材を中芯部材の少なくとも側壁部に固定することを特徴とする
ルーバー構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧リブ材により形成されるルーバー構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の化粧リブ材は、建物の天井部や壁部に施工されてルーバー天井やルーバー壁として利用される。例えば特許文献1に示されるように、化粧リブ材からなる複数本の天井ルーバーを、天井部に吊り下げられたストリンガーに対しそれと直交するように配置し、各天井ルーバーを上端部でストリンガーに固定することにより、天井部を透かし構造としたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような化粧リブ材として、その下地材側の裏面に凹溝が形成されたものが考えられる。このものでは、予め下地材に断面矩形状の受け材を固定しておいて、その受け材を化粧リブ材の凹溝に嵌合し、その状態で化粧リブ材の側面からネイル(釘)を受け材まで達するように打ち込んで、化粧リブ材を受け材に固定するようにする。こうすれば、施工時には下地材に受け材を固定して、それに化粧リブ材を取り付けるだけで済み、これらの作業を完成後の天井部の上側や壁部の裏側でなく、天井部の下側や壁部の表側から容易に行うことができる。しかも、化粧リブ材の側面からネイルを打ち込むことで、化粧リブ材の表面から打ち込むときのように、釘頭が見えたり長いネイルが必要になったりすることはない利点が得られる。
【0005】
しかし、その場合、化粧リブ材の側面からネイルを受け材まで達するように打ち込むので、化粧リブ材側面のネイルの打ち込み位置は下地材に近い位置となる。そうすると、ルーバー天井やルーバー壁の施工時には複数の化粧リブ材を例えば一定ピッチの間隔をあけて並べて施工することから、その化粧リブ材間のスペース(空間)に釘打ち工具を下地材近くの奥部まで入れた状態でネイルを打ち込む必要があり、その作業が面倒になる。特に化粧リブ材の高さ(下地材から化粧リブ材表面までの寸法)が高いときには顕著となる。
【0006】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、化粧リブ材の構造にさらに改良を加えることで、化粧リブ材側面の固定具の打ち込み位置を下地材から離れた位置として、化粧リブ材への固定具の打ち込み作業を容易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成すべく、この発明では、化粧リブ材は、開口側が下地材と反対側に位置した状態で下地材に取り付けられる受け材としての断面コ字状の中芯部材と、中芯部材に外嵌合状態で組み付けられる断面コ字状の化粧部材とを備えたものとし、化粧部材は断面コ字状の中芯部材にその開口側端部でネイル等の固定具で固定されるようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明は、建物の天井部又は壁部の下地材上に化粧リブ材が施工されて形成されるルーバー構造が対象であって、上記化粧リブ材は、上記下地材に固定可能な底部、及び該底部の幅方向両端から互いに平行に延びる側壁部により断面コ字状に設けられかつ上記底部が下地材に固定されたときに下地材と反対側に開口する木質材からなる中芯部材と、この中芯部材側に開口し、該中芯部材に中芯部材の開口側から該中芯部材を覆うように外嵌合される断面コ字状の化粧部材とを備え、上記中芯部材の側壁部先端面は化粧部材の内底面に当接又は近接しており、化粧部材は、化粧部材の側部から中芯部材の側壁部までを下地材側に向かうように斜めに貫通する固定具により中芯部材の少なくとも側壁部に固定され、かつ内側面が中芯部材の側壁部外面に接着されていることを特徴とする。
【0009】
この第1の発明のルーバー構造では、化粧リブ材における木質材からなる中芯部材は断面コ字状に設けられ、その底部が下地材に固定されることで、底部の幅方向両端から互いに平行に延びる側壁部が下地材から離れる側に向き、両側壁部先端間の開口が下地材と反対側に開いた状態となる。この中芯部材に対し、中芯部材側に開口する断面コ字状の化粧部材が中芯部材の開口側から中芯部材を覆うように外嵌合されて、中芯部材の側壁部先端面が化粧部材の内底面に当接又は近接し、この化粧部材は、化粧部材の側部から中芯部材の側壁部までを下地材側に向かうように斜めに貫通する固定具により中芯部材の少なくとも側壁部に固定され、かつ化粧部材の内側面が中芯部材の側壁部外面に接着される。
