(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】希ガスが豊富な液体ならびにその調製及び使用の方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20220128BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220128BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20220128BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220128BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
A23L33/10
A61P25/28
A61K33/00
A61K9/08
A61K47/40
(21)【出願番号】P 2019214954
(22)【出願日】2019-11-28
(62)【分割の表示】P 2016503348の分割
【原出願日】2014-03-17
【審査請求日】2020-01-06
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フアン, シャオ-リン
(72)【発明者】
【氏名】マクファーソン, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ゲン, ヨン-ジアン
(72)【発明者】
【氏名】イン, シン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒュンガン
(72)【発明者】
【氏名】クレガーマン, メルビン
(72)【発明者】
【氏名】ペン, タオ
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/045721(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第19933704(DE,A1)
【文献】特表平08-507075(JP,A)
【文献】特開昭58-018342(JP,A)
【文献】特表2004-531525(JP,A)
【文献】国際公開第2002/022141(WO,A1)
【文献】特許第6625966(JP,B2)
【文献】AAPS PharmSciTech., 2011年,Vol.12, No.1,p.279-286
【文献】Chest (2005) vol.128, issue , p.3664-3670
【文献】Br. J. Anaesth. (2011) vol.106, no.3, p.436P
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/40-5/49
A23L 31/00-33/29
A61P 25/28
A61K 33/00
A61K 47/40
A61K 9/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口デリバリーのために調剤された水性の栄養補助食品組成物であって、該栄養補助食品組成物が、溶解した
キセノンガスを含
み、ここで、該
キセノンガスの一部が水溶性ポリマーとともに封入されて
おり、かつ、該水溶性ポリマーが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、またはγ-シクロデキストリンを含む、栄養補助食品組成物。
【請求項2】
前記シクロデキストリンがγ-またはβ-シクロデキストリンである、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シクロデキストリンがβ-シクロデキストリンである、請求項
1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が0.1~1.0mg/mlのシクロデキストリン分子を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項5】
さらに薬用植物、ビタミンまたはエネルギー供給栄養補助食品飲料と定義される、請求項
1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
さらに防腐剤、香味剤、染料、ビタミン、酸化防止剤、または植物抽出物を含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がガス不浸透性の容器に含まれる、請求項
1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記容器が約1ml~2リットルの前記組成物を含む、請求項
7に記載の組成物。
【請求項9】
前記容器が1mg~20g、1mg~10g、1mg~1g、1~100mg、1~50mg、1~25mgまたは1~10mgの
キセノンを含む、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記容器が全内容物を大気にさらさないで経口消費のための前記組成物を放出するための1回限りの物を含む、請求項
7に記載の組成物。
【請求項11】
前記容器が加圧されている、請求項
7に記載の組成物。
【請求項12】
前記容器が希ガスとともに加圧されている、請求項
11に記載の組成物。
【請求項13】
さらにCO
2を含む、請求項
11に記載の組成物。
【請求項14】
必要な患者において血清および/または脳のβ-アミロイドレベルを減少させるための経口薬学的組成物の製造のための1~13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/788,808号及び2013年10月11日に出願された同第61/889,901号の利益を主張し、いずれの仮出願も参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、アメリカ国立衛生研究所により付与された認可番号NS067454、HL074002及びHL059586のもとアメリカ政府の支援を受けた。アメリカ政府は本発明の特定の本発明を有している。
【背景技術】
【0003】
本発明は、一般的に分子生物学、医学及び栄養補助食品の分野に関する。さらに具体的には、本発明は、疾病の治療及び予防のためのキセノンまたはアルゴンなどの不活性ガス組成物の経口デリバリーの方法に関する。
【0004】
キセノン(Xe)及びアルゴン(Ar)にはともに、多面的細胞保護ガスであり、血液脳関門(BBB)などの生物学的障壁に急速に拡散すること、及び血液/ガス分配係数が低いため細胞膜を完全に通過することというこれらに特有の利点がある。動物モデルでは、断続的ガス吸入剤として与えられるXeが強力な神経保護作用及び心筋保護作用を示した。Xeは神経虚血耐性に関係する分子の変質によって、酸素グルコース欠乏負荷(OGD)から保護し、低酸素症/虚血から保護する。Xeは脳由来神経栄養因子(BDNF)を含む、いくつかの生存遺伝子及び虚血性障害に対する細胞耐容性を促進するBcl2などの生存タンパク質の転写を導入する。Xeは単核細胞TNF-α及びIL-6などの炎症性サイトカインを微調整することによりヒト免疫系と相互作用する。Xeは低酸素誘導因子1α(HIF-1α)及び他のタンパク質の解放を持続させる。ここに挙げた経路によりいずれも器官が保護される。
【0005】
現在のガスのデリバリー方法は、ガス供与体の吸入及び投与が挙げられる。しかし、吸入に必要となる高濃度のXeまたはArにより、細胞が生存するのに必要である、吸い込まれた酸素の留分が制限されるため、多くの状況でXeまたはArの吸入を実用的に与えることができない。また、毎日使用する患者のための断続的吸入戦略を開発することが困難である。XeまたはArの改善されたデリバリー方法が、きわめて必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は一般的に治療法、薬剤及び栄養補助食品(用語「栄養」及び「薬剤」の混成語であり、疾病の予防及び治療を含む、健康及び医学的効果がある食品または食品製品である)に関する。さらに具体的には、本発明は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及び/またはキセノンなどの希ガスを含む不活性ガス組成物の消化管(GI)への主に経口デリバリーの方法に関する。これらに限定されないが、アテローム性動脈硬化症に関連する虚血性心疾患、脳卒中及び認知症(例えば、アルツハイマー病)などの他の神経変性状況が挙げられる、心臓及び脳の疾病の予防及び/または治療の方法の一部としてかかるガスをデリバリーすることができる。特定の態様では、希ガスを含む組成物により1つ以上の炎症マーカーの減少または健康な状態で一般的な改善がみられる。
【0007】
第1の実施形態では、封入希ガスの濃度が高くなった液体(または半液体、例えば、ペーストまたはゲル)製剤(例えば、ガスを封入し、特定の濃度にすることができる)が提供される。希ガスはヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンまたはこれらの混合物から選択することができる。本明細書で使用する場合、封入希ガスは脂質に溶解したガス及び乳化し、リポソーム製剤に封入したガス及び/または水溶性分子(例えば、シクロデキストリン)に封入したガスとして提供することができる。一般的に封入により組成物のガス含有量は同温度、同気圧、同量の水(封入しない)より高くなる。好ましい態様では、組成物は経口デリバリーのために調剤される。
【0008】
特定の実施形態では、希ガスの一部が封入され水溶性が高くなっている、実質的に水性の成分及び溶解した希ガスを含む栄養補助食品(例えば、飲料)組成物が提供される。いくつかの態様では、封入希ガスは脂質、例えばリポソームまたは組成物中で乳化されている脂質相に封入することができる。さらなる態様では、希ガス(例えば、Xe、Ar、Kr、NeまたはHe)は、水溶性ポリマーなどの水溶性分子に封入される。さらなる態様では、希ガスはα-、β-またはγ-シクロデキストリンまたはこれらの混合物に封入される。希ガス封入に使用することができるさらなる分子が以下に記載される。
【0009】
さらなる実施形態では、本発明は、これらに限定されないが、飲料、ゲル、ペースト、錠剤、及びカプセルが挙げられる1回分の栄養補助食品組成物を提供する。例えば、組成物は約1、2、3、4、5または10~約15、20、25、30、35、40、45または50mlの組成物を含むことができる。さらなる態様では、組成物は約10、15、25、30、35、40、45または50~約100、150、200、250、300、350、400、450または500mlの組成物(例えば、実質的に水性組成物)を含むことができる。いくつかの態様では、本実施形態の組成物が0.01~15gまたは約0.1~200mgの溶解した希ガス(または2種以上のかかるガスの混合物)を含み、希ガスの一部が封入され水溶性が高くなっている。前記に詳細を記載したように、希ガスは(乳化された)脂質成分、リポソームまたは水溶性分子に封入するか、または溶解することができる。例えば、いくつかの態様では、希ガス(例えば、Xe)は、シクロデキストリンなどの水溶性ポリマーに封入される。特定の態様では、製剤に溶解した希ガス(例えば、Xe)の量は、約0.1mg~10g、0.1~1,000mg、0.1~500mg、0.5~100mg、1~100mg、1~50mg、1~25mgまたは1~10mgである。さらに、製剤の液体成分の量を調節して1回分の最適な量の希ガスを提供することができる。例えば、1回分の飲料は約1~10ml、10~25ml、25~50ml、50~500ml、50~300ml、100~300mlまたは200~400mlの総量を含むことができる。本明細書にさらに詳細を記載したように、特定の好ましい実施形態では、かかる1回分の栄養補助食品は、びん、缶または金属箔またはポリマー包装容器などのガス-不浸透性のシール容器に入れて提供される。さらに、いくつかの態様では、1回分の栄養補助食品飲料の包装容器が、4、6、8、12、24またはそれ以上の1回分の組成物、例えば、飲料を含み、それぞれ分離したシール容器に含まれて提供される。
【0010】
前記に詳細を記載したように、本実施形態の特定の態様は、希ガス(例えば、Xe)を含む組成物と関係があり、少なくともその一部がシクロデキストリン(CD)(例えば、β-シクロデキストリン)に封入される。いくつかの場合では、実施形態に従って使用されるシクロデキストリンは、さらに水溶性が高くなる親水性基を含む。例えば、特定の態様では、CDは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのヒドロキシプロピル-CDである。組成物が例えば、約0.01~約5.0mg/ml、約0.05~約2.0mg/ml、約0.1~約1.5mg/mlまたは約0.1~約1.0mg/mlのCDを含むことができる。いくつかの特定の態様では、組成物は0.1~約1.0mg/mlのヒドロキシプロピルβ-CDを含む。さらなる態様では、組成物が組成物(例えば、標準温度と標準気圧で)中にシクロデキストリン0.5mg当たり約0.1~約5.0ml、約0.1~約4.0、約0.1~約3.8、約0.1~約2.0、約0.1~約1.0ml、または0.5~約1.0ml希ガス(例えば、Xe)を含む。特に、組成物がβ-シクロデキストリン(例えば、ヒドロキシプロピルβ-CD).0.5mg当たり約0.1~約5.0ml、約0.1~約4.0、約0.1~約3.8、約0.1~約2.0、約0.1~約1.0ml、または0.5~約1.0mlのXeを含むことができる。きわめて特定の態様では、組成物が(例えば、水1ml当たり)最大約3.8mlのXe~0.5mgのCD分子を含む。
【0011】
さらに実施形態に従って使用することができるシクロデキストリン分子(所望の溶解度に応じて油または水組成物のいずれかの中で)としては、メチル-β-シクロデキストリン、ランダムメチル化-β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、ランダムジメチル化-β-シクロデキストリン、トリメチル-β-シクロデキストリン、アセチル化ジメチル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル-β-シクロデキストリン、2、3-ジヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、グルコシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-β-シクロデキストリン、グルクロニル-グルコシル-β-シクロデキストリン、アルキル化β-シクロデキストリン、2、6-ジ-O-エチル-β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-エチル-β-シクロデキストリン、アシル化β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-アシル(C2-C18)-β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-ブタノイル-β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-バレリル-β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-オクチル-β-シクロデキストリン、-カルボキシメチル-O-エチル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンスルファート、スルホブチルエーテル基-β-シクロデキストリン、またはスルホブチルエーテル基-β-シクロデキストリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
本明細書に示した方法により液体形態のきわめて濃度が高い希ガスを提供することができる。しかし、いくつかの場合では、本実施形態の液体または半液体(例えば、飲料を含む)が比較的適度な量の希ガス、例えば、Xeを含むことができる。例えば、かかる飲料のXeの溶解濃度(シール容器内にある場合)が約1.0~約5、000μg/ml、約10~約1、000μg/ml、約100~約800μg/ml、約1.0~約100μg/ml、5.0~約50μg/ml、約10~約100μg/mlまたは約10~約50μ/mlを含むことができる。例えば、標準温度及び標準気圧で水に溶解したXeの濃度を約600μg/mlとすることができる。さらなる態様では、飲料のXe濃度が高く、例えば、約1mg/ml~約100mg/ml、1mg/ml~約50mg/ml、約1mg/ml~約30mg/ml、または約10mg/ml~約50mg/mlで提供される。いくつかの態様では、飲料が約10mg/ml~約15、20、25、30、35、40、45または50mg/mlのXeの濃度を含んで(例えば、加圧及び/または封入されたXeを含む飲料など)提供される。例えば、3気圧及び4℃、その後、標準周囲温度及び標準気圧(SATP)で調剤した場合、シクロデキストリン(ヒドロキシプロピルβ-CD)が封入されたXeを含む製剤のXeの濃度を約22.4mg/mlとすることができる。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書の方法及び組成物は液体または半液体形態(例えば、飲料として)で提供されるアルゴンガスと関係がある。例えば、かかる組成物のArの溶解濃度(シール容器内にある場合)が約1.0~約1、000μg/ml、約10~約500μg/ml、約20~約500μg/ml、約30~約250μg/ml、約40~約200μg/ml、約50~約100μg/mlまたは約40~約75μg/mlを含むことができる。例えば、標準温度及び標準気圧で水に溶解したArの濃度を約55μg/mlとすることができる。さらなる態様では、飲料のAr(例えば、ポリマーまたは油に封入された)の濃度が高く、例えば、約0.01μg/ml~約1mg/ml、0.1μg/ml~約1mg/ml、約1μg/ml~約500μg/ml、約10μ/ml~約500μg/ml、約100μg/ml~約500μg/ml、または約200μg/ml~約500μg/mlで提供される。例えば、SATPで油に封入されたArを含む製剤のArの濃度を約165μg/mlとすることができる。
【0014】
さらなる態様では、本実施形態の組成物の希ガス含有量(標準周囲温度及び標準気圧、SATPで)が、少なくとも約0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mMまたは2.0mMであると特徴づけられる。いくつかの態様では、希ガスの濃度は少なくとも4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5.0mMである。したがって、いくつかの態様では、組成物の希ガス含有量はSATPで約5.0~50mM、5.0~25mM、5.0~20.0mM、5.0~15mMまたは5.0~10mMを含む。さらなる態様では、組成物のキセノン含有量は約5.0mM以上、例えば、SATPで約5.0~50mM、5.0~25mM、5.0~20.0mM、5.0~15mMまたは5.0~10mMを含む。さらなる態様では、組成物のArの濃度が0.5mM以上、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mMまたは2.0mMを含む。例えば、組成物はSATPで約1.0~10mM、1.5~10mM、1.5~10mM、2.0~10mMまたは2.0~5mMのArを含むことができる。
【0015】
さらなる態様では、本実施形態の組成物が水性成分(例えば、水)含有量と比較した希ガス含有量により定義される。例えば、組成物の希ガスの水性成分に対する比が約1:20~4:1、約1:10~4:1、約1:9~4:1、約1:2~4:1、1:1~4:1、約1.5:1~4:1、約1:20~1:1、約1:10~1:1、または約2:1~3:1(容積:容積)を含むことができる。いくつかの態様では、希ガスの水性成分に対する比は1:10以上、1:9、または1:5である。特定の態様では、希ガスの水性成分に対する比は1:1以上または2:1以上である。したがって、いくつかの特定の態様では、組成物のXeの水に対する比が約1:2~4:1、1:1~4:1または1.5:1~4:1または2:1~3:1(容積:容積)、例えば、約2:1以上の比を含む。
