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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】タッチパネル装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220111BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/041 512
G06F3/044 124
G06F3/041 430
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019144524
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2021026538
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】三橋 翼
(72)【発明者】
【氏名】冬木 敏光
(72)【発明者】
【氏名】田畑 裕一
(72)【発明者】
【氏名】田口 雄飛
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/129482(WO,A1)
【文献】特表2013-515302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0231853(US,A1)
【文献】特開2015-018362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検出領域がマトリクス状に配置され、
各前記検出領域に対応して送信配線と受信配線が形成され、
一の方向に、前記送信配線が配置された送信配線配置領域と、前記検出領域と、前記受信配線が配置された受信配線配置領域とが並ぶように形成されており、
或る前記検出領域から前記一の方向に前記受信配線配置領域と前記送信配線配置領域を介した次の前記検出領域までの間隔幅をBW、
前記検出領域の前記一の方向における幅をAW、
タッチ径をTCとしたときに、
AW+2×BW-TC
から算出される値が座標位置精度の目標値よりも小さくなる
タッチパネル装置。
【請求項2】
TC>AW+2×BW
が満たされる
請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
AW>BW
が満たされる
請求項1又は請求項2に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
複数の検出領域がマトリクス状に配置され、
各前記検出領域に対応して送信配線と受信配線が形成され、
一の方向に、前記送信配線が配置された送信配線配置領域と、前記検出領域と、前記受信配線が配置された受信配線配置領域とが並ぶように形成されており、
前記一の方向における端部の前記検出領域から前記受信配線配置領域と前記送信配線配置領域を介して隣り合う前記検出領域までの間隔幅をBW、
前記端部の検出領域の前記一の方向における幅をAW、
タッチ径をTCとしたときに、
AW+BW-TC/2
から算出される値が座標位置精度の目標値よりも小さくなる
タッチパネル装置。
【請求項5】
前記端部の検出領域の前記一の方向における幅は、前記隣り合う検出領域の前記一の方向における幅よりも狭い
請求項4に記載のタッチパネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネル装置に関し、特にタッチパネルの構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルに関して各種の技術が知られており、下記特許文献1には同時に2組(一対の送信信号線と一対の受信信号線)の信号線(電極)のセンシングを行ってタッチ操作位置の検出を行うことで解像度を向上させるセンシング技術が開示されている。
また下記特許文献2には、X、Y方向の電極配線において電極が交差する部分を設けないようにした、いわゆるシングルレイヤ電極構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-219961号公報
【文献】特開2010-182277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネルにおいてタッチ操作位置の検出精度を維持又は向上させることは重要である。静電容量方式のタッチパネルでは基板上に複数のセンサセルがパターン形成され、スキャンの際に、タッチ操作による当該センサセルの容量変化に応じた信号線からの信号電圧の変化や差分を検出することにより、タッチ操作の位置を検出することになる。
このとき、当該センサセルの構造が、容量変化に応じた信号線からの信号電圧の変化や差分の検出精度に影響を与え、タッチパネルにおけるタッチ操作位置の検出精度を左右することがある。
【0005】
そこで本発明では、センサセル構造の設計を工夫することで、タッチパネルにおけるタッチ操作位置の検出精度を維持又は向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタッチパネル装置は、複数の検出領域がマトリクス状に配置され、各検出領域に対応して送信配線と受信配線が形成され、一の方向に、前記送信配線が配置された送信配線配置領域と、前記検出領域と、前記受信配線が配置された受信配線配置領域とが並ぶように形成されており、或る前記検出領域から前記一の方向に前記受信配線配置領域と前記送信配線配置領域を介した次の前記検出領域までの間隔幅をBW、前記検出領域の前記一の方向における幅をAW、タッチ径をTCとしたときに「AW+2×BW-TC」から算出される値が座標位置精度の目標値よりも小さくなる。
これにより、タッチ操作位置の検出の際に、センサセル群におけるセンサセルの検出領域が、周りのセンサセルの検出領域の影響を受けやすくなるように検出領域の一の方向における幅、及び当該検出領域から一の方向に受信配線配置領域と送信配線配置領域を介した次の検出領域までの間隔幅が設定される。
タッチ径とは、例えば指などの導電体によりタッチパネルをタッチ操作する場合における、当該タッチパネルに対する接触面の左右方向における幅として想定される値のことである。
【0007】
上記した本発明に係るタッチパネル装置において、「TC>AW+2×BW」が満たされることが考えられる。
これにより、タッチ径TCが、複数の検出領域に跨がるように、検出領域の一の方向における幅、及び当該検出領域から一の方向に受信配線配置領域と送信配線配置領域を介した次の検出領域までの間隔幅が形成される。
【0008】
上記した本発明に係るタッチパネル装置では、「AW>BW」が満たされることが考えられる。
検出領域が大きくなることで、タッチ操作位置の検出の際に、センサセル群におけるセンサセルの検出領域が、周りのセンサセルの検出領域の影響を受けやすくなる。
【0009】
また本発明に係るタッチパネル装置は、複数の検出領域がマトリクス状に配置され、各検出領域に対応して送信配線と受信配線が形成され、一の方向に、前記送信配線が配置された送信配線配置領域と、前記検出領域と、前記受信配線が配置された受信配線配置領域とが並ぶように形成されており、前記一の方向における端部の前記検出領域から前記受信配線配置領域と前記送信配線配置領域を介して隣り合う前記検出領域までの間隔幅をBW、前記端部の検出領域の前記一の方向における幅をAW、タッチ径をTCとしたときに、「AW+BW-TC/2」から算出される値が座標位置精度の目標値よりも小さくなる。
これにより、タッチ操作位置の検出の際に、端部のセンサセルの検出領域が、周りのセンサセルの検出領域の影響を受けやすくなるように端部の検出領域の一の方向における幅及び端部の検出領域から受信配線配置領域と送信配線配置領域を介して隣り合う検出領域までの間隔幅が設定される。
