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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】恒星投映筒
(51)【国際特許分類】
   G09B 27/00 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
G09B27/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2016142500
(22)【出願日】2016-07-20
(65)【公開番号】P2018013581
(43)【公開日】2018-01-25
【審査請求日】2019-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000142894
【氏名又は名称】株式会社五藤光学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】笠原 誠
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-237481(JP,A)
【文献】特開2009-210912(JP,A)
【文献】特開2001-109063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B23/00-29/14,
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
恒星原板に表された恒星をスクリーンに恒星像として投映するプラネタリウムの恒星投映筒において、
恒星原板に表された個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類するとともに、等級グループ毎に調光手段を有する個別の光源を対応させ、
個別の光源のそれぞれから、それに対応した等級グループに属する恒星に対し導光手段により光を導くことにより、
投映時に同一の等級グループに属する複数の恒星の明るさを等級グループ単位で消灯、点灯、調光することができるようにしたことを特徴とする恒星投映筒。
【請求項2】
調光可能な複数の光源は、投映筒内に配される請求項1記載の恒星投映筒。
【請求項3】
調光可能な複数の光源は、投映筒外に配される請求項1記載の恒星投映筒。
【請求項4】
導光手段として、光ファイバーを用いた請求項1から3のいずれかに記載の恒星投映筒。
【請求項5】
単一あるいは複数の光源と、光源からの光を所定の値で減衰させる透過型あるいは反射型液晶パネルを用い、この光源からの光を所定の値で減衰させる透過型あるいは反射型パネルを制御することにより個々の恒星の明るさを調節可能とした請求項1から4のいずれかに記載の恒星投映筒。
【請求項6】
恒星原板上の恒星の穴径を、単一の穴径とした請求項1から5のいずれかに記載の恒星投映筒。
【請求項7】
恒星原板上の一部あるいはすべての恒星の穴径を、恒星の等級に合致する穴径とは異なる穴径とした請求項1から5のいずれかに記載の恒星投映筒。
【請求項8】
恒星原板に表された恒星をスクリーンに恒星像として投映するプラネタリウムの恒星投映筒にして、
恒星原板に表された個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類するとともに、等級グループ毎に調光手段を有する個別の光源を対応させ、
個別の光源のそれぞれから、それに対応した等級グループに属する恒星に対し導光手段により光を導くことにより、
投映時に同一の等級グループに属する複数の恒星の明るさを等級グループ単位で消灯、点灯、調光することができるようにしたことを可能とした恒星投映筒を用い、
観客が明るい環境から暗い環境のプラネタリウム施設内に入場した当初は、恒星の見かけの明るさを再現する標準設定では明るさが暗い等級グループの恒星の明るさを一時的に明るくすることを特徴とするプラネタリウムの演出方法。
【請求項9】
恒星原板に表された恒星をスクリーンに恒星像として投映するプラネタリウムの恒星投映筒にして、
恒星原板に表された個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類するとともに、等級グループ毎に調光手段を有する個別の光源を対応させ
個別の光源のそれぞれから、それに対応した等級グループに属する恒星に対し導光手段により光を導くことにより、
投映時に同一の等級グループに属する複数の恒星の明るさを等級グループ単位で消灯、点灯、調光することができるようにしたことを可能とした恒星投映筒を用い、
恒星の見かけの明るさを再現する標準設定では明るさの差異が少ない等級グループ間において、グループ同士の明るさの差異を一時的に大きくすることを特徴とするプラネタリウムの演出方法。
