(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】スライドファスナーユニット
(51)【国際特許分類】
A44B 19/30 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A44B19/30
(21)【出願番号】P 2020520979
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2018020109
(87)【国際公開番号】W WO2019224998
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】特許業務法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 努
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知也
(72)【発明者】
【氏名】伊与田 義智
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-069809(JP,A)
【文献】実開平07-035162(JP,U)
【文献】実開昭62-097044(JP,U)
【文献】実開昭62-041234(JP,U)
【文献】米国特許第06145911(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 19/00
B60N 2/00
F16C 29/00
F16C 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内溝(21)を備える基体(20)と、前記案内溝(21)の内部に収容される溝収容部(32)及び前記案内溝(21)の外部に突出すると共に対象物を取り付ける取付部(31)を備える移動体(30)であって前記基体(20)に対して前記案内溝(21)の長手方向に往復動可能に案内される前記移動体(30)とを含むレールユニット(10R)に対し連結する前段階のスライドファスナーユニット(60Y)において、
前記案内溝(21)の開口部(211)を覆う為に幅方向に対向すると共に幅方向に直交する長手方向に開閉可能な一対のファスナーストリンガー(61A,61B,66A,66B)と、一対の前記ファスナーストリンガー(61A,61B,66A,66B)を開閉すると共に前記長手方向の両側から前記取付部(31)に対して着脱可能な一対のスライダー連結体(70A,70B)とを備え、
前記スライダー連結体(70A,70B)は、一対の前記ファスナーストリンガー(61A,61B,66A,66B)を開閉するスライダー胴部(91)と、前記取付部(31)に連結する取付部用連結部(81)とを部位として備え、
前記スライダー胴部(91)を含むスライダー本体(90)と、前記スライダー本体(90)に連結するスライダー用連結部(85)および前記取付部用連結部(81)を含む連結部材(80)とを別々の部品として備え、前記スライダー本体(90)と前記連結部材(80)とを一体化したものであり、
前記連結部材(80)は前記スライダー本体(90)を収容する収容穴(86)を備え、
一対の前記ファスナーストリンガー(61A,61B,66A,66B)は、一対の前記スライダー連結体(70A,70B)によって一体化されており、その長手方向の全長のうち一対の前記スライダー連結体(70A,70B)の間の部分を開放口部(60T)とするものであることを特徴とするスライドファスナーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動車シート等の移動可能な対象物を移動方向に案内するレールユニットと、レールユニットの一面を覆うスライドファスナーユニットとを含む移動案内装置に関して、そのスライドファスナーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動案内装置として、車両の車体側に固定される基体としてのロワレール(Lower rail)と、座席側に固定された移動体としてのアッパーレール(Upper
rail)とを含むスライドレール装置が知られている(特許文献1参照)。ロワレールには、その長手方向に沿った案内溝が形成されており、アッパーレールは案内溝に沿って移動可能に配置されている。
【0003】
また上記したスライドレール装置は、ロワレール、アッパーレールの他に、案内溝の開口部を覆う一対の溝遮蔽部材と、一対の溝遮蔽部材を開閉可能な一対のスライダーとを備えるものである。またスライダーは、アッパーレールの移動方向における両端にそれぞれ取り付けられている。ちなみにロワレールとアッパーレールとを連結して一体化したものは、本明細書ではレールユニットと称されるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上記した特許文献1には、レールユニットと一対の溝遮蔽部材と一対のスライダーとをどのようにして組み立てれば、移動案内装置を効率的に製造できるのかに関しての記載が無い。特にロワレールに対して一対のファスナーストリンガーを載せるときに、アッパーレールの上部(より詳しく言えばアッパーレールうちロワレールの案内溝から上方に突出する部分)が邪魔になるので、その点をどのようにして解消すればよいのかに関しての記載が特許文献1には無い。
【0006】
そこで本発明者は溝遮蔽部材をファスナーストリンガーとして明確に認識して、一対のファスナーストリンガーと一対のスライダーとを一体化したものをスライドファスナーとして単に認識するのではなく、さらにスライダーとレールユニットとを連結するための連結部をスライダーに一体化し、その連結部が一体化されたスライダーをスライダー連結体として認識し、ひいては一対のファスナーストリンガーと一対のスライダー連結体とを一体化したものを、スライドファスナーユニットとして認識することにより、移動案内装置を効率的に製造できないか考えた。
