(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-23
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】自動車投光装置用の光学装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/29 20180101AFI20220128BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20220128BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20220128BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20220128BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20220128BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20220128BHJP
F21S 45/10 20180101ALI20220128BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20220128BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220128BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20220128BHJP
F21Y 105/16 20160101ALN20220128BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S41/24
F21S41/141
F21S41/153
F21S41/151
F21S41/20
F21S45/10
F21W102:13
F21Y115:10
F21Y103:10
F21Y105:16
(21)【出願番号】P 2021505877
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2019068786
(87)【国際公開番号】W WO2020025291
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-16
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】タウト、ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】カームライトナー、レーネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァニチェク、ドミニク
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102012213843(DE,B3)
【文献】米国特許出願公開第2005/140270(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3339720(EP,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2982006(FR,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015103649(DE,A1)
【文献】国際公開第2014/009185(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/29
F21S 41/24
F21S 41/141
F21S 41/153
F21S 41/151
F21S 41/20
F21S 45/10
F21W 102/13
F21Y 115/10
F21Y 103/10
F21Y 105/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光装置用の光学装置であって、
該装置は、
・基体(101)と、光源の光から所望の光分布を形成するための該基体から突出する複数の導光体(110)とを有する一次光学系(100)、但し、該複数の導光体は夫々光源の光が供給可能に構成された光入射面(120)と光出射面(130)とを有する、
・前記一次光学系(100)の基体(101)が当該ホルダ(200)の前側に配置されているホルダ(200)、但し、該一次光学系の複数の導光体(110)は該ホルダの開口領域(201)を貫通して延在している、及び、
