(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】外科手術中の追跡中断を低減するナビゲーションシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20220111BHJP
A61B 34/00 20160101ALI20220111BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020133117
(22)【出願日】2020-08-05
(62)【分割の表示】P 2017541250の分割
【原出願日】2016-02-24
【審査請求日】2020-08-06
(32)【優先日】2015-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507280594
【氏名又は名称】マコ サージカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】モクテスマ・デ・ラ・バレラ,ホセ・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】マラコウスキー,ドナルド・ダブリュー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0276943(US,A1)
【文献】特表2009-542362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0039681(US,A1)
【文献】特表2009-537230(JP,A)
【文献】特開2004-223128(JP,A)
【文献】特開2006-244046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 34/00
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
追跡の中断を減らすナビゲーションシステムであって、
視野を有するローカライザと、
前記ローカライザが追跡デバイスから信号を受信して、前記視野内にある該追跡デバイスを検出することができるように、前記ローカライザの前記視野内に位置する追跡デバイスであって、該追跡デバイスに関連付けられた仮想物体を有する追跡デバイスと、
前記ローカライザの前記視野に基づいて仮想視野境界を生成する仮想境界生成器と、
前記仮想視野境界に対する前記仮想物体の動きを評価して、前記仮想物体と前記仮想視野境界との間の衝突を検出し、前記追跡デバイスが前記ローカライザの前記視野の外側に動くのを防ぐ応答を可能にする衝突検出器と
を含んでなる、ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーションシステムは、前記衝突の検出に応答してフィードバックを生成するように構成され、該フィードバックの生成は、
可聴フィードバック、視覚フィードバック、振動フィードバック又は触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを生成することと、
物理的物体を振動させることと
のうちの1つ以上のものを含む、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記ナビゲーションシステムは前記衝突の検出に応答してフィードバックを生成するように構成され、前記ナビゲーションシステムは物理的物体の動きを制御する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーションシステムは、前記物理的物体の動きを制御するように構成されており、触覚デバイスでツールの動きを制約する、請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記ナビゲーションシステムは、前記触覚デバイスを再位置決めする命令を生成する、請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記ナビゲーションシステムは、前記衝突の検出に応答してフィードバックを生成するように構成され、前記フィードバックの生成は、患者の解剖学的組織を再位置決めする、及び/又はローカライザを再位置決めする、ユーザへの命令を生成することを含む、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記衝突の検出は、前記衝突の予測として更に定義される、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記ナビゲーションシステムは、前記ローカライザの前記視野内での前記追跡デバイスの検出において、前記ローカライザの1つ以上の光センサを用いて前記追跡デバイスの1つ以上のマーカからの光を感知する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記物理的物体は、ツール又は人物の少なくとも一部分である、請求項2又は3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
追跡デバイスとナビゲーションシステムのローカライザとの間の追跡中断を低減する方法であって、前記ナビゲーションシステムは仮想境界生成器及び衝突検出器を含んでおり、
前記ローカライザが、前記ローカライザの視野内で前記追跡デバイスを検出するステップと、
前記仮想境界生成器
が、前記ローカライザの前記視野に基づいて仮想視野境界を生成するステップと、
前記ナビゲーションシステムが、仮想物体を前記追跡デバイスに関連付けるステップと、
前記衝突検出器
が、前記仮想視野境界に対する前記仮想物体の動きを追跡するステップと、
前記衝突検出器が、前記仮想物体と前記仮想視野境界との間の衝突を
追跡中に検出し、前記追跡デバイスが前記ローカライザの前記視野の外側に動くのを防ぐ応答を可能にするステップと
を含んでなる方法。
【請求項11】
前記ナビゲーションシステムのフィードバック生成器が前記衝突の検出に応答してフィードバックを生成するステップを含み、該フィードバックを生成するステップは、
前記フィードバック生成器が、可聴フィードバック、視覚フィードバック、振動フィードバック又は触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを生成することと、
前記フィードバック生成器が物理的物体を振動させることと
のうちの1つ以上のものを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ナビゲーションシステムが前記衝突の検出に応答してフィードバックを生成するステップを含み、該フィードバックを生成するステップは、
前記ナビゲーションシステムが物理的物体の動きを制御することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記物理的物体の動きを制御することは、
前記ナビゲーションシステムが触覚デバイスでツールの動きを制約することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナビゲーションシステムのフィードバック生成器が前記触覚デバイスを再位置決めする命令を生成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ナビゲーションシステムのフィードバック生成器が前記衝突の検出に応答してフィードバックを生成するステップを含み、該フィードバックを生成するステップは、
前記フィードバック生成器が、患者の解剖学的組織の再位置決めする、及び/又はローカライザを再位置決めする、ユーザへの命令を生成することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記衝突を検出することは、
前記衝突検出器が前記衝突を予測することとして更に定義される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ローカライザの前記視野内で前記追跡デバイスを検出するステップは、
前記ローカライザが、前記ローカライザの1つ以上の光センサを用いて前記追跡デバイスの1つ以上のマーカからの光を感知することを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、外科手術中に追跡中断を低減するナビゲーションシステム及び
ナビゲーション方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、その内容全体を引用することにより本明細書の一部をなすものとする201
5年2月25日に出願された米国仮特許出願第62/120,585号の優先権及び利益
を主張する。
【背景技術】
【0003】
ナビゲーションシステムは、ユーザが物体の位置を突き止めることを支援する。例えば
、ナビゲーションシステムは、産業、航空宇宙、及び医療の用途において用いられる。医
療の分野では、ナビゲーションシステムは、外科医が患者の解剖学的組織を基準として外
科用ツールを配置することを支援する。ナビゲーションシステムが使用される外科処置は
、神経外科的処置及び整形外科的処置を含む。通常、ツール及び解剖学的組織は、ディス
プレイ上に示されるそれらの相対的な動きとともに追跡される。
【0004】
ナビゲーションシステムは、物体の位置及び/又は向きを追跡するために、光信号、音
波、磁場、無線周波数信号等を利用することができる。多くの場合、ナビゲーションシス
テムは、追跡されている物体に取り付けられたデバイスを追跡することを含む。ローカラ
イザは、追跡デバイス上の追跡要素と協働して、追跡デバイスの位置を求め、最終的に、
物体の位置及び/又は向きを求める。ナビゲーションシステムは、追跡デバイスを介して
物体の移動を監視する。
【0005】
多くのナビゲーションシステムは、追跡要素と、追跡要素からの追跡信号を受信するロ
ーカライザのセンサとの間の遮断のない視線に依拠する。これらのナビゲーションシステ
ムは、ローカライザの視野内に位置決めされた追跡要素にも依拠する。結果として、追跡
要素とセンサとの間の視線を遮断する尤度を低減し、追跡要素をローカライザの視野内に
維持するための取り組みが行われてきた。例えば、いくつかのナビゲーションシステムで
は、ナビゲーションシステムの初期セットアップ中に、ディスプレイが、ローカライザの
視野を図式的に表示し、追跡要素が視線に対する遮断のない視野内に配置されるように追
跡デバイスの初期配置を誘導する。一方、そのようなナビゲーションシステムは、例えば
、初期セットアップ後及び患者の治療中に視線内に物体を移動させた結果として外科手術
中に生じる場合がある視線に対する遮断を阻止することも、追跡要素が視野の外側に動く
ことを阻止することもできない。
【0006】
視線が遮断されているとき、又は追跡要素が視野外にあるとき、追跡要素から送信され
ている追跡信号は、ローカライザによって受信されない。結果として、エラーが生じる可
能性がある。通常、この状況において、ナビゲーションは中断され、追跡信号が再び受信
されるか又はナビゲーションシステムがリセットされるまで、エラーメッセージがユーザ
に伝達される。これによって、外科手術の遅延が生じる可能性がある。例えば、ナビゲー
ションデータに依拠して患者の組織に対し切断用ツールを自律的に位置決めするマニピュ
レータは、これらのエラーが生じた場合に、動作を止めなくてはならない。これは、特に
、視線の復元に困難が生じる場合に、外科手術の時間を大幅に増大させる可能性がある。
これは、感染のリスク及び麻酔の使用が長引くことに関連付けられたリスクを低減するた
めに手術時間の低減を要する、最新の医療行為の要求に反する。
【0007】
このため、外科手術が妨げられないように、追跡デバイスと、追跡デバイスから信号を
受信するローカライザとの間の追跡中断を低減するナビゲーションシステム及び方法が当
該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
1つの実施形態において、物体によって生じる追跡中断を低減するナビゲーションシス
テムが提供される。ナビゲーションシステムは、視野を有するローカライザを備える。追
跡デバイスは、ローカライザの視野内に配置され、ローカライザとの視線関係を確立する
。仮想境界生成器は、追跡デバイスとローカライザとの間の視線関係に基づいて仮想視線
境界を生成する。また、仮想境界生成器は、外科手術中の追跡デバイスとローカライザと
の間の相対的な動きを計上するように仮想視線境界を更新する。物体は、仮想空間におい
て仮想物体として定義される。衝突検出器は、仮想視線境界に対する仮想物体の動きを評
価して、仮想物体と仮想視線境界との間の衝突を検出し、物体が追跡デバイスとローカラ
イザとの間で視線を遮断することを防ぐ、検出に対する応答を可能にする。
【0009】
追跡デバイスと、ナビゲーションシステムのローカライザとの間の追跡中断を低減する
方法も提供される。本方法は、ローカライザの視野内の追跡デバイスを検出することを含
む。追跡デバイスとローカライザとの間の視線関係に基づいて仮想視線境界が生成される
。仮想視線境界は、追跡デバイスとローカライザとの間の相対的な動きを計上するように
更新される。ローカライザの視野において、仮想物体が物体に関連付けられる。仮想物体
と仮想視線境界との間の相対的な動きの評価に基づいて、仮想物体と仮想視線境界との間
