(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】フォトマスクまたはペリクル付きフォトマスクの一面を収容し、洗浄媒体から保護するためのホルダ、フォトマスクまたはペリクル付きフォトマスクを洗浄する方法、およびホルダを開閉する装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/66 20120101AFI20220111BHJP
G03F 1/82 20120101ALI20220111BHJP
【FI】
G03F1/66
G03F1/82
(21)【出願番号】P 2019547187
(86)(22)【出願日】2017-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2017079497
(87)【国際公開番号】W WO2018091601
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-09-01
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】507146108
【氏名又は名称】ズース マイクロテク フォトマスク エクイップメント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Suss MicroTec Photomask Equipment GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Ferdinand-von-Steinbeis-Ring 10, D-75447 Sternenfels, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】クルムベルク、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ベサー、アデム
(72)【発明者】
【氏名】ディーツェ、ウーヴェ
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-354656(JP,A)
【文献】特開平09-246235(JP,A)
【文献】実開平04-137035(JP,U)
【文献】実開昭56-096442(JP,U)
【文献】特開平05-281707(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0028813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスクまたはペリクル付きフォトマスクの一方の面を収容し、洗浄媒体から保護するためのホルダであって、
少なくとも3つの支持要素を有するベースと、
上面と下面とを有するシールフレームと、
前記シールフレームに配置された外周弾性シール要素と、を備え、
前記少なくとも3つの支持要素は、前記ベースの底面から間隔を開けた状態で前記フォトマスクまたは前記ペリクル付きフォトマスクを受け取り、かつ保持するように構成され、
前記シールフレームの前記下面は、前記ベース上に置かれ、
前記シールフレームは、該シールフレームと前記フォトマスクとの間に間隔を開けた状態で前記フォトマスクを収容できるように寸法設定された中央開口を備えており、
前記外周弾性シール要素は、前記中央開口の内周から該中央開口内へ、前記シールフレームの前記上面に向かって傾斜して延びており、
無負荷状態の前記
外周弾性シール要素は、前記フォトマスクの外周よりも小さい内周を有しており、負荷状態の前記
外周弾性シール要素は、前記中央開口に収容されたフォトマスクの側面に周方向に接触する、ホルダ。
【請求項2】
前記支持要素は、フォトマスクのエッジ部でのみ、特に、フォトマスクの角部でのみ、該フォトマスクに接触するように配置されている、請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記支持要素は、それぞれ、1つまたは2つの傾斜支持面を有する、請求項1または2に記載のホルダ。
【請求項4】
無負荷状態の前記
外周弾性シール
要素は、前記中央開口の前記内周から該中央開口内に均一に2.5mm~3.5mmの距離、好ましくは、約2.9mmの距離だけ延びている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項5】
無負荷状態の前記
外周弾性シール
要素は、該
外周弾性シール
要素と中心合わせされたフォトマスクのエッジ領域と約0.4~1mm、好ましくは、0.6~0.8mm重なるように寸法設定されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項6】
前記
外周弾性シール
要素は、1~3mmの範囲の、好ましくは、1.5~2.5mmの範囲の厚さと、25°~75°の範囲のショアA硬度を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項7】
前記
外周弾性シール
要素は、無負荷状態で、かつ該
外周弾性シール
要素を前記シールフレームに取り付ける前は実質的に平坦な形状を有している、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項8】
前記
外周弾性シール
要素は、実質的に矩形の内周を有しており、前記内周の角部は、丸められており、好ましくは、2~4mmの範囲にある半径、特に、約3mmの半径を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項9】
前記
外周弾性シール
要素は、実質的に矩形状を有しており、少なくとも2つの両側のエッジ領域における外周に取付突起を有している、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項10】
前記
外周弾性シール
要素は、使用される前記洗浄媒体および/または紫外線に耐性がある、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項11】
前記シールフレームは、互いに着脱可能に取り付けられた上部と下部とを有しており、前記
外周弾性シール
要素は、前記上部と前記下部との間に挟まれている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項12】
前記上部と前記下部とは、前記
外周弾性シール
要素のための外周収容空間を形成し、該外周収容空間は、前記中央開口を向いて開口し、前記中央開口に向かって漸減し、かつ前記シールフレームの上面に向かって傾斜しつつ前記中央開口に向かって延びている、請求項11に記載のホルダ。
【請求項13】
前記
外周弾性シール
要素のための前記収容空間は、前記シールフレームの上面に向かって、平均して約29°傾斜している、請求項12に記載のホルダ。
【請求項14】
前記収容空間は、前記中央開口に面する端部において、前記
外周弾性シール
要素の厚さよりも小さい高さを有する、請求項12または13に記載のホルダ。
【請求項15】
前記中央開口に面する前記収容空間の前記端部は、前記
外周弾性シール
要素の厚さよりも10%~20%小さい高さを有する、請求項14に記載のホルダ。
【請求項16】
前記シールフレームは、前記
外周弾性シール
要素の取付位置の上方の領域に傾斜部を有しており、該傾斜部は、前記シールフレームの径方向周囲に向かって広がっている、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項17】
前記ベースは、前記シールフレームを前記ベースに解放可能に保持するホルダユニット、特に、真空または負圧ユニットを備える、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項18】