・前記一次光学系(100)の基体(101)の反対方向に向けられている前記ホルダ(200)の後側に配置されているカバー要素(300)、但し、該カバー要素(300)は前記複数の導光体(110)の個数に相当する個数のかつ該複数の導光体に夫々対応する開口部(310)を有し、該複数の開口部(310)は該一次光学系(100)の複数の導光体(110)を夫々受容しかつそれらの位置を保持するよう構成されており、該カバー要素(300)は当該カバー要素(300)に設けられた少なくとも1つの第1ロック要素によって前記ホルダと結合可能に構成されており、該第1ロック要素は前記ホルダ(200)に設けられた少なくとも1つの第2ロック要素に係合可能に構成されている、
を含み、
前記少なくとも1つの第2ロック要素は前記ホルダ(200)から突出する突出部(420)として構成されており、該突出部は該ホルダ(200)から延出する所定の高さ(h1)と所定の幅(b1)を有する係合部分(421)と、所定の高さ(h2)と所定の幅(b2)を有する終端部分(422)を有し、及び、
前記少なくとも1つの第1ロック要素は前記カバー要素(300)内の案内切欠き(410)として構成されており、該案内切欠き(410)は第1領域(411)と、該第1領域と比べて先細に形成された第2領域(412)を有し、該第2領域(412)はスライド方向(X)に沿って延伸しかつ該スライド方向(X)に対し横方向に延伸する所定の幅(b3)を有し、前記突出部(420)は、該案内切欠き(410)の第1領域(411)に嵌め込み可能に構成されており、かつ、前記スライド方向(X)への前記カバー要素(300)のスライドによって該案内切欠き(410)の第2領域(412)が当該突出部(420)の係合部分(421)へスライドされることができるよう該案内切欠き(410)の内部でスライド可能に構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記係合部分(421)の幅(b1)は前記終端部分(422)の幅(b2)よりも小さいこと
を特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
前記案内切欠き(410)の第2領域(412)の幅(b3)は少なくとも前記突出部(420)の係合部分(421)の幅(b1)に相当すること
を特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の装置において、
前記突出部(420)の終端部分(422)はその高さ(h2)が前記スライド方向(X)と反対方向に先細となる形状を有すること
を特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の装置において、
前記カバー要素(300)は所定の厚み(d1)を有し、前記突出部(420)の係合部分(421)の高さ(h1)は少なくとも該カバー要素(300)の厚み(d1)
に相当すること
を特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の装置において、
前記ホルダ(200)は少なくとも1つのストッパ(210)を有し、該ストッパ(210)は、前記スライド方向(X)の方向への前記カバー要素(300)のスライドを制限するよう構成されているこ
と
を特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の装置において、
少なくとも2つの第1ロック要素(410)と該第1ロック要素(410)に対応する少なくとも2つの第2ロック要素(420)が設けられていること
を特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の装置において、
少なくとも1つのスペーサ(423)が前記突出部(420)の終端部分(422)の前記ホルダ(200)に指向された側に配されていること、該ホルダ(200)と該少なくとも1つのスペーサ(423)との間の距離は該突出部(420)の係合部分(421)の高さ(h1)より小さいこ
と
を特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記ホルダ(200)には少なくとも1つの係止ノーズ(220)が設けられており、該係止ノーズ(220)は、当該係止ノーズ(220)に対応し、前記カバー要素(300)に設けられた固定穴(320)に嵌入するよう構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載の光学装置(1)を少なくとも1つ含みかつ前記複数の導光体(110)の個数に相当する個数の光源(10)を含み、該光源が放出する光が少なくとも1つの光学装置(1)へ供給されるよう構成された、照明装置。
