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特許6998952システムおよびシステムを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】システムおよびシステムを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B21C 37/08 20060101AFI20220128BHJP
   G01D 21/00 20060101ALI20220128BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20220128BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20220128BHJP
   F16L 9/16 20060101ALI20220128BHJP
   F16L 57/06 20060101ALN20220128BHJP
   F16L 11/12 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
B21C37/08 A
G01D21/00 M
G08C19/00 J
F16L55/00 D
F16L9/16
F16L57/06
F16L11/12 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019525769
(86)(22)【出願日】2017-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2017079348
(87)【国際公開番号】W WO2018091543
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】16199045.2
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘドブロム, エリカ
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0098528(US,A1)
【文献】実開平05-008820(JP,U)
【文献】米国特許第06935376(US,B1)
【文献】特開昭59-191517(JP,A)
【文献】実開平04-029806(JP,U)
【文献】特開平07-146425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 37/08
G01D 21/00
G08C 19/00
F16L 55/00
F16L 9/16
F16L 57/06
F16L 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム(1,1’)を製造するための方法であって、
a)少なくとも1つのセンサに接続された少なくとも1つの信号ライン(2)を設けるステップと、
b)長手方向に延在する2つの長手エッジ(5)および長手エッジ(5)を接続する2つの横エッジ(6)を有する金属ストリップ(4)または金属板を設けるステップと、
c)少なくとも1つの信号ライン(2)および少なくとも1つのセンサをキャビティ(7)内に配置しながら、金属ストリップ(4)または金属板の長手エッジ(5)を互いに接合することによってキャビティ(7)を有する第1の管(3)を形成するステップと、を含み、
第2の金属管(8)を提供し、第2の金属管(8)を金属ストリップ(4)または金属板上に配置するステップをさらに含み、
ステップc)において、第2の金属管(8)が金属ストリップ(4)又は金属プレートによって形成されたキャビティ(7)に配置されるように、金属ストリップ(4)又は金属プレートが第2の金属管(8)の周りで曲げられ、
溝(9)が第2の金属管(8)の外面に設けられ、
溝(9)が第2の金属管(8)の長手方向に延び、
ステップc)において、信号ライン(2)に接続された少なくとも1つのセンサ(10)を伴う又は伴わない少なくとも1つの信号ライン(2)が溝(9)に配置される、
方法。
【請求項2】
前記ステップc)は溶接プロセスを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップc)はロール成形プロセスを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アンビリカルを製造するための方法であって、
i)請求項1から3のいずれか一項に記載の方法を使用してシステム(1,1’)を設けるステップと
ii)少なくとも1つの更なるストランドを設けるステップと
iii)前記システム(1,1’)および前記少なくとも1つの更なるストランドを共に組立てるステップとを含む、方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの更なるストランドは、流体を搬送するための金属管である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1つの信号ラインと、少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサと、長手方向に延在する2つの長手エッジおよび長手エッジを接続する2つの横エッジを有する金属ストリップまたは金属板で形成された第1の管とを備えるシステムに関する。