【0007】
本発明は上記実情を考慮して創作されたものであり、その目的は移動案内装置を効率的に製造できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうちスライドファスナーユニットは、案内溝を備える基体と、案内溝の内部に収容される溝収容部及び案内溝の外部に突出すると共に対象物を取り付ける取付部を備える移動体であって基体に対して案内溝の長手方向に往復動可能に案内される移動体とを含むレールユニットに対し連結する前段階のスライドファスナーユニットを前提とする。
そして本発明のスライドファスナーユニットは、案内溝の開口部を覆う為に幅方向に対向すると共に幅方向に直交する長手方向に開閉可能な一対のファスナーストリンガーと、一対のファスナーストリンガーを開閉すると共に前記長手方向の両側から取付部に対して着脱可能な一対のスライダー連結体とを備えるものとする。
またスライダー連結体は、一対のファスナーストリンガーを開閉するスライダー胴部と、取付部に連結する取付部用連結部とを部位として備え、スライダー胴部を含むスライダー本体と、スライダー本体に連結するスライダー用連結部および取付部用連結部を含む連結部材とを別々の部品として備え、スライダー本体と連結部材とを一体化したものである。
連結部材はスライダー本体を収容する収容穴を備えるものとする。
そして一対のファスナーストリンガーは、一対のスライダー連結体によって一体化されており、その長手方向の全長のうち一対のスライダー連結体の間の部分を取付部を通す為の開放口部とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一対のファスナーストリンガーが一対のスライダー連結体によって一体化されているので、一対のファスナーストリンガーの開放口部の内側に移動体の取付部を通すだけで、一対のファスナーストリンガーを基体の上に載せることができ、しかも一対のスライダー連結体が移動体に対して着脱可能なので、一対のスライダー連結体を移動させるだけで取付部に連結することができ、レールユニットとスライドファスナーユニットとを含む移動案内装置を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る移動案内装置が装着された自動車シートを示す斜視図。
【
図2】第1実施形態に係る移動案内装置を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る移動案内装置を展開して示す斜視図。
【
図6】第1実施形態に係る移動案内装置の要部を示す断面図。
【
図7】第2実施形態に係る移動案内装置を示す断面図。
【
図8】第3実施形態に係る移動案内装置の要部を示す断面図。
【
図9】第4実施形態に係る移動案内装置の要部を示す断面図。
【
図10】第4実施形態に係る移動案内装置の要部を示す説明図。
【
図11】移動案内装置の製造方法の一工程を示す斜視図。
【
図12】移動案内装置の製造方法の一工程を示す斜視図。
【
図13】移動案内装置の製造方法の一工程を示す斜視図。
【
図14】スライダー連結体の一部品を下方から視た状態を示す斜視図。
【
図16】スライダー連結体の一部品をアッパーレールの方から見た図面。
【
図18】スライダー連結体を上方から視た状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~6において、第1実施形態に係る移動案内装置10は、移動させる対象物としての自動車シート1(座席)を前後方向に案内するスライドレール装置である。自動車シート1は、
図1に示すように、座部を形成したシートクッション2と、背もたれ部を形成したシートバッグ3と、搭乗者の頭部を支えるヘッドレスト4とによって構成されている。図において、X、Y、Z方向は互いに直交しており、X方向は後述するロワレール20(Lower rail)の長手方向に沿っており、Y方向はロワレール20の幅方向に沿っており、Z方向はロワレール20の高さ方向に沿っている。なお以後の説明ではX方向は前後方向として、Y方向は左右方向として、Z方向は上下方向として説明されていることもある。またY方向内側とはY方向に離隔した2点間の距離が接近する方向であり、Y方向外側とは当該2点間の距離が離隔する方向である。
【0017】
移動案内装置10は、
図2,3に示すように、案内溝21が形成された基体としてのロワレール20と、案内溝21に沿って移動可能に配置された移動体としてのアッパーレール30(Upper rail)と、案内溝21の開口部211を挟んで配置された第一サイドカバー40Aおよび第二サイドカバー40Bと、第一サイドカバー40Aおよび第二サイドカバー40Bに保持されたスライドファスナー60とを備えている。
【0018】
なおロワレール20とアッパーレール30とを連結して一体化したものは、前述したようにレールユニット10Rと称される。
【0019】
ロワレール20は、自動車内の床に埋設されるものであり、
図4,5に示すように、下片部22と、下片部22の長手方向に沿った両側縁から上方に延びた一対の側片部23,24と、側片部23,24の上縁からY方向内側に接近するように折曲した一対の上片部25,26と、上片部25,26の内側縁から下方に延出した一対のレール部27,28とを有している。側片部23,24のZ方向における高さ寸法は互いに等しく、上片部25,26のY方向における幅寸法は互いに等しい。下片部22、側片部23,24および上片部25,26によって案内溝21が形成されており、案内溝21の開口部211は、上片部25,26間に形成されている。
