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特許6999135混合器、ファインバブル含有流体生成装置、気液混相流体流れ形成方法及びファインバブル含有流体生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】混合器、ファインバブル含有流体生成装置、気液混相流体流れ形成方法及びファインバブル含有流体生成方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/2326 20220101AFI20220111BHJP
   B01F 21/00 20220101ALI20220111BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20220111BHJP
   B01F 25/30 20220101ALI20220111BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220111BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220111BHJP
【FI】
B01F3/04 F
B01F1/00 A
B01F3/04 Z
B01F5/04
B01F5/06
B01F15/02 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018138004
(22)【出願日】2018-07-23
(65)【公開番号】P2020014984
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】518261537
【氏名又は名称】株式会社PMT
(73)【特許権者】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100118692
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 菜穂恵
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(72)【発明者】
【氏名】小田島 博道
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 暢之
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-301345(JP,A)
【文献】特開2011-011154(JP,A)
【文献】特開2013-000626(JP,A)
【文献】特開2009-274045(JP,A)
【文献】特開2017-094300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と気体とを混合し、ファインバブル発生器へ供給するための気液混相流体を生成する混合器であって、
外管と、
前記外管内に挿入される内管であって、当該内管の一端が前記外管内に位置し、前記液体又は前記気体の一方である第1流体を流通させる第1流路を内部に有する内管と、
前記外管の内面と前記内管の外面との間に形成され、前記外管における内管挿入側の端部である上流端から前記外管における前記ファインバブル発生器側の端部である下流端に向かって前記液体又は前記気体の他方である第2流体を流通させる第2流路と、
を含み、
前記外管における前記内管の一端と前記下流端との間の領域である下流側領域に、前記ファインバブル発生器の吸入口に生じる負圧が作用することにより、前記第1流路を介して前記第1流体が流入すると共に前記第2流路を介して前記第2流体が流入し、前記下流側領域において、前記液体と前記気体とが断続的に前記下流端に向かって流れる前記気液混相流体の流れを形成している、混合器。
【請求項2】
前記外管は、直線的に延びる管である、請求項に記載の混合器。
【請求項3】
前記内管は、直線的に延びる管である、請求項1又は2に記載の混合器。
【請求項4】
前記内管は、前記外管の内側に同心状に挿入される、請求項1~のいずれか一つに記載の混合器。
【請求項5】
前記第1流体は前記気体であり、前記第2流体は前記液体である、請求項1~のいずれか一つに記載の混合器。
【請求項6】
前記第1流体は前記液体であり、前記第2流体は前記気体である、請求項1~のいずれか一つに記載の混合器。
【請求項7】
前記気体の流通する前記第1流路又は前記第2流路と、前記下流側領域とからなる流路は、設置状態において略水平に延びるように設けられている、請求項1~のいずれか一つに記載の混合器。
【請求項8】
液体と気体とを混合し、ファインバブル発生器へ供給するための気液混相流体を生成する混合器と、前記ファインバブル発生器と、を含むファインバブル含有流体生成装置であって、
前記混合器は、
外管と、
前記外管内に挿入される内管であって、当該内管の一端が前記外管内に位置し、前記液体又は前記気体の一方である第1流体を流通させる第1流路を内部に有する内管と、
前記外管の内面と前記内管の外面との間に形成され、前記外管における内管挿入側の端部である上流端から前記外管における前記ファインバブル発生器側の端部である下流端に向かって前記液体又は前記気体の他方である第2流体を流通させる第2流路と、
を含み、
前記外管における前記内管の一端と前記下流端との間の領域である下流側領域に、前記第1流路を介して前記第1流体が流入すると共に前記第2流路を介して前記第2流体が流入し、前記下流側領域において、前記液体と前記気体とが断続的に前記下流端に向かって流れる前記気液混相流体の流れを形成しており、
前記ファインバブル発生器は、
吸入口を介して前記混合器からの前記気液混相流体を吸入すると共に吸入した前記気液混相流体を圧縮して吐出する圧縮機と、
前記圧縮機の吐出口に接続される吐出流路と、
前記吐出流路に設けられ、作動時における前記圧縮機の前記吐出口に作用する背圧を大気圧より高い設定値に維持するように前記吐出流路を開閉することにより、前記気液混相流体に対して所定の高圧力を印加する背圧調整弁と、
を備え、
前記所定の高圧力の印加により前記気液混相流体内の前記気体をファインバブルに微細化し、当該ファインバブルを含有した流体を生成する、ファインバブル含有流体生成装置。
【請求項9】
前記ファインバブル発生器の前記吸入口に生じる負圧が前記下流側領域に作用することにより、前記下流側領域に、前記第1流路を介して前記第1流体が流入すると共に前記第2流路を介して前記第2流体が流入する、請求項8に記載のファインバブル含有流体生成装置。
【請求項10】
前記混合器の前記下流側領域と前記ファインバブル発生器の前記吸入口との間を接続する中間流路を有し、
前記中間流路は、前記気体の流通する前記第1流路又は前記第2流路と、前記下流側領域とからなる流路に合せて略水平に延びるように設けられている、請求項8又は9に記載のファインバブル含有流体生成装置。
【請求項11】
前記圧縮機は、前記吸入口から前記気液混相流体を吸入すると共に当該吸入した前記気液混相流体を圧縮して前記吐出口から吐出する吸入圧縮部を二つ有し、
一方の前記吸入圧縮部が前記吸入口から前記気液混相流体を吸引しているとき、他方の前記吸入圧縮部は前記気液混相流体を圧縮して前記吐出口から吐出する、請求項8~10のいずれか一つに記載のファインバブル含有流体生成装置。
【請求項12】
二つの前記吸入圧縮部のそれぞれは、
前記吸入口と前記吐出口との間を接続する内部流路と、
前記内部流路から分岐する分岐流路と、
前記分岐流路における前記内部流路と反対側の流路端から挿入され前記分岐流路内に往復動可能に支持されるプランジャーと、
前記プランジャーの基端部に同軸に連結される駆動シャフトを有し、当該駆動シャフトを往復動させる駆動源と、
前記内部流路における前記分岐流路の分岐点と前記吸入口との間に設けられ、前記吸入口から前記吐出口に向かう流れを許容すると共に前記吐出口から前記吸入口に向かう流れを阻止する第1逆止弁と、
前記分岐点と前記吐出口との間に設けられ、前記吸入口から前記吐出口に向かう流れを許容すると共に前記吐出口から前記吸入口に向かう流れを阻止する第2逆止弁と、
を備える、請求項11に記載のファインバブル含有流体生成装置。
【請求項13】
前記吐出流路における前記背圧調整弁より流れ方向下流側の所定部位に設けられ、前記背圧調整弁の出口に作用する背圧が前記背圧調整弁の前記設定値より低くかつ大気圧より高い設定値に維持するように前記吐出流路を開閉する別の背圧調整弁を、更に含む、請求項~12のいずれか一つに記載のファインバブル含有流体生成装置。
【請求項14】
ファインバブル発生器に供給する液体と気体との気液混相流体の流れを形成する気液混相流体流れ形成方法であって、
外管内に挿入され一端が前記外管内に位置する内管の内部の第1流路に、前記液体又は前記気体の一方である第1流体を流通させ、
前記外管の内面と前記内管の外面との間に形成される第2流路に、前記外管における内管挿入側の端部である上流端から前記外管における前記ファインバブル発生器側の端部である下流端に向かって前記液体又は前記気体の他方である第2流体を流通させる構成とし、
前記外管における前記内管の一端と前記下流端との間の領域である下流側領域に、前記第2流路を介して前記第2流体を流入させる流入工程と、
前記第2流路から前記下流側領域へ流れる前記第2流体の流れの内側に、前記第1流路を介して前記第1流体を流入させることにより、前記下流側領域において、前記液体と前記気体とが断続的に前記下流端に向かって流れる前記気液混相流体の流れを形成する流れ形成工程と、
を含
前記ファインバブル発生器の吸入口に生じる負圧を前記下流側領域に作用させる構成とし、
