(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
G02B6/36
(21)【出願番号】P 2017176665
(22)【出願日】2017-09-14
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】森田 誠
(72)【発明者】
【氏名】服部 健治
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-060804(JP,U)
【文献】特開2016-164597(JP,A)
【文献】特開2009-186574(JP,A)
【文献】特開2015-055731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0036489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24 - 6/255
G02B 6/36 - 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーが接続されるコネクタであって、
前記光ファイバーの端部が挿入される第1挿入孔が設けられた第1ハウジングと、
前記光ファイバーが貫通した状態で挿入される第2挿入孔が設けられ、前記第1ハウジングに対して係合することで前記第1ハウジングに対して第1位置と第2位置との2つの位置において保持されるように構成された第2ハウジングと、を備え、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングに対して、前記第1位置においては仮保持状態で保持され、前記第2位置においては固定された状態で保持され、
前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置及び前記第2位置のいずれの位置にて保持された状態においても、前記第1挿入孔の端部の開口
であって、当該第1挿入孔における前記光ファイバーが挿入される側の端部の開口と
、前記第2挿入孔の端部の開口
であって当該第2挿入孔に挿入された前記光ファイバーが当該第2挿入孔を貫通して当該第2挿入孔から突出する側の端部の開口とが対向しており、
前記第2挿入孔は、前記光ファイバーが挿入される側の端部に向かって開口断面積が広がるように形成されており、
前記光ファイバーが前記第2挿入孔及び前記第1挿入孔に挿入された状態で前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置から前記第2位置へと相対変位した際に、前記光ファイバーの表面に前記第2ハウジングが係合し、前記光ファイバーが前記第2ハウジングに対して固定されることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを一体に連結する連結部を更に備え、
前記連結部は、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置と前記第2位置との間で相対変位することを許容する可撓性を有していることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記第2ハウジングには、前記第1ハウジングに対して係合する係合凸部が設けられ、
前記第1ハウジングには、前記係合凸部が係合するように凹み形成された第1凹部と第2凹部とが設けられ、
前記係合凸部が前記第1凹部に係合することで、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置において保持され、
前記係合凸部が前記第2凹部に係合することで、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第2位置において保持されることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置から前記第2位置へと相対変位することで、前記第1挿入孔の端部の開口と前記第2挿入孔の端部の開口とが、互いに接近するように変位することを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記第1ハウジングにおける前記第1挿入孔の内周には、前記第1挿入孔に挿入された前記光ファイバーの表面の被覆部の端部と当接する当接部が設けられ、
前記当接部は、前記光ファイバーの表面の被覆部の端部と当接することで、前記光ファイバーの端部の前記第1ハウジングに対する位置を位置決めするように構成されていることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーが接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ファイバーが、受光素子或いは発光素子等の素子として構成され又は他の光ファイバーとして構成された接続対象に対して光学的に接続される際には、光ファイバーが機械的に接続されるコネクタが用いられている。光ファイバーが接続されたコネクタが、光学的な接続対象を保持した相手側のコネクタに対して機械的に接続されることで、光ファイバーと上記の接続対象とが、光学的に接続される。光ファイバーが接続されるコネクタとしては、特許文献1或いは特許文献2に開示されたようなコネクタが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたコネクタは、アタッチメントと外被把持部材とを備えて構成されている。アタッチメントは、対向する第1の壁及び第2の壁とそれらを連結する底部とを有して光ファイバーを支持する把持部を備えて構成されている。外被把持部材は、アタッチメントを収容する収容部が設けられた本体と、アタッチメントを収容した本体を覆う蓋とを備えて構成されている。
【0004】
特許文献1に開示されたコネクタに光ファイバーが接続される際には、光ファイバーは、まず、アタッチメントの把持部に嵌め込まれることで、アタッチメントに対して取り付けられる。次いで、光ファイバーが取り付けられたアタッチメントが、外被保持部材の本体部に対してその収容部において嵌め込まれて収容される。そして、アタッチメントを収容した本体部に対して蓋が閉じられることで、光ファイバーのコネクタへの接続が完了することになる。
【0005】
特許文献2に開示されたコネクタは、ブーツとハウジングとを備えて構成されている。ブーツは、光ファイバーの端部が挿入された状態で、光ファイバーに対して取り付けられる。ハウジングは、開閉自在に構成された上面部と底面部とを有し、ブーツが取り付けられた光ファイバーを保持するように構成されている。
【0006】
特許文献2に開示されたコネクタに光ファイバーが接続される際には、まず、光ファイバーに対して、ブーツが取り付けられる。次いで、ブーツが取り付けられた光ファイバーが、上面部と底面部とが開いた状態のハウジングの内側に配置される。この状態で、上面部と底面部とが閉じられることで、ブーツを介して光ファイバーがハウジングに固定される。これにより、光ファイバーのコネクタへの接続が完了することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-206340号公報
【文献】米国特許第8100588号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されたコネクタにおいては、光ファイバーをコネクタに接続する場合、まず、アタッチメントに光ファイバーを取り付ける作業が必要となる。次いで、光ファイバーが取り付けられたアタッチメントを外被保持部材の本体部に嵌め込んで収容した後、外被保持部材の蓋を閉じる作業が必要となる。このため、光ファイバーとコネクタとを接続する際の作業工数が多く、接続作業に多くの手間を要することになる。
【0009】