【請求項11】
請求項10に記載の照明装置において、
各導光体(110)には丁度1つの又は少なくとも1つの光源が割り当てられていること
を特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の照明装置を少なくとも1つ含むライトモジュール。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の照明装置を少なくとも1つ含む及び/又は請求項12に記載のライトモジュールを少なくとも1つ含む自動車投光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光装置用の光学装置であって、
・基体と、光源の光から所望の光分布を形成するための該基体から突出する複数の導光体とを有する一次光学系、但し、該複数の導光体は夫々光源の光が供給可能に構成された光入射面と光出射面とを有する、
・前記一次光学系の基体が当該ホルダの前側に配置されているホルダ、但し、該一次光学系の複数の導光体は該ホルダの開口領域を貫通して延在している、及び、
・前記一次光学系の基体の反対方向に向けられている前記ホルダの後側に配置されているカバー要素、但し、該カバー要素は前記複数の導光体の個数に相当する個数のかつ該複数の導光体に夫々対応する開口を有し、該複数の開口は該一次光学系の複数の導光体を夫々受容しかつそれらの位置を保持するよう構成されており、該カバー要素は当該カバー要素に設けられた少なくとも1つの第1ロック要素によって前記ホルダと結合可能に構成されており、該第1ロック要素は前記ホルダに設けられた少なくとも1つの第2ロック要素に係合可能に構成されている、
を含む、光学装置に関する。
【0002】
本発明は、更に、少なくとも1つの本発明の照明装置を含む、又は、少なくとも1つの本発明の照明装置を含む少なくとも1つのライトモジュールを含む自動車投光装置に関する。
【背景技術】
【0003】
上記の照明装置は、通常、光分布(配光パターン)、好ましくは減光ライト(ロービーム)光分布及び/又は遠方ライト(ハイビーム)光分布を形成するために、ライトモジュールないし自動車投光装置(前照灯等)と関連して使用される。このために、光源(複数)の光は導光体(複数)の夫々の光入射面に供給され、該光は該導光体の側壁における反射及び/又は全反射によって該導光体内を伝播し、該光は夫々の導光体の光出射面から再び出射する。
【0004】
そのために、一次光学系ないし一次光学系の導光体は対応する光源に対し正確に位置付けられている必要がある。
【0005】
そのために、例えば、光源に対する導光体の位置を保持するホルダを設けることができ、そのようなホルダはプラスチックで製造可能である。照明装置ないし光源の運転(作動)時、光源の熱放射のために高温が生じ得る。導光体及びそのためホルダも光源に対し相対的に近くにかつ僅かな距離をなして位置付けられているため、ホルダの不所望の熱損傷又は変形及びそのため導光体の位置の変化も又は熱伝導により同様に運転状態にある光源の熱作用による熱損傷が生じ得る。
【0006】
導光体の損傷又はずれにより、形成される光像が所望の要件(要求)に適合しないことも起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】DE 102012213843 B3
【文献】US 2005140270 A1
【文献】EP 3339720 A1
【文献】FR 2982006 A1
【文献】DE 102015103649 A1
【文献】WO 2014009185 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この理由から、ホルダと光源の間に、熱シールドとしてある程度役立つカバー要素が設けられる。しかしながら、この場合、ホルダと光源の間には僅かな空間しか存在しないため、光源に対する導光体の距離が変化されないことに、及び、ホルダに固定するために適切に組み立てられるべきことにも留意する必要がある。
【0009】
本発明の課題は、自動車投光装置のための改善された光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明の第1の視点により、自動車投光装置用の光学装置であって、
・基体と、光源の光から所望の光分布を形成するための該基体から突出する複数の導光体とを有する一次光学系、但し、該複数の導光体は夫々光源の光が供給可能に構成された光入射面と光出射面とを有する、
・前記一次光学系の基体が当該ホルダの前側に配置されているホルダ、但し、該一次光学系の複数の導光体は該ホルダの開口領域を貫通して延在している、及び、