【0020】
ロワレール20の長手方向における両端部には、
図2,3に示す端部材11が取り付けられている。端部材11には、第一サイドカバー40Aおよび第二サイドカバー40Bの後述する固定片部42に係合する係合片部111(
図3参照)が形成されている。
【0021】
アッパーレール30は、
図4,5に示すように、案内溝21の外部に突出すると共に自動車シート1のシートクッション2が取り付けられる取付部としてのアウターレール部31と、取付部31の下面に連続していると共に案内溝21に収容される溝収容部としてのインナーレール部32とを有している。
図2に示すように、取付部31のX方向における両端には後述する第一スライダー連結体70Aおよび第二スライダー連結体70Bが取り付けられている。インナーレール部32は、ロワレール20の案内溝21に配置されており、ロワレール20のレール部27,28にX方向に走行可能に嵌合している。
【0022】
第一サイドカバー40Aは、
図4~6に示すように、カバー本体片部41と、カバー本体片部41の下面(ロワレール20に対向する側の片面)から下方に延出した固定片部42とを有しており、断面略T字状に形成されている。
【0023】
カバー本体片部41には、その下面から下方に突出した支え突部としてのリブ43が形成されている。リブ43は、カバー本体片部41の長手方向に沿って延びており、カバー本体片部41のY方向における内側の側縁部411と固定片部42との間に位置している。側縁部411は開口部211に沿って配置されている。リブ43の先端部431は、側縁部411よりも下方に位置しており、上片部25に当接している。リブ43および側縁部411間には凹溝45が形成されている。カバー本体片部41は、Y方向において固定片部42よりも外側部分が内側部分よりも厚く形成されている。
【0024】
固定片部42の下縁部421はY方向外側に膨出している。固定片部42は、ロワレール20の側片部23および前述した端部材11の係合片部111間に差し込まれることで、
図4に示すように係合片部111に係合し、これにより固定片部42はロワレール20に固定される。
【0025】
なお、第二サイドカバー40Bは、第一サイドカバー40Aと同様に構成されているとともに左右逆向きに対となって配置されているので、図に同符号を適宜付して詳細な説明を省略する。
【0026】
スライドファスナー60は、
図2,3に示すように、第一サイドカバー40Aに保持された第一ファスナーストリンガー61Aと、第二サイドカバー40Bに保持された第二ファスナーストリンガー61Bと、アッパーレール30のX方向における一方の端部に取り付けられた第一スライダー連結体70Aと、アッパーレール30のX方向における他方の端部に取り付けられた第二スライダー連結体70Bとを備えている。第一スライダー連結体70Aおよび第二スライダー連結体70Bは互いに同様に構成されており、X方向に対となって配置されている。また第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bとは、幅方向であるY方向に対向すると共に、幅方向に直交する方向であるX方向を長手方向とするものである。そして第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bとは、第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとによって一体化され、X方向に開閉可能なものである。なお本実施形態でのスライドファスナー60は、第一ファスナーストリンガー61Aと、第二ファスナーストリンガー61Bと、第一スライダー連結体70Aと、第二スライダー連結体70Bとを部品として備えるものであり、一対のファスナーストリンガーと一対のスライダー連結体とを一体化したものを、スライドファスナーユニットと称する。そしてスライドファスナーユニットに関しては、後述する移動案内装置10の製造方法で説明する。
【0027】
第一ファスナーストリンガー61Aは、案内溝21の開口部211を覆って配置されたファスナーテープ62と、ファスナーテープ62に取り付けられていると共に第一スライダー連結体70Aおよび第二スライダー連結体70Bがスライド可能に連結したファスナーエレメント65とを備えている。
【0028】
ファスナーテープ62は、X方向に沿ったテープ部621と、テープ部621のY方向外側の側縁部に芯紐等によって形成された膨大部622とを有している。テープ部621は、第一サイドカバー40Aの側縁部411および上片部25間の隙間を挿通して配置されており、膨大部622は、ファスナーテープ62の閉鎖移動において側縁部411に当接可能に凹溝45に配置されている。
【0029】
このファスナーテープ62は、Y方向に開閉移動可能であり、膨大部622がカバー本体片部41の側縁部411に当接することで、ファスナーテープ62が第一サイドカバー40Aから脱落しないように当該第一サイドカバー40Aに係合する。
【0030】
なお、第二ファスナーストリンガー61Bは、第一ファスナーストリンガー61Aと同様に構成されているとともに左右逆向きに対となって配置されているので、図に同符号を適宜付して詳細な説明を省略する。
【0031】
前述した第一サイドカバー40A、第二サイドカバー40Bおよびスライドファスナー60によって溝遮蔽ユニット15が形成されている。
【0032】
図6に示すように、上片部25と側縁部411との隙間の寸法Gは、ファスナーテープ62のテープ部621の厚さ寸法よりも大きい。リブ43の突出寸法L1(カバー本体片部41の下面からリブ43の先端面までの寸法)は、凹溝45の溝深さ寸法と等しい。このため、リブ43の突出寸法L1に対するカバー本体片部41の下面から側縁部411の下面までの寸法の差が寸法Gである。凹溝45のY方向における幅寸法W1は、膨大部622のY方向における幅寸法W2と当該膨大部622がY方向に最大限移動する幅寸法W3とを合わせた寸法とされており、幅寸法W3を2倍にした寸法が、