の衝突が検出され、物体が追跡デバイスとローカライザとの間で視線を遮断することを防
ぐ、検出に対する応答を可能にする。
【0010】
追跡中断を低減するための別のナビゲーションシステムが提供される。本システムは、
視野を有するローカライザを備える。追跡デバイスが視野内に配置され、ローカライザが
追跡デバイスからの信号を受信することができるようにする。仮想物体が追跡デバイスに
関連付けられる。仮想境界生成器が、ローカライザの視野に基づいて仮想視野境界を生成
する。衝突検出器が、仮想視野境界に対する仮想物体の動きを評価して、仮想物体と仮想
視線境界との間の衝突を検出し、追跡デバイスがローカライザの視野の外側に動くことを
防ぐ、衝突に対する応答を可能にする。
【0011】
追跡デバイスと、ナビゲーションシステムのローカライザとの間の追跡中断を低減する
別の方法も提供される。本方法は、ローカライザの視野内の追跡デバイスを検出すること
を含む。ローカライザの視野に基づいて仮想視野境界が生成される。仮想物体が追跡デバ
イスに関連付けられる。仮想物体と仮想視野境界との間の衝突を検出し、追跡デバイスが
ローカライザの視野の外側に動くことを防ぐ、衝突に対する応答を可能にするために、仮
想視野境界に対する仮想物体の動きが追跡される。
【0012】
これらのナビゲーションシステム及び方法の1つの利点は、追跡デバイスと、追跡デバ
イスから信号を受信するローカライザとの間の追跡中断を低減し、外科手術に対する中断
を回避することができるようにすることである。そのような中断は、追跡デバイスとロー
カライザとの間の視線に干渉する物体によって、又はローカライザの視野の外側に動く追
跡デバイスによって生じる可能性がある。
【0013】
添付図面とともに考慮したときに、以下の詳細な説明を参照することにより本発明がよ
り良く理解されると、本発明の利点は容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ワークピースから材料を除去するのに用いられる材料除去システムの斜視図である。
【
図3】材料除去システムにおいて用いられる座標系の概略図である。
【
図4】関節モータコントローラ及びセンサの概略図である。
【
図5】ローカライザ座標系内の仮想物体を示す図である。
【
図6】ローカライザの視野及び視野内に配置されたトラッカの上面図及び側面図である。
【
図7】トラッカとローカライザとの間の仮想視線境界を示す図である。
【
図8】仮想物体と仮想視線境界との間の衝突を示すディスプレイのスクリーンショットである。
【
図9】視線遮断を回避するためのユーザに対する命令を示すディスプレイのスクリーンショットである。
【
図10】仮想視線境界を横切る仮想物体と、衝突を回避するか又は衝突に反発するために生成される関連付けられたフィードバック力とを示す図である。
【
図11】視野の外側にトラッカが動くのを回避するためのユーザに対する命令を示すディスプレイのスクリーンショットである。
【
図12】1つの方法において実行されるステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、ワークピースから材料を除去するための材料除去システム10が示
されている。材料除去システム10は、医療施設の手術室等の手術設定で示されている。
示される実施形態では、材料除去システム10は、機械加工ステーション12及びナビゲ
ーションシステム20を含む。ナビゲーションシステム20は、手術室内の様々な物体の
移動を追跡するようにセットアップされる。そのような物体は、例えば、外科用ツール2
2、患者の大腿骨F及び患者の脛骨Tを含む。ナビゲーションシステム20は、外科医に
対するこれらの物体の相対位置及び向きを表示する目的で、及び場合によっては、大腿骨
F及び脛骨Tに関連付けられた仮想切断境界(図示せず)に対する外科用ツール22の動
きを制御又は制約する目的で、これらの物体を追跡する。
【0016】
ナビゲーションシステム20は、ナビゲーションコンピュータ26を収容するコンピュ
ータカートアセンブリ24を備える。ナビゲーションインタフェースが、ナビゲーション
コンピュータ26と操作上の通信を行う。このナビゲーションインタフェースは、滅菌野
の外部に位置するように構成された第1のディスプレイ28と、滅菌野の内部に位置する
ように構成された第2のディスプレイ29とを備える。ディスプレイ28、29は、コン
ピュータカートアセンブリ24に調整可能に取り付けられている。キーボード及びマウス
等の第1の入力デバイス30及び第2の入力デバイス32は、情報をナビゲーションコン
ピュータ26に入力するのに用いることもできるし、ナビゲーションコンピュータ26の
いくつかの態様を別の方法で選択/制御するのに用いることができる。タッチスクリーン
(図示せず)又は音声駆動を含む他の入力デバイスも考えられる。
【0017】
ローカライザ34は、ナビゲーションコンピュータ26と通信する。図示した実施形態
では、ローカライザ34は、光学式ローカライザであり、カメラユニット36を備える。
カメラユニット36は、1つ以上の光位置センサ40を収容する外部ケーシング38を有
する。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの光センサ40、好ましくは3つ又は4
つ(3つが図示されている)の光センサが用いられる。これらの光センサ40は、別々の
電荷結合素子(CCD)であってもよい。1つの実施形態では、3つの1次元CCDが用
いられる。他の実施形態では、それぞれが別々のCCD又は2つ以上のCCDを有する別
々のカメラユニットを手術室の周辺に準備することもできることが認識されるべきである
。CCDは、赤外線(IR)信号を検出する。
【0018】
カメラユニット36は、調整可能なアーム上に取り付けられて、理想的には障害物がな
い、以下で論じるトラッカの視野を有する光センサ40を位置決めする。いくつかの実施
形態では、カメラユニット36は、回転関節の周りを回転することによって少なくとも1
自由度で調整可能である。他の実施形態では、カメラユニット36は、約2以上の自由度
で調整可能である。
【0019】
カメラユニット36は、光センサ40と通信して光センサ40から信号を受信するカメ
ラコントローラ42を備える。カメラコントローラ42は、有線接続又は無線接続(図示
せず)のいずれかを通じてナビゲーションコンピュータ26と通信する。1つのそのよう
な接続は、高速通信及び等時性リアルタイムデータ転送のためのシリアルバスインタフェ
ース規格であるIEEE1394インタフェースとすることができる。接続は、企業固有
のプロトコルを用いることもできる。他の実施形態では、光センサ40は、ナビゲーショ
ンコンピュータ26と直接通信する。
【0020】
位置及び向きの信号及び/又はデータは、物体を追跡する目的でナビゲーションコンピ
ュータ26に送信される。コンピュータカートアセンブリ24、ディスプレイ28、及び
カメラユニット36は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Malackow
ski他に対する「Surgery System」と題する、2010年5月25日に発行された米国特
許第7,725,162号明細書に記載されたものと同様のものであってもよい。
【0021】
ナビゲーションコンピュータ26は、パーソナルコンピュータ又はラップトップコンピ
ュータであってもよい。ナビゲーションコンピュータ26は、ディスプレイ28、中央処
理ユニット(CPU)及び/又は他のプロセッサ、メモリ(図示せず)、並びに記憶装置
(図示せず)を有する。ナビゲーションコンピュータ26には、以下で説明するようなソ
フトウェアがロードされる。このソフトウェアは、カメラユニット36から受信された信
号を、追跡されている物体の位置及び向きを表すデータに変換する。
【0022】
ナビゲーションシステム20は、本明細書においてトラッカとも呼ばれる複数の追跡デ
バイス44、46、48とともに動作可能である。図示した実施形態では、1つのトラッ
カ44は、患者の大腿骨Fに堅固に取り付けられ、別のトラッカ46は、患者の脛骨Tに
堅固に取り付けられている。トラッカ44、46は、骨部分に堅固に取り付けられている
。トラッカ44、46は、米国特許第7,725,162号明細書に示された方法で大腿
骨F及び脛骨Tに取り付けることができる。この米国特許は、引用することによって本明
細書の一部をなすものとする。トラッカ44、46はまた、引用することにより本明細書
の一部をなすものとする、「Navigation Systems and Methods for Indicating and Redu
cing Line-of-Sight Errors」と題する、2014年1月16日に出願された米国仮特許
出願第14/156,856号に示すトラッカと同様に取り付けることができる。更なる
実施形態では、トラッカ(図示せず)が、膝蓋骨に取り付けられて、当該膝蓋骨の位置及
び向きを追跡する。更なる実施形態では、トラッカ44、46は、解剖学的組織の他の組
織タイプ又は組織部分に取り付けることができる。
【0023】
ツールトラッカ48は、外科用ツール22に堅固に取り付けられている。ツールトラッ
カ48は、製造中に外科用ツール22内に統合することもできるし、外科手術の準備の際
に外科用ツール22に別個に取り付けることもできる。ツールトラッカ48によって追跡
される外科用ツール22の作業端は、回転バー、電気アブレーションデバイス、又は同様
なものとすることができる。
【0024】
トラッカ44、46、48は、内部バッテリを用いたバッテリ駆動式とすることもでき
るし、カメラユニット36のように好ましくは外部電力を受け取るナビゲーションコンピ
ュータ26を通して電力を受け取るリード線を有することもできる。
【0025】
示される実施形態において、外科用ツール22は、機械加工ステーション12のマニピ
ュレータ56に取り付けられる。そのような構成は、その開示が引用することにより本明
細書の一部をなすものとする、「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surg
ical Instrument in Multiple Modes」と題する米国特許第9,119,655号明細書
に示されている。
【0026】
図2を参照すると、ローカライザ34の光センサ40は、トラッカ44、46、48か
ら光信号を受信する。図示した実施形態では、トラッカ44、46、48は、アクティブ
トラッカである。この実施形態では、各トラッカ44、46、48は、光信号を光センサ
40に送信する少なくとも3つのアクティブ追跡要素又はマーカを有する。アクティブマ
ーカは、例えば、赤外線等の光を送達する発光ダイオード、すなわちLED50であって
もよい。光センサ40は、好ましくは100Hz以上、より好ましくは300Hz以上、
最も好ましくは500Hz以上のサンプリングレートを有する。いくつかの実施形態では
、光センサ40は、8000Hzのサンプリングレートを有する。このサンプリングレー
トは、光センサ40が、順次点灯されたLED50から光信号を受信するレートである。
いくつかの実施形態では、LED50からの光信号は、トラッカ44、46、48ごとに
異なるレートで点灯される。
【0027】
LED50のそれぞれは、関連付けられたトラッカ44、46、48のハウジング内に
位置するトラッカコントローラ(図示せず)に接続されている。このトラッカコントロー
ラは、ナビゲーションコンピュータ26に対してデータを送受信する。1つの実施形態で
は、トラッカコントローラは、ナビゲーションコンピュータ26との有線接続を通じてほ
ぼ数メガバイト/秒程度でデータを送信する。他の実施形態では、無線接続を用いること
ができる。これらの実施形態では、ナビゲーションコンピュータ26は、トラッカコント
ローラからデータを受信する送受信機(図示せず)を有する。
【0028】
他の実施形態では、トラッカ44、46、48は、カメラユニット36から放出された
光を反射する反射器等のパッシブマーカ(図示せず)を有することができる。そして、反
射光は、光センサ40によって受信される。アクティブ構成及びパッシブ構成は、当該技
術分野においてよく知られている。
【0029】
いくつかの実施形態では、トラッカ44、46、48は、引用することにより本明細書
の一部をなすものとする、「Navigation System Including Optical and Non-Optical Se
nsors」と題する、2013年9月24日に出願された米国特許第9,008,757号
明細書に示されるトラッカ等のジャイロスコープセンサ及び加速度計も含む。
【0030】
ナビゲーションコンピュータ26は、ナビゲーションプロセッサ52を含む。ナビゲー
ションプロセッサ52は、ナビゲーションコンピュータ26の動作を制御する1つ以上の
プロセッサを含みうることが理解されるべきである。プロセッサは、任意のタイプのマイ
クロプロセッサ又はマルチプロセッサシステムとすることができる。プロセッサという用
語は、任意の実施形態の範囲を単一のプロセッサに制限することを意図したものではない
。
【0031】
カメラユニット36は、トラッカ44、46、48のLED50から光信号を受信し、
ローカライザ34を基準としたトラッカ44、46、48のLED50の位置に関する信
