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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】自動車投光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/20 20180101AFI20220128BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20220128BHJP
   F21S 41/30 20180101ALI20220128BHJP
   F21S 41/40 20180101ALI20220128BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20220128BHJP
【FI】
F21S41/20
F21S41/16
F21S41/30
F21S41/40
F21W102:13
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021505764
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019070746
(87)【国際公開番号】W WO2020025740
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】18187022.1
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】クローンベルガー、フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘッヒェンベルガー、ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】アーリングハオス、シュテファン
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第3038695(FR,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013227194(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014200368(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2682671(EP,A2)
【文献】独国特許出願公開第102011013211(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3351849(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/20
F21S 41/16
F21S 41/30
F21S 41/40
F21W 102/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放出するよう構成された光源(110、210)、
第1焦点及び第2焦点を有する楕円面リフレクタ(130、230)、但し、楕円面リフレクタ(130、230)は、光源(110、210)から第1焦点(131、231)を介して入射された光を第2焦点へと集光し、リフレクタ光出射開口(132、232)を介して出射させるよう構成されている、
コリメータ光入射面(141、241)及びコリメータ光出射面(142、242)を有するコリメータ(140、240)、但し、リフレクタ光出射開口(132、232)はコリメータ光入射面(141、241)の前方のコリメータの入射側焦点距離(145、245)の所に配置されており、コリメータには当該コリメータの出射側焦点距離(146、246)の所に第1像面(170、270)が割り当てられており、及び、コリメータ(140、240)は楕円面リフレクタ(130、230)から出射した光を第1像面(170、270)の方向へ集光して光ビームを形成し、そこに光像を形成するよう構成されている、及び、
第2像面(180、280)が入口側焦点距離(161、261)の所に割り当てられている投射光学系(160、260)、但し、第1像面(170、270)と第2像面(180、280)は交差するか又は重なり合っており、投射光学系(160、260)は光像を自動車投光装置(100、200)の放射方向へ投射するよう構成されている、
を含む、自動車投光装置であって、
コリメータ(140、240)と投射光学系(160、260)の間の光ビームの光路に、少なくとも1つの光学的有効エッジ(151、152、251、252)を有する光学素子(150、250)が位置付けられており、該光学素子(150、250)は光ビームが部分的に投射光学系(160、260)に到達するよう当該光ビームを該少なくとも1つの光学的有効エッジによって境界付けるよう構成されており、及び、光学素子(150、250)は第1及び/又は第2像面(170、270、180、280)が当該光学素子(150、250)を貫通して延在するよう配置されていること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車投光装置において、
前記少なくとも1つの光学的有効エッジ(151、251)は直線的に延伸し、実質的に水平に配向されていること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動車投光装置において、
自動車投光装置(100、200)ないし光学素子(150、250)は、夫々直線的に延伸し、かつ、自動車投光装置(100、200)の減光ライト機能のための明暗境界が形成可能であるよう前記光ビームの光路に配置されている少なくとも2つのエッジを含むこと
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の自動車投光装置において、
光源(110、210)は、少なくとも1つの半導体光源又は少なくとも1つのレーザダイオードを有すること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の自動車投光装置において、
自動車投光装置(100、200)は、更に、前記光ビームの光路に配置されており、かつ、第1波長領域を有する前記光ビームによる励起の際に、付加的に、該第1波長領域とは異なる第2波長領域を有する少なくとも1つの更なる光ビームを励起するよう構成されている光変換手段を有すること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の自動車投光装置において、
楕円面リフレクタ(130、230)は回転楕円面に従って湾曲されたリフレクタシェルとして構成されていること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の自動車投光装置において、
