(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-14
(54)【発明の名称】シート束処理装置
(51)【国際特許分類】
B42B 4/00 20060101AFI20220203BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B42B4/00
B42B5/00
(21)【出願番号】P 2017158229
(22)【出願日】2017-08-18
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391063352
【氏名又は名称】グラドコジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】増成 一茂
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-159449(JP,A)
【文献】特開2001-063910(JP,A)
【文献】特開2012-210986(JP,A)
【文献】特開平06-186650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 2/00- 9/06
B42C 1/00-99/00
B25C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートからなるシート束を綴じる綴じ部と、
シート束を綴じるステープルをシート束から除去する除去部と、
前記綴じ部及び前記除去部を移動する駆動手段と、
シート束を綴じるステープルの有無を検出するステープル有無検出手段と、を備え、
未綴じのシート束がセットされると、
ステープル無の検出情報に基づき前記駆動手段により前記綴じ部を移動してシート束を綴じ、
一方、既綴じのシート束がセットされると、
ステープル有の検出情報に基づき前記駆動手段により前記除去部を移動してステープルをシート束から除去することを特徴とするシート束処理装置。
【請求項2】
シート束を綴じる操作を行う綴じ操作部と、
ステープルを除去する操作を行う除去操作部と、を備え、
前記綴じ操作部の操作によりシート束を綴じ、
前記除去操作部の操作によりステープルをシート束から除去することを特徴とする請求項
1に記載のシート束処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート束を綴じ、またはステープルをシート束から除去することができるシート束処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から複数枚のシ-トが分散しないように束ねる手段としてステ-プルが一般的に用いられ、例えば金属で成形されたステ-プルなどがある(特許文献1)。
【0003】
また、ステ-プルされたシ-ト束は、様々な理由により再度一枚ずつのシートに分離させる必要が生じた場合、シ-ト束からステ-プルを除去する作業が要求される。このステ-プル除去作業を容易化するために、従来、一対のレバ-とレバ-先端に設けられた爪からなり、ユ-ザが一対のレバ-を握り込むことによってレバ-先端に設けられた爪の作用でステ-プルを変形させて、シ-ト束からステープルを除去する装置、及びその改良装置等が多く提案されている(特許文献2)。
【0004】
また、用紙などの対象物に綴じられたステープルを、パンチ刃でステープルとステープル綴じ部を取り囲む用紙の一部を含めて切り抜き除去する、パンチ処理による方法でステープルを除去する用具が提案されている(特許文献3)。さらに、シート束を綴じているステープルを自動的に除去するためのステープル除去装置を有するシート処理装置が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-142074号公報
【文献】特開昭1-306185号公報
【文献】特許第5344332号公報
【文献】特開平6-186807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、複数枚のシートからなるシート束を綴じる専用の装置が提案され、またシート束を綴じるステープルをシート束から除去する専用の装置が提案されているが、共用可能な装置がないため、シート束を綴じたり、テープルを除去するには、それぞれに応じた専用の装置を用いる必要がある。それぞれ専用の装置を用いることは、取り扱いが面倒であるとともに、費用が嵩むなどの問題があった。
【0007】
この発明は、この点に鑑みてなされたものであって、単一の装置で、シート束を綴じ、またはステープルをシート束から除去することができ、取り扱いが容易で、かつ低コストであるシート束処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0010】
請求項1の記載の発明は、複数枚のシートからなるシート束を綴じる綴じ部と、
