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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】製品認証のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20220111BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20220111BHJP
   G06K 7/12 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G06K19/06 140
G06K7/12
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019515260
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2017055602
(87)【国際公開番号】W WO2018051286
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-01-16
(31)【優先権主張番号】62/395,079
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519090387
【氏名又は名称】アリラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エヴェレット ペリー
(72)【発明者】
【氏名】ラセラ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス グラハム
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-508226(JP,A)
【文献】特開2009-046672(JP,A)
【文献】特開2008-117396(JP,A)
【文献】国際公開第2016/057956(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0152706(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0014586(US,A1)
【文献】特開2004-015052(JP,A)
【文献】国際公開第2015/043945(WO,A1)
【文献】特開2005-309717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0288192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62-G01N 21/83
G06K 7/00-G06K 7/14
G06K 19/00-G06K 19/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品認証の方法であって、
製品上に認証マーク(105)を生成するステップであって、前記認証マーク(105)は、視認可能ターゲットマーク(110)と、ピーク蛍光波長を有する複数の蛍光ナノ粒子によって形成されたパターンと、を含む、生成するステップと、
前記ピーク蛍光波長に関連するピーク発光波長を有する光源(65)を提供するステップと、
前記光源(65)を作動させている間に前記認証マーク(105)の少なくとも1つの蛍光及び反射光の画像を取り込むステップと、
前記少なくとも1つの画像内に前記視認可能ターゲットマーク(110)を配置し、かつ、前記少なくとも1つの画像内での前記視認可能ターゲットマーク(110)の位置に基づいて前記少なくとも1つの画像から前記パターンを抽出するステップと、
前記パターンを用いることによって前記製品を認証するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記光源を用いて前記製品上の前記認証マークを照らすステップと、
前記光源に対する蛍光応答を測定するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蛍光応答に対して比色分析を行うステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光源は複数の発光ダイオードを含み、前記複数の発光ダイオードのうちの各発光ダイオードは、異なるピーク発光波長を有する光を発する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記認証マークを生成するステップが、
反応チャンバ内で複数のナノ粒子を生成するステップと、
前記複数のナノ粒子から蛍光ナノ粒子を単離するステップと、
前記蛍光ナノ粒子を樹脂に埋め込むステップと、
前記製品上の前記ターゲットマークの近くに前記樹脂を施すステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
インクを形成するために前記樹脂に顔料を加えるステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂は、前記製品上に透明コートを形成するために透明である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記樹脂を施すステップは、前記樹脂を前記パターンに施すステップを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記パターンは機械可読コードである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
製品認証のためのシステムであって、
製品(10)に施された認証マーク(105)の画像を取り込む画像化装置(60)と、
前記画像化装置(60)に取り付けられた光源装置(65)であって、各々がピーク発光波長を有する少なくとも1つの光源(65)を含み、前記認証マーク(105)は、視認可能ターゲットマーク(110)と、前記ピーク発光波長の1つに関連するピーク蛍光波長を有する蛍光ナノ粒子によって形成されたパターンと、を含む、光源装置(65)と、
前記蛍光ナノ粒子が埋め込まれる樹脂であって、前記製品(10)上に施すための樹脂と、を含み、
前記画像化装置(60)は、前記少なくとも1つの光源(65)が作動されることによって前記認証マーク(105)の蛍光及び反射光の画像を取り込み、
前記画像内に前記視認可能ターゲットマーク(110)を配置し、かつ、前記画像内での前記視認可能ターゲットマーク(110)の位置に基づいて前記画像から、前記製品(10)を認証するための前記パターンを抽出する、システム。