【0016】
特定の実施形態では、組成物、例えば、本実施形態の飲料組成物が、追加の成分、例えば、防腐剤、香味剤、染料、ビタミン、酸化防止剤、植物または微生物抽出物、塩(電解質、グリセロール、ナトリウム、カリウム及び塩化物)、アルコール、脂質、油、またはこれらの混合物をさらに含む。したがって、いくつかの態様では、本実施形態の飲料または他の形態が、さらに薬用植物、ビタミンまたはエネルギー-供給栄養補助食品組成物として定義される。
【0017】
さらなる実施形態では、本発明は、希ガス(例えば、キセノンまたはアルゴンガス)などの可溶性ガスを含み、食用油成分などの脂質を含む薬剤または栄養補助食品組成物を提供する。かかる組成物のための油の例としては、亜麻仁油、菜種油、大豆油、クルミ油、魚油、ベニバナ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、綿種油、ピーナッツ油、パーム油またはオリーブ油が挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、油は多価不飽和脂肪酸(PUFA)、例えば、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上のPUFAを含む油を含むことができる。さらなる態様では、油は、本実施形態のガスの生物学的な取り込みを助けることができるΩ-3脂肪酸を含む。さらなる態様では、油成分はキセノンまたはアルゴンガスで飽和または過飽和される。
【0018】
さらなる実施形態では、さらにエマルジョンに油-ガス組成物を含むことができる。例えば、エマルジョンが(a)25容量%~50容量%、60容量%、70容量%、80容量%、90容量%、95容量%またはそれ以上の油(油は可溶性キセノンまたはアルゴンガスを含む)、及び(b)1容量%、2容量%、3容量%、5容量%、10容量%、20容量%、または30容量%~約75容量%または85容量%の水溶液を含むことができる。いくつかの態様では、水溶液は水(例えば、湧水)、果物ジュース、野菜ジュースまたは他の栄養飲料を含む。いくつかの態様では、組成物はさらにリン脂質、洗浄剤、またはタンパク質成分を含むことができる。いくつかの態様では、組成物はさらにリン脂質、洗浄剤、香味剤、染料、乳化剤、共乳化剤(co-emulsifiers)及び/またはタンパク質成分を含む。例えば、洗浄剤は植物性界面活性剤、合成洗浄剤または胆汁酸とすることができる。特定の態様では、洗浄剤はリトコール酸、デオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、またはコール酸である。本実施形態に従って使用されるリン脂質の例としては、鶏卵ホスホコリン(鶏卵PC)、大豆PC、DPPCまたはDOPCが挙げられるが、これらに限定されない。含むことができるタンパク質は、例えば、乳タンパク質、分離乳清タンパク質、大豆タンパク質分離物、カゼイン酸カリウム、鶏卵アルブミン、(玄米)米タンパク質、加水分解牛肉タンパク質分離物、エンドウ豆タンパク質分離物、麻タンパク質、またはウシ血清アルブミンである。
【0019】
前記に詳細を記載したように、特定の態様では、可溶性及び不溶性とも、閉じ込められ、または遊離ガスを含み、液体または半液体形態とすることができる油組成物が提供される。かかる組成物に含むことができるガスとしては、希ガス(例えば、He、Ar、Kr、NeまたはXe)、CO2、一酸化二窒素、イソフルラン及びセボフルラン(servoflurane)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、脂質油組成物が可溶性キセノンまたはアルゴンガス(及び、いくつかの場合では、このほか、不溶性または遊離XeもしくはArもしくは他の希ガスを含む)を含む。いくつかの態様では、組成物が酸素または窒素含有量が低いことを含む、またはこれらのガスを実質的に含まない。いくつかの態様では、油組成物はガスにより半飽和または飽和されている。さらなる態様では、脂質油をガスにより過飽和とすることができる(例えば、その結果、ガスは大気にさらされると油から泡立って出てくる)。いくつかの態様では、本実施形態の脂質油組成物が油1ml当たり約10~500mgのキセノンを含むことができる(例えば、油1ml当たり約10、20、30、40、50、60、70、80、90または100mg~約150、200、250、300、350、400、450または500mg)。例えば、油がSATPで油1ml当たり約0.1~約50、約0.1~約20または約1~約15mgのXeを含むことができる。
【0020】
特定の態様では、本実施形態の組成物が(a)25容量%~50容量%の油(例えば、オリーブ油または他の所望の脂質)、(油は可溶性キセノンまたはアルゴンガスを含む)、(b)50容量%~75容量%の水溶液、(c)10~30mg/mlのリン脂質(例えば、鶏卵ホスホコリン)、(d)10~50mg/mlのタンパク質(例えば、BSA)、及び(e)1~5mg/mlの洗浄剤(例えば、リトコール酸)を含むことができる。いくつかの態様では、組成物はさらに防腐剤、香味剤、ビタミン、酸化防止剤、または植物抽出物を含むことができる。
【0021】
いくつかの態様では、希ガスを含む組成物がいずれの寸法または形状のガス不浸透性の容器に含まれることができる。いくつかの場合では、容器を加圧することができる(例えば、希ガス、例えば、キセノンまたはアルゴンガスにより加圧する)。いくつかの態様では、かかる容器が1回分または単位用量の組成物(例えば、ペースト、ゲル、丸薬、錠剤またはカプセル)を含むことができる。他の場合では、容器が複数の用量(例えば、複数の用量びんまたは区画分けされた容器)を含むことができる。この後者の場合では、容器は加圧され、全内容物を大気にさらさないで組成物を放出するための1回限りの物であることを含むことが好ましい。さらなる態様では、かかる容器が組成物の用量が放出される場合に容器中の圧力を維持する余分のガス(例えば、アルゴンまたはキセノン)を含むことができる。かかるシステムが、例えば、米国特許公開第20030177784号に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの場合では、容器は金属箔またはほぼ同じ不浸透性の材料、例えば、ポリマーを含み、その結果、容器は加圧され、液体または半液体を容易に効果的に投与することができる。
【0022】
さらなる実施形態では、本公開によりガス不浸透性の容器に含まれた単位用量の本実施形態の組成物が提供される。特定の態様では、容器はペースト、ゲル、丸薬、錠剤またはカプセルとすることができる。もう1つの態様では、容器はびんとすることができる。例えば、容器が1~5ml、5~25ml、25~100ml、125~300ml、355~500ml、500ml~1リットルまたはそれ以上の組成物、例えば、本実施形態のエマルジョンを封入することができる。
【0023】
いくつかのさらなる実施形態では、本実施形態に従って被験者に組成物を投与する(または被験者に提供する)ことを含む被験者の健康または健康な状態を改善する方法が提供される。例えば、炎症の少なくとも1つのマーカーの濃度または心臓血管のリスク(例えば、血圧)を減少させるのに十分である量の本実施形態の希ガス組成物を被験者に提供することができる。例えば、いくつかの場合では、希ガス組成物が経口液体または半液体製剤で投与され、約0.1~200mg/日のXeと等量の1日分の用量を提供する。もう1つの例では、Xeの1日分の用量を1日当たり約1~100mg、1~50mg、1~25mgまたは1~10mgのXeとすることができる。もう1つの例では、希ガス組成物が経口製剤として投与され、約0.1~5g/日のXeと等量の1日分の用量を提供する。例えば、Xeの1日分の用量は1日当たり約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0~1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5または5.0グラムのXeとすることができる。さらなる実施形態では、方法が約0.1~10、0.1~5、0.5~5、1.0~3.0、または2.0~3.0mg(のXe)/Kg/日の用量で経口Xe組成物を投与することを含む。さらなる態様では、本実施形態の方法が10μM~500μM、10μM~100μM、10μM~50μMの初期最高血中濃度、または少なくとも50または100μMの初期最高血中濃度となる用量の希ガス(例えば、Xe)を投与すること(または被験者に提供すること)を含む。例えば、いくつかの態様では、かかる用量の本実施形態の組成物が毎日、2日ごとに、または毎週投与される。
【0024】
さらなる実施形態では、本公開により、本実施形態のいずれか1つに従って有効量の組成物を経口で被験者に投与することを含む、被験者に神経または心臓血管の保護を提供するための方法が提供される。特定の態様では、被験者(例えば、ヒト被験者)はアルツハイマー病、血栓症脳卒中、虚血性脳卒中または心臓肥大である、または、これらのリスクがある。いくつかの態様では、方法はさらに約25~300ml/日(70~1350mg/日、例えば、100~1200mg/日、200~1000mg/日、500~1000mg/日または800~1200mg/日)を被験者に投与することを含む。組成物は毎週、毎日、1日に2回、1日に3回、6時間ごとに、3時間ごとにまたは1時間ごとに投与することができる。さらに、1週間、2週間、1ヵ月または1年の期間にわたって組成物を投与することができる。いくつかの態様では、方法は神経疾患または神経損傷、例えば、アルツハイマー病または血栓症または虚血性脳卒中を治療または予防する方法である。さらなる態様では、心臓肥大を治療するまたは予防する方法、または心筋虚血から保護する方法が提供される。
【0025】
さらなる実施形態では、本公開により有効量のキセノンまたはアルゴンを被験者に投与することを含む、被験者のβ-アミロイド濃度を減少させる方法が提供される。特定の態様では、本実施形態のいずれか1つに従って、組成物中のキセノンまたはアルゴンは経口で投与される。さらに他の態様では、キセノンまたはアルゴンまたは他の希ガスは、吸入または注入(例えば、リポソームが含まれる)により投与される。
【0026】
関連した実施形態では、本公開により有効量のキセノンまたはアルゴンまたは他の希ガスを被験者に投与することを含む、被験者のアルツハイマー病の進行を治療または予防する方法が提供される。特定の態様では、キセノンまたはアルゴンは経口で投与される。他の態様では、キセノンまたはアルゴンまたは他の希ガス(例えば、He、NeまたはKr)は吸入または注入により投与される。いくつかの態様では、被験者はアルツハイマー病を発症するリスクがある被験者、例えば、アルツハイマー病の遺伝的素因がある、またはその素因があると診断された被験者である。
【0027】
さらなる実施形態では、本公開により(a)油及びガスを混合することにより食用油にキセノンまたはアルゴンガスを溶解し、可溶性キセノンまたはアルゴンガスを含む食用油を生成することを含む、キセノンまたはアルゴンの経口投与のための組成物を生成する方法が提供される。いくつかの態様では、方法はさらに(b)水溶液(例えば、洗浄剤または他の乳化剤を含む溶液)中に可溶性ガスを含む食用油を乳状にし、可溶性キセノンまたはアルゴンガスを含むエマルジョンを生成することを含む。いくつかの態様では、約1気圧~6気圧、2気圧~6気圧または2気圧~4気圧の気圧で、約0℃~37℃または0℃~25℃の温度で油及びガスを混合する。特定の態様では、食用油中のキセノンまたはアルゴンガスを溶解することはキセノンまたはアルゴンガスにより油を飽和または過飽和させること含む。いくつかの態様では、方法はさらにガス不浸透性の容器(例えば、びん、カプセルまたは丸薬)に油またはエマルジョンを詰める、または取り込むことを含む。例えば、容器を加圧することができ、例えば、2~6気圧で加圧した容器である。特定の態様では、キセノンまたはアルゴンまたは他の希ガスの雰囲気(例えば、He、NeまたはKr)下で本方法の工程(a)~(b)を実施することができる。
【0028】
さらなる実施形態では、(a)水溶性封入分子(例えば、水溶性ポリマー)と希ガス(または希ガスの混合物)をインキュベートすること、及び(b)封入希ガスを水溶液に暴露し、封入希ガスを含む水性組成物を生成することを含む、希ガスを含む実質的に水性組成物を生成する方法が提供される。いくつかの態様では、工程(a)が約2気圧~10気圧の気圧(例えば、約2気圧~8気圧、2気圧~5気圧、2気圧~4気圧の気圧または約3気圧の気圧)で、例えば、約25℃または4℃~-180℃の温度で(例えば、少なくとも1、2、3、4時間またはそれ以上の時間)実施され、封入希ガスが生成される。特定の態様では、工程(a)のインキュベートは約0℃~-150℃、-20℃~-150℃、-20℃~-100℃、-40℃~-100℃の温度で、または約-80℃の温度で、少なくとも8時間、12時間、24時間、48時間、または8時間~3日間実施される。いくつかの場合では、工程(b)が約2気圧~10気圧の気圧(例えば、約2気圧~8気圧、2気圧~5気圧、2気圧~4気圧の気圧または約3気圧の気圧)で、例えば、約20℃~1℃の温度で封入希ガスを水溶液に暴露することを含む。例えば、工程(b)を少なくとも1、2、3、4時間またはそれ以上の時間にわたって実施することができる。さらなる態様では、工程(b)の暴露することは約2気圧~8気圧、2気圧~5気圧、2気圧~4気圧の気圧で、または約3気圧の気圧で実施される。いくつかの態様では、工程(b)の暴露することは約15℃~1℃、10℃~1℃、8℃~2℃、6℃~2℃の温度で、または約4℃の温度で実施される。さらなる態様では、工程(b)の暴露することは少なくとも8時間、12時間、24時間、48時間または8時間~3日間である。さらなる態様では、工程(b)の暴露することは希ガスまたは希ガスの混合物により飽和されることを含む、封入希ガスを水溶液に暴露することを含む。例えば、溶液は、(i)ガスが抜かれた水溶液を得ること、及び(ii)約2気圧~10気圧の気圧で、約20℃~1℃の温度で、少なくとも4時間ガスが抜かれた水溶液を希ガスに暴露し、希ガスにより飽和された水溶液を生成することを含む方法によって、希ガスにより飽和させることができる。
【0029】
さらなる実施形態では、本公開により被験者の神経または心臓血管の保護を与えるために使用される組成物が提供され、組成物は希ガス、例えば、キセノンまたはアルゴンガスにより飽和された食用油を含む。
【0030】
本実施形態の特定の態様では、希ガスキャニスター(例えば、Xeガスキャニスター)に結合された蛇口からビール、リンゴ酒、ソーダ水または他の炭酸飲料を供給することを含む、実質的に水性組成物中の希ガスのデリバリーの方法が提供され、その結果、希ガスが使用され、蛇口気圧が維持され、これにより蛇口から分配される飲料(例えば、ビ-ル)に希ガスが溶解される。
【0031】
本明細書で使用する場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つまたは1つ以上を意味することができる。本明細書の請求項(単数または複数)で使用する場合、単語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、単語「含む」と共に使用されるとき、1つまたは1つ以上を意味することができる。
【0032】
請求項における用語「または」の使用は、本開示が二者択一のみ及び「及び/または」を意味する定義を支持するが、二者択一のみを意味すると明白に記載がない限り、または、二者択一が相互排除的でない限り、「及び/または」を意味するために使用される。本明細書で使用する場合、「もう1つの」は少なくとも第2のものまたはそれ以上を意味することができる。
【0033】
本出願全体を通して、用語「約」は、数値が、装置、数値を測定するために使用される方法につきものの誤差の変化、または、研究対象に存在する変化を含むことを示すために使用される。
【0034】
[本発明1001]
(i)溶解した希ガス、水溶性ポリマーとともに封入されている希ガスの一部を含む実質的に水性成分、及び/または
(ii)溶解した希ガスを含む食用油成分を含む栄養補助食品組成物。
[本発明1002]
前記希ガスがヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノンである、本発明1001の組成物。
[本発明1003]
前記希ガスがキセノンである、本発明1001の組成物。
[本発明1004]
前記組成物が2種以上の希ガスの混合物を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1005]
前記組成物がエマルジョンを含む、本発明1001の組成物。
[本発明1006]
水溶性ポリマーがシクロデキストリンである、本発明1001の組成物。
[本発明1007]
前記シクロデキストリンがγ-またはβ-シクロデキストリンである、本発明1006の組成物。
[本発明1008]
前記シクロデキストリンがβ-シクロデキストリンである、本発明1006の組成物。
[本発明1009]
前記組成物が約0.1~約1.0mg/mlのシクロデキストリン分子を含む、本発明1006の組成物。
[本発明1010]
前記油が多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1011]
前記油が少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のPUFAを含む、本発明1001の組成物。
[本発明1012]
前記油成分がキセノンまたはアルゴンガスにより飽和している、本発明1001の組成物。
[本発明1013]
前記食用油成分が可溶性キセノンガスを含む、本発明1001の組成物。
[本発明1014]
前記食用油が実質的に酸素を含まない、本発明1001の組成物。
[本発明1015]
前記油がカノーラ油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、クルミ油、魚油、ベニバナ油、チア種油、ヒマワリ種油、ゴマ種油、海草油、トウモロコシ油、綿種油、ピーナッツ油、パーム油、アボカド油、ココナツ油、またはオリーブ油を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1016]
前記油がΩ-3脂肪酸を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1017]
さらに(a)25容積%~50容積%の油、前記油が希ガスにより飽和している、及び(b)30容積%~75容積%の水溶液を含むエマルジョンと定義される、本発明1001の組成物。
[本発明1018]
さらに(a)15容積%~75容積%の油、前記油が希ガスにより飽和している、及び(b)25容積%~85容積%の水溶液を含むエマルジョンと定義される、本発明1001の組成物。
[本発明1019]
前記水溶液が水、果物ジュース、野菜ジュースまたはアルコールを含む、本発明1001の組成物。
[本発明1020]
さらにリン脂質、洗浄剤、またはタンパク質成分を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1021]
前記洗浄剤が植物性界面活性剤、合成洗浄剤または胆汁酸である、本発明1020の組成物。
[本発明1022]
前記洗浄剤がリトコール酸、デオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、またはコール酸である、本発明1020の組成物。
[本発明1023]
前記リン脂質が鶏卵ホスホコリン(鶏卵PC)、大豆PC、DPPCまたはDOPCである、本発明1020の組成物。
[本発明1024]
前記タンパク質が乳タンパク質、乳清タンパク質、大豆タンパク質分離物、またはウシ血清アルブミンである、本発明1020の組成物。
[本発明1025]
さらに油1ml当たり約1~50gのキセノンを含む、本発明1001の組成物。
[本発明1026]
