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特許6999119CAN基盤の通信ネットワークにおける信号検出方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】CAN基盤の通信ネットワークにおける信号検出方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/04 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
G06N3/04 190
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020136708
(22)【出願日】2020-08-13
(65)【公開番号】P2021034043
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2020-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0099372
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505112037
【氏名又は名称】ペンタ・セキュリティ・システムズ・インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】319016563
【氏名又は名称】アウトクリプト カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】朴 乘瑩
(72)【発明者】
【氏名】沈 相奎
(72)【発明者】
【氏名】金 徳洙
(72)【発明者】
【氏名】李 錫雨
(72)【発明者】
【氏名】金 明珍
(72)【発明者】
【氏名】金 義錫
【審査官】松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061647(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108958217(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークで通信ノードの動作方法であって、
複数のCAN(Controller Area Network)通信ノードからCAN信号を受信する段階と、
受信した前記CAN信号を順方向サンプリング時点に基づいて順方向前処理して順方向入力データを生成する段階と、
前記順方向入力データに対する順方向マスクデータおよび前記順方向サンプリング時点による順方向タイムインターバルデータを生成する段階と、
前記CAN信号を逆方向サンプリング時点に基づいて逆方向前処理して逆方向入力データを生成する段階と、
前記逆方向入力データに対する逆方向マスクデータと前記逆方向サンプリング時点による逆方向タイムインターバルデータを生成する段階と、
前記順方向入力データ、順方向マスクデータ、順方向タイムインターバルデータ、逆方向入力データ、逆方向マスクデータおよび逆方向タイムインターバルデータを、GRU-D(Gated Recurrent Unit-Decay)ニューラルネットワークに入力して前記CAN信号のうちの異常信号を感知する段階と、
を含む、通信ノードの動作方法。
【請求項2】
前記順方向入力データを生成する段階は、
前記順方向サンプリング時点に基づいて順方向受信ウィンドウを獲得する段階と、
時間軸を基準として前記順方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで順方向に拡張する段階と、
前記時間軸を基準として前記順方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで逆方向に拡張する段階と、
前記拡張した受信ウィンドウに基づいて、前記信号の種類を表す行列である順方向入力データを生成する段階と、
をさらに含む、請求項1に記載の通信ノードの動作方法。
【請求項3】
前記順方向マスクデータは、前記サンプリング時点でデータが存在する場合には1値を有し、データが存在しない場合には0値を有する行列である、請求項2に記載の通信ノードの動作方法。
【請求項4】
前記順方向タイムインターバルデータは前記サンプリング時点の差に基づいて生成される、請求項2に記載の通信ノードの動作方法。
【請求項5】
前記逆方向入力データを生成する段階は、
前記逆方向サンプリング時点に基づいて逆方向受信ウィンドウを獲得する段階と、
時間軸を基準として前記逆方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで逆方向に拡張する段階と、
前記時間軸を基準として前記逆方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで順方向に拡張する段階と、
前記拡張した逆方向受信ウィンドウに基づいて、前記信号の種類を表す行列である逆方向入力データを生成する段階と、
をさらに含む、請求項1に記載の通信ノードの動作方法。
【請求項6】
前記逆方向タイムインターバルデータは前記逆方向サンプリング時点の差に基づいて生成される、請求項5に記載の通信ノードの動作方法。
【請求項7】
前記GRU-Dニューラルネットワークは、
複数のGRU-DレイヤーとFCレイヤーとを含むGRU-Dエンコーダおよび複数のGRU-DレイヤーとFCレイヤーとを含むGRU-Dデコーダを含み、前記GRU-Dエンコーダと前記GRU-Dデコーダとは対称的な構造を有する請求項1に記載の通信ノードの動作方法。
【請求項8】
前記異常信号を感知する段階は、
前記GRU-Dエンコーダの前記複数のGRU-Dレイヤーが前記方向入力データ、前記方向マスクデータおよび前記順方向タイムインターバルデータに基づいて第ヒドゥン行列を生成する段階と、
前記GRU-Dエンコーダの前記FCレイヤーが前記第1ヒドゥン行列に基づいてエンコーダデータを生成する段階と、
前記GRU-Dデコーダの前記複数のGRU-Dレイヤー前記逆方向入力データ、前記逆方向マスクデータおよび前記逆方向タイムインターバルデータに基づいて第2ヒドゥン行列を生成する段階と、
前記GRU-Dデコーダの前記FCレイヤーが前記第2ヒドゥン行列に基づいて前記順入力データの推定データを生成する段階と、
前記順方向入力データおよび前記推定データを比較して、前記CAN信号のうちの前記異常信号を感知する段階と、
を含む、請求項7に記載の通信ノードの動作方法。
【請求項9】
通信ネットワークの通信ノードであって、
プロセッサ(processor)と、
前記プロセッサによって実行される一つ以上の命令が保存されたメモリ(memory)と、
を含み、
