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特許6999138外観検査装置、外観検査方法、及び錠剤印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】外観検査装置、外観検査方法、及び錠剤印刷装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/06 20060101AFI20220111BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61J3/06 Q
B41J2/01 451
B41J2/01 305
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019191157
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021065301
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】511068924
【氏名又は名称】株式会社松岡機械工作所
(73)【特許権者】
【識別番号】514096052
【氏名又は名称】株式会社みのり設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】230110397
【弁護士】
【氏名又は名称】田中 雅敏
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】松岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菅原 稔
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-186962(JP,A)
【文献】特開2004-028604(JP,A)
【文献】特開2017-176681(JP,A)
【文献】特開2011-209085(JP,A)
【文献】特表2009-536315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/06
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流に向かう搬送経路に沿って搬送される平面視略楕円形または平面視略円形の被検体の搬送経路上における位置を検出する位置検出装置と、
被検体の外観を搬送経路に略直交する直線状視野からなる撮像領域内で撮像して部分画像データを取得する撮像装置と、
前記撮像装置の下流側から被検体に対して照明光を照射する第1の光源、前記撮像装置の上流側から被検体に対して照明光を照射する第2の光源からなる照明装置と、
前記位置検出装置により検出された前記撮像装置による撮像タイミングにある被検体の位置と前記撮像装置の位置関係に応じて前記照明装置の照明パターンを制御する照明制御装置と、を備える外観検査装置において、
被検体の外観は、搬送方向を径方向とした場合に、被検体の径方向を二分する略中心線を境として搬送方向の下流を指向する先端を含む一側、搬送方向の上流を指向する後端を含む他側が定義され、
前記照明制御装置は、前記撮像装置により被検体の先端を含む一側の所定の第1の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を点灯して前記第2の光源を消灯し、
前記撮像装置により被検体の前記第1の領域を除く一側の所定の第2の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を消灯して前記第2の光源を点灯し、
前記撮像装置により被検体の後端を除く他側の所定の第3の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を点灯して前記第2の光源を消灯し、
前記撮像装置により被検体の後端を含み前記第3の領域を除く所定の第4の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を消灯して前記第2の光源を点灯する
外観検査装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記撮像領域において搬送方向の上流から下流に向けてN個(Nは自然数)の被検体に関する部分画像データを取得し、
前記第1の領域は、前記撮像装置による被検体の撮像を開始してから略N/4個未満の部分画像データを取得する範囲に対応し、
前記第2の領域は、前記撮像装置による被検体の撮像を開始してから略N/4個以上で、略N/2個未満の部分画像データを取得する範囲に対応し、
前記第3の領域は、前記撮像装置による被検体の撮像を開始してから略N/2個以上で、略3N/4個未満の部分画像データを取得する範囲に対応し、
前記第4の領域は、前記撮像装置による被検体の撮像を開始してから略3N/4個以上で、N個の部分画像データを取得するまでの範囲に対応する
請求項に記載の外観検査装置。
【請求項3】
上流から下流に向けて搬送経路に沿って平面視略楕円形または平面視略円形の被検体を搬送する工程と、
搬送経路上の被検体の位置を検出する工程と、
該被検体の位置を検出する工程で検出された被検体の外観を、撮像装置により搬送経路に略直交する直線状視野からなる撮像領域内において撮像し、部分画像データを取得する工程と、
部分画像データを取得する工程において、前記撮像装置の下流側から所定の角度で被検体に対して照明光を照射する第1の光源、前記撮像装置の上流側から所定の角度で被検体に対して照明光を照射する第2の光源からなる照明装置の照明パターンを制御する工程と、を備える外観検査方法において、