【0002】
本開示は更に、こうしたシステムを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
金属の管、特に、鋼またはステンレス鋼の管は、複数の用途で使用され、複数の負荷、摩耗、および経年変化を受ける。これらの要因は、例えば、パイプ破裂につながる場合があり、パイプ破裂は、それぞれの管の交換につながるだけでなく、管に接続された機械のダウンタイムにも関連する。パイプ破裂を回避するために、一部の金属の管は、管の実際の状態に関わらず、予め規定されたタイムスケジュールに従って交換される。管の実際の状態を考慮することは有益であることになるが、現状では、その運転中に金属管の実際の状態を確定することはかなり難しい。
【0004】
例えば、金属管の実際の状態に関して、それぞれデータを確定または伝達するために使用され得るセンサおよび信号ラインは、環境的影響によって、管の外に配置されると耐久性が短くなる。管のキャビティ内にセンサおよび/または信号ラインを配置することは、金属管の長さによって、不可能ではないにしてもかなり難しいか、または、管内を移送される流体が、キャビティ内に配置されるセンサおよび/または信号ラインの耐久性を短くするために有益でない場合がある。
【発明の概要】
【0005】
上記困難さを解消するまたは少なくとも低減することが本開示の一態様である。したがって、本開示は、金属の管の状態に関する情報が、情報を伝達する手段を過剰な摩耗または環境的影響にさらすことなく、金属管の全長に沿って伝達され得るシステムを提供する。更に、本開示は、信号を送信するためにおよび/または管のパラメータを測定するために、100メートルを超える等、50メートルを超えるかなり長いシステムを提供し、したがって、長い管がさらされる移動および応力をモニターする可能性を与える。更に、本開示は、こうしたシステムを製造するための方法を同様に提供し、その方法は、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサを精密に取付け配置する可能性を提供することになる。
【0006】
本開示の基礎にある少なくとも1つの態様は、システムであって、少なくとも1つの信号ラインと、少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサと、長手方向に延在する2つの長手エッジおよび長手エッジを接続する2つの横エッジを有する金属ストリップまたは金属板で形成された第1の管とを備える、システムによって対処され、金属ストリップまたは金属板は、金属ストリップまたは金属板の長手エッジを互いに接合することによってキャビティになるように形成され、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサはキャビティ内に位置する。一実施形態によれば、第1の管は金属ストリップから形成される。
【0007】
本開示に関して、信号ラインは、送信機から受信機にデータを伝達することが可能でありそのように設定されるラインである。一実施形態において、少なくとも1つの信号ラインは、電気信号用のライン、電磁信号用のライン、および光信号用のラインまたはその任意の組合せから選択される。信号ラインについての例は、絶縁された導電性ワイヤまたはガラス製光ファイバーであり、信号ラインについての更なる例は、電気ノイズについてより耐性がある信号ラインを提供する同軸ケーブルまたはツイストペアケーブルである。システムは、信号ラインに沿って、したがって、第1の管に沿って信号を伝達するために使用され得るため、信号送信システムを意味し得る。少なくとも1つのセンサは、温度、力、圧力、並進および/または回転移動、および信号ラインまたはその関連する金属管の長さの変化等の、或る物理的または化学的パラメータを検出することが可能である。一実施形態において、センサは、温度センサ、力センサ、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ、歪ゲージ、導電率センサ、および湿度計、またはその任意の組合せからなる群から選択される。組合せ式センサは、上記物理的または化学的パラメータのうちの1つまたは複数を同時に確定することが可能である。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの信号ラインおよび/またはセンサに関連する管に対する環境的影響を確定するために使用され得る。少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサを備えるとき、システムは、センサシステムを意味してもよい。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、システムの製造中に、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、第1の金属管を形成する前に金属ストリップまたは金属板上に配置される。