図5に示すスライドファスナー60の最大開口幅の幅寸法Wに一致する。
なお、スライドファスナー60は、スライダー連結体70A,70Bによって開閉するものであればよいので、後述するファスナーエレメント65の形態に限られず、ファスナーエレメント同士の係合または解除が繰り返し可能な各種の形態を使用できる。例えばファスナーエレメント同士が解除可能に凹凸係合するレールファスナーが挙げられる。
【0033】
[第1実施形態の動作]
以下、第1実施形態に係る移動案内装置10の動作について説明する。
先ず、自動車シート1の前後方向への移動とともにアッパーレール30がロワレール20に対してX方向に移動する。このとき、アッパーレール30の移動方向における前方側の第一スライダー連結体70Aは、
図4に示すように係合したファスナーエレメント65同士の係合を解除して分離し、左右のファスナーテープ62はY方向外側に開放移動する。これにより、スライドファスナー60のうち第一スライダー連結体70Aよりも後方側は
図5に示すように開かれた開放状態となる。一方、アッパーレール30の移動方向における後方側の第二スライダー連結体70Bは、
図5に示すように左右方向に分離されたファスナーエレメント65同士を係合するので、スライドファスナー60のうち第二スライダー連結体70Bよりも後方側は閉鎖状態となる。
【0034】
また、自動車シート1の前後方向への移動が前述した移動方向とは逆方向である場合には、アッパーレール30の移動方向における前方側に第二スライダー連結体70Bが位置し、後方側に第一スライダー連結体70Aが位置するが、前述した動作と概略同様の動作を行う。
このように、アッパーレール30がX方向に移動した場合には、スライドファスナー60はアッパーレール30のうち案内溝21の開口部211に位置する部分だけを開放状態とし、当該部分以外では閉鎖状態とするので、スライドファスナー60によって開口部211を遮蔽した状態が保たれる。従って、小物などが案内溝21に入ってしまったり、土などの異物が案内溝21に堆積してアッパーレール30の移動を妨げることを防止できる。また、ファスナーテープ62が開閉移動してもほとんど撓められることがないので、ファスナーテープ62の材料を布製に比べて硬質な樹脂材料を採用可能であり、ファスナーテープ62が外部から圧迫されても案内溝21に落ち込みにくい構成にできる。例えば、ファスナーテープ62は、合成樹脂製の単体もしくは合成樹脂と布の複合体が使用できる。
【0035】
[第1実施形態の効果]
(1)一片のカバー本体片部41によってファスナーテープ62が係合される箇所(凹溝45、側縁部411)を構成することで、全体形状が略コの字型またはC型の形状とされた本体部を形成する場合と比べて、第一サイドカバー40A(第二サイドカバー40B)の本体部分の厚さ寸法を小さくしてスリム化できる。
また、第一サイドカバー40A(第二サイドカバー40B)の固定片部42がロワレール20に固定されるうえ、カバー本体片部41の下面から突出したリブ43がロワレール20に当接して当該カバー本体片部41を支えるので、カバー本体片部41が踏まれるなどして外力が加えられた際の撓みを抑制できる。このため、カバー本体片部41がファスナーテープ62に押し付けられることによる当該ファスナーテープ62の開閉移動に抗する抵抗力の増大を抑えることができ、移動案内装置10を円滑に作動させることができる。
(2)アッパーレール30の移動に伴ってファスナーテープ62が開閉移動した場合、膨大部622は凹溝45において側縁部411およびリブ43間を揺動する。このため、ファスナーテープ62が開放移動して第一サイドカバー40A(第二サイドカバー40B)に押し付けられることによる撓み変形をなくし得る。
また、膨大部622がカバー本体片部41の側縁部411に当接した場合には、ファスナーテープ62が第一サイドカバー40A(第二サイドカバー40B)に係合した状態となるので、当該ファスナーテープ62の脱落を防止できる。
(3)リブ43は、カバー本体片部41の長手方向に連続しているので、リブ43をカバー本体片部41の長手方向にわたってロワレール20に当接させることができ、例えばカバー本体片部41の長手方向において部分的にロワレール20に当接する支え突部と比べて、カバー本体片部41を、よりしっかりと支えることができる。
【0036】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る移動案内装置10Aを説明する。
図7に示すように、移動案内装置10Aは、第1実施形態に係る移動案内装置10Aと概略同様に構成されているが、第一ファスナーストリンガー61A、第二ファスナーストリンガー61B、第一サイドカバー40Aおよび第二サイドカバー40Bに代えて、第一ファスナーストリンガー66A、第二ファスナーストリンガー66B、第一サイドカバー46Aおよび第二サイドカバー46Bを備えている点で相違する。
【0037】
第一ファスナーストリンガー66Aは、前述したファスナーエレメント65およびファスナーテープ62を有しているが、テープ部621のY方向外側における側縁部が上方に折曲されているとともにその先端部に膨大部622が配置されている。
【0038】
第一サイドカバー46Aは、カバー本体片部41および固定片部42を有しているが、リブ43の先端部431Aが側縁部411側に向かって延びて形成されている。また、第一サイドカバー46Aには、リブ43のほかにも、上片部25に当接した追加のリブ43Aがリブ43および固定片部42間に形成されている。ここで、リブ43の先端部431Aおよび側縁部411間の開口寸法(ここではY方向における開口寸法)は、膨大部622の径寸法よりも小さくされている。リブ43の先端部431Aは、第一ファスナーストリンガー66Aのファスナーテープ62の下方に位置している。
