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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】自動車両用投光装置のための投影装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/275 20180101AFI20220128BHJP
   F21S 41/141 20180101ALI20220128BHJP
   F21S 41/265 20180101ALI20220128BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220128BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20220128BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220128BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20220128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220128BHJP
【FI】
F21S41/275
F21S41/141
F21S41/265
F21V5/00 610
F21V5/02 150
F21V5/02 400
G02B3/00 A
F21W102:155
F21Y115:10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020530467
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018082676
(87)【国際公開番号】W WO2019110374
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】17205396.9
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】マンドル、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】モーゼル、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】バウアー、フリートリヒ
(72)【発明者】
【氏名】シャーデンホーファー、ペーター
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534503(JP,A)
【文献】実開昭63-157102(JP,U)
【文献】特開2013-200980(JP,A)
【文献】国際公開第2017/157624(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/275
F21S 41/141
F21S 41/265
F21V 5/00
F21V 5/02
G02B 3/00
F21W 102/155
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用投光装置のための投影装置であって、
投影装置(1)は、当該投影装置(1)に割り当てられた少なくとも1つの光源(2)の光を自動車両の前方の領域に減光ライト光分布を含む少なくとも1つの光分布の形で結像するよう構成されており、
投影装置(1)は、
・マイクロ入射光学系(3a)の全数を有する入射光学系(3)、
・マイクロ出射光学系(4a)の全数を有する出射光学系(4)
を含み、
各マイクロ入射光学系(3a)には丁度1つのマイクロ出射光学系(4a)が割り当てられており、
マイクロ入射光学系(3a)から出射するすべての光がそれに割り当てられたマイクロ出射光学系(4a)にのみ入射するよう、マイクロ入射光学系(3a)は構成されており及び/又はマイクロ入射光学系(3a)とマイクロ出射光学系(4a)は互いに対し配置されており、
マイクロ入射光学系(3a)によって予成形された光はマイクロ出射光学系(4a)によって自動車両の前方の領域に少なくとも1つの光分布として結像され、
各マイクロ入射光学系(3a)はそれ自身を通過した光を少なくとも1つのマイクロ出射光学系焦点に合焦し、該マイクロ出射光学系焦点はマイクロ入射光学系(3a)とそれに割り当てられたマイクロ出射光学系(4a)との間に位置し、マイクロ入射光学系(3a)とマイクロ出射光学系(4a)の間には少なくとも1つの絞り装置(8a’、8a’’)が配置されており、
少なくともマイクロ入射光学系(3a)とこれに割り当てられたマイクロ出射光学系(4a)とこれらの間に位置する少なくとも1つの絞り装置(8a’、8a’’)とによって夫々1つの減光ライトマイクロ光学系が構成され、
少なくとも1つの絞り装置(8a’、8a’’)は、夫々のマイクロ出射光学系(4a)によって放射される光分布が減光ライト光分布の一部分を構成するように、夫々のマイクロ出射光学系(4a)によって結像される光分布を制限するよう構成されており、このために、絞り装置(8a’、8a’’)は、減光ライト光分布の明暗境界の推移を結像する少なくとも1つの光学的作用絞りエッジ(K)を有し、
減光ライトマイクロ光学系の全数は少なくとも2つのグループの減光ライトマイクロ光学系、即ち、
・少なくとも第1バリエーションの絞り装置(8a’)を備えた第1グループの減光ライトマイクロ光学系、及び、
・少なくとも第2バリエーションの絞り装置(8a’’)を備えた第2グループの減光ライトマイクロ光学系
を含み、