被検体の外観は、搬送方向を径方向とした場合に、被検体の径方向を二分する略中心線を境として、搬送方向の下流を指向する先端を含む一側、搬送方向の上流を指向する後端を含む他側が定義され、
前記照明装置の照明パターンを制御する工程は、前記撮像装置により被検体の先端を含む一側の所定の第1の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を点灯して前記第2の光源を消灯し、
前記撮像装置により被検体の前記第1の領域を除く一側の所定の第2の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を消灯して前記第2の光源を点灯し、
前記撮像装置により被検体の後端を除く他側の所定の第3の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を点灯して前記第2の光源を消灯し、
前記撮像装置により被検体の後端を含み前記第3の領域を除く所定の第4の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を消灯して前記第2の光源を点灯する
外観検査方法。
【請求項4】
錠剤を貯留可能な錠剤供給部と、
外周面に多数の錠剤保持部を有し、該錠剤保持部に前記錠剤供給部から供給された平面視略楕円形または平面視略円形の錠剤が移される搬送ドラムと、
前記搬送ドラムの外周面近傍に配され、前記搬送ドラムの回転により搬送経路に沿って搬送されている前記錠剤保持部内の錠剤の露出面に印刷する印刷装置と、
前記印刷装置より下流側の外周面近傍に配され、前記搬送ドラムの回転により搬送されている前記錠剤保持部内の印刷済みの錠剤の外観を検査する外観検査装置と、を備える錠剤印刷装置において、
前記外観検査装置は、
上流から下流に向かう搬送経路に沿って搬送される錠剤の搬送経路上における位置を検出する位置検出装置と、
前記錠剤保持部内の印刷済みの錠剤の外観を、搬送経路に略直交する直線状視野からなる撮像領域内で撮像して部分画像データを取得する撮像装置と、
前記撮像装置の下流側から錠剤に対して照明光を照射する第1の光源、前記撮像装置の上流側から錠剤に対して照明光を照射する第2の光源からなる照明装置と、
前記位置検出装置により検出された前記撮像装置による撮像タイミングにある錠剤の位置と前記撮像装置の位置関係に応じて前記照明装置の照明パターンを制御する照明制御装置と、を備え
錠剤の外観は、搬送方向を径方向とした場合に、錠剤の径方向を二分する略中心線を境として、搬送方向の下流を指向する先端を含む一側、搬送方向の上流を指向する後端を含む他側が定義され、
前記照明制御装置は、前記撮像装置により錠剤の先端を含む一側の所定の第1の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を点灯して前記第2の光源を消灯し、
前記撮像装置により錠剤の前記第1の領域を除く一側の所定の第2の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を消灯して前記第2の光源を点灯し、
前記撮像装置により錠剤の後端を除く他側の所定の第3の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を点灯して前記第2の光源を消灯し、
前記撮像装置により錠剤の後端を含み前記第3の領域を除く所定の第4の領域の部分画像データを取得する際には、前記第1の光源を消灯して前記第2の光源を点灯する
錠剤印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置、外観検査方法、及び錠剤印刷装置に関する。詳しくは、被検体の表面欠陥を検査する際に、反射した光源の映り込みを抑制することができる外観検査装置、外観検査方法、及び錠剤印刷装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品である製剤やカプセル剤(以下、総称して本明細書においては「錠剤」と定義する。)の表面には、製品識別や誤飲防止のため、品番や品名、成分含有量等の文字や記号などからなる各種コードが表示されている。このような錠剤表面への表示は、刻印成形、転写方式、或いはインクジェット方式等の印刷処理によって行われている。
【0003】
このうち、インクジェット方式による印刷処理は、非接触状態で錠剤表面に印刷が可能なことから、錠剤表面に付着した粉末の影響を受けにくく、また、衛生面の点でも優れており、近年、種々の装置が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1に開示の印刷装置は、印刷前の錠剤を撮影する検出用撮像装置と、印刷後の錠剤を撮影する検査用撮像装置とを備えている。特許文献1の装置は、検出用撮像装置により検出される錠剤の位置、姿勢、表裏等に基づいて、ライン上に搬送されてきた錠剤に各種コードの印刷を行う。また、検査用撮像装置は、各錠剤への印刷状態や錠剤の表面上の異物の有無等を検査するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013―121432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した特許文献1に開示の印刷装置において用いられる検出用撮像装置、及び検査用撮像装置においては、印刷対象となる錠剤である被検体に対して光を照射するための照明装置を備えている。この照明装置としては、一般的には指向性に優れ、所定の広がり角を有するLED照明装置(以下、単に「LED」という。)が採用される。そして、被検体の表面に対して斜め方向からLEDにより照射し、被検体からの散乱光を前記した各撮像装置により撮像される。
【0007】