「TC/2」は、タッチ径TCの値を2分の1することを示している。
【0010】
上記した本発明に係るタッチパネル装置において、前記端部の検出領域の前記一の方向における幅は、前記隣り合う検出領域の前記一の方向における幅よりも狭いことが考えられる。
これにより、タッチパネルの端部におけるタッチ操作位置の検出の際に、センサセル群におけるセンサセルの検出領域が、周りのセンサセルの検出領域の影響を受けやすくなる。
【0011】
さらに本発明に係るタッチパネル装置は、複数の検出領域がマトリクス状に配置され、各検出領域に対応して送信配線と受信配線が形成され、一の方向に、前記送信配線が配置された送信配線配置領域と、前記検出領域と、前記受信配線が配置された受信配線配置領域とが並ぶように形成されており、前記複数の検出領域の前記一の方向における中央部から端部に向かって連続して設けられている各前記検出領域の面積が、前記一の方向に向かうに従って略一定の割合で小さくなっていくようにされている。
これにより、隣り合う検出領域の面積差により生じる静電容量変化が軽減される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タッチパネルにおけるタッチ操作位置の検出精度を維持又は向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態のタッチパネル装置のブロック図である。
図2】実施の形態のタッチパネルの信号線構造の説明図である。
図3】実施の形態のセンシング動作の説明図である。
図4】実施の形態のシングルレイヤ電極構造の説明図である。
図5】実施の形態のセンサセル構造の説明図である。
図6】実施の形態の左右方向に連続するセンサセルの説明図である。
図7】実施の形態の図6のM-M線断面図である。
図8】実施の形態の重心値に対応する位置座標の関係を示すグラフである。
図9】実施の形態のセンサセル構造の説明図である。
図10】実施の形態の左右方向に連続するセンサセルの説明図である。
図11】実施の形態の図9のm-m線断面図である。
図12】実施の形態の重心値に対応する位置座標の関係を示すグラフである。
図13】実施の形態の端部のセンサセルの説明図である。
図14】実施の形態の図13のN-N線断面図である。
図15】実施の形態の重心値に対応する位置座標の関係を示すグラフである。
図16】実施の形態の端部のセンサセルの説明図である。
図17】実施の形態の図16のn-n線断面図である。
図18】実施の形態の重心値に対応する位置座標の関係を示すグラフである。
図19】実施の形態の左右方向に連続するセンサセルの説明図である。
図20】実施の形態の各センサセルの静電容量変化を示す図である。
図21】実施の形態の左右方向に連続するセンサセルの説明図である。
図22】実施の形態の各センサセルの静電容量変化を示す図である。
図23】実施の形態のセンサセル構造の変型例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。なお、一度説明した構成については以降同一符号を付し、説明を省略するものとする。
<1.タッチパネル装置の構成>
<2.センシング動作>
<3.タッチパネルの電極配置構造>
<4.第1の実施の形態>
<5.第2の実施の形態>
<6.第3の実施の形態>
<7.まとめ及び変型例>
【0015】
<1.タッチパネル装置の構成>
実施の形態のタッチパネル装置1の構成例を図1に示す。
タッチパネル装置1は、各種機器においてユーザインターフェース装置として装着される。ここで各種機器とは、例えば電子機器、通信機器、情報処理装置、製造設備機器、工作機械、車両、航空機、建物設備機器、その他非常に多様な分野の機器が想定される。タッチパネル装置1は、これらの多様な機器製品においてユーザの操作入力に用いる操作入力デバイスとして採用される。
図1ではタッチパネル装置1と製品側MCU(Micro Control Unit)6を示しているが、製品側MCU6とは、タッチパネル装置1が装着される機器における制御装置を示しているものである。タッチパネル装置1は製品側MCU6に対してユーザのタッチパネル操作の情報を供給する動作を行うことになる。
【0016】
タッチパネル装置1は、タッチパネル2と、タッチパネル駆動装置3を有する。
タッチパネル駆動装置3はセンサIC(Integrated Circuit)4とMCU5を有する。
このタッチパネル駆動装置3は、タッチパネル側接続端子部31を介してタッチパネル2と接続される。この接続を介してタッチパネル駆動装置3はタッチパネル2の駆動(センシング)を行う。
また操作入力デバイスとして機器に搭載される際には、タッチパネル駆動装置3は製品側接続端子部32を介して製品側MCU6と接続される。この接続によりタッチパネル駆動装置3は製品側MCU6にセンシングした操作情報を送信する。
【0017】
タッチパネル駆動装置3におけるセンサIC4は、送信回路41、受信回路42、マルチプレクサ43、インターフェース・レジスタ回路44、電源回路45を有する。
【0018】
センサIC4の送信回路41は、マルチプレクサ43によって選択されたタッチパネル2における端子に対して送信信号を出力する。また受信回路42は、マルチプレクサ43によって選択されたタッチパネル2における端子から信号を受信し、必要な比較処理等を行う。
図2に、送信回路41、受信回路42、マルチプレクサ43とタッチパネル2の接続状態を模式的に示す。
タッチパネル2は、タッチ面を形成するパネル平面に、送信側の電極としてのn本の送信信号線21-1から21-nが配設される。
また同じくパネル平面に、受信側の電極としてのm本の受信信号線22-1から22-mが配設される。
なお送信信号線21-1・・・21-n、受信信号線22-1・・・22-mを特に区別しない場合は、総称として「送信信号線21」「受信信号線22」と表記する。
【0019】
送信信号線21-1・・・21-nと、受信信号線22-1・・・22-mは、図示するように交差して配設される場合もあれば、いわゆるシングルレイヤ電極構造として、以下の実施の形態で述べるように交差が生じないように配設される場合もある。いずれにしても送信信号線21と受信信号線22が配設される範囲内でタッチ操作面が形成され、タッチ操作時の容量変化により操作位置が検出される構造となる。
図では送信信号線21と受信信号線22の間で生じる静電容量を一部のみ例示している(容量C22,C23,C32,C33)が、タッチ操作面の全体に、送信信号線21と受信信号線22の間で生じる静電容量(例えば交差位置における容量)が存在し、タッチ操作により容量変化が生じた位置が受信回路42により検出されることとなる。
【0020】
送信回路41は、マルチプレクサ43により選択された送信信号線21-1・・・21-nに対して送信信号を出力する。本実施の形態では、マルチプレクサ43が各タイミングで2本ずつ隣接する送信信号線21を選択していく走査を行う。
受信回路42は、マルチプレクサ43により選択された受信信号線22-1・・・22-mからの受信信号を受信する。本実施の形態では、マルチプレクサ43が各タイミングで2本ずつ隣接する受信信号線22を選択していく。
送信回路41、受信回路42によるセンシング動作については後述する。
【0021】
図1に戻って説明する。センサIC4のインターフェース・レジスタ回路44には、送信回路41、マルチプレクサ43、受信回路42、電源回路45に対する各種の設定情報がMCU5によって書き込まれる。送信回路41、マルチプレクサ43、受信回路42、電源回路45は、それぞれインターフェース・レジスタ回路44に記憶された設定情報によって動作が制御される。
またインターフェース・レジスタ回路44には、受信回路42により検出された検出値(説明上「RAW値」ともいう)を記憶し、MCU5が取得できるようにしている。