【0039】
なお、第二ファスナーストリンガー66Bおよび第二サイドカバー46Bは、第一ファスナーストリンガー66Aおよび第一サイドカバー46Aと同様に構成されているとともに左右逆向きに配置されている。
【0040】
この移動案内装置10Aでは、ファスナーテープ62の開閉移動に伴い、膨大部622は、凹溝45に滑り込んでY方向に揺動する。この移動案内装置10Aによれば、リブ43の先端部431Aとカバー本体片部41の側縁部411との間の開口が狭く形成されるので、ファスナーテープ62の膨大部622が第一サイドカバー46A(第二サイドカバー46B)の凹溝45から外れない構成となる。このため、スライドファスナー60、第一サイドカバー46Aおよび第二サイドカバー46Bを組合せ状態で取り扱うことができ、スライドファスナー60の設置、並びに第一サイドカバー46Aおよび第二サイドカバー46Bのロワレール20への取付作業を容易に行うことができる。
【0041】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る移動案内装置を説明する。
第3実施形態に係る移動案内装置は、第1実施形態に係る移動案内装置10と概略同様に構成されているが、
図8に示すように、リブ43の先端部431Aがカバー本体片部41の側縁部411側に向かって延びて形成されており、側縁部411に傾斜面411Aが形成されており、そして、ファスナーテープ62の膨大部622がテープ部621に対して下方側(先端部431A側)に偏心している点が相違する。傾斜面411Aは、側縁部411のうち凹溝45を形成する内面によって形成されており、リブ43側に向かうにつれて当該リブ43の先端部431A側から基端部432側に傾斜している。
この移動案内装置によれば、リブ43の先端部431Aが側縁部411に向かって延びており、膨大部622を凹溝45に配置するためにファスナーテープ62が撓められている場合であっても、前述した傾斜面411Aによってファスナーテープ62を開閉移動する方向に案内でき、スライドファスナー60の開閉を円滑に行うことができる。ここで、リブ43の先端部431Aおよび側縁部411間の開口寸法(ここではZ方向における開口寸法)は、膨大部622の径寸法よりも小さくされている。
【0042】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態に係る移動案内装置を説明する。
第4実施形態に係る移動案内装置は、第1実施形態に係る移動案内装置10と概略同様に構成されているが、
図9,10に示すように、カバー本体片部41は、リブ43に代えて、側縁部411の下面から突出した複数の支え突部43Bを有しており、ファスナーテープ62は、膨大部622に代えて、テープ部621に形成された複数の長孔623を有している。複数の支え突部43Bは、カバー本体片部41の長手方向に沿って並んで配置されており、複数の長孔623に配置されている。複数の長孔623は、ファスナーテープ62の開閉移動方向であるY方向に沿っている。
この移動案内装置によれば、ファスナーテープ62は、長孔623の長手方向端部に支え突部43Bが当接しない範囲で開閉移動可能となるので、ファスナーテープ62が開放移動して第一サイドカバー40A(第二サイドカバー40B)に押し付けられることによる撓み変形をなくし得る。
また、長孔623の長手方向端部に支え突部43Bが当接することによってファスナーテープ62が第一サイドカバー40A(第二サイドカバー40B)に係合することで、当該ファスナーテープ62の脱落を防止できる。
更に、カバー本体片部41の側縁部411と支え突部43Bとの間に凹溝45を形成する必要がないので、カバー本体片部41のY方向における幅寸法を小さくすることができる。
【0043】
上記した第1~第4実施形態に係る移動案内装置の製造方法(組立方法)の一例を、第1実施形態に係る移動案内装置10を用いて以下に説明する。製造方法の一例を説明する前に、
図11~13に示すように第1実施形態に係る移動案内装置10に関して、第一スライダー連結体70Aとアッパーレール30との取り付け構造を説明する。また前述したように第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとは同様の構成であるので、第二スライダー連結体70Bとアッパーレール30との取り付け構造については詳細な説明を省略する。以後、第一スライダー連結体70Aをアッパーレール30に取り付けた状態を基準として、第一スライダー連結体70Aとアッパーレール30とを説明する。
【0044】
第一スライダー連結体70Aは
図13,又は
図18,19に示すように、アッパーレール30に着脱可能なアッパーレール用連結部81と、一対のファスナーストリンガーである第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bとを開閉可能なスライダー胴部91とを部位として備える。なおアッパーレール用連結部81は、アッパーレール30のうち取付部としてのアウターレール部31に連結するものであり、取付部用連結部とも称される。
また本実施形態では第一スライダー連結体70Aは二部品から構成され、スライダー胴部91を含むスライダー本体90と、アッパーレール用連結部81を含むと共にスライダー本体90に連結する連結部材80とを別々の部品として備えるものである。そして第一スライダー連結体70Aはスライダー本体90と連結部材80とを一体化したものである。
【0045】