少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサは、金属ストリップ/板上に緩く載置され得る、または、金属ストリップ/板に固着され得る。例えば、少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサは金属ストリップ/板上に接着されてもよい。これは、少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサの精密な配置を可能にすることになり、精密な配置は、例えば歪ゲージ等のセンサが、非常に精密な配置および同様に良好な動作を得るための接着を必要とするため非常に有利である。
【0009】
一実施形態において、本開示によれば、第1の金属管を形成するための金属ストリップまたは金属板は、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサがそこに位置する溝を備える。やはり、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、溝内に緩く載置され得る、または、溝内に固着され得る。例えば、少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサは溝内に接着され得る。上記で述べたように、これは、精密な配置を提供することになる。
【0010】
少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサが、金属ストリップまたは金属板の表面上に配置されるか、金属ストリップまたは金属板の溝内に配置されるかによらず、金属ストリップまたは金属板の長手エッジを互いに接合すると、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、更なるステップの必要性なしで、第1の金属管のキャビティ内に配置される。
【0011】
少なくとも1つの信号ラインを、少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサと共に、金属ストリップまたは金属板によって形成されたキャビティ内に収容することによって、第1の管は、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサを環境的影響から保護する。一実施形態において、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサがそこに位置するキャビティは、流体を移送するために使用されずまたは移送することを意図されず、それにより、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、キャビティを通って輸送される流体によって引き起される摩耗を受けない。
【0012】
少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサが、第1の金属管のキャビティ内に設けられると、システムは、一実施形態において、基準システムとして使用されて、基準システムと同じ環境で使用される1つまたは複数の更なるストランドの実際の状態を推定する。本開示に関して、ストランドは、電力、流体、固体、または信号を伝達するためのマニホールド/通路/ラインとして同義的に使用される。
【0013】
したがって、本開示の基礎にある少なくとも1つの態様は、システムおよび少なくとも1つまたは複数のストランドを備えるアンビリカルによって同様に対処される。本開示に関して、アンビリカルは、電力、流体、化学物質、または通信を基地局から遠隔局に伝達する。好ましくは、アンビリカルは、ステンレス鋼、スーパーデュープレックスステンレス鋼、ハイパーデュープレックスステンレス鋼から作られた複数のストランドを備え、沖合で使用される。例えば、石油掘削産業において、アンビリカルは、電力、流体、化学物質、または情報を、サブシーツリー、マニホールド、ジャンパー、スレッド、および制御装置とやり取りするために使用される。したがって、本開示に関して、システムは、アンビリカルのストランドとも見なすことができ、すなわち、パラメータを検出するおよび/または信号を伝達するために使用されるストランドであると見なすことができる。本開示によるシステムを除いて、アンビリカルは、上記で既に述べたように、電力、化学物質、通信、または同様なものを伝達するための少なくとももう1つのストランドを備える。一実施形態において、少なくとももう1つのストランドは流体を搬送するための管である。
【0014】
本開示による少なくとも1つのシステムを有するアンビリカルを設けることは、アンビリカルの現在のステータスを観察するために有益である。システムの少なくとも1つのセンサは、第1の金属管および/またはその少なくとも1つの信号ラインに作用する環境的影響を反映する1つまたは複数のパラメータを検出し、それにより、アンビリカルおよびそのストランドの現在の状態に関する結論を可能にする。観察されるパラメータの予め規定された値からの偏移をシステムの少なくとも1つのセンサが示すと、オペレータは、何かが起こる前にアンビリカルを交換するように警告されてもよい。そのため、アンビリカル上にセンサ配置を有することは、アンビリカルの状況を確定するために有利であることになる。