また、特許文献2に開示されたコネクタにおいては、光ファイバーをコネクタに接続する場合、まず、光ファイバーにブーツを取り付ける作業が必要となる。次いで、ブーツが取り付けられた光ファイバーをハウジングの内側に配置した後、ハウジングの上面部と底面部とを閉じて、ブーツを介して光ファイバーをハウジングに固定する作業が必要となる。このため、光ファイバーとコネクタとを接続する際の作業工数が多く、作業に手間を要することになる。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、光ファイバーとコネクタとを接続する作業を容易にし、光ファイバーとコネクタとの接続作業の作業性を向上させることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係るコネクタは、光ファイバーが接続されるコネクタであって、前記光ファイバーの端部が挿入される第1挿入孔が設けられた第1ハウジングと、前記光ファイバーが貫通した状態で挿入される第2挿入孔が設けられ、前記第1ハウジングに対して係合することで前記第1ハウジングに対して第1位置と第2位置との2つの位置において保持されるように構成された第2ハウジングと、を備えている。そして、本発明のある局面に係るコネクタは、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングに対して、前記第1位置においては仮保持状態で保持され、前記第2位置においては固定された状態で保持され、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置及び前記第2位置のいずれの位置にて保持された状態においても、前記第1挿入孔の端部の開口と前記第2挿入孔の端部の開口とが対向しており、前記光ファイバーが前記第2挿入孔及び前記第1挿入孔に挿入された状態で前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置から前記第2位置へと相対変位した際に、前記光ファイバーの表面に前記第2ハウジングが係合し、前記光ファイバーが前記第2ハウジングに対して固定される。
【0012】
この構成によると、第2ハウジングは第1ハウジングに対して第1位置にて仮保持状態で保持される。そして、この仮保持状態においては、第2ハウジングの第2挿入孔の端部の開口と第1ハウジングの第1挿入孔の端部の開口とが対向している。このため、光ファイバーをコネクタに接続する際には、まず、第2ハウジングが第1ハウジングに仮保持された状態において、光ファイバーの端部を第2挿入孔及び第1挿入孔に容易に挿入することができる。そして、接続作業を行う作業者は、光ファイバーを第2挿入孔及び第1挿入孔に挿入した状態で、第2ハウジングを第1ハウジングに対して第1位置から第2位置へと相対変位させて第2ハウジングの第1ハウジングへの係合位置を変更させる簡単な操作を行う。この簡単な操作が行われると、第2ハウジングが第1ハウジングに対して第2位置にて固定された状態で保持され、更に、光ファイバーの表面に第2ハウジングが係合し、光ファイバーが第2ハウジングに対して固定される。これにより、光ファイバーをコネクタに接続する作業が完了することになる。
【0013】
よって、上記の構成によると、光ファイバーとコネクタとを接続する際には、第1ハウジングに第2ハウジングが仮保持された状態のコネクタに対して光ファイバーの端部を挿入し、第2ハウジングを第1ハウジングに対して第1位置から第2位置へと相対変位させる簡単な操作を行うだけでよい。このため、上記の構成によると、光ファイバーとコネクタとを接続する作業を容易にすることができる。そして、光ファイバーとコネクタとの接続作業の作業性を向上させることができる。
【0014】
以上のように、上記の構成によると、光ファイバーとコネクタとを接続する作業を容易にし、光ファイバーとコネクタとの接続作業の作業性を向上させることができるコネクタを提供することができる。
【0015】
(2)前記コネクタが、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを一体に連結する連結部を更に備え、前記連結部は、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置と前記第2位置との間で相対変位することを許容する可撓性を有していてもよい。
【0016】
この構成によると、第1ハウジングと第2ハウジングとが、第2ハウジングが第1ハウジングに対して第1位置と第2位置との間で相対変位することを許容する可撓性を有する連結部を介して一体に構成される。このため、1つの部品でコネクタを構成することができる。よって、特許文献1及び特許文献2に開示されたコネクタのように複数の部品を備える必要が無く、部品点数の削減を図ることができる。従って、上記の構成によると、光ファイバーとコネクタとを接続する作業を容易にし、光ファイバーとコネクタとの接続作業の作業性を向上させることができ、更に、部品点数の削減を図ることができるコネクタを提供することができる。
【0017】
(3)前記第2ハウジングには、前記第1ハウジングに対して係合する係合凸部が設けられ、前記第1ハウジングには、前記係合凸部が係合するように凹み形成された第1凹部と第2凹部とが設けられ、前記係合凸部が前記第1凹部に係合することで、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置において保持され、前記係合凸部が前記第2凹部に係合することで、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第2位置において保持されてもよい。
【0018】
この構成によると、第2ハウジングが第1ハウジングに対して第1位置及び第2位置の2つの位置において保持される構造を、第1ハウジングに係合凸部を設けるとともに第2ハウジングに第1凹部及び第2凹部を設けた簡素な構造によって構成することができる。
【0019】
(4)前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置から前記第2位置へと相対変位することで、前記第1挿入孔の端部の開口と前記第2挿入孔の端部の開口とが、互いに接近するように変位してもよい。
【0020】
光ファイバーをコネクタに接続する際には、接続作業を行う作業者は、光ファイバーを第2挿入孔及び第1挿入孔に挿入した状態で、第2ハウジングを第1ハウジングに対して第1位置から第2位置へと相対変位させる操作を行う。そして、上記の構成によると、第2ハウジングが第1ハウジングに対して第1位置から第2位置へと相対変位した際に、第1挿入孔の端部の開口と第2挿入孔の端部の開口とが、互いに接近する。このため、第2ハウジングが第1ハウジングに対して第1位置から第2位置へと相対変位する際に、第2挿入孔及び第1挿入孔に挿入された光ファイバーに対しては、第1挿入孔の奥側に向かう力が作用し、第1挿入孔から抜け出る方向の力が作用することが防止される。よって、第2ハウジングを第1ハウジングに対して仮保持された状態から固定された状態へと移行させて光ファイバーとコネクタとの接続を完了させる際に、光ファイバーがコネクタから抜け落ちてしまうことが自動的に防止される。従って、光ファイバーとコネクタとを接続する作業を更に容易にし、光ファイバーとコネクタとの接続作業の作業性を更に向上させることができる。
【0021】
(5)前記第1ハウジングにおける前記第1挿入孔の内周には、前記光ファイバーの表面の被覆部の端部と当接する当接部が設けられ、前記当接部は、前記光ファイバーの表面の被覆部の端部と当接することで、前記光ファイバーの端部の前記第1ハウジングに対する位置を位置決めするように構成されていてもよい。
【0022】
この構成によると、第2ハウジングの第2挿入孔を貫通して第1ハウジングの第1挿入孔に挿入された光ファイバーは、その表面の被覆部の端部が、第1挿入孔の内周の当接部に当接する。これにより、光ファイバーの端部の第1ハウジングに対する位置が位置決めされる。よって、上記の構成によると、コネクタの第2挿入孔及び第1挿入孔に光ファイバーを挿入する際に、光ファイバーの端部のコネクタに対する位置決めを容易に行うことができる。
【0023】
尚、光ファイバーの先端部の端面が第1ハウジングの端部の端面と略同じ位置に配置される場合は、光ファイバーの先端部においては、その先端部における被覆部が、光ファイバーの長手方向における所定長さ分だけ除去される。このとき、光ファイバーの先端部の被覆部は、第1ハウジングにおける端部の端面と当接部との間の距離寸法に対応した長さ分だけ除去される。光ファイバーの先端部の被覆部が所定長さ分除去されると、光ファイバーの先端部においては、中心部分のコアとその外周のクラッドとを有して構成された光ファイバーの本体部が、光ファイバーの長手方向において所定長さ分だけ露出した状態となる。更に、この状態では、先端部で露出した光ファイバーの本体部に対して、被覆部の端部が、段状に拡径した部分として隣接して配置されることとなる。そして、このように、先端部において被覆部が所定長さ分だけ除去された光ファイバーが第1挿入孔に挿入されると、光ファイバーの本体部から段状に拡径した部分として設けられた被覆部の端部が、第1挿入孔の内周の当接部に当接することになる。これにより、光ファイバーの端部(先端部)の第1ハウジングに対する位置が位置決めされる。そして、光ファイバーの先端部の端面が第1ハウジングの端部の端面と略同じ位置に配置された状態で、光ファイバーの先端部の位置決めが行われることになる。