スライダー本体90は、第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bとを開閉可能なスライダー胴部91と、スライダー胴部91から突出すると共にスライダー胴部91を操作するための操作部92とを備えるものである。
【0046】
スライダー胴部91は、Z方向に対向する上翼板93および下翼板94と、Z方向に延びると共に上翼板93と下翼板94との間に架設する柱95と、上翼板93および下翼板94の少なくとも一方から互いの間隔を狭めるように突出するフランジ96とを備えるものである。そしてスライダー胴部91は、上翼板93と下翼板94との間にファスナーエレメントを通すエレメント路97を備える。エレメント路97は、柱95に対してX方向の一方側に延びる直線路と、直線路から柱95によってY方向に二又に分岐しながらX方向の他方側に延びる二つの分岐路とを備える。
【0047】
操作部92は、上翼板93から下翼板94に対し離れるようにZ方向に突出するものである。Z方向から視ると、操作部92は上翼板93の幅方向(Y方向)の中間部に位置するものである。また操作部92は、単独で又は上翼板93と協働でY方向に貫通する貫通穴98を形成するものである。本実施形態では操作部92は上翼板93と協働でY方向に貫通する貫通穴98を形成するものである。より具体的に言えば操作部92は棒状であり、上翼板93から下翼板94に対し離れるようにZ方向の一方向に突出すると共に、そのZ方向に延びた先部から上翼板93に対向する状態でX方向の一方向に延び、そのX方向に延びた先部から上翼板93に接近するようにZ方向の他方向に延びるものである。また操作部92は、俗に引手取付部と称されるものである。
【0048】
連結部材80は
図14~19に示すように、スライダー本体90に連結するスライダー用連結部85と、アッパーレール30に連結するアッパーレール用連結部81とを備える。そして連結部材80はスライダー用連結部85とアッパーレール用連結部81とを一体にした一体成形品である。
【0049】
スライダー用連結部85はZ方向を厚み方向とするものである。スライダー用連結部85はその下面にスライダー本体90を収容する収容穴86を備える。
収容穴86は、操作部92を収容する第1の収容穴87と、上翼板93を収容する第2の収容穴88とを備えるものである。第1の収容穴87と第2の収容穴88とはZ方向に通じている。また本実施形態では収容穴86はZ方向に貫通している。
【0050】
第2の収容穴88は上翼板93を嵌合させるものである。従ってZ方向から視て第2の収容穴88の内面形状と上翼板93の外面形状とは略同一としてある。また第2の収容穴88の深さと上翼板93の厚みとは略同一としてある。
【0051】
第1の収容穴87は操作部92を嵌合させるものである。そして従ってZ方向から視て第1の収容穴87の内面形状と操作部92の外面形状とは略同一としてある。
【0052】
上記した収容穴86を備える連結部材80とスライダー本体90とを一体化したものが、第一スライダー連結体70Aである。そして連結部材80とスライダー本体90とは弾性を利用して嵌合する一体化用凸部および一体化用凹部を別々に備えるものである。
一体化用凸部は、第1の収容穴87の内面のうちY方向に対向する箇所からそれぞれ突出する突起部89である。
一体化用凹部は、操作部92と上翼板92との間に形成される貫通穴98である。
そして収容穴86にスライダー本体90が収容された場合に、一対の突起部89は操作部92をその下側においてY方向の両側から支えるように貫通穴98に収容される。なお一対の突起部89の間隔のうちY方向の最短間隔は、一対の突起部89に対応する部分における操作部92のY方向の寸法よりも僅かに狭く設定されている。また連結部材80は樹脂製であり、樹脂の弾性変形により一対の突起部89の間隔を一時的に広げることにより、操作部92を通過させるようにしてある。このような構成で第一スライダー連結体70Aは連結部材80とスライダー本体90とを連結して一体化したものである。
【0053】
また第一スライダー連結体70Aとアッパーレール30とは、アッパーレール用連結部81とアウターレール部31とにおいて着脱可能に連結するものである。そしてアッパーレール用連結部81とアウターレール部31とは弾性を利用して嵌合する連結用凸部および連結用凹部を別々に備えるものである。
【0054】
アウターレール部31は筒状であり、X方向に貫通している。従ってアウターレール部31のX方向の両側にはアッパーレール用連結部81を収容する収容空間部が形成される。またアウターレール部31は、X方向の両側であって且つY方向に対向する両内側面には連結用凹部としての連結穴部311を備える。連結穴部311はY方向に貫通する貫通穴としてある。
【0055】
またアッパーレール用連結部81は、アウターレール部31に挿入する挿入部82と、挿入部82とスライダー用連結部85とを接合する接合部83とを備える。
【0056】
挿入部82は、Y方向に対向する一対の側板部821と、一対の側板部821からY方向外側に突出すると共に連結穴部311に嵌合する連結用凸部としての連結突起部822とを備える。また挿入部82は、一対の側板部821におけるZ方向の一端部の間に架設する架設板部823を備える。
【0057】
側板部821はY方向に弾性変形可能な弾性板部824を備える。本実施形態では弾性板部824はX方向に延びるものであり、それに対応させて側板部821はX方向の一方に開口するU字状のスリット825を備える。またスリット825はY方向に貫通するものである。そしてスリット825で包囲された部分が弾性板部824となっている。弾性板部824はスリット825の開口側(X方向の一方側)の端部を支点として弾性変形する。また弾性板部824におけるX方向の他方側から連結突起部822がY方向外側に突出している。
【0058】
