(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】拡張アンカー
(51)【国際特許分類】
A61F 2/08 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A61F2/08
(21)【出願番号】P 2019568137
(86)(22)【出願日】2018-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018036838
(87)【国際公開番号】W WO2018231681
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-02-07
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カム アンドリュー
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0319946(US,A1)
【文献】特表2015-518756(JP,A)
【文献】特表2016-515005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0043342(US,A1)
【文献】特開2004-160177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/08
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーシステムであって、
近位端から遠位端に長手方向軸に沿って延在する管状の本体と、
前記管状の本体の前記遠位端に固定された円錐形頭部と、
複数の拡張可能なセグメントと、
前記管状の本体の前記近位端の外側表面上に配置された第一の組のねじ山と、
前記管状の本体の前記近位端上に位置付けられた駆動部材であって、前記駆動部材の前記円錐形頭部に向かう進行が、前記複数の拡張可能なセグメントを配置されていない構成から配置された構成に移動させる、駆動部材と、を含み、
前記複数の拡張可能なセグメントは前記管状の本体の中間部分に沿って互いに長手方向に位置付けられ、前記配置されていない構成と前記配置された構成との間で移動可能であり、前記配置されていない構成は前記複数の拡張可能なセグメントが長手方向に間隔を空けて半径方向に収縮し、前記配置された構成は前記複数の拡張可能なセグメントが前記円錐形頭部に対して一緒に長手方向に圧縮され半径方向に拡張している、アンカーシステム。
【請求項2】
前記駆動部材が、内側表面を画定するように貫通して形成された穴を有し、前記内側表面の遠位部分が、前記第一の組のねじ山に対応する第二の組のねじ山を含む、請求項
1に記載のアンカーシステム。
【請求項3】
前記円錐形頭部が、組織移植片を受け入れるように寸法決めされた少なくとも一つのスカラップを含む、請求項
1に記載のアンカーシステム。
【請求項4】
前記複数の拡張可能なセグメントのそれぞれが円錐台形である、請求項
3に記載のアンカーシステム。
【請求項5】
前記複数の拡張可能なセグメントのそれぞれが、半径方向外側に延在する少なくとも一つのスロットを含む、請求項
4に記載のアンカーシステム。
【請求項6】
前記駆動部材の前記内側表面の近位部分が、内側非円形形状を含む、請求項
5に記載のアンカーシステム。
【請求項7】
第一の端部および第二の端部を有するハンドルと、前記ハンドルの前記第一の端部から、前記駆動部材の前記内側非円形形状に対応する外側非円形形状を有する自由端まで延在するシャンクと、を有する駆動ツールをさらに含む、請求項
6に記載のアンカーシステム。
【請求項8】
前記駆動ツールが、前記シャンクの前記自由端から前記ハンドルの前記第二の端部まで前記シャンクを貫通する可動シャフトと、前記シャンクの前記自由端に向かって前記可動シャフトに付勢を提供するばねと、をさらに含む、請求項
7に記載のアンカーシステム。
【請求項9】
前記駆動ツールが、前記ストライクプレートが前記ハンドルの前記第二の端部において受け入れられる第一の位置と、前記ストライクプレートが、前記ハンドルの前記第二の端部から延在する第二の位置との間を移動するために、前記可動シャフトに結合されたストライクプレートをさらに含む、請求項
8に記載のアンカーシステム。
【請求項10】
前記シャンクの前記自由端を前記駆動部材に挿入すると、前記管状の本体に沿った第一の方向への前記駆動部材を伴う前記駆動ツールの前進により、前記管状の本体が、前記可動シャフトを前記ばねの前記付勢に対して反対方向に押すように、前記管状の本体の前記近位端が前記駆動ツールの前記可動シャフトと整列する、請求項
9に記載のアンカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月12日に出願された米国仮特許出願第62/518,245号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、膝の靱帯再建に関し、より具体的には、膝の靱帯再建における干渉固定装置として使用され得る拡張アンカーに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
