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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】操作盤支持装置、及び情報端末装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20220111BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20220111BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20220111BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G03G21/16 109
F16C11/04 F
H05K5/02 A
G03G21/16 147
B41J29/00 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017187932
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019061212
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】田島 秀哉
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-13571(JP,A)
【文献】特開平09-69691(JP,A)
【文献】特開2004-110923(JP,A)
【文献】特開2010-108189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
F16C 11/04
H05K 5/02
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に設けられて操作盤を支持し、前記操作盤を寝かせて前記装置本体の外側へ向かって展開した第1位置と前記操作盤を起立させて前記装置本体の内側へ向かって退避させた第2位置とへ前記操作盤を移動可能な操作盤支持装置であって、
第1シャフトを有し、前記装置本体に取付けられる第1取付部材と、
前記第1シャフトよりも低い位置に第1シャフトと平行な第2シャフトを有し、前記装置本体に取付けられる第2取付部材と、
前記第1シャフトと平行な第3シャフトを有し、前記操作盤に取付けられる第3取付部材と、
前記第2シャフトと平行な第4シャフトを有し、前記操作盤に取付けられる第4取付部材と、
前記第1シャフトに一端を軸支され、前記第3シャフトに他端を軸支された第1リンク部材と、
前記第2シャフトに一端を軸支され、前記第4シャフトに他端を軸支された第2リンク部材と、
前記第1シャフトに設けられ、前記第1取付部材に対する前記第1リンク部材の回動範囲を規制する第1回動規制手段と、
前記第3シャフトに設けられ、前記第3取付部材に対する前記第1リンク部材の回動範囲を規制する第2回動規制手段と、を有し、
前記第1シャフトから前記第2シャフトまでの高さ方向の距離は、前記第2シャフトから前記第4シャフトまでの前記第2リンク部材の長さから前記第1シャフトから前記第3シャフトまでの前記第1リンク部材の長さを差し引いた距離よりも大きい、
ことを特徴とする操作盤支持装置。
【請求項2】
装置本体に設けられて操作盤を支持し、前記操作盤を寝かせて前記装置本体の外側へ向かって展開した第1位置と前記操作盤を起立させて前記装置本体の内側へ向かって退避させた第2位置とへ前記操作盤を移動可能な操作盤支持装置であって、
第1シャフトを有し、前記装置本体に取付けられる第1取付部材と、
前記第1シャフトよりも低い位置に第1シャフトと平行な第2シャフトを有し、前記装置本体に取付けられる第2取付部材と、
前記第1シャフトと平行な第3シャフトを有し、前記操作盤に取付けられる第3取付部材と、
前記第2シャフトと平行な第4シャフトを有し、前記操作盤に取付けられる第4取付部材と、
前記第1シャフトに一端を軸支され、前記第3シャフトに他端を軸支された第1リンク部材と、
前記第2シャフトに一端を軸支され、前記第4シャフトに他端を軸支された第2リンク部材と、を有すると共に、
前記第1リンク部材は、同一軸線上の前記第1シャフトにより前記第1取付部材に対してそれぞれ回動自在であって、同一軸線上の前記第3シャフトにより前記第2取付部材をそれぞれ回動自在に支持する一対のリンク部と、一対の前記リンク部を一体に回動させるように前記第1シャフトと前記第3シャフトとの間で一対の前記リンク部を連結する連結部と、を有し、
前記第1シャフトから前記第2シャフトまでの高さ方向の距離は、前記第2シャフトから前記第4シャフトまでの前記第2リンク部材の長さから前記第1シャフトから前記第3シャフトまでの前記第1リンク部材の長さを差し引いた距離よりも大きい、
ことを特徴とする操作盤支持装置。
【請求項3】
前記第2シャフトから前記第4シャフトまでの前記第2リンク部材の長さは、前記第1シャフトから前記第3シャフトまでの前記第1リンク部材の長さよりも大きい、ことを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の操作盤支持装置。
【請求項4】
前記第2シャフトから前記装置本体までの距離は、前記第1シャフトから前記装置本体までの距離よりも大きい、
ことを特徴とする請求項に記載の操作盤支持装置。
【請求項5】
前記第1リンク部材は、前記第3シャフトに軸支され、前記第2位置で前記装置本体と平行になる第1平行部と、当該第1平行部から斜めに曲がって前記第1シャフトに軸支される第1斜め部と、を有し、
前記第2リンク部材は、前記第4シャフトに軸支され、前記第2位置で前記装置本体と平行になる第2平行部と、当該第2平行部から斜めに曲がって前記第2シャフトへ軸支される第2斜め部と、を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の操作盤支持装置。
【請求項6】