【0015】
一実施形態において、複数のセンサは、少なくとも1つの信号ラインに接続され、少なくとも1つの信号ラインの長さに沿って等間隔で配置される。信号ラインの長さに沿って等間隔で配置される複数のセンサを設けることによって、少なくとも1つの信号ラインまたはその長さに沿うそれぞれの関連する管の状態を観察することが可能である。長い管、例えば、100メートル等、50メートルを超える長さを有する管を有するとき、少なくとも1つの信号ラインの長さに沿って等間隔で配置される複数のセンサを設けることが有益である。少なくとも1つの信号ラインは、一実施形態において、管の全長に沿って延在するため、センサがそこに配置される幾つかのロケーションで管の現在の状態を観察すること、および/または、管の全体の状態について平均推定量を得ることが可能である。
【0016】
一実施形態において、第2の金属管は第1の管のキャビティの内部に位置し、第2の金属管は、その外側表面内に溝を備え、溝は第2の金属管の長手方向に延在し、溝内に、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサが位置する。第2の金属管が第1の金属管のキャビティ内に位置するため、第2の金属管の外側表面上の溝は、第1の金属管に向く。したがって、溝内に収容される少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、第1の金属管と第2の金属管との間に位置する。第1および第2の金属管は、環境的影響に対して少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサを保護している。第2の金属管は、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサの耐久性に影響を及ぼすことなく流体を伝達するために使用され得る。その理由は、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサが第1の管と第2の管との間に配置されるからである。
【0017】
上記でまたは以降で規定されるシステムの製造中に、第2の管は、第1の金属管を形成するために金属ストリップまたは金属板上に配置される。第2の金属管の外側表面上に配置された溝は、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサが第2の金属管の溝内に配置されるように容易にアクセス可能である。少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサが第2の金属管の外側表面内の溝内に配置された後、第1の管を形成するための金属ストリップまたは金属板は、第2の金属管の周りで曲げられる。金属ストリップまたは金属板の長手エッジは、第1の金属管を形成するために互いに接合される。完成したシステムにおいて、第1の金属管は、第2の金属管を囲む。このシステムの使用時に、流体が、第2の金属管の管腔を通って輸送されてもよく、一方、第1の管と第2の管との間の信号ラインは、管の長さに沿って信号を伝達するために使用され得る。一実施形態において、少なくとも1つのセンサは、システムの現在の状態に関する或る情報を収集するために使用され得る。
【0018】
一実施形態において、本開示によれば、第2の金属管の外側表面および/または第1の金属管を形成するための金属ストリップ/板は複数の溝を備え、複数の溝のそれぞれの溝内に、少なくとも1つの信号ラインおよびそれぞれの少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサが配置される。溝は、それぞれの金属管の外側表面に沿って、所定の、任意選択で、規則正しいパターンを形成してもよく、それにより、信号ラインまたはセンサは、パターンに沿って信号を伝達することが可能である、または、パターンに沿って幾つかの測定値を得ることが可能である。
【0019】
一実施形態において、第1の管および第2の管は互いに対して同軸に位置する。
【0020】
一実施形態において、少なくとも1つのセンサは金属ストリップまたは金属板の表面と係合状態にある。少なくとも1つのセンサは、第1の管の金属ストリップまたは金属板の表面と係合状態にあり得る、または、第2の金属管の表面と係合状態にあり得る。第1の管の金属ストリップまたは金属板の表面と係合状態にあること、または、第2の金属管の表面と係合状態にあることは、少なくとも1つのセンサが、第1または第2の金属管に働く少なくとも1つの物理的または化学的パラメータを検出することを可能にする。
【0021】