号をプロセッサ52に出力する。受信した光信号(及びいくつかの実施形態では非光信号
)に基づいて、ナビゲーションプロセッサ52は、ローカライザ34を基準としたトラッ
カ44、46、48の相対的な位置及び向きを示すデータを生成する。1つの変形形態に
おいて、ナビゲーションプロセッサ52は、位置データを決定するために既知の三角測量
方法を使用する。
【0032】
外科手術の開始前に、追加のデータがナビゲーションプロセッサ52にロードされる。
トラッカ44、46、48の位置及び向き、並びに以前にロードされたデータに基づいて
、ナビゲーションプロセッサ52は、外科用ツール22の作業端の位置(例えば、外科用
バーの重心)を求め、作業端が接触する組織に対する外科用ツール22の方向を求める。
いくつかの実施形態では、ナビゲーションプロセッサ52はこれらのデータをマニピュレ
ータコントローラ54に転送する。そして、その開示が引用することにより本明細書の一
部をなすものとする、「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Ins
trument in Multiple Modes」と題する米国特許第9,119,655号明細書に記載さ
れているように、マニピュレータコントローラ54は、データを用いてマニピュレータ5
6を制御することができる。
【0033】
1つの実施形態において、マニピュレータ56は、外科医(図示せず)によって設定さ
れた、手術前に画定された仮想境界内に留まるように制御される。この境界は、外科用ツ
ール22によって除去される大腿骨F及び脛骨Tの材料を画定する。より詳細には、大腿
骨F及び脛骨Tの各々が、外科用ツール22の作業端によって除去される材料の標的ボリ
ュームを有する。標的ボリュームは、1つ以上の仮想切断境界によって画定される。仮想
切断境界は、手術後に残るべき骨の表面を画定する。その開示が引用することにより本明
細書の一部をなすものとする、「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surg
ical Instrument in Multiple Modes」と題する米国特許第9,119,655号明細書
に開示されているように、ナビゲーションシステム20は、外科用ツール22を追跡及び
制御し、作業端、例えば外科用バーが、材料の標的ボリュームのみを除去し、仮想切断境
界を越えて延びないことを確実にする。
【0034】
仮想切断境界は、大腿骨F及び脛骨Tの仮想モデル内で画定することができ、メッシュ
表面、空間領域構成法(CSG)、ボクセルとして、又は他の境界表現技法を用いて表す
ことができる。外科用ツール22は、大腿骨F及び脛骨Tから材料を切り離し、インプラ
ントを受け取る。その開示が引用することにより本明細書の一部をなすものとする、「Pr
osthetic Implant and Method of Implantation」と題する米国特許出願第13/530
,927号に示されているように、外科的インプラントは、単顆人工膝関節インプラント
、両顆人工膝関節インプラント又は全人工膝関節インプラントを含みうる。
【0035】
ナビゲーションプロセッサ52は、組織に対する作業端の相対的な位置を示す画像信号
も生成する。これらの画像信号は、ディスプレイ28、29に印加される。ディスプレイ
28、29は、これらの信号に基づいて画像を生成する。これらの画像によって、外科医
及びスタッフは、手術部位に対する作業端の相対的な位置を視認することが可能になる。
ディスプレイ28、29は、上記で論述したように、コマンドのエントリを可能にするタ
ッチスクリーン又は他の入力/出力デバイスを含みうる。
【0036】
図3を参照すると、物体の追跡は、一般に、ローカライザ座標系LCLZを基準として
行われる。ローカライザ座標系は、原点及び向き(x軸、y軸、及びz軸のセット)を有
する。手術中、1つの目標は、ローカライザ座標系LCLZを既知の位置に保つことであ
る。ローカライザ34に取り付けられた加速度計(図示せず)は、ローカライザ34が手
術要員によって不注意でぶつけられたときに起こり得るようなローカライザ座標系LCL
Zの突然の運動又は予期しない運動を追跡するのに用いることができる。
【0037】
各トラッカ44、46、48及び追跡されている物体も、ローカライザ座標系LCLZ
と別個のそれ自体の座標系を有する。それら自体の座標系を有するナビゲーションシステ
ム20のコンポーネントは、骨トラッカ44、46及びツールトラッカ48である。これ
らの座標系は、それぞれ、骨トラッカ座標系BTRK1、BTRK2、及びツールトラッ
カ座標系TLTRとして表される。
【0038】
ナビゲーションシステム20は、骨に堅固に取り付けられた骨トラッカ44、46の位
置を監視することによって患者の大腿骨F及び脛骨Tの位置を監視する。大腿骨座標系は
FBONEであり、脛骨座標系はTBONEであり、これらの座標系は、骨トラッカ44
、46が堅固に取り付けられている骨の座標系である。
【0039】
手術の開始前に、大腿骨F及び脛骨Tの術前画像(又は他の実施形態では他の組織の術
前画像)が生成される。これらの画像は、患者の解剖学的組織のMRIスキャン、放射線
スキャン、又はコンピュータ断層撮影(CT)スキャンに基づくことができる。これらの
画像は、当該技術分野においてよく知られている方法を用いて大腿骨座標系FBONE及
び脛骨座標系TBONEにマッピングされる。これらの画像は、大腿骨座標系FBONE
及び脛骨座標系TBONEにおいて固定される。手術前の画像を撮ることの代替として、
運動学的研究、骨追跡及び他の方法から、手術室(OR)内で治療平面を展開することが
できる。
【0040】
手術の初期フェーズの間、骨トラッカ44、46が、患者の骨に堅固に取り付けられる
。座標系FBONE及びTBONEの姿勢(位置及び向き)が、それぞれ座標系BTRK
1及びBTRK2にマッピングされる。1つの実施形態において、引用することにより本
明細書の一部をなすものとする、Malackowski他に対する米国特許第7,725,162
号明細書に開示されているような、独自のトラッカPT(
図1を参照)を有するポインタ
器具P(
図1を参照)を用いて、大腿骨座標系FBONE及び脛骨座標系TBONEを、
それぞれ骨トラッカ座標系BTRK1及びBTRK2に登録することができる。骨とそれ
らの骨トラッカ44、46との間の固定関係、大腿骨座標系FBONE及び脛骨座標系T
BONEにおける大腿骨F及び脛骨Tの位置及び向きを、骨トラッカ座標系BTRK1及
びBTRK2に変換し、カメラユニット36が骨トラッカ44、46を追跡することによ
って大腿骨F及び脛骨Tを追跡できるようにすることがある。これらの姿勢記述データは
、マニピュレータコントローラ54及びナビゲーションプロセッサ52の双方と一体のメ
モリに記憶される。
【0041】
外科用ツール22の作業端(エネルギーアプリケータ遠位端とも呼ばれる)は、それ自
体の座標系EAPPを有する。座標系EAPPの原点は、例えば、外科用切断バーの重心
を表すことができる。座標系EAPPの姿勢は、手術が開始する前に、ツールトラッカ座
標系TLTRの姿勢に固定される。したがって、これらの座標系EAPP、TLTRの互
いを基準とした姿勢が決まる。この姿勢記述データが、マニピュレータコントローラ54
及びナビゲーションプロセッサ52の双方と一体のメモリに記憶される。
【0042】
図2を参照すると、ローカライゼーションエンジン100は、ナビゲーションシステム
20の一部とみなすことができるソフトウェアモジュールである。ローカライゼーション
エンジン100のコンポーネントは、ナビゲーションプロセッサ52上で動作する。いく
つかの形態では、ローカライゼーションエンジン100は、マニピュレータコントローラ
54上で動作することができる。
【0043】
ローカライゼーションエンジン100は、カメラコントローラ42からの光ベースの信
号、及びいくつかの実施形態ではトラッカコントローラからの非光ベースの信号を入力と
して受信する。これらの信号に基づいて、ローカライゼーションエンジン100は、ロー
カライザ座標系LCLZにおいて骨トラッカ座標系BTRK1及びBTRK2の姿勢を確
定する。ツールトラッカ48用に受信された同じ信号に基づいて、ローカライゼーション
エンジン100は、ローカライザ座標系LCLZにおけるツールトラッカ座標系TLTR
の姿勢を確定する。
【0044】
ローカライゼーションエンジン100は、トラッカ44、46、48の姿勢を表す信号
を座標変換器102に転送する。座標変換器102は、ナビゲーションプロセッサ52上
で動作するナビゲーションシステムソフトウェアモジュールである。座標変換器102は
、患者の術前画像と骨トラッカ44、46との間の関係を規定するデータを参照する。座
標変換器102は、ツールトラッカ48を基準とした外科用ツール22の作業端の姿勢を
示すデータも記憶する。
【0045】
手術中、座標変換器102は、ローカライザ34に対するトラッカ44、46、48の
相対的な姿勢を示すデータを受信する。これらのデータ及び事前にロードされたデータに
基づいて、座標変換器102は、ローカライザ座標系LCLZに対する座標系EAPPと
骨座標系FBONE及びTBONEとの双方の相対的な位置及び向きを示すデータを生成
する。
【0046】
その結果、座標変換器102は、作業端が接触する組織(例えば、骨)を基準とした外
科用ツール22の作業端の位置及び向きを示すデータを生成する。これらのデータを表す
画像信号は、外科医及びスタッフがこの情報を視認することを可能にするディスプレイ2
8、29に転送される。或る特定の実施形態では、これらのデータを表す他の信号をマニ
ピュレータコントローラ54に転送して、マニピュレータ56及び外科用ツール22の対
応する運動を制御することができる。
【0047】
図1に示す実施形態において、外科用ツール22は、マニピュレータ56のエンドエフ
ェクタの一部を形成する。マニピュレータ56は、基部57、基部57から延びる複数の
連結部58、及び基部57に対し外科用ツール22を動かすための複数の能動関節(符号
を付されていない)を有する。マニピュレータ56は、その開示が引用することにより本
明細書の一部をなすものとする、「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Su
rgical Instrument in Multiple Modes」と題する米国特許第9,119,655号明細
書に記載されているように、手動モードで動作するか、又は所定のツール経路に沿って外
科用ツール22が自律的に動かされる半自律モードで動作する能力を有する。
【0048】
マニピュレータコントローラ54は、その開示が引用することにより本明細書の一部を
なすものとする、「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrum
ent in Multiple Modes」と題する米国特許第9,119,655号明細書に記載されて
いるように、外科用ツール22の位置及び向きデータと、患者の解剖学的組織とを用いて
、マニピュレータ56を制御することができる。
【0049】
マニピュレータコントローラ54は、中央処理装置(CPU)及び/又は他のマニピュ
レータプロセッサ、メモリ(図示せず)及びストレージ(図示せず)を有することがある
。以下で説明するように、マニピュレータコンピュータとも呼ばれるマニピュレータコン
トローラ54にソフトウェアがロードされる。マニピュレータプロセッサは、マニピュレ
ータ56の動作を制御する1つ以上のプロセッサを含みうる。プロセッサは、任意のタイ
プのマイクロプロセッサ又はマルチプロセッサシステムとすることができる。プロセッサ
という用語は、任意の実施形態を単一のプロセッサに限定するように意図されるものでは
ない。
【0050】
図4を参照すると、複数の位置センサ112、114、116がマニピュレータ56の
複数の連結部58に関連付けられる。1つの実施形態において、位置センサ112、11
4、116はエンコーダである。位置センサ112、114、116は、ロータリエンコ
ーダ等の任意の適切なタイプのエンコーダとすることができる。各位置センサ112、1
14、116は、モータM等のアクチュエータと関連付けられる。各位置センサ112、
114、116は、位置センサが関連付けられたマニピュレータ56の3つのモータ駆動
コンポーネントのうちの1つの角度位置を監視するセンサである。マニピュレータ56は
、2つの追加の位置センサ117及び118を含む。位置センサ117及び118は、追
加の駆動連結部に関連付けられる。いくつかの実施形態では、マニピュレータ56は、6
つの能動関節において6つの位置センサを有する2つのアーム構造を含む。1つのそのよ
うな実施形態は、その開示が引用することにより本明細書の一部をなすものとする、「Su
rgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Mode
s」と題する米国特許第9,119,655号明細書に記載されている。
【0051】
マニピュレータ56は、従来のロボットシステム又は他の従来の機械加工装置の形態を
とることができ、このため、その構成要素は詳細に説明されない。
【0052】
マニピュレータコントローラ54は、外科用ツール22が動かされるべき所望のロケー
ションを決定する。この決定、及び外科用ツール22の現在のロケーション(例えば、姿