接合部83は、挿入部82に衝突する衝突部831を備えるものである。そして本実施形態では衝突部831は挿入部82の一対の側板部821に対しY方向外側に張り出すものである。
【0059】
上記したアッパーレール用連結部81とアウターレール部31とを連結するときは以下のようにする。第一スライダー連結体70AをX方向に移動させてアッパーレール30のアウターレール部31に衝突させれば、第一スライダー連結体70Aの連結部材80の挿入部82が、アウターレール部31に挿入される。この挿入される間に連結突起部822がアウターレール部31の側板部821の内側面に押し付けられて、弾性板部824が弾性変形し、連結突起部822が側板部821の内側面に接したままX方向に移動する。そして連結突起部822が連結穴部311に達したときに、弾性板部824が復元力によって元の形状に戻るように復元し、連結突起部822と連結穴部311とが嵌合する。
またアッパーレール用連結部81とアウターレール部31とを分解するときは、連結突起部822をアウターレール部31の内側に向かって押し込み、連結突起部822と連結穴部311との嵌合を解除し、その状態のまま第一スライダー連結体70Aをアウターレール部31から離れるようにX方向に移動させる。
【0060】
このようにしてアッパーレール用連結部81とアウターレール部31とは連結および分解される。そしてその結果、アッパーレール30に対して第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとはそれぞれ着脱可能となり、ひいては移動案内装置10は、レールユニット10Rとスライドファスナーユニット60Yとを着脱可能(連結および分解を可能)とするものとなる。
より詳しく言えばレールユニット10Rとスライドファスナーユニット60Yとは、レールユニット10Rのアウターレール部31(取付部)とスライドファスナーユニット60Yのアッパーレール用連結部81(取付部用連結部)とで連結が可能であると共に、アウターレール部31とアッパーレール用連結部81との連結を解除することでレールユニット10Rとスライドファスナーユニット60Yとに分解が可能である。
そして移動案内装置10は、このようなユニット単位での連結と分解を可能とすることで、組立工数が簡素化されるとともに、部品破損時の交換のメンテナンスや組み換えが容易に行えるなどの有利な効果を備える。
【0061】
上記した第1実施形態に係る移動案内装置10の製造方法(組立方法)は以下の1)~4)の工程を備えるものである。
1)まずは
図11に示すようにレールユニット10Rとスライドファスナーユニット60Rとを準備する工程が行われる。
スライドファスナーユニット60Rはレールユニット10Rに連結する前段階のものであり、前述したように一対のファスナーストリンガーと一対のスライダー連結体とを一体化したものを意味し、一対のファスナーストリンガーと一対のスライダー連結体とを単に揃えただけで一体化されていないものを意味しない。第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bは、第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとによって一体化されたものである。そして第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとは、その長手方向の全長のうち第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとが離隔する方向の部分を閉鎖状態(閉鎖口部60S)とすると共に、その長手方向の全長のうち残りの部分(一対のスライダー連結体70A,70Bの間の部分)を開放状態(開放口部60T)としてある。
閉鎖口部60Sは、第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bの対向する側縁部のうちファスナーエレメントが係合している部分である。
開放口部60Tは、第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bの対向する側縁部のうちファスナーエレメントが分離している部分である。
そして開放口部60Tの内側にアウターレール部31を通せるように、第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bの位置を設定する。第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bがその長手方向に延びている状態の場合、第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bの厚み方向から視て、開放口部60Tの内側に形成される貫通穴60Uは、当該長手方向に延びる線状となっている。しかし開放口部60Tの位置において第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bを離れるように幅方向に引っ張ったときに、当該厚み方向から視て、開放口部60Tの内側に形成される貫通穴60Uは面状になる。貫通穴60Uが面状となったときの開放口部60Tにアウターレール部31を通せるように、第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bの位置を設定する。
レールユニット10Rは以下の状態のものである。レールユニット10Rはロワレール20とアッパーレール30とが連結した状態である。そしてロワレール20の案内溝21の長手方向(X方向)における中間部にアッパーレール30が配置されていることが望ましい。
【0062】
2)次に