【0024】
(6)前記第2挿入孔は、前記光ファイバーが挿入される側の端部に向かって開口断面積が広がるように形成されていてもよい。
【0025】
この構成によると、第2挿入孔が、光ファイバーが挿入される側の端部に向かって開口断面積が広がるように形成されている。このため、接続作業を行う作業者は、第1ハウジングに第1位置にて保持された第2ハウジングの第2挿入孔に光ファイバーを挿入し、更に、第1ハウジングの第1挿入孔に光ファイバーを挿入する作業を容易に行うことができる。また、第2ハウジングが第1ハウジングに対して第1位置から第2位置へと相対変位する際において、第2挿入孔の内周面が光ファイバーに対して過度に押し付けられて光ファイバーに過度な曲げ変形が加わってしまうことも防止することができる。
【0026】
(7)前記第2ハウジングにおける前記第2挿入孔の内周には、爪部が設けられており、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに対して前記第1位置から前記第2位置へと相対変位した際に、前記爪部が前記光ファイバーの被覆部の表面に食い込んで係合することで、前記光ファイバーが、前記第2ハウジングに対して固定されてもよい。
【0027】
この構成によると、第2ハウジングが第1ハウジングに対して第1位置から第2位置へと相対変位した際に、第2ハウジングの第2挿入孔の内周の爪部が光ファイバーの被覆部の表面に食い込んで係合し、光ファイバーが第2ハウジングに固定される。このため、第2ハウジングが第1ハウジングに対して第1位置から第2位置へと相対変位した際に光ファイバーを第2ハウジングに固定する構造を、第2ハウジングの第2挿入孔の内周に爪部を設けた簡素な構造によって構成することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、光ファイバーとコネクタとを接続する作業を容易にし、光ファイバーとコネクタとの接続作業の作業性を向上させることができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタを示す図であって、
図1(A)は、コネクタを光ファイバーの一部とともに示す斜視図であり、
図1(B)は、コネクタを光ファイバーの一部及び相手側コネクタとともに示す斜視図である。
【
図2】コネクタにおいて第1ハウジングに対して第2ハウジングが第1位置及び第2位置のいずれの位置においても保持されていない状態を示す図であって、
図2(A)は、斜視図であり、
図2(B)は、正面図であり、
図2(C)は、平面図である。
【
図3】第1ハウジングに対して第2ハウジングが第1位置において保持された状態のコネクタを示す図であって、
図3(A)は、斜視図であり、
図3(B)は、側面図である。
【
図4】第1ハウジングに対して第2ハウジングが第1位置において保持された状態のコネクタを示す正面図である。
【
図5】コネクタの断面図であって、
図5(A)は、
図4(A)のX1-X1線矢視位置における断面図であり、
図5(B)は、
図4(A)のX2-X2線矢視位置における断面図である。
【
図6】第1ハウジングに対して第2ハウジングが第1位置において保持されるとともに光ファイバーが挿入された状態のコネクタを示す図であって、
図6(A)は、斜視図であり、
図6(B)は、側面図である。
【
図7】第1ハウジングに対して第2ハウジングが第1位置において保持されるとともに光ファイバーが挿入された状態のコネクタを示す図であって、
図7(A)は、正面図であり、
図7(B)は、
図7(A)のX3-X3線矢視位置における断面図である。
【
図8】第1ハウジングに対して第2ハウジングが第2位置において保持されるとともに光ファイバーが接続された状態のコネクタを示す図であって、
図8(A)は、正面図であり、
図8(B)は、側面図である。
【
図9】第1ハウジングに対して第2ハウジングが第2位置において保持されるとともに光ファイバーが接続された状態のコネクタを示す図であって、
図9(A)は、
図8(A)のX4-X4線矢視位置における断面図であり、
図9(B)は、
図8(A)のX5-X5線矢視位置における断面図である。
【
図10】光ファイバーがそれぞれ接続された複数のコネクタが相手側コネクタに接続された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、光ファイバーが接続されるコネクタに関して、広く適用することができる。
【0031】
[コネクタの概略]
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1を示す図であって、
図1(A)は、コネクタ1を光ファイバー100の一部とともに示す斜視図であり、
図1(B)は、コネクタ1を光ファイバー100の一部及び相手側コネクタ101とともに示す斜視図である。
図1(A)及び
図1(B)では、コネクタ1に光ファイバー100が接続された状態が図示されている。また、
図1(B)では、光ファイバー100が接続されたコネクタ1が相手側コネクタ101に対して接続された状態が図示されている。
【0032】
図1に示すコネクタ1は、例えば、光ファイバー100が、受光素子或いは発光素子等の素子として構成された接続対象(図示省略)に対して光学的に接続される際に用いられる。コネクタ1には、光ファイバー100が機械的に接続される。そして、光ファイバー100が接続された状態のコネクタ1が、上記の光学的な接続対象を保持した相手側コネクタ101に対して嵌合して接続される。これにより、光ファイバー100と相手側コネクタ1に保持された上記の接続対象とが、光学的に接続される。
【0033】
尚、相手側コネクタ101は、受光素子或いは発光素子等の素子を保持する筐体状の要素として設けられ、基板(図示省略)に対して実装される。また、相手側コネクタ101には、コネクタ1が接続される際にコネクタ1の端部が嵌め込まれて嵌合する嵌合穴101aが設けられている。
【0034】
また、コネクタ1に接続される光ファイバー100は、本体部100aと被覆部100bとを有して構成されている。光ファイバー100の本体部100aは、中心部分のコアとその外周のクラッドとを有して構成されている。コア及びクラッドは、いずれも石英ガラス又はプラスチックで構成されており、クラッドよりもコアの屈折率が高く設定されている。光ファイバー100の被覆部100bは、例えば、樹脂で構成され、光ファイバー100の本体部100aの外周を覆う部分として構成されている。
【0035】
コネクタ1は、絶縁性を有する樹脂材料で形成され、光ファイバー100が挿入されて接続されるとともに、相手側コネクタ101に対して機械的に接続されるように構成されている。そして、コネクタ1は、第1ハウジング11と第2ハウジング12とを備えて構成されている。第2ハウジング12は、第1ハウジング11に対して、後述する第1位置24及び第2位置25の2つの位置において保持されることが可能なように構成されている。尚、
図1では、第2ハウジング12が、第1ハウジング11に対して、第2位置25において保持された状態が、図示されている。
【0036】
図2は、コネクタ1において第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第1位置24及び第2位置25のいずれの位置においても保持されていない状態を示す図であって、
図2(A)は、斜視図であり、
図2(B)は、正面図であり、
図2(C)は、平面図(上面図)である。尚、
図2(A)は、コネクタ1において第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第1位置24及び第2位置25のいずれの位置においても保持されていない状態の平面、右側面、及び背面を表す斜視図である。
【0037】
図1及び
図2に示すように、コネクタ1は、第1ハウジング11及び第2ハウジング12に加え、更に、連結部13を備えて構成されている。第1ハウジング11、第2ハウジング12、及び連結部13は、樹脂材料で一体に形成されている。第1ハウジング11、第2ハウジング12、及び連結部13を構成する樹脂材料としては、種々の樹脂材料を用いることができ、例えば、ナイロン系樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)等が挙げられる。
【0038】
[第1ハウジング]