前記流入工程は、前記負圧の作用により、前記下流側領域に前記第2流路を介して前記第2流体を流入させ、
前記流れ形成工程は、前記第2流路から前記下流側領域へ流れる前記第2流体の流れを用いて、前記第1流路内の前記第1流体を前記下流側領域に吸い出すことにより、前記第2流体の流れの内側に、前記第1流路を介して前記第1流体を流入させる、
気液混相流体流れ形成方法。
【請求項15】
前記下流側領域に前記第2流体を流入させる前に、前記第2流路において前記第2流体の流れを層流化処理すること、を更に含む、請求項14に記載の気液混相流体流れ形成方法。
【請求項16】
前記第1流体は前記気体であり、前記第2流体は前記液体である、請求項14又は15に記載の気液混相流体流れ形成方法。
【請求項17】
前記第1流体は前記液体であり、前記第2流体は前記気体である、請求項14又は15に記載の気液混相流体流れ形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と液体とを混合して気液混相流体を生成する混合器及び気液混相流体流れ形成方法と、ファインバブルを含有した流体を生成するファインバブル含有流体生成装置及びファインバブル含有流体生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直径が1μm未満のバブル状の気体や直径がμmサイズのバブル状の気体を含有する流体が、化学反応、洗浄、塗装、印刷、水処理、化粧品、食品、新機能の技術分野、自動車等の動力機の燃料等の様々な分野で応用され始めている。一般的に、直径1μm未満のバブルはウルトラファインバブル又はナノファインバブルと呼ばれ、直径1μm未満のバブル及び直径μmサイズのバブルは総称してファインバブルと呼ばれる。そして、このファインバブルを含有するファインバブル含有流体を生成する装置やその方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-94300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ファインバブル含有流体に含まれるファインバブルの単位体積当たりの分散個数であるバブル濃度を高めることが可能であれば、例えば、ファインバブル含有流体を化学反応の分野に用いる場合には、その反応収率のさらなる向上等を図ることができ、また、他の分野においても様々な機能等の向上を図ることができ得る。
【0005】
そこで、本発明は、ファインバブル含有流体に含まれるファインバブルのバブル濃度を高めることができるファインバブル含有流体生成装置及びファインバブル含有流体生成方法と、これらに必要な気液混相流体を生成できる混合器及び気液混相流体流れ形成方法と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の混合器の一側面によると、液体と気体とを混合し、ファインバブル発生器へ供給するための気液混相流体を生成する混合器は、外管と、第1流路を内部に有する内管と、第2流路とを含む。前記内管は、前記外管内に挿入される内管であって、当該内管の一端が前記外管内に位置し、前記液体又は前記気体の一方である第1流体を流通させる第1流路を内部に有する。前記第2流路は、前記外管の内面と前記内管の外面との間に形成され、前記外管における内管挿入側の端部である上流端から前記外管における前記ファインバブル発生器側の端部である下流端に向かって前記液体又は前記気体の他方である第2流体を流通させる。前記混合器は、前記外管における前記内管の一端と前記下流端との間の領域である下流側領域に、前記第1流路を介して前記第1流体が流入すると共に前記第2流路を介して前記第2流体が流入し、前記下流側領域において、前記液体と前記気体とが断続的に前記下流端に向かって流れる前記気液混相流体の流れを形成している。
【0007】
本発明の気液混相流体流れ形成方法の一側面によると、ファインバブル発生器に供給する液体と気体との気液混相流体の流れを形成する気液混相流体流れ形成方法は、外管内に挿入され一端が前記外管内に位置する内管の内部の第1流路に、前記液体又は前記気体の一方である第1流体を流通させ、前記外管の内面と前記内管の外面との間に形成される第2流路に、前記外管における内管挿入側の端部である上流端から前記外管における前記ファインバブル発生器側の端部である下流端に向かって前記液体又は前記気体の他方である第2流体を流通させる構成とし、流入工程と、流れ形成工程とを含む。前記流入工程では、前記外管における前記内管の一端と前記下流端との間の領域である下流側領域に、前記第2流路を介して前記第2流体を流入させる。前記流れ形成工程では、前記第2流路から前記下流側領域へ流れる前記第2流体の流れの内側に、前記第1流路を介して前記第1流体を流入させることにより、前記下流側領域において、前記液体と前記気体とが断続的に前記下流端に向かって流れる前記気液混相流体の流れを形成する。
【0008】
本発明のファインバブル含有流体生成装置の一側面によると、ファインバブル含有流体生成装置は、前記一側面による前記混合器と、前記ファインバブル発生器とを含む。前記ファインバブル発生器は、圧縮機と、吐出流路と、背圧調整弁とを備える。前記圧縮機は、前記吸入口を介して前記混合器からの前記気液混相流体を吸入すると共に吸入した前記気液混相流体を圧縮して吐出する。前記吐出流路は、前記圧縮機の吐出口に接続される。前記背圧調整弁は、前記吐出流路に設けられ、作動時における前記圧縮機の前記吐出口に作用する背圧を大気圧より高い設定値に維持するように前記吐出流路を開閉することにより、前記気液混相流体に対して所定の高圧力を印加する。前記ファインバブル含有流体生成装置は、前記所定の高圧力の印加により前記気液混相流体内の前記気体をファインバブルに微細化し、当該ファインバブルを含有した流体を生成する。
【0009】
本発明のファインバブル含有流体生成方法の一側面によると、ファインバブル含有流体生成方法は、液体と気体とが断続的に流れる気液混相流体を吸入すると共に吸入した前記気液混相流体を圧縮して吐出可能な圧縮機の作動時に、前記圧縮機の吐出口に作用する背圧を大気圧より高い設定値に維持することにより、前記気液混相流体に対して所定の高圧力を印加することと、前記所定の高圧力の印加により、前記気液混相流体内の前記気体をファインバブルに微細化し、当該ファインバブルを含有した流体を生成することと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
前記混合器及び前記気液混相流体流れ形成方法では、液体と気体とが断続的に流れる気液混相流体を生成することにより、ファインバブル発生器へ供給するための前記気液混相流体に含まれる気体の含有体積比率を、例えば、液体中に気体が単に分散して混合された状態の気液混相流体では困難な高い比率まで、容易に高めることができる。
【0011】
前記ファインバブル含有流体生成装置及びファインバブル含有流体生成方法では、気体の含有体積比率が従来よりも高い気液混相流体に対して所定の高圧力を印加することができるため、この高圧力の印加により、前記気液混相流体内の前記気体を容易にファインバブルに微細化することができ、ひいてはファインバブルを高バブル濃度で含有したファインバブル含有流体を容易に生成することができる。
【0012】
このようにして、本発明は、ファインバブル含有流体に含まれるファインバブルのバブル濃度を高めることができるファインバブル含有流体生成装置及びファインバブル含有流体生成方法、並びに、これらに必要な気液混相流体を生成できる混合器及び気液混相流体流れ形成方法と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による混合器及び気液混相流体流れ形成方法、並びに、ファインバブル含有流体生成装置及びファインバブル含有流体生成方法の一実施形態を説明するための概念図である。
図2】前記混合器の断面図である。
図3】前記混合器の支持ブロックの断面図である。
図4】前記混合器の要部拡大断面図である。
図5】前記ファインバブル含有流体生成装置の動作及び前記ファインバブル含有流体生成方法を説明するための概念図である。
図6】前記ファインバブル含有流体生成装置の動作及び前記ファインバブル含有流体生成方法を説明するための別の概念図である。
図7】前記ファインバブル含有流体生成装置を化学反応の用途に適用した場合の概念図である。
図8】前記混合器の変形例を説明するための要部断面図である。
図9】前記混合器の別の変形例を説明するための要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明による混合器及び気液混相流体流れ形成方法、並びに、ファインバブル含有流体生成装置及びファインバブル含有流体生成方法の一実施形態を説明するための概念図である。
【0015】
[ファインバブル含有流体生成装置の概略構成]
図1において、ファインバブル含有流体生成装置100は、混合器1と、ファインバブル発生器2とを含む。混合器1は、気体と液体とを混合し、ファインバブル発生器2へ供給するための気液混相流体を生成(製造)するものであり、ファインバブル発生器2は、混合器1により生成された気液混相流体を吸入・圧縮することで、直径1μm未満のバブルであるウルトラファインバブルを含有した流体を生成するものである。本実施形態では、前記気体は水素であり、前記液体は水であるものとする。なお、直径1μm未満のバブル及び直径μmサイズのバブルはファインバブルと呼ばれる。本実施形態では、ファインバブル含有流体生成装置100は、ウルトラファインバブルを含有した流体を生成(製造)するものとして、以下説明するが、これに限らず、ファインバブルに含まれる直径μmサイズのバブルを含有した流体を生成することもできる。また、以下では、ファインバブル含有流体生成装置100、ファインバブル発生器2は、説明の簡略化のため、それぞれバブル含有流体生成装置100、バブル発生器2という。