(a)15容積%~75容積%のオリーブ油、前記油がキセノンまたはアルゴンガスにより飽和している、(b)25容積%~85容積%の水溶液、及び1つまたは複数のリン脂質、洗浄剤またはタンパク質を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1027]
(a)25容積%~50容積%のオリーブ油、前記油がキセノンまたはアルゴンガスにより飽和している、(b)50容積%~75容積%の水溶液、(c)10~30mg/mlのホスホコリン、(d)10~50mg/mlのBSA、及び(e)1~5mg/mlのリトコール酸を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1028]
(a)15容積%~75容積%のオリーブ油、前記油がキセノンまたはアルゴンガスにより飽和している、(b)25容積%~85容積%の水溶液、(c)10~30mg/mlのホスホコリン、(d)10~50mg/mlのBSA、及び(e)1~5mg/mlのリトコール酸を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1029]
さらに薬用植物、ビタミンまたはエネルギー供給栄養補助食品飲料と定義される、本発明1001の組成物。
[本発明1030]
さらに防腐剤、香味剤、染料、ビタミン、酸化防止剤、または植物抽出物を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1031]
前記組成物がガス不浸透性の容器に含まれる、本発明1001から1030のいずれかの組成物。
[本発明1032]
前記容器が約1ml~2リットルの前記組成物を含む、本発明1031の組成物。
[本発明1033]
前記容器が約1mg~20g、1mg~10g、1mg~1g、1~100mg、1~50mg、1~25mgまたは1~10mgのXeを含む、本発明1032の組成物。
[本発明1034]
前記容器が全内容物を大気にさらさないで経口消費のための前記組成物を放出するための1回限りの物を含む、本発明1031の組成物。
[本発明1035]
前記容器が加圧されている、本発明1032の組成物。
[本発明1036]
前記容器が希ガスとともに加圧されている、本発明1035の組成物。
[本発明1037]
さらにCO
2
を含む、本発明1035の組成物。
[本発明1038]
ガス不浸透性の容器に本発明1001から1030のいずれかの組成物を含む1回分の栄養補助食品。
[本発明1039]
前記容器がびんである、本発明1038の1回分の飲料。
[本発明1040]
前記容器が1ml~1.0mlの前記組成物を有する、本発明1039の1回分の飲料。
[本発明1041]
前記希ガスがXeを含む、本発明1038の1回分の飲料。
[本発明1042]
約1mg~20g、1mg~10g、1mg~1g、1~100mg、1~50mg、1~25mgまたは1~10mgのXeを有する、本発明1041の1回分の飲料。
[本発明1043]
約25~500mlの実質的に水性成分及び約0.1mg~20gの溶解した希ガスを含み、水溶性を高めるために前記希ガスの一部が封入されている、1回分の栄養補助食品組成物。
[本発明1044]
溶解した希ガスを含む経口消費のために調剤された液体または半液体組成物を提供することを含む被験者の健康または健康な状態を改善する方法。
[本発明1045]
前記液体組成物が希ガスにより飽和または過飽和している、本発明1044の方法。
[本発明1046]
前記希ガスがXeを含む、本発明1045の方法。
[本発明1047]
前記液体組成物が本発明1001から1042のいずれかに従った組成物である、本発明1044の方法。
[本発明1048]
溶解した希ガスを含む有効量の組成物を経口で投与することを含む被験者に神経または心臓血管の保護を提供する方法。
[本発明1049]
前記被験者がアテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、血栓症脳卒中、出血性脳卒中、心不全または心臓肥大であるか、またはリスクがある、本発明1048の方法。
[本発明1050]
前記被験者がヒトである、本発明1048の方法。
[本発明1051]
前記希ガスがXeを含む、本発明1050の方法。
[本発明1052]
約0.1mg~20g/日のXeを前記被験者に投与することを含む、本発明1051の方法。
[本発明1053]
前記被験者に1日当たり約500mg~10g、500mg~5g、500mg~2g、1~100mg、1~50mg、1~25mgまたは1~10mgのXe投与することを含む、本発明1052の方法。
[本発明1054]
前記組成物が毎週、毎日、1日に2回、1日に3回、6時間ごとに、3時間ごとにまたは1時間ごとに投与される、本発明1048の方法。
[本発明1055]
前記組成物が1週間、2週間、1ヵ月または1年の期間にわたって投与される、本発明1054の方法。
[本発明1056]
さらに神経疾患または神経損傷を治療するまたは予防する方法と定義される、本発明1048の方法。
[本発明1057]
前記神経疾患がアルツハイマー病である、本発明1056の方法。
[本発明1058]
さらに前記被験者のβ-アミロイド濃度を減少させる方法と定義される、本発明1057の方法。
[本発明1059]
さらに被験者のアルツハイマー病の進行を治療するまたは予防する方法と定義される、本発明1057の方法。
[本発明1060]
前記被験者にアルツハイマー病を発症するリスクがある、本発明1057の方法。
[本発明1061]
前記被験者にアルツハイマー病の遺伝的素因がある、または前記被験者がその素因があると診断されている、本発明1057の方法。
[本発明1062]
前記神経損傷が血栓症または虚血性脳卒中である、本発明1056の方法。
[本発明1063]
有効量の希ガスが溶解した組成物を経口で投与することを含む被験者の炎症のマーカーを減少させる方法。
[本発明1064]
前記組成物が水溶性を高めるために封入されている希ガスを含む、本発明1048から1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
前記組成物が、(i)溶解した希ガス、水溶性ポリマーとともに封入されている希ガスの一部を含む実質的に水性成分、及び/または(ii)溶解した希ガスを含む油成分を含む、本発明1048から1063のいずれかの方法。
[本発明1066]
前記希ガスがヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンまたはキセノンである、本発明1065の方法。
[本発明1067]
前記希ガスがキセノンである、本発明1065の方法。
[本発明1068]
前記組成物が2種以上の希ガスの混合物を含む、本発明1065の方法。
[本発明1069]
前記組成物がエマルジョンを含む、本発明1065の方法。
[本発明1070]
水溶性ポリマーがシクロデキストリンである、本発明1065の方法。
[本発明1071]
前記シクロデキストリンがγ-またはβ-シクロデキストリンである、本発明1070の方法。
[本発明1072]
前記シクロデキストリンがβ-シクロデキストリンである、本発明1070の方法。
[本発明1073]
前記組成物が約0.1~約1.0mg/mlのシクロデキストリンを含む、本発明1070の方法。
[本発明1074]
前記油が多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む、本発明1065の方法。
[本発明1075]
前記油が少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のPUFAを含む、本発明1065の方法。
[本発明1076]
前記油成分がキセノンまたはアルゴンガスにより飽和している、本発明1065の方法。
[本発明1077]
前記食用油成分が可溶性キセノンガスを含む、本発明1065の方法。
[本発明1078]
前記食用油が実質的に酸素を含まない、本発明1065の方法。
[本発明1079]
前記油がカノーラ油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、クルミ油、魚油、ベニバナ油、チア種油、ヒマワリ種油、ゴマ種油、海草油、トウモロコシ油、綿種油、ピーナッツ油、パーム油、アボカド油、ココナツ油、またはオリーブ油を含む、本発明1065の方法。
[本発明1080]
前記油がΩ-3脂肪酸、Ω-6脂肪酸またはΩ-9脂肪酸を含む、本発明1065の方法。
[本発明1081]
さらに(a)25容積%~50容積%の油、前記油が希ガスにより飽和している、及び(b)30容積%~75容積%の水溶液を含むエマルジョンと定義される、本発明1065の方法。
[本発明1082]
さらに(a)15容積%~75容積%の油、前記油が希ガスにより飽和している、及び(b)25容積%~85容積%の水溶液を含むエマルジョンと定義される、本発明1065の方法。
[本発明1083]
前記水溶液が湧水、果物ジュースまたは野菜ジュースを含む、本発明1065の方法。
[本発明1084]
さらにリン脂質、洗浄剤、またはタンパク質成分を含む、本発明1065の方法。
[本発明1085]
前記洗浄剤が植物性界面活性剤、合成洗浄剤または胆汁酸である、本発明1084の方法。
[本発明1086]
前記洗浄剤がリトコール酸、デオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、またはコール酸である、本発明1084の方法。
[本発明1087]
前記リン脂質が鶏卵ホスホコリン(鶏卵PC)、大豆PC、DPPCまたはDOPCである、本発明1084の方法。
[本発明1088]
前記タンパク質が乳タンパク質、乳清タンパク質、大豆タンパク質分離物、またはウシ血清アルブミンである、本発明1084の方法。
[本発明1089]
さらに油1ml当たり約1~50gのキセノンを含む、本発明1065の方法。
[本発明1090]
前記組成物が(a)15容積%~75容積%のオリーブ油、前記油がキセノンまたはアルゴンガスにより飽和している、(b)25容積%~85容積%の水溶液、及び1つまたは複数のリン脂質、洗浄剤またはタンパク質を含む、本発明1065の方法。
[本発明1091]
前記組成物が(a)25容積%~50容積%のオリーブ油、前記油がキセノンまたはアルゴンガスにより飽和している、(b)50容積%~75容積%の水溶液、(c)10~30mg/mlのホスホコリン、(d)10~50mg/mlのBSA、及び(e)1~5mg/mlのリトコール酸を含む、本発明1065の組成物。
[本発明1092]
前記組成物が(a)15容積%~75容積%のオリーブ油、前記油がキセノンまたはアルゴンガスにより飽和している、(b)25容積%~85容積%の水溶液、(c)10~30mg/mlのホスホコリン、(d)10~50mg/mlのBSA、及び(e)1~5mg/mlのリトコール酸を含む、本発明1065の組成物。
[本発明1093]
(a)水溶性封入ポリマーと希ガスをインキュベートすること、及び(b)前記封入希ガスを水溶液に暴露し、約2気圧~10気圧で、約4℃~-180℃の温度で、少なくとも4時間、前記希ガスを含む水性組成物を生成し、約2気圧~10気圧で、約20℃~1℃の温度で少なくとも4時間、封入希ガス溶液を生成することを含む、希ガスを含む水性組成物を生成する方法。
[本発明1094]
前記インキュベートする工程(a)が約2気圧~8気圧、2気圧~5気圧、2気圧~4気圧または約3気圧で実施される、本発明1093の方法。
[本発明1095]
前記インキュベートする工程(a)が約0℃~-150℃、-20℃~-150℃、-20℃~-100℃、-40℃~-100℃または約-80℃の温度で実施される、本発明1093の方法。
[本発明1096]
前記インキュベートする工程(a)が少なくとも8時間、12時間、24時間、48時間または8時間~3日間である、本発明1093の方法。
[本発明1097]
前記暴露する工程(b)が約2気圧~8気圧、2気圧~5気圧、2気圧~4気圧または約3気圧で実施される、本発明1093の方法。
[本発明1098]
前記暴露する工程(b)が約15℃~1℃、10℃~1℃、8℃~2℃、6℃~2℃または約4℃の温度で実施される、本発明1093の方法。
[本発明1099]
前記暴露する工程(b)が少なくとも8時間、12時間、24時間、48時間または8時間~3日間である、本発明1093の方法。
[本発明1100]
前記水溶液が溶解した希ガスを含む、本発明1093の方法。
[本発明1101]
前記水溶液が希ガスにより飽和している、本発明1099の方法。
[本発明1102]
(i)ガスが抜かれた水溶液を得ること、及び(ii)約2気圧~10気圧の気圧で、約20℃~1℃の温度で、少なくとも4時間ガスが抜かれた水溶液を希ガスに暴露し、希ガスにより飽和された水溶液を生成することを含む方法によって、前記水溶液が希ガスにより飽和している、本発明1100の方法。
[本発明1103]
前記希ガスがアルゴンまたはキセノンである、本発明1093の方法。
[本発明1104]
前記希ガスがキセノンである、本発明1103の方法。
[本発明1105]
前記希ガスが2種以上の希ガスの混合物を含む、本発明1093の方法。
[本発明1106]
水溶性封入ポリマーがシクロデキストリンである、本発明1093の方法。
[本発明1107]
前記シクロデキストリンがγ-またはβ-シクロデキストリンである、本発明1106の方法。
[本発明1108]
前記シクロデキストリンがβ-シクロデキストリンである、本発明1106の方法。
[本発明1109]
前記β-シクロデキストリンがヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、本発明1108の方法。
[本発明1110]
さらに薬剤または栄養補助食品組成物を生成する方法と定義される、本発明1093の方法。
[本発明1111]
前記水溶液が防腐剤、香味剤、染料、ビタミン、酸化防止剤、または植物抽出物を含む、本発明1093の方法。
[本発明1112]
さらに前記希ガスを含む前記水性組成物をガス不浸透性の容器に包装する工程(c)を含む、本発明1093の方法。
[本発明1113]
前記容器が加圧されている、本発明1112の方法。
[本発明1114]
前記容器が希ガスとともに加圧されている、本発明1113の方法。
[本発明1115]
前記容器が丸薬、カプセル、金属箔またはポリマーパケットまたはびんである、本発明1112の方法。
[本発明1116]
本発明1093から1115のいずれかに従った方法により生成された希ガスを含む水性組成物。
[本発明1117]
(a)約2気圧~6気圧で、約0℃~25℃の温度で、油及びガスを混合することにより、食用油に希ガスを溶解し、可溶性希ガスを含む食用油を生成することを含む、希ガスの経口投与ための組成物を生成する方法。
以下の詳細な説明から、本発明の他の目的、特徴及び利点が明らかになる。しかし、本発明の趣旨及び範囲内でさまざまな変化及び修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるため、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しながら、図のみにより与えられるものである。
【0035】
本明細書の以下の図面形態部分は含まれ、さらに本発明の特定の態様を示す。本発明は、本明細書で示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの1つまたは複数の図面を参照して、さらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】Xeが豊富な溶液による事前治療に応じてC57BL/6J野生型(WT)及びアポリタンパク質-E(ApoE)ノックアウト(KO)マウスの心臓肥大(Hypotrophy)及び機能を評価するための心エコー測定値。
図1A 拡張期の心室中隔(IVS:d)(mm)
図1B 拡張期の左室後壁径(LVPW:d)(mm)
図1C 拡張期の左心室(LV)容積(LV容積;d)(μL)
*p<0.05、
**p<0.01、WT/WT6wと比べたKO/KO6w、それぞれ、#p<0.05、KO6wと比べたKO対照/ビヒクル、§p<0.05、§§p<0.01、§§§p<0.001、KOビヒクルと比べたKOキセノン WT=野生型マウス、KO=Apo E ノックアウトマウス
【
図2】%駆出分画(%EF)上の心エコー測定値(
図2A) %左室内径短縮率(%FS)(
図2B)及び心拍出量(ml/min)(
図2C)
*p<0.05、
**p<0.01、WT/WT6wと比べたKO/KO6w、それぞれ、#p<0.05、KO6wと比べたKO対照/ビヒクル、§p<0.05、§§p<0.01、§§§p<0.001、KOビヒクルと比べたKOキセノン
【
図3】野生型(WT)及びApo-Eノックアウト(KO)マウスの心臓の質量モルフォロジーの変化
図3A LV修正質量(mg)
図3B 体重(BW)に対する心臓重量(HW)の比(mg/g) WT-6w(n=5):第6週の普通食で飼育したWTマウス KO-6w(n=4):第6週の普通食で飼育したKOマウス KO-6w対照(n=5):第6週の高脂肪食で飼育し、PBSが胃管栄養により投与されたKOマウス KO-6wビヒクル(n=7):第6週の高脂肪食及びビヒクルで飼育したKO KO-6wキセノン(n=6):第6週の高脂肪食で飼育し、キセノンが豊富な溶液が投与されたKO *p<0.05、WT/WT6wと比べたKO/KO6w、それぞれ、§p<0.05、KO6wビヒクルと比べたKO6wキセノン
【
図4】Xeが豊富な溶液による事前治療に応じて野生型及びApo-Eノックアウトマウスの心臓機能の心運動記録の変化 WT(n=9):治療開始時の普通食で飼育した野生型マウス;KO(n=25):治療開始時の普通食で飼育したApoE-KOマウス WT-6w(n=5):第6週の普通食で飼育したWTマウス KO-6w(n=5):第6週の普通食で飼育したKOマウス KO-6w対照(n=4):第6週の高脂肪食で飼育し、PBSが胃管栄養により投与されたKOマウス KO-6wビヒクル(n=7):第6週の高脂肪食及びビヒクルで飼育したKO KO-6wキセノン(n=6):第6週の高脂肪食で飼育し、キセノンが豊富な溶液が投与されたKO
【
図5】Xeが豊富な溶液による事前治療に応じて心臓(
図5A)及び脳(
図5B)の脳由来神経栄養因子(BDNF)のレベル WT-6w(n=4):第6週の普通食で飼育したWTマウス KO-6w(n=5):第6週の普通食で飼育したKOマウス KO-6wビヒクル(n=7):第6週の高脂肪食で飼育し、溶液が胃管栄養により投与されたKOマウス KO-6wキセノン(n=6):第6週の高脂肪食で飼育し、キセノンが胃管栄養により投与されたKOマウス *p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、WT6wと比べたKO6w/ビヒクル/キセノン、それぞれ;#p<0.05、KO6wと比べたKO6wビヒクル、§p<0.05、ビヒクルと比べたKO6wキセノン
【
図6】Xeが豊富な溶液による事前治療に応じて血液(
図6A)及び脳(
図6B)のβ-アミロイドの濃度 WT-6w(n=5):第6週の普通食で飼育したWTマウス KO-6w(n=4):第6週の普通食で飼育したKOマウス KO-6w対照(n=5):第6週の高脂肪食で飼育し、PBSが胃管栄養により投与されたKOマウス KO-6wビヒクル(n=7):第6週の高脂肪食及びビヒクルで飼育したKO KO-6wキセノン(n=6):第6週の高脂肪食で飼育し、キセノンが豊富な溶液が投与されたKO *p<0.05、WT6wと比べたKO6wビヒクル、§§p<0.01、ビヒクルと比べたKO6wキセノン
【
図7】虚血性損傷に対する脳耐性を増大させるためのキセノンが豊富な溶液
図7A 梗塞サイズ
図7B パーセント梗塞容積
図7C 肢配置(Limb placement)
図7D グリッド歩行
【
図10】最初のキセノンかご状実験(A)Xeのかご状に使用されるCDの構造(B)Xe原子と比べたα-、β-及びγ-CDの物理的特性を示す図(C)CDにXeを封入する圧力の影響を測定するための試験結果を示すグラフ(D)CDにXeを封入する際の温度の影響を示すグラフ
【
図11】上部パネルがCDかご状を使用してXeが豊富な水を生成する例示的なプロトコルを示す。下部パネルは、示した方法を使用して実現した5ml水当たりの溶解したXeの容積を示すグラフである。
【