このとき、被検体表面からの反射光が撮像装置に映り込むことがある。そして、反射光が映り込んだ領域に表面欠陥が存在するとき、表面欠陥から反射して発生する散乱光は、照明装置の映り込み領域からの光と重なる。そのため、係る領域においては、被検体の表面に表面欠陥が存在しても、撮像装置によって検出することができない。
【0008】
一方、このような被検体の表面欠陥を検出する他の方法として、拡散板を用いたり複数の点光源によって被検体の表面を照明し、表面欠陥から発生する散乱光を複数の点光源の光軸からずらした位置で検出することにより、光源の映り込みの影響を抑制して表面欠陥を検出する方法がある。しかしながら、印刷装置の空間スペース等の問題もあり、複数の点光源を設置することは困難であり、また、各点光源を制御する必要があるため、必ずしも実用的な方法であるとはいえない。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、被検体の表面欠陥を検査する際に、反射した光源の映り込みを抑制することができる外観検査装置、外観検査方法、及び錠剤印刷装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明の外観検査装置は、上流から下流に向かう搬送経路に沿って搬送される被検体の搬送経路上における位置を検出する位置検出装置と、被検体の外観を搬送経路上における所定の撮像領域内で撮像して画像データを取得する撮像装置と、前記撮像装置の下流側から被検体に対して照明光を照射する第1の光源、前記撮像装置の上流側から被検体に対して照明光を照射する第2の光源からなる照明装置と、前記位置検出装置により検出された前記撮像装置による撮像タイミングにある被検体の位置と前記撮像装置の位置関係に応じて前記照明装置の照明パターンを制御する照明制御装置とを備える。
【0011】
ここで、上流から下流に向かう搬送経路に沿って搬送される被検体の搬送経路上における位置を検出する位置検出装置を備えることにより、外観検査の対象となる被検体の搬送経路上における絶対位置を把握し、後述する撮像装置により適切なタイミングで被検体を撮像することができる。
【0012】
また、被検体の外観を搬送経路上における所定の撮像領域内で撮像して画像データを取得する撮像装置を備えることにより、撮像領域として被検体の外観全体を撮像可能な領域を規定し、該撮像領域内において被検体の外観を撮像して画像データを取得し、係る画像データに基づいて被検体の外観上の異常の有無を判定することができる。
【0013】
また、搬送経路に沿って搬送される被検体に対して照明光を照射する照明装置を備えることにより、被検体に対して照明光を照射した際の反射光を得ることができる。撮像装置は、係る反射光を取り込んで被検体の画像データを取得することができる。
【0014】
また、照明装置は、撮像装置の下流側から被検体に対して照明光を照射する第1の光源、撮像装置の上流側から被検体に対して照明光を照射する第2の光源から構成されていることにより、2方向からの照射光により、撮像領域において被検体が撮像装置に対してどのような位置にあったとしても、撮像に際して必要となる十分な光量を確保し、適切な反射光を得ることができる。
【0015】
また、位置検出装置により検出された撮像装置による撮像タイミングにある被検体の位置と撮像装置の位置関係に応じて照明装置の照明パターンを制御する照明制御装置を備えることにより、被検体と撮像装置の位置関係によって適切な光量を確保することができる。従って、撮像領域内において、撮像装置に対する被検体の位置に関係なく、常に鮮明な画像データを取得することができる。
【0016】
また、撮像装置は、搬送経路に略直交する直線状視野により撮像して部分画像データを取得可能なラインスキャンカメラである場合には、分解能が高いため、搬送方向に沿って常に移動する被検体に対しても高解像度の部分画像データを取得することができる。従って、被検体の外観に存在するわずかな異常であっても検出することができる。
【0017】
また、位置検出装置により検出された撮像装置により撮像される被検体の位置と直線状視野の位置関係に応じて照明装置の照明パターンを制御する場合には、ラインスキャンカメラの直線状視野により撮像される被検体からの反射光の入射角度を考慮して、照明制御装置の照明パターンを制御することがきる。
【0018】
また、照明制御装置は、位置検出装置により検出された撮像装置により撮像される被検体の搬送位置と直線状視野の位置関係に応じて、第1の光源が点灯するときに第2の光源を消灯し、第1の光源が消灯するときに第2の光源を点灯する場合には、撮像対象となる被検体の位置と直線状視野の位置関係に応じて、撮像装置へ入射する反射光が適度なものとなるように照明装置の点灯、或いは消灯を制御することができる。また、一方の光源を点灯する際には他方の光源を消灯するため、照明装置の電気消費量も低減することができる。
【0019】
また、被検体の外観は、搬送方向を長手方向とした場合に、被検体の長手方向を二分する略中心線を境として搬送方向の下流を指向する先端を含む一側、搬送方向の上流を指向する後端を含む他側が定義され、照明制御装置は、撮像装置により被検体の先端を含む一側の第1の領域の部分画像データを取得する際には、第1の光源を点灯して第2の光源を消灯する場合には、第1の光源から照射される照明光により、被検体の先端部分を照射することができるため、照明光が届きにくい先端部分に対して十分な反射光を確保することができる。
【0020】
このとき、第1の光源とともに第2の光源を点灯すると、第2の光源から照射されて被検体で反射した反射光は、第1の光源からの照射光と干渉し合うことで光量が強くなりすぎて部分画像データが不鮮明なものとなる。一方、第1の光源を消灯して第2の光源を点灯すると、第2の光源から照射される照射光は被検体の先端付近に十分な光量を照射することができず、部分画像データが不鮮明なものとなる。
【0021】