【請求項11】
前記画像に対して比色分析を行うように構成されたプロセッサをさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記光源は発光ダイオードである、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記光源は複数の発光ダイオードを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の発光ダイオードのうちの各発光ダイオードは、異なるピーク発光波長を有する光を発する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記樹脂と前記蛍光ナノ粒子とから形成されるインクをさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記樹脂は、前記製品上に透明コートを形成するために透明である、請求項10~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記樹脂は、前記製品上にパターン状に施される、請求項10~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記パターンは機械可読コードである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
コードで符号化された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コードは、
視認可能ターゲットマーク(110)を検出するように構成された検出器(60)から第1画像データを受け取り、
ピーク発光波長を有する光源(65)を作動させ、
蛍光ナノ粒子による前記光源に対する蛍光応答を検出するように構成された前記検出器(60)から第2画像データを受け取り、ここで前記蛍光応答は、前記ピーク発光波長に関連するピーク蛍光波長を有し、
前記第1及び第2画像データに彩度マスクを適用し、
前記第1画像データ内に前記視認可能ターゲットマーク(110)を配置し、
前記第1画像データ内での前記視認可能ターゲットマーク(110)の位置に基づいて前記第2画像データから認証パターンを抽出し、
製品(10)を認証するための前記認証パターンにおける前記ピーク蛍光波長を決定するために比色分析を行う、ようにプロセッサに指示するためのものである、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記光源は発光ダイオードである、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に製品認証に関し、特にマーキングを使用した製品認証に関する。
【背景技術】
【0002】
偽造製品の生産および流通は、全ての関係当事者に多額の収益の損失をもたらす新たな世界的危機である。この問題は、ほぼ全ての商業部門に影響を及ぼし、疑いを持たない消費者にも影響を与えうる。正規のブランドおよび知的財産の所有者も、ブランド侵害および経済的損失により被害を受ける。過去十年間で、偽造者はより巧妙化し、抗癌薬などの高価な製品を含むまでに偽造活動を拡大している。高い潜在的利益および麻薬の不法取引などの他の違法活動と比較して比較的少ない罰則のため、大規模な国際犯罪シンジケートも自らの組織の中に偽造部門を設立し始めている。製品の真正性を確認する手段を提供するために、紫外線反応インクおよびホログラフィが使用されているが、偽造者はこれらのメカニズムを克服する方法を絶えず開発する。
【0003】
合法的な企業によって失われる実際の収益は、見積もるのが困難である。偽造防止技術からの投資対効果を判断することがほぼ不可能である限りにおいて、同様の問題が偽造防止部門に存在する。従来の解決策は、顧客エンゲージメントまたはセキュリティのいずれかに焦点を当てる。ほとんどの市販のセキュリティ機能は、ブランド捜査官および法執行機関の当局者しかアクセスできない実験室分析または専用のスキャン機器の使用が検出のために必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の一態様によれば、製品認証の方法が提供される。本方法は、反応チャンバ内で複数のナノ粒子を生成するステップを含む。加えて、本方法は、複数のナノ粒子から蛍光ナノ粒子を単離する(isolate)ステップを含む。蛍光ナノ粒子は、光源のピーク発光波長に関連するピーク蛍光波長を有する。さらに、本方法は、蛍光ナノ粒子を樹脂に埋め込むステップを含む。本方法は、樹脂を製品上に施すステップも含む。
【0005】
本方法は、光源を使用して製品上の樹脂を照らすステップをさらに含みうる。本方法は、光源に応じた蛍光応答を測定するステップも含みうる。
【0006】
本方法は、蛍光応答に対して比色分析を行うステップをさらに含みうる。
【0007】
光源は発光ダイオードでありうる。
【0008】
光源は、複数の発光ダイオードを含みうる。
【0009】
複数の発光ダイオードのうちの各発光ダイオードは、異なるピーク発光波長を有する光を発しうる。
【0010】
本方法は、インクを形成するために樹脂に顔料を加えるステップをさらに含みうる。
【0011】
樹脂は、製品上に透明コートを形成するために透明でありうる。
【0012】
樹脂を施すステップは、樹脂をパターン状に施すステップを含みうる。
【0013】
パターンは、機械可読コードでありうる。
【0014】
樹脂を施すステップは、製品上の固有の基準ポイントの近くに樹脂を施すステップを含みうる。
【0015】
本明細書の一態様によれば、製品認証のためのシステムが提供される。本システムは、ピーク発光波長を有する光源を含む。加えて、本システムは、ピーク発光波長に関連するピーク蛍光波長を有する蛍光ナノ粒子を含む。さらに、本システムは、蛍光ナノ粒子による光源に応じた蛍光応答を検出するための検出器を含む。本システムは、蛍光ナノ粒子が埋め込まれる樹脂であって、製品上に施すための樹脂も含む。
【0016】
本システムは、蛍光応答に対して比色分析を行うように構成されたプロセッサをさらに含みうる。
【0017】
光源は発光ダイオードでありうる。
【0018】
光源は、複数の発光ダイオードを含みうる。
【0019】
複数の発光ダイオードのうちの各発光ダイオードは、異なるピーク発光波長を有する光を発しうる。
【0020】
本システムは、樹脂と蛍光ナノ粒子とから形成されるインクをさらに含みうる。
【0021】
樹脂は、製品上に透明コートを形成するために透明でありうる。
【0022】