第2バリエーションの絞り装置(8a’’)に、絞りエッジ(K)にまで形成された絞り装置の遮光領域(D)の内部に明暗境界の上側に位置する光分布(Lsign)を結像するための少なくとも部分的に透光性の少なくとも1つのウインドウ(F)が形成されていることによって、第2バリエーションの絞り装置(8a’’)の形状は少なくともその点に関し第1バリエーションの絞り装置(8a’)の形状と相違していること
第2バリエーションの個別絞り装置(8a’’)の少なくとも部分的に透光性のウインドウ(F)はU字状に形成されていること
を特徴とする投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影装置において、
マイクロ入射光学系(3a)の全数はアレイに配置されていること、及び、
マイクロ出射光学系(4a)の全数はアレイに配置されていること
を特徴とする投影装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の投影装置において、
第2バリエーションの個別絞り装置(8a’’)は、明暗境界の上側に位置する光分布(Lsign)が明暗境界から0.5°~2°の垂直方向角度をなして離隔されるよう構成されていること
を特徴とする投影装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の投影装置において、
第2バリエーションの個別絞り装置(8a’’)は、明暗境界の上側に位置する光分布(Lsign)が10°~50°の水平角度領域にわたって及び2°~10°の垂直角度領域にわたって延在するよう構成されていること
を特徴とする投影装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の投影装置において、
第2バリエーションの個別絞り装置(8a’’)の少なくとも部分的に透光性のウインドウ(F)は矩形の形状を有すること
を特徴とする投影装置。
【請求項6】
請求項1~の何れかに記載の投影装置において、
第2バリエーションの個別絞り装置(8a’’)の少なくとも部分的に透光性のウインドウ(F)は完全に透光性であること
を特徴とする投影装置。
【請求項7】
請求項1~の何れかに記載の投影装置において、
第2バリエーションの個別絞り装置(8a’’)の少なくとも部分的に透光性のウインドウ(F)は部分的にのみ透光性であること
を特徴とする投影装置。
【請求項8】
請求項1~の何れかに記載の投影装置において、
少なくとも1つの絞り装置はガラス製の支持体(5)に結合していること
を特徴とする投影装置。
【請求項9】
請求項に記載の投影装置において、
入射光学系(3)も出射光学系(4)も、当該入射光学系(3)と当該出射光学系(4)との間に配置された絞り装置の少なくとも1つの支持体(5)に固定的に結合されていること
を特徴とする投影装置。
【請求項10】
請求項又はに記載の投影装置において、
入射光学系(3)及び出射光学系(4)と少なくとも1つの支持体(5)との固定的結合は夫々透明な接着結合として形成されていること
を特徴とする投影装置。
【請求項11】
少なくとも1つの請求項1~10の何れかに記載の投影装置(1)と、該投影装置(1)に光を供給するための少なくとも1つの光源(2)とを含む、自動車両用投光装置のためのマイクロ投影ライトモジュール。
【請求項12】
少なくとも1つの請求項11に記載のマイクロ投影ライトモジュールを含む車両用投光装置ないし自動車両用投光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両用投光装置のための投影装置であって、
投影装置は、当該投影装置に割り当てられた少なくとも1つの光源の光を自動車両の前方の領域に少なくとも1つの光分布、即ち減光ライト光分布の形で結像するよう構成されており、
投影装置は、
・好ましくはアレイに配置されたマイクロ入射光学系の全数を有する入射光学系、
・好ましくはアレイに配置されたマイクロ出射光学系の全数を有する出射光学系
を含み、
各マイクロ入射光学系には丁度1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、
マイクロ入射光学系から出射する実質的にすべての光がそれに割り当てられたマイクロ出射光学系にのみ入射するよう、マイクロ入射光学系は構成されており及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は互いに対し配置されており、
マイクロ入射光学系によって予成形された光はマイクロ出射光学系によって自動車両の前方の領域に少なくとも1つの光分布として結像され、
各マイクロ入射光学系はそれ自身を通過した光を少なくとも1つのマイクロ出射光学系焦点に合焦し、該マイクロ出射光学系焦点はマイクロ入射光学系とそれに割り当てられたマイクロ出射光学系との間に位置し、マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の間には少なくとも1つの絞り装置が配置されており、
少なくともマイクロ入射光学系とこれに割り当てられたマイクロ出射光学系とこれらの間に位置する少なくとも1つの絞り装置とによって夫々1つの減光ライト(ロービーム)マイクロ光学系が構成され、
少なくとも1つの絞り装置は、夫々のマイクロ出射光学系によって放射される光分布が減光ライト光分布の一部分を構成するように、夫々のマイクロ出射光学系によって結像される光分布を制限(画成:Begrenzung)するよう、構成されており、このために、絞り装置は、減光ライト光分布の明暗境界の推移(境界線)を結像(形成)する少なくとも1つの光学的に作用する絞りエッジ(光学的作用絞りエッジ)を有する、投影装置に関する。
【0002】
本発明は、更に、少なくとも1つの本発明の投影装置と、該投影装置に光を供給するための少なくとも1つの光源とを含む、自動車両用投光装置のためのマイクロ投影ライトモジュールに関する。