【0022】
電源回路45は、駆動電圧AVCCを生成し、送信回路41,受信回路42に供給する。後述するが、送信回路41は駆動電圧AVCCを用いたパルスをマルチプレクサ43によって選択された送信信号線21に印加する。
また受信回路42は、センシング動作の際に、マルチプレクサ43によって選択された受信信号線22に対して駆動電圧AVCCを印加することも行う。
電源回路45の構成については後に詳述する。
【0023】
MCU5はセンサIC4の設定、制御を行う。具体的にはMCU5はインターフェース・レジスタ回路44に対して必要な設定情報を書き込むことで、センサIC4の各部の動作を制御する。
またMCU5は受信回路42からのRAW値をインターフェース・レジスタ回路44から読み出すことで取得する。そしてMCU5は、RAW値を用いて座標計算を行い、ユーザのタッチ操作位置情報としての座標値を製品側MCU6に送信する処理を行う。
【0024】
<2.センシング動作>
以上の構成のタッチパネル装置1によるセンシング動作について説明する。
まず図3によりタッチパネル2に対する送信回路41、受信回路42の動作を説明する。図ではタッチパネル2において2つの送信信号線21-2、21-3と、2つの受信信号線22-2、22-3を示している。
本実施の形態の場合、先の図2に示したような送信信号線21、受信信号線22に対して、送信回路41と受信回路42が、それぞれ隣接する2本ずつ送信、受信を行っていくことでタッチ操作の検出を行うものとなる。つまり一対の送信信号線21と一対の受信信号線22の2本×2本を基本セルとして、順次セル単位で検出走査を行う。図3では、その1つのセル部分を示していることになる。
【0025】
送信回路41は、2本の送信信号線21(図の場合では21-2,21-3)に対して、ドライバ411,412から駆動電圧AVCC1を出力する。つまりドライバ411,412の出力である送信信号T+、T-がマルチプレクサ43によって選択された送信信号線21-2,21-3に供給される。
なお、駆動電圧AVCC1は、図1の電源回路45が生成する駆動電圧AVCC自体、もしくは駆動電圧AVCCに基づく電圧である。
この場合、送信回路41は、ドライバ411からの送信信号T+は図示のように、アイドル(Idle)期間をロウレベル(以下「Lレベル」と表記)とする。例えば0Vとする。そして続くアクティブ(Active)期間にはハイレベル(以下「Hレベル」と表記)とする。この場合、Hレベルの信号として具体的には駆動電圧AVCC1の印加を行う。
また送信回路41は、もう一つのドライバ412からの送信信号T-は、アイドル期間をHレベル(駆動電圧AVCC1の印加)とし、続くアクティブ期間はLレベルとする。
ここで、アイドル期間は受信信号R+、R-の電位を安定させる期間であり、アクティブ期間は受信信号R+、R-の電位変化をセンシングする期間となる。
【0026】
このアイドル期間、アクティブ期間において、受信回路42はマルチプレクサ43によって選択された2つの受信信号線22(図の場合では22-3,22-2)からの受信信号R+、R-を受信する。
受信回路42は、コンパレータ421、基準容量部422、スイッチ423,425、計測用容量部424、演算制御部426を備えている。
2つの受信信号線22からの受信信号R+、R-はコンパレータ421で受信される。コンパレータ421は、受信信号R+、R-の電位を比較して、その比較結果をHレベル又はLレベルで演算制御部426に出力する。
【0027】
基準容量部422を構成するコンデンサの一端には駆動電圧AVCC2が印加されている。駆動電圧AVCC2は、図1の電源回路45が生成する駆動電圧AVCC自体、もしくは駆動電圧AVCCに基づく電圧である。基準容量部422を構成するコンデンサの他端はスイッチ423の端子Taを介してコンパレータ421の+入力端子に接続されている。
また計測用容量部424の一端には駆動電圧AVCC2が印加されている。この計測用容量部424の他端はスイッチ425の端子Taを介してコンパレータ421の-入力端子に接続されている。
【0028】
スイッチ423、425は、アイドル期間には端子Tiが選択される。従ってアイドル期間にはコンパレータ421の+入力端子(受信信号線22-3)、-入力端子(受信信号線22-2)がグランド接続され、受信信号R+、R-はグランド電位となる。
スイッチ423、425は、アクティブ期間には端子Taが選択される。従ってアクティブ期間にはコンパレータ421の+入力端子(受信信号線22-3)、-入力端子(受信信号線22-2)に駆動電圧AVCC2が印加される。
【0029】
図3では当該セルが非タッチ状態の場合の受信信号R+、R-の波形を実線で示している。アイドル期間ではスイッチ423、425が端子Tiを選択していることで、受信信号R+、R-は、或る電位(グランド電位)で安定されている。
アクティブ期間となるとスイッチ423、425が端子Taを選択することで、受信信号線22-3,22-2に駆動電圧AVCC2が印加される。これにより受信信号R+、R-の電位がΔV上昇する。非タッチの状態では、このΔVの電位上昇は、受信信号R+、R-共に発生する。
一方、送信回路41側では、アクティブ期間となると、上述のように送信信号T+が立ち上がり、送信信号T-が立ち下がる。これにより、タッチ操作があった場合には、受信信号R+、R-の電位上昇の程度が変化する。
仮に容量C22に影響を与えるA1位置がタッチされた場合、受信信号R-の電位がアクティブ期間において破線で示すようにΔVHだけ上昇する。
また仮に容量C32が変化するA2位置がタッチされた場合、受信信号R-の電位がアクティブ期間において破線で示すΔVLだけ上昇する。
これらのように当該セルに対するタッチ操作位置に応じて、受信信号R-の電位変化量が受信信号R+の電位変化量(ΔV)よりも大きくなったり小さくなったりする。
コンパレータ421はこのような受信信号R+、R-を比較することになる。
【0030】
なお、このように変化する受信信号R+、R-の電位差分自体をRAW値(検出結果)として出力するようにしてもよいが、本実施の形態では受信回路42は、演算制御部426が受信信号R+、R-の電圧バランスがとれるように計測用容量部424の設定変更を行い、RAW値を得るようにしている。
演算制御部426は、インターフェース・レジスタ回路44に書き込まれた設定情報に従って、スイッチ423,425のオン/オフや計測用容量部424の容量値の切替処理を行う。またコンパレータ421の出力を監視し、後述の処理でRAW値を算出する。演算制御部426で算出されたRAW値はインターフェース・レジスタ回路44に書き込まれることでMCU5が取得可能とされる。
【0031】
<3.タッチパネルの電極配置構造>
タッチパネル2の電極配置構造について、図4を参照して説明する。ここではタッチパネル2の電極配置構造としてシングルレイヤ電極構造が採用される。図4はタッチパネル2の電極配置構造を模式的に示した図である。
以下、図4に示す方向を上下左右方向として説明する。図5から図23についても同様に説明する。
【0032】
図4に示すように、タッチパネル2には、基板100上に複数のセンサセル110が配置され、マトリクス状にセンサパターンが構成される。図4では図示の都合上、左右方向に7列かつ上下方向に7行のセンサセル110のセンサパターンが基板100上に形成されている例について示している。
【0033】
基板100上に形成されたセンサパターンの範囲内でタッチ操作面が形成され、タッチ操作時の各センサセル110の容量変化により操作位置が検出される。センサセル110は、図2で示した送信信号線21と受信信号線22の交差する部分に相当する。
【0034】