前記第1シャフトに設けられ、前記第1取付部材に対する前記第1リンク部材の回動に対してフリクション抵抗を発生させる第1フリクション手段と、
前記第3シャフトに設けられ、前記第3取付部材に対する前記第1リンク部材の回動に対してフリクション抵抗を発生させる第2フリクション手段と、を有する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の操作盤支持装置。
【請求項7】
前記第1リンク部材は、同一軸線上の前記第1シャフトにより前記第1取付部材に対してそれぞれ回動自在であって、同一軸線上の前記第3シャフトにより前記第2取付部材をそれぞれ回動自在に支持する一対のリンク部材からなり、
前記第2リンク部材は、一対の前記リンク部材の間隔に配置されている、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の操作盤支持装置。
【請求項8】
操作盤と、前記操作盤を支持する請求項1~のいずれか1項に記載の操作盤支持装置と、を有する、
ことを特徴とする情報端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナ、複合機、POS入力装置等、操作盤を有する情報端末装置に用いて好適な操作盤支持装置、並びに当該操作盤支持装置を用いた情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機では、印刷条件等の設定、印刷出力の開始/停止の指令を行うための操作盤は、複写機の筐体の正面側に、操作面を上向きにして寝かせた状態で設けられている。しかし、操作盤が一般的なユーザを想定して複写機の高い位置に固定されている場合、一部のユーザにとって操作盤の位置が不適切な場合がある。そこで、特許文献1では、複写機の筐体上部にヒンジシャフトを設け、操作盤をヒンジシャフトにより下方へ回動して起立状態にすることを可能にしている。
【0003】
特許文献2では、タッチパネルを有するディスプレイ装置やPOS端末装置において、操作盤の傾き角度を手動で任意に設定可能にするヒンジシャフトを用いた開閉装置が示される。ここでは、ヒンジシャフトに固定されたリミッタ板を、操作盤に対する取付部材の端部に形成した突起に突き当てることにより、操作盤に所定の回動範囲の始点(0度)と終点(90度)を設定している。また、ヒンジシャフトに回動を固定されたフリクション部材と、取付部材に回動を固定されたフリクション部材と、を摩擦させることにより、操作盤に任意の傾き角度を保持させることを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-98444号公報
【文献】特開2010-108189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大型の操作盤を有する複写機では、操作の便宜を図るため、操作盤が複写機の筐体から正面側へ大きく張り出している場合がある。大型の操作盤を正面側に突き出して固定した複写機では、操作盤が邪魔になって複写機を移動させる際の移動経路が限られ、複写機の移動時に操作盤が周囲の障害物や通行人に接触し易くなる。また、操作盤のために複写機を収容する段ボール箱のサイズが大きくなる等、複写機の出荷コスト、搬送コストを増加させてしまう。
【0006】
そこで、特許文献2に示されるように、ヒンジシャフトを有する開閉装置を複写機の筐体上部に設け、ヒンジシャフトにより操作盤を下方へ回動させて本体側へ退避させることが提案された。しかし、ヒンジシャフトを有する開閉装置を用いて単純に操作盤を下方へ回動させる場合、操作盤を開閉装置よりも正面側から後退した位置へ退避させることはできない。したがって、操作盤及び開閉装置を装置本体の内側へ向かって十分に後退させた位置へ退避させることができない。
【0007】
本発明は、操作盤及び操作盤支持装置を装置本体の内側へ向かって十分に後退させた位置へ退避させることができる操作盤支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の操作盤支持装置は、装置本体に設けられて操作盤を支持し、前記操作盤を寝かせて前記装置本体の外側へ向かって展開した第1位置と前記操作盤を起立させて前記装置本体の内側へ向かって退避させた第2位置とへ前記操作盤を移動可能な操作盤支持装置であって、第1シャフトを有し、前記装置本体に取付けられる第1取付部材と、前記第1シャフトよりも低い位置に第1シャフトと平行な第2シャフトを有し、前記装置本体に取付けられる第2取付部材と、前記第1シャフトと平行な第3シャフトを有し、前記操作盤に取付けられる第3取付部材と、前記第2シャフトと平行な第4シャフトを有し、前記操作盤に取付けられる第4取付部材と、前記第1シャフトに一端を軸支され、前記第3シャフトに他端を軸支された第1リンク部材と、前記第2シャフトに一端を軸支され、前記第4シャフトに他端を軸支された第2リンク部材と、前記第1シャフトに設けられ、前記第1取付部材に対する前記第1リンク部材の回動範囲を規制する第1回動規制手段と、前記第3シャフトに設けられ、前記第3取付部材に対する前記第1リンク部材の回動範囲を規制する第2回動規制手段と、を有し、前記第1シャフトから前記第2シャフトまでの高さ方向の距離は、前記第2シャフトから前記第4シャフトまでの前記第2リンク部材の長さから前記第1シャフトから前記第3シャフトまでの前記第1リンク部材の長さを差し引いた距離よりも大きいことを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作盤及び操作盤支持装置を装置本体の内側へ向かって十分に後退させた位置へ退避させることができる操作盤支持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の複写機の構成の説明図である。
図2】操作盤の傾きの説明図である。(a)は0度、(b)は30度、(c)は60度、(d)は80度である。
図3】操作盤支持装置の取付状態を下方から見た斜視図である。