第1ハウジング11は、光ファイバー100の端部が挿入されるとともに相手側コネクタ101の嵌合穴101aに対して嵌合する要素として設けられている。そして、第1ハウジング11には、第1挿入孔21、一対の保持部(22、22)、ロックアーム23、等が設けられている。
【0039】
第1挿入孔21は、光ファイバー101の端部が挿入される挿入孔として設けられ、第1ハウジング11の内部を貫通する貫通孔として形成されている。光ファイバー101は、第1挿入孔21に対しては、第2ハウジング12を貫通した状態で挿入される。
【0040】
一対の保持部(22、22)は、第2ハウジング12を保持するための部分として設けられている。一対の保持部(22、22)のそれぞれは、第1ハウジング11の幅方向の両側のそれぞれに設けられている。一対の保持部(22、22)のそれぞれには、第2ハウジング12を保持する位置としての第1位置24及び第2位置25が設けられている。第1位置24には、第2ハウジング12における後述の係合凸部28が係合するように凹み形成された第1凹部24aが設けられている。第2位置25には、第2ハウジング12における後述の係合凸部28が係合するように凹み形成された第2凹部25aが設けられている。
【0041】
上記の構成により、第1位置24は、各保持部22において、第2ハウジング12の係合凸部28が係合するように凹み形成された第1凹部24a及びその第1凹部24aを区画する部分として設けられている。そして、第2位置25は、各保持部22において、第2ハウジング12の係合凸部28が係合するように凹み形成された第2凹部25a及びその第2凹部25aを区画する部分として設けられている。
【0042】
また、各保持部22において、第1位置24は、第1ハウジング11の上面側に設けられ、第2位置25は、第1ハウジング11の底面側に設けられている。尚、第1ハウジング11の上面側には、ロックアーム23が設けられている。そして、第1ハウジング11の底面側には、連結部13の一端部が一体に連結されている。また、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して取り付けられて保持される際には、第2ハウジング12における後述の一対の係合アーム(27、27)が、第1ハウジング11に取り付けられる。このとき、第2ハウジング12における一対の係合アーム(27、27)は、第1ハウジング11に対して、第1ハウジング11の上面側から回り込むようにして相対変位しながら、取り付けられる。
【0043】
ロックアーム23は、コネクタ1の第1ハウジング11が相手側コネクタ101の嵌合穴101aに嵌合し、コネクタ1が相手側コネクタ101に接続された際に、相手側コネクタ101に対して係合する要素として設けられている。ロックアーム23が相手側コネクタ101に係合することで、コネクタ1が相手側コネクタ101に対して変位しないようにコネクタ1の相手側コネクタ101に対する位置がロックされ、コネクタ1の相手側コネクタ101からの抜け落ちが防止される。
【0044】
また、ロックアーム23は、第1ハウジング11の上面側において、片持ち状に延びる板バネ状の部分として設けられている。そして、第1ハウジング11の上面側において片持ち状に延びるロックアーム23の先端側の上面には、ロック突起23aが設けられている。一方、相手側コネクタ101には、ロック突起23aと係合する係合穴101bが設けられている。第1ハウジング11が相手側コネクタ101の嵌合穴101aに嵌合する際には、ロック突起23aが嵌合穴101aの縁部分に当接し、ロックアーム23が弾性変形して一旦撓む。そして、嵌合穴101aの更に奥側に第1ハウジング11が嵌り込み、ロック突起23aが係合穴101bに対応する位置まで達すると、ロックアーム23が弾性回復し、ロック突起23aが係合穴101bに嵌まり込んで係合する。これにより、ロックアーム23が相手側コネクタ101に係合し、コネクタ1の相手側コネクタ101に対する位置がロックされる。
【0045】
[第2ハウジング]
第2ハウジング12は、光ファイバー100が貫通した状態で挿入されるとともに、第1ハウジング11に対して保持される要素として設けられている。第2ハウジング12は、第1ハウジング11に対して係合することで第1ハウジング11に対して第1位置24と第2位置25との2つの位置において保持されるように構成されている。そして、第2ハウジング12は、第1ハウジング11に対して、第1位置24においては仮保持状態で保持され、第2位置25においては固定された状態で保持される。また、第2ハウジング12は、挿入された光ファイバー100を第2ハウジング12に対して固定した状態で保持するように構成されている。そして、第2ハウジング12には、第2挿入孔26、一対の係合アーム(27、27)、等が設けられている。
【0046】
第2挿入孔26は、光ファイバー100が貫通した状態で挿入される挿入孔として設けられ、第2ハウジング12の内部を貫通する貫通孔として形成されている。光ファイバー100は、第2挿入孔26に対しては、第1ハウジング11に挿入される前に、挿入される。即ち、光ファイバー100は、まず、第2ハウジング12の第2挿入孔26に挿入され、第2挿入孔26を貫通した状態で、第1ハウジング11の第1挿入孔21に挿入される。
【0047】
一対の係合アーム(27、27)は、第2ハウジング12が第1ハウジング11に保持される際に第1ハウジング11に対して係合するための部分として設けられている。一対の係合アーム(27、27)のそれぞれは、第2ハウジング12の幅方向の両側のそれぞれに設けられている。そして、一対の係合アーム(27、27)のそれぞれは、第2ハウジング12の幅方向の両側のそれぞれにおいて、片持ち状に延びる部分として設けられている。更に、一対の係合アーム(27、27)のそれぞれには、片持ち状に延びる先端側において、係合凸部28が設けられている。
【0048】
係合凸部28は、一対の係合アーム(27、27)のそれぞれの先端側において、第2ハウジング12の幅方向の内側に設けられている。また、係合凸部28は、各係合アーム27において、第2ハウジング12の幅方向の内側に向かって、略L字状の断面形状で凸状に突出するように形成された部分として設けられている。そして、係合凸部28は、係合凸部28における断面がL字状の部分のうちのL字の短辺を構成する部分である挿入凸部28aと、係合凸部28における断面がL字状の部分のうちのL字の長辺を構成する部分である当接凸部28bと、を有している。挿入凸部28aと当接凸部28bとは、第2ハウジング12の幅方向の内側に向かって一体に突出するように設けられ、更に、互いに垂直な方向に向かって延びるように形成されている。
【0049】
係合凸部28は、第1ハウジング11の第1凹部24a及び第2凹部25aに対して、それぞれ係合するように構成されている。係合凸部28が第1凹部24aに係合することで、第2ハウジング12が第1ハウジング11対して第1位置24において保持される。そして、係合凸部28が第2凹部25aに係合することで、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第2位置25において保持される。
【0050】
係合凸部28が第1凹部24a又は第2凹部25aに係合する際には、係合凸部28の挿入凸部28aが、第1凹部24a又は第2凹部25aに対して挿入される。そして、係合凸部28の挿入凸部28aが第1凹部24a又は第2凹部25aに対して挿入された状態で、係合凸部28の当接凸部28bが、第1凹部24a又は第2凹部25aの縁部に対して当接する。即ち、挿入凸部28aが第1凹部24a又は第2凹部25aに対して挿入され、当接凸部28bが第1凹部24a又は第2凹部25aの縁部に対して当接することで、係合凸部28が第1凹部24a又は第2凹部25aに係合することになる。
【0051】
[連結部]
連結部13は、第1ハウジング11と第2ハウジング12とを一体に連結する部分として設けられている。連結部13は、厚み方向の寸法よりも幅方向及び長手方向の寸法が大きく設定され、可撓性を有するベルト状の部分として設けられている。また、連結部13は、その長手方向における一方の端部において、第1ハウジング11に対して第1ハウジング11の底面側において一体に設けられている。更に、連結部13は、その長手方向における他方の端部において、第2ハウジング12に対して第2ハウジング12の底面側において一体に設けられている。
【0052】
また、第1ハウジング11と第2ハウジング12とを連結する連結部13は、可撓性を有するベルト状の部分として設けられているため、第1ハウジング11及び第2ハウジング12の一方に対する他方の相対変位を許容するように構成されている。そして、連結部13は、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24と第2位置25との間で相対変位することを許容する可撓性を有している。