コリメータ(140、240)はTIR(内面全反射)光学系であること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の自動車投光装置において、
コリメータ(140、240)は、外周突出端部(Abstandskontur)(143、243)を有するコンデンサレンズ(Sammellinse)によって構成されており、該外周突出端部(143、243)はコリメータ光入射面の前方の(上流側の)コリメータ入射側焦点距離(145、245)の所にある面を定義すること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自動車投光装置において、
楕円面リフレクタの第2焦点は前記外周突出端部(143、243)の面内にあること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載の自動車投光装置において、
投射光学系(160、260)は少なくとも1つのコンデンサレンズを有すること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の自動車投光装置において、
前記光学素子(150)は、絞りであり、及び、前記光ビームの第1の部分を該光学素子(150)において前記投射光学系(160)から逸れるよう反射するか又は吸収するよう、かつ前記光ビームの第2の部分を前記少なくとも1つのエッジ(151、152)のそばにおいて前記投射光学系(160)へと通過させるよう、構成されていること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項12】
請求項11に記載の自動車投光装置において、
前記光学素子(150)は実質的に垂直に配向されて配置されていること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項13】
請求項1~10の何れかに記載の自動車投光装置において、
前記光学素子(250)は、反射部材を有し、及び、前記光ビームの第1の部分を当該光学素子(250)の表面における反射によって前記投射光学系(260)へと偏向しかつ前記光ビームの第2の部分を前記少なくとも1つのエッジ(251、252)のそば及び前記投射光学系(260)のそばを通過させるよう構成されていること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項14】
請求項13に記載の自動車投光装置において、
前記光学素子(250)の表面は水平に対し、実質的に10°~50°又は20°~40°の範囲にあり又は30°である傾斜角度(253)をなすよう配向されて配置されていること
を特徴とする自動車投光装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の自動車投光装置において、
前記第1像面(270)は、前記少なくとも1つのエッジ(251)も位置する直線上で前記第2像面(280)と交差していること
を特徴とする自動車投光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車投光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現今の投光装置(前照灯等)システムの発展において、光像を道路に投射可能にすることについての要望が重要な位置を占めることが増々多くなっているが、この場合、光の生成の効率は自動車投光装置の品質及び経済性のために重要である。そのために、種々の投光装置、例えば、道路に複数の異なる光像を形成する主及び付加投光装置が使用される。概念「道路」はここでは説明の簡単化のために使用される。なぜなら、光像が現に道路上に(路面に)(のみ)存在しているか又は更には道路(路面)を超えてその上方にも延伸(存在)しているかについては場所的(現場の)状態に依存することは明らかであるからである。基本的に、(本書で)使用される意味における光像は、自動車照明技術に関係する関連法規に適合する垂直面への投影に相当する。
【0003】
ここで検討するタイプの自動車投光装置の一例は本出願人のAT511760B1に開示されている;図1には、その光学コンポーネントが模式的形状で示されている。従来のタイプの投光装置10は例えば部分遠方ライト(部分ハイビーム)機能のための光分布を生成する。このために、投光装置は、(図1に円で象徴的に示されている)ライトモジュール12に保持・位置決めされている光源11と、コリメータ光学系40と、絞り50と、例えば単一レンズ60として構成されている投射光学系を含む。光源11から出射する光はコリメータ光入射面42においてコリメータ光学系40に入力される。例えば導光指状体(Lichtleitfinger)の形のコリメータとして構成されたコリメータ光学系は、光を集束し、コリメータ光出射面41を介して(貫通して)出射させるために役立つ。コリメータ40は、光源12がコリメータ入射側焦点に位置するよう、位置決めされている;絞り50は、当該絞り50がコリメータ出射側焦点距離に位置するよう、コリメータ40に対して配置されている。かくして、光像は絞り50の面に形成され、絞りは光像の一部を遮光するよう構成されている。絞り50の光路には、絞り50の位置における光像に対し或る距離をなして位置する投射光学系60が後置(下流に配置)されているが、この距離は投射光学系60の焦点距離(より正確には:入口側焦点距離)に相当する。投射光学系60は、光像を自動車投光装置10の放射方向に投射して、所望のタイプの光分布(配光パターン)を投射面(例えば道路)に形成するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】AT 511760 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このタイプの自動車投光装置では、光源によって生成される光が可及的に効率的に成形され、集束され、光像として道路に投射されることが望まれる。この場合、レンズは、しばしば、過度に高価であるか又はその透光特性のために制限的である。更に、所定の構造では、不所望の色収差が生じ得る。更なる重要な問題は、光学コンポーネントにとっての光源のアクセス性であるが、これは光源及びそのサプライコンポーネント(電気供給ケーブル、冷却器)の構造のためにしばしば困難である。これに関連して、光源には、とりわけ光源がレーザ光源の場合、熱が発生し、これによって、投光装置の他のコンポーネント、とりわけ光学系の必須の幾何形状の故に光源の下流側に位置付けられなければならないコリメータ光学系のような光成形コンポーネントが、熱損傷を被り得る。
【0006】
本発明の課題は上記の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一視点により、自動車投光装置が提供される。該自動車投光装置は、
光を放出するよう構成された光源、