【0016】
混合器1には、気体入口3と液体入口4と気液混相流体出口5とが設けられている。気体入口3には、継手3aを介して外部気体供給流路L1の一端が接続され、水素供給源6からの水素が外部気体供給流路L1を経由して所定流量及び所定の低圧力で供給される。外部気体供給流路L1には、水素供給源6側から順に、開閉弁7、圧力調整器8と、流量調整器9と、水素供給源6側から混合器1側へ向かう流れを許容しその逆の流れを阻止する逆止弁10とが設けられている。液体入口4には、継手4aを介して外部液体供給流路L2の一端が接続されている。外部液体供給流路L2の他端は、水を貯留する水貯留タンク11内に位置すると共に、この外部液体供給流路L2の他端にはサクションフィルタ12が取り付けられている。気液混相流体出口5には、継手5aを介して中間流路L3の一端が接続されている。中間流路L3の他端は、バブル発生器2の吸入口13に接続されている。圧力調整器8は水素供給源6からの水素の供給圧を減圧する。特に限定されるものではないが、本実施形態では、圧力調整器8における設定圧は、例えば概ね0.08MPaに設定されている。
【0017】
バブル発生器2には、吸入口13と吐出口14とが設けられている。混合器1により生成された気液混相流体は気液混相流体出口5、中間流路L3及び吸入口13を経由してバブル発生器2内に吸入(吸引)される。吐出口14には、吐出流路L4の一端が接続され、吐出流路L4の他端は、生成したファインバブル含有流体を貯留するバブル含有流体貯留タンク15内で開口している。吐出流路L4には、吐出口14側から順に、主背圧調整弁16と副背圧調整弁17とが設けられている。主背圧調整弁16及び副背圧調整弁17については、後に詳述する。本実施形態では、主背圧調整弁16が本発明に係る「背圧調整弁」に相当し、副背圧調整弁17が本発明に係る「別の背圧調整弁」に相当する。特に限定されるものではないが、本実施形態では、外部気体供給流路L1、外部液体供給流路L2及び中間流路L3は、例えば、それぞれ1/8インチのポリエチレン製チューブにより構成され、吐出流路L4は、1/8インチのステンレス製配管により構成される。
【0018】
[混合器の詳細構造]
次に、混合器1の構造等について詳述する。図2は混合器1の断面図であり、図3は混合器1の後述する支持ブロック19の断面図であり、図4は混合器1の要部拡大断面図である。
【0019】
本実施形態では、混合器1は、バブル発生器2の吸入口13に生じる負圧が作用すると共にこの負圧により水(液体)と水素(気体)がそれぞれ流入する下流側領域18を内部に有し、下流側領域18において水と水素とを混合し、吸入口13に供給するための気液混相流体を生成するものである。下流側領域18については後に詳述する。
【0020】
図2において、混合器1は、支持ブロック19と、内管20と、外管21と、液体導入管22とを含む。
【0021】
支持ブロック19は、それぞれ円筒状断面を有する内管20、外管21及び液体導入管22を支持するための部材であり、例えば、ステンレス製(SUS316)のブロック材を用いて形成されている。
【0022】
図3に示すように、支持ブロック19は、例えば、矩形断面を有し、直方体状に形成され、支持ブロック19には、その長手方向一端面から他端面に向かって一方向(図中左右方向)に延びる貫通孔19aが開口されると共に、貫通孔19aの中間部19a1から分岐して幅方向一端面に向かって一方向(図中上方向)に延びる分岐孔19bが開口されている。貫通孔19a及び分岐孔19bはそれぞれ円形断面を有して延伸している。内管20は貫通孔19a内に挿入され、外管21は貫通孔19aの前記長手方向一他端面側(図中左側)から貫通孔19a内に挿入され、液体導入管22は分岐孔19b内に挿入される。
【0023】
貫通孔19aの前記長手方向一端面側(図中右側)の開口部位には、内管20を支持ブロック19に固定するための第1継手20a用の第1螺合部19a2が形成される。貫通孔19aの中間部19a1の端部(第1螺合部19a2側の端部)から第1螺合部19a2側への所定長の部位の孔径(内径)は、内管20の外径に合せて形成されており、この部位が内管20を支持する第1ガイド部19a3を構成する。また、第1ガイド部19a3の孔径は中間部19a1の内径より小さくなるように設定されている。貫通孔19aにおける第1ガイド部19a3と第1螺合部19a2との間の部位はテーパー状に形成され、この部位(テーパー状内面)と第1継手20aとの間に、第1継手20aにより押圧される第1封止部材20bが設けられる。
【0024】
貫通孔19aの前記長手方向一他端側(図中左側)の開口部位には、外管21を支持ブロック19に固定するための第2継手21a用の第2螺合部19a4が形成される。貫通孔19aの中間部19a1の端部(第2螺合部19a4側の端部)から第2螺合部19a4側への所定長の部位の孔径は、外管21の外径に合せて形成されており、この部位が外管21を支持する第2ガイド部19a5を構成する。また、第2ガイド部19a5の孔径は中間部19a1の内径より大きくなるように設定されている。貫通孔19aにおける第2ガイド部19a5と第2螺合部19a4との間の部位もテーパー状に形成され、この部位と第2継手21aとの間に、第2継手21aにより押圧される第2封止部材21bが設けられる。
【0025】
分岐孔19bの前記幅方向一端面側(図中上側)の開口部位には、液体導入管22を支持ブロック19に固定するための第3継手22a用の第3螺合部19b1が形成される。分岐孔19bにおける貫通孔19a(つまり中間部19a1)へ開口する部位である開口部19b2の孔径は、液体導入管22の外径より小さく、且つ、中間部19a1の内径と同径になるように設定されている。分岐孔19bにおける開口部19b2の端部(貫通孔19aと反対側の端部)から第3螺合部19b1側への所定長の部位の孔径は、液体導入管22の外径に合せて形成されており、この部位が液体導入管22を支持する第3ガイド部19b3を構成する。分岐孔19bにおける第3ガイド部19b3と第3螺合部19b1との間の部位もテーパー状に形成され、この部位と第3継手22aとの間に、第3継手22aにより押圧される第3封止部材22bが設けられる。
【0026】
内管20は、外管21内に挿入される。内管20は、内管20の一端201が外管21内に位置し、液体又は気体(つまり、本実施形態では水又は水素)の一方である第1流体を流通させる第1流路を内部に有する。本実施形態では、前記第1流体は気体、つまり、水素である。
【0027】
ここで、上述した下流側領域18とは、外管21における内管20の一端201と外管21におけるファインバブル発生器2側の端部である下流端212との間の領域である。したがって、内管20は、水素を下流側領域18に導く前記第1流路としての気体流路20cを内部に有し、気体流路20cの一端20c1(図中左端)が下流側領域18の一端(図中右端)に開口する。
【0028】
本実施形態では、内管20は、直線的に延びる管(つまり、直管)であると共に、外管21の内側に同心状に挿入される。特に限定されるものではないが、本実施形態では、内管20としては、例えば、1/16インチのステンレス製配管が用いられる。例えば、内管20の外径は直径で概ね1.59mm、内管20の内径は直径で概ね0.5mmである。
【0029】
具体的には、内管20は、支持ブロック19の貫通孔19aを貫通した状態で、両端が支持ブロック19の長手方向両端面から露出可能な長さを有している。内管20が貫通孔19a内に挿通された状態で、第1継手20aが第1螺合部19a2に螺合して第1封止部材20bを押圧すると、第1封止部材20bは変形し貫通孔19aの内面と内管20の外面との間を密封する。これにより、内管20は支持ブロック19に固定される。気体流路20cの他端(第1継手20a)側の開口が混合器1の気体入口3を構成する。
【0030】
外管21は、内管20における少なくとも気体流路20cの一端20c1(言い換えると、内管20の一端201)から所定長に亘る部位の周囲を囲むように設けられる。外管21の内面と内管20の外面との間には、液体又は気体の他方である第2流体を流通させる第2流路が形成される。本実施形態では、前記第2流体は液体、つまり、水である。前記第2流路は、外管21における内管挿入側の端部である上流端211から外管21におけるファインバブル発生器2側の端部である下流端212に向かって水を流通させる。したがって、外管21は、この外管21の内面と内管20の外面との間に水を流通させる前記第2流路としての液体流路21cを形成し、液体流路21cの一端21c1が気体流路20cの一端20c1の周囲において下流側領域18の一端に開口する。
【0031】
本実施形態では、外管21は、その流れ方向下流側端部(つまり、外管21におけるファインバブル発生器2側の端部である下流端212)が気体流路20cの一端20c1よりも流れ方向下流側に延長して延びる延長管部21dを有し、全体として直線的に延びる管(つまり、直管)である。特に限定されるものではないが、本実施形態では、外管21としては、内管20と同様に直管であり、例えば、1/8インチのステンレス製配管が用いられる。例えば、外管21の外径は直径で概ね3.18mm、外管21の内径は直径で概ね2.17mmである。
【0032】