・前記一次光学系の基体の反対方向に向けられている前記ホルダの後側に配置されているカバー要素、但し、該カバー要素は前記複数の導光体の個数に相当する個数のかつ該複数の導光体に夫々対応する開口部を有し、該複数の開口部は該一次光学系の複数の導光体を夫々受容しかつそれらの位置を保持するよう構成されており、該カバー要素は当該カバー要素に設けられた少なくとも1つの第1ロック要素によって前記ホルダと結合可能に構成されており、該第1ロック要素は前記ホルダに設けられた少なくとも1つの第2ロック要素に係合可能に構成されている、
を含む、装置によって解決される。該装置において、前記少なくとも1つの第2ロック要素は前記ホルダから突出する突出部として構成されており、該突出部は該ホルダから延出する(方向への)所定の高さと所定の幅を有する係合部分と、所定の高さ(厚み)と所定の幅を有する終端部分を有し、及び、
前記少なくとも1つの第1ロック要素は前記カバー要素内の案内切欠きとして構成されており、該案内切欠きは第1領域と、該第1領域と比べて先細に形成された第2領域を有し、該第2領域はスライド方向(Aufschieberichtung)に沿って延伸しかつ該スライド方向に対し横方向に延伸する所定の幅を有し、前記突出部は、該案内切欠きの第1領域に嵌め込み可能に構成されており、かつ、前記スライド方向への前記カバー要素のスライドによって該案内切欠きの第2領域が当該突出部の係合部分へ(外嵌するよう)スライドされることができるよう該案内切欠きの内部でスライド可能に構成されていることを特徴とする(形態1)。
更に、本発明の第2の視点により、本発明の光学装置を少なくとも1つ含みかつ前記複数の導光体の個数に相当する個数の光源を含み、該光源が放出する光が少なくとも1つの光学装置へ供給されるよう構成された、照明装置が提供される(形態10)。
更に、本発明の第3の視点により、本発明の照明装置を少なくとも1つ含むライトモジュールが提供される(形態12)。
更に、本発明の第4の視点により、本発明の照明装置を少なくとも1つ含む及び/又は本発明のライトモジュールを少なくとも1つ含む自動車投光装置が提供される(形態13)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の装置において、前記係合部分の幅は前記終端部分の幅よりも小さいことが好ましい。
(形態3)形態1又は2の装置において、前記案内切欠きの第2領域の幅は少なくとも前記突出部の係合部分の幅に相当することが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの装置において、前記突出部の終端部分はその高さが前記スライド方向と反対方向に先細となる形状を有することが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの装置において、前記カバー要素は所定の厚みを有し、前記突出部の係合部分の高さは少なくとも該カバー要素の厚みに相当することが好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかの装置において、前記ホルダは少なくとも1つのストッパを有し、該ストッパ、前記スライド方向の方向への前記カバー要素のスライドを制限するよう構成されていることが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかの装置において、少なくとも2つの第1ロック要素と該第1ロック要素に対応する少なくとも2つの第2ロック要素が設けられていることが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかの装置において、少なくとも1つのスペーサが前記突出部の終端部分の前記ホルダに指向された側に配されていること、該ホルダと該少なくとも1つのスペーサとの間の距離は該突出部の係合部分の高さより小さいことが好ましい。
(形態9)形態1の装置において、前記ホルダには少なくとも1つの係止ノーズが設けられており、該係止ノーズは、当該係止ノーズに対応し、前記カバー要素に設けられた固定穴に嵌入するよう構成されていることが好ましい。
(形態10)上記本発明の第2の視点参照。
(形態11)形態10の照明装置において、各導光体には丁度1つの又は少なくとも1つの光源が割り当てられていることが好ましい。
(形態12)上記本発明の第3の視点参照。
(形態13)上記本発明の第4の視点参照。
【0012】
有利には、一次光学系は透明、導光性かつ成形可能なプラスチックから一体的に(einstueckig)製造可能である。
【0013】