本開示の一実施形態において、第1の管および/または第2の管は鋼またはステンレス鋼で製造される。概して、第1の管の材料および第2の管の材料が、例えば、鋼、ステンレス鋼、炭素鋼、マンガン鋼、ニッケルベース合金、アルミニウム(Al)、Alベース合金、銅(Cu)、Cuベース合金、ジルコニウム(Zr)、Zrベース合金、チタン(Ti)、Tiベース合金、鉄クロムアルミニウム(FeCrAl)合金、フェライト鋼、またはその任意の組合せからなる群から、互いに独立に選択されてもよいことが理解されるものとする。
【0022】
本開示の基礎にある少なくとも1つの態様は、システムを製造するための方法によって同様に対処され、方法は、
少なくとも1つのセンサに接続された少なくとも1つの信号ラインを設けるステップ(ステップa)と、
長手方向に延在する2つの長手エッジおよび長手エッジを接続する2つの横エッジを有する金属ストリップまたは金属板を設けるステップ(ステップb)と、
金属ストリップの長手エッジを互いに接合することによってキャビティを有する第1の管を形成するステップ(ステップc)と、
少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサをキャビティ内に配置するステップ(ステップd)とを含む。
【0023】
本開示によるシステムを製造するとき、少なくとも1つの信号ライン、少なくとも1つのセンサ、および金属ストリップまたは金属板が設けられる。金属ストリップまたは金属板は、長手方向に延在する2つの長手エッジおよび長手エッジを接続する2つの横エッジを有する。金属ストリップまたは金属板は、金属ストリップまたは金属板の長手エッジを互いに接合することによって第1の管になるように形成される。例えば、金属ストリップまたは金属板は、ロール成形によって管になるように形成することができ、長手エッジは互いに溶接される。少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは第1の管のキャビティ内に配置される。方法は、信号送信システムを製造するための方法であると言われ得る。
【0024】
一実施形態において、第1の管を形成することは、溶接プロセスおよび/またはロール成形プロセスを含む。例えば、金属ストリップまたは金属板は、最初にロール成形されて、第1の金属管の長手エッジを共にもたらす。その後、長手エッジは互いに溶接され、それにより、第1の金属管の形状を維持し得る。
【0025】
上記でまたは以降で述べる方法は、センサシステムを製造するための方法を意味する。
【0026】
その結果、本開示の基礎にある少なくとも1つの態様は、センサシステムを製造するための方法によって同様に対処され、方法は、
少なくとも1つのセンサおよび少なくとも1つのセンサに接続された少なくとも1つの信号ラインを設けるステップ(ステップa)と、
長手方向に延在する2つの長手エッジおよび長手エッジを接続する2つの横エッジを有する金属ストリップまたは金属板を設けるステップ(ステップb)と、
金属ストリップまたは金属板の長手エッジを互いに接合することによってキャビティを形成するステップ(ステップc)と、
少なくとも1つのセンサおよび少なくとも1つの信号ラインをキャビティ内に配置するステップ(ステップd)とを含む。
【0027】
本開示に関して、「金属ストリップまたは金属板の長手エッジを互いに接合することによってキャビティを形成する(forming a caity by joining the longitudinal edges of the metal strip or metal plate together)」ステップ(ステップc)および「少なくとも1つのセンサおよび少なくとも1つの信号ラインをキャビティ内に配置する(placing the at least one sensor and the at least one signal line in the cavity)」ステップ(ステップd)が、必ずしも所与の順序で互いに続かない補足ステップであると見なされることが理解されるものとする。実際には、第1の管は、第1の管を形成するための金属ストリップまたは金属板に対して信号ラインおよび少なくとも1つのセンサを配置することによって、また、金属ストリップ/板の長手エッジを互いに接合することによって、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサが第1の管のキャビティ内に配置されるように形成される。
【0028】
金属ストリップの長手エッジを互いに接合するとき、最終的に、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサが第1の管のキャビティ内に配置されるように、金属ストリップまたは金属板に対して信号ラインおよびセンサを配置する幾つかのやり方が存在する。
【0029】
一実施形態において、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、第1の管を形成する前に、金属ストリップ/板上に配置される。金属ストリップまたは金属板の長手エッジを互いに接合すると、第1の管のキャビティが信号ラインおよび少なくとも1つのセンサの周りで形成される。長手エッジを互いに接合する前に金属ストリップまたは金属板上に少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサを配置することによって、第1の管によって囲まれる第2の金属管を設けることについての必要性が存在しない。さらに、一実施形態によれば、センサは、センサがその上に取付けられる第1の管をモニターするように配置されてもよい。