【0053】
[コネクタの作動]
次に、コネクタ1の作動について説明するとともにコネクタ1の更に詳細な構成について説明する。
図3は、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第1位置24において保持された状態のコネクタ1を示す図であって、
図3(A)は、斜視図であり、
図3(B)は、側面図である。
図4は、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第1位置24において保持された状態のコネクタ1を示す正面図である。
図5は、コネクタ1の断面図であって、
図5(A)は、
図4(A)のX1-X1線矢視位置における断面図であり、
図5(B)は、
図4(A)のX2-X2線矢視位置における断面図である。
【0054】
光ファイバー101がコネクタ1に接続される前の状態においては、コネクタ1は、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第1位置24及び第2位置25のいずれの位置においても保持されていない状態となっている。即ち、コネクタ1は、
図2に示す状態となっている。或いは、光ファイバー101がコネクタ1に接続される前の状態においては、コネクタ1は、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第1位置24において仮保持状態で保持された状態となっている。即ち、コネクタ1は、
図3乃至
図5に示す状態となっている。
【0055】
そして、光ファイバー101がコネクタ1に接続される際には、コネクタ1が、
図3乃至
図5に示す状態で、光ファイバー100とコネクタ1との接続動作が行われる。即ち、コネクタ1が、第1ハウジング11に第2ハウジング12が第1位置24にて仮保持状態で保持された状態で、光ファイバー100とコネクタ1との接続動作が行われる。そして、コネクタ1が、第1ハウジング11に第2ハウジング12が保持されていない
図2に示す状態にある場合は、まず、第1ハウジング11に第2ハウジング12を第1位置24にて仮保持状態で保持させる動作が行われる。次いで、光ファイバー100とコネクタ1との接続動作が行われる。
【0056】
コネクタ1の状態を、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して保持されていない状態から第1位置24にて保持された状態へと移行させる際には、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12を相対変位させて係合させる動作が行われる。この動作は、例えば、光ファイバー100とコネクタ1との接続作業を行う作業者が、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12を相対変位させて係合させることで行われる。
【0057】
そして、上記の動作においては、第2ハウジング12の一対の係合アーム(27、27)が、第1ハウジング11に対して、第1ハウジング11の上面側から回り込むようにして相対変位しながら、取り付けられる。即ち、一対の係合アーム(27、27)が、第1ハウジング11におけるロックアーム23が設けられている上面側から回り込むようにして相対変位して、第1ハウジング11に対して取り付けられる。尚、一対の係合アーム(27、27)の第1ハウジング11への取り付けの際には、
図2に示す状態では平坦に延びていた連結部13は、
図3(B)及び
図5に示すように、略円弧状に屈曲して撓むことになる。可撓性を有する連結部13が屈曲して撓むことにより、第2ハウジング12の第1ハウジング11に対する相対変位が許容される。
【0058】
また、一対の係合アーム(27、27)の第1ハウジング11への取り付けの際には、一対の係合アーム(27、27)のそれぞれの係合凸部28が、第1ハウジング11の第1位置24の第1凹部24aに対して、それぞれ係合するように、一対の係合アーム(27、27)が第1ハウジング11に取り付けられる。即ち、一方の係合アーム27の係合凸部28が、第1ハウジング11の幅方向における一方の第1位置24の第1凹部24aに係合し、他方の係合アーム27の係合凸部28が、第1ハウジング11の幅方向における他方の第1位置24の第1凹部24aに係合するように、一対の係合アーム(27、27)が第1ハウジング11に取り付けられる。
【0059】
各係合アーム27の係合凸部28が、各第1凹部24aに係合することで、第2ハウジング12が第1ハウジング11に第1位置24にて仮保持状態で保持された状態となる。尚、係合凸部28が第1凹部24aに係合する際には、係合凸部28の挿入凸部28aが、第1凹部24aに対して挿入され、係合凸部28の当接凸部28bが、第1凹部24aの縁部に対して当接した状態となる(
図5(B)を参照)。
【0060】
また、第1凹部24aは、挿入凸部28aが挿入される入口側に向かって大きく開放され、挿入凸部28aが挿入される奥側に向かって狭まる溝状に形成されている。このため、挿入凸部28aは、第1凹部24aに対して遊嵌状態で嵌まり込むように係合する。これにより、第2ハウジング12は、第1ハウジング11に対して、挿入凸部28aの先端部分及び第1凹部24aの最も奥側の部分の位置の近傍の領域を中心として所定の範囲で回動可能な状態で、保持されている。このため、係合凸部28が第1凹部24aに係合することで、第2ハウジング12は、第1ハウジング11に対して、第1位置24において、固定されておらず遊嵌状態で係合して保持された仮保持状態で、保持される。
【0061】
また、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24にて保持された状態においては、第1挿入孔21の端部の開口21aと第2挿入孔26の端部の開口26aとが対向している(
図5(A)を参照)。尚、第1挿入孔21の端部の開口21aは、第1挿入孔21における光ファイバー100が挿入される側の端部の開口21aとして構成されている。そして、第2挿入孔26の端部の開口26aは、第2挿入孔26に挿入された光ファイバー100が第2挿入孔26を貫通して第2挿入孔26から突出する側の端部の開口26aとして構成されている。また、第1ハウジング11に第2ハウジング12が第1位置24にて仮保持状態で保持された状態では、第1ハウジング11の第1貫通孔21の孔中心線方向と、第2ハウジング12の第2貫通孔26の孔中心線方向とは、斜めに交差した状態となっている。
【0062】
上記のように、第1ハウジング11に第2ハウジング12が第1位置24にて仮保持状態で保持された状態で、光ファイバー100とコネクタ1との接続動作が行われる。この接続動作においては、まず、コネクタ1に対して光ファイバー100が挿入される。
図6は、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第1位置24において保持されるとともに光ファイバー100が挿入された状態のコネクタ1を示す図であって、
図6(A)は、斜視図であり、
図6(B)は、側面図である。
図7は、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第1位置24において保持されるとともに光ファイバー100が挿入された状態のコネクタ1を示す図であって、
図7(A)は、正面図であり、
図7(B)は、
図7(A)のX3-X3線矢視位置における断面図である。
【0063】
コネクタ1に対して光ファイバー100が挿入される際には、第1ハウジング11に第1位置24にて仮保持状態で保持された第2ハウジング12の第2挿入孔26に対して、光ファイバー100の先端部である端部100c(以下、先端部100cとも称する)が挿入される。このとき、光ファイバー100の端部100cは、第2挿入孔26に対して、第2挿入孔26における第1挿入孔21に対向している側の端部と反対側の端部の開口26bから挿入される。尚、第2挿入孔26は、光ファイバー100が挿入される側の端部に向かって、その開口26bの開口断面積が広がるように形成されている。
【0064】
第2ハウジング12の第2挿入孔26に開口26bから挿入された光ファイバー100は、第2挿入孔26を貫通した状態で第2挿入孔26に挿入される。そして、第2挿入孔26を貫通した光ファイバー100は、第2挿入孔26の開口26aにて対向する第1挿入孔21の開口21aから第1挿入孔21に挿入される。第2挿入孔26を貫通して第1挿入孔21に挿入された光ファイバー100は、その先端部100cの端面100dが第1ハウジング11の前方側の端部29の端面29aと略同じ位置に配置されるまで、第1挿入孔21に挿入される(