「一体的に」とは、好ましくは射出成形法によって、一次光学系が一部材で製造されることとして理解されるべきものである。
【0014】
目的に適う一実施形態では、一次光学系はシリコーン材料で製造可能である。
【0015】
シリコーン材料はエラストマーの性質を有するため、一次光学系は好ましくは射出成形法で製造されるので、一次光学系の製造における離型は付加的なスライダ(エジェクタ)なしで可能である。
【0016】
一次光学系はポリオルガノシロキサン(poly(organo)siloxan)で製造されていると同様に有利であり得る。
【0017】
ホルダは、導光体が受容可能にかつ位置決め可能に構成された少なくとも1つの開口部を備えた開口領域を有すると有利であり得る。
【0018】
ホルダ及び/又はカバー要素が各導光体につき1つの開口部を有し、該開口部には割り当てられた導光体がぴったり正確に受容されかつ位置決めされるよう構成されている場合、個々の導光体は光源に対するその位置が格別に良好に保持されることができる。
【0019】
開口部とは、夫々の導光体に対し正確に適合化された横断面を有する、ホルダないしカバー要素の穴ないし受容(収容)部である;導光体は割り当てられた開口部内に差し込まれ、ホルダによって所望の位置で保持される。
【0020】
ホルダ及び/又はカバー要素は、導光体の個数に対応して、夫々1つの導光体に割り当てられた開口部を有するよう構成可能である。
【0021】
ホルダ及び/又はカバー要素は、光入射面側に指向されたそれらの終端領域において導光体を受容すると、好都合であり得る。
【0022】
この場合、導光体は、カバー要素の受容部ないし開口部から後方へ僅かに突出するか又は(それら(の面)と)面一に終端することができる。
【0023】
例えば、導光体は円錐台形状に又は(側方から見て)台形形状に構成されることが可能である。
【0024】
原理的には、あらゆる多辺角錐台、例えば、ほぼ楔形の(楔形突出部を有する)ハニカム形状をなす6角錐台が対象となる。底面形状はLEDチップ構造(配置)及び所望の光成形との関連で狭小に構成されており、そこでは、光入射及び光出射は重要であろう。
【0025】
更に、カバー要素はスライド完了(aufgeschoben)状態においてホルダに当接するプレートないし金属板として構成されることができる。この場合、プレートないし金属板はホルダの形状に応じた変形を有するよう構成可能である。
【0026】
有利には、係合部分の幅は終端部分の幅よりも小さくすることができる。
【0027】
これによって、カバー要素はスライド完了状態においてホルダに形状結合的に(蟻継等の嵌め合いによる結合により)保持されることが保証される。
【0028】
更に、案内切欠きの第2領域の幅は少なくとも突出部の係合部分の幅に相当するよう構成可能である。
【0029】
好ましくは、係合部分の幅は、スライド方向に対する横方向へのカバー要素のシフト(ずれ)を阻止するために、案内切欠きの第2領域の幅より僅かだけより小さいことが望ましいであろう。
【0030】
突出部の終端部分はその高さがスライド方向と反対方向に先細となる(徐々に小さくなる)形状を有すると、同様に好都合であり得る。
【0031】
これによって、カバー要素ないし突出部の個々の係合部分の載置及びこれに引き続くスライドが容易化される。
【0032】
カバー要素は所定の厚みを有し、突出部の係合部分の高さは少なくとも該カバー要素の厚みに、好ましくは該カバー要素の案内切欠きの領域の厚みに、相当すると、有利であり得る。
【0033】
有利には、カバー要素は一定の厚みを有することができる。
【0034】
目的に適う一実施形態では、ホルダは少なくとも1つのストッパ(係止要素)を有し、該ストッパは、スライド方向の(順)方向へのカバー要素のスライドを制限するよう構成されていること、好ましくは少なくとも2つのストッパが設けられていることが可能である。
【0035】
更に、少なくとも2つの第1ロック要素と該第1ロック要素に対応する少なくとも2つの第2ロック要素が設けられることが可能である。
【0036】
少なくとも1つの第1ロック要素とこれに対応する第2ロック要素がカバー要素の開口部(領域)の上部及び下部に夫々ないしはホルダの開口領域の上部及び下部に夫々配置されていることが好ましい。
【0037】
「上部」/「下部」とは、光学装置の組立状態における一次光学系の縦軸(垂直軸)ないし一次光学系の基体に関する概念であり、好ましくは光源の主放射方向に対する横方向に関する概念である。
【0038】
「主放射方向」とは、光源がその指向性の結果として最も強いないし最も多い光を放射する方向として理解されるべきものである。
【0039】