樹脂は、製品上にパターン状に施されうる。
【0023】
パターンは、機械可読コードでありうる。
【0024】
本明細書の一態様によれば、コードで符号化された非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。コードは、ピーク発光波長を有する光源を作動させるようにプロセッサに指示するためのものである。加えて、コードは、蛍光ナノ粒子による光源に応じた蛍光応答を検出するように構成された検出器から画像データを受け取るようにプロセッサに指示するためのものである。蛍光応答は、ピーク発光波長に関連するピーク蛍光波長を有する。さらに、コードは、画像データに彩度マスクを適用するようにプロセッサに指示するためのものである。コードは、蛍光応答におけるピーク蛍光波長を決定するために比色分析を行うようにプロセッサに指示するためのものでもある。
【0025】
光源は発光ダイオードでありうる。
【0026】
ここで、単なる例として添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】一実施形態によるデバイスの正面の概略図である。
図1b】一実施形態によるデバイスの背面の概略図である。
図2a】動作時の図1のデバイスの概略図である。
図2b】動作時の図1のデバイスの別の概略図である。
図3a】一実施形態によるシステムの正面の概略図である。
図3b】一実施形態によるシステムの背面の略図である。
図4a】動作時の図3のシステムの概略図である。
図4b】動作時の図3のシステムの別の概略図である。
図5】別の実施形態によるデバイスの概略図である。
図6】一実施形態による認証方法のフローチャートである。
図7】別の実施形態による認証方法のフローチャートである。
図8】一実施形態によるマークを製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に記載されるのは、製品認証および顧客エンゲージメントのための方法、システムおよびデバイスである。方法、システムおよびデバイスのいくつかの例では、セキュリティマークなどのマークが製品または製品パッケージに施される。マークは、製品の真正性を判断するためにデバイスによって検出されうる光応答性材料配合物を含む。マークによって生成される光応答は、究極的には認証に使用されるデバイスに依存する。デバイスは、蛍光応答などの光応答を誘発し測定できる任意のタイプのコンピューティングデバイスでありうる。当然のことながら、一般に、デバイスは、ダウンロード可能なアプリケーションの形など、機能を行うためにコンピュータ可読媒体に記憶されたコードの形のプログラミング命令を含む。例えば、デバイスは、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ポータブル電子デバイス、ゲームデバイス、モバイルコンピューティングデバイス、ポータブルコンピューティングデバイス、タブレットコンピューティングデバイス、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォンなどのうちのいずれか1つでありうる。一実施形態では、デバイスは、発光ダイオードまたは近接した複数の発光ダイオードなどの単一の光源を有するスマートフォンなどのモバイルコンピューティングデバイスである。
【0029】
マーク内に含まれる材料は一般に、ピーク吸収波長付近の光によって励起され、ピーク発光波長付近の光を発するように構成される。製品の真正性を判断するために、マークのピーク発光波長および/またはパターンが収集および分析されうる。本説明の恩恵を受けた当業者には当然のことながら、認証プロセスは特に限定されない。例えば、マークのピーク発光波長が画像から抽出され、16進コードまたは赤-緑-青(RGB)コードに変換されうる。その後、抽出されたコードが、真正製品に関するコードのライブラリを含むデータベースと相互参照されうる。さらに、マークは多種多様なパターン状に施されうる。各パターンは、材料の特定のピーク発光波長にさらに対応する特定の色コードに対応しうる。一例として、安全なオンラインデータベースから対応する色コードを取得するために、マークのパターンが使用されうる。その色コードが材料のピーク発光波長とマッチすれば、その製品は真正と見なされうる。
【0030】
別の実施形態では、マークは、それぞれ異なるピーク発光波長(すなわち色)を有する複数の光源にさらされてもよい。当業者には当然のことながら、光源は特に限定されない。一部の実施形態では、光源は、複数の個別の光源または単一の広帯域光源をモノクロメータと組み合わせた形態でありうる。異なる波長の光にさらされると、マークは、光源の波長に応じて1つ以上のピーク蛍光波長付近の光を発しうる。当然のことながら、一部の実施形態では、複数のピーク蛍光波長が複数の光源に関連する固有の蛍光スペクトルを形成するように提供されうる。ほとんどの蛍光材料および燐光材料は励起に依存しないため、ピーク蛍光波長の光源の波長に対する依存により、複製が非常に困難な特徴をもたらす安全な方法が提供される。したがって、本説明の恩恵を受けた当業者には当然のことながら、全ての製品が固有の識別子を有するように製品ごとに蛍光スペクトルがカスタマイズされうる。
【0031】
デバイスおよび/または光スキャナに関連するユーザインタフェース(UI:user interface)も提供される。ユーザインタフェースは、顧客エンゲージメントプラットフォームの一部としてユーザを認証プロセスを通して導き、製品情報を表示し、販売促進オファーまたは独占的マーケティングコンテンツを伝達するために使用されうる。デバイスおよび/または光スキャナは、ソフトウェアがロードされることもできる。ソフトウェアは、画像または蛍光スペクトルから固有の識別子を抽出するようにデバイスに命令することができ、これが次に真正性を判断するために使用されうる。さらに、当然のことながら、デバイスおよび/または光スキャナは、無線ネットワークに遠隔で接続し、合法な製品に関連する様々な識別子のライブラリを含む安全なオンラインデータベースにアクセスする能力を有しうる。
【0032】