シート束を綴じるステープルをシート束から除去する除去部と、
前記綴じ部及び前記除去部を移動する駆動手段と、
シート束を綴じるステープルの有無を検出するステープル有無検出手段と、を備え、
未綴じのシート束がセットされると、ステープル無の検出情報に基づき前記駆動手段により前記綴じ部を移動してシート束を綴じ、
一方、既綴じのシート束がセットされると、ステープル有の検出情報に基づき前記駆動手段により前記除去部を移動してステープルをシート束から除去することを特徴とするシート束処理装置である。
【0011】
請求項2の記載の発明は、シート束を綴じる操作を行う綴じ操作部と、
ステープルを除去する操作を行う除去操作部と、を備え、
前記綴じ操作部の操作によりシート束を綴じ、
前記除去操作部の操作によりステープルをシート束から除去することを特徴とする請求項1に記載のシート束処理装置である。
【発明の効果】
【0013】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0014】
請求項1及び請求項2に記載の発明では、未綴じのシート束がセットされると、綴じ部によりシート束を綴じ、一方、既綴じのシート束がセットされると、除去部によりステープルをシート束から除去することで、単一の装置で、シート束を綴じ、またはステープルをシート束から除去することができ、取り扱いが容易で、かつ低コストである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施の形態のシート束処理装置を示す図である。
【
図2】第2の実施の形態のシート束処理装置を示す図である。
【
図3】第3の実施の形態のシート束処理装置を示す図である。
【
図4】第4の実施の形態のシート束処理装置を示す図である。
【
図5】第5の実施の形態のシート束処理装置を示す図である。
【
図6】第6の実施の形態のシート束処理装置を示す図である。
【
図8】綴じ部の実施の形態2の外観を示す斜視図である。
【
図15】綴じる前の状態のシート束を示す斜視図である。
【
図16】綴じた状態のシート束を示す斜視図である。
【
図18】除去部の実施の形態1の概略断面図である。
【
図25】シート束をセットした状態を示す図である。
【
図26】ステープルの位置を確認する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明のシート束処理装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0017】
(第1の実施の形態のシート束処理装置)
第1の実施の形態のシート束処理装置を、
図1に基づいて説明する。このシート束処理装置500は、複数枚のシートからなるシート束100を綴じる綴じ部510と、シート束100を綴じるステープルAをシート束100から除去する除去部520と、シート束100を綴じる操作を行う綴じ操作部530と、ステープルAを除去する操作を行う除去操作部540と、を備える。
【0018】
綴じ操作部530は、操作ボタンまたは操作レバーを含み、操作ボタンまたは操作レバーの操作により綴じ部510を駆動してシート束100を綴じる。また、除去操作部540は、操作ボタンまたは操作レバーを含み、操作ボタンまたは操作レバーの操作により除去部520を駆動してステープルAを除去する。
【0019】
未綴じのシート束100が綴じる綴じ部510にセットされると、綴じ操作部530を操作し、綴じ部510を駆動してシート束100を綴じる。一方、既綴じのシート束100が除去部520にセットされると、除去操作部540を操作し、除去部520を駆動してステープルAをシート束100から除去する。
【0020】
(第2の実施の形態のシート束処理装置)
第2の実施の形態のシート束処理装置を、
図2に基づいて説明する。この実施形態で、第1の実施の形態と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態では、未綴じのシート束100及び既綴じのシート束100を検出するシート束検出手段550a,550bと、シート束検出情報に基づき綴じ部510及び除去部520を駆動する制御手段560と、を備える。
【0021】
未綴じのシート束100が綴じる綴じ部510にセットされると、シート束検出手段550aは、シート束100を検出し、そのシート束検出情報を制御手段560に送る。制御手段560は、シート束検出情報に基づき綴じ部510を駆動し、綴じ部510によりシート束100を綴じる。一方、既綴じのシート束100が除去部520にセットされると、シート束検出手段550bは、シート束100を検出し、そのシート束検出情報を制御手段560に送る。制御手段560は、シート束検出情報に基づき除去部520によりステープルAをシート束100から除去する。シート束検出手段550a,550bは、例えば、スイッチなどの接触型センサ、また反射型センサ、透過型センサ、超音波センサなどの非接触型センサを用いることができる。