なお、本実施の形態では説明の都合上、センサセル110の配置を左右方向に7列かつ上下方向に7行のマトリクスとして説明したが、センサセル110の配置は、タッチパネル2のタッチ操作面の形状や大きさにより多様に設計することが可能である。
【0035】
<4.第1の実施の形態>
タッチパネル2の構造についての第1の実施の形態を図5から図8を参照して説明する。第1の実施の形態では、センサセル110の一例として、センサセル110Xが用いられる。
なお、以下の説明においてセンサセルを特に区別しない場合は、総称として「センサセル110」と表記する。
【0036】
図5は、センサセル110Xの構造を示す平面図である。
本実施の形態では、センサセル110Xの左右方向における幅を横幅ALとし、センサセル110Xの上下方向における幅を縦幅BLとした場合、縦幅BLの値よりも横幅ALの値の方が小さくなるようにセンサセル110Xが形成されている。
例えば図5では、横幅ALを6mm、縦幅BLを8mmとしてセンサセル110Xが形成されている(AL=6mm,BL=8mm)。
【0037】
センサセル110Xは、検出領域50、ダミー電極配置領域60、送信配線配置領域70、受信配線配置領域80を有している。それぞれの領域は互い非接触の状態で形成されている。
なお、理解の便宜上、図示する各領域の間隔は実際よりも大きく示されている。
【0038】
検出領域50は、平面視において矩形状に形成され、送信電極51と受信電極52の対により構成される。
送信電極51と受信電極52は、それぞれ櫛歯状に形成され、互いに噛み合うように配置されている。このとき送信電極51と受信電極52は非接触な状態で形成されている。このように、送信電極51と受信電極52を同一平面上に配置することで、送信電極51と受信電極52は所定の静電容量で容量結合された状態となる。
【0039】
センサセル110X内でのタッチ操作位置の位置座標は、当該センサセル110Xの検出領域50のみならず、当該センサセル110Xの周囲のセンサセル110の検出領域50も含めて検出されたRAW値を用いて算出された重心値に基づく座標計算により特定される。
これにより、タッチ操作位置の位置座標について、基板100上にマトリクス状に配置された検出領域50の密度以上の解像度の位置座標を検出することができる。
【0040】
ダミー電極配置領域60は、検出領域50の下側に設けられ、複数のダミー電極61が互いに非接触の状態で左右方向に並列配置されている。
ダミー電極61は、光学的な見栄えを考慮して配置されている電極であり、駆動回路等の電圧源と電気的に接続されていない状態であって、フローティング状態で設けられている。
【0041】
送信配線配置領域70は、検出領域50及びダミー電極配置領域60の左側に設けられており、複数の送信配線71とグランド電極72が配置されている。
なお、送信配線71は送信電極51と同じ部材により形成されているが、説明の便宜上、それぞれを区別して説明する。また送信配線71は、図2に示した送信信号線21である。
【0042】
送信配線71は、送信電極51に結線されることで検出領域50と接続され、検出領域50との接続部分から下方向に延設されている。
送信配線配置領域70においては、検出領域50に接続された送信配線71と、当該検出領域50よりも上方に連続して隣接配置された1又は複数の検出領域50に対応する1又は複数の送信配線71とが、互いに非接触の状態で左右方向に並列配置されている。
また、送信配線71の左端には、送信配線71と非接触の状態でグランド電極72が隣接配置されている。
【0043】
基板100上のセンサパターンにおける各列の検出領域50ごとに引き出された下方に延びる複数の送信配線71は、当該センサパターンにおける同じ行のセンサセル110ごとに結線され、図2に示すようなマルチプレクサ43を介して送信回路41に接続される。
送信回路41は、マルチプレクサ43により選択された送信配線7に対してセンシング動作のための送信信号を出力することができる。このとき、マルチプレクサ43に選択されていない残りの送信配線71は、グランド電極として設定される。
【0044】
受信配線配置領域80は、検出領域50及びダミー電極配置領域60の右側に設けられており、受信配線81が配置されている。
なお、受信配線81は受信電極52と同じ部材により形成されているが、説明の便宜上、それぞれを区別している。また受信配線81は、図2に示した受信信号線22である。
【0045】
受信配線81は、受信電極52に結線されることで検出領域50と接続され、検出領域50との接続部分から上下方向に延設されている。
受信配線81は、基板100上のセンサパターンにおける列の上下方向に連続する各検出領域50と接続された一本の配線として下方向に引き出される。
【0046】
下方向に引き出された受信配線81は、図2に示すようなマルチプレクサ43を介して受信回路42に接続される。
これにより、受信回路42は、マルチプレクサ43により選択された受信配線81からのセンシング動作のための受信信号を受信することができる。従って、タッチ操作などにより容量変化が生じた位置が受信回路42により検出される。
【0047】
上記のようなセンサセル110Xを用いたシングルレイヤ電極構造によれば、送信電極51と受信電極52を交差させる際に導通を防ぐための絶縁層を形成することなく、送信電極51とその送信配線71、受信電極52とその受信配線81を同一平面上に配置することができる。
【0048】
図6は、基板100上に配置されたセンサパターンでの左右方向に連続するセンサセル110の一部を抽出して示している。図7は、図6のM-M線断面図である。
図6及び図7では、図で示す左右方向に向かって連続して配置されるセンサセル110A,110B,110Cについて説明する。
【0049】
センサセル110Aの横幅AL1と、センサセル110Bの横幅AL2と、センサセル110Cの横幅AL3とは、同じ長さとなるように設けられている。例えば、横幅AL1,AL2,AL3の長さは6mmとされている(AL1=AL2=AL3=6mm)。
センサセル110A,110B,110Cの縦幅BLは同じ長さとされ、例えば8mmとされている(BL=8mm)。
【0050】
センサセル110の検出領域50の左右方向における幅を検出幅AWとして示している。ここでは、センサセル110A,110B,110Cの各検出領域50の検出幅AWを検出幅AW1,AW2,AW3として示しており、各検出幅AWは長さが同じとされている。
ここで検出幅AW1,AW2,AW3は、例えば4mmとされている(AW1=AW2=AW3=4mm)。
また検出領域50の上下方向における幅は縦幅AHとして示され、センサセル110A,110B,110Cの各検出領域50の縦幅AHは同じ長さとされ、例えば5mmとされている。
【0051】
或る検出領域50から左右方向に受信配線配置領域80と送信配線配置領域70を介した次の検出領域50までの間隔幅を間隔幅BWとして示している。
例えば、センサセル110Bの検出領域50とセンサセル110Aの検出領域50との間に間隔幅BW1が設けられている。間隔幅BW1には、センサセル110Aの受信配線配置領域80とセンサセル110Bの送信配線配置領域70が設けられている。
センサセル110Bの検出領域50とセンサセル110Cの検出領域50との間にも間隔幅BW2が設けられ、間隔幅BW2には受信配線配置領域80と送信配線配置領域70が同様に設けられている。
【0052】
センサセル110におけるタッチ操作位置は、当該センサセル110の検出領域50のみならず、当該センサセル110の周囲のセンサセル110の検出領域50も含めて検出されたRAW値を用いて算出された重心値に基づく座標計算により特定される。
例えばセンサセル110Bにおけるタッチ操作位置の座標は、タッチ操作面をタッチした際に、センサセル110Bの検出領域50と、センサセル110Bに隣接するセンサセル110A,110Cなどの検出領域50との静電容量の変化に基づき算出される。