本実施形態では、外管21のうちの延長管部21dの内側に、外管21における内管20の一端201と外管21における下流端212との間の領域である下流側領域18が形成されている。換言すると、本実施形態では、下流側領域18は、外管21のうちの延長管部21dの内面と、内管20における一端20c1側の端面(換言すると、内管20の一端201)とにより区画された円柱状の空間である。下流側領域18も内管20(気体流路20c)と同心状に延伸している。
【0033】
内管20と外管21とが互いに重複する2重管部21eの長さは、特に限定されるものではないが、例えば、概ね50mmであり、下流側領域18の流れ方向の長さは概ね20mmである。
【0034】
本実施形態では、気体の流通する前記第1流路としての気体流路20cと、下流側領域18とからなる流路は、設置状態(使用状態)において略水平に延びるように設けられている。
【0035】
具体的には、外管21は、その一端部(上流端211)が貫通孔19aにおける第2ガイド部19a5と中間部19a1との間の段差部に当接するところまで挿入されている。そして、この状態で、外管21内には内管20の一端201が位置しており、外管21の他端部(下流端212)は支持ブロック19外に露出している。第2継手21aが第2螺合部19a4に螺合して第2封止部材21bを押圧すると、第2封止部材21bは変形し貫通孔19aの内面と外管21の外面との間を密封する。これにより、外管21は支持ブロック19に固定される。下流側領域18のうちの気体流路20cの一端20c1とは反対側の開口(つまり、下流側領域18の他端側)が混合器1の気液混相流体出口5を構成する。
【0036】
液体導入管22は、水を液体流路21cの他端21c2(入口)に導くための液体導入流路22cを内部に有し、液体導入流路22cの一端が分岐孔19bの開口部19b2の一端に開口する。これにより、液体導入流路22cを流通した水は、開口部19b2から導出すると流れの向きを変え、中間部19a1の内面と内管20の外面との間の隙間からなる円環状の流路を経由して液体流路21cの他端21c2に導かれる。
【0037】
具体的には、液体導入管22は、直線的に延びる管(つまり、直管)である。特に限定されるものではないが、本実施形態では、液体導入管22としては、例えば、外管21と同じ1/8インチのステンレス製配管が用いられる。例えば、液体導入管22の外径は直径で概ね3.18mm、液体導入管22の内径は直径で概ね2.17mmである。液体導入管22は、その一端部が分岐孔19bにおける第3ガイド部19b3と開口部19b2との間の段差部に当接するところまで挿入されている。そして、この状態で、液体導入管22の他端部は支持ブロック19外に露出している。第3継手22aが第3螺合部19b1に螺合して第3封止部材22bを押圧すると、第3封止部材22bは変形し分岐孔19bの内面と液体導入管22の外面との間を密封する。これにより、液体導入管22は支持ブロック19に固定される。液体導入流路22cの他端側(開口部19b2とは反対側)の開口が混合器1の液体入口4を構成する。
【0038】
[気液混相流体の流れ]
次に、混合器1により形成される気液混相流体の流れについて詳述する。
【0039】
混合器1では、外管21における下流側領域18に、気体流路20cを介して水素が流入すると共に液体流路21cを介して水が流入し、下流側領域18において、水と水素とが断続的に下流端212に向かって流れる気液混相流体の流れを形成している。
【0040】
本実施形態では、混合器1では、バブル発生器2の吸入口13に生じる負圧が下流側領域18に作用することにより、下流側領域18に、気体流路20cを介して水素が流入すると共に液体流路21cを介して水が流入する。
【0041】
具体的には、バブル発生器2(詳しくは後述する圧縮機30)が作動することにより、バブル発生器2の吸込み側である吸入口13に負圧が発生する。この負圧が中間流路L3及び気液混相流体出口5を経由して下流側領域18に作用する。負圧が下流側領域18に作用すると、水貯留タンク11内の水が、サクションフィルタ12、外部液体供給流路L2、液体入口4、液体導入流路22c(液体導入管22)、開口部19b2、中間部19a1(中間部19a1内管20の外面との間の隙間)、及び、液体流路21cを経由して流通し、液体流路21cの一端21c1から下流側領域18に流入する。
【0042】
そして、液体流路21cは、本実施形態では、円環状の流路であり、比較的に流路長の長い流路である。ここで、開口部19b2から中間部19a1に流れ込む際に、水の流れ方向は急激に変更され、この水の流れは乱され乱流状態になりうる。しかし、乱流状態になっても、その後、この水の流れは、比較的に長い液体流路21cを流通する過程において層流化され、層流化された円環状の流れとなる。そして、本実施形態では、円環状流れの状態で水が液体流路21cの一端21c1から下流側領域18に流入すると、その後、円環状流れの水は内管20における気体流路20cの一端20c1側の端面の前方を覆うように流れる。このため、この水の流れにより、気体流路20cの一端20c1の前方側の領域にさらに負圧が発生する。そして、気体流路20c内の水素(気体)が、バブル発生器2(詳しくは後述する圧縮機30の作動)により生じる負圧と水の流れにより生じる負圧とにより下流側領域18内に吸い出され始める。
【0043】
下流側領域18内に吸い出された水素の周囲には、水が水素の全周に亘って均等に円環状に流れているため、この水の流れと水素との界面において、水の粘性に基づく力が水素に作用する。そのため、下流側領域18内に吸い出された水素ガスは、例えば、この水の粘性により気体流路20c内の水素ガスと一体となった状態で、気体流路20cの流路中心線の延長線(図4に示す一点鎖線)上に沿って下流側領域18内で引き伸ばされる。図4に示すように、下流側領域18内で引き伸ばされて細長い形状になった水素ガスの長さが長くなると、この細長い形状になった水素ガスにおける流れ方向上流側の部位Cが表面張力等により細くなり始める。そして、吸い出された水素ガスの長さがさらに長くなると、吸い出された水素ガスは、この細くなった部位Cにおいて気体流路20c内の水素と分離し、一つの細長い水素バブルになる。この一つの細長い水素バブルは、その後、下流側領域18内を気液混相流体出口5側に向って、概ね気体流路20cの流路中心線の延長線上に沿って流動する。この一つの細長い水素バブルが気液混相流体出口5側に向って流動すると、上記と同様にして、次の水素の下流側領域18内への吸い出しが行われ、新たな一つの細長い水素バブルが形成され、以後、この水素バブルの形成が連続的に繰り返される。一方、形成された各水素バブルは、互いに間隔を空けた状態で、下流側領域18内を気液混相流体出口5側に向って流動する。そして、この流動の際に、各水素バブルは、そのバブル形状が概ね円柱状になるように徐々に変形し、気液混相流体出口5に到達する前には、下流側領域18(外管21)の内面に接触し概ね円柱状の水素バブルとして流れている。そして、各水素バブルの全周が下流側領域18の内面に接触することにより、各水素バブルの流れ方向前後の水は、水素バブルによって分離された水のかたまりになる。その結果、下流側領域18内における気液混相流体出口5側の領域21d1において、水と水素バブルが交互に吸入口13に向かって流れる気液混相流体の流れ(スラグフロー)が形成される。なお、図4で示した下流側領域18における気液混相流体の流れの状態は、一例を示したものであり、これに限定されるものではない。混合器1は、下流側領域18において、液体と気体とが断続的に下流端212に向かって流れる気液混相流体の流れを形成していればよい。例えば、下流側領域18における気液混相流体出口5側の領域21d1において、各水素バブルと外管21の内面との間に水膜が形成されていてもよいし、各水素バブルに比較的に小さな水素バブルが連結していてもよい。また、各水素バブルの流れ方向前後の水は、水素バブルによって完全に分離されていなくてもよく、部分的に連結していてもよい。そして、隣接する水素バブルの間が比較的に小さな水素バブルにより部分的に連結されていてもよい。
【0044】
このように、本実施形態では、混合器1は、前記負圧が下流側領域18に作用すると、液体流路21cの一端21c1から下流側領域18に流入する水(液体)の流れを用いて、気体流路20cの一端20c1から気体流路20c内の水素(気体)を下流側領域18に吸い出すことによって、下流側領域18内において、水と水素が断続的に下流端212に向かって流れる気液混相流体の流れを形成している。したがって、混合器1では、バブル発生器2の吸入口13に生じる負圧が下流側領域18に作用することにより、下流側領域18に、気体流路20cを介して水素が流入すると共に液体流路21cを介して水が流入することにより、下流側領域18において、水と水素とが断続的に下流端212に向かって流れる気液混相流体の流れを形成している。
【0045】
[気液混相流体流れ形成方法]
次に、気液混相流体流れ形成方法について混合器1を用いた場合を一例に挙げてその概略を説明する。
【0046】
混合器1を用いた気液混相流体流れ形成方法は、バブル発生器2に供給する水と水素との気液混相流体の流れを形成する方法である。気液混相流体の流れを形成する方法では、外管21内に挿入され一端201が外管21内に位置する内管20の内部の気体流路20cに、水素を流通させ、外管21の内面と内管20の外面との間に形成される流体流路21cに、外管21における内管挿入側の端部である上流端211から外管21におけるバブル発生器2側の端部である下流端212に向かって水を流通させる構成としている。また、本実施形態では、気液混相流体の流れを形成する方法は、バブル発生器2の吸入口13に生じる負圧を下流側領域18に作用させる構成としており、負圧作用工程と、流入工程としての水流入工程と、流れ形成工程としてのスラグフロー形成工程とを含む。