図12に示すように第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bとの開放口部60Tの内側(貫通穴60U)にアウターレール部31を通してアッパーレール30にスライドファスナーユニット60Rを載せる工程が行われる。
【0063】
3)次に
図12,13に示すように第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bを移動させることによってアウターレール部31に連結する工程が行われる。第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bをアウターレール部31に連結した状態では、第一ファスナーストリンガー61A及び第二ファスナーストリンガー61Bの双方の長手方向と案内溝21の長手方向(X方向)とは一致している。そして第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bは、案内溝21の幅方向の両側に配置された状態で案内溝21の開口部211を覆う。
【0064】
4)次に図示しないが、一対のサイドカバー(第一サイドカバー40Aと第二サイドカバー40B)を第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bの上に載せる工程が行われる。なお一対の端部材11をロワレール20に取り付ける工程はどの工程で行われていても良い。
【0065】
また移動案内装置10の取付部に対象物である自動車用シートを固定する工程は、2)の工程の後であればいつでも良い。
【0066】
上記したスライドファスナーユニット60Y、移動案内装置10、および移動案内装置10の製造方法は、第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bとが第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとによって一体化されているので、開放口部60Tの内側にアッパーレール30のアウターレール部31を通すだけで、第一ファスナーストリンガー61Aと第二ファスナーストリンガー61Bとをロワレール20の上に載せることができ、しかも第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとがアッパーレール30に対して着脱可能なので、第一スライダー連結体70Aと第二スライダー連結体70Bとを移動させるだけでアッパーレール30に連結することができ、レールユニット10Rとスライドファスナーユニット60Rとを含む移動案内装置10を効率的に製造することができる。
【0067】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
第一スライダー連結体70Aは前記実施形態ではそれぞれ二部品(スライダー本体90と連結部材80)を弾性を利用して嵌合することによって一体化したものであったが、本発明ではこれに限らず二部品を接着によって一体化したものであっても良いし、スライダー本体と連結部材とが一体となった一体成形品、つまり一部品であっても良い。この場合、第一スライダー連結体70Aは、スライダー胴部と、取付部用連結部(アウターレール用連結部)とが一体となった一体成形品である。そしてこの場合のアウターレール用連結部はアウターレール部に挿入する挿入部、挿入部とスライダー胴部を接合する接合部を備えるものとする。第二スライダー連結体70Bも同様である。
【0068】
前記実施形態では、自動車シート1を案内可能に構成された移動案内装置10,10Aを説明したが、このほか、移動案内装置は、コンソールボックスを案内可能に構成されてもよく、また、ヘッドレストやシフトレバーなどを案内可能に構成されてもよく、更に、工場等で用いられる物品搬送装置の案内部、工作機械の移動案内部、その他各種の案内部を構成するものとして適用されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…自動車シート、10,10A…移動案内装置、10R…レールユニット、11…端部材、111…係合片部、15…溝遮蔽ユニット、2…シートクッション、20…ロワレール(基体)、21…案内溝、211…開口部、22…下片部、23,24…側片部、25,26…上片部、27,28…レール部、3…シートバッグ、30…アッパーレール(移動体)、31…アウターレール部(取付部)、311…連結穴部、32…インナーレール部(溝収容部)、4…ヘッドレスト、40A,46A…第一サイドカバー、40B,46B…第二サイドカバー、41…カバー本体片部、411…側縁部、411A…傾斜面、42…固定片部、421…下縁部、43,43A…リブ(支え突部)、431,431A…先端部、432…基端部、43B…支え突部、45…凹溝、60…スライドファスナー、60S…閉鎖口部、60T…開放口部、60U…貫通穴、60Y…スライドファスナーユニット61A…第一ファスナーストリンガー、61B…第二ファスナーストリンガー、62…ファスナーテープ、621…テープ部、622…膨大部、623…長孔、65…ファスナーエレメント、66A…第一ファスナーストリンガー、66B…第二ファスナーストリンガー、70A…第一スライダー連結体、70B…第二スライダー連結体、80…連結部材、81…アッパーレール用連結部(取付部用連結部)、82…挿入部、821…側板部、822…連結突起部823…架設板部、824…弾性板部、825…スリット、83…接合部、831…衝突部、85…スライダー用連結部、86収容穴、87…第1の収容穴、88…第2の収容穴、89…突起部、90…スライダー本体、91…スライダー胴部、92…操作部、93…上翼板、94…下翼板、95…柱、96…フランジ、97…エレメント路、98…貫通穴、G…隙間の寸法、L1…突出寸法、W,W1~W3…幅寸法。