図12】Xe水により治療したマウスの心エコー測定値 グラフが、(1)第6週の普通食で飼育したWTマウス(WT-6w、n=5)、(2)高脂肪食及び正常な水制御Apo Eノックアウトマウス(KO6w対照、n=13)、(3)シクロデキストリン含有水のみで飼育したビヒクル対照マウス(KO6wビヒクル、n=5)、または(4)治療後の第6週、Xeが豊富な水で飼育したApo Eノックアウトマウス(KO6wキセノン、n=5)の心エコー測定値の結果を示す。グラフが、心室中隔(IVS)容積、パーセント左心室(LV)駆出分画(EF)、左室後壁厚(LVPW)、パーセントLV左室内径短縮率(FS)、LV容積及び心拍出量(CO)の測定値の結果を示す。
【
図13】虚血性ストレスへのXeの影響 左パネルのグラフがXeで治療した動物に対して対照マウスのクレアチンキナーゼ(CKMB)濃度を比較するための試験結果を示す。右パネルのグラフがXeで治療した動物に対して対照マウスのトロポニン発現レベルを比較するための試験結果を示す(比較±SE,n=5,
§p<0.01)。
【
図14】Xeが豊富な水が脳及び血液のβ-アミロイドの発現を減少させる。グラフが治療後の第6週、プラスマ(左パネル)または脳(右パネル)にみられたβ-アミロイドの量を示す。WT6w(n=10)が第6週の普通食で飼育したマウスを示し、KO-6w(n=5)が第6週の普通食で飼育したノックマウスを示し、KO-6wビヒクル(n=7)が第6週の高脂肪食及びシクロデキストリン含有水で飼育したノックマウスを示し、KO-6wキセノン(n=6)が第6週の高脂肪食及びXeが豊富な水で飼育したノックマウスを示す。
*p<0.05、WT6wと比べたKO6wビヒクル、§§p<0.01、ビヒクルと比べたKO6wキセノン
【発明を実施するための形態】
【0037】
希ガス、例えば、キセノン(Xe)及びアルゴン(Ar)は、少ない用量で健康及び健康な状態を改善することができ、さらに、用量が多くても治療できる可能性があるため、希ガスは魅力的なものである。しかし、かかるガスをヒトに投与しようとする場合には、幅広い困難がある。特に、吸入により投与することができるガスの量は、きわめて厳しい制限がある。さらに、このガスは化学的に中性であるため、非極性製剤を他のデリバリー担体の中に入れることはきわめて困難なことであることが分かった。
【0038】
ヒト、いくつかの場合では他の対象動物への経口デリバリーのため、希ガス、例えば、XeまたはArが豊富な溶液が本明細書に開示される。いくつかの態様では、この溶液では、かかる希ガスの溶解度を高めるため、脂質が使用される。脂質としては、担体媒質として知られる食品から、油、例えば、食用油(例えば、Ω-3が豊富な油)が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、またはさらに、水溶液にはポリマー(例えば、シクロデキストリンとしては、:α-シクロデキストリン:6-員糖環分子、β-シクロデキストリン:7-員糖環分子、及びγ-シクロデキストリン:8-員糖環分子及び種々の誘導体が挙げられる)に封入された希ガスを混合することができる。シクロデキストリンの誘導体としては、メチル-β-シクロデキストリン、ランダムメチル化-β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、ランダムジメチル化-β-シクロデキストリン、トリメチル-β-シクロデキストリン、アセチル化ジメチル-β-シクロデキストリン:2-ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシブテニル-β-シクロデキストリン:2、3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、グルコシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-β-シクロデキストリン、グルクロニル-グルコシル-β-シクロデキストリン、2、脂質/油と混合することができる疎水性CD:アルキル化β-シクロデキストリン、2、6-ジ-O-エチル-β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-エチル-β-シクロデキストリン、アシル化β-シクロデキストリン:2、3、6-トリ-O-アシル(C
2-C
18)-β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-ブタノイル-β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-バレリル-β-シクロデキストリン、2、3、6-トリ-O-オクチル-β-シクロデキストリン、-カルボキシメチル-O-エチル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンスルファート、スルホブチルエーテル基-β-シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル基-β-シクロデキストリンが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の試験ではいずれのタイプの溶液も水性系に希ガスの有意な濃度をもたらすことができることを示す。経口デリバリーの際、この溶液には脳及び心臓組織に予防効果がある。例えば、Xe溶液が虚血性障害に対する組織の耐性を増大させ、心臓保護効果をもたらすことが示される。心臓疾患のモデル系では、組成物は心臓機能の直接の陽性効果マーカーがあるだけではなく(例えば、
図12を参照)、Apo-E欠損マウスの血圧を全体的に下げることができる(表2に示された結果)。さらに、この溶液がこのほか、アルツハイマー病のモデル系で生物学的に有意な(治療)効果を示す。特に、Xe系組成物では治療した動物の血液及び脳組織のいずれにもβ-アミロイド量も減少させる効果があることを示している(
図14)。したがって、使用され、心臓血管及び神経保護効果を被験者にもたらすことができる有効量の溶解した、または閉じ込められたArまたはXeを含む組成物が提供される。
【0039】
本明細書に開示された希ガス組成物及び治療方法は、健康な状態を高めるため、ならびに広い範囲の慢性疾病の治療及び予防のための新しい手段を与える。重要なことに、本明細書で提供された組成物は、心臓疾患患者または脳卒中のリスクが高い患者の治療に有用と思われる特定の用量で強力な心臓保護効果及び血圧を下げる効果をもたらすことが示された。さらに、提供された希ガス組成物は、身体組織内のアミロイド量を減少させることができ、その結果、アルツハイマー病の発症を治療及び予防するための類のない治療法を与えることが示されている。現在実現している使いやすい水性製剤が与えられると、現在では有効量の非中毒性の希ガスを経口製剤により容易にデリバリーすることができる。製剤の安定性が与えられると、複合的に包装することなく、特定の生理学的なパラメーターを増大させる、または改善することにより健康な状態を改善する(例えば、炎症を減少させ、ストレスを減少させ、リラクセーションを高め、血圧を低下させ、心を浄化する)服用系または冷凍さえなくても、他の用量の治療/予防に特定の用量で、さまざまな用量を容易に分割することができる(例えば、改善した心臓及び神経の機能)。したがって、主に経口デリバリーを意図する一定範囲の組成物(飲料が挙げられるが、これらに限定されない)をガスデリバリーのために使用し、容易に標準予防治療、例えば、食事の改善及び運動に組み入れられる、効果的及び使いやすい栄養補助食品または治療薬を提供することができると思われる。さらに、デリバリーの容易さ及び毒性のない製剤のため、医療専門家の監督がほとんどなく、または、監督がなくても本明細書に提供された製剤を投与できる可能性が高いと思われる。
I.薬剤及び栄養補助食品製剤
【0040】
本明細書で提供された薬剤及び栄養補助食品組成物が、有効量の組織または細胞保護ガス、例えば、XeまたはArを含み、任意でさらに薬剤、例えば、許容できる担体に溶解、または分散したさらなるガスを含むことができる。いくつかの態様では、かかる許容できる担体としては、可溶性ガスの含有量を所望の濃度に高める、または制御するために調剤された成分、例えば、前記に詳細を記載したように食用油またはかご状分子を含む脂質が挙げられる。語句「含有する」は、溶解する、乳状にする、懸濁させる、閉じ込める、及び主に経口デリバリーのための希ガスを含む溶液を得る他の同様の手段を意味する。語句「許容できる担体」は、動物、例えば、必要に応じてヒトに投与した(例えば、摂取させる)場合、副作用、アレルギー反応または他の不適当な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。希ガスを含有する薬剤または栄養補助食品組成物の調製は本明細書に詳細が記載されている。かかる組成物に活性または不活性成分のさらなる添加が、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18thEd.Mack Printing Company、1990(参照により本明細書に組み込まれる)に例示されているように、本公開に照らして当業者に知られている。さらに、動物(例えば、ヒト)への投与では、調合剤が生物学的標準のアメリカ食品医薬品局(FDA)によって要求されるように、無菌状態、発熱性、一般的な安全及び純度標準に合わなければならないとされる。
【0041】
「許容できる担体」としては、を挙げることができる。任意の溶媒及びいずれの溶媒、分散媒質、被覆剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗カビ剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬剤(drug)、薬剤安定剤(drug stabilizers)、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、染料、同様の物質及びこれらの組み合わせ、当業者に知られているように(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.Mack Printing Company、1990、pp.1289~1329(参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。任意の従来の担体が活性成分に適合する限り、治療または薬剤組成物にそれを使用するものとする。一般的に本実施形態の担体すべては溶解した希ガス、例えば、ArまたはXeを含む油-系成分を含む。
【0042】
特定の実施形態では、薬剤組成物は、固体、液体またはエーロゾル形態に投与されるかどうか、及び注入のようなかかる投与の経路に対して無菌である必要があるかどうかに応じてさまざまなタイプの担体を含むことができる。特定の実施形態では、本明細書で提供される薬剤組成物を静脈に、皮内に、動脈内に、腹腔内に、病変内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸膜内に、気管内に、鼻腔内に、硝子体内に、鞘内に、直腸内に、局所に、腫瘍内に、筋肉内に、腹膜内に、皮下に、結膜下に、小胞内に、粘膜に、心膜内に、へそ内に、眼内に、経口で、局所に、局部的に、吸入で(例えば、エーロゾル吸入)、注入で、点滴で、連続的点滴で、局所灌流浴で標的細胞に直接に、カテーテルにより、洗浄により、クリーム中に、脂質組成物(例えば、リポソーム)中に、または当業者に知られているように他の方法、または前記の任意の組み合わせにより、投与することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.Mack Printing Company、1990(参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0043】
他の実施形態では、本実施形態に点眼液、点鼻液またはスプレー、エーロゾルまたは吸入薬を使用することができる。かかる組成物が一般的に標的組織タイプに適合するように意図されている。非限定例では、点鼻液が点滴薬またはスプレーで鼻を通過して投与されるように意図された通常水性溶液である。鼻の分泌液と多くの点でほぼ同じであるように、正常な線毛の動きが維持されるように点鼻液が調製される。したがって、好ましい実施形態では、水性点鼻液は通常、等張である、またはわずかに緩衝剤で処理され、約5.5~約6.5のpHに維持される。また、必要であれば、眼病用調合剤に使用されるものとほぼ同じ抗菌防腐剤、薬剤、または好適な薬剤安定剤を製剤に含むことができる。例えば、種々の市販の点鼻調合剤が知られており、抗生物質または抗ヒスタミン剤などの薬剤が挙げられる。
【0044】
さらに他の投与方法に好適な製剤として座薬が挙げられる。座薬には、種々の重量及び形状の固体服用形態があり、通常、直腸、膣または尿道に挿入して投与される。挿入後、座薬が腔内液で軟化する、溶けるまたは溶解する。一般的に、座薬に対しての従来の担体としては、例えば、ポリアルキレングリコール、トリグリセリドまたはこれらの組み合わせを挙げることができる。特定の実施形態では、例えば、約0.5%~約10%、及び好ましくは約1%~約2%の範囲の活性成分を含有する混合物から座薬を形成することができる。
【0045】
このほか、好適な溶媒中の必要な量の活性化合物を前記に列挙した種々の他の成分に組み入れ、必要に応じて、濾過殺菌により無菌の注射可能溶液を調製することができる。一般的に、種々の無菌にした活性成分を塩基性分散媒質及び/または他の成分を含有する無菌のビヒクルに組み入れることによって分散液が調製される。無菌の注射可能溶液、懸濁液またはエマルジョンの調製のため無菌の粉末とする場合には、好ましい調製方法はあらかじめ無菌-濾過したこれらの液体媒質から活性成分に加えて任意の追加の所望の成分の粉末を生成する真空-乾燥または凍結-乾燥技術である。液体媒質は必要であれば緩衝剤で好適に処理しなければならず、液体希釈剤は最初に注入前に十分な食塩水またはグルコースで等張にする。高濃度の活性薬剤を小さな範囲にデリバリーして、きわめて急速に浸透させるため溶媒としてDMSOの使用を考える場合、直接注入用の高濃度組成物の調製もまた考えられる。特定の実施形態では、吸収を遅延させる薬剤の組成物、例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンまたはこれらの組み合わせの使用により、注射可能組成物の持続的吸収をもたらすことができる。
【0046】
組成物は、製造及び貯蔵の条件のもとで安定していなければならず、微生物、例えば、バクテリア及び菌の汚染作用を防いで保存しなければならない。リポソーム(例えば、ガスを含むリポソーム)を臨床的に応用する場合、界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースと好適に混合した水に治療組成物の溶液を調製することができる。このほか、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、これらの混合物、及び油に分散液を調製することができる。貯蔵及び使用の通常の条件のもとでは、これらの調合剤が微生物の成長を防止するため防腐剤を含有する。本発明の治療組成物は、有利にも液体溶液または懸濁液のいずれかの注射可能組成物の形態で投与され、このほか、注入前の液体中の溶液または懸濁液に好適な固体形態を調製することができる。このほか、これらの調合剤を乳化することができる。かかる目的のための典型的な組成物が、薬学的に許容できる担体を含む。例えば、組成物は、リン酸緩衝生理食塩水1ミリリットル当たり10mg、25mg、50mgまたは最大約100mgのヒト血清アルブミンを含有することができる。他の薬学的に許容できる担体としては、塩、防腐剤、緩衝剤などを含む水性溶液、非中毒性の賦形剤が挙げられる。
【0047】
非-水性溶媒の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、野菜油及び注射可能有機エステル、例えば、オレイン酸エチルがある。水性担体としては、水、アルコール性/水溶液、食塩水溶液、非経口ビヒクル、例えば、ナトリウム塩化物、Ringer’s dextrose等が挙げられる。静脈注射のビヒクルとしては体液及び栄養補充液が挙げられる。防腐剤としては、抗菌薬剤、酸化防止剤、キレート剤及び不活性ガスが挙げられる。薬剤組成物の種々の成分のpH及び正確な濃度は、公知のパラメーターに従って調節される。さらに、経口投与に好適な製剤がある。経口製剤としては、例えば、薬剤等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム等のような典型的な賦形剤が挙げられる。組成物は一般的に溶液または懸濁液の形態をとる。
【0048】
本実施形態の治療組成物は、典型的な薬剤の調合剤を挙げることができる。標的組織がその経路にある限り、本発明に従った治療組成物が任意の通常の経路により投与される。この場合には、静脈に注入または点滴することが好ましい。かかる組成物が通常、生理学的に許容できる担体、緩衝剤または他の賦形剤を含み、薬学的に許容できる組成物として投与される。
経口製剤
【0049】
特定の好ましい実施形態では、本実施形態の組成物が経口で投与され、かかる経口投与(例えば、飲料製剤として)を容易にするように調剤される。したがって、いくつかの実施形態では、組成物(例えば、油が封入されたガスまたはポリマーが封入されガスのエマルジョン)が、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル(例えば、ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセル)、持続放出製剤、口腔組成物、口内錠、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、またはこれらの組み合わせを含むことができる。経口組成物を食品または飲料製品(例えば、果物ジュースまたはアルコールとともに)に直接に組み入れることができる。経口投与の好ましい担体には不活性希釈剤、同化できる食用担体またはこれらの組み合わせが含まれる。他の態様では、経口組成物はシロップまたはエリキシル剤として調製することができる。シロップまたはエリキシル剤には、例えば、少なくとも1つの活性剤、甘味剤、防腐剤、香味剤、染料、防腐剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0050】
さらなる態様では、経口投与のため溶解した希ガス、例えば、XeまたはArを含む組成物を、カプセルまたは錠剤に調剤することができる。いくつかの態様では、カプセルは実質的にガスに対して不浸透性であり、好ましくはカプセルは被験者の消化管で溶解するように調剤される。
【0051】
特定の好ましい実施形態では、経口組成物が1つまたは複数の結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、香味剤、及びこれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、組成物が以下の1つ以上を含むことができる。結合剤、例えば、タラカントガム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンまたはこれらの組み合わせ、賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウムまたはこれらの組み合わせ、崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸またはこれらの組み合わせ、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、甘味剤、例えば、スクロース、ラクトース、サッカリンまたはこれらの組み合わせ、香味剤、例えば、セイヨウハッカ、冬緑油、チェリー香味剤、オレンジ香味剤、または前記の組み合わせ。用量単位形態がカプセルである場合、前記のタイプの物質に加えて、担体、例えば、液体担体を含有することができる。種々の他の物質が被覆剤として存在することができる、またはその他の方法で用量単位の物理的な形態を変更することができる。例えば、錠剤、丸薬、またはカプセルをセラック、糖またはこの双方で被覆することができる。
【0052】