前記ベースと前記シールフレームのうちの少なくとも一方は、外周シールを備え、該外周シールは、他方の要素、すなわち、前記シールフレームまたは前記ベースを向いている、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項19】
前記ベースと前記シールフレームは、相補的な案内要素を備え、該案内要素は、前記シールフレームを前記ベース上に配置する際に、これら2つの要素の互いに対する整列を達成する、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のホルダ。
【請求項20】
フォトマスク、特に、ペリクルを有するフォトマスクの一方の面を洗浄する方法であって、
請求項1乃至19のいずれか一項に記載のホルダにフォトマスクを収容する工程である、最初に、前記フォトマスクを、その洗浄されない面が前記ベースに向くように前記支持要素に置き、次に、前記シールフレームを前記ベース上に置き、前記
外周弾性シール要素が前記フォトマスクの側面で周方向に接触して該側面を封止し、前記フォトマスクの洗浄対象面はアクセス可能とする工程と、
少なくとも1つの洗浄媒体を該フォトマスクの前記洗浄対象面に供給して、前記洗浄対象面を洗浄する工程と、
前記フォトマスクを前記支持要素に押し付けつつ、前記シールフレームを、該シールフレームが前記ベースに置かれたときと逆方向に前記ベースから取り外す工程と、
前記フォトマスクを前記支持要素から取り外す工程と、を備えた、方法。
【請求項21】
前記フォトマスクは、そのエッジ部のみ、特に、前記フォトマスクの角部のみが前記支持要素に接触するように、前記支持要素に置かれる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シールフレームを前記ベースに置く際に、前記
外周弾性シール要素は、前記シールフレームの上面に向かって変形し、前記
外周弾性シール要素の下面が前記フォトマスクの側面に接触して、該側面を封止する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記洗浄媒体は、液体媒体であり、前記フォトマスクの洗浄された面は、前記シールフレームを前記ベースから取り外す前に乾燥される、請求項20乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載のホルダを開閉するための装置であって、
間隔を開けて配置された互いに向き合う少なくとも2つのグリッパと、
少なくとも1つの保持ピンを有するマスク保持ユニットと、
前記グリッパと前記保持ユニットとの両方に連結され、前記グリッパと前記保持ユニットを一体に移動させる移動ユニットと、を備え、
前記少なくとも2つのグリッパは、それらの間に前記シールフレームを自由に受け取ることができる開位置と、前記シールフレームを把持しうる閉位置との間を移動可能であり、
前記少なくとも1つの保持ピンは、前記シールフレームを前記グリッパで受けるときに、前記少なくとも1つの保持ピンが前記シールフレームの前記中央開口と整列されるように、前記グリッパの間で空間的に配置されており、
前記少なくとも1つの保持ピンは、前記グリッパの開閉動作方向と実質的に垂直に延び、かつ前記少なくとも1つの保持ピンの長手方向に移動可能に支持されている、装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの保持ピンは、案内要素内に収容されており、かつ付勢ユニットによって前記案内要素の外へ弾性的に付勢されており、前記案内要素の外への前記保持ピンの移動はストッパによって制限されている、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの保持ピンは、制御可能な移動機構によってその長手方向に移動可能である、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの保持ピンは、前記グリッパの間の位置から、保持機能を実行不能な中立位置に移動可能である、請求項24乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記移動ユニットは、間隔を開けて配置された2つのアームを備え、該アームは、それぞれ、少なくとも1つのグリッパを担持し、かつ少なくとも前記グリッパの領域内で、実質的にその長手方向と平行に延びる、請求項24乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記グリッパは、グリッパジョーを有するグリッパジョーホルダを備え、前記グリッパジョーホルダは前記2つのアームのうちの少なくとも一方の上に配置されており、
前記グリッパジョーホルダは、前記アームの長手方向に延びる第1回転軸を中心に回転可能に支持されており、
前記グリッパジョーは、前記アームの長手伸長方向に垂直に延びる第2回転軸を中心に回転可能に、前記グリッパジョーホルダに取り付けられている、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記第1および第2回転軸は、実質的に互いに垂直である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記少なくとも一方のアーム上の前記グリッパは、2つのグリッパジョーを有するグリッパジョーホルダを備え、該2つのグリッパジョーは前記グリッパジョーホルダを支持する前記アームの長手方向に間隔を開けて配置されており、
ホームポジションにおける前記グリッパジョーは、前記アームと実質的に平行な線上に整列されており、
前記グリッパジョーホルダは、前記アームの長手方向に垂直な第3回転軸を中心に回転可能に支持されている、請求項28乃至30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記第3回転軸は、他方のアームに向かって延びている、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記グリッパジョーホルダをそのホームポジションに向かって付勢する付勢ユニットをさらに備えた、請求項31または32に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスクまたはペリクル付きフォトマスクの一面を収容し、洗浄媒体から保護するためのホルダと、フォトマスクまたはペリクル付きフォトマスクの一面を洗浄する方法とに加えて、上記タイプのホルダを開閉するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、半導体技術分野では、フォトリソグラフィープロセスにフォトマスクを用いることが知られている。良好なプロセス結果を得るためには、フォトマスクを定期的に洗浄しなければならない。フォトマスクの特定の面をパーティクルによる汚染から保護するために、所謂ペリクルが用いられることがある。
【0003】
ペリクルは、薄膜またはメンブレンであり、例えば、保護されるべきフォトマスクの面に接着されたフレームによって、保護されるべきフォトマスクの面に対して間隔を開けた状態で保持される。したがって、パーティクルは、フォトマスクの面に到達できない。パーティクルが存在する場合は、それらはペリクルに付着する。ペリクルは、マスク面から十分に離れた距離に配置される。すなわち、該ペリクルに付着した、少なくとも特定のサイズ以下のパーティクルが結像処理を損なうことがないように、ペリクルはフォトマスクの面から十分に離れている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これにより、対応する面の洗浄周期を大幅に低減しうる。しかしながら、依然として、ペリクルとは逆側のフォトマスクの面を洗浄する必要がある。従来、ペリクルおよびそのフレームは、該フレームの外側でマスクの周縁エッジ領域が自由なまま残り、シール面として使用できるように、フォトマスクの面に接着されていたが、今日または将来のペリクルのいくつかは、フォトマスクの端部まで延びているか、またはフォトマスクを超えて延びることさえありえる。