【0022】
(第3の実施の形態のシート束処理装置)
第3の実施の形態のシート束処理装置を、
図3に基づいて説明する。この実施の形態で、第1の実施の形態と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態では、綴じ部510及び除去部520を移動する駆動手段560を備える。
【0023】
駆動手段560は、綴じ部510及び除去部520を移動する移動機構を含み、移動機構は、例えばガイドなどによりスライドして移動するスライド移動機構、またはターンテーブルなどにより回転して移動する回転移動機構が用いられる。この実施の形態では、移動機構としてスライド移動機構を用いている。
【0024】
未綴じのシート束100がセットされると、綴じ操作部530を操作し、綴じ部510が駆動手段560のスライド移動機構によりスライドしてセット位置に移動して綴じ、綴じが終了すると元の位置に退避する。また、既綴じのシート束100がセットされると、除去部520が駆動手段560のスライド移動機構によりスライドしてセット位置に移動してステープルAをシート束100から除去し、除去が終了すると元の位置に退避する。
【0025】
(第4の実施の形態のシート束処理装置)
第4の実施の形態のシート束処理装置を、
図4に基づいて説明する。この実施の形態で、第1の実施の形態と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態では、シート束100を綴じるステープルAの有無を検出するステープル有無検出手段570と、ステープル有無の検出情報に基づき綴じ部510及び除去部520を駆動する制御手段580と、を備える。
【0026】
ステープル有無検出手段570は、例えば、一対の電極を用いた接触型センサ、スイッチなどの接触型センサ、また反射型センサ、透過型センサ、電磁波センサ、超音波センサなどの非接触型センサを用いることができ、この実施の形態では、一対の電極を用いた接触型センサを用いて、ステープルである金属針の検出を行う。
【0027】
駆動手段560は、綴じ部510及び除去部520を移動する移動機構を含み、移動機構は、第3の実施の形態と同様に構成され、スライド移動機構を用いている。
【0028】
未綴じのシート束100がセットされると、ステープル有無検出手段570は、ステープル無の検出を行い、この検出情報を制御手段580に送る。制御手段580は、ステープル無の検出情報に基づき駆動手段560を制御し、綴じ部510が駆動手段560のスライド移動機構によりスライドしてセット位置に移動して綴じ、綴じが終了すると元の位置に退避する。
【0029】
一方、既綴じのシート束100がセットされると、ステープル有無検出手段570は、ステープル有の検出を行い、この検出情報を制御手段580に送る。制御手段580は、ステープル有の検出情報に基づき駆動手段560を制御し、除去部520が駆動手段560のスライド移動機構によりスライドしてセット位置に移動してステープルAをシート束100から除去し、除去が終了すると元の位置に退避する。なお、ステープル有無検出手段570は、除去部520がステープルAをシート束100から除去する際に、検出位置から退避させるようにしてもよい。
【0030】
(第5の実施の形態のシート束処理装置)
第5の実施の形態のシート束処理装置を、
図5に基づいて説明する。この実施の形態で、第4の実施の形態と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0031】
この実施の形態では、綴じ操作部530と、除去操作部540と、報知手段590を備える。報知手段590は、表示パネル、報知ランプ、または報知ブザーなどで構成され、ステープル有無検出手段570のステープル有無の検出情報に基づき作動し、ステープル有無を知らせる。
【0032】
未綴じのシート束100がセットされると、ステープル有無検出手段570は、ステープル無の検出を行い、この検出情報により報知手段590が作動してステープル無を知らせる。この知らせに基づき、綴じ操作部530を操作すると、制御手段580は、駆動手段560を制御し、綴じ部510が駆動手段560のスライド移動機構によりスライドしてセット位置に移動して綴じ、綴じが終了すると元の位置に退避する。
【0033】
一方、既綴じのシート束100がセットされると、ステープル有無検出手段570は、ステープル有の検出を行い、この検出情報により報知手段590が作動してステープル有を知らせる。この知らせに基づき、綴じ操作部530を操作すると、
制御手段580は、駆動手段560を制御し、除去部520が駆動手段560のスライド移動機構によりスライドしてセット位置に移動してステープルAをシート束100から除去し、除去が終了すると元の位置に退避する。
【0034】