組成物が1つまたは複数の成分の酸化を遅らせるために種々の酸化防止剤を含むことができる。さらに、微生物の作用の予防は、これらに限定されないが、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールまたはこれらの組み合わせが挙げられる、種々の抗菌及び抗カビ剤などの防腐剤により実施することができる。
【0053】
組成物が液体形態にある実施形態では、担体が、これらに限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、脂質(例えば、トリグリセリド、野菜油、リポソーム)及びこれらの組み合わせを含む、溶媒または分散媒質を含むことができる。例えば、被覆剤、例えば、レシチンの使用により、担体、例えば、液体ポリオールまたは脂質の分散によって必要な粒子径を維持することにより、界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースの使用により、またはかかる方法のこれらの組み合わせにより、適切な流動性は維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ナトリウム塩化物またはこれらの組み合わせを含むことが好ましい。
薬剤及び栄養補助食品製剤のための追加成分
【0054】
本明細書の以下に詳細を記載したように、本実施形態の経口希ガス製剤が追加成分を含むことができる。例えば、少なくとも、または最大で、組成物の総重量、または組成物の総容積の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、113、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89または90%のかかる追加成分を含むことができるものとする。特定の態様では、組成物の総重量、または組成物の総容積の約20%未満、10%未満、5%未満の追加成分を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、微量栄養素としては、L-カルニチン、コリン、補酵素Q10、α-リポ酸、Ω-3-脂肪酸、ペプシン、フィターゼ、トリプシン、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、及び前記の微量栄養素の少なくとも1つを含む組み合わせを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0056】
酸化防止剤としては、遊離基を捕捉する物質を挙げることができる。いくつかの実施形態では、例示的な酸化防止剤としては、クエン酸、ロスマリン油、ビタミン、ビタミン、ビタミンホスファート、トコフェロール、ジ-α-トコフェロールホスファート、トコトリエノール、αリポ酸、ジヒドロリポ酸、キサントフィル、βクリプトキサンチン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、β-カロチン、カロチン、混合カロチノイド、ポリフェノール、フラボノイド、及び少なくとも1つの前記酸化防止剤を含む組み合わせを挙げることができる。
【0057】
また、例示的な栄養剤としては、アミノ酸、例えば、L-トリプトファン、L-リジン、L-ロイシン、L-メチオニン、2-アミノエタンスルホン酸(タウリン)、及びL-カルニチン、クレアチン、グルクロノラクトン、イノシトール、及び少なくとも1つの前記栄養剤を含む組み合わせを挙げることができる。
【0058】
植物ケミカル(「植物栄養素」)は、消費者の健康または健康な状態に有益な効果をもたらすことができる植物由来化合物である。植物ケミカルとしては、植物由来酸化防止剤、モノフェノール及びポリフェノール等を含むフェノール系化合物が挙げられる。例示的な植物ケミカルとしては、ルテイン、リコペン、カロチン、アントシアニン、カプサイシノイド、フラボノイド、ヒドロキシケイ皮酸、イソフラボン、イソチオシアナート、モノテルペン、カルコン、クメスタン、ジヒドロフラボノール、フラバノイド、フラバノール、クエルセチン、フラバノン、フラボン、フラバン-3-オール(カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、等)、フラボナール(アントシアニン、シアニジン、等);フェノール酸、フィトステロール、サポニン、テルペン(カロチノイド)、及び少なくとも1つの前記植物ケミカルを含む組み合わせが挙げられる。
【0059】
植物ケミカルは、実質的に純粋または単離した形態、または天然の植物抽出物の形態で提供することができる。1つまたは複数の植物ケミカルを含有する好適な植物抽出物としては、果物皮抽出物(ブドウ、リンゴ、野生リンゴ等)、緑茶抽出物、白茶抽出物、グリーンコーヒー抽出物、及び少なくとも1つの前記抽出物を含む組み合わせが挙げられる。
【0060】
また、さまざまな理由、例えば、フレーバーまたはそれが健康によいことにより、種々の薬用植物、芳香植物または植物部位またはこれらの抽出物を組成物に含むことができる。例示的な薬用植物としては、エキナセア、ヒドラスチス、キンセンカ、ローズマリー、タイム、カバカバ、アロエ、ブラッドルート、グレープフルーツ種抽出物、ブラックコホッシュ、チョウセンニンジン、ガラナ、クランベリー、イチョウ、セントジョーンズワート、マツヨイグサ油、ヨヒンベバーク、緑茶、マオウ、マカ、ビルベリー、これらの抽出物、及び少なくとも1つの前記の薬用植物を含む組み合わせが挙げられる。さらに本実施形態の組成物に含む植物抽出物としては、アサィーの抽出物または成分、スピルリナ、クロレラ、カモジグサ、黒豆、ウコン、チアシード、ココナツ油、ココア、コケモモ、鶏卵、ビートジュース、カラシナ、サツマイモ、レッドワイン、アボカド、ブルーベリー、ブラックベリー、アーモンド、緑茶、ヒラマメ、ブラックビーン及びアロエベラが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの態様では、本実施形態の組成物としては、乳清タンパク質濃縮物、カゼイン酸カリウム、鶏卵アルブミン、大豆分離物、及び乳清分離物、(玄米)米タンパク質、加水分解牛肉タンパク質分離物、エンドウ豆タンパク質分離物、及び麻タンパク質から成る群から選択されるタンパク質源が挙げられる。
【0061】
さらなる態様では、本実施形態の組成物として、利尿剤、かかるスイカ抽出物またはタンポポ葉抽出物(例えば、4:1)を挙げることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、組成物のブリックス屈折計により計測したブリックス測定値を20℃で約8.0~約9.5°ブリックス、特に約8.5~約8.9°ブリックスとすることができる。もう1つの実施形態では、組成物のブリックス濃度計により計測したブリックス測定値を20℃で約7.5~約9.1°ブリックス、特に約7.9~約8.3°ブリックスとすることができる。
電解質
【0063】
電解質が本発明の組成物の種々の態様に含まれるものとする。例示的な電解質としては、周期表のI族及びII族の金属の塩、好ましくはナトリウム、カリウム、カルシウム及び/またはマグネシウムの無機及び有機塩が挙げられる。かかる塩の例としては、酢酸ナトリウム、酸性クエン酸ナトリウム、酸性リン酸ナトリウム、アミノサリチル酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、硫酸ナトリウム(無水)、硫酸ナトリウム(グラウバー塩)、酢酸カリウム、カリウム重炭酸塩、カリウム臭化物、カリウム塩化物、クエン酸カリウム、カリウム-D-グルコナート、モノ-及び二塩基性リン酸カリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、カルシウム-D-グルコナート、乳酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。1つの態様では、電解質は、塩化ナトリウム、リン酸一カリウム及び硫酸マグネシウムであり、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、それぞれ約50mg~約500mg、約10mg~約200mg及び約10mg~約200mgの量で含まれる。他の態様では、ナトリウム塩化物が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約50mg~約60mg、約70mg、約80mg、約90mgまたは約100mgの範囲の量で含まれ、マグネシウム硫酸塩及びリン酸一カリウムが、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約10mg~約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、または約200mgの量で含まれる。実施形態の組成物がさらにグリセロールを含むことができる。
【0064】
さらに組成物のための電解質及び液体製剤が米国特許第4,981,687号、5,089,477号、5,147,650号、5,236,712号、及び5,238,684号に提供され、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。
ビタミン及びミネラル
【0065】
本実施形態の組成物の種々の態様にビタミン及び/またはミネラルを含むものとする。含まれるビタミンとしては、ビタミン及びCo-ビタミン、例えば、ビタミンA(β-カロチン)、コリン、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン、ビタミンG)、ビタミンB3(ナイアシン、ビタミンP、ビタミンPP)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサミン、またはピリドキサール)、ビタミンB7(ビオチン、ビタミンH)、ビタミンB9(葉酸、フォラート、ビタミンM)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(エルゴカルシフェロール、またはコレカルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール)及びビタミンK(ナフトキノイド)が挙げられるが、これらに限定されない。含むことが可能なミネラルとしては、カルシウム、(Ca)、塩化物、(Cl-)、クロム、(Cr)、コバルト、(Co)、(ビタミン、B12の一部として)、銅、(Cu)、ヨウ素、(I)、鉄、(Fe)、マグネシウム、(Mg)、マンガン、(Mn)、モリブデン、(Mo)、リン、(P)、カリウム、(K)、セレニウム、(Se)、ナトリウム、(Na)、及び、亜鉛、(Zn)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
例えば、ビタミンAは、健康な歯、骨及び軟組織、粘膜、及び皮膚の形成及び維持を助ける。このほか、網膜の働きに必要な色素を生成するため、レチノールが知られている。レチノールは、特に薄暗い光で良好な視力を促進する。β-カロチンは抗酸化特性があり、身体が遊離基と呼ばれる不安定な化学物質を処理することを助けるビタミンAへの前駆物質である。
【0067】
チアミン(B-1)は身体細胞が炭水化物をエネルギーに変換することを助ける。チアミンはこのほか、心臓が機能を果すこと、及び脳の神経細胞を含む健康な神経細胞にとって不可欠なものである。リボフラビン(B-2)は、他のBビタミンとともに作用し、身体の成長及び赤血球生成にとって重要なものである。チアミンと同様に、リボフラビンは炭水化物からエネルギーを放出することを助ける。ナイアシン(B-3)は、健康な皮膚及び神経を維持することを助けるBビタミンである。ナイアシンはこのほか、食品をエネルギーに変換するために重要であり、コレステロールを下げる効果がある可能性がある。ビタミンB-6はピリドキシンとしても知られ、赤血球の形成及び正常な脳機能の維持を助ける。ビタミンB-6はこのほか、免疫系の抗体を合成することを助ける。ビタミンB-12は、他のBビタミンと同様に、物質代謝にとって重要であり、例えば、赤血球の形成に加わる。パントテン酸は、食品の物質代謝に不可欠なものである。パントテン酸はこのほか、ホルモン及びコレステロールの合成に不可欠なものである。ビオチンは、タンパク質及び炭水化物の物質代謝、及びホルモン及びコレステロールの合成に不可欠なものである。フォラート(葉酸)は、ビタミンB-12とともに赤血球の生成に作用、DNAの合成に必要なものである。
【0068】
アスコルビン酸とも呼ばれるビタミンCは、健康な歯及び歯肉を促進し、鉄の吸収を助け、正常な結合組織の維持を助ける。ビタミンCはこのほか、創傷が治ることを促進し、酸化防止剤となる。
【0069】
ビタミンDは、身体が健康な歯及び骨の正常な発達及び維持に不可欠なカルシウムを吸収することを促進する。ビタミンDはこのほか、多くの作用に必要なミネラルである、カルシウム及びリンの十分な血中濃度を維持することを助ける。
【0070】
ビタミンEは、トコフェロールとも呼ばれ、酸化防止剤となる。ビタミンEはこのほか、赤血球の形成及びビタミンKの使用にとって重要なものである。
【0071】
したがって、種々のビタミンのタイプを本発明の組成物の種々の態様に組み入れることが好ましい。1つの実施形態では、ビタミンB1(チアミン)が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約0.1mg~約5mgの範囲の量で含まれ、ビタミンB2(リボフラビン)が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約0.1mg~約5mgの範囲の量で含まれ、ビタミンB3(ナイアシン)が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約1mg~約50mgの範囲の量で含まれ、ビタミンB5(パントテン酸)が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約1mg~約50mgの範囲の量で含まれ、ビタミンB6が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約0.1mg~約5mgの範囲の量で含まれ、ビタミンB12が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約1μg~約50μgの範囲の量で含まれる。さらなる実施形態では、ビタミンB1、B2及びB6が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約0.1mg~約2mg、約3mg、約4mg、または約5mgの範囲の量で含まれ、ビタミンB3及びB5が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、1mg、~約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、または約50mgの範囲の量で含まれ、及びビタミンB12が、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、1μg~約10μg、約20μg、約30μg、約40μg、または約50μgの範囲の量で含まれる。
【0072】
さらにもう1つの実施形態では、本発明の組成物がさらにビタミンAを含んで提供され、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約50IU~約1000IUの範囲の量で含まれる。1つの態様では、ビタミンAが、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約50IU~約100IU、約200IU、約300IU、約400IU、約500IU、約600IU、約700IU、約800IU、約900IUまたは約1000IUの範囲の量で含まれる。
【0073】
もう1つの実施形態では、本実施形態の組成物がさらにビタミンCを含んで提供され、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約10mg~約100mgの範囲の量で含まれる。いくつかの態様では、ビタミンCが、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、10mg~約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、または約100mgの量で含まれる。
【0074】
さらにもう1つの実施形態では、本発明の組成物がさらにビタミンを含んで提供され、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約1IU~約50IUの範囲の量で含まれる。態様では、ビタミンが、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約1IU~約10IU、約20IU、約30IU、約40IU、または約50IUの量で含まれる。
アミノ酸
【0075】
さらなる実施形態では、前記の組成物はさらにアラニン、アルギニン、クレアチン、システイン、グリシン、ヒスチジン、グルタミン、リジン、メチオニン、オルニチン、ロイシン、イソロイシン、セリン、チロシン、アスパラギン、アスパラギン酸、スレオニン、プロリン、トリプトファン、バリン、フェニルアラニン、及びセレノシステインから成る群から選択される1つまたは複数のアミノ酸を含んで提供される。例えば、クレアチンは、種々の形態、例えば、クレアチン一水化物、クレアチンマグネシウムキレートまたはクレアチンニトラートで供給することができる。
【0076】
例えば、グルタミンが、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約5mg~約100mgまたは約5mg~約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mgまたは約100mgの範囲の量で含まれる。
【0077】
さらに、システインが本発明の組成物に含まれるものとする。例えば、システインが、8液量オンス(oz.volume)に存在する場合、約10mg~約100mgの範囲の量で含まれる。
炭水化物
【0078】
前記に記載したように、いくつかの態様で、は炭水化物源が本発明の組成物に含まれるものとする。例示的な炭水化物としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類及びグルコースポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このほか、改質炭水化物、例えば、スクラロース(sucrolose)が考えられる。もう1つの態様では、製剤の炭水化物がクエン酸から誘導される。
香味剤
【0079】
さらに口に合うように本発明の組成物に1つまたは複数の香味剤を添加することができる。任意の天然または合成の香味剤を本発明に使用することができる。例えば、1つまたは複数の植物及び/または果物のフレーバーを本明細書で利用することができる。本明細書で使用する場合、かかるフレーバーを合成または天然のフレーバーとすることができる。
【0080】
例示的な果物フレーバーとしては、外国種及びラクトンのフレーバー、例えば、パッションフルーツフレーバー、マンゴーフレーバー、パイナップルフレーバー、クプアスフレーバー、グアバフレーバー、ココアフレーバー、パパイヤフレーバー、ピーチフレーバー、及びアプリコットフレーバーが挙げられる。これらのフレーバー以外に、さまざまな他の果物フレーバー、例えば、リンゴフレーバー、シトラスフレーバー、ブドウフレーバー、ラズベリーフレーバー、クランベリーフレーバー、チェリーフレーバー、グレープフルーツフレーバー等を利用することができる。これらの果物フレーバーは、天然源、例えば、果汁及びフレーバー油から誘導することができ、または代わりに合成的に調製することができる。
【0081】
例示的な植物フレーバーとしては、例えば、茶(例えば、紅茶及び緑茶)、アロエベラ、ガラナ、チョウセンニンジン、イチョウ、サンザシ、ハイビスカス、ローズヒップ、カミルレ、セイヨウハッカ、ウイキョウ、ショウガ、カンゾウ、ハス種子、五味子、ノコギリヤシ、サルサパリラ、ベニバナ、セントジョーンズワート、クルクマ、カルダモン(cardimom)、ナツメッグ、ケイヒ、ブッコノキ、シナモン、ジャスミン、サンザシ、キク、ヒシの実、サトウキビ、レイシ、タケノコ、バニラ、コーヒー等が挙げられる。