前記一つ以上の命令は、複数のCAN(Controller Area Network)通信ノードからCAN信号を受信し、前記CAN信号を順方向サンプリング時点に基づいて順方向前処理して順方向入力データを生成し、前記順方向入力データに対する順方向マスクデータと前記順方向サンプリング時点による順方向タイムインターバルデータを生成し、前記CAN信号を逆方向サンプリング時点に基づいて逆方向前処理して逆方向入力データを生成し、前記逆方向入力データに対する逆方向マスクデータと前記逆方向サンプリング時点による逆方向タイムインターバルデータを生成し、前記順方向入力データ、前記順方向マスクデータ、前記順方向タイムインターバルデータ、前記逆方向入力データ、前記逆方向マスクデータおよび前記逆方向タイムインターバルデータをGRU-D(Gated Recurrent Unit-Decay)ニューラルネットワークに入力して前記CAN信号のうちの異常信号を感知するように実行される、通信ノード。
【請求項10】
前記順方向入力データを生成する場合、前記一つ以上の命令は、
前記順方向サンプリング時点に基づいて順方向受信ウィンドウを獲得し、
時間軸を基準として前記順方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで順方向に拡張し、
前記時間軸を基準として前記順方向受信ウィンドウを信号が存在するサンプリング時点まで逆方向に拡張し、
前記拡張した受信ウィンドウに基づいて前記信号の種類を表す行列である順方向入力データを生成するようにさらに実行される、
請求項9に記載の通信ノード。
【請求項11】
前記順方向マスクデータは、前記サンプリング時点でデータが存在する場合には1値を有し、データが存在しない場合には0値を有する行列である、請求項10に記載の通信ノード。
【請求項12】
前記順方向タイムインターバルデータは前記サンプリング時点の差に基づいて生成される、請求項10に記載の通信ノード。
【請求項13】
前記逆方向入力データを生成する場合、前記一つ以上の命令は、
前記逆方向サンプリング時点に基づいて逆方向受信ウィンドウを獲得し、
時間軸を基準として前記逆方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで逆方向に拡張し、
前記時間軸を基準として前記逆方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで順方向に拡張し、
前記拡張した逆方向受信ウィンドウに基づいて、前記信号の種類を表す行列である逆方向入力データを生成するようにさらに実行される、
請求項9に記載の通信ノード。
【請求項14】
前記GRU-Dニューラルネットワークは、
複数のGRU-DレイヤーとFCレイヤーとを含むGRU-Dエンコーダおよび複数のGRU-DレイヤーとFCレイヤーとを含むGRU-Dデコーダを含み、前記GRU-Dエンコーダと前記GRU-Dデコーダとは対称的な構造を有する請求項9に記載の通信ノード。
【請求項15】
前記異常信号を感知する場合、前記一つ以上の命令は、
前記GRU-Dエンコーダの前記複数のGRU-Dレイヤーが前記方向入力データ、前記方向マスクデータおよび前記順方向タイムインターバルデータに基づいて第ヒドゥン行列を生成し、
前記GRU-Dエンコーダの前記FCレイヤーが前記第1ヒドゥン行列に基づいてエンコーダデータを生成し、
前記GRU-Dデコーダの前記複数のGRU-Dレイヤー前記逆方向入力データ、前記逆方向マスクデータおよび前記逆方向タイムインターバルデータに基づいて第2ヒドゥン行列を生成し、
前記GRU-Dデコーダの前記FCレイヤーが前記第2ヒドゥン行列に基づいて前記順入力データの推定データを生成し、
前記順方向入力データおよび前記推定データを比較して、前記CAN信号のうちの前記異常信号を感知するようにさらに実行される、
請求項14に記載の通信ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCAN(Controller Area Network)基盤の通信ネットワークにおける信号検出方法および装置に関し、車両ネットワークでGRU-D(Gated Recurrent Unit-Decay)ニューラルネットワークを利用して信号を検出する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マシンラーニング(machine learning:機械学習)とは人工知能(Artificial Intelligence:AI)の一種であって、データを基盤としてコンピュータが自ら学習した内容に基づいて回帰、分類、群集化などの予測作業を遂行することをいう。
【0003】
ディープラーニング(deep learning)は人の考え方をコンピュータに教える機械学習の一分野であり、多様な非線形変換技法の組み合わせを通じて高い水準の抽象化(abstractions:多量のデータや複雑な資料の中から核心的な内容または機能を要約する作業)を試みる機械学習(machine learning)アルゴリズムの集合と定義され得る。
【0004】
ディープラーニング構造は人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Networks)に基づいて設計された概念である。人工ニューラルネットワークは仮想のニューロンを数学的にモデリングした後、シミュレーションして人間の脳のような学習能力を有するようにしようとするアルゴリズムであって、主にパターン認識に多く使われる。ディープラーニングで利用する人工ニューラルネットワークモデルは、線形フィッティング(linear fitting)と非線形変換(nonlinear transformation or activation)を繰り返して積み上げた構造を有する。ディープラーニングで使うニューラルネットワークモデルはディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)、回帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network:RNN)、制限ボルツマンマシン(Restricted Boltzmann Machine:RBM)、ディープビリーフネットワーク(Deep Belief Network:DBN)、ディープ・Q・ネットワーク(Deep Q-Networks)等が挙げられる。
【0005】
一方、車両用部品の電子化が急速に進行するにつれて、車両に搭載される電子装置の種類と数が大きく増加している。電子装置は大きくパワートレイン(power train)制御システム、ボディー(body)制御システム、シャーシ(chassis)制御システム、車両ネットワーク(network)、マルチメディア(multimedia)システムなどで使われ得る。パワートレイン制御システムはエンジン制御システム、自動変速制御システムなどを意味し得る。ボディー制御システムはボディー電装品制御システム、便宜装置制御システム、ランプ(lamp)制御システムなどを意味し得る。シャーシ制御システムは操向装置制御システム、ブレーキ(brake)制御システム、サスペンション(suspension)制御システムなどを意味し得る。車両ネットワークはCAN(Controller Area Network)、フレックスレイ(FlexRay(登録商標))基盤のネットワーク、MOST(Media Oriented System Transport)(登録商標)基盤のネットワークなどを意味し得る。マルチメディアシステムは航法装置システム、テレマティクス(telematics)システム、インフォテインメント(infotainment)システムなどを意味し得る。