【0010】
そのとき、中芯部材及び化粧部材は共に断面コ字状の部材であり、化粧部材の側部から中芯部材の側壁部までを下地材側に向かうように斜めに貫通する固定具は中芯部材の少なくとも側壁部に固定されるので、化粧部材の側部における固定具の打ち込み位置は中芯部材の開口側で下地材から離れた位置にし、その打ち込みの向きも下地材側に向かうように斜めにすることができる。そのため、複数の化粧リブ材を間隔をあけて並べて下地材に固定してルーバー天井やルーバー壁を施工する際に、固定具を打ち込むための作業工具を複数の化粧リブ材間のスペースの下地材近くの奥部まで入れた状態で作業する必要がなくなり、下地材から離れた位置で打ち込み作業をすればよく、化粧リブ材間のピッチが狭くても、固定具の打ち込み作業が容易になって作業性や施工性を高めることができ、特に化粧リブ材の高さ(下地材から化粧リブ材表面までの寸法)が高いときには有利となる。
【0011】
しかも、中芯部材の側壁部先端面が化粧部材の内底面に当接又は近接しているので、その側壁部先端面が下地材から離れて側壁部の長さが長くなり、その結果、化粧部材における固定具の打ち込み位置が下地材からさらに離れた位置になり、固定具の打ち込み作業がより一層容易になる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、化粧リブ材の化粧部材が不燃材料からなることを特徴とする。こうすると、不燃性化粧リブ材への固定具の打ち込み作業を容易化することができる。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、化粧リブ材の化粧部材の内底面に補強材が固定されていることを特徴とする。このことにより、化粧部材が内底面で補強材により補強されて強度が大きくなり、その化粧部材が衝撃等により破損し易い材料であっても、施工現場等での破損を防ぐことができる。
【0014】
第4の発明は、第1~第3の発明のいずれか1つのルーバー構造の施工方法であって、下地材上に化粧リブ材の中芯部材を底部にて中芯部材の開口側が下地材と反対側に向くように固定し、上記中芯部材の側壁部外面又は化粧部材の内側面の少なくとも一方に接着剤を塗布した後、化粧部材を中芯部材に該中芯部材の開口側から外嵌合し、化粧部材の側部から中芯部材の側壁部までを下地材側に向かうように斜めに貫通する固定具により該化粧部材を中芯部材の少なくとも側壁部に固定することを特徴とする。
【0015】
この第4の発明では、ルーバー構造の施工時、化粧リブ材の中芯部材が底部にて固定具により下地材上に固定され、その固定状態では中芯部材の開口側が下地材と反対側に向いている。次いで、中芯部材の側壁部外面又は化粧部材の内側面の少なくとも一方に接着剤が塗布され、その後、化粧部材が中芯部材に該中芯部材の開口側から外嵌合される。この外嵌合状態で、化粧部材に固定具が打ち込まれ、固定具は化粧部材の側部から中芯部材の側壁部までを下地材側に向かうように斜めに貫通して中芯部材の少なくとも側壁部に達し、この固定具により化粧部材が中芯部材に固定される。このようにすることで、化粧リブ材が下地材上に固定され、複数の化粧リブ材間のピッチが狭くても、固定具の打ち込み作業が容易になって作業性や施工性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明のように、本発明のルーバー構造によると、化粧リブ材の中芯部材を断面コ字状として、化粧部材も中芯部材に外嵌合される断面コ字状とし、化粧部材を中芯部材に外嵌合したときに中芯部材の側壁部先端面を化粧部材の内底面に当接又は近接させ、化粧部材の側部に打ち込まれる固定具が該化粧部材の側部から中芯部材の側壁部までを下地材側に向かうように斜めに貫通して中芯部材の少なくとも側壁部に達するようにしたことにより、化粧部材の側部における固定具の打ち込み位置を下地材から離れた位置にすることができ、複数の化粧リブ材間のピッチが狭くても、固定具の打ち込み作業が容易になって作業性や施工性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る化粧リブ材の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、化粧リブ材が施工されたルーバー構造を示す断面図である。