図4】操作盤の第1位置と第2位置の説明図である。(a)は第1位置、(b)は第2位置である。
図5】操作盤支持装置の分解斜視図である。
図6】正面側から見た第1リンク機構及び第2リンク機構の配置の説明図である。
図7】操作盤の移動に伴う操作盤及び操作盤支持装置の干渉領域の説明図である。
図8】実施例2の操作盤支持装置の説明図である。(a)は第1リンク機構の斜視図、(b)は第1リンク機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。以下の実施例では、複写機において、四節リンク機構を用いて、操作盤を寝かせた使用位置(第1位置P1)から起立させた退避位置(第2位置P2)へ移動させる実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0012】
(複写機)
図1は実施例1の複写機の構成の説明図である。図2は操作盤の傾きの説明図である。図2中、(a)は0度、(b)は30度、(c)は60度、(d)は80度である。
【0013】
図1に示すように、情報端末装置の一例である複写機100は、画像形成部101の上に画像読取部102が配置され、画像読取部102の上に原稿搬送装置103が配置されている。複写機100は、画像読取部102により原稿から読み取った画像データを用いて、画像形成部101が電子写真プロセスを実行することにより、不図示のシートに原稿の画像と同じ画像を複写する。画像読取部102は、いわゆるフラットベッドスキャナであって、画像読取部102の上面のガラス板と原稿搬送装置103の間に載置された原稿の画像を読み取る。画像読取部102は、原稿搬送装置103を用いて、複数枚数の原稿を連続的に読取ることが可能である。
【0014】
装置本体の一例である画像読取部102の正面側に操作盤取付装置10を用いて操作盤110が設けられている。操作盤110は、タッチパネルを重ねた液晶画面111の周囲に各種スイッチ112を配置している。液晶画面111は、ユーザが各種スイッチ112を操作して選択した設定項目又は操作画面を表示する。ユーザは、液晶画面111に表示された画像情報に従って各種スイッチ112を操作することにより、必要な各種設定を実行する。ユーザは、液晶画面111に必要な機能の操作画面を表示して各種スイッチ112を操作することにより、複写機100に複写、FAX、プリント、印刷等の各種機能を実行させる。
【0015】
図2の(a)~(d)に示すように、操作盤110は、画像読取部102の正面側に外側へ向かって突出するように取付けられている。操作盤支持装置10は、操作盤110を掴んで手動で移動させることにより、操作盤110に0度~90度の任意の傾き角度を設定して停止させることが可能である。操作盤110は、0度~90度の傾き角度に応じて操作面が上向き~正面向きに変化する。複写機100は、操作盤110を任意の傾き角度に設定した状態で操作して作動させることが可能である。複写機100は、出荷搬送時、移動時、操作盤110を起立させて複写機100の内側へ向かって退避させることが可能である。
【0016】
ところで、操作盤110を90度傾けて退避可能とする場合、操作盤110と画像読取部102とをヒンジシャフトで連結して単純に軸支させることが考えられる。しかし、この場合、操作盤110の奥行を半径とする半円柱状の空間を、操作盤110を回動させるために確保しておく必要がある。ヒンジシャフトを設けて操作盤110を単純に下方へ回動させる場合、操作盤110の展開~退避に必要な干渉領域の空間体積が大きくなる。
【0017】
そこで、複写機100では、四節リンク機構の操作盤支持装置10を使用して、操作盤110の展開~退避に必要な空間の体積を減少させている。四節リンク機構の対向する2本のリンクアームの回動可能な角度範囲の境界に操作盤110の移動の始点(0度)と終点(90度)とを設定している。
【0018】
(操作盤支持装置)
図3は操作盤支持装置の取付状態を下方から見た斜視図である。図4は操作盤の第1位置と第2位置の説明図である。図4中、(a)は第1位置、(b)は第2位置である。
【0019】
図3に示すように、取付基板11は、画像読取部102の正面側の起立面にネジ102nにより固定されている。取付基板11の上に、かさ上げ基板12がネジ11nにより固定されている。取付基板11の上には、第1取付部材13が四隅のネジ11nにより固定されている。
【0020】
操作盤支持装置10は、装置本体の一例である画像読取部102の筐体に設けられて操作盤110を支持する。操作盤支持装置10は、操作盤110を寝かせて操作側(正面側)へ展開した第1位置P1と、操作盤110を起立させて操作側(正面側)から退避させた第2位置P2と、へ操作盤110を移動可能である。操作盤支持装置10は、操作盤110と取付基板11とにそれぞれ両端を軸支された第1リンク部材24,34と第2リンク部材35とが四節リンク機構を構成している。
【0021】
第1取付部材13は、取付基板11を介して画像読取部102に取付けられている。第1取付部材13は、左右の起立部13a,13aに第1シャフト21,21を固定されている。第3取付部材45,46は、操作盤110の下面に取付けられている。第3取付部材45,46は、それぞれ第1シャフト21,21と平行な第3シャフト31,32を固定されている。第1リンク部材24,34は、第1シャフト21,21に一端を軸支され、第3シャフト31,32に他端を軸支されている。
【0022】
第2取付部材14は、かさ上げ基板12及び取付基板11を介して画像読取部102に取付けられている。第2取付部材14は、第1シャフト21,21よりも低い位置に第1シャフト21,21と平行な第2シャフト37を固定されている。第4取付部材45は、操作盤110の下面に取付けられている。第4取付部材45は、第2シャフト37と平行な第4シャフト38を固定されている。第2リンク部材35は、第2シャフト37に一端を軸支され、第4シャフト38に他端を軸支されている。
【0023】