【0005】
ペリクルとは逆側の面を洗浄する間、ペリクルを担持する面は、使用される洗浄媒体から保護される必要がある。これにより、ペリクルの、またはそのフレームの、またはペリクルを担持するフォトマスクの面の損傷および/または汚染が回避されうる。これは、一般に、ペリクルを担持する面の周縁エッジ領域をシールフレーム上に取り付けることにより達成されていた。エッジ領域は、ペリクルとエッジ領域の内側にあるマスク面とが周囲雰囲気に対して、特に、洗浄媒体に対して封止されるように予め構成されていた。フォトマスクのエッジ領域まで達するか、および/またはそれを超えてまで延びるペリクルでは、該ペリクルを担持するフォトマスクの面にフォトマスクの十分な表面領域がないため、これはもはや不可能である。さらに、ペリクル無しのフォトマスクであっても、一方の面の洗浄中に、他方の面に接触しないことは有利でありえる。
【0006】
したがって、フォトマスクの一方の面、特に、ペリクルを担持するフォトマスクの面を洗浄媒体に対して保護しつつ、他方の面をこの洗浄媒体で洗浄することが可能な、代替的な装置および方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、請求項1に記載のホルダ、および請求項20に記載の方法に加えて、上記タイプのホルダを開閉するための、請求項24に記載の特定の装置が提供される。本発明のさらなる実施形態は、とりわけ、従属請求項に開示されている。
【0008】
特に、フォトマスク、またはペリクル付きフォトマスクを収容し、洗浄媒体から保護するためのホルダが提供され、該ホルダは、少なくとも3つの支持要素を有するベースと、上面と下面とを有するシールフレームと、前記シールフレームに配置された外周弾性シール要素と、を備え、前記少なくとも3つの支持要素は、前記ベースの底面から間隔を開けた状態で前記フォトマスクまたは前記ペリクル付きフォトマスクを受け取り、かつ保持するように構成され、前記シールフレームの前記下面は、前記ベース上に置かれ、前記シールフレームは、該シールフレームと前記フォトマスクとの間に間隔を開けた状態で前記フォトマスクを収容できるように寸法設定された中央開口を備えており、前記外周弾性シール要素は、前記中央開口の内周から該中央開口内へ、前記シールフレームの前記上面に向かって傾斜して延びており、無負荷状態の前記外周弾性シール要素は、前記フォトマスクの外周よりも小さい内周を有しており、負荷状態の前記外周弾性シール要素は、前記中央開口に収容されたフォトマスクの側面に周方向に接触する。そのようなホルダは、フォトマスク、または下向きのペリクルを有するペリクル付きフォトマスクをベース上に受け、その後、上方からシールフレームを取り付けて、特定のシールによって側面を封止するのに適している。シールフレームを反対方向に取り外しうるので、ベースに面するフォトマスクの面および/またはフォトマスクのペリクルとはいかなる時点でも接触しない。
【0009】
好ましくは、前記支持要素は、フォトマスクのエッジ部でのみ、特に、フォトマスクの角部でのみ、該フォトマスクに接触するように配置されている。支持要素は、1つまたは2つの傾斜支持面を有しうる。
【0010】
一実施形態によれば、無負荷状態の前記外周弾性シール要素は、前記中央開口の前記内周から該中央開口内に均一に延び、特に2.5mm~3.5mmの距離、好ましくは、約2.9mmの距離だけ延びている。この距離は、上面または下面の平面で測定される。さらに、外周弾性シール要素は、無負荷状態では、該外周弾性シール要素と中心合わせされたフォトマスクのエッジ領域と約0.4~1mm、好ましくは、0.6~0.8mm重なるように寸法設定されてもよい。開口部への外周弾性シール要素の突出部は、フォトマスクが収容されるときにシールを変形させるのに十分な材料を提供し、一方、フォトマスクの洗浄中に力がそこにかかるときに、外周弾性シール要素が不安定になるほど大きすぎない。この重なりは、また、外周弾性シール要素の十分な変形と、フォトマスクの側面に対する外周弾性シール要素の押圧力を提供する。
【0011】
好ましくは、前記外周弾性シール要素は、1~3mmの範囲の、好ましくは、1.5~2.5mmの範囲の厚さと、25°~75°の範囲のショアA硬度を有する。これらの数値は、FFKMパーフロオロエラストマーゴム、またはEPDMエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム製のシールのような耐薬品性のシールがフォトマスクの側面に対して良好な封止を提供するのに特に適していることが分かった。
【0012】
取り付けられていない無負荷の状態では、外周弾性シール要素は、実質的に平坦な形状を有していてもよく、したがって、容易に製造しうる。しかしながら、外周弾性シール要素は、内周に向いているテーパー部を有していてもよい。矩形フォトマスクの側面に対する良好な封止のために、外周弾性シール要素は、実質的に矩形の内周を有し、その内周の角部は丸められ、好ましくは、2~4mmの範囲の、特に、約3mmの半径を有する。
【0013】
一実施形態では、外周弾性シール要素は、実質的に矩形の外周を有しており、その少なくとも2つの両側のエッジ領域に、取付突起を設けてもよい。好ましくは、外周弾性シール要素を構成する材料は、使用される洗浄媒体および/または紫外線に耐性があるように、特定の用途に適合される。
【0014】
シールフレームは、互いに着脱可能に取り付けられた上部と下部とを有していてもよく、外周弾性シール要素は、該上部と下部との間に挟まれている。そうすることで、外周弾性シール要素を確実にシールフレームに取り付け、かつ容易に交換しうる。特に、上部と下部とは、外周弾性シール要素のための外周収容空間を形成してもよく、該外周収容空間は、中央開口を向いて開口している。この収容空間は、中央開口に向かって漸減していてもよく、シールフレームの上面に向かって傾斜した状態で中央開口に向かって延びていてもよい。このような収容空間により、外周弾性シール要素を確実な態様で保持し、かつ該外周弾性シール要素をシールフレームの上面に向かって傾斜させることができる。好ましくは、外周弾性シール要素のための収容空間は、シールフレームの上面に向かって約29°傾斜している。好ましくは、収容空間は、中央開口に面するその端部で、外周弾性シール要素の厚さよりも小さい高さを有する。特に、中央開口に面する収容空間の端部は、外周弾性シール要素を確実に保持し、さらには、該外周弾性シール要素を付勢するために、外周弾性シール要素の厚さよりも10%~20%小さい高さを有する。
【0015】
湿式洗浄で用いるために、シールフレームは、外周弾性シール要素の取付位置の上方の領域に傾斜部を有しており、該傾斜部は、シールフレームの径方向周囲に向かって広がっている。シールフレームの使用中に、該シールフレームをベースに確実に保持するために、ベースは、シールフレームをベースに解放可能に保持するホルダユニット、特に、真空または負圧ユニットを備えてもよい。一実施形態では、ベースとシールフレームのうちの少なくとも一方は、外周シールを備えてもよく、該外周シールは、他方の要素(すなわち、シールフレームまたはベース)に面していて、2つの要素の間の接触領域を封止する。ベースとシールフレームとは、相補的な案内要素を備えていてもよく、該案内要素は、シールフレームをベース上に配置する際に、これら2つの要素の互いに対する整列を達成する。
【0016】