【0003】
本発明は、更に、少なくとも1つの本発明のマイクロ投影ライトモジュールを含む車両用投光装置、とりわけ自動車両用投光装置に関する。
【背景技術】
【0004】
従来技術から、例えば冒頭に記載したタイプの投影装置を記載する文献AT514967B1が既知になっている。該文献には、複数のマイクロ入射光学系と複数のマイクロ出射光学系を有し、該マイクロ入射光学系と該マイクロ出射光学系の間に絞り装置が配置されている、投影装置が記載されている。投影システムでは、所望の光分布に応じて(とりわけ減光ライト(ロービーム)光分布の場合)、光分布は焦点面においてビーム絞りによって切除される(絞られる)。この場合、減光ライト光分布では、対向車の眩惑を阻止するために、明暗境界の上側の光は吸収又は反射される。しかしながら、光の小部分は、散乱光(迷光:Streulicht)(サインライト:Signlight)に関する法令上の条件を満たすために、明暗境界の上側に目標を定めて(適切に)偏向される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】AT514967B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
散乱光(迷光)条件は、従来は、通常、光分布を結像するレンズ上のプリズムによって満たされる。しかしながら、これは、マイクロ投影システムの場合、サブミリメートル領域にまで小型化されるため、従って、同時に表れる許容差に対する大きな要求のため、困難であることが判明した。
【0007】
本発明の課題は従来技術の上記の欠点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は冒頭に記載したタイプの投影装置によって解決される。即ち、本発明の一視点により、自動車両用投光装置のための投影装置であって、
投影装置は、当該投影装置に割り当てられた少なくとも1つの光源の光を自動車両の前方の領域に減光ライト光分布を含む少なくとも1つの光分布の形で結像するよう構成されており、
投影装置は、
・マイクロ入射光学系の全数を有する入射光学系、
・マイクロ出射光学系の全数を有する出射光学系
を含み、
各マイクロ入射光学系には丁度1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、
マイクロ入射光学系から出射する実質的にすべての光がそれに割り当てられたマイクロ出射光学系にのみ入射するよう、マイクロ入射光学系は構成されており及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は互いに対し配置されており、
マイクロ入射光学系によって予成形された光はマイクロ出射光学系によって自動車両の前方の領域に少なくとも1つの光分布として結像され、
各マイクロ入射光学系はそれ自身を通過した光を少なくとも1つのマイクロ出射光学系焦点に合焦し、該マイクロ出射光学系焦点はマイクロ入射光学系とそれに割り当てられたマイクロ出射光学系との間に位置し、マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の間には少なくとも1つの絞り装置が配置されており、
少なくともマイクロ入射光学系とこれに割り当てられたマイクロ出射光学系とこれらの間に位置する少なくとも1つの絞り装置とによって夫々1つの減光ライト(ロービーム)マイクロ光学系が構成され、
少なくとも1つの絞り装置は、夫々のマイクロ出射光学系によって放射される光分布が減光ライト光分布の一部分を構成するように、夫々のマイクロ出射光学系によって結像される光分布を制限(画成:Begrenzung)するよう、構成されており、このために、絞り装置は、減光ライト光分布の明暗境界の推移(境界線)を結像(形成)する少なくとも1つの光学的に作用する絞りエッジ(光学的作用絞りエッジ)を有する、投影装置が提供される。
該投影装置においては、本発明の一視点に応じ、減光ライトマイクロ光学系の全数は少なくとも2つのグループの減光ライトマイクロ光学系、即ち、
・少なくとも第1バリエーションの絞り装置を備えた第1グループの減光ライトマイクロ光学系、及び、
・少なくとも第2バリエーションの絞り装置を備えた第2グループの減光ライトマイクロ光学系
を含み、
第2バリエーションの絞り装置に、絞りエッジにまで形成された絞り装置の遮光領域の内部に明暗境界の上側に位置する光分布を結像するための少なくとも部分的に透光性の少なくとも1つのウインドウが形成されていることによって、第2バリエーションの絞り装置の形状(形態:Ausgestaltung)は少なくともその点に関し第1バリエーションの絞り装置の形状(形態)と相違しており、
第2バリエーションの個別絞り装置の少なくとも部分的に透光性のウインドウはU字状に形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に応じて設けられる透光性ウインドウによって、光は、例えば道路標識板の照明のために設けられた散乱領域(Streubereich)へ導かれることができ、この領域における照明の強度は、適切な数及び形状のウインドウないし第2バリエーションの絞り装置を選択することによって達成(決定)することができる。
【0010】
光学的作用絞りエッジとは、光分布を制限(画成)するために光分布の結像に関与(作用)する絞りエッジとして理解されるものである。
【0011】
「・・・出射する実質的にすべての光」という文言は、1つのマイクロ入射光学系から出射する全光流の少なくとも大部分を当該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系のみに入射させることを志向している(目指している)ことを意味する。とりわけ、眩惑を引き起こし得る迷光等のような不利な光学的効果(作用)を引き起こす方法で隣接するマイクロ出射光学系に光流(光ビーム)を入射させないことを志向することができる。