【0082】
香味剤はこのほか、種々の香味のブレンドを含むことができる。香味剤のフレーバーは、必要な場合、エマルジョン液滴に形成することができ、その後、これは飲料組成物または凝縮物に分散される。この液滴は通常、水より小さな特定の密度であり、その結果、分離相を形成するため、増量剤(白濁剤として作用することもできる)を使用して、エマルジョン液滴が飲料組成物または凝縮物に分散されているのを維持させることができる。かかる増量剤の例が、臭素化植物油(BVO)及び樹脂エステル、特にエステルガムである。液体飲料に増量及び白濁剤の使用のさらなる説明のため、L.F.Green、Developments in Soft Drinks Technology、Vol.1、Applied Science Publishers Ltd.、pp.87-93(1978)(参照により本明細書に組み込まれる)を参照。典型的には香味剤は従来から、凝縮物または抽出物として、または香味エステル、アルコール、アルデヒド、テルペン、セスキテルペン等の合成的に生成した形態で得られる。
【0083】
使用される薬剤及び最終製品の所望の強さに応じて、使用される香味剤の量は変わる。量は当業者により容易に決定することができる。一般的に、香味剤は、利用される場合、約0.0001%~約0.5%の濃度で存在させなければならない。
フラバノール
【0084】
フラバノールは、さまざまな植物(例えば、果物、野菜、及び花)に存在する天然物質である。本発明に利用することができるフラバノールは、当業者によく知られた任意の好適な方法により、例えば、果物、野菜、緑茶または他の天然源から抽出することができる。フラバノールは単一の植物または植物の混合物のいずれかから抽出することができる。フラバノールを含有する植物は、当業者に知られている。
【0085】
本発明の組成物の種々の態様のフラバノールの量は変えることができる。しかし、1つまたは複数のフラバノールが利用される場合、組成物の約0.001重量%~約5重量%が好ましい。
感覚惹起剤
【0086】
いくつかの態様では、組成物には「感覚惹起剤」、例えば、飲料組成物の味を変え、調子外れという感じを減らすことができる三叉神経刺激剤が含まれる。感覚惹起剤には、暖かい感じをもたらす化合物「温感剤」、冷たい感じをもたらす化合物「冷感剤」、及びヒリヒリした、ピリっとした、またはしびれた感じをもたらす化合物「ヒリヒリ感惹起剤(tingling agents)」が含まれる。感覚惹起剤は、温感剤、冷感剤、ヒリヒリ感惹起剤、または少なくとも1つの前記の感覚惹起剤を含む任意の組み合わせとすることができる。
【0087】
温感剤は、個々の使用者に暖かいという感覚信号をもたらすものとして知られる幅広い化合物から選択することができる。この化合物は、特に口腔で暖かいと分かる感じをもたらし、香味、甘味料及び他の感覚受容性成分の感じ方を高めることが多い。有用な温感剤としては、口の感覚器官とむすびつけるとができる少なくとも1つのアリルビニル成分を有するものが挙げられる。好適な温感剤の例としては、バニリルアルコールn-ブチルエーテル(Takasago Perfumery Company Ltd.、Tokyo、Japanにより供給されるTK-1000)、バニリルアルコールn-プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn-アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn-ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、ギンゲロール、ショウガオール、パラドール、ジンゲロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソ-アミルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、クロロホルム、オイゲノール、シナモン油、シンナムアルデヒド、これらのリン酸誘導体等、または少なくとも1つの前記の温感惹起剤を含む組み合わせが挙げられる。
【0088】
即時調製組成物(instant compositions)によく知られたさまざまな冷感剤を用いることができる。例示的な冷感剤としては、メントール、キシリトール、エリトリトール、メンタン、メントン、酢酸メンチル、サリチル酸メンチル、N,2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタンアミド(WS-23)、n-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(WS-3)、コハク酸メンチル、3,1-メントキシプロパン1,2-ジオール及びグルタラートエステル等、または少なくとも1つの前記の冷感惹起剤を含む組み合わせが挙げられる。
【0089】
ヒリヒリ感惹起剤を飲料組成物に用いて、ヒリヒリした、ピリっとした、またはしびれた感じを使用者にもたらすことができる。例示的なヒリヒリ感惹起剤としては、Jambu Oleoresinまたはオランダセンニチ(Spilanthes種)、活性成分はスピラントール、サンショウ抽出物(Zanthoxylum peperitum)、成分知られたSaanshool-I、Saanshool-II及びSanshoamide、黒コショウ抽出物(piper nigrum)、活性成分チャビシン及びピペリン、エキナセア抽出物、ノーザンプリックリーアッシュ抽出物、トウガラシ含油樹脂等、または少なくとも1つの前記のヒリヒリ感惹起剤を含む組み合わせが挙げられる。
【0090】
組成物(例えば、飲料組成物)に、例えば、飲料組成物の総重量を基準にして約0.01~約10重量パーセント、特に約0.1~約5.0、及びさらに特に約1.0~約3.0重量パーセントの量の感覚惹起剤が存在することができる。
刺激剤
【0091】
いくつかの態様では、本実施形態の組成物には、刺激剤またはエネルギーレベルが高くなった感じをもたらす薬剤が含まれる。例えば、組成物がカフェイン(無水の)、緑茶抽出物(Camellia sinensis)(葉、例えば、45%EGCG)、フーディアゴルドニー、Advantra Z(登録商標)(Citrus aurantium、例えば、60%シネフリンアルカロイド)、L-タウリン、オタネニンジン粉末、グルクロノラクトン、アデノシン、オクトパミン、L-カルニチン、ヨヒンビン、ビンポセチン、NADH、エボジアミンシヌリンPF(登録商標)桂皮抽出物(Cinnamonum burmannii)、バナナ葉抽出物、またはZychrome(登録商標)[クロム(クロムジニコチシステイネイト)を含むことができる。
着色剤
【0092】
少量の1つまたは複数の着色剤を本発明の組成物に利用することができる。好ましくはFD&C染料(例えば、黄#5、青#2、赤#40)及び/またはFD&Cレーキが使用される。レーキを他の粉末成分に添加することにより、粒子のいずれも、特に着色鉄化合物、完全及び均一に着色され、均一に着色された飲料の混合が得られる。本発明に使用することができる好ましいレーキ染料は、FDAが承認したレーキ、例えば、レーキ赤#40、黄#6、青#1等である。さらに、他の従来の食品及び食品着色剤と組み合わせて、FD&C染料またはFD&Cレーキ染料の混合物を使用することができる。このほか、リボフラビン及びb-カロチンも使用することができる。さらに、例えば、果物、野菜、及び/または植物抽出物、例えば、ブドウ、クロフサスグリ、アロニア、ニンジン、ビートルート、赤キャベツ、及びハイビスカスを含む他の天然着色剤を利用することができる。
【0093】
使用される薬剤及び最終製品の所望の強さに応じて、使用される着色剤の量は変わる。量は当業者により容易に決定することができる。一般的に、着色剤は、利用される場合、組成物の約0.0001重量%~約0.5重量%、好ましくは約0.001重量%~約0.1重量%、及び最も好ましくは約0.004重量%~約0.1重量%の濃度で存在させなければならない。
防腐剤
【0094】
防腐剤は、本組成物に使用が必要なもの、または必要でないものとすることができる。滅菌及び/または無菌充填処理などの技術を利用して防腐剤を用いないことができる。しかし、任意で1つまたは複数の防腐剤を本組成物に添加することができる。好ましい防腐剤としては、例えば、ソルバート、ベンゾアート、及びポリホスファート防腐剤(例えば、ナトリウムヘキサメタポリホスファート)が挙げられる。
【0095】
好ましくは、防腐剤が本明細書に利用される場合、1つまたは複数のソルバートまたはベンゾアート防腐剤(またはこれらの混合物)が利用される。本発明に使用される好適なソルバート及びベンゾアート防腐剤としては、ソルビン酸、安息香酸、及びこれらの塩が挙げられ、カルシウムソルバート、ナトリウムソルバート、カリウムソルバート、カルシウムベンゾアート、ナトリウムベンゾアート、カリウムベンゾアート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
組成物が防腐剤を含む場合、防腐剤は組成物の好ましくは約0.0005重量%~約0.5重量%、さらに好ましくは約0.001重量%~約0.4重量%、なおさらに好ましくは約0.001重量%~約0.1重量%、なおさらに好ましくは約0.001重量%~約0.05重量%、及び最も好ましくは約0.003重量%~約0.03重量%の濃度で含まれる。組成物が1つまたは複数の防腐剤の混合物を含む場合、好ましくは、かかる防腐剤の総濃度をこの範囲内に維持するものとする。
酸味剤
【0097】
必要な場合、本組成物は任意で1つまたは複数の酸味剤を含むことができる。組成物のpHを維持するように一定の量の酸味剤を使用することができる。種々の態様では、本発明の組成物のpHが、約2~約9、約2.5~約8.5、約3~約8、約03.5~約7.5、約4~約7、約4.5~約6.5、または約5~約6である。
【0098】
公知及び従来の方法、例えば、1つまたは複数の前記の酸味剤の使用により、組成物の酸性度を調節して必要な範囲内に維持することができる。典型的には、前記記載の範囲内の酸性度は、微生物阻害の最大酸性度と所望の飲料香味最適な酸性度との間のバランスとなる。
【0099】
有機ならびに無機の食用酸を使用して飲料のpHを調製することができ、本明細書の第2の成分の一部として作用する酸にさらに添加することができる。酸は、解離しない形態で存在することができ、または、あるいは、例えば、リン酸水素カリウムまたはリン酸水素ナトリウム、リン酸ニ水素カリウム塩またはリン酸ニ水素ナトリウム塩、それぞれの塩として、存在することができる。好ましい酸は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、リン酸またはこれらの混合物を含む食用有機酸である。最も好ましい酸はクエン酸及びリンゴ酸である。
【0100】
酸味剤はこのほか、飲料成分を安定させる酸化防止剤として作用することができる。一般に使用される酸化防止剤の例としてはアスコルビン酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
使用される薬剤及び最終製品の所望のpHに応じて、使用される酸味剤の量は変わる。量は当業者により容易に決定することができる。一般的に、酸味剤は、利用される場合、組成物の約0.0001重量%~約0.5重量%の濃度で存在させなければならない。
酸化防止剤
【0102】
いくつかの態様では、本実施形態の組成物がさらに酸化防止剤を含むことができる。例えば、酸化防止剤は天然または合成のものとすることができる。好適な酸化防止剤としては、アスコルビン酸及びその塩、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、アノキソマー、N-アセチルシステイン、ベンジルイソチオシアナート、o-、m-またはp-アミノ安息香酸(oはアントラニル酸であり、pはPABAである)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、コーヒー酸、カンタキサンチン、α-カロチン、β-カロチン、β-カロチン、β-アポ-カロテン酸、カルノソール、カルバクロール、没食子酸セチル、クロロゲン酸、クエン酸及びその塩、チョウジ抽出物、コーヒー豆抽出物、p-クマル酸、3、4-ジヒドロキシ安息香酸、N,N’-ジフェニル‐p‐フェニレンジアミン(DPPD)、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ステアリル、2、6-ジ-tert-ブチルフェノール、没食子酸ドデシル、エデト酸、エラグ酸、エリソルビン酸、エリトルビン酸ナトリウム、エスクレチン、エスクリン、6-エトキシ-1、2-ジヒドロ-2、2、4-トリメチルキノリン、没食子酸エチル、エチルマルトール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ユーカリ抽出物、オイゲノール、フェルラ酸、フラボノイド(例えば、カテキン、エピカテキン、没食子酸エピカテキン、エピガロカテキン(EGC)、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、ポリフェノールエピガロカテキン-3-没食子酸)、フラボン(例えば、アピゲニン、クリシン、ルテオリン)、フラボノール(例えば、ダチスセチン(datiscetin)、ミリセチン、ダエンフェロ(daemfero))、フラバノン、フラキセチン、フマル酸、没食子酸、リンドウ抽出物、グルコン酸、グリシン、グアヤカムガム(gumguaiacum)、ヘスペレチン、α-ヒドロキシベンジルホスフィン酸、ヒドロキシケイ皮酸(hydroxycinammicacid)、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキノン、N-ヒドロキシコハク酸、ヒドロキシトリロソール(hydroxytryrosol)、ヒドロキシ尿素、乳酸及びその塩、レシチン、クエン酸レシチン、-α-リポ酸、ルテイン、リコペン、リンゴ酸、マルトール、5-メトキシトリプタミン、没食子酸メチル、クエン酸モノグリセリド、クエン酸モノイソプロピル、モリン、β-ナフトフラボン、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、没食子酸オクチル、シュウ酸、クエン酸パルミチル、フェノチアジン、ホスファチジルコリン、リン酸、リン酸塩、フィチン酸、フィチルユビクロメル(phytylubichromel)、ピメント抽出物、没食子酸プロピル、ポリリン酸塩、ケルセチン、トランス-リスベラトロール-米ぬか抽出物、ローズマリー抽出物、ローズマリー酸、セージ抽出物、セサモール、シリマリン、シナピン酸、コハク酸、クエン酸ステアリル、シリング酸、酒石酸、チモール、トコフェロール(すなわち、α-、β-、γ-及びδ-トコトリエノール)、トコトリエノール(すなわち、α-、β-、γ-及びδ-トコトリエノール)、チロソール、バニリン酸、2、6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシメチルフェノール(すなわち、lonox100)、2,4-(トリス-3’,5’-ビ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-メシチレン(すなわち、lonox330)、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、ユビキノン、第3級ブチルヒドロキノン(TBHQ)、チオジプロピオン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、トリプタミン、チラミン、尿酸、ビタミンK及び誘導体、レスベラトロール、CoQ-10(補酵素Q10)、ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、他の関連するカロチノイド、セレニウム、マンガン、グルタチオン、リポ酸、フラボノイド、フェノール、ポリフェノール、フィトエストロゲン、N-アセチルシステイン、小麦胚芽油、ゼアキサンチン、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい酸化防止剤としては、トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、及びローズマリー抽出物が挙げられる。追加の酸化防止剤または酸化防止剤の組み合わせの濃度は、約0.001重量%~約5重量%、及び好ましくは約0.01重量%~約1重量%の範囲とすることができる。
水
【0103】
本発明の組成物は、組成物の0重量%~約99.999重量%の水を含むことができる。組成物は、少なくとも約4%の水、少なくとも約20%の水、少なくとも約40%の水、少なくとも約50%の水、少なくとも約75%の水、及び少なくとも約80%の水を含むことができる。この濃度で含まれる水は、添加した水及び組み合わせ成分、例えば、果物ジュースに存在する水のいずれも含む。
【0104】
種々の実施形態では、組成物は1液量オンス、約2オンス、約3オンス、約4オンス、約5オンス、約6オンス、約7オンス、約8オンス、約9オンス、約10オンス、約12オンス、約14オンス、約16オンス、約18オンス、約20オンス、約22オンス、約24オンス、約30オンス、または約40液量オンスでまたはその量の水に提供される。1つの態様では、製剤の水成分が脱塩水である。
アルコール
【0105】
いくつかの態様では、本実施形態の飲料組成物に、例えば、約1%~60%(ABV)、または約1~40%(ABV)、または約1%~20%(ABV)、または約1%~10%(ABV)(アルコール含有量、ABV)のエタノールが含まれる。例えば、組成物としては、蒸溜酒、例えば、ウォッカ、ラム、ウイスキー、ジン、バーボン、ライ、または他の加糖または非加糖蒸溜酒を挙げることができる。いくつかの態様では、飲料は相当量のビール、ワイン、リンゴ酒または麦芽酒からなるものとすることができる。
海のミネラル
【0106】
いくつかの態様では、本実施形態の組成物がさらに海のミネラルを含む。海のミネラルは、多量ミネラル、微量ミネラル、及び超微量ミネラルの天然のバランスが申し分のないものである。海のミネラルが最も容易に吸収される及び生物学的に利用可能な形態で存在していることが知られている。海のミネラルの濃度は、ヒト血液血清にみられるミネラル濃度とほとんど同じであり、及びヒト血液とほとんど同じpHバランスにある。海のミネラルは、毒性の重金属、例えば、ヒ素、カドミウム、水銀、鉛、ラドン、ルテニウム、及びウラニウムを含まない。
【0107】
海塩は、例えば、主に以下のイオンからなり、重量が多い順に記載すると塩素イオン(Cl-)55.03%ナトリウムイオン(Na+)30.59%硫酸イオン(SO4
2-)7.68%マグネシウムイオン(Mg2+)3.68%カルシウムイオン(Ca2+)1.18%カリウムイオン(K+)1.11%重炭酸イオン(HCO3
-)0.41%臭素イオン(Br-)0.19%ホウ酸イオン(BO3
3-)0.08%ストロンチウムイオン(Sr2+)0.04%他のイオン0.01%である。海塩により液体が自由に体膜、例えば、腎臓の糸球体または血管壁を通ることが可能になる。海塩は、植物炭水化物を使用できる及び吸収できる栄養に適切に分解するために必要である。
脂質成分
【0108】
さらに以下に詳細を記載したように、本実施形態の組成物が、さらに脂質成分を単独でまたは油(例えば、溶解した希ガスを含む脂質成分)の一部として含むことができる。本実施形態の組成物に含まれる脂質としては、ω-3脂肪酸、例えば、α-リノレン酸(ALA、18:3)、エイコサペンタエン酸またはEPA(20:5n-3)、ドコサヘキサエン酸またはDHA(22:6n-3)、ω-6脂肪酸、例えば、リノレン酸または(LA、18:2)、Ω-6脂肪酸、γ-リノレン酸またはGLA(18:3n-6)、ジホモ-γ-リノレン酸またはDGLA(20:3n-6)またはアラキドン酸またはAA(20:4n-6)またはω-9脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、多価不飽和油が、クルミ、カノーラ油、ヒマワリ種子、ゴマ種子、チア種子、ピーナッツ、ピーナッツバター、オリーブ油、海草、イワシ、大豆、マグロ、天然サケまたは全粒小麦から誘導することができ、これらのうちの任意のものを本実施形態の組成物に使用することができる。