【請求項10】
恒星原板に表された恒星をスクリーンに恒星像として投映するプラネタリウムの恒星投映筒にして、
恒星原板に表された個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類するとともに、等級グループ毎に調光手段を有する個別の光源を対応させ、
個別の光源のそれぞれから、それに対応した等級グループに属する恒星に対し導光手段により光を導くことにより、
投映時に同一の等級グループに属する複数の恒星の明るさを等級グループ単位で消灯、点灯、調光することができるようにしたことを可能とした恒星投映筒を用い、
プラネタリウム施設内の明るさを徐々に暗くしていく夕暮れの星空の再現時に実際の星空で最初に見える等級グループに属する恒星のみを徐々に明るくすることを特徴とするプラネタリウムの演出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、プラネタリウムなどで用いられる恒星投映筒およびプラネタリウムの演出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラネタリウムにおいては、全天の恒星を投映するのに、全天を複数の面に分割し、投映原板及び投映レンズからなる複数の恒星投映筒によりそれぞれの分割面を投映している。
【0003】
一方、光源から光ファイバー束により恒星投映筒に導光することが公知である(特許文献1、2)。
【0004】
また、これまで、プラネタリウムなどで用いられる恒星原板を持つ恒星投映筒においては、すべての恒星投映筒に共通の単一の光源、あるいは複数に共通、あるいは個別の複数の光源からの光を用いて、スクリーン上に恒星を投映しており、一部の明るい恒星に対してのみ、別に用意された単一の恒星を投映する輝星投映筒によって映し出し、あらかじめ決められた正しい明るさで個々の恒星を投映していた。例えば、所定の等級以下の恒星は一般恒星投映でまとめて投映し,所定の等級以上の恒星は高輝星投映筒により個々に投映していた(特許文献3)。
【0005】
前記の恒星投映筒では、恒星原板に穿設した孔を通過した光を投映することにより恒星像を再現していたが、孔の大きさを変えることにより恒星の見かけの明るさを表現していた。すなわち、明るい恒星の場合は穴径を大きく、暗い恒星の場合は穴径を小さくしていた。
【0006】
【文献】特開昭62-191818号公報
【文献】特開2001-109063号公報
【文献】特開2006-145614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、これまでのプラネタリウムにおいては、星の等級差を正確に表現することは非常に大切にされてきた。一方、近年のプラネタリウムでは、実際の星空よりも非常に明るく星空を再現するようになっている。このため、投映開始からしばらくして観客の視覚が明所視から暗所視に変化すると、正確な等級差に基づき投映されているにもかかわらず、暗さに慣れてしまった目には星の明るさの違いが認識しづらくなり夜空の星々が同じような明るさに見えてしまっていた。このため、正確な等級差を表現できるだけでなく、明るさの違いが十分に認識できることの両立が求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の前記の従来技術の問題点に鑑みて創作されたものであり、これまで固定されていた恒星の等級差を調整可能とし、物理的な観点から正確な等級差を表現するだけでなく、観客の視覚においても等級差を明確に認識させることを可能とする星空を再現できるようにする恒星投映筒を提供することを目的とする。
【0009】
すなわち、本願発明の恒星投映筒は恒星原板に表された恒星をスクリーンに恒星像として投映するプラネタリウムの恒星投映筒において、恒星原板上の個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類し、投映時にこれらの分類した等級グループ単位で任意の明るさを再現できるように、調光可能な光源からの光を導光手段によって対応する等級グループに属する個々の恒星に導くことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の恒星投映筒は前記の恒星投映筒において、調光可能な複数の光源は、投映筒内に配されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の恒星投映筒は前記の恒星投映筒において、調光可能な複数の光源は、投映筒外に配されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の恒星投映筒は前記の恒星投映筒において、導光手段として