図7を参照)。尚、第1ハウジング11の前方側の端部29は、第1挿入孔21に挿入された光ファイバー100の端部100cが外部に対して露出する側の端部である。また、第1ハウジング11の前方側の端部29は、コネクタ1が相手側コネクタ101に嵌合して接続される際に嵌合穴101aに挿入される側の端部である。
【0065】
尚、光ファイバー100の先端部100cにおいては、その先端部100cにおける被覆部100bが、光ファイバー100の長手方向における所定長さ分だけ除去されている。このため、光ファイバー100の先端部100cにおいては、光ファイバー100の本体部100aが、光ファイバー100の長手方向において所定長さ分だけ露出した状態となる。そして、先端部100cで露出した光ファイバー100の本体部100aに対して、被覆部100bの端部100eが、段状に拡径した部分として隣接して配置されている。
【0066】
また、第1ハウジング11における第1挿入孔21の内周には、第1挿入孔21に挿入された光ファイバー100の表面の被覆部100bの端部100eと当接する当接部30が設けられている(
図7(B)を参照)。当接部30は、光ファイバー100の表面の被覆部100bの端部100eと当接することで、光ファイバー100の端部100cの第1ハウジング11に対する位置を位置決めするように構成されている。尚、本実施形態では、当接部30は、第1挿入孔21の内周において、第1挿入孔21の長手方向における第1ハウジング11の前方側の端部29側に向かって段状に縮径するように形成された部分として、設けられている。また、本実施形態では、当接部30は、第1挿入孔21の内周において、第1挿入孔21の内周の周方向における一部において段状に縮径するように形成された部分として、設けられている。
【0067】
尚、本実施形態においては、光ファイバー100の先端部100cの被覆部100bは、第1ハウジング11における前方側の端部29の端面29aと当接部30との間の距離寸法に対応した長さ分だけ除去されている。先端部100cにおいて被覆部100bが所定長さ分だけ除去された光ファイバー100が第1挿入孔21に挿入されると、光ファイバー100の本体部100aから段状に拡径した部分として設けられた被覆部100bの端部100eが、第1挿入孔21の内周の当接部30に当接することになる。これにより、光ファイバー100の端部100cの第1ハウジング11に対する位置が位置決めされる。そして、光ファイバー100の先端部100cの端面100dが第1ハウジング11の前方側の端部29の端面29aと略同じ位置に配置された状態で、光ファイバー100の先端部100cの位置決めが行われることになる。
【0068】
また、第1ハウジング11における第1挿入孔21の内周における開口21aの近傍には、光ファイバー100の被覆部100bに対して係止する係止爪31が設けられている(
図7(B)を参照)。係止爪31は、第1挿入孔21の内周から内側に向かって突起状に突出した部分として設けられている。そして、第1挿入孔21に光ファイバー100が挿入されると、係止爪31が光ファイバー100の被覆部100bに対して食い込むように係止する。これにより、第2ハウジング12が仮保持された第1ハウジング11の第1挿入孔21に挿入された光ファイバー100が、第1挿入孔21から容易に抜け落ちてしまうことが抑制される。
【0069】
上記のように、第1ハウジング11に第2ハウジング12が第1位置にて仮保持状態で保持されたコネクタ1に対して光ファイバー100が挿入されると、次いで、作業者により、第2ハウジング12を第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位させる操作が行われる。即ち、第2ハウジング12が第1ハウジング11に第1位置24にて仮保持され、光ファイバー100が第2挿入孔26及び第1挿入孔21に挿入された状態で、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位するように、コネクタ1の操作が行われる。
【0070】
そして、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位させる操作が行われることで、光ファイバー100の表面に第2ハウジング12が係合し、光ファイバー100が第2ハウジング12に対して固定される。そして、第2ハウジング12は、第1ハウジング11に対して、第2位置25において固定された状態で保持される。このように、光ファイバー100が第2挿入孔26及び第1挿入孔21に挿入された状態で第2ハウジング12を第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位させることで、光ファイバー100とコネクタ1との接続動作が完了することになる。
【0071】
図8は、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第2位置25において保持されるとともに光ファイバー100が接続された状態のコネクタ1を示す図であって、
図8(A)は、正面図であり、
図8(B)は、側面図である。
図9は、第1ハウジング11に対して第2ハウジング12が第2位置25において保持されるとともに光ファイバー100が接続された状態のコネクタ1を示す図であって、
図9(A)は、
図8(A)のX4-X4線矢視位置における断面図であり、
図9(B)は、
図8(A)のX5-X5線矢視位置における断面図である。
【0072】
第2ハウジング12を第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位させる動作の際には、第2ハウジング12の一対の係合アーム(27、27)が、第1ハウジング11に対して、第1ハウジング11の上面側から第1ハウジング11の前方側の端部29側に向かって回り込むようにして相対変位しながら、取り付けられる。尚、一対の係合アーム(27、27)の第1ハウジング11への第2位置25での取り付けの際には、略円弧状に屈曲して撓んでいた連結部13は、
図8及び
図9に示すように、略円弧状に更に屈曲して撓むことになる。可撓性を有する連結部13が更に屈曲して撓むことにより、第2ハウジング12の第1ハウジング11に対する第1位置24から第2位置25への相対変位が許容される。
【0073】
また、一対の係合アーム(27、27)の第1ハウジング11への第2位置25での取り付けの際には、一対の係合アーム(27、27)のそれぞれの係合凸部28が、第1ハウジング11の第2位置25の第2凹部25aに対して、それぞれ係合するように、一対の係合アーム(27、27)が第1ハウジング11に取り付けられる。即ち、一方の係合アーム27の係合凸部28が、第1ハウジング11の幅方向における一方の第2位置25の第2凹部25aに係合し、他方の係合アーム27の係合凸部28が、第1ハウジング11の幅方向における他方の第2位置25の第2凹部25aに係合するように、一対の係合アーム(27、27)が第1ハウジング11に第2位置25で取り付けられる。
【0074】
各係合アーム27の係合凸部28が、各第2凹部25aに係合することで、第2ハウジング12が第1ハウジング11に第2位置25にて固定された状態で保持された状態となる。尚、係合凸部28が第2凹部25aに係合する際には、係合凸部28の挿入凸部28aが、第2凹部25aに対して挿入され、係合凸部28の当接凸部28bが、第2凹部25aの縁部に対して当接した状態となる(
図9(B)を参照)。
【0075】
また、第2凹部25aは、第1ハウジング11の前後方向と平行な方向に沿って開口した溝状に形成されている。尚、第1ハウジング11の前後方向は、第1ハウジング11における第1挿入孔21の長手方向と平行な方向であり、第1挿入孔21に光ファイバー100が挿入される方向と平行な方向となる。第1ハウジング11の前後方向と平行な方向に沿って第1ハウジング11の前方側に向かって開口した第2凹部25aに係合凸部28が嵌まり込んで係合した状態となることで、一対の係合アーム(27、27)が、第1ハウジング11の前後方向と平行に延びた状態で、第1ハウジング11に取り付けられる。このため、第2ハウジング12が、第1ハウジング11の前後方向と平行な方向で並んだ状態で、第1ハウジング11に対して固定されることになる。
【0076】