少なくとも1つのスペーサ(Verdickungselement)がカバー要素のスライド(による嵌合)が完了した状態において突出部の終端部分の当該カバー要素に対向する(向い合う)側にないしは突出部の終端部分の前記ホルダに指向された側に配されており、該ホルダと該少なくとも1つのスペーサとの間の距離は該突出部の係合部分の高さより小さい場合、好ましくは少なくとも2つのスペーサが該終端部分に配されている場合、好都合であり得る。
【0040】
これによって、カバー要素はホルダ上へのスライドの際に付加的に該ホルダへ押し付けられ、それによって、カバー要素は可及的に強固にホルダに固定される。
【0041】
好ましくは、スペーサは面取りされていることないしは球体の一部として構成されることが可能である。これによって、カバー要素のスライドは更に容易化される。
【0042】
ホルダには少なくとも1つの係止ノーズが設けられており、該係止ノーズは、当該係止ノーズに対応し、前記カバー要素に設けられた固定穴に嵌入(して係止)するよう構成されていることが可能である。
【0043】
係止ノーズと固定穴は、カバー要素がストッパに当接ないし衝突したときに初めて係止ノーズが固定穴に完全に陥入(して係止)するよう配置(構成)されていることが好ましい。
【0044】
これによって、カバー要素がスライド方向の反対側においても固定されることが保証される。
【0045】
上記の課題は、少なくとも1つの光学装置と複数の導光体の個数に相当する個数の光源を含み、該光源が放出する光が少なくとも1つの光学装置へ供給されるよう構成された、照明装置によっても解決される。
【0046】
照明装置は、「ピクセル式光装置(Pixel-Licht-Vorrichtung)」であり、光源(複数)が複数行および複数列に(複数のピクセルをピクセルアレイとして形成するよう)配置されていることが好ましい。
【0047】
そのような「ピクセル式光装置」では、複数の光源は互いに対し独立に制御可能であり、このため、複数の異なる光分布、とりわけ適応(可変)型ハイビーム光分布、を生成することができる。
【0048】
複数の光源は夫々1つの又は複数の発光ダイオードを含むと好都合であり得る。
【0049】
好ましくは、各光源は夫々1つ以上の発光ダイオードを含むことが可能である。好ましくは、各光源は個別に制御可能であり、それに応じてオンオフ切替可能であり、有利には調光(明暗調節)も可能である。1つの光源が複数の発光ダイオードから構成される場合、複数の発光ダイオードが夫々個別に制御可能であることも有利であり得る。
【0050】
この場合、各導光体には丁度1つの又は少なくとも1つの光源が割り当てられていることが可能である。
【0051】
上記の課題は、少なくとも1つの本発明の照明装置を含むライトモジュールによっても解決される。
【0052】
更に、上記の課題は、少なくとも1つの本発明の照明装置を含むか又は少なくとも1つの本発明の照明装置を含むライトモジュールを含む自動車投光装置によって解決される。
【0053】
本発明の照明装置及び/又は本発明のライトモジュールによって、例えば減光ライト(ロービーム)及び/又は遠方ライト(ハイビーム)を形成することができ、そのため、例えば左側前照灯(投光装置)と右側前照灯(投光装置)が、夫々光分布の左側部分ないし右側部分を形成する本発明の照明装置及び/又は本発明のライトモジュールを夫々含む。この場合、光出射方向においてホルダの前方には夫々更に二次光学系、通常はレンズが設けられており、これによって夫々の光分布を生成することができる。
【0054】
尤も、本発明の照明装置及び/又は本発明のライトモジュールは後退灯についても使用可能である。
【0055】
以下に、本発明が例示的な図面を用いて詳細に説明される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら本発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】ホルダとカバー要素を備える例示的一光学装置の分解図。ホルダから突出する突出部は、ホルダとカバー要素を結合するために、カバー要素の案内切欠きへ嵌入するよう構成されている。
【
図2A】案内切欠きと突出部の一例の細部を模式的に示した平面図。
【
図5】光源(複数)が配された
図4の光学装置の側面図。
【実施例】
【0057】
図1は例示的一光学装置1を分解図で示す。光学装置1の後側には、光線を主放射方向へ放出するよう構成された複数の光源10が配置されている。
【0058】
光学装置1は、基体101と、該基体101から突出する複数の導光体110とを備える一次光学系100を含む。これらの導光体110は、
図1では光源の主放射方向に配置(配向)されており、夫々、光源の光線が供給可能に構成された光入射面120と光出射面130を有する。