前部の十字靱帯手術などの、膝の靱帯再建の間、軟組織移植片は多くの場合、骨トンネル内に引き出され、固定される必要がある。移植片を固定する従来的アプローチには、移植片が所定位置に引き出された後に骨トンネル内に挿入される干渉ねじまたはアンカーの使用が関与する。このアプローチは強固なアンカーポイントを提供するが、ねじまたはアンカーの挿入は困難であり、高い失敗率を有する。従って、トンネル内に移植片の安定化のために骨トンネルの壁に対して移植片を圧縮するためにより簡単に使用できるインプラントに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、骨トンネル内に移植片を固定できる膝の靱帯再建のためのアンカーシステムを提供する。一実施形態では、アンカーシステムは、近位端から遠位端へと長手方向軸に沿って延在する管状の本体を有するアンカーを含む。円錐形頭部は、管状の本体の遠位端に固定される。複数の拡張可能なセグメントは、管状の本体の中間部分に沿って位置付けられ、セグメントが間隔を空けて半径方向に収縮される配置されていない構成と、セグメントが円錐形頭部に対して圧縮され、半径方向に拡張される配置された構成との間で移動可能である。第一の組のねじ山は、管状の本体の近位端の外側表面上に配置される。駆動部材は、管状の本体の近位端上に位置付けられ得る。駆動部材は、内側表面を画定するように貫通して形成された穴を有してもよく、内側表面の遠位部分は、第一の組のねじ山に対応する第二の組のねじ山を含む。円錐形頭部に向かって駆動部材の前進により、複数のセグメントを配置されていない構成から配置された構成に移動させる。円錐形頭部は、組織移植片を受け入れるように寸法決めされた少なくとも一つのスカラップを含み得る。セグメントは円錐台形であってもよく、半径方向外側に延びる少なくとも一つのスロットを含む。駆動部材の内側表面の近位部分は、内側非円形形状を含み得る。アンカーシステムは、第一の端部および第二の端部を有するハンドルを有する駆動ツールと、ハンドルの第一の端部から駆動部材の内側非円形形状に対応する外側非円形形状を有する自由端まで延在するシャンクとをさらに含み得る。駆動ツールはさらに、シャンクの自由端からハンドルの第二の端部へとシャンクを通って延在する可動シャフトと、可動シャフトをシャンクの自由端に向かって付勢するばねとを含み得る。駆動ツールは、ストライクプレートがハンドルの第二の端部において受け入れられる第一の位置と、ストライクプレートがハンドルの第二の端部から延びている第二の位置との間の移動のために可動シャフトに結合されたストライクプレートをさらに含み得る。シャンクの自由端を駆動部材に挿入すると、駆動部材とともに駆動ツールの管状の本体に沿った第一の方向への前進により、管状の本体は、可動シャフトをばねの付勢に対し反対方向に押すように、管状の本体の近位端を駆動ツールの可動シャフトと位置合わせすることができる。
【0005】
本発明は、移植片を骨トンネル内に固定する方法を追加的に含み得る。この方法の第一のステップは、近位端から遠位端まで長手方向軸に沿って延びる管状の本体と、管状の本体の遠位端に固定された円錐形頭部と、管状の本体の中間部分に沿って位置付けられた複数の拡張可能なセグメントと、骨トンネルへの管状の本体の近位端の外側表面に位置付けられた第一の組のねじ山とを含むアンカーを提供することである。方法の次のステップは、移植片を円錐形頭部および複数のセグメントに沿って置くように、移植片をアンカーに沿って配置することを含む。方法の次のステップは、アンカーを移植片とともに骨トンネルに配置することを含む。方法の次のステップは、複数のセグメントが骨トンネルに対して半径方向に拡張するように、管状の本体に沿って駆動部材を前進させ、円錐形頭部に対して複数のセグメントを圧縮するために、管状の本体の周りの第一の組のねじ山に対応する第二の組のねじ山を有する駆動部材を回転させることを含む。駆動部材を回転させるステップは、非円形の外側形状を有する駆動ツールのシャンクを、対応する非円形の内側形状を有する駆動部材の遠位開口部に挿入し、駆動ツールを回転させて、それに応じて駆動部材を回転させることを含み得る。駆動ツールは、管状の本体の近位端に当接する可動シャフトを持ってもよく、駆動ツールが、駆動部材を前進させて、ストライクプレートがハンドルから外に延びるとき、シャフトに対して移動する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解され、認識される。
【0007】
【
図1】
図1は、膝の靱帯再建中に骨トンネルに挿入された本発明によるアンカーの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明による固定シャフトおよび頭部の側面図である。
【
図3】
図3は、本発明によるアンカーシャフトおよび頭部の正面端面図である。
【
図4】
図4は、本発明によるアンカーの側面図である。
【
図5】
図5は、本発明によるアンカーの正面端面図である。
【
図6】
図6は、本発明による駆動部材の断面図である。
【
図7】
図7は、本発明による駆動部材の正面端面図である。
【
図8】
図8は、本発明による駆動部材の側面図である。
【
図9】
図9は、膝の靱帯再建用の骨トンネル内に位置付けられた本発明によるアンカーの断面図である。
【
図10】
図10は、配置前の本発明によるアンカーの断面図である。
【
図11】
図11は、配置後の本発明によるアンカーの断面図である。
【
図12】
図12は、配置前の本発明によるアンカーの側面図である。
【
図13】
図13は、配置後の本発明によるアンカーの側面図である。
【
図14】
図14は、本発明によるアンカー用のドライバの断面図である。
【
図15】
図15は、本発明によるアンカー用のドライバの端部の断面図である。
【
図16】