【0006】
このようなシステムおよびシステムそれぞれを構成する電子装置は車両ネットワークを通じて連結されており、電子装置それぞれの機能を支援するための車両ネットワークが要求されている。CANは最大1Mbpsの伝送速度を支援することができ、衝突したフレーム(frame)の自動再伝送、CRC(Cyclic Redundancy Check)基盤のエラー検出などを支援することができる。
【0007】
一方、CAN基盤の車両ネットワークで補間法を使って車両ネットワークの受信信号を前処理することができる。ただし、補間法を使って受信信号を前処理する場合、解像度により車両ネットワークの性能が低下し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、CAN基盤の通信ネットワークでGRU-D(Gated Recurrent Unit-Decay)ニューラルネットワークを利用して信号を検出する方法および装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例に係る通信ノードの動作方法は、複数のCAN(Controller Area Network)通信ノードからCAN信号を受信する段階、受信したCAN信号を順方向サンプリング時点に基づいて順方向前処理して順方向入力データを生成する段階、前記順方向入力データに対する順方向マスクデータと前記順方向サンプリング時点による順方向タイムインターバルデータを生成する段階、前記CAN信号を逆方向サンプリング時点に基づいて逆方向前処理して逆方向入力データを生成する段階、前記逆方向入力データに対する逆方向マスクデータと前記逆方向サンプリング時点による逆方向タイムインターバルデータを生成する段階および前記順方向入力データ、順方向マスクデータ、順方向タイムインターバルデータ、逆方向入力データ、逆方向マスクデータおよび逆方向タイムインターバルデータをGRU-D(Gated Recurrent Unit-Decay)ニューラルネットワークに入力して前記CAN信号のうちの異常信号を感知する段階を含むことができる。
【0010】
ここで、前記順方向入力データを生成する段階は、前記順方向サンプリング時点に基づいて順方向受信ウィンドウを獲得する段階、時間軸を基準として前記順方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで順方向に拡張する段階、前記時間軸を基準として前記順方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで逆方向に拡張する段階および前記拡張した受信ウィンドウに基づいて、前記信号の種類を表す行列である順方向入力データを生成する段階をさらに含むことができる。
【0011】
ここで、前記順方向マスクデータは、前記サンプリング時点でデータが存在する場合には1値を有し、データが存在しない場合には0値を有する行列であり得る。
【0012】
ここで、前記順方向タイムインターバルデータは前記サンプリング時点の差に基づいて生成され得る。
【0013】
ここで、前記逆方向入力データを生成する段階は、前記逆方向サンプリング時点に基づいて逆方向受信ウィンドウを獲得する段階、時間軸を基準として前記逆方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで逆方向に拡張する段階、前記時間軸を基準として前記逆方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで順方向に拡張する段階および前記拡張した逆方向受信ウィンドウに基づいて、前記信号の種類を表す行列である逆方向入力データを生成する段階をさらに含むことができる。
【0014】
ここで、前記逆方向タイムインターバルデータは前記逆方向サンプリング時点の差に基づいて生成され得る。
【0015】
ここで、前記GRU-Dニューラルネットワークは、複数のGRU-Dレイヤーを含むGRU-Dエンコーダおよび前記GRU-Dエンコーダと対称的な構造を有する前記GRU-Dデコーダを含むことができる。
【0016】
ここで、前記異常信号を感知する段階は、前記GRU-Dエンコーダが前記逆方向入力データ、前記逆方向マスクデータおよび前記順方向タイムインターバルデータに基づいて第2ヒドゥン(hidden)行列およびエンコーダデータを出力する段階、前記GRU-Dデコーダが前記第2ヒドゥン行列、前記エンコーダデータ、前記逆方向マスクデータおよび前記逆方向タイムインターバルデータに基づいて推定データを出力する段階および前記順方向入力データと前記推定データを比較して、CAN信号のうちの異常信号を感知することができる。
【0017】
本発明の他の実施例に係る通信ノードは、プロセッサ(processor)および前記プロセッサによって実行される一つ以上の命令が保存されたメモリ(memory)を含むことができ、前記一つ以上の命令は、複数のCAN(Controller Area Network)通信ノードからCAN信号を受信し、前記CAN信号を順方向サンプリング時点に基づいて順方向前処理して入力データを生成し、前記順方向入力データに対する順方向マスクデータと前記順方向サンプリング時点による順方向タイムインターバルデータを生成し、前記CAN信号を逆方向サンプリング時点に基づいて逆方向前処理して逆方向入力データを生成し、前記逆方向入力データに対する逆方向マスクデータと前記逆方向サンプリング時点による逆方向タイムインターバルデータを生成し、そして、前記順方向入力データ、順方向マスクデータ、順方向タイムインターバルデータ、逆方向入力データ、逆方向マスクデータおよび逆方向タイムインターバルデータをGRU-D(Gated Recurrent Unit-Decay)ニューラルネットワークに入力して前記CAN信号のうちの異常信号を感知するように実行され得る。
【0018】
ここで、前記順方向入力データを生成する場合、前記一つ以上の命令は、前記順方向サンプリング時点に基づいて順方向受信ウィンドウを獲得し、時間軸を基準として前記順方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで順方向に拡張し、前記時間軸を基準として前記順方向受信ウィンドウを信号が存在するサンプリング時点まで逆方向に拡張し、そして前記拡張した受信ウィンドウに基づいて前記信号の種類を表す行列である順方向入力データを生成するようにさらに実行され得る。
【0019】
ここで、前記順方向マスクデータは、前記サンプリング時点でデータが存在する場合には1値を有し、データが存在しない場合には0値を有する行列であり得る。
【0020】
ここで、前記順方向タイムインターバルデータは前記サンプリング時点の差に基づいて生成され得る。
【0021】