(第6の実施の形態のシート束処理装置)
第6の実施の形態のシート束処理装置を、
図6に基づいて説明する。この実施の形態で、第4の実施の形態と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態では、駆動手段560は、綴じ部510及び除去部520を移動する移動機構を含み、移動機構は、回転移動機構を用いている。
【0035】
未綴じのシート束100がセットされると、ステープル有無検出手段570は、ステープル無の検出を行い、この検出情報を制御手段580に送る。制御手段580は、ステープル無の検出情報に基づき駆動手段560を制御し、綴じ部510が駆動手段560の回転移動機構により回転してセット位置に移動して綴じ、綴じが終了すると元の位置に退避する。
【0036】
一方、既綴じのシート束100がセットされると、ステープル有無検出手段570は、ステープル有の検出を行い、この検出情報を制御手段580に送る。制御手段580は、ステープル有の検出情報に基づき駆動手段560を制御し、除去部520が駆動手段560の回転移動機構により回転してセット位置に移動してステープルAをシート束100から除去し、除去が終了すると元の位置に退避する。
【0037】
また、この実施の形態でも、
図5の実施の形態と同様に、綴じ操作部530と、除去操作部540と、報知手段590を備え、報知手段590のステープル有無を知らせにより、綴じ操作部530または除去操作部540を操作するようにしてもよい。
【0038】
(綴じ部の実施の形態)
綴じ部の実施の形態1を、
図7に示す。この実施の綴じ部510は、基本的にはベース600、ステープルマガジン601及びキャップ602を一端部で回転軸603で軸止したものである。
【0039】
ステープルマガジン601は、多数綴られたステープルAを装填するのでチャンネル状の金具からなり、先端底部にステープルAを打ち出すための出口604を備えている。ステープルマガジン601を押えてキャップ602を開いたときにステープルマガジン601内にステープルAを装填できる状態とする。
【0040】
キャップ602の先端内側には、図示しないドライバを設けてあり、ドライバは、ステープルマガジン601の出口604と対向させてあり、ステープルAを順次打ち出すものである。
【0041】
綴じ部の実施の形態2を、図
8乃至図
17に示す。図
8は綴じ部の外観を示す斜視図、
図9は綴じ部の断面図、
図10乃至
図14はシート束を閉じる動作を示す図、
図15は綴じる前の状態のシート束を示す斜視図、
図16は綴じた状態のシート束を示す斜視図、
図17は綴じたシート束を示す図である。
【0042】
この実施の綴じ部510は、紙粉カス収納部440を備える。綴じ部510は、綴じ針を使用することなくシート束を綴じるものであれば、この実施の形態に限定されず、周知のものが用いられる。
【0043】
図8(a)の実際の形態では、綴じ部510がシート束100を綴じる位置T1は、シート束100の後端隅部で、かつ後端と平行になっている。
図8(b)の実際の形態では、綴じ部510がシート束100を綴じる位置T1は、シート束100の後端隅部で、かつ後端と45度の角度になっている。綴じ部510がシート束100を綴じる位置T1は、
図8(a)の実際の形態及び
図8(b)の実際の形態に限定されず、綴じ部510の構造により種々の位置にすることができる。
【0044】
この実施の形態の綴じ部510は、上型411が下型412に対して支持軸413によって回動自在に支持される。押え板414は、上型411と下型412との間に配置され、支持軸413によって回動自在に支持される。上型411と押え板414との間には、圧縮コイルばね415が配置され、押え板414と上型411との間には板ばね416が配置される。
【0045】
綴じ部510には、上型411を回動させる駆動装置430が備えられる。この駆動装置430は、例えば電磁ソレノイドで構成され、電源オンによりプランジャー431が上型411を押して圧縮コイルばね415に抗して回動させ、電源オフにより上型411が圧縮コイルばね415により元の位置に復帰する。
【0046】
上型411には、切刃417、ナイフ418、カム419が取り付けられる。切刃417とナイフ418との中間にカム419が配置される。カム419は上型411に固定された切刃417に回動自在に支持される。板ばね420はカム419の背面と係合する。切刃417の刃面はU字型に、またナイフ418の断面は1字型にそれぞれ形成され、これらは組み合わされ、
図15に示すようなU字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92を形成する。ナイフ418の中央部にはほぼ長方形の窓418aが明けられている。切刃417及びナイフ418に対向して、押え板414に略長方形の孔414a,414b及び下型412に略長方形の孔412aがそれぞれ明けられている。