マークは特に限定されず、一部の実施形態では特定の製品についての情報を伝送するために、バーコードなどの機械可読コードの形態でありうる。したがって、各デバイスが機械可読コードを読み取ることができる限り、マークの真正性を確認するために様々なタイプのデバイスが使用されうる。これにより、製品情報の選択的提供が可能になるであろう。したがって、ブランド/IP所有者はある製品情報へのアクセスを制御できる。蛍光スペクトルは安全な特徴を表すことができ、高性能な検出機器が必要であるため、製品についての秘密情報または機密情報を伝達し、トラックアンドトレースプログラムの一部として製品情報を更新するためにも使用されうる。当然のことながら、秘密情報および機密情報が伝達される様式は特に限定されない。例えば、マーク自体が、検出機器によって読み取り可能なフォーマットの情報を含みうる。あるいは、マークは、安全なデータベースからの秘密情報へのアクセスを得るためのキーとして使用されうる。さらに、典型的なスマートフォンのような単一の光源を有するデバイスは製品情報を観察することしかできなくてもよく、一方で複数の専用光源を備えた高性能な光スキャナは前記情報を変更する権限が付与されてもよい。本明細書に提示されるシステムは、ユーザにログインまたはアカウントを登録することを要求することもでき、それは安全なデータベースを介した製品情報へのアクセスを制御するもう1つの方法でありうる。
【0033】
図1aおよび図1bを参照すると、デバイス50が全体的に示される。本実施形態では、デバイス50は、スマートフォンなどのポータブル電子デバイスである。デバイス50は、ディスプレイ55と、カメラ60と、光源65とを含む。光源65は特に限定されない。本実施形態では、光源65は、ピーク発光波長を有する発光ダイオードである。しかし、他の実施形態では、光源65は、レーザまたはアークランプもしくは白熱光などの別の光源であってもよい。当業者には当然のことながら、デバイス50は、プログラミング命令および他のデータを記憶するために使用されうるコンピュータ可読媒体(図示せず)をさらに含む。プログラミング命令は、一般に、ディスプレイ55、カメラ60、および光源65を制御するためにオペレーティングシステムを実行するなど、様々な機能を行うようにデバイス50のプロセッサに指示するように構成される。特に、ディスプレイ55は、認証プロセスのためのユーザインタフェースを提供するためのタッチスクリーンディスプレイでありうる。
【0034】
図2aおよび図2bは、製品100を認証するための使用時のデバイス50を示す。製品100は特に限定されず、認証されるべき任意の製品または容器でありうる。本実施形態では、製品100はパッケージである。製品100は、人間の目にははっきりと見えないマーク105を含む。例えば、マーク105は、製品上にインクを施すことによって形成されうる。この実施形態では、インクは透明とすることができ、通常の周囲条件下で裸眼では見えないマークまたはパターンを製品100上に提供しうる。マーク105の位置は、製品100上にマーク105の位置の識別のために存在するターゲット110によって示される。他の実施形態では、ターゲット110は存在しなくてもよい。本実施形態では、ターゲット110の画像を取り込むためにデバイス50のカメラ60が使用される。ターゲットマークの画像を取り込むために、画像が取り込まれるときに光源65が作動される。光源65は、マーク105をカメラ60にあらわにするために製品100を光のバースト115にさらす。
【0035】
本実施形態では、マーク105は少なくとも1つの蛍光材料を含む。一部の実施形態では、光源65は、マーク105から蛍光応答を誘発するために使用される。本実施形態では、光源65は、人間の裸眼には白色発光ダイオードフラッシュであるように見える黄色ピークおよび青色ピークを含む。光源65は、マーク105内に含まれる蛍光材料を励起する。一例では、蛍光材料は、光源65の発光スペクトルと重なる吸収スペクトルを有しうる。他の実施形態では、蛍光材料は励起時にいくつかの異なる波長の光を発しうる。マーク105から発せられる波長の組み合わせは単色を生成する。さらなる実施形態では、マーク105から発せられた色がカメラ60を使用して検出されうるように、蛍光材料は可視スペクトルと重なる発光スペクトルを有しうる。真正性を判断するために、カメラ60によって記録されたマーク105の発光色およびパターンが集合的に分析されうる。
【0036】
製品100が真正であると判断された場合には、デバイス50は製品100が真正であるという指示を提供しうる。指示が提供される様式は特に限定されない。例えば、本実施形態では、マーク105はシンボルを含む。しかし、当業者には当然のことながら、機械可読コード、ロゴ、または署名などのマーク105のバリエーションが企図される。機械可読コードの使用は、デバイス50が製品100についての情報を抽出することを可能にする。デバイス50は、トラックアンドトレースプラットフォームの一部として製品100についての情報を更新するためにも使用されうる。デバイス50が製品情報へのアクセスを提供される範囲、およびデバイス50が前記情報を更新する能力は、デバイス50のユーザの識別によって判断されうる。識別が判断される様式は特に限定されない。例えば、バイオメトリック分析(すなわち指紋、網膜スキャン、音声認識など)を用いて、またはパスワードの入力を通じて識別が行われうる。
【0037】
図3aおよび図3bを参照すると、別の実施形態による製品を認証するための使用時のシステム200が全体的に示される。システム200は、光源205に取り付けられたスマートフォンのようなデバイス50aを含む。本説明の恩恵を受けた当業者には当然のことながら、デバイス50aは上述のデバイス50と類似または同一でありうるが、デバイス50aは特に限定されない。例えば、デバイス50aは、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ポータブル電子デバイス、ゲームデバイス、モバイルコンピューティングデバイス、ポータブルコンピューティングデバイス、タブレットコンピューティングデバイス、携帯情報端末、携帯電話などのうちのいずれか1つでありうる。光源205はデバイス50aに取り付けられた別個の構成要素として示されるが、多種多様な形態が企図されることを理解されたい。本実施形態では、デバイス50aは、カメラ60aと任意の光源65aとを含む。本実施形態では、光源205はデバイス50aと通信し、図3bに示すように光源205の背部に位置する一連の発光ダイオード210を含む。本実施形態では、発光ダイオード210の各々は、様々なピーク発光波長を有する光(すなわち異なる色の光)を発する。光源205上の発光ダイオード210は、デバイス50の内部電源を用いて電力を提供するためにデバイス50aに接続される。本例では、光源205は、USBケーブルを介してデバイス50に接続される。他の実施形態では、光源205は、ライトニングポートを使用して、または無線でブルートゥース(登録商標)通信チャネルを使用して、もしくは任意の他の適切なポートを使用してデバイス50aに接続されうる。したがって、本説明の恩恵を受けた当業者には当然のことながら、光源205上の発光ダイオード210は、バッテリパックなどの外部電源を使用して電力が供給されてもよい。