【0059】
更に、光学装置1はホルダ200を含み、該ホルダ200には一次光学系100の基体101が当該ホルダ200の前側に配置されるか又は固定可能であり、一次光学系100の導光体110はホルダ200の開口領域201を介して該ホルダ200を貫通する。
【0060】
更に、光学装置1は一次光学系100の基体101の反対側を指向するホルダ200の後側に配置されかつ厚みd1、好ましくは一定の厚みを有するカバー要素300を含む。カバー要素300は導光体110の個数に相当する個数のかつ導光体110に夫々対応する開口部310を有する。該開口部310は一次光学系100の導光体110を受容しかつその位置を保持するよう構成されている。
【0061】
カバー要素300は、図示の例では、当該カバー要素300に設けられた5つの第1ロック要素410であって、夫々ホルダ200に設けられた(対応する)第2ロック要素420と嵌合する(嵌り合う)よう構成された第1ロック要素410によってホルダ200と結合可能に構成されている。
【0062】
図示の実施例では、第2ロック要素(複数)420は夫々ホルダ200から突出する突出部420として構成されており、第1ロック要素410はカバー要素300内の案内切欠き410として構成されている。
図2A、
図2B及び
図2Cは夫々結合可能な(第1及び第2)ロック要素の詳細を示す。
【0063】
突出部420は更に―例えば
図2により明確に見られるように―ホルダ200から離れる方向に延伸する(離れる方向における)高さh1と幅b1を有する係合部分421と、高さh2と幅b2と長さl2を有する終端部分422を有する。図示の実施例では、係合部分421の幅b1は終端部分422の幅b2よりも短い。
【0064】
案内切欠き(複数)410は、夫々、幅b4と長さl4を有する第1領域411と、該第1領域411と比べて(から見て)先細に(幅が狭くなる)なるよう構成された第2領域412を有する。第2領域412は(カバー要素300の)スライド方向(Aufschieberichtung)Xに沿って延伸し、
図2Aに見出すことができるように、スライド方向Xに対する横方向に幅b3を有する。
【0065】
突出部420ないし終端部分422は案内切欠き410の第1領域411を貫通して案内可能に構成されており、そのため、案内切欠き410の第2領域412はスライド方向Xへのカバー要素300のスライドによって突出部420の係合部分421へ(外嵌するよう)スライドされることができる。ここで、案内切欠き410の第2領域412の幅b3は少なくとも突出部420の係合部分421の幅b1に相当し、突出部420の係合部分421の高さh1は少なくともカバー要素300の厚みd1に、好ましくはカバー要素300の案内切欠き410の領域における厚みに相当する。
【0066】
更に、突出部420の終端部分422の幅b2と長さl2は夫々案内切欠き410の第1領域411の幅b4と長さl4より少なくとも僅かにより小さい。
【0067】
図2は、更に、案内切欠き410の第2領域412内に部分的にスライド(挿入)された突出部420の係合部分421を示す。
図2Bは
図2AのAA線断面図であり、
図2Bには、突出部420の終端部分422はその高さh2がスライド方向Xの反対方向に向かって先細になる(徐々に小さくなる)形状を有することを見出すことができる。
【0068】
更に、
図2Bないし
図2Cには、カバー要素300がスライドされた状態において突出部420の終端部分422のカバー要素300に対応する(向かい合う)側に2つのスペーサ423が配されていることを見出すことができる。ここで、ホルダ200と少なくとも1つのスペーサ423との間の距離h3は突出部420の係合部分421の高さh1より小さいが、これについては、例えば
図2AのBB線断面図である
図2Cに示されている。
【0069】
図3及び
図4は夫々光学装置1の一例の組立状態を示すが、この状態では、カバー要素300はホルダ200に結合されておりないしはホルダ200上で完全にスライドされている。
【0070】
更に、ホルダ200は図示の例では2つのストッパ210を有する。ストッパ(係止要素)210は、スライド方向Xの(順)方向へのカバー要素300のスライドを制限するよう構成されている。ストッパ210は、例えば、カバー要素300の外縁領域ないし末端エッジ(Abschlusskante)が、カバー要素300が完全にスライド(嵌合)された状態において、当該ストッパ210に当接ないし衝突するよう、ホルダ200に配されて(設けられて)いる。
【0071】
更に、ホルダ200には係止ノーズ220が配されて(設けられて)いるが、該係止ノーズ220は、カバー要素300に形成されており当該係止ノーズ220に対応する固定穴320に嵌入(して係止)するよう構成されている。