【0047】
次に、
図10乃至
図17を参照して、綴じ部510の動作について説明する。まず、シート束100を下型412と押え板414との間に置く(
図10)。次に、駆動装置430の電源オンし、プランジャー431により上型411を所定位置まで押し下げると、切刃417及びナイフ418は、押え板414の孔414a,414bをそれぞれ貫通し、そしてシート束100を突き抜けて、下型412に設けられた孔412aに入り込む。このとき、切刃417によってシート束100にU字状の切り込みべろ部91が形成されとともに、切刃418によってシート束100にI字状の切り込み孔92が形成され、この切られたU字状の切り込みべろ部91にカム419の爪419aが係合してU字状の切り込みべろ部91を押し上げる(
図11)。
【0048】
そして、さらに上型411を押し下げると、押え板414の孔414a,414bの間にある中間部分414cを支点としてカム419は、反時計方向に回転する。このとき、カム419の爪419aはU字状の切り込みべろ部91を押し曲げて、その先端をナイフ418の窓418aに入れる(
図12)。
【0049】
駆動装置430の電源オフにより、上型411は圧縮ばね415の作用によって元の位置へ復帰する。これにより、カム419は板ばね420の作用によって時計方向に回転されて元の位置に戻される(
図13)。このとき、切刃417及びナイフ418もともに上昇しつつあり、切刃417はそのままシート束100から抜け出るが、ナイフ418はシート束100のU字状の切り込みべろ部91の先端を窓418aに引っ掛けてナイフ418が明けたI字状の切り込み孔92にU字状の切り込みべろ部91の先端を差し込んでからシート束100より抜け出る(
図14)。
【0050】
これによって、シート束100の綴じ動作は完了し、
図16及び
図17に示すように、I字状の切り込み孔92にU字状の切り込みべろ部91の先端を差し込んでおり、先端が露出する側がシート束100の表側、すなわち、画像形成されている側である。
【0051】
紙粉カス収納部440は、綴じ部510の下方位置に配置され、綴じ部510において切込みによってU字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92を形成する際に生じる紙粉カスを収納する。この紙粉カス収納部440は、紙粉カスを導くダウストシュート441と、紙粉カスを貯める収納箱442と、紙粉カスを収納箱442に集める集塵手段を構成するファン443とを有する。この実施の形態では、集塵手段はファン443で構成しているが、減圧装置を用いてもよい。
【0052】
ダウストシュート441は、綴じ部510から収納箱442に連通しており、このダウストシュート441にファン443が配置され、ダウストシュート441の上方位置には排気口441aが形成されている。排気口441aには、紙粉カスの漏れを防止するフィルタ441bが配置される。ファン443を駆動し、紙粉カスをダウストシュート441を介して導き、確実に紙粉カスを収納箱442に溜めることができる。収納箱442は、着脱可能であり、所定時期に取り外して交換したり、紙粉カスを排出する。
【0053】
(除去部の実施の形態)
除去部の実施の形態1を、
図18乃至
図21に示す。
図18は除去部の概略断面図、
図19及び
図20は除去部の要部の斜視図、
図21は除去部の作動を説明する図である。
【0054】
この実施の形態の除去部520は、載置台10を有する装置本体Bに、シート束100を綴じるステープルAをシート束から除去するステープル除去手段11と、ステープル除去手段11を駆動する駆動手段13と、除去したステープルを収容する収容部12を備える。
【0055】
ステープル除去手段11は、シート束100に対して鉛直方向下方位置に配置され、シート束100を除去セット位置に加圧するプレス板110と、プレス板110を作動する駆動板120と、ステープルAをシート束100から除去する爪131を有する除去ベース130と、駆動手段13により回転する駆動ホイル140を有する。
【0056】
装置本体の載置台10には、開口部10aが形成されており、シート束100はステープルAが開口部10aに対応して位置するようにセットされる。プレス板110は、装置本体Bに上下動可能に設けられ、下方に移動してシート束100を除去セット位置に加圧し、上方に移動してシート束100の加圧を解除する。
【0057】
プレス板110は、スプリング122によりシート束100に対して加圧する方向に付勢されている。駆動板120は、支持軸121に回動可能に設けられ、作用アーム120aと、カム開口120bを有し、駆動ホイル140により駆動板120が回動すると、作用アーム120aがプレス板110を上下動する構成である。
【0058】