フォトマスク、特に、ペリクルを有するフォトマスクの一方の面を洗浄する方法は、以下の工程、すなわち、上述したタイプのホルダにフォトマスクを収容する工程であって、最初に、前記フォトマスクを、その洗浄されない面が前記ベースに向くように前記支持要素に置き、次に、前記シールフレームを前記ベース上に置き、前記外周弾性シール要素が前記フォトマスクの側面で周方向に接触して該側面を封止し、前記フォトマスクの洗浄対象面はアクセス可能とする工程と、少なくとも1つの洗浄媒体を該フォトマスクの前記洗浄対象面に供給して、前記洗浄対象面を洗浄する工程と、前記フォトマスクを前記支持要素に押し付けつつ、前記シールフレームを、該シールフレームが前記ベースに置かれたときと逆方向に前記ベースから取り外す工程と、前記フォトマスクを前記支持要素から取り外す工程と、を備える。このような方法によって、フォトマスクの側面での封止が可能となり、したがって、このような方法を、ペリクルを有する、および有さないフォトマスクに同様に使用しうる。ベースにシールフレームを置くときと逆方向にシールフレームを取り外すことにより、外周弾性シール要素は、保護されるべきフォトマスクの面から、またはそこに取り付けられたペリクルから常に間隔を開けられているので、該外周弾性シール要素によって、損傷または汚染が引き起こされることはない。シールフレームを取り外す間、フォトマスクを支持要素に押し付けている限りは、フォトマスク自身が移動するかまたはずれること、故に、フォトマスクが損傷される可能性を回避することができる。
【0017】
保護されるべきフォトマスクの面をあらゆる接触から保護するために、フォトマスクは、好ましくは、そのエッジ部のみ、特に、フォトマスクの角部のみが支持要素に接触するように、支持要素に置かれる。
【0018】
シールフレームをベースに置く際に、外周弾性シール要素は、シールフレームの上面に向かって変形し、外周弾性シール要素の下面がフォトマスクの側面に接触して、該側面を封止する。そうすることで、良好なシール作用が達成される。
【0019】
一実施形態によれば、洗浄媒体は、液体媒体であり、フォトマスクの洗浄された面は、シールフレームをベースから取り外す前に乾燥される。この乾燥を、例えば、ホルダの高速回転によって達成してもよい。
【0020】
上述したホルダを開閉するための装置は、間隔を開けて配置された互いに向き合う少なくとも2つのグリッパと、少なくとも1つの保持ピンを有するマスク保持ユニットと、前記グリッパと前記保持ユニットとの両方に連結され、前記グリッパと前記保持ユニットを一体に移動させる移動ユニットと、を備え、前記少なくとも2つのグリッパは、それらの間に前記シールフレームを自由に受け取ることができる開位置と、前記シールフレームを把持しうる閉位置との間を移動可能であり、前記少なくとも1つの保持ピンは、前記シールフレームを前記グリッパで受けるときに、前記少なくとも1つの保持ピンが前記シールフレームの前記中央開口と整列されるように、前記グリッパの間で空間的に配置されており、前記少なくとも1つの保持ピンは、前記グリッパの開閉動作方向と実質的に垂直に延び、かつ前記少なくとも1つの保持ピンの長手方向に移動可能に取り付けられている。このような装置は、(ホルダの開放中に)シールフレームをベースから取り外し、シールフレームに収容されたフォトマスクをホルダの支持要素に押し付けて、シールフレームを取り外している間に、フォトマスクを移動させずに、シールフレームのみを移動させることを確実にするのに特に適している。
【0021】
好ましくは、少なくとも1つの保持ピンは、案内要素内に収容されており、かつ付勢ユニットによって案内要素の外へ弾性的に付勢されており、案内要素の外への保持ピンの移動はストッパによって制限される。シールフレームが取り外されると、これら取り付けおよび付勢は、フォトマスクに対して所定の力を提供しうる。その代わりに、または追加的に、少なくとも1つの保持ピンは、制御可能な移動機構によってその長手伸長方向に移動可能であってもよい。
【0022】
一実施形態では、前記少なくとも1つの保持ピンは、グリッパの間の位置から、保持機能を実行不能な中立位置に移動可能である。少なくとも1つの保持ピンのそのような位置では、装置は、フォトマスク自体のような他の要素の移送のためにも使用しうる。
【0023】
一実施形態によれば、移動ユニットは、間隔を開けて配置された2つのアームを備え、該アームは、それぞれ、少なくとも1つのグリッパを担持し、かつ少なくとも前記グリッパの領域で、実質的にその長手方向に平行に延びる。好ましくは、グリッパは、グリッパジョーを有するグリッパジョーホルダを備え、グリッパジョーホルダは、2つのアームのうちの少なくとも一方の上に配置され、該グリッパジョーホルダは、アームの長手方向に延びる第1回転軸を中心に回転可能に支持されており、グリッパジョーは、アームの長手伸長方向に垂直に延びる第2回転軸を中心に回転可能に、グリッパジョーホルダに取り付けられている。これにより、グリッパを、適切に整列されていないホルダのシールフレームに合わせうる。特に、第1および第2回転軸を、実質的に、互いに対して垂直に配置してもよい。少なくとも一方のアーム上のグリッパは、2つのグリッパジョーを有するグリッパジョーホルダを備えてもよく、該2つのグリッパ-ジョーはグリッパジョーホルダを支持するアームの長手方向に間隔を開けて配置されており、ホームポジションにおけるグリッパジョーは、アームと実質的に平行な線上に整列されており、グリッパジョーホルダは、対応するアームの長手方向に垂直な第3回転軸を中心に回転可能に支持されている。第3回転軸は他方のアームに向って延びてもよい。好ましくは、グリッパジョーホルダをそのホームポジションに付勢する付勢ユニットが設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本願発明が図面を参照して詳細に説明される。
【
図1】
図1は、シールを備えていない本発明に係るホルダの概略上面図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿ったホルダの概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図2と類似のホルダの概略断面図であるが、内部にシールが取り付けられている図である。
【
図4】
図4は、
図1に記載のホルダのベースの概略斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に記載のホルダのシールフレームの下部の概略斜視上面図である。
【
図6】
図6は、
図1に記載のホルダのシールフレームの上部の概略斜視底面図である。
【
図7】
図7は、
図1に記載のホルダのシールフレームの概略斜視上面図である。
【
図8】
図8は、取り付けられたシールを有するシールフレームの上部と下部との間のクランプ領域の拡大概略図である。
【
図9】
図9は、シールフレームに収容されていない状態のフォトマスクが示されている、
図8と類似のクランプ領域の拡大概略図である。
【
図10】
図10は、図示されたフォトマスクがシールフレームに収容された状態を示している、
図9と類似の拡大概略図である。
【
図11】
図11は、シールフレーム内のシールの収容部分のさらなる概略詳細図である。
【
図13】
図13は、ペリクルを有するフォトマスクに対する関係を示す、
図12と類似の図である。
【
図14】
図14は、
図1に記載のホルダに取り付け可能な例示的なシールの概略上面図である。
【
図19】
図19は、
図1に記載の装置の部分的な領域の拡大概略正面図であり、
図19aおよび
図19bは、グリッパジョーホルダおよび対応するグリッパの異なる位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明において、方向の表現、例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「水平」、「鉛直」、およびこれらの派生語などの表現は、図中における表現であり、それらが好ましい向きを言及しているとしても、限定的な意味に理解されるべきではない。