第1焦点及び第2焦点を有する楕円面リフレクタ、但し、楕円面リフレクタは、光源から第1焦点を介して入射された光を第2焦点へと集光し、リフレクタ光出射開口を介して出射させるよう構成されている、
コリメータ光入射面及びコリメータ光出射面を有するコリメータ、但し、リフレクタ光出射開口はコリメータ光入射面の前方のコリメータの入射側焦点距離の所に配置されており、コリメータには当該コリメータの出射側焦点距離の所に第1像面が割り当てられており、及び、コリメータは楕円面リフレクタから出射した光を第1像面の方向へ集光して光ビームを形成し、そこに光像を形成するよう構成されている、及び、
第2像面が入口側焦点距離の所に割り当てられている投射光学系、但し、第1像面と第2像面は交差するか又は重なり合っており、投射光学系は光像を自動車投光装置の放射方向へ投射するよう構成されている、
を含み、
コリメータと投射光学系の間の光ビームの光路に、少なくとも1つの光学的有効エッジを有する光学素子が位置付けられており、該光学素子は光ビームが部分的に投射光学系に到達するよう当該光ビームを該少なくとも1つの光学的有効エッジによって境界付けるよう構成されており、及び、光学素子は第1及び/又は第2像面が当該光学素子を貫通して延在するよう配置されていることを特徴とする(形態1)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
(形態1)上記本発明の一視点参照。
(形態2)形態1の自動車投光装置において、前記少なくとも1つの光学的有効エッジは直線的に延伸し、実質的に水平に配向されていることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の自動車投光装置において、自動車投光装置ないし光学素子は、夫々直線的に延伸し、かつ、自動車投光装置の減光ライト機能のための明暗境界が形成可能であるよう前記光ビームの光路に配置されている少なくとも2つのエッジを含むことが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの自動車投光装置において、光源は、少なくとも1つの半導体光源又は少なくとも1つのレーザダイオードを有することが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの自動車投光装置において、自動車投光装置は、更に、前記光ビームの光路に配置されており、かつ、第1波長領域を有する前記光ビームによる励起の際に、付加的に、該第1波長領域とは異なる第2波長領域を有する少なくとも1つの更なる光ビームを励起するよう構成されている光変換手段を有することが好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかの自動車投光装置において、楕円面リフレクタは回転楕円面に従って湾曲されたリフレクタシェルとして構成されていることが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかの自動車投光装置において、コリメータはTIR(内面全反射)光学系であることが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかの自動車投光装置において、コリメータは、外周突出端部(Abstandskontur)を有するコンデンサレンズ(Sammellinse)によって構成されており、該外周突出端部はコリメータ光入射面の前方の(上流側の)コリメータ入射側焦点距離の所にある面を定義することが好ましい。
(形態9)形態8の自動車投光装置において、楕円面リフレクタの第2焦点は前記外周突出端部の面内にあることが好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかの自動車投光装置において、投射光学系は少なくとも1つのコンデンサレンズを有することが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかの自動車投光装置において、前記光学素子は、絞りであり、及び、前記光ビームの第1の部分を該光学素子において前記投射光学系から逸れるよう反射するか又は吸収するよう、かつ前記光ビームの第2の部分を前記少なくとも1つのエッジのそばにおいて前記投射光学系へと通過させるよう、構成されていることが好ましい。
(形態12)形態11の自動車投光装置において、前記光学素子は実質的に垂直に配向されて配置されていることが好ましい。
(形態13)形態1~10の何れかの自動車投光装置において、前記光学素子は、反射部材を有し、及び、前記光ビームの第1の部分を当該光学素子の表面における反射によって前記投射光学系へと偏向しかつ前記光ビームの第2の部分を前記少なくとも1つのエッジのそば及び前記投射光学系のそばを通過させるよう構成されていることが好ましい。
(形態14)形態13の自動車投光装置において、前記光学素子の表面は水平に対し、実質的に10°~50°又は20°~40°の範囲にあり又は30°である傾斜角度をなすよう配向されて配置されていることが好ましい。
(形態15)形態13又は14の自動車投光装置において、前記第1像面は、前記少なくとも1つのエッジも位置する直線上で前記第2像面と交差していることが好ましい。
【0009】
上記の課題は本発明の自動車投光装置によって解決される。該自動車投光装置は、
光を放出するよう構成された光源、
第1焦点及び第2焦点を有する楕円面リフレクタ(Ellipsoid-Reflektor)と、但し、楕円面リフレクタは、光源から第1焦点を介して入射された光を第2焦点へと集束し、リフレクタ光出射開口を介して出射させるよう構成されている、
コリメータ光入射面及びコリメータ光出射面を有するコリメータ、但し、リフレクタ光出射開口はコリメータ光入射面の前方(上流側)のコリメータの入射側焦点距離の所に配置されており、コリメータには当該コリメータの出射側焦点距離の所に第1像面が割り当てられており(配置されており)、及び、コリメータは楕円面リフレクタから出射した光を第1像面の方向へ集束して光ビームを形成し、そこに(即ち該第1像面に)光像を形成するよう構成されている、及び、
第2像面が入口側焦点距離の所に割り当てられている(配置されている)投射光学系、但し、第1像面と第2像面は交差するか又は重なり合っており、投射光学系は(前記光ビームによって形成されかつ好ましくは第2像面の領域にある)光像を自動車投光装置の放射方向へ投射するよう構成されている、
を含み、
コリメータと投射光学系の間の(光ビームの)光路に、少なくとも1つの光学的有効エッジ(光学的に有効なないし光学的に作用するエッジ)を有する光学素子が位置付けられており、該光学素子は該光ビームが部分的に投射光学系に到達するよう該光ビームを該少なくとも1つの光学的有効エッジによって境界付ける(制限する)よう構成されており、及び、光学素子は第1及び/又は第2像面が当該光学素子上にあるか又は当該光学素子を貫通して延在するよう配置されていることを特徴とする。