【0012】
更に、「マイクロ入射光学系は構成されており及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は互いに対し配置されており」という文言は、全光流が割り当てられたマイクロ出射光学系に正確に指向される機能のみを有するか又はその本来的機能に加えて当該機能をも有する例えば絞り(以下参照)のような付加的措置(手段)を備えることができるというようにも、理解されることができる。
【0013】
従来の投影システムの場合のようなただ1つの光学系の代わりに(相互に)割り当てられる複数の、多数のマイクロ光学系を使用することによって、マイクロ光学系自体の焦点距離もサイズも「従来の」光学系の場合よりも顕著により小さくなる。同様に、従来の光学系と比べて中心厚みも減少されることができる。このため、投影装置の構造深さ(奥行き)は従来の光学系と比べて顕著に減少されることができる。
【0014】
マイクロ光学系システムの数を増やすことによって、一方では、光流は増大又はスケール変更されることができ、この場合、マイクロ光学系システムの数の上限は、なかんずく、その都度利用可能な製造方法によって制限される。減光ライト機能を生成するためには、例えば200~400のマイクロ光学系システムで十分ないしは好都合であり得る。なお、上限と下限をこれらの数値に限定することは意図しておらず、これらは単なる数値の例に過ぎない。光流を増大するためには、同種の(同質の)マイクロ光学系の数を増大することが好都合である。反対に、複数の異なる光分布を生成又は重ね合わせるために、異なる光学的挙動(性質)を有する複数(種類)のマイクロ光学系を1つの投影システムに導入する(組み込む)よう、多数のマイクロ光学系を使用することもできる。従って、多数のマイクロ光学系は、従来の光学系にはなかった多様な形状の可能性も可能にする。
【0015】
そのようなライトモジュールは、更に、スケール変更可能である。即ち、同一構造の又は類似的に構成された複数の光モジュールは1つのより大きな全体システムに、例えば車両投光装置(自動車前照灯等)に統合されることができる。
【0016】
1つの投影レンズを備えた従来の投影システムでは、該レンズは60mm~90mmの典型的な直径を有する。本発明のモジュールでは、個別マイクロ光学系システムは(垂直方向V及び水平方向Hが)凡そ2mm×2mmの典型的サイズと(Zが)凡そ6mm~10mmの深さ(奥行)を有し(例えば図1参照)、そのため、Z方向において、本発明のモジュールは、従来のモジュールと比べて、顕著により小さい深さ(奥行)を有する。
【0017】
本発明のライトモジュールないし投影装置は、小さな構造深さを有することができ、かつ、原理的に、自由に構成(形状形成)可能である。即ち、例えば、第1部分光分布を生成するための第1ライトモジュールを第2部分光分布のための第2ライトモジュールから分離されるよう構成すること、これらを相対的に自由に、即ち垂直及び/又は水平及び/又は深さ(奥行)に関し互いに対しずらして配置することができ、そのため、設計仕様(設定)もより容易に実現することができる。
【0018】
本発明のライトモジュールないし投影装置の更なる一利点は、投影装置に関する(1つ又は複数の)光源の正確な位置決めは考慮されない(行われない)ことである。正確な位置決めは、マイクロレンズアレイに対する照明ユニットの距離は正確である必要はないという限りで、重要性がより小さい。マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系が、これらはほぼ1つのシステムを形成するため、一旦既に互いに対し適切に調整されることによって、実際の(1つ又は複数の)光源の正確でない位置決めは重要性がより小さくなる。実際の光源とは、例えば、複合放物面型集光器(Compound Parabolic Concentrator:CPC)又はTIR(全内反射型:Total Inner Reflection)レンズのようなコリメータによってその光が平行に揃えられる(平行光線化される)例えば発光ダイオードのようなほぼ点状の光源である。
【0019】
投影装置ないしライトモジュールは、減光ライト(ロービーム)光分布とは異なるタイプの光分布を生成するために使用される付加的なマイクロ光学系システムを含むこともできる。ここで、「所定のタイプ」の光分布とは、関連基準(規格)に応じて生成される光分布、例えばEU諸国におけるUN/ECE規則の、とりわけ規則123及び48の基準(規格)又は他の国又は地域の関連基準(規格)に応じた光分布として理解されるものである。
【0020】
概念「走行路(ないし道路)」は、以下においては、説明の単純化のためにのみ使用されている。というのは、光像が実際に走行路上に存在するか又は更には路面を超えてその上方に延在するかは、場所的状態に依存することは明らかであるからである。例えば、放射される光分布を試験するために、光像は関連基準に応じた垂直面に投影される。ここでいう関連基準とは、例えば、国際連合欧州経済委員会(UN/ECE)規則第123号及び第48号の「自動車用配光可変型前照灯システム(AFS)の認可に関する統一規定」及び「灯火器及び指示装置の取付装置に係る協定規則に係る車両の認可に関する統一規定」、連邦規則集CFRのタイトル49:運輸、チャプタV、パート571-連邦自動車基準、サブパートBに§571.108として規定されているアメリカ合衆国において適用される連邦自動車安全基準FMVSS第108号「ランプ類、反射器、及び関連装置」、及び、自動車照明技術に関連する中華人民共和国の国家基準GB/T30036/2013「自動車用配向可変型前照灯システム」である。