II.希ガス製剤の服用
【0109】
本実施形態の組成物に組み入れられる希ガスの量は、使用される特定の製剤及びその意図する使用に依存する。神経または心臓血管の保護効果をもたらす、または健康な状態の感覚を被験者にもたらし、改善する(例えば、炎症、ストレス及び/または血圧を減少させる)ために、組成物の有効量が意図する目的に基づいて決定される。用語「単位用量」または「用量」は被験者に使用するのに好適な物理的に分離した単位を指し、各単位が所望の効果をもたらすように計算した所定の量の組成物を含有する。投与される組成物の量はこのほか、投与の頻度及び単位用量の双方に依存し、所望の保護に依存する。
【0110】
特定の実施形態では、被験者に提供される組成物の実際の用量は身体的及び生理学的因子、例えば、体重、健康状態、以前または同時治療介入、食事療法、及び投与の経路により決定することができる。
【0111】
例えば、動物試験で測定された効果的な用量から、栄養補助食品または治療薬の効果的な用量の範囲を推定することができる。一般的に以下の式(例えば、Reagan-Shaw et al.、FASEB J.、22(3):659-661、2008(参照により本明細書に組み込まれる)を参照)に従って、ヒト等価用量(HED)(mg/kg)を計算することができる。
HED(mg/kg)=動物用量(mg/kg)×(動物Km/ヒトKm)
【0112】
身体質量のみではなく、身体表面積(BSA)に基づいているKm因子を変換に使用すると、さらに正確なHED値が得られる。ヒト及び種々の動物のKm値は、よく知られている。例えば、平均60kg(BSA1.6m2)のヒトのKmは37であり、20kg子供(BSA0.8m2)のKmは25である。いくつかの関連した動物モデルのKmもよく知られており、マウスのKm3(体重0.02kg及びBSA0.007)、ハムスターのKm5(体重0.08kg及びBSA0.02)、ラットのKm6(体重0.15kg及びBSA0.025)及びサルのKm12(体重3kg及びBSA0.24)である。
【0113】
例えば、マウス系では、1日当たり約200μl~5mlのXeにより飽和した経口摂取水溶液を投与することができる(すなわち、マウス1匹に対して約0.12~3.0mg/日または約7.2~約180mg/kg/日)。したがって、ヒト被験者に対しては約500μg/kg/日~約12.2mg/kg/日の用量に変換され、または平均質量(60kg)のヒトに対しては約30~約732mg/日に変換される。
【0114】
前記に記載したように、活性ガス成分の正確な量は特定の製剤に依存する。それにもかかわらず、HED用量を計算すると有益な効果をもたらすことができる服用のための一般的な指針を提供することができる。即時調製実施形態では、平均的な被験者に1日当たり1~2回分の用量を与えることを考慮すると単位用量で提供されるガス、例えば、キセノンの量は、約0.1~約200mgとなると考えられる。例えば、1~6オンス低温びんの水性Xe飲料(例えば、Xeが封入されたシクロデキストリンを含む)には4グラムのXeが含まれる、一方、水中に2mlのXeには室温で及び1気圧で1.2mgのXeが含まれる。一般的に、Xeの油製剤には水の約20倍以上のXe(封入系ではない)を含むことができる。例えば、室温で及び1気圧で、油、例えば、オリーブ油で約12mg/mlのXeの溶液を得ることができる。
III.希ガスの封入
油成分
【0115】
本実施形態の特定の態様では、溶解したガス、例えば、ArまたはXeを含む油と関係がある。いくつかの態様では、油は亜麻仁油、菜種油、大豆油、クルミ油、魚油、ベニバナ油、ヒマワリ油、アボカド油、ココナツ油、トウモロコシ油、綿種油、ピーナッツ油、パーム油、オリーブ油、チア油、エキウム油、クリール油または植物油である。さらなる態様では、油は2種以上の油の混合物である。油は食用、実質的に非中毒性の油が好ましいことが当業者には分かっている。したがって、いくつかの態様では、油は非石油系の油、例えば、動物または野菜由来の油である。好ましくは、油は高濃度のΩ-3-、Ω-6-及び/またはΩ-9-脂肪酸(例えば、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリドン酸、及び/またはリノレン酸)を含む。さらなる態様では、油が多価不飽和脂肪酸(PUFA)、例えば、PUFA含有量が少なくとも約5%、10%、20%またはそれ以上である油の濃度により選択される。
【0116】
特定の態様では、本実施形態の油組成物またはエマルジョンが1つまたは複数のリン脂質成分を含む。リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン及び特定のスフィンゴ脂質が挙げられる。したがって、本明細書に使用されるリン脂質としては、ジオレオイルホスファチジルコリン(「DOPC」)、鶏卵ホスファチジルコリン(「EPC」)、ジラウロイルホスファチジルコリン(「DLPC」)、ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(「DPPC」)、ジステアロイルホスファチジルコリン(「DSPC」)、1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(「MPPC」)、1-パルミトイル-2-ミリストイルホスファチジルコリン(「PMPC」)、1-パルミトイル-2-ステアロイルホスファチジルコリン(「PSPC」)、1-ステアロイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(「SPPC」)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(「DLPG」)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(「DPPG」)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(「DSPG」)、ジステアロイルスフィンゴミエリン(「DSSP」)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(「DSPE」)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(「DOPG」)、ジミリストイルホスファチジン酸(「DMPA」)、ジパルミトイルホスファチジン酸(「DPPA」)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(「DMPE」)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(「DPPE」)、ジミリストイルホスファチジルセリン(「DMPS」)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(「DPPS」)、脳ホスファチジルセリン(「BPS」)、脳スフィンゴミエリン(「BSP」)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(「DPSP」)、ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(「DAPC」)、1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(「DBPC」)、1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(「DEPC」)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「DOPE」)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(「POPC」)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「POPE」)、リソホスファチジルコリン、リソホスファチジルエタノールアミン、及びジリノレオイルホスファチジルコリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
脂質成分の希ガスの可溶化(例えば、乳化)に加えて、リポソームに封入した水性製剤にかかるガスを提供することができることも考えられる。ガスのかかるリポソーム封入が以前に示されており、例えば、米国特許第7,976,743号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照。
水溶性分子
【0118】
本明細書にさらに詳細を記載したように、特定の態様では、水溶性分子、例えば、ポリマーにガス(複数のガス)を封入することにより、水性成分中の希ガスの溶解度が高くなる。一般的に、封入のために使用される分子は、希ガス原子(その一部で)を包含するように形成される疎水性が高くなったくぼみを形成することができる分子となる。これにより、かかる封入する分子が水性成分の周囲の極性環境から疎水性原子を保護し、これにより水性成分に溶解することができる希ガスの含有量が効果的に増大する。
【0119】
例えば、本明細書に示したように、シクロデキストリン及びその誘導体が、希ガスを封入するためによく適合する。大きな原子Xeの場合には、β-シクロデキストリンが使用され、Xeを封入する(例えば、
図10Bを参照)。理論上は、当業者であればシクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hp-β-CD)または他の誘導体の濃度を増大させ、含まれるXeの量(すなわち、かご状分子Xe)を増大させることができる。長期にわたる経口投与では、シクロデキストリンの許容できる安全な用量を約1、000mg/kg/日とすることができる。例えば、hp-β-CDの溶解度は、330mg/mlである。可溶性誘導体の使用によりシクロデキストリン濃度を有意に約0.5mg/mlまで増大させることができることを意味する(実施例3及び4を参照)。これにより少なくとも500mg/mlまでの溶解したガス濃度をもたらすことができる。ガス封入用に考えられる追加の分子としては、カルセランド及びまたはヘミカルセランド(Saleh 2007を参照)、マクログロブリン、ククルビツリル(米国20030140787を参照(参照により本明細書に組み込まれる)、カリックスアレーン(Adamsら、2008)、ピラーアレーン(Caoら、2009)、ポルフィリン(prophyrins)、メタラクラウン、クラウンエーテル、シクロトリベラトリレン、クリプトファン(crypotophenes)、フォルダマー、さらにシクロデキストリンポリマー、シルセスキオキサン(Skeltonら、2013),tenas porousポリマー、HayeSep(登録商標)Porousポリマー及びPorapak(商標)Porousポリマーが挙げられるが、これらに限定されない(前記の引用の範囲が参照により本明細書に組み込まれる)。封入のための特定のポリマーの選択は封入される希ガスだけではなく、生成される製剤の特定のタイプの(例えば、経口製剤)に依存する。
【実施例】
【0120】
IV.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために挙げられる。発明者によって発見された技術を示す実施例に開示された技術は、本発明の実施においてうまく機能し、したがって、その実施の好ましい方法とすることができると当業者には理解される。しかし、当業者は、本公開に照らして、開示されている特定の実施形態に多くの変更を実施することができ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様またはほぼ同じ結果がなお得られることを理解しなければならない。
実施例1-実施例2の試験のための方法
【0121】
Xeが豊富な溶液の調製キセノンが豊富な溶液は、オリーブ油(または他の油、例えば、亜麻仁油、菜種油、大豆油、クルミ油、魚油等により生成することができる)、鶏卵ホスホコリン(Avanti、極性脂質、Alabama、USA)、BSA(または他のタンパク質、例えば、牛乳)、及びリトコール酸(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO、USA)からなる。超音波による方法を使用して25%の油成分を含む溶液を乳化し、界面活性剤、例えば、リン脂質(鶏卵PC、大豆PC、DPPC、DOPC等)、タンパク質及びリトコール酸によるエマルジョンの生成により安定化させた。キセノン(Matheson Tri-Gas(商標登録)、Houston、TX、USA)を低温で高圧密封法により油に飽和させた。
【0122】
マウスの実験の設定。HoustonのUniversity of Texas Health Science CenterのAnimal Welfare Committeeによっていずれの動物試験も承認された。C57BL/6J野生型(WT)及びアポリポタンパク質-E(Apo E)ノックアウト(KO)マウスをJackson Laboratory(Bar Harbor、ME、USA)から購入した。例えば、Meirら,2004(参照により本明細書に組み込まれる)を参照。使用されたコントロ-ルWTマウスは、Apo E KO マウスと遺伝的背景が同じであるC57BL/6Jであった。高脂肪食で飼育したApoEKOマウスタイプは、動脈硬化病変を発症したため、食コントロールまたは高脂肪食(Harlan Laboratories、USA)及び投与コントロールで、またはXeが豊富な溶液(200μl、1日に1回)及び水の飲料で、6週間、6~8ヵ月齢の雄WT及びKOマウスを飼育した。
図8を参照。
【0123】
心エコー測定及び心エコー画像(生体内で)高脂肪食で飼育する前に心エコー法による治療開始時の測定値を得た。30MHzミクロ分析器を備えたVevo 770 Imaging System(VisualSonics Inc.、Ontario、Canada)を使用して、連続Mモード心エコー法によって心臓のモルフォロジー及び機能を評価した。飼育後の第6週にMモード心室測定値を取った。心電図(ECG)データを得た。分析ソフトウエア(VisualSonics Inc.、Ontario、Canada)によりエコーデータ(HR、心拍数、LVID、左室内径、IVS、心室中隔、LVPW、左室後壁、FS、左室内径短縮率、SV、1回心拍出量、EF、駆出分画、CO、心拍出量、LV Vol、LV容積、LV修正質量)を分析した。
【0124】
タンパク質定量砕氷上でわずかに新鮮凍結心臓及び脳組織を解かし、心臓及び脳の切開を可能にした。プロテアーゼ抑制剤(完全なプロテアーゼ抑制剤配合、Sigma)を含有する最少量の放射性免疫沈降定量(RIPA)緩衝剤(Cell Signaling Technology、Inc.、MA、USA)を使用して、氷上で20秒間に2~3回の破裂で超音波処理することにより組織試料を均質化し、10分間、4℃で、14、000xgで遠心分離機にかけた。上澄みを除去した。Bradford Protein Assay (Bio-Rad、CA、USA)を使用してタンパク質濃度を測定した。
【0125】
脳由来神経栄養因子(BDNF)及びβ-アミロイド測定。心臓及び脳抽出物を除いて、試料(例えば、プラスマ)を解かし、製造業者の指示書に従ってβ-アミロイドのELISA定量前に12、000rpm、10分間、4℃で清澄にした。BDNF Sandwich ELISA Kit(Millipore Corporation、MA、USA)及びマウス/ラットアミロイドβ(1~40)High Specific ELISA Assay Kit(IBLAmerican、Minneapolis、MN、USA)を使用することにより、BDNF及びβ-アミロイドペプチド(Aβ1~40)含有量を測定した。以下の指示、一晩4℃で培養するためプレコート96-ウェルマイクロタイタープレートに試料を添加した。洗浄後、抗体を添加し、培養した。450nmで SpectroMax Microplate reader(Bio-Tek Instruments)を使用して蛍光を測定した。全試料を重複分析した。
【0126】
ラットの実験の設定。雄Sprague-Dawleyラット(260~280g、Harlan Laboratories Inc.、Indianapolis、IN)を無作為に2群(各群でn=8)に分けた。1つの群に胃管経由で水を与え、及び他の群にキセノンが豊富な溶液を与えた。2週間後、二重盲検法で2時間ラットに中大脳閉塞を受けさせた。行動機能を評価し、その後、殺処分(scarifice)後、脳損傷後24時間に二重盲検法で梗塞容積を評価した。
図9を参照。
【0127】
中大脳動脈閉塞(MCAO)のラットモデル。腔内縫合法を使用して2時間、右中大脳動脈(MCA)を閉塞させることにより大脳虚血を誘導した。要するに、手術用顕微鏡のもとで右総頸動脈(CCA)を露出させた。外頸動脈をその遠心端の近くで結紮した。隣接した組織から内頸動脈(ICA)を隔離及び分離した。虚血を誘発するため、2時間、外頸動脈/総頸動脈分岐部から18~20mmに位置するMCA内腔にポリL-リジン(0.1%[wt/vol])及びヘパリン(1000U/ml)で被覆された4-0モノフィラメントナイロン縫合糸(Ethicon、Somerville、NJ、USA)を挿入した。
縫合糸を除去した後すぐに、外頸動脈を結紮し、総頸動脈を通じてMCAへ血液を再潅流させた。いずれの実験でも、加熱ランプ及び加熱パッドを備えたフィードフォワード温度コントローラー(Harvard Apparatus, Holliston, MA, USA)を使用して、体温をモニターし、虚血の間及び再潅流の最初の1時間、37℃で維持した。血圧を記録するため右大腿動脈にポリエチレンカテーテルを導入した。スタンダードレーザードップラーモニター(PF5010 LDPMユニット及びPF5001 メインユニット、Perimed、Jarfalla、Stockholm、Sweden)に接続したPR407-1ストレートニードルレーザードップラー流量計プローブ(Perimed、Jarfalla、Stockholm、Sweden)を使用して大脳血流をモニターした。虚血性ペナンブラの領域(ブレグマの側方2mm及び後方2mm)に血流遮断を記録した。
【0128】
神経学的評価脳損傷後24 時間に神経学的評価を実施した。静かで薄暗い部屋で治療群に対して盲検化された観察者により全行動試験が実施された。肢配置(limb placement)、梁歩行、及びグリッド歩行能力を記録することにより、運動機能及び神経学的転帰のため動物を試験した。
【0129】
梗塞容積測定術後24時間の神経学的評価後、動物を殺処分し、脳を採取した。Jacobowitzブレインスライサーを使用して、厚さ2mmの冠状切片を2%TTCで染色した。全体の脳容積に対して梗塞サイズを正規化し、正規化した梗塞容積(%)を示した。
【0130】
統計的分析Microsoft Excel及びGraph Pad Prism 5.0を使用してデータを処理した。全値は平均±S.E.Mとして表されてる。対応のない両側スチューデントのt検定を使用して、各2群の間の比較を決定した。1要因ANOVAを使用して、複数のグループの分析を実施し、続いてTukeyのポストホック多重比較検定を実施した。0.05未満のP値が有意と考えられた。
実施例2-Xe投与試験
【0131】
キセノン(Xe)暴露に応じた心臓肥大に対する耐性心臓疾患へのXe活性の効果を試験するため、アポリポタンパク質Eノックアウト(本明細書で使用する場合、apoE-/-、または「KO」)マウスモデルを用いた。高脂肪食が有意にこの工程を加速させながら、動物は正常な食でもアテローム性動脈硬化病変を発症するため、これはアテローム性動脈硬化のためよく確立されたモデルである(Meirら、2004)。したがって、アテローム性動脈硬化及び心臓血管疾患への天然化合物及び薬剤の双方ともの効果を評価するため、このモデルは以前からうまく用いられている。
【0132】
動物を5群に分けた(実験設定を参照)。心エコー法を使用して治療開始時、及びXe暴露後の第6週に心臓径及び機能を評価した(
図1及び2、表1)。Xe暴露後の第6週に、LV質量(修正)によりWT及びKO心臓のサイズを測定し、体重(mg/g)に対して正規化した(
図3A)。
【0133】