【
図5】
図5は、複数の化粧リブ材を天井部に固定してルーバー天井を施工する場合に中芯部材の野縁への固定状態を下側から見て示す平面図である。
【
図6】
図6は、中芯部材を野縁へ固定しようとする状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、化粧部材への接着剤の塗布状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、化粧部材にネイルを打ち込む状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0019】
図1は本発明の実施形態に係る化粧リブ材A(ルーバー材)を示し、
図4は、その化粧リブ材Aが施工されたルーバー構造を示す。この化粧リブ材Aは、
図5、
図6及び
図8に示すように、例えば建物の天井部の下地材としての野縁B,B,…(天井野縁)上にルーバー構造を形成するために施工される。野縁Bは、例えば鉄等の金属で中空角筒状(図では中空状に記載していない)に形成されている。野縁Bは、この他、金属だけでなく木製の角材等であってもよい。
【0020】
化粧リブ材Aは、受け部材としての中芯部材1と、この中芯部材1に組み付けられる化粧部材5とを備えている。中芯部材1は、
図2に示すように、厚板状の底部1aと(
図2で上下方向を厚さ方向とする)、この底部1aの幅方向(
図2で左右方向)の両端から互いに平行に同じ寸法だけ延びる板状の1対の側壁部1b,1bとにより断面コ字状の長尺部材に設けられている。底部1aは例えばその厚さ方向に積層された例えば厚さ21mmの積層合板で形成され、各側壁部1bは底部1aの厚さ方向を幅方向とした例えば厚さ2.4mmの合板からなっていて、底部1aの幅方向端面に一体的に接着されている。中芯部材1の底部1aは、
図4~
図6に示すように、上記野縁B(下地材)上に裏面が当接した状態で底部1aを厚さ方向に貫通するビスV(固定具)により固定可能とされ、その底部1aで野縁Bに固定されたときに中芯部材1は野縁Bと反対側である下側に開口するようになっている。
【0021】
尚、中芯部材1は、底部1aに側壁部1b,1bを一体的に接合した上記の構造に限定されず、底部と側壁部によって断面コ字状に形成されていさえすればよいものである。このような断面コ字状の形状によってその底部の厚さを薄くできるようになる。そのため、化粧リブ材A(ルーバー材)を天井に施工する際は少しでも軽くなって施工において有利となるだけでなく、地震等への耐久性においても有利となる。また、ビスV(固定具)も短いものが使用できるので、施工作業を容易にかつ短時間で行うことができる利点も生じる。
【0022】
一方、
図3に示すように、上記化粧部材5も一側に開口する断面コ字状のもので、板状の正面部5aと、この正面部5aの幅方向両端部から互いに同じ向きに平行に同じ寸法だけ延びる板状の1対の側部5b,5bとを有し、これらは例えば火山性ガラス質複層板やその他の無機材料等の不燃材料からなっている。この化粧部材5は、長尺状板材の幅方向中間部に長さ方向に延びる複数の切欠きを形成し、その切欠きで直角に折り曲げて断面コ字状としたものであり、詳細な構造については本願の出願人が既に出願している(特願2017-212538号明細書及び図面参照)。
【0023】
化粧部材5の両側部5b,5b内面間の距離d2は中芯部材1の側壁部1b,1b外面間の距離d1よりも一定の寸法だけ大きく(d2>d1)、化粧部材5の内底面である正面部5a内面から側部5b先端面までの距離d4は中芯部材1の側壁部1b外面の幅d3と同じか若干大きくなっている。
【0024】
そして、化粧部材5の中芯部材1への組付状態では、
図4及び
図8に示すように、化粧部材5は中芯部材1に対し、化粧部材5の開口部を中芯部材1の開口部に対向させた状態で、中芯部材1の開口側から該中芯部材1の全体を覆うように外嵌合されている。そのとき、中芯部材1の各側壁部1b先端面は化粧部材5の内底面である正面部5a内面に当接しているか、或いは若干のクリアランスをあけて近接している。
【0025】
