IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社藤本プラスチック工業の特許一覧

<>
  • 特許-樹脂製素材およびその製造方法 図1
  • 特許-樹脂製素材およびその製造方法 図2
  • 特許-樹脂製素材およびその製造方法 図3
  • 特許-樹脂製素材およびその製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】樹脂製素材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20220203BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20220203BHJP
   B29C 48/00 20190101ALI20220203BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20220203BHJP
   C08L 93/00 20060101ALI20220203BHJP
   C08L 97/00 20060101ALI20220203BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20220203BHJP
   C08L 25/06 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C08L101/00
B29C45/00
B29C48/00
B65D1/26 BRA
B65D1/26 BSA
C08L93/00
C08L97/00
C08L23/12
C08L25/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017144909
(22)【出願日】2017-07-07
(65)【公開番号】P2019014861
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】517263011
【氏名又は名称】有限会社藤本プラスチック工業
(72)【発明者】
【氏名】藤本 孝純
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/054366(WO,A1)
【文献】特開2001-316486(JP,A)
【文献】特開2010-234548(JP,A)
【文献】特開平08-156126(JP,A)
【文献】特開2000-129136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/16
B29C 45/00
B29C 48/00
B65D 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に物を収容可能であり、樹脂で形成された樹脂製容器であって、
樹脂に植物性粉末が混入されて形成されており、外表面に、茶、ゆず、大豆または香辛料の粉末である植物性粉末の一部が密集して露出しており、当該植物性粉末の匂いを有する樹脂製容器
【請求項2】
前記植物性粉末の前記樹脂への混入は、植物を予め乾燥し粉末化した前記植物性粉末と前記樹脂のペレットとを混合して行われることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
植物を40℃~120℃のガス雰囲気中で、60分~1200分間乾燥し、粉末化した植物性粉末を、重量含有量で1~50%の植物性粉末を含むように、主原材料の樹脂のペレットと混合し、所定の成形を行い、外表面に、茶、ゆず、大豆または香辛料の粉末である植物性粉末の一部が密集して露出しており、当該植物性粉末の匂いを有する樹脂製容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に物を収容可能であり、樹脂で形成された樹脂製素材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂で形成された樹脂製容器を形成するのに、廃棄された植物性の粉末を樹脂に混入された樹脂を用いる技術がある(特許文献1参照)。この技術は産業廃棄物の有効利用に寄与するために、植物性食品残廃物を主原材料として50%以上を含み、重量含有量50%以下を含む硬化材としてのポリプロピレン(PP)或いはポリスチレン(PS)よりなるボード材及びその製造方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-52319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の植物性物質と、ポリプロピレン(PP)等との樹脂との複合材料は、主として、廃棄物としての植物性材料の有効利用を図る、または、処理するための技術であり、その性質に注目するよりも、いかに多量の廃棄物を処理(利用)できるかに、注目したものと言ってよい。
【0005】
本発明は、植物性粉末の特性を生かした、独特の色合い、および、匂いを有しており、デザイン性、機能性を有する樹脂製素材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 内部に物を収容可能であり、樹脂で形成された樹脂製素材であって、