また、第2凹部25aは、第1ハウジング11において、第1凹部24aに対して、第1ハウジング11における底面側であって且つ前方側に配置されている。そして、前述のように、一対の係合アーム(27、27)が、第1ハウジング11に対して、第1ハウジング11の上面側から第1ハウジング11の前方側の端部29側に向かって回り込むようにして相対変位し、係合凸部28が第2凹部25aに嵌まり込んで係合することになる。このため、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対してより奥側に嵌まり込むようにして、係合凸部28が第2凹部25aに嵌まり込んで係合することになる。これにより、第2ハウジング12は、第1ハウジング11に対して、第2位置25においては固定された状態で保持されている。
【0077】
また、上記の状態では、略円弧状に更に屈曲して撓んだ連結部13の弾性力が、第2ハウジング12に対して、第1ハウジング11の後方側に向かって第2ハウジング12を付勢するように、作用している。このため、係合凸部28が第2凹部25aにより強固に嵌まり込み、第2ハウジング12が、第1ハウジング11に対して、第2位置25においてより強固に固定された状態で保持される。
【0078】
また、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第2位置25にて保持された状態においては、第1挿入孔21の端部の開口21aと第2挿入孔26の端部の開口26aとが対向している(
図9(A)を参照)。よって、コネクタ1は、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24及び第2位置25のいずれの位置にて保持された状態においても、第1挿入孔21の端部の開口21aと第2挿入孔26の端部の開口26aとが対向するように構成されている。
【0079】
また、前述のように、第2凹部25aは、第1ハウジング11において、第1凹部24aに対して、第1ハウジング11における底面側であって且つ前方側に配置されている。そして、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対してより奥側に嵌まり込むようにして、係合凸部28が第2凹部25aに嵌まり込んで係合することになる。このため、コネクタ1においては、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位することで、第1挿入孔21の端部の開口21aと第2挿入孔26の端部の開口26aとが、互いに接近するように変位する。
【0080】
また、前記第2ハウジング12における第2挿入孔26の内周には、複数の爪部(32、33、34)が設けられている(
図9(A)を参照)。複数の爪部(32、33、34)のそれぞれは、第2挿入孔26の内周から内側に向かって突起状に突出した部分として設けられている。そして、コネクタ1においては、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位した際に、爪部(32、33、34)が光ファイバー100の被覆部100bの表面に食い込んで係合することで、光ファイバー100が、第2ハウジング12に対して固定される。尚、爪部32及び爪部33は、第2挿入孔26の内周における開口26a側に設けられている。一方、爪部34は、第2挿入孔26の内周における開口26b側に設けられている。
【0081】
また、第1挿入孔21の開口21aの縁部は、第1ハウジング11の底面側の部分が第1ハウジング11の後方側(即ち、第2ハウジング12に対向する側)に張り出した形状に形成されている。そして、第1挿入孔21の内周の一部であって開口21aの縁部における第1ハウジング11の後方側に張り出した部分に、係止爪31が設けられている。一方、第2挿入孔26の開口26aの縁部は、第1ハウジング11の上面側に対応する第2ハウジング12の上面側の部分が、第2ハウジング12の前方側(即ち、第1ハウジング11に対向する側)に張り出した形状に形成されている。そして、第2挿入孔26の内周の一部であって開口26aの縁部における第2ハウジング12の前方側に張り出した部分に、爪部(32、33)が設けられている。このため、爪部32及び爪部33は、光ファイバー100の被覆部100bの表面に対して、光ファイバー100を挟んで係止爪31と略対応する位置において食い込んで係合するように、設けられている。
【0082】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によると、第2ハウジング12は第1ハウジング11に対して第1位置24にて仮保持状態で保持される。そして、この仮保持状態においては、第2ハウジング12の第2挿入孔26の端部の開口26aと第1ハウジング11の第1挿入孔21の端部の開口21aとが対向している。このため、光ファイバー100をコネクタ1に接続する際には、まず、第2ハウジング12が第1ハウジング11に仮保持された状態において、光ファイバー100の端部100cを第2挿入孔26及び第1挿入孔21に容易に挿入することができる。そして、接続作業を行う作業者は、光ファイバー100を第2挿入孔26及び第1挿入孔21に挿入した状態で、第2ハウジング12を第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位させて第2ハウジング12の第1ハウジング11への係合位置を変更させる簡単な操作を行う。この簡単な操作が行われると、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第2位置25にて固定された状態で保持され、更に、光ファイバー100の表面に第2ハウジング12が係合し、光ファイバー100が第2ハウジング12に対して固定される。これにより、光ファイバー100をコネクタ1に接続する作業が完了することになる。
【0083】
よって、本実施形態によると、光ファイバー100とコネクタ1とを接続する際には、第1ハウジング11に第2ハウジング12が仮保持された状態のコネクタ1に対して光ファイバー100の端部100cを挿入し、第2ハウジング12を第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位させる簡単な操作を行うだけでよい。このため、本実施形態によると、光ファイバー100とコネクタ1とを接続する作業を容易にすることができる。そして、光ファイバー100とコネクタ1との接続作業の作業性を向上させることができる。
【0084】
以上のように、本実施形態によると、光ファイバー100とコネクタ1とを接続する作業を容易にし、光ファイバー100とコネクタ1との接続作業の作業性を向上させることができるコネクタ1を提供することができる。
【0085】
また、本実施形態によると、第1ハウジング11と第2ハウジング12とが、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24と第2位置25との間で相対変位することを許容する可撓性を有する連結部13を介して一体に構成される。このため、1つの部品でコネクタ1を構成することができる。よって、特許文献1及び特許文献2に開示されたコネクタのように複数の部品を備える必要が無く、部品点数の削減を図ることができる。従って、本実施形態によると、光ファイバー100とコネクタ1とを接続する作業を容易にし、光ファイバー100とコネクタ1との接続作業の作業性を向上させることができ、更に、部品点数の削減を図ることができるコネクタ1を提供することができる。
【0086】
また、本実施形態によると、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24及び第2位置25の2つの位置において保持される構造を、第1ハウジング11に係合凸部28を設けるとともに第2ハウジング12に第1凹部24a及び第2凹部25aを設けた簡素な構造によって構成することができる。
【0087】