【0021】
とりわけ、そのような照明装置には、異なる複数の光分布を生成するための2つ以上のグループが設けられ、各グループが、例えば以下の光分布の1つから選択される異なる光分布を形成することは好都合に可能である:
)ターンライト(Abbiegelicht)用光分布;
)市街地ライト(Stadtlicht)用光分布;
)地方道(ないし一般道)ライト(Landstrassenlicht)用光分布;
)アウトバーンライト用光分布;
)アウトバーンライトの補助ライト用光分布;
)コーナリングライト(Kurvenlicht)用光分布;
)減光ライト(ロービーム)・近フィールド(Vorfeld)用光分布;
)遠方フィールド(Fernfeld)における非対称減光ライト(ロービーム)用光分布;
)コーナリングモードの場合の遠方フィールドにおける非対称減光ライト(ロービーム)用光分布;
)遠方ライト(ハイビーム)用光分布;
)アンチグレア遠方ライト(ハイビーム)用光分布。
【0022】
そのような光分布の例はとりわけ文献AT 514967 B1に見出すことができる。
【0023】
とりわけ、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系は、明暗境界の上側に位置する光分布が明暗境界から0.5°~2°の垂直方向角度をなして離隔されるよう構成されることができる。第2バリエーションのすべての減光ライトマイクロ光学系がこのように構成されることも可能であろう(従って「個別」とは個々の要素に着目した概念であり、個々の要素の総体としての「すべての要素」と同義ではない)。
【0024】
同様に、第2バリエーションの個別(又はすべての)減光ライトマイクロ光学系は、明暗境界の上側に位置する光分布が10°~50°の水平角度領域にわたって及び2°~10°の垂直角度領域にわたって延在するよう構成されることができる。
【0025】
有利には、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系の少なくとも部分的に透光性のウインドウは実質的に矩形の形状を有することができる。ウインドウの上側エッジの推移は、当該推移が絞り装置の光学的に作用するエッジ(光学的作用エッジ)に対し平行に推移する即ち明暗境界に対し平行に形成されるようにして、僅かに逸れる(ずらされる)ことができる。
【0026】
代替的に、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系の少なくとも部分的に透光性のウインドウはU字状に形成されることができる。
【0027】
個別絞り装置の異なる形状の透光性ウインドウが互いに重ね合わされることもでき、それによって、サインライト(ないし標識ライト)の光分布が目標を定めて適合化されること―例えば一様化されること―ができる。
【0028】
かくして、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系の少なくとも透光性のウインドウは完全に透光性であるか、又は、部分的にのみ透光性であることが可能である。個別減光ライトマイクロ光学系ないし夫々が属する(割り当てられている)絞り装置のウインドウ(複数)はそれらの形状及び/又は透光性が互いに異なることも可能である。かくして、例えば、個別(個々の)ウインドウ(複数)は重ね合わされるが、それらのサイズが互いに異なることも可能である。従って、これらのウインドウは、互いにフォトメトリックに(photometrisch)に重ね合わされる領域の暗化(ないし遮光:Abschattung)に役立つ。
【0029】
更に、少なくとも1つの絞り装置は支持体に結合されることができ、支持体はガラスで形成されることができる。更に、入射光学系も出射光学系も、当該入射光学系と当該出射光学系との間に配置された絞り装置の少なくとも1つの支持体に固定的に結合されることができる。かくして、例えば熱膨張に起因する、不所望の影響は最小化されることができ、出射光学系に対する入射光学系のないしは入射光学系に対する出射光学系の持続的かつ正確な位置決めが保証されることができる。更に、有利には、入射光学系及び出射光学系と少なくとも1つの支持体との固定的結合は夫々透明な接着結合(透明な接着剤による結合)として形成されることができる。
【0030】
本発明は、更に、少なくとも1つの本発明の投影装置と、該投影装置に光を供給するための少なくとも1つの光源とを含む、自動車両用投光装置のためのマイクロ投影ライトモジュールに関する。有利には、各減光ライトマイクロモジュールには1つのLED光源が割り当てられている。
【0031】
更に、本発明は、少なくとも1つの本発明のマイクロ投影ライトモジュールを含む車両用投光装置、とりわけ自動車両用投光装置(自動車前照灯等)に関する。
【0032】
更に、本発明は、少なくとも1つの本発明の車両用投光装置を含む車両、とりわけ自動車両(自動車等)に関する。
【0033】
本発明のすべての実施形態ないし実施例は近フィールド(ないし前方フィールド:Vorfeld)用光分布の生成との関連で設けられることも全般的に可能である。
【0034】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の一視点参照。
(形態2)形態1の投影装置において、
マイクロ入射光学系の全数はアレイに配置されていること、及び、