予想通り、第6週及び治療開始時の高脂肪食ありで飼育/高脂肪食なしで飼育、WT及び6週間後のWT、それぞれを比較すると、Apo E KOマウスのLV質量が増大した。KO6wビヒクル及びKO6w対照群と比べて、Xe(KO6wXe)により治療したKOマウスのLV質量の増大は妨げられた。体重に対して正規化した心臓の重量が有意にKO6w対照及びビヒクル群で増大したことで、肥大性心臓の存在は確認された。KO6wビヒクルと比べて第6週に、Xe暴露に応じたKO6wXeマウスに体重に対する心臓の重量が減少したことを観察した(
図3B)。
【0134】
心エコー法により、治療開始時及びXe暴露後の第6週に、WT及びApoE-KOの心臓の拡張期及び収縮期の、心室中隔(IVS)、LV後壁厚(PW)、LV容積(V)、及びLV内径(ID)を測定した。(
図1及び表1)。第6週にXe暴露に応じてKO6wXeマウスの壁厚の増大は、KO6wビヒクルマウスと比べて、ならびにKO6w/対照マウスに対して有意に妨げられた(
図1A及び1B)。WT及びWT6wそれぞれと比べて、KO/KO6w/対照/ビヒクル動物の心拍数(HR)が増大した。また、この増大は、Xeを与えられたKO6wで妨げられた(代表的なMモードデータを
図4Aに示した)。まとめると、この結果はXe活性が心臓肥大の進行を抑制することを示す。
【0135】
Xe暴露に応じて改善した心臓機能及び心筋虚血治療開始時及びXe暴露後の第6週に、心臓機能を評価した(
図2)。治療開始時及び第6週に、高脂肪食あり/なしで飼育したKOマウスのLV左室内径短縮率(FS)、LV駆出分画(EF)及び心拍出量(CO)がWT及びWT6wと比べて、それぞれ減少した。一方、Xe暴露に応じて、KO6wXe心臓が、第6週にKO6wビヒクルと比べて、この減少を有意に妨げた(
図2A-C、それぞれ)。
【0136】
ECGデータが心筋虚血の通り、WT/WT6wと比べて、それぞれ、KO/KO6w/対照/ビヒクル心臓のT波、STセグメント、及びQRS群の変化を示す。しかし、Xeにより治療したKO6wには第6週時点でこの変化は生じなかった。このデータはXe暴露に応じて心筋虚血の改善を示す及びXeにより治療した心臓には肥大性の変化はみられず、及び心筋虚血の減少がみられることを示す。この変化がこのほか、心臓疾病でキセノンが豊富な溶液の保護の役割を示し(
図4B)、Xeの活性が心臓機能を改善し、心筋虚血から保護することを示す。
【0137】
Xeにより事前に治療した心臓及び脳のBDNF発現の増大Xeによる事前治療には遺伝子制御及びBDNFの合成を通じてラットの脳卒中(Pengら、CNS Neurosci Ther、2013 Oct、19(10):773-84)及び新生児仮死による脳障害で(Maら、Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism(2006)、199~208)神経を保護する役割がある。以前の試験ではBDNFが心臓に発現し、心臓疾患の分子機序と関係している可能性があることを示した(Okadaら、2012)。心臓血管系でXe活性のBDNFの可能な役割を評価するため、Xeによる治療をしないでELISAにより心臓及び脳に相対的BDNF発現レベルを測定した(
図5)。
図5Aに示したように、WT6wと比べて、KO6w/対照/ビヒクルの相対的BDNFレベルが増大した。さらにKO6wに対してKO6wビヒクルのBDNFレベルの増大が観察された。Xe暴露に応じて、心臓(KO6wXe)のBDNFレベルがさらに増大した。このほか、脳にほぼ同じ結果がみられた(
図5B)。このデータは、心臓及び脳で、BDNFがXeが媒介した変化と関係している可能性があるを示す(Pagelら、2010)。
【0138】
キセノンが豊富な溶液により事前に治療したプラスマ及び脳のβ-アミロイド濃度Xeが脂質ホメオスタシスと関係している可能性があると以前から報告されているが、かかるホメオスタシスでのXeの正確な役割及び効果は明らかでなかった(Goldenら、2010、Jungら、2011)。β-アミロイドはアルツハイマー病と関係がある脳沈着物の主な成分であり、脂質ホメオスタシスとも関係している(Shankarら、2008、Selkoeら、2001)。Xeの活性がβ-アミロイド濃度を制御することができるかどうかを調べるため、高脂肪食で飼育したApo E-KOマウスを試験した。特に、治療した動物及び治療しない動物のプラスマ及び脳のβ-アミロイド濃度をELISAにより試験した(
図6)。
図6Aに示したように、WT6w動物と比べて、ビヒクルにより治療したKO6w動物で(KO6wで有意でなかったが、増大)比較的プラスマβ-アミロイド濃度が有意に増大した。この増大はXeが豊富な溶液が与えられたKO6wマウスでは明らかに弱まった。このほか、脳組織にほぼ同じ結果がみられた(
図6B)。重要なことに、このデータはキセノンが豊富な溶液の投与が大脳沈着疾患を治療する可能性を含んでいることを示す。したがって、かかる溶液を使用して作用を弱める、またはアミロイド疾患、例えば、アルツハイマー病の進行を遅らせることができる。
【0139】
虚血性損傷に対する脳耐性を増大させるためのキセノンが豊富な溶液この試験ラットを2群に分けるため、1つの群には胃から水をデリバリーし、もう1つの群には胃からキセノンが豊富な溶液をデリバリーした。2週間後、2時間ラットに中大脳閉塞を受けさせた。脳損傷後の24時間に梗塞容積を評価した。キセノンが豊富な溶液を与えたラットが対照より小さなサイズの梗塞を発症した(
図7A及び7B)。さらに、神経学機能を示す、肢配置(limb placement)(
図7C)及びグリッド歩行(
図7D)を含む行動評価を実施した。経口でXeが豊富な溶液により事前に治療した群の方が行動タスクを実施する能力が優れていた。このデータは、キセノンが豊富な溶液の投与が虚血性傷害に対する脳の耐性を増大させ、有意な虚血性傷害後でさせ神経学作用の有意な減少を生じることができることを示す。
【0140】
まとめ。本明細書に示した試験では、神経学及び心臓血管系で経口Xeデリバリーの有益な効果を示す。特に、Xe摂取が心臓血管疾患のモデル系で保護しており、Xe治療により広い範囲の疾患マーカーを改善することができることを示した。さらに、経口Xeが神経保護であることを示した。経口でデリバリーしたXeが有意に虚血性損傷から保護することができるだけでなく、Xeが治療した動物のβ-アミロイド量を減少させることも示し、変性神経疾患の治療または予防に有用なものとすることができることを示した。重要なことに、データはこのほか、経口デリバリー系(例えば、本明細書に記載のかかる脂質系)でさえ十分な量のXeをデリバリーして、測定可能な効果を治療した動物にもたらすことができることを示す。
【表1】
実施例3-実施例4のための物質及び方法
かご状分子に封入したキセノンの調製
【0141】
キセノンを可溶性かご状分子(例えば、シクロデキストリン)に封入した。かごから存在可能性のある残留分子を除去するため、一晩真空下40~80℃でかご状分子を燃焼した。キセノンをかご状分子に封入するため、密封したバイアル内で一晩~3日間、2~10気圧、4~180℃で、かご状分子とキセノンをインキュベートした。
純粋キセノン過飽和水の調製
【0142】
一晩、20~80mbar vacuumで、室温で純粋水を脱ガスした。一晩~3日間、4℃で、2~10気圧キセノンガスを含む圧力水によりキセノンを(99.999% Medical grade、Matheson Tri-Gas(R)、Houston、TX、USA)脱ガス水に再び溶解した。
Xeが豊富な水の調製
【0143】
Xeが豊富な水は、水にXeを直接溶解したもの及び水にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(hp-β-CD)とかご状になっているものからなる。Xeが豊富な水を調製するため、キセノン過飽和水(10ml)を5mgかご状分子-キセノン錯体(0.5mg/ml)を含有するバイアルに注入した。一晩~3日間、2~10気圧下、4℃で得られた混合物をインキュベートした。
キセノンが豊富な水に溶解したXeの測定
【0144】
Xeが豊富な水に溶解したXeの量を測定するために。溶液を室温まで温めた及びXeが豊富な水試料上の圧力を放出した。その後、2時間、ふたを密封したシリコーンゴムシール付きバイアル(Thermo Scientific、Hudson、NH、USA)内で溶液を最大80℃に温めた。室温まで冷却した後、シリコーンゴムシールを通してバイアルに17ゲージ針付きシリンジを挿入した。ふたのスペーサーに存在する放出されたXeガスが形成した圧力が、Xeガスをシリンジに押し入れた。その後、シリンジに放出されたXeの量を測定した。
動物
【0145】
HoustonのUniversity of Texas Health Science CenterのAnimal Welfare Committeeによっていずれの動物試験も承認された。野生型(WT)及びApo Eノックアウト(KO)トランスジェニックマウスをJackson Laboratory(Bar Harbor、ME、USA)から購入した。使用された野生型対照マウスは、マウス遺伝的背景が同じApo EKOと比較するためC57BL/6Jであった。6週間、高脂肪食(Harlan Laboratories、USA)で、CDを含むがXe(ビヒクル)またはXeが豊富な水(Xe(1日当たり0.2~10ml)を加えたCDを含むかご状分子水が含まれる)を含まないかご状分子水を投与して、8~11ヵ月齢、雄及び雌WT及びKOマウスを飼育した。
心エコー測定及び心エコー画像(生体内で)
【0146】
高脂肪食で飼育する前に心エコー法による治療開始時の測定値を得た。30ミクロ分析器を備えたVevo 770 Imaging System(VisualSonics Inc.、Ontario、Canada)を使用して、連続Mモード心エコー法によって心臓のモルフォロジー及び機能を評価した。飼育後の第6週にMモード心室測定値を取った。心電図(ECG)データを得た。分析ソフトウエア(VisualSonics Inc.、Ontario、Canada)によりエコーデータ(HR、心拍数、LVID、左室内径、IVS、心室中隔、LVPW、左室後壁、FS、左室内径短縮率、SV、1回心拍出量、EF、駆出分画、CO、心拍出量、LV Vol、LV容積、LV修正質量)を分析した。
血圧測定
【0147】
血流を妨げるためにマウス尾に装着したテールカフを用いて、非侵襲的にマウス血圧をモニターした。
タンパク質定量
【0148】
砕氷上でわずかに新鮮凍結心臓及び脳組織を解かし、心臓及び脳の切開を可能にした。プロテアーゼ抑制剤(完全なプロテアーゼ抑制剤配合、Sigma)を含有する最少量の放射性免疫沈降定量(RIPA)緩衝剤(Cell Signaling Technology、Inc.、MA、USA)を使用して、氷上で20秒間に2~3回の破裂で超音波処理することにより組織試料を均質化し、10分間、4℃で、14、000xgで遠心分離機にかけた。上澄みを除去した。Bradford Protein Assay (Bio-Rad、CA、USA)を使用することによってタンパク質濃度を測定した。
β-アミロイド測定
【0149】
マウス/ラットアミロイドβ(1~40)High Specific ELISA Assay Kit(IBLAmerican、Minneapolis、MN、USA)を使用して、脳及び血液の双方のβ-アミロイドペプチド(Aβ1~40)含有量を測定した。以下の指示、一晩4℃で培養するためプレコート96-ウェルマイクロタイタープレートに試料を添加した。洗浄後、抗体を添加し、培養した。450nmで SpectroMax Microplate reader(Bio-Tek Instruments)を使用して吸収度を測定した。全試料を重複分析した。
ウェスタンブロット分析 心臓組織に心筋型トロポニン発現
【0150】
以前に記載された(Yin、X、Molecular Pharmacology)ように、心筋型トロポニンI(cTnI)(Cell Signaling Technology、Inc.、Danvers、MA、USA)を使用してウェスタンブロット分析を実施した。イムノブロット分析のために、SDS-PAGE(4~12%)勾配ゲルにより試料を溶解し、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)膜に移動した。その後、一晩4℃で、一次抗体とブロットをインキュベートし、0.1%Tween20含有TBS(TBST)により3回洗浄し、その後、製造業者の指示書に従って二次抗体(LI-COR Biosciences、Lincoln、NE、USA)で調べた。Odyssey Infared Imager(LI-COR Biosciences)によりイムノブロットの濃度測定分析を実施した。
統計的分析
【0151】
Microsoft Excel及びGraph Pad Prism 5.0を使用してデータを処理した。全値は平均±S.E.Mとして表されてる。対応のない両側スチューデントのt検定を使用して、2群の間の比較を決定した。複数のグループを比較する場合、1要因ANOVAを使用して、複数のグループの分析を実施し、続いてTukeyのポストホック多重比較検定を実施した。0.05未満のP値が有意と考えられた。
実施例4-Xeが高められた水によるさらなる試験の結果
Xeが豊富な水に溶解されるキセノン
【0152】
シクロデキストリン(CD)は、食品、薬剤、及び化学工業で用いられる多官能性のかご状分子である。シクロデキストリンは、疎水性内部及び親水性外部をもたらす。希ガス、例えば、キセノンの溶解度を増大させるためにこの特定を使用することができるかどうかを決定するため、本明細書に記載した試験を実施した。
【0153】
キセノンをシクロデキストリン(hp-β-CD)に含有させることと気圧(
図10C)及び温度(
図10D)には高い相関があることを最初の試験のデータが示した。
図10Cに示したように、気圧が増大するとXe封入の量が増大した。さらに、低温で気体のXeを封入する方が効率がよい(
図10D)。例えば、3気圧で、-80℃で、hp-β-CDかご(0.5mg/mlのhp-β-CDを使用した)に総量5mlのキセノンを封入することができたことを試験は示した。
【0154】
さらに、水中のキセノン溶解度と、溶液の気圧及び温度には高い相関がある。4時間~一晩、4℃で、3気圧で純粋キセノンガスと脱ガスした水をインキュベートすることにより、総量6.5mlのキセノンガスを5mlの水に溶解した。Xeが豊富な水を生成するため、3気圧で4℃でXe-CDとXe飽和水をインキュベートした。3気圧の圧力が本明細書で使用された。典型的に、標準的な飲料容器が80~90psi(5.4~6.1気圧)の圧力に耐えることができる(すなわち、清涼飲料、例えば、コカコーラ-(登録商標)典型的な製品の典型的なカンの内部気圧は75°Fで55psi(3.7気圧)である)。
図11に示したように、媒質として水の存在下で、19mlのキセノンガスをかご状分子に含有させ、水(5mlの水の容積から開始して)に溶解した。したがって、CD-水溶液(hp-β-CD0.5mg/mlのCD濃度で)1ml当たりXe総含有量22.4mgの製剤を生成した。
キセノンが豊富な水が虚血性ストレスに対する心臓の耐性を増大させる。
【0155】
心臓疾患マウスの予防へのXe活性の効果を試験するため、4群、(1)正常な食品及び水制御で飼育した野生型(WT)、(2)高脂肪食及び正常な水制御で飼育したApo Eノックアウトマウス、(3)高脂肪食及びビヒクル制限で飼育したApo Eノックアウトマウス(シクロデキストリンを含有するがキセノンを含有しない水で飼育した)、及び(4)高脂肪食及びXeが豊富な水で飼育したApo Eノックアウトマウス(キセノンをシクロデキストリンに加えた、すなわち、分子かご状キセノン)に分けた。治療開始時、及び飼育後の第6週に、心エコー法を使用して、心臓径及び機能を評価した。
【0156】
治療開始時及び治療後の第6週に、心エコー法により拡張期及び収縮期に、心室中隔(IVS)、左室後壁厚(LVPW)、心室(LV)容積、及びLV内径(ID)を測定した(
図12)。Apo E KO動物では典型的であるように、高脂肪食により心室壁厚が有意に増大した。しかし、シクロデキストリンを含む水を与えられたマウスと比べて、6週間Xeが豊富な水の治療を受けたKOマウスでは、この病的変化は起きなかった(
図12)。このほか、高脂肪食で飼育した及びビヒクルで治療したKOマウスでは、心拍数(HR)が増大した。また、Xeが豊富な水で治療するとこの増大を示した。この結果は、前記の試験に示したように、経口でXeが豊富な水を消費すると心臓肥大の進行を抑制することを示す。さらに、封入された水製剤中のXeの濃度が有益な効果を実現できるほど十分に高かった。
【0157】
このほか、治療開始時及びXeが豊富な水の投与の第6週に心臓機能を評価した(
図12)。高脂肪食で飼育したApoE KOマウスでは、WT及びWT6w治療したマウスと比べて、治療開始時及び第6週に、LV左室内径短縮率(FS)、(EF)、及び心拍出量(CO)が減少した。Xeが豊富な水(KO6wXe)の投与を受けたKOマウスでは、KO6wビヒクルと比べて、第6週時点で、マウスの心臓が有意にこの減少から保護された(
図12A-C、それぞれ)。
【0158】
ECGデータが心筋虚血の通り、WT/WT6wと比べて、それぞれ、KO/KO6w/対照/ビヒクル心臓のT波、STセグメント、及びQRS群の変化を示す。Xeが豊富な水の投与を受けたApoE KOマウスの心臓(KO6wXe心臓)では第6週にこの変化は起きなかった。これはXeが豊富な水の投与心筋虚血を減少させることを示す。
【0159】
トロポニン及びCKMB(クレアチンキナーゼ)が、心臓虚血の2つのマーカーである。さらに試験でプラスマCKMB濃度及び心臓組織のトロポニン発現を測定した。この試験は、2つのマーカーの濃度が対照群では増大し、Xeが豊富な水の投与を受けたKOマウスでは減少したことを示した(
図13)。さらに、このデータによりXeが豊富な水の消費は虚血性ストレスに対する心臓の耐性を増大させたことが確認された。
キセノンが豊富な水が血圧を安定させる
【0160】
6週間毎日、Xeが豊富な飲料水を経口投与すると、有意に収縮期及び拡張期のいずれの血圧も減少させ(表2)、一方、心臓収縮性を増大させたことをXeで治療したマウスのさらなる分析が示した。
【0161】
【表2】
キセノンが豊富な水が脳組織および血液の双方のβ-アミロイドも減少させる
【0162】
このほか、脳及び血液のβ-アミロイドへのXe水投与の効果を測定するため試験を実施した(
図14を参照)。この試験では、アルツハイマー病のため特徴がはっきりしたApo E-KOマウスモデル系を使用した。このマウスは、対照マウスと比べて血清及び脳β-アミロイド濃度が増大することを示す。しかし、6週間にわたってXe水をマウスに投与すると、血清及び脳の双方のβ-アミロイド濃度も減少した(対照動物とほぼ同じ濃度となった)。
* * *
【0163】
本開示の観点から不適切な実験なしで、本明細書に開示及び請求される方法のすべてを作製及び実施することができる。本発明の組成物及び方法が、好ましい実施形態によって記載されたと同時に、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、方法に変形を適用することができ、本明細書に記載の方法の工程において、または、工程の連続において、変形を適用することができることが当業者には明らかである。さらに具体的には、化学的、生理学的ともに関係する特定の薬剤を本明細書に記載した薬剤の代わりに用いることができると同時に、同じまたはぼ同じ結果が得られることは明らかである。当業者に明白なかかる類似の代用物及び修正のすべては、添付の請求項によって定義された本発明の範囲及び概念内であると考えられる。
リファレンス
以下のリファレンスは、本明細書に記載されたものを補足する例示的な手順のまたは他の詳細を提供する範囲内で、特に参照により本明細書に組み込まれる。
米国特許第4,981,687号
米国特許第5,089,477号
米国特許第5,147,650号
米国特許第5,236,712号
米国特許第5,238,684号
米国特許第7,976,743号
米国特許公開第20030177784号
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