また、化粧部材5の各側部5b内面と中芯部材1の各側壁部1b外面との間には、上記距離d2,d1間の差により例えば0.75mm程度の一定のクリアランスが形成され、このクリアランスに接着剤Sが充填されており、化粧部材5は、各側部5b内面が中芯部材1の各側壁部1b外面に接着剤Sにより接着されている。また、化粧部材5の各側部5b外面においてその基端寄り部分には固定具としてのピン状のネイルN(釘)が斜め上側に打ち込まれ、このネイルNは化粧部材5の各側部5bを貫通して中芯部材1の各側壁部1b先端寄り部分に到達しそれを貫通している。このことで、化粧部材5は中芯部材1の側壁部1bに、接着剤Sによる接着に加え、化粧部材5の側部5bを貫通するネイルN(固定具)により固定されている。
【0026】
尚、ネイルNは、その長さが長い場合に、中芯部材1の側壁部1bから底部1aまで到達するように固定されていてもよい。さらに、ネイルNは、化粧部材5の両側部5b,5bの両方ではなく、その一方のみに打ち込んで、それに重なっている中芯部材1の側壁部1bに固定するようにしてもよい。
【0027】
次に、上記化粧リブ材Aによりルーバー構造の天井(ルーバー天井)を施工する方法について説明する。
図5及び
図6に示すように、建物の天井部に予め複数の野縁B,B,…(下地材)が平行に並んで固定されており、その野縁B,B,…に複数の化粧リブ材A,A,…を固定する場合には、各化粧リブ材Aの中芯部材1を開口が下側(野縁Bと反対側)に向いた状態で野縁Bと直交するように配置し、その中芯部材1の底部1aを、それを貫通するビスV(固定具)により野縁Bに固定する。
【0028】
次に、
図7に示すように、化粧部材5の各側部5b先端部側の内面に線状の接着剤Sを長さ方向に沿って連続するように塗布した後、その化粧部材5を開口部が上側に向くように配置し(この状態では、化粧部材5の開口部が中芯部材1の開口部に上下に対向する)、その化粧部材5を中芯部材1に向かうように押し上げて中芯部材1の開口側から外嵌合する。このとき、化粧部材5の側部5b先端部側の内面に塗布されている接着剤Sは、化粧部材5の上昇移動に伴って下方向に伸ばされながら化粧部材5の側部5b内面と中芯部材1の側壁部1b外面との間の略全体近くまで拡がり、これら化粧部材5の側部5b内面と中芯部材1の側壁部1b外面とが全体的に接着剤Sによって接着される。尚、接着剤Sは、化粧部材5の側部5b内側面に代えて、中芯部材1の側壁部1b外面(その先端寄り部分)に塗布してもよく、中芯部材1の側壁部1b外面及び化粧部材5の側部5b内側面の双方に塗布することもできる。
【0029】
こうして化粧部材5を上昇端位置まで押し上げると、
図8に示すように、化粧部材5の側部5b先端面(上端面)が野縁B下面に当接ないし近接し、その化粧部材5内に中芯部材1の全体が収容されて、中芯部材1が外側に露出しない状態となる。そのため、化粧部材5が不燃材料であることで、ルーバー天井の不燃性を高めることができる。
【0030】
しかる後、同じ
図8に示すように、化粧部材5の各側部5b外面における基端寄り部分に固定具としてのネイルN(釘)を図外の釘打ち工具によって斜め上側に打ち込む。このことで、ネイルNを化粧部材5の各側部5bに貫通させて中芯部材1の各側壁部1b先端寄り部分に到達させ、それに貫通した状態で固定させる。以上により、1つの化粧部材5の固定が完了し、以後は他の化粧部材5の取付固定を上記と同様に行う。上記ネイルNは、化粧部材5を中芯部材1に固定する役割があるが、両部材1,5は基本的に接着剤Sで固定されるので、主としてその接着剤Sが硬化するまで仮止めするための役割の方が大きい。
【0031】
したがって、上記実施形態においては、化粧リブ材Aにおける中芯部材1が断面コ字状に設けられ、その底部1aが野縁B(下地材)上に固定されることで、中芯部材1は、底部1aの幅方向両端から互いに平行に延びる板状の側壁部1b,1bが野縁Bから離れる下側に向き、両側壁部1b先端間の開口が野縁Bと反対の下側に開いた状態となる。この中芯部材1に対し断面コ字状の化粧部材5が中芯部材1の開口側(上側)から中芯部材1を覆うように外嵌合され、この化粧部材5は、化粧部材5の各側部5bを貫通するネイルN(固定具)により中芯部材1の側壁部1bに固定され、かつ化粧部材5の内側面が中芯部材1の側壁部1b外面に接着剤Sにより接着されている。