また、本実施形態によると、光ファイバー100をコネクタ1に接続する際には、接続作業を行う作業者は、光ファイバー100を第2挿入孔26及び第1挿入孔21に挿入した状態で、第2ハウジング12を第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位させる操作を行う。そして、本実施形態によると、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位した際に、第1挿入孔21の端部の開口21aと第2挿入孔26の端部の開口26aとが、互いに接近する。このため、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位する際に、第2挿入孔26及び第1挿入孔21に挿入された光ファイバー100に対しては、第1挿入孔21の奥側に向かう力が作用し、第1挿入孔21から抜け出る方向の力が作用することが防止される。よって、第2ハウジング12を第1ハウジング11に対して仮保持された状態から固定された状態へと移行させて光ファイバー100とコネクタ1との接続を完了させる際に、光ファイバー100がコネクタ1から抜け落ちてしまうことが自動的に防止される。従って、光ファイバー100とコネクタ1とを接続する作業を更に容易にし、光ファイバー100とコネクタ1との接続作業の作業性を更に向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態によると、第2ハウジング12の第2挿入孔26を貫通して第1ハウジング11の第1挿入孔21に挿入された光ファイバー100は、その表面の被覆部100bの端部100eが、第1挿入孔21の内周の当接部30に当接する。これにより、光ファイバー100の端部100cの第1ハウジング11に対する位置が位置決めされる。よって、本実施形態によると、コネクタ1の第2挿入孔26及び第1挿入孔21に光ファイバー100を挿入する際に、光ファイバー100の端部100cのコネクタ1に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0089】
尚、本実施形態のように、光ファイバー100の先端部100cの端面100dが第1ハウジング11の端部29の端面29aと略同じ位置に配置される場合は、光ファイバー100の先端部100cにおいては、その先端部100cにおける被覆部100bが、光ファイバー100の長手方向における所定長さ分だけ除去される。このとき、光ファイバー100の先端部100cの被覆部100bは、第1ハウジング11における端部29の端面29aと当接部30との間の距離寸法に対応した長さ分だけ除去される。光ファイバー100の先端部100cの被覆部100bが所定長さ分除去されると、光ファイバー100の先端部100cにおいては、中心部分のコアとその外周のクラッドとを有して構成された光ファイバー100の本体部100aが、光ファイバー100の長手方向において所定長さ分だけ露出した状態となる。更に、この状態では、先端部100cで露出した光ファイバー100の本体部100aに対して、被覆部100bの端部100eが、段状に拡径した部分として隣接して配置されることとなる。そして、このように、先端部100cにおいて被覆部100bが所定長さ分だけ除去された光ファイバー100が第1挿入孔21に挿入されると、光ファイバー100の本体部100aから段状に拡径した部分として設けられた被覆部100bの端部100eが、第1挿入孔21の内周の当接部30に当接することになる。これにより、光ファイバー100の端部100cの第1ハウジング11に対する位置が位置決めされる。そして、光ファイバー100の先端部100cの端面100dが第1ハウジング11の端部29の端面29aと略同じ位置に配置された状態で、光ファイバー100の先端部100cの位置決めが行われることになる。
【0090】
また、本実施形態によると、第2挿入孔26が、光ファイバー100が挿入される側の端部に向かって開口断面積が広がるように形成されている。このため、接続作業を行う作業者は、第1ハウジング11に第1位置24にて保持された第2ハウジング12の第2挿入孔26に光ファイバー100を挿入し、更に、第1ハウジング11の第1挿入孔21に光ファイバー100を挿入する作業を容易に行うことができる。また、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位する際において、第2挿入孔26の内周面が光ファイバー100に対して過度に押し付けられて光ファイバー100に過度な曲げ変形が加わってしまうことも防止することができる。
【0091】
また、本実施形態によると、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位した際に、第2ハウジング12の第2挿入孔26の内周の爪部(32、33、34)が光ファイバー100の被覆部100bの表面に食い込んで係合し、光ファイバー100が第2ハウジング12に固定される。このため、第2ハウジング12が第1ハウジング11に対して第1位置24から第2位置25へと相対変位した際に光ファイバー100を第2ハウジング12に固定する構造を、第2ハウジング12の第2挿入孔26の内周に爪部(32、33、34)を設けた簡素な構造によって構成することができる。
【0092】
[変形例]
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0093】
(1)前述の実施形態では、第1ハウジングと第2ハウジングとが連結部を介して一体に連結された形態のコネクタを例にとって説明したが、必ずしもこの通りでなくてもよい。第1ハウジングと第2ハウジングとを一体に連結する連結部が設けられておらず、第1ハウジングと第2ハウジングとがそれぞれ別体に形成された形態のコネクタが実施されてもよい。
【0094】
(2)前述の実施形態では、第1ハウジングにおける第1挿入孔の内周において、第1挿入孔に挿入された光ファイバーの表面の被覆部の端部と当接する当接部が設けられた形態のコネクタを例にとって説明したが、必ずしもこの通りでなくてもよい。第1ハウジングにおける第1挿入孔の内周において光ファイバーの表面の被覆部の端部と当接する当接部が設けられていない形態のコネクタが実施されてもよい。
【0095】
(3)前述の実施形態では、1つのコネクタが1つの相手側コネクタに対して接続することで、1本の光ファイバーが、受光素子或いは発光素子等の素子として構成された1つの接続対象に対して光学的に接続される単極タイプの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。複数のコネクタが1つの相手側コネクタに対して接続することで、複数本の光ファイバーが、受光素子或いは発光素子等の素子として構成された複数の接続対象に対して光学的に接続される複数極タイプの形態が実施されてもよい。
【0096】
図10は、光ファイバー100がそれぞれ接続された複数のコネクタ1が相手側コネクタ102に接続された状態を示す斜視図である。相手側コネクタ102は、受光素子或いは発光素子等の素子を複数保持する筐体状の要素として設けられ、基板(図示省略)に対して実装される。そして、相手側コネクタ102には、複数のコネクタ1が接続される際に各コネクタ1の端部が嵌め込まれて嵌合する複数の嵌合穴102aが設けられている。
【0097】
複数のコネクタ1のそれぞれの端部が、相手側コネクタ102の各嵌合穴102aに嵌め込まれることで、複数のコネクタ1と相手側コネクタ102とが接続される。そして、複数のコネクタ1と相手側コネクタ102とが嵌合により接続されることで、複数の光ファイバー100と、相手側コネクタ1に保持された上記の複数の接続対象とが、それぞれ、光学的に接続される。
【0098】
また、相手側コネクタ102には、複数の係合穴102bが設けられている。複数の係合穴102bのそれぞれは、複数のコネクタ1のそれぞれのロック突起23aと係合する穴として構成されている。複数のコネクタ1のそれぞれの第1ハウジング11が相手側コネクタ102の各嵌合穴102aに嵌合する際には、ロック突起23aが嵌合穴102aの縁部分に当接し、ロックアーム23が弾性変形して一旦撓む。そして、各嵌合穴102aの更に奥側に各第1ハウジング11が嵌り込み、各ロック突起23aが各係合穴102bに対応する位置まで達すると、各ロックアーム23が弾性回復し、各ロック突起23aが各係合穴102bに嵌まり込んで係合する。これにより、各ロックアーム23が相手側コネクタ102に係合し、複数のコネクタ1のそれぞれの相手側コネクタ102に対する位置がロックされる。
【0099】
上記のように、複数のコネクタ1が1つの相手側コネクタ102に対して接続することで、複数本の光ファイバー100が、受光素子或いは発光素子等の素子として構成された複数の接続対象に対して光学的に接続される複数極タイプの形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、光ファイバーが接続されるコネクタに関して、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0101】
1 コネクタ
11 第1ハウジング
12 第2ハウジング
21 第1挿入孔
21a 開口
24 第1位置
25 第2位置
26 第2挿入孔
26a 開口
100 光ファイバー