ここで、前記逆方向入力データを生成する場合、前記一つ以上の命令は、前記逆方向サンプリング時点に基づいて逆方向受信ウィンドウを獲得し、時間軸を基準として前記逆方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで逆方向に拡張し、前記時間軸を基準として前記逆方向受信ウィンドウを受信信号が存在するサンプリング時点まで順方向に拡張し、そして、前記拡張した逆方向受信ウィンドウに基づいて、前記信号の種類を表す行列である逆方向入力データを生成するようにさらに実行され得る。
【0022】
ここで、前記GRU-Dニューラルネットワークは、複数のGRU-Dレイヤーを含むGRU-Dエンコーダおよび前記GRU-Dエンコーダと対称的な構造を有するGRU-Dデコーダを含むことができる。
【0023】
ここで、前記異常信号を感知する場合、前記一つ以上の命令は、前記GRU-Dエンコーダが前記逆方向入力データ、前記逆方向マスクデータおよび前記順方向タイムインターバルデータに基づいて第2ヒドゥン行列およびエンコーダデータを出力し、前記GRU-Dデコーダが前記第2ヒドゥン行列、前記エンコーダデータ、前記逆方向マスクデータおよび前記逆方向タイムインターバルデータに基づいて推定データを出力し、そして、前記順方向入力データと前記推定データを比較して、CAN信号のうちの異常信号を感知するようにさらに実行され得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、CAN基盤の通信ネットワークで補間法を使わずに受信信号の前処理を遂行することによって、受信信号の解像度が高くなっても通信ネットワークの性能が低下しないことができ、受信信号の特性にかかわらず前処理を遂行することができるため、受信信号の検出性能が向上し得る。
【0025】
また、CAN基盤の通信ネットワークでGRU-D(Gated Recurrent Unit-Decay)ニューラルネットワークを利用して信号を検出することによって、信号を検出する速度および正確性が向上し得る。したがって通信ネットワークの性能が向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】車両ネットワークのトポロジー(network topology)の第1実施例を図示したブロック図である。
図2】車両ネットワークを構成する通信ノードの構造についての一実施例を図示したブロック図である。
図3】車両ネットワークで異常信号を感知する方法の第1実施例を示したフローチャートである。
図4】車両ネットワークで順方向前処理を遂行する方法の第1実施例を示したフローチャートである。
図5】車両ネットワークで順方向受信ウィンドウを獲得する方法の第1実施例を説明するための概念図である。
図6】車両ネットワークで順方向受信ウィンドウを拡張する方法の第1実施例を説明するための概念図である。
図7】車両ネットワークで逆方向前処理を遂行する方法の第1実施例を示したフローチャートである。
図8】車両ネットワークで逆方向受信ウィンドウを獲得する方法の第1実施例を説明するための概念図である。
図9】車両ネットワークで逆方向受信ウィンドウを拡張する方法の第1実施例を説明するための概念図である。
図10】車両ネットワークでGRU-Dニューラルネットワークの第1実施例を示したブロック図である。
図11】車両ネットワークでGRU-Dエンコーダの第1実施例を示したブロック図である。
図12】車両ネットワークでGRU-Dデコーダの第1実施例を示したブロック図である。
図13】車両ネットワークでGRU-Dレイヤーの第1実施例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0028】
第1、第2等の用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。および/またはという用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0029】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていてもよくまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。その反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0030】
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0031】
異なって定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで使われるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0032】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例をより詳細に説明する。本発明の説明において、全体的な理解を助けるために、図面上の同じ構成要素については同じ参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
図1は、車両ネットワークのトポロジー(network topology)の第1実施例を図示したブロック図である。
【0034】
図1を参照すると、車両ネットワークは複数のエンドノード111~113および制御器120を含むことができる。図1の複数のエンドノード111~113および制御器120を含むことができる。
【0035】
また、車両ネットワークを構成する通信ノード(エンドノード111~113および制御器120)は、スター(star)トポロジー、バス(bus)トポロジー、リング(ring)トポロジー、ツリー(tree)トポロジー、メッシュ(mesh)トポロジーなどに連結され得る。また、車両ネットワークを構成する通信ノードそれぞれは、CANプロトコル、フレックスレイプロトコル、MOST(登録商標)プロトコル、LINプロトコル、イーサネット(登録商標)プロトコルなどを支援することができる。本発明に係る実施例は前述したネットワークトポロジーに適用され得、本発明に係る実施例が適用されるネットワークトポロジーはこれに限定されず多様に構成され得る。
【0036】
一方、図1の複数のエンドノード111~113および制御器120は次のように構成され得る。
【0037】
図2は、車両ネットワークを構成する通信ノードの一実施例を図示したブロック図である。
【0038】
図2を参照すると、通信ノード200は少なくとも一つのプロセッサ210、メモリ220およびネットワークと連結されて通信を遂行する送受信装置230を含むことができる。また、通信ノード200は入力インターフェース装置240、出力インターフェース装置250、保存装置260等をさらに含むことができる。通信ノード200に含まれたそれぞれの構成要素はバス(bus)270により連結されて通信を遂行できる。
【0039】
ただし、通信ノード200に含まれたそれぞれの構成要素は、共通バス270ではなくプロセッサ210を中心に個別インターフェースまたは個別バスを通じて連結されてもよい。例えば、プロセッサ210はメモリ220、送受信装置230、入力インターフェース装置240、出力インターフェース装置250および保存装置260のうち少なくとも一つと専用インターフェースを通じて連結されてもよい。