勢)に関する情報に基づいて、マニピュレータコントローラ54は、現在のロケーション
から所望のロケーションに外科用ツール22を再位置決めするために、複数の連結部58
の各々がどの程度動かされる必要があるかを求める。複数の連結部58がどこに位置決め
されるかに関するデータは関節モータコントローラ119に転送され、関節モータコント
ローラ119は、マニピュレータ56の能動関節を制御して複数の連結部58を動かし、
それによって外科用ツール22を現在のロケーションから所望のロケーションに動かす。
【0053】
外科用ツール22の現在のロケーションを求めるために、位置センサ112、114、
116、117及び118からのデータを用いて、測定された関節角度を求める。当該技
術分野において既知であるように、能動関節の測定された関節角度は、順運動学モジュー
ルに転送される。位置センサ117及び118からの信号も順運動学モジュールに適用さ
れる。これらの信号は、これらのエンコーダと一体の受動関節のために測定された関節角
度である。測定された関節角度及び事前にロードされたデータに基づいて、順運動学モジ
ュールは、マニピュレータ座標系MNPLにおける外科用ツール22の姿勢を求める。事
前にロードされたデータは、複数の連結部58及び関節の形状を定義するデータである。
この情報を用いて、マニピュレータコントローラ54及び/又はナビゲーションプロセッ
サ52は、ローカライザ座標系LCLZからマニピュレータ座標系MNPLに、又はその
逆に、座標を変換することができる。
【0054】
1つの実施形態では、マニピュレータコントローラ54及び関節モータコントローラ1
19は、所望の位置及び/又は向きに外科用ツール22を動かすように動作する位置コン
トローラを集合的に形成する。位置コントローラは位置制御ループにおいて動作する。位
置制御ループは、能動関節ごとに並列又は直列の複数の位置制御ループを含みうる。位置
制御ループは、外科用ツール22の姿勢を示し、方向付けするように、位置及び向きの情
報を処理する。
【0055】
マニピュレータ56の動作中、トラッカ44、46、48とローカライザ34との間の
視線は、所望の位置及び/又は向きに対する外科用ツール22の正確な動きを確実にする
ように維持されるべきである。視線が妨げられるか又は遮断される期間は、視線が戻るか
又はナビゲーションシステム20がリセットされるまで、材料除去システム10がエラー
メッセージを表示し、マニピュレータ56の動作を止めることを必要とする場合がある。
これによって、外科手術における遅延が生じる可能性がある。これは、特に、視線の復元
に困難が生じる場合に、外科手術の時間を大幅に増大させる可能性がある。
【0056】
ナビゲーションコンピュータ26は、他の光センサ40が依然として信号を受信してい
る場合であっても、光センサ40のうちの任意の1つがLED50からの信号の受信に失
敗する場合、エラーがあると判断する。他の実施形態において、ナビゲーションコンピュ
ータ26は、光センサ40のいずれも信号を受信しない場合、エラーがあると判断する。
いずれの場合にも、1つ以上の光センサ40が1つ以上のLED50から信号を受信する
ことに失敗したことに基づいて、ナビゲーションシステム20が、エラーが存在すると判
断するとき、ナビゲーションコンピュータ26によってエラー信号が生成される。そして
、エラーメッセージが、ディスプレイ28、29上に現れる。ナビゲーションコンピュー
タ26は、エラー信号をトラッカコントローラにも送信する。
【0057】
いくつかの実施形態では、トラッカ44は、LED50のうちの1つからの追跡信号が
遮断される場合に、残りのLED50を用いて位置データ及び向きデータを依然として得
ることができるように、4つ以上の追跡LED50を含みうる。この例において、任意の
エラー信号が生成される前に、ナビゲーションコンピュータ26は、最初に完全な追跡サ
イクルを通しで実行する。完全な追跡サイクルは、トラッカ44上の全てのLED50を
順次アクティベートして、光センサ40が追跡サイクル内のLED50のうちの少なくと
も3つから追跡信号を受信するか否かを判断することを含む。そして、光センサ40(又
は、いくつかの実施形態における全ての光センサ40)が追跡サイクルにおいて少なくと
も3つのLED50から追跡信号を受信しなかった場合、エラー信号が生成され、エラー
メッセージが表示される。以下で更に説明される実施形態のうちのいくつかにおいて、ナ
ビゲーションシステム20は、そのようなエラーメッセージを回避するように視線遮断の
可能性を低減する。
【0058】
視線遮断は、トラッカ44、46、48のLED50からローカライザ34の光センサ
40に送信される光信号を遮断する。ナビゲーションシステム20は、そのような視線の
遮断を生じ得る物体を追跡し、物体のうちのいずれかが追跡デバイス44、46、48の
うちの1つとローカライザ34との間で視線を妨げるか又は遮断するリスクを課す場合、
ユーザにフィードバックを生成することによって、手術中、すなわち外科手術中にこれら
の視線遮断を低減する。
【0059】
視線遮断を生じる可能性がある物体は、外科手術中にローカライザ34の視線内に存在
する場合がある任意の物理的物体を含む。そのような物理的物体の例は、トラッカ44、
46、48の各々又はそれらの一部分に関連付けられた構造を含む。他の物理的物体は、
ローカライザ34の視野内に存在する場合がある、外科用ツール22、手術部位における
開創器、四肢ホルダ、他のツール、外科人員、又はこれらのうちの任意のものの一部分を
含みうる。チェックされない場合、これらの物理的物体は、視線遮断を引き起こすように
動く可能性がある。ナビゲーションシステム20は、これらの物理的物体の各々の位置及
び向きを追跡し、視線の遮断が生じる前にユーザにフィードバックを生成し、視線の遮断
を少なくとも低減し、理想的には防ぐ。
【0060】
視線遮断を引き起こし得る物理的物体の各々は、これらの物理的物体を追跡する目的で
仮想空間内にモデル化される。これらのモデルは、仮想物体と呼ばれる。仮想物体は、ト
ラッカ44、46、48、外科用ツール22、開創器、四肢ホルダ、他のツール、又は外
科人員等の、ローカライザ34の視野内で追跡されている物理的物体の各々のローカライ
ザ座標系LCLZにおけるマップである。仮想物体は、多角面、スプライン、又は代数曲
面(パラメトリック曲面を含む)によって表すことができる。1つのより具体的な変形形
態では、これらの表面は三角形メッシュとして表される。各多角形の角は、ローカライザ
座標系LCLZ内の点によって定義される。各仮想物体境界又はメッシュの一部分を定義
する個々の領域セクションは、タイルと呼ばれる。仮想物体は、ボクセルベースのモデル
又は他のモデル化技法を用いて、3Dボリュームによって表すこともできる。
【0061】
図5を参照すると、説明の目的で、トラッカ44、46、48及び外科用ツール22の
物理的構造に関連付けられた仮想物体44’、46’、48’、22’がローカライザ座
標系LCLZに示されている。計算効率のために、仮想物体44’、46’、48’、2
2’は単純な形状としてモデル化されていることに留意されたい。さらに、ツールトラッ
カ48及び外科用ツール22に関連付けられた、ツールトラッカ仮想物体48’及びツー
ル仮想物体22’は、互いに対して固定され、代替的に単一の仮想物体として表すことが
できる。
【0062】
ツールトラッカ仮想物体48’及びツール仮想物体22’は、ツールトラッカ48を追
跡することによって追跡することができる。特に、ツールトラッカ仮想物体48’及びツ
ール仮想物体22’の形状モデルは、メモリに記憶され、ツールトラッカ48上のLED
50に対するそれらの関係は既知である。骨トラッカ仮想物体44’及び46’は、骨ト
ラッカ44、46を追跡することによって追跡することができる。特に、骨トラッカ仮想
物体44’、46’の形状モデルは、メモリに記憶され、骨トラッカ上44、46上のL
ED50に対するそれらの関係は既知である。他の追跡デバイス(図示せず)を、ローカ
ライザ34の視野内に存在する開創器、四肢ホルダ、他のツール、又は外科人員等の他の
物理的物体に取り付け、これらの他の物理的物体を追跡することができる。
【0063】
外科手術が開始する前に、トラッカ44、46、48の各々がローカライザ34の視野
内に配置される。ディスプレイ28、29は、トラッカ44、46、48がローカライザ
34の視野内に配置されることを視覚的に確認するために、
図6に示すように、ローカラ
イザ34の視野を上面及び側面から図式的に示す。視野は、光センサ40と、トラッカ4
4、46、48のLED50から光を受けるための光センサ40の範囲との空間関係によ
って定義される。そして、ナビゲーションシステム20は、トラッカ44、46、48の
各々が視野内で可視であることを検証する。検証されると、外科手術が開始することがで
きる。
【0064】
図7を参照すると、仮想境界生成器104(
図2を参照)は、追跡デバイス44、46
、48の各々とローカライザ34との間の視線関係に基づいて、仮想視線境界106、1
08、110を生成する。仮想視線境界106、108、110は、物理的物体が入るこ
とを制限されるべき空間の輪郭を描き、それによって、各追跡デバイス44、46、48
のLED50からの光が、遮断されることも妨げられることもなく、ローカライザ34の
光センサ40に送信されることが可能であるようにする。
【0065】
いくつかの実施形態では、
図7に示すように、仮想視線境界106、108、110は
、円筒形、球形又は円錐台形である。他の形状も可能である。他の実施形態では、仮想視
線境界は、直線(例えば、LEDの各々から光センサ40の各々への直線)として表され
る。
図7に示される仮想視線境界106、108、110は、追跡デバイス44、46、
48の各々においてLED50の周りに定義された第1の端部112、114、116か
ら、ローカライザ34の光センサ40の周りに定義された第2の端部118まで延びる。
仮想視線境界106、108、110は、以下で更に説明されるように、視線遮断を生じ
ることなく衝突を検出するために、物理的物体が仮想視線境界にわずかに入り込むことが
できるように、超過サイズにすることがある。
【0066】
仮想境界生成器104は、外科手術中の追跡デバイス44、46、48とローカライザ
34との間の相対的な動きを考慮に入れるように仮想視線境界106、108、110を
更新する。更新は、ナビゲーションシステム20が、追跡デバイス44、46、48の各
々についてLED50から信号の完全な組(例えば、追跡デバイスごとに少なくとも3つ
の信号)を受信する度に生じることがある。更新は、外科用ツール22のために新たな指
令位置が決定される度に生じることがある。外科用ツール22がマニピュレータ56によ
って制御される実施形態では、各新たな指令位置を決定するための時間フレームは、0.
1ミリ秒~2ミリ秒ごとでありうる。
【0067】
仮想境界生成器104は、ナビゲーションプロセッサ52若しくはマニピュレータコン
トローラ54又はその双方において実行されるソフトウェアモジュールである。仮想境界
生成器104は、仮想視線境界106、108、110を画定するマップを生成する。仮
想境界生成器104への第1の入力は、ローカライザ座標系LCLZにおける追跡デバイ
ス44、46、48ごとのLED50の各々の位置及び向きを含む。このLED姿勢デー
タから、第1の端部112、114、116の位置及び向きを定義することができる。仮
想境界生成器104への第2の入力は、ローカライザ座標系LCLZにおけるローカライ
ザ34の光センサ40の各々の位置及び向きを含む。この光センサ姿勢データから、光セ
ンサ40の周りの第2の端部118の位置及び向きを定義することができる。上記のデー
タに基づいて、及び命令を通じて、仮想境界生成器104は、ローカライザ座標系LCL
Zにおける仮想視線境界106、108、110を画定するマップを生成する。
【0068】
いくつかの実施形態では、仮想境界生成器104は、仮想視線境界を、多角面、スプラ
イン又は代数曲面(パラメトリック曲面を含む)として生成する。1つのより具体的な変
形形態では、これらの面は、三角形メッシュとして表される。各多角形の角は、ローカラ
イザ座標系LCLZにおける点によって定義される。各仮想視線境界又はメッシュの一部
分を定義する個々の領域セクションはタイルと呼ばれる。仮想視線境界は、ボクセルベー
スのモデル又は他のモデル化技法を用いて、3Dボリュームとして表すこともできる。
【0069】
衝突検出器120(
図2を参照)は、仮想視線境界106、108、110に対する仮
想物体44’、46’、48’、22’の動きを評価して、仮想物体44’、46’、4
8’、22’と仮想視線境界106、108、110(効果的に仮想物体とも呼ばれる)
との間の衝突を検出する。より詳細には、衝突検出器120は、仮想物体44’、46’
、48’、22’を表す形状モデルと、仮想視線境界106、108、110を表す形状
モデルとの間の衝突を検出する。衝突検出は、実際の仮想衝突を検出するか、仮想衝突が
生じる前にそれらを予測することを含む。
【0070】
衝突検出器120によって行われる追跡の目的は、任意の物理的物体が、追跡デバイス
44、46、48のLED50と、ローカライザ34の光センサ40との間の視線を遮断
することを防ぐことである。衝突検出器120への第1の入力は、ローカライザ34の視