また、被検体の第1の領域を除く一側の第2の領域の部分画像データを取得する際には、第1の光源を消灯して第2の光源を点灯する場合には、第2の光源から照射され被検体で反射した反射光は、撮像装置と被検体の位置関係により、適度な光量となって撮像装置に入射するため、鮮明な部分画像データを取得することができる。
【0022】
即ち、例えば被検体としての錠剤は、通常、中心線を境に第2の領域から第1の領域にかけて緩傾斜する略楕円形、又は略円筒形に成型されている。このとき、第2の光源から照射されて第2の領域に係る緩傾斜部分で反射した反射光は搬送方向に向けて反射するため、撮像装置の直線状視野に入射する光量が適度に調整されることで、鮮明な部分画像データを取得することができる。
【0023】
一方、第2の領域を撮像する際に、第1の光源を点灯すると、第1の光源から照射されて第2の領域に係る緩傾斜部分で反射した反射光の大半は、撮像装置に入射し光量が強くなり過ぎることにより、被検体の第2の領域の一部が白くぼやけた部分画像データとなる。
【0024】
また、撮像装置により被検体の後端を除く他側の第3の領域の部分画像データを取得する際には、第1の光源から照射され被検体で反射した反射光は、撮像装置と被検体の位置関係により、適度な光量となって撮像装置に入射するため、鮮明な部分画像データを取得することができる。
【0025】
即ち、前記の通り被検体としての錠剤は、中心線を境にして第3の領域から第4の領域にかけて緩傾斜する略楕円形、又は略円筒形に成型されている。このとき、第1の光源から照射されて第3の領域に係る緩傾斜部分で反射した反射光は搬送方向とは反対方向に向けて反射するため、撮像装置の直線状視野に入射する光量が適度に調整されることで、鮮明な部分画像データを取得することができる。
【0026】
一方、第3の領域を撮像する際に、第2の光源を点灯すると、第2の光源から照射されて第3の領域に係る緩傾斜部分で反射した反射光の大半は、撮像装置に入射し光量が強くなり過ぎることにより、被検体の第3の領域の一部が白くぼやけた部分画像データとなる。
【0027】
また、撮像装置により被検体の後端を含み第3の領域を除く第4の領域の部分画像データを取得する際には、第1の光源を消灯して第2の光源を点灯する場合には、第2の光源から照射される照明光により、被検体の後端部分を照射することができるため、照明光が届きにくい後端部分に対して十分な反射光を確保することができる。
【0028】
このとき、第2の光源とともに第1の光源を点灯すると、第1の光源から照射されて被検体で反射した反射光は、第2の光源からの照射光と干渉し合うことで光量が強くなりすぎて部分画像データが不鮮明なものとなる。一方、第2の光源を消灯して第1の光源を点灯すると、第1の光源から照射される照射光は被検体の先端付近に十分な光量を照射することができず、部分画像データが不鮮明なものとなる。
【0029】
また、撮像装置は、撮像領域において搬送方向の上流から下流に向けてN個の被検体に関する部分画像データを取得する場合には、撮像領域をN個の分解能に分解したうえで、撮像装置の直線状視野により、所定のタイミングで被検体の部分画像データを取得することができるとともに、部分画像データの取得と同期して照明装置の照明制御を行うことができる。
【0030】
即ち、撮像領域の分解能が規定されると、係る分解能に基づいて撮像装置による部分画像データの取得タイミングが決まる。さらに、部分画像データの取得タイミングに基づいて、照明装置による点灯、及び消灯の制御を確実に切り換えることができる。
【0031】
前記の目的を達成するために本発明の外観検査方法は、上流から下流に向けて搬送経路に沿って被検体を搬送する工程と、搬送経路上の被検体の位置を検出する工程と、撮像装置により被検体の外観を所定の撮像領域内において撮像し、画像データを取得する工程と、該画像データを取得する工程において、前記撮像装置の下流側から被検体に対して照明光を照射する第1の光源、前記撮像装置の上流側から被検体に対して照明光を照射する第2の光源からなる照明装置の照明パターンを制御する工程とを備える。
【0032】
ここで、上流から下流に向けて搬送経路に沿って被検体を搬送する工程を備えることにより、被検体に対して行われる複数の作業や検査工程を、その搬送経路上において行うことで、被検体に対する作業、或いは検査業務を効率化することができる。
【0033】
また、搬送経路上の被検体の位置を検出する工程を備えることにより、外観検査の対象となる被検体の搬送経路上における絶対位置を把握し、後述する撮像装置による撮像工程において、より適切なタイミングで被検体を撮像することができる。
【0034】
また、撮像装置により被検体の外観を所定の撮像領域内において撮像し、画像データを取得する工程を備えることにより、撮像領域として被検体の外観全体を撮像可能な領域を規定し、該撮像領域内において被検体の外観を撮像して画像データを取得し、係る画像データに基づいて被検体の外観上の異常の有無を判定することができる。
【0035】
また、画像データを取得する工程において、照明装置の照明パターンを制御する工程を備えることにより、被検体と撮像装置の位置関係に応じて、もっとも鮮明な画像データが得られるように、照明装置の照明パターンを制御することができる。
【0036】
また、照明パターンを制御する工程は、撮像装置の下流側から被検体に対して照明光を照射する第1の光源、撮像装置の上流側から被検体に対して照明光を照射する第2の光源からなる照明装置の照明パターンを制御する場合には、2方向からの照射光により、撮像領域において被検体が撮像装置に対してどのような位置にあったとしても、撮像に際して必要となる十分な光量を確保し、適切な反射光を得ることができる。
【0037】