【0047】
前記負圧作用工程では、バブル発生器2の吸入口13に生じる負圧を外管21における下流側領域18内に作用させることを含む。
【0048】
前記流入工程としての水流入工程では、負圧の作用により、外管21における下流側領域18の一端に開口する液体流路21cの一端21c1の開口である円環状開口から下流側領域18に水を流入させることを含む。つまり、前記水流入工程は、外管21における下流側領域18に、流体流路21cを介して水を流入させる。そして、本実施形態では、前記水流入工程は、前記負圧の作用により、下流側領域18に流体流路21cを介して水を流入させている。
【0049】
前記流れ形成工程としてのスラグフロー形成工程では、液体流路21cの一端21c1の開口である前記円環状開口から下流側領域18へ流れる水の円環状の流れを用いて、前記円環状開口の内側に開口される気体流路20c内の水素を下流側領域18内に吸い出すことにより、下流側領域18内において、水と水素とが断続的に下流端212に向かって流れるスラグフローを形成することを含む。つまり、前記スラグフロー形成工程は、液体流路21cから下流側領域18へ流れる水の環状の流れの内側に、気体流路20cを介して水素を流入させることにより、下流側領域18において、水と水素とが断続的に下流端212に向かって流れる気液混相流体の流れを形成する。そして、本実施形態では、前記スラグフロー形成工程は、液体流路21cから下流側領域18へ流れる水の環状の流れを用いて、気体流路20c内の水素を下流側領域18に吸い出すことにより、水の環状の流れの内側に、気体流路20cを介して水素を流入させる。
【0050】
また、本実施形態では、混合器1を用いた気液混相流体流れ形成方法は、層流化処理工程を更に含む。この層流化処理工程では、前記水流入工程により下流側領域18に水を流入させる前に、液体流路21cにおいて水の流れを層流化処理することを含む。なお、気液混相流体流れ形成方法は、気液混相流体の製造方法とも言える。
【0051】
[バブル発生器の詳細構造]
次に、バブル発生器2の構造等について詳述する。
【0052】
図1に示すように、バブル発生器2は、圧縮機30と、前述した吐出流路L4と、主背圧調整弁16と、副背圧調整弁17とを備えている。
【0053】
前述したように、バブル発生器2の吸入口13には、混合器1により生成された気液混相流体が下流側領域18、気液混相流体出口5及び中間流路L3を経由して吸入される。つまり、本実施形態において、バブル含有流体生成装置100は、下流側領域18と吸入口13との間を接続する中間流路L3を有する。そして、本実施形態では、中間流路L3は、設置状態において略水平に延びるように設けられている気体流路20c及び下流側領域18からなる流路に合せて、略水平に延びるように設けられている。より具体的には、気体流路20c、下流側領域18、中間流路L3からなる流路の流路中心線が略水平の同一平面上に概ね位置するように構成するとよい。
【0054】
圧縮機30は、吸入口13を介して混合器1からのスラグフロー状態の気液混相流体を吸入すると共に吸入した気液混相流体を圧縮して吐出するものである。特に限定されるものではないが、本実施形態では、圧縮機30は、例えば、最大吐出圧が5MPa程度、設定吐出流量が0.01~100mL/min程度の性能を有し、高圧液送可能な機器であり、好ましくは有機溶媒耐性を有する機器を採用する。特に限定されるものではないが、本実施形態では、圧縮機30の吐出圧は、概ね5MPaに設定されている。この圧縮機30の一例については後に詳述する。吐出流路L4は、前述したようにその一端が圧縮機30の吐出口14に接続(開口)される。
【0055】
主背圧調整弁16は、吐出流路L4に設けられ、バブル発生器2(圧縮機30)の作動時における圧縮機30の吐出口14に作用する背圧を大気圧より高い第1設定値に維持するように吐出流路L4を開閉することにより、気液混相流体に対して所定の高圧力を印加する弁である。主背圧調整弁16は、背圧設定値(つまり、前記第1設定値)を変更可能に構成されている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、前記第1設定値は、圧縮機30の最大吐出圧よりも若干低い値に定められ、例えば、概ね4.5MPaである。
【0056】
副背圧調整弁17は、吐出流路L4における主背圧調整弁16より流れ方向下流側の所定部位に設けられ、主背圧調整弁16の出口に作用する背圧が主背圧調整弁16の前記第1設定値より低くかつ大気圧より高い第2設定値に維持するように吐出流路L4を開閉する弁である。副背圧調整弁17も、背圧設定値(つまり、前記所定値)を変更可能に構成されている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、前記第2設定値は、例えば、概ね2.5MPaである。
【0057】
本実施形態では、圧縮機30は、吸入口13から気液混相流体を吸入すると共にこの吸入した気液混相流体を圧縮して吐出口14から吐出する吸入圧縮部31を二つ有する。そして、一方の吸入圧縮部31が吸入口13から気液混相流体を吸引しているとき、他方の吸入圧縮部31は気液混相流体を圧縮して吐出口14から吐出する。
【0058】
具体的には、二つの吸入圧縮部31、31のそれぞれは、内部流路32と、分岐流路33と、プランジャー34と、駆動源35と、第1逆止弁36と、第2逆止弁37と、を備える。つまり、圧縮機30は、いわゆるダブルプランジャー方式の圧縮機構を有するものである。この圧縮機30は、吐出流・吐出圧の脈動を効果的に低減可能に構成されており、連続的に流体を吸入圧縮して吐出可能な圧縮機である。
【0059】
内部流路32は、吸入口13と吐出口14との間を接続する流路である。一方の吸入圧縮部31用の内部流路32と他方の吸入圧縮部31用の内部流路32が並列して設けられている。例えば、各内部流路32の一端は第1T型継手38を介して吸入口13に接続され、各内部流路32の他端は第2T型継手39を介して吐出口14に接続されている。つまり、本実施形態では、第1T型継手38のうちの内部流路32の接続されていない開口がバブル発生器2の吸入口13を構成し、第2T型継手39のうちの内部流路32の接続されていない開口がバブル発生器2の吐出口14を構成する。内部流路32は円形断面を有している。内部流路32及び分岐流路33の断面積は、例えば、混合器1の下流側領域18や中間流路L3と同程度の比較的に小断面積に抑えられている。したがって、後述する吸入動作により吸入口13から内部流路32及び分岐流路33内に流入した気液混相流体は、内部流路32及び分岐流路33においてスラグフローの状態で取り込まれる。
【0060】
分岐流路33は、内部流路32から分岐する流路である。分岐流路33は内部流路32の一部を形成する部材であるブロック体32a内においてこのブロック体32a内の内部流路32に接続する。分岐流路33は円形断面を有している。
【0061】
プランジャー34は、分岐流路33における内部流路32と反対側の流路端から挿入され分岐流路33内に往復動可能に支持される。
【0062】
本実施形態では、プランジャー34は、撹拌翼を有し、駆動源35の後述する駆動シャフト35aと共に往復動しつつ回転する。詳しくは、プランジャー34は、円柱状に形成され、その円柱頭部に前記撹拌翼がスクリュー状に形成されている。
【0063】
駆動源35は、プランジャー34の基端部に同軸に連結される駆動シャフト35aを有し、駆動シャフト35aを往復動させるものである。駆動源35としては、いわゆるリニア駆動式の駆動機構を有する電動モータが適用される。
【0064】
本実施形態では、駆動源35は、駆動シャフト35aを往復動させつつ軸心回りに回転させるように構成されている。駆動シャフト35aは、分岐流路33の内径に合せた外径を有した円柱状に形成される。図示省略したが、駆動シャフト35aの外面と分岐流路33の内面との間の微小隙間を密閉するシール部材が駆動シャフト35aの外周又は分岐流路33の内面に設けられている。なお、図示省略したが、圧縮機30は、二つの吸入圧縮部31、31の駆動を制御する制御部を有する。この制御部により、一方の吸入圧縮部31と他方の吸入圧縮部31におけるプランジャー34の往復動及び回転動作が互いに逆方向になるように、各吸入圧縮部31、31の駆動のタイミング等が制御される。
【0065】
第1逆止弁36は、内部流路32における分岐流路33の分岐点と吸入口13との間に設けられ、吸入口13から吐出口14に向かう流れを許容すると共に吐出口14から吸入口13に向かう流れを阻止する逆止弁である。
【0066】
第2逆止弁37は、内部流路32における前記分岐点と吐出口14との間に設けられ、吸入口13から吐出口14に向かう流れを許容すると共に吐出口14から吸入口13に向かう流れを阻止する逆止弁である。
【0067】
[バブル含有流体生成装置の動作]
次に、混合器1及びバブル発生器2を備えたバブル含有流体生成装置100の動作について、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6はバブル含有流体生成装置100の動作及びバブル含有流体生成装置100を用いたファインバブル含有流体生成方法を説明するための概念図である。図5は、一方(図中、下側)の吸入圧縮部31が吸入動作中であり、他方(図中、上側)の吸入圧縮部31が圧縮動作中である状態を示している。図6は、図5と逆の動作中の状態を示している。なお、混合器1の下流側領域18には既に水と水素の気液混相流体の流れ(スラグフロー)が形成されているものとして、以下説明する。
【0068】