図16は、本発明によるアンカー用のハンドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図を参照して、図中、同様の数字は同様の部分を指し、膝の手術中に骨トンネル内に挿入し、次いで骨トンネル内に移植片を保持するために配置するための、本発明による拡張アンカー10が、
図1に見られる。
図2および3を参照すると、アンカー10は、管状である本体14の第一の端部に一般的に円錐固定された頭部12を含む。本体14は、外科手術の作業中に、アンカー10の配置を補助するために使用されるガイドワイヤーまたはガイドピンを受け入れるために、貫通穴16を有し、カニューレが通される。
図3に示すように、頭部12は、移植片のリムを収容できる一つまたは複数のスカラップ18を含み得る。本体14の第二の端部は、外側ねじ山24を含む。
【0009】
図4を参照すると、一般的に円錐台形である一連のセグメント20は、本体14に沿って摺動して位置付けられ、セグメント20のテーパーが頭部12から反対側の本体14の第二の端部に向かって外向きに拡大するように、配向される。セグメント20は、セグメント20が、管状の本体14に沿って間隔を空けられ、より小さい外径を有する配置されていない位置と、セグメント20が頭部12に向かって、本体14と一緒に圧縮されて、セグメント20の半径方向の拡張を引き起こし、セグメント20の半径方向の直径を増加させる配置された位置との間を移動できる。
図5に示すように、セグメント20は、頭部12に対して圧縮された時に、半径方向の拡張を促進するために、一連の半径方向延長スロット22を含み得る。他の形状も可能であるが、セグメント20は、配置された位置にあるとき、セグメント20が、骨トンネル内にアンカー10を固定し、骨トンネル内にアンカー10の長さに沿って位置付けられた移植片を固定するように、十分に拡張できなければならない。
【0010】
図6~
図8を参照すると、アンカー10は、第一の空洞34を有する第一の端部32を有する駆動部材30をさらに含む。第一の空洞34は、本体14の外側ねじ山24に対応する一組の内側ねじ山36を画定する第一の内径を有する。本明細書に記載のとおり、駆動部材30はさらに、対応する形状の工具に連結して回転するために、六角形などの所定の非円形形状を有する内側表面42を画定するように中に形成された第二の空洞40を有する第二の端部38を含む。第二の空洞40は、第一の空洞34に延び、繋がる第二の空洞40よりも小さい内径を有する通路44を含む。肩部48は、通路44と第二の空洞40との間の内側寸法の差異によって形成される。駆動部材30はさらに、周りに延びる一連の外部リブ46を含み得る。駆動部材30は、本体14上に位置付けられ、配置のために
図9に見られるように骨トンネル50に挿入され得る。
図10~
図13を参照し、駆動部材30が第二の空洞40とインターフェースされたツールによって回転される場合、駆動部材30は、
図10および12に示すように、第一の配置されない位置から、
図11および13に示すように、第二の配置された位置に、本体14上を前進する。ここで、セグメント20が、セグメント20の外側部分が、骨トンネル50の内部と係合するように半径方向に拡張され、アンカー10およびそれに関連する任意の移植片をしっかりと適所にロックするように、頭部12に対して長手方向に圧縮される。
【0011】
図14~
図16を参照すると、本発明は、アンカー10の挿入および配置を助けるように構成されたドライバ100をさらに含み得る。ドライバ100は、ハンドル102と、駆動部材30の第二の空洞40の内側表面42に対応する所定の外側形状を有する第一の端部106で終端するシャンク104とを含む。ドライバ100はさらに、シャンク104の内部に位置付けられ、駆動部材30の通路44内で本体14と当接して駆動部材30内に延在するよう寸法決めされた、移動可能な深さシャフト108を含む。深さシャフト108は、ハンドル102内に取り付けられたばね112によって第一の端部106に向かって付勢される。深さシャフト108は、ハンドル102を通って延び、シャンク104からハンドル102の反対側の端に取り付けられたストライクプレート110と係合する。ストライクプレート110は、ストライクプレート110がハンドル102と同一平面にある第一の位置と、ストライクプレート110が、ハンドルから延びており、深さシャフト108の移動量の視覚的表示を提供する第二の位置との間に移動可能である。
【0012】
駆動部材30が本体14上に位置付けられた時に、第一の端部106が駆動部材30の第二の空洞40内に位置するように、ドライバ100が位置付けられるとき、深さシャフト108は通路44内の本体14に当接して延びることが認識されるべきである。駆動部材30が回転して駆動部材30を本体14上に前進させると、ドライバ100の第一の端部106が駆動部材30の第二の空洞40内に維持される場合、アンカー10の本体14は通路44を通って伸び始め、シャフト108に対して長手方向の力を提供する。本体14によって第一の端部106内のシャフト108に長手方向にかけられた力は、ばね112を圧縮し、従ってストライクプレート110がハンドル102から延びる。結果として、ストライクプレート110のハンドル102からの移動量は、第一の端部106が深さシャフト108に対してどれだけ移動したか、従って駆動部材30がアンカー10の本体14に沿ってどれだけ前進したかを示すことができる。従って、識別マークをストライクプレート110上に配置して、アンカー10が、アンカー10に沿ってスカラップ18を通って延びる移植片とともに骨トンネル内の所定の位置に固定されるように、アンカーへの駆動部材30の配置が完了したときを識別することができる。