【0030】
第1の管を形成する前に、金属ストリップまたは金属板の表面上に少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサを配置することは、第1の管が形成された後に、第1の管のキャビティ内に少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサを導入することより容易である。これは、或る長さを超える管、すなわち、100メートル等の50メートルを超える管に特に当てはまり、その管の場合、管が形成された後にその管のキャビティ内にセンサを配置することは不可能である。
【0031】
一実施形態において、少なくとも1つの信号ラインおよび信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサは金属ストリップまたは金属板の表面上に固定される。例えば、少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサは金属ストリップまたは金属板の表面に接着され得る。
【0032】
完成したシステムが第1の金属管および第2の金属管を備えるものとする場合、第2の金属管は第1の管によって囲まれる。一実施形態において、信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、第1の管を形成するための金属ストリップまたは金属板上に配置される、または、第1の管を形成するために金属ストリップ/板の長手エッジを互いに接合する前に第2の金属管上に配置される。
【0033】
したがって、一実施形態において、方法は、第2の金属管を設けるステップおよび第2の金属管を金属ストリップまたは金属板上に配置するステップを更に含み、金属ストリップまたは金属板は、第2の金属管が金属ストリップまたは金属板によって形成されるキャビティ内に配置されるように第2の金属管の周りで曲げられる。やはり、第1の管のキャビティは、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサの周りで形成される。少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、第1の金属管と第2の金属管との間に位置決めされ、したがって、環境的影響および/または流体であって、第2の金属管を通して移送される場合がある流体に対して保護される。
【0034】
一実施形態において、金属ストリップまたは金属板は、第1の管が第2の管と圧力ばめ係合状態になるように第2の管の周りで曲げられる。圧力ばめ係合を提供することによって、第2の金属管に対する第1の金属管の位置およびその逆の関係の位置は、固定される。
【0035】
一実施形態において、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは、第1の管の長手方向に延在するように配置される。一実施形態において、少なくとも1つの信号ラインは、第1の管の全長を超えて延在し、それにより、少なくとも1つの信号ラインの端は、第1の管を超えて突出し、送信機または受信機等の外部デバイスに接続可能である。したがって、少なくとも1つの信号ラインは第1の金属管の全長に沿って信号を伝達することが可能である。
【0036】
少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサを設けるとき、少なくとも1つのセンサは、金属ストリップ/板および/または第2の管の表面と係合状態にある。したがって、少なくとも1つのセンサは、金属ストリップおよび/または第2の管の現在の状態に関するデータを提供する。
【0037】
一実施形態において、複数のセンサは、少なくとも1つの信号ラインに接続され、複数のセンサは、少なくとも1つの信号ラインの長手方向に沿って等間隔をあけて置かれる。複数のセンサは、少なくとも1つの信号ラインの長さに沿って、或るパラメータ、例えば、温度、力、圧力、加速度、並進および/または回転移動、または同様なものを検出することが可能である。そのため、複数のセンサは、第1の金属管、したがって、少なくとも1つの信号ラインに対する環境的影響を確定するために使用される場合がある。
【0038】