除去ベース130は、支持軸132に回動可能に設けられ、除去したステープルを収容部12に導くガイド部130aと、作用アーム130bを有し、スプリング133により常に初期位置に復帰するように付勢されている。除去ベース130には、爪131が設けられている。除去ベース130の回転により爪131が鉛直方向下方位置からシート束100からステープルAを引き抜いて除去し、引き抜かれたステープルAは落下し、ガイド部130aによって導かれて収容部12に回収される。
【0059】
駆動ホイル140は、駆動軸141に固定されている。駆動軸141に設けたギヤ141aと、駆動手段13を構成するモータ13aの出力ギヤ141bにベルト142が設けられている。モータ13aの駆動によりベルト142を介して駆動軸141が回転され、駆動ホイル140が連動して回転する。この実施の形態の駆動手段13は、モータ13aの電動駆動源を含む構成である。モータ13aは、図示しない操作ボタンによって電源に接続されて駆動する。
【0060】
駆動ホイル140は、駆動板120のカム開口120bに係合する第1の突起140aと、除去ベース130の作用アーム130bに係合する第2の突起140bを有する。駆動ホイル140が初期位置に位置するとき、第1の突起140aが駆動板120のカム開口120bに係合し、駆動板120を初期位置に位置するように規制している。
【0061】
駆動ホイル140の右方向の回転により、第1の突起140aが連動して回転し、第1の突起140aがカム開口120bの規制を開放するため、駆動板120がスプリング122により連動して回転し、プレス板110が下方に移動してシート束100を除去セット位置に加圧する。駆動ホイル140がさらに右方向に回転すると、第2の突起140bが除去ベース130の作用アーム130bに係合し、除去ベース130がスプリング133に抗して左方向に回転して爪131が鉛直方向下方位置からシート束100からステープルAを引き抜いて除去する構成である。
【0062】
次に、除去部の作動を、
図21に基づき説明する。シート束100のステープルAが開口部10aに対応して位置するようにセットされると、制御手段17は、駆動手段13であるモータ13aが駆動し、ベルト142を介して駆動ホイル140を右方向に回転する。駆動ホイル140の右方向に回転により、カム開口120bに係合している第1の突起140aによって回転が規制されている駆動板120がスプリング122により右方向に回転し、作用アーム120aがプレス板110の規制を開放するため、プレス板110が下方に移動してシート束100を除去セット位置に加圧する(
図21(a))。
【0063】
駆動ホイル140をさらに右方向に回転させると、第1の突起140aがカム開口120bから離間し、第2の突起140bが除去ベース130の作用アーム130bに係合し、除去ベース130がスプリング133に抗して連動して左方向に回転する(
図21(b))。
【0064】
駆動ホイル140をさらに右方向に回転させると、除去ベース130が連動してさらに左方向に回転し、爪131が鉛直方向下方位置からシート束100からステープルAを引き抜いて除去し、ステープルAが落下する(
図21(c))。
【0065】
駆動ホイル140をさらに右方向に回転させると、第2の突起140bが除去ベース130の作用アーム130bから離間し、除去ベース130がスプリング133により右方向に回転して待機位置に戻る。この除去ベース130が右方向に回転して待機位置に戻るときに、除去ベース130上に落下したステープルAは、ガイド部130aによって導かれて収容部12に回収される(
図21(d))。この除去ベース130が待機位置に戻るときに、駆動ホイル140はさらに右方向に回転し、第1の突起140aが駆動板120のカム開口120bに係合し、第1の突起140aによって回転が規制され、プレス板110を上方に移動させてシート束100の加圧を解除し、待機位置に戻す。
【0066】
除去部の実施の形態1を、
図22乃至
図27に基づき説明する。
図22は除去部の斜視図、
図23は除去部の概略断面図、
図24は除去ベースの斜視図、
図25はシート束をセットした状態を示す図、
図26はステープルの位置を確認する状態を示す図、
図27は除去部の作動を説明する図である。
【0067】
この実施の形態の除去部520は、載置台10を有する装置本体Bに、シート束100を綴じるステープルAをシート束から除去するステープル除去手段11と、ステープル除去手段11を駆動する駆動手段13と、除去したステープルを収容する収容部12を備える。
【0068】
ステープル除去手段11は、シート束100に対して鉛直方向下方位置に配置され、シート束100を除去セット位置に加圧するプレス板110と、プレス板110を作動する駆動レバー500と、ステープルAをシート束100から除去する爪131を有する除去ベース130と、駆動レバー500に設けた駆動アーム501を有する。
【0069】