【0026】
図1は、フォトマスク2、またはペリクルを有するフォトマスクの一方の面を収容し、他方の面(すなわち、保護されていないフォトマスク2の面)の洗浄中に、前記一方の面を洗浄媒体から保護するためのホルダ1の概略上面図である。フォトマスク2は、
図1で点線のみで示されており、ペリクル無しフォトマスクであってもよいし、ペリクル付きフォトマスクであってもよい。
図1に記載の描写では、説明の簡略化のためにシールは示されていない。
図2は、
図1に記載のホルダ1の概略断面図であり、
図3は、内部にシールが取り付けられた
図2に対応する断面図である。フォトマスクという用語が用いられる場合、これは、フォトマスクがペリクル付きであるかペリクル無しであるかに関係なく、概してフォトマスクの基体に関するものである。
【0027】
ホルダ1は、ベース5と、ベース5上に配置されるシールフレーム7とを有する。ベース5およびシールフレーム7のうちの少なくとも一方には、これらを互いに設置したときに、これら2つの要素を一緒に着脱可能に保持するための保持ユニットが設けられてもよい。特に、シールフレームをベースに保持するために、例えば、ベース5に形成された開口(図示せず)を介してシールフレームの下面に作用する負圧または真空ユニットが設けられてもよい。しかしながら、これら2つの要素を一緒に着脱可能に保持するために、他の保持ユニットを設けてもよい。
【0028】
ベース5は、実質的に、上面10と下面11を有する円板要素9と、該板要素9の下面11から垂直に延びる軸部13とからなる。板要素9の上面10および下面11は、実質的に平坦である。
図4の概略斜視図に最もよく示されているように、4つの支持要素15が板要素9の上面10に設けられている。4つの支持要素15は、それらが矩形の、特に正方形のフォトマスク2をその4つの角部において受けるように配置されている。支持要素は、それぞれ、2つの離れた支持体16を備えており、それらは、フォトマスク2のそれぞれの角部の領域における2つの異なる長手方向エッジ部でフォトマスク2に接触するのに適している。
【0029】
図では、2つの支持面をそれぞれ有する特定の構造を備えた4つの支持要素15が示されているが、当業者は、支持面を形成するために、より少ない数の支持要素、特に3つの支持要素で十分であり、各支持要素は単一の支持面のみを有していてもよいことを理解可能であろう。支持要素15は、その上に受けたフォトマスク2が実質的にベースの上面10と平行となるように寸法設定され配置されている。ペリクルを有するフォトマスクにとっては、ペリクルがベース5の上面15から間隔を開けて配置されるように、支持要素15は、下向きのペリクル付きフォトマスクを支持要素15上で受け取るのに十分な高さを有している。さらに、支持要素15は、下向きのペリクルを有するフォトマスク2を支持要素15で受けたときに、該支持要素15がペリクルおよびそのフレームに接触しないように配置されている。特に、支持要素15は、フォトマスクとその下向きのエッジ部でのみ接触するように構成される。このために、支持面16は、それぞれ、傾斜した上面を備えている。
【0030】
軸部13は、板部9の中心位置にあり、実質的に円形である。
図2の描写に示されるように、軸部13は、少なくとも部分的に中空であってもよく、回転駆動機(図示せず)の軸のための収容空間18を備えてもよい。代わりに、軸部13は、
図3に示されるように、中実部として形成されてもよく、回転駆動機の軸に接続するための適した他の構造が設けられていてもよい。使用時に、ベース5は、一般的に、回転駆動機の軸によって回転可能に支持される。
図2および
図3に示される軸Aは回転軸心を表す。
【0031】
ホルダ1のシールフレーム7は、実質的に、上部20、下部21、およびシール22を有する。図の簡略化のために、シールは、
図1および
図2では示されていないが
図3には示されている。シールフレーム7を形成するために、上部20および下部21は、これら要素の非破壊的な分離を可能にする適切な取付け手段、例えば、ねじによって互いに着脱自在に取り付けられ、詳細は後述するが、それらの間には、シール22が配置されている。
【0032】
シールフレームの上部20は、
図6では下方からの斜視図で示されており、
図7では上方からの斜視図で下部21とともに示されている。上部20は、実質的に、円板要素を備えており、この円板要素は、上面24と、下面25と、上面24と下面25との間を延びる中央開口26を有する。上部20の上面24は、実質的に平坦であるが、
図8乃至10に示すように下面に向かって傾斜した、中央開口に隣接する面取り部を有していてもよく、あるいは、丸められたエッジ部を有していてもよい。
【0033】
下面25も、実質的に平坦であるが、下面に案内構造を設けてもよく、該案内構造によって、上部20と下部21とを組み付ける際に、下部21に対する整列が可能となる。さらに、上部20の下面25に、ねじ溝が切られた複数のブラインド孔を設けてもよく、これらによって、例えば、適切なねじによって上部20と下部21とを互いに取り付けることができる。しかしながら、上部20を下部21に取り付ける、これら2つの部分の非破壊的な分離を可能とする他の手段も可能である。
【0034】
中央開口26に隣接して、上部20の下面25は、該下面25に対して垂直に延び、かつ上面24に向かって延びる肩部28がまずは形成されるように形付けられる。肩部28は
図8の簡略化された描写に最もよく示されており、
図8は、シールが取り付けられた、シールフレーム7の上部20と下部21との間のシールクランプ領域の拡大概略図を示す。肩部28は傾斜部29に結合され、傾斜部29は、肩部28の上端から中央開口26に向かって延び、かつ上面24に向かって傾斜する。特に、表面または傾斜部29は、上面24に向かって約25度~32度で傾斜していてもよく、例えば、上部20の上面24に対して約28.5度の斜度を有する。
【0035】
中央開口26は、矩形形状、特に、丸められた角部を有する正方形状を有し、さらに、フォトマスク2を間隔を開けた状態で収容するように寸法設定されている。
【0036】
下部21もまた、実質的に、板要素32を備える。この板要素32は、上面33、下面34、中央開口35、および外周スカート36を有する。
図5に、下部21の概略斜視上面図が示される。下部21の板要素32は、実質的に、上部20の板要素23と同様の外周寸法を有する。下部21の中央開口35は、上部20の中央開口26と実質的に同じ形状および大きさである。上部20と下部21を互いに取り付けると、中央開口26および35は一直線上に配列される。
図5と
図7には示されていないが、ハンドル37を下部21に取り付けるか、または下部21と一体に形成してもよい。以下に詳細に説明されるように、各グリッパと協働しうるハンドル37は、
図1に記載の上面図にのみ示される。ハンドル37を下部21にまたはそれに追加して設けるのではなく、ハンドル37をシールフレーム7の上部20に設けてもよい。上面図に示されるように、全部で6つのハンドル37が設けられる。複数のハンドル37は、3つのハンドル37のグループに分割され、各グループは、
図1のII-II線断面に関して対称的にシールフレームの両側に配置される。当業者には理解されるように、図示された配置とは異なるハンドル37の配置が提供されてもよい。
図15乃至
図18を参照して以下により詳細に説明されるが、ホルダを開閉するための装置と協働するためには、例えば、3つのハンドル、特に、一方の側の外側ハンドル37らと、他方の側の中央ハンドル37の組み合わせで十分でありえる。6つのハンドルの配置を有することにより、シールフレームを、それが180度回転された場合でも収容することができる。