【0040】
プロセッサ210はメモリ220および保存装置260のうち少なくとも一つに保存されたプログラム命令(program command)を実行することができる。プロセッサ210は中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、グラフィック処理装置(Graphics Processing Unit:GPU)、または本発明の実施例に係る方法が実行される専用のプロセッサを意味し得る。
【0041】
メモリ220および保存装置260それぞれは、揮発性保存媒体および不揮発性保存媒体のうち少なくとも一つで構成され得る。例えば、メモリ220は読み取り専用メモリ(Read Only Memory:ROM)およびランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)のうち少なくとも一つで構成され得る。
【0042】
再び図1を参照すると、車両ネットワークで複数のエンドノード111~113はバスライン(bus line)を通じて連結され得る。すなわち、複数のエンドノード111~113間の通信はバスラインを通じて遂行され得る。また、複数のエンドノード111~113はバスラインを通じて制御器120と通信を遂行できる。複数のエンドノード111~113はそれぞれのサンプリング時点で制御器120に信号を伝送することができる。
【0043】
エンドノード111~113は車両に含まれた各種装置を制御するECU(Electronic Control Unit)を意味し得る。例えば、エンドノード111~113はインフォテインメント(infortainment)装置(例えば、ディスプレイ(display)装置、ナビゲーション(navigation)装置、アラウンドビューモニタリング(around view monitoring)装置)等を構成するECUを意味し得る。
【0044】
制御器120はバスラインを通じて複数のエンドノード111~113から信号を受信することができる。制御器120は複数のエンドノード111~113がそれぞれのサンプリング時点で送信した信号を受信することができる。制御器120は複数のエンドノード111~113から受信した信号のうち異常信号を感知することができる。
【0045】
図3は、車両ネットワークで異常信号を感知する方法の第1実施例を示したフローチャートである。
【0046】
図3のエンドノードおよび制御器は図1のエンドノード111~113および制御器120と同一または類似するように構成され得る。図3を参照すると、制御器(例えば図1の制御器120)はエンドノード(例えば、図1のエンドノード111~113)から受信した信号に基づいて順方向前処理を遂行できる(S310)。
【0047】
図4は、車両ネットワークで順方向前処理を遂行する方法の第1実施例を示したフローチャートである。
【0048】
図4のエンドノードおよび制御器は図1のエンドノード111~113および制御器120と同一または類似するように構成され得る。
【0049】
図4を参照すると、制御器(例えば、図1の制御器120)はエンドノード(例えば、図1のエンドノード111~113)から受信した信号および信号のサンプリング時点に基づいて順方向受信ウィンドウを獲得することができる(S410)。
【0050】
制御器はあらかじめ設定した周期でサンプリングを遂行できる。すなわち制御器はサンプリングを遂行した時点のうち、エンドノードから信号を受信したサンプリング時点を検出することができる。
【0051】
制御器はそれぞれのエンドノードのCAN IDおよびエンドノードから信号を受信したサンプリング時点に基づいて受信信号を整列することができる。制御器は、それぞれのエンドノードのCAN IDを縦軸に、サンプリング時点のうちエンドノードから信号を受信したサンプリング時点を横軸にする順方向グラフを生成することができる。
【0052】
順方向グラフにはエンドノードから受信した信号が時間順に整列され得る。制御器は生成されたグラフのうちあらかじめ設定された区間のグラフを獲得することによって、順方向受信ウィンドウを獲得することができる。
【0053】
図5は、車両ネットワークで、順方向受信ウィンドウを獲得する方法の第1実施例を説明するための概念図である。
【0054】
図5のエンドノードおよび制御器は図1のエンドノード111~113および制御器120と同一または類似するように構成され得る。図5のCAN ID Aは図1の第1エンドノード111のCAN IDであり得、CAN ID Bは第2エンドノード112のCAN IDであり得、CAN ID Cは第3エンドノード113のCAN IDであり得る。
【0055】
図5を参照すると、制御器はサンプリング時点のうちいずれか一つ以上にエンドノードから信号を受信することができる。制御器は第1エンドノードからto[sec]、to+1.9[sec]およびto+2.7[sec]に信号を受信することができる。制御器は第2エンドノードからto+1.0[sec]、to+1.6[sec]およびto+2.5[sec]に信号を受信することができる。
【0056】
制御器はそれぞれのエンドノードから信号を受信したサンプリング時点(to[sec]、to+1.0[sec]、to+1.9[sec]、to+1.6[sec]、to+2.5[sec]およびto+2.7[sec])を横軸に、それぞれのエンドノードのCAN ID(CAN ID A、CAN ID BおよびCAN ID C)を縦軸にする順方向グラフを生成することができる。順方向グラフには制御器がエンドノードから受信した信号が受信時点順に配列され得る。
【0057】
制御器は生成された順方向グラフのうち一部であるto[sec]からto+2.7[sec]区間の順方向グラフを順方向受信ウィンドウで獲得することができる。
【0058】
再び図4を参照すると、制御器は時間軸を基準として順方向受信ウィンドウを拡張することができる(S420)。制御器は順方向受信ウィンドウの横軸を両側に拡張する方式で順方向受信ウィンドウを拡張することができる。すなわち制御器は、すべてのエンドノード(例えば図1のエンドノード111~113)から信号を受信した時点を検出するために、順方向受信ウィンドウを両側に拡張することができる。
【0059】
図6は、車両ネットワークで、順方向受信ウィンドウを拡張する方法の第1実施例を説明するための概念図である。
【0060】
図6のエンドノードおよび制御器は図1のエンドノード111~113および制御器120と同一または類似するように構成され得る。また、図6の順方向受信ウィンドウは図5の順方向受信ウィンドウと同じでもよい。
【0061】
図6を参照すると、制御器は受信ウィンドウの開始時点であるto[sec]前に第2エンドノードおよび第3エンドノードから信号を受信したサンプリング時点を獲得することができる。制御器は受信ウィンドウの終了時点であるto+2.7[sec]後に第2エンドノードおよび第3エンドノードから信号を受信したサンプリング時点を獲得することができる。
【0062】