操作盤支持装置10は、操作盤110の背面側を矢印R110のように移動させて操作盤110を寝かせた第1位置P1から起立させた第2位置P2へ移動させる。図4の(a)に示すように、第1位置P1では、操作盤110は、操作面を上にして正面側へ突き出した状態で水平に保持される。第1位置P1に位置する操作盤110は、正面側の一部が複写機100の平面から外へ突出している。図4の(b)に示すように、第2位置P2では、操作盤110は、内側へ折り畳むように移動して垂直に保持される。第2位置P2に位置する操作盤110は、全体が複写機100の平面の内側へ退避している。
【0024】
第1リンク部材24,34と第2リンク部材35とが形成する四節リンク機構において操作盤110が第2位置P2で起立する条件は、第2位置P2において第3シャフト31,32よりも第4シャフト38が低くなることである。言い換えれば、第1シャフト21,21から第2シャフト37までの距離L3は、第2シャフト37から第4シャフト38までの第2リンク部材35の長さL2から第1シャフト21,21から第3シャフト31,32までの第1リンク部材24,34の長さL1を差し引いた距離よりも大きい。
【0025】
ところで、操作盤支持装置10は、第1位置P1では操作盤110が寝かせた状態に保持され、操作盤110の操作に伴う押圧により、操作盤110が傾いたり下がったりしないことが求められる。そこで、操作盤支持装置10は、第1リンク部材24,34の各軸支点に回動規制部S1,S2,S3,S4を設けて、第1リンク部材24,34及び操作盤110の回動範囲を限界付けている。
【0026】
(回動規制部)
図5は操作盤支持装置の分解斜視図である。図5では、斜視図にしたときの各部品の観察方向を良好にするために、図3の操作盤支持装置を上下逆にした状態で各部品を配置している。また、回動規制部S1,S2,S3,S4は、リミッタ板27,33を用いて回動を規制する構造が基本的に同一であるため、対応する同一部品に同一の符号を付している。
【0027】
図5に示すように、回動規制部S1,S2は、共通の各部品が左右対称に配置されている。このため、以下では、図4の(a)を参照して回動規制部S1,S2の共通する構成を同時に説明する。図4の(a)に示すように、回動規制部S2は、第1取付部材13に対して回動を固定されたリミッタ板27に、第1リンク部材34の突起部34bが突き当たることにより、第1取付部材13に対する第1リンク部材34の回動範囲を規制する。回動規制部S1は、第1取付部材13に対して回動を固定されたリミッタ板27に、第1リンク部材24の突起部24bが突き当たることにより、第1取付部材13に対する第1リンク部材24の回動範囲を規制する。
【0028】
図5に示すように、回動規制部S1は、第1取付部材13に長穴13cが形成されている。第1シャフト21の一端部に平坦部21bが形成されている。第1シャフト21は、長穴13cに平坦部21bを挿入して先端をかしめることにより、第1取付部材13に固定されている。リミッタ板27の回転中心に長穴27aが形成されている。第1シャフト21の他端部に円柱部21cと平坦部21dとネジ部21fとが形成されている。リミッタ板27は、長穴27aに平坦部21dを挿入されて第1シャフト21に対する回動を規制されている。
【0029】
第1リンク部材24(34)の端部を曲げ加工して突起部24b(34b)が形成されている。突起部24b(34b)は、第1取付部材13に対する第1リンク部材24(34)の回動に伴って、リミッタ板27の突き当て部27b,27cの間を回動する。突起部24b(34b)がリミッタ板27の突き当て部27b,27cに突き当たる第1リンク部材24(34)の回動角度で第1取付部材13に対する第1リンク部材24(34)の回動が限界付けられ、第1リンク部材24(34)の回動が規制される。
【0030】
図5に示すように、回動規制部S3,S4は、第3シャフト31,32が第1リンク部材24に固定されるか、第2取付部材46に固定されるかの違いを除けば、基本的に同一構造である。このため、以下では、図4の(a)を参照して回動規制部S3,S4の共通する構成を同時に説明する。図4の(a)に示すように、回動規制部S4(S3)は、第2取付部材46(45)に対して回動を固定されたリミッタ板33に、第1リンク部材34の突起部34m(第2取付部材45の突起部45m)が突き当たることにより、第1リンク部材34(24)に対する第2取付部材46(45)の回動範囲を規制する。
【0031】
回動規制部S3は、第1リンク部材24に対して回動を固定されたリミッタ板33に、第2取付部材45の突起部45mが突き当たることにより、第1リンク部材24に対する第2取付部材45の回動範囲を規制する。第1リンク部材24に長穴24gが形成されている。第3シャフト31の一端部に平坦部31bが形成されている。第3シャフト31は、長穴24gに平坦部31bを挿入して先端をかしめることにより、第1リンク部材24に固定されている。リミッタ板33の回転中心に長穴33aが形成されている。第3シャフト31の他端部に円柱部31cと平坦部31dとが形成されている。リミッタ板33は、長穴33aに平坦部31dを挿入して先端をかしめることにより第3シャフト31に固定されている。第2取付部材45の端部を曲げ加工して突起部45mが形成されている。突起部45mは、第1リンク部材24に対する第3取付部材45の回動に伴って、リミッタ板33の突き当て部33b,33cの間を回動する。突起部45mがリミッタ板33の突き当て部33b,33cに突き当たる第2取付部材45の回動角度で第1リンク部材24に対する第2取付部材45の回動が限界付けられ、第2取付部材45に取付けられた操作盤(110)の0度以下及び90度以上の回動が規制される。
【0032】