【0072】
図5は組み立てられた光学装置1の一例の側面図であるが、冒頭において説明したような光源10が付加的に記載されている。
【0073】
以下に、本発明の可能な態様を示す。
[付記1]自動車投光装置用の光学装置。
該装置は、
・基体と、光源の光から所望の光分布を形成するための該基体から突出する複数の導光体とを有する一次光学系、但し、該複数の導光体は夫々光源の光が供給可能に構成された光入射面と光出射面とを有する、
・前記一次光学系の基体が当該ホルダの前側に配置されているホルダ、但し、該一次光学系の複数の導光体は該ホルダの開口領域を貫通して延在している、及び、
・前記一次光学系の基体の反対方向に向けられている前記ホルダの後側に配置されているカバー要素、但し、該カバー要素は前記複数の導光体の個数に相当する個数のかつ該複数の導光体に夫々対応する開口部を有し、該複数の開口部は該一次光学系の複数の導光体を夫々受容しかつそれらの位置を保持するよう構成されており、該カバー要素は当該カバー要素に設けられた少なくとも1つの第1ロック要素によって前記ホルダと結合可能に構成されており、該第1ロック要素は前記ホルダに設けられた少なくとも1つの第2ロック要素に係合可能に構成されている、
を含む。
前記少なくとも1つの第2ロック要素は前記ホルダから突出する突出部として構成されており、該突出部は該ホルダから延出する所定の高さと所定の幅を有する係合部分と、所定の高さと所定の幅を有する終端部分を有する。
前記少なくとも1つの第1ロック要素は前記カバー要素内の案内切欠きとして構成されており、該案内切欠きは第1領域と、該第1領域と比べて先細に形成された第2領域を有し、該第2領域はスライド方向に沿って延伸しかつ該スライド方向に対し横方向に延伸する所定の幅を有し、前記突出部は、該案内切欠きの第1領域に嵌め込み可能に構成されており、かつ、前記スライド方向への前記カバー要素のスライドによって該案内切欠きの第2領域が当該突出部の係合部分へスライドされることができるよう該案内切欠きの内部でスライド可能に構成されている。
[付記2]上記の装置において、前記係合部分の幅は前記終端部分の幅よりも小さい。
[付記3]上記の装置において、前記案内切欠きの第2領域の幅は少なくとも前記突出部の係合部分の幅に相当する。
[付記4]上記の装置において、前記突出部の終端部分はその高さが前記スライド方向と反対方向に先細となる形状を有する。
[付記5]上記の装置において、前記カバー要素は所定の厚みを有し、前記突出部の係合部分の高さは少なくとも該カバー要素の厚みに、好ましくは該カバー要素の案内切欠きの領域の厚みに、相当する。
[付記6]上記の装置において、前記ホルダは少なくとも1つのストッパを有し、該ストッパは、前記スライド方向の方向への前記カバー要素のスライドを制限するよう構成されていること、好ましくは少なくとも2つのストッパが設けられている。
[付記7]上記の装置において、少なくとも2つの第1ロック要素と該第1ロック要素に対応する少なくとも2つの第2ロック要素が設けられている。
[付記8]上記の装置において、少なくとも1つのスペーサが前記突出部の終端部分の前記ホルダに指向された側に配されていること、該ホルダと該少なくとも1つのスペーサとの間の距離は該突出部の係合部分の高さより小さいこと、好ましくは少なくとも2つのスペーサが該終端部分に配されている。
[付記9]上記の装置において、前記ホルダには少なくとも1つの係止ノーズが設けられており、該係止ノーズは、当該係止ノーズに対応し、前記カバー要素に設けられた固定穴に嵌入するよう構成されている。
[付記10]上記の光学装置を少なくとも1つ含みかつ前記複数の導光体の個数に相当する個数の光源を含み、該光源が放出する光が少なくとも1つの光学装置へ供給されるよう構成された、照明装置。
[付記11]上記の照明装置において、各導光体には丁度1つの又は少なくとも1つの光源が割り当てられている。
[付記12]上記の照明装置を少なくとも1つ含むライトモジュール。
[付記13]上記の照明装置を少なくとも1つ含む及び/又は上記のライトモジュールを少なくとも1つ含む自動車投光装置。
【符号の説明】
【0074】
1 光学装置
10 光源
100 一次光学系
101 基体
110 導光体
120 光入射面
130 光出射面
200 ホルダ
201 開口領域
210 ストッパ
220 係止ノーズ
300 カバー要素
310 開口部
320 固定穴
410 案内切欠き
411 410の第1領域
412 410の第2領域
420 突出部
421 420の係合部分
422 420の終端部分
423 スペーサ
X スライド方向