【0037】
板要素の上面33と下面34は、その大部分が平坦であるが、上面は、上部20と下部21とを接合する際にこれらを整列させるための案内構造を備えていてもよい。さらに、板要素32には、孔または通路(図示せず)が設けられてもよく、これらが上部20の対応するブラインド孔と位置合わせされることにより、これら2つの要素を例えばねじによって互いに取り付けることができる。各孔および連結具は、図の簡略化のために図示されていない。
【0038】
上面33は、中央開口26に隣接する突起部を備え、該突起部は傾斜部38によって形成される。傾斜部38は、上部20の板要素23を延びる傾斜部29と実質的に同じ距離にわたって下部21の半径方向に延びる。傾斜部38は、例えば、板要素32の平坦な上面33に対して28度~34度の範囲で傾斜しており、例えば、約30度の斜度を有する。傾斜部29,38の角度は異なっており、特に、傾斜部38の角度は、傾斜部29の角度よりも約1~2度だけ急勾配である。これにより、シールフレーム7の結合状態では、中央開口26に向かって漸減する収容空間40が上部20と下部21との間に形成される。この漸減収容空間40は、
図8に特によく示されており、
図8では、そこに収容されたシール22も示されている。漸減収容空間40の役割については、シール22を詳細に説明する際に、以下で詳細に説明する。
【0039】
シール22の角部を上向きに良好に傾かせるために、傾斜部29,38は、それぞれの丸められた角部で幾分急勾配、例えば、0.5度だけ急勾配であってもよい。これにより、中央開口26を向いた収容空間40の開口は、丸められた角部で他の領域よりもわずかに高い。
【0040】
板要素32は、さらに外周スカート36を備えており、該外周スカートは、
図2または
図3にも示されるように、下面34から実質的に垂直に下方に延びる。
図2から理解しうるように、スカート36は、シールフレーム7がベース5に設置されたときに、ベース5の板部9を完全に収容するのに適した内部寸法を有する。詳細に図示はしないが、少なくとも1つのシールを下部21の下面34と板要素9の上面との間に設けてもよく、該シールは、これら2つの要素の一方に取り付けられうる。
【0041】
図3で最初に示されるシール22は、
図3および
図8乃至
図14を参照して以下に説明される。ここで、
図14は、例示的なシール22の上面図を示している一方で、
図8乃至
図13は、シールフレームの上部20と下部21との間のシール22のクランプに加えて、フォトマスクに対するシール22の関係を概略的に示している。
【0042】
図14に記載の上面図から理解しうるように、シール22は、丸められた角部を有する実質的に矩形、特に、実質的に正方形の環状形状を有する。角形状の2つの対向する長手方向側面には、外側を向いた取付け突起44,45が設けられる。
【0043】
シール22は、取り付けられていない状態では、実質的に平坦な形状を有しており、フォトマスク2の洗浄の際に用いられる洗浄媒体に対して耐性を有する適切なシール材料からなる。適切な材料の例としては、FFKMパーフロオロエラストマーゴム(FFKM perfluoroelastomer rubber)、またはEPDMエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM ethylene-propylene-diene-monomer rubber)が挙げられる。シール22は、1~3mmの範囲、好ましくは、1.5~2.5mmの範囲の厚さと、25°~75°の範囲のショアA硬度とを有するのが好ましい。シールの実質的に矩形の内周は、丸められた角部を有しており、丸められた角部の半径は、好ましくは、2~4mmの範囲、特に約3mmである。図示はしないが、シールは、中央開口に向かって漸減する中間部分を有していてもよい。
【0044】
取付け突起44,45は、それらがシールフレーム7の上部20の板要素23の下面25におけるそれぞれの置き場に嵌合するように寸法設定されており、該置き場は
図6で符号46で示されている。取付け突起44,45は、それぞれ、シール22をシールフレーム7の下部21に適切な態様で、例えば、板要素32の上面33に設けられたピン47(
図5参照)を介して取り付けるために、取付け開口を備える。当然ながら、さらなる取付け突起を設けてもよく、あるいは、取付け突起44,45を省略してもよい。
【0045】
図8に最もよく示されているように、シール22はシールフレーム7の上部20の下面25における肩部28の高さに実質的に対応する厚さを有する。シールフレーム7の下部21における傾斜部38によって、シールは、
図8に示すように上方向に傾斜される。ここで、
図8における点線形状のシール22は、該シールが下部21のみによって保持されている状態か、または収容空間40が漸減していない状態でのシールを示している。実線の形状は、上部20が下部21に取り付けられたときのシール22を示している。収容空間40の漸減形状により、中央開口26に隣接する収容空間40は、シール22が無負荷状態であるときのシール22の高さよりも小さい高さを有する。これにより、シール22は、この領域で押しつぶされ、その一方で、シールを固定し、他方では、さらに上方向に傾かせる。特に、中央開口26に隣接する端部での収容空間40の高さは、無負荷状態のシールの厚さよりも10%~20%小さい。
【0046】
シール22は、取付けられた状態において、すなわち、上部20と下部21との間に配置されたときに、例えば、
図11に示されるように、中央開口26の内周から該中央開口内に2.5mm~3.5mmの距離D1、好ましくは、約2.9mmの距離だけ上部20または下部21の半径方向に、実質的に等しくまたは均一に延びるように寸法設定されている。さらに、フォトマスク2がペリクルを有さないフォトマスクであるか、またはペリクル付きフォトマスクであるか(
図12および
図13参照)にかかわらず、
図13および
図14に最もよく示されるように、シール22は、無負荷で取り付けられている状態で、シールに対して中心合わせされたフォトマスクのエッジ領域が約0.4~1mm、好ましくは、0.6~0.8mmの距離D2だけ半径方向でシールと重なるように寸法設定されている。
【0047】
フォトマスク2がシール22に下方から接触するように、該フォトマスクがシールフレーム7の中央開口26に収容されると、シールは、
図10に概略的に示されるようにさらに上方に変形される。シール22は、フォトマスクとその側面で接触し、該側面を封止する。対応する封止は、シール22がシールフレーム7の上部20と下部21との間に挟まれたときに取るシールの特定の形状によって促進される。封止は、
図10に示されるように、シール22の下面によって達成される。シール22の傾斜配置によって、シール22の下面とフォトマスク2の外周側面との良好な接触が促進される。以下に詳細に説明されるように、傾斜配置は、さらに、シールフレーム7をフォトマスク2に上方から容易に載せ、かつ反対方向にそこから取り外すことを助ける。
【0048】
図15乃至
図19を参照して、上述のホルダ1を開閉するための具体的な装置50が詳細に説明される。
図15は、装置50の概略正面図であり、
図16は、
図15の概略右側面図であり、
図17は、
図16と類似の概略側面図であって、装置の一部が省略された図である。
図19aおよび
図19bは、装置50の部分的な領域の拡大概略正面図であり、異なる位置にある装置のグリッパジョーを示している。
【0049】
装置50は、実質的に、主アーム52と、第1グリッパアーム54と、第2グリッパアーム55と、第1グリッパアームにおける第1グリッパ装置56と、第2グリッパアームにおける第2グリッパ装置57と、マスク保持装置60とからなる。
【0050】