マイクロ出射光学系の全数はアレイに配置されていることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の投影装置において、第2バリエーションの個別絞り装置は、明暗境界の上側に位置する光分布が明暗境界から0.5°~2°の垂直方向角度をなして離隔されるよう構成されていることが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの投影装置において、第2バリエーションの個別絞り装置は、明暗境界の上側に位置する光分布が10°~50°の水平角度領域にわたって及び2°~10°の垂直角度領域にわたって延在するよう構成されていることが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの投影装置において、第2バリエーションの個別絞り装置の少なくとも部分的に透光性のウインドウは実質的に矩形の形状を有することが好ましい
形態)形態1~の何れかの投影装置において、第2バリエーションの個別絞り装置の少なくとも部分的に透光性のウインドウは完全に透光性であることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの投影装置において、第2バリエーションの個別絞り装置の少なくとも部分的に透光性のウインドウは部分的にのみ透光性であることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの投影装置において、少なくとも1つの絞り装置はガラス製の支持体に結合していることが好ましい。
(形態)形態に記載の投影装置において、入射光学系も出射光学系も、当該入射光学系と当該出射光学系との間に配置された絞り装置の少なくとも1つの支持体に固定的に結合されていることが好ましい。
(形態10)形態又はの投影装置において、入射光学系及び出射光学系と少なくとも1つの支持体との固定的結合は夫々透明な接着結合として形成されていることが好ましい。
(形態11)少なくとも1つの形態1~10の何れかの投影装置と、該投影装置に光を供給するための少なくとも1つの光源とを含む、自動車両用投光装置のためのマイクロ投影ライトモジュールも好ましい。
(形態12)少なくとも1つの形態11のマイクロ投影ライトモジュールを含む車両用投光装置ないし自動車両用投光装置も好ましい。
本発明は、以下において、図面に示されている例示的かつ非限定的な実施形態ないし実施例を用いて詳細に説明される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解のためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】1つの例示的投影装置の模式図。
図2】マイクロ入射光学系及びマイクロ出射光学系が結合可能な透明支持体上に絞り装置を配設するための方法の一例の概略的説明図((図2a)~(図2d))。
図3】絞り装置の複数の異なる形状ないし形態(Ausgestaltungen)の例。
図4】本発明の一実施形態ないし実施例による互いに隣り合うよう列に並べられた複数の絞り装置の一構造例の断面(図4a);図4aの構造によって生成される光分布の一例(図4b)。
図5】本発明の更なる一実施形態ないし実施例による互いに隣り合うよう列に並べられた複数の絞り装置の一構造例の断面(図5a);図5aの構造によって生成される光分布の一例(図5b)。
【実施例
【0036】
以下の図面(に示された実施形態ないし実施例)の説明において―別段の定めがない限り―同じ参照符号は同じ特徴に関する。
【0037】
図1はマイクロ投影ライトモジュール6の一例における例示的な投影装置1の模式図であり、投影装置1は―以下に説明されるように―本発明に応じて構成された複数の絞り装置を備えて構成されることができる。そのようにして構成された本発明の投影装置1は自動車両用投光装置(自動車前照灯等)における使用に適合化されており、投影装置1は、当該投影装置1に割り当てられた少なくとも1つの光源2(但し、各マイクロ入射光学系3aに1つの個別に制御可能な光源、とりわけ好ましくはLEDが割り当てられると有利である)の光を自動車両の前方の領域に少なくとも1つの光分布の形で、具体的には減光ライト(ロービーム)用光分布の形で結像するよう構成されている。光源2によって放射された光は例えばコリメータ7を介して入射光学系3へ導かれることができる。投影装置1は、有利にはアレイ(状)に配置されたマイクロ入射光学系3aの全数(すべてのマイクロ入射光学系3a)を有する入射光学系3と、有利にはアレイ(状)に配置されたマイクロ出射光学系4aの全数(すべてのマイクロ出射光学系4a)を有する出射光学系4とを含み、各マイクロ入射光学系3aには丁度1つのマイクロ出射光学系4aが割り当てられている。
【0038】
マイクロ入射光学系3aから出射する実質的にすべての光がそれに割り当てられたマイクロ出射光学系4aにのみ入射するよう、マイクロ入射光学系(複数)3aは構成されており及び/又はマイクロ入射光学系(複数)3aとマイクロ出射光学系(複数)4aは互いに対し配置されており、マイクロ入射光学系3aによって予成形された光はマイクロ出射光学系4aによって自動車両の前方の領域へ少なくとも1つの光分布として結像される。各マイクロ入射光学系3aは、当該マイクロ入射光学系3aがそれ自身を通過する光を少なくとも1つのマイクロ入射光学系焦点に合焦するよう構成されており、マイクロ入射光学系焦点はマイクロ入射光学系3aとそれに割り当てられたマイクロ出射光学系4aとの間に位置しており、マイクロ入射光学系3aとマイクロ出射光学系4aの間には、少なくとも1つの絞り装置8a(図3参照)が配されており、夫々少なくともマイクロ入射光学系3aとそれに割り当てられたマイクロ出射光学系4aとこれらの間に位置する少なくとも1つの絞り装置8aとによって1つの減光ライトマイクロ光学系が構成される。
【0039】
少なくとも1つの絞り装置8aは、マイクロ出射光学系4aによって放射される光分布が減光ライト光分布の一部分を構成するように、夫々のマイクロ出射光学系4aによって結像される光分布を制限(画成)するよう構成されており、絞り装置8aは、そのために、減光ライト光分布の明暗境界の推移を結像する少なくとも1つの光学的に作用する絞りエッジ(光学的作用絞りエッジ)K(図4a、図5a及び図6a参照)を有する。