樹脂に植物性粉末が混入されて形成されており、外表面に植物性粉末の一部が露出している樹脂製素材。
【0007】
(2) 重量含有量で1~50%の植物性粉末を含む(1)に記載の樹脂製素材。
【0008】
(3) 植物性粉末が茶、ゆず、大豆または香辛料の粉末である(1)又は(2)に記載の植物性粉末を含む樹脂製素材。
【0009】
(4) 樹脂がポリプロピレン(PP)またはポリスチレン(PS)である請求項(1)~(3)のいずれかに記載の植物性粉末を含む樹脂製素材。
【0010】
(5) 植物を40℃~120℃のガス雰囲気中で、60分~1200分間乾燥し、粉末化した植物性粉末を、重量含有量で1~50%の植物性粉末を含むように、主原材料の樹脂と混合し、押出成形を行い、外表面に植物性粉末の一部が露出している樹脂製素材の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のよる植物性粉末を含む樹脂製素材は、植物性粉末の特性を生かした、独特の色合い、および、匂いを有しており、デザイン性、機能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の樹脂製容器(樹脂製素材)を示す写真である。(茶葉の粉末を用いた例を示す写真)
図2】本発明の実施形態の樹脂製容器(樹脂製素材)を示す写真である。(大豆の粉末を用いた例を示す写真)
図3】本発明の実施形態の樹脂製容器(樹脂製素材)を示す写真である。(茶葉の粉末を用いた例の拡大写真)
図4】本発明の実施形態の樹脂製容器(樹脂製素材)を示す写真である。(大豆の粉末を用いた例の拡大写真)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2は、本発明の実施形態の樹脂製容器1(樹脂製素材)の外観を示す写真である。図1及び図2に示す例では、樹脂製容器1(樹脂製素材)は、茶筒形状に形成され、容器本体2から蓋3が取り外された状態を示している。
【0014】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態の樹脂製素材は、樹脂10で形成されている。本実施形態において、樹脂製素材は、内部に物(例えば、茶葉等)を収容可能な樹脂製容器1に形成されている。樹脂製素材は、図1及び図2に示す例では、茶筒形状に形成されているが、任意の形状に形成することができる。
【0015】
樹脂製容器1(樹脂製素材)は、樹脂10に植物性粉末20が混入されて形成されており、外表面に植物性粉末20の一部が露出している。図1に示す例では、樹脂製容器1(樹脂製素材)は、植物性粉末20の一例である茶葉の粉末21が混入されて形成されている。図2に示す例では、樹脂製容器1(樹脂製素材)は、植物性粉末20の一例である大豆の粉末22が混入されて形成されている。
【0016】
図3は、図1に示す樹脂製容器1(樹脂製素材)の外表面の拡大写真である。図4は、図2に示す樹脂製容器1(樹脂製素材)の外表面の拡大写真である。図3及び図4に示すように、樹脂製容器1(樹脂製素材)の外表面は主に樹脂10により形成されており、部分的に植物性粉末20(茶葉の粉末21又は大豆の粉末22)の一部が露出している。
【0017】
本実施形態の植物性粉末20を含む樹脂製容器1(樹脂製素材)の製造においては、乾燥した植物性粉末20と、樹脂10の一例である、ポリプロピレン(PP)またはポリスチレン(PS)のペレットと、を混合して製造するが、その前処理としての乾燥処理を、行う必要がある。
【0018】
植物性粉末20としては、例えば、茶葉や大豆の他、ゆず、コーヒー、香辛料、ハーブ等の乾燥状態で香りを発する植物性素材を粉砕した粉末を用いることが望ましい。例えば、茶葉や大豆やコーヒーやハーブ等は全体を乾燥後に粉砕して粉末にし、ゆず等の果実は、全体を用いてもよいが、皮のみを乾燥して用いてもよい。
【0019】
本実施形態に用いるポリプロピレン(PP)またはポリスチレン(PS)は、粉末ではなく、ペレット状のものを用いる。そのため、製品は濃淡のある模様になり、優れたデザイン性を持つ製品がえられる。なお、樹脂10は、ポリプロピレン(PP)またはポリスチレン(PS)に限らず、任意の樹脂材料を用いることができる。また、樹脂10は、バイオマスプラスチック樹脂であってもよい。
【0020】
植物性粉末20は、植物を40℃~120℃のガス雰囲気中で、60分~1200分間乾燥し、粉末化したものである。この植物性粉末20を、重量含有量で1~50%の植物性粉末を含むように、主原材料の樹脂10と混合し、押出成形を行い、外表面に植物性粉末20の一部が露出している樹脂製容器1(樹脂製素材)を成形する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の植物性粉末20を含む樹脂製容器1(樹脂製素材)は、地域で生産された茶葉、大豆、ゆずを用いることとしている。地域の農業、製造業、土産ものとしての販売の促進に効果が期待されている。
【符号の説明】
【0022】
1 樹脂製容器(樹脂製素材)
2 容器本体
3 蓋
10 樹脂
20 植物性粉末
21 茶葉の粉末
22 大豆の粉末
図1
図2
図3
図4