主アーム52は、第1取付端部62と第2取付端部64とを有する。第1取付端部62は、任意の適切な態様で、主アーム52を空間内で三次元的に移動させることが可能な移動機構と接続されうる。各移動機構は当該技術分野でよく知られているため、したがって、ここでは詳細に説明しない。
【0051】
第2取付端部64は、第1取付端部62に強固に接続されており、第1および第2グリッパアーム54,55、およびマスク保持装置60を支持する。
【0052】
さらに、以下に詳細に説明されるように、第2取付端部に駆動装置が設けられ、該駆動装置は、第1および第2グリッパアーム54,55を互いに相対的に移動させることができる。
【0053】
グリッパアーム54,55は、それぞれ、実質的にL形状を有する。L形状のそれぞれの第1脚部66(以下、短脚部66と称することがある)は主アーム52の第2取付端部64内に収容され、その中で、その長手方向に案内される。特に、それぞれの短脚部66は、それらが実質的に互いに平行であり、かつ第2取付端部64の両側から延びるように、主アーム52の第2取付端部64に配置されている。特に、グリッパアーム54,55の短脚部66は、互いに整列されており、それらが互いに対して接近および離間しうるように支持されている。
【0054】
第2脚部67(以下では、長脚部67と称することがある)は、短脚部66に対して直角に第2取付端部64の前面に向かって延びており、グリッパアームの長脚部67は、主アーム52の前端を越えて延びている。それぞれのグリッパアーム54,55の2つの脚部66,67は、水平に延びる。グリッパアーム54,55の長脚部67は、実質的に互いに平行に延びる。
【0055】
図15の両矢印Fによって示されるように、長脚部67は、適切な態様でそれらの間の距離を調整するために、短脚部66のそれぞれの動作によって互いに接近および離間しうる。脚部66,67は、それぞれ、矩形断面を有する。
【0056】
第1グリッパアーム54は、第1グリッパ装置56をその長脚部67で支持しており、第2グリッパアーム55は、第2グリッパ装置57をその長脚部67で支持している。
【0057】
第1グリッパ装置56は、実質的に、グリッパジョー70を備えており、このグリッパジョー70は、2つの第1グリッパ71と、少なくとも1つの第2グリッパ72とを有する。
【0058】
グリッパジョー70は、第1取付脚部74と、延長脚部75と、2つのL形状グリッパ部76を有する。取付脚部74は、実質的に矩形断面を有する細長い形状を有している。取付脚部74は、第1グリッパアーム54の長脚部67に取り付けられている。すなわち、取付脚部74は、第2グリッパアーム55を向いた長脚部67の側面に取り付けられている。特に、取付脚部74は、回転軸78を介して回転可能に長脚部67に取り付けられている。回転軸78は、第2グリッパアーム55に向かう方向で長脚部67の長手伸長方向に対して垂直に延びている。
【0059】
さらに、2つのガイドピン79が回転軸78の両側で取付脚部74に設けられる。これらガイドピンは、第1グリッパアーム54の長脚部67の長孔に収容され、該長孔は、回転軸78の両側に整列される。これにより、グリッパアーム54の長脚部67に対する取付脚部74の相対的な回転が、例えば、
図16bに示されるように制限される。取付脚部74は、例えば、長孔80内に配置されて、ガイドピン79に作用する適切な付勢手段によって、または任意の他の適切に配置された付勢手段によって、取付脚部74の長手伸長方向が第1グリッパアーム54の長脚部67の長手伸長方向と実質的に平行になる向きに付勢される。そのような位置合わせは、例えば、
図16aに示されている。
【0060】
延長脚部75は、主アーム52に近接する端部で取付脚部74の底部に接合され、主アーム52に向かってそれと実質的に平行に延びる。2つのL形状グリッパ部76のうちの一方は、延長脚部75の自由端に、すなわち、取付脚部74から最も離れた端部に取り付けられる。対応するL形状グリッパ部76も、主アーム52から最も離れた取付脚部74の端部で該取付脚部74に設けられる。取付脚部74、延長脚部75、およびL形状グリッパ部76は一体に形成されてもよいが、互いに取り付けられる異なる要素から構成してもよい。現在のところ、一体型が好ましい。
【0061】
L形状グリッパ部76は、それぞれ、長手方向に延びる第1脚部82を有し、この第1脚部は、取付脚部74の下方で、かつ取付脚部74に対して垂直に延びる。特に、第1脚部は、第1グリッパアーム54の長脚部67の下方で、長脚部67を横切って水平方向に延びる。第1脚部82の自由端部では、第2脚部83が下方に垂直に延びる。第1脚部82は、第2グリッパアーム55に面する端部に凹部を有しており、該凹部は、第2グリッパ72を形成するように動作する。
【0062】
下方に延びる第2脚部83にも、凹部が形成されており、該凹部は、第1グリッパ71のグリッパジョー70を形成する。2つのL形状グリッパ部76が設けられるので、対応して2つの第1グリッパ71も設けられ、これらは、取付脚部74の長手伸長方向、つまり、第1グリッパアーム54の長脚部67の長手方向に間隔を開けて配置される。グリッパ71,72は、グリッパジョーのそれぞれの脚部における凹部によって形成される。しかしながら、それらを、異なる態様で、特に、グリッパジョーのそれぞれの脚部に取り付けうる別個の要素として形成してもよい。
【0063】
第2グリッパアーム55に取り付けられた第2グリッパ装置57は、実質的に、グリッパジョー84、グリッパジョー84に取り付けられた第1グリッパ87、および第2グリッパ97によって構成される。グリッパジョー84は、第1水平脚部88、鉛直連結脚部89、および第2水平脚部90を有する。グリッパジョー84もまた一体的に形成されてもよいし、いくつかの別個の部品から構成されてもよい。
【0064】
第1水平脚部88は、第2グリッパアーム55の長脚部67の下方で垂直に延びる。第2グリッパアーム55の長脚部67の下面には、調整ストッパが設けられ、該調整ストッパに、例えば、
図15に示すように、第1水平脚部88の上面が当接しうる。第1グリッパアーム54を向いた第1脚部88の端部には、第1グリッパジョー70に第2グリッパ72が形成されるのと同様の態様で、第2グリッパ97が凹部によって形成されている。
【0065】
第2グリッパ97とは反対側の第1水平脚部88の端部には、鉛直連結脚部89が設けられており、該脚部89は対応する端部から下方に垂直に延びている。鉛直連結脚部89の下端には、第2水平脚部90が設けられ、該脚部90もまた鉛直連結脚部89に対して垂直に延びる。
【0066】
第2水平脚部90は、第1水平脚部88と実質的に平行に延びる。第1グリッパ87は、第1グリッパアーム54を向く第2水平脚部90の端部によって支持される。第1グリッパ87は、第2水平脚部90と平行に延びる回転軸96まわりに回転可能なように取り付けられている。回転軸96は、第1グリッパアーム54の方に向けられている。
【0067】
グリッパジョー84は、取付ブラケット91を介して第2グリッパアーム55に取り付けられている。特に、取付ブラケット91は、第1取付アーム54とは反対側を向く、第2取付アーム55の長脚部67の側面に取り付けられる。各取り付けは、任意の適切な態様で実施しうる。取付ブラケット91は、実質的に、水平脚部92と鉛直脚部93とを備えた角のある形状を有しており、鉛直脚部93は、水平脚部92の一方の端部から下方に垂直に延びる。取付ブラケット91の鉛直脚部93は、その下端で回転軸94を支持する。回転軸94は、第2取付アーム55の長脚部67と実質的に平行に水平方向に延びる。
【0068】
グリッパジョー84の第2水平脚部90は、回転軸94を介して取付ブラケット92に回転可能に取り付けられている。取付ブラケット91には、さらに、下方付勢ピン99を有する付勢ユニット98が設けられ、該下方付勢ピンは、任意の適切な態様で下方に付勢されており、第2水平脚部90の一端に作用する。ピン99は、第2水平脚部90が