【0040】
減光ライトマイクロ光学系の全数は少なくとも2つのグループの減光ライトマイクロ光学系、具体的には、
・少なくとも1つの第1バリエーションの絞り装置8a’(図3a参照)を備えた第1グループの減光ライトマイクロ光学系、及び、
・少なくとも1つの第2バリエーションの絞り装置8a’’(図3b又は図3c参照)を備えた第2グループの減光ライトマイクロ光学系
を含み、
絞り装置8a’’に、絞りエッジKにまで形成された絞り装置8a’’の遮光(シャドー形成)領域D(図3b及び図3c参照)の内部に明暗境界の上側に位置する光分布Lsignを結像するための少なくとも部分的に透光性の少なくとも1つのウインドウFが形成されていることによって、第2バリエーションの絞り装置8a’’の形状(形態)は少なくともその点に関し第1バリエーションの絞り装置8a’の形状(形態)と相違している。
【0041】
図2(a)~図2(d)は自動車両用投光装置のための本発明の投影装置1の製造方法の一例の各ステップを模式的に示し、投影装置1は、当該投影装置1に割り当てられた少なくとも1つの光源2の光を自動車両の前方の領域に少なくとも1つの光分布の形で結像するよう構成されている。図2(a)は、図2(b)において第1絞り装置8aが例えばスクリーン印刷又は金属蒸着によって配される第1フラット面5aを有する支持体5の一例を示し、支持体5は少なくとも部分的にガラスからなる。図2(c)は該方法の次のステップb)、即ち有利にはアレイ(状)に配置される複数のマイクロ入射光学系3aを有する入射光学系3の、支持体5の第1フラット面5aにおける固定(結合)を示す。入射光学系3は、第1絞り装置8aを少なくとも部分的にカバーし、かつ、光が入射光学系3を介し第1絞り装置8aを通過して少なくとも部分的に支持体5内に侵入できるよう配置され、支持体5の第1フラット面5aにおける入射光学系3の固定(結合)は透光性接着物質によって行われる。図2(d)は、入射光学系3が支持体5に既に固定的に結合されている状態を示す。次に、ステップc)に応じ、第1フラット面5aの反対側に位置する支持体5のフラット面(対向面)5bに―例えば散乱光(迷光:Streulicht)を回避するための―第2絞り装置が配される。最後に、出射光学系4を支持体5の対向面に配することができる。
【0042】
図3a、3b及び3cは異なる形状(形態)の絞り装置の例を示す。図3aは、本書において第1バリエーションの絞り装置8a’と称される従来の絞り装置8a’に関する。図3b及び3cは、光を明暗境界の上側に位置する領域へ導くよう構成された夫々透光性のウインドウFを有する第2バリエーションの絞り装置8a’’に関する。これらのウインドウが本絞り装置に明暗境界を生成するための光学的作用絞りエッジの下側に設けられるという構成(ないし事実:Tatsache)は、光像が本実施形態においてなおも後続のビーム路において水平軸の周りで180°回転されることに基づいてなされている。
【0043】
図4aは本発明の一実施形態による互いに隣り合うよう列に並べられた複数の絞り装置8a’及び8a’’の一構造例の断面を示す。第2バリエーションの絞り装置8a’’の適切な形状形成及び個数の適切な選択によって、明暗境界の上側に結像されるべき光分布は目的通りに(適切に)予め与えられる(予め設定される)ことができる。図4bは、図4aの構造例によって生成された光分布を示し、明暗境界の上側に存在する光分布Lsignが明確に示されている。光分布の内部における明るさは、同じ照度(照明強度)の領域を表す等値線によって表されている。本図においては、照度は、明暗境界の下側すれすれのところで最大値を取り、外側に向かって減少する。明暗境界の推移及びその上側に配されている付加的光分布Lsignの推移は同図において明確に認識できる。
【0044】
図5aは本発明の更なる一実施形態による互いに隣り合うよう列に並べられた複数の絞り装置8a’及び8a’’の一構造例の断面を示す。この場合、第2バリエーションの個々の絞り装置8a’’の幾何学的形状は目的通りに(適切に)変更されており、そのため、それによって生成される光分布Lsign(図5b参照)の内部の明るさは一様化される。
【0045】
本発明の投影システムでは、数10~数1000個の小型化されたマイクロ光学系が並べられて1つのアレイを構成することができる。このアレイは(有利にはコリメータによる)可及的に平行な光で照明される。個々の光分布が重ね合わさって所望の全体光分布になる。
【0046】
絞り装置8a’及び8a’’は例えばリソグラフィにより製造されることができる。
【0047】
原理的に、ウインドウFの他の輪郭も可能である。複数の異なる処理ステップを使用することによって、ウインドウFの透過率(透過度)を部分的に修正することも可能であり、かくして、部分領域(複数)はそれに依存してより強く吸収性に又はより強く透過性(透光性)に構成されることができる。図5aによる上記の例では、ウインドウ(複数)Fのほぼ3/4は部分的に閉鎖されることができる。これは、すべての貫通部における閉鎖されるべき領域が25%の透過率を有する(よう構成される)ことによっても、達成(実現)されることができる。このようにして、ビーム絞りのサインライトのために望まれる位置における透過率を変化することによっても、サインライトは生成されることができる。
【0048】
本教示を考慮することにより、当業者であれば、発明活動無しで(創作能力を発揮することなく)本発明の不図示の他の実施形態(複数)に到達(想到)することができる。本発明は、従って、図示の実施形態ないし実施例に限定されない。更に、本発明ないし実施形態(複数)の各視点(特徴)は個別の選択及び相互の組み合わせが可能である。重要であるのは、本書の内容を知った当業者によって多様に展開可能であるが、それ自体は不変に維持される本発明の基礎をなす技術的思想である。