【0038】
図4aおよび図4bは、製品100を認証するための使用時のシステム200を示す。本実施形態では、ターゲット110の画像を取り込むために、デバイス50aのカメラ60aが使用される。マーク105の画像を取り込むためには、ターゲット110を照らすために光源205が作動される。光源205はターゲット110を光のバースト215にさらす。デバイス50aおよび光源205が、製品100を認証するために使用される。本実施形態では、様々な光源にさらされたときにマーク105の画像を取り込むためにカメラ60aが使用される。本実施形態では、光源205の背部から光のバースト215が発せられる際に、デバイス50a上の光源65aおよび光源205上に位置する一連の発光ダイオード210が順に作動されうる。次いで、カメラ60aが、異なる発光スペクトルを有する異なる光源などの様々な条件下でマーク105の画像を取り込みうる。加えて、当然のことながら、カメラ60aは、追加の情報を提供するための光のバースト215なしで、周囲光を用いて画像を取り込むこともできる。
【0039】
図3bに示すように、本実施形態では5つの発光ダイオード210および白色光源65aがある。発光ダイオード210および光源65aを順々に作動させることによって、カメラ60aはマーク105の6つの画像を取り込むこととなる。当然のことながら、発光ダイオード210および光源65aが作動される順序は特に限定されず、任意の順序が代わりとして使用されうる。発光ダイオードまたは他の光源の作動時に、マーク105またはマーク105の一部分があらわにされることができ、人間の目に視認可能および/またはカメラ60aによって検出可能になりうる。本説明の恩恵を受けた当業者には当然のことながら、マーク105は特に限定されない。本例では、マーク105はシンボルを含む。他の実施形態では、機械可読コード、ロゴ、または署名など、マーク105の異なる形状、向き、および/または構造が代用されうる。マーク105は、光源にさらされると蛍光を発する材料配合物を含む。材料配合物は、励起源に依存して変化しうる蛍光応答を提供する。様々な励起源によって誘発される蛍光応答が、固有の製品識別子を生成するために使用されうる。当業者であって本説明の恩恵を受けた者は、励起に依存する蛍光応答および固有の製品識別子を作成する能力に関連する利点を認識するであろう。さらに、当然のことながら、マーク105は、2つ以上の材料配合物を含み、発光ダイオード210の各々および光源65aにつき異なる応答を提供することができる。したがって、材料配合物は、多元的認証を提供するためのもう1つの確認として使用されうる。
【0040】
例えば、マーク105を光源65aにさらすことにより、光源65aのピーク発光波長に関連するピーク蛍光波長を有する材料配合物に基づく第1画像が提供されうる。真正性を判断するために、マーク105のピーク蛍光波長およびパターンの両方が使用されうる。製品100が真正であるか否かを判断すると、デバイス50aは肯定応答または否定応答を伝達するためにディスプレイ55a上にアイコンを表示しうる。
【0041】
当然のことながら、材料配合物は特に限定されない。例えば、材料配合物は貴金属を含みうる。他の実施形態では、貴金属は金または銀を含みうる。一部の実施形態では、貴金属は、微粒子球、円筒、楕円、立方体、直角プリズム、三角プリズム、角錐、円錐、八面体、十二面体、またはそれらの任意の組み合わせの形態である。一部の実施形態では、貴金属は、0.1nm~100nmの範囲内の粒径を有する微粒子球の形態である。一部の実施形態では、貴金属は薄膜の形態である。一部の実施形態では、貴金属膜の厚さは1nm~10μmの範囲内である。他の実施形態では、材料配合物は量子ドットを含みうる。一部の実施形態において、量子ドットの直径は、0.1nm~100nmの範囲内である。一部の実施形態において、量子ドットの組成は、カドミウム、セレン、鉛、硫黄、ヒ素、リン、インジウム、亜鉛、ケイ素、テルル、酸素、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の例として、材料配合物は有機材料を含むことができ、有機材料は、分子、顔料、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、有機材料は染料を含みうる。染料は特に限定されず、キサンテン、シアニン、スクアライン、ナフタレン、クマリン、オキサジアゾール、アントラセン、ピレン、オキサジン、アクリジン、アリールメチン、テトラピロール、緑色蛍光タンパク質、FMN結合蛍光タンパク質、小型超赤色蛍光タンパク質、これらの任意の組み合わせまたは誘導体を含みうる。染料は、CF染料、DRAQ、CyTRAK、BODIPY、Alexa Fluor、DyLightFLuor、Atto、Tracy、FluoProbes、Abberior染料、DY、MegaStokes染料、Sulfo Cy染料、HiLyte Fluor、Seta、SeTau、Square染料、Quasar、Cal Fluor染料、Surelight染料、APC、APCXL、RPE、BPE、Vio染料、またはこれらの任意の組み合わせもしくは誘導体などの市販の染料も含みうる。
【0042】
他の実施形態では、材料配合物は化学基の付加によって官能化されうる。化学基は、アミン、アミド、アレーン、アルコール、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、ハライド、エポキシド、ケトン、アルデヒド、アシルハライド、エステル、酸無水物、ペルオキシド、アセタール、ヘミアセタール、オルトエステル、エーテル、イミン、イミド、アジド、シアネート、ナイトレート、ニトリル、ナイトライト、ニトロ基、ニトロソ基、オキシム、ピリジン、カルボン酸、チオール、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルフィン酸、スルホン酸、チオシアネート、チオケトン、チアール、ホスフィン、ホスホン酸、ホスフェート、ボロン酸、ボロン酸エステル、ボリン酸、ボリン酸エステル、セレノール、セレノアルデヒド、セレノケトン、セレニド、ジセレニド、セレノキシド、セレノン、セレニン酸、セレネン酸、セレニルハライド、アニリン、シラノール、シロキシド、シロキサン、シリルエーテル、シリルハライド、またはこれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含みうる。さらなる実施形態では、材料配合物は金属イオンとの相互作用によって官能化されてもよい。金属イオンは、金、銀、マグネシウム、エルビウム、コバルト、鉄、ニッケル、白金、またはこれらの任意の組み合わせもしくは誘導体のイオンを含みうる。