図5及び図6に示すように、前記制御部により、一方の吸入圧縮部31と他方の吸入圧縮部31におけるプランジャー34の往復動及び回転動作が、互いに逆方向になるように、各駆動源35の駆動が制御される。
【0069】
例えば、図5に示すように、図中下側の一方の吸入圧縮部31は、吸入動作を実行する。つまり、一方の吸入圧縮部31は、プランジャー34を駆動源35側に引き込んで吸入方向に移動させると共に回転させる。この吸入動作により、第1逆止弁36が開弁されると共に第2逆止弁37が閉弁され、負圧が吸入口13に発生する。そして、混合器1の下流側領域18のスラグフロー状態の水と水素の気液混相流体が、気液混相流体出口5、中間流路L3、吸入口13、一方の吸入圧縮部31における内部流路32を経由して分岐流路33内に吸入される。この吸入動作中に、図中上側の他方の吸入圧縮部31は、圧縮動作を実行する。つまり、他方の吸入圧縮部31は、プランジャー34を駆動源35からブロック体32a側に突き出して圧縮方向に移動させると共に回転させる。この圧縮動作により、内部流路32及び分岐流路33内の圧力が上昇し、第1逆止弁36が閉弁されると共に第2逆止弁37が開弁される。この圧縮動作の前に、他方の吸入圧縮部31は、前記吸入動作を実行している。したがって、この圧縮動作時において、既に、気液混相流体がスラグフロー状態で内部流路32及び分岐流路33内に吸入されている。このため、圧縮動作により、スラグフロー状態の気液混相流体内の水素バブルはプランジャー34の圧縮方向の移動による内部流路32及び分岐流路33内の昇圧により細かく粉砕され始めると共に気液混相流体内の水の中に溶解され始める。この他方の吸入圧縮部31における圧縮動作の際に、主背圧調整弁16及び副背圧調整弁17は適度な開度で吐出流路L4を開放している。そのため、吐出流路L4のうち吐出口14と主背圧調整弁16との間の領域の圧力は、圧縮機30の吐出圧である5MPaより若干低い背圧設定値である4.5MPa程度に維持され、つまり、圧縮機30の吐出口14に作用する背圧が高圧に維持されている。そのため、吐出流路L4における主背圧調整弁16より流れ方向上流側の流路内の気液混相流体に高圧力が印加される。詳しくは、内部流路32のうちプランジャー34と吐出口14との間の領域と、吐出流路L4のうちの吐出口14と主背圧調整弁16との間の領域とからなる流路内の気液混相流体に高圧力が印加される。そして、このプランジャー34から主背圧調整弁16までの前記流路内において、気液混相流体内の水素バブルは高圧力の印加により容易に細かくせん断、粉砕されてファインバブルのサイズに微細化され、ファインバブルを高バブル濃度で含有した流体が生成される。つまり、吐出流路L4における主背圧調整弁16より流れ方向上流側の流路内では、せん断溶解方式により、ファインバブルを高バブル濃度で含有した流体が生成される。
【0070】
生成されたファインバブルを含有する流体は、主背圧調整弁16の出口から吐出流路L4を流通し、副背圧調整弁17を通過し、バブル含有流体貯留タンク15内に貯留される。この吐出流路L4のうち主背圧調整弁16と副背圧調整弁17との間の領域の圧力は、主背圧調整弁16の背圧設定値より低く大気圧より十分に高い副背圧調整弁の設定値である2.5MPa程度に維持され、つまり、主背圧調整弁16の出口に作用する背圧が高圧に維持されている。図5に示す一方の吸入圧縮部31による吸入動作と他方の吸入圧縮部31による圧縮動作が完了すると、一方の吸入圧縮部31の動作は圧縮動作に切り替わり、他方の吸入圧縮部31の動作は吸入動作に切り替わる。その結果、圧縮機30は、図6に示すように、図5と逆の動作状態となる。バブル発生器2(圧縮機30)は、この動作の切り替えをプランジャー34のストローク量等に応じて定める所定のタイミングで実行することにより、ウルトラファインバブルを含有した流体を連続的に生成する。また、バブル発生器2は、吸入した気液混相流体を内部流路32及び吐出流路L4の一部を1回のみ流通させるだけで(つまり、1パスで)、ウルトラファインバブルを含有した流体を生成している。このように、バブル含有流体生成装置100は、所定の高圧力の印加により気液混相流体内の水素バブルをファインバブルのサイズに微細化し、ファインバブルを含有した流体を生成する。
【0071】
ここで、ファインバブルを含有した流体が主背圧調整弁16を通過すると減圧される。したがって、主背圧調整弁16の上流側で前記せん断溶解方式によりファインバブルを溶解した水が主背圧調整弁16を通過すると、圧力低下によって、さらにファインバブルが生成される。つまり、吐出流路L4における主背圧調整弁16より流れ方向下流側の流路内では、加圧溶解方式により、ファインバブルを高バブル濃度で含有した流体が生成される。
【0072】
なお、プランジャー34は撹拌翼を有しているため、圧縮動作時や吸入動作時に、プランジャー34が分岐流路33内で往復動しつつ正回転及び逆回転すると、前記撹拌翼により分岐流路33内の気液混相流体内の水素バブルがせん断されることにより微小な水素バブルに分断されている。したがって、前記高圧力の印加と合わさってこの撹拌翼によるせん断力も水素バブルに作用している。
【0073】
[ファインバブル含有流体生成方法]
次に、ファインバブル含有流体生成方法についてバブル含有流体生成装置100を用いた場合を一例に挙げてその概略を説明する。
【0074】
バブル含有流体生成装置100を用いたファインバブル含有流体生成方法は、高圧印加工程と、ファイバブル含有流体生成工程とを含む。
【0075】
前記高圧印加工程は、水と水素とが断続的に流れるスラグフロー状態の気液混相流体を吸入すると共に吸入した気液混相流体を圧縮して吐出可能な圧縮機30の作動時に、圧縮機30の吐出口14に作用する背圧を大気圧より高い所定値に維持することにより、気液混相流体に対して所定の高圧力を印加することを含む。
【0076】
前記ファインバブル含有流体生成工程は、バブル発生器2の圧縮機30による前記所定の高圧力の印加により、スラグフロー状態の気液混相流体内の水素バブルを、ファインバブルのサイズに微細化し、ファインバブルを含有した流体を生成することを含む。
【0077】
本実施形態では、ファインバブル含有流体生成方法は、圧縮機30の吐出口14に接続される吐出流路L4に設けられる主背圧調整弁16により、前記背圧を前記設定値に維持する構成としている。そして、ファインバブル含有流体生成方法は、吐出流路L4における主背圧調整弁16より流れ方向上流側の領域と、吐出流路L4における主背圧調整弁16より流れ方向下流側の領域との二段階で、ファインバブルを含有した流体を生成する。つまり、主背圧調整弁16の上流側の領域において、前記せん断溶解方式によりファインバブル含有流体を生成しつつ、これに加えて、主背圧調整弁16の下流側の領域において、前記加圧溶解方式によりファインバブル含有流体を生成している。
【0078】
本実施形態では、ファインバブル含有流体生成方法は、更に、撹拌せん断処理工程と、段階的背圧減圧工程とを含む。
【0079】
前記撹拌せん断処理工程は、スラグフロー状態の気液混相流体の吸入及び圧縮時に、気液混相流体を圧縮機30のプランジャー34に設けられた撹拌翼により撹拌することを含む。
【0080】
前記段階的背圧減圧工程は、圧縮機30の背圧を、吐出流路L4における流れ方向下流側に向かって、主背圧調整弁16と副背圧調整弁17により、段階的に減少させることを含む。なお、ファインバブル含有流体生成方法は、ファインバブル含有流体の製造方法とも言える。
【0081】
次に、本実施形態の混合器1により生成された気液混相流体、及び、バブル含有流体生成装置100により生成されたファインバブル含有流体の一例について、説明する。以下に説明する一例は、本発明を何ら限定するものではない。
【0082】
混合器1の下流側領域18内における気液混相流体出口5側の領域21d1(図4参照)に、水素と水との体積比が概ね1:1である気液混相流体が生成された。つまり、水素と水のスラグフロー状態の気液混相流体に含まれる水素の含有体積比率は、概ね50%である。圧縮機30の設定吐出流量を5mL/min~50mL/minまで変化させると共に外部気体供給流路L1を流通する水素の流量を流量調整器9により調整することにより、水素の含有体積比率を容易に増減調整することができた。圧縮機30のいずれの設定吐出流量においても、水素含有体積比率が概ね50%となるように流量調整器9の流量設定値を調整したところ、いずれの場合においても、水素の含有体積比率が概ね50%のスラグフローを形成可能なことが確認された。また、気液混相流体内の水素の含有体積比率を、容易に一定に保持可能なことが確認された。
【0083】
バブル含有流体生成装置100により生成されたファインバブル含有流体内に含有される水素からなるファインバブルの単位体積当たりの分散個数であるバブル濃度は、1mLあたりで1×10個以上であり、ファインバブルの直径(粒径)は概ね100nm~200nmであった。ファインバブル含有流体の供給流量(生成流量)は、圧縮機30の設定吐出流量に依存し、5mL/min~50mL/minである。混合器1により生成される気液混相流体内の水素の含有体積比率が略一定に保たれていること等に起因して、生成されたファインバブル含有流体の1mLあたりに含有されるファインバブルのバブル濃度や直径についてのばらつきの分布はほぼ一定に保たれることが確認された。そして、ファインバブルの直径の分布は従来と比較して急峻なピーク性を有し、ばらつきの範囲が狭いことが確認された。圧縮機30の吐出圧を調整したところ、圧縮機30により印加する圧力が高いほど、ファインバブルのバブル濃度は増加すると共に、ファインバブルの直径の分布は狭くなることが確認された。なお、測定されたファインバブル含有流体は、前述したように、バブル含有流体生成装置100のバブル発生器2内を1回のみ流通させて(つまり、1パスで)生成されたものである。必要であれば、バブル発生器2内を循環させて複数回流通させる循環ラインを設けることにより更なるバブル濃度の増加及び直径分布の急峻化を実現できる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る混合器1及びこの混合器1を用いた気液混相流体流れ形成方法では、水と水素とが断続的に流れる気液混相流体の流れであるスラグフローを、下流側領域18内に形成することができる。したがって、バブル発生器2へ供給するための気液混相流体に含まれる水素バブルの含有体積比率を、このスラグフローにより、例えば、液体中に気体が単に分散して混合された状態の気液混相流体では困難な高い比率まで、容易に高めることができる。