回動規制部S4は、第2取付部材45に対して回動を固定されたリミッタ板33に、第1リンク部材34の突起部34mが突き当たることにより、第1リンク部材24に対する第2取付部材45の回動範囲を規制する。回動規制部S4は、第3取付部材46に長穴46gが形成されている。第3シャフト32の一端部に平坦部32bが形成されている。第3シャフト32は、長穴46gに平坦部32bを挿入して先端をかしめることにより、第3取付部材46に固定されている。リミッタ板33の回転中心に長穴33aが形成されている。第3シャフト32の他端部に円柱部32cと平坦部32dとが形成されている。リミッタ板33は、長穴33aに平坦部32dを挿入して先端をかしめることにより第3シャフト32に固定されている。第1リンク部材34の端部を曲げ加工して突起部34mが形成されている。突起部34mは、第1リンク部材34に対する第3取付部材46の回動に伴って、リミッタ板33の突き当て部33b,33cの間を回動する。突起部34mがリミッタ板33の突き当て部33b,33cに突き当たる第2取付部材46の回動角度で第1リンク部材34に対する第2取付部材46の回動が限界付けられ、第2取付部材46に取付けられた操作盤(110)の0度以下及び90度以上の回動が規制される。
【0033】
ところで、操作盤支持装置10は、操作盤110が0度と90度との間の任意の角度位置で、操作時の圧力や移動時の振動に耐えて、位置保持できることが好ましい。操作盤110は、第1位置P1と第2位置P2との間の任意の角度位置で停止させた状態で、操作面を通じた操作を実行できることが好ましい。そこで、操作盤支持装置10では、第1リンク部材24,34の各軸支点及び第2リンク部材35の各軸支点にフリクション部F1,F2,F3,F4,F5,F6を設けて、第1リンク部材24,34及び第2リンク部材35の回動に摩擦抵抗を作用させている。操作盤110は、第1位置P1と第2位置P2との間でフリクション部F1,F2,F3,F4,F5,F6の摩擦抵抗力に抗して移動される。
【0034】
(フリクション部)
フリクション部F1,F2,F3,F4,F5,F6は、摩擦抵抗を発生する基本構造が同一であるため、対応する部品に同一の符号を付している。フリクション部F1,F2,F3,F4,F5,F6は、面接触するフリクション部材22とフリクション部材23とが、スプリングワッシャ26によって加圧された状態で摩擦する。
【0035】
フリクション部F1,F2は、各部品が左右対称に配置される以外は、基本的に同一構造である。
【0036】
フリクション部F1は、第1取付部材13に回動を固定されたフリクション部材23と、第1リンク部材24に回動を固定されたフリクション部材22とが、第1取付部材13に対する第1リンク部材24の回動に伴って摩擦する。フリクション部材22は、中央の丸穴22aに第1シャフト21の円柱部21cを保持し、外周の突起部22bを第1シャフト21の係合凹所21eに係合させている。フリクション部材23は、中央の丸穴23aに第1シャフト21の円柱部21cを保持し、外周の突起部23bを第1リンク部材24の係合孔24dに係合させている。フリクション部材25は、中央の丸穴25aに第1シャフト21の円柱部21cを保持し、外周の突起部25bを第1リンク部材24の係合孔24eに係合させている。ナット28は、第1シャフト21のネジ部21fに締め付けられて、リミッタ板27を第1シャフト21の円柱部21aに向かって移動させて、スプリングワッシャ26を厚み方向に圧縮する。スプリングワッシャ26は、厚み方向に圧縮された状態で、リミッタ板27と第1シャフト21の円柱部21aとの間で、第1リンク部材24とフリクション部材22,23,25の重なりを加圧する。
【0037】
フリクション部F2は、第1取付部材13に回動を固定されたフリクション部材23と、第1リンク部材34に回動を固定されたフリクション部材22とが、第1取付部材13に対する第1リンク部材34の回動に伴って摩擦する。フリクション部材22は、中央の丸穴22aに第1シャフト21の円柱部21cを保持し、外周の突起部22bを第1シャフト21の係合凹所21eに係合させている。フリクション部材23は、中央の丸穴23aに第1シャフト21の円柱部21cを保持し、外周の突起部23bを第1リンク部材34の係合孔34eに係合させている。フリクション部材25は、中央の丸穴25aに第1シャフト21の円柱部21cを保持し、外周の突起部25bを第1リンク部材34の係合孔34dに係合させている。ナット28は、第1シャフト21のネジ部21fに締め付けられて、リミッタ板27を第1シャフト21の円柱部21aに向かって移動させて、スプリングワッシャ26を厚み方向に圧縮する。スプリングワッシャ26は、厚み方向に圧縮された状態で、リミッタ板27と第1シャフト21の円柱部21aとの間で、第1リンク部材34とフリクション部材22,23,25の重なりを加圧する。
【0038】
フリクション部F3,F4は、第3シャフト31,32が第1リンク部材24に固定されるか、第2取付部材46に固定されるかの違いを除けば基本的に同一構造である。
【0039】
フリクション部F3は、第3取付部材45に回動を固定されたフリクション部材23と、第1リンク部材24に回動を固定されたフリクション部材22とが、第1リンク部材24に対する第3取付部材45の回動に伴って摩擦する。フリクション部材22は、中央の丸穴22aに第3シャフト31の円柱部31cを保持し、外周の突起部22bを第3シャフト31の係合凹所31eに係合させている。フリクション部材23は、中央の丸穴23aに第3シャフト31の円柱部31cを保持し、外周の突起部23bを第1リンク部材24の係合孔24iに係合させている。フリクション部材25は、中央の丸穴25aに第3シャフト31の円柱部31cを保持し、外周の突起部25bを第1リンク部材24の係合孔24jに係合させている。リミッタ板33は、長穴33aに第3シャフト31の平坦部31dを挿入されて先端をかしめられることにより、スプリングワッシャ26を厚み方向に圧縮する。スプリングワッシャ26は、厚み方向に圧縮されて、リミッタ板33と第3シャフト32の円柱部32aとの間で、第1リンク部材34及びフリクション部材22,23,25を加圧する。
【0040】