野内で追跡されている仮想物体44’、46’、48’、22’の各々のマップである。
衝突検出器120への第2の入力は、仮想視線境界106、108、110の各々のマッ
プである。
【0071】
衝突検出器120は、ナビゲーションプロセッサ52若しくはマニピュレータコントロ
ーラ54又はその双方を実行するソフトウェアモジュールである。衝突検出器120は、
仮想物体44’、46’、48’、22’と仮想視線境界106、108、110との間
の衝突を検出するための任意の従来のアルゴリズムを用いることができる。例えば、2つ
のパラメトリック曲面の交差部を求めるための適切な技法は、細分化法、格子法、追跡法
、及び解析法を含む。引用することにより本明細書の一部をなすものとする、米国特許第
5,548,694号明細書に記載されているように、ボクセルベースの仮想物体の場合
、衝突検出は、任意の2つのボクセルがローカライザ座標系LCLZにおいて重複してい
るときを検出することによって実行することができる。
【0072】
フィードバック生成器122(
図2)は、衝突検出器120と通信して、仮想物体44
’、46’、48’、22’のうちの任意のものと、仮想視線境界106、108、11
0のうちの任意のものとの間の衝突の検出に応答する。フィードバック生成器122は、
ナビゲーションプロセッサ52若しくはマニピュレータコントローラ54又はそれらの双
方の上で実行されるソフトウェアモジュールである。フィードバック生成器122は、可
聴フィードバック、視覚フィードバック、振動フィードバック又は触覚フィードバックの
うちの1つ以上を含む1つ以上の形態のフィードバックをユーザに提供することによって
、衝突の検出に応答する。
【0073】
1つの実施形態では、フィードバック生成器122は、ナビゲーションプロセッサ52
と通信して、衝突に応答して可聴アラートをユーザに生成するアナンシエータ124の形
態のフィードバックデバイスを起動させる。
【0074】
図8を参照すると、フィードバック生成器122は、ディスプレイ28、29に、衝突
を表す画像を表示させることもでき、それによって、ユーザは、(衝突が予測された場合
に)衝突をどのように回避するかを決定するか、又は(衝突が既に生じている場合に)衝
突を逆転することができる。衝突は、影響を受けている仮想視線境界106、108又は
110を、関与する物理的物体が仮想視線境界106、108、110と衝突したか又は
衝突しようとしている場所のグラフィック表現とともに示すことによって表すことができ
る。関与するトラッカ44、46又は48、すなわち、「大腿骨トラッカ」等の遮断され
ようとしているトラッカのテキスト記述もディスプレイ28、29上に表示することがで
きる。
【0075】
いくつかの実施形態では、仮想物体を用いて追跡されるローカライザ34の視野内の全
ての物理的物体をディスプレイ28、29上に表すことができる。この場合、衝突は、色
分けを用いて示すことができる。例えば、仮想視線境界106、108又は110と衝突
する物理的物体(その仮想物体によって関連付けられる)の一部分を取り囲んで赤色を示
すことができる。影響を受けているトラッカ44、46又は48も色分けすることができ
(場合によっては同じ色又は異なる色)、それによって、視覚的に、いずれの物理的物体
がいずれのトラッカ視線を遮断することになるのかをユーザが迅速に理解し、ユーザは直
観的に遮断を回避することができる。さらに、ディスプレイ上に矢印を図式的に示して、
物理的物体が衝突を回避するか又は衝突を逆転するように動かされるべき方向を示すこと
ができる。これらの矢印は、以下で詳細に説明されるように、衝突検出器120によって
決定されたフィードバック力の方向に基づいて生成することができる。
【0076】
図9を参照すると、フィードバック生成器122は、衝突の検出に応答して、ディスプ
レイ28、29に、患者の特定の解剖学的組織を再位置決めすることの命令を含むメッセ
ージをユーザに対し表示させることもできる。特定の解剖学的組織は、遮断されようとし
ている骨トラッカ44、46が取り付けられる解剖学的組織を含みうる。例えば、外科用
ツール22を表すツール仮想物体22’が、脛骨T上の骨トラッカ46に関連付けられた
仮想視線境界108と衝突したことがわかった場合、ナビゲーションプロセッサ52は、
ディスプレイ28、29に、「脛骨を動かせ」というメッセージをユーザに対し表示させ
ることができる。特定のメッセージは、あり得る衝突の特定のシナリオに関連付けられた
メッセージのルックアップテーブルに記憶することができる。この例において、このメッ
セージは、ツール仮想物体22’が仮想視線境界108と衝突したシナリオでルックアッ
プテーブル内に位置する。衝突を回避又は逆転するためにとる方向を定義する回避ベクト
ル又は反発ベクトルに基づいた、より詳細な命令も可能である。
図9に示すように、命令
は、矢印Aをディスプレイ28、29に更に表示するか又は点滅させて「脛骨を動かせ」
と命令することとすることができ、矢印Aは、回避ベクトル又は反発ベクトルの方向にあ
る。
【0077】
フィードバック生成器122は、ディスプレイ28、29に、衝突の検出に応答してロ
ーカライザ34を再位置決めすることの命令を含むメッセージをユーザに対し表示させる
こともできる。例えば、外科用ツール22を表現するツール仮想物体22’が、脛骨T上
の骨トラッカ46に関連付けられた仮想視線境界108と衝突したことがわかった場合、
ナビゲーションプロセッサ52は、ディスプレイ28、29に、「カメラユニットを動か
せ」というメッセージをユーザに対し表示させることができる。特定のメッセージは、あ
り得る衝突の特定のシナリオに関連付けられたメッセージのルックアップテーブルに記憶
することができる。これらの例において、このメッセージは、ツール仮想物体22’が仮
想視線境界108と衝突したシナリオでルックアップテーブル内に配置される。
【0078】
フィードバック生成器122は、ディスプレイ28、29に、衝突の検出に応答してマ
ニピュレータ56を再位置決めする命令を含むメッセージをユーザに対し表示させること
もできる。例えば、外科用ツール22を表すツール仮想物体22’が、脛骨T上の骨トラ
ッカ46に関連付けられた仮想視線境界108と衝突したことがわかった場合、ナビゲー
ションプロセッサ52は、ディスプレイ28、29に、「マニピュレータを動かせ」とい
うメッセージをユーザに対し表示させることができる。特定のメッセージは、あり得る衝
突の特定のシナリオに関連付けられたメッセージのルックアップテーブルに記憶すること
ができる。この例において、このメッセージは、ツール仮想物体22’が仮想視線境界1
08と衝突したシナリオでルックアップテーブル内に配置される。このフィードバックが
用いられる場合がある1つの理由は、外科用ツール22又は脛骨Tを、衝突を回避するよ
うに他の形で操作することができない状況にある。さらに、マニピュレータ56は、運動
の範囲が限られており、マニピュレータ56がその限られた範囲の所定の閾値内にある場
合、このメッセージは、衝突を回避するために、外科手術中に更なる運動範囲を回復する
のに必要とされる場合がある。
【0079】
さらに、フィードバック生成器122は、仮想視線境界106、108、110と衝突
しているか又は衝突しようとしている仮想物体44’、46’、48’、22’に関連付
けられた物理的物体に対する振動の形態で、ユーザに振動フィードバックを体験させるこ
とができる。例えば、ユーザが外科用ツール22を手動モードで位置決めしているとき、
手動モードではユーザは外科用ツール22のハンドルを把持しており、ツール仮想物体2
2’が仮想視線境界106、108、110と衝突しているか又は衝突しようとしている
場合、偏心モータ等の振動デバイス126を作動させることができる。振動デバイス12
6は、振動デバイス126からの振動をハンドルに送達することができるように、外科用
ツール22に搭載される。振動フィードバックは、意図される位置が、視線遮断を引き起
こす場合があることをユーザに示し、それによってユーザが、更なる運動を止め、視線遮
断を防ぐことを可能にする。そして、ユーザは、視線遮断を回避することになる代替的な
コースを決定することができる。
【0080】
1つの実施形態において、フィードバック生成器122は、衝突を回避するか又は衝突
に反発するフィードバック力で衝突に応答することによって、ユーザに触覚フィードバッ
クを与える。フィードバック力は、衝突検出器120によって決定される。フィードバッ
ク力は、x軸、y軸及びz軸に沿った最大で3つの力の成分と、これらの軸の周りの3つ
のトルクの成分とを含む力及び/又はトルク成分を有することがある。
【0081】
1つの例において、フィードバック生成器122は、マニピュレータ56が手動モード
で動作しているとき、外科用ツール22を通じてユーザに触覚フィードバックを提供する
。これは、マニピュレータ56が、外科用ツール22に関連付けられたツール仮想物体2
2’を、骨トラッカ44、46に関連付けられた仮想視線境界106、108内に位置決
めすることを防ぎ、それによって任意の視線遮断を回避する。1つの実施形態において、
衝突検出器120は、マニピュレータ56が外科用ツール22を指令姿勢に動かす場合に
、ただしマニピュレータコントローラ54が実際に外科用ツール22を指令姿勢に動かす
前に、仮想衝突が生じるか否かを予測することによって衝突を検出する。仮想衝突が予測
される場合、マニピュレータ56は、外科用ツール22を、変更された指令姿勢に動かし
て衝突を回避するように制御される。
【0082】
いくつかの実施形態では、マニピュレータ56は受動マニピュレータである。この場合
、触覚フィードバックは、仮想衝突が生じた後にユーザにフィードバックを提供し、影響
を受けた仮想視線境界106、108、110内に仮想物体44’、46’、48’、2
2’が更に入り込むことを防ぐか、又は衝突を食い止める。このため、衝突検出は、実際
の仮想衝突又は予測仮想衝突に応答することができる。このため、フィードバック生成器
122は、外科用ツール22の手動モード位置決めが、ツール仮想物体22’が仮想視線
境界106、108の外側に留まるか、又は仮想視線境界106、108内に或る程度ま
でしか入り込まないように制御されることを確実にし、外科用ツール22が、骨トラッカ
44、46とローカライザ34との間の視線遮断を引き起こすことを防ぐ。
【0083】
仮想視線境界106、108がメッシュ等の多角面によって表されるとき、衝突検出器
120は、ツール仮想物体22’が時間フレーム中に横切る可能性がある任意の境界画定
タイルを特定する。このステップは、多くの場合、広位相探索として記述される。このス
テップは、ツール仮想物体22’の定義された距離(d)内にあるタイルの1つ以上の組
を特定することによって実行される。この定義された距離(d)は、ツール仮想物体22
’の寸法、タイルに対する仮想物体22’の速度(過去のフレーム中の進行速度が許容可
能である)、フレームの期間、セクションを画定する境界の特徴的サイズを定義するスカ
ラ、及び丸め係数の関数である。
【0084】
広位相探索の実行の結果として、衝突検出器120は、この解析が実行されているフレ
ームにおいて、タイルの全てが定義された距離(d)の外側にあると判断することができ
る。これは、この解析が行われているフレームの終わりまでに、ツール仮想物体22’が
、仮想視線境界106、108のいずれかを越えるロケーションまで進められないことを
意味する。これは、ツール仮想物体22’が仮想視線境界106から十分に離間されてい
る
図10によって示される。この解析は、ツール仮想物体22’の外面を定義する点12
8a~128g等のツール仮想物体22’を定義する1組の点について行うことができ、
各点は、特定の点が仮想視線境界106を横切るか否かを検出するように解析されること
が理解されるべきである。
【0085】
外科用ツール22の継続的な前進によって視線の遮断が生じないので、衝突検出器12
0は、元々、マニピュレータコントローラ54によって指令された外科用ツール22の指
令姿勢又は指令速度のいずれも変更しない。このため、衝突検出器120は、マニピュレ
ータコントローラ54によって元々決定されたものと同じである、外科用ツール22のた
めの最終指令姿勢及び最終指令速度を出力する。
【0086】
衝突検出器120は、代替的に、ツール仮想物体22’又は点128a~128gの定
義された距離(d)内にある境界画定タイルの広い組を特定することができる。そして、
衝突検出器120は、ツール仮想物体22’又はツール仮想物体22’上の点128a~
128gのうちの任意のものが横切り得る、タイルの広い組内にある境界画定タイルの狭
い組を特定する。このステップは、狭位相探索と呼ばれる。この狭位相探索は、最初に境
界ボリュームを画定することによって行うことができる。この境界ボリュームは、ツール
仮想物体22’の初期姿勢及び最終姿勢と考えられている姿勢間で延びる。これが最初の
実行である場合、ツール仮想物体22’の初期姿勢は、外科用ツール22の以前の指令姿
勢に基づき、ツール仮想物体22’の最終姿勢は、外科用ツール22の現在の指令姿勢、
すなわち、衝突検出器120が衝突を検出しない場合にこのフレームにおいて外科用ツー
ル22が動かされるべき、マニピュレータコントローラ54によって生成される姿勢に基
づく。
【0087】