【0085】
また、本実施形態に係るバブル含有流体生成装置100及びこのバブル含有流体生成装置100を用いたファインバブル含有流体生成方法では、バブル発生器2にスラグフローの状態で気液混相流体を吸入させているため、バブル発生器2に水素バブルの含有体積比率の比較的高い気液混相流体を容易に供給することができる。また、この吸入した気液混相流体を圧縮機30の背圧を高圧に維持した状態で圧縮することができるため、気液混相流体に容易に所定の高圧力を印加することができる。このため、この高圧力の印加により、気液混相流体内の水素バブルを容易にファインバブルに微細化することができ、ひいてはファインバブルを高バブル濃度で含有したファインバブル含有流体を容易に生成することができる。
【0086】
このようにして、本発明は、ファインバブル含有流体に含まれるファインバブルのバブル濃度を高めることができるバブル含有流体生成装置100及びファインバブル含有流体生成方法、並びに、これらに必要な水素バブルの含有体積比率の高い気液混相流体を生成できる混合器1及び気液混相流体流れ形成方法と、を提供することができる。
【0087】
また、混合器1は供給する気液混相流体内の水素バブルの含有体積比率を略一定に保つことができる。その結果、体積比率のばらつきに基づく圧縮機30の故障が回避される。
【0088】
本実施形態では、混合器1における外管21は、気体流路20cの一端20c1よりも流れ方向下流側に延長して延びる延長管部21dを有し、全体として直線的に延びる管であり、下流側領域18は延長管部21dの内側に形成されているものとした。これにより、下流側領域18の形成が容易になる。
【0089】
本実施形態では、内管20は直線的に延びる管であるものとした。これにより、外管21と内管20とにより、円環状の液体流路21cを容易に形成することができる。また、内管20は例えばステンレス製配管からなり剛性を有しているため、内管20の外面と外管21の内面との間の隙間が所定値に確実に設定される。したがって、水が内管20の外面と外管21の内面との間に形成される液体流路21cを流通している際に、この水の流れを乱すことなく、比較的乱れが抑制された状態で、水が下流側領域18内に導かれる。その結果、下流側領域18内のスラグフローの乱れが抑制される。
【0090】
本実施形態では、内管20は、外管21の内側に同心状に挿入されている。このため、液体流路21cの一端21c1から下流側領域18内に流入する水が、下流側領域18内に吸い出された水素の全周に亘って均等に円環状に流れる。したがって、水素バブルの周方向の形状が均質になるような状態で、水素が安定して下流側領域18内に吸い出され、異質な形状に起因する水素バブルの流れの乱れの発生が防止される。その結果、下流側領域18内に、スラグフローがより迅速且つ確実に形成されると共に、乱れの少ないより安定した状態のスラグフローが形成される。
【0091】
本実施形態では、内管20と外管21とが互いに重複する2重管部21eの長さは、比較的に長く設定されている。また、本実施形態では、気液混相流体流れ形成方法は、下流側領域18に水を流入させる前に、液体流路21cにおいて水の流れを層流化処理する層流化処理工程を含んでいる。つまり、液体流路21cの流路長が比較的に長く設定されており、この部分で層流化処理工程が行われる。したがって、水が液体流路21cの他端21c2に乱流状態で流入したとしても、水の流れは、比較的に長い液体流路21cを流通する過程において層流化される。その結果、下流側領域18内に、乱れの極めて少ない安定したスラグフローが形成される。
【0092】
本実施形態では、気体の流通する前記第1流路である気体流路20cと、下流側領域18とからなる流路は、バブル含有流体生成装置100内への設置状態において、略水平に延びるように設けられている。つまり、下流側領域18内における水素バブルの浮力の作用方向がスラグフローの流れ方向と直交するように設定されている。これにより、水素バブルの浮力がスラグフローの流れ方向に作用することを防止することができる。したがって、振動等の外力が水素バブルに作用し得る設置環境であっても、振動等の外力及び浮力が作用することに起因して、互いに分離して流れている水素バブルが合体集積されてしまうことが抑制又は防止される。その結果、より均質なスラグフローが形成される。
【0093】
本実施形態では、バブル含有流体生成装置100は、下流側領域18と吸入口13との間を接続する中間流路L3を有する。そして、中間流路L3は、気体流路20cと下流側領域18とからなる流路に合せて略水平に延びるように設けられている。これにより、複数の水素バブルが振動等の外力及び浮力に起因して合体集積することなく、スラグフロー状態の気液混相流体がバブル発生器2に確実に供給される。その結果、より均質なファインバブル含有流体が生成される。
【0094】
本実施形態では、圧縮機30としては、二つの吸入圧縮部31を有するいわゆるダブルプランジャー方式の圧縮機構が採用されている。これにより、バブル含有流体生成装置100は、生成したファインバブル含有流体の吐出流・吐出圧の脈動を効果的に低減した状態で、生成したファインバブル含有流体を外部へ連続的に供給することができる。
【0095】
本実施形態では、圧縮機30の前記圧縮機構としては、二つの吸入圧縮部31、31が採用されている。この二つの吸入圧縮部31、31のそれぞれは、駆動源35を有し、この駆動源35は、プランジャー34の基端部に同軸に連結される駆動シャフト35aを有し、駆動シャフト35aを往復動させる。つまり、駆動源35は、作動対象のプランジャー34の軸心方向に駆動シャフト35aを往復動させるいわゆるリニア駆動式の駆動機構である。したがって、駆動源35では、プランジャー34の往復動方向のストローク長を一般的に用いられるカム方式の駆動機構におけるストローク長よりも、容易に長く設定することができる。このため、圧縮機30では、吐出流量を高めるために、内部流路32の内径や分岐流路33の内径を大きくする必要はない(つまり、ボアアップする必要がない)。したがって、圧縮機30では、内部流路32の内径や分岐流路33の内径を、吸入口13に接続される比較的に細い内径の中間流路L3と同程度の細い内径に維持することができる。その結果、圧縮機30内に導かれたスラグフロー状態の気液混相流体が、内部流路32内に流入された直後に、内部流路32内で水素と水とに上下に分離してしまうことを防止することができる。一般的に、このように、気体(水素)と液体(水)とが圧縮機内の流路内で上下に分離してしまうと、気体と液体の混相流体を吸入圧縮し、圧送することは困難になる場合が多い。この点、圧縮機30は、内部流路32の内径や分岐流路33の内径を細く維持することができるため、内部流路32及び分岐流路33の断面積は、例えば、混合器1の下流側領域18や中間流路L3と同程度の比較的に小断面積に抑えられている。このため、圧縮機30は、気液混相流体を確実に吸入圧縮して圧送することができる。
【0096】
本実施形態では、駆動源35は、駆動シャフト35aを往復動させつつ軸心回りに回転させ、プランジャー34は、撹拌翼を有し、駆動シャフト35aと共に往復動しつつ回転する。また、本実施形態では、ファインバブル含有流体生成方法は、気液混相流体の吸入及び圧縮時に、気液混相流体を撹拌する撹拌せん断処理工程を含む。これにより、前記高圧力の印加と合わさって、前記撹拌翼によるせん断力も、水素バブルに作用しているため、ファインバブル含有流体がより効果的に生成される。
【0097】
本実施形態では、バブル含有流体生成装置100は、主背圧調整弁16の下流側に副背圧調整弁17が設けられている。また、本実施形態では、ファインバブル含有流体生成方法は、圧縮機30の背圧を、流れ方向下流側に向かって段階的に減少させる段階的背圧減圧工程を含む。これにより、生成されたファインバブル含有流体が極めて急激に大気圧下に解放されることに起因して、水素がファインバブル含有流体から蒸散してしまうことを防止することができる。その結果、ファインバブル含有流体の品質低下を防止又は抑制することができる。
【0098】
なお、本実施形態では、バブル含有流体生成装置100により生成したファインバブル含有流体がバブル含有流体貯留タンク15に一旦貯留される場合を一例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、バブル含有流体生成装置100は、ファインバブル含有流体を必要とする対象へ、ファインバブル含有流体を直接供給するように構成してもよい。
【0099】