フリクション部F4は、第3取付部材46に回動を固定されたフリクション部材22と、第1リンク部材34に回動を固定されたフリクション部材23とが、第1リンク部材34に対する第3取付部材46の回動に伴って摩擦する。フリクション部材22は、中央の丸穴22aに第3シャフト32の円柱部32cを保持し、外周の突起部22bを第3シャフト32の係合凹所32eに係合させている。フリクション部材23は、中央の丸穴23aに第3シャフト32の円柱部32cを保持し、外周の突起部23bを第1リンク部材34の係合孔34iに係合させている。フリクション部材25は、中央の丸穴25aに第3シャフト32の円柱部32cを保持し、外周の突起部25bを第1リンク部材34の係合孔34jに係合させている。リミッタ板33は、長穴33aに第3シャフト32の平坦部32dを挿入されて先端をかしめられることにより、スプリングワッシャ26を厚み方向に圧縮する。スプリングワッシャ26は、厚み方向に圧縮されて、リミッタ板33と第3シャフト32の円柱部32aとの間で、第1リンク部材34とフリクション部材22,23,25との重なりを加圧する。
【0041】
第2取付部材14は、かさ上げ基板12に形成された雌ネジ12dにネジ12cを締め付けて固定されている。フリクション部F5,F6は、第2取付部材14に回動を固定されたフリクション部材22と、第2リンク部材35に回動を固定されたフリクション部材23とが、第2取付部材14に対する第2リンク部材35の回動に伴って摩擦する。
【0042】
フリクション部F5では、フリクション部材22が中央の丸穴22aに第2シャフト37の円柱部37cを保持し、外周の突起部22bを第3シャフト37の係合凹所37eに係合させている。フリクション部材23が中央の丸穴23aに第2シャフト37の円柱部37cを保持し、外周の突起部23bを第2リンク部材35の係合孔35eに係合させている。フリクション部材25が中央の丸穴25aに第2シャフト37の円柱部37cを保持し、外周の突起部25bを第2リンク部材35の係合孔35dに係合させている。スプリングワッシャ26を厚み方向に圧縮した状態で、かしめ板48の中央の長穴48aに第2シャフト37の平坦部37dを挿入して先端をかしめることにより、フリクション部F5の全体を一体化させている。このため、スプリングワッシャ26は、第3シャフト37の円柱部37aとの間で、第2リンク部材35とフリクション部材22,23,25との重なりを加圧する。
【0043】
フリクション部F6では、フリクション部材22が中央の丸穴22aに第4シャフト38の円柱部38cを保持し、外周の突起部22bを第4シャフト38の係合凹所38eに係合させている。フリクション部材23が中央の丸穴23aに第4シャフト38の円柱部38cを保持し、外周の突起部23bを第2リンク部材35の係合孔35iに係合させている。フリクション部材25が中央の丸穴25aに第4シャフト38の円柱部38cを保持し、外周の突起部25bを第2リンク部材35の係合孔35jに係合させている。スプリングワッシャ26を厚み方向に圧縮した状態で、かしめ板48の中央の長穴48aに第4シャフト38の平坦部38dを挿入して先端をかしめることにより、フリクション部F6の全体を一体化させている。このため、スプリングワッシャ26は、第4シャフト38の円柱部38aとの間で、第2リンク部材35とフリクション部材22,23,25との重なりを加圧する。
【0044】
(第1リンク機構及び第2リンク機構)
図6は正面側から見た第1リンク機構及び第2リンク機構の配置の説明図である。図7は操作盤の移動に伴う操作盤及び操作盤支持装置の干渉領域の説明図である。
【0045】
図4の(a)に示すように、操作盤110が水平に寝かせて保持される第1位置P1では、第4シャフト38と画像読取部102に対する取付面との間に第3シャフト31,32が移動する。図4の(b)に示すように、操作盤110が垂直に起立した状態に保持される第2位置P2では、第3シャフト31,32よりも低い位置に第4シャフト38が移動する。したがって、図4の(b)に示すように、複写機100の発送時、移動時、あるいは保管時には、通常の操作時よりも操作盤110を距離L4だけ複写機100の背面側へ退避させておくことが可能である。
【0046】
図4の(b)に示すように、第1シャフト21,21から第2シャフト37までの高さ方向の距離L3は、第2シャフト37から第4シャフト38までの第2リンク部材35の長さL2から第1シャフト21,21から第3シャフト31,32までの第1リンク部材24,34の長さL1を差し引いた距離(L2-L1)よりも大きい。したがって、上述したように、操作盤110を水平に寝かせた状態と垂直に起立させた状態との間で移動可能である。
【0047】
図4の(b)に示すように、第2シャフト37から第4シャフト38までの第2リンク部材35の長さL2は、第1シャフト21,21から第3シャフト31,32までの第1リンク部材24,34の長さよりも大きい。したがって、図4の(a)に示すように、操作盤110を第1位置P1に移動させた際の操作盤支持装置10の正面側への突出を抑制できる。
【0048】
図4の(b)に示すように、第2シャフト37から画像読取部102に対する取付面までの距離L6は、第1シャフト21,21から画像読取部102に対する取付面までの距離L5よりも大きい。したがって、操作盤110を第2位置へ移動させた状態では、第2リンク部材35に作用する引張力が操作盤110の背面方向への移動を抑制する。操作盤支持装置10の水平方向の支持剛性が高くなって、起立させた状態で操作盤110を操作する際に操作盤110が背面側へ逃げ難くなる。
【0049】
図4の(b)に示すように、第1リンク部材24,34は、第1平行部H1と第1斜め部N1とを有する。第1平行部H1は、第3シャフト31,32に軸支され、第2位置P2で画像読取部102に対する取付面と平行になる。第1斜め部N1は、第1平行部H1から斜めに曲がって第1シャフト21,21に軸支される。第2リンク部材35は、第2平行部H2と第2斜め部N2とを有する。第2平行部H2は、第4シャフト38に軸支され、第2位置P2で画像読取部102に対する取付面と平行になる。第2斜め部N2は、第2平行部H2から斜めに曲がって第2シャフト37へ軸支される。したがって、操作盤110を第2位置へ移動させる際に、操作盤支持装置10が操作盤110と取付基板11との間に効率的に折り畳まれ、第1リンク部材24,34及び第2リンク部材35が操作盤110にも取付基板11にも干渉しない。