【0010】
換言すれば、光学素子は、光ビームを部分的に反射又は吸収するようかつ部分的に(そのそばを)通過させるよう構成されている。
【0011】
楕円面リフレクタによって、自動車投光装置における高効率な光収集ないし集束(Lichtsammlung)を創出することができる。なぜなら、当該リフレクタは光源を包囲し(周囲を取り囲み)、そのため、焦点ないし光収集のために極めて大きな空間角度を利用できるからである。これは、とりわけ、レーザ光源のランベルト放射特性と有利に組み合わせることができる。更に、楕円面リフレクタは虚(仮想)光源を、詳しくは第2焦点に、形成する。該虚光源は、リフレクタに引き続く(後続する)光学システム、とりわけ投射光学系にとって、本来の光源よりも幾何学的に(空間的に)より良好にアクセス可能である。そのため、顕著により小さいサイズのコリメータを使用することができる。更に、リフレクタ及びコリメータのために反射性コンポーネントを使用することによって、色収差は回避される。更に、楕円面リフレクタは、光源とコリメータ光学系との間に空間的距離が形成され、かくして、(レーザ)光源における熱発生の問題が軽減(ないし回避)されることを可能にする。なぜなら、光学コンポーネントを害しないより良好な排熱が保証されるからである。更に、この付加的なリフレクタによって、(光学)システムのコントラストもまた大きくなる。
【0012】
回転対称の楕円面リフレクタは共役関係にある2つの焦点を有する。一方の焦点から出た光は、反射後、他方の焦点を通過する。この楕円面形状によって、全放射光のうち、球面ミラーないし従来のレンズシステムと比べて、遥かにより大きな部分を集めることができ、それによって、とりわけ、光の利用効率(Lichtausbeute)の改善と光分布の最大の所における明るさ値の増大がもたらされる。更に、投光装置内の小さな構造空間に良好に適合的な空間節約的な幾何学的形状(構造)も得られる。
【0013】
本発明の自動車投光装置は、例えば遠方ライト(ハイビーム)、部分遠方ライト、減光ライト(ロービーム)のようなライト機能(複数)のために構成可能であるが、付加的ライト機能(複数)等のためにも構成可能である。
【0014】
本発明の構造は複数の光線を(1つの)光線束(光ビーム)へと効率的に束ねる(集束する)ことを可能とし、光ビームは予め与えられた法規(法的基準)に応じて簡単な方法で成形(formen)されることができ、自動車投光装置の放射方向へ投射される。集束は、例えば半導体レーザダイオードのような特定の光源の特殊な放射特性に格別に良好に適合可能である。そのため、例えば、使用される光源の夫々の構造タイプに応じて、夫々特別に適合化されかつそれに応じて成形されると共に、(複数の)異なる寸法ないし焦点を有する楕円面から構成されるリフレクタ装置を使用することができる。
【0015】
本発明の構造によって、コリメータは、従来技術においては通常であるように光源に直接的には配置されない。それによって、コリメータは熱的により小さい程度に負荷され、そのため、例えば、コリメータの材料として、従来技術においては通常のタフロン(登録商標)(Tarflon)(ポリカーボネート、PC)の代わりに、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用することができる。PMMAは、タフロン(PC)とは異なり高光沢に研磨可能であるため、より低コストでありかつより少ない光を吸収する。更に、本発明の構造によって、より小型のコリメータを使用することが可能になり、かくして、材料を節約することができる。
【0016】
リフレクタシステムから提供される投射システムは、コリメータと、絞りとして効果的に作動する光学素子と、例えば投射レンズの形での投射光学系とを含み、コリメータと投射レンズの焦平面は該光学素子の絞りの位置に一致する。この構造は、コリメータによって焦平面に形成される光像を光学素子を用いて好適な方法で境界付けないし画成し(カットないしトリミングし)、即ち、特定の領域を暗くし(遮光し)、そして、そのように境界付けされた光像を投射光学系によって結像することを可能にする。
【0017】
以下に、上述の発明の幾つかの選択的な有利な展開形態を示す。
【0018】
少なくとも1つの(光学的有効)エッジは直線的に延伸しかつ投光装置が自動車に組み込まれた(取り付けられた)状態(位置)において実質的に水平(方向)に配向されていると、好都合である。これによって、関連法規に応じた投射された光分布の境界付け(ないし画成)を簡単な方法で達成することができる。
【0019】
自動車投光装置、とりわけ光学素子は、夫々直線的に延伸し、かつ、自動車投光装置の減光ライト機能のための明暗境界が形成可能であるよう光ビームの光路に配置されている少なくとも2つの(光学的有効)エッジを含むと、格別に好都合である。これによって、減光ライト機能についての関連法規(例えばSAE(Society of Automotive Engineers)、ECE(Economic Commission for Europe))に応じた投射された光分布の境界付け(ないし画成)を簡単な方法で達成することができる。
【0020】
光源は少なくとも1つの半導体光源、好ましくは少なくとも1つのレーザダイオードを有すると、有利である。レーザ光源と楕円面リフレクタの組み合わせによって、自動車投光装置の格別に高い効率を達成することができる。
【0021】
自動車投光装置は、更に、光ビームの光路に配置されており、かつ、第1波長領域を有する光ビームによる励起の際に、付加的に、該第1波長領域とは異なる第2波長領域を有する少なくとも1つの更なる光ビームを励起(活性化)するよう構成されている光変換手段を有する場合も有利である。例えば光スペクトルの非可視UV領域で放射するレーザ光源と楕円面リフレクタの組み合わせによって、非可視光スペクトルから可視光スペクトルへの変換を行う相応の光変換手段と組み合わせると、自動車投光装置の格別に高い効率と発光強度(明るさ)を達成することができる。
【0022】
楕円面リフレクタは回転楕円面(Rotationsellipsoid)(正確に言えばその部分シェル(Teilschale))に従って湾曲されたリフレクタシェルとして構成されていると、好都合である。これによって、光源から放射された光を格別に効果的に(効率的に)所望のタイプの光ビームに成形することができる。
【0023】
コリメータはTIR(内面全反射)光学系である場合、格別にコスト的に好都合な実施形態が得られる。
【0024】
更に、コリメータは外周突出端部(Abstandskontur)を有するコンデンサレンズ(Sammellinse)によって構成され、該外周突出端部はコリメータ光入射面の前方の(上流側の)コリメータ入射側焦点距離の所にある面を定義(規定)するよう構成されていると、好都合である。これによって、コリメータと例えば楕円面リフレクタが固定されている支持部材との間の正確な位置合わせ(方向合わせ)を簡単な方法で達成することができる。
【0025】