ここで、センサセル110Bの検出領域50と、センサセル110A,110Cのそれぞれとの間には、間隔幅BW1,BW2が設けられている。
【0053】
間隔幅BW1,BW2に設けられた送信配線配置領域70における複数の送信配線71のうち、マルチプレクサ43に選択されていない送信配線71はグランド電極として設定される。
このとき、センサセル110の構造上、間隔幅BW1,BW2が設けられることにより、センサセル110Bの検出領域50が、左右に隣接するセンサセル110A,110Cの検出領域50の影響を受けにくくなり、検出領域50の検出幅AWと間隔幅BWの長さによってはセンサセル110B内でのタッチ操作位置の座標の検出精度が低下するおそれがある。
【0054】
従って、センサセル110Bにおけるタッチ操作位置の座標の検出精度を損なわないように、各センサセル110における検出AW、各センサセル110の間に設けられる間隔幅BWの長さを規定する必要がある。
【0055】
そこで、第1の実施の形態では、例えば指などの導電体によりタッチパネル2をタッチ操作する場合における、当該タッチパネル2に対する接触面の左右方向における幅として想定される値をタッチ径TCしたときに、以下の数式F1を満たすように、センサセル110の検出幅AWと、当該センサセル110に隣接するセンサセル110の間隔幅BWを規定する。なお、以下に登場する各数式Fの各値の単位は「mm」として説明する。

[数式F1]
1>AW+2×BW-TC

上記した数式F1における「1mm」は、座標位置精度の目標値であり、1mm以下であれば、「0.8」、「0」、「-1」等、センサセル110における座標位置精度の目標に応じて様々な数値に設定することが可能である。
なお、検出AW1,AW2,AW3は互いに同じ長さであり、間隔幅BW1,BW2は互いに同じ長さであるため、数式F1に基づいて検出幅AWと間隔幅BWを規定することで、各センサセル110における検出幅AWと間隔幅BWが規定されることになる。
なお、基板100上に配置された複数のセンサセル110のうち、左右方向における端部のセンサセル110については、検出AW及び間隔幅BWの規定するために上記と異なる数式を用いるが、詳細については第2の実施の形態において後述する。
【0056】
本実施の形態では、例えばタッチ径TCを8mmと設定した場合(TC=8mm)、検出幅AW=4mm、間隔幅BW=2mmであるため、数式F1に代入すると、「1>4+2×2-8=0」となり、数式F1を満たすことになる。
【0057】
数式F1を満たすように検出AW及び間隔幅BWを規定することで、センサセル110の横幅ALの左右方向における位置座標Pと、センサセル110における重心値との関係において、図8に示すようなグラフを得ることができる。
即ち、図8に示すように、センサセル110の横幅ALの左右方向に連続する位置座標P1,P2・・・P9のそれぞれに対して、異なる重心値が対応するようになる。
【0058】
センサセル110内での位置座標は重心値から逆算することで算出されるため、図8に示すグラフによれば、例えば重心値が「40」のときは座標P2が、重心値が「0」のときは座標P6が、センサセル110内のタッチ操作位置としてそれぞれ検出することが可能となり、重心値に対応するセンサセル110内の横幅ALにおける座標を一に特定することができる。
従って、センサセル110における各座標の重心値の変化を精度良く算出することができ、センサセル110におけるタッチ操作位置の検出精度を向上させることができる。
【0059】
一方で、図9から図11では、上記数式F1を満たさないセンサセル110の構造としてセンサセル110Yを用いて示している。図9はセンサセル110Yの構造の平面図であり、図10はセンサパターンにおける左右方向に連続するセンサセル110の一部を示しており、図11は、図10のm-m線断面図である。
なお、以下の説明においては、図5から図7に示す横幅AL,検出幅AW,間隔幅BWと長さの異なるものについては、横幅al,検出幅aw,間隔幅bwとして説明する。
【0060】
図9のようなセンサセル110Yでは、横幅alが8mmとして形成されており(al=8mm,BL=8mm)、図10の各センサセル110A,110B,110Cにおける各横幅al1,al2,al3が同じ長さである(al1=al2=al3)。
【0061】
図10及び図11に示すように、センサセル110A,110B,110Cの各検出幅aw1,aw2,aw3は長さが同じとされ、例えば検出幅awは5mmとされている(aw1=aw2=aw3=5mm)。また、各センサセル110A,110B,110Cの間に設けられた間隔幅bw1,bw2は長さが同じとされ、例えば間隔幅bwは3mmとされている(bw1=bw2=3mm)。
【0062】
このようなセンサセル110Yにおける検出幅aw及び間隔幅bwを上記した数式F1「AW+2×BW-TC」にあてはめてみると、「5+2×3-8=3」となり「1mm」よりも長い値となる。即ち、センサセル110Yで規定した検出幅aw及び間隔幅bwの長さによれば数式F1を満たさない。
【0063】
数式F1を満たさない場合、センサセル110Yの横幅alの左右方向における位置座標Qと、センサセル110Yにおける重心値との関係は、図12に示すようなグラフとなる。
図12では、センサセル110Yの横幅alの左右方向に連続する位置座標Q1,Q2・・・Q9のそれぞれに対応する重心値が示されている。このとき、数式F1を満たさない場合は、図8で示すグラフと異なり、或る一定範囲の座標において重心値の変化が少ない部分が生じることになる。図12では、座標Q4~Q7にかけて、重心値の変化が少なくなっている。
ここで、センサセル110Y内での位置座標は重心値から逆算することで特定されるところ、重心値の変化量の少ない座標Q4~Q7においては、重心値からタッチ操作位置の座標が座標Q4~Q7のいずれかであることを特定することができないおそれがある。
従って、センサセル110Yを用いた例においては、センサセル110Y内での左右方向における座標位置を特定する際に、局所的にタッチ操作位置検出の精度が低下することがある。
【0064】
以上より、第1の実施の形態によれば、上記した数式F1を満たすようにセンサセル110Xに示すように検出幅AW及び間隔幅BWの長さを規定することで、図12に示すような重心値の変化量が局所的に小さくなることによるタッチ操作位置の検出精度の低下を回避し、重心値の変化からセンサセル110X内でのタッチ操作位置の座標を精度よく特定することができるようになる。
【0065】
また、第1の実施の形態においては以下の形態をとることもできる。
上記では、数式F1を満たすようにセンサセル110Xにおける検出幅AW及び間隔幅BWの長さを規定することとしたが、第1の実施の形態では下記の数式F2を満たすように検出幅AW及び間隔幅BWの長さを規定してもよい。

[数式F2]
TC>AW+2×BW

即ち、例えば図6でセンサセル110Bを基準とした場合、タッチ径TCの値が、検出幅AW2、間隔幅BW2、間隔幅BW1を合算した値よりも長くなるように設定される。
これにより、タッチ径TCが必ず2以上のセンサセル110Xの検出幅AW(例えば検出幅AW2と検出幅AW1、又は検出幅AW2と検出幅AW3)に重なることになる。よって、タッチパネル2に対してタッチ操作を行う際に、指などの導電体が、或る1つのセンサセル110の検出領域50だけでなく、隣接するセンサセル110の検出領域50にも接触するように、検出幅AWと間隔幅BWが設定される。
【0066】
数式F2を満たすことで、例えばセンサセル110Bの検出領域50に隣接するセンサセル110Aの検出領域50における静電容量の変化をより正確に検出することができるようになるため、センサセル110Bにおける各座標の重心値の変化を精度よく算出することが可能となる。従って、センサセル110Bにおけるタッチ操作位置の座標の検出精度を向上させることができる。