、光ファイバーを用いたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の恒星投映筒は前記の恒星投映筒において、単一あるいは複数の光源と、光源からの光を所定の値で減衰させる透過型あるいは反射型液晶パネルを用い、上記パネルを制御することにより個々の恒星の明るさを調節可能としたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の恒星投映筒は前記の恒星投映筒において、恒星原板上の恒星の穴径を、単一の穴径としたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に記載の恒星投映筒は前記の恒星投映筒において、恒星原板上の一部あるいはすべての恒星の穴径を、恒星の等級に合致する穴径とは異なる穴径としたことを特徴とする。
【0016】
本願においては前記の恒星投映筒を用いたプラネタリウムの演出方法も開示する。すなわち、請求項8に記載のプラネタリウムの演出方法は恒星原板に表された恒星をスクリーンに恒星像として投映するプラネタリウムの恒星投映筒にして、恒星原板上の個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類し、投映時にこれらの分類した等級グループ単位で任意の明るさを再現できるように、調光可能な光源からの光を導光手段によって対応する等級グループに属する個々の恒星に導く恒星投映筒を用い、観客が明るい環境から暗い環境のプラネタリウム施設内に入場した当初は、恒星の見かけの明るさを再現する標準設定では明るさが暗い等級グループの恒星の明るさを一時的に明るくすることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9に記載のプラネタリウムの演出方法は恒星原板に表された恒星をスクリーンに恒星像として投映するプラネタリウムの恒星投映筒にして、恒星原板上の個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類し、投映時にこれらの分類した等級グループ単位で任意の明るさを再現できるように、調光可能な光源からの光を導光手段によって対応する等級グループに属する個々の恒星に導く恒星投映筒を用い、恒星の見かけの明るさを再現する標準設定では明るさの差異が少ない等級グループ間において、グループ同士の明るさの差異を一時的に大きくすることを特徴とする。
【0018】
また、請求項10に記載のプラネタリウムの演出方法は恒星原板に表された恒星をスクリーンに恒星像として投映するプラネタリウムの恒星投映筒にして、恒星原板上の個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類し、投映時にこれらの分類した等級グループ単位で任意の明るさを再現できるように、調光可能な光源からの光を導光手段によって対応する等級グループに属する個々の恒星に導く恒星投映筒を用い、プラネタリウム施設内の明るさを徐々に暗くしていく夕暮れの星空の再現時に実際の星空で最初に見える等級グループに属する恒星のみを徐々に明るくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上の構成よりなる本願発明の恒星投映筒によれば、恒星原板上の個々の恒星を同じ明るさの等級グループ毎に分類し、投映時にこれらの分類した等級グループ単位で任意の明るさを再現できるように、光源からの光を導光手段によって対応する等級グループに属する個々の恒星に導いているので、導光手段によって等級グループ単位で投映される恒星像の明るさをコントロールすることが可能となる。
【0020】
よって、正確な等級差に基づき投映して常に自然な等級差を感じる星空を再現することが可能となるほか、等級間の明るさの差異を誇張して投映することにより、視覚が暗い環境に慣れてしまった観客に等級差を感じさせる仮想的な星空を再現した演出が可能となる。
【0021】
また、光源からの光を調光することにより恒星の見かけの明るさを表現するので、恒星原板に穿設した孔の大きさを変えることにより明るさを表現するこれまでの恒星投映筒とは異なり、恒星の明るさを決定する恒星原板上の恒星像の直径を実際の等級と一致させる必要がないため、全ての孔が単一の直径をもつ恒星原板を使用することができる。
【0022】
一方、以上の恒星投映筒を用いて、観客が明るい環境から暗い環境のプラネタリウム施設内に入場した当初は、恒星の見かけの明るさを再現する標準設定では明るさが暗い等級グループの恒星の明るさを一時的に明るくする請求項8記載のプラネタリウムの演出方法においては、投映開始からしばらくして観客の視覚が明所視から暗所視に変化すると、正確な等級差に基づき投映されているにもかかわらず、暗さに慣れてしまった目には星の明るさの違いが認識しづらくなり夜空の星々が同じような明るさに見えてしまっていた現象を解消することができる。