制御器はS410段階で獲得した順方向受信ウィンドウの横軸を両側に拡張することができる。すなわち、制御器はS410段階で獲得した順方向受信ウィンドウをto[sec]から左側(時間が減少する方向)に拡張することができ、to+2.7[sec]から右側(時間が増加する方向)に拡張することができる。
【0063】
制御器はto[sec]前に残りのエンドノードから信号を受信した時点(例えば、第2エンドノードから信号を受信した時点であるto-0.6[sec])まで順方向受信ウィンドウを左側に拡張することができる。制御器は順方向受信ウィンドウをto+2.7[sec]後に残りのエンドノードから信号を受信した時点(例えば、第3エンドノードから信号を受信した時点であるto+3.7[sec])まで順方向受信ウィンドウを右側に拡張することができる。
【0064】
再び、図4を参照すると、制御器はS420段階で拡張した順方向受信ウィンドウ(図6参照)に基づいて順方向入力データを生成することができる(S430)。
【0065】
制御器はS420段階で拡張した順方向受信ウィンドウを下記の数1のように一つの行列で表すことによって順方向入力データを生成することができる。
【0066】
【数1】
【0067】
数1でx0,0、x0,3、x0,5、x1,0、x1,3およびx1,5は第1エンドノードから、to+1.9[sec]およびto+2.7[sec]に受信した信号を表すことができる。x2,-2、x2,1、x2,2、x2,4、x2,6、x3,-2、x3,1、x3,2、x3,4およびx3,6は第2エンドノードからto-0.6[sec]、to+1.0[sec]、to+1.6[sec]およびto+2.5[sec]およびto+3.2[sec]に受信した信号を表すことができる。x4,-1、x4,7、x5,-1およびx5,7は第3エンドノードからto-0.5[sec]、to+3.7[sec]に受信した信号であり得る。
【0068】
制御器はS430段階で生成した順方向入力データに基づいて順方向マスクデータおよび順方向タイムインターバルを生成することができる(S440)。
【0069】
マスクデータは特定のサンプリング時点で、特定のエンドノードが信号を受信したか否かを表す行列であり得る。制御器はサンプリング時点で信号を受信した場合は1値を有し、受信しなかった場合は0値を有する行列である順方向マスクデータを生成することができる。ここでサンプリング時点とは、エンドノード111~113のうち少なくともいずれか一つから信号を受信した時点であり得る。例えば、制御器は数1により生成された順方向入力データに基づいて下記の数2のようなマスクデータを生成することができる。
【0070】
【数2】
【0071】
制御器はエンドノードから信号を受信したサンプリング時点の差を表す順方向サンプリング行列を生成することができる。順方向サンプリング行列は、拡張された順方向受信ウィンドウで最も速い信号受信時点と残りの信号受信時点の時間差を表す行列であり得る。例えば、図6の拡張された順方向受信ウィンドウに基づいて次の数3のような順方向サンプリング行列を生成することができる。
【0072】
【数3】
【0073】
数3で、順方向サンプリング行列それぞれの成分は、エンドノードから信号を受信した時点のうち最も速いサンプリング時点であるto-0.6[sec]と残りの信号受信時点の差を表すことができる。
【0074】
制御器は順方向サンプリング行列および順方向マスクデータに基づいて順方向タイムインターバルデータを生成することができる。制御器は下記の数4に基づいて行列形態の順方向タイムインターバルデータを生成することができる。
【0075】
【数4】
【0076】
数4で、δk,tは順方向タイムインターバルデータのk行、t列の成分であり得る。stは順方向サンプリング行列のt番目の成分であり得、δk,t-1は順方向タイムインターバルデータのk行、t-1列の成分であり得、min(t)は拡張された順方向受信ウィンドウのサンプリング時点のうち最も早い時間であり得、mk,tは順方向マスクデータのk行、t列の成分であり得る。
【0077】
例えば、数2によって生成された順方向マスクデータおよび数3によって生成された順方向サンプリング行列に基づいて下記の数5のように順方向タイムインターバルデータを生成することができる。
【0078】
【数5】
【0079】
再び、図3を参照すると、制御器はエンドノードから受信した信号に基づいて逆方向前処理を遂行できる(S320)。
【0080】
図7は、車両ネットワークで、逆方向前処理を遂行する方法の第1実施例を示したフローチャートである。
【0081】
図7のエンドノードおよび制御器は図1のエンドノード111~113および制御器120と同一または類似するように構成され得る。
【0082】
図7を参照すると、制御器(例えば、図1の制御器120)はエンドノード(例えば、図1のエンドノード111~113)から受信した信号および信号のサンプリング時点に基づいて逆方向受信ウィンドウを獲得することができる(S710)。
【0083】
制御器はあらかじめ設定した周期でサンプリングを遂行できる。すなわち制御器はサンプリングを遂行した時点のうち、エンドノードから信号を受信した時点を検出することができる。制御器はそれぞれのエンドノードのCAN IDおよび信号の受信時点に基づいて受信信号を信号受信時点の逆順で整列することができる。
【0084】
制御器はそれぞれのエンドノードのCAN IDを縦軸に、逆方向サンプリング時点のうちエンドノードから信号を受信した時点を横軸にする逆方向グラフを生成することができる。ここで、逆方向サンプリング時点とは、それぞれの制御器のサンプリング時点に-1値を掛けたサンプリング時点であり得る。
【0085】
図8は、車両ネットワークで、逆方向受信ウィンドウを獲得する方法の第1実施例を説明するための概念図である。
【0086】
図8のエンドノードおよび制御器は図1のエンドノード111~113および制御器120と同一または類似するように構成され得る。図8のCAN ID Aは図1の第1エンドノード111のCAN IDであり得、CAN ID Bは第2エンドノード112のCAN IDであり得、CAN ID Cは第3エンドノード113のCAN IDであり得る。
【0087】
図8を参照すると、制御器は逆方向サンプリング時点の中でエンドノードから信号を受信した時点を獲得することができる。制御器は信号を受信した時点に-1値を掛けて逆方向サンプリング時点の中で信号を受信した時点を獲得することができる。
【0088】
制御器はサンプリング時点のうちいずれか一つ以上にエンドノードから信号を受信することができる。制御器は第1エンドノードからto[sec]、to+1.9[sec]およびto+2.7[sec]に信号を受信することができる。制御器は第2エンドノードからto+1.0[sec]、to+1.6[sec]およびto+2.5[sec]に信号を受信することができる。
【0089】