【0067】
<5.第2の実施の形態>
タッチパネル2の構造についての第2の実施の形態を図13及び図14を参照して説明する。図13は、図に示すセンサパターンにおける中央部から右端部に連続するセンサセル110の一部を示しており、図14図13のN-N線断面図である。
【0068】
第2の実施の形態では、図に示す基板100上に配置されたセンサパターンにおける端部に配置されたセンサセル110の一例として、センサパターンの右端部に配置されたセンサセル110Dの構造を用いて説明する。
【0069】
図13に示すように、センサパターンにおける端部に配置されるセンサセル110Dでは、検出領域50の占める割合が、他のセンサセル110B,110Cなどと比べて小さくなる。
【0070】
具体的には、端部以外のセンサセル110B,110Cの各検出幅AW2,AW3は同じ長さであるが、端部のセンサセル110Dの検出幅AW4は、検出幅AW2,AW3よりも短くなるように形成されている(AW2=AW3>AW4)。
ここで検出幅AW2,AW3は、例えば4mmとされ(AW=AW=4mm)、検出幅AW4は、例えば2mmとされている(AW4=2mm)。
【0071】
センサセル110B,110C,110Dの縦幅BLは、各センサセル110において同じ長さとされ、例えば8mmとされている(BL=8mm)。またセンサセル110B,110C,110Dの各検出領域50の縦幅AHは同じ長さとされ、例えば縦幅AHは5mmとされている。
【0072】
センサセル110Bとセンサセル110Cの検出領域50における間隔幅BW2と、センサセル110Cとセンサセル110Dの検出領域50における間隔幅BW3とは同じ長さとされ、例えば2mmとされている(BW2=BW3=2mm)。
【0073】
またセンサセル110Dの検出領域50の右側には受信配線配置領域80aが配置されており、受信配線配置領域80aには、図14に示すように、受信配線81に加えて、受信配線81の右側にグランド電極82が配置されている。グランド電極82は上下方向に延設され、受信配線81と非接触の状態で隣接配置されている。
受信配線配置領域80aの左右方向における幅は余剰幅Gとされ、余剰幅Gの長さは、例えば0.6mmとされている(G=0.6mm)。
【0074】
端部に配置されたセンサセル110Dは、例えば中央部などの端部以外に配置されたセンサセル110と比べて隣接する検出領域50が少なくなる。また、例えば間隔幅BW3における送信配線配置領域70のように、タッチ操作時に静電容量の変化の影響を受けない領域が設けられていることから、端部のセンサセル110Dの検出領域50の検出幅AW4と間隔幅BW3の長さによっては、タッチパネル2の端部におけるタッチ操作位置の座標の検出精度が低下するおそれがある。
従って、端部のセンサセル110Dにおけるタッチ操作位置の座標の検出精度を損なわないように、検出AW4及び間隔幅BW3の長さを規定する必要がある。
【0075】
そこで、第2の実施の形態では、以下の数式F3を満たすように、端部のセンサセル110Dの検出幅AW4、センサセル110Dの余剰幅G、センサセル110Dに隣接するセンサセル110Cとの間隔幅BW3を規定する。なお、数式F3では、便宜的に検出幅AW4を単にAW、間隔幅BW3を単にBWと示している。また各値の単位は「mm」であり、「TC/2」はタッチ径TCの値の2分の1であることを示している。

[数式F3]
2>AW+(BW+G)-TC/2

上記した数式F3における「2mm」は、端部のセンサセル110Dにおける座標位置精度の目標値であり、2mm以下であれば、「1」,「0」,「-1」等、端部のセンサセル110における座標位置精度の目標に応じて様々な数値に設定することが可能である。
数式F3に基づいて検出幅AWと間隔幅BWを規定することで、端部のセンサセル110Dにおける検出幅AW4と間隔幅BW3の長さが規定されることになる。
【0076】
本実施の形態では、例えばタッチ径TCを8mmと設定した場合(TC=8mm)、検出幅AW4=2mm、間隔幅BW3=2mm、余剰幅G=0.6mmであるため、数式F3に代入すると、「2>2+(2+0.6)-8/2=0.6」となり、数式F3を満たすことになる。
【0077】
数式F3を満たすように検出AW4及び間隔幅BW3を規定することで、端部のセンサセル110Dにおいてタッチ操作を検出した場合に、隣接するセンサセル110C等の検出領域50の静電容量変化の影響を受けることができるようになる。
これにより、センサセル110Dの横幅AL4の左右方向における位置座標Rと、端部のセンサセル110Dにおける重心値との関係において、図15に示すようなグラフを得ることができる。
即ち、図15に示すように、センサセル110Dの横幅AL4の左右方向に連続する位置座標R1,R2・・・R7のそれぞれに対して、異なる重心値が対応するようになる。
【0078】
センサセル110D内での位置座標は重心値から逆算することで検出されるため、図15に示す各重心値に対応する横幅AL4における座標を一に特定することができる。
従って、検出領域50の面積が小さくなりがちな端部のセンサセル110Dにおいて、重心値の変化に応じた位置座標Rを精度よく特定することが可能となり、端部のセンサセル110Dにおけるタッチ操作位置の検出精度を維持又は向上することができる。
【0079】
一方で、図16及び図17では、上記数式F3を満たさない例として端部にセンサセル110dを示している。図16は、図に示すセンサパターンにおける中央部から右端部に連続するセンサセル110の一部を示しており、図17は、図16のn-n線断面図である。
なお、以下の説明においては、図13及び図14に示す横幅AL,検出幅AWと長さの異なるものについては、横幅al,検出幅awとして説明する。
【0080】
図16及び図17に示すように、センサセル110B,110C,110dの各検出幅AW2,AW3,aw4は長さが同じとされ、例えば4mmとされている(AW2=AW3=aw4=4mm)。また、各センサセル110B,110C,110dの間に設けられた間隔幅BW2,BW3は長さが同じとされ、例えば2mmとされている(BW2=BW3=2mm)。
【0081】
このような端部のセンサセル110dにおける検出幅aw4及び間隔幅BW3を上記した数式F3「2>AW+(BW+G)-TC/2」にあてはめてみると、「4+(2+0.6)-8/2=2.6」となり「2mm」よりも小さい値とはならない。即ち、端部のセンサセル110dの検出幅aw4及び間隔幅BW3の長さによれば数式F3を満たさない。
【0082】
数式F3を満たさない場合、端部のセンサセル110dの横幅al4の左右方向における位置座標Sと、センサセル110dにおける重心値との関係は、図18に示すようなグラフとなる。
図18では、センサセル110dの横幅al4の左右方向に連続する位置座標S1,S2・・・S10のそれぞれに対応する重心値が示されている。このとき、数式F3を満たさない場合は、図15で示すグラフと異なり、或る一定範囲の座標において重心値の変化が少ない部分が生じることになる。図18では、座標S6~S10にかけて、重心値の変化が少なくなっている。
センサセル110d内での位置座標は重心値から逆算することで特定されるため、重心値の変化量の少ない座標S6~S10においては、タッチ操作位置が座標S6~S10のいずれかであることを重心値から特定することができないおそれがある。
従って、端部においてセンサセル110dを用いた例においては、センサセル110d内での左右方向における座標位置を特定する際に、局所的にタッチ操作位置検出の精度が低下することが想定される。
【0083】