本発明の好ましい一展開形態では、楕円面リフレクタの第2焦点は外周突出端部の(開口部の)面(端面)内にあり、これによって、楕円面リフレクタとの格別に簡単な固定が可能になる。
【0026】
更に、投射光学系は少なくとも1つのコンデンサレンズを有することが好ましく、これによって、コスト的に好都合な構造を簡単な方法で創出することができる。
【0027】
本発明の一展開形態では、光学素子は絞りであり、及び、該絞りは光ビームの第1の部分を該光学素子において投射光学系から逸れる(離れる)よう反射するか又は吸収するよう、かつ、該光ビームの第2の部分を少なくとも1つの(光学的有効)エッジのそばにおいて投射光学系へと通過させるよう、構成されている。これによって、光ビームは、投射される所望の光像に対する要求に応じて簡単な方法で成形されることができる。
【0028】
この場合、付加的に、光学素子は、投光装置が自動車に組み込まれた状態(配向)において、実質的に垂直(方向)に配向されて配置されるよう構成されていると、有利であり得る。
【0029】
本発明の1つの代替的展開形態では、光学素子は当該光学素子が反射部材を含むか又はそもそもリフレクタであるよう構成されており、及び、当該(反射)部材/当該リフレクタは光ビームの第1の部分を当該光学素子の表面における反射によって投射光学系へと偏向しかつ該光ビームの第2の部分を少なくとも1つの(光学的有効)エッジのそば及び投射光学系のそばを通過させるよう構成されている。これによって、光ビームは、投射される所望の光像に対する要求に応じて簡単な方法で成形されることができる。
【0030】
この場合、付加的に、光学素子の表面は、投光装置が自動車に組み込まれた状態(配向)において、水平に対し或る傾斜角度をなすよう配向されて配置されており、該傾斜角度は実質的に10°~50°、好ましくは20°~40°の範囲にあり、格別に好ましくは30°であると、有利であり得る。
【0031】
この場合、第1像面は少なくとも1つの(光学的有効)エッジも位置する直線上で第2像面と交差している場合も、有利であり得る。
【0032】
本発明の上記の各実施形態及び展開形態は相互に組み合わせ可能である。
【0033】
投光装置は、例えばとりわけPKW(乗用車)又はオートバイのような自動車における有用な使用を可能にする上記において説明されていない他の多くの部分も含むことは当業者には明らかであるが、これらについては明快性の観点から詳説しない。
【0034】
以下において、本発明及び更なる利点を添付の図面に示されている非限定的実施例を用いて詳細に説明する。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら本発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来技術に相当する、コリメータと絞りを有する自動車投光装置の光学系の模式的斜視図。
図2】本発明の第1実施形態の模式的斜視図。
図3】本発明の第2実施形態の模式的斜視図。
図4図2の第1実施形態の模式的側面図。
図5図3の第2実施形態の模式的側面図。
図6図1の投光装置(従来技術)の投光装置光学系について生成されたレーザ・部分遠方ライト(部分ハイビーム)の一例のシミュレート光像。
図7図2の投光装置の投光装置光学系について生成されたレーザ・部分遠方ライトの一例のシミュレート光像。
図8図3の投光装置の投光装置光学系について生成されたレーザ・部分遠方ライトの一例のシミュレート光像。
【実施例
【0036】
図2図8を参照して、本発明の幾つかの実施例を詳細に説明する。とりわけ、本発明にとって投光装置の重要な部分(部材)が示されているが、投光装置は、とりわけPKW又はオートバイのような自動車における有用な使用を可能にする不図示の更に多くの他の部分(部材)を含んでいることは明らかである。従って、例えば種々の部材のための冷却装置、制御用電子装置、更なる光学素子、機械的調節装置ないし支持部材は、明快性の観点から、図示されていない。
【0037】
種々の部材の以下に示す配向は、投光装置が自動車に組み込まれた状態(配向)における方向に関する。他の組込状態(配向)による他の配置も勿論可能である。
【0038】
図2図4は、光を放出するよう構成されている光源110を含む自動車投光装置(前照灯等)100の第1実施例を示す。光源110はライトモジュール120内において定義された、場合によっては調節可能な位置において支持されている。
【0039】
生成可能な光分布(配光パターン)はとりわけ部分遠方ライト(部分ハイビーム)機能に適合化されている。
【0040】
更に、放出された光が入力(入射)されるリフレクタ光入射点131を有する楕円面リフレクタ130と、その輪郭が好ましくは図示の実施例では、例えば、実質的に垂直に配向されている面内にあるリフレクタ光出射開口部132とが図示されている。楕円面リフレクタ130は、光源110から入力(入射)された光をリフレクタ光出射開口部132の方向へ偏向するよう構成されている。同時に、この光はリフレクタ130の第2焦点を通るよう集束されるが、これによって、該光を光ビームに成形することが達成される。光を(1つの)焦点に又は該焦点の周りの小領域に集束することによって、点光源用に設計されているコリメータを(以下に説明するように)、本来の光源110をコリメータの入力側焦点に配置することを要することなく、使用することが可能になる;その代わりに、該入力側焦点には、リフレクタ130の第2焦点133に位置する虚(仮想の)光源が存在する。図面には、光ビーム(光線束)全体の代わりに、放出された光のうちの単独の光線111の軌道(光路)のみが示されている。この光線は図示の投光装置における光路を代表している。
【0041】
リフレクタ光入射点は、好都合には、当該リフレクタ光入射点が楕円面の第1焦点(Brennpunkt/Fokalpunkt)と実質的に一致するよう選択される。光源が点状としてみなすことができない場合、例えばレーザ光源の面発光(蛍光)体が使用される場合、通常は、面光源の最も明るい点を焦点に位置付けると好都合である。
【0042】
楕円面リフレクタ130の第2焦点を通って集束された光はリフレクタ光出射開口部132を通って出射する。かくして、良好に定義された光ビーム(光線束)が生成する。第2焦点133から出発しリフレクタ130を離れる光ビームは大きな発散を有する(大きく拡開される)が、そのため、光を新たに集束するために、好都合には、例えばコリメータ140のような付加的光学素子が使用される。
【0043】
コリメータ光入射面141とコリメータ光出射面142を有し、かつ、コリメータ入射側焦点距離145とコリメータ出射側焦点距離146を有するコリメータ140が設けられることが好ましい。コリメータ入射側焦点はコリメータ光入射面141中心点からコリメータ入射側焦点距離145隔てた所に位置し、コリメータ出射側焦点はコリメータ光出射面142(の中心点)に対しコリメータ出射側焦点距離146隔てた所に位置する。
【0044】