一実施形態において、方法は、金属ストリップまたは金属板の表面内に溝を設けるステップを更に含み、ステップにおいて、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは溝内に配置される。金属ストリップまたは金属板の表面内に溝を形成すること、および、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサを溝内に配置することは、少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサを保護すると共に位置決めするために有益である。例えば、溝は、フライス加工、掘削、およびファイリング、またはその任意の組合せからなる群から選択される切りくず除去式機械加工によって金属ストリップまたは金属板内に加工され得る。一実施形態において、金属ストリップまたは金属板の溝内に配置されると、少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサは管の半径方向に溝を超えて突出しない。少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサは溝によって保護される。さらに、溝は、金属ストリップまたは金属板の表面内に予め選択された位置を規定し、それにより、少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサを溝内に配置すると、少なくとも1つの信号ラインおよび/または少なくとも1つのセンサも、明確に規定された位置を同様に有する。
【0039】
一実施形態において、第2の管は、例えば、引抜き、冷間引抜き、ピルガー圧延、または冷間ピルガー圧延によって製造されるシームレス金属管である。シームレス金属管は、長手方向シームを備えず、第2の金属管の強化につながる。
【0040】
一実施形態において、溝は第2の金属管の外側表面内に設けられ、溝は第2の金属管の長手方向に延在し、少なくとも1つの信号ラインが溝内に配置される。第2の金属管が第1の金属管のキャビティ内に配置されるため、第2の金属管の外側表面内の溝は第1の金属管の内側表面を向く。溝内に配置される少なくとも1つの信号ラインは、第1の金属管と第2の金属管の両方によって保護される。同様に、少なくとも1つの信号ラインに接続された少なくとも1つのセンサを有するシステムの一実施形態において、少なくとも1つの信号ラインおよび少なくとも1つのセンサは共に、第2の金属管の外側表面内の溝内に配置される。
【0041】
一実施形態において、第2の金属管は、
金属の中空体を設けるステップ、および、
第2の管になるように引抜きダイスを通して中空体を引抜くステップ
によって設けられ、引抜きダイスは、第2の金属管の外側表面を形成する内側ツール表面を有し、内側ツール表面は、第2の金属管の外側表面内に溝が引抜かれるように、内方に突出する突出部を備える。
【0042】
そうすることによって、第2の金属管の溝は、予め選択された寸法を有する第2の金属管を提供するための引抜くステップ中に第2の金属管の外側表面内に形成される。
【0043】
本開示の基礎にある少なくとも1つの態様は、アンビリカルを製造するための方法によって同様に対処され、方法は、
i)本開示によるシステムを製造するための方法を使用してシステムを設けるステップと
ii)少なくとも1つの更なるストランドを設けるステップと
iii)少なくとも1つの更なるストランドおよびシステムを共に組立てるステップとを含む。
【0044】
上記ならびに以下の実施形態の詳細な説明および特許請求項において、システムまたはシステムを製造するための方法に対して参照が行われる限りにおいて、述べる特徴は、システムとシステムを製造するための方法の両方に適用可能である。
【0045】
上記ならびに以下の実施形態の詳細な説明および特許請求項において、アンビリカルまたはアンビリカルを製造するための方法に対して参照が行われる限りにおいて、述べる特徴は、アンビリカルとアンビリカルを製造するための方法の両方に適用可能である。
【0046】
本開示の更なる利点、特徴、適用は、実施形態の以下の説明および添付された対応する図から明らかになる。上記ならびに以下の実施形態の詳細な説明は、添付図面と共に読まれるとよりよく理解される。述べる実施形態が、示される厳密な配置および手法に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本開示の一実施形態によるセンサシステムを形成するために使用される金属ストリップまたは金属板の概略斜視図であり、本開示の一実施形態によるセンサシステムを製造するための方法のステップa)およびb)を示す。
図2】本開示の一実施形態によるセンサシステムの概略斜視図であり、本開示の一実施形態によるセンサシステムを製造するための方法のステップc)およびd)を同様に示す。
図3】本開示の更なる実施形態によるセンサシステムの概略斜視図であり、本開示の一実施形態によるセンサシステムを製造するための方法のステップa)~d)を同様に示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図において、同一の要素は同一の参照数字で示される。
【0049】
図1は、本開示の一実施形態によるセンサシステム1を形成するために使用される金属ストリップ4の概略斜視図であり、こうしたセンサシステム1を製造するための方法のステップa)およびb)を同様に示す。
【0050】
センサシステムを製造するための方法のステップa)によれば、複数のセンサ10が信号ライン2と共に設けられる。センサ10は、信号ライン2に接続され、信号ライン2の長さに沿って等間隔をあけて置かれる。