以上より、第2の実施の形態によれば、上記した数式F3を満たすように、端部のセンサセル110Dにおける検出幅AW4及び間隔幅BW3の長さを規定することで、図18に示すような重心値の変化量が局所的に小さくなることによるタッチ操作位置の検出精度の低下を回避し、重心値の変化から端部のセンサセル110D内でのタッチ操作位置の検出精度を中央部などの端部以外のセンサセル110と同等以上に確保することができる。
【0084】
また、第2の実施の形態においては以下の形態をとることもできる。
上記では、数式F3を満たすように端部のセンサセル110Dにおける検出幅AW4及び間隔幅BW3の長さを規定することとしたが、下記の数式F4を満たすように検出幅AW4及び間隔幅BW3の長さを規定することもできる。

[数式F4]
2>AW+BW-TC/2

上記のように数式F4は、数式F3での余剰幅Gを加算しない例である。数式F4を満たすように検出幅AW及び間隔幅BWの長さを規定することによっても図15に示すような各重心値に対応する横幅AL4における座標を一に特定することができる。
ここで、例えばタッチ径TCを8mmと設定した場合(TC=8mm)、図1に示すセンサセル10Dの検出幅AW4が2mm、間隔幅BW3が2mmであるため(AW=2mm、BW=2mm)、数式F4に代入すると、「2>2+2-8/2=0」となり、数式F4を満たすことになる。
よって、重心値の変化から端部のセンサセル110D内でのタッチ操作位置の検出精度を中央部などの端部以外のセンサセル110と同等以上に確保することができ、タッチパネル2の端部におけるタッチ操作位置の座標の検出精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、図13に示すように図に示すセンサパターンにおける中央部から右端部に連続するセンサセル110の例について説明したが、上記した思想は、当該センサパターンにおける中央部から左端部に連続するセンサセル110についても同様に適用できる。
この場合、センサパターンにおける左右の両端部に配置される各センサセル110の検出領域50の占める割合が、左右両端部以外の各センサセル110の検出領域50の占める割合と比べて小さくなる。
【0085】
<6.第3の実施の形態>
タッチパネル2の構造についての第3の実施の形態を図19及び図20を参照して説明する。第3の実施の形態は、連続する各センサセル110の検出領域50の面積が、一定の割合で徐々に短くなるように各センサセル110が形成されている例である。
【0086】
図19では、センサセル110Aの横幅AL1、センサセル110Bの横幅AL2、センサセル110Cの横幅AL3、センサセル110Dの横幅AL4が順に所定の割合で徐々に短くなるように設けられている(AL1>AL2>AL3>AL4)。
例えば、横幅AL1が6.1mm、横幅AL2が5.4mm、横幅AL3が4.7mm、横幅AL4が4mmと、0.7mmずつ短くなるように設けられている(AL1=6.1mm,AL2=5.4mm,AL3=4.7mm,AL4=4mm)。
【0087】
ここで中央部から端部に向けて連続する各センサセル110の縦幅BLは一定であるため、横幅ALの長さが端部に向かって一定の割合で徐々に短くなっていくことで、センサセル110A,110B,110C,110Dの面積も一定の割合で徐々に小さくなることになる。
【0088】
また、各センサセル110の横幅ALの長さが徐々に短くなっていくことに伴い、各センサセル110の検出幅AW1,AW2,AW3,AW4が順に所定の割合で徐々に短くなるように設けられている(AW1>AW2>AW3>AW4)。
例えば、検出幅AW1が4.1mm、検出幅AW2が3.4mm、検出幅AW3が2.7mm、検出幅AW4が2mmとなるように設けられている(AW1=4.1mm,AW2=3.4mm,AW3=2.7mm,AW4=2mm)。
このとき、各センサセル110の縦幅AHは一定であることから、各センサセル110の検出領域50の面積も中央部から端部にいくに従って徐々に小さくなることになる。
【0089】
図20は、中央部から端部に向けて連続するセンサセル110A,110B,110C,110Dの各センサセル110における静電容量変化の変化量を示す図である。
中央部のセンサセル110Aの検出領域50においてタッチ操作が行われていない場合は、当該検出領域50の静電容量変化の基準値RVが、基準値RV1を示すことになる。
この場合において当該検出領域50にタッチ操作が行われると、基準値RV1からの静電容量変化が検出される。このとき、検知可能な上限値ULを超えない範囲で静電容量が変化するため、静電容量変化に応じたセンサセル110A内でのタッチ操作位置の座標を正確に特定することができる。
【0090】
一方、端部に向かうセンサセル110B,110C,110Dは、静電容量変化の検知にあたり、タッチ操作が行われていない状態においても、隣接するセンサセル110の検出領域50の面積に応じて影響を受けている。例えば、センサセル110Bの検出領域50の静電容量変化の値は、隣接するセンサセル110Aの検出領域50の面積の影響を受けることになる。同様に、センサセル110Cの検出領域50の静電容量変化の値は、隣接するセンサセル110Bの検出領域50の面積の影響を受け、センサセル110Dの検出領域50の静電容量変化の値は、隣接するセンサセル110Cの検出領域50の面積の影響を受けることになる。
【0091】
従って、センサセル110Bの検出領域50にタッチ操作が行われていない状態であっても、静電容量変化の基準値RVが、基準値RV1よりも高い基準値RV2となる。
このようなタッチ操作が行われていない状態における基準値RVの変化は、対象となるセンサセル100の検出領域50と、隣接するセンサセル110の検出領域50との面積差が大きい程、大きくなる。
【0092】
例えば、図21に示すように、端部以外のセンサセル110A,110B,110Cの検出領域50の検出幅AW1,AW2,AW3が同じ長さ、例えば4mmとし(AW1=AW2=AW3=4mm)、端部のセンサセル110Dの検出領域50の検出幅AW4を検出幅AW1,AW2,AW3より短い長さ、例えば2mmとする(AW1=AW2=AW3>AW4=2mm)。
即ち、端部以外のセンサセル110A,110B,110Cの検出領域50の面積を同じとし、端部のセンサセル110Dの検出領域50の面積が端部以外のセンサセル110の検出領域50の面積よりも小さくなる。
【0093】
このとき、端部以外のセンサセル110の面積を同じにする分、センサセル110Cと端部のセンサセル110Dとのそれぞれの検出領域50の面積については、面積差が図19に示す例よりも大きくなる。
すると、図22に示すように、検出領域50にタッチ操作が行われていない場合のセンサセル110Dの基準値RVが、図19で示した基準値RV2よりも高い基準値RV3を示すことになってしまう。
【0094】
このような場合においてセンサセル110Dの検出領域50にタッチ操作が行われると、静電容量変化の値が検知可能な上限値ULを超えてしまう部分が大きくなり、上限値ULを超えてしまった部分については、正確な静電容量変化の値を検知することができないため、静電容量変化に応じたセンサセル110D内でのタッチ操作位置の座標を正確に算出することができないおそれがある。
【0095】
そのため、第3の実施の形態では、図19に示すように、各センサセル110の検出領域50の面積を中央部から端部にいくに従って徐々に小さくすることとした。
これにより、隣接するセンサセル110との面積差を小さくすることができ、図20に示すように、隣接するセンサセル110との面積差による静電容量変化の基準値RVを基準値RV3よりも低い基準値RV2とすることができる。
【0096】