コリメータ出射側焦点距離146(隔てた所)には第1像面170が位置する。コリメータ140は、更に、図示の実施例に示されているように、楕円面リフレクタ130から入射する光ビームを合焦(収束)し、第1像面170の方向へ向けるよう構成されることができる。そこで即ち第1像面170において、光像がコリメータによって成形される。このために、リフレクタ130の第2焦点がコリメータ入射側焦点に(コリメータ入射側焦点距離145隔てた所に)あると好都合である。
【0045】
投射光学系160は、上記光像に対し、投射光学系160の焦点距離(より正確には:入口側焦点距離)161に相当する距離の所に配置されている。従って、入口側焦点距離161の関連焦点(それに属する焦点)はこの実施例では第1像面170と一致する第2像面180に位置する。投射光学系160は、光ビームによって生成されかつ第2像面180に生じる光像を自動車投光装置100の放射方向へ投射(投影)するよう、構成されている。
【0046】
一般的に、第1像面170と第2像面180は互いに交差するか又は重なり合う。
【0047】
光ビームの光路には、コリメータ140と投射光学系160の間に、2つの光学的に有効な(光学的に作用する)エッジ(光学的有効エッジないし光学的作用エッジ)151、152を有する光学素子150が配置されている。第1実施例では、光学素子150は絞りである。絞り150については以下に詳細に説明する。
【0048】
光学素子150は、光ビームを少なくとも1つの光学的有効エッジ151、152によって境界付け(画成)し、それによって該光ビームが部分的に投射光学系160に到達するよう、即ち該光ビームを部分的に反射又は吸収しかつ部分的に通過させるよう、構成されており、光学素子150は、第1像面170と第2像面180が当該光学素子150上に位置するよう、配置されている。
【0049】
両方の(光学的有効)エッジ151及び152(図2)は直線的に延伸し、エッジ151は、認可規定(Zulassungsbestimmungen)及び法規(基準)に規定されているように、自動車投光装置が自動車に組み込まれた状態(配向)において、実質的に水平(方向)に配向されている。エッジ151、152は互いに対し関連法規(例えばSAE又はECE)に応じて規定されている角度をなして延在している。投射される光像に所望の輪郭を形成するために、例えば3つの(光学的有効)エッジ又は更には4つ以上の(光学的有効)エッジも、法規に従って、必要になり得る。(これらの)エッジは自由に形状形成(成形)されている(freigeformt)、即ち、非直線的に延伸している場合も、目的に適い得る。
【0050】
自動車投光装置は、夫々直線的に延伸し、かつ、自動車投光装置の減光ライト(ロービーム)機能のための明暗境界が形成可能であるよう光ビームの光路に配置されている2つのエッジを有することができる。
【0051】
光源110は、好ましくはレーザダイオードである半導体光源を有する。
【0052】
任意的に、自動車投光装置100は、更に、光ビームの光路に配置され、かつ、第1波長領域を有する光ビームによる励起時に付加的に該第1波長領域とは異なる第2波長領域を有する少なくとも1つの更なる光ビームを励起するよう構成された光変換手段(不図示)を有する。この光変換手段は、非可視光領域を可視光領域へ変換するために使用可能であり、或いは、光線の純粋な色変化のために、例えば赤色スペクトル成分と緑色スペクトル成分を相応の付加的な光ビームによってレーザ光源の本来的に励起される青色光ビームに加えることにより混色して白色光ビームを生成するために使用可能である。この特徴(視点:Aspekt)は図面には示されていない。
【0053】
光変換手段は、例えば、レーザ光源の放射面に直接的に配すること又は光学レンズの面に配することが可能である。
【0054】
楕円面リフレクタ130は、3軸に関して湾曲された楕円面(Ellipsoid)の形のリフレクタである。尤も、楕円面リフレクタ130の形状は、例えば特殊な光源の放射パターンへの適合化を考慮するために、厳密には楕円面とは異なっており、それによって、光の利用効率(Lichtausbeute)の改善を図ることができる。
【0055】
図示の実施形態では、コリメータ140はTIR光学系(TIRレンズ)によって構成されている。これによって、楕円面リフレクタ130から発する光利用効率を更に増大することができる。変形形態では、コリメータの他の構成は可能であり、使用例に応じて有用であり得る。
【0056】
コリメータ140は例えば外周突出端部(Abstandskontur)143を有するコンデンサレンズとして構成されており、外周突出端部143は、コリメータ入射側焦点(コリメータ入射側焦点距離145)が存在する面を定義(規定)する。
【0057】
外周突出端部143は、好ましくは、例えばその(開口部の)面(端面)がリフレクタ光出射開口部132と一致するよう、リフレクタ光出射開口部132に対して位置合わせされる。これは、例えば、投光装置の組立中に、コリメータの入射側焦点と投光装置100の他の部分を簡単な方法で位置合わせするために役立つ。かくして、外周突出端部143は、例えば楕円面リフレクタ130を保持するホルダに配される(載置される)ことができ、これによって、両方の光学系130及び140の互いに対する(位置)調節が行われる。
【0058】
外周突出端部143は(横断面において)リング状でありかつコリメータの光軸に対しコンセントリック(同心)に配置されることが好ましい。例えば組立状態においてリフレクタ光出射開口部132も延在する面を定義(規定)する仮想の外周突出端部が延在する3点支持部(Dreipunkt-Auflage)のような特殊な支持部材に適合化された外周突出端部143の他の形状(デザイン)も可能である。
【0059】
投射光学系160はこの例ではコンデンサレンズによって構成されているが、例えば導光素子(Lichtleitelemente)を含むことも可能である。
【0060】
光学素子150は、この第1実施例では絞り(Blende)であり、光ビームの第1の部分を当該光学素子150において投射光学系から逸れる(離れる)よう反射するか又は吸収しかつ光ビームの第2の部分をエッジ151、152のそばにおいて投射光学系160へと通過させるよう構成されている。
【0061】
絞り150は反射性又は吸収(吸光)性に構成可能である。例えば、吸収性コーティングを絞りの表面に配することができる。投光装置100内での単一又は多重反射による投射光学系160の方向への不所望の反射を回避するために、自動車投光装置100の投光装置ハウジングの内部の更なる面(複数)を同様に吸収性に構成することができる。絞り150を、例えば絞り150のミラー化表面(鏡面)によって、反射性に構成することも有用であり得る。反射された光は、例えば、投光装置100内における単一又は多重反射による投射光学系160の方向への不所望の反射を目標通りに抑制するために、投光装置100内の吸収性部位へと目標を定めて向けられることができる;尤も、ある光成分(複数)が照明領域(複数)の光像に寄与するよう、当該光成分も偏向することができ、これによって、効率は増大する。