図15に示すように回転軸を中心に反時計回りに回転するように、該第2水平脚部90を押す。この回転は、第2取付アーム55の長脚部67の下面と接触する第1水平脚部88上のストッパによって制限される。この位置で、グリッパジョー84の第1水平脚部88と第2第2水平脚部90とは、水平方向に整列される。しかしながら、
図19bに示されるように、グリッパジョーは、ピン99の付勢に抗して回転軸94を中心に時計回り方向に回転しうる。
【0069】
第1および第2グリッパ装置56,57は、第1および第2グリッパアーム54,55上にそれぞれ配置されており、これらグリッパ装置のホームポジションにおいて、グリッパ71,87は水平面内に配置され、互いに向き合っている。同様に、これらグリッパ装置のホームポジションにおいて、グリッパ72,97は、水平面内に配置され、互いに向き合っている。
【0070】
グリッパ87の追加の回転装置と組み合わせた、それぞれのグリッパアーム54,55に対する第1および第2グリッパジョー70,84の可動装置によって、水平方向に整列されていない要素に対してそれぞれのグリッパ87,71を適合させることができる。特に、グリッパ87,71は、上述したタイプのホルダ1のシールフレーム7のハンドル37を把持するように構成される。しかしながら、グリッパ72,97を、フォトマスクなどの他の要素を把持するために設けてもよい。
【0071】
装置50のマスク保持装置60は、実質的に、水平に延びる板要素100と、それに取り付けられた保持装置102を備える。
【0072】
板要素100の一方の端部は、該板要素がグリッパアーム54,55と平行に延びるように、主アーム52の第2取付端部64に取り付けられている。板要素100は、主アーム52の取付端部64に強固に取り付けられてもよいが、高さ調整可能な、および/または旋回可能な態様で保持されてもよい。板要素100を図中に示される位置で固定してもよい。
【0073】
保持装置102は、それぞれ、収容スリーブ104と、該収容スリーブ104内に移動可能に配置された保持ピン106を備える。特に、4つの保持装置102が板要素100の下面に配置される。収容スリーブ104は、それぞれの収容スリーブ104の長手方向軸心が板要素100に対して垂直に延びるように、板要素100の下面に適切な態様で取り付けられる。
【0074】
収容スリーブ104は、それぞれ、保持ピン106を収容するための対応する収容空間(図示せず)をその内部に形成する。保持ピン106は、収容空間の長手方向に移動可能に案内される。付勢ユニット(図示せず)が収容スリーブ104のそれぞれの収容空間内に設けられる。この付勢ユニットは、保持ピン106を収容スリーブ104の外側方向に付勢する。収容スリーブ104の外への保持ピン106の移動は適切な態様で制限される。それぞれの付勢ユニットを、例えば、機械ばね、空気ばね、または他の要素によって構成しうる。
図15は、保持ピン106の完全に後退した位置を示している一方で、
図16は、保持ピン106の完全に伸長した位置を示している。
【0075】
保持ピン106は、それぞれ、収容スリーブ104内に収容される案内部(図示せず)と、収容スリーブ104から延びる部分を備えている。この収容スリーブ104から延びる上記部分の下端は、接触先端部108を支持している。当業者には理解されるように、保持ピン106は、付勢ユニットの付勢力に抗して収容スリーブ104内に移動させ、かつ収容スリープ104の外に移動させうる。接触先端部108もまた、同様の態様で、保持ピン106内部で弾性的に支持されてもよい。収容スリーブ104の外側に位置するそれぞれの保持ピン106の部分は、対応する収容スリーブ104に取り付けられたジャケットに収容される。ジャケットは一種のベローズを形成しており、これによって、保持ピン106を収容スリーブ内で案内する際に発生しうるパーティクルが閉じ込められ、該パーティクルがその下に置かれたフォトマスク上に落ちないようになっている。
【0076】
例えば
図16に示すように、マスク保持装置60の作動位置では、板要素100は図示される位置にある。この位置では、保持ピン106はグリッパアーム54,55の間に位置しており、フォトマスクを収容していないシールフレーム7上のハンドル37をグリッパ87,71が把持するときに、少なくとも1つの保持ピン106の接触先端部108が、シールフレーム7の中央開口26内に延びる。しかしながら、フォトマスクがシールフレーム7内に収容されると、接触先端部108は、フォトマスク2の上面に接触して、保持ピン106が収容スリーブ104内に弾性的に移動する。
【0077】
以下では、上述のホルダ1と、該ホルダを開閉する装置50とを用いる洗浄プロセスがより詳細に説明される。最初に、フォトマスク2が、保護されるべき面またはペリクルを有する面が下側を向くように支持要素15の支持体16の上に置かれる。次いで、装置50を用いて、シールフレーム7がベース5の上方に位置決めされ、その後、ベースに向かって移動される。その際、保持ピン106の接触先端部がフォトマスク2の上側を向いた面に接触し、フォトマスクを支持体16に押し付ける。シールフレームはベースに向ってさらに下降し、保持ピンは、それぞれの付勢力に抗して弾性的に収容スリーブ104内に移動する。さらに、シールフレームのこの移動の際に、シールフレーム7上の外周シール22は最初にフォトマスク2の上側を向いた面に接触する。シールフレーム7のさらなる下降動作で、シール22は上方に変形される。ベース5に向かうシールフレーム7の継続動作で、シール22の下面がフォトマスク2の側面に接触し、該側面を封止する。シールのこの位置は、シールフレーム7がベース5に当接するまで維持される。シールフレーム7は、その後、例えば、負圧または真空によってベース5に固定され、装置50は、解放されてホルダ1の直上の領域の外へ移動される。
【0078】
この時点で、フォトマスク2の下面、またはフォトマスク2の下面上のペリクルは、周囲環境に対して封止される。そして、例えば、洗浄流体、ガス、または凍結CO2などの固体材料などの洗浄媒体がフォトマスク2の上側を向いた面を洗浄するために、該フォトマスク2の上側を向いた面に供給される。フォトマスク2のその側面での封止によって、フォトマスク2の下面、またはそこに取り付けられたペリクルは洗浄媒体から保護される。
【0079】
液体が供給される場合は、上面への洗浄液の供給と、オプションとしてのリンス液での上面のリンスの後で、フォトマスク2の上面を乾燥してもよい。この乾燥を、例えば、ベース5の、つまり、シールフレーム7とフォトマスク2の高速回転によって達成してもよい。対応する乾燥を、フォトマスク2の上面に向けられたガス流によって達成および/または促進してもよい。
【0080】
次いで、装置50が再びシールフレーム7の上方の位置に置かれ、グリッパ87,71がシールフレーム7のハンドル37と係合される。対応する把持位置への装置50の移動の際に、保持ピン106の接触先端部108は、再び、フォトマスク2の上面に接触し、保持ピン106は、再び、収容スリーブ104内に弾性的に移動する。装置50の次の上方移動の際に、シールフレーム7は装置のグリッパ87,71を介して上昇される一方で、保持ピン106はフォトマスク2を支持要素15の支持体16に押し付ける。これにより、保持ピン106のストロークに加えて、その対応する付勢もフォトマスク2を支持要素15の支持体16に確実に保持するのに十分である。
【0081】
シールフレーム7を上昇させて取り外すと、フォトマスク2もまたベース5の支持要素15から取り外しうる。
【0082】
本発明が上記の好ましい実施形態に対して説明されたが、特定の実施形態に限定されるべきではない。当業者には、特許請求の範囲内での異なる複数の改変および変更が可能であることが理解されるであろう。