それぞれのエンドノードから信号を受信した時点(to[sec]、to+1.0[sec]、to+1.6[sec]、to+1.9[sec]、to+2.5[sec]およびto+2.7[sec])に-1値を掛けて、逆方向サンプリング時点の中で信号を受信した時点(-to[sec]、-to-1.0[sec]、-to-1.6[sec]、-to-1.9[sec]、-to-2.5[sec]および-to-2.7[sec])を獲得することができる。制御器は獲得した逆方向信号受信時点を横軸に、それぞれのエンドノードのCAN ID(CAN ID A、CAN ID BおよびCAN ID C)を縦軸にする逆方向グラフを生成することができる。
【0090】
逆方向グラフには制御器がエンドノードから信号を受信した受信時点が逆順で配列され得る。制御器は生成された順方向グラフのうち一部である-to-2.7[sec]から-to[sec]区間の逆方向グラフを逆方向受信ウィンドウで獲得することができる。
【0091】
再び図7を参照すると、制御器は時間軸を基準として逆方向受信ウィンドウを拡張することができる(S720)。制御器は逆方向受信ウィンドウの横軸を両側に拡張する方式で逆方向受信ウィンドウを拡張することができる。すなわち制御器はすべてのエンドノード(例えば図1のエンドノード111~113)から信号を受信するために、逆方向受信ウィンドウを両側に拡張することができる。
【0092】
図9は、車両ネットワークで、逆方向受信ウィンドウを拡張する方法の第1実施例を説明するための概念図である。
【0093】
図9のエンドノードおよび制御器は図1のエンドノード111~113および制御器120と同一または類似するように構成され得る。また、図9の逆方向受信ウィンドウは図8の逆方向受信ウィンドウと同じでもよい。
【0094】
図9を参照すると、制御器は逆方向サンプリング時点を基準として、逆方向受信ウィンドウの開始時点である-to-2.7[sec]前に第2エンドノードおよび第3エンドノードから信号を受信した逆方向サンプリング時点を獲得することができる。制御器は逆方向受信ウィンドウの終了時点である-to後に第2エンドノードおよび第3エンドノードから信号を受信した逆方向サンプリング時点を獲得することができる。
【0095】
制御器はS710段階で獲得した逆方向受信ウィンドウの横軸を両側に拡張することができる。すなわち、制御器はS710段階で獲得した逆方向受信ウィンドウを-to-2.7[sec]から左側(時間が減少する方向)に拡張することができ、-toから右側(時間が増加する方向)に拡張することができる。
【0096】
制御器は-to-2.7[sec]前に残りのエンドノードから信号を受信した逆方向サンプリング時点(例えば、第3エンドノードから信号を受信した逆方向サンプリング時点である-to-3.7[sec])まで逆方向受信ウィンドウを左側に拡張することができる。制御器は-to[sec]後に残りのエンドノードが信号を受信したサンプリング時点(例えば、第2エンドノードから信号を受信した逆方向サンプリング時点である-to+0.6[sec])まで逆方向受信ウィンドウを右側に拡張することができる。
【0097】
再び、図7を参照すると、制御器はS720段階で拡張した逆方向受信ウィンドウに基づいて逆方向入力データを生成することができる(S730)。
【0098】
制御器はS730段階で拡張した逆方向受信ウィンドウを下記の数7のように一つの行列で表すことによって、逆方向入力データを生成することができる。
【0099】
【数7】
【0100】
【0101】
【0102】
制御器はS730段階で生成した逆方向入力データに基づいて逆方向マスクデータおよび逆方向タイムインターバルを生成することができる(S740)。
【0103】
制御器は逆方向サンプリング時点で信号を受信した場合は1値を有し、受信しなかった場合は0値を有する行列である逆方向マスクデータを生成することができる。ここで逆方向サンプリング時点とは、エンドノード111~113のうち少なくともいずれか一つから信号を受信した時点であり得る。例えば、制御器は数7により生成された逆方向入力データに基づいて下記の数8のような逆方向マスクデータを生成することができる。
【0104】
【数8】
【0105】
制御器はエンドノードの逆方向サンプリング時点の差を表す逆方向サンプリング行列を生成することができる。逆方向サンプリング行列は拡張された逆方向受信ウィンドウで最も速い逆方向サンプリング時点と残りの逆方向サンプリング時点の時間差を表す行列であり得る。例えば、図9の拡張された逆方向受信ウィンドウに基づいて次の数9のような逆方向サンプリング行列を生成することができる。
【0106】
【数9】
【0107】
数9で、逆方向行列それぞれの成分はエンドノードの逆方向サンプリング時点のうち最も速い時点である(-to-3.7)[sec]と残りのサンプリング時点の差を表すことができる。
【0108】
制御器は逆方向サンプリング行列および逆方向マスクデータに基づいて、逆方向タイムインターバルデータを生成することができる。制御器は下記の数10に基づいて行列形態の逆方向タイムインターバルデータを生成することができる。
【0109】
【数10】
【0110】
【0111】
例えば、数8で生成した逆方向マスクデータおよび数9で生成された逆方向サンプリング行列に基づいて下記の数11のように逆方向タイムインターバルデータを生成することができる。
【0112】
【数11】
【0113】
再び図3を参照すると、制御器はS310で遂行した順方向前処理結果およびS320で遂行した逆方向前処理結果に基づいて受信信号のうち異常信号を感知することができる(S330)。
【0114】
制御器は順方向前処理結果である順方向入力データ、順方向マスクデータおよび順方向タイムインターバルと逆方向前処理結果である逆方向入力データ、逆方向マスクデータおよび逆方向タイムインターバルをGRU-D(Gated Recurrent Unit-Decay)ニューラルネットワークに入力することができる。GRU-Dニューラルネットワークは入力データに基づいて受信信号の異常の有無を判断することができる。
【0115】
図10は、車両ネットワークで、GRU-Dニューラルネットワークの第1実施例を示したブロック図である。図10を参照すると、GRU-DニューラルネットワークはGRU-Dエンコーダ1001およびGRU-Dデコーダ1002を含むことができる。図10には複数のGRU-Dエンコーダ1001およびGRU-Dデコーダ1002が図示されているが、これは複数のGRU-Dエンコーダ1001およびGRU-Dデコーダ1002の繰り返される演算を説明するためのものであって、すべて同一のGRU-Dエンコーダ1001およびGRU-Dデコーダ1002であり得る。
【0116】
図11は、車両ネットワークで、GRU-Dエンコーダの第1実施例を示したブロック図である。
【0117】
図11を参照すると、GRU-Dエンコーダは複数のGRU-Dレイヤー1101~1103およびFC(Fully Connected)レイヤー1104を含むことができる。
【0118】
再び図11を参照すると、複数のGRU-Dレイヤーのうち最下位レイヤーである第0GRU-Dレイヤー1101は、順方向入力データのうちいずれか一列であるxt、マスクデータのうちいずれか一列であるmtおよび順方向インターバルデータのうちいずれか一列であるδtを入力信号として受信することができる。xt、mtおよびδtはそれぞれの行列のt番目の列の成分であり得る。