【0062】
絞りの形での光学素子150は、投光装置が自動車に組み込まれた状態(位置)において、実質的に垂直に配向されて配置されている。
【0063】
この開示において、「実質的に垂直に配向されて」とは、垂直から±10°まで、好ましくは±5°までずれ得る(各面ないし絞り150の)角度位置を意味するものとする。正確な角度位置は、とりわけ、エッジ151、152がシャープに結像される必要があるライト機能を実行する場合、例えば明暗境界を有する減光ライト(ロービーム)ライト機能の場合、重要である。他のライト機能の場合、垂直から±25°までずれ得る角度位置を選択することができる。
【0064】
光学素子150は、絞りシャフト(ないし絞りディスク:Blendenwelle)の形で回転可能に配置された複数の絞りであって、その都度絞りシャフトの1つの絞りのみが光ビームの光路において光学的に活性ないし有効であるものを含むことが可能である。絞りシャフトは複数のライト機能、例えば投光装置100の減光ライト(ロービーム)又は遠方ライト(ハイビーム)のライト機能を実現することができる。
【0065】
回転可能な絞りシャフトは、第1像面170ないし第2像面180に位置する回転軸を有することが好ましい。
【0066】
図4には、光源110から放出される光線111が例示的に示されている。勿論、光源110は、集束されない更なる複数の光線、例えば拡散光を、当該光源に特異的な放射パターンで放出する。光線111は、リフレクタ光入射点131において(第1焦点において)楕円面リフレクタ130へ入力(入射)され、反射性表面において反射され、楕円面リフレクタ130の第2焦点を通って進行し、リフレクタ光出射開口部132において再び出力(出射)される。リフレクタ光入射点131は、点状光源110(ないし上述したように光源の強度(明るさ)が最も大きい部位)が位置付けられている第1焦点に相当する。楕円面リフレクタ130によって、放出された光の個別光線(複数)の(1つの)光ビームへの第1の(最初の)集束が行われる。
【0067】
コリメータ140は光ビームを更に集束し、該光ビームを絞り150も位置する仮想の第1像面170において合焦する。
【0068】
光ビームは、投射(投影)光学系160によって、仮想の第2像面180を形成するその焦点面(焦平面)から投光装置100の放射方向へ投射(投影)される。投射光学系160の焦点面における絞り150及び両エッジ151、152の配置によって、両エッジ151、152によって形成される輪郭(境界)はシャープに結像される。
【0069】
図3図5は本発明による自動車投光装置200の第2実施例を示す。第1実施例との相違は、主として、光学素子250がリフレクタとして構成された部材を含む点にある。図2及び図4の実施例についての説明は、以下から相違が明らかとならない限りにおいて、その意味に応じて同じ態様で図3及び図5の第2実施例についても当て嵌まり、図面参照符号については、(第1実施例の図面参照符号の1の代わりに)夫々先頭の数字が2の対応する数字が使用される。
【0070】
リフレクタ250は、2つのエッジ(辺)251及び252(図3)を有し、及び、光ビームの第1の部分を光学素子250の表面における反射によって投射光学系260へと偏向しかつ光ビームの第2の部分を両エッジ251、252のそば及び投射光学系260のそばを通過させるよう、構成されている。換言すれば、リフレクタ250は、光ビームが部分的に(のみ)投射光学系260へ導かれるよう、当該光ビームに影響を及ぼすことができる。
【0071】
リフレクタ250は、例えばリフレクタ250のミラー化表面(鏡面)によって構成可能である。光ビーム(光線束)のうちのリフレクタ250のそばを通過する光線(複数)が到達する投光装置200の部位(複数)は、投光装置200内における単一又は多重反射により投射光学系260の方向へ反射される不所望の光を目的通りに抑制するために、有利には、例えば別個の吸収(吸光)部材255の形で、吸収(吸光)性に構成されることができる。同様に、例えば投射軸の方向への不所望の反射(Spiegelungen)を抑制するために、投光装置200内の内部側に位置する投射光学系260の表面に付加的な絞りを配すること(不図示)も可能である。代替的に、例えば吸収部材255の代わりに、投光装置の内部の吸収(吸光)が行われる部位へと光線を偏向するために、更なるミラー部材を配することも可能であろう。
【0072】
付加的に、リフレクタの形での光学素子250の表面は、水平に対して、実質的に10°~50°、好ましくは20°~40°の範囲の、特に好ましくは30°の傾斜角度253をなすように配向されて配置されている。
【0073】
第1像面270は、エッジ251も(そこに)位置する直線において(をもって)第2像面280と交差する。
【0074】
第2実施例における光源210、ライトモジュール220、楕円面リフレクタ230(これに属するリフレクタ光入射点231、リフレクタ光出射開口部232及び第2焦点233を含む)及びコリメータ240の配置は第1実施例のものに相当するが、これらのコンポーネントは第1実施例と比べると、自動車投光装置200にとって好都合な組込状態において投射光学系260を貫通通過するよう光ビームを反射することを可能にするために、投射光学系260に対して少々傾けられている。
【0075】
一方では光源210からリフレクタ230を介してコリメータ240へ至る及び他方では投射光学系260から投光装置200の外部への光線211の光路についての説明、更にはコリメータ及び投射光学系の焦点距離245、246、261についての説明は、その他の点では図4についてのものに相当する。
【0076】
リフレクタ250が投射光学系260の焦点面に位置する部位が1つの直線のみ即ち第1像面270と第2像面280の交線のみであることに応じて、エッジ251が該直線にあると有利であり得るが、これによって、エッジ251によって形成される輪郭(境界)はシャープに結像される。
【0077】
リフレクタ250の他の部位については、エッジ252も含め、この場合、シャープには結像されることはできない。そのため、本発明のこの第2実施形態は上記のライト機能の全てには使用可能ではない。
【0078】
第2実施形態による本発明の一構造は他のライト機能の光利用効率の向上に役立つ。
【0079】
リフレクタ250は、例えば自動車投光装置200の照明距離の調節を実現するために、回転可能に(軸受)支持されて配置されることができる。その際、傾斜角度253は例えば手動で又は自動車システムにより電子的に制御又は調節されることができる。傾斜角度253は第1像面270と第2像面280の交線に位置する直線を中心軸として回転可能であることが好ましい。
【0080】