境界ボリュームは、その最も基本的な形式において、初期姿勢における点128a~1
28gから最終姿勢における点128a~128gまで延びる直線でありうる。境界ボリ
ュームが画定されると、狭位相探索の一部として、衝突検出器120は、タイルの広い組
のいずれがこの境界ボリュームと交差するかを、これが存在する場合に求める。境界ボリ
ュームと交差するタイルが狭組タイルである。
【0088】
タイルの広い組のいずれも、境界ボリュームと交差せず、狭い組が空集合であると判断
される場合がある。この評価の試験結果が真である場合、衝突検出器120は、この条件
を、ツール仮想物体22’の最終姿勢が、仮想視線境界106、108によって画定され
るボリュームの外側にあることを示すものとして解釈する。ツール仮想物体22’がその
ように配置される場合、元の指令姿勢及び指令速度は、衝突検出器120によって変更さ
れず、衝突検出器120によって、最終指令姿勢及び最終指令速度として出力される。
【0089】
代替的に、境界ボリュームが1つ以上のタイルを横切り、狭い組が1つ以上のタイルを
含むと判断される場合がある。その場合、衝突検出器120は、ツール仮想物体22’の
最終姿勢が境界に入り込んでいることを示すものとしてこの状態を解釈する。この状態は
図10によって示されている。ここで、ツール仮想物体22’の初期姿勢は実線で表され
、最終姿勢はファントム線によって表される。
【0090】
仮想視線境界106、108に侵入する状態が存在する場合、次のステップは、タイル
の狭い組のうちのいずれをツール仮想物体22’が(外科用ツール22の拡張によって)
最初に横切るかを判断することである。境界ボリュームが直線を含む場合、衝突検出器1
20は、タイルごと及び直線ごとに、タイルを横切る前にフレーム中に外科用ツール仮想
物体22’が進むことになる距離のパーセンテージを求める(
図10の70パーセントの
表記を参照されたい)。最も低いパーセンテージの距離において交わるタイルは、最初に
交わることが理解されるタイルである。
【0091】
ツール仮想物体22’に最も近い境界画定タイルは、ツール仮想物体22’が交わる可
能性があるタイルではない場合がある。
図10に示すように、仮想視線境界106のタイ
ルT1~T5が、定義された距離(d)、すなわちツール仮想物体22’が時間フレーム
内に潜在的に移動し得る距離内にあると最初に判断された。ツール仮想物体22’に最も
近いタイルはタイルT4である。一方、ツール仮想物体22’は、説明の目的で、タイル
T3に向かって下方かつ左側の軌跡に沿って移動している。したがって、衝突検出器12
0は、タイルT3が、境界ボリュームが交差するタイルであると判断する。
【0092】
衝突検出器120は、マニピュレータコントローラ54が外科用ツール22を元々の指
令姿勢に動かす場合にいずれの境界画定タイルをツール仮想物体22’が横切るかを概ね
判断すると、時間(t)及び点Pを決定する。時間(t)は、ツール仮想物体22’が仮
想視線境界106を横切るときの、フレームの開始に対する期間である。この時間(t)
は、仮想視線境界106に接触する前にフレーム中にツール仮想物体22’が進むことに
なる距離のパーセンテージに基づいて決定される。これは、この場合、
図10に示すよう
に距離の70パーセントである。この決定は、任意の所与のフレーム中に、外科用ツール
22の速度、このためツール仮想物体22’の速度が一定であるという仮定に基づいて行
われる。点Pは、ツール仮想物体22’がタイルを横切ることになるローカライザ座標系
LCLZにおける点である。この点Pは、ツール仮想物体22’の前進経路がタイルを横
切る場所を計算することによって決定される。双方の計算は、入力変数として、タイルを
最初に横切る特定の点128a~128gの初期姿勢及び最終姿勢、並びに境界タイルの
周縁を画定するデータを用いる。
【0093】
いくつかの実施形態では、この状況において、元の指令姿勢は、衝突検出器120によ
って、外科用ツール22が仮想視線境界106に接触する前に達する位置及び向き、例え
ば、距離/時間の70パーセントにおいて到達する位置及び向きとなるように変更される
。ユーザは、外科用ツール22を、100パーセントの動き全体で動かすことを予期して
外科用ツール22を把持することによって、動きが70パーセントで、すなわち、変更さ
れた位置及び向きまでのみで止まったとき、物理的壁に遭遇したのと同様に触覚フィード
バックを体験することになる。このため、外科用ツール22が取り付けられたマニピュレ
ータ56は、触覚フィードバックをユーザに伝達する触覚デバイスとみなされる。
【0094】
別の実施形態において、フィードバック生成器122は、仮想視線境界106を越えて
外科用ツール22(仮想剛体としてモデル化される)が望ましくない形で進まないように
するために外科用ツール22に加えられるフィードバック力を決定する。フィードバック
生成器122は、フィードバック力を、外科用ツール22に加えられる境界制約力として
決定する。より詳細には、フィードバック生成器は、時間(t)において外科用ツール2
2に加えられる場合に、仮想視線境界106に対し垂直でかつ仮想視線境界106に向か
う方向への外科用ツール22の前進を止めるスカラフィードバック力FBNDRを決定す
る。フィードバック生成器122は、力FBNDRの大きさを決定する複数の異なる方法
のうちの任意の1つを用いることができる。例えば、その開示が引用することにより本明
細書の一部をなすものとする、「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surg
ical Instrument in Multiple Modes」と題する米国特許第9,119,655号明細書
に記載されているように、インパルス法を用いることができる。
【0095】
そして、力FBNDRを計上するように最終指令姿勢及び最終指令速度を計算する。仮
想視線境界106に接触することを防ぐために外科用ツール22の動きを70パーセント
で単に止めるのではなく、この方法は、インパルス力によって、仮想視線境界106に垂
直な動きの成分のみを止める。このため、仮想視線境界106に沿った動きは、時間フレ
ーム全体にわたって継続し、ユーザに対し、急な停止ではなく、より自然な触覚フィード
バックを提供することができる。
【0096】
最後に、衝突検出器120からの最終指令姿勢がマニピュレータコントローラ54の逆
運動学モジュール(図示せず)に適用される。逆運動学モジュールは、マニピュレータコ
ントローラ54によって実行される運動制御モジュールである。指令姿勢及び予めロード
されたデータに基づいて、逆運動学モジュールは、マニピュレータ56の関節の所望の関
節角度を決定する。予めロードされたデータは、連結部58及び関節の形状を定義するデ
ータである。いくつかの変形形態において、これらのデータはデナビット-ハーテンバー
グ・パラメータ(Denavit-Hartenberg parameters)の形態をとる。
【0097】
上記で論考したように、外科手術が開始する前に、トラッカ44、46、48の各々が
ローカライザ34の視野内に配置される。視線遮断を低減するように動作するナビゲーシ
ョンシステム20は、トラッカ44、46、48を視野内に維持するようにも動作する。
特に、ナビゲーションシステム20は、外科手術中にトラッカ44、46、48の動きを
追跡し、トラッカ44、46、48のいずれかが、ローカライザ34の視野の外側に動く
リスクを課す場合、ユーザにフィードバックを生成することによって、手術中に、すなわ
ち外科手術中にトラッカ44、46、48を視野内に維持するように動作する。
【0098】
ローカライザ34の視野が
図6の上面図及び側面図から示される。仮想境界生成器10
4は、ローカライザ34の視野に基づいて仮想視野境界113も生成する。仮想視野境界
113は、トラッカ44、46、48からの信号を、トラッカ44、46、48の位置及
び/又は向きを求める目的でローカライザ34によって受信することができる空間のボリ
ュームの輪郭を描く。換言すれば、各トラッカ44、46、48の少なくとも3つのLE
D50からの信号は、ローカライザ34の光センサ40の各々によって受信することがで
きる。
【0099】
いくつかの実施形態において、
図7に示すように、仮想視野境界113は円錐台形であ
る。他の実施形態では、仮想視野境界113は、円筒形又は球形である。他の形状も可能
である。
図7に示す仮想視野境界113は、ローカライザ34から遠位端まで外側に拡散
して延びる。仮想視野境界113は、以下で更に説明するように、ローカライザ34の実
際の視野を越えて動くことなく衝突を検出するために、トラッカ44、46、48を表す
仮想物体44’、46’、48’が、仮想視野境界113に僅かに入り込むことができる
ように超過サイズにすることができる。
【0100】
仮想視野境界113は、外科手術中に固定されたままであることを意図しており、外科
手術中にローカライザ34が動かされる場合、調節を必要とする場合がある。この場合、
仮想境界生成器104は、外科手術中のそのような動きを計上するように仮想視野境界1
13を更新する。
【0101】
仮想境界生成器104は、仮想視野境界113を画定するマップを生成する。仮想境界
生成器104への入力は、ローカライザ座標系LCLZにおけるローカライザ34の位置
及び向き、すなわち、製造中に確立され(例えば、CMMによって測定され)、カメラユ
ニット36又はナビゲーションコンピュータ26内のメモリに記憶されるローカライザ座
標系LCLZにおける光位置センサ40のロケーション/構成を含む。このローカライザ
姿勢データから、仮想視野境界113の位置及び向きを確立することができる。仮想視野
境界113は、製造中に確立し、カメラユニット36又はナビゲーションコンピュータ2
6内のメモリに記憶することもできる。仮想視野境界113のサイズ及び形状は、外科手
術の前に予め画定され、ローカライザ34に対して位置を固定される。仮想視野境界11
3のサイズ及び形状に関連付けられたデータは、ナビゲーションプロセッサ52によって
取り出すために、カメラユニット36及び/又はナビゲーションコンピュータ26上のメ
モリに記憶される。上記のデータに基づいて、及び命令を通じて、仮想境界生成器104
は、ローカライザ座標系LCLZ内に仮想視野境界113を画定するマップを生成する。
【0102】
いくつかの実施形態では、仮想境界生成器104は、多角面、スプライン又は代数曲面
(パラメトリック曲面を含む)として仮想視野境界113を生成する。1つのより具体的
な変形形態では、面は三角形メッシュとして表される。各多角形の角は、ローカライザ座
標系LCLZ内の点によって定義される。メッシュの一部分を定義する個々の領域セクシ
ョンは、タイルと呼ばれる。仮想視野境界113は、ボクセルベースのモデルを用いて3
Dボリュームとして表すこともできる。
【0103】
衝突検出器120は、仮想視野境界113に対する骨トラッカ及びツールトラッカ仮想
物体44’、46’、48’の動きを評価して、仮想物体44’、46’、48’と仮想
視野境界113(効果的には、仮想物体でもある)との間の衝突を検出する。より詳細に
は、衝突検出器120は、仮想物体44’、46’、48’を表す形状モデルと、仮想視
野境界113を表す形状モデルとの間の衝突を検出する。衝突検出は、実際の仮想衝突を
検出すること、又はそれらが生じる前に仮想衝突を予測することを含む。
【0104】
衝突検出器120によって行われる追跡の目的は、トラッカ44、46、48がローカ
ライザ34の視野の外側に動くことを防ぐことである。衝突検出器120への第1の入力
は、ローカライザ34の視野内で追跡されている仮想物体44’、46’、48’の各々
のマップである。衝突検出器120への第2の入力は、仮想視野境界113のマップであ
る。
【0105】
衝突検出器120は、仮想物体44’、46’、48’と仮想視野境界113との間の
衝突を検出するための任意の従来のアルゴリズムを用いることができる。例えば、2つの
パラメトリック曲面の交差部を求めるための適切な技法は、細分化法、格子法、追跡法、
及び解析法を含む。引用することにより本明細書の一部をなすものとする、米国特許第5
,548,694号明細書に記載されているように、ボクセルベースの仮想物体の場合、
衝突検出は、任意の2つのボクセルがローカライザ座標系LCLZにおいて重複している
ときを検出することによって実行することができる。
【0106】
フィードバック生成器122は、仮想物体44’、46’、48’のうちの任意のもの
と仮想視野境界113との間の衝突の検出に応答する。フィードバック生成器122は、
可聴フィードバック、視覚フィードバック、振動フィードバック又は触覚フィードバック
のうちの1つ以上を含む1つ以上の形態のフィードバックをユーザに提供することによっ
て、衝突の検出に応答する。
【0107】
1つの実施形態では、フィードバック生成器122は、衝突に応答して可聴アラートを
ユーザに生成するアナンシエータ124を起動させる。
【0108】
フィードバック生成器122は、ディスプレイ28、29に、衝突を表す画像を表示さ
せることもでき、それによって、ユーザは、(衝突が予測された場合に)衝突をどのよう
に回避するかを決定し、(衝突が既に生じている場合に)衝突を逆転することができる。
衝突は、関与するトラッカが仮想視野境界113と衝突するか又は衝突しようとしている