【0043】
加えて、材料配合物は炭素質粒子のような有機材料を含みうる。一部の実施形態において、炭素質粒子の直径は、0.1nm~100nmの範囲内である。一部の実施形態では、炭素質粒子は化学基の付加によって官能化される。化学基は上述のものを含みうる。一部の実施形態において、炭素質粒子は、金、銀、マグネシウム、エルビウム、コバルト、鉄、ニッケル、白金、またはこれらの任意の組み合わせもしくは誘導体のイオンを含みうる金属イオンとの相互作用によって官能化される。材料配合物は、フォトルミネセンス、化学ルミネセンス、エレクトロルミネセンス、機械ルミネセンス、熱ルミネセンス、またはこれらの任意の組み合わせの発光性などの他の特性も有しうる。
【0044】
加えて、マーク105を発光ダイオード210の各々にさらすことにより、マーク105から発せられる他のピーク蛍光波長(すなわち色)が提供されうる。追加のピーク蛍光波長は、発光ダイオード210の各々の異なるピーク発光波長から生じうる。追加のピーク蛍光波長が提供されるメカニズムは特に限定されない。例えば、材料配合物は、様々な波長の光に対して異なる応答を提供しうる。別の例として、マーク105中に複数の材料配合物が使用されることができ、発光ダイオード210の各々が異なる材料配合物を励起しうる一方で残りの配合物は応答しない。
【0045】
取り込まれた画像が分析される様式は特に限定されない。本実施形態では、各画像はソフトウェアによって分析され、赤-緑-青(RGB)色空間にマッピングされる。分析は、製品100上のマーク105を見つけるための特徴発見アルゴリズムも含みうる。加えて、分析は、マーク105を識別するために、値、高度統計およびヒストグラムに基づいたデータのビン分割を用いうる。対応するRGBコードは、16進フォーマットに変換されうる。マーク105に関連する固有の識別子を生成するために、これらの画像から得られたデータがコンパイルされる。
【0046】
他の実施形態では、固有の識別子は複数の16進コードを含むことになる。結果をクロネッカーデルタ関数としてプロットすることによって、16進コードの各々が画像から計算されうる。プロットによって生成された線のパターンが、固有の製品識別子として使用されうる。
【0047】
本説明の恩恵を受けた当業者には当然のことながら、システム200は、製品100がサプライチェーン全体に流通する際にトラックアンドトレースするためにも使用されうる。この点で、サプライチェーン内の様々なイベントを区別するために認証プロセスが用いられうる。例えば、光源65aにさらされたときにマーク105から発せられる色は、製品情報にアクセスするために消費者によって使用されうる。この形態の認証は追加の光源205を必要とせず、これによって消費者が追加のハードウェアを入手する必要が排除される。あるいは、消費者が製品情報を更新することを妨げる追加のセキュリティ対策を提供するために、サプライチェーンのユーザは、マーク105の蛍光応答を確認することによって製品情報を更新するために光源205を使用しうる。
【0048】
図5aおよび図5bは、別の実施形態による製品認証のためのシステム300を全体的に示す。システム300は、スキャナ305に接続されたデバイス50bの使用を含む。本実施形態では、デバイス50bはラップトップコンピュータである。しかし、当業者には当然のことながら、デスクトップコンピュータ、タブレット、またはスマートフォンなどの他のコンピューティングデバイスが代用されうる。本実施形態では、デバイス50bは、認証プロセスを促進するとともにユーザの識別を確認するためのコードおよび/またはプログラミング命令で符号化されたコンピュータ可読媒体を含む。この実施形態では、デバイス50bは、ソフトウェアが認証を許可する前に英数字パスワードを使用する際などのログイン手順を必要とする。本実施形態では、スキャナ305は、認証のステータスを示す出力をレンダリングするために使用されうる任意のディスプレイ310を含む。認証を開始するために製品150がスキャナ305に挿入される。本実施形態では、製品150は、ターゲット155内に見えないマークを有する文書である。当然のことながら、ターゲット155は任意であり、他の実施形態に含まれなくてもよい。スキャナ305は、製品150が一連の励起波長にさらされうる固体蛍光光度計と同様に動作する。固有の製品識別子を生成するために、各励起波長から得られた発光プロファイルがコンパイルされうる。
【0049】
スキャナ305は特に限定されず、様々な励起波長を使用して文書の画像をスキャンするように構成された任意のデバイスを含みうる。励起波長が生成される様式は特に限定されず、様々な光源を使用することを含みうる。例えば、本実施形態では、スキャナはキセノンアークランプ、2つのモノクロメータ、および光検出器を含みうる。認証スキャンの間には、キセノンアークランプが作動され、発せられた光が第1モノクロメータを透過し、これによりマークが特定の波長の光にさらされる。次に、マークからの蛍光発光が、第2モノクロメータを通って、電荷結合素子(CCD:charge coupled device)アレイを含みうる光検出器上に透過する。第2モノクロメータの位置は、特定の範囲にわたる波長を発するように調節される。第2モノクロメータの位置が調節される際に光検出器によって行われる測定は、対応する励起波長での発光プロファイルを表す。
【0050】
本実施形態では、デバイス50bはさらに、インターネットに接続し、真正製品に関連する識別子のライブラリを含む安全なオンラインデータベース(図示せず)にアクセスすることができる。デバイス50bは、真正性を判断するために、認証スキャンから得られた識別子をオンラインデータベースからの識別子のライブラリと相互参照しうる。他の実施形態では、システム300は暗号化方式の一部として使用されうる。例えば、コンパイルされた発光プロファイルは、集合的に暗号キーを表しうる。暗号キーは、製品に対応する情報を復号するために使用されうる。システム300の文脈では、暗号キーは製品150に含まれる情報を復号するために使用されうる。
【0051】
図6は、フローチャートの形式で表され、全体として500で示される、製品を認証する方法である。方法500の説明を補助するために、方法500はシステム200を使用して行われると想定される。さらに、方法500の以下の説明は、システム200およびその様々な構成要素のさらなる理解につながるであろう。特に、一実施形態では、デバイス50aのプログラミング命令はプロセッサに以下に記載される方法を実施するように指示することを理解されたい。しかし、システム200および/または方法500は変動可能であり、互いに連動して本明細書に記載された通りに機能する必要はなく、そのような変動は本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0052】