図7は、ファインバブル含有流体の直接供給の一例を説明するための概念図である。具体的には、バブル含有流体生成装置100を化学反応の用途に適用した場合の一例を説明するための概念図である。この一例では、例えば、吐出流路L4における主背圧調整弁16と副背圧調整弁17との間に、三方切替弁40が設けられている。この三方切替弁40には、ファインバブル含有流体を、反応器50を経由して回収タンク51に導くための供給流路L5の一端が接続されている。供給流路L5の他端は、回収タンク51内で開口している。詳しくは、この供給流路L5には、三方切替弁40側から順に、反応器50、圧力計52、供給流路側背圧調整弁53が設けられている。つまり、三方切替弁40は、主背圧調整弁16の出口から流出したファインバブル含有流体の流通経路を、バブル含有流体貯留タンク15へ向かう吐出流路L4と、反応器50へ向かう供給流路L5とに選択的に切替え可能に配置されている。反応器50は、例えば、特殊化成品の製造工程のうちの水素添加反応工程を構成する部分である。供給流路L5を経由して反応器50に導かれたファインバブル含有流体は、前記水素添加反応工程に供され、その後、回収タンク51側に向って流れ、回収タンク51内に貯留され、回収される。供給流路側背圧調整弁53は、副背圧調整弁17と同じ目的及び機能を有するものである。供給流路L5において、副背圧調整弁17と同様に、主背圧調整弁16より流れ方向下流側の所定部位に設けられ、主背圧調整弁16の出口に作用する背圧が主背圧調整弁16の前記第1設定値より低くかつ大気圧より高い第3設定値に維持するように供給流路L5を開閉する弁である。供給流路側背圧調整弁53も、背圧設定値(つまり、前記所定値)を変更可能に構成されている。特に限定されるものではないが、前記第3設定値は、副背圧調整弁17と同じ、例えば、概ね2.5MPaである。供給流路側背圧調整弁53により、反応器50を通過するファインバブル含有流体が極めて急激に大気圧下に開放されて、水素がファインバブル含有流体から蒸散してしまうことを防止することができる。その結果、反応器50へ、良質なファインバブル含有流体が供給される。
【0100】
ここで、所定の対象物を得る化学反応プロセスにおいて、反応収率、つまり、理論上得ることが可能な対象物の最大量(理論収量)に対する実際に得られた物質の量(収量)の比率、は重要なパラメーターである。この反応収率を向上させるためには、(1)供給されるファインバブル含有流体における含まれる気体の含有体積比率が高いこと、(2)ファインバブル含有流体内の分散されているファインバブルの単位体積当たりの分散個数であるバブル濃度が高いこと、(3)ファインバブル含有流体内のバブルの直径が小さく且つ直径のばらつきの分布が狭いこと、が要求される。また、化学反応プロセスにおいて、(4)安定した高い収量等の実現には、供給されるファインバブル含有流体に含まれる気体の含有体積比率が時間的に安定していることが要求される。この点、本実施形態におけるバブル含有流体生成装置100及びファインバブル含有流体生成方法は、現時点において、上記(1)~(4)の要求に十分に満足し得るファインバブル含有流体を生成することができる。
【0101】
図8及び図9は、それぞれ、混合器1の内管20の変形例を説明するための要部断面図である。図8に示す変形例では、内管20として、極薄肉の直管、例えば、肉厚t(つまり管の厚み)が0.1mm以下の直管が採用されている。また、図9に示す別の変形例では、内管20は、その一端201における管壁内側の角部がテーパー状に加工されてなる拡径部20c2を有する。この拡径部20c2における一端201において、内管20の肉厚tが極薄肉になっている。気体流路20cを流通する水素は、この拡径部20c2に沿って下流側領域18に向かって流れる。つまり、図8及び図9に示す内管20の一端201の肉厚tは極めて薄くなっている。このため、液体流路21cの一端21c1から下流側領域18に流入する水の流れの近傍に、水素が位置することになる。その結果、水素が気体流路20cの一端20c1から吸い出され易くなると共に、比較的に水素バブルの形状も安定し得る。
【0102】
なお、本実施形態では、2重管部21eの長さの比較対象の一例として下流側領域18の流れ方向の長さを挙げ、2重管部21eの長さを特定したが、これに限定されるものではない。2重管部21eの長さは、水の流れを層流化可能であれば任意の長さに設定することができる。また、図示を省略するが、混合器1は、2重管部21eの長さを調整可能な調整機構を有してもよい。具体的には、混合器1は、内管20の貫通孔19aへの挿入長さを調整可能な機構を有してもよいし、外管21の貫通孔19aへの挿入長さを調整可能な機構を有してもよいし、これらの組み合わせたものを有してもよい。
【0103】
また、本実施形態では、主背圧調整弁16及び副背圧調整弁17、又は、主背圧調整弁16及び供給流路側背圧調整弁53により、圧縮機30の背圧を流れ方向下流側に向かって二段階に分けて減少させる場合を一例にあげたが、これに限定されるものではない。三段階以上に分けて段階的背圧を減少させてもよい。また、ファインバブル含有流体の品質が要求される品質を満足できる場合は、これらの背圧調整弁を設けなくてもよい。
【0104】
また、内管20、外管21、液体導入管22は、いずれも、円筒断面を有するものとしたが、これに限定されるものでなく、楕円形や四角形等の適宜の断面形状を有するものを採用することができる。本明細書中で、「内管」、「外管」などに使われる「管」の用語は、任意の断面形状を有するものも含む意味で用いられる。また、内管20、外管21、液体導入管22は、ステンレス製の直管であるものとしたが、これに限らず、材質についても適宜の材質を採用することができる。例えば、ステンレスよりも濡れ性が低い(言い換えると、撥水性や疎水性の高い)、PTFEなどのポリマーチューブを用いてもよい。また、直管に限らず、滑らかな曲線状に延びる管を採用してもよい。内管20の中心線は外管21の中心線に同心であることが望ましいが、これに限定されるものではない。前記中心線が互いに多少ずれていても、本実施形態における混合器1及びこれを備えたバブル含有流体生成装置100と同程度の効果及び作用を奏することができる。また、内管20の外面と外管21の内面との間に全周に亘って隙間が設けられていることが望ましいが、これに限定されるものではない。内管20の外面の一部と外管21の内面の一部が接触していても、従来と比較すると、優れた作用効果を奏することができる。
【0105】
また、本実施形態では、バブル含有流体生成装置100は、下流側領域18と吸入口13との間を接続する中間流路L3を有している。しかし、これに限らず、バブル含有流体生成装置100は、中間流路L3を有さず、外管21がバブル発生器2の吸入口13に直接的に接続されていてもよい。例えば、外管21は、円筒断面を有するステンレス製の直管に限らず、前述したように、適宜の断面形状を有するものを採用できると共に、適宜のポリマーチューブ等の適宜の材質のものを採用することができる。この場合、下流側領域18は、吸入口13の近傍まで延びている。
【0106】
また、本実施形態における混合器1及び気液混相流体流れ形成方法では、バブル発生器2の吸入口に生じる負圧を下流側領域18に作用させ、主に、この負圧の作用により、下流側領域18に水と水素を吸い出して、スラグフローを形成することとしたが、これに限らない。例えば、外部液体供給流路L2等の流体流路21cの上流側の流路にポンプを設け、このポンプにより水を下流側領域18に押し込むことで、下流側領域18にスラグフローを形成してもよい。
【0107】
また、本実施形態では、内管20の内部の第1流路(気体流路20c)を流通する第1流体は気体(水素)であり、外管21の内面と内管20の外面との間に形成される第2流路(液体流路21c)を流通する第2流体は液体(水)であるものとした。つまり、前記第1流体は気体であり、前記第2流体は液体であるものとした。しかし、これに限らず、前記第1流体は液体であり、前記第2流体は気体であるものとしてもよい。つまり、内管20の内部の第1流路に液体を流通させ、外管21の内面と内管20の外面との間の第2流路に気体を流通させてもよい。この場合においても、下流側領域18に、スラグフローを形成できることが確認された。
【0108】
また、気液混相流体は、水と水素からなるものとしたが、液体と気体の種類は用途に応じた種類のものを選択することができ、液体種、気体種として限定されるものではない。装置を連結することにより、複数種の気体を一つの液種に分散させることも可能である。酸化反応である燃焼工程に着目すれば、軽油やガソリンなどの液体燃料を液体として、空気や酸素を気体として用いれば、内燃機関などの燃焼器、燃料噴射装置などに応用され得る。さらに、化学反応において、不均一系(固体)触媒を反応器内に留置すれば、気液固の3相混合状態での化学反応に応用され得る。
【0109】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0110】
1…混合器
2…バブル発生器(ファインバブル発生器)
13…吸入口
14…吐出口
16…主背圧調整弁(背圧調整弁)
17…副背圧調整弁(別の背圧調整弁)
18…下流側領域
20…内管
20c…気体流路(第1流路)
20c1…気体流路の一端
21…外管
21c…液体流路(第2流路)
21c1…液体流路の一端
21d…延長管部
21e…2重管部
30…圧縮機
31…吸入圧縮部
32…内部流路
33…分岐流路
34…プランジャー
35…駆動源
35a…駆動シャフト
36…第1逆止弁
37…第2逆止弁
100…バブル含有流体生成装置(ファインバブル含有流体生成装置)
201…内管の一端
211…上流端
212…下流端
L3…中間流路
L4…吐出流路
図1
図2
図3
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図8
図9