場所のグラフィック表現を示すことによって表すことができる。「大腿骨トラッカ」等の
、関与する特定のトラッカ44、46又は48のテキスト記述もディスプレイ28、29
上に表示することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、仮想物体を用いて追跡されるローカライザ34の視野内の全
てのトラッカ44、46、48は、ディスプレイ28、29上に表すことができる。この
場合、衝突は、色分けを用いて示すことができる。例えば、影響を受けているトラッカ4
4、46又は48を色分けすることができ、それによって、視覚的に、いずれのトラッカ
が視野の外側に動くことになるのかをユーザが迅速に理解し、ユーザは直観的にそのよう
な動きを回避することができる。さらに、ディスプレイ上に矢印を図式的に示して、トラ
ッカが視野内に留まるために動かされるべき方向を示すことができる。これらの矢印は、
上記で説明したように、衝突検出器120によって求められたフィードバック力の方向に
基づいて生成することができる。
【0110】
図11を参照すると、フィードバック生成器122は、衝突の検出に応答して、ディス
プレイ28、29に、患者の特定の解剖学的組織を再位置決めすることの命令を含むメッ
セージをユーザに対し表示させることもできる。特定の解剖学的組織は、視野の外側に動
こうとしている骨トラッカ44、46が取り付けられる解剖学的組織を含みうる。例えば
、脛骨T上の骨トラッカ46がローカライザ34の視野の外側に動こうとしている場合、
ナビゲーションプロセッサ52は、ディスプレイ28、29に、「脛骨を動かせ」という
メッセージをユーザに対し表示させることができる。特定のメッセージは、あり得る衝突
の特定のシナリオに関連付けられたメッセージのルックアップテーブルに記憶することが
できる。この例において、このメッセージは、骨トラッカ仮想物体46’が仮想視野境界
113と衝突したシナリオでルックアップテーブル内に位置する。衝突を回避又は逆転す
るためにとる方向を定義する回避ベクトル又は反発ベクトルに基づいた、より詳細な命令
も可能である。命令は、矢印Bをディスプレイ28、29に更に表示するか又は点滅させ
て「脛骨を動かせ」と命令することとすることができ、矢印Bは、回避ベクトル又は反発
ベクトルの方向にある。
【0111】
フィードバック生成器122は、ディスプレイ28、29に、衝突の検出に応答してロ
ーカライザ34を再位置決めすることの命令を含むメッセージをユーザに対し表示させる
こともできる。例えば、骨トラッカ又はツールトラッカ仮想物体44’、46’、48’
のうちの1つが仮想視線境界113と衝突したことがわかった場合、ナビゲーションプロ
セッサ52は、ディスプレイ28、29に、「カメラユニットを動かせ」というメッセー
ジをユーザに対し表示させることができる。特定のメッセージは、あり得る衝突の特定の
シナリオに関連付けられたメッセージのルックアップテーブルに記憶することができる。
この例において、このメッセージは、骨トラッカ又はツールトラッカ仮想物体44’、4
6’、48’のうちの1つが仮想視線境界113と衝突したシナリオでルックアップテー
ブル内に配置される。
【0112】
フィードバック生成器122は、ディスプレイ28、29に、衝突の検出に応答してマ
ニピュレータ56を再位置決めする命令を含むメッセージをユーザに対し表示させること
もできる。例えば、ツールトラッカ仮想物体48’が仮想視野境界113と衝突したこと
がわかった場合、ナビゲーションプロセッサ52は、ディスプレイ28、29に、「マニ
ピュレータを動かせ」というメッセージをユーザに対し表示させることができる。特定の
メッセージは、あり得る衝突の特定のシナリオに関連付けられたメッセージのルックアッ
プテーブルに記憶することができる。この例において、このメッセージは、ツールトラッ
カ仮想物体48’が仮想視野境界113と衝突したシナリオでルックアップテーブル内に
配置される。このフィードバックが用いられる場合がある1つの理由は、外科用ツール2
2を、衝突を回避するように他の形で操作することができない状況にある。さらに、マニ
ピュレータ56は、運動の範囲が限られており、マニピュレータ56がその限られた範囲
の所定の閾値内にある場合、このメッセージは、衝突を回避するために、外科手術中に更
なる運動範囲を回復するのに必要とされる場合がある。
【0113】
さらに、フィードバック生成器122は、振動の形態で、ユーザに振動フィードバック
を体験させることができる。例えば、ユーザが外科用ツール22を手動モードで位置決め
しているとき、手動モードではユーザは外科用ツール22のハンドルを把持しており、ツ
ールトラッカ仮想物体48’が仮想視野境界113と衝突しているか又は衝突しようとし
ている場合、振動デバイス126を作動させることができる。振動フィードバックは、ツ
ールトラッカ48が、ローカライザ34の視野の外側に動きつつある場合があることをユ
ーザに示し、それによってユーザが更なる運動を止め、ツールトラッカ48が視野の外側
に進行するのを防ぐことを可能にする。そして、ユーザは代替的なコースを決定すること
ができる。
【0114】
1つの実施形態において、フィードバック生成器122は、衝突を回避するか又は衝突
に反発するフィードバック力で衝突に応答することによって、ユーザに触覚フィードバッ
クを与える。フィードバック力は、衝突検出器120によって決定される。フィードバッ
ク力は、x軸、y軸及びz軸に沿った最大で3つの力の成分と、これらの軸の周りの3つ
のトルクの成分とを含む力及び/又はトルク成分を有することがある。
【0115】
1つの例において、フィードバック生成器122は、マニピュレータ56が手動モード
で動作しているとき、外科用ツール22を通じてユーザに触覚フィードバックを提供する
。これは、マニピュレータ56が、ツールトラッカ仮想物体48’を仮想視野境界113
内に位置決めすることを防ぎ、それによって視野の外側へのツールトラッカ48の移動を
回避する。1つの実施形態において、衝突検出器120は、マニピュレータ56が外科用
ツール22を指令姿勢に動かす場合に、ただしマニピュレータコントローラ54が実際に
外科用ツール22を指令姿勢に動かす前に、仮想衝突が生じるか否かを予測することによ
って衝突を検出する。仮想衝突が予測される場合、マニピュレータ56は、外科用ツール
22を、変更された指令姿勢に動かして衝突を回避するように制御される。
【0116】
いくつかの実施形態では、マニピュレータ56は受動マニピュレータである。この場合
、触覚フィードバックは、仮想衝突が生じた後にユーザにフィードバックを提供し、仮想
視野境界113内にツールトラッカ仮想物体48’が更に入り込むことを防ぐか、又は衝
突を逆転する。このため、衝突検出は、実際の仮想衝突又は予測仮想衝突に応答すること
ができる。このため、フィードバック生成器122は、外科用ツール22の手動モード位
置決めが、ツールトラッカ仮想物体48’が仮想視野境界113内に留まるか、又は仮想
視野境界113内に或る程度までしか入り込まないように制御されることを確実にし、ツ
ールトラッカ48が、ローカライザ34の視野の外側に動くことを防ぐ。
【0117】
仮想視野境界113がメッシュ等の多角面によって表されるとき、衝突検出器120は
、ツール仮想物体22’及び
図10に関して上記で説明したのと同様にして衝突を検出す
ることができる。
【0118】
フィードバック生成器122は、上記で説明したのと同様にして、仮想視野境界113
を越えてツールトラッカ48が望ましくない形で進まないようにするために外科用ツール
22に適用されるフィードバック力を決定することもできる。この場合、ツールトラッカ
仮想物体48’は、ツール仮想物体22’に対して固定される。このため、上記で説明し
たように、ツールトラッカ仮想物体48’の動きは、外科用ツール22及びその仮想物体
22’の動きを制御することによって制御される。
【0119】
外科手術における材料除去システム10の動作中、ナビゲーションシステム20は、仮
想物体44’、46’、48’、22’に関連付けられた物理的物体のうちのいずれかが
、トラッカ44、46、48のうちの1つとローカライザ34との間に視線遮断を生じる
リスクを課すか否かを判断する目的で、これらの仮想物体44’、46’、48’、22
’の各々の位置及び向きを継続的に追跡する。また、ナビゲーションシステム20は、仮
想物体44’、46’、48’に関連付けられたトラッカ44、46、48のうちのいず
れかが、ローカライザ34の視野の外側に動くリスクを課すか否かを判断する目的で、こ
れらの仮想物体44’、46’、48’の各々の位置及び向きを連続して追跡する。目的
は、追跡中断を低減し、マニピュレータ56の動作が、視線を見失うか又は視野の外側に
動くことによって生じる不要な遅延を伴うことなく継続することができるようにすること
である。1つの例示的な方法が以下で概説される。
【0120】
図12のフローチャートを参照すると、ステップ200において、ナビゲーションシス
テム20が、最初に、ローカライザ34の視野内の追跡デバイス44、46、48の各々
を検出する。追跡デバイス44、46、48が検出されると、ステップ202において、
仮想境界生成器104は、追跡デバイス44、46、48とローカライザ34との間の視
線関係に基づいて、仮想視線境界106、108、110を生成する。仮想境界生成器1
04は、ローカライザ34の視野に基づいて仮想視野境界113も生成する。
【0121】
外科手術は、初期仮想境界106、108、110、113が生成されると、ステップ
204において開始する。
【0122】
ステップ206において、外科手術中のトラッカ44、46、48とローカライザ34
との間の相対的な動きを計上するように仮想視線境界106、108、110が更新され
る。
【0123】
仮想物体44’、46’、48’、22’は、手術前に、ローカライザ34の視野内で
追跡される物理的物体に関連付けられる。これらは、視線遮断を生じる脅威を与える物理
的物体である。さらに、骨トラッカ及びツールトラッカ仮想物体44’、46’、48’
は、ローカライザ34の視野内に保持されるトラッカ44、46、48に関連付けられる
。
【0124】
そして、仮想物体44’、46’、48’、22’が生成され、ナビゲーションコンピ
ュータ26若しくはマニピュレータコントローラ54又はその双方においてメモリに記憶
され、それらのパラメータは、それらの関連付けられたトラッカ44、46、48の特定
の座標系に対し定義される。例えば、大腿骨Fに取り付けられた骨トラッカ44の構造を
表す骨トラッカ仮想物体44’が、手術前に生成され、骨トラッカ座標系BTRK1にマ
ッピングされ、それによって、ローカライザ34は、骨トラッカ44を追跡することによ
って骨トラッカ仮想物体44’を追跡し、そして、骨トラッカ仮想物体44’を定義する
パラメータをローカライザ座標系LCLZに変換する。
【0125】
衝突検出器120は、ステップ208において、仮想物体44’、46’、48’、2
2’と仮想境界106、108、110、113との間の相対的な動きを評価する。仮想
物体44’、46’、48’、22’の動きを評価することは、仮想境界106、108
、110、113の位置及び向きに対して仮想物体44’、46’、48’、22’の各
々の位置及び向きを追跡して、仮想物体44’、46’、48’、22’と仮想境界10
6、108、110、113との間の衝突の検出を容易にすることを含みうる。
【0126】
判定ブロック210は、衝突検出器120が仮想物体44’、46’、48’、22’
のうちの1つ以上と、仮想境界106、108、110、113のうちの1つ以上との間
の衝突(実際の仮想衝突又は予測仮想衝突)を検出したか否かを判断する。衝突が検出さ
れない場合、プロセスは、外科手術が完了したか否かを判断する判定ブロック214に進
む。外科手術がまだ完了していない場合、プロセスはステップ206にループバックし、
仮想視線境界106、108、110の位置及び/又は向きが更新される(ローカライザ
34が動かされた場合、仮想視野境界113が更新される)。外科手術が完了した場合、
衝突検出が終了する。
【0127】
判定ブロック210を再び参照し、衝突が検出される場合、ステップ212においてフ
ィードバックが生成される。上記で説明したように、フィードバックは、可聴フィードバ
ック、視覚フィードバック、振動フィードバック又は触覚フィードバックのうちの1つ以
上の形態をとる。特に、フィードバック生成器122は、ナビゲーションプロセッサ52
又はマニピュレータコントローラ54に、アナウンシエータ124を起動し、ディスプレ
イ28、29を操作し、振動デバイス126を起動し、及び/又はマニピュレータ56を
通じて触覚フィードバックを生成するように命令する。
【0128】
フィードバックが生成されると、ナビゲーションプロセッサ52又はマニピュレータコ
ントローラ54は、判定ブロック214において、外科手術が完了したか否かを判断する
。完了した場合、手順は終了する。完了していない場合、プロセスは、ステップ206に
再びループし、外科手術が完了するまで繰り返す。ステップ206における仮想視線境界
106、108、110に対する後続の更新間のプロセスループは、指令位置がマニピュ
レータ56のために生成される時間フレームごとに、又はローカライザ34がトラッカ4
4、46、48の新たな位置及び/又は向きを検出する度に行うことができる。