【0032】
そのとき、中芯部材1は断面コ字状の部材であり、化粧部材5の側部5bから中芯部材1の側壁部1bまでを野縁B(下地材)側に向かうように斜めに貫通するネイルNが中芯部材1の側壁部1bに固定されるので、化粧部材5におけるネイルNの打ち込み位置は野縁Bから離れた下側の位置にすることができる。そのため、
図8に示すように、複数の化粧リブ材A,A,…を間隔をあけて並べて野縁B,B,…に固定してルーバー天井を施工する際に、隣接する化粧リブ材A,A間のピッチが狭くても、釘打ち作業では、ネイルNを打ち込むための釘打ち工具を化粧リブ材A,A間のスペースの野縁B近くの奥部(上部)まで挿入した状態で釘打ちする必要はなくなり、その釘打ち工具を化粧リブ材A,A間のスペースの開口側(下部)に位置付けて、野縁Bから離れた下側位置で釘打ちすればよく、釘Nの打ち込み作業が容易になって作業性や施工性を高めることができる。これは、特に化粧リブ材Aの高さ(野縁Bから化粧リブ材A表面までの寸法)が高いときには有利となる。
【0033】
また、中芯部材1の側壁部1b先端面が化粧部材5の内底面に当接又は近接していることにより、その側壁部1b先端位置が野縁Bから離れて、側壁部1bの長さが長くなる。その結果、化粧部材5における釘Nの打ち込み位置を野縁Bからさらに離れた位置に設定することができ、釘Nの打ち込み作業がより一層容易になる。
【0034】
また、化粧部材5が例えば火山性ガラス質複層板等の不燃材料であると、化粧リブ材Aは不燃性化粧リブ材となり、その不燃性化粧リブ材Aを並べて施工したルーバー天井の不燃性を高めることができる。そして、その不燃性化粧リブ材Aへの釘Nの打ち込み作業が容易化になる。
【0035】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、化粧リブ材Aにおける化粧部材5を火山性ガラス質複層板等の不燃材料により形成しているが、ルーバー構造に不燃性が要求されない場合は、化粧部材5を不燃材料ではない材料、例えばMDF等の木質材により形成してもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、建物の天井部における野縁B,B,…(下地材)に複数の化粧リブ材A,A,…を固定したルーバー天井の施工構造であるが、本発明の化粧リブ材Aは、建物の壁部に施工されるルーバー構造の壁(ルーバー壁)にも用いることができる。その場合、
図4~
図6、
図8に示されている野縁Bを、建物の壁部に固定されている横方向又は縦方向の複数本の胴縁(下地材)と見倣し、それに複数の化粧リブ材A,A,…を胴縁と直交するように取付固定すればよく、その取付構造は上記実施形態と同様であり、施工方法も同様となる。このことで、化粧リブ材Aが建物の壁部に施工されているルーバー壁が得られる。
【0037】
さらに、上記実施形態において、化粧部材5の内部底面(
図3では正面部5aの下面)に板状の補強材を接着によって固定するようにしてもよく、特に化粧リブ材Aが建物の壁部に施工される上記ルーバー壁の場合に好ましい。
【0038】
その場合、化粧部材5の正面部5a内面から側部5b先端面までの距離d4を中芯部材1の側壁部1b外面の幅d3よりもある程度大きくして、中芯部材1の各側壁部1b先端面と化粧部材5の正面部5a内面との間に大きなクリアランスをあけておき、そのクリアランスに補強材を配置して化粧部材5の正面部5a内面に接着させればよい。補強材は、中芯部材1と同様に合板等で形成される。
【0039】
このように、化粧部材5内底面に補強材が固定されていると、化粧部材5は内底面で補強材により補強されて強度が大きくなり、その化粧部材5が他のものに当たったときの衝撃等により破損し易い材料であっても、例えば施工現場等での破損を防ぐことができる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、複数の化粧リブ材間のピッチが狭くても、固定具の打ち込み作業が容易になって作業性や施工性を高めることができ、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0041】
A 化粧リブ材
B 野縁
V ビス(固定具)
S 接着剤
N ネイル(固定具)
1 中芯部材
1a 底部
1b 側壁部
5 化粧部材
5a 正面部
5b 側部