前記の目的を達成するために、本発明の錠剤印刷装置は、錠剤を貯留可能な錠剤供給部と、外周面に多数の錠剤保持部を有し、該錠剤保持部に前記錠剤供給部から供給された錠剤が移される搬送ドラムと、前記搬送ドラムの外周面近傍に配され、前記搬送ドラムの回転により搬送経路に沿って搬送されている前記錠剤保持部内の錠剤の露出面に印刷する印刷装置と、該印刷装置より下流側の外周面近傍に配され、前記搬送ドラムの回転により搬送されている前記錠剤保持部内の印刷済みの錠剤の外観を検査する外観検査装置と、を備える錠剤印刷装置において、前記外観検査装置は、上流から下流に向かう搬送経路に沿って搬送される錠剤の搬送経路上における位置を検出する位置検出装置と、前記錠剤保持部内の印刷済みの錠剤の外観を所定の撮像領域内で撮像して画像データを取得する撮像装置と、前記撮像装置の下流側から錠剤に対して照明光を照射する第1の光源、前記撮像装置の上流側から錠剤に対して照明光を照射する第2の光源からなる照明装置と、前記位置検出装置により検出された前記撮像装置による撮像タイミングにある錠剤の位置と前記撮像装置の位置関係に応じて前記照明装置の照明パターンを制御する照明制御装置とを備える。
【0038】
ここで、錠剤印刷装置は、錠剤を貯留可能な錠剤供給部と、外周面に多数の錠剤保持部を有し、錠剤保持部に錠剤供給部から供給された錠剤が移される搬送ドラムと、搬送ドラムの外周面近傍に配され、搬送ドラムの回転により搬送経路に沿って搬送されている錠剤保持部内の錠剤の露出面に印刷する印刷装置と、印刷装置より下流側の外周面近傍に配され、搬送ドラムの回転により搬送されている錠剤保持部内の印刷済みの錠剤の外観を検査する外観検査装置を備えることにより、錠剤供給部から供給され、搬送ドラムで搬送された錠剤に対して、所定の文字や記号等を印刷することができるとともに、外観検査装置により錠剤の印刷状態を含む外観の異常を検査することができる。
【0039】
また、上流から下流に向かう搬送経路に沿って搬送される錠剤の搬送経路上における位置を検出する位置検出装置を備えることにより、外観検査の対象となる錠剤の搬送経路上における絶対位置を把握し、後述する撮像装置により適切なタイミングで錠剤を撮像することができる。
【0040】
また、錠剤の外観を所定の撮像領域内で撮像して画像データを取得する撮像装置を備えることにより、撮像領域として錠剤の外観全体を撮像可能な領域を規定し、該撮像領域内において錠剤の外観を撮像して画像データを取得し、係る画像データに基づいて錠剤の外観上の異常の有無を判定することができる。
【0041】
また、搬送経路に沿って錠剤に対して照明光を照射する照明装置を備えることにより、錠剤に対して照明光を照射した際の反射光を得ることができる。撮像装置は、係る反射光を取り込んで錠剤の画像データを取得することができる。
【0042】
また、照明装置は、撮像装置の下流側から錠剤に対して照明光を照射する第1の光源、撮像装置の上流側から錠剤に対して照明光を照射する第2の光源から構成されていることにより、2方向からの照射光により、撮像領域において錠剤が撮像装置に対してどのような位置にあったとしても、撮像に際して必要となる十分な光量を確保するとともに、適切な反射光を得ることができる。
【0043】
また、位置検出装置により検出された撮像装置による撮像タイミングにある錠剤の位置と撮像装置の位置関係に応じて照明装置の照明パターンを制御する照明制御装置を備えることにより、錠剤と撮像装置の位置関係によって適切な光量を確保することができる。従って、撮像領域内において、撮像装置に対する錠剤の位置に関係なく、常に鮮明な画像データを取得することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明に係る外観検査装置、外観検査方法、及び錠剤印刷装置は、被検体の表面欠陥を検査する際に、反射した光源の映り込みを抑制することができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の実施形態に係る錠剤印刷装置の全体概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る外観検査装置の全体概略図である。
図3】本発明の実施形態に係る外観検査装置のブロック図である。
図4】錠剤の撮像領域を説明する図である。
図5】外観検査を行っている状況を示す模式図である。
図6】照明装置のタイムチャートである。
図7】撮像装置により撮像された錠剤の画像データである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、各図において説明の便宜上、錠剤印刷装置を設置面に設置した状態において、錠剤印刷装置の設置面から上方に向かう方向を上方向、上方向の反対方向を下方向、上方向および下方向により表される軸方向を鉛直方向、鉛直方向と垂直な軸方向を水平方向、錠剤印刷装置を構成する各ドラムの回転方向を搬送方向とそれぞれ定義する。
【0047】
また、以下の実施形態では、本発明の外観検査装置を錠剤印刷装置に適用する例について説明するが、必ずしも係る実施形態に限定されるものではなく、外観検査装置は電子部品や食品等のあらゆる外観を検査する場合にも適用することができるものとする。なお、本発明の実施形態において定義する錠剤とは、長径が略1.00cm~3.00cm、短径が略0.50cm~1.00cm程度の断面略楕円形状からなるダブレット錠剤であるがこれに限定されるものではない。例えばキャップとボディから構成されてなり断面略楕円形状からなるカプセル錠や、平面視略円形の製剤等であってもよい。
【0048】
まず、本発明の実施形態に係る外観検査装置が適用される錠剤印刷装置Pの構成について図1に基づいて説明する。錠剤印刷装置Pは、被検体としての医薬品等の錠剤に関して、錠剤の表裏を判別して表裏の一方又は両方の面に印刷をし、錠剤が良品であるか不良品であるかの選別をするための装置であり、図1に示すように上方から下方にかけて、供給ドラム1、第1の搬送ドラム2、第2の搬送ドラム3、及び取出ドラム4を備えている。