【0023】
すなわち、プラネタリウムの施設内に入ってきたとき、観客の視覚は暗順応ができていないため明るい星のみ見ることができるが、見え辛い暗い星を明るく投影することで、満天の星空を観客に見せることができる。逆に、しばらく施設内にいると視覚は暗順応ができるため、逆に近年の実際の星空よりも明るく星を投映しているプラネタリウムでは、星が明るすぎて視覚細胞が飽和してしまい、主要な星の等級にあまり違いがないように見えてしまう。しかしながら、本願発明による恒星投映筒を用いれば、それぞれの等級の明るさの差がより広がるように、明るい星はそのままの明るさで、暗い星をより暗く投影することで、明るさの違いを明確に提示できるので、観客が見て自然な星空を再現することができる。
【0024】
また、以上の恒星投映筒を用いて、恒星の見かけの明るさを再現する標準設定では明るさの差異が少ない等級グループ間において、グループ同士の明るさの差異を一時的に大きくする請求項9記載のプラネタリウムの演出方法においては、観客に恒星の等級の差を説明することが容易になる効果を得られる。
【0025】
すなわち、プラネタリウム施設においては、映し出された星空の中で、特徴的な星の並びなどを探させるなどして星座の説明を行ってきたが、近年のプラネタリウムでは7等星以下の星までも投影しているため星の数が多くなり、実際の星空に比べて極端に特徴的な星の並びなどが見つけ辛くなっていた。しかしながら、本願発明による恒星投映筒を用いれば、例えば星座の形を構成する主要な4等星程度までの星のみを投映し、それよりも暗い恒星は消灯あるいは等級をより暗く調整することによって、ドームスクリーン上に特徴的な星の並びなどを見つけやすく投影することができるから、星座の説明などを容易に進めることができる。
【0026】
また、以上の恒星投映筒を用いて、プラネタリウム施設内の明るさを徐々に暗くしていく夕暮れの星空の再現時に実際の星空で最初に見える等級グループに属する恒星のみを徐々に明るくすることを特徴とするプラネタリウムの演出方法においては、容易に夕暮れの空に輝く明るい星がキラキラと輝いている様子を再現することが可能となる。
【0027】
すなわち、プラネタリウムでは、夕暮れの場面などで星が次々と見えてくる演出が多用されるが、これまでは、プラネタリウム施設内の照明を暗くしていきながら、恒星を徐々に明るくしていくことで実現していた。この方法では、夕暮れの空に輝く明るい星がキラキラと輝いている様子の再現が困難であった。なぜなら、キラキラと輝くような明るさにしてしまうと、より暗い星までがはっきりと映し出されてしまうからである。しかしながら、本願発明による恒星投映筒を用いれば、明るい星のみを最大の明るさで投映することができるので、容易に夕暮れの空に輝く明るい星がキラキラと輝いている様子を再現することが可能である。
【0028】
前記したように、本願発明の恒星投映筒においては等級グループ単位で投映される恒星像の明るさを一括してコントロールすることができる。よって、前記の3つのプラネタリウムの演出方法の実施にあたってはオペレーターは個々の恒星を意識せずに等級グループ単位での調光を行えばよいので操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本願発明の恒星投映筒の第1実施例の一部切り欠き側面図。
図2】本願発明の恒星投映筒の第2実施例の一部切り欠き側面図。
図3】本願発明の恒星投映筒の第3実施例の要部の側面図。
図4】本願発明の恒星投映筒の第4実施例の要部の側面図。
図5】本願発明の恒星投映筒の第5実施例の要部の側面図。
図6】本願発明の恒星投映筒の第6実施例の要部の側面図。
図7】本願発明の恒星投映筒の第7実施例の要部の斜視図。
図8】本願発明の恒星投映筒の第8実施例の要部の側面図。
図9】本願発明のプラネタリウムの演出方法に使用する恒星投映筒の制御関係のブロック図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本願発明の恒星投映筒の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は、本願発明の恒星投映筒の第1実施例を示す図である。本願発明の恒星投映筒は、恒星原板上の個々の恒星の明るさ毎に、異なる調光可能な光源からの光を導光手段によって対応する個々の恒星に導くことを特徴とするが、この実施例においては恒星の明るさに毎に異なる複数の光源5を用いている。
【0031】
図中符号1は恒星原板2及び投映レンズ3を収容した投映筒であり、この実施例においては個別に調光可能な複数の光源5(ここではLEDランプ) を筒内に収容し、光ファイバ4を導光手段として用いて、それぞれの光源からの光を恒星原板2の対応する等級の個々の恒星に振り分けている。