ブロック505は、励起光源なしでマーク105の画像を取り込むステップを含む。本実施形態では、マーク105は、光源による活性化なしには裸眼には見えない。したがって、本例では、このブロックで取り込まれる画像は空白となるであろう。したがって、本説明の恩恵を受けた当業者には当然のことながら、このブロックは一部の実施形態では任意であるかまたは省略されうる。
【0053】
ブロック510は、発光ダイオード210および光源65aの1つ以上などの光源を作動させるステップを含む。次に、ブロック515は、励起光にさらされたときにカメラ60aを使用してマーク105の画像を取り込むステップを含む。
【0054】
ブロック505および510の実行中に取り込まれた2つの画像は、次にブロック520を受け、ブロック520は、マーク105を抽出するための彩度マスクの適用を含む。彩度マスクの適用前に、ブロック505および515の実行によって得られた画像が、彩度マスクのために前処理されうる。例えば、画像は、ガウシアンフィルタ、メジアンフィルタ、または他のフィルタの適用によってノイズ除去されうる。次いで、特徴マッチングによってまたは機械可読パターンが印刷されている特定の領域を指すための閾値化を介して画像中の可視特徴を見つけるために、フィルタ処理された画像が画像認識アルゴリズムを使用して処理されうる。彩度マスクの適用は特に限定されず、色空間からのシングルチャンネルまたはマルチチャンネルマスクを含みうる。マスクの適用後に得られたデータは、その後、所与の次元にわたって平均化し、値、高度統計またはヒストグラム分析に基づいてデータをビン分割することを介して逆畳み込みされうる。
【0055】
当業者には当然のことながら、彩度マスクの適用は任意とすることができ、マークが直ちには見えない画像にのみ使用されうる。ブロック515で取り込まれた画像がマーク105をはっきりと示す場合には、彩度マスクの適用は省略されてもよい。さらに、色相マスクなどの様々な色空間分離方法が代用として使用されることができ、またはシングルチャンネルマスクもしくはRGB、CYMK、HSV、HLS、YCrCb、CIE‐XYZ、CIE‐LabもしくはClu‐Luv色空間の任意の組み合わせを使用したマルチチャンネルマスクである。
【0056】
さらに、当業者には当然のことながら、ブロック505で取り込まれた画像は、不正なマークを検出するための追加の確認ステップを提供しうる。特に、励起光なしでは有意な蛍光が存在しないため、マーク105はブロック505からの画像においては検出不能なままである。マーク105がブロック505からの画像において目立っている場合には、それはマーク105が不正であることを示す。
【0057】
ブロック525は、ブロック515からの画像にマーク105が存在するか否かの判断を行うステップを含む。これが達成される様式は特に限定されず、ブロック520の実行からの結果を分析するステップを含みうる。マーク105が存在しない場合には、システム200は製品が真正ではないことを示す出力を生成する。真正製品の一例では、ブロック515からの画像は、マーク105が存在する場所で実質的な色変化を示して、後続の処理に使用される画素の識別を可能にし、方法500はブロック535に続く。あるいは、異なる画素にまたがって色の著しい変動または連続的な変動がない場合には、システム200はセキュリティマークが存在しないと判断し、方法500はブロック530に進み、システム200が製品100が真正ではないことを示す否定的結果の出力をレンダリングする。
【0058】
ブロック535は、16進コードを決定するためにマーク105から検出された蛍光スペクトルを分析することによって蛍光応答に対して比色分析を行うステップを含む。ブロック520で識別された各画素の色は16進コードに変換され、製品100の製造者によって提供されるマークの期待値と相互参照される。本実施形態では、16進コードは、真正製品に関連する16進コードを含む安全なオンラインデータベースと相互参照される。しかし、他の実施形態では、データベースはローカルに記憶されうる。肯定的マッチがある場合には、方法500はブロック550に進み、システムが真正性を確認する肯定的結果を出力する。あるいは、16進コードが期待値とマッチしない場合には、方法500はブロック545に進み、システム200が製品100が真正ではないことを示す否定的結果の出力をレンダリングする。
【0059】
バリエーションが企図される。例えば、他の実施形態では、ソフトウェアはマークのパターンを16進コードとマッチさせるためにオンラインデータベースを使用してもよい。加えて、各製品に固有の識別子を提供するために、様々なパターンおよび蛍光スペクトルの組み合わせが使用されうる。これら2つの特性をマッチさせることによって、システム200は、ユーザがどのような製品を認証しているかを判断し、その特定の製品に関係する情報を伝達することができる。
【0060】
図7を参照すると、別の認証方法がフローチャートの形式で表され、全体的に600で示される。方法600の説明を補助するために、方法600はシステム200を使用して行われると想定される。さらに、方法600の以下の説明は、システム200およびその様々な構成要素のさらなる理解につながるであろう。さらに、方法600は、図示された通りの順序で行われる必要はなく、様々なブロックが順にではなく並行して行われうることが強調されねばならず、故に方法600の要素は本明細書において「ステップ」ではなく「ブロック」と呼称される。特に、当然のことながら、ブロック605とブロック610とは入れ替えられてもよいし、同時に実施されてもよい。
【0061】
ブロック605で開始して、ユーザは自分の識別を確認する。確認が実施される様式は特に限定されない。本実施形態では、システムは指紋分析を用いる。例えば、デバイス50aは、指紋を検出する能力を備えたスマートフォンでありうる。ユーザが消費者である場合には、権限を付与されるためにはアカウントを作成することが要求されうる。ユーザが適切な権限付与を有しない場合には、ソフトウェアはユーザにアカウントの作成または個人情報の提供を促しうる。
【0062】
ユーザが識別されると、ブロック610はマーク105の真正性を判断するステップを含む。真正性が判断される様式は特に限定されず、方法500に記載された方法と同様に励起光源を用いてまたは用いずにマーク105の画像を取り込むステップを含みうる。製品100が真正ではないと判断された場合には、方法600はブロック615に進み、システム200がエラーまたは製品が真正ではないことを出力する。