【0049】
供給ドラム1のさらに上方には、印刷対象となる錠剤を貯留するホッパー51と、該ホッパー51に貯留されている錠剤を供給ドラム1に供給するためのシュート52からなる錠剤供給装置5を備えている。
【0050】
取出ドラム4の下方には、後述するA面外観検査装置6、及びB面外観検査装置8による印刷状態や異物有無の検査結果に基づいて、良品と判断された錠剤を後工程に送るためのベルトコンベア101、及び不良品と判断された錠剤を回収するための回収装置102からなる錠剤排出装置10が設置されている。
【0051】
ここで、必ずしも、供給ドラム1を備えている必要はない。ホッパー51に貯留されている錠剤は、シュート52により直接第1の搬送ドラム2に供給されるようにしてもよい。
【0052】
また、必ずしも、取出ドラム4を備えている必要はない。例えば、第2の搬送ドラム3に取出ドラム4と同様の機能を持たせることにより、第2の搬送ドラム3からベルトコンベア101、及び回収装置102に錠剤を搬送するようにしてもよい。
【0053】
前記した各ドラムは、外周面に錠剤を吸着するための多数の孔(図示省略)が形成されており、各ドラムは隣接するものは互いに同期しながら逆回転して、各ドラム間で錠剤の受け渡しを行うことで、錠剤を後工程へと搬送することができる。
【0054】
各ドラムにおける錠剤の受け渡しにおいては、錠剤の表裏面(以下、表面を「A面」、裏面を「B面」とそれぞれ定義する。)が反転する。例えば第1の搬送ドラム2ではA面が露出していた場合には、第2の搬送ドラム3に受け渡されるとその反対面であるB面が露出し、続いて取出ドラム4に受け渡されると再度A面が露出することになる。
【0055】
第1の搬送ドラム2の近傍には、搬送方向の上流側から順に、錠剤の露出面(ここではA面とする)に文字や記号などからなる各種コードを印刷するためのA面印刷装置7、A面の印刷状態や異物の有無を検査するためのA面外観検査装置6を有している。
【0056】
A面外観検査装置6は、図2に示すように、A面を撮像する検査カメラであるA面撮像装置61、撮像対象である錠剤のA面に対して光を照射するためのA面照明装置62を有している。A面照明装置62はLEDを光源として、A面撮像装置61を挟んで対称な位置であり、下流側から所定の角度(例えば略45度)で錠剤に対して照明光を照射する第1のA面光源62a、上流側から所定の角度(例えば略45度)で錠剤に対して照明光を照射する第2のA面光源62bから構成されている。
【0057】
A面撮像装置61は、搬送方向に対して略直交する幅方向に延びた帯状(直線状)の視野(以下、「直線状視野」という。)により、撮像ポイントにおいて1ライン分の画像を、予め規定された撮像領域分だけ連続的に撮像するラインセンサカメラである。
【0058】
ここで、必ずしも、A面撮像装置61はラインセンサカメラである必要はない。例えば撮像素子が縦横の面状に並べられ、2次元の所定の撮像領域に係る画像を得ることが可能なエリアカメラを使用してもよい。但し、高速で回転する第1の搬送ドラム2上の錠剤を一定の高解像度で撮像するという観点では、A面撮像装置61はラインセンサカメラであることが好ましい。
【0059】
また、必ずしもA面照明装置62として、LEDである必要はない。ハロゲンランプ、蛍光ランプ等の公知の光源より適宜選択することができる。但し、電力量の消費が少なく一定の光量が得られるとともに、高速での点灯と消灯の切り換え制御に対応するためには制御性に優れるLEDを採用することが好ましい。
【0060】
また、必ずしも、第1のA面光源62aと第2のA面光源62bは、A面撮像装置61を挟んで、対称に配置されている必要はない。例えば第1のA面光源62aから照射される照射光の照射角度と、第2のA面光源62bの照射角度は異なるように、各光源の取り付け角度を調整してもよい。
【0061】
なお、A面印刷装置7のさらに上流側には、例えば略中央に割線が形成された錠剤において、割線の方向を確認するための割線撮像装置(図示省略)を別途設けるようにしてもよい。割線撮像装置を設けることにより、割線の向きに応じてA面印刷装置7での印刷の向きを適宜変更することが可能となる。
【0062】
第2の搬送ドラム3の近傍には、第1の搬送ドラム2と同様に、搬送方向の上流側から順に、錠剤の露出面(ここではB面とする)に文字や記号などからなる各種コードを印刷するためのB面印刷装置9、B面の印刷状態や異物の有無を検査するためのB面外観検査装置8を有している。なお、B面外観検査装置8は、A面外観検査装置6と同様の構成であるため、詳細な図示は省略する。
【0063】
B面外観検査装置8は、B面を撮像する検査カメラであるB面撮像装置81、撮像対象である錠剤のB面に対して光を照射するためのB面照明装置82を有している。B面照明装置82はLEDを光源として、B面撮像装置81を挟んで下流側から所定の角度(例えば略45度)で錠剤に対して照明光を照射する第1のB面光源82a、上流側から所定の角度(例えば略45度)で錠剤に対して照明光を照射する第2のB面光源82bから構成されている。
【0064】
次に、本発明の実施形態に係る外観検査装置について説明する。前記した通り、外観検査装置としてのA面外観検査装置6とB面外観検査装置8は略同じ構成であるため、ここでは、A面外観検査装置6を例として説明する。
【0065】
A面外観検査装置6は、前記した通り、主にA面撮像装置61、第1のA面光源62aと第2のA面光源62bからなるA面照明装置62を備えるとともに、第1の搬送ドラム2上における錠剤の位置を検出するためのA面位置検出装置63(図示省略)から構成されている。
【0066】
A面位置検出装置63は、本発明の実施形態においては、インクリメンタルエンコーダが使用される。インクリメンタルエンコーダは周知の構造であり、永久磁石同期電動機(図示しない)が回転するのに従って、回転した量(回転角)に比例した数のパルス信号を出力するものである。