これにより、センサセル110B,110C,110Dのいずれかの検出領域50にタッチ操作が行われた場合に、静電容量変化を検知可能な上限値ULを超えてしまう部分が極めて少なくなるため、静電容量変化に応じたセンサセル110B,110C,110D内でのタッチ操作位置の座標を精度を損なうことなく算出することができる。
【0097】
以上より、第3の実施の形態によれば、センサパターンにおける中央部のから端部に向かって配置された各センサセル110の面積を徐々に小さくしていくことで、隣接するセンサセル110との面積差による静電容量変化の基準値RVが過度に上昇することを防止することで、各センサセル110内でのタッチ操作位置の検出精度を維持又は向上することができる。
なお、本実施の形態では、図19に示したように、各センサセル110の検出領域50の面積を中央部から右端部にいくに従って徐々に小さくする例について説明したが、上記の思想は、各センサセル110の検出領域50の面積を中央部から左端部にいくに従って徐々に小さくする例についても同様に適用できる。
【0098】
<7.まとめ及び変型例>
以上の実施の形態のタッチパネル2(タッチパネル装置)は、複数の検出領域50がマトリクス状に配置され(図2参照)、各検出領域50に対応して送信配線71と受信配線81が形成され、一の方向に、送信配線71が配置された送信配線配置領域70と、検出領域50と、受信配線81が配置された受信配線配置領域80とが並ぶように形成されており、或る検出領域50から左右方向に受信配線配置領域80と送信配線配置領域70を介した次の検出領域50までの間隔幅をBW、検出領域50の左右方向における検出幅をAW、タッチ径をTCとしたときに、「AW+2×BW-TC」から算出される値が座標位置精度の目標値よりも小さくなる(数式F1,図6から図8参照)。
これにより、タッチ操作位置の検出の際に、センサセル110の検出領域50が周りのセンサセル110の検出領域50の影響を受けやすくなるように検出領域50の検出幅AW、及び当該検出領域50から左右方向における次の検出領域50までの間隔幅BWが設定される。
上記した数式F1を満たすようにセンサセル110Xにおける検出幅AW及び間隔幅BWの長さを規定することで、図1に示すような重心値の変化量が局所的に小さくなることによるタッチ操作位置の検出精度の低下を回避し、重心値の変化からセンサセル110X内でのタッチ操作位置を精度よく算出することができる。
従って、タッチパネル2における各センサセル110のタッチ操作位置の検出精度を維持又は向上させることができる。
【0099】
タッチパネル2において、「TC>AW+2×BW(数式F2)」が満たされる。
これによりタッチ径TCが、複数の検出領域50に跨がるように、検出領域50の検出幅AW、及び当該検出領域50から左右方向における次の検出領域50までの間隔幅BWが形成される。
上記した数式F2を満たすことで、例えばセンサセル110Bの検出領域50に隣接するセンサセル110Aの検出領域50における静電容量の変化をより正確に検出することができるようになるため、座標を算出するために用いる重心値の変化が明確になり、センサセル110Bにおけるタッチ操作位置の座標の検出精度を向上させることができる。
【0100】
タッチパネル2において、「AW>BW」が満たされる。センサセル110における検出幅AWが間隔幅BWよりも大きくなることで、検出領域50が大きくなり、タッチ操作位置の検出の際に、センサセル群におけるセンサセル110の検出領域が、周りのセンサセル110の検出領域50の影響を受けやすくなる。従って、センサセル110内におけるタッチ操作位置の座標の検出精度をより向上させることができる。
【0101】
また実施の形態のタッチパネル2(タッチパネル装置)は、複数の検出領域50がマトリクス状に配置され、各検出領域50に対応して送信配線71と受信配線81が形成され、左右方向に、送信配線71が配置された送信配線配置領域70と、検出領域50と、受信配線81が配置された受信配線配置領域80とが並ぶように形成されており、左右方向における端部の検出領域50から受信配線配置領域80と送信配線配置領域70を介して隣り合う検出領域50までの間隔幅をBW、端部の検出領域50の左右方向における検出幅をAW、タッチ径をTCとしたときに、「AW+BW-TC/2」から算出される値が座標位置精度の目標値よりも小さくなる(数式F4,図13から図15参照)。
これにより、タッチ操作位置の検出の際に、端部のセンサセル110の検出領域50が、周りのセンサセル110の検出領域50の影響を受けやすくなるように端部の検出領域50の検出幅AW及び端部の検出領域50と隣り合う検出領域50までの間隔幅BWが設定される。
数式F4を満たすように端部のセンサセル110Dにおける検出幅AW4及び間隔幅BW3の長さを規定することで、図18に示すような重心値の変化量が局所的に小さくなることによるタッチ操作位置の検出精度の低下を回避し、重心値の変化から端部のセンサセル110D内でのタッチ操作位置の検出精度を中央部などの端部以外のセンサセル110と同等以上に確保することができる。
【0102】
タッチパネル2において、端部の検出領域50の検出幅AW4は、隣り合う検出領域50の検出幅AW3よりも狭い(図13参照)。
これにより、タッチパネル2の端部におけるタッチ操作位置の検出の際に、センサセル110群における端部のセンサセル110の検出領域が、周りのセンサセル110の検出領域の影響を受けやすくなる。従って、センサセル110内におけるタッチ操作位置の座標の検出精度をより向上させることができる。
【0103】
さらに実施の形態のタッチパネル2(タッチパネル装置)は、複数の検出領域50がマトリクス状に配置され、各検出領域50に対応して送信配線71と受信配線81が形成され、左右方向に、送信配線71が配置された送信配線配置領域70と、検出領域50と、受信配線81が配置された受信配線配置領域80とが並ぶように形成されており、複数の検出領域50の左右方向における中央部から端部に向かって連続して設けられている各検出領域50の面積が、左右方向に向かうに従って略一定の割合で小さくなっていくようにされている(図19及び図20参照)。
これにより、隣り合う検出領域の面積差により生じる静電容量変化が軽減される。従って、センサパターンにおける中央部のから端部に向かって配置された各センサセル110の面積を徐々に小さくしていくことで、隣接するセンサセル110との面積差による静電容量変化の基準値RVが過度に上昇することを防止することで、各センサセル110内でのタッチ操作位置の検出精度を維持又は向上することができる。
【0104】
また、本実施の形態におけるタッチパネル2の構造は、以下の態様を採ることもできる。
本実施の形態におけるセンサセル110は、センサセル110X以外の構造をとることができる。
例えば、図23に示すセンサセル110Zのように、ダミー電極配置領域60を配置せずに、検出領域50を上下方向に拡張して配置することもできる。これにより、検出領域50での送信電極51と受信電極52の隣接する領域が増加し、検出領域50における静電容量の変化量を向上させることができる。従って、センサセル110Zの構造を用いることで、タッチパネル2の感度を向上させることができる。
これは特にタッチパネル2のカバーガラスが厚い、タッチ操作する指が手袋等で被われているなど、検出領域50とタッチ操作を行う者との間に大きな隔たりがある場合において有用である。
【0105】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0106】
2 タッチパネル、21 送信号線、22 受信信号線、50 検出領域、51 送信電極、52 受信電極、70 送信配線配置領域、71 送信配線、80 受信配線配置領域、81 受信配線、110 センサセル、AW 検出幅、BW 間隔幅、TC タッチ径
図1
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