【0051】
センサシステム1を製造するための方法のステップb)によれば、2つの長手エッジ5および2つの横エッジ6(図示せず)を有する金属ストリップ4が設けられる。金属ストリップ4は、100メートルを超える管長を有するセンサシステムを製造するために巻かれたストリップ4として設けられる。
【0052】
金属ストリップ4をほどいた後、信号ライン2およびセンサ10は金属ストリップ4の長手エッジ5に整列される。信号ライン2およびセンサ10は接着剤によって金属ストリップ4の表面に固着され、それにより、センサ10は、金属ストリップ4と係合状態になり、金属ストリップ4に対して固定した位置関係を有する。センサ10のそれぞれは、金属ストリップ4の移動および金属ストリップに加えられる力を検知することが可能な結合式の加速度センサおよび力センサである。センサ10はそれぞれ、共に信号ライン2を形成する2つの銅ワイヤに接続される。
【0053】
図2は、本開示の一実施形態によるシステム1を製造するための方法のステップc)およびd)を示し、本開示の一実施形態によるシステム1をもたらす。
【0054】
ロール成形によって、金属ストリップ4の長手エッジ5は、互いに向かって曲げられ、それにより、キャビティ7を備える第1の管3を形成する。長手エッジ5は互いに溶接され、それにより、管3の形状を維持する。センサ10および信号ライン2が金属ストリップ上に配置されたため、キャビティ7を形成するために金属ストリップ4の長手エッジ5を互いに接合するとき、センサ10および信号ライン2はキャビティ7内に位置する。
【0055】
最後に、センサシステム1は、環境的影響に対してセンサ10および信号ライン2を保護する第1の金属管3を備える。
【0056】
信号ライン2は第1の金属管3の長手方向に延在し、信号ライン2の端は、信号ライン2が受信機(図示せず)に接続可能であるように第1の金属管3を超えて突出する。
【0057】
図3は、本開示の別の実施形態によるセンサシステム1’の斜視図であり、センサシステム1’を製造するための対応する方法のステップa)~d)を同様に示す。
【0058】
ステップa)において、信号ライン2およびセンサ10が設けられる。センサ10は、信号ライン2に接続され、信号ライン2の長さに沿って等間隔があけて置かれる。センサ10は、システム1’に加えられる圧力を確定するための圧力センサである。
【0059】
次に、2つの長手エッジ5および2つの横エッジ6を備える金属ストリップ4が設けられ、2つの横エッジ6は長手エッジ5を接続し、1つの横エッジ6のみが図3に示される。
【0060】
第2の金属管8が金属ストリップ4の表面上に配置される。第2の金属管8は、引抜きダイス(図示せず)を通した中空体の冷間引抜きによって提供されるシームレス管である。引抜きダイスは、第2の金属管8の外側表面を形成する内側ツール表面を有し、内側ツール表面は、第2の金属管8の外側表面内に溝9が引抜かれるように、内方に突出する突出部を備える。
【0061】
溝9は第2の金属管8の長手方向に延在する。後続のステップにおいて、信号ライン2および複数のセンサ10は溝9内に配置される。
【0062】
信号ライン2およびセンサ10が溝9内に配置された後、金属ストリップ4はロール成形によって第1の管3になるように曲げられる。ロール成形後、第1の管3は第2の金属管8を囲む。第2の金属管8は、それにより、第1の管3によって形成されたキャビティ7の内部に配置される。第1の管3および第2の管8は互いに圧力ばめ係合状態にある。金属ストリップ4の長手エッジ5は互いに溶接され、それにより、第1の金属管3の形状を維持し得る。
【0063】
第2の金属管8がキャビティ7内に配置されるため、溝9は、第1の金属管3の内側表面を向き、それにより、信号ライン2およびセンサ10は第1の管3と第2の管8との間に配置される。溝9内に配置された少なくとも1つの信号ライン2ならびにセンサ10は、第1の金属管3と第2の金属管8の両方によって保護される。
【0064】
オリジナルの開示のために、本説明、図、および特許請求項から当業者にとって明らかである全ての特徴が、更なる特徴と共に述べられただけであっても、明示的に排除されないまたは技術的に不可能でない場合、それ自身に関してまたは本明細書で開示される特徴の全ての組合せと共に組み合わされる可能性があることが指摘される。特徴の可能な全ての組合せの包括的で明示的な説明は、説明の可読性を提供するために省略されるだけである。
【0065】
本開示は制限された数の実施形態に関して述べられたが、その開示がこれらの実施形態に限定されないことが理解されるであろう。種々の変更を含む他の実施形態は本開示の範囲から逸脱しない。特に、好ましい実施形態の説明は、本明細書および図面において明示的に示され述べられるものに限定されると理解されるものとするのではなく、本明細書および図面の開示を全体として包含するものとする。
【符号の説明】
【0066】
1、1’ システム
2 信号ライン
3 第1の管
4 金属ストリップ
5 金属ストリップ4の長手エッジ
6 金属ストリップ4の横エッジ
7 キャビティ
8 第2の管
9 溝
10 センサ
図1
図2
図3