【0067】
ここで、必ずしも、A面位置検出装置63としてインクリメンタルエンコーダである必要はない。例えば、搬送経路上を搬送される錠剤の絶対位置を検出することが可能なアブソリュートエンコーダであってもよい。なお、本発明の実施形態においては、インクリメンタルエンコーダで検出した原点の信号を基準に絶対位置に変換することで、搬送経路上における各錠剤の絶対位置を検出するようにしている。
【0068】
図3は、A面外観検査装置6を構成するブロック図である。A面撮像領域設定部64は、錠剤の長径に基づいて、例えば図4に示すように所定の撮像領域RSが一義的に設定されるとともに、該撮像領域RSの範囲において、A面撮像装置61により取り込む部分画像データのデータ数を任意に設定することが可能となる。
【0069】
A面位置検出装置63は、所定の間隔でパルス信号をA面撮像装置61、及びA面照明装置62に対して出力する。A面撮像装置61は、A面位置検出装置63から出力される所定間隔のパルス信号を受信すると撮像ポイントにて1ライン毎の撮像を行う。本発明の実施形態においては、予め規定された錠剤の長径に対応して1パルス毎に撮像を行い、撮像領域の始点から終点に至るまで計500個の部分画像データを取り込む。
【0070】
ここで、必ずしも、A面撮像装置61はA面位置検出装置63からのパルス信号に基づいて撮像を開始する必要はない。撮像する原点位置を予め決めておき、第1の搬送ドラム2の回転速度に応じて、一定の間隔で撮像を行うようにしてもよい。
【0071】
また、必ずしも、A面撮像装置61による撮像タイミング、及び撮像領域RSにおいて取り込むべき部分画像データ数としては、前記した範囲に限定されるものではない。錠剤の大きさや錠剤のA面、又はB面に印字される文字の大きさ等により、撮像タイミングや取り込むべき部分画像データ数は適宜変更することができる。
【0072】
A面画像処理部65は、A面撮像装置61で取得された撮像領域RS内における部分画像データに基づいて画像処理のうえ合成され1枚の画像データとされるとともに、該画像データはA面記憶装置66に記憶される。
【0073】
A面照明装置62は、A面位置検出装置63からのパルス信号に基づいて錠剤、及びA面撮像装置61の直線状視野との位置関係に応じて、第1のA面光源62a、及び第2のA面光源62bの点灯または消灯の照明制御を行う。
【0074】
ここで、必ずしも、A面照明装置62は、A面位置検出装置63からのパルス信号に基づいて点灯、又は消灯の制御を行う必要はない。照明制御を開始する原点位置を予め決めておき、第1の搬送ドラム2の回転速度に応じて照明制御を行ったり、或いはA面撮像装置61からの同期信号を受けて照明制御を行うようにしてもよい。
【0075】
図4に示すように、撮像対象となる錠剤Tは長径の略中心線Oを境にして搬送方向の下流側を指向する先端、搬送方向の上流側を指向する後端が規定される。前記した通り、A面撮像装置61は、撮像領域RSの始点から終点まで、A面位置検出装置63からのパルス信号として1パルス毎に部分画像データを取り込み、撮像領域RSの範囲で500個の部分画像データを取り込む。
【0076】
このとき、A面照明装置62は、撮像領域RSの始点から終点までA面位置検出装置63からのパルス信号として125パルスの間隔で下流から上流にかけて、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、第4の領域R4に分割され、各領域に応じて第1のA面光源62aと第2のA面光源62bの照明パターンが変更される。
【0077】
ここで、必ずしも、A面照明装置62の照明パターンは、A面位置検出装置63からのパルス信号が略125パルスの間隔で変更される必要はない。照明パターンは、外観検査の対象となる錠剤Tの大きさ等によりその変更パターンは適宜変更することができる。
【0078】
以下、図5の模式図、及び図6のタイムチャートに基づいて、A面照明装置62の点灯、及び消灯の制御について説明する。
【0079】
<略0~125パルスの範囲>
図5(a)に示すように、A面位置検出装置63からのパルス信号として略0~125パルスの第1の領域R1では、A面撮像装置61の直線状視野は、錠剤Tの先端部分を撮像する。このとき、錠剤TとA面照明装置62の位置関係から、下流側である第1のA面光源62aを点灯させ、上流側である第2のA面光源62bを消灯させることにより、錠剤Tの先端分が照射され、A面撮像装置61は十分な反射光を得ることができる。
【0080】
なお、例えば第1のA面光源62aを消灯し、第2のA面光源62bを点灯すると、第2のA面光源62bから照射される照射光は、錠剤Tの先端付近に届かず、錠剤Tの先端付近は光量不足となり鮮明な部分画像データを得られない。
【0081】
一方、第1のA面光源62aと第2のA面光源62bを同時に点灯すると、両光源からの照射光が干渉し合うことで光量が強くなりすぎるため、この場合も錠剤Tの先端付近について鮮明な部分画像データが得られない可能性がある。
【0082】
<略125~250パルスの範囲>
図5(b)に示すように、A面位置検出装置63からのパルス信号として略125~250パルスの第2の領域R2では、第1のA面光源62aを消灯し、第2のA面光源62bを点灯することにより第2のA面光源62bから照射され錠剤Tで反射する反射光は、A面撮像装置61と錠剤Tの位置関係により、適度な光量となってA面撮像装置61に入射するため、鮮明な部分画像データを取得することができる。
【0083】
即ち、第2のA面光源62bから照射されて第2の領域R2に係る緩傾斜部分で反射した反射光は、搬送方向に向けて反射するため、A面撮像装置61の直線状視野に入射する光量が適度に調整されることで、鮮明な部分画像データを取得することができる。