【0032】
図2は本願発明の恒星投映筒の第2実施例を示す図である。この実施例においては前記第1実施例においては投映筒内に収容していた光源を恒星投映筒から取り外し、離れた場所に置いている。
【0033】
図中符号10は投映筒、12は恒星原板、13は投映レンズである。恒星の等級ごとに異なる複数の光源16は収容ケース15内に収容され、投映筒に至る光ファイバ17、投映筒内の光ファイバ14を導光手段として用いていて、それぞれの光源からの光を恒星原板12の対応する等級の個々の恒星に振り分けている。
【0034】
この実施例においては光源を投映筒外に配しているので、一つの光源を複数の投映筒で共用することができる。図中符号17Aはこの場合に他の投映筒に至る光ファイバーを指す。
【0035】
図3は本願発明の恒星投映筒の第3実施例を示す図である。この実施例においては複数の光源25は、単一の明るさとし、恒星原板に至る光ファイバ26の入射端と光源との間に調光機能を持つ素子26を介在させることによって、光ファイバ毎に調光可能としたものである。
【0036】
図4は本願発明の恒星投映筒の第4実施例を示す図である。この実施例においては恒星原板に至る光ファイバ34の入射端と光源との間に調光機能を持つ素子36を介在させることによって光ファイバ毎に異なる明るさの光束を生成しており、光源35は単一の面光源としている。
【0037】
図5から図6は本願発明の恒星投映筒の第5実施例を示す図である。この実施例においては恒星原板に至る光ファイバ44の入射端と光源45(ここでは面光源) との間に介在される調光素子として透過型液晶パネル46を使用している。この場合、液晶パネルの特定の領域の画素の透明度によって一つの光源としているので、個々の光ファイバ44の入射端は上記特定領域の画素の集合体47に向けて配される。
【0038】
図7は本願発明の恒星投映筒の第6実施例を示す図である。ここでは光ファイバ64の入射端と透過型液晶パネル56とのあいだに一つの集光レンズ55を配している。なお、図中符号57は光源を表す。
【0039】
図8は本願発明の恒星投映筒の第7実施例を示す図である。この実施例においては恒星原板64と透過型液晶パネル66とのあいだに配した集光レンズ65を導光手段として用い、透過型液晶パネル上で使用する画素の位置を適切に設定することにより、直接恒星原板に光を導いている。なお、図中符号67は光源、68は投映レンズを示す。
【0040】
前記の第6および第7実施例では透過型液晶パネルを用いているが、光学系を変更することにより、容易に反射型液晶パネルを使用することもできることはいうまでもない。
【0041】
図9は本願発明のプラネタリウムの演出方法に使用する恒星投映筒の制御関係のブロック図を示す。図中符号102は各恒星投映筒の恒星原板を照明するための光源、同じく103は照明光を調光するための調光部である。前記の調光部は光源自体の明るさを調光する場合と光源自体の明るさは固定として、恒星原板に至る光ファイバの入射端と光源との間に調光機能を持つ素子を介在させる場合が想定される。
【0042】
前記の光源102と調光部103は投映される恒星の明るさの等級グループ毎に容易され、制御部100を介して等級グループ毎に調光される。この場合、恒星の見かけの明るさを再現することをデフォルトとして、各等級グループの明るさは操作卓101の調光摘みをオペレーターが手動で操作して調光したり、あるいは予め定められたプラネタリウムの演出プログラム上で場面に応じて自動操作される。
【0043】
前記の等級グループ毎の調光により実現することが可能となるプラネタリウムの演出方法は次の通りである。
(演出方法1)
観客が明るい環境から暗い環境のプラネタリウム施設内に入場したことを検知(手順1)
恒星の見かけの明るさを再現する標準設定では明るさが暗い等級グループの恒星の明るさを一時的に明るくする(手順2)
予め設定した時間経過後に恒星の明るさを標準設定に戻す(手順3)
【0044】
(演出方法2)
星座の説明や恒星の等級の説明を開始(手順1)
恒星の見かけの明るさを再現する標準設定では明るさの差異が少ない等級グループ間において、グループ同士の明るさの差異を一時的に大きくする(手順2)
リウムの演出方法。
【0045】
(演出方法3)
夕暮れの星空の再現に際し、プラネタリウム施設内の明るさを徐々に暗くしていく(手順1)
実際の星空で最初に見える等級グループに属する恒星のみを徐々に明るくする(手順2)
【符号の説明】
【0046】
1 投映筒
2 恒星原板
3 投映レンズ
4 光ファイバー
5 光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9