【0050】
図5に示すように、第1回動規制手段の一例であるリミッタ板27は、第1シャフト21,21に設けられ、第1取付部材13に対する第1リンク部材24,34の回動範囲を規制する。第2回動規制手段の一例であるリミッタ板33,33は、第3シャフト31,32に設けられ、第1リンク部材24,34に対する第3取付部材45,46の回動範囲を規制する。したがって、操作盤110を第1位置P1と第2位置P2とにおいて剛性高く支持し、剛性高く姿勢を保つことができる。
【0051】
図5に示すように、第1フリクション手段の一例であるフリクション部F1,F2は、第1シャフト21,21に設けられ、第1取付部材13に対する第1リンク部材24,34の回動に対してフリクション抵抗を発生させる。第2フリクション手段の一例であるフリクション部F3,F4は、第3シャフト31,32に設けられ、第1リンク部材24,34に対する第3取付部材45,46の回動に対してフリクション抵抗を発生させる。したがって、操作盤110を任意の位置とその位置に応じた姿勢とに保持できる。
【0052】
図5に示すように、第1リンク部材24,34は、一対のリンク部材(24,34)からなる。一対のリンク部材(24,34)は、同一軸線上の第1シャフト21,21により第1取付部材13に対してそれぞれ回動自在である。一対のリンク部材(24,34)は、同一軸線上の第3シャフト31,32により第3取付部材45,46をそれぞれ回動自在に支持する。
【0053】
図6に示すように、第2リンク部材35は、一対のリンク部材(24,34)の間隔に配置されている。したがって、2個の第1リンク部材24,34と1個の第2リンク部材35とが操作盤110の下面に三角形を形成して、操作盤110の左右でほぼ同一の支持剛性を確保できる。そして、一対のリンク部材(24,34)に挟まれた空間が、第2リンク部材35の移動空間及び収容空間として確保されているので、操作盤110を、第2位置P2において、画像読取部102に近接する位置まで退避可能である。
【0054】
図7に示すように、第3シャフト31,32は、単独であれば、第1シャフト21,21を中心に第1リンク部材24,34を半径にして円R31のように移動可能である。第4シャフト38は、単独であれば、第2シャフト37を中心に第2リンク部材35を半径にして円R38のように移動可能である。しかし、第3シャフト31,32と第4シャフト38とが操作盤110に位置関係を固定されているので、第3シャフト31,32と第4シャフト38の距離L8は一定である。
【0055】
このため、第1リンク部材24,34及び第2リンク部材35は、第3シャフト31,32と第4シャフト38との距離L8を一定に保つように回動する。言い換えれば、第3シャフト31,32と第4シャフト38との距離L8が固定されているため、円R31上の点と円R38上の点との距離が距離L8以上となる範囲へは第3シャフト31,32も第4シャフト38も回動することができない。そして、円R31上の点と円R38上の点との距離が距離L8未満となる範囲では、第3シャフト31,32と第4シャフト38との距離L8を保って操作盤110は角度を傾けることができる。言い換えれば、図4に示す回動規制部S1,S2,S3,S4を省略した実施の形態においても、操作盤110は、略水平に寝かせた状態と略垂直に起立させた状態とで回動を限界付けて停止させることができる。
【0056】
しかし、実施例1では、四節リンク機構を形成する第1リンク部材24,34の円R31と第2リンク部材35の円R38との距離が第3シャフト31,32と第4シャフト38との距離L8に等しくなる2つの位置に第1位置P1と第2位置P2とを設定している。そして、第3シャフト31,32と第4シャフト38との距離L8に拘束されて操作盤110の傾く余地が少ない角度位置で、リミッタ板27,37による回動の規制を働かせている。これにより、第1位置P1と第2位置P2とにおける操作盤110の傾き状態精密に設定し、かつ安定させている。言い換えれば、回動規制部S1,S2,S3,S4を設けることで、第3シャフト31,32と第4シャフト38との距離L8のみに頼るよりも、第1位置P1と第2位置P2とにおける操作盤110のぐらつきを低減させて操作盤110の傾き状態を安定させている。
【0057】
(干渉領域)
図7にハッチングで示すように、操作盤110を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させる過程で、操作盤110と操作盤支持装置10とが通過する干渉領域KRが形成される。操作盤支持装置10では、四節リンク機構を採用することで、ヒンジシャフトを用いる開閉装置に比較して、操作盤110を水平に寝かせた状態から垂直に起立させた状態へ移動させる過程の干渉領域KRが小さくなる。操作盤支持装置10では、操作盤110が第1位置P1と第2位置P2との間で移動する過程で操作盤110の一部分が重なった状態で回転するため、操作盤110の一端に設けたヒンジシャフトを中心にして操作盤110を単純に下方へ回動させた場合よりも干渉領域KRが小さくなる。
【0058】
操作盤支持装置10では、操作盤110の下方に張り出した干渉領域KRが形成されないため、操作盤110の下方に画像形成部101、排出トレイ等の別部材を配置することができる。また、操作盤110を第2位置P2に位置決めた状態で、操作盤110の下方に、画像形成部101の排出トレイからのシートの取出しスペースを確保することができる。
【0059】
(実施例1の効果)
実施例1の操作盤支持装置10によれば、操作盤110及び操作盤支持装置10を装置本体の正面側の面から十分に後退した位置へ退避させることができる。操作盤110を展開及び退避させる四節リンク機構と0度/90度ストッパ機構(回動規制手段)とコンパクトにまとめて汎用性のある操作盤支持装置10を構成している。したがって、サイズや重量が異なる各種の操作盤を、共通な操作盤支持装置10を用いて、各種の情報端末装置の装置本体に取り付けることにより、操作盤の退避/展開を実現させることができる。