駆動手段13は、駆動レバー500の手動駆動源を含む構成である。載置台10には、支持ブラケット502が設けられ、この支持ブラケット502に支持軸503を支点に駆動レバー500が回動可能に設けられ、駆動レバー500は、手動操作で回転する。駆動レバー500の中央部には、のぞき窓520が設けられ、のぞき窓520からセットされたシート束100のステープルAを確認することが可能になっている。のぞき窓520には、ステープルAの位置を決める印が設けられている。
【0070】
装置本体の載置台10には、開口部10aが形成されており、シート束100はステープルAが開口部10aに対応して位置するようにセットされる。プレス板110は、支持軸503を支点に回動可能に設けられ、駆動レバー500に設けられた押圧用板バネ504を介して付勢されている。駆動レバー500を押すと、押圧用板バネ504を介してプレス板110がシート束100を除去セット位置に加圧する。プレス板110の加圧面側には、弾性シート110aが設けられ、弾性シート110aは、セットされたシート束100が位置ずれすることがないように確実に押圧する。
【0071】
除去ベース130は、支持軸132に回動可能に設けられ、除去したステープルを収容部12に導くガイド部130aと、連結ピン130gを有する。連結ピン130gは、駆動アーム501に設けたカム溝501aに係合しており、駆動レバー500を押すと駆動アーム501が回転し、カム溝501aに係合する連結ピン130gにより除去ベース130が支持軸132を支点に回動する。
【0072】
除去ベース130には、爪131が設けられている。除去ベース130の回転により爪131が鉛直方向下方位置からシート束100からステープルAを引き抜いて除去し、引き抜かれたステープルAは開口部10aから落下し、ガイド部130aによって導かれて収容部12に回収される。
【0073】
収容部12は、載置台10に引出可能に設けられ、載置台10にセットした位置で引き抜かれたステープルAが収容部12に回収される。ステープルAが所定個数収容部12に回収されると、載置台10に引出してステープルAを廃棄する。
【0074】
このように、ステープル除去手段11は、シート束100を除去セット位置に加圧するプレス板110と、ステープルAをシート束100から除去する爪131を有する除去ベース130と、駆動手段13により作動する駆動アーム501を有し、駆動手段13によりプレス板110を作動させるとともに、駆動アーム501を介して除去ベース130を作動させて鉛直方向下方位置からステープルAを除去する。
【0075】
次に、除去部520の作動を、
図27に基づき説明する。シート束100のステープルAが開口部10aに対応して位置するようにセットされると(
図27(a))、ユーザが駆動レバー500を押す。この駆動レバー500を押すことによって、
図27(b)乃至
図27(d)に示すように、シート束100からステープルAが引き抜かれ、引き抜かれたステープルAは落下し、収容部12に回収される。
【0076】
図27(b)は動作途中の状態を示し、駆動レバー500を押すと、押圧用板バネ504を介してプレス板110が、シート束100を除去セット位置に加圧する。この駆動レバー500を押す動作により駆動アーム501が連動して回転し、カム溝501aに係合する連結ピン130gにより除去ベース130が、支持軸132を支点に回動する。この除去ベース130の回転により爪131が、鉛直方向下方位置からシート束100からステープルAを引き抜く位置に移動する。
【0077】
図27(c)は動作終了の状態を示し、駆動レバー500の回転が停止するとともに、駆動アーム501の回転が停止し、除去ベース130の回転により爪131がシート束100からステープルAを引き抜き、引き抜かれたステープルAは落下し、除去ベース130に保持される。
【0078】
図27(d)は初期位置復帰の状態を示し、駆動レバー500が図示しないバネによって初期位置に復帰する。このとき、駆動レバー500の復帰に連動して駆動アーム501が回転し、これにより除去ベース130が復帰方向に回転し、除去ベース130に保持されているステープルAが除去ベース130から落下し、収容部12に回収される。
【0079】
ステープルAが収容部12に回収され、ステープルAが所定個数収容部12に回収されると、載置台10に引出してステープルAを廃棄する(
図27(e))。
【産業上の利用可能性】
【0080】
この発明は、シート束を綴じ、またはステープルをシート束から除去することができるシート束処理装置に適用可能であり、単一の装置で、シート束を綴じ、またはステープルをシート束から除去することができ、取り扱いが容易で、かつ低コストである。
【符号の説明】
【0081】
A ステープル
100 シート束
500 シート束処理装置
510 綴じ部
520 除去部
530 綴じ操作部
540 除去操作部
550a,550b シート束検出手段
560 制御手段
570 ステープル有無検出手段
580 制御手段
590 報知手段