【0063】
あるいは、製品100が真正であると判断された場合には、システム200はブロック620に進んで、ユーザがサプライチェーン内にいるか否かを判断する。この判断がなされる様式は特に限定されない。本実施形態では、システムは、ユーザをサプライチェーンにおける役割に基づいて区別するために、ブロック605で取得された情報を使用する。ユーザが消費者である場合には、方法はブロック625に進み、システム200がマーケティング材料を構成する情報を出力する。この情報には、製品の起源、履歴、組成、または内容などが含まれうるがこれらに限定されない。
【0064】
ブロック620でユーザがサプライチェーン人員であると判断された場合には、方法600はブロック630に進み、システム200はユーザがトラックアンドトレース体制の一部として製品100についての情報を更新することを可能にする。このカテゴリに関連するユーザは、他のサプライチェーン人員によって行われた更新にもアクセスを有しうる。一部の実施形態では、サプライチェーン人員は、以前の出荷物からのマーク105を新たなマークにリンクすることが可能でありうる。この特徴は、サプライチェーンのあるポイントで処理または再パッケージされる製品に有用である。したがって、これらの「仲介者」設備は、到着時に出荷物を認証し、最終製品を新たなマークとともにパッケージしうる。その後、権限のある人員が2つのマークをリンクしうる。希釈、置換、または粗悪化が存在していないことを確認するために、このプロセスが用いられうる。
【0065】
上述の実施形態では、マーク105は通常は周囲条件下では光強度の低減により裸眼には見えない。集中された光のバーストにさらされると、強度は、認証デバイスによって検出されることができ、人間の目に見えうるマーク105からの蛍光応答を誘発するのに十分である。マーク105は、デジタル印刷技術を用いてインクとして施されうる。本実施形態では、インクは、樹脂および複数の蛍光ナノ粒子を含む。一部の実施形態では、インクは、顔料、界面活性剤、溶媒、ポリマー、および充填剤をさらに含みうる。マーク105は、製品上に直接または製品パッケージング上に印刷されうる。蛍光応答を生成する材料配合物は、ナノ粒子の混合物を含みうる。本説明の恩恵を受けた当業者には当然のことながら、ナノ粒子の使用により、光に対する所望の蛍光応答を達成するために正確に設計されうる材料配合物が提供される。サイズ、表面化学、および材料組成などのナノ粒子の基本的な物理的および化学的特性を変更することによって、蛍光応答が励起光源からの出力スペクトルに効率的に結び付けられうる。加えて、ナノ粒子は通常、光退色に対してより耐性があり、従来の代替物よりも長い耐久性を提供する。
【0066】
さらに、ナノ粒子配合物は、様々な刺激に応答して変化する蛍光応答も示しうる。一部の実施形態では、様々な励起光源にさらされると変化する蛍光応答を示す単一のタイプのナノ粒子が使用されうる。他の実施形態では、マークが化学試薬にさらされると蛍光応答が変化する。これらの試薬は、水、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、酢酸、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、または過硫酸ナトリウムを含みうるがこれらに限定されない。本実施形態では、これらの試薬は、第2認証ポイントを提供するためにマーク上に液体溶液としてスプレーすることによって施されてもよく、ここで第1認証ポイントは試薬なしで生じたものである。他の実施形態では、試薬はスタンピングまたはペンからの分配のような他の手段を用いて施されうる。
【0067】
図8を参照すると、別の認証方法がフローチャートの形式で表され、全体的に700で示される。ブロック705で開始して、ナノ粒子が生成される。ナノ粒子が得られる様式は特に限定されない。例えば、本実施形態では、ナノ粒子は反応チャンバ内で生成される。
【0068】
ブロック710で、ナノ粒子が特性にしたがって単離される。特に、ナノ粒子は、光源のピーク発光波長と関連するそれらのピーク蛍光波長にしたがって単離および分類される。本実施形態では、ナノ粒子を生成する反応物は、ピーク発光波長に対する所望のピーク蛍光波長応答を有するナノ粒子が得られるようにその後単離されうる複数のタイプのナノ粒子を提供しうる。
【0069】
次に、ブロック715は、印刷用のインクを形成するために、ブロック710で単離されたナノ粒子を樹脂に埋め込むステップを含む。ナノ粒子が埋め込まれる様式は特に限定されない。本実施形態では、ナノ粒子は単に樹脂と混合される。樹脂も特に限定されず、インクが印刷される表面などの意図される用途に応じて可変である。他の実施形態では、ナノ粒子は、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、またはこれらの任意の組み合わせもしくは誘導体などのポリマーによって封入されうる。
【0070】
ナノ粒子が樹脂に埋め込まれた後、ブロック720で樹脂が製品100に施される。樹脂が施される様式は特に限定されず、様々な印刷技術において可能である。例えば樹脂は、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、またはデジタル印刷を用いて施されうる。このようにして、施された樹脂が製品上のマーク105となる。
【0071】
様々な利点が今や当業者に明らかとなるであろう。注目すべきは、上述の実施形態が、偽造者が高度な技術を有することが知られている用途に有用であることである。このような状況下では、偽造者はパッケージ上のマークを複製するのに十分な資源を有しうる。しかし、ハッカーが特定の発光スペクトルに基づく蛍光応答を複製できる可能性は非常に低いであろう。他の実施形態では、製品100が真正であると見なされた場合には、ユーザは製品情報へのアクセスを得うる。さらなる合理化された使用を提供するために、ユーザに伝達される情報が、ユーザの識別に応じてカスタマイズされることもできる。さらに、スマートフォンなどの単純なデバイスを必要とするだけのマークを使用することによって、この認証方法を実装するために追加のハードウェアが購入される必要がないであろう。
【0072】
特定の実施形態が説明および図示されているが、そのような実施形態は例示的なものにすぎないと考えられるべきであり、本明細書に提供される例示的な特許請求の範囲などのいかなる将来の特許請求の範囲も限定するものではない。

図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8