【実施例2】
【0060】
図8は実施例2の操作盤支持装置の説明図である。図8中、(a)は第1リンク機構の斜視図、(b)は第1リンク機構の側面図である。実施例2では、図5に示す第1リンク機構20,30の第1リンク部材24,34がその中間部分で連結されて一体に回動する。しかし、第2リンク機構50は、実施例1と同様に構成され、同様に配置される。このため、第1リンク機構(20B)における実施例1と異なる部分を詳細に説明し、第2リンク機構50については図示及び説明を省略する。
【0061】
図8の(a)に示すように、第1取付部材13の上下を折り曲げて補強部13d,13eを形成している。第1リンク部材24,34には、絞り加工により長手方向に連続したリブ状の補強部24q,34qを形成している。第1リンク部材24,34には、第1リンク部材24,34が対向する側へ縁を折り曲げるように形成した接続部24p,34pが形成されている。接続部24p,34pは、隙間に別部材を溶接する等して第1リンク部材24,34の長手方向に連続したものとすることが第1リンク部材24,34の強度の観点から好ましい。
【0062】
第1リンク部材24,34の接続部24p,34pには、不図示の雌ネジが形成されている。連結部材61,62は、第1リンク部材24,34の接続部24p,34pに重ねて、図8の(b)に示すように、固定ネジ63,64を接続部24p,34pの雌ネジに締め付けて固定される。連結部材61,62は、第1リンク部材24,34と共同して逆U字型の断面を形成して、第1リンク機構20Bによる操作盤(110)の支持剛性を高めている。
【0063】
実施例2では、第1リンク部材24,34は、同一軸線上の第1シャフト21,21により第1取付部材13に対して回動自在であって、同一軸線上の第3シャフト31,32により第2取付部材45,46を回動自在に支持する一対のリンク部である。そして、連結部の一例である連結部材61,62は、第1リンク部材24,34を一体に回動させるように第1シャフト21,21と第3シャフト31,32との間で第1リンク部材24,34を連結している。第1リンク部材24,34は、連結部材61,62により連結されたU字型断面のリンク部材として機能する。そして、U字型断面の内側の空間が、第2リンク部材35の移動空間として確保されている。
【0064】
実施例2によれば、操作盤支持装置10に各種の補強構造を付加したので、操作盤110の支持剛性が実施例1よりも高くなり、複写機100の操作時における操作盤110の位置ずれやふらつきが小さくなる。あるいは、重い操作盤110を支持する操作盤支持装置10をより薄い板金材料で軽量に構成できる。なお、実施例2では、第1リンク部材24,34と連結部材61,62とを別部材として固定ネジ63,64により連結してU字型断面のリンク部材を形成した。しかし、1枚の板金を切断及び曲げ加工してU字型断面のリンク部材を形成してもよい。
【0065】
(その他の実施の形態)
本発明の開閉装置は、実施例1、2で説明した具体的な構成及び用途には限定されない。上述した構成の一部又は全部を等価な構成に置き換えた別の形態でも実施可能である。実施例1、2では、複写機100の操作盤110の操作盤支持装置10について説明した。しかし、操作盤支持装置10は、複写機以外の操作盤を有する情報端末装置でも使用可能である。また、上述したように、図4に示す回動規制部S1,S2,S3,S4を省略した実施の形態でも、操作盤110を略水平に寝かせた状態と略垂直に起立させた状態とへ移動可能な複写機を実現できる。
【0066】
実施例1、2では、取付基板11及びかさ上げ基板12の上に第1リンク機構20,30及び第2リンク機構50を設けたが、第1リンク機構20,30及び第2リンク機構50は、画像読取部102の側面に直接固定して設けてもよい。第1リンク機構と第2リンク機構とを別体として複数種類準備し、用途に応じて第1リンク機構と第2リンク機構との組み合わせを変更してもよい。逆に第1リンク機構と第2リンク機構とを近接させて一体に組立てたリンクユニットを操作盤の下に間隔を置いて2個1組で配置してもよい。第1リンク機構と第2リンク機構とのそれぞれの個数は、2個と1個の組合せには限らず、1個と2個の組合せ等、任意に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は以上のように構成したので、とくにタッチパネルを設けた画像ディスプレイや各種スイッチを有する操作盤を設けた情報端末装置、例えば、複写機、プリンタ、印刷機械、POS入力装置、ゲーム装置、サインボード、遊技機等の操作盤支持装置、並びにこの操作盤支持装置を用いた情報端末装置として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0068】
10 操作盤支持装置
11 取付基板
12 かさ上げ基板
13 第1取付部材
14 第2取付部材
20,30,20B 第1リンク機構
21,21 第1シャフト
22,23 フリクション部材
25 フリクション部材
24,34 第1リンク部材(リンク部材、リンク部)
26 スプリングワッシャ
27 リミッタ板(第1回動規制手段)
33 リミッタ板(第2回動規制手段)
28 ナット
31,32 第3シャフト
35 第2リンク部材
37 第2シャフト
38 第4シャフト
45,46 第3取付部材
47 第4取付部材
48 かしめ板
50 第2リンク機構
61,62 連結部材
63,64 固定ネジ
100 複写機
101 画像形成部(装置本体)
102 画像読取部(装置本体)
103 原稿搬送装置
110 操作盤
111 液晶画面
112 操作パネル
F1,F2 フリクション部(第1フリクション手段)
F3,F4 フリクション部(第2フリクション手段)
F5,F6 フリクション部
S1,S2 回動規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8