本発明の格別な使用は、部分遠方ライト(部分ハイビーム)のための光分布(配光パターン)のシミュレーションによる例示的光像を夫々示す図6図8を用いても説明することができる。このシミュレーションは、本出願人によって、各投光装置のシミュレート光像を結果として獲得するために、図6図8に示された投光装置光学系の各々についてコンピュータ支援のもとで実行されたものである。各光像は、運転者から見た、各投光装置によって生成される空間角度に依存する光分布を記述するが、横軸と縦軸は夫々光像の中心からのずれ(距離)に応じて度(°)の単位が記載されている。各光像の右辺の目盛は、cd(カンデラ)の単位で与えられた強度(明るさ)分布に使用されるグレー値(グレースケール)を表す。明確性のために、夫々、明るさの等値線(等高線)が記載(プロット)されているが、幾つかの等値線には、付加的に、その明るさ値が単位cdで与えられている。
【0081】
図6は、従来技術に対応する即ち光源に直接後置されたコリメータを有する図1に示された投光装置構造について生成された光像の一例を示す。
【0082】
図7は、本発明による楕円面リフレクタと垂直(配置)絞りを有するコリメータを備えた図2及び図4に示した本発明による投光装置について生成された光像の一例を示す。
【0083】
図8は、本発明による楕円面リフレクタとリフレクタとして作動する絞り部材を備えた図3及び図5に示した本発明による投光装置について生成された光像の一例を示す。
【0084】
図7ないし図8の光分布と図6の光分布とを対比することにより、楕円面リフレクタを備える本発明によるシステムは、従来技術による光分布(図6)よりもほぼ2倍大きい明るさ最大値を有し、更には、該最大値の周りに一層良好に(明るさが)集中している光分布(図7ないし図8)を有することが明らかになる。
【0085】
以下に、本発明の可能な態様を示す。
[付記1]自動車投光装置。該自動車投光装置は、
光を放出するよう構成された光源、
第1焦点及び第2焦点を有する楕円面リフレクタ、但し、楕円面リフレクタは、光源から第1焦点を介して入射された光を第2焦点へと集光し、リフレクタ光出射開口を介して出射させるよう構成されている、
コリメータ光入射面及びコリメータ光出射面を有するコリメータ、但し、リフレクタ光出射開口はコリメータ光入射面の前方のコリメータの入射側焦点距離の所に配置されており、コリメータには当該コリメータの出射側焦点距離の所に第1像面が割り当てられており、及び、コリメータは楕円面リフレクタから出射した光を第1像面の方向へ集光して光ビームを形成し、そこに光像を形成するよう構成されている、及び、
第2像面が入口側焦点距離の所に割り当てられている投射光学系、但し、第1像面と第2像面は交差するか又は重なり合っており、投射光学系は光像を自動車投光装置の放射方向へ投射するよう構成されている、
を含む。
コリメータと投射光学系の間の光ビームの光路に、少なくとも1つの光学的有効エッジを有する光学素子が位置付けられており、該光学素子は光ビームが部分的に投射光学系に到達するよう当該光ビームを該少なくとも1つの光学的有効エッジによって境界付けるよう構成されており、及び、光学素子は第1及び/又は第2像面が当該光学素子を貫通して延在するよう配置されている。
[付記2]上記の自動車投光装置において、前記少なくとも1つの光学的有効エッジは直線的に延伸し、実質的に水平に配向されている。
[付記3]上記の自動車投光装置において、自動車投光装置ないし光学素子は、夫々直線的に延伸し、かつ、自動車投光装置の減光ライト機能のための明暗境界が形成可能であるよう前記光ビームの光路に配置されている少なくとも2つのエッジを含む。
[付記4]上記の自動車投光装置において、光源は、少なくとも1つの半導体光源、好ましくは少なくとも1つのレーザダイオードを有する。
[付記5]上記の自動車投光装置において、自動車投光装置は、更に、前記光ビームの光路に配置されており、かつ、第1波長領域を有する前記光ビームによる励起の際に、付加的に、該第1波長領域とは異なる第2波長領域を有する少なくとも1つの更なる光ビームを励起するよう構成されている光変換手段を有する。
[付記6]上記の自動車投光装置において、楕円面リフレクタは回転楕円面に従って湾曲されたリフレクタシェルとして構成されている。
[付記7]上記の自動車投光装置において、コリメータはTIR(内面全反射)光学系である。
[付記8]上記の自動車投光装置において、コリメータは、外周突出端部(Abstandskontur)を有するコンデンサレンズ(Sammellinse)によって構成されており、該外周突出端部はコリメータ光入射面の前方の(上流側の)コリメータ入射側焦点距離の所にある面を定義する。
[付記9]上記の自動車投光装置において、楕円面リフレクタの第2焦点は前記外周突出端部の面内にある。
[付記10]上記の自動車投光装置において、投射光学系は少なくとも1つのコンデンサレンズを有する。
[付記11]上記の自動車投光装置において、前記光学素子は、絞りであり、及び、前記光ビームの第1の部分を該光学素子において前記投射光学系から逸れるよう反射するか又は吸収するよう、かつ前記光ビームの第2の部分を前記少なくとも1つのエッジのそばにおいて前記投射光学系へと通過させるよう、構成されている。
[付記12]上記の自動車投光装置において、前記光学素子は実質的に垂直に配向されて配置されている。
[付記13]上記の自動車投光装置において、前記光学素子は、反射部材を有し、及び、前記光ビームの第1の部分を当該光学素子の表面における反射によって前記投射光学系へと偏向しかつ前記光ビームの第2の部分を前記少なくとも1つのエッジのそば及び前記投射光学系のそばを通過させるよう構成されている。
[付記14]上記の自動車投光装置において、前記光学素子の表面は水平に対し、実質的に10°~50°、好ましくは20°~40°の範囲にあり、格別に好ましくは30°である傾斜角度をなすよう配向されて配置されている。
[付記15]上記の自動車投光装置において、前記第1像面は、前記少なくとも1つのエッジも位置する直線上で前記第2像面と交差している。

【符号の説明】
【0086】
10、100、200 自動車投光装置
11、110、210 光源
111、211 光線
12、120、220 ライトモジュール、光源ホルダ
130、230 楕円面リフレクタ
131、231 リフレクタ光入射点(第1焦点)
132、232 リフレクタ光出射開口部
133、233 第2焦点
40、140、240 コリメータ
41、141、241 光入射面
42、142、242 光出射面
143、243 外周突出端部
50、150 光学素子、絞り
151、152、251、252 エッジ(ないし辺)
250 光学素子、リフレクタ
253 傾斜角度
255 吸収(吸光)部材
60、160、260 投射(投影)光学系
145、245 コリメータの入射側焦点距離
146、246 コリメータの出射側焦点距離
161、261 投射光学系の入口側焦点距離
170、180、270、280 像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8