【0129】
いくつかの実施形態を上記の説明で論じてきた。しかし、本明細書において記載された
実施形態は、網羅的であるか又は本発明を任意の特定の形態に限定することを意図してい
ない。使用された用語は、制限的であるのではなく、記述的な用語(words of descripti
on)の性質内にあることを意図される。多くの変更及び変形が、上記教示を考慮して可能
であり、本発明は、具体的に述べられる以外の方法により実施することができる。
【0130】
[条項1]
仮想空間において仮想物体として定義される物理的物体によって生じる追跡中断を低減
するナビゲーションシステムであって、
視野を有するローカライザと、
ローカライザの視野内に配置し、ローカライザが追跡デバイスとの視線関係を確立する
ことができるようにする追跡デバイスと、
追跡デバイスとローカライザとの間の視線関係に基づいて仮想視線境界を生成するよう
に構成され、追跡デバイスとローカライザとの間の相対的な動きを計上するように仮想視
線境界を更新するように構成された仮想境界生成器と、
仮想視線境界に対する仮想物体の動きを評価して、仮想物体と仮想視線境界との間の衝
突を検出し、物理的物体が追跡デバイスとローカライザとの間で視線を遮断することを防
ぐ応答を可能にするように構成された衝突検出器と
を備えてなる、ナビゲーションシステム。
【0131】
[条項2]
仮想物体と仮想視線境界との間の衝突の検出に応答してフィードバックを生成し、物理
的物体が追跡デバイスとローカライザとの間で視線を遮断することを防ぐ、仮想境界生成
器と通信するフィードバック生成器を含む、条項1に記載のシステム。
【0132】
[条項3]
フィードバック生成器と通信して、可聴フィードバック、視覚フィードバック、振動フ
ィードバック又は触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを生成するフィードバック
デバイスを備える、条項2に記載のシステム。
【0133】
[条項4]
フィードバック生成器と通信して、物理的物体を振動させるように構成された振動デバ
イスを備える、条項2又は3に記載のシステム。
【0134】
[条項5]
フィードバック生成器と通信して、物理的物体の動きを制御するように構成された触覚
デバイスを備える、条項2~4のいずれかに記載のシステム。
【0135】
[条項6]
触覚デバイスは、ツールの動きを制約することによってツールの動きを制御するように
構成される、条項5に記載のシステム。
【0136】
[条項7]
フィードバック生成器と通信して、触覚デバイスを再位置決めすることの命令を生成す
るように構成されたフィードバックデバイスを備える、条項5又は6に記載のシステム。
【0137】
[条項8]
フィードバック生成器と通信して、ユーザに対し、患者の解剖学的組織を再位置決めす
ることの命令を生成するように構成されたフィードバックデバイスを備える、条項2~7
のいずれかに記載のシステム。
【0138】
[条項9]
フィードバック生成器と通信して、ローカライザを再位置決めすることの命令を生成す
るように構成されたフィードバックデバイスを備える、条項2~8のいずれかに記載のシ
ステム。
【0139】
[条項10]
衝突検出器は、衝突を予測することによって衝突を検出するように構成される、条項1
~9のいずれかに記載のシステム。
【0140】
[条項11]
ローカライザは、追跡デバイスの1つ以上のマーカから光を検知するための1つ以上の
光センサを備える、条項1~10のいずれかに記載のシステム。
【0141】
[条項12]
衝突検出器は、仮想視線境界の位置及び向きに対する仮想物体の位置及び向きを追跡す
るように構成される、条項1~11のいずれかに記載のシステム。
【0142】
[条項13]
仮想境界生成器は、物理的物体が入ることを制限される空間の輪郭を描く形状を有する
境界仮想物体を生成し、追跡デバイスからの光が、物理的物体による遮断なしでローカラ
イザに送達されることができるようにすることによって、仮想視線境界を生成するように
構成される、条項1~12のいずれかに記載のシステム。
【0143】
[条項14]
仮想境界生成器は、追跡デバイスの位置及び向きと、ローカライザの位置及び向きとに
基づいて境界仮想物体を生成することによって、仮想視線境界を生成するように構成され
る、条項1~13のいずれかに記載のシステム。
【0144】
[条項15]
仮想視線境界は、円筒形又は円錐台形のうちの少なくとも1つである、条項1~14の
いずれかに記載のシステム。
【0145】
[条項16]
仮想視線境界は1つ以上の直線を含む、条項1~15のいずれかに記載のシステム。
【0146】
[条項17]
仮想境界生成器は、追跡デバイスの新たな位置及び向きが決定される度に、追跡デバイ
スとローカライザとの間の相対的な動きを計上するように仮想視線境界を更新するように
構成される、条項1~16のいずれかに記載のシステム。
【0147】
[条項18]
仮想境界生成器は、0.1ミリ秒~2ミリ秒ごとに、追跡デバイスとローカライザとの
間の相対的な動きを計上するように仮想視線境界を更新するように構成される、条項1~
17のいずれかに記載のシステム。
【0148】
[条項19]
第2の追跡デバイスを備え、仮想境界生成器は、第2の追跡デバイスとローカライザと
の間の視線関係に基づいて第2の仮想視線境界を生成するように構成される、条項1~1
8のいずれかに記載のシステム。
【0149】
[条項20]
仮想境界生成器は、第2の追跡デバイスとローカライザとの間の相対的な動きを計上す
るように第2の仮想視線境界を更新するように構成される、条項19に記載のシステム。
【0150】
[条項21]
衝突検出器は、仮想物体と第2の仮想視線境界との間の相対的な動きを評価するように
構成される、条項19又は20に記載のシステム。
【0151】
[条項22]
衝突検出器は、仮想物体と第2の仮想視線境界との間の衝突を検出して、物理的物体が
第2の追跡デバイスとローカライザとの間で視線を遮断することを防ぐ応答を可能にする
、条項19、20又は21に記載のシステム。
【0152】
[条項23]
物理的物体は、ツール又は人物の少なくとも一部分である、条項1~22のいずれかに
記載のシステム。
【0153】
[条項24]
追跡デバイスと、ナビゲーションシステムのローカライザとの間の追跡中断を低減する
方法であって、
ローカライザの視野内の追跡デバイスを検出するステップと、
ローカライザの視野に基づいて仮想視野境界を生成するステップと、
仮想物体を追跡デバイスに関連付けるステップと、
仮想視野境界に対する仮想物体の動きを追跡するステップと、
追跡しながら仮想物体と仮想視野境界との間の衝突を検出し、追跡デバイスがローカラ
イザの視野の外側に動くことを防ぐ応答を可能にするステップと、
を含む、方法。
【0154】
[条項25]
衝突の検出に応答してフィードバックを生成するステップを含む、条項24に記載の方
法。
【0155】
[条項26]
フィードバックを生成するステップは、可聴フィードバック、視覚フィードバック、振
動フィードバック又は触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを生成することを含む
、条項25に記載の方法。
【0156】
[条項27]
フィードバックを生成するステップは、物理的物体を振動させることを含む、条項25
又は26に記載の方法。
【0157】
[条項28]
フィードバックを生成するステップは、追跡デバイスの動きを制御することを含み、追
跡デバイスは触覚デバイスに取り付けられる、条項25、26又は27のいずれかに記載
の方法。
【0158】
[条項29]
追跡デバイスの動きを制御することは、触覚デバイスを用いて追跡デバイスの動きを制
約することを含む、条項28に記載の方法。
【0159】
[条項30]
触覚デバイスを再位置決めすることの命令を生成するステップを含む、条項28又は2
9に記載の方法。
【0160】
[条項31]
フィードバックを生成するステップは、ユーザに対し、患者の解剖学的組織を再位置決
めすることの命令を生成することを含む、条項25~30のいずれかに記載の方法。
【0161】
[条項32]
フィードバックを生成するステップは、ローカライザを再位置決めすることの命令を生
成することを含む、条項25~31のいずれかに記載の方法。
【0162】
[条項33]
衝突を検出することは、衝突を予測することとして更に定義される、条項24~32の
いずれかに記載の方法。
【0163】
[条項34]
ローカライザの視野内で追跡デバイスを検出するステップは、ローカライザの1つ以上
の光センサを用いて追跡デバイスの1つ以上のマーカから光を検知することを含む、条項
24~33のいずれかに記載の方法。
【0164】
[条項35]
仮想視野境界に対する仮想物体の動きを追跡するステップは、仮想視野境界の位置及び
向きに対して仮想物体の位置及び向きを追跡することを含む、条項24~34のいずれか
に記載の方法。
【0165】
[条項36]
仮想視野境界を生成するステップは、追跡デバイスが出ることを制約される空間の輪郭
を描く形状を有する境界仮想物体を生成し、追跡デバイスからの光がローカライザに送達
されることができるようにすることを含む、条項24~35のいずれかに記載の方法。
【0166】
[条項37]
仮想視野境界を生成するステップは、ローカライザの位置及び向きに基づいて境界仮想
物体を生成することを含む、条項24~36のいずれかに記載の方法。
【0167】
[条項38]
仮想視野境界は、円筒形、球形又は円錐台形のうちの少なくとも1つである、条項24
~37のいずれかに記載の方法。
【0168】
[条項39]
追跡中断を低減するためのナビゲーションシステムであって、
視野を有するローカライザと、
ローカライザの視野内に配置し、ローカライザが追跡デバイスからの信号を受信するこ
とができるようにする追跡デバイスであって、仮想物体が関連付けられた、追跡デバイス
と、
ローカライザの視野に基づいて仮想視野境界を生成する仮想境界生成器と、
仮想視野境界に対する仮想物体の動きを評価して、仮想物体と仮想視線境界との間の衝
突を検出し、追跡デバイスがローカライザの視野の外側に動くことを防ぐ応答を可能にす
るように構成された衝突検出器と
を備えてなる、ナビゲーションシステム。
【0169】
[条項40]
仮想境界生成器と通信して、仮想物体と仮想視野境界との間の衝突の検出に応答してフ
ィードバックを生成するフィードバック生成器を含む、条項39に記載の方法。
【0170】
[条項41]
フィードバック生成器と通信して、可聴フィードバック、視覚フィードバック、振動フ
ィードバック又は触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを生成するフィードバック
デバイスを備える、条項40に記載のシステム。
【0171】
[条項42]
フィードバック生成器と通信し、物理的物体を振動させるように構成された振動デバイ
スを備える、条項39又は40に記載のシステム。
【0172】
[条項43]
フィードバック生成器と通信し、追跡デバイスの動きを制御するように構成された触覚
デバイスを備え、追跡デバイスは触覚デバイスに取り付けられる、条項39、40又は4
1に記載のシステム。
【0173】
[条項44]
触覚デバイスは、追跡デバイスの動きを制約することによって、追跡デバイスの動きを
制御するように構成される、条項43に記載のシステム。
【0174】
[条項45]
フィードバック生成器と通信し、触覚デバイスを再位置決めすることの命令を生成する
ように構成されたフィードバックデバイスを備える、条項43又は44に記載のシステム
。
【0175】
[条項46]
フィードバック生成器と通信し、ユーザに対し、患者の解剖学的組織を再位置決めする
ことの命令を生成するように構成されたフィードバックデバイスを備える、条項40~4
5のいずれかに記載のシステム。
【0176】
[条項47]
フィードバック生成器と通信し、ローカライザを再位置決めするための命令を生成する
ように構成されたフィードバックデバイスを備える、条項40~46のいずれかに記載の
システム。
【0177】
[条項48]
衝突検出器は、衝突を予測することによって衝突を検出するように構成される、条項3
9~47のいずれかに記載のシステム。
【0178】
[条項49]
ローカライザは、追跡デバイスの1つ以上のマーカから光を検知するための1つ以上の
光センサを含む、条項39~48のいずれかに記載のシステム。
【0179】
[条項50]
衝突検出器は、仮想視野境界の位置及び向きに対する仮想物体の位置及び向きを追跡す
るように構成される、条項39~49のいずれかに記載のシステム。
【0180】
[条項51]
仮想境界生成器は、追跡デバイスが出ることを制約される空間の輪郭を描く形状を有す
る境界仮想物体を生成し、追跡デバイスからの光がローカライザに送達されることができ
るようにすることによって、仮想視野境界を生成するように構成される、条項39~50
のいずれかに記載のシステム。
【0181】
[条項52]
仮想境界生成器は、ローカライザの位置及び向きに基づいて境界仮想物体を生成するこ
とによって、仮想視野境界を生成するように構成される、条項39~51のいずれかに記
載のシステム。
【0182】
[条項53]
仮想視野境界は、円筒形、球形又は円錐台形のうちの少なくとも1つである、条項39
~52のいずれかに記載のシステム。