【0119】
第0GRU-Dレイヤー1101はxt、mtおよびδtに基づいて、0番目のヒドゥン行列であるht 0を生成することができる。第0GRU-Dレイヤー1101はht 0を第1GRU-Dレイヤー1102に伝送することができる。第1GRU-Dレイヤー1102は第0GRU-Dレイヤー1101からht 0を受信することができる。第1GRU-Dレイヤー1102はht 0に基づいて第1レイヤーヒドゥン行列であるht 1を生成することができる。
【0120】
第N-1GRU-Dレイヤー1103は第N-2GRU-Dレイヤーから第N-2レイヤーヒドゥン行列であるht n-2を受信することができる。第N-1レイヤー1103はht n-2に基づいて第1ヒドゥン行列であるht n-1を生成することができる。
【0121】
また、第N-1レイヤー1103は生成した第1ヒドゥン行列であるht n-1をFCレイヤー1104に伝送することができる。FCレイヤー1104は第N-1レイヤー1103から第1ヒドゥン行列ht n-1を受信することができる。FCレイヤー1104はht n-1に基づいてエンコーダデータzt+1を生成することができる。
【0122】
一方、図10の複数のGRU-Dデコーダ1002は次のように構成され得る。
【0123】
図12を参照すると、GRU-Dデコーダは複数のGRU-Dレイヤー1201~1203およびFCレイヤー1204を含むことができる。
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
一方、それぞれのGRU-Dレイヤー(1101~1103および1201~1203)は次のように構成され得る。
【0129】
図13は、GRU-Dレイヤーの第1実施例を示した概念図である。
【0130】
図13はGRU-Dエンコーダのレイヤーに基づいて説明するが、これはGRU-Dデコーダのレイヤーにも同様に適用され得る。
【0131】
図13を参照すると、GRU-Dレイヤーはリセットゲートrおよびアップデートゲートyおよびマスクゲートgを含むことができる。リセットゲートrは新しい入力を以前のメモリとどのように合わせるかを決定することができる。アップデートゲートyは以前のメモリをどれくらい反映するかを決定することができる。
【0132】
リセットゲートrは下記の数12に基づいて、リセットパラメータを獲得することができる。
【0133】
【数12】
【0134】
【0135】
【0136】
【数13】
【0137】
【0138】
【数14】
【0139】
数14で、Wγはδの加重値であり得、bγはバイアスベクターを意味し得る。
【0140】
一方、アップデートゲートyは下記の数15を利用して、アップデートパラメータyを獲得することができる。
【0141】
【数15】
【0142】
【0143】
【数16】
【0144】
一方、GRU-Dレイヤーは新しいヒドゥンベクターhを次の数17により演算することができる。
【0145】
【数17】
【0146】
再び図10を参照すると、GRU-Dエンコーダ1001は順方向入力データ、順方向マスクデータおよび順方向タイムインターバルデータを受信することができる。
【0147】
GRU-Dエンコーダ1001は順方向入力データの第1列成分(例えば、図4の数1のx-2列成分)、順方向マスクデータの第1列成分(例えば、図4の数2のm-2列成分)、および順方向タイムインターバルの第1列成分(例えば、図4の数5のδ-2列成分)に基づいてエンコーダデータz-1および第1ヒドゥン行列h-2 n-1を生成することができる。ここでz-1はGRU-Dエンコーダ1001のFCレイヤー(例えば、図11のFCレイヤー1104)が生成することができ、第1ヒドゥン行列h-2 n-1はGRU-Dエンコーダ1001の最後のGRU-Dレイヤー(例えば、図11の最後のレイヤー1103)が生成することができる。
【0148】
GRU-Dデコーダ1002は逆方向入力データ、逆方向マスクデータおよび逆方向インターバルデータを受信することができる。またGRU-Dデコーダ1002はGRU-Dエンコーダ1001から第Nヒドゥン行列hn-1 n-1を受信することができる。
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
GRU-Dニューラルネットワークは順方向入力データとGRU-Dデコーダ1002が出力する推定データを比較して受信信号のうち異常信号を感知することができる。
【0154】
一方、制御器は下記の数18に基づいて入力データと推定データの差を表すMSE(Mean Squared Error)を演算することができる。
【0155】
【数18】
【0156】
【0157】
【0158】
制御器はMSE値の大きさに基づいて、異常信号を感知することができる。MSE値があらかじめ設定した値以上である場合、制御器は入力信号が異常信号であると判断することができる。MSE値があらかじめ設定した値未満である場合、制御器は入力信号が正常信号であると判断することができる。
【0159】
制御器は数18にしたがってGRD-Dレイヤー(例えば、図13のGRU-Dレイヤー)のパラメータを調整してMSEを最小化することができる。制御器はRMSProp、ADAMアルゴリズムのようなアルゴリズムを利用してパラメータを調整することができる。RMSProp、ADAMアルゴリズムは通常の技術者に自明な事項であるため本明細書では説明を省略する。
【0160】
本発明に係る方法は、多様なコンピュータ手段を通じて遂行され得るプログラム命令の形態で具現されてコンピュータ読み取り可能な媒体に記録され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体はプログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。コンピュータ読み取り可能な媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計されて構成されたものであるか、コンピュータソフトウェアの当業者に公知となっていて使用可能なものでもよい。
【0161】
コンピュータ読み取り可能な媒体の例には、ロム、ラム、フラッシュメモリ(flash memory)等のようにプログラム命令を保存して遂行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例には、コンパイラ(compiler)により作られるような機械語コードだけでなく、インタープリタ(interpreter)等を使ってコンピュータによって実行され得る高級言語コードを含む。前述したハードウェア装置は、本発明の動作を遂行するために少なくとも一つのソフトウェアモジュールで作動するように構成され得、その逆も同じである。
【0162】
以上、実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることが理解できるであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13