【0084】
一方、第2の領域R2を撮像する際に、第1のA面光源62aを点灯すると、第1のA面光源62aから照射されて第2の領域R2に係る緩傾斜部分で反射した反射光の大半は、A面撮像装置61に入射し光量が強くなり過ぎることにより、錠剤Tの第2の領域R2の一部が白くぼやけた部分画像データとなる。
【0085】
<略250~375パルスの範囲>
図5(c)に示すように、A面位置検出装置63からのパルス信号として略250~375パルスの第3の領域R3では、第1のA面光源62aを点灯し、第2のA面光源62bを消灯することにより第1のA面光源62aから照射され錠剤Tで反射する反射光は、A面撮像装置61と錠剤Tの位置関係により、適度な光量となってA面撮像装置61に入射するため、鮮明な部分画像データを取得することができる。
【0086】
即ち、第1のA面光源62aから照射されて第3の領域R3に係る緩傾斜部分で反射した反射光は、搬送方向に向けて反射するため、A面撮像装置61の直線状視野に入射する光量が適度に調整されることで、鮮明な部分画像データを取得することができる。
【0087】
一方、第3の領域R3を撮像する際に、第2のA面光源62bを点灯すると、第2のA面光源62bから照射されて第3の領域R3に係る緩傾斜部分で反射した反射光の大半は、A面撮像装置61に入射し光量が強くなり過ぎることにより、錠剤Tの第3の領域R3の一部が白くぼやけた部分画像データとなる。
【0088】
<略375~500パルスの範囲>
図5(d)に示すように、A面位置検出装置63からのパルス信号として略375~500パルスの第4の領域R4では、A面撮像装置61の直線状視野は、錠剤Tの後端部分を撮像する。このとき、錠剤TとA面照明装置62の位置関係から、上流側である第2のA面光源62bを点灯させ、下流側である第1のA面光源62aを消灯させることにより、錠剤Tの先端分が照射され、A面撮像装置61は十分な反射光を得ることができる。
【0089】
なお、例えば第2のA面光源62bを消灯し、第1のA面光源62aを点灯すると、第1のA面光源62aから照射される照射光は、錠剤Tの後端付近に届かず、錠剤Tの先端付近は光量不足となり鮮明な部分画像データを得られない。
【0090】
一方、第1のA面光源62aと第2のA面光源62bを同時に点灯すると、両光源からの照射光が干渉し合うことで光量が強くなりすぎるため、この場合も錠剤Tの後端付近について鮮明な部分画像データが得られない可能性がある。
【0091】
図7は、A面撮像装置61により撮像した実際の画像データを示す。図7(a)はA面照明装置62の第1のA面光源62a、第2のA面光源62bを常時点灯した場合の画像データである。図7(a)によると、錠剤TのA面の先端に近い部分(第2の領域)、及び後端に近い部分(第3の領域)において三日月状の白くぼやけた部分が存在し、ハレーションを起こしていることが確認できる。
【0092】
また、図7(b)は、第1のA面光源62aを常時消灯し、第2のA面光源62bは第1の領域R1で消灯、第2の領域R2で点灯、第3の領域R3で消灯、第4の領域R4で点灯した場合の画像データである。第2の領域R2においては、第2のA面光源62bのみ点灯することにより、ハレーションのない鮮明な画像データを得ることができる。さらに、第4の領域R4においては、第2のA面光源62bにより、搬送方向に向けて錠剤Tの後端照射することで、後端の輪郭がはっきりと確認できる程度に鮮明な画像データを得ることができる。
【0093】
また、図7(c)は、第1のA面光源62aを第1の領域R1で点灯、第2の領域R2で消灯、第3の領域R3で点灯、第4の領域R4で消灯し、第2のA面光源62bを常時点灯した場合の画像データである。
【0094】
まず、第1の領域R1では第1のA面光源62aと第2のA面光源62bが何れも点灯されることにより、光量が強くなりすぎ、第1の領域R1の下流側に半円状の白っぽいラインが映り込み、白くぼやけた画像データとなる。また、第2の領域R2においては、第2のA面光源62bのみ点灯することにより、ハレーションのない鮮明な画像データを得ることができる。また、第3の領域R3では、第1のA面光源62aと第2のA面光源62bが同時に点灯されることにより、三日月状の白くぼやけた部分が存在し、ハレーションを起こしていることが確認できる。また、第4の領域R4では、第2のA面光源62bのみが点灯されており、後端の輪郭がはっきりと確認できる程度に鮮明な画像データを得ることができる。
【0095】
以上のように、第1のA面光源62a、及び第2のA面光源62bの点灯、消灯を交互に制御することにより、全領域においてハレーションが発生しない鮮明な画像データを得ることが確認できる。
【0096】
以上、本発明に係る外観検査装置、外観検査方法、及び錠剤印刷装置は、被検体の表面欠陥を検査する際に、反射した光源の映り込みを抑制することができる。
【符号の説明】
【0097】
P 錠剤印刷装置
1 供給ドラム
2 第1の搬送ドラム
3 第2の搬送ドラム
4 取出ドラム
5 錠剤供給装置
51 ホッパー
52 シュート
6 A面外観検査装置
61 A面撮像装置
62 A面照明装置
62a 第1のA面光源
62b 第2のA面光源
63 A面位置検出装置
64 A面撮像領域設定部
65 A面画像処理部
66 A面記憶部装置
7 A面印刷装置
8 B面外観検査装置
81 B面撮像装置
82 B面照明装置
82a 第1のB面光源
82b 第2のB面光源
83 B面位置検出装置
9 B面印刷装置
10 錠剤排出装置
101 ベルトコンベア
102 回収装置
T 錠剤
RS 撮像領域
R1 第1の領域
R2 第2の領域
R3 第3の領域
R4 第4の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7