【0049】
ここに、本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]自動車両用投光装置のための投影装置。
投影装置は、当該投影装置に割り当てられた少なくとも1つの光源の光を自動車両の前方の領域に少なくとも1つの光分布、即ち減光ライト光分布の形で結像するよう構成されている。
投影装置は、
・好ましくはアレイに配置されたマイクロ入射光学系の全数を有する入射光学系、
・好ましくはアレイに配置されたマイクロ出射光学系の全数を有する出射光学系
を含む。
各マイクロ入射光学系には丁度1つのマイクロ出射光学系が割り当てられている。
マイクロ入射光学系から出射する実質的にすべての光がそれに割り当てられたマイクロ出射光学系にのみ入射するよう、マイクロ入射光学系は構成されており及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は互いに対し配置されている。
マイクロ入射光学系によって予成形された光はマイクロ出射光学系によって自動車両の前方の領域に少なくとも1つの光分布として結像される。
各マイクロ入射光学系はそれ自身を通過した光を少なくとも1つのマイクロ出射光学系焦点に合焦し、該マイクロ出射光学系焦点はマイクロ入射光学系とそれに割り当てられたマイクロ出射光学系との間に位置し、マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の間には少なくとも1つの絞り装置が配置されている。
少なくともマイクロ入射光学系とこれに割り当てられたマイクロ出射光学系とこれらの間に位置する少なくとも1つの絞り装置とによって夫々1つの減光ライトマイクロ光学系が構成される。
少なくとも1つの絞り装置は、夫々のマイクロ出射光学系によって放射される光分布が減光ライト光分布の一部分を構成するように、夫々のマイクロ出射光学系によって結像される光分布を制限するよう構成されており、このために、絞り装置は、減光ライト光分布の明暗境界の推移を結像する少なくとも1つの光学的作用絞りエッジを有する。
減光ライトマイクロ光学系の全数は少なくとも2つのグループの減光ライトマイクロ光学系、即ち、
・少なくとも第1バリエーションの絞り装置を備えた第1グループの減光ライトマイクロ光学系、及び、
・少なくとも第2バリエーションの絞り装置を備えた第2グループの減光ライトマイクロ光学系
を含む。
第2バリエーションの絞り装置に、絞りエッジにまで形成された絞り装置の遮光領域の内部に明暗境界の上側に位置する光分布を結像するための少なくとも部分的に透光性の少なくとも1つのウインドウが形成されていることによって、第2バリエーションの絞り装置の形状は少なくともその点に関し第1バリエーションの絞り装置の形状と相違している。
[付記2]上記の投影装置において、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系は、明暗境界の上側に位置する光分布が明暗境界から0.5°~2°の垂直方向角度をなして離隔されるよう構成されている。
[付記3]上記の投影装置において、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系は、明暗境界の上側に位置する光分布が10°~50°の水平角度領域にわたって及び2°~10°の垂直角度領域にわたって延在するよう構成されている。
[付記4]上記の投影装置において、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系の少なくとも部分的に透光性のウインドウは実質的に矩形の形状を有する。
[付記5]上記の投影装置において、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系の少なくとも部分的に透光性のウインドウはU字状に形成されている。
[付記6]上記の投影装置において、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系の少なくとも透光性のウインドウは完全に透光性である。
[付記7]上記の投影装置において、第2バリエーションの個別減光ライトマイクロ光学系の透光性のウインドウは部分的にのみ透光性である。
[付記8]上記の投影装置において、少なくとも1つの絞り装置はガラス製の支持体に結合している。
[付記9]上記の投影装置において、入射光学系も出射光学系も、当該入射光学系と当該出射光学系との間に配置された絞り装置の少なくとも1つの支持体に固定的に結合されている。
[付記10]上記の投影装置において、入射光学系及び出射光学系と少なくとも1つの支持体との固定的結合は夫々透明な接着結合として形成されている。
[付記11]少なくとも1つの上記の投影装置と、該投影装置に光を供給するための少なくとも1つの光源とを含む、自動車両用投光装置のためのマイクロ投影ライトモジュール。
[付記12]少なくとも1つの上記のマイクロ投影ライトモジュールを含む車両用投光装置、とりわけ自動車両用投光装置。

【符号の説明】
【0050】
1 投影装置
2 光源
3 入射光学系
3a マイクロ入射光学系
4 出射光学系
4a マイクロ出射光学系
5 支持体
5a フラット面
7 コリメータ
8a’ 第1バリエーションの絞り装置
8a’’ 第2バリエーションの絞り装置

D 遮光領域
F ウインドウ
K 絞りエッジ
Lsign 明暗境界の上側に位置する(付加的)光分布
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b